(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】車両用表示システム、車両用表示方法、及び車両用表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20241016BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241016BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20241016BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G09G5/00 530H
G01C21/26 C
G09G5/00 510H
G09G5/00 510V
G09G5/00 530T
G09G5/00 550C
G09G5/37 300
G09G5/38 100
(21)【出願番号】P 2023511062
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2022013562
(87)【国際公開番号】W WO2022210172
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2021057357
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】横山 静香
(72)【発明者】
【氏名】山元 健史
(72)【発明者】
【氏名】田口 清貴
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-121796(JP,A)
【文献】特開2017-178192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0201207(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0055547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
G01C 21/26
B60K 35/00 - 35/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ディスプレイの第1表示画面、及び、前記第1表示画面と縦方向に併設された第2ディスプレイの第2表示画面に情報を連携表示する車両用表示システムであって、
前記第1表示画面と前記第2表示画面とは奥方向に離間して設置され、
車両の乗員のうち何れか少なくとも一以上の乗員を含み前記第1表示画面及び前記第2表示画面を視認する対象者を選定する対象者選定部(11b)と、
前記対象者選定部により前記対象者が選定されていない状態から前記対象者が選定されると前記縦方向にコンテンツの情報を繋げて前記対象者に視認させるように前記第1表示画面又は前記第2表示画面に対し前記情報の表示態様を変化させる表示処理部(13)と、
を備える車両用表示システム。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記情報を表示する前記第1表示画面又は前記第2表示画面を移動させることで前記情報の表示態様を変化させる請求項1記載の車両用表示システム。
【請求項3】
前記第1表示画面又は前記第2表示画面の上に操作パネル(21a)を設け、
前記第1表示画面又は前記第2表示画面に表示させる
情報の表示態様に基づいて前記操作パネルによる操作を受付ける操作受付領域(21b)を移動させる操作制御部(11)をさらに備える請求項1又は2記載の車両用表示システム。
【請求項4】
前記第1表示画面又は前記第2表示画面の上に操作パネル(21
a)を設け、
前記表示処理部は、前記車両の乗員により操作されると操作を受付ける操作受付領域と表示画面に表示される画像コンテンツ
とについて、
前記車両の乗員により視認されたとき
の表示内容が
前記縦方向に少なくとも一部重ねて並べるように前記画像コンテンツの表示態様を変化させる請求項1から3の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項5】
前記第1表示画面が横長に設けられた複数のディスプレイ(2a)により構成されている場合、
前記表示処理部は、前記複数のディスプレイの中で1又は複数のディスプレイを択一的に選択して表示させる請求項1から4の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項6】
前記対象者選定部は、前記車両の乗員の何れが前記第1表示画面及び前記第2表示画面を視認する前記対象者であるかを検知する視認者検知部(11c)を備える請求項1から5の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項7】
前記第1表示画面又は前記第2表示画面の上に操作パネル(21、21a)を設け、
前記対象者選定部は、前記車両の乗員の何れが
前記操作パネルを操作する前記対象者であるかを検知する操作者検知部(11d)を備える請求項1から5の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項8】
前記対象者選定部は、外部からの着信時に前記車両の乗員のうち何れの乗員の所持する携帯端末への着信の前記対象者であるかを検知する着信者検知部(11e)を備える請求項1から5の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項9】
前記表示処理部は、前記対象者に合わせて前記縦方向に前記情報を繋げて視認できるように表示態様を変化させる
請求項1から8の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項10】
前記対象者選定部が前記車両の乗員のうち複数を前記対象者として選定したときには、
前記表示処理部は、前記車両の中央から前記縦方向に前記情報を繋げて視認できるように表示態様を変化させる
請求項1から9の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項11】
前記対象者選定部が前記車両の乗員のうち複数を前記対象者として選定したときには、複数の前記対象者に視認させるように表示態様を変化させる
請求項1から9の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項12】
前記対象者選定部は、車両内で選定された前記対象者が変化した場合であっても、
前記表示処理部は、表示態様を少なくとも一定時間だけ固定して表示させる
請求項1から11の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項13】
ナビゲーションのアプリケーションの実行に伴い、前記第1表示画面及び前記第2表示画面の縦2画面に目的地探索画面を表示させる際に、
前記対象者選定部は、ドライバから操作されたか助手席から操作されたか判定する操作者検知部(11d)を備え、
前記表示処理部は、
前記操作者検知部により前記ドライバにより操作されたと判定したときには、前記第1表示画面に表示させる情報の表示位置を中央から助手席側に位置するように変更させ、
前記操作者検知部により前記助手席から操作されたと判定したときには、前記第1表示画面に表示させる情報の表示位置を中央からドライバ席側に位置するように変更させる請求項1から5の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項14】
エアコンディショナのアプリケーションの実行に伴い、前記第1表示画面及び前記第2表示画面の縦2画面に対し前記第1表示画面に温度調整状況を表示させると共に前記第2表示画面に温度の操作方法を表示させる際に、
前記対象者選定部は、ドライバから操作されたか助手席から操作されたか判定する操作者検知部(11d)を備え、
前記表示処理部は、
前記操作者検知部により前記ドライバから操作されたと判定したときには、前記第1表示画面に表示させる温度調整状況の表示位置を中央から助手席側に位置するように変更させ、
前記操作者検知部により前記助手席から操作されたと判定したときには、前記第1表示画面に表示させる温度調整状況の表示位置を中央からドライバ席側に位置するように変更させる請求項1から5の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項15】
ハンズフリー電話のアプリケーションの実行に伴い、前記第1表示画面及び前記第2表示画面の縦2画面に対し前記第1表示画面に着信画面を表示させると共に前記第2表示画面上に設けられた操作パネルをフリック操作受付けさせる際に、
前記対象者選定部は、外部からの着信時に車両の乗員のうち何れの乗員の所持する携帯端末への着信の対象者であるかを検知する着信者検知部(11e)を備え、
前記表示処理部は、
前記着信者検知部によりドライバが所持する携帯端末を宛先とした着信であると判定したときには、前記第1表示画面に表示させる着信画面の表示位置を中央から助手席側に位置するように変更させ、
前記着信者検知部により助手席の乗員が所持する携帯端末を宛先とした着信であると検知したときには、前記第1表示画面に表示させる着信画面の表示位置を中央からドライバ席側に位置するように変更させる請求項1から5の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項16】
大型地図アプリのアプリケーションの実行に伴い、前記第1表示画面及び前記第2表示画面の縦2画面に対し大型地図を縦方向に並べて表示させる際に、
前記対象者選定部は、前記車両の乗員の何れが前記第1表示画面及び前記第2表示画面を視認する前記対象者であるかを検知する視認者検知部(11c)を備え、
前記表示処理部は、
前記視認者検知部によりドライバが前記第1表示画面及び前記第2表示画面を視認する視認対象者であると検知したときには、前記第1表示画面に表示させる着信画面の表示位置を中央から助手席側に位置するように変更させ、
前記視認者検知部により助手席の乗員が前記第1表示画面及び前記第2表示画面を視認する視認対象者であると検知したときには、前記第1表示画面に表示させる着信画面の表示位置を中央からドライバ席側に位置するように変更させる請求項1から5の何れか一項に記載の車両用表示システム。
【請求項17】
第1表示画面、及び、前記第1表示画面と縦方向に併設された第2表示画面に情報を連携表示する車両用表示方法であって、
前記第1表示画面と前記第2表示画面とは奥方向に離間して設置され、
車両の乗員のうち何れか少なくとも一以上の乗員を含み前記第1表示画面及び前記第2表示画面を視認する対象者を
対象者選定部により選定する過程と、
前記対象者選定部により前記対象者が選定されていない状態から前記対象者が選定されると前記縦方向にコンテンツの情報を繋げて前記対象者に視認させるように前記第1表示画面又は前記第2表示画面に対し前記情報の表示態様を
表示処理部により変化させる過程と、
を備える車両用表示方法。
【請求項18】
第1表示画面、及び、前記第1表示画面と縦方向に併設された第2表示画面に情報を連携表示する車両用表示プログラムであって、
前記第1表示画面と前記第2表示画面とは奥方向に離間して設置され、
車両用装置(10)に、
車両の乗員のうち何れか少なくとも一以上の乗員を含み前記第1表示画面及び前記第2表示画面を視認する対象者を
対象者選定部により選定する手順と、
前記対象者選定部により前記対象者が選定されていない状態から前記対象者が選定されると前記縦方向にコンテンツの情報を繋げて前記対象者に視認させるように前記第1表示画面又は前記第2表示画面に対し前記情報の表示態様を
表示処理部により変化させる手順と、
を実行させる車両用表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年3月30日に出願された日本出願番号2021-057357号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車両用表示システム、車両用表示方法及び車両用表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、車両内には複数のディスプレイが配置されており、これらのディスプレイは車両に関する各種の情報を表示している。例えば、特許文献1参照。特許文献1記載の技術によれば、特定の座席から視認できるような立体画像を生成している。
【0004】
また、ドライバの視線の位置に注意喚起画像を表示する技術も提案されている。また、ドライバがステアリングスイッチの操作時に中央ディスプレイにて操作内容を観察すると脇見運転になるため、操作部に近い位置でダッシュボードにおいて運転席から対向する位置に表示している技術も提案されている。また、走行状況に応じて表示位置をシフトする技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
近年、コックピットシステムの中央縦に複数のディスプレイを併設することで表示領域を増やしつつ、さらにこれらの複数のディスプレイを連携させて情報提供する技術を提案されている。複数のディスプレイが離間していると、ドライバ席又は助手席に座した乗員から、併設されたディスプレイが縦方向に連携表示していることを把握しにくくなる。
【0007】
本開示の目的は、縦方向に併設された複数のディスプレイが連携表示していることを乗員から違和感なく把握できるようにした車両用表示システム、車両用表示方法及び車両用表示プログラムを提供することにある。
【0008】
本開示の一態様は、第1ディスプレイの第1表示画面、及び、第1表示画面と縦方向に併設された第2ディスプレイの第2表示画面に情報を連携表示する車両用表示システムを対象としている。第1表示画面と第2表示画面とは奥方向に離間して設置されている。本開示の一態様によれば、対象者選定部は、車両の乗員のうち何れか少なくとも一以上の乗員を含み第1表示画面及び第2表示画面を視認する対象者を選定し、表示処理部は、対象者選定部により対象者が選定されていない状態から対象者が選定されると縦方向にコンテンツの情報を繋げて対象者に視認させるように第1表示画面又は第2表示画面に対し情報の表示態様を変化させている。これにより、縦方向に併設された複数のディスプレイが連携表示していることを乗員から違和感なく把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
【
図1】
図1は、第1実施形態における車両用表示システムの外観図であり、
【
図2】
図2は、ディスプレイの構成例と制御イメージを示す説明図であり、
【
図3】
図3は、車両用表示システムを概略的に示すブロック図であり、
【
図4】
図4は、ハードウェア、ソフトウェアを概略的に示す構成図であり、
【
図5】
図5は、第1ディスプレイの第1表示画面と第2ディスプレイの第2表示画面とに表示させる画像コンテンツ例であり、
【
図6】
図6は、処理を概略的に説明するフローチャートであり、
【
図7】
図7は、ドライバ席からの視点で縦方向に連携視認できる表示領域を示す説明図であり、
【
図8】
図8は、助手席からの視点で縦方向に連携視認できる表示領域を示す説明図であり、
【
図9】
図9は、中央からの視点で縦方向に連携視認できる表示領域を示す説明図であり、
【
図10】
図10は、第2実施形態における第1ディスプレイの第1表示画面と第2ディスプレイの第2表示画面とに表示させる画像コンテンツ例であり、
【
図11】
図11は、処理を概略的に説明するフローチャートであり、
【
図12】
図12は、第3実施形態における第1ディスプレイの第1表示画面と第2ディスプレイの第2表示画面とに表示させる画像コンテンツ例であり、
【
図13】
図13は、処理を概略的に説明するフローチャートであり、
【
図14】
図14は、第4実施形態における第1ディスプレイの第1表示画面と第2ディスプレイの第2表示画面とに表示させる画像コンテンツ例であり、
【
図15】
図15は、処理を概略的に説明するフローチャートであり、
【
図16】
図16は、第5実施形態における車室内のディスプレイの設置環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、車両用表示システム1、車両用表示方法、車両用表示プログラムに係る幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に共通する部位には同一の符号を付して説明する。
【0011】
図1に示すように、車両用表示システム1は、ピラートゥピラーディスプレイ2、及びセンタディスプレイ3など複数の表示器を備えるコックピットシステム4により構成される。ただし、表示器の数や配置あるいは構成は一例であり、これらに限定されない。以下、ピラートゥピラーディスプレイ2を、PtoPディスプレイ2と称す。
【0012】
図2に示すように、PtoPディスプレイ2は、複数のディスプレイ2aを隣り合わせて横長になるように構成されている。PtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイにより構成され、車両の左ピラーと右ピラーとの間にかけてダッシュボードに設けられる大型ディスプレイである。PtoPディスプレイ2は、メータ画像、周辺カメラ23の撮像画像、静止画や動画のエンターテインメント画像、現在位置周辺の地図画像などの各種の画像コンテンツをフルグラフィック表示で表示可能な構成となっている。
【0013】
この場合、メータ画像は、通常の運転時においてドライバの視界に入るPtoPディスプレイ2の中の特定のディスプレイ2aの中に表示される。自動運転の場合にはこの限りではない。またPtoPディスプレイ2は、横方向に長く構成されているため、ドライバや助手席の乗員以外にも後部座席の乗員から表示内容を確認できる。他方、センタディスプレイ3は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにより構成され、運転席と助手席との間で且つPtoPディスプレイ2の下部に設置されている。センタディスプレイ3は、ドライバや助手席の乗員の両者が視認しやすいセンタコンソール付近に設けられると共に各種のコンテンツを表示可能になっている。センタディスプレイ3の上には操作パネル21が構成されており、PtoPディスプレイ2に表示させるコンテンツの選択や空調操作、オーディオ操作、ナビゲーション機能の入力操作できるようになっている。
【0014】
PtoPディスプレイ2は、センタディスプレイ3に対し縦方向に併設されると共に離間して設置されている。縦方向に2画面併設して設置されていると、乗員が一度に視認可能な表示領域を増やすことができる。また、コックピットシステム4において、PtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aの表示画面は、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置するように設置されている。ここでいう奥方向とは、ドライバなどの車両乗員から見て奥方向に位置していることを意味しており、言い換えると、センタディスプレイ3の表示画面の面方向よりもPtoPディスプレイ2の表示画面の面方向が車両の進行方向に位置していることを意味している。
【0015】
また車両内には、
図1及び
図2に示すように、多数のECU5が構成されており、車内ネットワーク25に接続されている。ECU5は、表示系のECU、周辺監視系のECU、走行制御系のECU、車両外部と通信接続するDCMを含む。DCMは、Data Communication Moduleの略である。走行制御系のECUは、周知の車両制御ECU、エンジン制御ECU、モータ制御ECU、ブレーキ制御ECU、ステアリング制御ECU及び統合制御ECU等である。走行制御系のECUには自動運転ECUが含まれる。自動運転ECUは、Autonomous Driving Electric Control Unitである。
【0016】
自動運転ECUは、自動制御信号を入力すると、運転アクチュエータを駆動することで対応した所定のレベルの運転支援、自動運転を実行する。例えば、レベルIの運転支援では、障害物への衝突を避ける自動ブレーキ、先行車に追従して走行する追従走行、又は、両脇の車線からはみ出さないように制御する走行レーンはみ出し防止走行、を実行できる。レベルIIの自動運転では、レベルIの運転支援の組み合わせ、又は、特定条件下での自動運転、例えば高速道路で遅い車両が存在すれば自動で追い越したり、高速道路の分合流を自動で行ったりする自動運転モードを実行できる。なお、レベルIIの自動運転ではドライバによる監視義務がある。レベルIII以上の自動運転では、システムにより監視しながらシステムが全ての運転タスクを実行するが詳細説明は省略する。
【0017】
各ECU5は、プロセッサ、キャッシュメモリ、RAM、ROMなどの各種の記憶部6、I/O、これらを接続するバスを備えたマイクロコンピュータを主体として構成される。各ECU5は、車両内に設けられる他のECU5と通信制御部7及び車内ネットワーク25を通じて通信可能に接続されている。
【0018】
本実施形態では、
図2に示すように、表示系の複数のECU5が車両用装置10としてのHCUを構成しており、表示系のECU5の内部の物理リソースの処理能力を分担してPtoPディスプレイ2やセンタディスプレイ3に表示処理する。HCUは、Human Machine Interface Control Unitの略であり情報提示制御装置を示す。表示系のECU5の間も車内ネットワーク25を接続した形態を示しているが専用線により接続しても良い。前述した記憶部6は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体を示す。非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリなどにより実現される。
【0019】
図3に示すように、車両用装置10は、制御装置11、演算装置12、記憶部6、表示処理部13、音声処理部14、各種装置からの入力又は出力を管理するI/O制御部15、他のECU5との間で通信管理する通信制御部7、アンテナ16aを接続して構成され無線LANやブルートゥース(登録商標)により他の携帯端末27と無線接続できるようにした無線制御部16を備える。ここでは、主な構成要素についてはI/O制御部15を通じて入出力する形態を説明するが、車内ネットワーク25を通じて、周辺監視系のECU、走行制御系のECUなどの他のECU5と入出力が行われることもある。
【0020】
無線制御部16は、車両乗員が所持する携帯端末27との間で通信リンクする。車両用装置10は、携帯端末27の着信を待機し、通話相手先から携帯端末27へ着信があり着信応答されると、携帯端末27を通じて通話相手先との間でスピーカ18及びマイク17を通じてハンズフリー通話を実行できる。また車両用装置10は、マイク17を通じて入力された音声について音声認識できる。
【0021】
演算装置12は、制御装置11の制御に基づいて、記憶部6に記憶された画像や文字のコンテンツについて、PtoPディスプレイ2、センタディスプレイ3の表示画面に表示させる表示領域を演算し、画像や文字のコンテンツをPtoPディスプレイ2、センタディスプレイ3の表示画面の何れの領域に表示させるか、また、何れの領域に重ね合わせて表示させるか演算し、画像や文字のコンテンツと共に表示領域を制御装置11を通じて表示処理部13に出力する。
【0022】
表示処理部13は、制御装置11の制御に基づいて、PtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3の表示画面の中の前述の表示領域に画像、文章や文字のコンテンツを表示処理する。演算装置12の演算処理は、制御装置11,演算装置12、表示処理部13の何れが処理しても良い。これにより、ディスプレイ2、3の表示画面には、表示レイヤ毎に画像、文章や文字のコンテンツを重ね合わせて表示できる。音声処理部14は、制御装置11の制御に基づいて、マイク17から入力された受話音声を入力すると共に、スピーカ18から送話音声を出力する。音声処理部14は、文章や文字のコンテンツを制御装置11から入力すると、音声に変換してスピーカ18を通じて読み上げて出力する。
【0023】
位置検出器19は、図示しない周知のGPSなどのGNSS受信機、加速度センサやジャイロセンサなどの慣性センサを用いて高精度に位置を検出する。位置検出器19は、位置検出信号をI/O制御部15を通じて制御装置11に出力する。制御装置11の位置特定部11aは、地図データ入力器から入力される地図情報と位置検出器19の位置検出信号に基づいて車両の現在位置を高精度に逐次測位するADASロケータとしての機能を実現する。ADASは、Advanced Driver Assistance Systemsの略である。この場合、車両位置は、緯度および経度からなる座標系で表され、この座標系では、例えば、X軸が経度、Y軸が緯度を示す。なお、車両位置の測位は、例えば、自車両に搭載されている車速センサによるセンシング結果に基づき求められる走行距離の情報などに基づいて行うなど、自車両の位置を特定できる構成であれば、種々の構成を採用することができる。制御装置11は、自車両の現在位置に基づいて、いわゆるナビゲーション処理を行うことができる。
【0024】
操作パネル21は、センタディスプレイ3の上に構成されたタッチパネルであり、I/O制御部15は、乗員による操作入力があると操作入力を受け付け、制御装置11に出力する。制御装置11は操作パネル21の操作信号に基づいた制御を実行する。
【0025】
乗員モニタ22は、車両内に搭乗した乗員の状態又は操作状態を検知する。乗員モニタ22は、例えばパワースイッチ、乗員状態モニタ、ターンスイッチ、自動制御スイッチなどを用いて構成され、センサ信号を制御装置11に出力する。乗員モニタ22は、ドライバによりステアリングホイールが把持されているか又は操舵されているか否かを検出するステアリングセンサ、シートに着座しているか否かを検出する着座センサ、アクセルペダル又はブレーキペダルの踏込センサなども含んでいても良い。
【0026】
パワースイッチは、内燃機関又は電動モータを始動させるために車室内にてユーザによりオン操作されることで、当該操作に応じた信号を出力する。乗員状態モニタは、D席又はP席の乗員の状態を画像センサにより撮影することで当該乗員の状態を検知して撮像信号を出力するカメラを含んで構成される。ドライバの乗員状態モニタはDSMと称されている。DSMは、Driver Status Monitorの略である。乗員状態モニタは、ドライバの頭部に近赤外光を照射して撮影した撮像信号を取得し必要に応じて画像解析して制御装置11に出力する。これらの乗員状態モニタは、特に運転支援中や自動運転中にドライバなどの乗員の状態を検知するために使用される。ターンスイッチは、自車両の方向指示器を作動させるときに車室内にて乗員によりオン操作されることで、当該操作に応じて右方又は左方にターンするターン信号を出力する。
【0027】
自動制御スイッチは、車両の走行状態に対する自動制御を指令するために、車室内にて乗員によりオン操作されることで、当該操作に応じた自動制御信号を出力する。制御装置11は、乗員モニタ22のセンサ信号により車両乗員の挙動、例えば視線が何れの方向を向いているかを判定でき、また、パワースイッチの操作状態、方向指示器の作動状態、車両の自動制御の指令情報などを入力できる。
【0028】
周辺カメラ23は、車両の前方を撮像するフロントカメラ、車両の後部を撮像するバックカメラ、車両の前側部や後側部を撮像するコーナカメラ、又は、車両の側部を撮像するサイドカメラなどによる周辺監視センサであり、これらはそれぞれフロントガイドモニタ、バックガイドモニタ、コーナービューモニタ、サイドガイドモニタの各撮像信号としてI/O制御部15を通じて制御装置11に出力される。通信制御部7は、CANやLINなどの車内ネットワーク25に接続されており、他のECU5との間でデータを通信制御する。
【0029】
また車両には障害物との距離を検出する距離検出センサ24が周辺監視センサとして設置されている。距離検出センサ24は、クリアランスソナー、LiDAR、ミリ波や準ミリ波を用いたレーダなどにより構成され、車両前方、車両前側部、車両後側部、車両後方又は車両側部に近接する車両や人、動物、路上の落下物、ガードレール、縁石、樹木などを検知できる。また障害物への方位や障害物までの距離を検出できる。また、上記した周辺監視センサにより、自車両の周辺の道路に設けられている走行区画線、一時停止線、横断歩道、路上に表記された「止まれ」などの標示、交差点の境界に表示される停止線などの路面標示を検出できる。
【0030】
車両用装置10のハードウェア、ソフトウェア構成例を
図4に示している。各ECU5、5aにはそれぞれSoC30、31が搭載され、この搭載されたSoC30、31には前述したマイクロコンピュータが組込まれている。ECU5のSoC30、31に組み込まれたマイクロコンピュータは、予めインストールされた汎用OS32、具体的にはLinuxOS(Linuxは登録商標)上で各種の複数のアプリケーション(以下、アプリと略す)が動作するように構成されている。SoCはSystem On Chipの略である。
【0031】
アプリ33は、画像処理アプリ34やその他のアプリを含む。画像処理アプリ34の描画要求に応じてSoC30に組み込まれたプロセッサが、PtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aの表示画面に描画処理する。
【0032】
ECU5aはメータ描画用途で設けられているため符号5aを付している。ECU5aのSoC31に組み込まれたマイクロコンピュータには、汎用OS32よりもリアルタイム性能高く処理できるリアルタイムOS35が組み込まれており、リアルタイムOS35上でメータアプリ36を動作させるように構成されている。以下の説明では、画像処理アプリ34やメータアプリ36などのアプリ33を主体として説明することがあることに留意する。
【0033】
メータアプリ36は、車両の速度や回転数あるいは警告などをユーザに報知するものであると共に、主にPtoPディスプレイ2について特定のディスプレイ2aの表示エリアに表示される画像コンテンツを描画する。例えば、メータアプリ36は、速度計や回転数計、シフトレンジポジション、又は、警告灯などの画像コンテンツを描画する。速度計は、車両の速度の変化を示すためにリアルタイムで表示を更新する必要がある速度画像を含む。同様に、回転数計も、回転数の変化を示すためにリアルタイムで表示を更新する必要があるため、メータ画像aに含まれる。通信制御部7はCAN,LINなどの車両内ネットワークを通じて他のECU5との間の通信を行う。
【0034】
また、メータアプリ36により描画されるコンテンツは、他のディスプレイ、ここではセンタディスプレイ3にも表示できる。メータアプリ36によって描画されるコンテンツは、他のアプリによって描画されるコンテンツよりも、相対的にリアルタイム性が要求される。
【0035】
アプリ33にはナビアプリ等が含まれている。ナビアプリは、ナビゲーション機能を実現するものであると共に、主にPtoPディスプレイ2に表示される地図画像dや車両の現在位置などを含むナビゲーション画面などの画像コンテンツを描画する。
【0036】
またアプリ33には画像合成アプリも含まれている。画像合成アプリは、表示器に表示する様々な画像コンテンツの大きさや種類を特定し、画像コンテンツの画像を1フレーム内に合成し、この合成された混在画像をPtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aに出力するアプリである。画像合成アプリは、コンポジッタとも称される画像合成部としての機能や、また画像出力部としての機能を実現する。
【0037】
またアプリ33には検知アプリも含まれている。検知アプリは、乗員モニタ22による撮像信号に基づいて車両内の乗員の仕草を検知したり、手指による操作やその視線を検知したりする。また、操作パネル21のタッチパネルの操作者を検知したり、車両乗員が所持する携帯端末27との間で無線通信することで着信の有無を検知したりする。検知アプリは、視認者検知部11c、操作者検知部11d、着信者検知部11eとしての機能を実現する。
【0038】
またアプリ33には選定アプリも含まれている。選定アプリは、検知アプリにより検知された車両内の乗員のうち何れか少なくとも一以上の乗員を含みPtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3を視認する対象者を選定するアプリである。選定アプリは、対象者選定部11bとしての機能を実現する。
【0039】
各アプリ33、36のうち画像コンテンツを描画するアプリには、画像コンテンツを描画するための表示レイヤが割り当てられている。これらの表示レイヤは、記憶部6上に、必要となる画像コンテンツを描画できる大きさで確保されている。
【0040】
また、各ディスプレイ2、3に表示される画像コンテンツは、アニメーション動作可能になっている。ここで、アニメーション動作とは、コンテンツを示す画像の位置や大きさが徐々に変化したり、画像が回転したり、スワイプ操作にともなってユーザインターフェースが全体的に移動したり、画像が徐々にフェードインあるいはフェードアウトしたり、画像の色が変化したりするような表示態様である。
【0041】
例えば、速度計や回転数計などのメータ画像あるいは地図画像などは、表示モードや表示先のディスプレイ2、3によってその大きさや位置が変化する画像コンテンツである。ただし、アニメーション動作はこれらに限定されず、ある時点から連続的あるは断続的に表示態様が変化するものであればアニメーション動作に含まれる。
【0042】
図3に示した制御装置11は、記憶部6に記憶された各種のアプリ33、36を実行することで各種の処理を実行する。本実施形態では、制御装置11が記憶部6に記憶されたナビアプリを実行することでナビゲーション機能を実現する。また、制御装置11は、記憶部6に記憶された検知アプリを実行することで、乗員モニタ22のモニタ信号に基づいて車両内のD席、P席、後部座席に座した乗員の有無、D席やP席又は後部座席に座した乗員の視線を検知し視認対象者を検知する視認者検知部11cとして機能する。
【0043】
また、制御装置11は、検知アプリを実行することで車両内の乗員の何れが操作パネル21を操作する対象者であるかを検知する操作者検知部11dの機能を実現する。また制御装置11は、検知アプリを実行することで無線制御部16を通じて外部からの着信時に車両の乗員のうち何れの乗員の所持する携帯端末27への着信の対象者であるかを検知する着信者検知部11eとしての機能を実現する。また制御装置11は、選定アプリを実行することで、車両内の乗員のうち何れか少なくとも一以上の乗員を含みPtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3の両者を視認する対象者を選定する対象者選定部11bとしての機能を実行する。
【0044】
表示処理部13は、対象者選定部11bによる対象者の選定結果に基づいてセンタディスプレイ3又はPtoPディスプレイ2に表示させる画像コンテンツの表示位置を変更、又は、画像コンテンツを変更処理する。そして、表示処理部13は、選定した対象者に視認しやすくするように対象者に合わせて、PtoPディスプレイ2の各ディスプレイ2aの第1表示画面及びセンタディスプレイ3の第2表示画面に対し連携表示させる情報の表示態様を変化させる。表示処理部13は、対象者に合わせて上下方向に情報を繋げて視認できるように表示態様を変化させることが望ましい。
【0045】
以下、PtoPディスプレイ2とセンタディスプレイ3の使用態様について
図5及び
図6をも参照して説明する。乗員が、ナビゲーション機能を利用するとき、センタディスプレイ3上に設置された操作パネル21をタップして目的地を設定する。
【0046】
図5に示すように、制御装置11はナビアプリを実行することで、乗員から目的地設定指示を受け付けると、表示処理部13はセンタディスプレイ3の画面にキーボードを疑似的に表示させると共に、PtoPディスプレイ2の特定のディスプレイ2aに予測変換結果を表示させる。これにより、乗員が操作内容を把握しながら予測変換結果を把握しやすくなり、手戻りなく操作をスムーズに行うことができる。また文字を入力している途中の状態でも検索結果が予測できるようになり、最少の入力で手戻りなく検索を行うことができる。
【0047】
また、制御装置11のナビアプリの実行に伴い、表示処理部13が
図6のS11においてセンタディスプレイ3及びPtoPディスプレイ2の縦2画面に目的地探索画面を表示する際には、
図6のS12及びS14においてD席から操作されたか、P席から操作されたか判定する。
【0048】
制御装置11は、ナビアプリの実行に伴い、視認者検知部11cによりD席から視線を検知したり、操作者検知部11dによりD席から操作されたと検知したりしたときには、S12にてYESと判定し、表示処理部13はS13においてD席への情報提供の際にD席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に表示する。このとき、表示処理部13は、PtoPディスプレイ2を構成する複数のディスプレイ2aの中で1又は複数のディスプレイ2aを択一的に選択して表示させることが望ましい。すると、表示処理部13は複数のディスプレイ2aに渡って一の画像コンテンツを表示処理する必要がなくなり、乗員も見やすくなる。
【0049】
PtoPディスプレイ2の表示画面が、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置しているときには、
図7の表示画面Aに示すように、表示処理部13はPtoPディスプレイ2に対し中央からP席側に位置するように表示画面を移動させることで情報の表示態様を変化させる。これにより、D席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に画像コンテンツを表示できる。これにより、縦方向に併設された2つのディスプレイ2、3の画面表示が連携していることをD席に座したドライバに伝えやすくなる。
【0050】
また、制御装置11によるナビアプリの実行に伴い、P席から視線を検知したり、P席から操作されたと検知したりしたときにはS14にてYESと判定し、表示処理部13はS15においてP席への情報提供の際にP席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に表示する。
【0051】
PtoPディスプレイ2の表示画面が、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置しているときには、
図8の表示画面Bに示すように、表示処理部13はPtoPディスプレイ2に対し中央からD席側に位置するように表示させることで、P席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に画像コンテンツを表示する。これにより、縦方向に併設された2つのディスプレイ2、3の表示画面に連携表示していることをP席の乗員に伝えやすくなる。
【0052】
S12及びS14において何れの条件も満たしていないときには、表示処理部13はS16において中央から見て縦方向に並んで視認できる位置に表示する。つまり、
図9に示すように、中央から見て縦方向に並んで視認できる位置に画像コンテンツを表示させる。
【0053】
例えば、センタディスプレイ3の操作パネル21がマルチタップに対応している場合、D席に座したドライバが操作中に、P席の乗員が操作してもD席から見て縦方向に見える位置に表示できる。D席から操作していない時にP席の乗員が操作した場合、P席から見て縦に見える位置に表示できる。また、操作パネル21を誰も操作してないときは、中央から見て縦方向に見えるように表示できる。誰も操作していない場合は、下画面の真上に上画面を配置できるため、車両内の後部座席を含めてどの席に座した乗員が確認しても平均的に見やすくなる。
【0054】
<比較例>
一般車両のD席及びP席は、車両内のコックピットシステム4の中央部から左方又は右方に寄っているため、例えばコックピットシステム4の中央正面から縦方向に併設された複数のディスプレイ2、3を観察したときに縦方向に連携表示しているように見えても、D席又はP席から同様に観察できるとは限らない。
【0055】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、ドライバ又はP席の乗員の対象者を選定し、表示処理部13は、対象者に視認しやすくするようにPtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3に対し情報の表示態様を変化させるようにした。これにより、縦方向に併設された複数のディスプレイ2,3が連携表示していることを乗員から違和感なく把握できる。
【0056】
ナビアプリの実行に伴い、PtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3の縦2画面に目的地探索画面を表示させる際に、D席のドライバから操作されたかP席から操作されたか操作者検知部11dにより検知し、表示処理部13は、ドライバにより操作されたと判定したときには、PtoPディスプレイ2に表示させる情報の表示位置を中央からP席側に位置するように変更させ、P席から操作されたと判定したときには、PtoPディスプレイ2のディスプレイ2aに表示させる情報の表示位置を中央からD席側に位置するように変更させている。これにより、ドライバやP席の乗員から視認しやすくなる。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図10、
図11をも参照して説明する。本実施形態では、車内に設置されたエアコンディショナにより温度を上下操作する際の操作内容について説明する。記憶部6にはエアコンディショナ機能のアプリケーション(以下、エアコンアプリ)がインストールされており、エアコンアプリを実行することでエアコンディショナ機能を実現できる。操作パネル21がスワイプ操作を受け付けると、制御装置11はショートカット機能を起動させエアコンアプリを起動するように構成されている。
【0058】
操作者が、センタディスプレイ3上に設置された操作パネル21を上下スワイプ操作することでショートカット機能を利用してエアコンの温度を変更開始指令する。
図10に示すように、制御装置11は、エアコンアプリを用いてPtoPディスプレイ2の特定のディスプレイ2aに温度調整状況を表示させると共に、センタディスプレイ3に操作パネル21の操作方法を表示させる。
【0059】
制御装置11は、エアコンアプリの実行に伴い、
図11のS21においてセンタディスプレイ3及びPtoPディスプレイ2の縦2画面でエアコン操作を表示する際、
図11のS22においてD席から操作されたか否かを判定する。
【0060】
エアコンアプリの実行に伴い、D席から操作されたと検知したときには
図11のS22にてYESと判定し、S23においてD席への情報提供の際にD席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に表示する。
【0061】
PtoPディスプレイ2の表示画面が、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置しているときには、
図7の表示画面Aに示すように、表示処理部13は、PtoPディスプレイ2に対し中央からP席側に位置するように表示させることでD席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に画像コンテンツを表示する。D席に座したドライバが温度調整を実施しているとき、操作結果をP席側の位置に表示することで、ドライバが操作結果を確認しやすくなる。
【0062】
またエアコンアプリの実行に伴い、P席から操作されたと検知したときにはS22にてNOと判定し、S25においてP席への情報提供の際にP席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に表示する。
【0063】
PtoPディスプレイ2の表示画面が、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置しているときには、
図8の表示画面Bに示すように、PtoPディスプレイ2に対し中央からD席側に位置するように表示させることでP席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に画像コンテンツを表示する。P席の乗員が温度調整を実施しているときは、操作結果をD席側の位置に表示することで、P席の乗員が操作結果を確認しやすくなる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、エアコンディショナの操作人がD席のドライバかP席の乗員かに応じて、PtoPディスプレイ2に表示させるコンテンツの位置を変化させている。これにより、操作パネル21を操作する操作者の変化に応じてPtoPディスプレイ2に表示させるコンテンツの位置を変更でき、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0065】
温度調整を行う時、温度調整の結果をセンタディスプレイ3ではなく乗員着座中の目線に近いPtoPディスプレイ2に表示することで、乗員は目線をさげることなく温度調整できる。ドライバは首振りの動作なく温度調整ができるため運転中でも操作しやすくなる。
【0066】
エアコンアプリの実行に伴い、PtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3の縦2画面に対しPtoPディスプレイ2に温度調整状況を表示させると共にセンタディスプレイ3に温度の操作方法を表示させる際に、D席のドライバにより操作されたかP席の乗員により操作されたか操作者検知部11dにより検知している。また、表示処理部13は、操作者検知部11dによりドライバから操作されたと判定したときには、PtoPディスプレイ2に表示させる温度調整状況の表示位置を中央からP席側に位置するように変更させている。表示処理部13は、P席から操作されたと検知したときには、PtoPディスプレイ2に表示させる温度調整状況の表示位置を中央からD席側に位置するように変更させている。これにより、ドライバやP席の乗員から視認しやすくなる。
【0067】
(第3実施形態)
第3実施形態について
図12、
図13をも参照しながら説明する。本実施形態では、ハンズフリー電話に関連した制御内容について説明する。記憶部6にはハンズフリー電話のアプリケーション(以下、電話アプリ)がインストールされており、制御装置11が電話アプリを実行することでハンズフリー電話機能を実現する。
【0068】
本実施形態では、ドライバ及びP席の乗員は所謂ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信に対応したスマートフォン又はタブレットなどの携帯端末27を所持している。車両エンジンが始動されると電話アプリが起動し、無線制御部16を通じて車両内の携帯端末27と近距離無線通信により通信確立する。また電話アプリが実行されると、制御装置11は、車両内の携帯端末27と通信し携帯端末27の内部に記憶された電話帳を読み取り、第三者からの着信を待機したり発信指令を待機する。
【0069】
この後、電話アプリの実行に伴い、
図13のS31において電話着信中であるか否かを判定し、第三者から電話を着信すると、近距離無線通信を用いて車両内の携帯端末27との間で通信し、S32において着信電話番号を参照することで車両内のどの対象者の所持する携帯端末27に着信しているか判定する。電話アプリはS32においてD席のドライバが所持する携帯端末27宛の電話であるか否かを判定する。
【0070】
電話アプリの実行に伴い、着信者検知部11eによりD席のドライバが所持する携帯端末27宛の電話であると検知したときにはS32にてYESと判定し、S33においてD席のドライバへの情報提供の際にD席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に表示する。
【0071】
PtoPディスプレイ2の表示画面が、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置しているときには、
図7の表示画面Aに示したように、PtoPディスプレイ2に対し中央からP席側に位置するように表示させることでD席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に着信画面を表示する。
【0072】
ドライバが所持する携帯端末27を宛先とした着信であると判定したときには、PtoPディスプレイ2に表示する着信画面を中央からP席側の位置に表示することで、ドライバが着信画面を確認しやすくなる。PtoPディスプレイ2にて着信画面を確認できると、視線を前方に向けたまま目線を下げることなくセンタディスプレイ3をフリック操作することで応答でき、ドライバが運転中でも操作しやすくなる。
【0073】
また電話アプリの実行に伴い、着信者検知部11eによりP席の乗員が所持する携帯端末宛の電話であると検知したときにはS32にてNOと判定し、S35においてP席への情報提供の際にP席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に表示する。つまり、PtoPディスプレイ2の表示画面が、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置しているときには、
図8の表示画面Bに示すように、PtoPディスプレイ2に対し中央からD席側に位置するように表示させることでP席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に着信画面を表示する。
【0074】
P席の乗員宛の電話のときは、着信画面をD席側の位置に表示することで、P席の乗員が操作結果を確認しやすくなる。着信後に操作パネル21がスワイプ操作を受け付けると、電話アプリが着信元に応答して通話を開始できる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、電話着信があったときに、D席に座したドライバが所持する携帯端末宛の着信であるか、P席の乗員が所持する携帯端末宛の着信であるかに応じて、PtoPディスプレイ2に表示させるコンテンツの位置を変更している。これにより、着信の宛先の変化に応じてPtoPディスプレイ2に表示させる着信画面の表示位置を変更できる。
【0076】
ハンズフリー電話のアプリケーションの実行に伴い、PtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3の縦2画面に対しPtoPディスプレイ2に着信画面を表示させると共にセンタディスプレイ3上に設けられた操作パネル21にてフリック操作受け付けさせる際に、外部からの着信時に車両の乗員のうち何れの乗員の所持する携帯端末27への着信の対象者であるかを着信者検知部11eにより検知している。
【0077】
そして表示処理部13は、ドライバが所持する携帯端末27を宛先とした着信であると判定したときには、PtoPディスプレイ2に表示させる着信画面の表示位置を中央からP席側に位置するように変更させている。また、表示処理部13は、P席の乗員が所持する携帯端末27を宛先とした着信であると検知したときには、PtoPディスプレイ2に表示させる着信画面の表示位置を中央からD席側に位置するように変更させている。このため、着信の宛先の変化に応じてPtoPディスプレイ2に表示させる着信画面の表示位置を変更できる。
【0078】
(第4実施形態)
第4実施形態について
図14、
図15をも参照しながら説明する。本実施形態では、縦2画面に大型の地図画像dを表示した場合の制御内容について説明する。記憶部6には大型地図表示機能のアプリケーション(以下、大型地図表示アプリ)がインストールされており、
図14に示すように、制御装置11が大型地図表示アプリを実行することでセンタディスプレイ3及びPtoPディスプレイ2の縦2画面に対して大型地図を表示させる機能を実現する。
【0079】
大型地図アプリの実行に伴い、
図15のS41においてセンタディスプレイ3及びPtoPディスプレイ2の縦2画面で大型地図を表示する際、S42及びS44においてD席で視認中であるかP席で視認中であるかを判定する。
【0080】
大型地図表示アプリの実行に伴い、S41においてD席から視認中であると検知したり、D席から操作されたと検知したときには、S42にてYESと判定し、S43においてD席への情報提供の際にD席からの視点において縦方向に並んで視認できる位置に表示する。
【0081】
PtoPディスプレイ2の表示画面が、センタディスプレイ3の表示画面よりも奥方向に位置しているときには、
図7の表示画面Aに示すように、PtoPディスプレイ2に対し中央からP席側に位置するように表示させることでD席からの視点において縦方向に並べて視認できる位置に大型地図を表示する。PtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3の2画面を用いて、縦長に現在地点の周辺地図を表示しているため、D席のドライバは広範囲の地図を俯瞰的に確認でき案内を理解し易くなる。
【0082】
また、大型地図表示アプリの実行に伴い、P席から視認中であると検知したり、P席から操作されたと検知したときには、
図15のS44にてYESと判定し、S45においてP席の乗員への情報提供の際にP席の乗員からの視点において垂直平面上、縦方向、視線の上下方向に少なくとも一部重ねて並べて視認できる位置に表示する。これにより、P席の乗員により視認されたときに表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように表示できる。
【0083】
つまり、PtoPディスプレイ2の表示画面が、センタディスプレイ3の表示画面より奥方向に位置しているときには、
図8の表示画面Bに示すように、PtoPディスプレイ2に対し中央からD席側に位置するように表示させることでP席からの視点において垂直平面上、縦方向、視線の上下方向に少なくとも一部重ねて並べて視認できる位置に大型地図を表示する。これにより、P席の乗員により視認されたときに表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように表示できる。また、PtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3の2画面を用いて縦長に現在地点の周辺地図を表示できるため、P席の乗員は広範囲の地図を俯瞰的に確認でき案内を理解し易くなる。
【0084】
ドライバが、地図を視認しておらずP席の乗員が地図を視認しているときには、PtoPディスプレイ2の画面の地図を中央からD席側に表示させることで、P席の乗員から見て縦に地図を結合した状態で視認できるようになり理解しやすくなる。
【0085】
S42及びS44において何れの条件も満たしていないときには、大型表示アプリはS46においてD席のドライバから見て垂直平面上、縦方向、又は、視線の上下方向に少なくとも一部重ねて並べて視認できる位置に表示させる。基本的に、地図はドライバ向けのコンテンツであるため、D席に座したドライバから視認しやすくすると良い。この結果、D席のドライバにより視認されたときに表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように表示できる。また、PtoPディスプレイ2に表示させる地図をP席側の位置にシフトして表示させることで、D席に座したドライバから見て縦に地図を結合して確認し易くなり、現在位置周辺の地理状況を俯瞰的に理解しやすくなる。
図9の表示画面Cに示したように、コックピットシステム4の中心から見て縦に視認し易くなるように表示しても良い。
【0086】
例えば、センタディスプレイ3が操作パネル21のマルチタップに対応している場合、D席に座したドライバが操作中にP席の乗員が操作したとしても、D席のドライバから見て垂直平面上、縦方向、視線の上下方向に少なくとも一部重ねて並べる位置に表示できる。これにより、D席のドライバにより視認されたときに表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように表示できる。また、ドライバから操作していない時にP席の乗員が操作した場合、P席から見て垂直平面上、縦方向、視線の上下方向に少なくとも一部重ねて並べる位置に表示させることもできる。この場合、P席の乗員により視認されたときに表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように表示できる。また、操作パネル21を誰も操作してないときは、中央から見て垂直平面上、縦方向に並べて見えるように表示すると良い。誰も操作していない場合は、センタディスプレイ3の画面の真上にPtoPディスプレイ2を配置できるため、車両内の後席を含めてどの席に座した乗員が確認しても大型画面を平均的に確認しやすくなる。
【0087】
基本的にドライバ優先とし、ドライバが視認中にはP席の乗員が視認してもドライバ向けの表示形態を維持することが望ましい。またドライバと助手席の乗員が短時間に交互に視認した場合には、画面の表示位置が頻繁に切り替わる虞があるが、この場合、表示処理部13は、表示位置が一度変更されたことを条件として、一定時間だけ固定して表示位置を変更しないように処理すると良い。これにより、煩わしさを解消できる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、大型地図アプリのアプリケーションの実行に伴い、PtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3の縦2画面に対し大型地図を縦方向に並べて表示させる際に、表示処理部13は、視認者検知部11cによりドライバがPtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3を視認する視認対象者であると検知したときには、PtoPディスプレイ2に表示させる表示位置を中央から助手席側に位置するように変更させている。また、視認者検知部11cにより助手席の乗員がPtoPディスプレイ2及びセンタディスプレイ3を視認する視認対象者であると検知したときには、PtoPディスプレイ2に表示させる表示位置を中央からD席側に位置するように変更させている。これにより、D席のドライバ及びP席の乗員は大型地図を確認しやすくなる。
【0089】
(第5実施形態)
第5実施形態について
図16をも用いて説明する。本実施形態において、
図16に示すように、車室内ディスプレイ103は、車両内においてその表示画面が前部座席の間から後部座席の間まで伸長して構成される。
【0090】
車室内ディスプレイ103の上には第2操作パネル21aが敷設されている。車室内ディスプレイ103は、車室内の中央に構成されているため、車両乗員が誤って触れてしまうと煩わしい操作を受け付ける。本実施形態の制御装置11は、操作制御部として動作し、このような操作を受け付けることなく、乗員による第2操作パネル21aのタッチパネル操作を受け付ける操作受付領域21bを選択的に制御する。
【0091】
ドライバが、第2操作パネル21aを操作した操作領域を操作者検知部11dにより検出した場合、表示処理部13が、この検出された操作受付領域21bとPtoPディスプレイ2の設置領域とを上下方向に少なくとも一部領域を重ねるように表示処理することが望ましい。このとき、表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように画像コンテンツの表示態様を変更して表示処理するとさらに望ましい。
【0092】
表示処理部13は、第2操作パネル21aのタッチパネル操作を受付ける操作受付領域21bと、PtoPディスプレイ2の表示画面に表示される画像コンテンツの表示領域とが対象者の視線の上下方向に少なくとも一部領域を重ねるように表示処理することが望ましい。このとき、対象者にとって表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるようにPtoPディスプレイ2の表示態様を変化させることがさらに望ましい。また、前部座席や後部座席に人員が座っている場合、表示処理部13は、前部座席又は後部座席に座した対象者に合わせて、車室内ディスプレイ103上の第2操作パネル21aによる操作受付領域21bとPtoPディスプレイ2に表示される画像コンテンツとが対象者の視線の上下方向に少なくとも一部領域を重ねるように表示処理することが望ましい。このとき、対象者にとって表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように画像コンテンツの表示態様又は操作受付領域21bを変更させることがさらに望ましい。
【0093】
例えば、
図16に示すように、D席に座したドライバが、PtoPディスプレイ2のある特定のディスプレイ2aを視認したことを視認者検知部11cにより検知した場合、制御装置11は、操作受付領域21bと特定のディスプレイ2aの設置領域とが、ドライバの視線の上下方向に少なくとも一部領域を重ねるように表示処理することが望ましい。このとき、対象者となるドライバから確認できる表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように車室内ディスプレイ103の操作受付領域21bを変更制御すると良い。
【0094】
また、後部座席の乗員が、PtoPディスプレイ2のある特定のディスプレイ2aを視認したことを視認者検知部11cにより検知した場合、制御装置11は、操作受付領域21bと特定のディスプレイ2aの設置領域とが、後部座席の乗員の視線の上下方向に少なくとも一部領域を重ねるように表示処理することが望ましい。このとき、後部座席の乗員から確認できる内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように車室内ディスプレイ103の操作受付領域21bを変更制御すると良い。
【0095】
このとき、後部座席の乗員の手先を視認者検知部11cにより検知した場合、制御装置11は、後部座席の乗員が手の届く範囲で、後部座席の乗員の手先と特定のディスプレイ2aとの間に操作受付領域21bを変更制御すると良い。P席の乗員、後部座席から見てもその視線の上下方向に画像コンテンツと操作受付領域21bとを一部領域を重ねるように、操作受付領域21bを変更制御することが望ましい。このとき、P席の乗員、後部座席から見ても表示内容が連続的又は相対的に一体感を備えた表示となるように操作受付領域21bや画像コンテンツの表示態様を変更させることが望ましい。これにより、利便性を向上できる。
【0096】
(他の実施形態)
本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。例えば以下に示す変形又は拡張が可能である。
【0097】
「操作部」として表示画面上に設けた操作パネル21により構成したが、物理的なボタンであっても良い。
【0098】
センタディスプレイ3の表示画面上にタッチセンサによる操作パネル21を必ずしも設けなくても良い。また、操作パネル21を設けた場合、上下の表示画面の何れに操作パネル21を設けても良い。P席に乗員がいなくてもよく、この場合、表示処理部13は、常にD席側から視認しやすくできればよい。
【0099】
センタディスプレイ3の表示画面が、PtoPディスプレイ2の表示画面よりも奥方向に位置するように設置されていても良い。ここでいう奥方向とは、ドライバなどの車両乗員から見て奥方向に位置していることを意味しており、言い換えると、PtoPディスプレイ2の表示画面の面方向よりもセンタディスプレイ3の表示画面の面方向が車両の進行方向に位置していることを意味している。またセンタディスプレイ3の表示画面が固定され、PtoPディスプレイ2の表示画面の位置を変更した形態を示したが、センタディスプレイ3の表示画面の位置を変更してもよい。D席用のPtoPディスプレイ2の表示画面と、P席用のPtoPディスプレイ2の表示画面とを切り替えて使用する形態を示したが、表示用の画像コンテンツが重ならなければ同時に表示するようにしても良い。
【0100】
複数の乗員が操作パネル21を操作し操作者検知部11dにより検知されたり、複数の乗員がPtoPディスプレイ2を視て視認者検知部11cにより検知されたりすることで、対象者選定部11bが複数の対象者を選定した場合には、PtoPディスプレイ2の表示位置を任意に変更しても良い。このとき、表示処理部13は、車両の中央から上下方向に情報を繋げて視認できるように表示態様を変化させても良いし、複数の対象者に視認させるようにしても良い。
【0101】
例えば、P席に座した乗員がナビゲーションの目的地を設定したり、メニューを選択したことを操作者検知部11dにより検知しつつ、D席のドライバがPtoPディスプレイ2を確認していることが視認者検知部11cにより検知された場合、PtoPディスプレイ2の画像コンテンツの表示画面の位置を任意の位置に設定すればよい。
【0102】
車室内ディスプレイ103に操作パネル21aを設け、操作受付領域21bを制御する形態を説明したが、操作パネル21の操作を受け付ける操作受付領域21bをセンタディスプレイ3に設けても良いし、PtoPディスプレイ2に設けても良い。
【0103】
本開示に記載の制御装置11による手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御装置11及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御装置11及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0104】
図面中、1は車両用表示システム、2は第1ディスプレイとしてのPtoPディスプレイ、2aはPtoPディスプレイを構成するディスプレイ、3は第2ディスプレイとしてのセンタディスプレイ、11bは対象者選定部、11cは視認者検知部、11dは操作者検知部、11eは着信者検知部、13は表示処理部、を示す。
【0105】
本開示は、前述した実施形態に準拠して記述したが、当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。