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特許7571857情報処理装置、情報処理方法、照合システム、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、照合システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/50 20220101AFI20241016BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241016BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20241016BHJP
【FI】
G06V40/50
G06T7/00 510B
G06F21/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023500539
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2021042538
(87)【国際公開番号】W WO2022176294
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2021023824
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】指原 利之
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-003873(JP,A)
【文献】特開2010-009389(JP,A)
【文献】特開2000-163574(JP,A)
【文献】特開2012-221464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/50
G06T 7/00
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出する類似度計算部と、
前記複数の登録候補データのうち前記テストデータに対する前記類似度が上位の登録候補データを、前記人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、前記複数の登録候補データの中から選択する登録データ選択部と
を有し、
前記データ記憶部は、前記人物とは異なる複数の他人の各々の照合のために登録された複数の他人の登録データを有し、
前記登録データ選択部は、前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の前記複数の他人の登録データの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記登録データ選択部は、前記複数の登録候補データのうち、前記テストデータに対する前記類似度が上位であり且つ前記複数の他人の登録データに対する前記類似度よりも高い登録候補データを、前記人物の前記登録データとして選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記類似度計算部は、前記複数の登録候補データの各々について、他の総ての登録候補データの各々を前記テストデータとして前記類似度を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記類似度は、前記テストデータに対する照合スコアであり、
前記他の登録候補データに対する類似度が最も高い登録候補データは、前記他の登録候補データに対する前記照合スコアのスコア順位の和が最も小さい登録候補データである
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記類似度は、前記テストデータに対する照合スコアであり、
前記他の登録候補データに対する類似度が最も高い登録候補データは、前記他の登録候補データに対する前記照合スコアの和が最も大きい登録候補データである
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
人物の生体情報データを取得するデータ取得装置と、
複数の人物の複数の生体情報データが登録された記憶装置と、
前記データ取得装置が取得した前記生体情報データと前記記憶装置に登録されている前記複数の生体情報データとの類似度を算出する類似度計算部と、前記データ取得装置が取得した前記生体情報データが表す人物が前記記憶装置に登録されている人物であるか否かを前記類似度に基づいて判定する照合部と、を有する情報処理装置と、を有する照合システムであって、
前記類似度計算部は、同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出するように更に構成されており、
前記情報処理装置は、前記人物の照合のために前記記憶装置に登録する登録データを、前記複数の登録候補データの中から選択する登録データ選択部を更に有し、
前記記憶装置は、前記人物とは異なる複数の他人の各々の照合のために登録された複数の他人の登録生体情報データを有し、
前記登録データ選択部は、前記複数の登録候補データの各々の前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の前記複数の他人の登録生体情報データの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する、
ことを特徴とする照合システム。
【請求項7】
同じ人物の生体情報を含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出するステップと
前記複数の登録候補データのうち前記テストデータに対する類似度が上位の登録候補データを、前記人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、前記複数の登録候補データの中から選択するステップと、
を有し、
前記データ記憶部は、前記人物とは異なる複数の他人の各々の照合のために登録された複数の他人の登録データを有し、
前記選択するステップでは、前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の前記複数の他人の登録データの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出する手段、
前記複数の登録候補データのうち前記テストデータに対する類似度が上位の登録候補データを、前記人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、前記複数の登録候補データの中から選択する手段、
として機能させ
前記データ記憶部は、前記人物とは異なる複数の他人の各々の照合のために登録された複数の他人の登録データを有し、
前記選択する手段は、前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の前記複数の他人の登録データの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、情報処理装置、情報処理方法、照合システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顔画像を用いた顔認証や虹彩画像を用いた虹彩認証など、様々な生体情報を用いた個人認証技術が提案されている。特許文献1には、顔データと音声データを用いた個人認証システムが記載されている。また、特許文献2には、複数の照合画像を用いて認証を行う認証装置が記載されている。特許文献3には、生体情報の経時変化に応じた適切な生体情報を登録するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-148985号公報
【文献】特開2008-059533号公報
【文献】特開2010-231320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像データを用いた生体認証では、取得した画像とデータベースに登録された画像とを照合することにより、取得した画像に写る人物がデータベースに登録された人物と同一であるか否かの判定が行われる。そのため認証装置のデータベースには、認証する人物の画像が予め登録されている。ここで、登録された画像が低画質であると他人との判別が難しくなり誤認証の原因となるため、データベースには可能な限り高画質の画像を登録することが望まれる。
【0005】
本人画像の登録をスムースに進めるためには登録画像の選別を機械的に行うことが望まれるが、複数の登録候補画像の中から生体照合に適した登録画像を機械的に選別する方法はこれまでに提案されていなかった。
【0006】
この開示の目的は、生体情報の照合に適した生体情報データを登録候補データの中から機械的に選別しうる情報処理装置、情報処理方法、照合システム、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示の一観点によれば、同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出する類似度計算部と、前記複数の登録候補データのうち前記テストデータに対する前記類似度が上位の登録候補データを、前記人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、前記複数の登録候補データの中から選択する登録データ選択部と、を有し、前記データ記憶部は、前記人物とは異なる複数の他人の各々の照合のために登録された複数の他人の登録データを有し、前記登録データ選択部は、前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の前記複数の他人の登録データの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する、情報処理装置が提供される。
【0008】
この開示の他の一観点によれば、人物の生体情報データを取得するデータ取得装置と、複数の人物の複数の生体情報データが登録された記憶装置と、前記データ取得装置が取得した前記生体情報データと前記記憶装置に登録されている前記複数の生体情報データとの類似度を算出する類似度計算部と、前記データ取得装置が取得した前記生体情報データが表す人物が前記記憶装置に登録されている人物であるか否かを前記類似度に基づいて判定する照合部と、を有する情報処理装置と、を有する照合システムであって、前記類似度計算部は、同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出するように更に構成されており、前記情報処理装置は、前記人物の照合のために前記記憶装置に登録する登録データを、前記複数の登録候補データの中から選択する登録データ選択部を更に有し、前記記憶装置は、前記人物とは異なる複数の他人の各々の照合のために登録された複数の他人の登録生体情報データを有し、前記登録データ選択部は、前記複数の登録候補データの各々の前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の前記複数の他人の生体情報登録データの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する、照合システムが提供される。
【0009】
この開示の更に他の一観点によれば、コンピュータを、同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出する手段、前記複数の登録候補データのうち前記テストデータに対する類似度が上位の登録候補データを、前記人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、前記複数の登録候補データの中から選択する手段、として機能させ、前記データ記憶部は、前記人物とは異なる複数の他人の各々の照合のために登録された複数の他人の登録データを有し、前記選択する手段は、前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の前記複数の他人の登録データの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する、プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態による情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態による情報処理方法を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態による情報処理方法の適用例を示す図である。
図4】第1実施形態による情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5】第2実施形態による情報処理方法を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態による情報処理方法の適用例を示す図である。
図7】第3実施形態による情報処理方法を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態による情報処理方法の適用例を示す図である。
図9】第4実施形態による情報処理方法を示すフローチャートである。
図10】第4実施形態による情報処理方法の適用例を示す図である。
図11】第5実施形態による照合システムの概略構成を示すブロック図である。
図12】第6実施形態による情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図13】第7実施形態による照合システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態による情報処理装置及び情報処理方法について、図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本実施形態による情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態による情報処理方法を示すフローチャートである。図3は、本実施形態による情報処理方法の適用例を示す図である。図4は、本実施形態による情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0012】
はじめに、本実施形態による情報処理装置の構成例について、図1を用いて説明する。
【0013】
本実施形態による情報処理装置100は、同一人物が写る複数の画像(登録候補画像)の中から他人との識別に適した画像を選別し、データベースに登録する機能を備えたものである。情報処理装置100は、図1に示すように、画像取得部110と、照合スコア計算部120と、登録画像選択部130と、画像登録部140と、データ記憶部150と、を含んで構成され得る。
【0014】
画像取得部110は、図示しない外部の装置、例えば画像取得装置から、生体情報を表す画像データを取得する機能を備える機能ブロックである。生体情報を表す画像データは、例えば、顔画像データ、指紋画像データ、静脈画像データ、虹彩画像データなどであり得る。画像取得装置は、例えば取得する画像が顔画像の場合には、静止画像や動画像を取得する機能を備えた撮像装置であり得る。
【0015】
照合スコア計算部120は、画像取得部110が取得した複数の登録候補画像の各々をテスト画像と照合し、テスト画像に対する類似度を表す照合スコアを算出する機能を備える機能ブロックである。登録候補画像は、画像取得部110が取得した画像である。テスト画像は、登録候補画像の各々に対して照合スコアを算出する際に、照合用の画像として共通で使用される画像である。
【0016】
登録画像選択部130は、照合スコア計算部120が算出した照合スコアに基づき、複数の登録候補画像の中から他人との識別に適した画像を選択する機能を備える機能ブロックである。
【0017】
画像登録部140は、登録画像選択部130により選択された登録候補画像を登録データとしてデータ記憶部150に登録する機能を備える機能ブロックである。
【0018】
データ記憶部150は、登録画像選択部130により選択された登録候補画像(登録データ)を保持する機能を備える機能ブロックである。なお、データ記憶部150は、図1に示すように情報処理装置100の一部であってもよいし、情報処理装置100の外部に設けられた別の装置(記憶装置)であってもよい。
【0019】
次に、本実施形態による情報処理装置100を用いた情報処理方法について、上述した各部の機能をより詳細に示しつつ、図2及び図3を用いて説明する。なお、ここでは登録対象の人物の生体情報データとして顔画像を含む画像データを用いる場合を例にして説明するが、他の生体情報データを用いる場合も同様である。照合スコアの算出には、生体情報データの種類に応じた公知の手法を適用可能である。
【0020】
まず、画像取得部110は、外部の装置から、登録対象の人物の顔画像を含む複数の画像データを取得する。本実施形態では、このように取得した複数の画像データのうち、1枚をテスト画像とし、残りの複数の画像を登録候補画像とする(ステップS101)。
【0021】
複数の登録候補画像は、例えば、照合システムの一部を構成する撮像装置により撮影した画像であり得る。テスト画像は、これら複数の登録候補画像と同様にして取得した画像の中の1枚であってもよいし、別途用意した登録対象の人物の顔画像でもよい。複数の登録候補画像は、撮影条件、例えば照明の明るさを変えて撮影した画像を含んでもよい。後述する照合スコアが撮影条件に大きく影響する場合、撮影条件を変えた複数の画像を取得することで、照合処理により適した画像を取得できることが期待される。
【0022】
なお、複数の登録候補画像の中からテスト画像を選択する場合、登録候補画像間を公平に比較する観点からテスト画像は特定の1枚に固定することが好ましい。ただし、テスト画像を変えることによる影響が小さいとみなせる場合は、テスト画像は必ずしも1枚の画像に固定する必要はなく、評価中の登録候補画像を除いた残りの登録候補画像の中から選択した任意の登録候補画像をテスト画像として用いてもよい。
【0023】
なお、本実施形態では人物画像の初期登録を目的としているため、複数の登録候補画像(登録候補画像と同様にテスト画像を取得する場合にはテスト画像も含む)は以下の観点から選別することが望ましい。
【0024】
第1に、登録しようとしている人物の画像であると確信がある画像であることが挙げられる。例えば、撮影の途中で別人に成り代わった可能性があり本人と確信がもてない画像は、登録候補画像から排除する。別人に成り代わった可能性があるかどうかは、例えば顔認証の場合は、登録動作の開始から候補画像を取得するまでの間に、カメラの視界から人物が消える、2人以上の人物が写る、などを判定の基準として用いることができる。前者は映像のトラッキング技術、後者は顔検出の仕組みを用いて実現が可能である。虹彩認証の場合も、同様の方法で実現が可能である。複数のカメラがある場合は、1つ以上のカメラで人物の成り代わりが起きてないことが確認できればよい。
【0025】
第2に、登録しようとする特徴が画像に写っていることが挙げられる。顔認証であれば顔が写っている必要があり、虹彩認証であれば虹彩が写っている必要がある。一般的に、生体認証装置には、顔認証であれば顔検出機能が、虹彩認証であれば虹彩検出機能があるため、それらをそのまま使用することができる。
【0026】
第3に、画質が良いことが挙げられる。画質が良いことの一例としては、例えば、フォーカスが合っていることが挙げられる。フォーカスが合っているかどうかは、公知の方法(例えば、画像のフーリエ変換を行って高周波成分の有無を調べるなど)により確認が可能である。
【0027】
次いで、照合スコア計算部120は、画像取得部110が取得した複数の登録候補画像の各々について、テスト画像に対する照合スコアStを順次算出する(ステップS102)。
【0028】
照合スコアStを算出する方法は、特に限定されるものではない。例えば、まず、登録候補画像に含まれる顔画像から、顔の特徴を表すパラメータである顔特徴量を抽出する。顔特徴量は、ベクトル量であり、顔画像の特徴を表現するスカラ量の成分の組み合わせである。特徴量の成分としては、特に限定されるものではなく、種々の種類のものを用いることができる。例えば、特徴量の成分として、目、鼻、口等の顔の器官の中心又は端点に設定した特徴点間の距離や角度等の位置関係、顔の輪郭線の曲率、顔表面の色分布や濃淡値等を用いることができる。特徴量の成分数も、特に限定されるものではなく、要求される照合精度、処理速度等に応じて適宜設定することができる。次いで、登録候補画像に含まれる顔画像から抽出した顔特徴量とテスト画像に含まれる顔画像から抽出した顔特徴量とを比較し、これら顔特徴量の類似度を表す照合スコアStを算出する。ここでは、照合スコアStは、0から1の間の数値であり、顔特徴量の類似度が高いほど1に近く、類似度が低いほど0に近いものとする。
【0029】
ここでは一例として、ファイル名「A001」,「A002」,「A003」,「A004」,「A005」,「A006」の6枚の登録候補画像があり、これらのテスト画像に対する照合スコアStが図3に示す値であったものとする。
【0030】
次いで、登録画像選択部130は、画像選択の際に用いられるパラメータを初期化する(ステップS103)。ここでは、最大スコアSmを表す変数に0を登録し、候補データの情報を表す変数、例えば登録候補画像のファイル名を格納する文字列変数に空データを登録するものとする。なお、ステップS103は、後述する画像選択処理(ステップS104からステップS106)よりも前に実施すればよく、例えば、ステップS101の直前或いは直後に実施してもよい。
【0031】
次いで、登録画像選択部130は、複数の登録候補画像を順次選択し、ステップS104からステップS106までの処理を繰り返し実施する。
【0032】
ステップS104では、選択された登録候補画像について、ステップS102において算出した照合スコアStが所定の条件を満たしているか否かの判定を行う。ここでの所定の条件とは、照合スコアStが、照合に見合う最低の値(閾値)よりも大きいことである。ステップS104における判定の結果、照合スコアStが所定の条件を満たしている場合(Yes)には、ステップS105へと移行する。ステップS104における判定の結果、照合スコアStが所定の条件を満たしていない場合(No)には、次の登録候補画像の処理(ステップS104)に移行する。
【0033】
例えば閾値が0.50であったとすると、図3の例では、ファイル名「A004」の登録候補画像は所定条件を満たしていないと判定され、その他の登録候補画像は所定条件を満たしていると判定されることになる。
【0034】
ステップS104を実施することは、登録候補画像の母数が少ない場合などに、登録画像として不適切な画像が選択されることを排除するうえで特に有効である。ただし、テスト画像と登録候補画像とは同一人物を写した画像であり、一般的には照合スコアStは閾値以上の値であることが想定される。また、閾値に満たない照合スコアStを有する登録候補画像は、後述するステップで排除される可能性が高い。したがって、ステップS104における判定は、必ずしも行う必要はない。
【0035】
ステップS105では、選択された登録候補画像について、ステップS102において算出した照合スコアStがその時点で登録されている最大スコアSmよりも大きいか否かの判定を行う。ステップS105における判定の結果、照合スコアStが最大スコアSmよりも大きい場合(Yes)には、ステップS106へと移行する。ステップS105における判定の結果、照合スコアStが最大スコアSm以下の場合(No)には、次の登録候補画像の処理(ステップS104)に移行する。
【0036】
ステップS106では、ステップS105において最大スコアSmよりも大きいと判定された登録候補画像の照合スコアStを、最大スコアSmとして上書きする。また、その登録候補画像の情報を、候補データとして登録する。
【0037】
このようにして、複数の登録候補画像の各々についてステップS104からステップS106までの処理を繰り返し実施することにより、最終的に、最大スコアSmとして、複数の登録候補画像の照合スコアStのうちの最大の照合スコアStが登録される。また、候補データとして、最大の照合スコアStを有する登録候補画像の情報が登録される。図3の例では、ファイル名「A005」の登録候補画像の照合スコアSt(=0.94)が最大スコアSmとなり、この登録候補画像の情報(例えば、ファイル名「A005」)が候補データとして登録される。
【0038】
登録画像選択部130において総ての登録候補画像に対してステップS104からステップS106の処理が終了した後、ステップS107ヘと移行する。
【0039】
ステップS107において、画像登録部140は、最大の照合スコアStを有する登録候補画像を登録データとして、データ記憶部150のデータベースに格納する。データ記憶部150のデータベースに格納する登録データは、ステップS101において取得した画像データを含み得る。また、データ記憶部150のデータベースに格納する登録データは、ステップS102において算出した特徴量データを含んでもよい。画像データを格納しておくことにより、データベースに登録された人物のユーザによる特定が容易になる。また、特徴量データを保存しておくことにより、登録データとの照合を行う際における特徴量変換の処理を省略することができ、迅速な照合処理が可能となる。
【0040】
なお、ここではテスト画像に対する照合スコアが最も高い1枚の登録候補画像を登録データとして選択しているが、照合スコアが上位である複数の登録候補画像を登録データとして選択してもよい。
【0041】
このように、本実施形態においては、登録候補画像の善し悪しの判断を、テスト画像に対する照合スコアに基づいて機械的に行う。したがって、複数の登録候補画像の中から適切な登録画像を選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。これにより、生体認証に好適なデータベースを構築することができる。
【0042】
本実施形態の情報処理方法は、例えば、テスト画像に対する登録候補画像の照合スコアが、他人の画像に対する登録画像の照合スコアよりも十分に高いことが想定される場合に好ましく適用され得る。他人の画像に対する登録画像の照合スコアよりも高いことが想定される場合としては、例えば、画像を取得するカメラが高性能で、取得したテスト画像及び登録候補画像が高画質であり、本人の画像同士の照合スコアとして十分に高い値が見込まれる場合などが挙げられる。
【0043】
次に、本実施形態による情報処理装置100のハードウェア構成例について、図4を用いて説明する。
本実施形態による情報処理装置100は、一般的な情報処理装置と同様のハードウェア構成によって実現することが可能である。すなわち、情報処理装置100は、例えば図4に示すように、プロセッサ200と、主記憶部202と、通信部204と、入出力インターフェース部206と、を含んで構成され得る。
【0044】
プロセッサ200は、情報処理装置100の各機能ブロックの制御や演算処理を司る制御・演算装置である。プロセッサ200には、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のうちの1つを用いてもよいし、複数を並列で用いてもよい。
【0045】
主記憶部202は、データの作業領域やデータの一時退避領域に用いられる記憶部であり、RAM(Random Access Memory)等のメモリにより構成される。通信部204は、ネットワークを介してデータの送受信を行うためのインターフェースである。入出力インターフェース部206は、外部の出力装置210、入力装置212、記憶装置214等と接続してデータの送受信を行うためのインターフェースである。プロセッサ200、主記憶部202、通信部204及び入出力インターフェース部206は、システムバス208によって相互に接続されている。
【0046】
主記憶部202は、照合スコアStの算出や登録データを抽出する際の演算を実行するための作業領域として用いることができる。プロセッサ200は、これら演算処理を制御する制御部として機能し、主記憶部202や入出力インターフェース部206とともに、画像取得部110、照合スコア計算部120、登録画像選択部130、画像登録部140としての役割を果たす。記憶装置214は、登録画像選択部130により選択された登録データを格納するデータ記憶部150として用いることができる。
【0047】
通信部204は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の規格に基づく通信インターフェースであり、他の装置との通信を行うためのモジュールである。記憶装置214(データ記憶部150)に格納される登録データは、通信部204を介して他の装置から受信するように構成されていてもよい。例えば、本実施形態の情報処理装置とは別の装置、例えば認証装置に構築された登録データを通信部204を介して受信し、記憶装置214に格納することができる。このように格納される登録データは、照合処理に使用することができ、また、後述する第2実施形態による情報処理方法においては、候補データを抽出する際に利用することも可能である。
【0048】
入力装置212は、キーボード、マウス、タッチパネル等であって、ユーザが情報処理装置100に所定の情報を入力するために用いられる。また、入力装置212は、登録候補画像やテスト画像を入力するための手段として用いることもできる。例えば、登録候補画像やテスト画像が2次元画像の場合にあっては、入力装置212として画像読取装置を適用することができる。出力装置210は、ディスプレイ装置、プリンタ装置等であって、演算経過や演算結果をユーザに通知するために用いられる。記憶装置214は、例えばROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリから構成されるハードディスク装置等で構成することができる。
【0049】
本実施形態による情報処理装置100の各部の機能は、プログラムを組み込んだLSI(Large Scale Integration)等のハードウェア部品である回路部品を実装することにより、ハードウェア的に実現することができる。或いは、その機能を提供するプログラムを、記憶装置214に格納し、そのプログラムを主記憶部202にロードしてプロセッサ200で実行することにより、ソフトウェア的に実現することも可能である。
【0050】
画質の良し悪しを人が判定する場合、不慣れな人では正しく判定できなかったり、判定者ごとに画質の評価にばらつきが生じたり、判定に時間を要したりする可能性があった。画像解析技術、例えば画像のフォーカスが合っているかどうかをフーリエ変換等を用いて数値的に評価することも考えられるが、その数値がいくら以上であれば良いかを示すことは難しい。また、登録画像の良し悪しを決める要因はフォーカスだけとは限らない。つまり、画像の認証判定に用いられるアルゴリズムの振る舞いを外部から観測するだけで、登録画像として相応しい画像が備えている特徴のすべて、及びどの程度それらの特徴が満たされているべきかどうかを知るのは一般的に難しい。また、たとえあるアルゴリズムにおいて登録画像が備えているべき特徴とそれらの特徴がどの程度満たされているべきかが判ったとしても、アルゴリズムが変わってしまうと登録画像が備えているべき特徴及び満たされるべき程度も変わる可能性があるため、アルゴリズムごとに判定手段を用意するのは現実的ではない。
【0051】
本実施形態によれば、複数の登録候補画像の中から適切な登録画像を選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。これにより、生体認証に好適なデータベースを構築することができる。
【0052】
[第2実施形態]
第2実施形態による情報処理方法について、図5及び図6を用いて説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図5は、本実施形態による情報処理方法を示すフローチャートである。図6は、本実施形態による情報処理方法の適用例を示す図である。
【0053】
本実施形態では、データ記憶部150に既に他人の登録データが格納されている場合において、これら登録データをも用いて追加で登録する人物の登録画像を選択する方法を説明する。なお、本実施形態の情報処理方法を実施するための情報処理装置100の基本構成は、第1実施形態と同様である。
【0054】
まず、画像取得部110は、外部の装置から、登録対象の人物の顔画像を含む複数の画像データを取得する。本実施形態では、このように取得した複数の画像データのうち、1枚をテスト画像とし、残りの複数の画像を登録候補画像とする(ステップS201)。登録候補画像及びテスト画像については、第1実施形態と同様である。
【0055】
次いで、照合スコア計算部120は、複数の登録候補画像を順次選択し、ステップS202及びステップS203の処理を繰り返し実施する。具体的には、ステップS202において、選択された登録候補画像について、テスト画像に対する照合スコアStを算出する。また、ステップS203において、選択された登録候補画像について、データ記憶部150のデータベースに登録されている他人の登録データの各々に対する照合スコアSrを算出する。照合スコアSrを算出する方法は、照合スコアStを算出する方法と同様である。
【0056】
ここでは一例として、ファイル名「A001」,「A002」,「A003」,「A004」,「A005」,「A006」の6枚の登録候補画像があり、これらのテスト画像に対する照合スコアStが図3に示す値であったものとする。また、データ記憶部150のデータベースには、他人の登録データとしてファイル名「B001」,「C001」,「D001」,「E001」の4人の登録データがあり、これら登録データに対する照合スコアSrが図6に示す値であったものとする。
【0057】
なお、データ記憶部150のデータベースに他人の登録データが登録されていない場合や他人の登録データの母数が少ない場合には、異なる環境で取得された他人のデータを登録データの代わりに用いてもよい。このようなデータとしては、特に限定されるものではないが、公開データベース上に開示されているデータや別の場所で取得したデータ等が挙げられる。登録候補画像と照合する他人の登録データの数を増加することにより、登録候補画像の中からより照合精度の高い画像を抽出することができる。
【0058】
次いで、登録画像選択部130は、画像選択の際に用いられるパラメータを初期化する(ステップS204)。ここでは、最大スコアを表す変数Smに0を登録し、候補データの情報を表す変数、例えば登録候補画像のファイル名を格納する文字列変数に空データを登録する。なお、ステップS204は、後述する画像選択処理(ステップS205からステップS208)よりも前に実施すればよく、例えば、ステップS201の直前或いは直後に実施してもよい。
【0059】
次いで、登録画像選択部130は、複数の登録候補画像を順次選択し、ステップS205からステップS208までの処理を繰り返し実施する。
【0060】
ステップS205では、選択された登録候補画像について、ステップS202において算出した照合スコアStが所定の条件を満たしているか否かの判定を行う。ステップS202における判定は、第1実施形態におけるステップS104における判定と同様である。ステップS205における判定の結果、照合スコアStが所定の条件を満たしている場合(Yes)には、ステップS206へと移行する。ステップS205における判定の結果、照合スコアStが所定の条件を満たしていない場合(No)には、次の登録候補画像の処理(ステップS205)に移行する。
【0061】
例えば閾値が0.50であったとすると、図3の例では、ファイル名「A004」の登録候補画像は所定条件を満たしていないと判定され、その他の登録候補画像は所定条件を満たしていると判定されることになる。
【0062】
ステップS206では、選択された登録候補画像について、ステップS202において算出した照合スコアStが、ステップS203において算出した照合スコアSrよりも大きいか否かの判定を行う。ステップS206における判定の結果、照合スコアStがステップS203において算出したどの照合スコアSrよりも大きい場合(Yes)には、ステップS207へと移行する。ステップS206における判定の結果、照合スコアStが少なくとも1つの照合スコアSr以下の場合(No)には、次の登録候補画像の処理(ステップS205)に移行する。
【0063】
例えば、図3及び図6の例では、ファイル名「A001」,「A002」,「A003」,「A005」,「A006」の登録候補画像について、所定条件を満たしていると判定されることになる。ステップS205の処理を省略した場合には、ファイル名「A004」の登録候補画像について、ステップS206の条件を満たしていないと判定されることになる。
【0064】
ステップS207では、選択された登録候補画像について、ステップS202において算出した照合スコアStがその時点で登録されている最大スコアSmよりも大きいか否かの判定を行う。ステップS207における判定の結果、照合スコアStが最大スコアSmよりも大きい場合(Yes)には、ステップS208へと移行する。ステップS207における判定の結果、照合スコアStが最大スコアSm以下の場合(No)には、次の登録候補画像の処理(ステップS205)に移行する。
【0065】
ステップS208では、ステップS207において最大スコアSmよりも大きいと判定された登録候補画像の照合スコアStを、最大スコアSmとして上書きする。また、その登録候補画像の情報を、候補データとして登録する。
【0066】
このようにして、複数の登録候補画像の各々についてステップS205からステップS208までの処理を繰り返し実施することにより、最終的に、最大スコアSmとして、複数の登録候補画像の照合スコアStのうち最大の照合スコアStが登録される。また、候補データとして、最大の照合スコアStを有する登録候補画像の情報が登録される。図3及び図6の例では、ファイル名「A005」の登録候補画像の照合スコアStが最大スコアSmとなり、この登録候補画像の情報が候補データとして登録される。このようにして選択される画像データは、登録候補画像の中で最も照合スコアStの高い画像データであるとともに、データ記憶部150のデータベースに登録されているどの登録データよりも照合スコアStが高いものとなる。
【0067】
登録画像選択部130において総ての登録候補画像に対してステップS205からステップS208の処理が終了した後、ステップS209ヘと移行する。
【0068】
ステップS209において、画像登録部140は、最大の照合スコアStを有する登録候補画像を登録データとして、データ記憶部150のデータベースに格納する。
【0069】
なお、ここではテスト画像及び他人の登録画像に対する照合スコアが最も高い1枚の登録候補画像を登録データとして選択しているが、照合スコアが上位である複数の登録候補画像を登録データとして選択してもよい。
【0070】
ステップS209において候補データが空データのままである場合には、登録候補画像に写る人物がデータ記憶部150のデータベースに既に登録されている可能性も考えられる。この場合、「既に登録されています。」などの通知を表示装置の画面に表示するようにしてもよい。
【0071】
このように、本実施形態においては、登録候補画像の善し悪しの判断を、テスト画像に対する照合スコアに基づいて機械的に行う。したがって、複数の登録候補画像の中から適切な登録画像を選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。また、テスト画像に対する照合スコアStに加え、他人の登録データに対する照合スコアSrをも判断基準に用いるため、他人の登録データに対して識別力のある画像を登録候補画像の中から効率的に抽出することができる。これにより、生体認証に好適なデータベースを構築することができる。
【0072】
なお、データ記憶部150のデータベースから読み出す他人の登録データは、実際の照合処理や認証処理において使用される登録データであり得る。
【0073】
このように、本実施形態によれば、複数の登録候補画像の中から適切な登録画像を選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。また、テスト画像に対する照合スコアに加え、他人の登録データに対する照合スコアをも判断基準に用いるため、他人の登録データに対して識別力のある画像を登録候補画像の中から効率的に抽出することができる。これにより、生体認証に好適なデータベースを構築することができる。
【0074】
[第3実施形態]
第3実施形態による情報処理方法について、図7及び図8を用いて説明する。第1及び第2実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図7は、本実施形態による情報処理方法を示すフローチャートである。図8は、本実施形態による情報処理方法の適用例を示す図である。
【0075】
第1及び第2実施形態では、複数の登録候補画像の各々について1枚のテスト画像に対する照合スコアStを算出し、最大の照合スコアStを有する登録候補画像を登録画像とする例を示した。しかしながら、テスト画像として別の画像を選択した場合に、登録画像として抽出される画像も別の画像になることが考えられる。特に、テスト画像として選択した画像が不鮮明であるなど、照合スコアの算出の基準として不適切であった場合には、登録候補画像の中から登録データとして適切な画像を抽出することができないことも想定される。
【0076】
本実施形態では、テスト画像の選択によらず最適な登録画像を抽出しうる情報処理方法について説明する。なお、本実施形態の情報処理方法を実施するための情報処理装置100の基本構成は、第1実施形態と同様である。
【0077】
まず、画像取得部110は、外部の装置から、登録対象の人物の顔画像を含む複数の画像データを取得する。本実施形態では、このように取得した複数の画像データを登録候補画像とする(ステップS301)。なお、取得した複数の画像データの各々は、登録候補画像であるとともに、テスト画像としても用いられる。登録候補画像をテスト画像としても用いることにより、取得する画像の枚数を減らすことができる。取得する画像の枚数に特段の制限がない場合は、登録候補画像とは別に複数のテスト画像を用意してもよい。
【0078】
次いで、照合スコア計算部120は、複数の登録候補画像を順次選択し、ステップS302及びステップS303の処理を繰り返し実施する。具体的には、ステップS302において、選択した登録候補画像をテスト画像に指定する。次いで、ステップS303において、他の登録候補画像の各々について、指定されたテスト画像に対する照合スコアStを算出する。
【0079】
次いで、ステップS304において、テスト画像として指定された登録候補画像毎に、他の登録候補画像の各々について算出した照合スコアStを値が大きい順に並べ、スコア順位をつける。
【0080】
図8は、ファイル名「A001」,「A002」,「A003」,「A004」,「A005」,「A006」の6枚の登録候補画像に対し、ステップS302及びステップ303の手順により算出した照合スコアStの一例である。括弧内の数値は、同じテスト画像に対して算出した照合スコアStを大きい順に並べたときの順位(スコア順位)を示している。例えば、テスト画像としてファイル名「A002」の登録候補画像を選択した場合、ファイル名「A001」の登録候補画像の照合スコアは0.87であり、スコア順位は4である。また、ファイル名「A003」の登録候補画像の照合スコアは0.92であり、スコア順位は3である。また、ファイル名「A004」の登録候補画像の照合スコアは0.74であり、スコア順位は5である。また、ファイル名「A005」の登録候補画像の照合スコアは0.97であり、スコア順位は1である。また、ファイル名「A006」の登録候補画像の照合スコアは0.93であり、スコア順位は2である。
【0081】
次いで、登録画像選択部130は、登録候補画像ごとに、他の登録候補画像をテスト画像として取得したスコア順位の和を算出する(ステップS305)。図8の例の場合、ファイル名「A001」の登録候補画像におけるスコア順位の和は20となり、ファイル名「A002」の登録候補画像におけるスコア順位の和は9となる。ファイル名「A003」の登録候補画像におけるスコア順位の和は13となり、ファイル名「A004」の登録候補画像におけるスコア順位の和は25となる。ファイル名「A005」の登録候補画像におけるスコア順位の和は7となり、ファイル名「A006」の登録候補画像におけるスコア順位の和は16となる。
【0082】
次いで、登録画像選択部130は、複数の登録候補画像の中から、ステップS305において算出したスコア順位の和が最小である登録候補画像を登録データとして選択する(ステップS306)。図8の例の場合、ファイル名「A005」の登録候補画像が、登録データとして選択される。
【0083】
スコア順位は、テスト画像に対する類似性が高いほど小さい値となる。したがって、スコア順位の和が最小の登録候補画像を選択することは、他の登録候補画像に対する類似性が最も高い登録候補画像を選択することを意味している。これにより、1枚のテスト画像を基準として登録画像を抽出する場合と比較して、より適切な登録画像を抽出することが可能となる。
【0084】
次いで、画像登録部140は、ステップS305において選択された登録候補画像を登録データとして、データ記憶部150に格納する(ステップS307)。
【0085】
このように、本実施形態においては、登録候補画像の善し悪しの判断を、テスト画像に対する照合スコアに基づいて機械的に行う。したがって、複数の登録候補画像の中から適切な登録画像を選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。また、複数のテスト画像を用い、登録候補画像の各々に対する照合スコアをそれぞれ算出する。したがって、1つの画像をテスト画像とする場合と比較して、より最適な登録画像を抽出することが可能となる。
【0086】
なお、本実施形態では、総ての登録候補画像をテスト画像として用いているが、複数の登録候補画像のうちの2枚以上の所定枚数の登録候補画像をテスト画像として用いてもよい。登録候補画像ごとに算出される照合スコアの数が異なる場合は、スコア順位の和ではなくスコア順位の平均値を用いればよい。
【0087】
また、本実施形態では、第1実施形態におけるステップS104の判定や、第2実施形態におけるステップS205及びS206の判定を行っていないが、これら判定ステップを更に行ってもよい。
【0088】
このように、本実施形態によれば、複数の登録候補画像の中から適切な登録画像を選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。また、複数のテスト画像を用い、登録候補画像の各々に対する照合スコアをそれぞれ算出する。したがって、1つの画像をテスト画像とする場合と比較して、より最適な登録画像を抽出することが可能となる。これにより、生体認証に好適なデータベースを構築することができる。また、複数の登録候補画像の中からテスト画像を指定するので、取得する画像の枚数を減らすことができる。
【0089】
[第4実施形態]
第4実施形態による情報処理方法について、図9及び図10を用いて説明する。第1乃至第3実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図9は、本実施形態による情報処理方法を示すフローチャートである。図10は、本実施形態による情報処理方法の適用例を示す図である。
【0090】
本実施形態では、第3実施形態と同様、テスト画像の選択によらず最適な登録画像を抽出しうる情報処理方法について説明する。なお、本実施形態の情報処理方法を実施するための情報処理装置100の基本構成は、第1実施形態と同様である。
【0091】
まず、画像取得部110は、外部の画像取得装置などから、登録対象の人物の複数の顔画像を取得する。このように取得した複数の顔画像を、登録候補画像とする(ステップS401)。なお、取得した複数の画像データの各々は、登録候補画像であるとともに、テスト画像としても用いられる。登録候補画像をテスト画像としても用いることにより、取得する画像の枚数を減らすことができる。取得する画像の枚数に特段の制限がない場合は、登録候補画像とは別に複数のテスト画像を用意してもよい。
【0092】
次いで、照合スコア計算部120は、複数の登録候補画像を順次選択し、ステップS402及びステップS403の処理を繰り返し実施する。具体的には、ステップS402において、選択した登録候補画像をテスト画像に指定する。次いで、ステップS403において、他の登録候補画像の各々について、指定されたテスト画像に対する照合スコアStを算出する。
【0093】
図10は、ファイル名「A001」,「A002」,「A003」,「A004」,「A005」,「A006」の6枚の登録候補画像に対し、ステップS302及びステップ303の手順により算出した照合スコアStをまとめた一例である。例えば、テスト画像としてファイル名「A002」の登録候補画像を選択した場合、ファイル名「A001」の登録候補画像の照合スコアStは0.87である。ファイル名「A003」の登録候補画像の照合スコアStは0.92である。ファイル名「A004」の登録候補画像の照合スコアStは0.74である。ファイル名「A005」の登録候補画像の照合スコアStは0.97である。ファイル名「A006」の登録候補画像の照合スコアStは0.93である。
【0094】
次いで、登録画像選択部130は、登録候補画像ごとに、他の登録候補画像をテスト画像として取得した照合スコアStの和を算出する(ステップS404)。図10の例の場合、ファイル名「A001」の登録候補画像における照合スコアStの和は4.09となり、ファイル名「A002」の登録候補画像における照合スコアStの和は4.30となる。また、ファイル名「A003」の登録候補画像における照合スコアStの和は4.27となり、ファイル名「A004」の登録候補画像における照合スコアStの和は3.53となる。また、ファイル名「A005」の登録候補画像における照合スコアStの和は4.33となり、ファイル名「A006」の登録候補画像における照合スコアStの和は4.19となる。
【0095】
次いで、登録画像選択部130は、複数の登録候補画像の中から、ステップS404において算出した照合スコアStの和が最大である登録候補画像を登録データとして選択する(ステップS405)。図10の例の場合、ファイル名「A005」の登録候補画像が、登録データとして選択される。
【0096】
照合スコアStは、テスト画像に対する類似性が高いほど大きい値となる。したがって、照合スコアStの和が最大の登録候補画像を選択することは、他の登録候補画像に対する類似性が最も高い登録候補画像を選択することを意味している。これにより、1枚のテスト画像を基準として登録画像を抽出する場合と比較して、より適切な登録画像を抽出することが可能となる。
【0097】
次いで、画像登録部140は、ステップS404において選択された登録候補画像を登録データとして、データ記憶部150に格納する(ステップS405)。
【0098】
このように、本実施形態においては、登録候補画像の善し悪しの判断を、テスト画像に対する照合スコアに基づいて機械的に行う。したがって、複数の登録候補画像の中から適切な登録画像を選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。また、複数のテスト画像を用い、登録候補画像の各々に対する照合スコアをそれぞれ算出する。したがって、1つの画像をテスト画像とする場合と比較して、より最適な登録画像を抽出することが可能となる。
【0099】
なお、本実施形態では、総ての登録候補画像をテスト画像として用いているが、複数の登録候補画像のうちの2枚以上の所定枚数の登録候補画像をテスト画像として用いてもよい。登録候補画像ごとに算出される照合スコアの数が異なる場合は、照合スコアの和ではなく照合スコアの平均値を用いればよい。
【0100】
また、本実施形態では、第1実施形態におけるステップS104の判定や、第2実施形態におけるステップS205及びS206の判定を行っていないが、これら判定ステップを更に行ってもよい。
【0101】
このように、本実施形態によれば、複数の登録候補画像の中から適切な登録画像を選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。また、複数のテスト画像を用い、登録候補画像の各々に対する照合スコアをそれぞれ算出する。したがって、1つの画像をテスト画像とする場合と比較して、より最適な登録画像を抽出することが可能となる。これにより、生体認証に好適なデータベースを構築することができる。また、複数の登録候補画像の中からテスト画像を指定するので、取得する画像の枚数を減らすことができる。
【0102】
[第5実施形態]
第5実施形態による照合システムについて、図11を用いて説明する。第1乃至第4実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図11は、本実施形態による照合システムの構成例を示すブロック図である。
【0103】
本実施形態では、第1乃至第4実施形態で説明した情報処理装置を適用した照合システムについて説明する。
【0104】
本実施形態による照合システム1000は、図11に示すように、情報処理装置100と、撮像装置300と、記憶装置400と、により構成され得る。撮像装置300は、情報処理装置100に接続されている。撮像装置300は、情報処理装置100の一部であってもよいし、ネットワーク等を介して情報処理装置100に接続されていてもよい。記憶装置400は、情報処理装置100に接続されている。記憶装置400は、情報処理装置100の一部(例えば、第1実施形態におけるデータ記憶部150)であってもよいし、ネットワーク等を介して情報処理装置100に接続されていてもよい。
【0105】
情報処理装置100は、第1実施形態において説明した画像取得部110、照合スコア計算部120、登録画像選択部130及び画像登録部140に加え、照合部160を更に有している。照合部160は、撮像装置300が撮影した人物の画像データを記憶装置400に登録された人物の画像データと照合し、撮像装置300が撮影した人物が記憶装置400に登録された人物であるか否かを判定する機能を備える機能ブロックである。照合部160による判定結果は、出力装置210を介して外部へと通知することができる。また、照合部160による判定結果は、ゲート装置などにおける認証に利用することができる。
【0106】
照合システム1000は、撮像装置300により撮影された人物の画像データを選別して登録する機能と、撮像装置300により撮影された人物が登録された人物であるか否かを判定する機能と、を備える。
【0107】
撮像装置300により撮影された人物の画像データを選別して登録する機能は、第1乃至第4実施形態において説明した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0108】
撮像装置300により撮影された人物が登録された人物であるか否かを判定する機能は、情報処理装置100の構成要素のうち、画像取得部110と、照合スコア計算部120と、照合部160とにより実施可能である。
【0109】
まず、撮像装置300は、視野に入る人物を撮影し、画像データを情報処理装置100へと出力する。情報処理装置100の画像取得部110は、撮像装置300から出力される画像データを取得し、照合スコア計算部120へと出力する。
【0110】
次いで、照合スコア計算部120は、画像取得部110から取得した画像データについて、記憶装置400のデータベースに登録されている人物の画像データに対する照合スコアScを算出する。
【0111】
照合スコアScの算出には、テスト画像に対する登録候補画像の照合スコアStを算出するために用いられる照合スコア計算部120を用いることができる。別の言い方をすると、テスト画像に対する登録候補画像の照合スコアStを算出する際には、照合スコアScを算出する際のアルゴリズムと同様のアルゴリズムを用いることが好ましい。このように構成することで、照合スコアScを算出する際のアルゴリズムが最も本人画像と他人画像とを区別できる画像データを登録候補画像の中から選別することができ、照合精度を向上することができる。
【0112】
次いで、照合部160は、登録人物の画像データの中から、照合スコア計算部120が算出した照合スコアScが最大である画像データを抽出する。そして、抽出した画像データの照合スコアScが所定の閾値よりも大きい場合は、撮像装置300により撮影された人物がデータベースに登録されている人物のうちの1人と同一人物であると判定する。一方、抽出した画像データの照合スコアScが所定の閾値以下の場合には、撮像装置300により撮影された人物がデータベースに登録されていない人物であると判定する。
【0113】
このように、本実施形態においては、実際の照合処理に使用する照合スコア計算部120や登録データをそのまま使用し、登録候補画像の中で最も照合スコアの高い画像を登録データとして選択する。したがって、登録画像を選別する機能を備えた照合システムを構築するために、最も高い照合スコアを出すと予想される画像を登録候補画像の中から推定するような手段を別途用意する必要はなく、システムを簡略化することができ、かつ本認証システムにとって適した登録画像を選別することが可能となる。
【0114】
本実施形態による照合システムは、様々な目的に適用され得る。本実施形態による照合システムは、特に限定されるものではないが、例えば、販売店での決済における購入者の特定に利用することが可能である。
【0115】
このように、本実施形態によれば、登録画像を選別する機能を備えた照合システムを構築するために、最も高い照合スコアを出すと予想される画像を登録候補画像の中から推定するような手段を別途用意する必要はなく、システムを簡略化することができ、かつ本認証システムにとって適した登録画像を選別することが可能となる。
【0116】
[第6実施形態]
第6実施形態による情報処理装置について、図12を用いて説明する。第1乃至第5実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図12は、本実施形態による情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0117】
本実施形態による情報処理装置500は、図12に示すように、類似度計算部510と、登録データ選択部530と、を少なくとも有している。
【0118】
類似度計算部510は、同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、当該人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出する機能を備える。第1乃至第5実施形態において説明した照合スコア計算部120は、類似度計算部510の一例である。
【0119】
登録データ選択部530は、複数の登録候補データのうちテストデータに対する類似度が上位の登録候補データを、当該人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、複数の登録候補データの中から選択する機能を備える。第1乃至第5実施形態において説明した登録画像選択部130は、登録データ選択部530の一例である。
【0120】
このように、本実施形態によれば、複数の登録候補データの中から適切な登録データを選択する判断を、人間が目視で登録候補画像の善し悪しを判断する場合と比較してより高速かつ正確に行うことができる。これにより、生体認証に好適なデータベースを構築することができる。
【0121】
[第7実施形態]
第7実施形態による情報処理装置について、図13を用いて説明する。第1乃至第6実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図13は、本実施形態による照合システムの概略構成を示すブロック図である。
【0122】
本実施形態による照合システム1000は、図13に示すように、情報処理装置500と、データ取得装置600と、記憶装置700と、を少なくとも有している。情報処理装置500は、類似度計算部510と、照合部520と、登録データ選択部530と、を少なくとも有している。
【0123】
データ取得装置600は、人物の生体情報データを取得する機能を備える。第5実施形態において説明した撮像装置300は、データ取得装置600の一例である。
【0124】
記憶装置700は、複数の人物の複数の生体情報データを登録する機能を備える。第1乃至第4実施形態において説明したデータ記憶部150及び第5実施形態において説明した記憶装置400は、記憶装置700の一例である。
【0125】
情報処理装置500は、データ取得装置600が取得した生体情報データと記憶装置700に登録されている複数の生体情報データとの類似度を算出する類似度計算部510と、データ取得装置600が取得した生体情報データが表す人物が記憶装置700に登録されている人物であるか否かを類似度に基づいて判定する照合部520と、を有する。第1乃至第5実施形態において説明した照合スコア計算部120は、類似度計算部510の一例である。第5実施形態において説明した照合部160は、照合部520の一例である。
【0126】
類似度計算部510は、同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、当該人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出するように更に構成されている。
【0127】
また、情報処理装置500は、当該人物の照合のために記憶装置700に登録する登録データを、複数の登録候補データの各々の、テストデータに対する類似度と、複数の人物の複数の生体情報データの各々に対する類似度と、に基づいて複数の登録候補データの中から選択する登録データ選択部530を更に有する。第1乃至第5実施形態において説明した登録画像選択部130は、登録データ選択部530の一例である。
【0128】
このように、本実施形態によれば、登録データを選別する機能を備えた照合システムを構築するために、上位の類似度を出すと予想されるデータを登録候補データの中から推定するような手段を別途用意する必要はなく、システムを簡略化することができ、かつ本認証システムにとって適した登録画像を選別することが可能となる。
【0129】
[変形実施形態]
この開示は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、何れかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、この開示の実施形態である。
【0130】
また、上記実施形態では、照合対象の生体情報データの一例として画像データを示したが、生体情報データは画像データに限定されるものではない。例えば、生体情報データは、画像データのほか、人物の声を収録した声紋データ、歩き方などの行動的特徴を表すデータなどであってもよい。また、上記実施形態では、画像データとして顔画像の例を示したが、画像データは顔画像に限定されるものではない。例えば、画像データは、虹彩画像、指紋画像、掌紋画像、静脈画像、耳介の形状を表す画像などであってもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、照合スコアSt,Srを0から1の間の数値として定義したが、照合スコアSt,Srの定義はこれに限定されるものではない。また、上記実施形態では、類似度を表す指標として照合スコアSt,Srを用いたが、相違度を表す指標として照合スコアSt,Srを用いてもよい。この場合、相違度が大きいほど照合スコアSt,Srの値は大きくなる。
【0132】
また、上記実施形態では、登録候補画像として6枚の画像を用いたが、登録候補画像の枚数は特に限定されるものではない。
【0133】
また、上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0134】
該記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0135】
なお、上記実施形態は、何れもこの開示を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによってこの開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、この開示はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0136】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0137】
(付記1)
同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出する類似度計算部と、
前記複数の登録候補データのうち前記テストデータに対する前記類似度が上位の登録候補データを、前記人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、前記複数の登録候補データの中から選択する登録データ選択部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【0138】
(付記2)
前記データ記憶部は、前記人物とは異なる複数の人物の生体情報を含む複数のデータを有し、
前記登録データ選択部は、前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の前記複数のデータの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する
ことを特徴とする付記1記載の情報処理装置。
【0139】
(付記3)
前記登録データ選択部は、前記複数の登録候補データのうち、前記テストデータに対する類似度が上位であり且つ前記複数のデータに対する前記類似度よりも高い登録候補データを、前記登録データとして選択する
ことを特徴とする付記2記載の情報処理装置。
【0140】
(付記4)
前記登録データは、前記複数の登録候補データのうち、前記テストデータに対する類似度が最も高い登録候補データである
ことを特徴とする付記1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0141】
(付記5)
前記類似度計算部は、前記複数の登録候補データの各々について、他の登録候補データを前記テストデータとして前記類似度を算出する
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0142】
(付記6)
前記類似度計算部は、前記複数の登録候補データの各々について、他の総ての登録候補データの各々を前記テストデータとして前記類似度を算出する
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0143】
(付記7)
前記登録データ選択部は、前記複数の登録候補データのうち、他の登録候補データに対する類似度が最も高い登録候補データを、前記登録データとして選択する
ことを特徴とする付記6記載の情報処理装置。
【0144】
(付記8)
前記類似度は、前記テストデータに対する照合スコアであり、
前記他の登録候補データに対する類似度が最も高い登録候補データは、前記他の登録候補データに対する前記照合スコアのスコア順位の和が最も小さい登録候補データである
ことを特徴とする付記7記載の情報処理装置。
【0145】
(付記9)
前記類似度は、前記テストデータに対する照合スコアであり、
前記他の登録候補データに対する類似度が最も高い登録候補データは、前記他の登録候補データに対する前記照合スコアの和が最も大きい登録候補データである
ことを特徴とする付記7記載の情報処理装置。
【0146】
(付記10)
人物の生体情報データを取得するデータ取得装置と、
複数の人物の複数の生体情報データが登録された記憶装置と、
前記データ取得装置が取得した前記生体情報データと前記記憶装置に登録されている前記複数の生体情報データとの類似度を算出する類似度計算部と、前記データ取得装置が取得した前記生体情報データが表す人物が前記記憶装置に登録されている人物であるか否かを前記類似度に基づいて判定する照合部と、を有する情報処理装置と、を有する照合システムであって、
前記類似度計算部は、同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出するように更に構成されており、
前記情報処理装置は、前記人物の照合のために前記記憶装置に登録する登録データを、前記複数の登録候補データの各々の、前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の人物の前記複数の生体情報データの各々に対する類似度と、に基づいて前記複数の登録候補データの中から選択する登録データ選択部を更に有する
ことを特徴とする照合システム。
【0147】
(付記11)
同じ人物の生体情報を含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出し、
前記複数の登録候補データのうち前記テストデータに対する類似度が上位の登録候補データを、前記人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、前記複数の登録候補データの中から選択する
ことを特徴とする情報処理方法。
【0148】
(付記12)
前記テストデータに対する前記類似度と、前記複数の登録候補データの各々の、前記データ記憶部に登録されている前記人物とは異なる複数の人物の生体情報を含む複数のデータの各々に対する類似度と、に基づいて前記登録データを選択する
ことを特徴とする付記11記載の情報処理方法。
【0149】
(付記13)
前記複数の登録候補データのうち、前記テストデータに対する類似度が上位であり且つ前記複数のデータに対する前記類似度よりも高い登録候補データを、前記登録データとして選択する
ことを特徴とする付記12記載の情報処理方法。
【0150】
(付記14)
前記登録データは、前記複数の登録候補データのうち、前記テストデータに対する類似度が最も高い登録候補データである
ことを特徴とする付記11乃至13の何れか1項に記載の情報処理方法。
【0151】
(付記15)
前記複数の登録候補データの各々について、他の登録候補データを前記テストデータとして前記類似度を算出する
ことを特徴とする付記11乃至14の何れか1項に記載の情報処理方法。
【0152】
(付記16)
前記複数の登録候補データの各々について、他の総ての登録候補データの各々を前記テストデータとして前記類似度を算出する
ことを特徴とする付記11乃至14の何れか1項に記載の情報処理方法。
【0153】
(付記17)
前記複数の登録候補データのうち、他の登録候補データに対する類似度が最も高い登録候補データを、前記登録データとして選択する
ことを特徴とする付記16記載の情報処理方法。
【0154】
(付記18)
前記類似度は、前記テストデータに対する照合スコアであり、
前記他の登録候補データに対する類似度が最も高い登録候補データは、前記他の登録候補データに対する前記照合スコアのスコア順位の和が最も小さい登録候補データである
ことを特徴とする付記17記載の情報処理方法。
【0155】
(付記19)
前記類似度は、前記テストデータに対する照合スコアであり、
前記他の登録候補データに対する類似度が最も高い登録候補データは、前記他の登録候補データに対する前記照合スコアの和が最も大きい登録候補データである
ことを特徴とする付記17記載の情報処理方法。
【0156】
(付記20)
コンピュータを、
同じ人物の生体情報を各々が含む複数の登録候補データの各々について、前記人物の生体情報を含むテストデータに対する類似度を算出する手段、
前記複数の登録候補データのうち前記テストデータに対する類似度が上位の登録候補データを、前記人物の照合のためにデータ記憶部に登録する登録データとして、前記複数の登録候補データの中から選択する手段、
として機能させるプログラム。
【0157】
(付記21)
付記20記載のプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【0158】
この出願は、2021年2月18日に出願された日本出願特願2021-23824を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0159】
100…情報処理装置
110…画像取得部
120…照合スコア計算部
130…登録画像選択部
140…画像登録部
150…データ記憶部
160…照合部
200…プロセッサ
202…主記憶部
204…通信部
206…入出力インターフェース部
208…システムバス
210…出力装置
212…入力装置
214…記憶装置
300…撮像装置
400,700…記憶装置
500…情報処理装置
510…類似度計算部
520…照合部
530…登録データ選択部
600…データ取得装置
1000…認証システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13