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特許7571927均等電圧分配機能を有する高周波スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】均等電圧分配機能を有する高周波スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/10 20060101AFI20241016BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20241016BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H03K17/10
H03K17/00 D
H03K17/687 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020071445
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2020205578
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0072027
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ビョン ハク
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ユー サム
(72)【発明者】
【氏名】パエク、ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソル ア
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン フーン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ジョン モ
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-174425(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0249619(US,A1)
【文献】特開2014-093610(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161032(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0171860(US,A1)
【文献】特表2013-501429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0201248(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と第2端子の間に直列に接続された複数のシリーズFETを有する第1シリーズスイッチと、
前記第1端子と第1接地の間に直列に接続された複数のシャントFETを有する第1シャントスイッチと、
前記第1シャントスイッチの前記複数のシャントFETそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗を有する第1シャントゲート抵抗回路と、を備え、
前記第1シャントゲート抵抗回路の前記複数のゲート抵抗は、
前記第1シャントスイッチの前記複数のシャントFETのスタック個数に基づいて決定され、前記第1接地から前記第1端子方向に遠ざかるほど大きい抵抗値を有し、
前記第1シャントゲート抵抗回路の前記複数のゲート抵抗はそれぞれ、
下記式2によって決定される抵抗値を有し、
[式2]
RG2=[2n-3/2n-1]*RG1
RG3=[2n-5/2n-3]*RG2

RGm={(2n-2m+1)/(2n-2m+3)}*RG(m-1)
前記式2において、nは、前記第1端子から前記第1接地までの前記複数のシャントFETのスタック個数であり、mは、n個のシャントFETのうちm番目のシャントFETを示し、2を超え、n以下の自然数である、
周波スイッチ。
【請求項2】
前記第1シャントスイッチの前記複数のシャントFETそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗を有する第1シャントボディ抵抗回路を備える、請求項に記載の高周波スイッチ。
【請求項3】
前記第1シャントボディ抵抗回路の前記複数のボディ抵抗は、
前記第1接地から前記第1端子方向に遠ざかるほど大きい抵抗値を有する、請求項に記載の高周波スイッチ。
【請求項4】
前記第1シャントボディ抵抗回路の前記複数のボディ抵抗はそれぞれ、
下記式3によって決定される抵抗値を有し、
[式3]
RBm=PV*RB(m-1)
前記式3において、前記mは、前記第1シャントスイッチに含まれる前記複数のシャントFETのうちm番目のシャントFETを示し、前記PVは、比率値で1よりも小さい、
請求項に記載の高周波スイッチ。
【請求項5】
前記第1シャントボディ抵抗回路の前記複数のボディ抵抗はそれぞれ、
下記式4によって決定される抵抗値を有し、
[式4]
RB2=[2n-3/2n-1]*RB1
RB3=[2n-5/2n-3]*RB2

RBm={(2n-2m+1)/(2n-2m+3)}*RB(m-1)
前記式4において、nは、前記第1端子から前記第1接地までの前記複数のシャントFETのスタック個数であり、mは、n個のシャントFETのうちm番目のシャントFETを示し、2を超え、n以下の自然数である、
請求項に記載の高周波スイッチ。
【請求項6】
第2端子と共通ノードの間に直列に接続された複数のシリーズFETを有する第2シリーズスイッチと、
前記第2端子と第2接地の間に直列に接続された複数のシャントFETを有する第2シャントスイッチと、
前記第2シャントスイッチの前記複数のシャントFETそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗を有する第2シャントゲート抵抗回路と、
前記第2シャントスイッチの前記複数のシャントFETそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗を有する第2シャントボディ抵抗回路と、を備え、
前記第2シャントゲート抵抗回路の前記複数のゲート抵抗は、
前記第2接地から前記第2端子方向に遠ざかるほど大きい抵抗値を有し、
前記第2シャントボディ抵抗回路の前記複数のボディ抵抗は、
前記第2接地から前記第2端子方向に遠ざかるほど大きい抵抗値を有する、
請求項に記載の高周波スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均等電圧分配機能を有する高周波スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、RF(Radio Frequency)スイッチは、スタック構造(stacked structure)とシリーズ-シャント(series-shunt)構造を構造的特徴とする。
【0003】
通常、スイッチにおいて用いられるFET(Field Effect Transistor)は、工程によって破壊電圧(breakdown voltage:BV)が決められ、一つのFETがPA(Power Amplifier)の高い出力パワーに耐えられるBVを有していないため、多数のFETが直列に連結されたスタック構造(stacked structure)を用いる。
【0004】
かかるスタック構造を用いる場合、スタックされたFETの個数が多ければ多いほど高いパワーをハンドリング(handling)することができるが、挿入損失(insertion loss)が増加するという欠点がある。したがって、スタックされるFETの個数を適切に選択しなければならない。
【0005】
RFスイッチは、挿入損失を低減し、且つ大きなパワーを扱うために十分に大きいFETを用いることができるが、その場合、該当FETがオフ状態の時に大きな寄生キャパシタ(parasitic capacitor)によってアイソレーション(isolation)性能が低下することがある。このような点を補完するために、シリーズ-シャント(series-shunt)構造を用いることができる。
【0006】
かかるシリーズ-シャント(series-shunt)構造は、シリーズスイッチ(Series switch)とシャントスイッチ(Shunt switch)を含み、シリーズスイッチがオン状態になると、シャントスイッチはオフ状態になり、シリーズスイッチがオフ状態になると、シャントスイッチはオン状態になる。このようなシリーズ-シャント(series-shunt)構造を用いると、端子(Terminalまたはport)間のアイソレーション特性を向上させることができる。
【0007】
一方、RFスイッチに複数のFETがスタックされた場合、理想的には複数のFETそれぞれに電圧が均等に分配されることが好ましいが、FETのゲート、ボディを介して漏洩電流(leakage current)が発生するため、実際には複数のFETそれぞれに電圧が均等に分配されない。
【0008】
また、一つのFETが耐えられる電圧であるBVDSS(Drain to Source Breakdown Voltage)は工程によって決められるが、複数のFETそれぞれに電圧が均等に分配されない場合には、このような状況を考慮して、耐えるべき最大電圧よりも多いFETを用いなければならない。
【0009】
このようにスタックされるFETの個数が増加するにつれて挿入損失特性が悪化してスイッチの性能が低下することがある。
【0010】
かかる問題点を解消するために、US9923594B2(Voltage swing uniformity in radio-frequency switches)などの従来の発明では、スタックされるFETのゲートとソース、及び/またはゲートとドレインの間にキャパシタ及び抵抗をさらに接続した構造を提案している。
【0011】
かかる従来の技術は、電圧の均等分配のために、受動素子をさらに用いなければならず、特に、キャパシタをさらに用いることによって、ESD(electro static discharge)に脆弱であるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】US9923594(2018.03.20)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一実施形態は、スタックされる複数のFETそれぞれについて、別途の素子を追加することなく、電圧の均等分配を行うことができる高周波スイッチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態によると、第1端子と第2端子の間に直列に接続された複数のシリーズFETを有する第1シリーズスイッチと、上記第1端子と第1接地の間に直列に接続された複数のシャントFETを有する第1シャントスイッチと、上記第1シャントスイッチの複数のシャントFETそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗を有する第1シャントゲート抵抗回路と、を含み、上記第1シャントゲート抵抗回路の複数のゲート抵抗は、上記第1接地から上記第1端子方向に遠ざかるほど大きい抵抗値を有する、高周波スイッチが提案される。
【0015】
また、本発明の他の一実施形態によると、第1端子と共通ノードの間に直列に接続された複数のシリーズFETを有する第1シリーズスイッチと、上記第1端子と第1接地の間に直列に接続された複数のシャントFETを有する第1シャントスイッチと、上記第1シャントスイッチの複数のシャントFETそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗、及び上記複数のゲート抵抗の共通接続ノードと第1シャントゲート電圧端子の間に接続された共通ゲート抵抗を有する第1シャントゲート抵抗回路と、を含み、上記第1シャントゲート抵抗回路の複数のゲート抵抗は、上記複数のゲート抵抗が奇数個である場合には、上記複数のゲート抵抗の中央に位置したゲート抵抗を基準位置とし、上記複数のゲート抵抗が偶数個である場合には、上記複数のゲート抵抗の中央に位置した接続ノードを基準位置として、上記基準位置から遠ざかるほど大きい抵抗値を有する、高周波スイッチが提案される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によると、スタックされる複数のFETそれぞれについて、別途の素子を追加することなく、スタックされる複数のFETそれぞれのゲートに接続されるゲート抵抗の抵抗値を適切に設定することにより、電圧の均等分配を行うことができ、複数のゲート抵抗を介して漏洩する電流間の偏差を低減することができる。これにより、高周波スイッチにおいてシャントスイッチに含まれるFETスタックの個数を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗を有する高周波スイッチの一例示図である。
図2】本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗及び個別ボディ抵抗を有する高周波スイッチの一例示図である。
図3】本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗を有するSPDT高周波スイッチの一例示図である。
図4】本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗及び個別ボディ抵抗を有するSPDT高周波スイッチの一例示図である。
図5】本発明の一実施形態による個別ボディ抵抗及び共通ゲート抵抗を有する高周波スイッチの一例示図である。
図6】本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗、個別ボディ抵抗、共通ボディ抵抗、及び共通ボディ抵抗を有する高周波スイッチの一例示図である。
図7】本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗及び共通ゲート抵抗を有するSPDT高周波スイッチの一例示図である。
図8】本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗、個別ボディ抵抗、共通ゲート抵抗、及び共通ボディ抵抗を有するSPDT高周波スイッチの一例示図である。
図9】本発明の一実施形態によるスイッチ及びオフ状態であるスイッチの等価回路を例示する図である。
図10】本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗、個別ボディ抵抗、共通ゲート抵抗、及び共通ボディ抵抗を有するシャントスイッチの一例示図である。
図11】個別ゲート抵抗、共通ゲート抵抗、及び偶数個のシャントFETを有する第1シャント回路の一例示図である。
図12】個別ゲート抵抗、共通ゲート抵抗、及び奇数個のシャントFETを有する第1シャント回路の一例示図である。
図13】個別ゲート抵抗を有する第1シャント回路のシャントFETの個数とドレイン-ソース電圧Vds間の相関関係を例示するグラフである。
図14】共通ゲート抵抗を有する第1シャント回路のシャントFETの個数とドレイン-ソース電圧Vds間の相関関係を例示するグラフである。
図15】従来のシャントスイッチにおいて、シャントFETの接続位置ごとのゲート漏洩電流をを例示する図である。
図16】本発明のシャントスイッチにおいて、シャントFETの接続位置ごとのゲート漏洩電流をを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0019】
図1は本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗を有する高周波スイッチの一例示図であり、図2は本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗及び個別ボディ抵抗を有する高周波スイッチの一例示図である。
【0020】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態による高周波スイッチは、第1シリーズスイッチSE1、第1シャントスイッチSH1、第1シリーズゲート抵抗回路RG-SE1、及び第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1を含むことができる。
【0021】
第1シリーズスイッチSE1は、第1端子T1と第2端子T2の間に直列に接続された複数のシリーズFETM11~M1m(ここで、mは2以上の自然数)を含むことができる。
【0022】
第1シャントスイッチSH1は、第1端子T1と第1接地TG1の間に直列に接続された複数のシャントFETM21~M2n(ここで、nは2以上の自然数)を含むことができる。
【0023】
第1シリーズゲート抵抗回路RG-SE1は、上記第1シリーズスイッチSE1の複数のシリーズFETM11~M1mそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗RG1~RGmを含むことができる。
【0024】
第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1は、上記第1シャントスイッチSH1の複数のシャントFETM21~M2nそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗RG1~RGnを含むことができる。
【0025】
本発明の各図面において、同一の符号及び同一の機能の構成要素についての不要な重複説明はできるだけ省略し、各図面において異なる点を中心に説明する。
【0026】
図2を参照すると、上記高周波スイッチは、図1の回路構造に、第1シリーズボディ抵抗回路RB-SE1及び第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1をさらに含むことができる。
【0027】
上記第1シリーズボディ抵抗回路RB-SE1は、第1シリーズスイッチSE1の複数のシリーズFETM11~M1mそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗RB1~RBmを含むことができる。
【0028】
上記第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1は、上記第1シャントスイッチSH1の複数のシャントFETM21~M2nそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗RB1~RBnを含むことができる。
【0029】
図1及び図2を参照すると、上記第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1の複数のゲート抵抗RG1~RGnは、第1接地TG1から上記第1端子T1方向に接続位置が遠ざかるほど大きい抵抗値を有することができる。換言すると、上記第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1の複数のゲート抵抗RG1~RGnは、第1端子T1から上記第1接地TG1方向に接続位置が遠ざかるほど小さい抵抗値を有することができる。
【0030】
上記第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1の複数のボディ抵抗RB1~RBnは、第1接地TG1から上記第1端子T1方向に接続位置が遠ざかるほど大きい抵抗値を有することができる。換言すると、上記第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1の複数のボディ抵抗RB1~RBnは、第1端子T1から上記第1接地TG1方向に接続位置が遠ざかるほど小さい抵抗値を有することができる。
【0031】
例えば、本発明において、上記第1端子T1から上記第1接地TG1方向に遠ざかるという意味は、第1端子T1から上記第1接地TG1の間の複数のシャントFETM21~M2nの接続位置に基づいて「遠ざかる」ことを意味する。一例として、第1端子T1と上記第1接地TG1の間に直列に接続される複数のシャントFETM21~M2nのうち、FETM21は、第1端子T1に直接接続されているため、接続位置が最も近く、FETM22、FETM23、FETM24、…FETM2nは、第1端子T1から接続位置が徐々に遠くなり、FETM2nは、第1接地TG1に接続されているため、第1端子T1から接続位置が最も遠い。このような説明は、本発明のすべての実施形態に適用されることができる。
【0032】
図3は本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗を有するSPDT(Single-Pole Double-Throw)高周波スイッチの一例示図であり、図4は本発明の一実施形態による個別ゲート抵抗及び個別ボディ抵抗を有するSPDT高周波スイッチの一例示図である。
【0033】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるSPDT高周波スイッチは、図1の回路構造に、第2シリーズスイッチSE2、第2シャントスイッチSH2、第2シリーズゲート抵抗回路RG-SE2、及び第2シャントゲート抵抗回路RG-SH2をさらに含むことができる。
【0034】
第2シリーズスイッチSE2は、第2端子T2と共通ノードNcomの間に直列に接続された複数のシリーズFETM31~M3jを含むことができる。
【0035】
第2シャントスイッチSH2は、上記第2端子T2と第2接地TG2の間に直列に接続された複数のシャントFETM41~M4k(ここで、kは2以上の自然数)を含むことができる。
【0036】
第2シリーズゲート抵抗回路RG-SE2は、上記第2シリーズスイッチSE2の複数のシリーズFETM31~M3j(ここで、jは2以上の自然数)それぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗RG1~RGjを含むことができる。
【0037】
第2シャントゲート抵抗回路RG-SH2は、上記第2シャントスイッチSH2の複数のシャントFETM41~M4kそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗RG1~RGkを含むことができる。
【0038】
図4を参照すると、上記SPDT高周波スイッチは、図3の回路構造に、第2シリーズボディ抵抗回路RB-SE2及び第2シャントボディ抵抗回路RB-SH2をさらに含むことができる。
【0039】
第2シリーズボディ抵抗回路RB-SE2は、上記第2シリーズスイッチSE2の複数のシリーズFETM31~M3jそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗RB1~RBjを含むことができる。
【0040】
第2シャントボディ抵抗回路RB-SH2は、上記第2シャントスイッチSH2の複数のシャントFETM41~M4kそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗RB1~RBkを含むことができる。
【0041】
図3及び図4を参照すると、上記第2シャントゲート抵抗回路RG-SH2の複数のゲート抵抗RG1~RGkは、上記第2接地TG2から上記第2端子T2方向に接続位置が遠ざかるほど大きい抵抗値を有することができる。
【0042】
上記第2シャントボディ抵抗回路RB-SH2の複数のボディ抵抗RB1~RBkは、上記第2接地TG2から上記第2端子T2方向に接続位置が遠ざかるほど大きい抵抗値を有することができる。
【0043】
図1図4を参照すると、上記第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1の上記複数のゲート抵抗RG1~RGnはそれぞれ、下記式1によって決定される抵抗値を有する。
【0044】
[式1]
RGm=PV*RG(m-1)(ここで、mは2以上の自然数である。)
【0045】
上記式1において、mは、m番目のFETを示し、m>2である。したがって、RGmは、m番目FETのゲート(gate)に連結された抵抗値を示す。PVは、1よりも小さい値である(PV<1)。
【0046】
また、本発明の各実施形態における複数のゲート抵抗RG1~RGmにおいて、m番目のFETゲート(gate)抵抗はRGmと表記し、mは、m番目のFETであり、m>2であり、nは、スタック(stack)の個数であり、n>3である。
【0047】
上記第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1の上記複数のゲート抵抗RG1~RGnはそれぞれ、下記式2によって決定される抵抗値を有する。
【0048】
[式2]
RG2=[2n-3/2n-1]*RG1
RG3=[2n-5/2n-3]*RG2

RGm={(2n-2m+1)/(2n-2m+3)}*RG(m-1)
【0049】
上記式2において、nは、複数のシャントFETの全体スタック個数(スタック数)であり、mは、n個のシャントFETのうち該当FETの配置位置を意味し、2を超え、n以下の自然数である。
【0050】
例えば、n個のFETで構成されたスイッチ(switch)において各ゲート抵抗を求めると、下記式3のように表現されることができる。
【0051】
[式3]
RG2=(2n-2m+1)/(2n-2m+3)*RG1=(2n-4+1)/(2n-4+3)*RG1=(2n-3)/(2n-1)*RG1
RG3=(2n-2m+1)/(2n-2m+3)*RG2=(2n-6+1)/(2n-6+3)*RG1=(2n-5)/(2n-3)*RG2
RG4=(2n-2m+1)/(2n-2m+3)*RG1=(2n-8+1)/(2n-8+3)*RG1=(2n-7)/(2n-5)*RG3
RG5=(2n-2m+1)/(2n-2m+3)*RG2=(2n-10+1)/(2n-10+3)*RG1=(2n-9)/(2n-7)*RG4
【0052】
上記式3において、例えばn=5、つまり、スタック(stack)されたFETを5個とし、RG1=1000Kと仮定すると、RG1=1000K、RG2=7/9*1000K=778K、RG3=5/7*778K=556K、RG4=3/5*556K=333K、そして、RG5=1/3333K=111Kとなることができる。
【0053】
上記第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1の上記複数のボディ抵抗はそれぞれ、下記式4によって決定される抵抗値を有することができる。
【0054】
[式4]
RBm=PV*RB(m-1)
【0055】
上記式4において、mは、m番目のFETを示し、m>2である。したがって、RBmは、m番目のFETボディ(body)に連結された抵抗値を示す。PVは、1よりも小さい値(PV<1)である。
【0056】
また、本発明の各実施形態における複数のボディ抵抗RB1~RBmにおいて、m番目のFETボディ(body)抵抗はRBmと表記し、mは、m番目のFETであり、m>2であり、nは、スタック(stack)個数であり、n>3である。
【0057】
上記第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1の上記複数のボディ抵抗はそれぞれ、下記式5によって決定される抵抗値を有することができる。
【0058】
[式5]
RB2=[2n-3/2n-1]*RB1
RB3=[2n-5/2n-3]*RB2

RBm={(2n-2m+1)/(2n-2m+3)}*RB(m-1)
【0059】
上記式5において、nは、複数のシャントFETの全体スタック個数(スタック数)であり、mは、n個のシャントFETのうち該当FETの配置位置を意味し、2を超え、n以下の自然数である。
【0060】
図5は本発明の一実施形態による 個別ボディ抵抗及び共通ゲート抵抗を有する高周波スイッチの一例示図であり、図6は本発明の一実施形態による 個別ゲート抵抗、個別ボディ抵抗、共通ボディ抵抗、及び共通ボディ抵抗 を有する高周波スイッチの一例示図である。
【0061】
図5を参照すると、本発明の一実施形態による高周波スイッチは、第1シリーズスイッチSE1、第1シャントスイッチSH1、第1シリーズゲート抵抗回路RG-SE1、及び第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1を含むことができる。
【0062】
第1シリーズスイッチSE1は、第1端子T1と共通ノードNcomの間に直列に接続された複数のシリーズFETM11~M1mを含むことができる。
【0063】
第1シャントスイッチSH1は、第1端子T1と第1接地TG1の間に直列に接続された複数のシャントFETM21~M2nを含むことができる。
【0064】
第1シリーズゲート抵抗回路RG-SE1は、第1シリーズスイッチSE1の複数のシリーズFETM11~M1mそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗RG1~RGmと、上記複数のゲート抵抗RG1~RGmの共通接続ノードNG1と第1シリーズゲート電圧VG-SE1端子の間に接続された共通ゲート抵抗RGC1を有することができる。
【0065】
第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1は、上記第1シャントスイッチSH1の複数のシャントFETM21~M2nそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗RG1~RGnと、上記複数のゲート抵抗RG1~RGnの共通接続ノードNG2と第1シャントゲート電圧VG-SH1端子の間に接続された共通ゲート抵抗RGC2を有することができる。
【0066】
図6を参照すると、高周波スイッチは、図5の回路構造に、第1シリーズボディ抵抗回路RB-SE1及び第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1をさらに含むことができる。
【0067】
第1シリーズボディ抵抗回路RB-SE1は、第1シリーズスイッチSE1の複数のシリーズFETM11~M1mそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗RB1~RBmと、上記複数のボディ抵抗RB1~RBmの共通接続ノードNB1と第1シリーズボディ電圧VB-SE1端子の間に接続された共通ボディ抵抗RBC1を有することができる。
【0068】
第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1は、上記第1シャントスイッチSH1の複数のシャントFETM21~M2nそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗RB1~RBnと、上記複数ボディ抵抗RB1~RBnの共通接続ノードNB1と第1シャントボディ電圧VB-SH1端子の間に接続された共通ボディ抵抗RBC2を有することができる。
【0069】
図5及び図6を参照すると、上記第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1の複数のゲート抵抗RG1~RGnは、上記複数のゲート抵抗RG1~RGnが奇数個である場合には、接続位置上、上記複数のゲート抵抗RG1~RGnの中央に位置したゲート抵抗を基準位置とし、上記複数のゲート抵抗RG1~RGnが偶数個である場合には、接続位置上、上記複数のゲート抵抗RG1~RGnの中央に位置した接続ノードを基準位置として、上記基準位置から接続位置が遠ざかるほど大きい抵抗値を有することができる。
【0070】
また、上記第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1の複数のボディ抵抗RB1~RBnは、上記複数のボディ抵抗RB1~RBnが奇数個である場合には、接続位置上、上記複数のボディ抵抗RB1~RBnの中央に位置したボディ抵抗を基準位置とし、上記複数のボディ抵抗RB1~RBnが偶数個である場合には、接続位置上、上記複数のボディ抵抗RB1~RBnの中央に位置した接続ノードを基準位置として、上記基準位置から接続位置が遠ざかるほど大きい抵抗値を有することができる。
【0071】
一方、本発明において、複数のスタックされたFETにはそれぞれゲート抵抗が接続されるため、接続位置と関連して、複数のFETにおける接続位置は、ゲート抵抗の接続位置に対応することができる。
【0072】
図7は本発明の一実施形態による 個別ゲート抵抗及び共通ゲート抵抗を有するSPDT高周波スイッチの一例示図であり、図8は本発明の一実施形態による 個別ゲート抵抗、個別ボディ抵抗、共通ゲート抵抗、及び共通ボディ抵抗を有するSPDT高周波スイッチの一例示図である。
【0073】
図7に示されたSPDT高周波スイッチは、図5の回路構造に、第2シリーズスイッチSE2、第2シャントスイッチSH2、第2シリーズゲート抵抗回路RG-SE2、及び第2シャントゲート抵抗回路RG-SH2をさらに含むことができる。
【0074】
図8に示されたSPDT高周波スイッチは、図7の回路構造に、第2シリーズボディ抵抗回路RB-SE2及び第2シャントボディ抵抗回路RB-SH2をさらに含むことができる。
【0075】
図7及び図8を参照すると、第2シリーズスイッチSE2は、第2端子T2と共通ノードNcomの間に直列に接続された複数のシリーズFETM31~M3jを含むことができる。
【0076】
第2シャントスイッチSH2は、上記第2端子T2と第2接地TG2の間に直列に接続された複数のシャントFETM41~M4kを含むことができる。
【0077】
第2シリーズゲート抵抗回路RG-SE2は、上記第2シリーズスイッチSE2の複数のシリーズFETM31~M3jそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗RG1~RGjを含むことができる。
【0078】
第2シャントゲート抵抗回路RG-SH2は、上記第2シャントスイッチSH2の複数のシャントFETM41~M4kそれぞれのゲートに接続された複数のゲート抵抗RG1~RGkを含むことができる。
【0079】
図8を参照すると、第2シリーズボディ抵抗回路RB-SE2は、上記第2シリーズスイッチSE2の複数のシリーズFETM31~M3jそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗RB1~RBjを含むことができる。
【0080】
第2シャントボディ抵抗回路RB-SH2は、上記第2シャントスイッチSH2の複数のシャントFETM41~M4kそれぞれのボディに接続された複数のボディ抵抗RB1~RBkを含むことができる。
【0081】
図7及び図8を参照すると、上記第2シャントゲート抵抗回路RG-SH2の複数のゲート抵抗RG1~RGkは、上記複数のゲート抵抗RG1~RGkが奇数個である場合には、接続位置上、上記複数のゲート抵抗RG1~RGkの中央に位置したゲート抵抗を基準位置とし、上記複数のゲート抵抗RG1~RGkが偶数個である場合には、上記複数のゲート抵抗RG1~RGkの中央に位置した接続ノードを基準位置として、上記基準位置から接続位置が遠ざかるほど大きい抵抗値を有することができる。
【0082】
また、上記第2シャントボディ抵抗回路RB-SH2の複数のボディ抵抗RB1~RBkは、上記複数のボディ抵抗RB1~RBkが奇数個である場合には、接続位置上、上記複数のボディ抵抗RB1~RBkの中央に位置したボディ抵抗を基準位置とし、上記複数のボディ抵抗RB1~RBkが偶数個である場合には、接続位置上、上記複数のボディ抵抗RB1~RBkの中央に位置した接続ノードを基準位置として、上記基準位置から接続位置が遠ざかるほど大きい抵抗値を有することができる。
【0083】
図4図8を参照すると、上記第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1の上記複数のゲート抵抗RG1~RGnについて、上記第1端子T1から上記基準位置までの複数のゲート抵抗それぞれと、上記第1接地TG1から上記基準位置までの複数のゲート抵抗それぞれは、下記式6によって決定される抵抗値を有することができる。
【0084】
[式6]
RGm'=PV*RG(m'-1)
【0085】
上記式6において、上記m'は、上記第1端子T1から上記基準位置まで、及び上記第1接地TG1から上記基準位置までの複数のシャントFETのうちm'番目のシャントFETを示し、したがって、RGm'はm'番目のゲート抵抗値を示す。m'=1は、上記第1端子T1に最も近いFETを示すとともに、上記第1接地TG1に最も近いFETを示し、上記基準位置を基準に対称的な値を有する。
【0086】
上記第1シャントゲート抵抗回路RG-SH1の上記複数のゲート抵抗RG1~RGnについて、上記第1端子T1から上記基準位置までの複数のゲート抵抗それぞれと、上記第1接地TG1から上記基準位置までの複数のゲート抵抗それぞれは、下記式7によって決定される抵抗値を有することができる。
【0087】
[式7]
RG2=[2n'-3/2n'-1]*RG1
RG3=[2n'-5/2n'-3]*RG2

RGm'={(2n-2m'+1)/(2n-2m'+3)}*RG(m'-1)
【0088】
上記式7において、n'は、上記第1端子T1から上記基準位置まで、または上記第1接地TG1から上記基準位置までのシャントFETのスタック個数である。m'は、n'個のシャントFETのうち該当FETの配置位置を意味し、2を超え、n'以下の自然数である。
【0089】
上記第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1の上記複数のボディ抵抗RB1~RBnについて、上記第1端子T1から上記基準位置までの複数のボディ抵抗それぞれと、上記第1接地TG1から上記基準位置までの複数のボディ抵抗それぞれは、下記式8によって決定される抵抗値を有することができる。
【0090】
[式8]
RBm'=PV*RB(m'-1)
【0091】
上記式8において、上記m'は、上記第1端子T1から上記基準位置まで、及び上記第1接地TG1から上記基準位置までの複数のシャントFETのうちm'番目のシャントFETを示し、したがって、RBm'はm'番目のボディ抵抗値を示す。m'=1は、上記第1端子T1に最も近いFETを示すとともに、上記第1接地TG1に最も近いFETを示し、上記基準位置を基準に対称的な値を有する。
【0092】
上記第1シャントボディ抵抗回路RB-SH1の上記複数のゲート抵抗RB1~RBnについて、上記第1端子T1から上記基準位置までの複数のボディ抵抗それぞれと、上記第1接地TG1から上記基準位置までの複数のボディ抵抗それぞれは、下記式9によって決定される抵抗値を有することができる。
【0093】
[式9]
RB2=[2n'-3/2n'-1]*RB1
RB3=[2n'-5/2n'-3]*RB2

RBm'={(2n-2m'+1)/(2n-2m'+3)}*RB(m'-1)
【0094】
上記式9において、n'は、上記第1端子T1から上記基準位置まで、または上記第1接地TG1から上記基準位置までのシャントFETのスタック個数である。m'は、n'個のシャントFETのうち該当FETの配置位置を意味し、2を超え、n'以下の自然数である。
【0095】
図9は本発明の一実施形態によるスイッチ及びオフ状態であるスイッチの等価回路を例示する図である。
【0096】
図9を参照して、ゲート抵抗を通る漏洩電流と該当ゲート抵抗の抵抗値との相関関係を検討する。
【0097】
図9のスイッチは、一つのシリーズスイッチ及び一つのシャントスイッチを含むスイッチ構造では、シリーズスイッチまたはシャントスイッチになり、第1及び第2シリーズスイッチと、第1及び第2シャントスイッチを含むスイッチ構造では、第1シリーズスイッチまたは第2シャントスイッチになることができる。
【0098】
図9の左側は、3個のFETを含むスイッチであり、図9の右側は、左側のスイッチに対する等価回路である。左側のスイッチは、第1端子T1と第1接地TG1の間に直列に接続された3個のFETM1、M2、M3を含む。
【0099】
図9において、オフスイッチゲート電圧VGは0V以下の電圧を用い、3個のFETを含むスイッチは、数百MHz以上の周波数信号で用いられるため、図9の右側のように等価的に表現されることができる。
【0100】
図9において、各FETがオフ状態でのチャンネルの抵抗は非常に大きいため省略され、キャパシタは、各FETのゲート-ソースキャパシタと、ゲート-ドレインキャパシタを示した。
【0101】
一例として、図9において各FETは、ゲート-ソースキャパシタ(Cgs)とゲート-ドレインキャパシタ(Cgd)が類似した値を有するように対称的に製作されるが、工程偏差と印加される電圧によって異なる値を有することができる。また、各キャパシタにかかる電圧は、漏洩電流(leakage current)による電圧降下が小さいため、同一の値を有すると仮定する。
【0102】
第1端子T1にRF信号が印加されると、第1端子T1から接地に向かってみたときの等価インピーダンス(impedance)によって決定される電流Iが流れるようになる。オフ状態のスイッチのインピーダンスは、非常に大きい値であるため、電流Iは、数uAから数十uA程度の小さい値となり、RF信号の位相によって電圧と電流の方向は変わるが、設計者は、FETをスタックする際に、各FETにかかる電圧Vdsが均等に分配されることを希望し、各FETが耐えられる電圧は決められているため、すべてのFETが均等な電圧を有するときに、最小のFETスタック個数を有するスイッチを製作することができる。
【0103】
図9の左側のスイッチにおいて、3個のFETそれぞれのゲートに接続されたゲート抵抗RG1、RG2、RG3の抵抗値が十分に大きくてゲート抵抗RG1、RG2、RG3を介して接地に流れる漏洩電流I1、I2、I3を無視することができれば、各キャパシタを介して流れる電流はIとなることができる。この場合、図9の右側の等価回路において、C1=C2=C3=C4である場合、「Vds1=Vds2=Vds3」となって、各FETに同一の電圧を分けて有するようになる。
【0104】
しかし、ゲート電圧が供給される端子から各FETのゲートを見たときに、各FETのゲート抵抗RGは、ゲートキャパシタンス(CG)と共にスイッチングターンオン/ターンオフ時間を決定するが、ゲート抵抗RGを、ゲート漏洩電流(gate leakage current)を無視できるほど十分に大きくする場合、ターンオン/ターンオフ時間も大きくなる。
【0105】
このような理由により、ゲート抵抗RGは通常、スイッチング時間(switching time)が許容する範囲内でできるだけ大きい値に設計する。このとき、各FETの等価キャパシタそれぞれにかかる電圧は、下記式10の通りである。
【0106】
[式10]
V1=I*1/Zc
V2=(I-I1)*1/Zc(ここで、Zcはキャパシタのインピーダンスである)
V3=(I-I1-I2)*1/Zc
V4=(I-I1-I2-I3)*1/Zc
【0107】
ここで、M1のCgsとM2のCgdは漏洩経路(leakage path)がないため、同一の電圧V2がかかる。
【0108】
したがって、各FETにかかるVdsを求めると、下記式11の通りである。
【0109】
[式11]
Vds1=V1+V2=(2*I-I1)/Zc、
Vds2=V2+V3=(2*I2*I1-I2)/Zc、
Vds3=V3+V4=(2*I2*I1-2*I2-I3)/Zc
【0110】
一方、スイッチング時間以外にも高調波(harmonic)性能など他の特性に影響を与えるため、最小化されるべきゲート漏洩電流(Gate leakage current)は、各FETのゲート電圧とゲート抵抗によって決定されるが、性能比較のために、ゲート漏洩電流が一定の定数であると仮定する。
【0111】
まず、「I1+I2+I3=A(constant)」としたときに、下記式12のような等式が成立する。
【0112】
[式12]
△Vds1=Vds1-Vds2=(I1+I2)/Zc
△Vds2=Vds2-Vds3=(I2+I3)/Zc
【0113】
上記式12を参照すると、I1=I2=I3であるときに、△Vds(各Vdsの差)が最小となる。したがって、ゲート抵抗RGを同一の値に設定すると、漏洩電流は、「I1>I2>I3」となって各FETに分配される電圧Vdsの差が大きくなり、ゲート抵抗RGを「I1=I2=I3」となるように適切な値に設定すると、各FETに分配される電圧Vdsの差を減らすことができることが分かる。
【0114】
この場合、漏洩電流(leakage current)が同一となるように各ゲート抵抗の抵抗値をどのように設定するべきかについて説明する。
【0115】
まず、第1端子T1にかかるRF信号のピーク(peak)電圧をVpkとし、n段のFETがスタックされているとする場合、各FETのゲート電圧は、下記式13の通りである。
【0116】
[式13]
VG1=Vpk-Vpk/2n
VG2=Vpk-Vpk/2n-2*Vpk/2n=Vpk-3*Vpk/2n、
VG3=Vpk-5*Vpk/2n
VG4=Vpk-7*Vpk/2n
【0117】
したがって、各FETのゲート漏洩電流(gate leakage current)は、下記式14の通りである。
【0118】
[式14]
I1=VG1/RG1=(Vpk-Vpk/2N)/RG1
I2=VG2/RG2=(Vpk-3*Vpk/2N)/RG2
I3=VG3/RG3=(Vpk-5*Vpk/2N)/RG3

IN=VGN/RGN=(Vpk-(2N-1)*Vpk/2N)/RGN
【0119】
例えば、I1=I2=I3=…=INとなるように、それぞれのゲート抵抗RGの抵抗値は、下記式15によって決定することができる。
【0120】
[式15]
RG2=[2n-3/2n-1]*RG1
RG3=[2n-5/2n-3]*RG2

RGm={(2n-2m+1)/(2n-2m+3)}*RG(m-1)
【0121】
上記式15において、nは、上記第1端子T1から第1接地TG1までのシャントFETのスタック個数である。mは、n個のシャントFETのうち該当FETの配置位置を意味し、2を超え、n以下の自然数である。
【0122】
例えば、n=5、つまり、スタック(stack)されたFETを5個とし、RG1=1000Kと仮定すると、RG1=1000K、RG2=(7/9)*1000K=778K、RG3=(5/7)*778K=556K、RG4=(3/5)*556K=333K、そして、RG5=(1/3)*333K=111Kとなることができる。
【0123】
以下、図10図11及び図12を参照して、シャントスイッチがゲート抵抗及びボディ抵抗を2段以上に含む場合にゲート抵抗及びボディ抵抗それぞれの抵抗値を設定する内容について、より詳細説明する。
【0124】
図10は本発明の一実施形態による 個別ゲート抵抗、個別ボディ抵抗、共通ゲート抵抗及び共通ボディ抵抗を有するシャントスイッチの一例示図である。
【0125】
図10を参照すると、本発明の一実施形態によるシャントスイッチは、第1、第2及び第3シャントFETM1、M2、M3を含む場合、上記第1、第2及び第3シャントFETM1、M2、M3それぞれのゲートには、個別ゲート抵抗RG1、RG2、RG3が接続されることができ、上記第1、第2及び第3シャントFETM1、M2、M3それぞれのボディには、個別ボディ抵抗RB1、RB2、RB3が接続されることができる。
【0126】
また、上記シャントスイッチは、個別ゲート抵抗RG1、RG2、RG3の共通接続ノードに連結された共通ゲート抵抗RGCと、個別ボディ抵抗RB1、RB2、RB3の共通接続ノードに連結された共通ボディ抵抗RBCを含むことができる。
【0127】
そして、上記シャントスイッチは、上記第1、第2及び第3シャントFETM1、M2、M3それぞれのドレイン-ソースの間に接続されたドレイン-ソース抵抗Rds1、Rds2、Rds3を含むことができる。
【0128】
このとき、個別ゲート抵抗RG1、RG2、RG3に流れる漏洩電流(leakage current)が一定となるように、ゲート抵抗値を適切に設定すると、第1、第2、第3シャントFETM1、M2、M3間のドレイン-ソース電圧VDSの偏差を緩和することができる。
【0129】
一例として、第1端子T1に信号が入力され、第2端子T2が接地された場合、共通ゲート抵抗RGCの影響によって共通ノードでVx電圧が発生し、上記Vx電圧は、第1シャントFETM1のゲート電圧よりも低く、第3シャントFETM3のゲート電圧より高くなる。これにより、第1シャントFETM1の漏洩電流(leakage current)の一部は、第3シャントFETM3に入る動作をする。この場合、第1シャントFETM1と第3シャントFETM3にかかるVDSが高くなり、第2シャントFETM2にかかるVDSは小さくなる。ここで、ボディ抵抗とボディ漏洩電流に対する効果も、上述のゲートの場合と同一である。
【0130】
図10のように、個別ゲート抵抗RG1、RG2、RG3と共通ゲート抵抗RGCを含む場合、または個別ボディ抵抗RB1、RB2、RB3と共通ボディ抵抗RBCを含む場合、つまり、ゲート抵抗及びボディ抵抗を2段以上に含む場合、個別ゲート抵抗及び個別ボディ抵抗を決定する方法は、上記複数のゲート抵抗のうち中央の抵抗(スタックされたFETの個数が奇数の場合)または中央の地点(スタックされたFETの個数が偶数の場合)を基準に、両方向から遠ざかるほど抵抗値が徐々に大きな値を有するように設定することができる。例えば、全体n個のスタック(stack)を含む場合、第1端子T1または第2端子T2から(n+1)/2番目の接続位置に配置された中央のFET(奇数の場合)または中央の接続ノード(偶数の場合)を基準位置として、両側方向に遠ざかるほど抵抗値が次第に大きい値を有するように設定することができる。
【0131】
図11は 個別ゲート抵抗、共通ゲート抵抗及び偶数個のシャントFETを有する第1シャント回路の一例示図である。
【0132】
図11を参照すると、シャントスイッチに含まれたスタック全体FETの個数が偶数である場合、複数のシャントFETのうち中央に位置する接続ノードを基準位置として、Vpk1=Vpk/2に設定する。この場合、新しいスタック個数n'=[n/2]の整数(nは、全体スタックの個数)に設定し、上記式13及び式14を適用することができる。この場合、ゲート抵抗及びボディ抵抗それぞれの抵抗値は、基準位置を中心に対称に設定されることができる。
【0133】
図12は 個別ゲート抵抗、共通ゲート抵抗及び奇数個のシャントFETを有する第1シャント回路の一例示図である。
【0134】
図12を参照すると、シャントスイッチに含まれた全体スタックFETの個数が奇数である場合、複数のシャントFETのうち中央に位置するFETを基準位置として、Vpk1=Vpk/2に設定する。この場合、新しいスタック個数n'=[n/2]の整数(nは、全体スタックの個数)に設定し、上記式13及び式14を適用することができる。この場合、ゲート抵抗及びボディ抵抗それぞれの抵抗値は、基準位置を中心に対称に設定されることができる。
【0135】
このとき、中央に位置したFETのゲート抵抗の抵抗値は、任意に設定することができる。この場合、ゲート抵抗及びボディ抵抗それぞれの抵抗値は、中央のゲート抵抗またはボディ抵抗から第1端子または第2端子に向かう方向に徐々に大きくなるように設定することができ、互いに対称に設定することができる。
【0136】
図13は個別ゲート抵抗を有する第1シャント回路のシャントFETの個数とドレイン-ソース電圧Vds間の相関関係を例示するグラフである。
【0137】
図13に示されたグラフは、図10に図示されたシャントスイッチにおいて、FETスタック個数を10個に拡張し、オフ状態で各FETのVdsを表示したシミュレーション結果を示すグラフである。図13のグラフを参照すると、Vpkは36Vpkと設定され、ゲート抵抗はRG1=400K、……RG10=60Kまで順次適用している。漏洩電流(Leakage current)を一定にするには、全体スタック個数n=10の場合、RG1/RG2=3.5であるため、RG10は非常に小さい値となる。
【0138】
したがって、漏洩電流の差を最小化しながら漏洩電流の合計が均一な抵抗を用いた場合と同一となるように、RG10の値を慎重に設定しなければならない。
【0139】
図14は共通ゲート抵抗を有する第1シャント回路のシャントFETの個数とドレイン-ソース電圧Vds間の相関関係を例示するグラフである。
【0140】
図14に示されたグラフは、図10に示されたシャントスイッチにおいて、FETスタック個数を10個に拡張し、オフ状態で従来のシャントスイッチと比較してVDSをシミュレーションした結果を示すグラフである。従来の構造と比較して、本発明に従ってゲート抵抗の抵抗値を設定した場合、偏差が著しく改善されることが確認できる。
【0141】
図15は従来のシャントスイッチにおいて、シャントFETの接続位置ごとのゲート漏洩電流をを例示する図である。図16は本発明のシャントスイッチにおいて、シャントFETの接続位置ごとのゲート漏洩電流をを例示する図である。
【0142】
図15及び図16に示されたグラフにおいてRG1~RG10は、それぞれの該当ゲート抵抗を通る漏洩電流を示すグラフである。このようなグラフを参照すると、従来のシャントスイッチでは、FETごとの漏洩電流の大きさが大きく異なって漏洩電流の偏差が大きいが、本発明によるシャントスイッチでは、中央に配置されたFETを中心に両側のFETそれぞれの漏洩電流は、互いに類似した大きさの電流を有する。即ち、中央の基準位置における電圧と中央のFETのゲート電圧が類似するため、中央のFETは漏洩がほとんどないことが分かる。
【0143】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0144】
SE1 第1シリーズスイッチ
SH1 第1シャントスイッチ
SE2 第2シリーズスイッチ
SH2 第2シャントスイッチ
RG-SH1 第1シャントゲート抵抗回路
RG-SH2 第2シャントゲート抵抗回路
RB-SH1 第1シャントボディ抵抗回路
RB-SH2 第2シャントボディ抵抗回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16