(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ファインバブル発生装置
(51)【国際特許分類】
B01F 25/40 20220101AFI20241016BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20241016BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20241016BHJP
B01F 23/2373 20220101ALI20241016BHJP
【FI】
B01F25/40
B01F23/20
B05B1/02 101
B01F23/2373
(21)【出願番号】P 2021036274
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】710007423
【氏名又は名称】川崎 和博
(72)【発明者】
【氏名】川崎 和博
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-054987(JP,A)
【文献】特開2017-176950(JP,A)
【文献】特開2020-163241(JP,A)
【文献】特開2009-082906(JP,A)
【文献】実開平05-044291(JP,U)
【文献】特開平10-328543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 25/40
B01F 23/20
B05B 1/02
B01F 23/2373
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流の流入路(1)
の水流方向と排出路(2)
の水流方向を
、同軸心で延長方向に開口し、その中間部分を流入路(1)よりも少なくとも径大の取付け孔(13)付きの空洞状容器体(A)
となる「拡張室付きの流路」とし、
該、取付け孔(13)部にファインバブル発生器用羽根(4と反転流路用受け皿(11)を着脱自在と
することで、空洞状容器体(A)の水流路と、ファインバブル発生器用羽根
(4)付きの水流路としたことを特徴とする、ファインバブル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中にファインバブルを発生させるための部材ないし器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体中の微細な気泡を利用する技術が注目されている。これらの液体中の微細な気泡は、その大きさによってミリバブル/サブミリバブル、マイクロバブル、ウルトラファインバブルなどに以前は区別され、現在では、マイクロバブルとウルトラファインバブルの両者を、ファインバブルと定義するようになってきた。
【0003】
ミリバブル/サブミリバブルは、水中で気泡の直径が100μm程度(髪の毛直径程度。)から始まり、さらに大きい泡寸法までを含み、気泡は目視可能であり、例えば、直径1mm(1,000μm)の気泡の場合であれば、水中で約5~6m/分の速度で上昇し、水表面に達すると破裂し消滅と、早く上昇して早く消滅する。
【0004】
次に、ファインバブルと定義されていた内の1つ目、以前にマイクロバブルと分類されていた気泡を含む水の場合であれば、泡径が1μm~100μm程度の範囲のものを対象とし、水中では白濁状態で気泡を目視でき、その気泡は非常にゆっくりと上昇し、例えば、直径10μmの気泡の場合であれば、常温の水中で3mm/分の遅い速度で上昇しており、水中で気泡が収縮し完全溶解し、その後消滅している。
【0005】
ファインバブルと定義されていた内の2つ目、以前にウルトラファインバブルと分類されていた泡径が数十nm~1μm程度の範囲のもので、別称ナノバブルとも呼ばれ泡径が数十nm~1μm程度のものは、水中では泡が無色透明状態なので目視では不可能となり、その目視では見えないが存在している気泡は、水中に浮くとゆうより粘性が大きく微細振動を続け、数週間~数カ月間に亘って水中での寿命があり、すぐには消滅しない。
【0006】
本願発明は、このようなマイクロサイズ気泡の「マイクロバブル」や、ナノサイズ気泡の「ウルトラファインバブル」(前呼称ナノバブル)を、新たに「ファインバブル」「と定義し、ファインバブルを発生する発生器を、水道の蛇口または水道管途中に取付けて、給水時の給水管内に簡単に微小な気泡を入れる、その気泡発生器をより簡単に製造し、容易に使用しょうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-33962号公報
【文献】特開2017-225908号公報
【文献】特開2018-111197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来から、背景技術として説明のように、マイクロバブルとウルトラファインバブルの両者をファインバブルと定義すると、ファインバブルを流路の途中で発生させる発生器には、大きく分けると先ず、特許文献1で示す、軸方向に1軸のみの発生器で発生する「直列1軸流発生方式」がある。
【0009】
次に、特許文献2で示す、流路を軸方向に2列に分岐し、それぞれの列に発生器を設けて発生する「並列2軸流発生方式」がある。
また、特許文献3で示す、軸を2重軸とし、それぞれの軸廻りに発生器を設けて発生する「直列2重軸流発生方式」がある。
【0010】
このような従来方式のファインバブルでは、軸流方向に1軸のみの発生器で発生する「直列1軸流発生方式」は発生具の軸長に対し、入口蓋側の部材と出口蓋側の部材が必要なので、全体的に発生器軸長方向の長さがある程度決まってしまうものです。
例えば、既存の設備である水道の手洗い蛇口部に、本願発明の発生器を後付けで取り付ける場合を想定すると、発生器の全長を小さく押さえないと、水出口が下がり過ぎて手洗い姿勢が、腰を曲げなければならず疲れるように成る。
【0011】
次に、流路を軸方向に2列に分岐し、それぞれの列に発生器を設けて発生する「並列2軸流発生方式」に成ると、発生具部分の有効長さが並列の分増えるので、この分短くでき、発生器全長を短くすることでは特許文献1よりも進歩している。
また、特許文献3で示す、軸を2重軸とし、それぞれの軸廻りに発生器を設けて発生する「直列2重軸流発生方式」も、同様に発生具部分の有効長さが2重軸の分増えるので、発生器全長を短くすることは可能と成る。
【0012】
しかし、「並列2軸流発生方式」や「直列2重軸流発生方式」では、発生具部分の有効長さは、最長でも2倍までであり、発生器の軸長方向長さをもっと短くするには、更なる改良が必要であり、本願発明はその点を改良し、水流方向の突出長さをなるべく短くしながらファインバブルを発生する能力は低下させない、むしろ向上すると考える構成を述べるものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従来構成のファインバブル発生器は、内挿する発生具を1軸や並列2軸や2重軸にすることで気泡の発生性能向上を図っている。
本願発明では、流水の入口と出口を有する単なる「空洞状容器体」に、何も取付けないときは「拡張室付きの流路」、この部屋にファインバブル発生具の一部である発生器用羽根と反転流路用受け皿を内挿状に取付けた場合、「ファインバブル発生装置」として使うものである。
【0014】
そして、そのファインバブル発生器用羽根を1枚の円形板で構成したものを、複数枚組み合わせて積層状とした「ファインバブル羽根群」とし、この羽根群内に一つの流路だけではなく複数の流路を生じさせながら、簡単に組み立てることのできる形状を提供する。
つまり羽根群とした場合、一軸目の、順方向への「入力流路」と二軸目の逆方向に反転する「反転流路」と、三軸目の順方向への「出口流路」を同軸心状態として設けている構造を特徴としているものである。
【発明の効果】
【0015】
本願発明は、「ファインバブル羽根群」内に設ける流路を、一軸目の順方向への「入力流路」と二軸目の「反転流路」と三軸目の順方向への「出口流路」を、同軸心状態として設けているので、順方向だけに液流のある「空洞状容器体」に「ファインバブル羽根群」と「反転流路用受け皿」を挿入取付けするだけで、流路が「順方向流路」から「反転流路」へと替わり、さらに又「順方向流路」へと切り替わり流れるから、軸長の長い短軸や二重軸のファインバブル発生器と同等の効果を、軸長を短くして達成できる。
【0016】
また、ファインバブル発生羽根を1枚の円形板である単体羽根とし、これを積層したファインバブル発生器用羽根として構成しているので、「空洞状容器体」に配設する拡張室に対し、単体羽根の厚みを半分にすると2倍の枚数のファインバブル発生器用羽根が収納でき、3分の1にすると3倍の枚数のファインバブル発生器用羽根が収納可能となる。
【0017】
これは、1枚の円形板である単体羽根の各流路の円周部分に、1段の気泡発生部を複数個設けた気泡発生部群として単体羽根に加工刻設する場合、気泡発生部及び気泡発生部群の形状を大・小変更するに伴ない、同時に、単体羽根の厚みも自動的に大・小比例して変更可能であり、気泡発生部の形状設定が容易となる。
つまり、気泡発生部の性能が研究の過程により変遷する場合、常に最良の気泡発生部の形状を追うことが簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図1部材の主要部を、分解して示す分解説明全体図である。
【
図3】本願主要部品のファインバブル羽根を、上流側から見た斜視図である。
【
図4】同じく主要部品のファインバブル羽根を、下流側から見た斜視図である。
【
図5】積層した主要部品を収納するための、空洞状容器体である。
【
図6】別図例の主要部品ファインバブル羽根を、上流側から見た斜視図である。
【
図7】同上、別図例ファインバブル羽根を、下流側から見た斜視図である。
【
図9】同様に、
図6主要部の、第2図例(変形例)である。
【
図10】ファインバブル羽根(三角断面)の、標準配置説明図である。
【
図11】ファインバブル羽根(三角断面)の、変形配置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一口で述べると、
図5で示す、流水の入口と出口を有する単なる「空洞状容器体」(A)に、何も取付けないときは「拡張室付きの流路」とし、この拡張室部分に
図1・
図2で示すファインバブル発生具である1枚の発生羽根を複数枚積層した羽根群とし、この羽根群であるファインバブル発生器用羽根(4)と反転流路用受け皿(11)を内挿取付けして「ファインバブル発生装置」(5)とし、流水路中に簡単容易にファインバブル発生装置を備えようとするものであり、以下、図例に基づいて本願発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の実施の形態及び説明文言は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
流路を水道水の流路で説明する。
図1における全体側断面図の構成を、水道ホースの中間部分に取り付けるものとして述べる。
先ず、構成から説明する。
図5で示すように、排出路(2)を有する大径筒体(10)は、流入路(1)付きの蓋体(12)で閉鎖されて、両者で「空洞状容器体」(A)を構成している。(16)はOリングであって、ネジ間(17)から外部への漏水防止として取り付けられている。
【0021】
流入路(1)の外周部には雄ネジ部(15)が設けられ、ここを、水道ホース又は蛇口(図示せず。)に取り付けて水を流すと水が容器内に流れ込み、排出路(2)から流れ出す。
このままでは単なる「拡張室付きの流路」を有した「空洞状容器体」(A)というだけなので、この拡張室部分である大径筒体(10)の取付け孔(13)部に、ファインバブル発生用として、次に説明する単体羽根(8)を複数段積層したファインバブル発生器用羽根(4)として組上げた、全体の組上げ品を挿入固定して取り付ける。
【0022】
単体羽根(8)は、
図3で示すように所定厚み(H)の円盤状板で、中央部に流入水が通過するための通過孔(3)を中心に、その外周に設ける一次ファインバブル羽根群(6)・(6)・・・の水通過孔である反転流路(9)と、さらに外周に設ける二次ファインバブル羽根群(7)・(7)・・・の水通過孔である順方向流路(14)の3流路を、1枚の単体羽根(8)部分に設けている。
【0023】
そして、各流路の外周には、流路の隔離壁である外周壁が設けてある。流入水が通過するための通過孔(3)外周には孔内周壁(3a)が、 一次ファインバブル羽根群(6)・(6)・・・の水通過孔である反転流路(9)外周には羽根群外周壁(6a)が、さらに外周に設ける二次ファインバブル羽根群(7)・(7)・・・の水通過孔である順方向流路(14)の外周には最大径周壁(7a)が、それぞれ設けられている。
【0024】
所定厚み(H)で円盤状の単体羽根(8)は、それぞれの周壁の上下の面間の厚みも同寸法として、平面度を均一に保っている。
そして、この単体羽根(8)を、
図1や
図2のファインバブル発生器用羽根(4)で示すように15枚程度層状に積み重ね、反転流路用受け皿(11)を大径筒体(10)に挿入した後、筒体の取付け孔(13)にファインバブル発生器用羽根(4)を、単体羽根(8)の最大径周壁(7a)が接当するように取り付ける。
【0025】
これにより、
図1で示すように、流入路(1)から入り、通過孔(3)を経た水は、反転流路用受け皿(11)の内側案内面(11a)により、水の進行方向が閉鎖され、受け皿(11)の円形状端面(18)が羽根群外周壁(6a)に接当しているから、水は一次ファインバブル羽根群(6)・(6)・・・の反転流路(9)に流入する。
さらに、反転流路(9)に流れ込んだ水は、一次ファインバブル羽根群(6)・(6)・・・を通過時にファインバブルを発生しながら蓋体(12)部まで流れる。
【0026】
蓋体(12)には、
図1・
図2を主体に説明すると、流入路(1)回りの内周端面(19)と、ファインバブル発生器用羽根(4)側の最大径周壁(7a)を押圧する外周端面(20)の円形状リブが設けられ、そのリブ高さは内外の平面度寸法が管理され、単体羽根(8)の孔内周壁(3a)と最大径周壁(7a)とに接当する。
蓋体(12)のネジ間(17)を締めこむことで、大径筒体(10)の取付け孔(13)に取り付けられ規制面(21)で動きを規制されるファインバブル発生器用羽根(4)は
水流入方向の前後面を加圧し、前述した3流路の流路を分離し保持する。
【0027】
蓋体(12)の内側に達した水は、内周端面(19)方向から外周端面(20)方向に押されることで順方向流路(14)に流入する。
順方向流路(14)には二次ファインバブル羽根群(7)・(7)・・・が複数個設けられ、順方向流路(14)を流れる水には、更なるファインバブルが追加される。
順方向流路(14)を通過した水は、受け皿(11)の4個の支脚(22)間を抜けて流出路(2)から装置外に出ていく。
【0028】
本願発明は、前述のように水流路途中に空洞状容器体(A)を取り付け、何も内挿取付けしない場合は単なる流路の継ぎ手として使用すること。
容器体の大径筒体(10)部に単体羽根(8)を複数段積層したファインバブル発生器用羽根(4)と反転流路用受け皿(11)を取り付けることで、簡単にファインバブル発生装置が出現すること。
さらに、ファインバブル発生器用羽根(4)を構成する部材を、1枚の単体羽根(8)の集積集合体とすることで、安価に手配できるようにするものである。
【0029】
そして、単体羽根(8)には、通路孔(3)と反転流路(9)と順方向流路(14)とに、流路を1部材中に3流路有しているので、単純に考えても全長方向の軸長を短くできる。
また、3流路内部の構成を組み替えることで、ファインバブル製造機としての全体性能を簡単に変更できる。
【0030】
ファインバブル製造性能は明確に示さなかったが、先行技術文献で引用の各特許文献で表示の網状のひし形凸部でも良く、引用されていないが、三角形の凸部でも卍状の板でも良く、ファインバブルを発生する構成なら、別段特定するものではない。
本願は、3流路でどこかの流路にファインバブル発生部を取り付けた単体羽根(8)を、
同一形状に製作し、同一形状の単体羽根(8)をどのように簡単容易に組み立て重合すれば、ファインバブル発生器用羽根(4)が出来上がるか、次に説明する。
【0031】
単体羽根(8)の周壁には、上流側から見た斜視図の、
図3では孔内周壁(3a)のファインバブル羽根とファインバブル羽根との間に突起部(23)が設けられ、下流側から見た斜視図の、
図4では孔内周壁(3a)の1個のファインバブル羽根中央突縁(6b)と略同部分に凹部(24)の溝が設けられている。この突起部(23)と凹部(24)を噛合わせると、単体羽根(8)の反転流路(9)内に設けるファインバブル羽根は、羽根半枚分ずつズラシていく1/2ズラシとなる。
【0032】
図10で示す、ファインバブル羽根(三角断面)の標準1/2ズラシの配置を、説明図を用いて説明する。これは、水流に対し次段の単体羽根の中央突縁を1/2ズラシている。
例えば、図面下方側から水流のある反転流路(9)とすると、最初の単体羽根(8)の一次ファインバブル羽根群(6)・(6)・・・の羽根(6)・(6)間に流入した水の流れ(27)と隣の水の流れ(28)は、次の2番目の単体羽根(8a)列部に流れる。
2番目の単体羽根(8a)に設ける、一次ファインバブル羽根群(6)・(6)・・・の羽根(60)に設けたファインバブル羽根群中央突縁(60b)に流入する水の流れ(27)は、中央突縁(60b)部により略左右同量で2等分に分割され、右方向への水の流れ(27R)と左方向への水の流れ(27L)とに分かれる。
【0033】
隣の水の流れ(28)も同様に、ファインバブル羽根群中央突縁(60b)に流入する。隣の水の流れ(28)は、中央突縁部で略2分割され右方向への水の流れ(28R)と左方向への水の流れ(28L)とに分かれる。
このように、全ての一次ファインバブル羽根群(6)・(6)・・・(60)・(60)・・・の羽根群には水流が当たり、それぞれのファインバブル羽根群中央突縁(6b)・(60b)で左右に略等分に近い量で分流され、分流後の水流はまた次の3番目の単体羽根(8b)へと流入する。このように、1/2ズラシの場合、水流は、ある程度の方向性をもって流れる。
【0034】
また、別図例の
図11で示す、ファインバブル羽根(三角断面)の配列について、説明図を用いて説明する。これは、水流に対し次段の単体羽根の中央突縁を1/4ズラシている。
つまり、図中の水の流れ(27)が、2番目の単体羽根(8a)に設ける、一次ファインバブル羽根群(6)・(6)・・・の羽根(60)に設けたファインバブル羽根群中央突縁(60b)から、幅方向に1/4の距離、符号Sで示すズラシ幅(S)だけ偏移している。
【0035】
このため、1番目の単体羽根(8)の一次ファインバブル羽根群(6)・(6)間に流れる水の流れ(27)は、羽根(60)の斜めの斜面下方向に大水流(27a)となって流れやすい。
小水流(27b)方向に流れる水流は、ファインバブル羽根群中央突縁(60b)を乗り越えるようにしないと流れにくいので、単純には分流量が減る。
【0036】
さらに、大水流(27a)は、3番目の単体羽根(8b)の段の羽根(70)の斜め斜面に接当し、斜面に沿って次の大水流(70a)方向に水流方向を変える。
そして、4番目の単体羽根(8c)の段の羽根(80)の斜め斜面に沿った次々の大水流(80a)となって略直進する。
【0037】
1番目の単体羽根(8)の一次ファインバブル羽根群(6)・(6)間に流れる隣の水の流れ(28)も同様に、羽根(60)の斜めの斜面下方向に大水流(28a)となって流れやすく、隣の逆向き大水流(70b)として下方へ直進する。
やがて隣の逆向き大水流(70b)は、次の大水流(70a)や、次々の大水流(80a)に衝突し、4番目の単体羽根(8c)の段の羽根(80)・(80)・・・以後は、流れに身を任せ、衝突を繰り返して流圧の低い方にと流れる。
【0038】
この水流衝突時に、廻りの羽根のそれぞれの角部にて水流内に、小さな気泡を発生させるのであるが、羽根の形状、羽根をどうズラスかの偏移量等で、水流の方向や強さはどのようにでも変えることができる。
つまり、単体羽根を積み重ねて使用することで羽根形状のテスト時には、同形状の羽根の積層使用、同形状羽根で偏移量の変化を増やす仕様、積層羽根の一部形状変更を組み込む等、変化の多い製品が安価に製造できる。
【0039】
単体羽根(8)の突起部(23)と凹部(24)の関係は、単体羽根(8)を組み立てるに際し基準治具の軸に対し、単体羽根(8)の挿入方向(上下面)をどちらかに決めて放り込むだけで重合可能状態と成り、その後上端に位置する最大径周壁(7a)部分を廻せば、自重により突起部(23)と凹部(24)が噛み合うので、特別の技術なくファインバブル発生器用羽根(4)の積層体を組上げることができる。
つまり、経験の少ない人でも簡単容易に主要部の組立ができ、組立工数減の一助となる。
【0040】
また、この羽根のズレを利用して、流水中の空気を細断し流水にファインバブルを含ませたファインバブル製造器とするものであり、バブル製造機としての作用効果は、
図10や
図11の説明と重なるので、詳細は省略する。
単純に考えると、羽根と羽根の隙間から流れる水流を、次の羽根の中央に当てることで再度羽根形状に沿って分流し、羽根後端形状又は角部により気泡を生じさせ、それを次の下流側羽根に当てることを、繰り返すものである。
【0041】
図6・
図7で、別構成のファインバブル羽根群について説明する。
3流路の位置や、単体羽根(8)の積層用に必要な突起部(23)と凹部(24)の位置関係は変わらず、羽根群の形状が
図3・
図4の羽根は、円周方向等径時点の羽根断面が三角形であるのに対し、別構成の第2単体羽根(80)の羽根は、円周方向等径時点の羽根断面がひし形の羽根群形状としている部分で異なっている。
【0042】
この形状差は、通過孔(3)に対し、
図6で上流方向からの水の流れで説明すると、通過孔(3)を下向きに流れる水流が反転して、反転流路(9)から上方に流れてくると、羽根のひし形斜面(25)により反転流路(9)では、水流を下から見て左回転で上昇する旋回方向指定流(26)となる。
つまり、
図7で示す下流側からの水流入方向で反転流路(9)を見ると、左回転しながら流れている。
【0043】
ひし形の羽根断面にすると、水流方向は、初めの設計時点で決まる。
羽根群の形状が
図3・
図4の三角形状の断面の羽根は流れた先の抵抗により、二つの方向に分離して流れる水流は、抵抗の少ない方へと流れる。
このように、羽根断面の形状で、水流方向は変化する。
【0044】
図8で示す第3単体羽根(81)は、
図3で示す単体羽根(8)の最大径周壁(7a)を取り去った構成で、二次ファインバブル羽根群(7)・(7)・・・が直接見えている点で異なるが、ファインバブル発生装置(5)として組付け後は、大径筒体(10)の取付け孔(13)部が外周部の周壁として作用するので、構成や効果に特段の差異は生じない。
【0045】
なお、大径筒体(10)を透明材で構成すると、最外周の順方向流路(14)部分での水流が直接確認できるから、ファインバブル発生器用羽根(4)として順方向流路(14)部の気泡混入が、ミリバブルか、マイクロバブルか、ウルトラファインバブルか、気泡の大きさや気泡の色で判断できるから、性能向上テストがより容易にできる。
【0046】
また、大径筒体(10)やファインバブル発生器用羽根(4)もそれぞれ透明体で構成すると、通過孔(3)と反転流路(9)と最外周の順方向流路(14)の、3流路全てのファインバブル発生の性能が確認できる。
そして、透明部材の一部を黒色や赤色や黄色等、格別色にすると、各流路での気泡郡の発生がよく見えたり、隠れたりと、目視的に、意外性のある利用も可能である。
【0047】
本願発明は、3流路以上の複数流路を有することを特徴とし、例えば、第1番目の流路である通過孔(3)内に螺旋等を配置して、最初から流入水を過回転しておけば、第2番目の反転流路(9)内に設置の一次ファインバブル羽根群(6)や、第3番目の流路に設置した二次ファインバブル羽根群(7)等のファインバブル製造性能が変化する。
さらに、単体羽根(8)に、5流路、7流路等、奇数流路を設けることで、厚み方向の全長を短くできる等、種々の構成が考えられる。
【符号の説明】
【0048】
1 流入路 2 流出路
3 通過孔 3a 孔内周壁
4 ファインバブル発生器用羽根 5 ファインバブル発生装置
6 一次ファインバブル羽根群 6a 羽根群外周壁
6b ファインバブル羽根群中央突縁 7 二次ファインバブル羽根群
7a 最大径周壁 8 単体羽根
8a 2番目の単体羽根 8b 3番目の単体羽根
8c 4番目の単体羽根 9 反転流路
10 大径筒体 11 反転流路用受け皿
11a 内側案内面 12 蓋体
13 取付け孔 14 順方向流路
15 雄ネジ部 16 Oリング
17 ネジ間 18 円形状端面
19 内周端面 20 外周端面
21 規制面 22 支脚
23 突起部 24 凹部
25 ひし形斜面 26 旋回方向指定流
27 水の流れ 27a 大水流
27b 小水流 28 隣の水の流れ
28a 大水流 60 羽根
60b 中央突縁 70 羽根
70a 次の大水流 70b 隣の逆向き大水流
80 第2単体羽根 80a 次々の大水流
81 第3単体羽根 A 空洞状容器体
H 所定厚み S ズラシ幅