(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】乗車支援システム、乗車支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2023508165
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2021011707
(87)【国際公開番号】W WO2022201244
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-067890(JP,A)
【文献】特開2021-026457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の所定の位置に設置され、迎車中の乗用旅客車両を撮影可能な定点カメラから画像を取得可能であり、
前記乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、前記乗用旅客車両の利用者が予約を行った前記乗用旅客車両の情報を受信する受信手段と、
前記乗用旅客車両の情報に基づいて、前記定点カメラから、前記迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得する画像取得手段と、
前記乗用旅客車両の画像を用いて、所定の表示装置に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる表示手段と、
を備え
、
さらに、前記定点カメラの位置と、前記乗用旅客車両の進行方向とに基づいて、前記乗用旅客車両の迎車位置を予測する迎車位置予測手段を備え、
前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記乗用旅客車両の迎車位置を表示させる乗車支援システム。
【請求項2】
前記乗用旅客車両を識別するための情報は、前記迎車中の乗用旅客車両の外観画像である請求項1の乗車支援システム。
【請求項3】
前記乗用旅客車両を識別するための情報は、前記迎車中の乗用旅客車両のドライバーの顔が撮影された画像である請求項1又は2の乗車支援システム。
【請求項4】
前記乗用旅客車両を識別するための情報は、前記迎車中の乗用旅客車両の画像から認識した車両の特徴情報である請求項1から3いずれか一の乗車支援システム。
【請求項5】
さらに、乗用旅客車両を撮影した画像の背景画像から前記乗用旅客車両の待機位置を特定する手段を備え、
前記表示手段は、前記乗用旅客車両を識別するための情報として、所定の表示装置に、前記乗用旅客車両の待機位置を表した地図を表示させる
請求項1から4いずれか一の乗車支援システム。
【請求項6】
さらに、前記定点カメラの位置と、前記定点カメラにおいて前記乗用旅客車両が撮影された時刻とに基づいて、前記乗用旅客車両の到着時刻を予測する迎車時刻予測手段を備え、
前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記乗用旅客車両の到着時刻を表示させる
請求項1から5いずれか一の乗車支援システム。
【請求項7】
前記乗用旅客車両の利用者の端末からの要求に基づいて動作するサーバによって構成されている
請求項1から6いずれか一の乗車支援システム。
【請求項8】
道路上の所定の位置に設置され、迎車中の乗用旅客車両を撮影可能な定点カメラから画像を取得可能なコンピュータが、
前記乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を受信し、
前記乗用旅客車両の情報に基づいて、前記定点カメラから、前記迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得し、
前記乗用旅客車両の画像を用いて、所定の表示装置に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させ
、
さらに、前記定点カメラの位置と、前記乗用旅客車両の進行方向とに基づいて、前記乗用旅客車両の迎車位置を予測し、
前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記乗用旅客車両の迎車位置を表示させる、
乗車支援方法。
【請求項9】
道路上の所定の位置に設置され、迎車中の乗用旅客車両を撮影可能な定点カメラから画像を取得可能なコンピュータに、
前記乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を受信する処理と、
前記乗用旅客車両の画像を用いて、前記乗用旅客車両の情報に基づいて、前記定点カメラから、前記迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得する処理と、
所定の表示装置に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる処理と、
さらに、前記定点カメラの位置と、前記乗用旅客車両の進行方向とに基づいて、前記乗用旅客車両の迎車位置を予測する処理とを実行させ、
前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記乗用旅客車両の迎車位置を表示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車支援システム、乗車支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、利用者が配車センターへの配車依頼を失念することによるトラブルを未然に防止できるという配車システムが開示されている。同文献には、利用者が、車両監視システムを介して、または直接に、配車された車両の情報端末に利用車の現在位置情報を送信することが記載されている。また、車両監視システムが、利用者に対し、配車する車両の外観や色などの車両デ-タと運転手の顔などの画像デ-タ、運転手の声の音声デ-タ、走行している車両から撮影した景色などの動画デ-タを送信することが記載されている(段落0128参照)。
【0003】
特許文献2には、地理に詳しくない外出先からでも容易にタクシーの配車サービスを受けることができ、タクシーの乗務員が迅速且つ的確にユーザーの待つ詳細な呼出位置を認識でき、確実な配車サービスを提供できるという配車サービス方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、利用者と車載端末との双方に、乗車位置を含んだ配車情報を送るサーバを含む構成が開示されている(段落0051参照)。特許文献4には、複数のカメラを用いて配車地点の周辺を撮影した映像を解析し、配車地点の周辺の道路状況から配車エリアRを動的に設定する画像解析部を備えた自動運転車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-67890号公報
【文献】特開2002-32897号公報
【文献】特開2019-067012号公報
【文献】特開2020-097850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。タクシー会社などに迎車を依頼した場合、迎車地点に複数の乗用旅客車両が存在し、自身が予約した乗用旅客車両を識別することが困難となる場合がある。この点、特許文献1では、利用者にタクシーに関する情報を送信することが記載されているが、情報源として、車両監視システムのデータベースや、車両内の設置されたデジタルカメラやビデオカメラ、マイクロフォンを用いているため、利用者から見えるタクシーの像と一致しない場合がある。
【0007】
本発明は、迎車地点に存在する乗用旅客車両の識別を容易化することのできる乗車支援システム、乗車支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の視点によれば、道路上の所定の位置に設置され、迎車中の乗用旅客車両を撮影可能な定点カメラから画像を取得可能であり、前記乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を受信する受信手段と、前記乗用旅客車両の情報に基づいて、前記定点カメラから、前記迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得する画像取得手段と、前記乗用旅客車両の画像を用いて、所定の表示装置に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる表示手段と、を備える乗車支援システムが提供される。
【0009】
第2の視点によれば、道路上の所定の位置に設置され、迎車中の乗用旅客車両を撮影可能な定点カメラから画像を取得可能なコンピュータが、前記乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を受信し、前記乗用旅客車両の情報に基づいて、前記定点カメラから、前記迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得し、前記乗用旅客車両の画像を用いて、所定の表示装置に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる、乗車支援方法が提供される。本方法は、道路上の所定の位置に設置され、迎車中の乗用旅客車両を撮影可能な定点カメラから画像を取得可能なコンピュータという、特定の機械に結びつけられている。
【0010】
第3の視点によれば、上記した乗車支援システムの機能を実現するためのコンピュータプログラム(以下、プログラム)が提供される。なお、このコンピュータプログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェースを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させる。また、このプログラムは、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェースを介して、外部と通信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、迎車地点に存在する乗用旅客車両の識別を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態のシステム構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の情報処理装置の動作を表した流れ図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態のシステム構成を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態の情報処理装置の動作を表した流れ図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態のシステム構成を示す図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態の情報処理装置の動作を表した流れ図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態の情報処理装置の動作を説明するための図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態の情報処理装置の動作を説明するための図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態の情報処理装置の変形動作を説明するための図である。
【
図12】本発明の第4の実施形態のシステム構成を示す図である。
【
図13】本発明の乗車支援システムとして機能可能なコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースがあるが図示省略する。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このコンピュータ装置は、通信インタフェースを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、通信可能に構成される。
【0014】
本発明は、その一実施形態において、
図1に示すように、定点カメラ30、配車システム20、表示装置40と接続された乗車支援システム10にて実現できる。
【0015】
定点カメラ30は、道路上の所定の位置に設置され、迎車中の乗用旅客車両を撮影可能となっている。定点カメラ30の設置位置は、迎車位置として指定されることの多い主要な施設の入り口やその手前の交差点等が考えられるが、特に限定されない。
【0016】
配車システム20は、タクシー会社や自動運転車車両の配車システムであり、前記乗用旅客車両の配車を行う。
【0017】
表示装置40は、乗車支援システム10が作成する前記乗用旅客車両を識別するための情報の表示先となる装置である。表示装置40の種類としては、利用者のスマートフォンの液晶ディスプレイ、スマートグラスと呼ばれる眼鏡型の情報表示装置、迎車位置付近の情報表示板等、乗車支援システム10を構成する機器に応じて種々のものが考えられる。
【0018】
乗車支援システム10は、受信手段11と、画像取得手段12と、表示手段13と、を備える。受信手段11は、前記配車システム20から、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を受信する。画像取得手段12は、前記乗用旅客車両の情報に基づいて、前記定点カメラ30から、前記予約に基づき迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得する。表示手段13は、前記乗用旅客車両の画像を用いて、前記表示装置40に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる。
【0019】
なお、画像取得手段12が、乗用旅客車両の情報に基づいて、定点カメラ30から該当する乗用旅客車両の画像を取得する仕組みとしては、次のものが考えられる。第1の方法としては、前述の乗用旅客車両の情報に含まれるナンバープレートを定点カメラ30で認識することにより当該車両を検出する方法を用いることができる。また、第2の方法としては、乗用旅客車両に搭載されている車載端末から送信される位置情報等を用いる方法を用いることができる。また、管制センター等で道路上の車両の位置と時刻を収集している場合、管制センターに問い合わせて、適当な定点カメラ30を選択する方法を採ることもできる。また、画像を取得する方法は、定点カメラ30から直接画像を受け取る形態に限られず、定点カメラ30で撮影された画像を一時的に記憶する記憶装置から画像を取得する形態も採ることができる。定点カメラ30と画像取得手段12は、各種のネットワークを用いて相互に接続することができる。一例として、定点カメラ30と画像取得手段12は、有線回線で接続されていてもよい。他の一例として、定点カメラ30と画像取得手段12は、LTE、5G、無線LAN等の無線回線を経由して接続されていてもよい。
【0020】
以上のように構成された乗車支援システム10は、配車システム20から、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を受信する。そして、乗車支援システム10は、前記乗用旅客車両の情報に基づいて、定点カメラ30から、前記予約に基づき迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得する。さらに、乗車支援システム10は、前記乗用旅客車両の画像を用いて、当該乗用旅客車両の利用者の端末に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる。
【0021】
前記乗用旅客車両を識別するための情報としては、例えば、
図2に示すように、前記乗用旅客車両の外観画像を用いることができる。また、前記乗用旅客車両を識別するための情報の別の形態としては、迎車中の乗用旅客車両のドライバーの顔が写った画像を用いることができる。さらに、乗用旅客車両を識別するための情報の別の形態としては、迎車中の乗用旅客車両の画像から認識した車両の特徴情報を用いることができる。この特徴情報の具体例については第2の実施形態で説明する。
【0022】
これにより、迎車地点に複数の乗用旅客車両が存在する場合であっても、乗用旅客車両の利用者は、自身が予約した乗用旅客車両を容易に識別することが可能となる。
【0023】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態のシステム構成を示す図である。
図3を参照すると、道路上の所定の位置に設置され、迎車中の乗用旅客車両500を撮影可能な定点カメラ300と、配車システム200と接続された情報処理装置100が示されている。
【0024】
配車システム200は、乗用旅客車両の利用者から日時、迎車地点等を指定した乗用旅客車両の予約を受け付け、乗用旅客車両の車載端末に対し、配車を指示するシステムである。また、本実施形態の配車システム200は、乗用旅客車両の利用者の情報処理装置100に対し、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を送信する機能を備えている。なお、乗用旅客車両の利用者の情報処理装置100に情報を送信するための宛先情報(ユーザIDやメールアドレス等)は、乗用旅客車両の予約時に、利用者から入力されているものとする。
【0025】
情報処理装置100は、受信部101と、画像取得部102と、表示部103とを備える。受信部101は、配車システム200から、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を受信する。「乗用旅客車両の情報」は、定点カメラ300で撮影された画像中の乗用旅客車両を特定可能な情報であり、例えば、乗用旅客車両のIDやナンバープレート情報を用いることができる。
【0026】
画像取得部102は、前記乗用旅客車両の情報に基づいて、前記定点カメラ300から、前記予約に基づき迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得する。例えば、「乗用旅客車両の情報」としてナンバープレート情報を用いる場合、画像取得部102は、前記定点カメラ300で撮影した画像中の車両のナンバープレート領域を切り出し、文字認識する。そして、画像取得部102は、配車システム200から受け取ったナンバープレートと、文字認識したナンバープレートと照合することで、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両を特定することができる。また、前記定点カメラ300側に、画像中の車両のナンバープレート領域を切り出し、文字認識し、画像にタグ付けする機能が備えられている場合、これらのタグと照合することで、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両を特定することもできる。
【0027】
表示部103は、前記画像取得部102で取得した乗用旅客車両の画像を用いて、情報処理装置100の表示装置(図示省略)に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる手段として機能する。
【0028】
以上のような情報処理装置100は、乗用旅客車両の利用者の携帯するスマートフォンや各種のモバイルデバイスにて実現できる。具体的には、これらの機器に、上記した受信部101と、画像取得部102と、表示部103に相当する機能を実現するコンピュータプログラム(いわゆる「アプリ」、「App」)をインストールすることにより上記した情報処理装置100を構成することができる。また、別の形態として、情報処理装置100は、乗用旅客車両の利用者の携帯するスマートフォンや各種のモバイルデバイスに、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させるサーバとしても実現することができる(後記第4の実施形態参照)。
【0029】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態の情報処理装置100の動作を表した流れ図である。
図4を参照すると、まず、情報処理装置100は、配車システム200から、乗用旅客車両の利用者が予約を行った乗用旅客車両の情報を受信する(ステップS001)。
【0030】
情報処理装置100は、前記乗用旅客車両の情報に基づいて、前記定点カメラ300から、前記予約に基づき迎車中の乗用旅客車両を撮影した画像を取得する(ステップS002)。
【0031】
情報処理装置100は、前記画像取得部102で取得した乗用旅客車両の画像を用いて、情報処理装置100の表示装置(図示省略)に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる(ステップS003)。
【0032】
以上のように動作する情報処理装置100によれば、乗用旅客車両の利用者に、自身が乗車する乗用旅客車両を識別するための情報を提供することが可能となる。例えば、
図2に示すように、前記乗用旅客車両の外観画像を提供することで、乗用旅客車両の利用者は、迎車地点に、外観画像を手掛かりに、自身が乗車する乗用旅客車両を的確に識別することが可能となる。また、この画像に、迎車中の乗用旅客車両のドライバーの顔が写っている画像を用いた場合には、その識別が一層容易化される。
【0033】
[第2の実施形態]
続いて、迎車中の乗用旅客車両の画像から認識した車両の特徴情報(ボディカラー、ボディに描かれたロゴ、車両のルーフ上のサインの形状、サイドラインの有無や色、車両の形式、ナンバープレート番号等)を提供するようにした第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の構成及び動作は第1の実施形態とほぼ共通するため、以下、その相違点を中心に説明する。
【0034】
図5は、本発明の第2の実施形態のシステム構成を示す図である。第1の実施形態との相違点は、情報処理装置100aに特徴抽出部104が追加され、表示部103aが、特徴抽出部104によって抽出された乗用旅客車両の特徴情報を表示するように構成されている点である。
【0035】
本実施形態では、画像取得部102で取得した乗用旅客車両の画像は、特徴抽出部104に入力される。特徴抽出部104は、乗用旅客車両の画像から、乗用旅客車両の特徴を認識し、表示部103aに出力する。この乗用旅客車両の画像から特徴を認識する方法としては、事前に機械学習により作成した分類器を用いる方法を用いることができる。例えば、特徴抽出部104は、乗用旅客車両の画像から、ボディカラー、ボディに描かれたロゴ、ナンバープレート情報、車両のルーフ上のサインの形状、サイドラインの有無や色、車両の形式等の少なくとも1つ以上を認識する。
【0036】
表示部103aは、情報処理装置100aの表示装置(図示省略)に、特徴抽出部104にて抽出された乗用旅客車両の特徴情報を表示させる。例えば、
図5に示すように、予約したタクシーのボディカラーや、側面ロゴのパターン等を情報処理装置100の表示装置(図示省略)に表示させる。
【0037】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
図6は、本実施形態の情報処理装置100aの動作を表した流れ図である。
図6のステップS001、S002の動作は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0038】
ステップS103で、情報処理装置100aは、乗用旅客車両の画像から、乗用旅客車両の特徴を抽出する。
【0039】
そして、ステップS104で、情報処理装置100aは、表示装置(図示省略)に乗用旅客車両の特徴を表示する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、迎車中の乗用旅客車両の画像から認識した車両の特徴情報を提供することで、その識別を一層容易化することができる。このような特徴情報の提供は、特に、一部の国や自治体等で、タクシーのボディカラー等が指定されている場合に特に有効な情報となる。もちろん、第1の実施形態と同様に、特徴情報と合わせて、乗用旅客車両の画像そのものを表示してもよい。
【0041】
[第3の実施形態]
続いて、前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を提供するようにした第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第3の実施形態の構成及び動作は第1の実施形態とほぼ共通するため、以下、その相違点を中心に説明する。
【0042】
図7は、本発明の第3の実施形態のシステム構成を示す図である。第1の実施形態との相違点は、情報処理装置100bに迎車位置予測部105が追加され、表示部103bが、迎車位置予測部105によって予測された乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を表示するように構成されている点である。
【0043】
本実施形態では、画像取得部102で取得した乗用旅客車両の画像は、迎車位置予測部105に入力される。迎車位置予測部105は、乗用旅客車両の画像から、乗用旅客車両の迎車位置への接近方向や速度を認識し、乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を予測する。そして、迎車位置予測部105は、前記予測した乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を、表示部103bに出力する。例えば、乗用旅客車両が迎車位置に幹線道路を使って東側から接近している場合、迎車位置予測部105は、迎車位置は、その沿線上の左側の車線のうち、周囲の交通状況や交通ルールなどに基づいて、乗用旅客車両の停車する可能性の高い場所を予測する。この迎車位置予測部105の予測の具体例については、後に図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
表示部103bは、情報処理装置100bの表示装置(図示省略)に、迎車位置予測部105によって予測された乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を表示させる。
【0045】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
図8は、本実施形態の情報処理装置100bの動作を表した流れ図である。
図8のステップS001、S002の動作は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0046】
ステップS203で、情報処理装置100bは、乗用旅客車両の画像から、乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を予測する。
【0047】
そして、ステップS204で、情報処理装置100bは、表示装置(図示省略)に乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を表示する。
【0048】
上記情報処理装置100bの動作について
図9~
図11を用いて説明する。例えば、
図9に示すように、乗用旅客車両500が東側(
図9の右側)から迎車位置である交差点付近に接近している場合、迎車位置予測部105は、次のように迎車位置を予測する。まず、
図9の東側から交差点に向かう沿線上の領域を選択しその中から、安全に停車可能であり、かつ、交通法規等に違反しない場所を特定する。
図9の例では、交差点を過ぎ、かつ、交差点から所定距離、離れた場所を迎車位置として予測している。交差点の手前であると、左折車等の通行の妨げになる可能性があり、かつ、我が国の交通ルール上、交差点と、その側端から前後5mは駐停車禁止になっているからである。
【0049】
また、迎車位置予測部105が、交差点付近の交通状況を考慮して迎車位置を予測するようにしてもよい。例えば、
図10に示すように、迎車位置である交差点付近の左側車線が渋滞している場合、迎車位置予測部105は、乗用旅客車両500が右折して、その先の路肩で迎車すると予測する。
【0050】
また、迎車位置予測部105は、乗用旅客車両の画像を撮影した定点カメラ300の位置と、その画像から推定した乗用旅客車両により、乗用旅客車両の迎車位置への到着時刻を予測することもできる。この場合、迎車位置予測部105は、迎車時刻予測手段としても機能することになる。そして、情報処理装置100bが、乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向と併せて、前記予測した乗用旅客車両の迎車位置への到着時刻を提供するようにしてもよい。
【0051】
さらに、乗用旅客車両の迎車位置への到着時刻を予測している場合、迎車位置予測部105は、交差点の信号の灯火タイミングを考慮して迎車位置を予測するようにしてもよい。例えば、
図11に示すように、迎車位置である交差点の交通信号機が青であるタイミングに乗用旅客車両500が到着する場合、迎車位置予測部105は、
図9と同様に、交差点を過ぎ、かつ、交差点から所定距離、離れた場所を迎車位置として予測する。一方、迎車位置である交差点の交通信号機が赤であるタイミングに乗用旅客車両500が到着する場合、迎車位置予測部105は、交差点の手前の所定距離、離れた場所を迎車位置として予測する。
【0052】
図9~
図11のいずれの場合も、迎車位置やその進入方向を知った乗用旅客車両500の利用者は、自身が搭乗する予定の乗用旅客車両500の動きを知り、事前に迎車位置に移動することによりスムーズに乗車することができる。また、より望ましい形態において、情報処理装置100bが、乗用旅客車両500にも、前記予測した迎車位置を知らせることも好ましい。乗用旅客車両500の運転手は、正確に予測された迎車位置に停車させることで、利用者の搭乗をより容易化することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、利用者に、迎車中の乗用旅客車両の迎車位置やその進入方向を提供することで、その識別を一層容易化することができる。もちろん、第1、第2の実施形態と同様に、迎車位置やその進入方向と合わせて、乗用旅客車両の画像や特徴情報を提供してもよい。
【0054】
なお、上記した例では、迎車位置予測部105が、乗用旅客車両の画像から、乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を予測するものとして説明したが、乗用旅客車両の画像によっては乗用旅客車両の迎車位置や迎車位置への進入方向を一意に特定できる場合もある。例えば、乗用旅客車両がすでに迎車位置に到着しているような場合、その背景画像から迎車位置を特定することができる。この場合、情報処理装置100bは、上記予測した迎車位置に代えて、乗用旅客車両の詳細な待機位置を表した地図を提供してもよい。
【0055】
[第4の実施形態]
上記した第1~第3の実施形態では、乗用旅客車両の利用者の携帯するスマートフォン等を用いて乗車支援システムを構成した例を挙げて説明したが、乗車支援システムは、これらの機器にサービスを提供するサーバにより構成することもできる。
図12は、サーバ100cにより構成された本発明の第4の実施形態のシステム構成を示す図である。サーバ100cは、クラウド上に構築されたサーバであってもよいし、MEC(Multi-access Edge Computing)サーバであってもよい。
【0056】
図12を参照すると、定点カメラ300と、配車システム200と接続されたサーバ100cが示されている。サーバ100cの受信部101及び画像取得部102は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。サーバ100cの送信部103cは、乗用旅客車両の利用者の携帯するスマートフォン401や情報掲示板402に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を送信する。
【0057】
前記サーバ100cから乗用旅客車両を識別するための情報を受信した乗用旅客車両の利用者の携帯するスマートフォン401や情報掲示板402は、乗用旅客車両を識別するための情報を表示する。従って、サーバ100cは、乗用旅客車両の画像を用いて、所定の表示装置に、前記乗用旅客車両を識別するための情報を表示させる表示手段を備えている。なお、情報掲示板402を表示先として使用する場合、乗用旅客車両の利用者の情報と、乗用旅客車両を識別するための情報とを組にして表示すればよい。
【0058】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果に加え、ユーザーの機器に事前にコンピュータプログラム(いわゆる「アプリ」、「App」)をインストールしなくてもよいという利点がある。もちろん、第4の実施形態においても、第2、第3の実施形態と同様に、乗用旅客車両を識別するための情報として、乗用旅客車両の特徴情報や迎車位置を提供する構成に変形することもできる。
【0059】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的な技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示した装置構成、各要素の構成、データ等の表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。例えば、上記した第3の実施形態では、迎車位置として交差点が指定されたものとして説明したが、迎車位置は交差点に限られない。
【0060】
また、上記した各実施形態に示した手順は、乗車支援システムとして機能するコンピュータ(
図13の9000)に、乗車支援システムとしての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図13のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図13のCPU9010にて、乗用旅客車両の特定プログラムやデータ送信プログラムを実行させればよい。
【0061】
即ち、上記した情報処理装置やサーバの各部(処理手段、機能)は、これらの装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0062】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による乗車支援システム参照)
[第2の形態]
上記した乗車支援システムは、前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記迎車中の乗用旅客車両の外観画像を表示させる構成を採ることができる。
[第3の形態]
上記した乗車支援システムは、前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記迎車中の乗用旅客車両のドライバーの顔が写った画像を表示させる構成を採ることができる。
[第4の形態]
上記した乗車支援システムは、前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記迎車中の乗用旅客車両の画像から認識した車両の特徴情報を表示させる構成を採ることができる。
[第5の形態]
上記した乗車支援システムは、さらに、前記定点カメラの位置と、前記乗用旅客車両の進行方向に基づいて、前記乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を予測する迎車位置予測手段を備え、
前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記乗用旅客車両の迎車位置又は前記迎車位置への進入方向を表示させる構成を採ることができる。
[第6の形態]
上記した乗車支援システムは、さらに、前記定点カメラの位置と、前記乗用旅客車両の画像とに基づいて、前記乗用旅客車両の到着時刻を予測する迎車時刻予測手段を備え、
前記乗用旅客車両を識別するための情報として、前記乗用旅客車両の到着時刻を表示させる構成を採ることができる。
[第7の形態]
上記した乗車支援システムは、前記乗用旅客車両の利用者の端末からの要求に基づいて動作するサーバによって構成されている構成を採ることができる。
[第8の形態]
(上記第2の視点による乗車支援方法参照)
[第9の形態]
(上記第3の視点によるプログラム参照)
なお、上記第8~第9の形態は、第1の形態と同様に、第2~第7の形態に展開することが可能である。
【0063】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0064】
10 乗車支援システム
11 受信手段
12 画像取得手段
13 表示手段
20、200 配車システム
30、300 定点カメラ
40 表示装置
50、500 乗用旅客車両
100、100a、100b 情報処理装置
100c サーバ
101 受信部
102 画像取得部
103、103a、103b 表示部
103c 送信部
104 特徴抽出部
105 迎車位置予測部
401 スマートフォン
402 情報掲示板
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置