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特許7571919焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置
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  • 特許-焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/20 20060101AFI20241016BHJP
   F27B 21/14 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C22B1/20 S
F27B21/14 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024531435
(86)(22)【出願日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 JP2024008644
【審査請求日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2023082477
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜多村 佳輝
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113253618(CN,A)
【文献】特開2018-004184(JP,A)
【文献】特開昭61-195929(JP,A)
【文献】特開昭60-228620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/20
F27B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結用原料を焼成するドワイトロイド型焼結機のパレットにおける漏風を検知する焼結機パレットの漏風検知方法であって、
周回する複数のパレットの直下のウインドレッグに設置された酸素濃度計を用いて、各パレットが前記ウインドレッグの直上を通過する際の前記ウインドレッグ内の酸素濃度を各パレットの周回毎に測定する測定ステップと、
前記ドワイトロイド型焼結機の操業状態及び焼結用原料の配合状態を示す情報を入力変数、前記酸素濃度の予測値を出力変数とする予測モデルに対して、処理時における前記情報を入力することにより、前記酸素濃度の予測値を算出する予測ステップと、
前記測定ステップにおいて測定された各パレットの周回毎の酸素濃度から前記予測ステップにおいて算出された酸素濃度の予測値を減算し、減算値を用いて漏風が発生しているパレットを検知する検知ステップと、
を含む、焼結機パレットの漏風検知方法。
【請求項2】
前記予測モデルは、前記ドワイトロイド型焼結機の操業状態及び焼結用原料の配合状態を示す情報の実績値と前記酸素濃度の実績値との組を教師データとして機械学習された機械学習モデルである、請求項1に記載の焼結機パレットの漏風検知方法。
【請求項3】
前記情報には、凝結材の原単位、生石灰の配合比、主排風機の風量、メインダクト内の圧力、及びウインドボックス内の温度に関する情報が含まれる、請求項1又は2に記載の焼結機パレットの漏風検知方法。
【請求項4】
焼結用原料を焼成するドワイトロイド型焼結機のパレットにおける漏風を検知する焼結機パレットの漏風検知装置であって、
周回する複数のパレットの直下のウインドレッグに設置された、各パレットが前記ウインドレッグの直上を通過する際の前記ウインドレッグ内の酸素濃度を各パレットの周回毎に測定する酸素濃度計と、
前記ドワイトロイド型焼結機の操業状態及び焼結用原料の配合状態を示す情報を入力変数、前記酸素濃度の予測値を出力変数とする予測モデルに対して、処理時における前記情報を入力することにより、前記酸素濃度の予測値を算出し、酸素濃度計によって測定された各パレットの周回毎の酸素濃度から算出された酸素濃度の予測値を減算し、減算値を用いて漏風が発生しているパレットを検知する制御装置と、
を備える、焼結機パレットの漏風検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結用原料を焼成するドワイトロイド型焼結機のパレットにおける漏風を検知する焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドワイトロイド型焼結機は、焼結用原料を焼成することにより焼結鉱を製造する。詳しくは、ドワイトロイド型焼結機は、周回するパレット上に焼結用原料を堆積させ、原料表面に点火した後、ウインドボックスによってパレットの上部から下部方向に空気を吸引する。これにより、焼結用原料が焼成されることによって焼結鉱が製造される。ウインドボックスによって吸引された空気はウインドレッグを経由してメインダクトに排出される。
【0003】
このような構成を有するドワイトロイド型焼結機では、空気の排出系統に漏風が発生した場合、漏風箇所から不要な空気吸引が誘発され、焼結用原料の焼成に必要な風量が低減する。この結果、焼結用原料の焼成の進行に悪影響が生じ、焼結鉱の生産性が低下する。このため、焼結鉱の生産性を維持するために、漏風箇所を早期に検知して補修等の対策を取ることが重要である。このような背景から、ドワイトロイド型焼結機の漏風箇所を検知する技術が提案されている。
【0004】
具体的には、特許文献1には、レーザ式酸素濃度計を用いて周回するパレット直下の燃焼ガス中の酸素濃度を測定すると共にパレットを識別し、パレットの周回に伴う酸素濃度の変化からパレットにおける漏風箇所を特定する技術が記載されている。また、特許文献2には、パレット毎の酸素濃度分布及び酸素濃度分布の周回毎の変動に基づいてパレットにおける漏風箇所を特定し、漏風箇所を稼動履歴として履歴管理手段に入力し、稼動履歴に基づいて補修が必要なパレットを特定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-36477号公報
【文献】特開2014-122380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の技術では、ドワイトロイド型焼結機の操業状態や焼結用原料の配合状態の変動に伴う酸素濃度の変動と漏風による酸素濃度の変動との違いを区別することができない。このため、特許文献1や特許文献2に記載の技術によれば、ドワイトロイド型焼結機の操業状態や焼結用原料の配合状態の変動によって酸素濃度が変化したのにも関わらず漏風によって酸素濃度が変化したと判定し、漏風を誤検知する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、パレットにおける漏風を精度よく検知可能な焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る焼結機パレットの漏風検知方法は、焼結用原料を焼成するドワイトロイド型焼結機のパレットにおける漏風を検知する焼結機パレットの漏風検知方法であって、周回する複数のパレットの直下のウインドレッグに設置された酸素濃度計を用いて、各パレットが前記ウインドレッグの直上を通過する際の前記ウインドレッグ内の酸素濃度を各パレットの周回毎に測定する測定ステップと、前記ドワイトロイド型焼結機の操業状態及び焼結用原料の配合状態を示す情報を入力変数、前記酸素濃度の予測値を出力変数とする予測モデルに対して、処理時における前記情報を入力することにより、前記酸素濃度の予測値を算出する予測ステップと、前記測定ステップにおいて測定された各パレットの周回毎の酸素濃度から前記予測ステップにおいて算出された酸素濃度の予測値を減算し、減算値を用いて漏風が発生しているパレットを検知する検知ステップと、を含む。
【0009】
前記予測モデルは、前記ドワイトロイド型焼結機の操業状態及び焼結用原料の配合状態を示す情報の実績値と前記酸素濃度の実績値との組を教師データとして機械学習された機械学習モデルであるとよい。
【0010】
前記情報には、凝結材の原単位、生石灰の配合比、主排風機の風量、メインダクト内の圧力、及びウインドボックス内の温度に関する情報が含まれるとよい。
【0011】
本発明に係る焼結機パレットの漏風検知装置は、焼結用原料を焼成するドワイトロイド型焼結機のパレットにおける漏風を検知する焼結機パレットの漏風検知装置であって、周回する複数のパレットの直下のウインドレッグに設置された、各パレットが前記ウインドレッグの直上を通過する際の前記ウインドレッグ内の酸素濃度を各パレットの周回毎に測定する酸素濃度計と、前記ドワイトロイド型焼結機の操業状態及び焼結用原料の配合状態を示す情報を入力変数、前記酸素濃度の予測値を出力変数とする予測モデルに対して、処理時における前記情報を入力することにより、前記酸素濃度の予測値を算出し、酸素濃度計によって測定された各パレットの周回毎の酸素濃度から算出された酸素濃度の予測値を減算し、減算値を用いて漏風が発生しているパレットを検知する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置によれば、パレットにおける漏風を精度よく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態である焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置が適用された焼結機の構成を示す模式図である。
図2図2は、パレットの周回に伴う酸素濃度計によって測定された酸素濃度の実績値の変化の一例を示す図である。
図3図3は、酸素濃度計によって測定された酸素濃度に含まれる成分を示す概念図である。
図4図4は、説明変数の個数の変化に伴う酸素濃度予測モデルの予測精度の変化の一例を示す図である。
図5図5は、パレットの周回に伴う操業影響成分除去後の酸素濃度の変化の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施形態である漏風検知処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置について説明する。
【0015】
〔構成〕
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態である焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置が適用された焼結機の構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態である焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置が適用された焼結機の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置が適用された焼結機は、ドワイトロイド型焼結機1によって構成されている。図1に示すように、ドワイトロイド型焼結機1は、複数のパレット2、装入装置3(3a,3b)、点火炉4、複数のウインドボックス5及びウインドレッグ6、主排風機7、及び粉砕機8を備えている。
【0017】
複数のパレット2は、2つのスプロケット11a,11b間に無端状に連結されて矢印方向に周回する装置である。装入装置3は、パレット2上に焼結用原料を層状に堆積させる装置である。点火炉4は、パレット2上に堆積された焼結用原料に点火する装置である。複数のウインドボックス5は、複数のパレット2の周回方向に連続的に配置された、堆積されている焼結用原料を介してパレット2の上部方向から下部方向に空気を吸引する装置である。主排風機7は、各ウインドボックス5の下部に連設されたウインドレッグ6及びメインダクト12を介して複数のウインドボックス5によって吸引された空気を排ガスとして外部に排出する装置である。粉砕機8は、パレット2上で焼結用原料を焼成することにより生成された焼結鉱を粉砕する装置である。
【0018】
また、ドワイトロイド型焼結機1は、制御系として、酸素濃度計21及び制御装置22を備えている。酸素濃度計21は、ジルコニア式酸素濃度計等の酸素濃度計によって構成され、複数のウインドレッグ6のうちの任意のウインドレッグ6aの下部に配置されている。酸素濃度計21は、ウインドボックス5aの直上を通過したパレット2aから吸引された空気中の酸素濃度を測定し、測定された酸素濃度を示す電気信号を制御装置22に入力する。制御装置22は、コンピュータ等の情報処理装置によって構成され、ドワイトロイド型焼結機1の動作を制御する。また、本実施形態では、制御装置22は、酸素濃度計21によって測定された酸素濃度に基づいてパレット2における漏風を検知し、漏風が検知された場合、漏風が発生しているパレット2の位置に関する情報等を報知する。
【0019】
このドワイトロイド型焼結機1では、まず、鉄鉱石粉や製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉、石灰石やドロマイト等の含CaO原料(CaO系副原料)、生石灰等の造粒助剤及びコークス粉、無煙炭等の凝結材等からなる焼結用原料が、装入装置3に貯蔵される。次に、焼結用原料は、装入装置3から各パレット2上に装入されて原料層を形成する。次に、点火炉4によって原料層の上面にある凝結材に点火し、各ウインドボックス5から空気を吸引することにより、原料層の上層から下層へと凝結材を順次燃焼させ、このときに発生する燃焼熱によって焼結用原料を加熱、溶融させる。これにより、焼結層(焼結ケーキ)が生成される。そして最後に、各パレット2上に生成された焼結層は、粉砕機8によって粉砕されて焼結鉱として回収される。
【0020】
〔漏風検知処理〕
次に、図2図6を参照して、図1に示すドワイトロイド型焼結機1のパレット2における漏風検知方法について説明する。
【0021】
図2は、パレット2の周回に伴う酸素濃度計21によって測定された酸素濃度の実績値の変化の一例を示す図である。図2に示すように、酸素濃度計21によって測定された酸素濃度の実績値(酸素濃度実績)に周期的な変動があることが確認できる。ところが、同じパレット2(パレット位置)であっても酸素濃度実績の絶対値にばらつき(基準値に対するMAE(Mean Absolute Error):0.80)がある。このため、酸素濃度実績の変化からパレット2における漏風を精度よく検知することは難しい。
【0022】
そこで、本発明の発明者は、酸素濃度実績にばらつきが発生する理由は、図3に示すように、酸素濃度にはドワイトロイド型焼結機1の操業状態(操業条件や排ガスの状態等)や焼結用原料の配合状態の変動の影響を受ける操業影響成分とパレット2における漏風の影響を受ける漏風影響成分が含まれるためであると考えた。そして、操業影響成分を除去した酸素濃度に基づいてパレット2における漏風を検知することにより、パレットにおける漏風を精度よく検知できると考えた。
【0023】
具体的には、まず、発明者は、酸素濃度計21によって測定される酸素濃度を予測する予測モデルを構築した。詳しくは、ドワイトロイド型焼結機1の操業状態に関係する種々のパラメータの実績値を説明変数、酸素濃度計21によって測定された酸素濃度の実績値を目的変数として重回帰分析を行った。そして、重回帰分析によって得られた、ドワイトロイド型焼結機1の操業状態に関係するパラメータを入力変数、酸素濃度計21の設置位置における酸素濃度の予測値を出力変数とする、酸素濃度予測モデルの精度を評価した。
【0024】
この結果、図4に示すように、説明変数を以下の表1に示す5種類とした場合に、酸素濃度の予測値(酸素濃度予測モデルの出力)と実績値のMAEが最も小さくなり、酸素濃度計21の設置位置における酸素濃度を精度よく予測できることが確認された。また、表1に示すように、凝結材原単位、生石灰の配合比、主排風機7の風量、メインダクト12内の圧力、及びウインドボックス5a内の温度の順に説明変数としての重要度が高くなることが確認された。
【0025】
【表1】
【0026】
次に、上記酸素濃度予測モデルに予測対象の説明変数を入力し、酸素濃度計21によって測定された酸素濃度の実績値(図2)から酸素濃度予測モデルから出力された酸素濃度の予測値を減算し、パレット2の周回に伴う減算値の変化を評価した。この結果、図5に示すように、基準値に対するMAEが0.69となり、酸素濃度のばらつきが小さくなることが確認された。従って、図5に示す酸素濃度の変化によれば、パレット2における漏風を精度よく検知することができる。
【0027】
上記説明では重回帰分析によって酸素濃度予測モデルを構築したが、酸素濃度予測モデルを構築する手法は重回帰分析に限定されることはなく、種々の機械学習手法をできる。ここで、機械学習手法としては、例えば一般的に用いられるニューラルネットワーク(深層学習や畳み込みニューラルネットワーク等を含む)、決定木学習、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰等を例示できる。この場合、ドワイトロイド型焼結機1の操業状態に関係する種々のパラメータの実績値と酸素濃度計21によって測定された酸素濃度の実績値との組を教師データとして機械学習を行わせる。これにより、ドワイトロイド型焼結機1の操業状態に関係するパラメータを入力変数、酸素濃度計21の設置位置における酸素濃度の予測値を出力変数とする機械学習モデルを酸素濃度予測モデルとして構築できる。
【0028】
以下、図6を参照して、上記の考えに基づく本発明の一実施形態である漏風検知処理の流れについて説明する。
【0029】
図6は、本発明の一実施形態である漏風検知処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すフローチャートはドワイトロイド型焼結機1の操業が開始されたタイミングで開始となり、漏風検知処理はステップS1の処理に進む。
【0030】
ステップS1の処理では、制御装置22が、酸素濃度計21から入力された電気信号に基づいて各パレット2の周回毎の酸素濃度に関する情報を取得する。これにより、ステップS1の処理は完了し、漏風検知処理はステップS2の処理に進む。
【0031】
ステップS2の処理では、制御装置22が、酸素濃度計21が設置されているウインドレッグ6aの直上を通過したパレット2を識別するための周回軌道上におけるパレット2の位置を示すトラッキング情報を取得する。具体的には、制御装置22は、パレット2の周回軌道上の初期位置、周回速度、周回開始からの経過時間、及び1周回距離に基づいてトラッキング情報を生成する。これにより、ステップS2の処理は完了し、漏風検知処理はステップS3の処理に進む。
【0032】
ステップS3の処理では、制御装置22が、ステップS1の処理において取得された各パレット2の周回毎の酸素濃度とステップS2の処理において取得されたパレット2のトラッキング情報を紐付けすることにより、図2に示すようなパレット2の位置と酸素濃度との関係を示すデータを生成する。これにより、ステップS3の処理は完了し、漏風検知処理はステップS4の処理に進む。
【0033】
ステップS4の処理では、制御装置22が、酸素濃度計21が設置されているウインドレッグ6aの直上を各パレット2が通過する際の酸素濃度予測モデルの入力データを取得し、取得した入力データを酸素濃度予測モデルに入力する。そして、制御装置22は、各パレット2の周回毎の酸素濃度から酸素濃度予測モデルから出力された酸素濃度の予測値を減算することにより、各パレット2の周回毎の酸素濃度からドワイトロイド型焼結機1の操業状態及び焼結用原料の配合状態の変動に伴う酸素濃度の変動量を除去する。これにより、図5に示すようなパレット2の位置と操業変動成分除去後の酸素濃度の変化との関係を示すデータを生成することができる。制御装置22は、ステップS3の処理を実行せず、ドワイトロイド型焼結機1の操業条件及び焼結用原料の配合状態の変動に伴う酸素濃度の変動量を除去した後に紐付け処理を行ってもよい。これにより、ステップS4の処理は完了し、漏風検知処理はステップS5の処理に進む。
【0034】
ステップS5の処理では、制御装置22が、パレット2の位置と操業変動成分除去後の酸素濃度の変化との関係を示すデータを用いてパレット2における漏風を検知し、漏風が検知された場合、漏風が発生しているパレット2の位置に関する情報等を報知する。オペレータは、制御装置22からの報知を受けて漏風が発生しているパレット2の補修作業を実行する。これにより、ステップS5の処理は完了し、一連の漏風検知処理は終了する。
【0035】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、パレットにおける漏風を精度よく検知可能な焼結機パレットの漏風検知方法及び漏風検知装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ドワイトロイド型焼結機
2,2a パレット
3,3a,3b 装入装置
4 点火炉
5,5a ウインドボックス
6,6a ウインドレッグ
7 主排風機
8 粉砕機
11a,11b スプロケット
12 メインダクト
21 酸素濃度計
22 制御装置
【要約】
本発明に係る焼結機パレットの漏風検知方法は、周回する複数のパレットの直下のウインドレッグに設置された酸素濃度計を用いて、各パレットがウインドレッグの直上を通過する際のウインドレッグ内の酸素濃度を各パレットの周回毎に測定する測定ステップと、ドワイトロイド型焼結機の操業状態及び焼結用原料の配合状態を示す情報を入力変数、酸素濃度の予測値を出力変数とする予測モデルに対して、処理時における情報を入力することにより、酸素濃度の予測値を算出する予測ステップと、測定ステップにおいて測定された各パレットの周回毎の酸素濃度から予測ステップにおいて算出された酸素濃度の予測値を減算し、減算値を用いて漏風が発生しているパレットを検知する検知ステップと、を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6