(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】レーザー基盤のエアロゾル発生装置およびその加熱制御方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20241016BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20241016BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2023519811
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 KR2022004208
(87)【国際公開番号】W WO2022220440
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0049704
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン チュル
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ギョウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】バエ、ヒュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジャン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チュル ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ミン セオク
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン セオン
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0289909(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0137877(KR,A)
【文献】特表2019-519195(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106307621(CN,A)
【文献】特表2018-508308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーを照射してエアロゾル発生物品を加熱することによってエアロゾルを発生させるレーザー照射部と、
前記レーザーの照射面積が調節されるように前記レーザー照射部を制御する制御部と、を含む、エアロゾル発生装置
であって、
前記制御部は、前記エアロゾル発生物品から反射するレーザーの特性に基づいて前記エアロゾル発生物品に対する加熱を制御する、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記エアロゾル発生物品は、ラッパーにより包まれていない円筒形のエアロゾル形成基材からなる、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記エアロゾル発生物品は、ラッパーにより包まれていない平面形のエアロゾル形成基材からなる、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記制御部は、
特定の時点
の経過
に伴い、前記レーザーの照射面積のサイズを増加させる、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記調節された照射面積のサイズは、1mm
2から10mm
2である、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記レーザー照射部は、焦点距離の調節が可能なレンズを含み、
前記制御部は、前記レンズの焦点距離を調節することによって前記レーザーの照射面積を調節する、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記レーザー照射部から前記エアロゾル発生物品までの照射距離を調節することによって前記レーザーの照射面積を調節する、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記反射するレーザーの量に基づいて前記エアロゾル発生物品のレーザー照射領域の加熱状態を判断し、前記判断の結果に基づいて前記エアロゾル発生物品に対する加熱を制御する、請求項
1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記判断の結果に基づいて前記エアロゾル発生物品のレーザー照射領域が変更されるように制御する、請求項
8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記エアロゾル発生物品および前記レーザー照射部のうち少なくとも一つは、移動可能に構成され、
前記制御部は、前記少なくとも一つの移動速度を調節することによって前記エアロゾル発生物品に対する加熱を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
レーザーを照射してエアロゾル発生物品を加熱することによってエアロゾルを発生させるレーザー照射部と、
前記レーザーの照射面積が調節されるように前記レーザー照射部を制御する制御部と、を含む、エアロゾル発生装置であって、
前記エアロゾル発生物品および前記レーザー照射部のうち少なくとも一つは、移動可能に構成され、
前記制御部は、前記少なくとも一つの移動速度を調節することによって前記エアロゾル発生物品に対する加熱を制御する、エアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザー基盤のエアロゾル発生装置およびその加熱制御方法に関する。より詳しくは、レーザー加熱を通じて即時のエアロゾル発生を保障すると同時に、精密な加熱制御機能を具備するエアロゾル発生装置および当該装置で行われる加熱制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝統シガレットの短所を克服する代替物品に関する需要が増加している。例えば、シガレットまたは液状カートリッジのようなエアロゾル発生物品を電気的に加熱することによってエアロゾルを発生させる装置(e.g.シガレット型電子タバコ、 液状型電子タバコ)に関する需要が増加していて、これによって、電気加熱式エアロゾル発生装置に関する研究が活発に行われている。
【0003】
現在まで提案された多くの電気加熱式エアロゾル発生装置は、電気抵抗性ヒーターまたは誘導加熱式ヒーターを通じてエアロゾル発生物品を加熱する方式を採択している。ところが、このような加熱方式は、ヒーター自体の昇温時間とエアロゾル発生物品が十分に加熱されるのにかかる時間に起因して喫煙前の待機時間が長いという問題点がある。また、このような問題点は、たびたびエアロゾル発生装置に対するユーザの満足度を落とすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとする技術的課題は、即時のエアロゾル発生を保障できるエアロゾル発生装置および当該装置で行われる加熱制御方法を提供することにある。
【0005】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとする他の技術的課題は、精密な加熱機能を具備するエアロゾル発生装置および当該装置で行われる加熱制御方法を提供することにある。
【0006】
本開示の幾つかの実施形態を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、効率的な加熱制御機能を具備するエアロゾル発生装置および当該装置で行われる加熱制御方法を提供することにある。
【0007】
本開示の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から本開示の技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置は、レーザーを照射してエアロゾル発生物品を加熱することによってエアロゾルを発生させるレーザー照射部と、前記レーザーの照射面積が調節されるように前記レーザー照射部を制御する制御部と、を含んでもよい。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記エアロゾル発生物品は、ラッパー(wrapper)により包まれていない円筒形のエアロゾル形成基材からなってもよい。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記エアロゾル発生物品は、ラッパー(wrapper)により包まれていない平面形のエアロゾル形成基材からなってもよい。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記制御部は、指定された時点が経過するにつれて前記レーザーの照射面積のサイズを増加させることができる。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記調節された照射面積のサイズは、1mm2~10mm2であってもよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記レーザー照射部は、焦点距離の調節が可能なレンズを含み、前記制御部は、前記レンズの焦点距離を調節することによって前記レーザーの照射面積を調節することができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記制御部は、前記エアロゾル発生物品から反射するレーザーの特性に基づいて前記エアロゾル発生物品に対する加熱を制御することができる。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記エアロゾル発生物品および前記レーザー照射部のうち少なくとも一つは、移動可能に構成され、前記制御部は、前記少なくとも一つの移動速度を調節することによって前記エアロゾル発生物品に対する加熱を制御することができる。
【0016】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法は、レーザー照射部を具備するエアロゾル発生装置の加熱制御方法において、前記レーザー照射部を制御して、エアロゾル発生物品に照射されるレーザーの面積を調節する段階を含んでもよい。
【0017】
前記技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施形態によるコンピュータプログラムは、ハードウェア結合され、レーザー照射部を制御して、エアロゾル発生物品に照射されるレーザーの面積を調節する段階を実行させるためにコンピュータ読み取り可能な記録媒体に保存されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述した本開示の幾つかの実施形態によれば、レーザーの照射面積、レーザーの反射特性および/またはエアロゾル発生物品(またはレーザー照射部)の移動速度に基づいてエアロゾル発生物品に対する加熱を精密に制御することができる。例えば、レーザーの照射面積を適切なサイズに調節(設定)することで、より精密な温度制御を行うことができ、レーザー集中によってエアロゾル形成基材の局所表面が炭化する問題をも防止することができる。または、反射したレーザーの特性に基づいてエアロゾル形成基材の炭化の有無を正確に判断することによって、炭化した部位をさらに加熱する問題をも防止することができる。しかも、加熱制御を精密に行うことによって、喫煙時に焦げた味の発現が制限され、ユーザの喫煙満足度が向上することができる。
【0019】
また、レーザー加熱方式と薄い厚さのエアロゾル形成基材を採用することによって、即時のエアロゾル発生を保障することができる。具体的に、薄い厚さのエアロゾル形成基材の表面をレーザーで加熱することで、予熱時間なしでエアロゾルが即時に発生することができる。これによって、喫煙待機時間が最小化され、エアロゾル発生装置に対するユーザの満足度が向上することができる。
【0020】
また、加熱中にエアロゾル発生物品および/またはレーザー照射部が移動するように構成されてもよい。また、このような移動によりレーザーの照射位置が変更されて、少ない数のレーザー照射部が備えられても、エアロゾル形成基材全体が効果的に加熱されることができる。
【0021】
また、適切な位置にレーザー反射部を配置したり、周辺エアロゾルを貫通したりする形態でレーザーガイド部を配置することによって、エアロゾル形成基材周辺のエアロゾルに起因してレーザー加熱の性能が落ちる問題を容易に解決することができる。
【0022】
また、レーザーを通じて瞬間的な加熱(昇温)と即時のエアロゾル発生が可能なので、ヒーター部(すなわち、レーザー照射部)に電力が持続的に供給される必要がない。例えば、電気抵抗性ヒーターを通じてシガレットを加熱するときのように持続的に電力が供給される必要がなく、エアロゾル発生が必要な時点(e.g.パフ時)にのみヒーター部に電力が供給されても関係ない。これによって、喫煙時に消耗する電力が大きく減少して、加熱効率性が向上することができる。
【0023】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置を概略的に示す例示図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品の形態を説明するための例示図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生物品の形態を説明するための例示図である。
【
図4】本開示の第1実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法を説明するための例示図である。
【
図5】本開示の第1実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法を説明するための例示図である。
【
図6】本開示の第2実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法を説明するための例示図である。
【
図7】本開示の第3実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法を説明するための例示図である。
【
図8】本開示の第3実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法を説明するための例示図である。
【
図9】本開示の第4実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法を説明するための例示図である。
【
図10】本開示の第4実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法を説明するための例示図である。
【
図11】本開示の第4実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法を説明するための例示図である。
【
図12】本開示の第1実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法を説明するための例示図である。
【
図13】本開示の第2実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法を説明するための例示図である。
【
図14】本開示の第2実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法を説明するための例示図である。
【
図15】本開示の第3実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法を説明するための例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示のメリットおよび特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形状に具現でき、単に以下の実施形態は、本開示の技術的思想が完全になるようにし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0026】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0027】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解析されない。本明細書において使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。
【0028】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用できる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。任意の構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得ると理解しなければならない。
【0029】
本開示において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0030】
本開示の多様な実施形態に対する説明に先立って、以下の実施形態において使用される幾つかの用語について明確にする。
【0031】
以下の実施形態において、「エアロゾル形成基材」は、エアロゾル(aerosol)を形成できる物質を意味し得る。エアロゾルは、揮発性化合物を含んでもよい。エアロゾル形成基材は、固体または液状でありうる。
【0032】
例えば、固体のエアロゾル形成基材は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎にする固体物質を含んでもよいし、液状のエアロゾル形成基材は、ニコチン、タバコ抽出物および/または多様な香味剤を基礎にする液状組成物を含んでもよい。しかしながら、本開示の範囲が前記列挙された例示に限定されるものではない。
【0033】
より具体的な例として、液状のエアロゾル形成基材は、プロピレングリコール(PG)およびグリセリン(GLY)のうち少なくとも一つを含んでもよいし、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つをさらに含んでもよい。他の例として、エアロゾル形成基材は、ニコチン、水分および加香物質のうち少なくとも一つをさらに含んでもよい。さらに他の例として、エアロゾル形成基材は、ケイヒ、カプサイシンなどの多様な添加物質をさらに含んでもよい。エアロゾル形成基材は、流動性の大きい液体物質だけでなく、ゲルまたは固形分形態の物質を含んでもよい。このように、エアロゾル形成基材の組成成分は、実施形態によって多様に選択することができ、その組成比率も、実施形態によって変わることができる。
【0034】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル形成基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味し得る。
【0035】
以下の実施形態において、「エアロゾル発生物品」は、エアロゾルを発生させることができる物品を意味し得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基材を含んでもよい。
【0036】
以下の実施形態において、「パフ(puff)」は、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味する。
【0037】
以下の実施形態において、「長さ方向」(longitudinal direction)は、エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品の長さ方向の軸に相当する方向を意味し得る。
【0038】
以下の実施形態において、「シート」(sheet)は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する薄層要素を意味し得る。当該技術分野において、シートという用語は、ウェブ(web)、フィルム(film)などの用語と混用して使用することができる。
【0039】
以下では、本開示の多様な実施形態について添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0040】
図1は、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置100を概略的に示す例示図である。
【0041】
図1に示されたように、実施形態によるエアロゾル発生装置100は、ハウジング、マウスピース部110、ヒーター部、バッテリー130および制御部120を含んでもよい。ただし、
図1には、本開示の実施形態と関連する構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら、
図1に示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素をさらに含んでもよいことが分かる。例えば、エアロゾル発生装置100は、ユーザから命令などを入力されるための入力モジュール(e.g.ボタン、タッチ可能なディスプレイなど)とエアロゾル発生装置100の状態、喫煙情報などを出力する出力モジュール(e.g.LED、ディスプレイ、振動モジュール)をさらに含んでもよい。以下、エアロゾル発生装置100の各構成要素について説明する。
【0042】
ハウジングは、エアロゾル発生装置100の外観を形成することができる。ハウジングは、外力から内部の構成要素を保護できる素材で具現されることが好ましい。
【0043】
幾つかの実施形態において、ハウジングは、エアロゾル発生物品150が挿入されるための空間を形成することができる。または、ハウジングは、エアロゾル発生物品150が内部の加熱空間141に挿入可能な構造からなり得る。例えば、ハウジングは、一面が開放(e.g.前面開放)されるか、一部が分離(e.g.上部と下部分離)される構造を有していてもよく、ユーザは、一面を開放したり一部を分離したりして、エアロゾル発生物品150を加熱空間141に挿入(装着)することができる。
【0044】
次に、マウスピース部110は、エアロゾル発生装置100の一端に位置し、ユーザの口部と接触するマウスピースとして機能することができる。ユーザは、マウスピース部110を通じてパフを行うことによって、エアロゾルを吸入することができる。マウスピース部110は、ハウジングの一部を占める形態で具現されてもよく、エアロゾル発生装置100に装着される別途の構造物の形態で具現されてもよい。
【0045】
次に、ヒーター部は、加熱空間141内に位置するエアロゾル発生物品150を加熱することによってエアロゾルを発生させることができる。ヒーター部の動作は、制御部120により制御することができる。
【0046】
図示のように、ヒーター部は、一つ以上のレーザー照射部140を含んでもよい。レーザー照射部140は、エアロゾル発生物品150の表面にレーザー(laser)を照射することによって、予熱時間なしで即時にエアロゾルを発生させることができる。レーザー照射部140は、レーザー光を発散(照射)するモジュールであり、例えば、半導体類型のレーザーダイオードで具現されてもよいが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。また、レーザー光は、例えば、赤外線波長を有する光であってもよいが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。場合によって、レーザー照射部140は、「レーザー光源140」と称されることがある。
【0047】
図1は、エアロゾル発生装置100が2個のレーザー照射部140を具備することを例示しているが、エアロゾル発生装置100は、一つのレーザー照射部140を具備してもよく、3個以上のレーザー照射部140を具備してもよいことはもちろんである。
【0048】
ヒーター部の細部構成および動作に関しては、
図4以降の図面を参照して詳細に後述する。
【0049】
一方、エアロゾル発生物品150は、固体状のエアロゾル形成基材151を含んでもよい。例えば、エアロゾル発生物品150は、図示のように、エアロゾル形成基材151とそれのホルダー152とで構成されてもよい。しかしながら、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0050】
また、エアロゾル発生物品150は、エアロゾル形成基材151の表面が外部に露出して、レーザーにより直接的に加熱できる構造を有していてもよい。例えば、図示のように、エアロゾル発生物品150は、ラッパー(wrapper)により包まれていないエアロゾル形成基材151がホルダー152に装着されている構造を有していてもよい。しかしながら、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0051】
また、エアロゾル発生物品150は、カートリッジの形態で製造することができる。換言すれば、エアロゾル発生物品150は、エアロゾル形成基材151をすべて消耗した後に交替される形態で製造することができる。しかしながら、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0052】
エアロゾル形成基材151の形態、厚さおよび/またはサイズなどは、多様に設計および製造することができる。ただし、局所表面を加熱するレーザー光の特性をよく活用するためには、エアロゾル形成基材151が薄い厚さで製造されることが好ましい。
【0053】
幾つかの実施形態において、
図2に示されたように、エアロゾル形成基材151を円筒形態で製造することができる。例えば、シート(または平面)形態のエアロゾル形成基材153(e.g.板状葉などのようなシート形態のタバコ物質)を加工して、中が空いた円筒形態のエアロゾル形成基材151を製造することができる。この場合、レーザー加熱により即時のエアロゾル発生を保障することができ、エアロゾル形成基材151全体を容易に加熱することもできる。付加説明すると、レーザーによりエアロゾル形成基材151の外面のみが加熱されても、薄い厚さに起因してエアロゾル形成基材151の内部まで加熱され、エアロゾルが即時に発生することができる。そして、後述するように、エアロゾル形成基材151の回転移動によりエアロゾル形成基材151全体が容易に加熱されることができる(
図4および
図5の説明部分を参照)。
【0054】
他の幾つかの実施形態において、
図3に示されたように、エアロゾル形成基材151を平面形態で製造することができる。例えば、シート形態のエアロゾル形成基材(e.g.153)がそのまま用いられたり、シート形態のエアロゾル形成基材(e.g.153)を多重で積層したりしてエアロゾル形成基材151を製造することができる。この場合にも、レーザー加熱により即時のエアロゾル発生を保障することができ、エアロゾル形成基材151全体が容易に加熱されることができる。付加説明すると、レーザーによりエアロゾル形成基材151の外面のみが加熱されても、薄い厚さに起因してエアロゾル形成基材151の内部まで加熱され、エアロゾルが即時に発生することができる。そして、後述するように、エアロゾル形成基材151の直線移動によりエアロゾル形成基材151全体が容易に加熱されることができる(
図6の説明部分を参照)。
【0055】
さらに他の幾つかの実施形態において、エアロゾル形成基材151は、
図2または
図3に例示されたものと異なる形態で製造することもできる。
【0056】
前述した実施形態において、加工されたエアロゾル形成基材151またはシート形態のエアロゾル形成基材(e.g.153)の厚さは、略5mm以下であってもよく、好ましくは、略3mm、2mmまたは1mm以下であってもよい。このような数値範囲内で、照射されたレーザーによりエアロゾル形成基材151の内部まで十分に加熱されることができる。
【0057】
また、エアロゾル形成基材151のサイズは、加熱空間141のサイズ、喫煙回数などを考慮して適切に決定することができる。例えば、エアロゾル形成基材151のサイズは、エアロゾル発生物品150の目標喫煙回数に基づいて決定することができる。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0058】
一方、本開示の幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生物品150およびレーザー照射部140のうち少なくとも一つが加熱中に移動するように構成されてもよい。また、前記移動によりレーザーの照射位置(すなわち、エアロゾル形成基材151にレーザーが照射される位置または加熱地点)が変更可能である。ここで、移動は、回転移動、直線移動だけでなく、固定された位置で角度が移動(調節)されることを含んでもよい。本実施形態において、エアロゾル発生物品150とレーザー照射部140の移動は、手動方式で具現されてもよく、自動方式で具現されてもよい。例えば、前記移動は、制御部120の制御によって自動で行われ得る。本実施形態に関しては、
図4~
図8を参照して詳細に後述する。
【0059】
次に、バッテリー130は、エアロゾル発生装置100が動作するのに用いられる電力を供給することができる。例えば、バッテリー130は、ヒーター部(e.g.レーザー照射部140)がエアロゾル発生物品150に含まれたエアロゾル形成基材151を加熱することができるように電力を供給することができ、制御部120が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0060】
次に、制御部120は、エアロゾル発生装置100の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部120は、ヒーター部(e.g.レーザー照射部140)およびバッテリー130の動作を制御することができ、また、エアロゾル発生装置100に含まれた他の構成要素の動作を制御することができる。制御部120は、バッテリー130が供給する電力、ヒーター部(e.g.レーザー照射部140)の加熱動作などを制御することができる。例えば、制御部120は、レーザー照射部140の照射強度、照射形態、照射面積などを制御することができ、レーザー照射部140および/またはエアロゾル発生物品150の移動を制御することもできる。また、制御部120は、エアロゾル発生装置100の構成それぞれの状態を確認して、エアロゾル発生装置100が動作可能な状態であるか否かを判断することもできる。
【0061】
幾つかの実施形態において、制御部120がユーザのパフが感知されることに応答してレーザー照射部140に電力が供給されるようにバッテリー130を制御することもできる。例えば、制御部120は、レーザー照射部140に持続的に電力を供給するものではなく、パフ時にのみレーザー照射部140に電力を供給するように制御することができる。この場合、エアロゾル発生装置100の消耗電力は大きく減少し、加熱効率性は大きく向上することができる。
【0062】
制御部120は、少なくとも一つのプロセッサ(processor)により具現されてもよい。前記プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイで具現されてもよく、汎用的なマイクロプロセッサとこのマイクロプロセッサで実行され得るプログラムが保存されたメモリーの組み合わせで具現されてもよい。また、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、制御部120が他の形態のハードウェアで具現されてもよいことを自明に理解することができる。
【0063】
制御部120のさらなる制御動作に関しては、
図12以降の図面を参照して後述する。
【0064】
以上では、
図1~
図3を参照して本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置100について概略的に説明した。上述したことによれば、レーザー加熱方式と薄い厚さのエアロゾル形成基材151を採用することによって、即時のエアロゾル発生を保障することができる。具体的に、薄い厚さのエアロゾル形成基材151の表面をレーザーにより加熱することで、予熱時間なしでエアロゾルが即時に発生することができる。これによって、喫煙待機時間が最小化され、エアロゾル発生装置100に対するユーザの満足度が向上することができる。
【0065】
以下では、
図4以降の図面を参照してレーザー基盤エアロゾル発生装置で行われる加熱方法と加熱制御方法について説明する。理解の便宜を提供するために、以下で後述する方法が
図1に例示されたエアロゾル発生装置100で行われることを仮定して説明を継続することとする。
【0066】
まず、
図4および
図5を参照して本開示の第1実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法について説明する。
【0067】
図4および
図5に示されたように、本実施形態は、レーザー照射部140および/またはエアロゾル発生物品150の回転移動に基づいてエアロゾル発生物品150を加熱する方法に関する。
【0068】
例えば、
図4に示されたように、レーザー照射部140は、固定された位置でレーザーを照射し、エアロゾル発生物品150が回転を通じて次第に上部方向(e.g.マウスピース部110の方向)に移動することができる。または、
図5に示されたように、エアロゾル発生物品150が回転を通じて下部方向に移動することができる。換言すれば、エアロゾル発生物品150の回転移動を通じてレーザーの照射位置が変更されて、エアロゾル形成基材151が加熱されることができる。この場合、少ない数のレーザー照射部140を通じてもエアロゾル形成基材151全体が容易に加熱されることができる。
【0069】
前述した例示において、エアロゾル発生物品150またはエアロゾル形成基材151の回転移動を具現する方式は多様である。例えば、
図4または
図5に示されたように、エアロゾル発生物品150は、螺旋形(またはスプリング形態)からなる回転ガイド部154をさらに含んでもよい。そして、エアロゾル発生物品150の回転移動は、回転ガイド部154に沿ってホルダー152が回転する方式で具現されてもよい。しかしながら、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0070】
他の例として、レーザー照射部140がエアロゾル発生物品150の周辺を回転移動しながらレーザーを照射することもできる。
【0071】
以下では、
図6を参照して本開示の第2実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法について説明する。
【0072】
図6に示されたように、本実施形態は、レーザー照射部140またはエアロゾル発生物品150の直線移動に基づいてエアロゾル発生物品150を加熱する方法に関する。
【0073】
例えば、
図6に示されたように、レーザー照射部140は、固定された位置でレーザーを照射し、エアロゾル発生物品150が長さ方向(すなわち、上下方向)またはその垂直方向(すなわち、左右方向)に移動することができる。換言すれば、エアロゾル発生物品150の直線移動を通じてレーザーの照射位置が変更(e.g.上下左右に変更)されて、エアロゾル形成基材151が加熱されることができる。この場合、少ない数のレーザー照射部140を通じてもエアロゾル形成基材151全体が容易に加熱されることができる。
【0074】
前述した例示において、エアロゾル発生物品150の直線移動を具現する方式は多様であり、いかなる方式で具現されても関係ない。
【0075】
他の例として、レーザー照射部140が長さ方向またはその垂直方向に移動しながらレーザーを照射することもできる。
【0076】
以下では、
図7を参照して本開示の第3実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法について説明する。また、以下では、理解の便宜を提供するために、エアロゾル形成基材151が平面形であることを仮定して説明を継続することとする。ただし、以下の説明内容は、エアロゾル形成基材151が円筒形または他の形態である場合にも、実質的な技術的思想の変更なしに適用可能である。
【0077】
図7に示されたように、本実施形態は、レーザー照射部140またはエアロゾル発生物品150の角度移動(調節)に基づいてエアロゾル発生物品150を加熱する方法に関する。
【0078】
例えば、
図7に示されたように、レーザー照射部140は、固定された位置で照射角度を変更して、エアロゾル形成基材151を加熱することができる。より具体的な例として、レーザー照射部140は、上下角度または左右角度を変更して、エアロゾル形成基材151を加熱することができる。換言すれば、レーザー照射部140の角度移動を通じてレーザーの照射位置が変更(e.g.上下左右に変更)されて、エアロゾル形成基材151が加熱されることができる。この場合、少ない数のレーザー照射部140を通じてもエアロゾル形成基材151全体が容易に加熱されることができる。
【0079】
他の例として、レーザー照射部140は、固定された角度でレーザーを照射し、エアロゾル発生物品150の上下左右角度(傾くこと)が変更されることもできる。
【0080】
一方、
図7は、一つのレーザー照射部140が配置されたことを例示しているが、上記で説明したように、複数のレーザー照射部140が配置されてもよい。例えば、エアロゾル形成基材151の一面を加熱する第1レーザー照射部と他の面(e.g.反対面)を加熱する第2レーザー照射部が配置されてもよい。
【0081】
以下では、
図8を参照して本開示の第4実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法について説明する。
【0082】
図8に示されたように、本実施形態は、レーザー照射部140-1、140-2の角度移動とエアロゾル発生物品150の直線移動(または回転移動)に基づいてエアロゾル発生物品150を加熱する方法に関する。
図8は、複数のレーザー照射部140-1、140-2が配置されたことを例示しているが、場合によって一つのレーザー照射部140が配置されてもよいことはもちろんである。
【0083】
例えば、
図8に示されたように、第1レーザー照射部140-1は、平面形エアロゾル形成基材151の一面に向かって照射角度を変更しながらレーザーを照射し、第2レーザー照射部140-2は、エアロゾル形成基材151の他の面(e.g.反対面)に向かって照射角度を変更しながらレーザーを照射することができる。そして、エアロゾル発生物品150は、直線移動(または回転移動)を行うことができる。より具体的な例として、各レーザー照射部140-1、140-2は、上下角度を変更しながらエアロゾル発生物品150を加熱し、エアロゾル発生物品150は、左右方向(すなわち、長さ方向の垂直方向)に直線移動(e.g.直線往復運動)を行うことができる。または、各レーザー照射部140-1、140-2は、左右角度を変更しながらエアロゾル発生物品150を加熱し、エアロゾル発生物品150は、上下方向(すなわち、長さ方向)に直線移動(e.g.直線往復運動)を行うこともできる。いかなる場合でも、レーザー照射部140-1、140-2の角度移動とエアロゾル発生物品150の直線移動を通じてエアロゾル形成基材151全体が容易に加熱されることができ、エアロゾル発生物品150の移動程度(距離)が大きく減少することができる。
【0084】
以下では、
図9~
図11を参照して本開示の第5実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法について説明する。
【0085】
本実施形態は、エアロゾルが発生するにつれてレーザー加熱の効率が低下する問題点を解決するための方法に関するが、理解の便宜を提供するために、
図9を参照して問題点についてまず説明する。
【0086】
図9に示されたように、レーザー加熱によりエアロゾル形成基材151が加熱されるにつれてエアロゾル形成基材151の周辺にエアロゾル155が形成されてもよい。ところが、このように形成されたエアロゾル155がレーザー加熱の効率を落とす妨害要因として作用することができる。例えば、レーザーの照射経路上に位置するエアロゾル155によりレーザー光の吸収、散乱などの現象が発生することによって、レーザー加熱の効率が低下することがある。すなわち、エアロゾル155に起因してエアロゾル形成基材151に到達するレーザー光のエネルギーが減少する問題が発生することがある。
【0087】
上記のような問題点を解決するための、本開示の幾つかの実施形態によるヒーター部は、
図10に示されたように、レーザー反射部142をさらに含んでもよい。レーザー反射部142は、エアロゾル発生物品150の下部方向に位置し、照射されたレーザーを上部方向に位置するエアロゾル発生物品150に向かって反射させることができる。この場合、照射したレーザーがエアロゾル形成基材151周辺のエアロゾル155を迂回してエアロゾル形成基材151に到達したり、気流方向(すなわち、上部方向)にレーザーが反射したりするにつれてレーザーとエアロゾル155間の接触が最小化することができる。また、これによって、エアロゾル155によるレーザー加熱の効率低下問題を解決することができる。
【0088】
本開示の他の幾つかの実施形態において、
図11に示されたように、ヒーター部が、照射されたレーザーをエアロゾル形成基材151までガイドするレーザーガイド部143をさらに含んでもよい。レーザーガイド部143は、管(e.g.導波管、拡散管)形態からなり、エアロゾル形成基材151周辺のエアロゾル155を貫通する形態で配置されてもよい。この場合、レーザーガイド部143内部の通路を通じて照射されたレーザーがエアロゾル形成基材151までエネルギー損失なしで到達することができるので、エアロゾル155によるレーザー加熱の効率低下問題を解決することができる。
【0089】
以上では、
図4~
図11を参照して第1~第5実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱方法について説明した。各実施形態を区分して説明したが、上述した実施形態は、多様な形態で組み合わせることができる。
【0090】
以下では、
図12以降の図面を参照してエアロゾル発生装置の加熱制御方法について説明する。
【0091】
以下で後述する加熱制御方法は、プロセッサを具備するコンピューティングモジュール(e.g.制御部120)により実行される一つ以上のインストラクションで具現されてもよい。また、以下では、理解の便宜を提供するために、前記加熱制御方法が
図1に例示されたエアロゾル発生装置100の制御部120により行われることを仮定して説明を継続することとする。したがって、特定段階/動作の実行主体に対する記載が省略された場合、例示されたモジュール120により行われるものと理解できる。
【0092】
まず、
図12を参照して本開示の第1実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法について説明する。
【0093】
図12に示されたように、本実施形態は、レーザーの照射面積(または照射形態)に基づいて加熱制御を行う方法に関する。例えば、制御部120は、レーザー照射部140を制御してレーザーの照射面積を調節することができ、照射面積が調節されることによって、エアロゾル発生物品150に対する加熱を精密に制御することができる。
【0094】
具体的に、レーザー照射部140が同じ強度(出力)でレーザーを照射すると仮定したとき、レーザーが照射された領域144、145の面積によって加熱温度(または加熱強度)が変わる。例えば、第1照射領域144の面積は、第2照射領域145の面積より小さいので、第1照射領域144が第2照射領域145より高い温度で加熱されることができる。照射面積が小さくなるほどレーザーエネルギーが集約され、照射面積が大きくなるほどレーザーエネルギーが分散して、単位面積当たりの加熱強度が減少するためである。
【0095】
したがって、制御部120は、照射面積(すなわち、照射面積のサイズ)を調節することによって、エアロゾル発生物品150に対する精密な加熱制御機能を行うことができる。ただし、その具体的な加熱制御方式は多様である。
【0096】
一例として、制御部120は、エアロゾル発生物品150の加熱温度に基づいて照射面積のサイズを増減させることができる。例えば、制御部120は、エアロゾル発生物品150の加熱温度が基準値以上という判断に応答して、照射面積のサイズを増加させることができる。または、制御部120は、エアロゾル発生物品150の加熱温度が基準値未満という判断に応答して、照射面積のサイズを減少させることができる。このような制御によって、エアロゾル発生物品150の加熱温度が精密に制御されることができる。
【0097】
他の例として、制御部120は、エアロゾル形成基材151の加熱状態(e.g.炭化程度)に基づいて照射面積のサイズを増減させることができる。例えば、制御部120は、エアロゾル形成基材151の特定部位が基準値以上炭化(加熱)されたという判断に応答して、照射面積のサイズを増加させることができる。または、制御部120は、エアロゾル発生物品150の特定部位が基準値未満で炭化(加熱)されたという判断に応答して、照射面積のサイズを減少させることができる。このような制御によって、喫煙中に焦げた味が発現する問題を大きく軽減することができる。
【0098】
さらに他の例として、制御部120は、喫煙経過時間に基づいて照射面積のサイズを増減させることができる。具体的に、制御部120は、喫煙序盤には、即時のエアロゾル発生のために相対的に小さいサイズの照射面積でエアロゾル発生物品150を加熱し、喫煙中盤からは、炭化現象などを防止するために相対的に大きいサイズの照射面積でエアロゾル発生物品150を加熱することができる。すなわち、制御部120は、指定された時点が経過するにつれてレーザーの照射面積のサイズを増加させることができる。場合によって、喫煙後半の喫味を向上させるために、制御部120は、喫煙後半にさらに相対的に小さいサイズの照射面積でエアロゾル発生物品150を加熱することもできる。
【0099】
前述した例示において、調節された(増加した)レーザー照射面積のサイズは、約0.5mm2~20mm2、1mm2~10mm2、1mm2~8mm2、1mm2~6mm2、2mm2~6mm2または約2mm2~4mm2であってもよい。このような数値範囲内でエアロゾル形成基材151が適切に加熱されることができる。例えば、照射面積のサイズが非常に小さい場合(e.g.0.5mm2以下)には、レーザーエネルギーが過度に集約されて、エアロゾル形成基材151の局所表面が炭化することができる。反対に、照射面積のサイズが非常に大きい場合(e.g.10mm2以上)には、レーザーエネルギーが過度に分散して、エアロゾル形成基材151がほとんど加熱されないことがある。
【0100】
一方、レーザーの照射面積を調節する具体的な方式も多様である。
【0101】
一例として、焦点距離を調節することによってレーザーの照射面積を調節することができる。レーザー照射部140とエアロゾル発生物品150間の距離が一定であるとき、焦点距離が変わると、レーザーが照射される面積が変わるためである。より具体的な例として、レーザー照射部140が焦点距離の調節が可能なレンズ(e.g.VCMレンズ)を含む場合、制御部120がレンズの焦点距離を調節することによって、レーザーの照射面積を調節することができる。しかしながら、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0102】
他の例として、特性(e.g.焦点距離、レーザー照射面積など)が異なる複数のレンズを具備し、レーザー照射部140のレンズを他のレンズに変更(交換)することで照射面積を調節することもできる。
【0103】
さらに他の例として、レーザー照射部140からエアロゾル発生物品150までの照射距離を調節することによって、照射面積を調節することもできる。レーザー照射部140が具備するレンズの焦点距離が一定であるとき、レーザー照射部140とエアロゾル発生物品150間の距離が変わると、レーザーが照射される面積が変わるためである。具体的な例として、制御部120は、レーザー照射部140および/またはエアロゾル発生物品150のうち少なくとも一つを移動させることによって、照射距離を調節することができる。
【0104】
以下では、
図13および
図14を参照して本開示の第2実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法について説明する。
【0105】
図13は、本開示の幾つかの実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法を概略的に示す例示的なフロチャートである。特に、
図13は、レーザーの反射特性に基づいてエアロゾル発生物品150に対する加熱を制御する方法を概略的に示している。
【0106】
図13に示されたように、本実施形態による加熱制御方法は、レーザー加熱を始める段階S10から始まることができる。例えば、制御部120は、レーザー照射部140に電力が供給されるように制御することができ、電力が供給されるにつれてレーザー照射部140がエアロゾル発生物品150に向かってレーザーを照射することができる。
【0107】
段階S20で、エアロゾル発生物品150から反射するレーザーの特性を測定(分析)することができる。例えば、制御部120は、受光素子(e.g.フォトダイオード)を用いてエアロゾル発生物品150から反射するレーザー光を検出し、検出されたレーザー光の特性を測定(分析)することができる。ここで、レーザー光の特性は、例えば量、波長、周波数、エネルギーレベルなどを含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0108】
段階S30で、測定結果に基づいてレーザーが照射された領域(すなわち、エアロゾル形成基材151のレーザー照射領域)の加熱状態を判断することができる。例えば、制御部120は、反射したレーザーの特性に基づいて照射領域の炭化程度、温度などを判断することができる。より具体的な例として、制御部120は、反射したレーザーの量に基づいて照射領域の炭化程度を判断することができる。より理解の便宜を提供するために、
図14を参照して付加説明する。
【0109】
図14は、エアロゾル形成基材151の第2照射領域147が第1照射領域146より炭化した場合を例示している。
【0110】
図14を参照すると、タバコ物質のような通常のエアロゾル形成基材151は、炭化するにつれて色が変わる(e.g.色が茶色→黒色→灰色に変更される)。また、色が変わると、反射するレーザー148、149の特性も変わるため、反射するレーザー148、149の特性に基づいて当該領域146、147の炭化程度を判断することができる。例えば、第2照射領域147の色が炭化によって茶色から黒色に変更されると、第2照射領域147がレーザー光をさらに多く吸収するため、反射するレーザー149の量が減少する。したがって、制御部120は、反射するレーザー149の量に基づいて第2照射領域147の炭化程度を判断することができる。
【0111】
【0112】
段階S40で、判断結果に基づいて加熱制御を行うことができる。ただし、その具体的な加熱制御方式は多様である
【0113】
一例として、判断結果に基づいてレーザーの照射位置を制御することができる。例えば、エアロゾル形成基材151の現在照射領域が基準値以上で炭化したと判断された場合、制御部120は、現在照射領域を他の部位に変更することができる(e.g.炭化しない 部位に変更する)。つまり、制御部120は、レーザー照射部140および/またはエアロゾル発生物品150を移動させることによって、現在照射領域を変更することができる。制御部120は、一つ以上の候補領域にレーザーを照射し、反射するレーザーに基づいて各候補領域の炭化程度を判断し、炭化程度が基準値以下の候補領域に現在照射領域を変更することもできる。または、制御部120は、ランダムな地点に現在照射領域を変更することができる。または、エアロゾル形成基材151の各領域を順次に加熱する場合なら、制御部120は、現在照射領域を次の領域に変更することもできる。
【0114】
他の例として、判断結果に基づいてレーザーの照射面積を調節することもできる。これに対し関しては、
図12の説明部分を参照する。
【0115】
さらに他の例として、判断結果に基づいてレーザーの照射強度を制御することもできる。つまり、エアロゾル形成基材151の現在照射領域が基準値以上で炭化したと判断された場合、制御部120は、レーザーの照射強度を減少させることができる。反対の場合なら、制御部120は、レーザーの照射強度を増加させることができる。
【0116】
さらに他の例として、判断結果に基づいてレーザー照射部140および/またはエアロゾル発生物品150の移動速度を制御することもできる。つまり、エアロゾル形成基材151の現在照射領域が基準値以上で炭化したと判断された場合、制御部120は、レーザー照射部140および/またはエアロゾル発生物品150の移動速度を増加させることができる。反対の場合なら、制御部120は、前記移動速度を減少させることができる。
【0117】
以下では、
図15を参照して本開示の第3実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法について説明する。
図15において、矢印の太さは、移動速度V1、V2の大きさを意味する。
【0118】
図15を参照すると、本実施形態は、エアロゾル発生物品150および/またはレーザー照射部140の移動速度に基づいて加熱制御を行う方法に関する。例えば、図示のように、制御部120は、エアロゾル発生物品150の移動速度(e.g.V1、V2)を制御して、エアロゾル発生物品150に照射される単位面積当たりのレーザーエネルギーの量(すなわち、単位面積当たりのレーザーの照射時間または単位面積当たりの加熱強度)を調節することができ、これによって、エアロゾル発生物品150に対する加熱を精密に制御することができる。
【0119】
具体的に、レーザー照射部140が同じ強さ(出力)と照射面積でレーザーを照射すると仮定したとき、エアロゾル発生物品150の移動速度(e.g.V1、V2)によって照射領域156、157の加熱強度(または加熱温度)が変わる。例えば、エアロゾル発生物品150が相対的に遅い速度V1で移動する場合には、照射領域156がレーザーに露出する時間が長いため、相対的に高い強度で加熱されることができる。これとは反対に、エアロゾル発生物品150が相対的に速い速度V2で移動する場合には、照射領域157がレーザーに露出する時間が短いため、相対的に低い強度で加熱されることができる。
【0120】
したがって、制御部120は、レーザー照射部140および/またはエアロゾル発生物品150の移動速度を調節することによって、エアロゾル発生物品150に対する加熱を精密に制御することができる。例えば、制御部120は、レーザー照射部140および/またはエアロゾル発生物品150の移動速度を増減させることによって、エアロゾル発生物品150の加熱強度(程度)を精密に制御することができる(e.g.移動速度を減少させることによって、加熱強度を高め、移動速度を増加させることによって加熱強度を低減する)。
【0121】
以上では、
図12~
図15を参照して本開示の第1~第3実施形態によるエアロゾル発生装置の加熱制御方法について説明した。各実施形態を区分して説明したが、上述した実施形態は多様な形態で組み合わせることができる。
【0122】
以上で
図1~
図15を参照して説明された本開示の技術的思想または制御部120の動作に関する技術的思想の少なくとも一部は、コンピュータが読み取り可能な媒体上にコンピュータが読み取り可能なコードで具現されてもよい。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、例えば移動型記録媒体(CD、DVD、ブルーレイディスク、USB保存装置、移動式ハードディスク)であるか、固定式記録媒体(ROM、RAM、コンピュータ具備タイプハードディスク)であってもよい。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された前記コンピュータプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して他のコンピューティング装置に転送されて前記他のコンピューティング装置に設置されてもよく、これによって、前記他のコンピューティング装置において使用できる。
【0123】
以上、添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものでないことを理解しなければならない。本開示の保護範囲は、下記の請求範囲により解されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本開示により定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解されるべきである。