(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20241016BHJP
B25D 16/00 20060101ALI20241016BHJP
B25D 17/24 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/00 G
B25D16/00
B25D17/24
(21)【出願番号】P 2023517179
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2022014710
(87)【国際公開番号】W WO2022230513
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2021076399
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆介
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058183(JP,A)
【文献】特開2006-056589(JP,A)
【文献】特開2016-068190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25D 16/00
B25D 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジング及びハンドルを含んで構成されたハウジングと、
前記ハンドルを前記本体ハウジングに第1方向に相対移動可能に連結する防振部と、
前記本体ハウジングに保持された駆動源と、
前記本体ハウジングに保持され、先端工具が連結されると共に、前記駆動源の駆動力によって作動して打撃力及び回転力を前記先端工具に付与する回転打撃モード又は前記打撃力のみを前記先端工具に付与する打撃モードに切替可能に構成された動力伝達部と、
前記本体ハウジングに操作可能に設けられると共に、作業者に操作されることで前記動力伝達部を前記回転打撃モード又は前記打撃モードに切替えるモード切替部と、
前記ハンドルに操作可能に設けられ、作業者の操作によって非操作位置から操作位置に移動すると共に、作業者の操作が解除されることで前記非操作位置に復帰するトリガと、
前記ハンドルに設けられ、前記トリガを前記操作位置に保持する保持機能を有する保持機構部と、
前記モード切替部の切替動作に連動して前記第1方向と交差する第2方向に移動すると共に、前記回転打撃モードでは第1位置に配置されて前記保持機構部の保持機能を無効にし、前記打撃モードでは第2位置に配置されて前記保持機構部の保持機能を有効にする連動部材と、
を備え
、
前記保持機構部は、
操作可能に構成された操作部材と、
前記第2方向において前記連動部材と一体移動可能に構成されると共に、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に移動可能に構成され、前記トリガと係合可能に構成された係合部材と、
を含んで構成されており、
前記連動部材の前記第2位置において、前記係合部材が、前記操作部材によって前記第3方向に移動して、前記操作位置の前記トリガと係合することで、前記トリガが前記操作位置に保持される作業機。
【請求項2】
前記保持機構部は、前記操作位置の前記トリガを保持する保持状態又は前記トリガの前記非操作位置への復帰を許可する非保持状態に切替可能に構成され、
前記連動部材の前記第1位置では、前記連動部材によって前記保持機構部の前記非保持状態から前記保持状態への切替が禁止され、
前記連動部材の前記第2位置では、前記連動部材によって前記保持機構部の前記非保持状態から前記保持状態への切替が許可される請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記連動部材の前記第1位置では、前記操作部材が操作されても、前記第3方向における前記係合部材の移動が禁止されて前記係合部材が前記トリガと係合しない請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
前記操作部材が操作されることで前記係合部材が前記第3方向に移動すると共に、
前記連動部材の前記第1位置では、前記係合部材が前記トリガと係合不能な係合不能位置に配置されており、前記操作部材によって前記第3方向に移動しても前記係合部材の係合不能状態が維持され、
前記連動部材の前記第2位置では、前記係合部材が、前記連動部材によって前記トリガと係合可能な係合可能位置に配置され、前記操作部材によって前記第3方向に移動することで、前記操作位置の前記トリガと係合する請求項1に記載の作業機。
【請求項5】
本体ハウジング及びハンドルを含んで構成されたハウジングと、
前記ハンドルを前記本体ハウジングに第1方向に相対移動可能に連結する防振部と、
前記本体ハウジングに保持された駆動源と、
前記本体ハウジングに保持され、先端工具が連結されると共に、前記駆動源の駆動力によって作動して打撃力及び回転力を前記先端工具に付与する回転打撃モード又は前記打撃力のみを前記先端工具に付与する打撃モードに切替可能に構成された動力伝達部と、
前記本体ハウジングに操作可能に設けられると共に、作業者に操作されることで前記動力伝達部を前記回転打撃モード又は前記打撃モードに切替えるモード切替部と、
前記ハンドルに操作可能に設けられ、作業者の操作によって非操作位置から操作位置に移動すると共に、作業者の操作が解除されることで前記非操作位置に復帰するトリガと、
前記ハンドルに設けられ、前記トリガを前記操作位置に保持する保持機能を有する保持機構部と、
前記モード切替部の切替動作に連動して前記第1方向と交差する第2方向に移動すると共に、前記回転打撃モードでは第1位置に配置されて前記保持機構部の保持機能を無効にし、前記打撃モードでは第2位置に配置されて前記保持機構部の保持機能を有効にする連動部材と、
を備え、
前記連動部材は、
前記保持機構部に連結された第1連動部材と、
前記モード切替部に連結された第2連動部材と、
を含んで構成されており、
前記第1連動部材及び前記第2連動部材が前記第1方向に相対移動可能に連結されている作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のハンマドリル(作業機)は、作業性を向上するためのオンロック機構を有している。具体的には、ハンマドリルのハンマモードにおいて、作業者がオンロック機構のロックロッドを押込操作することで、ロックロッドによってスイッチがオン状態に保持される。これにより、トリガを操作しなくても、オンロック機構によってスイッチをオン状態に保持することができる。一方、ハンマドリルのハンマドリルモードでは、カバーが、切替レバーの回転に連動して後側へ移動して、カバーによってオンロック機構が覆われる。これにより、ハンマドリルモードでは、カバーによってロックロッドに対する操作が不能になり、スイッチがオン状態に保持されることを回避できる。
【0003】
また、ハンマドリルでは、作業性を向上するために、防振機構を有するハンマドリルもある。このハンマドリルでは、ハンマドリルの外郭を構成するハウジングが、作業者が把持するハンドルと、モータ等を収容する本体ハウジングと、を含んで構成されており、防振部によってハンドル部及び本体ハウジングが前後方向に相対移動可能に連結されている。これにより、作業中の振動の作業者への伝達が抑制されるため、ハンマドリルの作業性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、防振機構を有するハンマドリルに上記オンロック機構を適用すると、オンロック機構を構成するカバーが前後方向に移動する。すなわち、ハンドルの相対移動方向とカバーの移動方向とが一致する。このため、ハンドルの相対移動量に対応して、カバーの動き代を設ける必要がある。これにより、前後方向におけるハンマドリルの体格が大型化する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、小型化を図りつつ、作業性を向上することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、本体ハウジング及びハンドルを含んで構成されたハウジングと、前記ハンドルを前記本体ハウジングに第1方向に相対移動可能に連結する防振部と、前記本体ハウジングに保持された駆動源と、前記本体ハウジングに保持され、先端工具が連結されると共に、前記駆動源の駆動力によって作動して打撃力及び回転力を前記先端工具に付与する回転打撃モード又は前記打撃力のみを前記先端工具に付与する打撃モードに切替可能に構成された動力伝達部と、前記本体ハウジングに操作可能に設けられると共に、作業者に操作されることで前記動力伝達部を前記回転打撃モード又は前記打撃モードに切替えるモード切替部と、前記ハンドルに操作可能に設けられ、作業者の操作によって非操作位置から操作位置に移動すると共に、作業者の操作が解除されることで前記非操作位置に復帰するトリガと、前記ハンドルに設けられ、前記トリガを前記操作位置に保持する保持機能を有する保持機構部と、前記モード切替部の切替動作に連動して前記第1方向と交差する第2方向に移動すると共に、前記回転打撃モードでは第1位置に配置されて前記保持機構部の保持機能を無効にし、前記打撃モードでは第2位置に配置されて前記保持機構部の保持機能を有効にする連動部材と、を備え、前記保持機構部は、操作可能に構成された操作部材と、前記第2方向において前記連動部材と一体移動可能に構成されると共に、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に移動可能に構成され、前記トリガと係合可能に構成された係合部材と、を含んで構成されており、前記連動部材の前記第2位置において、前記係合部材が、前記操作部材によって前記第3方向に移動して、前記操作位置の前記トリガと係合することで、前記トリガが前記操作位置に保持される作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記保持機構部は、前記操作位置の前記トリガを保持する保持状態又は前記トリガの前記非操作位置への復帰を許可する非保持状態に切替可能に構成され、前記連動部材の前記第1位置では、前記連動部材によって前記保持機構部の前記非保持状態から前記保持状態への切替が禁止され、前記連動部材の前記第2位置では、前記連動部材によって前記保持機構部の前記非保持状態から前記保持状態への切替が許可される作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記連動部材の前記第1位置では、前記操作部材が操作されても、前記第3方向における前記係合部材の移動が禁止されて前記係合部材が前記トリガと係合しない作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記操作部材が操作されることで前記係合部材が前記第3方向に移動すると共に、前記連動部材の前記第1位置では、前記係合部材が前記トリガと係合不能な係合不能位置に配置されており、前記操作部材によって前記第3方向に移動しても前記係合部材の係合不能状態が維持され、前記連動部材の前記第2位置では、前記係合部材が、前記連動部材によって前記トリガと係合可能な係合可能位置に配置され、前記操作部材によって前記第3方向に移動することで、前記操作位置の前記トリガと係合する作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、本体ハウジング及びハンドルを含んで構成されたハウジングと、前記ハンドルを前記本体ハウジングに第1方向に相対移動可能に連結する防振部と、前記本体ハウジングに保持された駆動源と、前記本体ハウジングに保持され、先端工具が連結されると共に、前記駆動源の駆動力によって作動して打撃力及び回転力を前記先端工具に付与する回転打撃モード又は前記打撃力のみを前記先端工具に付与する打撃モードに切替可能に構成された動力伝達部と、前記本体ハウジングに操作可能に設けられると共に、作業者に操作されることで前記動力伝達部を前記回転打撃モード又は前記打撃モードに切替えるモード切替部と、前記ハンドルに操作可能に設けられ、作業者の操作によって非操作位置から操作位置に移動すると共に、作業者の操作が解除されることで前記非操作位置に復帰するトリガと、前記ハンドルに設けられ、前記トリガを前記操作位置に保持する保持機能を有する保持機構部と、前記モード切替部の切替動作に連動して前記第1方向と交差する第2方向に移動すると共に、前記回転打撃モードでは第1位置に配置されて前記保持機構部の保持機能を無効にし、前記打撃モードでは第2位置に配置されて前記保持機構部の保持機能を有効にする連動部材と、を備え、前記連動部材は、前記保持機構部に連結された第1連動部材と、前記モード切替部に連結された第2連動部材と、を含んで構成されており、前記第1連動部材及び前記第2連動部材が前記第1方向に相対移動可能に連結されている作業機である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、小型化を図りつつ、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係るハンマドリルを示す右側から見た縦断面図である。
【
図2】
図1に示されるハンマドリルのハンドルが押付位置に変位した状態を示す縦断面図である。
【
図3】
図1に示されるハンマドリルのハンマドリルモードを説明するための説明図ある。
【
図4】
図1に示されるハンマドリルのハンマモードを説明するための説明図ある。
【
図5】(A)は、
図1に示されるハンマドリルの保持機構部を拡大して示す断面図であり、(B)は、
図3に示されるオンロックスイッチがロック位置に操作され且つトリガが操作位置に操作された状態を説明するための説明図であり、(C)は、トリガの操作位置において、
図4に示されるオンロックスイッチがロック位置に操作された状態を説明するための説明図である。
【
図6】第2実施形態に係るハンマドリルのオンロック機構を説明するための説明図である。
【
図7】(A)は、
図6に示されるハンマドリルのオンロックスイッチがロック位置に移動した状態を説明するための説明図であり、(B)は、ハンマモード時においてオンロックスイッチがアンロック位置に配置された状態を説明するための説明図であり、(C)は、(B)のオンロックスイッチがロック位置に移動した状態を説明するための説明図ある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1~
図5を用いて、第1実施形態に係る作業機としてのハンマドリル10について説明する。ハンマドリル10は、加工物に対して孔あけ加工等を施す工具として構成されている。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、ハンマドリル10の上側、前側、右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ハンマドリル10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。そして、第1実施形態では、前後方向が本発明の第1方向に対応し、左右方向が本発明の第2方向に対応し、上下方向が本発明の第3方向に対応する。また、図面では、便宜上、ハッチングを省略している。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、ハンマドリル10は、ハウジング12と、ハウジング12内に収容された、駆動源としてのモータ34と、モータ34の駆動力を先端工具Tへ伝達する動力伝達部としての動力伝達機構40と、を含んで構成されている。また、ハンマドリル10は、切替レバー67を有しており、切替レバー67が操作されることで、動力伝達機構40における先端工具Tへの伝達経路が切替えられて、ハンマドリル10が、先端工具Tに打撃力を付与する打撃モードとしてのハンマモード、又は、先端工具Tに回転力及び打撃力を付与する回転打撃モードとしてのハンマドリルモードに切替わるように構成されている。また、ハンマドリル10は、オンロック機構72を有しており、ハンマモードにおいて、操作位置に操作されたトリガ26をオンロック機構72によって保持することができるように構成されている。以下、ハンマドリル10の各構成について説明する。
【0017】
(ハウジング12について) ハウジング12は、中空状に形成されて、ハンマドリル10の外郭を構成している。ハウジング12は、本体ハウジング14と、本体ハウジング14の後側(前後方向一方側)に配置されたハンドル16と、を有している。本体ハウジング14は、右側から見た側面視で、略逆L字形状に形成されると共に、複数のハウジング部材によって構成されている。ハンドル16は、上下方向に延在されており、ハンドル16の下端部が前側へ若干突出している。
【0018】
そして、ハンドル16の上端部及び下端部が、防振部としての防振機構20によって本体ハウジング14に連結されて、ハンドル16が本体ハウジング14に対して前後方向に相対移動可能に構成されている。防振機構20は、ハンドル16の下端部を本体ハウジング14に連結するヒンジ機構部21を有しており、ハンドル16の下端部が、ヒンジ機構部21によって左右方向を軸方向として回転可能に本体ハウジング14に連結されている。ヒンジ機構部21は、4箇所のダンパ22を有しており、ダンパ22によって、ハンドル16が、右側から見て反時計回り方向に付勢されている。
【0019】
防振機構20は、ハンドル16の上端部を本体ハウジング14に連結する弾性連結部24を有している。弾性連結部24は、エラストマなどの弾性材によって構成されると共に、前後方向を軸方向とする筒状で且つ蛇腹状に形成されており、弾性連結部24の前後方向両端部が、ハンドル16及び本体ハウジング14に一体に形成されている。また、防振機構20は、圧縮コイルスプリングとして構成された防振バネ25を有しており、防振バネ25は、弾性連結部24内に配置されて、ハンドル16及び本体ハウジング14を前後方向外側に付勢している。さらに、防振機構20は、図示しないストッパ機構を有しており、ハンドル16が、
図1に示される非押込位置に保持されている。そして、加工物への加工時にハンドル16を前側へ押し付けることで、ハンドル16が、非押込位置から前側へ変位すると共に、
図2に示される押込位置に移動するように構成されている。
【0020】
ハンドル16の上下方向中間部は、作業者が把持する把持部16Aとして構成されている。把持部16Aの上部には、トリガ26が設けられている。トリガ26は、上下方向に延在された略長尺ブロック状に形成されて、把持部16Aから前側へ操作可能に露出している。トリガ26の下端部は、左右方向を軸方向としてハンドル16に回転可能に連結されている。これにより、トリガ26が、非操作位置(
図1及び
図2において実線にて示される位置)と、非操作位置から後側へ変位した操作位置(
図1において2点鎖線にて示される位置)と、の間を移動可能に構成されている。なお、トリガ26の非操作位置では、トリガ26の前側への移動がハンドル16によって制限されている。また、トリガ26の上端部における後端部には、上側へ突出した被係合部26Aが形成されている。
【0021】
ハンドル16内には、トリガ26の後側において、スイッチ28が設けられている。そして、作業者によってトリガ26が非操作位置から操作位置へ操作されることで、スイッチ28がオンする。一方、操作位置のトリガ26に対する作業者の操作力を解除することで、スイッチ28によってトリガ26が非操作位置へ復帰すると共に、スイッチ28がオンからオフに切替る。また、スイッチ28は、本体ハウジング14の下端部に設けられた制御部30に電気的に接続されて、トリガ26の操作状態に応じた出力信号を制御部30に出力する。
【0022】
ハンドル16の上端部には、後述するオンロックスイッチ81を収容するスイッチ収容部16Bが形成されており、スイッチ収容部16Bは、下側へ一段下がった段差状に形成されている。スイッチ収容部16Bの底壁には、スイッチ孔16Cが貫通形成されている。
【0023】
ハンドル16の下端部には、電源コード32が設けられており、電源コード32は、ハンドル16から下側へ延出して、商用電源に接続可能に構成されている。電源コード32は、制御部30に電気的に接続されており、電源コード32を介して商用電源から制御部30に電力が供給される。
【0024】
(モータ34について) モータ34は、3相のブラシレスモータとして構成されて、本体ハウジング14の下部に収容されると共に、制御部30の前側に配置されている。モータ34は、上下方向を軸方向とする駆動軸34Aと、駆動軸34Aに固定された略円筒状のロータ34Bと、ロータ34Bの径方向外側に配置された略円筒状のステータ34Cと、を含んで構成されている。駆動軸34Aの下端部は、軸受36に回転可能に支持されており、駆動軸34Aの上端側の部分は、軸受38に回転可能に支持されている。駆動軸34Aの上端部には、モータギヤ34A1が形成されている。モータ34は、制御部30に電気的に接続されており、制御部30の制御によって駆動する。
【0025】
(動力伝達機構40について) 動力伝達機構40は、クランク機構部42と、回転機構部47と、回転打撃力付与機構部53と、モード切替機構部66と、を含んで構成されている。また、動力伝達機構40は、クランク機構部42、回転機構部47、及び回転打撃力付与機構部53を収容するインナケース41を有しており、インナケース41が本体ハウジング14の上部に収容されている。
【0026】
(クランク機構部42について) クランク機構部42は、クランク軸43と、クランクギヤ44と、クランクプレート45と、を有している。クランク軸43は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成され、モータ34のモータギヤ34A1の後側に配置されている。クランク軸43の上端部は、インナケース41に保持された軸受46に回転可能に支持され、クランク軸43の下端部が、インナケース41に回転可能に支持されている。クランクギヤ44は、上下方向を板厚方向とする略円環板状に形成されて、クランク軸43の下端部に一体回転可能に固定されている。クランクギヤ44の外周部にはギヤ部が形成されており、当該ギヤ部が、モータ34のモータギヤ34A1に噛合されている。クランクプレート45は、上下方向を板厚方向とする略円板状に形成されて、クランク軸43の上端部に一体回転可能に固定されている。クランクプレート45には、上側へ突出した連結軸45Aが設けられており、連結軸45Aは、クランク軸43の中心に対して偏心した位置に配置されている。
【0027】
(回転機構部47について) 回転機構部47は、回転軸48と、伝達ギヤ51と、を有している。回転軸48は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成され、モータ34のモータギヤ34A1の前側に配置されている。回転軸48の上部は、軸受49に回転可能に支持され、回転軸48の下端部が軸受50に回転可能に支持されており、軸受49及び軸受50は、インナケース41に保持されている。回転軸48の上端部には、ベベルギヤ48Aが形成されている。伝達ギヤ51は、上下方向を板厚方向とする略円環板状に形成されて、回転軸48の下部に一体回転可能に固定されている。伝達ギヤ51の外周部にはギヤ部が形成されており、当該ギヤ部が、モータ34のモータギヤ34A1に噛合されている。
【0028】
(回転打撃力付与機構部53について) 回転打撃力付与機構部53は、シリンダ54と、リテーナスリーブ55と、ピストン60と、打撃子63と、中間子64と、を含んで構成されている。シリンダ54及びリテーナスリーブ55は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されると共に、同軸上に配置されている。シリンダ54及びリテーナスリーブ55は、本体ハウジング14に回転可能に支持されている。また、シリンダ54の前端部がリテーナスリーブ55の後端部内に嵌入されて、シリンダ54及びリテーナスリーブ55が一体回転可能に構成されている。そして、先端工具Tが、リテーナスリーブ55の前端部に取付けられて、本体ハウジング14の前端部から前側へ突出している。
【0029】
シリンダ54の後端部には、略円筒状のリングギヤ56が外挿されており、リングギヤ56は、軸受を介してシリンダ54に回転可能に支持されている。リングギヤ56の前端部には、ベベルギヤ56Aが形成されており、ベベルギヤ56Aは、回転機構部47における回転軸48のベベルギヤ48Aに噛合されている。また、シリンダ54の後端部には、略円筒状のスリーブ57が外挿されている。スリーブ57は、シリンダ54にスプライン篏合されている。すなわち、スリーブ57は、シリンダ54に一体回転可能に且つ前後方向に相対移動可能に連結されている。また、シリンダ54には、スリーブ57の前側において、付勢バネ58が外挿されており、付勢バネ58がスリーブ57を後側へ付勢して、スリーブ57がリングギヤ56に係合している。これにより、モータ34の駆動力が回転機構部47、リングギヤ56、及びスリーブ57によってシリンダ54に伝達され、シリンダ54及びリテーナスリーブ55が回転して、先端工具Tに回転力を付与する構成になっている。一方、後述するモード切替機構部66によってスリーブ57が付勢バネ58の付勢力に抗して前側へ移動することで、スリーブ57とリングギヤ56との係合状態が解除されて、回転機構部47からシリンダ54への駆動力の伝達が遮断される構成になっている。
【0030】
ピストン60は、後側へ開放された略有底円筒状に形成されて、シリンダ54の後部内に前後方向に相対移動可能に挿入されている。また、ピストン60には、上下方向を軸方向とするピストン連結軸61が設けられている。ピストン連結軸61には、前後方向に延在されたピストンアーム62の前端部が回転可能に連結されており、ピストンアーム62の後端部が、クランク機構部42の連結軸45Aに回転可能に連結されている。これにより、モータ34の駆動力が、クランク機構部42及びピストンアーム62によってピストン60に伝達されて、ピストン60が前後方向に往復移動する構成になっている。
【0031】
打撃子63は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、シリンダ54に前後方向に相対移動可能に挿入されると共に、ピストン60の前側に配置されている。そして、シリンダ54内におけるピストン60と打撃子63との間の空間が、空気室54Aとして構成されている。
【0032】
中間子64は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、リテーナスリーブ55内に前後方向に相対移動可能に挿入されている。また、中間子64は、打撃子63の前側に隣接して配置されている。これにより、ピストン60が前側へ移動して空気室54A内の圧力が上昇することで、打撃子63及び中間子64が前側へ移動して、前後方向に沿った打撃力が先端工具Tに付与される構成になっている。
【0033】
(モード切替機構部66について)
図3及び
図4にも示されるように、モード切替機構部66は、モード切替部としての切替レバー67と、切替アーム69と、を含んで構成されている。
【0034】
切替レバー67は、下側へ開放された略有底円筒状に形成され、本体ハウジング14の後端部に配置されると共に、本体ハウジング14から上側に操作可能に露出されている。切替レバー67の中央部には、レバー軸68が固定されており、レバー軸68は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成され、切替レバー67から下側へ突出している。そして、レバー軸68がインナケース41に回転可能に支持されている。これにより、切替レバー67が、本体ハウジング14に上下方向を軸方向として回転可能に連結されている。具体的には、ハンマドリル10のハンマドリルモードでは、切替レバー67が、ハンマドリルモード位置(
図1~
図3に示される位置)に配置され、ハンマドリル10のハンマモードでは、切替レバー67が、ハンマドリルモード位置から180度回転したドリルモード位置(
図4に示される位置)に配置される。
【0035】
切替アーム69は、前後方向に延在された略長尺状に形成されている。切替アーム69の前端部は、回転打撃力付与機構部53のスリーブ57に連結されており、切替アーム69の後端部は、アーム連結軸70を介してレバー軸68に連結されている。アーム連結軸70は、レバー軸68の中心軸に対して偏心した位置に配置されている。これにより、切替レバー67が回転することで、切替アーム69が前後方向に変位するようになっている。具体的には、切替レバー67のハンマドリルモード位置では、
図1~
図3に示される位置に切替アーム69が配置されて、リングギヤ56とスリーブ57とが係合するように構成されている。一方、切替レバー67のハンマモード位置では、切替アーム69が前側へ変位し、リングギヤ56とスリーブ57との係合状態が解除される構成になっている。
【0036】
切替レバー67には、偏心カム67Aが設けられている。偏心カム67Aは、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成され、切替レバー67から下側へ突出している。偏心カム67Aは、切替レバー67の中央部に対して左右方向に偏心した位置に配置されており、レバー軸68が偏心カム67Aの径方向内側に配置されている。詳しくは、切替レバー67のハンマドリルモード位置では、偏心カム67Aの中心が切替レバー67の中心に対して左側にずれた位置に配置され(
図3参照)、切替レバー67のハンマモード位置では、偏心カム67Aの中心が切替レバー67の中心に対して右側にずれた位置に配置される(
図4参照)。
【0037】
(オンロック機構72について)
図3~
図5に示されるように、オンロック機構72は、操作位置に操作されたトリガ26を保持する保持機能を有する保持機構部80と、保持機構部80の保持機能を有効又は無効に切替える連動部材としてのリンクユニット90と、を含んで構成されている。
【0038】
(保持機構部80について) 保持機構部80は、操作部材としてのオンロックスイッチ81と、スライダ83と、係合部材としてのロック部材84と、を含んで構成されている。オンロックスイッチ81は、ハンドル16におけるスイッチ収容部16Bのスイッチ孔16C内に配置されている。オンロックスイッチ81の後端部には、後側へ開放されたスライド溝81Aが形成されており、ハンドル16におけるスイッチ孔16Cの後側縁部がスライド溝81A内に前後方向に相対移動可能に挿入されている。これにより、オンロックスイッチ81がハンドル16に前後方向にスライド可能に連結されている。具体的には、オンロックスイッチ81が、アンロック位置(
図3、
図4、及び
図5(A)に示される位置)と、アンロック位置から前側へスライドしたロック位置(
図5(B)及び(C)に示される位置)と、の間をスライド可能に構成されている。以下、オンロックスイッチ81がアンロック位置に配置された状態として説明する。
【0039】
オンロックスイッチ81には、前側へ開放されたフロント溝81Bが形成されており、フロント溝81Bには、圧縮コイルスプリングとして構成されたスイッチスプリング82が収容されている。スイッチスプリング82の前端は、ハンドル16に係止され、スイッチスプリング82の後端は、フロント溝81Bの底面に係止されており、スイッチスプリング82がオンロックスイッチ81を後側へ付勢している。これにより、オンロックスイッチ81がアンロック位置に保持されている。そして、オンロックスイッチ81が、作業者によって操作されることで、アンロック位置からロック位置へスライドするようになっている。
【0040】
オンロックスイッチ81の下面の右部には、オンロックスイッチ81に付与された操作力を、後述するロック部材84に伝達して、ロック部材84を移動させるためのロックカム部81C(広義には、操作力伝達部として把握される要素である)が設けられている。ロックカム部81Cの前面には、傾斜面81Dが形成されており、傾斜面81Dは、右側から見て、下側へ向かうに従い後側へ傾斜している。また、ロックカム部81Cの下面には、係合凹部81Eが形成されており、係合凹部81Eは、下側へ開放された凹状に形成されると共に、左右方向に貫通している。
【0041】
スライダ83は、上側へ開放された略矩形箱状に形成されている。スライダ83は、オンロックスイッチ81とトリガ26との間に配置されると共に、左右方向に移動可能にハンドル16に連結されている。スライダ83の底壁の左端部には、ロック孔83Aが貫通形成されている。
【0042】
ロック部材84は、下側へ開放された略矩形箱状に形成されて、スライダ83に上下方向に移動可能に収容されている。これにより、ロック部材84が、スライダ83と共に、左右方向に一体移動可能に構成されている。具体的には、ロック部材84は、作動不能位置(
図3に示される位置)と、作動不能位置から右側へ移動した作動可能位置(
図4に示される位置)と、の間を移動可能に構成されている。
【0043】
ロック部材84は、被押圧部84Aを有しており、被押圧部84Aは、前後方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されて、ロック部材84の上面の前後方向中間部から上側へ突出している。被押圧部84Aは、右側から見てオンロックスイッチ81のロックカム部81Cの前側に配置されて、ロックカム部81Cと重ならない位置に配置されている。また、ロック部材84の内部には、圧縮コイルスプリングとして構成されたロックスプリング85が収容されている。ロックスプリング85の上端は、ロック部材84の頂壁に係止され、ロックスプリング85の下端は、スライダ83の底壁に係止されており、ロックスプリング85がロック部材84を上側へ付勢している。これにより、ロック部材84の被押圧部84Aがオンロックスイッチ81の下面に当接している。
【0044】
そして、ロック部材84の作動不能位置では、前側から見て、ロック部材84の被押圧部84Aが、ロックカム部81Cの左側に配置されて、ロックカム部81Cと重ならない位置に配置されている(
図3参照)。これにより、オンロックスイッチ81をアンロック位置からロック位置にスライドしても、オンロックスイッチ81のロックカム部81Cがロック部材84に当接せずに、ロック部材84が作動不能位置に留まるように構成されている(
図5(B)参照)。そして、オンロックスイッチ81の位置にかかわらず、ロック部材84が作動不能位置に配置された状態を、保持機構部80の非保持状態と称する。
【0045】
一方、ロック部材84の作動可能位置では、前側から見て、ロック部材84の被押圧部84Aの上端部が、ロックカム部81Cと重なる位置に配置される(
図4参照)。これにより、オンロックスイッチ81をアンロック位置から前側(ロック位置側)へスライドすると、ロックカム部81Cの傾斜面81Dが被押圧部84Aの上端部に当接し、オンロックスイッチ81の操作力がロック部材84に伝達されて、ロック部材84が作動可能位置から下降するようになっている。そして、オンロックスイッチ81のロック位置では、被押圧部84Aの上端部が、ロックカム部81Cの係合凹部81Eに嵌まり込んで、オンロックスイッチ81がロック位置に保持されるようになっている(
図5(C)に示される位置であり、以下、ロック部材84のこの位置を保持位置という)。また、ロック部材84が保持位置に配置された保持機構部80の状態を、保持状態と称する。
【0046】
また、ロック部材84は、ロックプレート84Bを有しており、ロックプレート84Bは、ロック部材84の左壁から下側へ延出されて、スライダ83のロック孔83Aに挿入されている。そして、保持機構部80の非保持状態では、ロックプレート84Bが、スライダ83から下側へ突出しない設定になっている。一方、ロック部材84の保持位置では、ロックプレート84Bの下端部が、スライダ83から下側へ突出し、操作位置に配置されたトリガ26の被係合部26Aの前側に配置される構成になっている(
図5(C)参照)。これにより、トリガ26の操作位置において、保持機構部80を保持状態にすることで、トリガ26の被係合部26Aとロックプレート84Bの下端部とが係合して、トリガ26が操作位置に保持される。すなわち、保持機構部80は、保持状態又は非保持状態に切替可能に構成され、保持機構部80の非保持状態では、操作位置のトリガ26の非操作位置への復帰が許可され、保持機構部80が非保持状態から保持状態に切替わることで、操作位置のトリガ26を保持するようになっている。
【0047】
(リンクユニット90について)
図3及び
図4に示されるように、リンクユニット90は、前後方向に延在された略長尺状に形成されて、切替レバー67と保持機構部80のスライダ83とを連結している。すなわち、リンクユニット90は、ハンドル16の上端部と本体ハウジング14の上端部とに跨って配置されると共に、防振機構20の弾性連結部24の内部に配置されている。リンクユニット90は、リンクユニット90の後部を構成する第1連動部材としてのリヤリンク92と、リンクユニット90の前部を構成する第2連動部材としてのフロントリンク94と、を含んで構成されている。
【0048】
リヤリンク92は、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在された略長尺板状に形成されている。リヤリンク92の後端側部分は下側へ屈曲されており、リヤリンク92の後端部が、上側へ略U字形状に折り返されて、保持機構部80のスライダ83に固定されている。これにより、リヤリンク92が、スライダ83を介してロック部材84に連結されており、左右方向においてリヤリンク92及びロック部材84が一体移動可能に構成されている。すなわち、ロック部材84の作動不能位置では、リンクユニット90が第1位置としての切替禁止位置(
図3に示される位置)に配置され、ロック部材84の作動可能位置では、リンクユニット90が第2位置としての切替許可位置(
図4に示される位置)に配置される。リヤリンク92の前端部には、リンク連結部92Aが形成されており、リンク連結部92Aは、前側から見て、上側へ開放された略U字形状に形成されている。つまり、リヤリンク92の前端部には、左右方向両端部において、上側へ屈曲された左右一対の連結片92Bが形成されている。
【0049】
フロントリンク94は、リヤリンク92と同様に、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在された略長尺板状に形成されている。そして、フロントリンク94の後端部が、リヤリンク92の一対の連結片92Bの間に配置されて、リヤリンク92のリンク連結部92Aに前後方向に相対移動可能に且つ左右方向に一体移動可能に連結されている。
【0050】
フロントリンク94の前端部には、レバー連結部94Aが形成されており、レバー連結部94Aは、前後方向を長手方向とする略矩形環状に形成されている。そして、切替レバー67の偏心カム67Aがレバー連結部94A内に挿入されて、偏心カム67Aとレバー連結部94Aとが左右方向に係合している。これにより、切替レバー67が回転すると、リンクユニット90が、切替レバー67の回転に連動して、左右方向に往復移動するようになっている。具体的には、切替レバー67のハンマドリルモード位置では、リンクユニット90が切替禁止位置に配置され、切替レバー67のハンマモード位置では、リンクユニット90が切替許可位置に配置される設定になっている。
【0051】
すなわち、リンクユニット90は、切替レバー67の回転に連動して作動して、ロック部材84の位置を作動不能位置又は作動可能位置に切替えて、保持機構部80の保持機能を有効又は無効に切替える部材として構成されている。換言すると、ハンマドリル10のハンマモードでは、リンクユニット90によって保持機構部80の非保持状態から保持状態への切替を許可する状態にし、オンロックスイッチ81が操作されることで、保持機構部80が非保持状態から保持状態へ切替る。一方、ハンマドリル10のハンマドリルモードでは、リンクユニット90によって保持機構部80の非保持状態から保持状態への切替を禁止した状態にして、オンロックスイッチ81が操作されても、保持機構部80の非保持状態が維持される構成になっている。
【0052】
(作用効果) 次に、ハンマドリルモード及びハンマモードにおけるハンマドリル10の動作を説明しつつ、第1実施形態の作用効果を説明する。
【0053】
(ハンマドリルモードについて)
図3に示されるように、ハンマドリル10のハンマドリルモードでは、切替レバー67がハンマドリルモード位置に配置される。このため、動力伝達機構40では、リングギヤ56とスリーブ57とが係合している。これにより、作業者によってトリガ26が非操作位置から操作位置に操作され、モータ34が駆動すると、クランク機構部42による打撃力及び回転機構部47による回転力が、先端工具Tに付与される。
【0054】
一方、オンロック機構72では、リンクユニット90が切替禁止位置に配置されて、保持機構部80が非保持状態になっている。具体的には、オンロックスイッチ81がアンロック位置に配置されており、ロック部材84が、作動不能位置に配置されている。このため、作業者によって、オンロックスイッチ81が、アンロック位置からロック位置へスライドしても、ロックカム部81Cがロック部材84の被押圧部84Aに当接せずに、ロック部材84の作動不能位置の配置状態が維持される(
図5(B)参照)。すなわち、保持機構部80の非保持状態から保持状態への切替が禁止される。これにより、操作位置に操作されたトリガ26を保持機構部80によって保持することができず、作業者のトリガ26に対する操作力を解除することで、トリガ26が非操作位置に復帰する。
【0055】
(ハンマモードについて)
図4に示されるように、ハンマドリル10のハンマモードでは、作業者の操作によって、切替レバー67がハンマドリルモード位置からハンマドリル位置に回転される。このため、切替レバー67に連結された切替アーム69によってスリーブ57が前側に変位して、リングギヤ56とスリーブ57との係合状態が解除される。これにより、作業者によってトリガ26が非操作位置から操作位置に操作され、モータ34が駆動すると、クランク機構部42による打撃力のみが先端工具Tに付与される。
【0056】
一方、切替レバー67のハンマモード位置への回転時には、偏心カム67Aによって、リンクユニット90が、右側へ変位して、切替許可位置に配置される。これにより、ロック部材84が作動可能位置に配置されて、前側から見て、ロック部材84の被押圧部84Aがオンロックスイッチ81のロックカム部81Cと重なる位置に配置される。よって、保持機構部80の非保持状態から保持状態への切替が許可された状態になる。換言すると、保持機構部80のトリガ26に対する保持機能が無効から有効に切替る。
【0057】
この状態で、作業者によって、オンロックスイッチ81を、アンロック位置からロック位置へスライドさせると、ロックカム部81Cの傾斜面81Dが被押圧部84Aに当接して、ロック部材84がロックカム部81Cによって下側へ押圧される。これにより、ロック部材84が作動可能位置から下降する。そして、オンロックスイッチ81のロック位置では、被押圧部84Aの上端部が、ロックカム部81Cの係合凹部81Eに嵌まり込んで、オンロックスイッチ81がロック位置に保持されると共に、ロック部材84が保持位置に配置される(
図5(C)参照)。ロック部材84の保持位置では、ロック部材84のロックプレート84Bの下端部が、操作位置のトリガ26の被係合部26Aの前側に配置される。このため、操作位置のトリガ26に対する操作力を解除すると、被係合部26Aがロックプレート84Bに係合して、トリガ26が操作位置に保持される。したがって、トリガ26に対する操作力を付与せずに、破砕などの作業を継続することができる。
【0058】
ここで、ハンマドリル10では、本体ハウジング14とハンドル16とが防振機構20によって前後方向に相対移動可能に連結されている。このため、例えば、モータ34が駆動することによる振動を防振機構20によって吸収することができる。これにより、当該振動がハンドル16に入力されることを抑制できる。また、ハンマドリル10は、オンロック機構72を有しており、オンロック機構72は、操作位置のトリガ26を保持する保持機能を有する保持機構部80と、保持機構部80の保持機能を有効又は無効に切替えるリンクユニット90と、含んで構成されている。そして、上述のように、ハンマドリル10のハンマドリルモードでは、リンクユニット90が切替禁止位置に配置され、保持機構部80の非保持状態から保持状態への切替が禁止されて、保持機構部80の保持機能が無効になる。一方、ハンマドリル10のハンマモードでは、リンクユニット90が、切替許可位置に配置され、保持機構部80の非保持状態から保持状態への切替が許可されて、保持機構部80の保持機能が有効になる。このため、ハンマモードにおいて保持機構部80を作動させることで、保持機構部80によって操作位置のトリガ26を保持することができる。以上により、ハンマドリル10の作業性を向上することができる。しかも、リンクユニット90は、切替レバー67の回転に連動して左右方向に移動して、切替禁止位置又は切替許可位置に配置される。すなわち、ハンドル16の本体ハウジング14に対する相対移動方向と直交する方向にリンクユニット90が移動することで、保持機構部80の保持機能が有効又は無効に切替わる。したがって、例えば、リンクユニット90を前後方向に移動させる構成と比べて、前後方向におけるハンマドリル10の体格の大型化を抑制することができる。以上により、第1実施形態のハンマドリル10によれば、小型化を図りつつ、作業性を向上することができる。
【0059】
また、保持機構部80のロック部材84は、左右方向においてリンクユニット90と一体移動可能に構成されると共に、上下方向に移動可能に構成されている。そして、リンクユニット90の切替許可位置(すなわち、ハンマモード)では、オンロックスイッチ81がアンロック位置からロック位置へスライドすることで、ロック部材84が、オンロックスイッチ81によって下側に移動し、操作位置のトリガ26と係合して、トリガ26が操作位置に保持される。すなわち、ロック部材84がトリガ26と係合するときの移動方向が、ハンドル16の本体ハウジング14に対する相対移動方向と直交する方向になっている。したがって、例えば、ロック部材84のトリガ26との係合時における移動方向を前後方向にする構成と比べて、前後方向におけるハンマドリル10の体格の大型化を抑制することができる。したがって、ハンマドリル10の小型化に一層寄与することができる。
【0060】
また、リンクユニット90の切替禁止位置(すなわち、ハンマドリルモード)では、オンロックスイッチ81がアンロック位置からロック位置へスライドしても、ロック部材84の下側への移動が禁止される。これにより、保持機構部80の非保持状態を有効に維持することができる。尚、別の構成として、ハンマドリルモードにおいてはリンクユニット90がオンロックスイッチ81またはロック部材84と干渉して、ロック部材84の下側への移動が禁止される構成も想定できるが、この構成では、ハンマドリルモードにおいて無理にオンロックスイッチ81を操作し、リンクユニット90等の部品を破損する恐れがある。これに対し第1実施形態においては、ハンマドリルモードにおいてもオンロックスイッチ81はアンロック位置からロック位置へとスライドできるため、リンクユニット90等の破損を抑制することができる。
【0061】
また、リンクユニット90は、保持機構部80に連結されたリヤリンク92と、切替レバー67に連結されたフロントリンク94と、を含んで構成されており、リヤリンク92及びフロントリンク94が前後方向に相対移動可能に連結されている。これにより、ハンドル16の本体ハウジング14に対する前後方向の相対移動を阻害することなく、リンクユニット90を切替レバー67及び保持機構部80に連結することができる。したがって、ハンマドリル10の防振機能性能を維持しつつ、ハンマドリル10の作業性を向上することができる。
【0062】
(第2実施形態) 次に、
図6及び
図7を用いて、第2実施形態に係る作業機としてのハンマドリル100について説明する。なお、第2実施形態では、前後方向が本発明の第1方向に対応し、上下方向が本発明の第2方向に対応し、左右方向が本発明の第3方向に対応する。また、第2実施形態のハンマドリル100は、第1実施形態のハンマドリル10に対して、以下に示す点を除いて同様に構成されている。そして、
図6及び
図7では、第1実施形態と同様に構成されている部材には、同一の符号を付している。
【0063】
図6に示されるように、ハンマドリル100では、第1実施形態のオンロック機構72の代わりにオンロック機構110が設けられている。オンロック機構110は、連動部材としての連動プレート112と、保持機構部120と、を含んで構成されている。
【0064】
連動プレート112は、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略長尺板状に形成されて、防振機構20の弾性連結部24の内部に配置されている。連動プレート112は、本体ハウジング14によって、上下方向に相対移動可能に且つ前後方向に相対移動不能に連結されている。また、連動プレート112の前端部は、本体ハウジング14に設けられた付勢バネ114によって上側へ付勢されており、連動プレート112の後端部は、後述するロック部材124によって上側に付勢されている。
【0065】
また、連動プレート112の前端部は、切替レバー67の外周部の下面に下側から当接している。切替レバー67の外周部の下面には、カム面67Bが形成されており、カム面67Bによって、連動プレート112の上下方向の位置が設定されている。具体的には、切替レバー67のハンマドリルモード位置では、連動プレート112が、切替禁止位置(
図6に示される位置)に配置され、切替レバー67のハンマモード位置では、連動プレート112が、切替禁止位置から下降した切替許可位置(
図7(B)及び(C)に示される位置)に配置されるようになっている。
【0066】
保持機構部120は、操作部材としてのオンロックスイッチ122と、係合部材としてのロック部材124と、を含んで構成されている。オンロックスイッチ122は、左右方向を軸方向とする略矩形柱状に形成されて、ハンドル16内において、連動プレート112の後端部とトリガ26との間に配置されている。また、オンロックスイッチ122が、ハンドル16の右側壁及び左側壁に架け渡されて、ハンドル16に左右方向に相対移動可能に連結されている。具体的には、オンロックスイッチ122が、アンロック位置(
図6及び
図7(B)に示される位置)と、アンロック位置から右側へ移動したロック位置(
図7(A)及び(C)に示される位置)と、の間を移動可能に連結されている。
【0067】
オンロックスイッチ122の左右方向中央部には、後述するロック部材124を収容するためのロック収容部122Aが形成されており、ロック収容部122Aは、上側へ開放された凹状に形成されている。ロック収容部122Aの底壁の左端部には、ロック孔122Bが貫通形成されている。
【0068】
ロック部材124は、第1実施形態のロック部材84と同様に構成されている。すなわち、ロック部材124は、下側へ開放された略矩形箱状に形成されて、オンロックスイッチ122のロック収容部122Aに上下方向に移動可能に収容されている。ロック部材124の上端部は、左右方向から見て上側へ凸となる半円状に形成されて、連動プレート112の後端部の下側に隣接して配置されている。また、ロック部材124は、ロック部材124の左壁から下側へ延出されたロックプレート124Aを有しており、ロックプレート124Aがオンロックスイッチ122のロック孔122Bを挿通している。
【0069】
さらに、ロック部材124の内部には、圧縮コイルスプリングとして構成されたロックスプリング126が収容されている。ロックスプリング126の上端は、ロック部材124の頂壁に係止され、ロックスプリング126の下端は、ロック収容部122Aの底壁に係止されており、ロックスプリング126がロック部材124を上側へ付勢している。これにより、ロック部材124の上端が連動プレート112の下面に当接して、連動プレート112及びロック部材124が、上下方向に一体移動可能に構成されている。具体的には、連動プレート112の切替禁止位置では、ロック部材124が係合不能位置(
図6及び
図7(A)に示される位置)に配置され、連動プレート112の切替許可位置では、ロック部材124が係合不能位置から下降した係合可能位置(
図7(B)及び(C)に示される位置)に配置される。
【0070】
そして、ロック部材124の係合不能位置では、ロック部材124のロックプレート124Aが、トリガ26の被係合部26Aよりも上側に配置されて、ロック部材124とトリガ26の被係合部26Aとが係合不能状態となっている。このため、ハンマドリル100のハンマドリルモードにおいて、オンロックスイッチ122がアンロック位置からロック位置に移動しても、操作位置に配置されたトリガ26を保持できない構成になっている。すなわち、連動プレート112の切替禁止位置では、保持機構部120が非保持状態となる。
【0071】
一方、ロック部材124の係合可能位置では、上下方向において、ロックプレート124Aの下端部が、トリガ26の被係合部26Aと重なる位置に配置される設定になっている。さらに、オンロックスイッチ122のアンロック位置では、ロックプレート124Aの下端部が、トリガ26の被係合部26Aに対して左側にずれた位置に配置されており(
図7(B)参照)、オンロックスイッチ122がロック位置では、ロックプレート124Aの下端部が、操作位置におけるトリガ26の被係合部26Aの前側に隣接して配置される構成になっている(
図7(C)参照)。これにより、連動プレート112の切替許可位置では、保持機構部120の非保持状態から保持状態での切替が許可される。
【0072】
以上により、第2実施形態においても、連動プレート112の切替禁止位置(すなわち、ハンマドリルモード)では、保持機構部120の非保持状態から保持状態への切替が禁止され、保持機構部120の保持機能が無効にされる。また、連動プレート112の切替許可位置(すなわち、ハンマモード)では、保持機構部120の非保持状態から保持状態への切替が許可され、保持機構部120の保持機能が有効にされる。さらに、第2実施形態では、連動プレート112が、切替レバー67の回転に連動して上下方向に移動して、切替禁止位置又は切替許可位置に配置される。すなわち、第2実施形態においても、ハンドル16の本体ハウジング14に対する相対移動方向と直交する方向に連動プレート112が移動することで、連動プレート112の位置が変更される。したがって、第2実施形態のハンマドリル100においても、第1実施形態と同様に、小型化を図りつつ、作業性を向上することができる。
【0073】
また、第2実施形態では、ロック部材124が、連動プレート112の後端部に下側から当接すると共に、ロックスプリング126によって上側へ付勢されている。これにより、ロック部材124が、連動プレート112に上下方向に一体移動可能に且つ前後方向に相対移動可能に連結されている。したがって、第2実施形態においても、ハンマドリル100の防振機能性能を維持しつつ、ハンマドリル100の作業性を向上することができる。
【0074】
なお、第2実施形態では、オンロック機構110の連動プレート112が単一部材で構成されているが、第1実施形態と同様に、2部材によって構成してもよい。この場合には、2部材によって構成された連動部材を前後方向に相対移動可能に且つ上下方向に一体移動可能に連結してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…ハンマドリル(作業機)、12…ハウジング、14…本体ハウジング、16…ハンドル、20…防振機構(防振部)、26…トリガ、34…モータ(駆動源)、40…動力伝達機構(動力伝達部)、67…切替レバー(モード切替部)、80…保持機構部、81…オンロックスイッチ(操作部材)、84…ロック部材(係合部材)、90…リンクユニット(連動部材)、92…リヤリンク(第1連動部材)、94…フロントリンク(第2連動部材)、100…ハンマドリル(作業機)、112…連動プレート(連動部材)、120…保持機構部、122…オンロックスイッチ(操作部材)、124…ロック部材(係合部材)、T…先端工具