IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ペダル装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/30 20080401AFI20241016BHJP
   B60T 7/06 20060101ALI20241016BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G05G1/30 E
B60T7/06 A
B60T7/06 B
B60K26/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023545513
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2022032114
(87)【国際公開番号】W WO2023032819
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2022/013796
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021142748
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒尾 昌志
(72)【発明者】
【氏名】柳田 悦豪
(72)【発明者】
【氏名】北斗 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 淳志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 玄軌
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓人
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-055327(JP,A)
【文献】特開2019-096253(JP,A)
【文献】特開2020-100173(JP,A)
【文献】実開昭50-104326(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第1786356(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/30
B60T 7/06
B60K 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚方向(Dt)に厚みを有し延伸方向(Ds)へ延伸する板形状を成す板部(11)を有し、前記板厚方向の一方側から前記板部に対し運転者に踏込み操作されることで、前記延伸方向に対して垂直な軸心(CL)まわりに回転動作するペダルパッド(10)と、
前記板部よりも車両下方へ離れた位置で、前記軸心を中心として前記軸心の軸方向へ延びる軸部材(20)と、
前記軸部材を回転可能に支持するハウジング(40)と、
前記ペダルパッドと前記軸部材とを連結する連結部(30)と、を備え、
前記板部に対し前記運転者の踏込み操作がされていない非踏込状態では、前記ペダルパッドの前記延伸方向の一方側に位置するペダル上端部(12)が前記延伸方向の他方側に位置するペダル下端部(13)に比べて車両上方に位置するオルガン式のペダル装置において、
前記ハウジングと前記ペダル下端部との間に隙間(S1)を有しており、
前記ハウジングは、前記ペダルパッド側を向く外壁面(45)の一部に設けられて前記軸心の軸方向に向かい車両下方に傾斜する左右傾斜面(50、501~504)と、前記軸心の軸方向の一方を向く右側面(41)と、前記軸心の軸方向の他方を向く左側面(44)とを有しており、
前記右側面または前記左側面のうち前記連結部が配置されている側の面と、前記左右傾斜面のうち車両下方側の部位との接続箇所(51、52)は、前記連結部よりも車両前方にずれた位置となっている、ペダル装置。
【請求項2】
前記右側面または前記左側面のうち前記連結部が配置されている側の面には、前記運転者の踏力の増加により前記ペダルパッドが移動する方向とは反対方向へ前記連結部および前記ペダルパッドが移動することを前記非踏込状態において規制する規制部(31)が設けられており、
前記右側面または前記左側面のうち前記連結部が配置されている側の面と、前記左右傾斜面のうち車両下方側の部位との接続箇所は、前記規制部および前記連結部よりも車両前方にずれた位置となっている、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
板厚方向(Dt)に厚みを有し延伸方向(Ds)へ延伸する板形状を成す板部(11)を有し、前記板厚方向の一方側から前記板部に対し運転者に踏込み操作されることで、前記延伸方向に対して垂直な軸心(CL)まわりに回転動作するペダルパッド(10)と、
前記板部よりも車両下方へ離れた位置で、前記軸心を中心として前記軸心の軸方向へ延びる軸部材(20)と、
前記軸部材を回転可能に支持するハウジング(40)と、
前記ペダルパッドと前記軸部材とを連結する連結部(30)と、を備え、
前記板部に対し前記運転者の踏込み操作がされていない非踏込状態では、前記ペダルパッドの前記延伸方向の一方側に位置するペダル上端部(12)が前記延伸方向の他方側に位置するペダル下端部(13)に比べて車両上方に位置するオルガン式のペダル装置において、
前記ハウジングと前記ペダル下端部との間に隙間(S1)を有しており、
前記ハウジングは、前記軸心の軸方向の一方を向く右側面と、前記軸心の軸方向の他方を向く左側面と、前記右側面および前記左側面の少なくとも一方の面から車両上方に延びる壁部(46、461)とを有しているペダル装置。
【請求項4】
板厚方向(Dt)に厚みを有し延伸方向(Ds)へ延伸する板形状を成す板部(11)を有し、前記板厚方向の一方側から前記板部に対し運転者に踏込み操作されることで、前記延伸方向に対して垂直な軸心(CL)まわりに回転動作するペダルパッド(10)と、
前記板部よりも車両下方へ離れた位置で、前記軸心を中心として前記軸心の軸方向へ延びる軸部材(20)と、
前記軸部材を回転可能に支持するハウジング(40)と、
前記ペダルパッドと前記軸部材とを連結する連結部(30)と、を備え、
前記板部に対し前記運転者の踏込み操作がされていない非踏込状態では、前記ペダルパッドの前記延伸方向の一方側に位置するペダル上端部(12)が前記延伸方向の他方側に位置するペダル下端部(13)に比べて車両上方に位置するオルガン式のペダル装置において、
前記ハウジングと前記ペダル下端部との間に隙間(S1)を有しており、
前記ハウジングは、前記ペダルパッド側を向く面の一部に設けられて前記軸心の軸方向に向かい車両下方に傾斜する左右傾斜面と、前記軸心の軸方向の一方を向く右側面と、前記軸心の軸方向の他方を向く左側面と、前記左右傾斜面のうち車両上方側の部位から車両上方に延びる壁部とを有している、ペダル装置。
【請求項5】
前記ペダルパッドは、前記ハウジングの前記壁部に対して前記軸心の軸方向に隣接し、且つ、前記連結部に対して前記軸心の軸方向に対向する位置に、前記板部から前記ハウジング側に延びるパッド下壁部(14)を有している、請求項3または4に記載のペダル装置。
【請求項6】
前記パッド下壁部のうち車両前方を向く面(141)と、前記ハウジングの前記壁部のうち車両上方を向く面(462)とのなす角(θ2)は、前記軸心の軸方向から視て45°以上となっている、請求項5に記載のペダル装置。
【請求項7】
板厚方向(Dt)に厚みを有し延伸方向(Ds)へ延伸する板形状を成す板部(11)を有し、前記板厚方向の一方側から前記板部に対し運転者に踏込み操作されることで、前記延伸方向に対して垂直な軸心(CL)まわりに回転動作するペダルパッド(10)と、
前記板部よりも車両下方へ離れた位置で、前記軸心を中心として前記軸心の軸方向へ延びる軸部材(20)と、
前記軸部材を回転可能に支持するハウジング(40)と、
前記ペダルパッドと前記軸部材とを連結する連結部(30)と、を備え、
前記板部に対し前記運転者の踏込み操作がされていない非踏込状態では、前記ペダルパッドの前記延伸方向の一方側に位置するペダル上端部(12)が前記延伸方向の他方側に位置するペダル下端部(13)に比べて車両上方に位置するオルガン式のペダル装置において、
前記ハウジングと前記ペダル下端部との間に隙間(S1)を有しており、
前記ハウジングの内部から前記ハウジングの外部に突出して前記ペダルパッドに連結される連結構造体(60)と、
前記ペダルパッドから前記ハウジング側に延び、前記連結構造体が前記ハウジングの外部に突出した部位の少なくとも一部に対して前記軸心の軸方向に重なる位置に設けられる保護板(15)と、をさらに備え、
前記運転者の踏込操作により前記ペダルパッドが最も回転動作した最大踏込状態において、前記ペダルパッドと前記ハウジングとの間の空間には、前記ペダルパッドに対して垂直な方向において前記ペダルパッドと前記ハウジングとの距離が近い領域と遠い領域とがあり、
前記保護板は、前記遠い領域を覆っておらず、
前記遠い領域は、前記軸心の軸方向の一方側および他方側のうち少なくとも前記保護板が配置されている側に開放されている、ペダル装置。
【請求項8】
前記連結構造体は、
前記運転者の踏込み操作により前記ペダルパッドに印加される踏力に対して反力を発生させる反力発生機構(61)と、
前記反力発生機構と前記ペダルパッドとを連結する連結ロッド(70)と、
前記反力発生機構および前記連結ロッドの一部を覆う被覆部材(80)とを有している、請求項7に記載のペダル装置。
【請求項9】
前記非踏込状態において、前記ハウジングの側面の一部と前記保護板の一部とは、前記軸心の軸方向に重なっている、請求項7または8に記載のペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2021年9月1日に出願された日本特許出願番号2021-142748号と、2022年3月24日に出願された国際出願番号PCT/JP2022/13796号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車両に搭載されるペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、ペダルパッドのうち運転者に踏まれる部位が搖動の軸心に対して車両搭載時の天地方向における上方に配置されるオルガン式のペダル装置が知られている。オルガン式のペダル装置は、アクセルペダル装置またはブレーキペダル装置などとして用いられる。
特許文献1に記載のオルガン式のペダル装置は、ペダルパッドのうち車両下方側の端部に設けられたヒンジ部が、ハウジングから車両後方に延びる支持体に設けられた差込溝に差し込まれて接続される構成である。このペダル装置は、非踏込状態においてペダルパッドとハウジングとに接する仮想円の直径よりも、最大踏込状態においてペダルパッドとハウジングと支持体とに接する仮想円の直径が大きくなるように構成されたものである。なお、非踏込状態とは、ペダルパッドに運転者の踏込み操作がされていない状態であり、最大踏込状態とは、ペダルパッドに運転者の踏込み操作が最大にされた状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6881257号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のオルガン式のペダル装置は、ペダルパッドのうち車両下方側の端部に設けられたヒンジ部と支持体との間に隙間が無い構成である。そのため、ハウジングと支持体とペダルパッドとの間の空間に侵入した小石や砂などの異物が排出されずに堆積してゆくと、その堆積した異物によってペダルパッドの踏み込み操作ができなくなることが懸念される。
【0006】
本開示は、オルガン式のペダル装置において、異物の侵入および堆積によってペダルパッドの踏込操作が悪化することを防ぐことを目的とする。
【0007】
本開示の1つの観点によれば、ペダル装置は、ペダルパッドと、軸部材と、ハウジングと、連結部とを備える。ペダルパッドは、板厚方向に厚みを有し延伸方向へ延伸する板形状を成す板部を有し、板厚方向の一方側から板部に対し運転者に踏込み操作されることで、延伸方向に対して垂直な軸心まわりに回転動作する。軸部材は、板部よりも車両下方へ離れた位置で、軸心を中心として軸心の軸方向へ延びるように設けられる。ハウジングは、軸部材を回転可能に支持する。連結部は、ペダルパッドと軸部材とを連結する。このペダル装置は、板部に対し運転者の踏込み操作がされていない非踏込状態では、ペダルパッドの延伸方向の一方側に位置するペダル上端部が延伸方向の他方側に位置するペダル下端部に比べて車両方に位置するオルガン式のペダル装置である。そして、このペダル装置は、ハウジングとペダル下端部との間に隙間を有している。
【0008】
これによれば、ハウジングとペダルパッドとの間に侵入した異物が、ハウジングのうちペダルパッド側を向く面に沿って車両後方側へ移動すると、ペダル下端部とハウジングとの間の隙間から排出される。そのため、このペダル装置は、ハウジングとペダルパッドとの間に異物が堆積しないので、異物によってペダルパッドが踏込み操作できなくなるといった不具合が生じることがない。したがって、このペダル装置は、異物の侵入および堆積によってペダルパッドの踏込操作が悪化することを防ぐことができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るペダル装置の斜視図である。
図2図1のII方向から視た図である。
図3図2のIII―III線の断面図である。
図4図3のIV―IV線の断面図である。
図5】第2実施形態に係るペダル装置の側面図である。
図6図5のVI―VI線の断面図である。
図7】第2実施形態に係るペダル装置において異物が排出される様子を説明するための説明図である。
図8】第3実施形態に係るペダル装置において図6に相当する箇所の断面図である。
図9】第4実施形態に係るペダル装置において図6に相当する箇所の断面図である。
図10】第5実施形態に係るペダル装置において図6に相当する箇所の断面図である。
図11】参考例のペダル装置の側面図である。
図12】第6実施形態に係るペダル装置の側面図である。
図13】第6実施形態に係るペダル装置においてペダルの踏み込み操作時の様子を説明するための説明図である。
図14】第7実施形態に係るペダル装置の側面図である。
図15】第7実施形態に係るペダル装置においてペダルの踏み込み操作時の様子を説明するための説明図である。
図16図15のXVI部分の拡大図である。
図17】第8実施形態に係るペダル装置の斜視図である。
図18】第8実施形態に係るペダル装置の側面図である。
図19】第8実施形態に係るペダル装置の側面図において、ハウジング、ペダルパッド、保護板等で隠れた部材を破線で示した図である。
図20】第8実施形態に係るペダル装置において最大踏込状態を示す側面図である。
図21】第9実施形態に係るペダル装置の側面図において、ハウジング、ペダルパッド、保護板等で隠れた部材を破線で示した図である。
図22】第10実施形態に係るペダル装置において図2のIII―III線の断面にてペダルパッドが最大に踏み込まれた状態を示す断面図である。
図23】第11実施形態に係るペダル装置において図2のIII―III線の断面にてペダルパッドが最大に踏み込まれた状態を示す断面図である。
図24】第12実施形態に係るペダル装置において図18のXXIV方向の矢視図である。
図25図24の状態からペダルパッドが踏み込み操作された際に、ハウジングと保護板との間に異物が挟み込まれた状態を示す図である。
図26図24の状態からペダルパッドが踏み込み操作された際に、車室内のフロアと保護板との間に異物が挟み込まれた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の複数の実施形態について図面を参照しつつ説明する。各図面には、ペダル装置が車両に搭載された状態における車両上下方向、車両前後方向、車両左右方向を三次元座標にて示している。なお、車両上下方向は、車両天地方向ということがある。以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1図4を参照して説明する。第1実施形態では、車両に搭載されるペダル装置の一例として、ブレーキペダル装置について説明する。ブレーキペダル装置は、例えば、ブレーキバイワイヤシステムに用いることが可能である。
【0013】
図1図4に示すように、ペダル装置は、オルガン式のペダル装置であり、ペダルパッド10、軸部材20、連結部30およびハウジング40などを備えている。オルガン式のペダル装置とは、ペダルパッド10のうち運転者に踏まれる部位が、ペダルパッド10の揺動の軸心CLに対して車両搭載時の天地方向における上方(すなわち、車両上方)に配置される構成のものをいう。そして、オルガン式のペダル装置では、ペダルパッド10に印加される運転者の踏力の増加に応じてペダルパッド10のうち軸心CLよりも車両上方の部位が車室内のフロア側またはダッシュパネル側に回転動作する。以下の説明では、ペダルパッド10の揺動の軸心CLの軸方向を、「ペダル軸心方向」という。なお、ペダル装置の車両搭載時において、ペダル軸心方向と、車両左右方向とは、略一致している。
【0014】
ペダルパッド10は、板厚方向Dtに厚みを有し、延伸方向Dsへ延伸する板形状を成す板部11を有している。ペダルパッド10は、板部11に対して運転者の踏込み操作がされていない非踏込状態では、ペダルパッド10の延伸方向Dsの一方側の部位が他方側の部位に比べて車両方に位置するように斜めに配置される。そして、ペダルパッド10は、板厚方向Dtの一方側から板部11に対し運転者に踏込み操作されることで、延伸方向Dsに対して垂直な軸心CLまわりに所定角度範囲で揺動する。なお、第1実施形態では、ペダルパッド10に運転者の踏込み操作が最大にされた最大踏込状態でも、ペダルパッド10の延伸方向Dsの一方側の部位が他方側の部位に比べて車両方となる。以下の説明では、ペダルパッド10のうち延伸方向Dsの一方側に位置する部位をペダル上端部12といい、ペダルパッド10のうち延伸方向Dsの他方側に位置する部位をペダル下端部13という。
【0015】
軸部材20は、円柱状の部材であり、ペダルパッド10の板部11よりも車両下方へ離れた位置に設けられている。軸部材20は、軸心CLを中心としてペダル軸心方向へ延びるように設けられており、ハウジング40によって軸心CLまわりに回転可能に支持されている。軸部材20のうちペダル軸心方向の端部は、ハウジング40の右側面41から突出している。なお、ハウジング40の右側面41とは、ハウジング40のうちペダル軸心方向の一方(第1実施形態では、車両右側)を向く面である。その右側面41から突出した軸部材20の端部と、ペダルパッド10の裏面とを、連結部30が接続している。そのため、ペダルパッド10は、ペダル上端部12からペダル下端部13に亘り、ハウジング40から車両上方に離れた位置に設けられている。
【0016】
連結部30は、板状の部材であり、ハウジング40の右側面41の外側に設けられている。連結部30の一部は軸部材20の端部に固定されており、連結部30のうちペダルバット側の部位はペダルパッド10の裏面に固定されている。連結部30は、ペダルパッド10の揺動と共に、ハウジング40の右側面41に沿って平行に移動する。
【0017】
ハウジング40の右側面41の一部には、凹部42が設けられている。凹部42は、ハウジング40の右側面41のうち、ペダルパッド10が揺動する際に連結部30と向き合う部位に設けられている。また、凹部42は、ハウジング40の右側面41のうち、軸部材20よりも車両前方の部位に設けられている。一方、連結部30は、そのハウジング40に設けられた凹部42に対応する位置に規制部31を有している。規制部31は、連結部30の一部が折り曲げられて凹部42の内側に入っている部位である。ペダルパッド10の非踏込状態において、連結部30に設けられた規制部31は、ハウジング40の凹部42の上端に設けられた係止部43に係止される。これにより、ペダルパッド10の非踏込状態において、運転者の踏力の増加によりペダルパッド10が移動する方向とは反対方向へ連結部30とペダルパッド10とが移動することが規制される。
【0018】
なお、図示は省略するが、ハウジング40の内側には、軸部材20を回転可能に支持する軸受、ペダルパッド10の搖動角を検出するセンサ、および、運転者からペダルパッド10に印加される踏力に対する反力を発生させる反力発生機構などが設けられている。
【0019】
ハウジング40の左側面44には、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45よりも車両上方に延びる壁部46が設けられている。ハウジング40の左側面44に壁部46を設けることにより、ペダル軸心方向の他方側(第1実施形態では、車両左側)から、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間に、比較的大きな異物が侵入することを防ぐことができる。
【0020】
ハウジング40は、ペダルパッド10側を向く面45が、車両搭載時において車両前方側から車両後方側に向かい車両下方に傾斜している。そのため、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間に小石や砂などの比較的小さな異物が侵入した場合でも、その異物は、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45に沿って車両後方側へ転がり落ちる。
【0021】
なお、第1実施形態では、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45と車両のフロアとのなす傾斜角はハウジング40の各部位ごとに異なっているが、それに限らない。例えば、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45と車両のフロアとのなす傾斜角は、ハウジング40の車両前方側の端部47から車両後方側の端部48まで同一であってもよい。また、第1実施形態では、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45はペダル軸心方向に対して平行となっているが、それに限らない。例えば、第2実施形態等で説明するように、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45の一部がペダル軸心方向に対して傾いていてもよい。
【0022】
上述したように、第1実施形態のペダル装置は、ペダルパッド10よりも車両下方へ離れた位置に軸部材20が設けられており、軸部材20の端部とペダルパッド10の裏面とを連結部30が接続している。そのため、ペダル装置は、ペダルパッド10のうち車両下方側の端部であるペダル下端部13とハウジング40との間に隙間S1を有している。ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1と、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間とは、車両前後方向に連続している。また、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1における車両上下方向の距離H1は、小石や砂などの比較的小さな異物を排出することの可能な高さとなっている。図3では、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間に小石や砂などの比較的小さな異物F1が侵入した場合に、その異物F1の挙動を破線矢印A1で示している。破線矢印A1示したように、その異物F1は、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45に沿って車両後方側へ転がり落ち、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1からペダル装置の外へ排出される。
【0023】
なお、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45の一部において、軸部材20に対応する部位におけるペダル軸心方向の左右にはそれぞれ、車両上方に突出する突部49が設けられている。その突部49とペダルパッド10との間にも隙間S2が設けられている。その突部49とペダルパッド10との隙間S2、および、突部49の形状については、後述の第7実施形態にて詳細に説明する。なお、ハウジング40に対して突部49を設けない構成とすることも可能である。
【0024】
以上説明した第1実施形態のペダル装置は、ペダル下端部13とハウジング40との間に隙間S1を有する構成である。これによれば、ハウジング40とペダルパッド10との間に異物が侵入した場合、その異物は、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45に沿って車両後方側へ転がり落ちる。そして、その異物は、ペダル下端部13とハウジング40との間の隙間S1から重力によって排出される。そのため、このペダル装置は、ハウジング40とペダルパッド10との間に異物が堆積しないので、異物によってペダルパッド10が踏込み操作できなくなるといった不具合が生じることがない。したがって、このペダル装置は、異物の侵入および堆積によってペダルパッド10の踏込操作が悪化することを防ぐことができる。このペダル装置は、ブレーキペダル装置として、車両制動の安全性をより高めることができる。
【0025】
(第2実施形態)
第2実施形態について図5図7を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対してハウジング40の形状の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0026】
図5図7に示すように、第2実施形態のペダル装置のハウジング40は、ペダルパッド10側を向く面45の一部に、ペダル軸心方向(すなわち、車両左右方向)に向かい車両下方に傾斜する左右傾斜面50を有している。図5では、左右傾斜面50をわかり易く示すため、断面ではないがクロスハッチングを付している。
【0027】
第2実施形態の左右傾斜面50は、左側面44側から右側面41側に向かい車両下方に傾斜している。左右傾斜面50のうち車両上方側の部位が接続される左側面44には、その左側面44から車両上方に延びる壁部46が設けられている。一方、左右傾斜面50のうち車両下方側の部位と右側面41との接続箇所51は、連結部30および規制部31よりも車両前方にずれた位置となっている。
【0028】
図7に示すように、第2実施形態では、ハウジング40とペダルパッド10との間に比較的大きな異物F2が挟み込まれた場合、運転者がペダルパッド10を踏み込み操作すると、その異物F2に対してペダルパッド10から踏力が作用する。そして、図7の破線矢印A2に示すように、その異物は、左右傾斜面50に沿って車両下方側に移動し、左右傾斜面50のうち車両下方側の部位と右側面41との接続箇所51からハウジング40の右側に押し出される。
【0029】
以上説明した第2実施形態では、左右傾斜面50のうち車両下方側の部位と右側面41との接続箇所51が、連結部30および規制部31よりも車両前方にずれた位置となっている。そのため、ハウジング40とペダルパッド10との間に挟み込まれた異物は、ペダルパッド10から踏力を受けると、左右傾斜面50に沿って車両下方側に移動し、規制部31および連結部30に干渉することなく、ハウジング40の右側に押し出される。このように、このペダル装置は、ハウジング40とペダルパッド10との間に比較的大きな異物が挟み込まれた場合でも、ペダルパッド10の踏込操作により、その異物を排出することが可能である。したがって、このペダル装置は、ハウジング40とペダルパッド10との間からの異物の排出性を向上し、異物の堆積によりペダルパッド10が踏込み操作できなくなるといった不具合が生じることを防ぐことができる。
【0030】
(第3~第5実施形態)
第3~第5実施形態は、第2実施形態に対して左右傾斜面50および壁部46の構成を変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、第3~第5実施形態で参照する図8図10は、第2実施形態で参照した図6に相当する箇所の断面図である。
【0031】
(第3実施形態)
図8に示すように、第3実施形態では、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45の一部に設けられた左右傾斜面50は、右側面41側から左側面44側に向かい車両下方に傾斜している。左右傾斜面50のうち車両上方側の部位が接続される右側面41には、その右側面41から車両上方に延びる壁部461が設けられている。
【0032】
図示は省略するが、第3実施形態では、軸部材20の端部とペダルパッド10の裏面とを接続する連結部30は、ハウジング40の左側面44側に設けられているものとする。その場合、左右傾斜面50のうち車両下方側の部位と左側面44との接続箇所52は、その連結部30および規制部31よりも車両前方にずれた位置となっている。
【0033】
第3実施形態においても、ハウジング40とペダルパッド10との間に比較的大きな異物が挟み込まれた場合、運転者がペダルパッド10を踏み込み操作すると、その異物に対してペダルパッド10から踏力が作用する。そして、その異物は、ペダルパッド10から踏力を受けると、左右傾斜面50に沿って車両下方側に移動し、規制部31および連結部30に干渉することなく、ハウジング40の左側に押し出される。したがって、ペダル装置は、ハウジング40とペダルパッド10との間からの異物の排出性を向上し、異物の堆積によりペダルパッド10が踏込み操作できなくなるといった不具合が生じることを防ぐことができる。
なお、以下の説明では、壁部46、461のうち、左側面44から車両上方に延びる壁部46を「左壁部46」と呼ぶことがあり、右側面41から車両上方に延びる壁部461を「右壁部461」と呼ぶことがある。
【0034】
(第4実施形態)
図9に示すように、第4実施形態では、ハウジング40は、右側面41から車両上方に延びる右壁部461と、左側面44から車両上方に延びる左壁部46とを有している。この場合、左右傾斜面50は、右側面41側からハウジング40の中央部401に向けて車両下方に傾斜する第1傾斜面501と、左側面44側からハウジング40の中央部401に向けて車両下方に傾斜する第2傾斜面502とを有している。なお、ハウジング40の中央部401とは、ハウジング40のうちペダル軸心方向の中央部401をいうものである。このように、第4実施形態の左右傾斜面50は、左側面44側および右側面41側から中央部401に向けて車両下側に傾斜する形状となっている。
【0035】
第4実施形態では、ハウジング40が右壁部461と左壁部46とを有しているので、ハウジング40とペダルパッド10との間の空間に比較的大きな異物が侵入することが防がれている。一方、ハウジング40とペダルパッド10との間の空間に侵入した小石や砂などの比較的小さな異物は、第1傾斜面501と第2傾斜面502によってハウジング40の中央部401に集まる。そして、その異物は、第1実施形態で説明したように、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45に沿って車両後方側へ転がって、ペダル下端部13とハウジング40との間の隙間S1から排出される。したがって、第4実施形態のペダル装置も、異物の堆積によりペダルパッド10が踏込み操作できなくなるといった不具合が生じることを防ぐことができる。
【0036】
(第5実施形態)
図10に示すように、第5実施形態では、ハウジング40の右側面41および左側面44のいずれにも壁部が設けられていない。この場合、左右傾斜面50は、ハウジング40の中央部401から右側面41側に向けて車両下方に傾斜する第3傾斜面503と、ハウジング40の中央部401から左側面44側に向けて車両下方に傾斜する第4傾斜面504とを有している。このように、第5実施形態の左右傾斜面50は、中央部401から右側面41側および左側面44側に向けて車両下側に傾斜する形状となっている。
【0037】
なお、図示は省略するが、第5実施形態においても、軸部材20の端部とペダルパッド10の裏面とを接続する連結部30は、ハウジング40の左側面44側に設けられているものとする。その場合、第3傾斜面503のうち車両下方側の部位と右側面41との接続箇所51は、その連結部30および規制部31よりも車両前方にずれた位置となっている。
【0038】
第5実施形態では、ハウジング40とペダルパッド10との間に比較的大きな異物が挟み込まれた場合、運転者がペダルパッド10を踏み込み操作すると、ペダルパッド10から異物に踏力が作用する。そして、その異物は、ペダルパッド10から踏力を受けると、第3傾斜面503または第4傾斜面504に沿って右側面41側または左側面44側に移動し、規制部31および連結部30に干渉することなく、ハウジング40の右側または左側に押し出される。したがって、ペダル装置は、ハウジング40とペダルパッド10との間からの異物の排出性を向上し、異物の堆積によりペダルパッド10が踏込み操作できなくなるといった不具合が生じることを防ぐことができる。
【0039】
(第6実施形態)
続いて第6実施形態について説明するが、その前に、参考例のペダル装置の構成とその課題について説明しておく。なお、参考例のペダル装置は、本開示の発明者らが創作したものであり、従来技術ではない。
【0040】
図11に示すように、参考例のペダル装置は、ハウジング40の左側面44に壁部46を有する構成である。なお、図示は省略するが、ペダルパッド10と軸部材20とを連結する連結部30は、ハウジング40の右側面41側に設けられているものとする。そして、この参考例のペダル装置は、ハウジング40の壁部46のうち車両上方を向く面462と、ペダルパッド10のうちハウジング40側を向く面101とのなす角θ1が、ペダル軸心方向から視て鋭く尖った鋭角となっている。
【0041】
このような参考例の構成では、矢印A3に示すように、例えば小枝のような長細い異物F3がハウジング40の壁部46とペダルパッド10との間に入り、重力により下方へ移動すると、ハウジング40の壁部46とペダルパッド10との間に挟まってしまう。すると、その異物F3が障害となってペダルパッド10が踏込み操作できなくなるといった課題がある。
【0042】
それに対し、第6実施形態のペダル装置は、上述した参考例のペダル装置の課題を解決するものである。
図12に示すように、第6実施形態のペダル装置が備えるペダルパッド10は、板部11からハウジング40側に延びるパッド下壁部14を有している。パッド下壁部14は、ハウジング40の壁部46に対してペダル軸心方向に隣接し、且つ、連結部30に対してペダル軸心方向に対向する位置に設けられている。この構成により、第6実施形態では、パッド下壁部14のうち車両前方を向く面141と、ハウジング40の壁部46のうち車両上方を向く面462とのなす角θ2が、参考例のペダル装置の説明において図11に示した角θ1よりも大きいものとなる。
【0043】
パッド下壁部14のうち車両前方を向く面141と、ハウジング40の壁部46のうち車両上方を向く面462とのなす角θ2は、ペダル軸心方向から視て、例えば45°以上に設定することが好ましい。これにより、パッド下壁部14のうち車両前方を向く面141と、ハウジング40の壁部46のうち車両上方を向く面462との間に異物が入った場合でも、ペダルパッド10に一定の踏み代を確保することができる。なお、パッド下壁部14のうち車両前方を向く面141と、ハウジング40の壁部46のうち車両上方を向く面462とのなす角θ2は45°に限らない。例えば、その角θ2は、異物に対してペダルパッド10に一定の踏み代を確保する観点から、好ましくは60°以上、より好ましくは90°以上に設定してもよい。
【0044】
図13に示すように、第6実施形態の構成では、例えば小枝のような長細い異物F3がハウジング40の壁部46とペダルパッド10との間に入り、矢印A3に示すように、重力により下方へ移動した場合でも、ペダルパッド10には一定の踏み代θ3が確保される。そのため、運転者がペダルパッド10を踏み込み操作し、車両を減速させることが可能である。したがって、このペダル装置は、ハウジング40の壁部46とペダルパッド10との間に侵入した異物によってペダルパッド10の踏込操作が悪化することを抑制できる。
【0045】
(第7実施形態)
第7実施形態について図14図16を参照して説明する。第7実施形態は、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45の一部において、ペダル軸心方向の左右にそれぞれ設けられた突部49の形状と、その突部49とペダルパッド10との間の隙間S2について説明する。
【0046】
上記第1実施形態の説明で図1および図2に示したように、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45の一部において、軸部材20に対応する部位におけるペダル軸心方向の左右にはそれぞれ、車両上方に突出する突部49が設けられている。
【0047】
図14図16に示すように、突部49のうち、最大踏込状態から非踏込状態に亘ってペダル下端部13に対向する面491は、軸心CLを中心とした円弧状の曲面となっている。そのため、図16の矢印H2に示すように、ペダルパッド10の最大踏込状態から前記非踏込状態に亘り、突部49とペダル下端部13との間の隙間S2には、一定の大きさが保たれている。
【0048】
第1実施形態の説明で図2および図3に示したペダル下端部13とハウジング40との隙間S1における車両上下方向の距離H1に比べて、図16に示したペダル下端部13とハウジング40との隙間S2は、小さいものとなっている。そのため、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S2には、異物F4が排出されずに残ることも考えられる。そのような状況に対し、第7実施形態では、ペダルパッド10の最大踏込状態から前記非踏込状態に亘り、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S2は一定の大きさが保たれている構成とされている。そのため、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S2に異物F4が残る場合でも、ペダルパッド10が踏み込み動作の途中で踏めなくなることや、戻り動作の途中で戻らなくなることは無い。したがって、第7実施形態のペダル装置は、突部49とペダル下端部13との間の隙間S2に異物が入り込んだ状態でも、踏み込み動作時と戻り動作時の両方において、ペダルパッド10を確実に動作させることができる。
【0049】
(第8実施形態)
第8実施形態について図17図20を参照して説明する。第8実施形態のペダル装置は、ペダルパッド10からハウジング40側に延びる保護板15を備えている。保護板15は、連結構造体60がハウジング40の外部に突出した部位を保護するものである。図19に示すように、連結構造体60とは、ハウジング40の内部からハウジング40の外部に突出してペダルパッド10に連結される部材であり、反力発生機構61、連結ロッド70および被覆部材80などで構成されている。
【0050】
まず、連結構造体60を構成する反力発生機構61、連結ロッド70、被覆部材80について説明する。
反力発生機構61は、運転者の踏込み操作によりペダルパッド10に印加される踏力に対して反力を発生させるものである。反力発生機構61は、板ばね62、下ホルダ63、大径コイルばね64、小径コイルばね65、ばね座66、上ホルダ67を有している。
【0051】
板ばね62の長手方向の一端621は、ハウジング40に固定され、板ばね62の長手方向の他端622は、自由端となっている。板ばね62は、ペダルパッド10の揺動の軸心CLの軸方向(以下、「ペダル軸心方向」という)に対し交差する方向に弾性変形可能である。下ホルダ63は、板ばね62の長手方向の他端622に固定されている。
【0052】
大径コイルばね64は、下ホルダ63に保持されている。大径コイルばね64と小径コイルばね65の間に、ばね座66が設けられている。ばね座66は、大径コイルばね64と小径コイルばね65とを連結している。小径コイルばね65のペダルパッド10側に上ホルダ67が設けられている。このように、反力発生機構61を複数の弾性部材(即ち、板ばね62、大径コイルばね64、小径コイルばね65)を含んで構成することで、任意の踏力特性を形成することが可能である。
【0053】
連結ロッド70は、その一端71が上ホルダ67に対し摺動可能となっており、他端72がペダルパッド10の下面に固定されている。連結ロッド70は、ペダルパッド10に印加される運転者の踏力を反力発生機構61に伝え、反力発生機構61が発生する反力をペダルパッド10に伝えることが可能である。また、連結ロッド70は、運転者がペダルパッド10を踏み込み操作していない非踏込状態におけるペダルパッド10の位置を規定する。
【0054】
被覆部材80は、例えばゴム材などにより蛇腹の筒状に形成されている。被覆部材80の一方の端部81は、ハウジング40のうちハウジング穴55の周縁部に嵌合している。また、被覆部材80の他方の端部82は、連結ロッド70の途中に嵌合している。被覆部材80は、反力発生機構61および連結ロッド70の一部を覆うと共に、ハウジング穴55からハウジング40の内側へ異物が侵入することを防いでいる。
【0055】
ところで、運転者が意図せず、上述した連結構造体60(すなわち、被覆部材80、連結ロッド70、反力発生機構61、)を蹴ってしまうと、例えば被覆部材80が破れることや、連結ロッド70が曲がるといった課題がある。そのような課題に対し、第8実施形態のペダル装置は、連結構造体60がハウジング40の外部に突出した部位を保護する保護板15を備えている。
【0056】
保護板15は、ペダルパッド10からハウジング40側に延び、上述した連結構造体60の少なくとも一部に対してペダル軸心方向に重なる位置に設けられている。さらに、図18の矢印OLで示したように、保護板15の一部とハウジング40の側面の一部とは、非踏込状態においてもペダル軸心方向に重なっている。これにより、例えば運転者の足で保護板15が蹴られるなど、ペダル装置の外部から保護板15に対して力が作用した場合でも、その保護板15に印加される荷重はハウジング40で受け止められる。したがって、保護板15は、連結構造体60を確実に保護することが可能である。
【0057】
なお、保護板15は、ペダルパッド10の右側と左側の両方に設けられていてもよく、或いは、ペダルパッド10の右側のみに設けられていてもよく、ペダルパッド10の左側のみに設けられていてもよい。言い換えれば、保護板15は、連結構造体60に対しペダル軸心方向の一方側と他方側の両方に設けられていてもよく、連結構造体60に対しペダル軸心方向の一方側のみ、または他方側のみに設けられていてもよい。
【0058】
ここで、図20は、運転者の踏込操作によりペダルパッド10が最も回転動作した最大踏込状態を示している。図20に示すように、最大踏込状態において、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間には、ペダルパッド10に対して垂直な方向においてペダルパッド10とハウジング40との距離が近い領域と遠い領域とがある。具体的に、ペダルパッド10とハウジング40との距離が近い領域は、図20において矢印αで示した箇所を含む領域である。ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域は、図20において矢印βで示した箇所を含む領域である。なお、ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域は、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45の一部に、左右傾斜面50が形成された部位に対応した領域である。
【0059】
保護板15は、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間において、ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域を覆っていない。そのため、その遠い領域は、ペダル軸心方向の一方側または他方側に開放されている。したがって、ハウジング40の左右傾斜面50は、保護板15に覆われておらず、ペダル軸心方向のうち保護板15が配置さられている一方側に開放されている。これにより、ハウジング40とペダルパッド10との間に異物が挟み込まれた場合でも、運転者がペダルパッド10を踏み込み操作すると、その異物は、保護板15に干渉することなく、左右傾斜面50に沿ってハウジング40の外側へ押し出される。
【0060】
以上説明した第8実施形態のペダル装置は、ペダルパッド10の下面に保護板15を備えている。保護板15は、連結構造体60の少なくとも一部に対してペダル軸心方向に重なる位置に設けられている。そして、保護板15は、最大踏込状態においてペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域を覆っていない。したがって、その遠い領域は、保護板15に覆われることなく、ペダル軸心方向の一方側または他方側のうち少なくとも保護板15が配置されている側に開放されている。
【0061】
これによれば、第8実施形態のペダル装置は、保護板15により連結構造体60を保護し、且つ、ハウジング40とペダルパッド10との間に入った異物を、ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域から外部に排出可能な構成となっている。したがって、このペダル装置は、連結構造体60の保護と、異物の排出性の向上とを両立させることができる。
【0062】
さらに、第8実施形態では、図18の矢印OLに示したように、非踏込状態において、保護板15の一部とハウジング40の側面の一部とがペダル軸心方向に重なっている。
これによれば、非踏込状態において、保護板15が、運転者の足などによりペダル軸心方向に蹴られるなどした場合でも、それによって保護板15に印加される荷重をハウジング40で受けることが可能である。したがって、保護板15により、連結構造体60を確実に保護することができる。
【0063】
なお、保護板は、例えば金属または樹脂等で形成してもよく、または、ゴムなどの弾性部材で形成してもよい。
【0064】
(第9実施形態)
第9実施形態について図21を参照して説明する。第9実施形態のペダル装置が備える保護板15は、第8実施形態で説明した物よりも車両前後方向における幅が広いものとなっている。保護板15は、連結構造体60がハウジング40の外部に突出した部位の全部に対してペダル軸心方向に重なる位置に設けられている。これにより、保護板15は、連結構造体60がハウジング40から突出した部位を確実に保護することが可能である。
【0065】
なお、第9実施形態においても、保護板15は、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間において、ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域を覆っていない。そのため、その遠い領域は、ペダル軸心方向の一方側または他方側のうち少なくとも保護板15が配置されている側に開放されている。したがって、ハウジング40とペダルパッド10との間に異物が挟み込まれた場合でも、運転者がペダルパッド10を踏み込み操作すると、その異物は、保護板15に干渉することなく、左右傾斜面50に沿ってハウジング40の外に押し出される。
【0066】
以上説明した第9実施形態のペダル装置も、第8実施形態と同一の作用効果を奏することができる。
【0067】
(第10実施形態)
第10実施形態について図22を参照して説明する。第10実施形態では、第1実施形態で説明したペダル下端部13とハウジング40との間の隙間S1について、より詳細に説明する。
【0068】
図22は、図2のIII―III線の断面にてペダルパッド10が最大に踏み込まれた状態(以下、「最大踏込状態」という)の断面図である。なお、図22において、ハウジング40の内側の構造は省略している。
【0069】
図22に示すように、最大踏込状態において、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間には、ペダルパッド10に対して垂直な方向においてペダルパッド10とハウジング40との距離が近い領域と遠い領域とがある。具体的には、ペダルパッド10とハウジング40との距離が近い領域は、図22において矢印αで示した箇所を含む領域である。ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域は、図22において矢印βで示した箇所を含む領域である。
【0070】
第10実施形態では、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1の距離H1は、最大踏込状態においてペダルパッド10とハウジング40とが近い領域の距離αよりも大きい。なお、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1の距離H1とは、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1におけるペダル下端部13とハウジング40との距離H1をいう。ペダルパッド10とハウジング40とが近い領域の距離αとは、ペダルパッド10とハウジング40とが近い領域におけるペダルパッド10とハウジング40との距離αをいう。そして、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間と、ペダル下端部13とハウジング40との間の隙間S1は、車両前後方向に連続している。
【0071】
ところで、図示は省略するが、仮に、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1の距離H1が、ペダルパッド10とハウジング40とが近い領域の距離αよりも小さい場合、次の様な問題がある。すなわち、ペダルパッド10とハウジング40とが近い領域の距離αと同等の大きさの異物がペダルパッド10とハウジング40との間に侵入した場合、その大きさの異物は、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1から排出されない。そのため、ペダルパッド10とハウジング40との間にその異物が堆積してしまう。これにより、ペダルパッド10の踏込操作が悪化することが懸念される。
【0072】
それに対し、第10実施形態のペダル装置は、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1の距離H1が、最大踏込状態においてペダルパッド10とハウジング40とが近い領域の距離αよりも大きい。そのため、ペダルパッド10とハウジング40とが近い領域の距離αと同等の大きさ、又はそれより小さい異物を、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1から排出することが可能である。したがって、このペダル装置は、ペダルパッド10とハウジング40との間に異物が堆積することを抑制でき、ペダルパッド10の踏込操作が悪化することを防ぐことができる。
【0073】
(第11実施形態)
第11実施形態について図23を参照して説明する。第11実施形態は、第10実施形態の変形例である。
【0074】
図23に示すように、第11実施形態でも、最大踏込状態において、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間には、ペダルパッド10に対して垂直な方向においてペダルパッド10とハウジング40との距離が近い領域と遠い領域とがある。ただし、第11実施形態では、ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域におけるペダルパッド10とハウジング40との距離βは、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1の距離H1よりも小さい。
【0075】
この第11実施形態においても、ペダル下端部13とハウジング40との隙間S1の距離H1は、最大踏込状態においてペダルパッド10とハウジング40とが近い領域の距離αよりも大きい。したがって、第11実施形態のペダル装置も、第10実施形態のペダル装置と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0076】
(第12実施形態)
第12実施形態について図24図26を参照して説明する。第12実施形態では、第8実施形態と第9実施形態で説明した保護板15の構成について、より詳細に説明する。
【0077】
第12実施形態では、保護板15は、運転者の踏込操作によりペダルパッド10に印加される踏力Gによって弾性変形可能な弾性部材により形成されている。具体的には、保護板15は、例えばゴムまたはエラストマー等の弾性部材により形成されている。
【0078】
図24は、図18のXXIV方向の矢視図であり、即ち、ペダル装置を車両前方側から視た図である。図24は、ペダルパッドに対し運転者の踏込操作がされていない非踏込状態を示している。それに対し、図25および図26は、ペダルパッドに対し運転者の踏込操作が最大にされた最大踏込状態を示している。
【0079】
図25は、ハウジング40の側面41と保護板15との間に異物F5が挟まった状態を例示している。この場合、運転者の踏込操作によってペダルパッド10に印加される踏力Gにより保護板15が弾性変形する。そのため、運転者は、ペダルパッド10を踏込操作することが可能である。
【0080】
また、図26は、車両のフロア90と保護板15との間に異物F6が挟まった状態を例示している。この場合も、運転者の踏込操作によってペダルパッド10に印加される踏力Gにより保護板15は弾性変形する。そのため、運転者は、ペダルパッド10を踏込操作することが可能である。
【0081】
以上説明したように、第12実施形態のペダル装置は、保護板15を弾性部材で形成することで、ブレーキペダル装置として車両制動の安全性をより高めることができる。
【0082】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、ペダル装置の一例として、ブレーキペダル装置について説明したが、それに限らず、ペダル装置はアクセルペダル装置であってもよい。
【0083】
(2)上記各実施形態では、ブレーキペダル装置は、ブレーキバイワイヤシステムに用いられるものとして説明したが、それに限らず、例えば、マスターシリンダとブレーキペダル装置とが機械的に接続されたブレーキシステムに用いられるものであってもよい。
【0084】
(3)上記各実施形態では、軸部材20を円柱状の部材、連結部30を板状の部材として説明したが、それに限らず、例えば、軸部材20と連結部30は、円柱状の部材を折り曲げるなどして一体に形成してもよい。
【0085】
(4)上記各実施形態では、連結部30の一部に規制部31を設けたが、それに限らず、規制部31はペダルパッド10と一緒に動く部材に設けてもよい。
【0086】
(5)上記各実施形態では、ハウジング40のうちペダルパッド10側を向く面45の一部において、ペダル軸心方向の左右に突部49が設けられているものについて説明したが、それに限らず、その突部49は廃止してもよい。或いは、ハウジング40の右側面41の外側、および左側面44の外側に突部49を設けてもよい。
【0087】
(7)上記第8、9実施形態では、非踏込状態において保護板15の一部とハウジング40の側面の一部とがペダル軸心方向に重なるように構成したが、それに限らない。例えば、保護板15の板厚を増加するなどして剛性を高くすれば、保護板15とハウジング40の側面の一部とがペダル軸心方向に重ならないように構成してもよい。
【0088】
(8)上記第8、第9実施形態で参照した図17~21では、ペダルパッド10とハウジング40との間の空間において、ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域は、ペダル軸心方向の一方側に開放されている構成を図示したが、それに限らない。例えば、第1~3、5~7実施形態と、第8、9実施形態とを組み合わせ、ペダルパッド10とハウジング40との距離が遠い領域は、ペダル軸心方向の他方側に開放した構成としてもよく、又は、ペダル軸心方向の一方側と他方側の両方に開放した構成としてもよい。
【0089】
本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0090】
本開示の特徴は次のとおりである。
[第1の観点]
板厚方向(Dt)に厚みを有し延伸方向(Ds)へ延伸する板形状を成す板部(11)を有し、前記板厚方向の一方側から前記板部に対し運転者に踏込み操作されることで、前記延伸方向に対して垂直な軸心(CL)まわりに回転動作するペダルパッド(10)と、
前記板部よりも車両下方へ離れた位置で、前記軸心を中心として前記軸心の軸方向へ延びる軸部材(20)と、
前記軸部材を回転可能に支持するハウジング(40)と、
前記ペダルパッドと前記軸部材とを連結する連結部(30)と、を備え、
前記板部に対し前記運転者の踏込み操作がされていない非踏込状態では、前記ペダルパッドの前記延伸方向の一方側に位置するペダル上端部(12)が前記延伸方向の他方側に位置するペダル下端部(13)に比べて車両方に位置するオルガン式のペダル装置において、
前記ハウジングと前記ペダル下端部との間に隙間(S1)を有しているペダル装置。
[第2の観点]
前記ペダルパッドは、前記ペダル上端部(12)から前記ペダル下端部に亘り、前記ハウジングから離れた位置に設けられており、
前記ペダルパッドと前記ハウジングとの間の空間と、前記ハウジングと前記ペダル下端部との隙間は、車両前後方向に連続している、第1の観点に記載のペダル装置。
[第3の観点]
前記ハウジングは、前記ペダルパッド側を向く面(45)の一部に設けられて前記軸心の軸方向に向かい車両下方に傾斜する左右傾斜面(50、501~504)と、前記軸心の軸方向の一方を向く右側面(41)と、前記軸心の軸方向の他方を向く左側面(44)とを有しており、
前記右側面または前記左側面のうち前記連結部が配置されている側の面と、前記左右傾斜面のうち車両下方側の部位との接続箇所(51、52)は、前記連結部よりも車両前方にずれた位置となっている、第1の観点または第2の観点に記載のペダル装置。
[第4の観点]
前記右側面または前記左側面のうち前記連結部が配置されている側の面には、前記運転者の踏力の増加により前記ペダルパッドが移動する方向とは反対方向へ前記連結部および前記ペダルパッドが移動することを前記非踏込状態において規制する規制部(31)が設けられており、
前記右側面または前記左側面のうち前記連結部が配置されている側の面と、前記左右傾斜面のうち車両下方側の部位との接続箇所は、前記規制部および前記連結部よりも車両前方にずれた位置となっている、第3の観点に記載のペダル装置。
[第5の観点]
前記ハウジングは、前記軸心の軸方向の一方を向く右側面と、前記軸心の軸方向の他方を向く左側面と、前記右側面および前記左側面の少なくとも一方の面から車両上方に延びる壁部(46、461)とを有している、第1の観点ないし第4の観点のいずれか1つに記載のペダル装置。
[第6の観点]
前記ハウジングは、前記ペダルパッド側を向く面の一部に設けられて前記軸心の軸方向に向かい車両下方に傾斜する左右傾斜面と、前記軸心の軸方向の一方を向く右側面と、前記軸心の軸方向の他方を向く左側面と、前記左右傾斜面のうち車両上方側の部位から車両上方に延びる壁部とを有している、第1の観点ないし第5の観点のいずれか1つに記載のペダル装置。
[第7の観点]
前記ペダルパッドは、前記ハウジングの前記壁部に対して前記軸心の軸方向に隣接し、且つ、前記連結部に対して前記軸心の軸方向に対向する位置に、前記板部から前記ハウジング側に延びるパッド下壁部(14)を有している、第5の観点または第6の観点に記載のペダル装置。
[第8の観点]
前記パッド下壁部のうち車両前方を向く面(141)と、前記ハウジングの前記壁部のうち車両上方を向く面(462)とのなす角(θ2)は、前記軸心の軸方向から視て45°以上となっている、第7の観点に記載のペダル装置。
[第9の観点]
前記ハウジングのうち前記ペダルパッド側を向く面の一部において、前記軸部材に対応する部位には車両上方に突出する突部(49)が設けられており、
前記運転者の踏込操作により前記ペダルパッドが最も回転動作した最大踏込状態から前記非踏込状態に亘り、前記ハウジングの前記突部と前記ペダル下端部との間の隙間(S2)には一定の大きさが保たれている、第1の観点ないし第8の観点のいずれか1つに記載のペダル装置。
[第10の観点]
前記ハウジングの前記突部のうち、前記最大踏込状態から前記非踏込状態に亘り前記ペダル下端部に対向する面(491)は、前記軸心を中心とした円弧状の曲面となっている、第9の観点に記載のペダル装置。
[第11の観点]
前記ハウジングの内部から前記ハウジングの外部に突出して前記ペダルパッドに連結される連結構造体(60)と、
前記ペダルパッドから前記ハウジング側に延び、前記連結構造体が前記ハウジングの外部に突出した部位の少なくとも一部に対して前記軸心の軸方向に重なる位置に設けられる保護板(15)と、をさらに備え、
前記運転者の踏込操作により前記ペダルパッドが最も回転動作した最大踏込状態において、前記ペダルパッドと前記ハウジングとの間の空間には、前記ペダルパッドに対して垂直な方向において前記ペダルパッドと前記ハウジングとの距離が近い領域と遠い領域とがあり、
前記保護板は、前記遠い領域を覆っておらず、
前記遠い領域は、前記軸心の軸方向の一方側および他方側のうち少なくとも前記保護板が配置されている側に開放されている、第1の観点ないし第10の観点のいずれか1つに記載のペダル装置。
[第12の観点]
前記連結構造体は、
前記運転者の踏込み操作により前記ペダルパッドに印加される踏力に対して反力を発生させる反力発生機構(61)と、
前記反力発生機構と前記ペダルパッドとを連結する連結ロッド(70)と、
前記反力発生機構および前記連結ロッドの一部を覆う被覆部材(80)とを有している、
第11の観点に記載のペダル装置。
[第13の観点]
前記非踏込状態において、前記ハウジングの側面の一部と前記保護板の一部とは、前記軸心の軸方向に重なっている、第11の観点または第12の観点に記載のペダル装置。
[第14の観点]
前記ペダル下端部と前記ハウジングとの隙間の距離(H1)は、前記運転者の踏込操作により前記ペダルパッドが最も回転動作した最大踏込状態において前記ペダルパッドと前記ハウジングとが最も近い領域における前記ペダルパッドと前記ハウジングとの距離(α)よりも大きい、第1の観点ないし第13の観点いずれか1つに記載のペダル装置。
[第15の観点]
前記運転者の踏込操作により前記ペダルパッドが最も回転動作した最大踏込状態において、前記ペダルパッドと前記ハウジングとの間の空間には、前記ペダルパッドに対して垂直な方向において前記ペダルパッドと前記ハウジングとの距離が近い領域と遠い領域とがあり、
前記ペダル下端部と前記ハウジングとの隙間の距離(H1)は、前記最大踏込状態において前記ペダルパッドと前記ハウジングとの距離が近い領域における前記ペダルパッドと前記ハウジングとの距離(α)よりも大きい、第1の観点ないし第14の観点のいずれか1つに記載のペダル装置。
[第16の観点]
前記ハウジングの内部から前記ハウジングの外部に突出して前記ペダルパッドに連結される連結構造体(60)と、
前記ペダルパッドから前記ハウジング側に延び、前記連結構造体が前記ハウジングの外部に突出した部位の少なくとも一部に対して前記軸心の軸方向に重なる位置に設けられる保護板(15)と、をさらに備え、
前記保護板は、前記運転者が踏込操作により前記ペダルパッドに印加される踏力によって弾性変形可能な弾性部材により形成されている、第1の観点ないし第15の観点のいずれか1つに記載のペダル装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26