(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06V 40/40 20220101AFI20241016BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20241016BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241016BHJP
【FI】
G06V40/40
G06F21/31
G06T7/00 510A
(21)【出願番号】P 2023516960
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2021017010
(87)【国際公開番号】W WO2022230117
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】今井 陽稀
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-148968(JP,A)
【文献】特開2008-015800(JP,A)
【文献】特開2014-206932(JP,A)
【文献】国際公開第2016/059786(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 40/40
G06F 21/31-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの顔向きを取得する顔向き取得手段と、
前記ユーザの視線方向を取得する視線方向取得手段と、
前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行う判定手段と、
前記判定の結果を出力する出力手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記顔向きと前記視線方向との差分から、前記ユーザの生体らしさを示すスコアを算出する算出手段と、
前記顔向きの大きさに応じて前記スコアを補正する補正手段と、
補正された前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かを判定する判定処理手段と、
を有する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記補正手段は、前記顔向きが大きいほど、前記スコアから差し引く補正量が大きくなるように補正する請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記補正手段は、前記スコアを補正するための補正式を複数記憶しており、前記ユーザに関連する情報に応じて前記補正式を選択して、前記スコアを補正する請求項2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記判定処理手段は、補正された前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行うことに加え、補正される前の前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、
補正の前後で前記判定処理手段の判定結果が変わった場合に、前記判定結果が変わったことを通知する通知手段を更に備える
請求項2から4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記顔向き取得手段及び前記視線方向取得手段は、前記ユーザが首を横に振る動作中に撮像される複数の画像から、複数タイミングの前記顔向き及び前記視線方向を取得し、
前記判定手段は、複数タイミングにおける前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かを判定する
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ユーザの首の振り方が適切でないことを検知した場合に、前記ユーザに対して適切な首の振り方を指示する指示手段を更に備える請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
ユーザの顔向きを取得する顔向き取得手段と、
前記ユーザの視線方向を取得する視線方向取得手段と、
前記顔向きと前記視線方向との差分から、前記ユーザの生体らしさを示すスコアを算出する算出手段と、
前記顔向きの大きさに応じて前記スコアを補正する補正手段と、
補正された前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行う判定処理手段と、
前記判定の結果を出力する出力手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項9】
ユーザの顔向きを取得し、
前記ユーザの視線方向を取得し、
前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、
前記判定の結果を出力する
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ユーザの顔向きを取得し、
前記ユーザの視線方向を取得し、
前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、
前記判定の結果を出力する
情報処理方法を実行させるコンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ユーザに関する判定を行う情報処理システム、情報処理方法、及び記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、生体認証する際になりすまし検知を行うものが知られている。例えば特許文献1では、検出された顔の向きが所定の角度以上である場合には、認証を失敗させることが開示されている。特許文献2では、推定した視線とディスプレイとの位置関係を解析してなりすまし画像であるか否かを判定することが開示されている。特許文献3では、検出した視線方向が認証許可視線方向である場合に、正しく認証が行われたものと判定することが開示されている。特許文献4では、視線の時間変化の情報に基づいて、顔画像列の表す顔がなりすましである可能性を判定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-148968号公報
【文献】特開2008-015800号公報
【文献】特開2017-142859号公報
【文献】特開2020-194608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この開示は、先行技術文献に開示された技術を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この開示の情報処理システムの一の態様は、ユーザの顔向きを取得する顔向き取得手段と、前記ユーザの視線方向を取得する視線方向取得手段と、前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行う判定手段と、前記判定の結果を出力する出力手段と、を備える。
【0006】
この開示の情報処理システムの他の態様は、ユーザの顔向きを取得する顔向き取得手段と、前記ユーザの視線方向を取得する視線方向取得手段と、前記顔向きと前記視線方向との差分から、前記ユーザの生体らしさを示すスコアを算出する算出手段と、前記顔向きの大きさに応じて前記スコアを補正する補正手段と、補正された前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行う判定処理手段と、前記判定の結果を出力する出力手段と、を備える。
【0007】
この開示の情報処理方法の一の態様は、ユーザの顔向きを取得し、前記ユーザの視線方向を取得し、前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、前記判定の結果を出力する。
【0008】
この開示の記録媒体の一の態様は、コンピュータに、ユーザの顔向きを取得し、前記ユーザの視線方向を取得し、前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、前記判定の結果を出力する情報処理方法を実行させるコンピュータプログラムが記録されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】第2実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第3実施形態に係る情報処理システムで算出されるスコアの分布例を示すグラフである。
【
図7】第3実施形態に係る情報処理システムにおけるスコアの補正方法の一例を示すグラフである。
【
図8】第4実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図9】第4実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第5実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図11】第5実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図12】第5実施形態に係る情報処理システムによる表示例を示す図である。
【
図13】第6実施形態に係る情報処理システムによる顔向き及び視線方向の取得タイミングを示すグラフである。
【
図14】第6実施形態に係る情報処理システムによるスコアの算出方法を示す概念図である。
【
図15】第7実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図16】第7実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図17】第7実施形態に係る情報処理システムによる表示例を示す図(その1)である。
【
図18】第7実施形態に係る情報処理システムによる表示例を示す図(その2)である。
【
図19】第8実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図20】第8実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、情報処理システム、情報処理方法、及び記録媒体の実施形態について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る情報処理システムについて、
図1から
図3を参照して説明する。
【0012】
(ハードウェア構成)
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る情報処理システム10のハードウェア構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態に係る情報処理システム10は、プロセッサ11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、記憶装置14とを備えている。情報処理システム10は更に、入力装置15と、出力装置16と、カメラ20とを備えていてもよい。プロセッサ11と、RAM12と、ROM13と、記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16と、カメラ20とは、データバス17を介して接続されている。
【0014】
プロセッサ11は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、プロセッサ11は、RAM12、ROM13及び記憶装置14のうちの少なくとも一つが記憶しているコンピュータプログラムを読み込むように構成されている。或いは、プロセッサ11は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。プロセッサ11は、ネットワークインタフェースを介して、情報処理システム10の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、読み込んでもよい)。プロセッサ11は、読み込んだコンピュータプログラムを実行することで、RAM12、記憶装置14、入力装置15及び出力装置16を制御する。本実施形態では特に、プロセッサ11が読み込んだコンピュータプログラムを実行すると、プロセッサ11内には、ユーザが生体か否かを判定するための機能ブロックが実現される。
【0015】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(Demand-Side Platform)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されてよい。プロセッサ11は、これらのうち一つで構成されてもよいし、複数を並列で用いるように構成されてもよい。
【0016】
RAM12は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶する。RAM12は、プロセッサ11がコンピュータプログラムを実行している際にプロセッサ11が一時的に使用するデータを一時的に記憶する。RAM12は、例えば、D-RAM(Dynamic RAM)であってもよい。
【0017】
ROM13は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを記憶する。ROM13は、その他に固定的なデータを記憶していてもよい。ROM13は、例えば、P-ROM(Programmable ROM)であってもよい。
【0018】
記憶装置14は、情報処理システム10が長期的に保存するデータを記憶する。記憶装置14は、プロセッサ11の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置14は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0019】
入力装置15は、情報処理システム10のユーザからの入力指示を受け取る装置である。入力装置15は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0020】
出力装置16は、情報処理システム10に関する情報を外部に対して出力する装置である。例えば、出力装置16は、情報処理システム10に関する情報を表示可能な表示装置(例えば、ディスプレイ)であってもよい。
【0021】
カメラ20は、ユーザの画像(例えば、ユーザの顔を含む画像)を撮像可能な箇所に設置されたカメラである。カメラ20は、静止画を撮像するカメラであってもよいし、動画を撮像するカメラであってもよい。カメラ20は、可視光カメラとして構成されてもよいし、近赤外線カメラとして構成されてよい。
【0022】
(機能的構成)
次に、
図2を参照しながら、第1実施形態に係る情報処理システム10の機能的構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、第1実施形態に係る情報処理システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、顔向き取得部110と、視線方向取得部120と、判定部130と、出力部140と、を備えて構成されている。ユーザ情報データベース110は、例えば上述した記憶装置14(
図1参照)を含んで構成されてよい。顔向き取得部110、視線方向取得部120、判定部130、及び出力部140の各々は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現されてもよい。出力部140は、その出力を、上述した出力装置16(
図1参照)を介して出力可能に構成されてよい。
【0024】
顔向き取得部110は、ユーザの顔向き(即ち、ユーザの顔が向いている方向)を取得可能に構成されている。ユーザの顔向きは、例えば基準とする方向から何度ずれているかを示す情報として取得されてよい。具体的には、例えばユーザがカメラを向いている状態が正面であるとして、正面から何度ずれているかを示す情報として取得されてよい。顔向き取得部110は、例えばユーザの顔画像からユーザの顔向きを取得(推定)するように構成されてよい。なお、画像から顔向きを取得する具体的な手法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0025】
視線方向取得部120は、ユーザの視線方向(即ち、ユーザの視線が向いている方向)を取得可能に構成されている。ユーザの視線方向は、顔向きと同様に、例えば基準とする方向から何度ずれているかを示す情報として取得されてよい。具体的には、例えばユーザがカメラを向いている状態が正面であるとして、正面から何度ずれているかを示す情報として取得されてよい。視線方向取得部120は、例えばユーザの顔画像(より具体的には、目周辺を含む画像)からユーザの視線方向を取得(推定)するように構成されてよい。なお、画像から視線方向を取得する具体的な手法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0026】
判定部130は、顔向き取得部110で取得されたユーザの顔向きと、視線方向取得部120で取得されたユーザの視線方向と、に基づいて、ユーザが生体であるか否か(言い換えれば、なりすましを行っていないか)を判定可能に構成されている。判定部130は、閾値判定部131と、差分算出部132と、を備えている。
【0027】
閾値判定部131は、顔向き取得部110で取得されたユーザの顔向きが所定の閾値以上であるか否かを判定可能に構成されている。ここでの「所定の閾値」は、ユーザが生体であるか否かを判定できる程度に顔向きが大きい(即ち、横を向いている)ことを判定するための閾値であり、事前の実験やシミュレーション等によって最適な値が求められていればよい。また、所定の閾値は、ユーザの顔向きの大きさだけでなく、顔向きの方向が所定の方向であるか否かを判定可能な閾値として設定されていてもよい。例えば、ユーザに対して右方向を向くように指定されている場合に、ユーザが他の方向ではなく右方向を向いていることを判定可能な閾値として設定されてよい。判定部130は、閾値判定部131において、ユーザの顔向きが所定の閾値以上であると判定された場合に、ユーザが生体であるか否かの判定を行うように構成されている。言い換えれば、判定部130は、ユーザの顔向きが所定の閾値未満であると判定された場合に、ユーザが生体であるか否かの判定を行わないように構成されている。
【0028】
差分算出部132は、顔向き取得部110で取得されたユーザの顔向きと、視線方向取得部120で取得されたユーザの視線方向と、の差分を算出可能に構成されている。判定部130は、顔向きと視線方向との差分に基づいて、ユーザが生体であるか否かの判定を行うように構成されている。顔向きと視線方向との差分を用いた具体的な情報処理方法については、後述する他の実施形態で詳しく説明する。
【0029】
出力部140は、判定部130の判定結果(即ち、ユーザが生体であるか否かの判定結果)を出力可能に構成されている。出力部140の出力態様は、特に限定されるものではないが、出力部140は、例えばディスプレイを用いて画像出力を行うようにしてもよい。或いは、出力部140は、スピーカーを用いて音声出力を行うようにしてもよい。
【0030】
(動作の流れ)
次に、
図3を参照しながら、第1実施形態に係る情報処理システム10の動作の流れについて説明する。
図3は、第1実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【0031】
図3に示すように、第1実施形態に係る情報処理システム10が動作する際には、まず顔向き取得部110が、ユーザの顔向きを取得する(ステップS101)。また、視線方向取得部120が、ユーザの視線方向を取得する(ステップS102)。なお、ステップS101及びS102の処理は、互いに前後して実行されてもよいし、並行して同時に実行されてもよい。
【0032】
続いて、閾値判定部131が、顔向き取得部110で取得されたユーザの顔向きが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。なお、ユーザの顔向きが所定の閾値以上でないと判定された場合(ステップS103:NO)、以降の処理は省略され、一連の処理は終了することになる。一方、ユーザの顔向きが所定の閾値以上であると判定された場合(ステップS103:YES)、差分算出部132が、ユーザの顔向きと視線方向との差分を算出する(ステップS104)。
【0033】
続いて、判定部130は、ユーザの顔向きと視線方向との差分に基づいて、ユーザが生体であるか否かの判定を行う(ステップS105)。そして、出力部140が、判定部130の判定結果を出力する(ステップS106)。
【0034】
(技術的効果)
次に、第1実施形態に係る情報処理システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0035】
図1から
図3で説明したように、第1実施形態に係る情報処理システム10では、顔向きが所定の閾値以上となる場合に、ユーザが生体であるか否かの判定が行われる。このようにすれば、ユーザの顔向きが小さいことに起因して、誤った判定結果が出力されてしまうことを防止することができる。よって、ユーザが生体であるか否かを、より精度よく判定することが可能である。
【0036】
本願発明者の研究するところによれば、ユーザの顔向きが小さい場合には、生体であるにもかかわらず、生体でないと判定されてしまう可能性が高くなることが判っている。よって、ユーザの顔向きが小さい場合に判定を行わないようにすれば、ユーザが誤って生体でないと判定されてしまうことを抑制することが可能である。
【0037】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る情報処理システム10について、
図4及び
図5を参照して説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0038】
(機能的構成)
まず、
図4を参照しながら、第2実施形態に係る情報処理システム10の機能的構成について説明する。
図4は、第2実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図4では、
図2で示した要素と同様のものに同一の符号を付している。
【0039】
図4に示すように、第2実施形態に係る情報処理システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、顔向き取得部110と、視線方向取得部120と、判定部130と、出力部140と、を備えて構成されている。そして、第2実施形態に係る判定部130は特に、閾値判定部131と、差分算出部132と、スコア算出部133と、スコア補正部134と、判定処理部135と、を備えている。即ち、第2実施形態に係る判定部130は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、スコア算出部133、スコア補正部134、及び判定処理部135を更に備えて構成されている。
【0040】
スコア算出部133は、ユーザの顔向きと視線方向との差分から、ユーザの生体らしさを示すスコアを算出可能に構成されている。スコアは、例えば高ければ高いほど、そのユーザが生体である可能性が高いことを示すものである。スコアの具体的な算出方法については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。
【0041】
スコア補正部134は、スコア算出部133で算出されたスコアを、ユーザの顔向きの大きさに応じて補正可能に構成されている。スコアの補正は、判定部130において誤った判定結果が出難くなるように行われるものである。スコアの具体的な補正方法については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。
【0042】
判定処理部135は、スコア補正部134で補正されたスコアに基づいて、ユーザが生体であるか否かを判定可能に構成されている。判定処理部135は、例えば判定しきい値(即ち、生体であるか否かを判定する閾値)を記憶しており、補正されたスコアと判定閾値とを比較することで、ユーザが生体であるか否かを判定してよい。
【0043】
(動作の流れ)
次に、
図5を参照しながら、第2実施形態に係る情報処理システム10の動作の流れについて説明する。
図5は、第2実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図5では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0044】
図5に示すように、第2実施形態に係る情報処理システム10が動作する際には、まず顔向き取得部110が、ユーザの顔向きを取得する(ステップS101)。また、視線方向取得部120が、ユーザの視線方向を取得する(ステップS102)。
【0045】
続いて、閾値判定部131が、顔向き取得部110で取得されたユーザの顔向きが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。なお、ユーザの顔向きが所定の閾値以上でないと判定された場合(ステップS103:NO)、以降の処理は省略され、一連の処理は終了することになる。一方、ユーザの顔向きが所定の閾値以上であると判定された場合(ステップS103:YES)、差分算出部132が、ユーザの顔向きと視線方向との差分を算出する(ステップS104)。
【0046】
続いて、スコア算出部133が、ユーザの顔向きと視線方向との差分からスコアを算出する(ステップS201)。そして、スコア補正部134が、ユーザの顔向きの大きさに応じてスコアを補正する(ステップS202)。その後、判定処理部135は、補正されたスコアに基づいて、ユーザが生体であるか否かの判定を行う(ステップS203)。そして、出力部140が、判定部130の判定結果を出力する(ステップS106)。
【0047】
(技術的効果)
次に、第2実施形態に係る情報処理システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0048】
図4で説明したように、第2実施形態に係る情報処理システム10では、顔向きと視線方向との差分から算出されたスコアに対して顔向きの大きさに応じた補正が行われ、補正されたスコアに基づいてユーザが生体であるか否かの判定が行われる。このようにすれば、スコアを補正しない場合と比べて、より精度よくユーザが生体であるか否かを判定することが可能である。
【0049】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る情報処理システム10について、
図6及び
図7を参照して説明する。なお、第3実施形態は、上述した第2実施形態の具体的な補正例を説明するものであり、その他の構成や動作については第1及び第2実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、他の重複する部分について適宜説明を省略するものとする。
【0050】
(補正前のスコア)
まず、
図6を参照しながら、第3実施形態に係る情報処理システム10において算出されるスコアについて具体的に説明する。
図6は、第3実施形態に係る情報処理システムで算出されるスコアの分布例を示すグラフである。
【0051】
図6に示すように、第3実施形態に係る情報処理システム10では、生体のスコアは正の値となるように、3Dマスク(即ち、なりすまし)のスコアは負の値となるように算出される。ただし、ユーザの顔向きが大きくなるほど、スコアは高い値となる傾向がある。このため、図を見ても分かるように、顔向きが比較的小さい場合には、生体であってもスコアが負の値となってしまうことがある。また、顔向き・視線の向きの推定誤差などによって、生体でなくても、スコアが正の値となってしまうことがある。このようなスコアをそのまま用いて判定すると(例えば、“0”を判定閾値として判定すると)、誤った判定結果が出てしまうおそれがある。このような誤判定を防ぐために、第3実施形態に係る情報処理システム10では、顔向きの大きさに応じたスコアの補正が行われる。
【0052】
(補正後のスコア)
次に、
図7を参照しながら、第3実施形態に係る情報処理システム10におけるスコアの補正について具体的に説明する。
図7は、第3実施形態に係る情報処理システムにおけるスコアの補正方法の一例を示すグラフである。
【0053】
図7に示すように、第3実施形態に係る情報処理システム10では、顔向きが大きいほど、スコアから差し引く補正量が大きくなるような補正が行われる。よって、顔向きが小さい場合のスコアは、少しだけ小さくなるように補正され、顔向きが大きい場合のスコアは、多めに小さくなるように補正される。このような補正は、例えば、下記のような補正式(1)を用いて行うことができる。
【0054】
補正後スコア=-A×顔向き角度+B×補正前スコア+C ・・・(1)
なお、上記式のA、B、Cは所定の係数であり、予め求められているとする。
【0055】
補正後のスコアを見ると、生体でない場合のスコアがすべて負の値になっている。よって、生体でないユーザが、誤って生体であると判定されてしまうことを防止できる。一方で、生体である場合のスコアは顔向きが小さい一部で負の値になっているが、所定の閾値以上である判定対象領域(即ち、閾値判定部131で判定を行うとされる領域)については、いずれも正の値となっている。よって、生体であるユーザが、誤って生体でないと判定されてしまうことを防止できる。
【0056】
(技術的効果)
次に、第3実施形態に係る情報処理システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0057】
図6及び
図7で説明したように、第3実施形態に係る情報処理システム10では、ユーザの顔向きが大きいほど、スコアから差し引く補正量が大きくなるように(即ち、スコアが小さくなるように)補正される。このようにすれば、算出されたスコアが適切な値に補正されることになるため、より精度よくユーザが生体であるか否かを判定することが可能である。
【0058】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る情報処理システム10について、
図8及び
図9を参照して説明する。なお、第4実施形態は、上述した第1から第3実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第3実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0059】
(機能的構成)
まず、
図8を参照しながら、第4実施形態に係る情報処理システム10の機能的構成について説明する。
図8は、第4実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図8では、
図2及び
図4で示した要素と同様のものに同一の符号を付している。
【0060】
図8に示すように、第4実施形態に係る情報処理システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、顔向き取得部110と、視線方向取得部120と、判定部130と、出力部140と、を備えて構成されている。そして、第2実施形態に係る判定部130は特に、スコア補正部134が、補正式記憶部1341と、補正式選択部1342と、を備えている。
【0061】
補正式記憶部1341は、スコアを補正するための補正式を複数記憶している。補正式記憶部1341は、例えば上述した式(1)のような補正式を、各係数が異なるものとして複数記憶していればよい。
【0062】
補正式選択部1342は、補正式記憶部1341に記憶されている複数の補正式の中から、スコアの補正に用いる補正式を1つ選択可能に構成されている。補正式選択部1342は、ユーザに関連する情報に応じて補正式を選択する。なお、「ユーザに関連する情報」とは、ユーザに関連づいた情報であり、例えば、ユーザの特徴、属性、状態を示す情報である。ユーザに関連する情報は、例えば、目の位置(例えば、目がどれくらい離れているか)等の数値を含む情報であってもよいし、顔立ちの傾向を示す情報(例えば、人種に関する情報)であってもよい。また、ユーザに関連する情報は、ユーザの性別や顔の大きさ等を含む情報であってもよい。ユーザに関連する情報は、ユーザの画像から取得されてもよいし、その他の手段(例えば、ユーザによる入力や事前登録情報等)から取得されてもよい。
【0063】
(動作の流れ)
次に、
図9を参照しながら、第4実施形態に係る情報処理システム10の動作の流れについて説明する。
図9は、第4実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図9では、
図3及び
図5で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0064】
図9に示すように、第4実施形態に係る情報処理システム10が動作する際には、まず顔向き取得部110が、ユーザの顔向きを取得する(ステップS101)。また、視線方向取得部120が、ユーザの視線方向を取得する(ステップS102)。
【0065】
続いて、閾値判定部131が、顔向き取得部110で取得されたユーザの顔向きが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。なお、ユーザの顔向きが所定の閾値以上でないと判定された場合(ステップS103:NO)、以降の処理は省略され、一連の処理は終了することになる。一方、ユーザの顔向きが所定の閾値以上であると判定された場合(ステップS103:YES)、差分算出部132が、ユーザの顔向きと視線方向との差分を算出する(ステップS104)。
【0066】
続いて、スコア算出部133が、ユーザの顔向きと視線方向との差分からスコアを算出する(ステップS201)。ここで第4実施形態では特に、補正式選択部1342が、補正式記憶部1341に記憶されている複数の補正式の中から、スコアの補正に用いる補正式を1つ選択する(ステップS401)。そして、スコア補正部134は、補正式選択部1342が選択した補正式を用いてスコアを補正する(ステップS402)。
【0067】
続いて、判定処理部135は、補正されたスコアに基づいて、ユーザが生体であるか否かの判定を行う(ステップS203)。そして、出力部140が、判定部130の判定結果を出力する(ステップS106)。
【0068】
(技術的効果)
次に、第4実施形態に係る情報処理システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0069】
図8及び
図9で説明したように、第4実施形態に係る情報処理システム10では、スコア補正部が複数の補正式を記憶しており、ユーザに応じて補正式を選択して(即ち、補正式を使い分けて)、スコアを補正する。このようにすれば、常に同じように補正する場合と比べて、より適切な値にスコアを補正することが可能となる。その結果、より精度よくユーザが生体であるか否かを判定することが可能となる。
【0070】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る情報処理システム10について、
図10から
図12を参照して説明する。なお、第5実施形態は、上述した第1から第4実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第4実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0071】
(機能的構成)
まず、
図10を参照しながら、第5実施形態に係る情報処理システム10の機能的構成について説明する。
図10は、第5実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図10では、
図4で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0072】
図10に示すように、第5実施形態に係る情報処理システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、顔向き取得部110と、視線方向取得部120と、判定部130と、出力部140と、通知部150と、を備えて構成されている。即ち、第5実施形態に係る情報処理システム10は、第2実施形態の構成(
図4参照)に加えて、通知部150を更に備えて構成されている。
【0073】
通知部150は、判定処理部135の判定結果に応じて、通知を行うことが可能に構成されている。より具体的には、通知部150は、スコアを補正する前後で判定処理部135の判定結果が変わった場合に、その旨を通知可能に構成されている。なお、第5実施形態に係る判定処理部135は、補正されたスコアに基づく判定だけでなく、補正前のスコアに基づく判定(以下、適宜「仮判定」と称する)を行うように構成されている。
【0074】
(動作の流れ)
次に、
図11を参照しながら、第5実施形態に係る情報処理システム10の動作の流れについて説明する。
図11は、第5実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図11では、
図5で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0075】
図11に示すように、第5実施形態に係る情報処理システム10が動作する際には、まず顔向き取得部110が、ユーザの顔向きを取得する(ステップS101)。また、視線方向取得部120が、ユーザの視線方向を取得する(ステップS102)。
【0076】
続いて、閾値判定部131が、顔向き取得部110で取得されたユーザの顔向きが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。なお、ユーザの顔向きが所定の閾値以上でないと判定された場合(ステップS103:NO)、以降の処理は省略され、一連の処理は終了することになる。一方、ユーザの顔向きが所定の閾値以上であると判定された場合(ステップS103:YES)、差分算出部132が、ユーザの顔向きと視線方向との差分を算出する(ステップS104)。
【0077】
続いて、スコア算出部133が、ユーザの顔向きと視線方向との差分からスコアを算出する(ステップS201)。ここで第5実施形態では特に、判定処理部135が、補正前のスコアに基づいて、ユーザが生体であるか否かの仮判定を行う(ステップS501)。その後、スコア補正部134が、ユーザの顔向きの大きさに応じてスコアを補正する(ステップS202)。そして、判定処理部135は、補正されたスコアに基づいて、ユーザが生体であるか否かの判定を行う(ステップS203)。
【0078】
続いて、通知部150は、判定処理部135の判定結果が、スコアを補正する前後で変わったか否かを判定する(ステップS502)。そして、スコアを補正する前後で判定結果が変わったと判定した場合(ステップS502:YES)、通知部150は、補正によって判定結果が変わったことを通知する(ステップS503)。そして、出力部140が、判定部130の判定結果を出力する(ステップS106)。
【0079】
なお、通知部150による通知は、出力部140による出力と併せて行われてよい。例えば、通知部150による通知と出力部140による出力とは、例えば共通するディスプレイを用いて行われてよい。また、通知部150による通知は、ユーザに対して行われてもよいし、システム管理者等に対して行われてもよい。
【0080】
(表示例)
次に、
図12を参照しながら、第5実施形態に係る情報処理システム10における表示例(具体的には、通知部150による通知を反映した表示例)について説明する。
図12は、第5実施形態に係る情報処理システムによる表示例を示す図である。
【0081】
図12に示すように、第5実施形態に係る情報処理システム10では、ユーザの顔画像と共に、判定部130による判定結果(即ち、出力部140による出力)が表示されてもよい。なお、ここでは、ユーザの判定結果が「OK」(即ち、生体である)と出力されている。そして第5実施形態では特に、判定結果に加えて、通知部150による通知が表示されてよい。ここでは、判定結果の下に「スコア補正で結果が変化しました」というメッセージが表示されている。なお、このようなメッセージに代えて、例えば、信頼性が低いことを示唆するメッセージや、判定のやり直しを促すメッセージが表示されてもよい。
【0082】
(技術的効果)
次に、第5実施形態に係る情報処理システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0083】
図10から
図12で説明したように、第5実施形態に係る情報処理システム10では、スコアを補正する前後で、ユーザが生体であるか否かの判定結果が変わってしまった場合に、そのことを通知する処理が実行される。このようにすれば、本来のスコアが判定閾値の付近にあるような状況において通知が行われることになるため、例えば、今回の判定が難しいものであったこと(言い換えれば、判定の信頼性が低い可能性があること)を知ることが可能となる。
【0084】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る情報処理システム10について、
図13及び
図14を参照して説明する。なお、第6実施形態は、上述した第1から第5実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第5実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0085】
(顔向き及び視線方向の取得)
まず、
図13を参照しながら、第6実施形態に係る情報処理システム10における顔向き及び先方向の取得方法について具体的に説明する。
図13は、第6実施形態に係る情報処理システムによる顔向き及び視線方向の取得タイミングを示すグラフである。
【0086】
図13に示すように、第6実施形態に係る情報処理システム10では、ユーザが首を横に振っている動作中(即ち、顔を右に向ける動作と左に向ける動作を繰り返している間)に、ユーザの顔向き及び視線方向が取得される。より具体的には、ユーザが首を振っている動作中に複数の画像が撮像され、それらの画像からユーザの顔向き及び視線方向が取得(推定)される。
【0087】
ユーザの顔向き及び視線方向は、ユーザの顔の向きがピークとなったタイミング(図中の、P1、P2、P3、P4)のタイミングで取得される。この場合、ユーザの顔向き及び視線方向は、右方向のピークで2回、左方向のピークで2回の計4回取得されることになる。なお、ここでの取得回数は一例であり、例えば4回以上、ユーザの顔向き及び視線方向を取得するようにしてもよい。
【0088】
(スコアの算出例)
次に、
図14を参照しながら、第6実施形態に係る情報処理システム10におけるスコアの算出方法について具体的に説明する。
図14は、第6実施形態に係る情報処理システムによるスコアの算出方法を示す概念図である。
【0089】
図14に示すように、第6実施形態に係る情報処理システム10では、複数タイミングで取得した顔向き及び視線方向から、複数の差分が算出される。よって、
図13で示したように、P1、P2、P3、P4の4回で、ユーザの顔向き及び視線方向が取得された場合、それらの差分はP1、P2、P3、P4に対応する4つの値を含むもの(例えば、4次元のベクトル)として算出される。このようにして算出された差分は、スコア算出部133に入力されて、その出力としてスコアが算出される。なお、この場合のスコア算出部133は、例えば学習済みのSVM(Support Vector Machine)として構成されていてよい。
【0090】
(技術的効果)
次に、第6実施形態に係る情報処理システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0091】
図13及び
図14で説明したように、第6実施形態に係る情報処理システム10では、ユーザが首を振る動作中に撮像される複数の画像から、封数タイミングで顔向き及び視線方向が取得される。このようにすれば、顔向き及び視線方向を1回だけしか取得しない場合と比べて、より精度よくユーザが生体であるか否かを判定することが可能となる。
【0092】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る情報処理システム10について、
図15から
図18を参照して説明する。なお、第7実施形態は、上述した第6実施形態と比べて一部の動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第6実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0093】
(機能的構成)
まず、
図15を参照しながら、第7実施形態に係る情報処理システム10の機能的構成について説明する。
図15は、第7実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図15では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0094】
図15に示すように、第7実施形態に係る情報処理システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、顔向き取得部110と、視線方向取得部120と、判定部130と、出力部140と、首振り指示部160と、を備えて構成されている。即ち、第7実施形態に係る情報処理システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、首振り指示部160を更に備えて構成されている。また、第7実施形態に係る判定部130は、閾値判定部131及び差分算出部132に加えて、首振り判定部136を備えている。
【0095】
首振り判定部136は、ユーザの顔向き及び視線方向を取得する際の首振り(第6実施形態:
図13参照)が適切に行われているか否かを判定可能に構成されている。首振り判定部136は、例えばユーザが十分に大きく首を振っているか(例えば、顔向きのピークが所定角度を超えているか否か)、或いはユーザが適切な方向に首を振っているか(例えば、右方向に首を振るべきタイミングで、別の方向(例えば、下方向)に首を振っていないか)によって、首振りが適切であるかを判定してよい。
【0096】
首振り指示部160は、首振り判定部136においてユーザの首振りが適切でないと判定された場合に、ユーザに対して適切な首振りを行うように指示を出力可能に構成されている。なお、首振り指示部160による指示は、出力部140による出力と併せて行われてよい。例えば、首振り指示部による指示と出力部140による出力とは、例えば共通するディスプレイを用いて行われてよい。また、ユーザが複数回首を振るような場合、その一部の動作に対してのみ指示が出力されてもよい。例えば、
図14におけるP1、P2、P3、P4のうち、P3で取得される顔向きのみが適切でない場合(例えば、P1、P2、P4の角度は十分である一方で、P3だけ角度が小さい場合)、首振り指示部160は、P3に対応する首振り動作に対する指示のみを出力するようにしてもよい。具体的には、P3の動作に対応する方向に、より大きく首を振るように指示を出力してもよい。
【0097】
(動作の流れ)
次に、
図16を参照しながら、第7実施形態に係る情報処理システム10の動作の流れについて説明する。
図16は、第7実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図16では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0098】
図16に示すように、第7実施形態に係る情報処理システム10が動作する際には、まず顔向き取得部110が、ユーザの顔向きを取得する(ステップS101)。また、視線方向取得部120が、ユーザの視線方向を取得する(ステップS102)。
【0099】
続いて、首振り判定部136が、ユーザの首振りが適切に行われていたか否かを判定する(ステップS701)。そして、ユーザの首振りが適切に行われていないと判定された場合(ステップS701:NO)、首振り指示部160が、ユーザに対して適切な首振りを行うように指示を出力する。そして、再びステップS101及びS102の処理(即ち、顔向き及び視線方向の取得)が実行されることになる。
【0100】
一方、ユーザの首振りが適切に行われていたと判定された場合(ステップS701:YES)、閾値判定部131が、顔向き取得部110で取得されたユーザの顔向きが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。なお、ユーザの顔向きが所定の閾値以上でないと判定された場合(ステップS103:NO)、以降の処理は省略され、一連の処理は終了することになる。一方、ユーザの顔向きが所定の閾値以上であると判定された場合(ステップS103:YES)、差分算出部132が、ユーザの顔向きと視線方向との差分を算出する(ステップS104)。
【0101】
続いて、判定部130は、ユーザの顔向きと視線方向との差分に基づいて、ユーザが生体であるか否かの判定を行う(ステップS105)。そして、出力部140が、判定部130の判定結果を出力する(ステップS106)。
【0102】
(表示例)
次に、
図17及び
図18を参照しながら、第7実施形態に係る情報処理システム10における表示例(具体的には、首振り指示部160による指示を反映した表示例)について説明する。
図17は、第7実施形態に係る情報処理システムによる表示例を示す図(その1)である。
図18は、第7実施形態に係る情報処理システムによる表示例を示す図(その2)である。
【0103】
図17に示すように、第7実施形態に係る情報処理システム10では、ユーザの画像と共に、ユーザにもっと大きく首を振ることを促すメッセージが表示されてよい。例えば、
図17の例のように、「もう少し首を大きく振ってください」というメッセージが表示されてよい。このようにすれば、ユーザが首を大きく振るようになることが期待でき、結果として、顔向きが十分に大きい状態で、ユーザの顔向き及び視線方向を取得することが可能となる。
【0104】
図18に示すように、第7実施形態に係る情報処理システム10では、ユーザの画像と共に、ユーザが首を大きく振るべき方向を示すメッセージが表示されてよい。例えば、
図18の例のように、「左側にもう少し首を大きく振ってください」というメッセージが表示されてよい。このようにすれば、例えば右側の首振りは十分な大きさとなっているが、左側の首振りが不十分な場合に、ユーザにより的確な指示を出すことができる。
【0105】
(技術的効果)
次に、第7実施形態に係る情報処理システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0106】
図15から
図18で説明したように、第7実施形態に係る情報処理システム10では、ユーザの首振りが不適切であった場合に、ユーザに対して適切に首を振るように指示が出力される。このようにすれば、ユーザの首振りを適切なものとし、ユーザの顔向き及び視線方向を適切に取得することが可能となるため、より精度よくユーザが生体であるか否かを判定することが可能となる。
【0107】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る情報処理システム10について、
図19及び
図20を参照して説明する。なお、第8実施形態に係る情報処理システム10は、上述した第1から第7実施形態と比べて一部の動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第7実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0108】
(機能的構成)
まず、
図19を参照しながら、第8実施形態に係る情報処理システム10の機能的構成について説明する。
図19は、第8実施形態に係る情報処理システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図19では、
図2及び
図4で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0109】
図19に示すように、第8実施形態に係る情報処理システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、顔向き取得部110と、視線方向取得部120と、判定部130と、出力部140と、を備えて構成されている。そして、第8実施形態に係る判定部130は特に、差分算出部132と、スコア算出部133と、スコア補正部134と、判定処理部135と備えている。
【0110】
なお、第8実施形態に係る情報処理システム10は、上述した第1から第7実施形態とは違い、閾値判定部131が備えられていない。このため、ユーザの顔向きが所定の閾値以上であるか否かによらず、判定部130による判定が行われることになる。なお、判定部130の具体的な動作については、以下で詳しく説明する。
【0111】
(動作の流れ)
次に、
図20を参照しながら、第8実施形態に係る情報処理システム10の動作の流れについて説明する。
図20は、第8実施形態に係る情報処理システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図20では、
図3及び
図5で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0112】
図20に示すように、第8実施形態に係る情報処理システム10が動作する際には、まず顔向き取得部110が、ユーザの顔向きを取得する(ステップS801)。また、視線方向取得部120が、ユーザの視線方向を取得する(ステップS802)。
【0113】
続いて、差分算出部132が、ユーザの顔向きと視線方向との差分を算出する(ステップS803)。そして、スコア算出部133が、ユーザの顔向きと視線方向との差分からスコアを算出する(ステップS804)。その後、スコア補正部134が、ユーザの顔向きの大きさに応じてスコアを補正する(ステップS805)。
【0114】
続いて、判定処理部135は、補正されたスコアに基づいて、ユーザが生体であるか否かの判定を行う(ステップS806)。そして、出力部140が、判定部130の判定結果を出力する(ステップS807)。
【0115】
(技術的効果)
次に、第8実施形態に係る情報処理システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0116】
図19及び
図20で説明したように、第8実施形態に係る情報処理システム10では、顔向きと視線方向との差分から算出されたスコアに対して顔向きの大きさに応じた補正が行われ、補正されたスコアに基づいてユーザが生体であるか否かの判定が行われる。このようにすれば、補正によってスコアが適切な値となるため、より精度よくユーザが生体であるか否かを判定することが可能となる。
【0117】
上述した各実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0118】
記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0119】
この開示は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報処理システム、情報処理方法、及び記録媒体もまたこの開示の技術思想に含まれる。
【0120】
<付記>
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0121】
(付記1)
付記1に記載の情報処理システムは、ユーザの顔向きを取得する顔向き取得手段と、前記ユーザの視線方向を取得する視線方向取得手段と、前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行う判定手段と、前記判定の結果を出力する出力手段と、を備える情報処理システムである。
【0122】
(付記2)
付記2に記載の情報処理システムは、前記判定手段は、前記顔向きと前記視線方向との差分から、前記ユーザの生体らしさを示すスコアを算出する算出手段と、前記顔向きの大きさに応じて前記スコアを補正する補正手段と、補正された前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かを判定する判定処理手段と、を有する付記1に記載の情報処理システムである。
【0123】
(付記3)
付記3に記載の情報処理システムは、前前記補正手段は、前記顔向きが大きいほど、前記スコアから差し引く補正量が大きくなるように補正する付記2に記載の情報処理システムである。
【0124】
(付記4)
付記4に記載の情報処理システムは、前記補正手段は、前記スコアを補正するための補正式を複数記憶しており、前記ユーザに関連する情報に応じて前記補正式を選択して、前記スコアを補正する付記2又は3に記載の情報処理システムである。
【0125】
(付記5)
付記5に記載の情報処理システムは、前記判定処理手段は、補正された前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行うことに加え、補正される前の前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、補正の前後で前記判定処理手段の判定結果が変わった場合に、前記判定結果が変わったことを通知する通知手段を更に備える付記2から4のいずれか一項に記載の情報処理システムである。
【0126】
(付記6)
付記6に記載の情報処理システムは、前記顔向き取得手段及び前記視線方向取得手段は、前記ユーザが首を横に振る動作中に撮像される複数の画像から、複数タイミングの前記顔向き及び前記視線方向を取得し、前記判定手段は、複数タイミングにおける前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かを判定する付記1から5のいずれか一項に記載の情報処理システムである。
【0127】
(付記7)
付記7に記載の情報処理システムは、前記ユーザの首の振り方が適切でないことを検知した場合に、前記ユーザに対して適切な首の振り方を指示する指示手段を更に備える付記6に記載の情報処理システムである。
【0128】
(付記8)
付記8に記載の情報処理システムは、ユーザの顔向きを取得する顔向き取得手段と、前記ユーザの視線方向を取得する視線方向取得手段と、前記顔向きと前記視線方向との差分から、前記ユーザの生体らしさを示すスコアを算出する算出手段と、前記顔向きの大きさに応じて前記スコアを補正する補正手段と、補正された前記スコアに基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行う判定処理手段と、前記判定の結果を出力する出力手段と、を備える情報処理システムである。
【0129】
(付記9)
付記9に記載の情報処理方法は、ユーザの顔向きを取得し、前記ユーザの視線方向を取得し、前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、前記判定の結果を出力する情報処理方法である。
【0130】
(付記10)
付記10に記載の記録媒体は、コンピュータに、ユーザの顔向きを取得し、前記ユーザの視線方向を取得し、前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、前記判定の結果を出力する情報処理方法を実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体である。
【0131】
(付記11)
付記11に記載のコンピュータプログラムは、ユーザの顔向きを取得し、前記ユーザの視線方向を取得し、前記顔向きが所定閾値以上である場合に、前記顔向きと前記視線方向との差分に基づいて、前記ユーザが生体か否かの判定を行い、前記判定の結果を出力する情報処理方法を実行させるコンピュータプログラムである。
【符号の説明】
【0132】
10 情報処理システム
11 プロセッサ
16 出力装置
20 カメラ
110 顔向き取得部
120 視線方向取得部
130 判定部
131 閾値判定部
132 差分算出部
133 スコア算出部
134 スコア補正部
1341 補正式記憶部
1342 補正式選択部
135 判定処理部
136 首振り判定部
140 出力部
150 通知部
160 首振り指示部