(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20241016BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20241016BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 541
H01G4/38 B
(21)【出願番号】P 2024509095
(86)(22)【出願日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2023036361
【審査請求日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2023020174
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 大祐
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/145110(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/021827(WO,A1)
【文献】特開2000-31387(JP,A)
【文献】国際公開第2021/193616(WO,A1)
【文献】特開2004-128333(JP,A)
【文献】特開2005-032981(JP,A)
【文献】特開2008-130722(JP,A)
【文献】国際公開第2022/050167(WO,A1)
【文献】特開2020-167361(JP,A)
【文献】特開2011-103424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01G 4/30
H01G 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面および当該第1主面とは反対側に位置する第2主面を有する絶縁基板と、
前記第1主面に対向するように設けられた容量形成部と、
前記容量形成部に接続された第1外部接続配線および第2外部接続配線と、
前記容量形成部が、前記第1外部接続配線側に位置する第1容量形成部と、当該第1容量形成部よりも前記第2外部接続配線側に位置する第2容量形成部とを含むこととなるように、前記容量形成部を区画する第1金属壁部とを備え、
前記第1容量形成部は、導電性の第1金属多孔体と、前記第1金属多孔体の表面を覆う第1誘電体膜と、前記第1誘電体膜を覆う第1導電膜とを含み、
前記第2容量形成部は、導電性の第2金属多孔体と、前記第2金属多孔体の表面を覆う第2誘電体膜と、前記第2誘電体膜を覆う第2導電膜とを含み、
前記第1金属壁部が前記第1導電膜と前記第2導電膜とに接合することで、前記第2容量形成部が前記第1容量形成部を介して前記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、前記第1容量形成部が前記第2容量形成部を介して前記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも前記第1容量形成部と前記第2容量形成部とが、前記第1外部接続配線と前記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている、コンデンサ。
【請求項2】
前記第1金属壁部が、前記第1主面から立設されている、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第1金属壁部の厚みが、5μm以上である、請求項
1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第1金属壁部の厚みが、75μm以下である、請求項3に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第1主面の法線方向と平行な方向における前記第1金属壁部の高さが、前記第1主面の法線方向と平行な方向における前記容量形成部の高さよりも大きい、請求項
1に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第1金属壁部の厚み方向および高さ方向の双方に交差する方向における前記第1金属壁部の幅が、前記第1金属壁部の厚み方向および高さ方向の双方に交差する方向における前記容量形成部の幅よりも大きい、請求項
1に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第1誘電体膜の厚みが、前記第2誘電体膜の厚みの2倍以上であるか、あるいは、前記第2誘電体膜の厚みが、前記第1誘電体膜の厚みの2倍以上である、請求項
1に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第1容量形成部の静電容量が、前記第2容量形成部の静電容量の5%以上50%以下である、請求項
1に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記第2導電膜が互いに不連続である第3導電膜および第4導電膜を含むことにより、前記第2容量形成部は、前記第3導電膜と、当該第3導電膜に対応する部分の前記第2誘電体膜である第3誘電体膜と、当該第3誘電体膜に対応する部分の前記第2金属多孔体である第3金属多孔体とによって規定される第3容量形成部、および、前記第4導電膜と、当該第4導電膜に対応する部分の前記第2誘電体膜である第4誘電体膜と、当該第4誘電体膜に対応する部分の前記第2金属多孔体である第4金属多孔体とによって規定される第4容量形成部を含み、
前記第4容量形成部は、前記第3容量形成部から見て前記第1外部接続配線側とは反対側に位置し、
前記第4容量形成部が前記第3容量形成部を介して前記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、前記第3容量形成部が前記第4容量形成部を介して前記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも前記第3容量形成部と前記第4容量形成部とが、前記第1外部接続配線と前記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている、請求項
1に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記第2金属多孔体を前記第3金属多孔体と前記第4金属多孔体とに区画するとともに、前記第2誘電体膜を前記第3誘電体膜と前記第4誘電体膜とに区画し、さらに、前記第2導電膜を前記第3導電膜と前記第4導電膜とに区画する金属製の第1隔壁部をさらに備え、
前記第1隔壁部が、前記第3金属多孔体および前記第4金属多孔体に接合しているとともに、前記第3導電膜および前記第4導電膜に接合していないことにより、少なくとも前記第3容量形成部と前記第4容量形成部とが、前記第1外部接続配線と前記第2外部接続配線との間において前記第1隔壁部を介して電気的に直列に接続されている、請求項9に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記第1外部接続配線が、前記第1主面から前記第2主面にまで達するように前記絶縁基板を貫通する第1ビア導体を有し、
前記第2外部接続配線が、前記第1主面から前記第2主面にまで達するように前記絶縁基板を貫通する第2ビア導体を有し、
前記第1主面の法線方向に沿って見た場合に、前記第1ビア導体が、前記第1容量形成部が配置された領域内に設けられ、
前記第1主面の法線方向に沿って見た場合に、前記第2ビア導体が、前記第2容量形成部が配置された領域内に設けられている、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記第1金属壁部と前記第1ビア導体との間の距離が、前記第1金属壁部と前記第1隔壁部との間の距離よりも短い、請求項11に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記第4容量形成部が、前記第1外部接続配線側に位置する第5容量形成部と、当該第5容量形成部よりも前記第2外部接続配線側に位置する第6容量形成部とを含むこととなるように、前記第4容量形成部を区画する第2金属壁部をさらに備え、
前記第5容量形成部は、当該第5容量形成部を規定する部分の前記第4金属多孔体である第5金属多孔体と、当該第5金属多孔体に対応する部分の前記第4誘電体膜である第5誘電体膜と、当該第5誘電体膜に対応する部分の前記第4導電膜である第5導電膜とを含み、
前記第6容量形成部は、当該第6容量形成部を規定する部分の前記第4金属多孔体である第6金属多孔体と、当該第6金属多孔体に対応する部分の前記第4誘電体膜である第6誘電体膜と、当該第6誘電体膜に対応する部分の前記第4導電膜である第6導電膜とを含み、
前記第2金属壁部が、前記第5導電膜と前記第6導電膜とに接合することで、前記第6容量形成部が前記第5容量形成部を介して前記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、前記第5容量形成部が前記第6容量形成部を介して前記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも前記第5容量形成部と前記第6容量形成部とが、前記第1外部接続配線と前記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている、請求項
9に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記第6導電膜が互いに不連続である第7導電膜および第8導電膜を含むことにより、前記第6容量形成部は、前記第7導電膜と、当該第7導電膜に対応する部分の前記第6誘電体膜である第7誘電体膜と、当該第7誘電体膜に対応する部分の前記第6金属多孔体である第7金属多孔体とによって規定される第7容量形成部、および、前記第8導電膜と、当該第8導電膜に対応する部分の前記第6誘電体膜である第8誘電体膜と、当該第8誘電体膜に対応する部分の前記第6金属多孔体である第8金属多孔体とによって規定される第8容量形成部を含み、
前記第8容量形成部は、前記第7容量形成部から見て前記第1外部接続配線側とは反対側に位置し、
前記第8容量形成部が前記第7容量形成部を介して前記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、前記第7容量形成部が前記第8容量形成部を介して前記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも前記第7容量形成部と前記第8容量形成部とが、前記第1外部接続配線と前記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている、請求項13に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記第6金属多孔体を前記第7金属多孔体と前記第8金属多孔体とに区画するとともに、前記第6誘電体膜を前記第7誘電体膜と前記第8誘電体膜とに区画し、さらに、前記第6導電膜を前記第7導電膜と前記第8導電膜とに区画する金属製の第2隔壁部をさらに備え、
前記第2隔壁部が、前記第7金属多孔体および前記第8金属多孔体に接合しているとともに、前記第7導電膜および前記第8導電膜に接合していないことにより、少なくとも前記第7容量形成部と前記第8容量形成部とが、前記第1外部接続配線と前記第2外部接続配線との間において前記第2隔壁部を介して電気的に直列に接続されている、請求項14に記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属多孔体と誘電体膜と導電膜とからなる容量形成部を備えてなるコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、米国特許公開第2018/0277306号明細書(特許文献1)には、金属多孔体と、当該金属多孔体の表面を覆う誘電体膜と、当該誘電体膜を覆う導電膜とによって容量形成部が設けられてなるコンデンサが開示されている。当該コンデンサにあっては、金属多孔体が、金属粒子の焼結体にて構成されており、誘電体層および導電膜が、いずれも原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許公開第2018/0277306号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記公報に開示のコンデンサは、単一の容量形成部からなるものであるため、この単一の容量形成部に電界集中が発生した場合には、これが短絡することで直ちにコンデンサとしての機能が損なわれてしまう問題がある。
【0005】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、金属多孔体と誘電体膜と導電膜とからなる容量形成部を備えてなるコンデンサにおいて、実装後の信頼性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づくコンデンサは、絶縁基板と、容量形成部と、第1外部接続配線および第2外部接続配線と、第1金属壁部とを備えている。上記絶縁基板は、第1主面および当該第1主面とは反対側に位置する第2主面を有しており、上記容量形成部は、上記第1主面に対向するように設けられている。上記第1外部接続配線および第2外部接続配線は、上記容量形成部に接続されている。上記第1金属壁部は、上記容量形成部が、上記第1外部接続配線側に位置する第1容量形成部と、当該第1容量形成部よりも上記第2外部接続配線側に位置する第2容量形成部とを含むこととなるように、上記容量形成部を区画している。上記第1容量形成部は、導電性の第1金属多孔体と、上記第1金属多孔体の表面を覆う第1誘電体膜と、上記第1誘電体膜を覆う第1導電膜とを含んでおり、上記第2容量形成部は、導電性の第2金属多孔体と、上記第2金属多孔体の表面を覆う第2誘電体膜と、上記第2誘電体膜を覆う第2導電膜とを含んでいる。上記本発明に基づくコンデンサにあっては、上記第1金属壁部が上記第1導電膜と上記第2導電膜とに接合することで、上記第2容量形成部が上記第1容量形成部を介して上記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、上記第1容量形成部が上記第2容量形成部を介して上記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも上記第1容量形成部と上記第2容量形成部とが、上記第1外部接続配線と上記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属多孔体と誘電体膜と導電膜とからなる容量形成部を備えてなるコンデンサにおいて、実装後の信頼性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るコンデンサの模式正面図および模式平面図である。
【
図3】
図2に示す絶縁基板の第1主面の近傍を拡大した模式断面図である。
【
図4】
図2に示す領域IIIIの要部拡大断面図である。
【
図6】実施の形態1に係るコンデンサの製造方法を示すフロー図である。
【
図7】
図6に示す製造フローのステップS4が完了した後の状態を示す模式断面図である。
【
図8】
図6に示す製造フローのステップS5を説明するための模式断面図である。
【
図9】
図6に示す製造フローのステップS6を説明するための模式断面図である。
【
図10】
図6に示す製造フローのステップS7を説明するための模式断面図である。
【
図11】
図6に示す製造フローのステップS8を説明するための模式断面図である。
【
図12】
図6に示す製造フローのステップS9を説明するための模式断面図である。
【
図13】
図6に示す製造フローのステップS10を説明するための模式断面図である。
【
図14】
図6に示す製造フローのステップS11を説明するための模式断面図である。
【
図15】
図6に示す製造フローのステップS12を説明するための模式断面図である。
【
図16】
図6に示す製造フローのステップS13を説明するための模式断面図である。
【
図17】
図6に示す製造フローのステップS14を説明するための模式断面図である。
【
図18】
図6に示す製造フローのステップS15を説明するための模式断面図である。
【
図19】
図6に示す製造フローのステップS16を説明するための模式断面図である。
【
図20】
図6に示す製造フローのステップS17を説明するための模式断面図である。
【
図21】
図6に示す製造フローのステップS18を説明するための模式断面図である。
【
図22】
図6に示す製造フローのステップS19を説明するための模式断面図である。
【
図23】
図6に示す製造フローのステップS20を説明するための模式断面図である。
【
図24】実施の形態2に係るコンデンサの模式断面図である。
【
図25】実施の形態3に係るコンデンサの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。また、以下に示す実施の形態においては、説明の便宜上、「陽極」および「陰極」の語が用いられるが、以下に示す実施の形態におけるコンデンサの電気極性は、これらの語によって一意に決定されるものではなく、その電気極性は、当該コンデンサの使用環境に合わせて適宜決定される。
【0010】
(実施の形態1)
図1(A)は、実施の形態1に係るコンデンサの模式正面図であり、
図1(B)は、
図1(A)中に示す矢印IB方向から見たコンデンサの模式平面図である。
図2は、
図1(B)中に示すII-II線に沿ったコンデンサの模式断面図である。
図3は、
図2に示す絶縁基板の第1主面の近傍を拡大した模式断面図である。
図4は、
図2に示す領域IIIIの要部拡大断面図である。
図5は、
図2に示す領域Vの要部拡大断面図である。まず、これら
図1ないし
図5を参照して、本実施の形態に係るコンデンサ1Aの構成について説明する。
【0011】
図1および
図2に示すように、コンデンサ1Aは、偏平な略直方体形状の外形を有しており、その底面が配線基板等に対する実装面として構成されたいわゆる表面実装型電子部品である。コンデンサ1Aは、絶縁基板10と、容量形成部20と、封止部30とを主として備えている。このうち、容量形成部20は、絶縁基板10に対向するように設けられている。容量形成部20は、絶縁基板10と当該絶縁基板10上に設けられた封止部30とによって封止されることでコンデンサ1Aの内部に位置している。
【0012】
絶縁基板10には、第1ビア導体13および第2ビア導体14と、複数の金属壁部15と、第1バンプ16および第2バンプ17と、複数の隔壁部18とが設けられている。第1ビア導体13、第2ビア導体14、第1バンプ16および第2バンプ17は、コンデンサ1Aの内部に位置する容量形成部20を外部の回路に電気的に接続するための引き出し配線としての一対の外部接続配線を構成している。一対の外部接続配線は、陽極としての第1外部接続配線と、陰極としての第2外部接続配線とを含んでいる。
【0013】
絶縁基板10は、第1主面10aと、当該第1主面10aとは反対側に位置する第2主面10bとを有する平板状の部材からなる。絶縁基板10としては、電気的絶縁性を有する基板を用いることが好ましく、好適には無機材料を主成分とする基板が利用できる。より詳細には、絶縁基板10としては、たとえばSi、Al2O3、ZrO2、BN、Si3N4、AlN、MgO、Mg2SiO4、BaTiO3、SrTiO3およびCaTiO3のいずれかを主たる材料とした基板を用いることができる。
【0014】
絶縁基板10の厚みおよび大きさは、特にこれが制限されるものではないが、たとえば厚みが5μm以上75μm以下でありかつ一辺の長さが500μm以上2000μm以下の平面視矩形状のアルミナ基板が用いられることが好ましい。
【0015】
絶縁基板10には、第1貫通孔11が設けられており、第1貫通孔11は、第1主面10aから第2主面10bにまで達するように絶縁基板10を貫通している。第1貫通孔11は、第1ビア導体13によって埋め込まれている。第1ビア導体13の形状は、たとえば略円柱状である。
【0016】
絶縁基板10には、第2貫通孔12が設けられており、第2貫通孔12は、第1主面10aから第2主面10bにまで達するように絶縁基板10を貫通している。第2貫通孔12は、第2ビア導体14によって埋め込まれている。第2ビア導体14の形状は、たとえば略円柱状である。
【0017】
第1ビア導体13は、上述した第1外部接続配線の一部を構成している。第2ビア導体14は、上述した第2外部接続配線の一部を構成している。すなわち、第1ビア導体13と第2ビア導体14とは、異なる極性である第1外部接続配線および第2外部接続配線をそれぞれ構成している。
【0018】
第1ビア導体13および第2ビア導体14は、絶縁基板10の第1主面10aの法線方向に沿って見た場合に、いずれも容量形成部20が配置された領域内に設けられている。
【0019】
第1ビア導体13および第2ビア導体14としては、各種の配線材料にてこれを構成することができるが、特に電気伝導度が高い金属材料にてこれを構成することが好ましい。第1ビア導体13および第2ビア導体14の材質は、たとえばNi、Ag、Cu、Au、Pt、MoおよびWのいずれかを主たる材料とした金属材料とすることができる。ここで、これら第1ビア導体13および第2ビア導体14の材質は、本実施の形態に係るコンデンサ1Aの実装環境に合わせて適宜変更可能であり、また、第1ビア導体13の材質と第2ビア導体14の材質とは、必ずしも同一である必要はない。本実施の形態においては、第1ビア導体13および第2ビア導体14としてNiからなるものが用いられている。
【0020】
第1ビア導体13および第2ビア導体14の軸方向長さおよび大きさは、特に制限されるものではなく、絶縁基板10の厚みや大きさに応じて適宜設定される。ここで、第1ビア導体13および第2ビア導体14の軸方向長さは、たとえば5μm以上75μm以下とされることが好ましく、これらの直径は、たとえば15μm以上150μm以下とされることが好ましい。本実施の形態においては、第1ビア導体13および第2ビア導体14として、軸方向長さが75μmでありかつ直径が150μmであるNiからなるものが用いられている。また、第1ビア導体13と第2ビア導体14との間の距離は、150μmである。
【0021】
絶縁基板10の第2主面10b上には、第1ビア導体13を覆うように第1バンプ16が設けられている。第1バンプ16は、表面実装型電子部品としてのコンデンサ1Aを配線基板等に実装するとともに、当該コンデンサ1Aの容量形成部20を外部の回路に電気的に接続するための接合材となるものであり、絶縁基板10の第2主面10bから突出するように設けられている。第1バンプ16の形状は、略半円球状である。
【0022】
絶縁基板10の第2主面10b上には、第2ビア導体14を覆うように第2バンプ17が設けられている。第2バンプ17は、表面実装型電子部品としてのコンデンサ1Aを配線基板等に実装するとともに、当該コンデンサ1Aの容量形成部20を外部の回路に電気的に接続するための接合材となるものであり、絶縁基板10の第2主面10bから突出するように設けられている。第2バンプ17の形状は、略半円球状である。
【0023】
第1バンプ16は、上述した第1外部接続配線の一部を構成している。第2バンプ17は、上述した第2外部接続配線の一部を構成している。すなわち、第1バンプ16と第2バンプ17とは、異なる極性である第1外部接続配線および第2外部接続配線をそれぞれ構成している。
【0024】
第1バンプ16および第2バンプ17としては、各種の配線材料にてこれを構成することができるが、特に電気伝導度が高い金属材料にてこれを構成することが好ましい。第1バンプ16の材質および第2バンプ17の材質は、たとえばNi、Ag、Cu、AuおよびSnのいずれかを主たる材料とした金属材料とすることができる。本実施の形態においては、第1バンプ16および第2バンプ17として、Auからなるものが用いられている。
【0025】
第1バンプ16および第2バンプ17の大きさは、特に制限されるものではなく、第1ビア導体13および第2ビア導体14の大きさに応じて適宜設定される。
【0026】
以上により、一対の外部接続配線のうちの陽極としての第1外部接続配線は、第1ビア導体13および第1バンプ16にて構成されており、一対の外部接続配線のうちの陰極としての第2外部接続配線は、第2ビア導体14および第2バンプ17にて構成されている。
【0027】
絶縁基板10には、第1主面10aから容量形成部20に向けて立設された複数の金属壁部15が設けられている。第1主面10aの法線方向に沿って見た場合に、複数の金属壁部15は、いずれも第1外部接続配線と第2外部接続配線との間に位置している。
【0028】
ここで、以下においては、
図2中の左右方向を第1方向、
図2中の上下方向を第2方向、これら第1方向および第2方向の双方に直交する、
図2中の紙面と直交する方向を第3方向と称する。本実施の形態においては、第1方向は、第1外部接続配線と第2外部接続配線とを結ぶ方向に一致し、第2方向は、第1主面10aの法線方向と平行な方向に一致している。
【0029】
複数の金属壁部15は、第2方向および第3方向の双方に沿って延在している。本実施の形態においては、2つの金属壁部15が、第2方向および第3方向の双方に沿って直線状に延在している。
【0030】
このように構成された金属壁部15によって容量形成部20が区画されることにより、容量形成部20が、第1外部接続配線側に位置する部位と、これよりも第2外部接続配線側に位置する部位とを含むこととなり、これによってコンデンサ1Aの耐電圧の向上を図ることが可能になるが、その詳細については後述することとする。
【0031】
なお、金属壁部15は、必ずしもこれが第2方向に沿って直線状に延在している必要はない。すなわち、金属壁部15は、第2方向に対して相当程度に傾斜した方向に向けて第1主面10aから立設されていてもよい。また、金属壁部15は、必ずしもこれが第3方向に沿って直線状に延在している必要はない。すなわち、容量形成部20を第1外部接続配線側に位置する部位と、これよりも第2外部接続配線側に位置する部位とに区画できる限りにおいては、金属壁部15は、たとえば屈曲状あるいは湾曲状等に延在していてもよい。
【0032】
金属壁部15の第1方向における寸法(厚み)は、たとえば5μm以上150μm以下とされることが好ましく、より好適には、5μm以上75μm以下とされる。これにより、後述する絶縁基板10に生じ得る反りを効果的に抑制できることになる。
【0033】
また、金属壁部15の第2方向における寸法(高さ)は、同方向における容量形成部20の寸法(高さ)よりも大きいことが好ましく、金属壁部15の第3方向における寸法(幅)は、同方向における容量形成部20の寸法(幅)よりも大きいことが好ましい。これによっても、絶縁基板10に生じ得る反りを効果的に抑制できることになる。
【0034】
金属壁部15の材質は、たとえばNi、Cu、Ru、Al、W、Ti、Ag、Au、TaおよびNbのいずれかを主たる材料とした金属材料とすることができる。また、これら金属材料のうちから選択される2種以上を主たる成分とした合金材料にて金属壁部15を構成することとしてもよい。本実施の形態においては、金属壁部15として、Cuからなるものが用いられている。
【0035】
絶縁基板10には、さらに、第1主面10aから容量形成部20に向けて立設された複数の隔壁部18が設けられている。第1主面10aの法線方向に沿って見た場合に、複数の隔壁部18は、いずれも第1外部接続配線と第2外部接続配線との間に位置している。
【0036】
複数の隔壁部18は、第2方向および第3方向の双方に沿って延在している。本実施の形態においては、2つの隔壁部18が、第2方向および第3方向の双方に沿って直線状に延在している。
【0037】
なお、隔壁部18は、必ずしもこれが第2方向に沿って直線状に延在している必要はない。すなわち、隔壁部18は、第2方向に対して相当程度に傾斜した方向に向けて第1主面10aから立設されていてもよい。また、隔壁部18は、必ずしもこれが第3方向に沿って直線状に延在している必要はない。すなわち、容量形成部20を第1外部接続配線側に位置する部位と、これよりも第2外部接続配線側に位置する部位とに区画できる限りにおいては、隔壁部18は、たとえば屈曲状あるいは湾曲状等に延在していてもよい。
【0038】
隔壁部18の第1方向における寸法(厚み)は、たとえば5μm以上150μm以下とされることが好ましく、より好適には、5μm以上75μm以下とされる。これにより、隔壁部18によって区画される一対の容量形成部の各々の導電膜23同士が意図せず連続的に形成されてしまうことを確実に防止できるだけでなく、絶縁基板10に生じ得る反りを効果的に抑制できることになる。
【0039】
また、隔壁部18の第2方向における寸法(高さ)は、同方向における容量形成部20の寸法(高さ)よりも大きいことが好ましく、隔壁部18の第3方向における寸法(幅)は、同方向における容量形成部20の寸法(幅)よりも大きいことが好ましい。これによっても、隔壁部18によって区画される一対の容量形成部の各々の導電膜23同士が意図せず連続的に形成されてしまうことを確実に防止できるだけでなく、絶縁基板10に生じ得る反りを効果的に抑制できることになる。
【0040】
隔壁部18としては、後述する金属多孔体21に含まれる材料のうちの少なくとも一部と同一の材料を含んで構成することが好ましい。隔壁部18の材質は、たとえばNi、Cu、Ru、Al、W、Ti、Ag、Au、TaおよびNbのいずれかを主たる材料とした金属材料とすることができる。また、これら金属材料のうちから選択される2種以上を主たる成分とした合金材料にて隔壁部18を構成することとしてもよい。本実施の形態においては、隔壁部18として、Niからなるものが用いられている。
【0041】
ここで、上述したように、本実施の形態に係るコンデンサ1Aは、2つの金属壁部15と2つの隔壁部18とを備えている。以下においては、2つの金属壁部15のうち、第1外部接続配線側に位置するものを金属壁部15Aと称し、当該金属壁部15Aよりも第2外部接続配線側に位置するものを金属壁部15Bと称する。同様に、2つの隔壁部18のうち、第1外部接続配線側に位置するものを隔壁部18Aと称し、当該隔壁部18Aよりも第2外部接続配線側に位置するものを隔壁部18Bと称する。
【0042】
これら2つの金属壁部15と2つの隔壁部18とは、第1外部接続配線側から第2外部接続線側に向かって(すなわち、
図2中の左側から右側に向かって)金属壁部15A、隔壁部18A、金属壁部15Bおよび隔壁部18Bの順に配置されている。このように構成することにより、容量形成部20を複数の容量形成部に区画することが可能になるが、この点については後において詳述することとする。
【0043】
図2に示すように、容量形成部20は、絶縁基板10の第1主面10aに対向するように設けられており、内部に複数の微細な孔を有する導電性の金属多孔体21と、当該金属多孔体21の表面を覆う誘電体膜22と、当該誘電体膜22の表面をさらに覆う導電膜23とを含んでいる。
【0044】
なお、容量形成部20は、絶縁基板10に対向するように設けられているものの、絶縁基板10には実質的に直接的には接合されていないか、あるいは、直接的に接合されているとしてもわずかしか接合されていない。ここで、容量形成部20が絶縁基板10にわずかしか接合されていない状態とは、容量形成部20の一部が所定の比率以下で絶縁基板10に接合されている状態を意味している。すなわち、容量形成部20が絶縁基板10にわずかしか接合されていない状態とは、
図3に示すように、絶縁基板10の第1主面10aの延在方向と直交する断面において、絶縁基板10の第1主面10a上の任意の領域を見た場合に、当該任意の領域において、金属多孔体21が絶縁基板10に対して直接的に、あるいは誘電体膜22もしくは導電膜23を介して間接的に接合されている部分の第1主面10aに平行な線分長の合計(すなわち、
図3に示す例においては線分長b1+b2)が、第1主面10aの当該任意の領域における全線分長(すなわち、
図3に示す例においては線分長a)の30%以下であることを意味している。
【0045】
金属多孔体21は、その内部に設けられた複数の微細な孔の少なくとも一部が、当該金属多孔体自体によって閉じられておらず、好適には、その内部に設けられた複数の微細な孔の大部分または全部が、当該金属多孔体自体によって閉じられていない。このような金属多孔体は、たとえば金属粒子の焼結体にて構成される。
【0046】
金属多孔体21としては、各種の導電性金属材料にてこれを構成することができるが、Ni、Mo、W、Al、Ti、Ta、Nb、Cu、Pt、AuおよびAgのいずれかを主たる材料とした金属材料にてこれを構成することが好ましい。また、これら金属材料のうちから選択される2種以上を主たる成分とした合金材料にて金属多孔体21を構成することとしてもよい。本実施の形態においては、金属多孔体21として、Niからなるものが用いられている。
【0047】
金属多孔体21の厚みおよび大きさは、特にこれが制限されるものではなく、特にその大きさは、絶縁基板10の大きさに応じて適宜設定される。本実施の形態においては、金属多孔体21として、後述の如く容量形成部20が区画される前の状態において1000μm角で厚みが200μmのものが用いられている。
【0048】
ここで、上述したように、金属多孔体21は、金属粒子の焼結体にて構成されていることが好ましい。その場合、金属粒子としては、球状、楕円球状、偏平状、板状、針状等、様々な形状のものが利用できる。また、金属粒子の粒径は、特に制限されるものではないが、その平均粒径が600nm以下であることが好ましく、20nm以上500nm以下であることがより好ましい。
【0049】
ここで、
図2に示すように、金属多孔体21は、その一部が第1ビア導体13に接合している。そのため、上述した陽極としての第1外部接続配線は、第1ビア導体13を介して容量形成部20に接続されている。
【0050】
誘電体膜22は、上述したように金属多孔体21の表面を覆っている。より詳細には、誘電体膜22は、容量形成部20の最も外側に位置する部分の金属多孔体21の表面を覆っているのみならず、容量形成部20の内部に位置する部分の金属多孔体21の表面のうち、当該金属多孔体自体によって閉じられていない上述した微細な孔によって規定された表面をも覆っている。また、誘電体膜22は、金属多孔体21に接合されていない部分の隔壁部18の表面も覆っている。
【0051】
誘電体膜22としては、各種の絶縁材料にてこれを構成することができるが、たとえば、AlOx、SiOx、HfOx、TiOx、TaOx、ZrOx、SiAlOx、HfAlOx、ZrAlOx、AlTiOx、SrTiOx、HfSiOx、ZrSiOx、TiZrOx、TiZrOx、TiZrWOx、SrTiOx、BaTiOx、PbTiOx、BaSrTiOx、BaCaTiOx等の金属酸化物、AlNx、SiNx、AlScNx等の金属窒化物、AlOxNy、SiOxNy、HfOxNy、SiCxOyNz等の金属酸窒化物にてこれを構成することができる。その中でも、AlOx(たとえばAl2O3)、SiOx(たとえばSiO2)、HfOx、TiOx、SiAlOx、HfAlOx、ZrAlOx、HfSiOxおよびZrSiOxのいずれかにて誘電体膜22を構成することが好ましい。なお、上記の化学式は、単に材料の構成を示すものであり、組成を限定するものではない。すなわち、OおよびNに付されたx、yおよびzは、0より大きい任意の値であってよく、金属元素を含む各元素の存在比率は任意である。また、誘電体膜22は、材質の異なる複数の誘電体層からなる積層膜にて構成されていてもよい。本実施の形態においては、誘電体膜22として、AlSiOからなるものが用いられている。
【0052】
誘電体膜22は、好ましくは、気相法、たとえば真空蒸着法、化学蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法、原子層堆積(ALD)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法等、または、超臨界流体を用いる方法によって形成することができ、特に好適には、ALD法によって形成される。
【0053】
誘電体膜22の厚みは、特に制限されるものではないが、3nm以上100nm以下であることが好ましく、さらに好適には、5nm以上50nm以下とされる。誘電体膜22の厚みが3nm以上であることにより、コンデンサ1Aの耐電圧を向上させることができる。
【0054】
導電膜23は、上述したように誘電体膜22の表面を覆っている。より詳細には、導電膜23は、容量形成部20の最も外側に位置する部分の誘電体膜22の表面を覆っているのみならず、容量形成部20の内部に位置する部分の誘電体膜22の表面をも覆っている。
【0055】
ここで、導電膜23は、隔壁部18を覆う部分およびその近傍に位置する部分の誘電体膜22の表面を覆っていない。これにより、隔壁部18から見て第1外部接続配線側の部分の導電膜23と、隔壁部18から見て第2外部接続配線側の部分の導電膜23とは、互いに不連続となるように構成されている。このように構成することにより、コンデンサ1Aの耐電圧の向上を図ることが可能になるが、その詳細については後述することとする。
【0056】
導電膜23としては、各種の導電材料にてこれを構成することができるが、Ni、Cu、Ru、Al、W、Ti、Ag、Au、Zn、TaおよびNbのいずれかを主たる材料とした金属材料、これら金属材料のうちから選択される2種以上を主たる成分とした合金材料、TiN、TiAlN、TiSiN、TaN、NbN、WN等の金属窒化物、TiON、TiAlON等の金属酸窒化物、PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))、ポリピロール、ポリアニン等の導電性高分子、RuO2、ZnO、(Zn,Al)O、NiO等の導電性酸化膜にてこれを構成することができる。その中でも、TiNあるいはTiONもしくはZnO、RuO等の酸化物半導体にて導電膜23を構成することが好ましい。本実施の形態においては、導電膜23として、TiNからなるものが用いられている。
【0057】
導電膜23は、好ましくは、CVD法、ALD法、PLD法、めっき法、バイアススパッタ法、ゾルゲル法、導電性高分子充填を用いる方法、または、超臨界流体を用いる方法によって形成することができ、特に好適には、ALD法によって形成される。また、導電膜23は、材質の異なる複数の導電層からなる積層膜にて構成されていてもよい。その場合には、ALD法にて成膜を行なった後に他の方法にて成膜を行なうことができる。
【0058】
導電膜23の厚みは、特に制限されるものではないが、3nm以上であることが好ましく、さらに好適には、10nm以上とされる。
【0059】
ここで、上述した誘電体膜22および導電膜23は、金属多孔体21の表面のみならず、絶縁基板10の第1主面10a側の所定の部分をも覆っている。さらに、
図4に示すように、誘電体膜22および導電膜23は、絶縁基板10に設けられた第2貫通孔12を規定する部分の絶縁基板10の表面をも覆っている。より詳細には、第2ビア導体14と絶縁基板10の基材との境界部においては、絶縁基板10の基材が誘電体膜22によって覆われているとともに、誘電体膜22が導電膜23によって覆われており、さらに導電膜23が第2ビア導体14によって覆われている。また、第2ビア導体14の第1主面10a側の端部は、容量形成部20によって覆われている。
【0060】
これにより、導電膜23は、第2ビア導体14に接合している。そのため、上述した陰極としての第2外部接続配線は、第2ビア導体14を介して容量形成部20に接続されている。
【0061】
図2に示すように、封止部30は、絶縁基板10の第1主面10a上に設けられており、当該絶縁基板10と共に容量形成部20を封止するとともに、容量形成部20から見て絶縁基板10側とは反対側に位置する外面30aを規定している。より詳細には、封止部30は、絶縁基板10の第1主面10aに対向するように設けられた容量形成部20の上方、側方および下方を覆うように位置しており、さらには、容量形成部20の内部に設けられた孔を埋め込むように位置している。
【0062】
封止部30としては、各種の絶縁材料にてこれを構成することができるが、特に耐候性に優れた絶縁材料にてこれを構成することが好ましい。封止部30の材質は、たとえばポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、または、エポキシ樹脂等の樹脂材料とすることができる。また、当該樹脂材料には、各種の添加物を含めることができ、たとえば熱膨張係数を調整するために、SiO2フィラーやAl2O3フィラー等を含有させてもよい。本実施の形態においては、封止部30として、エポキシ樹脂からなるものが用いられている。
【0063】
なお、封止部30のみでは耐湿性の確保が困難な場合には、容量形成部20と封止部30との間に耐湿保護膜を形成してもよい。当該耐湿保護膜は、たとえば封止部30を形成する前に、SiN、SiO2、Al2O3、HfO2、ZrO2等からなる無機絶縁体をCVD法、ALD法等によって容量形成部20を覆うように設けたり、あるいは、フッ素系樹脂、シランカップリング剤樹脂等の撥水性を有する有機物絶縁体を、容量形成部20を覆うように設けたりすることで形成することができる。ここで、当該耐湿保護膜は、必ずしも容量形成部20の内部にまで形成されている必要はなく、外側表面のみを覆うように形成されていれば足りる。
【0064】
封止部30は、各種の塗布方法によって成膜することができ、たとえば真空ラミネータを用いた方法や、エア式ディスペンサを用いた方法、ジェットディスペンサを用いた方法、スクリーン印刷法、真空印刷法、静電塗布法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等が利用できる。
【0065】
封止部30の厚みおよび大きさは、特に制限されるものではなく、その大きさは、絶縁基板10の大きさに応じて適宜設定される。ここで、封止部30の厚みは、たとえば5μm以上50μm以下とされることが好ましく、その大きさは、たとえば絶縁基板10の第1主面10aの全面を覆う程度であることが好ましい。
【0066】
上述した封止部30の厚みの測定は、たとえば、絶縁基板10の第1主面10aの延在方向と直交する断面を光学顕微鏡を用いて観察することで行なわれる。
【0067】
詳細には、コンデンサ1Aを平面視した場合の当該コンデンサ1Aの長手方向をLx、短手方向をLyとし、当該コンデンサ1Aの厚み方向(すなわち、第1主面10aの法線方向)をLzとしたときに、まず、Ly方向における中央に位置する部分のコンデンサ1AのLx-Lz断面が露出することとなるように、コンデンサ1Aを研磨処理する。当該研磨処理は、露出する断面が、上記中央位置を基準としてLy方向において±100μmの誤差範囲内に位置することとなるように行なわれる。
【0068】
次に、露出した断面のうちの外面30a近傍の部分を、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍にて観察する。当該断面のLx方向の観察範囲は、Lx方向における当該断面の中央位置を基準として±50μmの範囲であり、かつ金属壁部15および隔壁部18のいずれも設けられていない範囲である。
【0069】
次に、上記断面の観察範囲において、Lx方向に等間隔に10箇所で封止部30のLz方向の厚みを測り、これらの平均値を算出する。このようにして算出された平均値が、封止部30の厚みとなる。ここで、
図5においては、これら10箇所で測定される封止部30のLz方向の厚みのうちの3つを、線分長e1,e2,e3として例示している。
【0070】
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、金属多孔体21、誘電体膜22および導電膜23からなる容量形成部20が、絶縁基板10と封止部30とによって封止されることになるとともに、当該容量形成部20の電気的な引き出しが、一対の外部接続配線によって実現されることになる。
【0071】
ここで、
図2に示すように、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにおいては、容量形成部20が、複数の金属壁部15と複数の隔壁部18とによって複数の容量形成部に区画されており、これら複数の容量形成部は、第1外部接続配線側から第2外部接続線側に向かって(すなわち、
図2中の左側から右側に向かって)並んで配置されている。
【0072】
本実施の形態における容量形成部20は5つに区画されており、説明の便宜上、これら5つの容量形成部を、第1外部接続配線に最も近いものから順に容量形成部20A、容量形成部20B、容量形成部20C、容量形成部20Dおよび容量形成部20Eと称することとする。
【0073】
また、本実施の形態においては、容量形成部20Aを規定する部分の金属多孔体21、誘電体膜22および導電膜23を、それぞれ金属多孔体21A、誘電体膜22Aおよび導電膜23Aと称する。同様に、容量形成部20Bを規定する部分の金属多孔体21、誘電体膜22および導電膜23を、それぞれ金属多孔体21B、誘電体膜22Bおよび導電膜23Bと称し、容量形成部20Cを規定する部分の金属多孔体21、誘電体膜22および導電膜23を、それぞれ金属多孔体21C、誘電体膜22Cおよび導電膜23Cと称し、容量形成部20Dを規定する部分の金属多孔体21、誘電体膜22および導電膜23を、それぞれ金属多孔体21D、誘電体膜22Dおよび導電膜23Dと称し、容量形成部20Eを規定する部分の金属多孔体21、誘電体膜22および導電膜23を、それぞれ金属多孔体21E、誘電体膜22Eおよび導電膜23Eと称する。
【0074】
なお、本実施の形態においては、容量形成部20Aが第1容量形成部に対応し、容量形成部20B~20Eが第2容量形成部に対応している。そのため、金属多孔体21Aが第1金属多孔体に、誘電体膜22Aが第1誘電体膜に、導電膜23Aが第1導電膜に対応しており、金属多孔体21B~21Eが第2金属多孔体に、誘電体膜22B~22Eが第2誘電体膜に、導電膜23B~23Eが第2導電膜に対応している。
【0075】
また、本実施の形態においては、容量形成部20Bが第3容量形成部に対応し、容量形成部20C~20Eが第4容量形成部に対応している。そのため、金属多孔体21Bが第3金属多孔体に、誘電体膜22Bが第3誘電体膜に、導電膜23Bが第3導電膜に対応しており、金属多孔体21C~21Eが第4金属多孔体に、誘電体膜22C~22Eが第4誘電体膜に、導電膜23C~23Eが第4導電膜に対応している。
【0076】
さらに、本実施の形態においては、容量形成部20Cが第5容量形成部に対応し、容量形成部20D,20Eが第6容量形成部に対応している。そのため、金属多孔体21Cが第5金属多孔体に、誘電体膜22Cが第5誘電体膜に、導電膜23Cが第5導電膜に対応しており、金属多孔体21D,21Eが第6金属多孔体に、誘電体膜22D,22Eが第6誘電体膜に、導電膜23D,23Eが第6導電膜に対応している。
【0077】
また、本実施の形態においては、容量形成部20Dが第7容量形成部に対応し、容量形成部20Eが第8容量形成部に対応している。そのため、金属多孔体21Dが第7金属多孔体に、誘電体膜22Dが第7誘電体膜に、導電膜23Dが第7導電膜に対応しており、金属多孔体21Eが第8金属多孔体に、誘電体膜22Eが第8誘電体膜に、導電膜23Eが第8導電膜に対応している。
【0078】
さらに、本実施の形態においては、金属壁部15Aおよび金属壁部15Bが、それぞれ第1金属壁部および第2金属壁部に対応しており、隔壁部18Aおよび隔壁部18Bが、それぞれ第1隔壁部および第2隔壁部に対応している。
【0079】
以下においては、複数の容量形成部20A~20Eの構成、および、複数の容量形成部20A~20Eと金属壁部15および隔壁部18との関係について詳細に説明する。
【0080】
本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、金属壁部15Aが絶縁基板10に設けられていることにより、容量形成部20が、容量形成部20Aと、その余の部分である容量形成部20B~20Eとに区画されている。容量形成部20Aは、第1外部接続配線側に位置しており、容量形成部20B~20Eは、容量形成部20Aよりも第2外部接続配線側に位置している。
【0081】
容量形成部20Aの金属多孔体21Aは、第1ビア導体13に接合されており、容量形成部20Eの導電膜23Eは、第2ビア導体14に接合されている。
【0082】
ここで、コンデンサ1Aにあっては、金属壁部15Aが、容量形成部20Aの導電膜23Aに接合している一方で、金属多孔体21Aと誘電体膜22Aとには接合していない。また、金属壁部15Aが、容量形成部20B~20Eのうちの金属壁部15Aに隣接する部分である容量形成部20Bの導電膜23Bに接合している一方で、金属多孔体21Bと誘電体膜22Bとには接合していない。
【0083】
このように構成することにより、容量形成部20B~20Eが容量形成部20Aを介して第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、容量形成部20Aが容量形成部20B~20Eを介して第2外部接続配線に電気的に接続される。その結果、容量形成部20Aと容量形成部20B~20Eとが、第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されることになる。
【0084】
また、コンデンサ1Aにあっては、
図2および
図5に示すように、容量形成部20のうちの容量形成部20B~20Eに対応する部分の導電膜23が、隔壁部18Aおよびその近傍を境界として不連続となるように構成されている。より詳細には、隔壁部18Aから見て第1外部接続配線側の部分である容量形成部20Bの導電膜23Bと、隔壁部18Aから見て第2外部接続配線側の部分でありかつ当該隔壁部18Aに隣接する部分である容量形成部20Cの導電膜23Cとが、互いに不連続となるように構成されている。換言すれば、導電膜23が、互いに不連続である導電膜23Bおよび導電膜23Cを含むことにより、容量形成部20は、導電膜23Bと、当該導電膜23Bに対応する部分の誘電体膜22である誘電体膜22Bと、当該誘電体膜22Bに対応する部分の金属多孔体21である金属多孔体21Cとによって規定される容量形成部20B、および、導電膜23Cと、当該導電膜23Cに対応する部分の誘電体膜22である誘電体膜22Cと、当該誘電体膜22Cに対応する部分の金属多孔体21である金属多孔体21Cとによって規定される容量形成部20Cを含むこととなる。
【0085】
隔壁部18Aは、金属多孔体21B~21Eを金属多孔体21Bと金属多孔体21C~21Eとに区画するとともに、誘電体膜22B~22Eを誘電体膜22Bと誘電体膜22C~22Eとに区画し、さらに、導電膜23B~23Eを導電膜23Bと導電膜23C~23Eとに区画している。
【0086】
また、隔壁部18Aは、導電膜23Bおよび導電膜23Cには接合していない。一方で、隔壁部18Aは、第1外部接続配線側の側面において容量形成部20Bの金属多孔体21Bに接合しており、第2外部接続配線側の側面において容量形成部20Cの金属多孔体21Cに接合している。
【0087】
このように構成することにより、容量形成部20C~20Eが容量形成部20Bを介して第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、容量形成部20Bが容量形成部20C~20Eを介して第2外部接続配線に電気的に接続される。その結果、容量形成部20Bと容量形成部20C~20Eとが、第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において隔壁部18Aを介して電気的に直列に接続されることになる。
【0088】
さらに、コンデンサ1Aにあっては、金属壁部15Bが絶縁基板10に設けられていることにより、容量形成部20のうちの容量形成部20C~20Eが、容量形成部20Cと、その余の部分である容量形成部20D,20Eとに区画されている。容量形成部20Cは、第1外部接続配線側に位置しており、容量形成部20D,20Eは、容量形成部20Cよりも第2外部接続配線側に位置している。
【0089】
ここで、コンデンサ1Aにあっては、金属壁部15Bが、容量形成部20Cの導電膜23Cに接合している一方で、金属多孔体21Cと誘電体膜22Cとには接合していない。また、金属壁部15Bが、容量形成部20D,20Eのうちの金属壁部15Bに隣接する部分である容量形成部20Dの導電膜23Dに接合している一方で、金属多孔体21Dと誘電体膜22Dとには接合していない。
【0090】
このように構成することにより、容量形成部20D,20Eが容量形成部20Cを介して第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、容量形成部20Cが容量形成部20D,20Eを介して第2外部接続配線に電気的に接続される。その結果、容量形成部20Cと容量形成部20D,20Eとが、第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されることになる。
【0091】
また、コンデンサ1Aにあっては、容量形成部20のうちの容量形成部20D,20Eに対応する部分の導電膜23が、隔壁部18Bおよびその近傍を境界として不連続となるように構成されている。より詳細には、隔壁部18Bから見て第1外部接続配線側の部分である容量形成部20Dの導電膜23Dと、隔壁部18Bから見て第2外部接続配線側の部分である容量形成部20Eの導電膜23Eとが、互いに不連続となるように構成されている。換言すれば、導電膜23が、互いに不連続である導電膜23Dおよび導電膜23Eを含むことにより、容量形成部20は、導電膜23Dと、当該導電膜23Dに対応する部分の誘電体膜22である誘電体膜22Dと、当該誘電体膜22Dに対応する部分の金属多孔体21である金属多孔体21Dとによって規定される容量形成部20D、および、導電膜23Eと、当該導電膜23Eに対応する部分の誘電体膜22である誘電体膜22Eと、当該誘電体膜22Eに対応する部分の金属多孔体21である金属多孔体21Eとによって規定される容量形成部20Eを含むこととなる。
【0092】
隔壁部18Bは、金属多孔体21D,21Eを金属多孔体21Dと金属多孔体21Eとに区画するとともに、誘電体膜22D,22Eを誘電体膜22Dと誘電体膜22Eとに区画し、さらに、導電膜23D,23Eを導電膜23Dと導電膜23Eとに区画している。
【0093】
また、隔壁部18Bは、導電膜23Dおよび導電膜23Eには接合していない。一方で、隔壁部18Bは、第1外部接続配線側の側面において容量形成部20Dの金属多孔体21Dに接合しており、第2外部接続配線側の側面において容量形成部20Eの金属多孔体21Eに接合している。
【0094】
このように構成することにより、容量形成部20Eが容量形成部20Dを介して第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、容量形成部20Dが容量形成部20Eを介して第2外部接続配線に電気的に接続される。その結果、容量形成部20Dと容量形成部20Eとが、第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において隔壁部18Bを介して電気的に直列に接続されることになる。
【0095】
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、容量形成部20A、容量形成部20B、容量形成部20C、容量形成部20Dおよび容量形成部20Eが、この順で第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されることになる。
【0096】
なお、本実施の形態においては、上述したように、5つの容量形成部20A~20Eが直列に接続される場合について例示したが、直列に接続される容量形成部の数(すなわち、容量形成部20の区画数)は、複数であれば特にこれが5つに限定されるものではなく、2つ以上4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。直列に接続される容量形成部の数を変更する場合には、金属壁部15が1つ設けられたコンデンサに付加する他の金属壁部15の数と、上記導電膜23が不連続に構成される部分の数とを、適宜変更すればよい。このとき、金属壁部15と、導電膜23が不連続に構成される部分とは、第1外部接続配線側から第2外部接続線側に向かって交互に配置される必要がある。
【0097】
また、上述した本実施の形態に係るコンデンサ1Aにおいては、導電膜23Bと導電膜23Cとを互いに不連続となるように形成し、かつ、容量形成部20Bと容量形成部20Cとの間に設けられた隔壁部18Aに金属多孔体21Bおよび金属多孔体21Cを接合させることにより、容量形成部20Bと容量形成部20Cとを相互に区画しかつこれらを電気的に直列に接続させることを実現しているが、コンデンサ1Aにおいては、必ずしも隔壁部18Aが設けられる必要はない。すなわち、隔壁部18Aが設けられることなく金属多孔体21Bと金属多孔体21Cとが互いに接合されている場合においても、導電膜23Bと導電膜23Cとが互いに不連続となるように構成されていれば、上述の如く容量形成部20Bと容量形成部20Cとを相互に区画しかつこれらを電気的に直列に接続させることは実現可能である。この点は、隔壁部18Bと、容量形成部20Dおよび容量形成部20Eとの関係についても同様である。
【0098】
図6は、本実施の形態に係るコンデンサの製造方法を示すフロー図である。
図7ないし
図23は、それぞれ
図6に示す製造フローの各ステップを説明するための模式断面図である。次に、これら
図6ないし
図23を参照して、上述した本実施の形態に係るコンデンサ1Aを製造するための具体的な製造方法の一例について説明する。
【0099】
以下に示すコンデンサ1Aの製造方法は、製造工程の途中段階まで一括して加工処理を行なうことで仕掛り途中のコンデンサの集合体を製作し、その後に当該集合体を分断することで個片化し、個片化後の仕掛り品にさらに加工処理を施すことによって複数のコンデンサ1Aを同時に大量に生産する方法である。
【0100】
まず、
図6に示すように、ステップS1において、グリーンシートが製作される。詳細には、Al
2O
3粉末とガラス粉末とが秤量され、これらAl
2O
3粉末およびガラス粉末と、トルエン、エタノール等の有機溶媒と、ポリビニルブチラール等のバインダーとが混合される。その後、この混合物がシート状に成形され、これによって絶縁基板のもととなるグリーンシートが製作される。なお、グリーンシートの製作後においては、これが裁断されることで複数のグリーンシートが準備される。
【0101】
次に、
図6に示すように、ステップS2において、複数のグリーンシートのうちの一部に第1貫通孔および第2貫通孔が形成される。詳細には、グリーンシートの所定位置に、陽極の一部である第1ビア導体によって後において埋め込まれることになる第1貫通孔11が設けられるとともに、陰極の一部である第2ビア導体によって後において埋め込まれることになる第2貫通孔12が設けられる。
【0102】
ここで、第1貫通孔11および第2貫通孔12の形成方法は、特にこれが制限されるものではないが、たとえばグリーンシートにレーザー光を照射することでこれら第1貫通孔11および第2貫通孔12を形成することができる。また、この他にも、メカパンチャーを用いた加工やサンドブラスト加工にてこれら第1貫通孔11および第2貫通孔12を形成してもよい。
【0103】
次に、
図6に示すように、ステップS3において、第1貫通孔および第2貫通孔が形成されたグリーンシートに第1ビア導体が形成される。詳細には、第1貫通孔11を埋め込むように、導電性ペーストがグリーンシートに塗布される。なお、その際、第2貫通孔12は、導電性ペーストによって埋め込まれないようにする。
【0104】
ここで、導電性ペーストの塗布方法は、特にこれが制限されるものではないが、たとえばスクリーン印刷法を利用することができる。
【0105】
次に、
図6に示すように、ステップS4において、グリーンシートが焼成される。詳細には、ステップS3において導電性ペーストが塗布された後のグリーンシートに、第1貫通孔および第2貫通孔等が設けられていないグリーンシートが重ね合わされ、これら重ね合わされたグリーンシートが圧着される。そして、この圧着後のグリーンシートの積層体が脱脂処理され、さらにその後、脱脂処理後のグリーンシートの積層体が焼成される。
【0106】
ここで、グリーンシートを積層するに際しては、導電性ペーストが塗布されたグリーンシートの上記一方の主面と対向する他方の主面に、第1貫通孔11および第2貫通孔12等が設けられていないグリーンシートが積層される。また、グリーンシートを圧着するに際しては、たとえば一軸プレス機を用いることができる。さらに、グリーンシートの焼成は、たとえば大気雰囲気下において700℃~1000℃の温度条件にて行なわれる。
【0107】
以上において説明したステップS1~S4を経ることにより、
図7に示す如くの絶縁基板が得られることになる。ここで、当該絶縁基板は、最終的に複数個のコンデンサの各々に含まれることとなる絶縁基板が行列状に連接されたいわゆる複数取り基板であるが、
図7においては、そのうちの1つの絶縁基板10にのみ着目することとし、その周囲部分は、これを破線にて省略して示している。
【0108】
また、上記においては、ステップS2において第1貫通孔および第2貫通孔が形成され、その後にステップS3において第1ビア導体が設けられる場合を例示したが、先に第1貫通孔のみが形成され、第1ビア導体が形成された後に第2貫通孔が形成されるようにしてもよい。
【0109】
また、上記においては、グリーンシートと導電性ペーストとが同時に焼成される場合を例示して説明を行なったが、貫通孔等が設けられていない絶縁基板が焼成された後に、第1ビア導体13および第2貫通孔12が設けられるようにしてもよい。その場合には、焼成後の絶縁基板に、たとえばサンドブラスト法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法等によって第1貫通孔11および第2貫通孔12が設けられ、さらにその後に、導電性ペーストが塗布されてこれが焼成されるようにすればよい。また、この他にも、スパッタリングや蒸着、めっき等によって第1ビア導体13が形成されてもよい。
【0110】
次に、
図6に示すように、ステップS5において、容量形成部20を構成する金属多孔体21を形成するための導電性ペーストが塗布される。
【0111】
より詳細には、
図8に示すように、絶縁基板10の第1主面10a上に、後述する金属多孔体21を形成するための導電性ペースト21pが塗布される。導電性ペースト21pは、導電性の金属粒子21aと、ターピネオール等の有機溶媒およびエチルセルロースのワニスからなるバインダー21bとが秤量されて混合された後にロール機を用いることで作製されるものである。このようにして作製された導電性ペースト21pが、全体として平面視矩形状のパターン形状を有するように絶縁基板10の第1主面10a上に塗布されて乾燥させられる。
【0112】
このとき、導電性ペースト21pは、複数回に分けて重ね塗りされ、これによって所定の厚みを有する層状となるように第1主面10a上に塗布される。この第1主面10a上に塗布された導電性ペースト21pが、後述する焼成工程を経ることによって上述した金属多孔体21となる。本実施の形態においては、Niからなる金属粒子21aを含んだ導電性ペースト21pが用いられる。
【0113】
ここで、導電性ペースト21pの塗布に先立って、絶縁基板10に設けられた第2貫通孔12には、図示しないエポキシ樹脂等が塗布されることで当該第2貫通孔12を閉塞する閉塞部が設けられていることが好ましい。これにより、導電性ペースト21pが当該第2貫通孔12の内部に侵入してしまうことを防止できることになる。
【0114】
次に、
図6に示すように、ステップS6において、隔壁部用溝が形成される。より詳細には、
図9に示すように、第1主面10aの法線方向に沿って見た場合の第1ビア導体13および第2貫通孔12の間に位置する部分の導電性ペースト21pに、第1ビア導体13と第2貫通孔12とを結ぶ方向と交差する方向(すなわち、
図9中の紙面と直交する方向)に沿って延在する複数の隔壁部用溝18hが形成され、これによって導電性ペースト21pが複数の部位に区画される。当該複数の隔壁部用溝18hは、後述する隔壁部の形成工程において、隔壁部によって埋め込まれることになる。
【0115】
本実施の形態においては、2つの隔壁部用溝18hが第1ビア導体13側から第2貫通孔12に向かって(すなわち、
図9中の左側から右側に向かって)並んで位置するように形成される。これにより、導電性ペースト21pは、上述した金属多孔体21Aおよび金属多孔体21Bに対応する部位と、金属多孔体21Cおよび金属多孔体21Dに対応する部位と、金属多孔体21Eに対応する部位とに区画されることになる。
【0116】
ここで、隔壁部用溝18hの形成方法は、特にこれが制限されるものではないが、たとえば導電性ペースト21pにレーザー光を照射することで当該隔壁部用溝18hを形成することができる。また、この他にも、メカパンチャーを用いた加工やサンドブラスト加工にて隔壁部用溝18hを形成してもよい。
【0117】
次に、
図6に示すように、ステップS7において、隔壁部が形成される。より詳細には、
図10に示すように、複数の隔壁部用溝18hを埋め込むように、導電性ペーストが当該隔壁部用溝18hに充填される。このようにして形成された2つの隔壁部18は、第1主面10aから導電性ペースト21pに向けて立設されることになる。なお、これら2つの隔壁部18のうち、第1外部接続配線側に位置するものが、上述した隔壁部18Aに対応し、当該隔壁部18Aよりも第2外部接続配線側に位置するものが、隔壁部18Bに対応している。
【0118】
本実施の形態においては、隔壁部用溝18hに埋め込まれる導電性ペーストとして、Niペーストが用いられる。このように構成した場合には、金属粒子21aに含まれる材料(すなわち、金属多孔体21に含まれる材料)と同一の材料を含む金属壁部15を形成することができ、これにより、後述する焼成工程を経て、隔壁部18と金属多孔体21とが強固に金属接合されることになる。
【0119】
ここで、隔壁部用溝18hに埋め込まれる導電性ペーストの塗布方法は、特にこれが制限されるものではないが、たとえばインクジェット法を利用することができる。
【0120】
次に、
図6に示すように、ステップS8において、金属壁部用溝が形成される。より詳細には、
図11に示すように、第1主面10aの法線方向に沿って見た場合の第1ビア導体13および隔壁部18Aの間に位置する部分の導電性ペースト21p(すなわち、金属多孔体21Aおよび金属多孔体21Bに対応する部分の導電性ペースト21p)に、第1ビア導体13と第2貫通孔12とを結ぶ方向と交差する方向に沿って延在する金属壁部用溝15hが形成され、これによって上記部分の導電性ペースト21pが、金属多孔体21Aに対応する部位と金属多孔体21Bに対応する部位とに区画されることになる。同様に、第1主面10aの法線方向に沿って見た場合の隔壁部18Aおよび隔壁部18Bの間に位置する部分の導電性ペースト21p(すなわち、金属多孔体21Cおよび金属多孔体21Dに対応する部分の導電性ペースト21p)に、第1ビア導体13と第2貫通孔12とを結ぶ方向と交差する方向に沿って延在する金属壁部用溝15hが形成され、これによって上記部分の導電性ペースト21pが、金属多孔体21Cに対応する部位と金属多孔体21Dに対応する部位とに区画されることになる。
【0121】
なお、これら2つの金属壁部用溝15hは、後述する金属壁部の形成工程において、金属壁部によって埋め込まれることになる。
【0122】
ここで、金属壁部用溝15hの形成方法は、特にこれが制限されるものではないが、たとえば導電性ペースト21pにレーザー光を照射することで当該金属壁部用溝15hを形成することができる。また、この他にも、メカパンチャーを用いた加工やサンドブラスト加工にて金属壁部用溝15hを形成してもよい。
【0123】
次に、
図6に示すように、ステップS9において、導電性ペーストおよび隔壁部が焼成される。より詳細には、
図12に示すように、導電性ペースト21pおよび隔壁部18が焼成され、これにより、導電性ペースト21p中に含まれた隣接する金属粒子21a同士が焼結して金属接合されるとともに、隔壁部18とこれに隣接する部分の金属粒子21aとが接合される。また、この焼成により、第1ビア導体13とこれに隣接する部分の金属粒子21aとが接合される。
【0124】
この結果、本実施の形態においては、隔壁部18Aが、これに隣接する金属多孔体21Bおよび金属多孔体21Cに接合され、隔壁部18Bが、これに隣接する金属多孔体21Dおよび金属多孔体21Eに接合されることになる。さらに、第1ビア導体13が、これに隣接する金属多孔体21Aに接合されることになる。
【0125】
なお、上述した焼成の際に、第2貫通孔12を閉塞していたエポキシ樹脂等からなる閉塞部もまた、その熱によって焼失することになる。
【0126】
上述した焼成を行なうに際しては、それに先立って絶縁基板10の脱脂処理が行なわれ、その後、たとえば窒素と水素とを混合した還元雰囲気下において、400℃~900℃の温度条件にて上述した導電性ペースト21pおよび隔壁部18の焼成が行なわれる。
【0127】
なお、焼成の際の雰囲気は、上述したように還元雰囲気とすることが好ましいが、金属粒子21aの主たる成分として選択した金属の平衡酸素分圧以下の雰囲気に設定することができる。
【0128】
ここで、隔壁部18は、上述したように、導電性ペースト21p中の金属粒子21aに含まれる材料と同一の材料であるNiを含んで構成されている。このように構成した場合には、上述した焼成によって金属粒子21aと隔壁部18とが焼結することで金属接合することになり、これにより、当該金属粒子21aと隔壁部18との接合部の機械的強度が向上することになる。
【0129】
次に、
図6に示すように、ステップS10において、誘電体膜が形成される。より詳細には、
図13に示すように、第1主面10a、金属多孔体21、および、金属多孔体21に接合されていない部分の隔壁部18の表面を覆うとともに、絶縁基板10に設けられた第2貫通孔12を規定する部分の絶縁基板10の表面を覆うように、誘電体膜22が形成される。
【0130】
ここで、誘電体膜22の形成方法は、特にこれが制限されるものではないが、好ましくはALD法が用いられる。ALD法を用いれば、誘電体膜22の原料をガスにて供給することができるため、材質の選択と、原子層レベルでの膜厚の調整とが可能になる。そのため、金属多孔体21の内部に設けられた微細な孔が極端に小さい場合でも、均質で緻密な誘電体膜22を形成することができる。また、当該ALD法を用いれば、絶縁基板10に設けられた第2貫通孔12を規定する部分の絶縁基板10の表面をも、容易に誘電体膜22にて覆うことが可能になる。
【0131】
このALD法を用いて誘電体膜22を形成する場合には、金属多孔体21の内部に設けられた微細な孔と、絶縁基板10に設けられた第2貫通孔12の内部とに、原料ガスが行き渡ることとなるように、原料ガスとして、蒸気圧が高くガス化が容易であることに加え、熱安定性が高く、さらには反応性の高い特徴をもったものが用いられることが好ましい。当該観点からは、たとえばAlOx膜を形成する場合には、原料としてTMA(トリメチルアルミニウム)が用いられることが好ましく、SiOx膜を形成する場合には、原料としてTDMAS(トリスジメチルアミノシラン)が用いられることが好ましい。本実施の形態においては、ALD法を用いて誘電体膜22が形成される。
【0132】
また、誘電体膜22の形成は、成膜方法や成膜材料によって異なるものの、たとえば150℃以上400℃以下の温度条件にて行なわれる。
【0133】
次に、
図6に示すように、ステップS11において、第1レジスト膜が形成される。より詳細には、
図14に示すように、ステップS10において形成された誘電体膜22のうちの、隔壁部18の表面を覆う部分とその近傍部分とを覆うように、第1レジスト膜24が形成される。
【0134】
ここで、第1レジスト膜24の形成方法は、特にこれが制限されるものではない。本実施の形態においては、スピンコート法によって感光性液体レジストを誘電体膜22の所定の表面に均一に塗布し、これをフォトマスクを用いて局所的に露光させる。次に、現像液に浸漬させることで不要な上記感光性液体レジストを除去し、残留した上記感光性液体レジストをオーブン等で乾燥させることにより、第1レジスト膜24が形成される。
【0135】
次に、
図6に示すように、ステップS12において、導電膜が形成される。より詳細には、
図15に示すように、ステップS10において形成された誘電体膜22とステップS11において形成された第1レジスト膜24とを覆うように、導電膜23が形成される。
【0136】
ここで、導電膜23の形成方法は、前述のように特に制限されるものではないが、好ましくはALD法が用いられる。ALD法を用いれば、導電膜23の原料をガスにて供給することができるため、材質の選択と、原子層レベルでの膜厚の調整とが可能になる。そのため、金属多孔体21の内部に設けられた微細な孔が極端に小さい場合でも、均質で緻密な導電膜23を形成することができる。また、当該ALD法を用いれば、絶縁基板10の第2貫通孔12の内部に設けられた誘電体膜22をも、容易に導電膜23にて覆うことが可能になる。なお、導電膜23の形成は、成膜方法や成膜材料によって異なるものの、たとえば200℃以上600以下の温度条件にて行なわれる。
【0137】
次に、
図6に示すように、ステップS13において、第1レジスト膜が剥離される。より詳細には、
図16に示すように、第1レジスト膜24と、当該第1レジスト膜24の表面に形成された部分の導電膜23とが、剥離液等を用いることで剥離される。このようにして導電膜23の一部が剥離されることにより、当該部分において導電膜23に不連続部分が形成されることになる。
【0138】
次に、
図6に示すように、ステップS14において、第2レジスト膜が形成される。より詳細には、
図17に示すように、第1レジスト膜24が剥離されることで外部に露出している部分の誘電体膜22と、複数の金属壁部用溝15hに対応する位置に形成された部分以外の部分の導電膜23とを覆うように、第2レジスト膜25が形成される。なお、第2レジスト膜25の形成方法は、上述した第1レジスト膜24の形成方法に準じる。
【0139】
このように第2レジスト膜25を形成することにより、後述する金属壁部の形成工程において、金属壁部用溝15h以外の部分に意図せず金属壁部を構成する基材が形成されることを防止できる。
【0140】
次に、
図6に示すように、ステップS15において、金属壁部が形成される。より詳細には、
図18に示すように、2つの金属壁部用溝15hを埋め込むように、2つの金属壁部15が形成される。2つの金属壁部15は、第1主面10aから容量形成部20に向けて立設されることになる。なお、これら2つの金属壁部15のうち、第1外部接続配線側に位置するものが、上述した金属壁部15Aに対応し、当該金属壁部15Aよりも第2外部接続配線側に位置するものが、金属壁部15Bに対応している。
【0141】
このようにして形成された金属壁部15は、金属壁部用溝15hに対応する位置に形成された部分の導電膜23に接合される。この結果、本実施の形態においては、金属壁部15Aが、これに隣接する導電膜23Aおよび導電膜23Bに接合され、金属壁部15Bが、これに隣接する導電膜23Cおよび導電膜23Dに接合されることになる。
【0142】
ここで、金属壁部15は、たとえば電解めっきや、スクリーン印刷法等の厚膜形成方法によって形成されてよい。本実施の形態においては、電解めっきによって、Cuからなる金属壁部15が形成される。
【0143】
次に、
図6に示すように、ステップS16において、第2レジスト膜が剥離される。より詳細には、
図19に示すように、第2レジスト膜25が、剥離液等を用いることで剥離される。
【0144】
次に、
図6に示すように、ステップS17において、封止部が形成される。より詳細には、
図20に示すように、容量形成部20が設けられてなる絶縁基板10の第1主面10a上に、当該容量形成部20を覆うように封止部30が設けられる。
【0145】
封止部30は、たとえば、いわゆるコンプレッション成形によって形成される。より詳細には、絶縁基板10の第1主面10a上に樹脂シートが被せ付けられ、この状態において真空ラミネータが用いられて真空引きが行なわれることで絶縁基板10の第1主面10aに樹脂シートが密着させられる。そして、この状態において樹脂シートが50℃~100℃に加熱されることで容量形成部20がラミネートされ、さらにその後、100℃~200℃にまで加熱されることで本硬化が行なわれ、これによって封止部30が形成される。なお、封止部30の形成方法は、上述したコンプレッション成形に限られず、いわゆるトランスファー成形によって行なわれてもよい。
【0146】
これにより、容量形成部20が絶縁基板10と封止部30とによって封止されることになり、外部からの容量形成部20への水分の侵入が防止でき、耐湿性を確保することが可能になる。また、容量形成部20が封止部30によって覆われることになり、容量形成部20が物理的に当該封止部30によって保護されることにもなる。なお、上記において示した硬化条件は、あくまでも一例に過ぎず、種々これを変更することができる。
【0147】
次に、
図6に示すように、ステップS18において、絶縁基板にグラインド加工が施される。より詳細には、
図21に示すように、容量形成部20が設けられた側とは反対側に位置する絶縁基板10の第2主面10b側の平面切削が行なわれる。
【0148】
ここで、グラインド加工が行なわれるに際しては、容量形成部20側に図示しないグラインドテープが貼り付けられ、第1ビア導体13および第2貫通孔12を閉塞する部分の絶縁基板10が平面切削されることでそれぞれ除去されることになる。これにより、第1ビア導体13の端部が第2主面10b側において露出することになる。
【0149】
次に、
図6に示すように、ステップS19において、絶縁基板が個片化される。より詳細には、
図22に示すように、絶縁基板10が分断されることで、互いに繋がった状態にある複数のコンデンサ1Aが個片化される。
【0150】
ここで、個片化が行なわれるに際しては、絶縁基板10および封止部30の少なくとも一方に溝が形成され、当該溝を起点に折り曲げるように絶縁基板10および封止部30に力が加えられることで絶縁基板10および封止部30をブレイクさせる。なお、溝を形成する方法としては、ダイヤモンドスクライブ、レーザスクライブ、ダイシング等が利用できる。また、スクライブやダイシングによって直接的に絶縁基板10および封止部30を切断することで個片化が行なわれてもよい。
【0151】
次に、
図6に示すように、ステップS20において、絶縁基板に第2ビア導体が形成される。より詳細には、
図23に示すように、絶縁基板10に設けられた第2貫通孔12を埋め込むように、第2ビア導体14が形成される。
【0152】
第2ビア導体14は、たとえば電解めっきにてこれを形成することができる。その場合、第2貫通孔12以外の部分を図示しないマスクとしての紫外線硬化性樹脂フィルムにて覆い、この状態において電解めっきを行なうことにより、第2貫通孔12の内部のみをめっき膜によって覆うことが可能になる。なお、電解めっきが完了した後は、マスクとしての紫外線硬化性樹脂フィルムが除去される。
【0153】
このように形成された第2ビア導体14は、その側面および当該第2ビア導体14の容量形成部20側の端面において、導電膜23に接合されることになる(
図4参照)。これにより、第2ビア導体14は、それを覆う導電膜23を介して容量形成部20に接続されることになる。
【0154】
次に、
図6に示すように、ステップS21において、絶縁基板に第1バンプおよび第2バンプが形成される。より詳細には、
図2に示すように、絶縁基板10に設けられた第1ビア導体13および第2ビア導体14を覆うように、絶縁基板10の第2主面10b上に第1バンプ16および第2バンプ17が形成される。
【0155】
第1バンプ16および第2バンプ17は、たとえば電解めっきにてこれらを同時に形成することができる。その場合、第1ビア導体13および第2ビア導体14が露出する部分近傍以外の部分を図示しないマスクとしての紫外線硬化性樹脂フィルムにて覆い、この状態において電解めっきを行なうことにより、第1バンプ16および第2バンプ17を第2主面10bから突出して形成することが可能になる、なお、電解めっきが完了した後は、マスクとしての紫外線硬化性樹脂フィルムが除去される。
【0156】
なお、上述した第2ビア導体14、第1バンプ16および第2バンプ17の形成方法は、上述した電解めっきを用いた方法のみならず、この他にも、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンサ法等と焼成との組み合わせを利用することもできる。その場合、封止部30を構成する樹脂への影響を及ぼさない温度条件で焼成が行なえるように、導電性ペーストには、低温で焼成可能な金属や焼結助剤が含まれていることが好ましい。
【0157】
以上において説明したステップS1~S21の工程を経ることにより、上述した実施の形態1に係るコンデンサ1A、すなわち、容量形成部20A、容量形成部20B、容量形成部20C、容量形成部20Dおよび容量形成部20Eが、この順で電気的に直列に接続されたコンデンサが製造されることになる。
【0158】
なお、上述した本実施の形態に係るコンデンサ1Aの製造方法にあっては、封止部を形成した後にグラインド加工を行なうこととした場合を例示したが、グラインド加工を行なった後に封止部を形成することとしてもよい。また、グラインド加工は、個片化を行なった後に施されてもよい。
【0159】
ここで、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、上述したように、金属壁部15Aが絶縁基板10に設けられていることにより、容量形成部20が、容量形成部20Aと、その余の部分である容量形成部20B~20Eとに区画されている。また、金属壁部15Aは、容量形成部20Aの導電膜23Aと、容量形成部20B~20Eのうちの金属壁部15Aに隣接する部分である容量形成部20Bの導電膜23Bとに接合していることにより、容量形成部20B~20Eが容量形成部20Aを介して第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、容量形成部20Aが容量形成部20B~20Eを介して第2外部接続配線に電気的に接続され、結果として、容量形成部20Aと容量形成部20B~20Eとが、第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている。
【0160】
このように、金属壁部15Aが設けられることで容量形成部20が複数に区画されかつこれら区画された容量形成部同士が電気的に直列に接続されていることにより、コンデンサ1Aの耐電圧の向上を図ることが可能になる。
【0161】
すなわち、単一の容量形成部を備えてなるコンデンサに電圧が印加されることで当該単一の容量形成部に電界集中が発生した場合には、これが短絡することで直ちにコンデンサとしての機能が損なわれてしまうことになる。
【0162】
この点、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにおいては、容量形成部20が複数に区画され、かつ、これら区画された容量形成部同士が電気的に直列に接続されている。このように構成することにより、コンデンサ1Aに電圧が印加された場合における電界集中を、区画された容量形成部の各々に分散させることが可能になるため、これによってコンデンサ1Aの耐電圧の向上を図ることができる。そのため、コンデンサ1Aの実装後の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0163】
また、上述の如く容量形成部20が複数に区画されかつこれらが電気的に直列に接続されていることにより、区画された一部の容量形成部20に電界集中が発生してこれが短絡した場合(すなわち、電圧損傷した場合)においても、その余の部分の容量形成部20に対応する分の静電容量をコンデンサ1Aの静電容量として確保できることになる。そのため、電圧損傷後においても一定の静電容量が確保された、実装後の信頼性の向上が図られたコンデンサ1Aとすることができる。
【0164】
したがって、本実施の形態に係るコンデンサ1Aとすることにより、金属多孔体21と誘電体膜22と導電膜23とからなる容量形成部20を備えてなるコンデンサにおいて、実装後の信頼性の向上が図られることになる。
【0165】
なお、以上において説明したコンデンサ1Aにおける耐電圧向上の効果は、後述する検証試験1によって確認されている。
【0166】
また、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにおいて、容量形成部20A~20Eのうちのいずれか1つの容量形成部の金属多孔体の体積を、これに隣接する他の容量形成部の金属多孔体の体積よりも小さく構成し、かつ、当該容量形成部の誘電体膜の厚みを上記他の容量形成部の誘電体膜の厚みよりも薄く構成してもよい。この場合には、金属多孔体の体積を小さく構成することで静電容量が小さく構成された容量形成部において意図的に電界集中を発生し易くさせることができるため、電圧損傷後の状態におけるコンデンサ1Aの静電容量を最大限に確保できることになる。
【0167】
なお、上記の如く複数ある容量形成部毎に誘電体膜22の厚みが異なるコンデンサ1Aを製造する場合には、上述したステップS10(すなわち、誘電体膜の形成)とステップS11(すうなわち、第1レジスト膜の形成)との間において、厚く形成する部分以外の部分の誘電体膜22を覆うようにレジスト膜を形成し、この状態で再度誘電体膜22の形成を行なった後に上記レジスト膜を剥離すればよい。
【0168】
さらに、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、上述したように、金属壁部15が第1主面10aから容量形成部20に向けて立設した状態で、容量形成部20の導電膜23の一部に接合されている。
【0169】
このように構成した場合には、コンデンサ1Aの熱処理を伴う製造工程(すなわち、焼成工程、誘電体膜の形成工程および導電膜の形成工程等)において絶縁基板10および容量形成部20の熱膨張係数差に起因して発生する応力によって絶縁基板10に反りが生じる場合において、金属壁部15によって得られるいわゆるアンカー効果により、絶縁基板10に生じる反りの抑制、ならびに、絶縁基板10の反りに起因して生じる絶縁基板10上からの誘電体膜22および導電膜23の剥離を効果的に抑制できることになる。そのため、コンデンサ1Aの実装安定性および実装後の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0170】
また、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、上述した金属壁部15が複数設けられている。これにより、上述した絶縁基板10に生じる反りをさらに抑制することができる。なお、金属壁部15が設けられることで絶縁基板10に生じる反りが抑制される効果は、後述する検証試験2によって確認されている。
【0171】
さらに、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、上述したように、容量形成部20が、絶縁基板10には実質的に直接的には接合されていないか、あるいは、直接的に接合されているとしてもわずかしか接合されていない。これによっても、上述した絶縁基板10に生じる反りを抑制することができる。
【0172】
また、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、上述したように、複数の隔壁部18が第1主面10aから容量形成部20に向けて立設した状態で、容量形成部20の金属多孔体21の一部に接合されている。これら複数の隔壁部18によっても、金属壁部15と同様にアンカー効果が得られることになるため、上述した絶縁基板10に生じる反りを抑制できることになる。なお、隔壁部18が設けられることで絶縁基板10に生じる反りが抑制される効果は、後述する検証試験2によって確認されている。
【0173】
なお、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにおいて、金属壁部15Aと第1ビア導体13との間の距離を、金属壁部15Aと隔壁部18Aとの間の距離よりも短く構成することによって金属壁部15Aと隔壁部18Aとを互いに相当程度に離隔して配置することにより、上述した絶縁基板10に生じる反りをさらに抑制することができる。同様に、隔壁部18Bと第2ビア導体14との間の距離を、隔壁部18Bと金属壁部15Bとの間の距離よりも短く構成することによって隔壁部18Bと金属壁部15Bとを互いに相当程度に離隔して配置することによっても、上述した絶縁基板10に生じる反りをさらに抑制することができる。
【0174】
さらに、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、上述したように、絶縁基板10の第1主面10aの法線方向に沿って見た場合に、第1ビア導体13および第2ビア導体14が、いずれも容量形成部20が配置された領域内に設けられている。
【0175】
このように構成した場合には、第1外部接続配線および第2外部接続配線のいずれもが容量形成部20の側方の位置に配置されないことになるため、容量形成部20の側方に位置する部分の封止部30を最小化することができる。そのため、コンデンサ1Aを従来に比して小型に構成することができるばかりでなく、コンデンサ1Aにおける容量形成部20以外の部分の占有体積が小さくなることで高容量化が図られることになる。
【0176】
また、上記のように構成した場合には、絶縁基板10をその厚み方向において貫通するように第1ビア導体13および第2ビア導体14が位置することになるため、これら極性の異なるビア導体同士が互いの電流経路が逆方向を向いた状態で近接配置されることになる。そのため、電流が流れることによってこれらビア導体に発生する磁界が互いに打ち消し合うように作用することになるため、いわゆるESL(等価直列インダクタンス)を小さくすることができる。
【0177】
さらに、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、上述したように、第2ビア導体14と絶縁基板10の基材との境界部において、絶縁基板10の基材が誘電体膜22によって覆われているとともに、誘電体膜22が導電膜23によって覆われており、さらに導電膜23が第2ビア導体14によって覆われている。
【0178】
このように構成することにより、絶縁基板10の基材と第2ビア導体14とが直接接合される場合に比べ、これら絶縁基板10の基材と第2ビア導体14との間の密着性が向上することになるため、当該部分を介しての水分の侵入の抑制が図られることになる。したがって、耐湿性に優れたコンデンサとすることができる。
【0179】
また、本実施の形態に係るコンデンサ1Aにあっては、上述したように、金属多孔体21が金属粒子の焼結体にて構成されている。このように構成した場合には、金属粒子同士が金属接合することによって容量形成部20の機械的強度が向上することになるとともに、金属粒子同士の接合面積も大きくなるため、いわゆる低ESR(等価直列抵抗)化を図ることができる。さらには、開気孔を有する金属多孔体を比較的容易に形成することができる効果も得られる。
【0180】
ここで、本実施の形態に係るコンデンサ1Aは、容量形成部20A~20Eのうちのいずれの容量形成部の静電容量をその余の容量形成部の静電容量と比較した場合においても、当該容量形成部の静電容量が当該その余の容量形成部の静電容量の5%以上50%以下となるようにこれが構成されてもよい。すなわち、コンデンサ1Aにあっては、これら5つの容量形成部20A~20Eの静電容量が相当程度に均等となるように容量形成部20が区画されてもよく、この場合には、いずれの容量形成部に短絡が発生した場合においても、短絡前後におけるコンデンサ1Aの静電容量の変動を同等程度にすることができる。
【0181】
また、本実施の形態に係るコンデンサ1Aは、容量形成部20A~20Eのうちのいずれか1つの容量形成部の誘電体膜の厚みが、これに隣接する他の容量形成部の誘電体膜の厚みの2倍以上となるように構成されてもよい。このように構成した場合には、この誘電体膜の厚みが大きく構成された容量形成部において電界集中を発生させ難くすることができる。
【0182】
(実施の形態2)
図24は、実施の形態2に係るコンデンサの模式断面図である。以下、この
図24を参照して、本実施の形態に係るコンデンサ1Bについて説明する。
【0183】
図24に示すように、本実施の形態に係るコンデンサ1Bは、上述した実施の形態1に係るコンデンサ1Aと比較した場合に、隔壁部18が単数であることに起因して容量形成部20の区画数が相違している。
【0184】
より詳細には、本実施の形態に係るコンデンサ1Bにおいては、第1外部接続配線側から第2外部接続線側に向かって(すなわち、
図24中の左側から右側に向かって)金属壁部15C、隔壁部18Cおよび金属壁部15Dの順に配置されている。
【0185】
これにより、本実施の形態においては、容量形成部20が4つに区画されている。説明の便宜上、これら4つの容量形成部を、第1外部接続配線に最も近いものから順に容量形成部20F、容量形成部20G、容量形成部20Hおよび容量形成部20Iと称することとする。なお、本実施の形態においては、容量形成部20Fが第1容量形成部に対応し、容量形成部20G~20Iが第2容量形成部に対応している。また、容量形成部20Gが第3容量形成部に対応し、容量形成部20H,20Iが第4容量形成部に対応している。さらに、容量形成部20Hが第5容量形成部に対応し、容量形成部20Iが第6容量形成部に対応している。
【0186】
また、本実施の形態においては、金属壁部15Cおよび金属壁部15Dが、それぞれ第1金属壁部および第2金属壁部に対応しており、隔壁部18Cが、第1隔壁部に対応している。
【0187】
ここで、金属壁部15Cと、容量形成部20Fおよび容量形成部20Gとの関係性は、上述した実施の形態1における金属壁部15Aと容量形成部20Aおよび容量形成部20Bとの関係性と同様である。また、隔壁部18Cと、容量形成部20Gおよび容量形成部20Hとの関係性は、上述した実施の形態1における隔壁部18Aと容量形成部20Bおよび容量形成部20Cとの関係性と同様である。さらに、金属壁部15Dと、容量形成部20Hおよび容量形成部20Iとの関係性は、上述した実施の形態1における金属壁部15Bと容量形成部20Cおよび容量形成部20Dとの関係性と同様である。
【0188】
また、コンデンサ1Bにおいては、第2ビア導体14が、容量形成部20の金属多孔体21に接合されている。より詳細には、第2ビア導体14は、容量形成部20Iの金属多孔体21Iに接合されている。
【0189】
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係るコンデンサ1Bにあっては、容量形成部20F、容量形成部20G、容量形成部20Hおよび容量形成部20Iが、この順で第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されることになる。
【0190】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、金属多孔体21と誘電体膜22と導電膜23とからなる容量形成部20を備えてなるコンデンサにおいて、実装後の信頼性の向上が図られることになる。
【0191】
なお、本実施の形態に係るコンデンサ1Bは、上述した実施の形態1に係るコンデンサ1Aの製造方法に準じた方法によって製造可能である。
【0192】
(実施の形態3)
図25は、実施の形態3に係るコンデンサの模式断面図である。以下、この
図25を参照して、本実施の形態に係るコンデンサ1Cについて説明する。
【0193】
図25に示すように、本実施の形態に係るコンデンサ1Cは、上述した実施の形態1に係るコンデンサ1Aと比較した場合に、金属壁部15が単数であることと、隔壁部18が設けられていなこととに起因して、容量形成部20の区画数が相違している。
【0194】
より詳細には、本実施の形態に係るコンデンサ1Cにおいては、第1主面10aの法線方向に沿って見た場合に、1つの金属壁部15Eが、第1外部接続配線と第2外部接続配線との間に位置している。これにより、コンデンサ1Cにおいては、容量形成部20が2つに区画されている。説明の便宜上、これら2つの容量形成部を、第1外部接続配線に最も近いものから順に容量形成部20Jおよび容量形成部20Kと称することとする。なお、本実施の形態においては、容量形成部20Jが第1容量形成部に対応し、容量形成部20Kが第2容量形成部に対応している。また、金属壁部15Eが、第1金属壁部に対応している。
【0195】
ここで、金属壁部15Eと、容量形成部20Jおよび容量形成部20Kとの関係性は、上述した実施の形態1における金属壁部15Aと容量形成部20Aおよび容量形成部20Bとの関係性と同様である。
【0196】
また、コンデンサ1Cにおいては、第2ビア導体14が、容量形成部20の金属多孔体21に接合されている。より詳細には、第2ビア導体14は、容量形成部20Kの金属多孔体21Kに接合されている。
【0197】
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係るコンデンサ1Cにあっては、容量形成部20Jおよび容量形成部20Kが、この順で第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されることになる。
【0198】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、金属多孔体21と誘電体膜22と導電膜23とからなる容量形成部20を備えてなるコンデンサにおいて、実装後の信頼性の向上が図られることになる。
【0199】
なお、本実施の形態に係るコンデンサ1Cは、上述した実施の形態1に係るコンデンサ1Aの製造方法から隔壁部に関わるステップ(すなわち、
図6中のステップS6,S7,S11,S13)を除いた製造方法によって製造可能である。
【0200】
(検証試験1)
検証試験1においては、金属壁部および隔壁部の数(すなわち、容量形成部の区画数)が異なるコンデンサを複数種類準備し、これらのコンデンサに電圧を印加した場合における耐電圧を測定することにより、容量形成部を区画しかつこれらを直列接続することがコンデンサの耐電圧に及ぼす影響を検証した。
【0201】
検証試験1においては、金属壁部が1つ設けられることで容量形成部が2つに区画されたコンデンサ(以降、説明の便宜上2連続タイプと称する)、2つの金属壁部と1つの隔壁部とが設けられることで容量形成部が4つに区画されたコンデンサ(4連続タイプ)、3つの金属壁部と2つの隔壁部とが設けられることで容量形成部が6つに区画されたコンデンサ(6連続タイプ)、および、4つの金属壁部と3つの隔壁部とが設けられることで容量形成部が8つに区画されたコンデンサ(8連続タイプ)の合計4種類のコンデンサと、比較例としての容量形成部が区画されていない(すなわち、金属壁部および隔壁部のいずれも設けられていない)コンデンサとを準備した。なお、上記2連続タイプのコンデンサは、上述した実施の形態3に係るコンデンサ1C(
図25参照)と同様の構成を有するものであり、上記4連続タイプのコンデンサは、上述した実施の形態2に係るコンデンサ1B(
図24参照)と同様の構成を有するものである。また、上記6連続タイプおよび8連続タイプのコンデンサにあっては、第1外部接続配線側から第2外部接続線側に向かって金属壁部と隔壁部とが交互に配置されている。
【0202】
検証試験1において準備したコンデンサの絶縁基板は、Al2O3からなり、1000μm角で厚みが75μmの大きさのものである。第1ビア導体および第2ビア導体は、Niからなり、直径が150μmで軸方向長さが75μmの大きさの円柱状のものである。第1ビア導体13と第2ビア導体14との間の距離は、150μmである。第1バンプ16および第2バンプ17は、Auからなるものである。金属多孔体は、Niからなり、容量形成部が区画される前の状態において1000μm角で厚みが200μmの大きさのものである。誘電体膜は、AlSiOからなるものが用いられており、導電膜は、TiNからなるものが用いられている。
【0203】
また、検証試験1において準備した金属壁部は、Cuからなり、高さ(
図2中の上下方向の寸法)が200μm、厚み(
図2中の左右方向の寸法)が70μm、幅(
図2中の紙面と直交する方向の寸法)が1000μmのものである。隔壁部は、Niからなり、高さが200μm、厚みが70μm、幅が1000μmのものである。
【0204】
容量形成部を区画しかつこれらを直列接続することがコンデンサの耐電圧に及ぼす影響を検証は、耐電圧測定器(B1500A、keysight社製)を用いて、以下において説明する方法によって行なった。なお、当該検証における上記各種類のコンデンサのサンプル数は5つとした。
【0205】
まず、コンデンサの両端子を耐電圧測定器の各端子に接続した。次に、電流値0.05A、昇圧スピード0.67mV/秒の条件下にてコンデンサに電圧を印加した。次に、電流値が0.05Aを下回ったときの電圧を耐電圧として測定した。
【0206】
図26は、上述した方法にて行なった検証試験1の結果を示すグラフである。当該グラフにおいては、各種類のコンデンサの耐電圧を示している。検証試験1の結果、金属壁部を設けて容量形成部を区画しかつこれらを直列に接続させることにより、容量形成部が区画されていない単一の場合(すなわち、比較例の場合)に比べ、コンデンサの耐電圧が向上することがわかった。さらに、金属壁部および隔壁部の数を増加させることで電気的に直列に接続される容量形成部の数(すなわち、容量形成部の区画数)を増加させることにより、コンデンサの耐電圧が向上する効果がより顕著になっていくことがわかった。以上より、容量形成部を区画しかつこれらを直列接続することにより、コンデンサの耐電圧が向上することがわかった。
【0207】
(検証試験2)
検証試験2においては、金属壁部および隔壁部の数(すなわち、容量形成部の区画数)が異なるコンデンサを複数種類準備し、これらのコンデンサに荷重を印加した場合における絶縁基板のたわみ量を確認することにより、金属壁部および隔壁部がコンデンサの曲げ強度(機械的強度)に及ぼす影響を検証した。なお、検証試験2において準備したコンデンサの種類は、上述した検証試験1において準備したものと同様である。
【0208】
金属壁部および隔壁部がコンデンサの曲げ強度に及ぼす影響を検証は、たわみ試験装置(DFT-30、応用電機社製)を用いて、以下において説明する方法によって行なった。なお、当該検証における上記各種類のコンデンサのサンプル数は5つとした。
【0209】
まず、長辺の長さが100mm、短辺の長さが40mm、厚みが1.6mmのガラエポ基板を準備した。次に、ガラエポ基板のランドに、メタルマスクを用いて厚み10μmのはんだペーストを印刷した。次に、はんだペーストが印刷されたランド上にコンデンサを実装し、これらに250℃で15分間熱処理を行なった。
【0210】
次に、コンデンサが実装されたガラエポ基板をたわみ試験装置の載置台にセットした。次に、ガラエポ基板のランドに、コンデンサ容量を測定するための端子を接触させた。コンデンサ容量の測定周波数は、1kHzとした。次に、ガラエポ基板の一対の主面のうちのコンデンサが実装されていない側の主面に加圧治具を当ててガラエポ基板を加圧した。加圧条件は、加圧治具の昇降速度を0.1mm/秒とし、荷重を0.003Nとした。
【0211】
次に、この加圧により、コンデンサ容量が加圧前の状態におけるコンデンサ容量の10%以下になったとき(すなわち、コンデンサが短絡したとき)のコンデンサのたわみ量を測定した。たわみ量は、絶縁基板のうち、これを平面視した場合の中央に位置する部分における、当該絶縁基板の第1主面の法線方向に沿った初期位置からの変位量(すなわち、
図2中の上下方向に沿った変位量)を意味している。
【0212】
図27は、上述した方法にて行なった検証試験2の結果を示すグラフである。当該グラフにおいては、各種類のコンデンサのたわみ量を示している。検証試験2の結果、金属壁部が絶縁基板に設けられていることにより、これが設けられていない場合(すなわち、比較例の場合)に比べ絶縁基板のたわみ量が増加していることがわかった。さらに、金属壁部および隔壁部の数を増加させることにより、たわみ量が増加する効果がより顕著になっていくことがわかった。このように、コンデンサに外力が印加されることでこれが短絡するときのたわみ量が増加していることから、金属壁部および隔壁部を設けることにより、コンデンサの曲げ強度が向上することがわかった。
【0213】
(付記)
上述した実施の形態において開示したコンデンサの特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
【0214】
[付記1]
第1主面および当該第1主面とは反対側に位置する第2主面を有する絶縁基板と、
上記第1主面に対向するように設けられた容量形成部と、
上記容量形成部に接続された第1外部接続配線および第2外部接続配線と、
上記容量形成部が、上記第1外部接続配線側に位置する第1容量形成部と、当該第1容量形成部よりも上記第2外部接続配線側に位置する第2容量形成部とを含むこととなるように、上記容量形成部を区画する第1金属壁部とを備え、
上記第1容量形成部は、導電性の第1金属多孔体と、上記第1金属多孔体の表面を覆う第1誘電体膜と、上記第1誘電体膜を覆う第1導電膜とを含み、
上記第2容量形成部は、導電性の第2金属多孔体と、上記第2金属多孔体の表面を覆う第2誘電体膜と、上記第2誘電体膜を覆う第2導電膜とを含み、
上記第1金属壁部が上記第1導電膜と上記第2導電膜とに接合することで、上記第2容量形成部が上記第1容量形成部を介して上記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、上記第1容量形成部が上記第2容量形成部を介して上記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも上記第1容量形成部と上記第2容量形成部とが、上記第1外部接続配線と上記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている、コンデンサ。
【0215】
[付記2]
上記第1金属壁部が、上記第1主面から立設されている、付記1に記載のコンデンサ。
【0216】
[付記3]
上記第1金属壁部の厚みが、5μm以上である、付記1または2に記載のコンデンサ。
【0217】
[付記4]
上記第1金属壁部の厚みが、75μm以下である、付記3に記載のコンデンサ。
【0218】
[付記5]
上記第1主面の法線方向と平行な方向における上記第1金属壁部の高さが、上記第1主面の法線方向と平行な方向における上記容量形成部の高さよりも大きい、付記1から4のいずれかに記載のコンデンサ。
【0219】
[付記6]
上記第1金属壁部の厚み方向および高さ方向の双方に交差する方向における上記第1金属壁部の幅が、上記第1金属壁部の厚み方向および高さ方向の双方に交差する方向における上記容量形成部の幅よりも大きい、付記1から5のいずれかに記載のコンデンサ。
【0220】
[付記7]
上記第1誘電体膜の厚みが、上記第2誘電体膜の厚みの2倍以上であるか、あるいは、上記第2誘電体膜の厚みが、上記第1誘電体膜の厚みの2倍以上である、付記1から6のいずれかに記載のコンデンサ。
【0221】
[付記8]
上記第1容量形成部の静電容量が、上記第2容量形成部の静電容量の5%以上50%以下である、付記1から6のいずれかに記載のコンデンサ。
【0222】
[付記9]
上記第2導電膜が互いに不連続である第3導電膜および第4導電膜を含むことにより、上記第2容量形成部は、上記第3導電膜と、当該第3導電膜に対応する部分の上記第2誘電体膜である第3誘電体膜と、当該第3誘電体膜に対応する部分の上記第2金属多孔体である第3金属多孔体とによって規定される第3容量形成部、および、上記第4導電膜と、当該第4導電膜に対応する部分の上記第2誘電体膜である第4誘電体膜と、当該第4誘電体膜に対応する部分の上記第2金属多孔体である第4金属多孔体とによって規定される第4容量形成部を含み、
上記第4容量形成部は、上記第3容量形成部から見て上記第1外部接続配線側とは反対側に位置し、
上記第4容量形成部が上記第3容量形成部を介して上記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、上記第3容量形成部が上記第4容量形成部を介して上記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも上記第3容量形成部と上記第4容量形成部とが、上記第1外部接続配線と上記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている、付記1から8のいずれかに記載のコンデンサ。
【0223】
[付記10]
上記第2金属多孔体を上記第3金属多孔体と上記第4金属多孔体とに区画するとともに、上記第2誘電体膜を上記第3誘電体膜と上記第4誘電体膜とに区画し、さらに、上記第2導電膜を上記第3導電膜と上記第4導電膜とに区画する金属製の第1隔壁部をさらに備え、
上記第1隔壁部が、上記第3金属多孔体および上記第4金属多孔体に接合しているとともに、上記第3導電膜および上記第4導電膜に接合していないことにより、少なくとも上記第3容量形成部と上記第4容量形成部とが、上記第1外部接続配線と上記第2外部接続配線との間において上記第1隔壁部を介して電気的に直列に接続されている、付記9に記載のコンデンサ。
【0224】
[付記11]
上記第1外部接続配線が、上記第1主面から上記第2主面にまで達するように上記絶縁基板を貫通する第1ビア導体を有し、
上記第2外部接続配線が、上記第1主面から上記第2主面にまで達するように上記絶縁基板を貫通する第2ビア導体を有し、
上記第1主面の法線方向に沿って見た場合に、上記第1ビア導体が、上記第1容量形成部が配置された領域内に設けられ、
上記第1主面の法線方向に沿って見た場合に、上記第2ビア導体が、上記第2容量形成部が配置された領域内に設けられている、付記10に記載のコンデンサ。
【0225】
[付記12]
上記第1金属壁部と上記第1ビア導体との間の距離が、上記第1金属壁部と上記第1隔壁部との間の距離よりも短い、付記11に記載のコンデンサ。
【0226】
[付記13]
上記第4容量形成部が、上記第1外部接続配線側に位置する第5容量形成部と、当該第5容量形成部よりも上記第2外部接続配線側に位置する第6容量形成部とを含むこととなるように、上記第4容量形成部を区画する第2金属壁部をさらに備え、
上記第5容量形成部は、当該第5容量形成部を規定する部分の上記第4金属多孔体である第5金属多孔体と、当該第5金属多孔体に対応する部分の上記第4誘電体膜である第5誘電体膜と、当該第5誘電体膜に対応する部分の上記第4導電膜である第5導電膜とを含み、
上記第6容量形成部は、当該第6容量形成部を規定する部分の上記第4金属多孔体である第6金属多孔体と、当該第6金属多孔体に対応する部分の上記第4誘電体膜である第6誘電体膜と、当該第6誘電体膜に対応する部分の上記第4導電膜である第6導電膜とを含み、
上記第2金属壁部が、上記第5導電膜と上記第6導電膜とに接合することで、上記第6容量形成部が上記第5容量形成部を介して上記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、上記第5容量形成部が上記第6容量形成部を介して上記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも上記第5容量形成部と上記第6容量形成部とが、上記第1外部接続配線と上記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている、付記9から12のいずれかに記載のコンデンサ。
【0227】
[付記14]
上記第6導電膜が互いに不連続である第7導電膜および第8導電膜を含むことにより、上記第6容量形成部は、上記第7導電膜と、当該第7導電膜に対応する部分の上記第6誘電体膜である第7誘電体膜と、当該第7誘電体膜に対応する部分の上記第6金属多孔体である第7金属多孔体とによって規定される第7容量形成部、および、上記第8導電膜と、当該第8導電膜に対応する部分の上記第6誘電体膜である第8誘電体膜と、当該第8誘電体膜に対応する部分の上記第6金属多孔体である第8金属多孔体とによって規定される第8容量形成部を含み、
上記第8容量形成部は、上記第7容量形成部から見て上記第1外部接続配線側とは反対側に位置し、
上記第8容量形成部が上記第7容量形成部を介して上記第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、上記第7容量形成部が上記第8容量形成部を介して上記第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも上記第7容量形成部と上記第8容量形成部とが、上記第1外部接続配線と上記第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている、付記13に記載のコンデンサ。
【0228】
[付記15]
上記第6金属多孔体を上記第7金属多孔体と上記第8金属多孔体とに区画するとともに、上記第6誘電体膜を上記第7誘電体膜と上記第8誘電体膜とに区画し、さらに、上記第6導電膜を上記第7導電膜と上記第8導電膜とに区画する金属製の第2隔壁部をさらに備え、
上記第2隔壁部が、上記第7金属多孔体および上記第8金属多孔体に接合しているとともに、上記第7導電膜および上記第8導電膜に接合していないことにより、少なくとも上記第7容量形成部と上記第8容量形成部とが、上記第1外部接続配線と上記第2外部接続配線との間において上記第2隔壁部を介して電気的に直列に接続されている、付記14に記載のコンデンサ。
【0229】
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0230】
また、上述した本発明の実施の形態において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨に照らして許容される範囲で当然に相互に組み合わせることが可能である。
【0231】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって画定され、また請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0232】
1A~1C コンデンサ、10 絶縁基板、10a 第1主面、10b 第2主面、11 第1貫通孔、12 第2貫通孔、13 第1ビア導体、14 第2ビア導体、15,15A~15E 金属壁部、15h 金属壁部用溝、16 第1バンプ、17 第2バンプ、18,18A~18C 隔壁部、18h 隔壁部用溝、20,20A~20K 容量形成部、21,21A~21K 金属多孔体、21a 金属粒子、21b バインダー、21p 導電性ペースト、22,22A~22K 誘電体膜、23,23A~23K 導電膜、24 第1レジスト膜、25 第2レジスト膜、30 封止部、30a 外面。
【要約】
コンデンサ(1A)は、絶縁基板(10)と、容量形成部(20)と、第1外部接続配線および第2外部接続配線と、第1金属壁部(15A)とを備えている。絶縁基板(10)は、第1主面(10a)および当該第1主面(10a)とは反対側に位置する第2主面(10b)を有しており、容量形成部(20)は、第1主面(10a)に対向するように設けられている。第1外部接続配線および第2外部接続配線は、容量形成部(20)に接続されている。第1金属壁部(15A)は、容量形成部(20)が、第1外部接続配線側に位置する第1容量形成部(20A)と、当該第1容量形成部(20A)よりも第2外部接続配線側に位置する第2容量形成部(20B)~(20E)とを含むこととなるように、容量形成部(20)を区画している。第1容量形成部(20A)は、導電性の第1金属多孔体(21A)と、第1金属多孔体(21A)の表面を覆う第1誘電体膜(22A)と、第1誘電体膜(22A)を覆う第1導電膜(23A)とを含んでおり、第2容量形成部(20B)~(20E)は、導電性の第2金属多孔体(21B)~(21E)と、第2金属多孔体(21B)~(21E)の表面を覆う第2誘電体膜(22B)~(22E)と、第2誘電体膜(22B)~(22E)を覆う第2導電膜(23B)~(23E)とを含んでいる。第1金属壁部(15A)が第1導電膜(23A)と第2導電膜(23B)~(23E)とに接合することで、第2容量形成部(20B)~(20E)が第1容量形成部(20A)を介して第1外部接続配線に電気的に接続されるとともに、第1容量形成部(20A)が第2容量形成部(20B)~(20E)を介して第2外部接続配線に電気的に接続されることにより、少なくとも第1容量形成部(20A)と第2容量形成部(20B)~(20E)とが、第1外部接続配線と第2外部接続配線との間において電気的に直列に接続されている。