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特許7571929旅行提案システム、旅行提案プログラムおよび旅行提案方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】旅行提案システム、旅行提案プログラムおよび旅行提案方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/14 20120101AFI20241016BHJP
【FI】
G06Q50/14
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020174651
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2021072109
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2019195677
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507031309
【氏名又は名称】株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】多田 明弘
(72)【発明者】
【氏名】山川 弓香
(72)【発明者】
【氏名】北島 岳
(72)【発明者】
【氏名】平井 優子
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-175671(JP,A)
【文献】特開2010-199756(JP,A)
【文献】特開2014-048085(JP,A)
【文献】特開2005-249441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案システムであって、
前記体調情報を取得する体調情報取得手段と、
旅行先の前記環境情報及び、前記ユーザの移動前の位置の前記環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記体調情報及び、前記ユーザの移動前の位置及び旅行先の2点間における前記環境情報の差に基づいて、旅行に関する提案を決定する、提案手段と、を備える旅行提案システム。
【請求項2】
前記提案手段は、環境の変化に伴う体調の変化を観測した複数のデータの統計結果を用いて、前記ユーザの体調に適した前記旅行先に関する前記提案を決定する、請求項1に記載の旅行提案システム。
【請求項3】
ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案システムであって、
前記体調情報を取得する体調情報取得手段と、
旅行先の前記環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記体調情報及び環境情報に基づいて、旅行中の前記ユーザの肌の特定領域に適用されるケアを決定する、提案手段と、を備え
前記体調情報は、前記特定領域における肌測定の結果と、前記特定領域外における肌測定の結果と、を含む旅行提案システム。
【請求項4】
前記体調情報は、旅行前における旅行前体調情報と、旅行中における旅行中体調情報又は旅行後における旅行後体調情報と、を含み、
前記旅行前体調情報に含まれる、前記特定領域外における肌測定の結果と、前記旅行中体調情報又は旅行後体調情報に含まれる、前記特定領域外における肌測定の結果と、の間の変化を統計処理し、前記環境情報を更新する手段を更に備える、請求項3に記載の旅行提案システム。
【請求項5】
前記体調情報は、前記ユーザの肌に関する肌情報を含み、
前記提案手段は、前記肌情報に基づいて前記提案を決定する、請求項1~4の何れかに記載の旅行提案システム。
【請求項6】
前記体調情報は、旅行前における旅行前体調情報と、旅行中における旅行中体調情報又は旅行後における旅行後体調情報と、を含む、請求項1~5の何れかに記載の旅行提案システム。
【請求項7】
前記旅行前体調情報と、前記旅行中体調情報又は旅行後体調情報と、の間における変化を認識可能に表示させる表示手段を更に備える、請求項6に記載の旅行提案システム。
【請求項8】
前記提案手段は、旅行中の前記ユーザに提供するケア商品を決定し、
前記表示手段は、前記ケア商品をユーザが購入するための情報を更に表示させる、請求項7に記載の旅行提案システム。
【請求項9】
前記提案手段は、前記体調情報及び環境情報に基づき、前記ユーザの体調に適した前記環境情報を有する地域を、前記旅行先として決定する、請求項1~8の何れかに記載の旅行提案システム。
【請求項10】
前記環境情報は、場所依存的な気象情報を含む、請求項1~9の何れかに記載の旅行提案システム。
【請求項11】
前記気象情報は、場所依存的な気象予報情報を含み、
前記提案手段は、旅行日の前記気象予報情報に基づいて、前記提案を決定する、請求項10に記載の旅行提案システム。
【請求項12】
前記提案手段は、旅行日の前記気象情報に基づいて、前記ユーザの体調を向上させる為の旅行中の行動に関する前記提案を決定する、請求項10又は請求項11に記載の旅行提案システム。
【請求項13】
前記ユーザの嗜好に関する嗜好情報を取得する嗜好情報取得手段を更に備え、
前記提案手段は、前記体調情報、環境情報及び嗜好情報に基づいて、前記提案を決定する、請求項1~12の何れかに記載の旅行提案システム。
【請求項14】
前記環境情報は、前記旅行先の地域の特産物の情報を含む、請求項1~13の何れかに記載の旅行提案システム。
【請求項15】
ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案プログラムであって、コンピュータを、
前記体調情報を取得する体調情報取得手段と、
旅行先の前記環境情報及び、前記ユーザの移動前の位置の前記環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記体調情報及び、前記ユーザの移動前の位置及び旅行先の2点間における前記環境情報の差に基づいて、旅行に関する提案を決定する、提案手段と、として機能させる旅行提案プログラム。
【請求項16】
ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案プログラムであって、コンピュータを、
前記体調情報を取得する体調情報取得手段と、
旅行先の前記環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記体調情報及び環境情報に基づいて、旅行中の前記ユーザの肌の特定領域に適用されるケアを決定する、提案手段と、として機能させ
前記体調情報は、前記特定領域における肌測定の結果と、前記特定領域外における肌測定の結果と、を含む旅行提案プログラム。
【請求項17】
ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案方法であって、
前記体調情報を取得する体調情報取得ステップと、
旅行先の前記環境情報及び、前記ユーザの移動前の位置の前記環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記体調情報及び、前記ユーザの移動前の位置及び旅行先の2点間における前記環境情報の差に基づいて、旅行に関する提案を決定する、提案ステップと、をコンピュータに実行させる旅行提案方法。
【請求項18】
ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案方法であって、
前記体調情報を取得する体調情報取得ステップと、
旅行先の前記環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記体調情報及び環境情報に基づいて、旅行中の前記ユーザの肌の特定領域に適用されるケアを決定する、提案ステップと、をコンピュータに実行させ
前記体調情報は、前記特定領域における肌測定の結果と、前記特定領域外における肌測定の結果と、を含む旅行提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行提案システム、旅行提案プログラムおよび旅行提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
旅行の際には、旅行先の決定や旅行先での行動の企画等が必要となる。近年では、このような旅行に関する決定を支援するための技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数のユーザから構成される集団が行動するときに次に行う行動を、集団に属する各構成員の疲労度を考慮して提案する行動提案方法が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、ユーザの属性情報に応じて旅行の計画を提案することができる旅行提案システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-016273号公報
【文献】特開2018-112888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、旅行先では普段と環境が大きく変わるため、体調にも変化が起きることが多い。近年では特に健康や美容に対する関心が高まっており、旅行においてもユーザの健康や美容の状態を考慮した提案が求められていた。しかしながら、従来は旅行先の環境に基づき、ユーザの体調を向上させる、又は悪化を低減するような旅行の提案を行う技術は存在していなかった。
【0007】
以上のような現状に鑑みて、本発明では、ユーザの体調及び旅行先の環境を考慮して、旅行に関する提案を行うためのシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案システムであって、
前記体調情報を取得する体調情報取得手段と、
旅行先の前記環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記体調情報及び環境情報に基づいて、旅行に関する提案を決定する、提案手段と、を備える。
【0009】
このような構成とすることで、ユーザの体調及び旅行先の環境に応じて、旅行に関する提案を行うことができる。これにより、ユーザの体調を向上させる旅行の計画や、ユーザの体質又は旅行先の環境等に起因する体調の悪化についての対策等を支援することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記環境情報取得手段は、前記ユーザの移動前の位置の前記環境情報を更に取得し、
前記提案手段は、前記ユーザの移動前の位置及び旅行先の2点間における前記環境情報の差に基づいて、前記提案を決定する。
このような構成とすることで、環境の変化に基づき、旅行に関する提案を行うことができる。例えば、体調情報に基づき、ユーザの体質に応じて環境の変化に伴う体調の変化を推測し、ユーザの体調を向上させるための提案を行うことが可能になる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記提案手段は、環境の変化に伴う体調の変化を観測した複数のデータの統計結果を用いて、前記ユーザの体調に適した前記旅行先に関する前記提案を決定する。
このような構成とすることで、例えば、統計的な分析結果に基づいて、環境の変化に伴うユーザの体調の変化を推測すれば、より好適にユーザの体調に適した旅行先を提案することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記体調情報は、前記ユーザの肌に関する肌情報を含み、前記提案手段は、前記肌情報に基づいて前記提案を決定する。
このような構成とすることで、例えばユーザの肌の状態や肌タイプ等に応じて、旅行先の環境に適した提案を行うことができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記体調情報は、旅行前における旅行前体調情報と、旅行中における旅行中体調情報又は旅行後における旅行後体調情報と、を含む。
このような構成とすることで、旅行前と、旅行中又は旅行後における、体調の変化を確認することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記提案手段は、前記旅行前体調情報に基づいて、旅行中の前記ユーザに提供するケアを決定する。
このような構成とすることで、旅行前の体調に基づき、適切なケアを決定することが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記ケアは、前記ユーザの肌の特定領域に適用され、
前記旅行前体調情報及び、前記旅行中体調情報又は旅行後体調情報は、それぞれ前記特定領域における肌測定の結果と、前記特定領域外における肌測定の結果と、を含む。
このような構成とすることで、ケアの効果と旅行先の環境の影響を区別してとらえることが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記旅行前体調情報に含まれる、前記特定領域外における肌測定の結果と、前記旅行中体調情報又は旅行後体調情報に含まれる、前記特定領域外における肌測定の結果と、の間の変化を統計処理し、前記環境情報を更新する手段を更に備える。
このような構成とすることで、ケアの効果を排除し、旅行先の環境や食事等の影響を反映した特定領域外における肌測定の結果に基づいて、実際の結果による正確な環境情報を扱うことが可能となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記旅行前体調情報と、前記旅行中体調情報又は旅行後体調情報と、の間における変化を認識可能に表示させる表示手段を更に備える。
このような構成とすることで、ユーザは旅行による体調への効果を認識できる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記提案手段は、旅行中の前記ユーザに提供するケア商品を決定し、
前記表示手段は、前記ケア商品をユーザが購入するための情報を更に表示させる。
このような構成とすることで、ユーザは旅行中にケア商品を体験し、表示される体調の変化によってその効果を確認した上で、対象のケア商品の購入を検討することが可能となる。またケア商品の提供者から見ると、ユーザに体感してもらった上で効果的にケア商品の販売機会を増やすことができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記提案手段は、前記体調情報及び環境情報に基づき、前記ユーザの体調に適した前記環境情報を有する地域を、前記旅行先として決定する。
このような構成とすることで、ユーザの体調に適した旅行先を提案することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記環境情報は、場所依存的な気象情報を含む。
このような構成とすることで、各地の気象条件に応じて、より好適な提案を行うことができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記気象情報は、場所依存的な気象予報情報を含み、
前記提案手段は、旅行日の前記気象予報情報に基づいて、前記提案を決定する。
このような構成とすることで、旅行日に予想される気象条件に応じて、より好適な提案を行うことができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記提案手段は、旅行日の前記気象情報に基づいて、前記ユーザの体調を向上させる為の旅行中の行動に関する前記提案を決定する。
このような構成とすることで、旅行日に予想される気象条件に応じて、ユーザの体調を向上させるための具体的な行動についての提案を行うことができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記ユーザの嗜好に関する嗜好情報を取得する嗜好情報取得手段を更に備え、
前記提案手段は、前記体調情報、環境情報及び嗜好情報に基づいて、前記提案を決定する。
このような構成とすることで、ユーザの嗜好を考慮して提案を行うことができる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記環境情報は、前記旅行先の地域の特産物の情報を含む。
このような構成とすることで、特産物を考慮した提案を行うことができる。例えば、土産品の提案や、特産物の購入を目的とした旅行先提案等が可能となる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案プログラムであって、コンピュータを、
前記体調情報を取得する体調情報取得手段と、
旅行先の前記環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記体調情報及び環境情報に基づいて、旅行に関する提案を決定する、提案手段と、として機能させる。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザの体調を表す体調情報及び場所依存的な環境を表す環境情報に基づいて旅行に関する提案を行うための旅行提案方法であって、
前記体調情報を取得する体調情報取得ステップと、
旅行先の前記環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記体調情報及び環境情報に基づいて、旅行に関する提案を決定する、提案ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ユーザの体調及び旅行先の環境を考慮して、旅行に関する提案を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態における旅行提案システムの機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態における旅行提案システムのデータベースが記憶する情報の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態における旅行提案システムの旅行先の提案に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態における旅行提案システムのケアの提案に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態における旅行提案システムを利用した旅行の計画から旅行終了までの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本発明の旅行提案システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0030】
例えば、本実施形態では旅行提案システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータプログラム等も、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータにプログラムをインストールすることができる。ここで、プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
【0031】
本発明は、ユーザの体調及び旅行先の環境に応じた、旅行に関する提案を行うためのシステムに関する。本実施形態における旅行提案システムは、旅行先の地域、特定の施設等詳細な目的地、特産物等の購入を含む旅行中の行動、旅行前から旅行後に至るまでの体調に関するケア等、様々な観点から旅行に関する提案を行う。
【0032】
また、以下において「旅行先」という語は、候補としての旅行先、及び実際に訪れることを決定した旅行先の両方を含む概念として用いられる。また、以下において「旅行先」は複数の地域や目的地をめぐる場合における旅行中の次の目的地という意味も含む。
【0033】
本発明における体調情報は、ユーザの体調を表す情報である。本実施形態において、体調情報は、肌診断の結果や肌タイプを含む肌情報、体質、その時々の肌の調子や体調等の情報を含む。
【0034】
また環境情報とは、場所依存的な環境を示す情報である。本実施形態において、環境情報は、場所依存的な気象情報や気象予報情報を含む。ここで、本発明における気象情報は、天気や気温の他に、エアロゾル、花粉、大気汚染物質、日射量、紫外線量、近赤外線量、大気中の水分等を含む広い意味での気象に関する情報を指す。また、本実施形態の環境情報は、この他にも更に、例えば、森、街、山等、地域の環境を含む。地域の環境としては、緑地面積、地質、地形等を用いてもよい。
【0035】
ここで気象情報とは、季節ごとの気象の特性や年間を通した長期的な気象の特性を表す気候情報と、特定の日の天気や気温等の短期的な気象情報と、に分けられる。また、気象予報情報は、特定の場所における未来の気象を予測した情報を指す。
【0036】
図1は、本実施形態における旅行提案システムの機能ブロック図である。本実施形態の旅行提案システムは、サーバ装置1と、ユーザ端末2と、データベースDBと、がネットワークNWを介して接続可能に構成される。ここではサーバ装置1、ユーザ端末2及びデータベースDBをそれぞれ1つずつ示すが、例えばサーバ装置1が複数のコンピュータ装置によって実現されてもよいし、ユーザ端末2が複数台存在していてもよい。
【0037】
サーバ装置1としては、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置、ネットワークNWへの接続手段を含む種々の入出力装置等を備えた、サーバ装置等の一般的なコンピュータ装置を利用することができる。
【0038】
またユーザ端末2としては、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、ネットワークNWへの接続手段や、ディスプレイを含む種々の入出力装置等を備えた、一般的なコンピュータ装置を利用することができる。本実施形態では、スマートフォンやタブレット端末等を利用する場合を想定するが、この他にも例えばPC(Personal Computer)等のような任意のコンピュータ装置をユーザ端末2として用いてよい。
【0039】
サーバ装置1は、体調情報や環境情報を取得して、旅行に関する提案を決定する処理を行う。サーバ装置1は、体調情報取得手段11と、環境情報取得手段12と、体調変化予測手段13と、提案手段14と、を備える。
【0040】
体調情報取得手段11は、データベースDBから体調情報を取得する。具体的には、ユーザ端末2を介して、事前に登録されたユーザを特定するユーザID等の情報の入力を受け付け、当該ユーザに対応する体調情報を取得する。
【0041】
環境情報取得手段12は、データベースDBに各所の環境情報を問い合わせて取得する。例えば、旅行先として大まかな地域を提案する場合には、環境情報取得手段12が旅行先の候補となる各地域の環境情報をデータベースDBから取得し、ユーザの体調に応じたケア提案等を行う場合には、実際にユーザが訪れる旅行先の環境情報をデータベースDBから取得する。また、本実施形態の環境情報取得手段12は、ユーザの移動前の位置における環境情報を更に取得する。
【0042】
体調変化予測手段13は、データベースDBに格納された、環境変化に伴う体調の変化の統計結果と、及びユーザの移動前の位置及び旅行先(移動後の位置)の2点間における環境情報の差と、に基づいて、ユーザの移動により生じる環境変化に伴う体調変化を予測する。なお、体調変化予測手段13は、移動前の位置における環境情報を考慮せず、旅行先の環境情報を単体で用いて体調変化を予測してもよい。本実施形態では体調変化予測手段13が更にユーザの体調情報を考慮して、ユーザの体調変化を推測する。
【0043】
具体的には、例えば環境の変化に伴う体調の変化を観測した複数のデータを、環境変化の種類ごと、かつユーザの体調に関する分類(肌タイプや体質)ごとに分析して、有意に変化した体調情報の指標及びその変化の方向(改善又は悪化)をデータベースDBに格納しておく方法がある。この場合には、体調変化予測手段13が、ユーザの移動による環境変化の種類及びユーザの分類に対応する統計結果を参照し、変化する体調情報の指標及びその変化の方向を特定することで、ユーザの体調変化を推測できる。あるいは、環境変化に伴う体調の変化の分析結果として、環境情報の差を説明変数とし、移動前後の体調情報の差を目的変数とする式を、ユーザの分類毎にデータベースDBに格納しておき、体調変化予測手段13が、ユーザの分類に対応する式にユーザの移動前の位置及び旅行先(移動後の位置)の2点間における環境情報の差を代入することで、所定の体調情報を算出してもよい。
【0044】
提案手段14は、ユーザの体調情報及び旅行先の環境情報に基づいて、旅行に関する提案を決定する。本実施形態の提案手段14は、大きく分けて旅行先の提案と、ユーザの体調に関するケア提案と、を行う。具体的には、提案手段14は、旅行先の地域や詳細な目的地、旅行中の行動、旅行前から旅行後に至るまでの体調に関するケア等、様々な項目を提案として決定する。
【0045】
本実施形態では、ユーザの体調情報として、肌タイプ及び体質が含まれており、これらの分類に応じて体調変化予測手段13が体調の変化を予測する。提案手段14は、体調変化予測手段13による予測の結果に基づき、ユーザの体調に適した旅行先やケアの提案を行う。
【0046】
ユーザ端末2は、サーバ装置1に接続され、ユーザが使用する端末装置である。ユーザ端末は、タッチパネルディスプレイやマイク等の入力手段21と、ディスプレイ装置やスピーカー等の出力手段22と、を備える。
【0047】
データベースDBは、気象情報、行動情報、ケア情報、ユーザ情報、環境変化に伴う体調の変化の統計結果等の各種の情報を記憶する。図2は、本実施形態においてデータベースDBが記憶する情報の一例を示す図である。なお、これらの情報が全て同一の場所に記憶されている必要はなく、サーバ装置1が複数のデータベースからこれらの情報をそれぞれ取得してもよい。
【0048】
場所依存的な気象情報は、短期的な気象情報と、季節ごとの気象の特性や年間を通した長期的な気象の特性を表す気候情報と、を含む。短期的な気象情報としては、過去の特定の日や時刻における温度、湿度、天気等の気象情報と、未来の特定の日や時刻における温度、湿度、天気等の予報を示す気象予報情報と、が挙げられる。気象予報情報については、ネットワークNWを介して外部のサーバ等から取得する構成とすればよい。
【0049】
気候情報としては、地域ごとに、平均的な温度、湿度、日照、降雨量等の情報を記憶する。これらの気候情報は、図2のように、高中低等の複数段階で記憶されてもよいし、例えば年間の平均値等が記憶されてもよい。また、年間を通した気候だけでなく、データベースDBが季節ごとの気候情報を記憶していてもよい。また、ここでの地域の分割単位は任意に決定されてよく、複数の階層に分かれていてもよい。例えば、データベースDBは、大地域として都道府県ごとの気象情報を記憶し、小地域として都道府県内の市町村や観光エリアごとの気象情報を記憶してもよい。
【0050】
行動情報は、旅行先での行動の提案に用いられる情報である。行動情報としては、対象地域、分類、可能な時期、体調に対して期待できる効果(期待効果)、行動に適した肌のタイプを示す適性肌タイプ、行動に適した体質を示す適性体質等、ユーザの体調情報に応じた提案に用いられる各種の情報が挙げられる。
【0051】
ケア情報は、旅行前から旅行後に至るまでのユーザの体調に関するケアについての提案に用いられる情報である。ケア情報としては、例えば化粧品やサプリメント、食品等のケア製品や、マッサージやストレッチ等のケア行動に関する情報が挙げられる。ケア情報は、各ケアが有効な肌のタイプを示す適性肌タイプや、適性体質の情報を含んでいる。
【0052】
なお、上記の適性肌タイプや適性体質は、ユーザの恒常的な特性に限られない。例えば体調情報として、普段は脂性肌タイプだが、一時的に乾燥状態である等の情報をデータベースDBが記憶すれば、恒常的なタイプ及び一時的な状態の両方を考慮してケアについての提案をすることが可能となる。
【0053】
<旅行先の提案>
まず、旅行先の提案を行う場合の処理について説明する。ここでの「旅行先の提案」とは、旅行前に計画を立てるために行先を提案することと、旅行先で次に訪れる目的地を決めるために行先を提案することと、の両方を含む。また、目的地としては、環境情報に基づいて大まかな地域を提案してもよいし、図2に記載した行動情報を用いて、旅行中の具体的な行動を提案してもよい。図3は、本実施形態における旅行先の提案に係る処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここで示す処理は一例にすぎず、任意に処理の順序を変更してもよい。
【0054】
まずステップS11において、体調情報取得手段11がユーザを特定する情報を受け付け、データベースDBから当該ユーザの体調情報を取得する。ユーザを特定する情報としては、体調情報取得手段11がユーザ端末2を介してユーザIDやユーザ名等の情報の入力を受け付け、ユーザ情報により利用中のユーザを特定する。データベースDBはユーザIDに紐づけて各ユーザの体調情報を記憶しており、体調情報取得手段11は、ユーザIDをキーとしてデータベースDBを検索し、対象のユーザの体調情報を取得する。本実施形態では、ユーザの体調情報として、データベースDBに記憶された肌タイプ及び体質を体調情報取得手段11が取得する。
【0055】
また本実施形態では、サーバ装置1がステップS12でユーザの嗜好情報を取得する。嗜好情報は、ユーザ情報として予めデータベースDBに記憶されていてもよいし、提案時にユーザ端末2を介して入力されてもよい。なお、嗜好情報としては、旅行先についての好みや食の好み、ユーザが興味を持つイベント等が挙げられる。
【0056】
ステップS13では、提案手段14が旅行先の候補を選択する。本実施形態では、ユーザの嗜好情報によって旅行先の候補を選択する。
【0057】
ステップS14では、環境情報取得手段12が、ユーザの移動前の位置の環境情報を取得する。ここで「移動前の位置」とは、旅行前においては、ユーザの自宅等の旅行に向かう前の位置を示し、旅行中に次の目的地を決定する場合においては、現在地等のひとつ前の目的地の位置を示す。
【0058】
また、この際に、環境情報に含まれる気象情報については、長期的な傾向を示す気候情報を取得すればよい。また、旅行日(移動日)やおおまかな旅行時期が決まっている場合には、ユーザ端末2を介して旅行日の入力を受け付け、当該旅行日の属する季節に対応する気候情報や、旅行日当日の気象予報情報を取得すればよい。
【0059】
ステップS15では、環境情報取得手段12が、ステップS13で選択された旅行先候補の環境情報を取得する。ここでも、旅行日やおおまかな旅行時期が決まっている場合には、ステップS14と同様に当該旅行日の属する季節に対応する気候情報や旅行日当日の気象予報情報を取得する。
【0060】
次にステップS16で、体調変化予測手段13が、移動前の位置と旅行先との2点間における環境情報の差を、候補の各旅行先について算出して、ユーザの分類(肌タイプや体質)に応じて各旅行先を訪れた場合の体調変化を予測する。
【0061】
そしてステップS17で、提案手段14が、各旅行先を訪れた場合の体調変化を比較し、最もユーザの体調によい影響を与える(ユーザの体調が改善する、又は悪化が小さい)旅行先を特定する。
【0062】
本実施形態では、以上の手順で旅行先に関する提案を決定する。なお、本実施形態では、嗜好情報によって旅行先の候補を絞った上で、各旅行先における体調変化を予測することで、ユーザの体調によい影響を与える旅行先を特定したが、提案する旅行先の決定手順は上記に限られない。
【0063】
例えば、体調変化予測手段13がまず、移動前の位置の環境から特定の環境に変化した場合に、ユーザの肌タイプや体質において、体調情報の指標が改善する(又は悪化が小さい)環境条件を特定し、当該環境条件に適した旅行先を、提案手段14が候補として抽出してもよい。また、このように抽出された1又は複数の旅行先は全てユーザに提示されてもよいし、抽出された旅行先のうちで、ユーザの嗜好情報に基づいてより適切な旅行先が1又は複数選択され、ユーザに提示されてもよい。
【0064】
また、行動情報を用いて具体的な行動を提案する場合には、ユーザの肌タイプや体質と、行動情報における適性肌タイプや適性体質を照らし合わせ、ユーザの肌タイプや体質に適した行動を提案することが好ましい。
【0065】
<ケア提案>
次に、旅行前から旅行後に至るまでのケアについての提案を行う場合について説明する。図4は、本実施形態におけるケア提案に係る処理の流れを示すフローチャートである。なお、ケア提案は、旅行直前の時期や旅行中、あるいは旅行後にリアルタイムでユーザに提示されるものであるため、旅行時期が既に確定した状態で行われる。
【0066】
まずステップS21において、提案手段14が旅行時期を取得する。旅行時期は、データベースDBに記憶されていてもよいし、提案の際にユーザ端末2を介して入力されてもよい。
【0067】
次にステップS22で、体調情報取得手段11がユーザを特定する情報を受け付け、データベースDBから当該ユーザの体調情報を取得する。ユーザを特定する情報としては、体調情報取得手段11がユーザ端末2を介してユーザIDやユーザ名等の情報の入力を受け付け、ユーザ情報により利用中のユーザを特定する。データベースDBはユーザIDに紐づけて各ユーザの体調情報を記憶しており、体調情報取得手段11は、ユーザIDをキーとしてデータベースDBを検索し、対象のユーザの体調情報を取得する。本実施形態では、ユーザの体調情報として、データベースDBに記憶された肌タイプ及び体質を体調情報取得手段11が取得する。
【0068】
そして、ステップS23~S24では、旅行先の提案におけるステップS14~15と同様にして、環境情報取得手段12が、移動前の位置及び旅行先の環境情報をそれぞれ取得する。ここでは、旅行日及び旅行先について決定済みであるため、ユーザが実際に訪れる(訪れた)旅行先について、旅行日に応じた環境情報が取得される。
【0069】
そして、ステップS25で、体調変化予測手段13が、移動前の位置と旅行先との環境情報の差を算出し、ユーザの分類(肌タイプや体質)に応じて、ユーザの体調変化を推測する。
【0070】
ステップS26では、提案手段14が、ステップS25で推測された体調変化に応じて提案を決定する。例えば推測される体調変化が、肌の水分の減少(乾燥)であった場合には、ケア提案として、適性肌タイプに「乾燥肌」を有するケア情報を決定することが考えられる。また、旅行前、旅行中、旅行後のそれぞれで、提案するケアの内容を異ならせてもよい。
【0071】
ケア提案としては、この他にも、例えばユーザの体調情報に適した旅行先の地域の特産物を決定してもよい。この場合には、予め特産物の情報をデータベースDBに格納しておき、各特産物について適性肌タイプ及び適性体質を対応付けて、提案手段14がユーザの肌タイプや体質に対応する特産物を決定すればよい。
【0072】
また、ケア提案においても、ユーザの嗜好情報を考慮してもよい。具体的には、例えば化粧品の使用感の好みに応じて、提案する化粧品を決定すること等が考えられる。
【0073】
以上のように、本実施形態の旅行提案システムによれば、ユーザの体調及び旅行先の環境を考慮して、旅行に関する提案を行うことができる。更に、移動前の位置と旅行先との2点間における環境情報の差に基づいて、提案を決定することで、環境変化に伴って生じる体調変化への対策を提案できる。
【0074】
また、ユーザの体調を向上させるという観点から旅行先を提案することにより、注目度の低かった地方の観光資源に注目を集め、地方の活性化に貢献することができる。
【0075】
<実施例>
以下、本発明を利用したサービスについて、具体例を用いて説明する。なお以下の実施例はあくまでも一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意の設計変更が可能である。本発明は、複数の旅行先を巡回する場合等にも用いることができるが、本実施例においては、ユーザが自宅からある旅行先を訪れ、1泊して自宅に戻る場合について例示する。
【0076】
ここで本発明において、旅行前体調情報、旅行中体調情報及び旅行後体調情報とは、それぞれ旅行前、旅行中及び旅行後における体調情報を指す。本実施例では体調情報が肌情報を含んでおり、肌情報としては、美肌指数、毛穴、シワ、糖化、乾燥、シミ、肌冷え、肌ゆらぎ及びたるみの9項目が含まれる。なおこれらの項目は、環境情報、特にユーザが曝される近赤外線量と相関があると考えられている。
【0077】
上記の項目は、周知の方法で行われる肌測定の結果に基づき評価される指標である。肌測定としては、例えば水分量や粘弾性に関する測定装置を用いた測定や、肌の拡大画像や動画像を用いた画像解析による測定等が挙げられる。本実施例では、旅行前、旅行中、旅行後のそれぞれにおいてユーザが容易に測定できるよう、スマートフォン等のユーザ端末において備えられたカメラを用いて取得される画像に基づく測定を行う。
【0078】
なお本実施例では、旅行中にユーザに提供されるケアの対象となる特定領域と、それ以外の特定領域外と、のそれぞれにおける肌測定を行い、その結果を取得する。また後述のアンケート項目のうち肌に関する情報については、特定領域及び特定領域外の肌のそれぞれについて回答を受け付ける。このようにすることで、特定領域における体調情報(肌情報)と特定領域外における体調情報(肌情報)とを比較することにより、ケアによる効果なのか、環境による効果なのかの判断材料とすることができる。また特定領域外における肌測定の結果について、旅行前及び、旅行中又は旅行後の変化を統計処理することにより、環境情報に反映することができる。
【0079】
図5は、実施例におけるサービスの一連の流れを示す図である。ステップS31~ステップS34までが旅行前の計画段階、ステップS35及びステップS36が旅行中、ステップS37及びステップS38が旅行後の手順をそれぞれ示している。実施例において、まずステップS31でユーザが旅行前の肌測定を行うとともに、アンケートの回答を入力する。肌測定はユーザ端末2の備えるセンサ等により行われることが好ましいが、外部の肌測定装置による肌測定の結果が、ユーザ端末2を介して、又はネットワークNWを介して直接サーバ装置1に送信されてもよい。
【0080】
ここでアンケートは、体調に関する設問により構成され、体調や肌に関する悩みや、運動量、使用化粧品や食生活を含む普段の生活等に関する設問を含んでいる。このうち、肌に関する設問の回答は、肌情報として扱われる。入力された回答及び肌測定の結果に基づいて、サーバ装置1がユーザの体質や肌タイプが判定する。
【0081】
次にステップS32において、サーバ装置1は受信した情報をデータベースDBに登録する。ここで本実施例ではユーザIDが発行され、ユーザIDに紐づけて登録が行われる。なお事前にユーザIDが付与されている場合には、ステップS31においてユーザを特定できる情報の入力を受け付け、それにより特定されたユーザIDに紐づけて情報の登録が行われてもよい。
【0082】
そしてステップS33においては、例えば図3に示した手順で旅行先の提案が行われる。更にユーザから旅行先の選択を受け付けて、ステップS34に進み、例えば図4に示した手順でケア提案が行われる。
【0083】
ここで本実施例においては、ユーザへの提案に加え、実際に旅行中にユーザに提供されるケアが決定される。ケアとしては、例えばエステメニュー、食事、サプリメント、化粧品等、様々な内容が想定されるが、本実施例では環境情報及び体調情報に応じた化粧品をケア商品として、旅行先で提供する。これにより、環境及びユーザの体調や肌に基づいて決定されるケア商品を旅行先で使ってもらうことができる。なお本実施例では、化粧品の提供も旅行プラン内に含んでおり、ユーザは旅行先で使用した化粧品をそのまま持ち帰ることができる。
【0084】
なお本実施例においてケア情報は、図2に示した通り、各ケア情報が対応する環境変化の情報を含んでおり、図4において説明したように環境変化に応じて推測される体調変化に基づき適した適性肌タイプのケア情報を提案する手順のみでなく、環境情報に基づいて特定される環境変化から、直接適したケア情報を決定してもよい。またケア提案の決定においては、各種の指標において点数を算出して、その総合判断により提案を決定してもよい。
【0085】
以上により計画された旅行が実施されると、旅行中は、ステップS35においてケアが実施される。ここでのケアとは、上述の通りエステや食事、サプリメント、化粧品等のケア商品の提供である。ここで、エステや化粧品については、肌の特定領域に対して実施されるケアである。本実施例では、顔を中心とした特定領域に塗布する化粧品をケア商品として想定する。また特定領域外の肌としては、手、首、腕等を想定する。このように、特定領域外の肌としては、環境の影響を受けやすい、手等の露出部分であることがより好ましい。
【0086】
また旅行中には、上記のケアの後、好ましくは宿泊日の夜に、ユーザがステップS36の肌測定およびアンケート入力を行う。測定・回答項目はステップS31における項目と同様である。これにより旅行中体調情報を取得し、旅行による効果を確認することができる。
【0087】
そして旅行後にも同様にステップS37で肌測定及びアンケート入力を行う。これにより、旅行による効果を確認するだけでなく、旅行後のアフターフォローが可能となる。具体的には、ユーザの位置を考慮した上で、例えばエステメニュー、食事、サプリメント、化粧品等、様々な提案を行うことが想定される。本実施例ではユーザの位置に基づく環境情報及び体調情報に応じた化粧品をケア商品として提案することで、旅行後のアフターフォローが可能となる。また旅行前又は旅行中の肌測定の結果と旅行後の肌測定の結果とを比較可能に表示させてもよい。
【0088】
ここで本実施例においてサーバ装置1は、図示しない表示手段を備えている。表示手段は、提案手段14による提案内容や、体調情報、環境情報等をユーザ端末2に表示させる。特に本実施例では、表示手段が、旅行前体調情報、旅行中体調情報及び旅行後体調情報をそれぞれ比較可能に表示させるとともに、その比較に基づく旅行による変化を認識可能に表示させる(ステップS38)。
【0089】
更に、ステップS34におけるケアの決定後には、ユーザがケア商品を購入するための情報として、化粧品を購入可能なウェブページへのアクセス情報を表示させる。このとき本実施例では、旅行前体調情報、旅行中体調情報及び旅行後体調情報に含まれる肌測定の結果として、旅行前後における変化を認識可能に表示する画面と同一画面上に、化粧品を購入可能なウェブページへのアクセス情報を表示させる。これにより、旅行中のケアによる効果を実感したユーザによる化粧品の購入を促進することができる。なおここでの肌測定の結果は、特定領域におけるものであることが好ましい。
【0090】
なお旅行前の肌測定及びアンケート入力の時期は限定されないが、例えば旅行の前日や当日等、旅行日に近い時期で測定及び入力が行われることが好ましい。従って、ステップS33において旅行先に関する提案をするための肌測定及びアンケート入力に加え、更に旅行直前の時期において再度肌測定及びアンケート入力が行われてもよい。その場合、ステップS34におけるケア提案及び旅行中のケアの決定は、直前の肌測定及びアンケートの入力結果に基づいて実行される。
【0091】
以上のように、本発明を利用して、旅行先の決定から旅行中の提案、旅行後のアドバイスまで含め、ユーザの旅行における体調管理を包括的に支援することができる。
【0092】
更に本実施例では、ケアの適用される特定領域外の肌における肌測定の結果を用いて、サーバ装置1が環境情報の更新を行う。具体的には、ユーザの旅行について、移動前の位置及び旅行先の2点間における環境情報の変化と、特定領域外の肌における旅行前後の肌測定の結果の変化と、をそれぞれ用いて、環境情報及び肌測定の結果の関係について分析することが想定される。分析方法については周知の統計的技法を用いることができ、例えば機械学習モデルを利用してもよい。ここで分析する情報としては、肌測定の結果を含む体調情報、行動情報、環境情報、等が挙げられる。
【0093】
より具体的には、例えば特定の地域への旅行において、移動前後の特定領域外における肌測定の結果に有意な変化が見られた場合に、当該地域の情報として、変化が見られた項目について効果があるという情報を新たに記憶することが考えられる。また、特定の行動を行ったユーザについて、当該行動前後の特定領域外における肌測定の結果に有意な変化が見られた場合に、当該行動に関する行動情報として、期待効果や適性肌タイプ、適性体質を更新することが考えられる。
【符号の説明】
【0094】
1 :サーバ装置
2 :ユーザ端末
11 :体調情報取得手段
12 :環境情報取得手段
13 :体調変化予測手段
14 :提案手段
21 :入力手段
22 :出力手段
NW :ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5