(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】印刷物及び表示装置
(51)【国際特許分類】
B41M 1/14 20060101AFI20241016BHJP
B41M 1/18 20060101ALI20241016BHJP
B41M 1/22 20060101ALI20241016BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241016BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B41M1/14
B41M1/18
B41M1/22
G09F9/00 355
G09F9/00 336E
B32B27/00 E
(21)【出願番号】P 2024019255
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2022193723の分割
【原出願日】2022-12-02
【審査請求日】2024-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】舩木 速人
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特許第6839319(JP,B1)
【文献】特許第5725581(JP,B1)
【文献】特開2021-016950(JP,A)
【文献】特開2015-120304(JP,A)
【文献】特開2020-187206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/14
B41M 1/18
B41M 1/22
G09F 9/00
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基材と絵柄印刷層とを備える印刷物であって、
前記絵柄印刷層は、
前記透光性基材の一方の面上に設けられ、複数の第1色ドットにより構成された第1色パターン層と、
前記第1色パターン層の上に設けられ、複数の第2色ドットにより構成された第2色パターン層と、を有し、
前記複数の第1色ドットのそれぞれが、第1色用バインダーと前記第1色用バインダーの内部に分散された複数の第1色顔料チップとを含み、
前記複数の第2色ドットのそれぞれが、第2色用バインダーと前記第2色用バインダーの内部に分散された複数の第2色顔料チップとを含み、
前記複数の第1色顔料チップと前記複数の第2色顔料チップとのうちのいずれか一方は、互いに異なる第1干渉光を生成する複数色の第1干渉顔料であり、
前記複数の第1色顔料チップと前記複数の第2色顔料チップとのうちの他方は、前記複数色の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単色の第2干渉光を生成する第2干渉顔料であり、
前記第1干渉顔料と前記第2干渉顔料とのうち少なくとも一方は、5μm~25μmの粒径
である小粒子径グレードの干渉顔料と、25μm~60μmの粒径
である大粒子径グレードの干渉顔料とを含んでおり、
前記小粒子径グレードの干渉顔料が前記大粒子径グレードの干渉顔料同士の隙間を埋めるように配置され、
前記複数の第1干渉光と前記第2干渉光とを加法混色する、印刷物。
【請求項2】
前記小粒子径グレードの干渉顔料と前記大粒子径グレードの干渉顔料とのうち少なくとも一方は、二酸化チタン被覆雲母を含む干渉顔料である、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記第2色パターン層の上に設けられ、複数のシルバードットにより構成された白色パターン層を更に備え、
前記複数のシルバードットのそれぞれが、シルバー用バインダーと前記シルバー用バインダーの内部に分散された複数のシルバー顔料チップとを含む、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項4】
前記絵柄印刷層に対して前記透光性基材とは反対側の最表面上に設けられた透過性スモーク印刷層を更に備える、
請求項1に記載の印刷物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷物と、
光源と、を備える表示装置。
【請求項6】
前記光源は、ディスプレイ装置である、
請求項5に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁等の装飾用シートとして、基材と、基材の表面に設けられた印刷層とを備え、印刷層が木目柄や抽象柄などの絵柄を有する印刷物が知られている。この印刷物が設けられた壁面においては、常時、上記絵柄が視認される。一方、印刷物の裏面側に設置された光源の使用の有無によって、視認される柄が変化することが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1は、印刷層の下に光源を備えた印刷物であって、光源が消灯しているとき、RGB干渉顔料で構成された印刷層の反射光による図柄が視認され、他方、光源が点灯しているとき、CMY印刷層の透過光による図柄が視認される印刷物を開示している(特許文献1の
図11参照)。また、特許文献2は、干渉顔料を使用した二つの図柄を有し、裏面側の画像が表示されていないとき、図柄が視認され、裏面側の画像が表示されているとき、当該画像が視認される加飾シートを開示している(特許文献2の
図1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5725581号公報
【文献】特許第6839319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された印刷物等では、干渉顔料の粒径によって図柄(絵柄)の発色性が劣化する場合がある。絵柄の色彩を視認者が良好に認識できるように、優れた発色性を有する印刷物が望まれる。一方、特許文献1に記載された印刷物等は、電源がオフの際には黒い画面となるディスプレイを有する表示装置の前方に置かれる場合がある。この場合、電源がオフの際に、印刷物の絵柄が暗く見えてしまい、絵柄の視認性が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、視認性と発色性とが優れた絵柄を有する印刷物及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、一側面として、透光性基材と絵柄印刷層とを備える印刷物に関する。この印刷物では、絵柄印刷層は、透光性基材の一方の面上に設けられ、複数の第1色ドットにより構成された第1色パターン層と、第1色パターン層の上に設けられ、複数の第2色ドットにより構成された第2色パターン層と、を有する。この印刷物では、複数の第1色ドットのそれぞれが、第1色用バインダーと第1色用バインダーの内部に分散された複数の第1色顔料チップとを含み、複数の第2色ドットのそれぞれが、第2色用バインダーと第2色用バインダーの内部に分散された複数の第2色顔料チップとを含む。、複数の第1色顔料チップと複数の第2色顔料チップとのうちのいずれか一方は、互いに異なる第1干渉光を生成する複数色の第1干渉顔料であり、複数の第1色顔料チップと複数の第2色顔料チップとのうちの他方は、複数の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単色の第2干渉光を生成する第2干渉顔料である。この印刷物では、第1干渉顔料と第2干渉顔料とのうち少なくとも一方は、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの干渉顔料と、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの干渉顔料とを含んでおり、小粒子径グレードの干渉顔料が大粒子径グレードの干渉顔料同士の隙間を埋めるように配置され、複数の第1干渉光と第2干渉光とを加法混色する。
【0008】
本発明者らの検討によれば、絵柄印刷層に含まれる干渉顔料の粒径が小さい場合、発色性は弱いものの、その印刷物を黒い画面の前方に置いたとしても絵柄が暗く見えることを抑制できることが判明した。一方、絵柄印刷層に含まれる干渉顔料の粒径が大きい場合、その印刷物の透明度が上がってしまうものの、絵柄の発色性を優れたものにできることが判明した。そこで、本発明者らは、小粒子径グレードの干渉顔料と大粒子径グレードの干渉顔料とを含むように干渉顔料を構成し、小粒子径グレードの干渉顔料を大粒子径グレードの干渉顔料同士の隙間を埋めるように配置することで、絵柄が暗く見えてしまうことが抑制されると共に絵柄の発色性が優れた印刷物を想到するに到った。よって、上記構成を備えた印刷物によれば、視認性と発色性とが優れた絵柄を提供することができる。さらに、この印刷物では、大粒子径グレードの干渉顔料を含むことにより、絵柄印刷層の透過性の低下が抑制される。したがって、この印刷物によれば、電源がオンの際に、表示装置の画像の視認性の低下が良好に抑制される。
【0009】
[2]上記[1]の印刷物では、大粒子径グレードの干渉顔料は、25μm~60μmの粒径範囲を含んでもよい。この場合、絵柄の発色性をより優れたものにすることができる。また、絵柄印刷層の透過性の必要以上の低下を抑制して、表示装置を用いた場合には、表示装置の画像の視認性を向上させることができる。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]の印刷物では、小粒子径グレードの干渉顔料と大粒子径グレードの干渉顔料とのうち少なくとも一方は、二酸化チタン被覆雲母を含む干渉顔料であってもよい。この場合、二酸化チタン膜の膜厚及び透過率を調整することにより、干渉光の波長を調整することができる。また、雲母表面の平滑性を高めることによって、輝度感を向上させることができる。
【0011】
[4]上記[1]から[3]のいずれかの印刷物は、第2色パターン層の上に設けられ、複数のシルバードットにより構成された白色パターン層を更に備え、複数のシルバードットのそれぞれが、シルバー用バインダーとシルバー用バインダーの内部に分散された複数のシルバー顔料チップとを含んでもよい。この場合、第1色パターン層と第2色パターン層との発色性がより優れると共に、絵柄印刷層が白っぽい印象を与える絵柄を有することができる。
【0012】
[5]上記[1]から[4]のいずれかの印刷物は、絵柄印刷層に対して透光性基材とは反対側の最表面上に設けられた透過性スモーク印刷層を更に備えてもよい。この場合、第1色パターン層と第2色パターン層との発色性がより優れる。さらに、透過性スモーク印刷層が透過性を有するため、表示装置の画像の視認性の低下が良好に抑制される。
【0013】
[6]本発明は、別の側面として、表示装置に関する。この表示装置は、上記[1]~[5]のいずれかの印刷物と、光源と、を備える。この表示装置によれば、光源が点灯していない場合は、絵柄印刷層の絵柄が視認され、光源が点灯している場合は、光源からの透過光(パターン表示、映像表示等)が視認される。
【0014】
[7]上記[6]の表示装置では、光源は、ディスプレイ装置であってもよい。この表示装置によれば、ディスプレイが点灯していない場合は、絵柄印刷層の絵柄が視認され、ディスプレイが点灯している場合は、ディスプレイからの透過光(パターン表示、映像表示等)が視認される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、視認性と発色性とが優れた絵柄を有する印刷物及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す表示装置が備える絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る印刷物を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す印刷物が備える白色パターン層を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態に係る印刷物を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態に係る印刷物を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、実験例1~3に係る印刷物の構成を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る表示装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図2は、
図1に示す表示装置が備える絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。表示装置1は、
図1に示すように、印刷物2と、光源3とを備える。印刷物2は、絵柄を表現するためのシートであり、透光性基材4と、絵柄印刷層5と、透過性スモーク印刷層30と、を備える。印刷物2は、光源3の前方(視認者と光源3との間)に設けられる。印刷物2は、全光線透過性を有する。このため、光源3の電源がONの際は、視認者は、印刷物2を透過した光源3からの光を視認でき、光源3の電源がOFFの際は、視認者は、印刷物2が表現する絵柄を視認することができる。光源3は、例えば、ディスプレイ装置である。
【0019】
透光性基材4は、可視光透過性を有する基材である。透光性基材4は、例えば、透明性を有する樹脂製である。透明性を有する樹脂としてPET、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。透光性基材4の厚さは、例えば、25μm~250μmである。なお、必要に応じて、透光性基材4の表面側(絵柄印刷層5とは反対側)に表面保護層を設けていてもよい。
【0020】
絵柄印刷層5は、印刷物2の絵柄を表現する層である。絵柄印刷層5は、透光性基材4の一方の面4a上に設けられた第1色パターン層10と、第1色パターン層10の上に設けられた第2色パターン層20と、を備える。
【0021】
第1色パターン層10は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、面4a上に設けることができる。第1色パターン層10は、
図2に示すように、複数の第1色ドット11により構成されている。ここで、「ドット」とは、印刷画像を構成する要素となる点の意味であり、その形状は円形に限定されるものではなく、矩形や多角形やその他の形状でもかまわない。複数の第1色ドット11のそれぞれが、第1色用バインダー12と第1色用バインダー12の内部に分散された複数の第1色顔料チップ13とを含んでいる。複数の第1色顔料チップ13の含有率は、第1色用バインダー12を100重量部とした場合、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の範囲内である。
【0022】
第1色用バインダー12としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。第1色パターン層10の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、第1色パターン層10には硬化剤を含有させてもよい。この場合、第1色パターン層10の耐熱性、及び、第1色パターン層10の透光性基材4への密着性を向上させることができる。
【0023】
第1実施形態では、複数の第1色顔料チップ13は、互いに異なる干渉光を生成する複数色の第1干渉顔料14a,14bである。第1干渉顔料14a,14bのそれぞれは、可視光透過性を有する薄片(不図示)と、当該薄片を被覆する金属酸化膜(不図示)とから構成される。透光性基材4側から第1色パターン層10への入射光のうち金属酸化膜の表面において反射される光と、金属酸化膜内を通過し、薄片の表面において反射される光とが干渉し、干渉光が生成される。金属酸化膜の膜厚と金属酸化膜の屈折率とを調整することにより、所望の波長を有する干渉光を生成できる。
【0024】
第1実施形態では、第1干渉顔料14a,14bのそれぞれは、例えば、二酸化チタン被覆雲母である。第1干渉顔料14a,14bを構成する薄片は、雲母以外であってもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、ポリケイ酸塩であってもよい。第1干渉顔料14a,14bを構成する金属酸化膜は、二酸化チタン以外であってもよく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズであってもよい。
【0025】
第1干渉顔料14aは、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母15aと、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母15bとを含んでいる。第1干渉顔料14bは、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母16aと、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの複数の第2の二酸化チタン被覆雲母16bとを含んでいる。第1の二酸化チタン被覆雲母15a,16aの平均粒径(D50)は、例えば、約15μmであり、第2の二酸化チタン被覆雲母15b,16bの平均粒径(D50)は、例えば、約25μmである。これにより、第1の二酸化チタン被覆雲母15a,16aの平均粒径は、第2の二酸化チタン被覆雲母15b,16bの平均粒径よりも小さくなっている。第2の二酸化チタン被覆雲母15b,16bは、25μm~60μmの粒径範囲を含んでいてもよい。この場合、第2の二酸化チタン被覆雲母15b,16bの平均粒径(D50)は、例えば、約35μmである。複数の第1の二酸化チタン被覆雲母15a,16aのそれぞれは、
図2に示すように、複数の第2の二酸化チタン被覆雲母15b,16b同士の隙間を埋めるように配置されている。ここで、「粒径」とは、粒子断面の最長径を意味する。
【0026】
第1干渉顔料14a,14bのそれぞれからは、第1色パターン層10へ入射光Lが入射することにより、互いに異なる第1干渉光17a,17bのそれぞれが生成される。すなわち、第1干渉光17a,17bの各波長は、互いに異なっている。これにより、第1干渉顔料14a,14bは、混色を示す。第1干渉顔料14a,14bのそれぞれは、例えば、赤色干渉顔料(赤色パール顔料)、及び、金色干渉顔料(金色パール顔料)のそれぞれであってもよい。この場合、第1干渉光17a,17bのそれぞれは、赤色、及び、金色のそれぞれを示す。第1干渉顔料14a,14bのそれぞれは、他の色の干渉顔料であってもよい。第1干渉顔料14a,14bの各配合量は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0027】
第2色パターン層20は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第1色パターン層10上に設けることができる。第2色パターン層20は、
図2に示すように、複数の第2色ドット21により構成されている。ここで、「ドット」とは、印刷画像を構成する要素となる点の意味であり、その形状は円形に限定されるものではなく、矩形や多角形やその他の形状でもかまわない。複数の第2色ドット21のそれぞれが、第2色用バインダー22と第2色用バインダー22の内部に分散された複数の第2色顔料チップ23とを含んでいる。複数の第2色顔料チップ23の含有率は、第2色用バインダー22を100重量部とした場合、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の範囲内である。
【0028】
第2色用バインダー22としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。第2色パターン層20の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、第2色パターン層20には硬化剤を含有させてもよい。この場合、第2色パターン層20の耐熱性、及び、第2色パターン層20の第1色パターン層10への密着性を向上させることができる。
【0029】
第1実施形態では、複数の第2色顔料チップ23は、第1干渉顔料14a,14bが示す混色とは異なる単色の干渉光を生成する第2干渉顔料24である。第2干渉顔料24は、可視光透過性を有する薄片(不図示)と、当該薄片を被覆する金属酸化膜(不図示)とから構成される。透光性基材4側から第2色パターン層20への入射光のうち金属酸化膜の表面において反射される光と、金属酸化膜内を通過し、薄片の表面において反射される光とが干渉し、干渉光が生成される。金属酸化膜の膜厚と金属酸化膜の屈折率とを調整することにより、所望の波長を有する干渉光を生成できる。
【0030】
第1実施形態では、第2干渉顔料24は、例えば、二酸化チタン被覆雲母である。第2干渉顔料24を構成する薄片は、雲母以外であってもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、ポリケイ酸塩であってもよい。第2干渉顔料24を構成する金属酸化膜は、二酸化チタン以外であってもよく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズであってもよい。
【0031】
第2干渉顔料24は、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母25aと、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母25bとを含んでいる。第1の二酸化チタン被覆雲母25aの平均粒径(D50)は、例えば、約15μmであり、第2の二酸化チタン被覆雲母25bの平均粒径(D50)は、例えば、約25μmである。これにより、第1の二酸化チタン被覆雲母25aの平均粒径は、第2の二酸化チタン被覆雲母25bの平均粒径よりも小さくなっている。第2の二酸化チタン被覆雲母25bは、25μm~60μmの粒径範囲を含んでいてもよい。この場合、第2の二酸化チタン被覆雲母25bの平均粒径(D50)は、例えば、約35μmである。複数の第1の二酸化チタン被覆雲母25aのそれぞれは、複数の第2の二酸化チタン被覆雲母25b同士の隙間を埋めるように配置されている。ここで、「粒径」とは、粒子断面の最長径を意味する。
【0032】
第2干渉顔料24からは、第2色パターン層20へ入射光Lが入射することにより、単色の第2干渉光26が生成される。これにより、第2干渉顔料24は、単色を示す。第2干渉顔料24は、第1干渉顔料14a,14bが示す混色とは異なる単色の第2干渉光26を生成する干渉顔料であればよく、例えば、緑色干渉顔料(緑色パール顔料)であってもよい。この場合、第2干渉光26は、緑色を示す。なお、第2干渉顔料24は、緑以外の他の色の干渉顔料であってもよい。
【0033】
透過性スモーク印刷層30は、印刷物2を透過する光を減衰させるための層である。透過性スモーク印刷層30は、絵柄印刷層5に対して透光性基材4とは反対側の最表面上に設けられる。第1実施形態では、透過性スモーク印刷層30は、
図1に示すように、第2色パターン層20上に設けられる。透過性スモーク印刷層30は、ビニル系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系等の樹脂バインダーにカーボンブラックを少量分散させたインキを用いて、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第2色パターン層20上に設けることができる。透過性スモーク印刷層30の厚さは、例えば、1μm~10μmである。
【0034】
印刷物2では、第1干渉顔料14a,14bが生成する第1干渉光17a,17bと、第2干渉顔料24が生成する第2干渉光26とを加法混色することにより、絵柄が表現されている。
【0035】
印刷物2の全光線透過率は、例えば、30%~70%である。ここでいう全光線透過率は分光光度計(例えば、(株)島津製作所製、分光光度計UV-2100)を使用して全光線透過率を測定した値を意味する。
【0036】
以上に説明した第1実施形態に係る印刷物2では、第1色パターン層10において、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母15a,16aのそれぞれが、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの複数の第2の二酸化チタン被覆雲母15b,16b同士の隙間を埋めるように配置されている。印刷物2では、第2色パターン層20において、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母25aのそれぞれが、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの複数の第2の二酸化チタン被覆雲母25b同士の隙間を埋めるように配置されている。このため、印刷物2によれば、視認性と発色性とが優れた絵柄を提供することができる。さらに、印刷物2では、第1色パターン層10において、大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母15b,16bを含み、第2色パターン層20において、大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母25bを含むことにより、絵柄印刷層5の透過性の低下が抑制される。したがって、印刷物2によれば、電源がオンの際に、表示装置の画像の視認性の低下が良好に抑制される。
【0037】
第1実施形態では、大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母15b,16b,25bは、25μm~60μmの粒径範囲を含む構成であってもよい。この場合、絵柄の発色性がより優れる。また、絵柄印刷層5の透過性の必要以上の低下を抑制して、表示装置を用いた場合には、表示装置1の画像の視認性を向上させることができる。
【0038】
第1実施形態では、第1干渉顔料14a,14b、及び、第2干渉顔料24は、二酸化チタン被覆雲母を含む干渉顔料である。このため、二酸化チタン膜の膜厚及び透過率を調整することにより、干渉光の波長を調整することができる。また、雲母表面の平滑性を高めることによって、輝度感を向上させることができる。
【0039】
第1実施形態では、印刷物2は、第2色パターン層20上に設けられた透過性スモーク印刷層30を備えている。これにより、第1色パターン層10と第2色パターン層20との発色性がより優れる。さらに、透過性スモーク印刷層30が透過性を有するため、表示装置1の画像の視認性の低下が良好に抑制される。
【0040】
第1実施形態では、表示装置1は、印刷物2と、光源3と、を備える。表示装置1によれば、光源3が点灯していない場合は、絵柄印刷層5の絵柄が視認され、光源3が点灯している場合は、光源3からの透過光(パターン表示、映像表示等)が視認される。
【0041】
第1実施形態では、光源3は、ディスプレイ装置であってもよい。この場合、ディスプレイが点灯していない場合は、絵柄印刷層5の絵柄が視認され、ディスプレイが点灯している場合は、ディスプレイからの透過光(パターン表示、映像表示等)が視認される。
【0042】
[第2実施形態]
以下では、
図3及び
図4を参照しながら、第2実施形態に係る印刷物2Aを説明する。なお、第2実施形態の説明において上記第1実施形態と重複する記載は省略し、上記第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に上記第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0043】
図3は、第2実施形態に係る印刷物を模式的に示す断面図である。
図4は、
図3に示す印刷物が備える白色パターン層を模式的に示す断面図である。印刷物2Aは、透光性基材4と、絵柄印刷層5とを備える。印刷物2Aは、第2色パターン層20の上に設けられた白色パターン層40を更に備える。
【0044】
白色パターン層40は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第2色パターン層20上に設けることができる。白色パターン層40は、
図4に示すように、複数のシルバードット41により構成されている。ここで、「ドット」とは、印刷画像を構成する要素となる点の意味であり、その形状は円形に限定されるものではなく、矩形や多角形やその他の形状でもかまわない。複数のシルバードット41のそれぞれが、シルバー用バインダー42とシルバー用バインダー42の内部に分散された複数のシルバー顔料チップ43とを含んでいる。複数のシルバー顔料チップ43の含有率は、シルバー用バインダー42を100重量部とした場合、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の範囲内である。
【0045】
シルバー用バインダー42としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。白色パターン層40の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、白色パターン層40には硬化剤を含有させてもよい。この場合、白色パターン層40の耐熱性、及び、白色パターン層40の第2色パターン層20への密着性を向上させることができる。
【0046】
以上に説明した印刷物2Aの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。さらに、第2実施形態では、第2色パターン層20の上に設けられ、複数のシルバードット41により構成された白色パターン層40を備え、複数のシルバードット41のそれぞれが、シルバー用バインダー42とシルバー用バインダー42の内部に分散された複数のシルバー顔料チップ43とを含んでいる。これにより、第1色パターン層10と第2色パターン層20との発色性が優れると共に、絵柄印刷層5が白っぽい印象を与える絵柄を有することができる。
【0047】
[第3実施形態]
以下では、
図5を参照しながら、第3実施形態に係る印刷物2Bを説明する。なお、第3実施形態の説明において上記第1、第2実施形態と重複する記載は省略し、上記第1、第2実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第3実施形態に上記第1、第2実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0048】
図5は、第3実施形態に係る印刷物を模式的に示す断面図である。印刷物2Bは、透光性基材4と、絵柄印刷層5とを備える。すなわち、印刷物2Bは、透過性スモーク印刷層30及び白色パターン層40を備えていない。以上に説明した印刷物2Bの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0049】
[第4実施形態]
以下では、
図6を参照しながら、第4実施形態に係る印刷物2Cを説明する。なお、第4実施形態の説明において上記第1、第2、第3実施形態と重複する記載は省略し、上記第1、第2、第3実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第4実施形態に上記第1、第2、第3実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0050】
図6は、第4実施形態に係る印刷物を模式的に示す断面図である。印刷物2Cは、透光性基材4と、絵柄印刷層5と、白色パターン層40と、透過性スモーク印刷層30とを備える。白色パターン層40が第2色パターン層20上に設けられ、透過性スモーク印刷層30が白色パターン層40上に設けられている。以上に説明した印刷物2Cの構成であっても、上記第1、第2、第3実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0051】
本発明による表示装置及び印刷物は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、第2色パターン層が互いに異なる第1干渉光を生成する第1干渉顔料を含み、第1色パターン層が、第2色パターン層の複数の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単色の第2干渉光を生成する第2干渉顔料を含んでいてもよい。
【0052】
上記各実施形態において、第1干渉顔料と第2干渉顔料とのそれぞれが、複数の第1の二酸化チタン被覆雲母と複数の第2の二酸化チタン被覆雲母とを含んでいたが、第1干渉顔料と第2干渉顔料とのうち少なくとも一方が、複数の第1の二酸化チタン被覆雲母と複数の第2の二酸化チタン被覆雲母とを含んでいればよい。また、上記各実施形態では、第1色顔料チップが2色の第1干渉顔料であったが、第1色顔料チップは、3色以上の第1干渉顔料であってもよい。また、複数色の第1干渉顔料は混ざり合っていてもよい。
【0053】
[実験例]
ここで、絵柄印刷層に含まれる二酸化チタン被覆雲母の粒径による、液晶モニターの映像と絵柄との見え方の傾向について、実験例を用いて説明する。
図7及び後述する実験例1~3に示すように、二酸化チタン被覆雲母の粒径を調整した印刷物を作製した。
図7は、実験例1~3に係る印刷物の構成を示す図表である。実験例1~3に係る印刷物の裏面側(透過性スモーク印刷層側)に液晶モニターを設置した。印刷物と液晶モニターとの間の距離は2mmとした。液晶モニターの電源がオンの状態とオフの状態の視認性(後述する項目1~4)を評価した。項目1~4に対して、4人により官能評価を実施し、評点の平均点を算出した。
【0054】
<実験例1>
透明PETである透明基材上に、第1色パターン層、第2色パターン層、白色パターン層、及び、透過性スモーク印刷層を順に設けることにより印刷物を作製した。実験例1では、第1色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第1色用バインダーの内部に分散された赤色干渉顔料及び金色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第1色パターン層を形成した。赤色干渉顔料及び金色干渉顔料の含有率として、第1色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する赤色干渉顔料を8重量部、5~25μmの粒径を有する赤色干渉顔料を2重量部、10~60μmの粒径を有する金色干渉顔料を5重量部、及び、5~25μmの粒径を有する金色干渉顔料を2重量部とした。
【0055】
実験例1では、第2色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第2色用バインダーの内部に分散された緑色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第2色パターン層を形成した。緑色干渉顔料の含有率として、第2色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する緑色干渉顔料を4重量部、及び、5~25μmの粒径を有する緑色干渉顔料を1重量部とした。赤色干渉顔料、金色干渉顔料、及び、緑色干渉顔料はいずれも二酸化チタン被覆雲母である。
【0056】
実験例1では、シルバー用バインダー(ウレタン系樹脂)とシルバー用バインダーの内部に分散されたシルバー顔料チップとを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により白色パターン層を形成した。シルバー顔料チップの含有率として、シルバー用バインダーを100重量部とした場合、5~25μmの粒径を有するシルバー顔料チップを1重量部とした。さらに、メジウムインキと黒インキとを40:1の割合で配合したインキを用いて、スクリーン印刷技術により透過性スモーク印刷層を形成した。
【0057】
<実験例2>
透明PETである透明基材上に、第1色パターン層、第2色パターン層、白色パターン層、及び、透過性スモーク印刷層を順に設けることにより印刷物を作製した。実験例2では、第1色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第1色用バインダーの内部に分散された赤色干渉顔料及び金色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第1色パターン層を形成した。赤色干渉顔料及び金色干渉顔料の含有率として、第1色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する赤色干渉顔料を8重量部、5~25μmの粒径を有する赤色干渉顔料を2重量部、及び、10~60μmの粒径を有する金色干渉顔料を5重量部、及び、5~25μmの粒径を有する金色干渉顔料を2重量部とした。
【0058】
実験例2では、第2色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第2色用バインダーの内部に分散された緑色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第2色パターン層を形成した。緑色干渉顔料の含有率として、第2色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する緑色干渉顔料を4重量部とした。赤色干渉顔料、金色干渉顔料、及び、緑色干渉顔料はいずれも二酸化チタン被覆雲母である。
【0059】
実験例2では、シルバー用バインダー(ウレタン系樹脂)とシルバー用バインダーの内部に分散されたシルバー顔料チップとを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により白色パターン層を形成した。シルバー顔料チップの含有率として、シルバー用バインダーを100重量部とした場合、5~25μmの粒径を有するシルバー顔料チップを1重量部とした。さらに、メジウムインキと黒インキとを40:1の割合で配合したインキを用いて、スクリーン印刷技術により透過性スモーク印刷層を形成した。
【0060】
<実験例3>
透明PETである透明基材上に、第1色パターン層、第2色パターン層、及び、透過性スモーク印刷層を順に設けることにより印刷物を作製した。実験例3では、第1色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第1色用バインダーの内部に分散された緑色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第1色パターン層を形成した。緑色干渉顔料の含有率として、第1色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する緑色干渉顔料を4重量部、及び、5~25μmの粒径を有する緑色干渉顔料を1重量部とした。
【0061】
実験例3では、第2色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第2色用バインダーの内部に分散された赤色干渉顔料及び金色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第2色パターン層を形成した。赤色干渉顔料及び金色干渉顔料の含有率として、第2色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する赤色干渉顔料を8重量部、及び、10~60μmの粒径を有する金色干渉顔料を5重量部とした。
【0062】
実験例3では、メジウムインキと黒インキとを40:1の割合で配合したインキを用いて、スクリーン印刷技術により透過性スモーク印刷層を形成した。
【0063】
<項目1:表示内容の鮮明度について>
液晶モニターの電源をオンとした際における、液晶モニターに表示されている映像及び文字の鮮明度について評価した。
<評点>
5点:液晶モニターに表示されている映像及び文字に対して絵柄の存在感が弱く、映像及び文字が鮮明に見える。
3点:液晶モニターに表示されている映像及び文字に対して絵柄の存在感がやや強く、映像及び文字に絵柄がやや被って見える。
1点:液晶モニターに表示されている映像及び文字に対して絵柄の存在感が強く、映像及び文字に絵柄が被って見える。
【0064】
<項目2:表示内容の輝度について>
液晶モニターの電源をオンとした際における、液晶モニターに表示されている映像及び文字の輝度について評価した。
<評点>
5点:液晶モニターに表示されている映像及び文字が明るく見える。
3点:液晶モニターに表示されている映像及び文字がやや暗く見える。
1点:液晶モニターに表示されている映像及び文字がかなり暗く見える。
【0065】
<項目3:黒色の液晶モニターの影響について>
液晶モニターの電源をオフとした際における、絵柄に対する黒色の液晶モニターの影響について評価した。
<評点>
5点:液晶モニターの黒色の影響がなく、絵柄が十分に視認できる。
3点:液晶モニターの黒色の影響がやや認められ、絵柄がやや暗く沈んだように見える(透明性やや高)。
1点:液晶モニターの黒色の影響が認められ、絵柄がかなり暗く沈んだように見える(透明性高)。
【0066】
<項目4:絵柄の発色について>
液晶モニターの電源をオフとした際における、絵柄の発色について評価した。
<評点>
5点:絵柄の発色が良好である。
3点:絵柄の発色がやや弱く、絵柄の色が薄く(白っぽく)見える。
1点:絵柄の発色が弱く、絵柄の色が白く見える。
【0067】
実験例1~3に対する項目1~4の官能評価の結果を下記表1に示す。なお、何れも3点以上の評価となっているものを実用上問題ないレベルと判断した。実験例1から、絵柄に対する黒色の液晶モニターの影響がかなり低く、絵柄の視認性が十分高いレベルで表現される傾向にあることが分かった。また、絵柄の発色や映像・文字表示の鮮明度・輝度についても高い評価結果が得られた。一方、実験例2,3から、絵柄に対する黒色の液晶モニターの影響を低く抑えつつ、絵柄の発色や映像・文字表示の鮮明度・輝度についても全般的に良好な仕上がりとなる傾向にあることが分かった。
【0068】
【符号の説明】
【0069】
1…表示装置、2,2A,2B,2C…印刷物、3…光源、4…透光性基材、5…絵柄印刷層、10…第1色パターン層、11…第1色ドット、12…第1色用バインダー、13…第1色顔料チップ、14a,14b…第1干渉顔料、15a,16a,25a…第1の二酸化チタン被覆雲母、15b,16b,25b…第2の二酸化チタン被覆雲母、17a,17b…第1干渉光、20…第2色パターン層、21…第2色ドット、22…第2色用バインダー、23…第2色顔料チップ、24…第2干渉顔料、26…第2干渉光、30…透過性スモーク印刷層、40…白色パターン層、41…シルバードット、42…シルバー用バインダー、43…シルバー顔料チップ。