(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】移動体用認証システム、移動体用認証方法及び移動体用認証プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20241016BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20241016BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20241016BHJP
B60R 25/25 20130101ALI20241016BHJP
B60R 1/29 20220101ALI20241016BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W40/08
B60R25/24
B60R25/25
B60R1/29
(21)【出願番号】P 2023130063
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2020045411の分割
【原出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩平
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-305138(JP,A)
【文献】特開2009-140445(JP,A)
【文献】特開2009-177588(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0105101(US,A1)
【文献】特開2018-040162(JP,A)
【文献】特開2017-001615(JP,A)
【文献】特開2011-192031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
B60R 25/24 ~ 25/25
B60R 1/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末による携帯端末認証の認証結果
と、生体情報センサによる生体認証の認証結果とを用い、移動体の運転者を特定する運転者特定部(4c)と、
少なくとも1人以上の人物と機能制限との対応関係を権限条件情報として記憶する権限条件情報記憶部(4e)と、
前記運転者特定部により運転者が特定された場合に、その特定された運転者と対応付けられている機能制限を付与する機能制限付与部(4f)と、を備え、
前記運転者特定部は、前記携帯端末と近距離無線通信する、座席毎に設置された通信モジュールの通信状態に基づいて判定された前記携帯端末を携帯する搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報
と、前記生体情報センサの検知結果から判定された生体認証の対象の搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報とを受信し、前記
携帯端末認証の認証結果と
、前記生体認証の認証結果と、前記
携帯端末認証による利用者位置情報
と、前記生体認証による利用者位置情報とに基づいて運転者を特定する移動体用認証システム。
【請求項2】
携帯端末による携帯端末認証の認証結果を用い、移動体の同時搭乗者を特定する同時搭乗者特定部(4d)を備え、
前記機能制限付与部は、前記運転者特定部により運転者が特定されると共に前記同時搭乗者特定部により同時搭乗者が特定された場合に、その特定された運転者と同時搭乗者との組み合わせと対応付けられている機能制限を付与する請求項1に記載した移動体用認証システム。
【請求項3】
前記運転者特定部は、ドアロックの解除を検知したこと、シートセンサにより検知される運転席への着座を検知したこと、エンジン始動を検知したこと、の少なくとも何れか1つを契機として、移動体の運転者を特定する請求項1に記載した移動体用認証システム。
【請求項4】
前記運転者特定部は、前記生体情報センサとして車室内カメラを用いると共に前記車室内カメラにより撮影された画像から前記生体認証として顔認証を判定し、前記車室内カメラにより撮影された画像から判定された顔認証の対象の搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報を受信し、前記携帯端末認証の認証結果と、前記顔認証の認証結果と、前記携帯端末認証による利用者位置情報と、前記顔認証による利用者位置情報とに基づいて運転者を特定する請求項1に記載した移動体用認証システム。
【請求項5】
少なくとも1人以上の人物と機能制限との対応関係を権限条件情報として記憶する権限条件情報記憶部(4e)を備える移動体用認証システム(1)
において、
携帯端末による携帯端末認証の認証結果を用い、前記携帯端末と近距離無線通信する、座席毎に設置された通信モジュールの通信状態に基づいて判定された前記携帯端末を携帯する搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報
と、生体情報センサの検知結果から判定された生体認証の対象の搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報とを受信し、前記
携帯端末認証の認証結果と
、前記生体認証の認証結果と、前記
携帯端末認証による利用者位置情報
と、前記生体認証による利用者位置情報とに基づいて運転者を特定する運転者特定手順と、
前記運転者特定手順により特定した運転者と対応付けられている機能制限を付与する機能制限付与手順と、を
行う移動体用認証
方法。
【請求項6】
少なくとも1人以上の人物と機能制限との対応関係を権限条件情報として記憶する権限条件情報記憶部(4e)を備える移動体用認証システム(1)の制御部(4)に、
携帯端末による携帯端末認証の認証結果を用い、前記携帯端末と近距離無線通信する、座席毎に設置された通信モジュールの通信状態に基づいて判定された前記携帯端末を携帯する搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報と、生体情報センサの検知結果から判定された生体認証の対象の搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報とを受信し、前記携帯端末認証の認証結果と、前記生体認証の認証結果と、前記携帯端末認証による利用者位置情報と、前記生体認証による利用者位置情報とに基づいて運転者を特定する運転者特定手順と、
前記運転者特定手順により特定した運転者と対応付けられている機能制限を付与する機能制限付与手順と、を実行させる移動体用認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体用認証システム、移動体用認証方法及び移動体用認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の運転者が初心者、高齢者、軽認知症患者等である場合に、その運転者を保護対象者とし、その保護対象者の操作の制限を保護者が設定することで、保護対象者の操作を制限する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、保護対象者の操作の制限を保護者が設定する必要があり、保護者の手間が必要となる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転者である保護対象者の操作の制限を自動的に設定することができ、利便性を高めることができる移動体用認証システム、移動体用認証方法及び移動体用認証プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、携帯端末による携帯端末認証の認証結果と、生体情報センサによる生体認証の認証結果とを用い、移動体の運転者を特定する運転者特定部(4c)と、少なくとも1人以上の人物と機能制限との対応関係を権限条件情報として記憶する権限条件情報記憶部(4e)と、前記運転者特定部により運転者が特定された場合に、その特定された運転者と対応付けられている機能制限を付与する機能制限付与部(4f)と、を備える。前記運転者特定部は、前記携帯端末と近距離無線通信する、座席毎に設置された通信モジュールの通信状態に基づいて判定された前記携帯端末を携帯する搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報と、前記生体情報センサの検知結果から判定された生体認証の対象の搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを示す利用者位置情報とを受信し、前記携帯端末認証の認証結果と、前記生体認証の認証結果と、前記携帯端末認証による利用者位置情報と、前記生体認証による利用者位置情報とに基づいて運転者を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、移動体を自動車に適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、自動車用認証システム1は、携帯端末認証装置2と、顔認証装置3と、制御部4と、各種の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)5~7とを備える。各種のECU5~7は、例えば運動制御系の制御を行う運動制御系ECU5、HMI(Human Machine Interface)系の制御を行うHMI系ECU6、ボデー系の制御を行うボデー系ECU7であり、CAN(Controller Area Network)(登録商標)等の車載ネットワーク8を介して制御部4と接続されている。
【0009】
携帯端末認証装置2は、車室内に持ち込まれた携帯端末を認証する装置であり、個別認証部2aと、携帯端末認証データベース2bと、利用者位置検知部2cとを備える。携帯端末は、例えばスマートフォンと称される多機能型の携帯情報端末、携帯電話機等である。個別認証部2aは、例えば携帯端末の電話番号等の端末識別情報を、予め携帯端末認証IDと対応付けられて携帯端末認証データベース2bに登録されている端末識別情報と照合し、両者が一致するか否かを判定する。個別認証部2aは、携帯端末の端末識別情報が、携帯端末認証データベース2bに登録されている何れかの端末識別情報と同一であり、両者が一致すると判定すると、その端末識別情報と対応付けられて登録されている携帯端末認証IDを制御部4に送信する。
【0010】
利用者位置検知部2cは、両者が一致すると個別認証部2aにより判定されると、その携帯端末の位置を検知する。具体的には、利用者位置検知部2cは、例えば携帯端末と近距離無線通信する通信モジュールが座席毎に設置されていれば、その通信モジュールの通信状態を判定し、携帯端末を携帯する搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを判定し、その判定結果を示す利用者位置情報を制御部4に送信する。
【0011】
顔認証装置3は、自動車に搭乗した人物である搭乗者の顔を認証する装置であり、個別認証部3aと、顔認証データベース3bと、利用者位置検知部3cとを備える。個別認証部3aは、自動車の車室内を撮影する車室内カメラにより撮影された画像を、予め顔認証IDと対応付けられて顔認証データベース3bに登録されている顔画像と照合し、車室内カメラにより撮影された画像内に、顔認証データベース3bに登録されている顔画像が含まれているか否かを判定し、搭乗者の中に顔認証データベース3bに登録されている人物が存在するか否かを判定する。個別認証部3aは、例えば顔の輪郭、目や鼻や口等の特徴部分の位置等を照合して一致率を計算し、その計算した一致率を所定値と対比することで、搭乗者の中に顔認証データベース3bに登録されている人物が存在するか否かを判定する。個別認証部3aは、一致率が所定値以上であり、本人認証確率が一定値(例えば80%)以上であると判定すると、搭乗者の中に顔認証データベース3bに登録されている人物が存在すると判定し、その人物と対応付けられて登録されている顔認証IDを制御部4に送信する。尚、車室内カメラとしては、車室内の全体を撮影可能な撮影視野が広角なカメラが1台設置されていても良いし、座席を個々に撮影可能な撮影視野が狭角なカメラが座席毎に複数台設置されていても良い。
【0012】
利用者位置検知部3cは、搭乗者の中に顔認証データベースに登録されている人物がいると個別認証部3aにより判定されると、車室内カメラにより撮影された画像から搭乗者の位置を検知する。具体的には、利用者位置検知部3cは、搭乗者の位置が運転席であるか運転席以外であるかを判定し、その判定結果を示す利用者位置情報を制御部4に送信する。
【0013】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を有するマイクロコンピュータにより構成されている。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行し、コンピュータプログラムに対応する処理を実行する。マイクロコンピュータが実行する処理には、移動体用認証プログラムに対応する処理が含まれる。制御部4は、利用者認証情報記憶部4aと、利用者認証部4bと、運転者特定部4cと、同時搭乗者特定部4dと、権限条件情報記憶部4eと、機能制限付与部4fと、権限条件情報更新部4gと、機能制限解除部4hとを備える。
【0014】
利用者認証情報記憶部4aは、
図2に示すように、利用者タイプと、携帯端末認証IDと、顔認証IDとの対応関係を示す利用者認証情報を記憶している。利用者認証部4bは、携帯端末認証装置2の個別認証部2aから送信された携帯端末認証IDを受信すると、その受信した携帯端末認証IDを、利用者認証情報記憶部4aに記憶されている携帯端末認証IDと照合し、両者が一致すると、携帯端末認証IDと対応付けられている利用者タイプを特定する。即ち、利用者認証部4bは、携帯端末認証装置2の個別認証部2aから送信された携帯端末認証IDが「*****1」であれば、利用者タイプとして「オーナー」を特定する。又、利用者認証部4bは、顔認証装置3の個別認証部3aから送信された顔認証IDを受信すると、その受信した顔認証IDを、利用者認証情報記憶部4aに記憶されている顔認証IDと照合し、両者が一致すると、顔認証IDと対応付けられている利用者タイプを特定する。即ち、利用者認証部4bは、顔認証装置3の個別認証部3aから送信された顔認証IDが「*****b」であれば、利用者タイプとして「オーナー配偶者」を特定する。
【0015】
運転者特定部4cは、携帯端末認証装置2の利用者位置検知部2cや顔認証装置3の利用者位置検知部3cから送信された利用者位置情報を受信すると、その受信した利用者位置情報が運転席を示していれば、携帯端末認証IDや顔認証IDに基づいて特定された利用者タイプが運転者であると特定する。
【0016】
同時搭乗者特定部4dは、携帯端末認証装置2の利用者位置検知部2cや顔認証装置3の利用者位置検知部3cから送信された利用者位置情報を受信すると、その受信した利用者位置情報が運転席以外を示していれば、携帯端末認証IDや顔認証IDに基づいて特定された利用者タイプが運転者ではなく同時搭乗者であると特定する。同時搭乗者とは、運転者以外の搭乗者であり、助手席や後部席の搭乗者である。
【0017】
権限条件情報記憶部4eは、
図3に示すように、運転者と、同時搭乗者と、機能制限との対応関係を示す権限条件情報を記憶する。機能制限付与部4fは、運転者が運転者特定部4cにより特定されたが、同時搭乗者が同時搭乗者特定部4dにより特定されないと、その特定された運転者と対応付けられている機能制限を付与する。機能制限付与部4fは、運転者が運転者特定部4cにより特定され、且つ同時搭乗者が同時搭乗者特定部4dにより特定されると、その特定された運転者と同時搭乗者との組み合わせと対応付けられている機能制限を付与する。
【0018】
機能制限は、例えば「80km/h制限」、「権限条件情報更新禁止」、「課金アプリ利用制限」、「HMIでのWeb利用制限」等がある。「80km/h制限」は、車速を80km/hに制限することである。「権限条件情報更新禁止」は、権限条件情報の更新を禁止することである。「課金アプリ利用制限」は、課金アプリの利用を制限することである。「HMIでのWeb利用制限」は、HMIでのWeb利用を制限することである。機能制限の種類は、例示した以外であっても良く、例えば高速道路の利用を制限する「高速道路利用制限」、降雪時の運転を禁止する「降雪時運転禁止」等があっても良い。又、機能制限の種類は、例えば「80km/h制限」等のように運転操作に直接的に関与する機構制限と、「課金アプリ利用制限」等のように運転操作に直接的に関与しない機構制限とを含む。
【0019】
機能制限付与部4fは、例えば運転者が「オーナー」であると特定された場合には、同時搭乗者がどのように特定されたとしても、何れの機能制限を付与せず、機能制限を「無し」に設定する。機能制限付与部4fは、例えば運転者が「オーナー配偶者」であると特定され、同時搭乗者が「オーナー」であると特定されると、「80km/h制限」の機能制限を付与し、機能制限を「80km/h制限」に設定する。
【0020】
機能制限付与部4fは、例えば運転者が「オーナー子供」であると特定され、同時搭乗者が「オーナー及びオーナー配偶者」であると特定されると、「80km/h制限」の機能制限を付与し、機能制限を「80km/h制限」に設定する。機能制限付与部4fは、例えば運転者が「オーナー子供」であると特定され、同時搭乗者が「オーナー又はオーナー配偶者」であると特定されると、「80km/h制限、権限条件情報更新禁止」の機能制限を付与し、機能制限を「80km/h制限、権限条件情報更新禁止」に設定する。同時搭乗者の利用者タイプが複数である場合は、複数の利用者タイプの組み合わせを論理和としても良いし論理積としても良い。
【0021】
権限条件情報更新部4gは、例えばオーナーが携帯端末や車室内に設置されているHMI機器において権限条件情報の更新操作を行うことで、権限条件情報記憶部4eに記憶されている権限条件情報を更新する。オーナーが行う権限条件情報の更新操作は、登録操作、変更操作、削除操作である。オーナーが権限条件情報の登録操作を行うと、新たな権限条件情報が権限条件情報記憶部4eに記憶される。オーナーが権限条件情報の変更操作を行うと、権限条件情報記憶部4eに記憶されている権限条件情報の内容が変更される。オーナーが権限条件情報の削除操作を行うと、権限条件情報記憶部4eに記憶されている権限条件情報が削除される。機能制限解除部4hは、付与中の機能制限を解除する。
【0022】
上記した構成では、携帯端末認証装置2と顔認証装置3との両方を備えることで、携帯端末認証の認証結果と顔認証の認証結果との両方を用いて利用者タイプを特定する場合を例示したが、携帯端末認証装置2及び顔認証装置3のうち何れかを備えることで、携帯端末認証の認証結果又は顔認証の認証結果のうち何れかを用いて利用者タイプを特定しても良い。顔認証では例えば車室内カメラのレンズが汚れていたり夜間等により照度が十分でなかったりする場合に認証結果の精度が低下する可能性があるが、携帯端末認証では、そのような不具合が発生しない利点がある。一方、携帯端末認証では携帯端末を携帯していない搭乗者については認証の対象外となるが、顔認証では、そのような不具合が発生しない利点がある。又、携帯端末認証の認証結果と顔認証の認証結果との両方を用いる場合に認証結果が相違したときには、何れかの認証結果を有効としても良いし、両方の認証結果を無効としても良い。
【0023】
次に、上記した構成の作用について
図4を参照して説明する。
制御部4は、バッテリ電源を動作電源として動作し、例えばドアロックの解除を監視しており、ドアロックの解除を検知したことを契機として認証処理を開始する。制御部4は、認証処理を開始すると、携帯端末認証装置2や顔認証装置3から送信される携帯端末認証ID、顔認証ID、利用者位置情報の受信を待機する。
【0024】
ここで、何れかの人物が搭乗すると、その搭乗した人物に対し、携帯端末認証装置2が携帯端末認証を行うと共に、顔認証装置3が顔認証を行う。携帯端末認証装置2が携帯端末認証を行い、携帯端末認証を成功すると、携帯端末認証装置2から携帯端末認証ID及び利用者位置情報が制御部4に送信される。顔認証装置3が顔認証を行い、顔認証を成功すると、顔認証装置3から顔認証ID及び利用者位置情報が制御部4に送信される。制御部4は、携帯端末認証装置2や顔認証装置3から送信された携帯端末認証ID、顔認証ID、利用者位置情報を受信することで、携帯端末認証ID、顔認証ID、利用者位置情報を取得する(S1)。制御部4は、その取得した携帯端末認証ID、顔認証ID、利用者位置情報に基づいて運転者を特定したか否かを判定する(S2)。
【0025】
制御部4は、人物が運転席に搭乗せず、運転者を特定しなかったと判定すると(S2:NO)、機能制限を付与中であるか否かを判定する(S3)。制御部4は、機能制限を付与中でないと判定すると(S3:NO)、認証処理の終了条件が成立したか否かを判定する(S12)。制御部4は、例えばドアロックを検知せず認証処理の終了条件が成立していないと判定すると(S12:NO)、上記したステップS1に戻り、携帯端末認証装置2や顔認証装置3から送信される携帯端末認証ID、顔認証ID、利用者位置情報の受信を待機する。制御部4は、機能制限を付与中であると判定すると(S3:YES)、その付与中の機能制限を解除し、即ち、機能制限をリセットし(S4)、認証処理の終了条件が成立したか否かを判定する(S12)。制御部4は、認証処理の終了条件が成立していないと判定すると(S12:NO)、上記したステップS1に戻る。
【0026】
制御部4は、人物が運転席に搭乗し、運転者を特定したと判定すると(S2:YES、運転者特定手順に相当する)、その取得した携帯端末認証ID、顔認証ID、利用者位置情報に基づいて同時搭乗者を特定したか否かを判定する(S5)。
【0027】
制御部4は、他の人物が搭乗せず、同時搭乗者を特定しなかったと判定すると(S5:NO)、付与中の機能制限が、その特定した運転者と対応付けられている機能制限であるか否かを判定する(S6)。制御部4は、付与中の機能制限が、その特定した運転者と対応付けられている機能制限であると判定すると(S6:YES)、付与中の機能制限を継続する(S7)。制御部4は、認証処理の終了条件が成立したか否かを判定し(S12)、認証処理の終了条件が成立していないと判定すると(S12:NO)、上記したステップS1に戻る。
【0028】
制御部4は、付与中の機能制限が、その特定した運転者と対応付けられている機能制限でないと判定すると(S6:NO)、その特定した運転者と対応付けられている機能制限を付与する(S8、機能制限付与手順に相当する)。制御部4は、認証処理の終了条件が成立したか否かを判定し(S12)、認証処理の終了条件が成立していないと判定すると(S12:NO)、上記したステップS1に戻る。
【0029】
制御部4は、他の人物が運転席以外に搭乗し、同時搭乗者を特定したと判定すると(S5:YES、同時搭乗者特定手順に相当する)、付与中の機能制限が、その特定した運転者と同時搭乗者との組み合わせと対応付けられている機能制限であるか否かを判定する(S9)。制御部4は、付与中の機能制限が、その特定した運転者と同時搭乗者との組み合わせと対応付けられている機能制限であると判定すると(S9:YES)、付与中の機能制限を継続する(S10)。制御部4は、認証処理の終了条件が成立したか否かを判定し(S12)、認証処理の終了条件が成立していないと判定すると(S12:NO)、上記したステップS1に戻る。
【0030】
制御部4は、付与中の機能制限が、その特定した運転者と同時搭乗者との組み合わせと対応付けられている機能制限でないと判定すると(S9:NO)、その特定した運転者と同時搭乗者との組み合わせと対応付けられている機能制限を付与する(S11、機能制限付与手順に相当する)。制御部4は、認証処理の終了条件が成立したか否かを判定し(S12)、認証処理の終了条件が成立していないと判定すると(S12:NO)、上記したステップS1に戻る。
【0031】
以上は、生体認証として顔認証を採用する構成を例示したが、指紋認証、声紋認証、網膜認証、虹彩認証、静脈認証等を採用しても良い。又、複数の認証結果を用いる場合に、個々の認証結果を組み合わせて運転者や同時搭乗者を特定しても良い。例えば顔認証の認証結果と指紋認証の認証結果とを用いる場合に、顔認証による本人認証確率が一定値以上でなく、指紋認証による本人認証確率が一定値以上でない場合に、顔認証の認証結果だけ又は指紋認証の認証結果だけでは運転者や同時搭乗者を特定しないが、顔認証の認証結果と指紋認証の認証結果とを組み合わせることで、複数の本人認証確率の合算に基づいて運転者や同時搭乗者を特定しても良い。
【0032】
以上に説明したように本実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。自動車用認証システム1において、携帯端末認証や顔認証の認証結果を用い、自動車の運転者を特定し、その特定した運転者と対応付けられている機能制限を付与するようにした。運転者である保護対象者の操作の制限を保護者が設定する手間を不要とし、運転者である保護対象者の操作の制限を自動的に設定することができ、利便性を高めることができる。
【0033】
又、自動車用認証システム1において、自動車の運転者と同時搭乗者との組み合わせを特定し、その特定した運転者と同時搭乗者との組み合わせと対応付けられている機能制限を付与するようにした。運転者と同時搭乗者との組み合わせにより機能制限を多様化させることができ、機能制限の自由度を高めることができる。例えば同時搭乗者がオーナーであれば、オーナーが運転者を直接監視し得るので、機能制限を相対的に緩く設定し、一方、同時搭乗者がオーナー以外であれば、オーナーが運転者を直接監視し得ないので、機能制限を相対的に厳しく設定する等、機能制限の自由度を高めることができる。
【0034】
又、自動車用認証システム1において、複数の認証結果を用いる場合に、複数の認証結果を組み合わせることで、複数の本人認証確率の合算に基づいて運転者や同時搭乗者を特定するようにした。複数の本人認証確率の合算に基づいて運転者や同時搭乗者を特定することで、例えば顔や指紋等の単独の生体情報だけでは運転者や同時搭乗者を特定することができないが、複数の生体情報を組み合わせることで、運転者や同時搭乗者を特定する可能性を高めることができる。
【0035】
又、自動車用認証システム1において、権限条件情報を更新するようにした。自動車を利用する人物に応じて適切に対応することができる。例えば自動車を利用する人物が成長するにしたがって機能制限を適宜緩和したり、新たな人物が自動車を利用することで機能制限を適宜追加したりする等、権限条件情報を適切に更新することができる。
【0036】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0037】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0038】
移動体として自動車を適用したが、航空機や船舶等にも適用することができる。
制御部4において、ドアロックの解除を検知したことを契機として認証処理を開始する構成を例示したが、運転席への着座をシートセンサにより監視し、運転席への着座を検知したことを契機として認証処理を開始したり、エンジン始動を監視し、エンジン始動を検知したことを契機として認証処理を開始したりする構成でも良い。
【0039】
権限条件情報に、車両位置や時間帯の要素を付加しても良い。同じ認証結果に対し、例えば車両位置が自動車専用道路であるときには「80km/h制限」の機能制限を付与し、車両位置が一般道路であるときには「50km/h制限」の機能制限を付与しても良い。又、同じ認証結果に対し、例えば時間帯が昼間であるときには「60km/h制限」の機能制限を付与し、時間帯が夜間であるときには「50km/h制限」の機能制限を付与しても良い。更に、車両位置と時間帯とを組み合わせ機能制限を付与しても良い。
【符号の説明】
【0040】
図面中、1は自動車用認証システム(移動体用認証システム)、4は制御部、4cは運転者特定部、4dは同時搭乗者特定部、4eは権限条件情報記憶部、4fは機能制限付与部、4gは権限条件情報更新部である。