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特許7571955フォトニック量子コンピュータアーキテクチャ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】フォトニック量子コンピュータアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/20 20220101AFI20241016BHJP
【FI】
G06N10/20
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2021575967
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 US2020038962
(87)【国際公開番号】W WO2020257772
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】62/865,058
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/926,383
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/006,590
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521552936
【氏名又は名称】プサイクォンタム,コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ニッカーソン,ナオミ
(72)【発明者】
【氏名】パロモ,ヘクター ボンビン
【審査官】福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0267032(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0155870(US,A1)
【文献】特表2018-538680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
G06F 18/00-18/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ビット間のもつれを生成するための回路であって、
第1のクロックサイクル中に第1のリソース状態を生成し、第2のクロックサイクル中に第2のリソース状態を生成し、第3のクロックサイクル中に第3のリソース状態を生成し、第4のクロックサイクル中に第4のリソース状態を生成するための回路を有するリソース状態生成器であって、前記第1、第2、第3、および、第4のリソース状態のそれぞれが、もつれたフォトニック量子ビットのシステムを備え、前記第1、第2、第3、および、第4のクロックサイクルが異なるクロックサイクルである、リソース状態生成器と、
前記第1のリソース状態の第1の量子ビットと前記第2のリソース状態の第1の量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行することによって、前記第1のリソース状態と前記第2のリソース状態との間の第1のもつれ状態を生成するように構成される第1の時間的融合回路と、
前記第1のリソース状態の第2の量子ビットと前記第3のリソース状態の第1の量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行することによって、前記第1のもつれ状態と前記第3のリソース状態との間の第2のもつれ状態を生成するように構成される第2の時間的融合回路と、
前記第1のリソース状態の第3の量子ビットと前記第4のリソース状態の第1の量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行することによって、前記第2のもつれ状態と前記第4のリソース状態との間の第3のもつれ状態を生成するように構成される第3の時間的融合回路と、
を備える回路。
【請求項2】
前記第1および第2のクロックサイクルが連続したクロックサイクルである、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記回路は、もつれ空間内に複数の層を備えるもつれ構造を有する量子ビットの大きなもつれシステムを形成するように動作可能であり、
前記第1のリソース状態、前記第2のリソース状態、および、前記第3のリソース状態が全て前記複数の層のうちの第1の層と関連付けられ、
前記第4のリソース状態が前記複数の層のうちの第2の層と関連付けられる、
請求項1に記載の回路。
【請求項4】
リソース状態がもつれ空間内の複数の層を規定し、
前記第1のリソース状態、前記第2のリソース状態、および、前記第3のリソース状態が全て前記複数の層のうちの第1の層と関連付けられ、
前記第4のリソース状態が前記複数の層のうちの第2の層と関連付けられる、
請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記もつれ空間内の各層は、サイズLの第1の線形寸法を伴う2次元層であり、
前記第1のクロックサイクルと前記第2のクロックサイクルとが第1の時間間隔だけ離れており、
前記第1のクロックサイクルと前記第3のクロックサイクルとが前記第1の時間間隔のL倍だけ離れている、
請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記もつれ空間内の各層は、サイズLの第2の線形寸法を伴う2次元層であり、前記第1のクロックサイクルと前記第4のクロックサイクルとが前記第1の時間間隔のL倍だけ離れている、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記第1の時間的融合回路は、前記第1のリソース状態の前記第1の量子ビットを前記第2のクロックサイクルまで遅延させるための遅延線を含み、前記第2の時間的融合回路は、前記第1のリソース状態の前記第2の量子ビットを前記第3のクロックサイクルまで遅延させるための遅延線を含む、請求項1に記載の回路。
【請求項8】
前記第1の時間的融合回路によって実行される前記もつれ測定動作は、前記第1のリソース状態の前記第1の量子ビットおよび前記第2のリソース状態の前記第1の量子ビットに対する破壊的測定を含む、請求項1に記載の回路。
【請求項9】
前記第2の時間的融合回路によって実行される前記もつれ測定動作は、前記第1のリソース状態の前記第2の量子ビットおよび前記第3のリソース状態の前記第1の量子ビットに対する破壊的測定を含む、請求項8に記載の回路。
【請求項10】
量子ビット間のもつれを生成するための回路であって、前記回路は、各ユニットセルが少なくとも2つの隣接ユニットセルに結合されるようにネットワークを形成する複数(N個)のユニットセルを備え、各ユニットセルは、
第1のクロックサイクル中に第1のローカルリソース状態を生成し、第2のクロックサイクル中に第2のローカルリソース状態を生成し、第3のクロックサイクル中に第3のローカルリソース状態を生成し、第4のクロックサイクル中に第4のローカルリソース状態を生成するためのフォトニック回路を有するリソース状態生成器であって、前記第1、第2、第3、および、第4のローカルリソース状態のそれぞれが、もつれたフォトニック量子ビットのシステムを備え、前記第1、第2、および、第3のクロックサイクルが異なるクロックサイクルである、リソース状態生成器と、
第1のローカル融合回路、第2のローカル融合回路、第3のローカル融合回路、第1のネットワーク化された融合回路、および、第2のネットワーク化された融合回路を含む複数の融合回路であって、前記複数の融合回路のそれぞれが、2つの入力量子ビット間のもつれ測定動作を実行するように構成される、複数の融合回路と、
前記第1のローカル融合回路の第1の入力に結合され、第1の数のクロックサイクルの遅延を有する第1のローカル遅延線と、
前記第2のローカル融合回路の第1の入力に結合され、第2の数のクロックサイクルの遅延を有する第2のローカル遅延線であって、前記第2の数が前記第1の数よりも大きい、第2のローカル遅延線と、
前記第3のローカル融合回路の第1の入力に結合され、第3の数のクロックサイクルの遅延を有する第3のローカル遅延線であって、前記第3の数が前記第2の数よりも大きい、第3のローカル遅延線と、
各リソース状態の第1の量子ビットを、前記ユニットセルの前記第1のローカル遅延線または第1の隣接ユニットセルの前記第1のネットワーク化された融合回路の第1の入力のうちの一方へ選択的に方向付けるように構成される第1のルーティングスイッチと、
各リソース状態の第2の量子ビットを、前記ユニットセルの前記第1のローカル融合回路の第2の入力または前記第1のネットワーク化された融合回路の第2の入力のうちの一方に選択的に方向付けるように構成される第2のルーティングスイッチと、
各リソース状態の第3の量子ビットを、前記ユニットセルの前記第2のローカル遅延線または第2の隣接ユニットセルの前記第2のネットワーク化された融合回路の第1の入力のうちの一方へ選択的に方向付けるように構成される第3のルーティングスイッチと、
各リソース状態の第4の量子ビットを、前記ユニットセルの第2のローカル融合回路の第2の入力または前記第2のネットワーク化された融合回路の第2の入力のうちの一方へ選択的に方向付けるように構成される第4のルーティングスイッチと、
各リソース状態の第5の量子ビットを前記第3のローカル遅延線に方向付けるための第1のルーティング経路と、
各リソース状態の第6の量子ビットを前記第3のローカル融合回路に方向付けるための第2のルーティング経路と、
を備える、回路。
【請求項11】
前記回路は、もつれ空間内に複数の層を備えるもつれ構造を有する量子ビットの大きなもつれシステムを形成するように動作可能であり、
前記第1のローカルリソース状態、前記第2のローカルリソース状態、および、前記第3のローカルリソース状態が全て前記複数の層のうちの第1の層と関連付けられ、
前記第4のローカルリソース状態が前記複数の層のうちの第2の層と関連付けられる、
請求項10に記載の回路。
【請求項12】
リソース状態がもつれ空間内の複数の層を規定し、
前記第1のローカルリソース状態、前記第2のローカルリソース状態、および、前記第3のローカルリソース状態が全て前記複数の層のうちの第1の層と関連付けられ、
前記第4のローカルリソース状態が前記複数の層のうちの第2の層と関連付けられる、
請求項10に記載の回路。
【請求項13】
前記量子ビットの前記大きなもつれシステムの各層は、Lのサイズを有する二次元層であり、各ユニットセルは、量子ビットの大きなもつれシステムのそれぞれの層ごとに複数(P)のリソース状態を生成し、P=L/Nである、請求項12に記載の回路。
【請求項14】
前記第1のクロックサイクルと前記第2のクロックサイクルとが第1の時間間隔だけ離れており、
第1および第3のクロックサイクルが前記第1の時間間隔のP倍だけ離れている、
請求項13に記載の回路。
【請求項15】
前記第1のクロックサイクルと前記第4クロックサイクルとが前記第1時間間隔のP倍だけ離れている、請求項14に記載の回路。
【請求項16】
前記複数の融合回路のそれぞれは、前記もつれ測定動作が前記入力量子ビットの両方に対する破壊的測定を含むように構成される、請求項10に記載の回路。
【請求項17】
複数のもつれ構造を生成するための回路であって、各もつれ構造は、もつれ空間内の複数の層として表わすことができ、前記回路は、
第1の期間中に第1の層を生成し、第2の期間中に第2の層を生成し、第3の期間中に第3の層を生成するように構成される層生成回路であって、前記第1、第2、および、第3の層のそれぞれが、もつれ空間内で少なくとも二次元にもつれるフォトニック量子ビットのシステムを備え、前記第2の期間が、前記第1の期間と前記第3の期間との間にある、層生成回路と、
複数の時間的融合回路であって、各時間的融合回路が、前記第3の期間に続く第4の期間中に前記第1の層の量子ビットと前記第3の層の量子ビットとの間のもつれ測定動作を実行するように構成される、複数の時間的融合回路と、
を備える、回路。
【請求項18】
前記層生成回路は、前記第4の期間中に第4の層を生成するように更に構成され、
前記複数の時間的融合回路は、前記第4の期間に続く第5の期間中に、前記第2の層の1つ以上の量子ビットと前記第4の層の1つ以上の量子ビットとの間のもつれ測定動作を実行するように構成される、
請求項17に記載の回路。
【請求項19】
もつれた量子ビットの各層の境界に対応する周辺量子ビットを受けるように構成される境界回路を更に備え、前記境界回路は、前記周辺量子ビットを検出するように構成される検出器を含む、
請求項18に記載の回路。
【請求項20】
もつれた量子ビットの各層の境界におけるリソース状態の周辺量子ビットを境界量子ビットとして受けるように構成される境界回路を更に備え、前記境界回路は、
前記境界量子ビットを検出するように構成される検出器と、
2つの異なる期間中に生成される層からの2つの境界量子ビットを融合させるための時間的融合回路と、
前記境界量子ビットを前記検出器または前記時間的融合回路のいずれかにルーティングするように構成可能なスイッチと、
を含む、請求項18に記載の回路。
【請求項21】
前記スイッチがそれぞれの期間ごとに動的に再構成可能である、請求項20に記載の回路。
【請求項22】
前記もつれ測定動作は、互いの間で前記もつれ測定動作が実行される前記量子ビットに対する破壊測定を含む、請求項17に記載の回路。
【請求項23】
量子ビット間のもつれを生成するための方法であって、前記方法は、複数のクロックサイクルのそれぞれのクロックサイクル中に、
もつれたフォトニック量子ビットのシステムを備える新たなリソース状態を生成するためにリソース状態生成器を動作させるステップと、
前記新たなリソース状態におけるもつれ空間内の位置を決定するステップであって、前記位置がリソース状態の層内で規定される、ステップと、
前記もつれ空間内の前記位置が前記層の行の終わりに対応しない場合に、前記新たなリソース状態の第1の量子ビットを第1の遅延線にルーティングするステップと、
前記もつれ空間内の前記位置が前記層の行の始めに対応しない場合に、前記新たなリソース状態の第2の量子ビットと前記第1の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、
前記もつれ空間内の前記位置が前記層の最後の行に対応しない場合に、前記新たなリソース状態の第3の量子ビットを、前記第1の遅延線よりも長い遅延を有する第2の遅延線にルーティングするステップと、
前記もつれ空間内の前記位置が前記層の第1の行に対応しない場合に、前記新たなリソース状態の第4の量子ビットと前記第2の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、
前記新たなリソース状態の第5の量子ビットを、前記第2の遅延線よりも長い遅延を有する第3の遅延線にルーティングするステップと、
前記新たなリソース状態の第6の量子ビットと前記第3の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、
を含む方法。
【請求項24】
前記もつれ空間内の前記位置が前記層の行の終わりに対応する場合に、前記新たなリソース状態の前記第1の量子ビットに対して層エッジ処理動作を実行するステップ
を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記層エッジ処理動作は、前記新たなリソース状態の前記第1の量子ビットに対して測定動作を実行することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記層エッジ処理動作は、前記新たなリソース状態の前記第1の量子ビット大きなもつれシステムの異なる層のエッジと関連付けられる量子ビットとの間でもつれ測定を実行することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記もつれ空間内の前記位置が前記層の行の始めに対応する場合に、前記新たなリソース状態の前記第2の量子ビットに対して層エッジ処理動作を実行するステップを
更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記もつれ空間内の前記位置が前記層の行の最後に対応する場合に、前記新たなリソース状態の前記第3の量子ビットに対して層エッジ処理動作を実行するステップを
更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記もつれ空間内の前記位置が前記層の行のうちの第1の行に対応する場合に、前記新たなリソース状態の前記第4の量子ビットに対して層エッジ処理動作を実行するステップ
を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記層の各行が前記もつれ空間内のサイズLを有し、前記第2の遅延線が前記第1の遅延線の遅延のL倍に対応する遅延を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
各層が前記もつれ空間内のサイズLを有し、前記第3の遅延線が前記第1の遅延線の遅延のL倍に対応する遅延を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記もつれ測定のそれぞれを実行する前記ステップが融合動作を実行することを含み、前記融合動作は、互いの間で前記融合動作が実行される前記量子ビットの一方または両方に対する破壊的測定を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
量子ビット間のもつれを生成するための方法であって、前記方法は、複数のクロックサイクルのそれぞれのクロックサイクル中に、
各ユニットセルがもつれたフォトニック量子ビットのシステムを備える新たなリソース状態を生成するように、複数のユニットセルにおいて複数のリソース状態生成器を動作させるステップと、
それぞれのユニットセルごとに、
前記新たなリソース状態におけるもつれ空間内の位置を決定するステップであって、前記位置がリソース状態の層の連続したパッチ内で規定される、ステップと、
前記もつれ空間内の前記位置が前記パッチの行の終わりに対応しない場合に、前記新たなリソース状態の第1の量子ビットを第1の遅延線にルーティングするステップと、
前記もつれ空間内の前記位置が前記パッチの行の始めに対応しない場合に、前記新たなリソース状態の第2の量子ビットと前記第1の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、
前記もつれ空間内の前記位置が前記パッチの最後の行に対応しない場合に、前記新たなリソース状態の第3の量子ビットを、前記第1の遅延線よりも長い遅延を有する第2の遅延線にルーティングするステップと、
前記もつれ空間内の前記位置が前記パッチの第1の行に対応しない場合に、前記新たなリソース状態の第4の量子ビットと前記第2の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、
前記新たなリソース状態の第5の量子ビットを、前記第2の遅延線よりも長い遅延を有する第3の遅延線にルーティングするステップと、
前記新たなリソース状態の第6の量子ビットと前記第3の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、
を含む方法。
【請求項34】
前記ユニットセルのうちの少なくとも1つに関して、
前記もつれ空間内の前記位置が前記パッチの行の終わりに対応する場合に、前記新たなリソース状態の前記第1の量子ビットを第1の隣接ユニットセルにルーティングするステップを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ユニットセルのうちの少なくとも1つの他のユニットセルに関して、
前記もつれ空間内の前記位置が前記パッチの行の始めに対応する場合に、前記新たなリソース状態の前記第2の量子ビットと第2の隣接ユニットセルから受けたネットワーク化された量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行するステップを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ユニットセルのうちの少なくとも1つに関して、
前記もつれ空間内の前記位置が前記パッチの最後の行に対応する場合に、前記新たなリソース状態の前記第3の量子ビットを第1の隣接ユニットセルにルーティングするステップを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記ユニットセルのうちの少なくとも1つに関して、
前記もつれ空間内の前記位置が前記パッチの第1の行に対応する場合に、前記新たなリソース状態の前記第4の量子ビットと第2の隣接ユニットセルから受けたネットワーク化された量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行するステップと、を更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記パッチの各行が前記もつれ空間内のサイズPを有し、前記第2の遅延線が前記第1の遅延線の遅延のP倍に対応する遅延を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
各パッチが前記もつれ空間内のサイズPを有し、前記第3の遅延線が前記第1の遅延線の遅延のP倍に対応する遅延を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記もつれ測定のそれぞれを実行する前記ステップが融合動作を実行することを含み、前記融合動作は、互いの間で前記融合動作が実行される前記量子ビットの一方または両方に対する破壊的測定を含む、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2019年6月21日に出願された米国仮出願第62/865,058号、2019年10月25日に出願された米国仮出願第62/926,383号、及び、2020年4月7日に出願された米国仮出願第63/006,590号の利益を主張する。3つ全ての出願の開示内容は、参照により本願に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 量子コンピューティングは、「量子ビット」と称される構造へのその依存によって「古典的」コンピューティングとは区別される。最も一般的なレベルにおいて、量子ビットは、2つの直交状態(従来のブラ/ケット記法で|0〉及び|1〉として示される)のうちの一方で又は2つの状態の重ね合わせ(例えば、
【数1】

)で存在することができる量子システムである。量子ビットのシステム(又は集合)で動作することによって、量子コンピュータは、古典的コンピュータにおいて非実用的な時間量を必要とするであろう特定のカテゴリの計算を迅速に実行することができる。
【0003】
[0003] しかしながら、量子コンピュータの実際の実現は依然として困難な課題のままである。1つの課題は、量子ビットの信頼できる形成及びもつれである。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本明細書中に記載される特定の実施形態は、「ラスタライズ化」手法を使用して量子ビット間のもつれを生成するための回路に関する。幾つかの実施形態において、回路は、リソース状態生成器、第1の時間的融合回路、第2の時間的融合回路、及び、第3の時間的融合回路を含むことができる。リソース状態生成器は、第1のクロックサイクル中に第1のリソース状態を生成し、第2のクロックサイクル中に第2のリソース状態を生成し、第3のクロックサイクル中に第3のリソース状態を生成し、及び、第4のクロックサイクル中に第4のリソース状態を生成するための回路を有することができ、第1、第2、第3、及び、第4のリソース状態のそれぞれがもつれたフォトニック量子ビットのシステムを備え、第1、第2、第3、及び、第4のクロックサイクルが異なるクロックサイクルである。第1の時間的融合回路は、第1のリソース状態の第1の量子ビットと第2のリソース状態の第1の量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行することによって、第1のリソース状態と第2のリソース状態との間の第1のもつれ状態を生成するように構成され得る。第2の時間的融合回路は、第1のリソース状態の第2の量子ビットと第3のリソース状態の第1の量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行することによって、第1のもつれ状態と第3のリソース状態との間の第2のもつれ状態を生成するように構成され得る。第3の時間的融合回路は、第1のリソース状態の第3の量子ビットと第4のリソース状態の第1の量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行することによって、第2のもつれ状態と第4のリソース状態との間の第3のもつれ状態を生成するように構成され得る。
【0005】
[0005] 幾つかの実施形態では、第1及び第2のクロックサイクルが連続したクロックサイクルである。
【0006】
[0006] 幾つかの実施形態において、リソース状態は、もつれ空間内の複数の層を規定し、また、幾つかの実施形態において、回路は、もつれ空間内の複数の層を備えるもつれ構造を有する量子ビットの大きなもつれシステムを形成するように動作可能である。もつれ空間内の層が規定される場合には、第1のリソース状態、第2のリソース状態、及び、第3のリソース状態を全て複数の層のうちの第1の層と関連付けることができ、一方、第4のリソース状態が複数の層のうちの第2の層と関連付けられる。例えば、もつれ空間内の各層をサイズLの第1の線形寸法を伴う2次元層とすることができ、第1のクロックサイクルと第2のクロックサイクルとを第1の時間間隔だけ離すことができ、また、第1のクロックサイクルと第3のクロックサイクルとを第1の時間間隔のL倍だけ離すことができる。更に、もつれ空間内の各層をサイズLの第2の線形寸法を伴う2次元層とすることができ、また、第1のクロックサイクルと第4のクロックサイクルとを第1の時間間隔のL倍だけ離すことができる。
【0007】
[0007] 幾つかの実施形態において、第1の時間的融合回路は、第1のリソース状態の第1の量子ビットを第2のクロックサイクルまで遅延させるための遅延線を含むことができ、また、第2の時間的融合回路は、第1のリソース状態の第2の量子ビットを第3のクロックサイクルまで遅延させるための遅延線を含むことができる。
【0008】
[0008] 幾つかの実施形態において、第1の時間的融合回路によって実行されるもつれ測定動作は、第1のリソース状態の前記第1の量子ビット及び第2のリソース状態の第1の量子ビットに対する破壊的測定を含む。同様に、第2の時間的融合回路によって実行されるもつれ測定動作は、第1のリソース状態の前記第2の量子ビット及び第3のリソース状態の第1の量子ビットに対する破壊的測定を含むことができる。
【0009】
[0009] 幾つかの実施形態は、量子ビット間のもつれを生成するための回路であって、各ユニットセルが少なくとも2つの隣接ユニットセルに結合されるようにネットワークを形成する複数(N個)のユニットセルを含む回路に関する。各ユニットセルは、リソース状態生成器と、複数の融合回路と、第1のローカル遅延線と、第2のローカル遅延線と、第3のローカル遅延線と、第1のルーティングスイッチと、第2のルーティングスイッチと、第3のルーティングスイッチと、第4のルーティングスイッチと、第1のルーティング経路と、第2のルーティング経路とを備えることができる。リソース状態生成器は、第1のクロックサイクル中に第1のローカルリソース状態を生成し、第2のクロックサイクル中に第2のローカルリソース状態を生成し、第3のクロックサイクル中に第3のローカルリソース状態を生成し、及び、第4のクロックサイクル中に第4のローカルリソース状態を生成するためのフォトニック回路を有することができ、第1、第2、第3、及び、第4のローカルリソース状態のそれぞれは、もつれたフォトニック量子ビットのシステムを備え、第1、第2、及び、第3のクロックサイクルが異なるクロックサイクルである。複数の融合回路は、第1のローカル融合回路、第2のローカル融合回路、第3のローカル融合回路、第1のネットワーク化された融合回路、及び、第2のネットワーク化された融合回路を含むことができ、複数の融合回路のそれぞれは、2つの入力量子ビット間のもつれ測定動作を実行するように構成される。第1のローカル遅延線は、第1のローカル融合回路の第1の入力に結合され得るとともに、第1の数のクロックサイクルの遅延を有することができる。第2のローカル遅延線は、第2のローカル融合回路の第1の入力に結合され得るとともに、第2の数のクロックサイクルの遅延を有することができ、第2の数は第1の数よりも大きい。第3のローカル遅延線は、第3のローカル融合回路の第1の入力に結合され得るとともに、第3の数のクロックサイクルの遅延を有することができ、第3の数は第2の数よりも大きい。第1のルーティングスイッチは、各リソース状態の第1の量子ビットを、ユニットセルの第1のローカル遅延線又は第1の隣接ユニットセルの第1のネットワーク化された融合回路の第1の入力のうちの一方へ選択的に方向付けるように構成され得る。第2のルーティングスイッチは、各リソース状態の第2の量子ビットを、ユニットセルの第1のローカル融合回路の第2の入力又は第1のネットワーク化された融合回路の第2の入力のうちの一方に選択的に方向付けるように構成され得る。第3のルーティングスイッチは、各リソース状態の第3の量子ビットを、ユニットセルの第2のローカル遅延線又は第2の隣接ユニットセルの第2のネットワーク化された融合回路の第1の入力のうちの一方へ選択的に方向付けるように構成され得る。第4のルーティングスイッチは、各リソース状態の第4の量子ビットを、ユニットセルの第2のローカル融合回路の第2の入力又は第2のネットワーク化された融合回路の第2の入力のうちの一方へ選択的に方向付けるように構成され得る。第1のルーティング経路は、各リソース状態の第5の量子ビットを第3のローカル遅延線に方向付けることができる。第2のルーティング経路は、各リソース状態の第6の量子ビットを第3のローカル融合回路に方向付けることができる。
【0010】
[0010] 幾つかの実施形態において、リソース状態は、もつれ空間内の複数の層を規定し、また、幾つかの実施形態において、回路は、もつれ空間内の複数の層を備えるもつれ構造を有する量子ビットの大きなもつれシステムを形成するように動作可能である。もつれ空間内の層が規定される場合には、第1のローカルリソース状態、第2のローカルリソース状態、及び、第3のローカルリソース状態を全て複数の層のうちの第1の層と関連付けることができ、一方、第4のローカルリソース状態が複数の層のうちの第2の層と関連付けられる。例えば、量子ビットの大きなもつれシステムの各層がLのサイズを有する二次元層である場合、各ユニットセルは、量子ビットの大きなもつれシステムのそれぞれの層ごとに複数(P)のリソース状態を生成することができ、ここで、P=L/Nである。これらの実施形態及び他の実施形態では、第1のクロックサイクルと第2のクロックサイクルとが第1の時間間隔だけ離れており、一方、第1及び第3のクロックサイクルが第1の時間間隔のP倍だけ離れている。更に、第1のクロックサイクルと第4クロックサイクルとが第1時間間隔のP倍だけ離れている。
【0011】
[0011] 幾つかの実施形態において、複数の融合回路のそれぞれは、もつれ測定動作が入力量子ビットの両方に対する破壊的測定を含むように構成され得る。
【0012】
[0012] 幾つかの実施形態は、複数のもつれ構造を生成するための回路に関し、この場合、各もつれ構造は、もつれ空間内の複数の層として表わすことができる。回路は、層生成回路及び複数の時間的融合回路を備えることができる。層生成回路は、第1の期間中に第1の層を生成し、第2の期間中に第2の層を生成し、第3の期間中に第3の層を生成するように構成することができ、この場合、第1、第2、及び、第3の層のそれぞれは、もつれ空間内で少なくとも2次元にもつれたフォトニック量子ビットのシステムを備え、第2の期間は第1の期間と第3の期間との間にある。各時間的融合回路は、第3の期間に続く第4の期間中に、第1の層の量子ビットと第3の層の量子ビットとの間のもつれ測定動作を実行するように構成され得る。
【0013】
[0013] 幾つかの実施形態において、層生成回路は、第4の期間中に第4の層を生成するように更に構成され、また、複数の時間的融合回路は、第4の期間に続く第5の期間中に、第2の層の1つ以上の量子ビットと第4の層の1つ以上の量子ビットとの間のもつれ測定動作を実行するように構成される。
【0014】
[0014] 幾つかの実施形態において、回路は、もつれた量子ビットの各層の境界に対応する周辺量子ビットを受けるように構成される境界回路も更に備えることができ、境界回路は、周辺量子ビットを検出するように構成される検出器を含む。
【0015】
[0015] 幾つかの実施形態において、回路は、もつれた量子ビットの各層の境界におけるリソース状態の周辺量子ビットを境界量子ビットとして受けるように構成される境界回路を備えることもできる。境界回路は、境界量子ビットを検出するように構成される検出器と、2つの異なる期間中に生成される層からの2つの境界量子ビットを融合するための時間的融合回路と、境界量子ビットを検出器又は時間的融合回路のいずれかにルーティングするように構成可能なスイッチとを含むことができる。スイッチは、それぞれの期間ごとに動的に再構成可能となり得る。
【0016】
[0016] 幾つかの実施形態において、もつれ測定動作は、互いの間でもつれ測定動作が実行される量子ビットに対する破壊測定を含むことができる。
【0017】
[0017] 幾つかの実施形態は、量子ビット間のもつれを生成するための方法に関する。方法は、複数のクロックサイクルのそれぞれのクロックサイクル中に、もつれたフォトニック量子ビットのシステムを備える新たなリソース状態を生成するためにリソース状態生成器を動作させるステップと、新たなリソース状態におけるもつれ空間内の位置を決定するステップであって、位置がリソース状態の層内で規定される、ステップと、もつれ空間内の位置が層の行の終わりに対応しない場合に、新たなリソース状態の第1の量子ビットを第1の遅延線にルーティングするステップと、もつれ空間内の位置が層の行の始めに対応しない場合に、新たなリソース状態の第2の量子ビットと第1の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、もつれ空間内の位置が層の最後の行に対応しない場合に、新たなリソース状態の第3の量子ビットを、第1の遅延線よりも長い遅延を有する第2の遅延線にルーティングするステップと、もつれ空間内の位置が層の第1の行に対応しない場合に、新たなリソース状態の第4の量子ビットと第2の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、新たなリソース状態の第5の量子ビットを、第2の遅延線よりも長い遅延を有する第3の遅延線にルーティングするステップと、新たなリソース状態の第6の量子ビットと第3の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップとを含むことができる。
【0018】
[0018] 幾つかの実施形態において、方法は、もつれ空間内の位置が層の行の終わりに対応する場合に、新たなリソース状態の第1の量子ビットに対して層エッジ処理動作を実行するステップを更に含むこともできる。層エッジ処理動作は、例えば、新たなリソース状態の第1の量子ビットに対して測定動作を実行すること、又は、新たなリソース状態の第1の量子ビットと大きなもつれシステムの異なる層のエッジと関連付けられる量子ビットとの間のもつれ測定を実行することを含むことができる。
【0019】
[0019] 幾つかの実施形態において、方法は、もつれ空間内の位置が層の行の始めに対応する場合に、新たなリソース状態の第2の量子ビットに対して層エッジ処理動作を実行するステップを更に含むこともできる。
【0020】
[0020] 幾つかの実施形態において、方法は、もつれ空間内の位置が層の行の最後に対応する場合に、新たなリソース状態の第3の量子ビットに対して層エッジ処理動作を実行するステップを更に含むこともできる。
【0021】
[0021] 幾つかの実施形態において、方法は、もつれ空間内の位置が層の行の最初に対応する場合に、新たなリソース状態の第4の量子ビットに対して層エッジ処理動作を実行するステップを更に含むこともできる。
【0022】
[0022] 幾つかの実施形態において、層の各行は、もつれ空間内の寸法Lを有することができ、また、第2の遅延線は、第1の遅延線の遅延のL倍に対応する遅延を有することができる。更に、各層は、もつれ空間内の寸法Lを有することができ、また、第3の遅延線は、第1の遅延線の遅延のL倍に対応する遅延を有することができる。
【0023】
[0023] 幾つかの実施形態において、もつれ測定のそれぞれを実行するステップが融合動作を実行することを含み、融合動作は、互いの間で前記融合動作が実行される量子ビットの一方又は両方に対する破壊的測定を含む。
【0024】
[0024] 幾つかの実施形態は、量子ビット間のもつれを生成するための方法に関する。方法は、複数のクロックサイクルのそれぞれのクロックサイクル中に、各ユニットセルがもつれたフォトニック量子ビットのシステムを備える新たなリソース状態を生成するように、複数のユニットセルにおいて複数のリソース状態生成器を動作させるステップと、それぞれのユニットセルごとに、新たなリソース状態のもつれ空間内の位置を決定するステップであって、位置がリソース状態の層の連続したパッチ内で規定される、ステップと、もつれ空間内の位置がパッチの行の終わりに対応しない場合に、新たなリソース状態の第1の量子ビットを第1の遅延線にルーティングするステップと、もつれ空間内の位置がパッチの行の始めに対応しない場合に、新たなリソース状態の第2の量子ビットと第1の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、もつれ空間内の位置がパッチの最後の行に対応しない場合に、新たなリソース状態の第3の量子ビットを、第1の遅延線よりも長い遅延を有する第2の遅延線にルーティングするステップと、もつれ空間内の位置がパッチの第1の行に対応しない場合に、新たなリソース状態の第4の量子ビットと第2の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップと、新たなリソース状態の第5の量子ビットを、第2の遅延線よりも長い遅延を有する第3の遅延線にルーティングするステップと、新たなリソース状態の第6の量子ビットと第3の遅延線から出力される量子ビットとの間でもつれ測定を実行するステップとを含むことができる。
【0025】
[0025] 幾つかの実施形態において、方法は、ユニットセルのうちの少なくとも1つに関して、もつれ空間内の位置がパッチの行の終わりに対応する場合に、新たなリソース状態の第1の量子ビットを第1の隣接ユニットセルにルーティングするステップを更に含むこともできる。方法は、ユニットセルのうちの少なくとも1つの他のユニットセルに関して、もつれ空間内の位置がパッチの行の始めに対応する場合に、新たなリソース状態の第2の量子ビットと第2の隣接ユニットセルから受けられるネットワーク化された量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行するステップを更に含むこともできる。
【0026】
[0026] 幾つかの実施形態において、方法は、ユニットセルのうちの少なくとも1つに関して、もつれ空間内の位置がパッチの行の最後に対応する場合に、新たなリソース状態の第3の量子ビットを第1の隣接ユニットセルにルーティングするステップを更に含むこともできる。方法は、ユニットセルのうちの少なくとも1つに関して、もつれ空間内の位置がパッチの第1の行に対応する場合に、新たなリソース状態の第4の量子ビットと第2の隣接ユニットセルから受けられるネットワーク化された量子ビットとの間でもつれ測定動作を実行するステップを更に含むこともできる。
【0027】
[0027] 幾つかの実施形態において、パッチの各行は、もつれ空間内の寸法Pを有することができ、また、第2の遅延線は、第1の遅延線の遅延のP倍に対応する遅延を有することができる。これら及び他の実施形態において、各パッチは、もつれ空間内のサイズPを有することができ、また、第3の遅延線は、第1の遅延線の遅延のP倍に対応する遅延を有することができる。
【0028】
[0028] 幾つかの実施形態において、もつれ測定のそれぞれを実行するステップが融合動作を実行することを含み、融合動作は、互いの間で前記融合動作が実行される量子ビットの一方又は両方に対する破壊的測定を含む。
【0029】
[0029] 以下の詳細な説明は、添付図面と共に、特許請求の範囲に記載される発明の性質及び利点のより良い理解をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】デュアルレール符号化フォトニック量子ビットに対応する一対の導波路の一部の2つの表示を示す。
図2A】2つのモードを結合するための概略図を示す。
図2B】幾つかの実施形態で使用され得るフォトニックシステムにおけるモード結合の物理的実装を概略的に示す。
図3A】幾つかの実施形態で使用され得るマッハツェンダ干渉計(MZI)形態の物理的実装の例を概略的に示す。
図3B】幾つかの実施形態で使用され得るマッハツェンダ干渉計(MZI)形態の物理的実装の例を概略的に示す。
図4A】2つのモードを結合するための他の概略図を示す。
図4B】幾つかの実施形態で使用され得るフォトニックシステムにおける図4Aのモード結合の物理的実装を概略的に示す。
図5】幾つかの実施形態に係る4つのモードに関する「スプレッダ」又は「モード情報消去」変換を実施する4モード結合方式を示す。
図6】幾つかの実施形態に係る図5に概略的に示される4モード拡散変換を実施することができる光学デバイスの一例を示す。
図7】幾つかの実施形態で使用され得るデュアルレール符号化Bell状態生成器に関する回路図を示す。
図8A】幾つかの実施形態で使用され得るデュアルレール符号化I型融合ゲートに関する回路図を示す。
図8B図8Aのゲートを使用するI型融合動作の結果の例を示す。
図9A】幾つかの実施形態で使用され得るデュアルレール符号化II型融合ゲートに関する回路図を示す。
図9B図9Aのゲートを使用するII型融合動作の結果の一例を示す。
図10A】幾つかの実施形態にしたがって使用され得るリソース状態のもつれグラフ表示を示す。
図10B】幾つかの実施形態にしたがって使用され得るリソース状態のもつれグラフ表示を示す。
図10C】幾つかの実施形態にしたがって使用され得るリソース状態のもつれグラフ表示を示す。
図11A】幾つかの実施形態に係るリソース状態の層の例を示す。
図11B】幾つかの実施形態に係るリソース状態の層の例を示す。
図12A】幾つかの実施形態に係るリソース状態の2つの層を含む3次元アレイの例を示す。
図12B】幾つかの実施形態に係るリソース状態の2つの層を含む3次元アレイの例を示す。
図13】幾つかの実施形態にしたがって形成され得る量子ビットの大きなもつれシステムの一例を示す。
図14A】概略的な回路記号を紹介する。
図14B】概略的な回路記号を紹介する。
図14C】概略的な回路記号を紹介する。
図14D】概略的な回路記号を紹介する。
図14E】概略的な回路記号を紹介する。
図14F】概略的な回路記号を紹介する。
図15】幾つかの実施形態に係る量子ビットの大きなもつれシステムのネットワーク化された生成の概念図を示す。
図16A】幾つかの実施形態に係るネットワーク化されたRSG回路を使用してリソース状態からもつれ構造を生成するための回路の概略図を示す。
図16B】幾つかの実施形態に係るネットワーク化されたRSG回路を使用してリソース状態からもつれ構造を生成するための回路の概略図を示す。
図17】幾つかの実施形態に係る量子ビットの大きなもつれシステムのラスタライズ化生成の概念図を示す。
図18】幾つかの実施形態に係る単一のRSG回路を使用してリソース状態からもつれ構造を生成するための回路の概略図を示す。
図19】幾つかの実施形態に係るリソース状態からもつれ構造を生成するためのプロセスのフロー図を示す。
図20】幾つかの実施形態に係るリソース状態からのもつれ構造のラスタベースのハイブリッド生成の概念図を示す。
図21】幾つかの実施形態に係るリソース状態からもつれ構造を生成するためのラスタベースのハイブリッドユニットセルの回路図を示す。
図22】幾つかの実施形態に係る層のための2つの隣接するパッチの概念図を示す。
図23】幾つかの実施形態に係る層に関する異なるパッチにおけるリソース状態の生成の調整された順序の一例を示す。
図24】幾つかの実施形態に係るリソース状態からもつれ構造を生成するための他のプロセスのフロー図を示す。
図25】幾つかの実施形態に係るパッチベースのハイブリッド回路を使用したもつれ構造における層のハイブリッド生成の概念図である。
図26】幾つかの実施形態に係る量子ビットの大きなもつれシステムを生成する時間図を示す。
図27】幾つかの実施形態に係る図26の挙動を実施する線形光回路の簡略概念図を示す。
図28】幾つかの実施形態に係る量子ビットの2つの大きなもつれシステムのインターリーブ生成の概念図を示す。
図29】幾つかの実施形態に係る量子ビットの2つのインターリーブされた大きなもつれシステムを生成する時間図を示す。
図30】幾つかの実施形態に係る図29の挙動を実施する線形光回路の簡略概念図を示す。
図31】時間的に共存する量子ビットの2つの大きなもつれシステムの概念図を示す。
図32】幾つかの実施形態に係る量子ビットの単一のより大きなもつれシステムを形成するための量子ビットの2つの大きなもつれシステムのステッチングの概念図を示す。
図33】幾つかの実施形態に係る量子ビットの2つの大きなもつれシステムに対する格子サージェリーの概念図を示す。
図34A】幾つかの実施形態に係る折り曲げられた層を有する3次元もつれトポロジを形成するためにインターリービングを使用する概念図を示す。
図34B】幾つかの実施形態に係る折り曲げられた層を有する3次元もつれトポロジを形成するためにインターリービングを使用する概念図を示す。
図34C】幾つかの実施形態に係る折り曲げられた層を有する3次元もつれトポロジを形成するためにインターリービングを使用する概念図を示す。
図34D】幾つかの実施形態に係る折り曲げられた層を有する3次元もつれトポロジを形成するためにインターリービングを使用する概念図を示す。
図35A】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層における周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。
図35B】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層における周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。
図35C】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層における周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。
図36A】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層におけるより複雑な周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。
図36B】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層におけるより複雑な周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。
図36C】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層におけるより複雑な周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。
図36D】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層におけるより複雑な周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。
図37A】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層に関して対角折り曲げを形成するために本明細書中に記載の技術を使用する概念図である。
図37B】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層に関して対角折り曲げを形成するために本明細書中に記載の技術を使用する概念図である。
図37C】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層に関して対角折り曲げを形成するために本明細書中に記載の技術を使用する概念図である。
図37D】幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層に関して対角折り曲げを形成するために本明細書中に記載の技術を使用する概念図である。
図38】幾つかの実施形態に係る量子コンピュータシステムのためのシステムアーキテクチャの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0072] 本明細書中には、フォトニックシステムを含む様々な物理量子システムに基づいて量子ビット及び量子ビットの重ね合わせ状態(もつれ状態を含む)を形成するためのシステム及び方法の例(「実施形態」とも称される)が開示される。そのような実施形態は、例えば、量子コンピューティングにおいて、並びに、量子もつれを利用する他の状況(例えば、量子通信)において使用され得る。本開示の理解を容易にするために、関連する概念及び用語の概要が第1節で与えられる。これに関連して、第2節は、もつれ構造を生成するための回路及び方法の例について記載し、また、第3節は、もつれ構造を生成するために使用され得るインターリービング技術の更なる例について記載する。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される技術を使用して生成されるもつれは、フォールトトレラント量子計算をサポートするために使用され得る。理解を容易にするために実施形態が具体的に詳細に記載されるが、この開示にアクセスできる当業者であれば分かるように、これらの詳細を伴うことなく特許請求の範囲に記載される発明を実施できる。
【0032】
[0073] 更に、本明細書中では、量子ビットの量子状態空間を2次元ベクトル空間としてモデル化することができる、量子ビットのシステムを形成する及びシステムで機能する実施形態が記載される。この開示にアクセスする当業者であれば分かるように、本明細書中に記載される技術を「量子ビット」のシステムに適用することができ、このシステムにおいて、量子ビットは、nビットの情報を符号化するために使用することができる(任意の整数nに関して)(複素)n次元ベクトル空間としてモデル化され得る量子状態空間を有する任意の量子システムとすることができる。説明を明確にするために、本明細書中では「量子ビット」という用語が使用されるが、幾つかの実施形態において、システムは、量子ビットなどのバイナリビットと必ずしも関連付けられない態様で情報を符号化する量子情報キャリアを使用することもできる。
【0033】
1.量子コンピューティングの概要
[0074] 量子コンピューティングは、量子理論の規則に従う量子物体、例えば光子、電子、原子、イオン、分子、ナノ構造などの動力学に依存する。量子理論では、量子物体の量子状態は、物理的特性のセットによって記述され、そのセット全体はモードと称される。幾つかの実施形態において、モードは、量子物体の1つ以上の特性の値(又は値の分布)を定めることによって規定される。例えば、量子物体が光子である場合、モードは、光子の周波数、光子の空間における位置(例えば、光子がどの導波路又は導波路の重ね合わせ内を伝搬しているか)、関連する伝播方向(例えば、自由空間内の光子のkベクトル)、光子の偏光状態(例えば、光子の電場及び/又は磁場の方向(水平又は垂直))、光子が伝播している時間窓、軌道角運動量などによって規定され得る。
【0034】
[0075] 導波路内を伝播する光子の場合、光子の状態を離散的な時空間モードのセットの1つとして表現することが好都合である。例えば、光子の空間モードkは、光子が有限セットの離散導波路のうちのどれを伝播しているかにしたがって決定され、また、時間モードtは、光子が離散期間(本明細書では「ビン」と称される)のうちのどの離散期間に存在するかによって決定される。時間離散化の程度は、光子の生成を担うパルスレーザによって与えられ得る。以下の例では、主に説明の複雑化を避けるために空間モードが使用される。しかしながら、当業者であれば分かるように、システム及び方法は、任意のタイプのモード、例えば、時間モード、偏光モード、及び、量子状態を定めるのに役立つ任意の他のモード又はモードのセットに適用され得る。更に、以下の説明では、光子の空間モードを規定するためにフォトニック導波路を使用する実施形態について説明する。しかしながら、この開示にアクセスする当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、他のタイプのモード、例えば時間モード、エネルギー状態などを使用できる。更に、当業者は、他のタイプのフォトニックシステムを含むがこれに限定されない他のタイプの量子システムを使用して例を実施することができる。
【0035】
[0076] 区別できない複数の粒子の量子システムの場合、システム内の各粒子の量子状態を記述するのではなく、フォック状態の形式(占有数表示と呼ばれることもある)を使用して多体システム全体の量子状態を記述することが有用である。フォック状態の記述において、多体量子状態は、システムの各モードにいくつの粒子があるかによって定められる。例えば、マルチモード2粒子フォック状態|1001〉1、2、3、4は、1つの粒子がモード1にあり、0個の粒子がモード2にあり、0個の粒子がモード3にあり、及び、1つの粒子がモード4にある2粒子量子状態を定める。ここでも、前述したように、モードは量子物体の任意の特性とすることができる。光子の場合、電磁場の任意の2つのモードを使用することができ、例えば、線形光学系で受動的に動作することができる自由度に関連するモードを使用するようにシステムを設計することができる。例えば、偏光、空間自由度、又は、角運動量を使用することができる。2粒子フォック状態|1001〉1、2、3、4によって表わされる4モードシステムは、4つの導波路のうちの2つの内部で1つの光子が移動する4つの別個の導波路として物理的に実装され得る。そのような多体量子システムの状態の他の例としては、1つの粒子が占める各モードを表わす4粒子フォック状態|1111〉1、2、3、4と、2つの粒子が占めるモード1及び2のそれぞれ並びに0個の粒子が占めるモード3及び4を表わす4粒子フォック状態|2200〉1、2、3、4とが挙げられる。粒子が存在しないモードについては、「真空モード」という用語が使用される。例えば、4粒子フォック状態|2200〉1、2、3、4の場合、モード3及び4が本明細書中では「真空モード」と称される。単一の占有モードを有するフォック状態は、占有モードを識別するために下付き文字を使用して省略表現で表わすことができる。例えば、|0010〉1、2、3、4は|1〉と等価である。
【0036】
1.1.量子ビット
[0077] 本明細書中で使用される場合、「量子ビット(qubit)」(又は量子ビット(quantum bit))は、情報を符号化するために使用され得る関連する量子状態を伴う量子システムである。量子状態空間を(複素)2次元ベクトル空間としてモデル化することができる場合には、量子状態を使用して1ビットの情報を符号化することができ、この場合、ベクトル空間内の1つの次元が論理値0にマッピングされ、他の次元が論理値1にマッピングされる。古典的ビットとは対照的に、量子ビットは、論理値0及び1の重ね合わせである状態を有することができる。より一般的には、「量子ビット」は、nビットの情報を符号化するために使用できる(複素)n次元ベクトル空間(任意の整数nについて)としてモデル化され得る量子状態空間を有する任意の量子システムとなり得る。説明を明確にするために、本明細書中では「量子ビット」という用語が使用されるが、幾つかの実施形態において、システムは、量子ビットなどのバイナリビットと必ずしも関連付けられない態様で情報を符号化する量子情報キャリアを使用することもできる。量子ビット(qubits)(又は量子ビット(qudits))は、様々な量子システムで実装され得る。量子ビットの例としては、光子の偏光状態、導波路内の光子の存在、又は、原子、イオン、核、もしくは、光子のエネルギー状態が挙げられる。他の例としては、フラックス量子ビット、位相量子ビット、又は、電荷量子ビット(例えば、超伝導ジョセフソン接合から形成される)などの他の人工量子システム、トポロジカル量子ビット(例えば、Majorana fermions)、又は、空孔中心から形成されるスピン量子ビット(例えば、ダイヤモンド中の窒素空孔)が挙げられる。
【0037】
[0078] 量子ビットは、量子ビットの論理値が量子システムの2つのモードのうちの1つの占有によって符号化されるように「デュアルレール符号化」され得る。例えば、論理0値及び理論1値は、以下のように符号化され得る。
|0〉=|10〉1、2 (1)
|1〉=|01〉1、2 (2)
ここで、下付き文字「L」は、前と同様に、ケットが論理状態(例えば、量子ビット値)を表わすことを示し、上記の式の右側の表記|ij〉1、2は、第1のモードのi個の粒子及び第2のモードのj個の粒子がそれぞれあることを示す(例えば、i及びjは整数)。この表記法では、論理状態|0〉|1〉(2つの量子ビットの状態を表わし、第1の量子ビットは「0」論理状態にあり、第2の量子ビットは「1」論理状態にある)を有する2量子ビットシステムは、|1001〉1、2、3、4によって4つのモードにわたる占有を使用して表わすことができる(例えば、フォトニックシステムでは、第1の導波路内の1個の光子、第2の導波路内の0個の光子、第3の導波路内の0個の光子、及び、第4の導波路内の1個の光子)。本開示全体を通して幾つかの例では、不必要な数学的クラッタを回避するために、様々な添字が省略されている。
【0038】
1.2.もつれ状態
[0079] 「古典的」コンピューティング(例えば、バイナリロジックを使用する従来のデジタルコンピュータ)に対する量子コンピューティングの利点の多くは、マルチキュービットシステムのもつれ状態を生み出す能力に起因する。数学的に言えば、n個の量子物体の状態|ψ〉は、
【数2】

であれば分離可能な状態であり、またもつれ状態は分離不可能な状態である。1つの例はBell状態であり、大まかに言えば、この状態は、2量子ビットシステムのための最大もつれ状態のタイプであり、また、Bell状態の量子ビットはBell対と称される場合がある。例えば、モードの対の単一光子によって符号化された量子ビット(デュアルレール符号化)の場合、Bell状態の例は以下を含む。
【数3】
【0039】
[0080] より一般的には、n量子ビットGreenberger-Horne-Zeilinger(GHZ)状態(又は「n-GHZ状態」)は、n個の量子ビットのもつれ量子状態である。所定の正規直交論理基底について、n-GHZ状態は、第1の基底状態にある全ての量子ビットが第2の基底状態にある全ての量子ビットと重ね合わされた量子重畳であり、
【数4】

ここで、上記のケットは論理基底を指す。例えば、モードの対の単一光子によって符号化された量子ビット(デュアルレール符号化)の場合、3-GHZ状態は次のように書くことができる。
【数5】

ここで、上記のケットは、(モードの添字を省略した)6つのそれぞれのモードにおける光子占有数を指す。
【0040】
1.3.物理的実装
[0081] 量子ビット(及び量子ビットに対する動作)は、様々な物理システムを使用して実施することができる。本明細書中に記載される幾つかの例において、量子ビットは、導波路、ビームスプリッタ、フォトニックスイッチ、及び、単一光子検出器を使用する集積フォトニックシステムで与えられ、また、光子によって占有され得るモードは、導波路内の光子の存在に対応する時空間モードである。変換動作を実施するために、モードカプラ、例えば光ビームスプリッタを使用してモードを結合することができ、また、単一光子検出器を特定の導波路に結合することによって測定動作を実施することができる。この開示にアクセスする当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の適切な自由度のセットによって規定されるモード、例えば偏光モード、時間モードなどを使用できる。例えば、偏光のみが異なるモード(例えば、水平(H)及び垂直(V))の場合、モードカプラが、偏光をコヒーレントに回転させる任意の光学素子、例えば波長板などの複屈折材料となり得る。イオントラップシステム又は中性原子システムなどの他のシステムの場合、モードカプラは、2つのモードを結合することができる任意の物理的機構、例えば、原子/イオンの2つの内部状態を結合するように調整されるパルス電磁場となり得る。
【0041】
[0082] デュアルレール符号化を使用するフォトニック量子計算システムの幾つかの実施形態では、一対の導波路を使用して量子ビットを実装することができる。図1は、デュアルレール符号化フォトニックビットを与えるために使用され得る一対の導波路102,104の一部の2つの表示(100,100’)を示す。100においては、光子106が導波路102内にあり、導波路104内に光子がなく(真空モードとも称される)、幾つかの実施形態では、これがフォトニック量子ビットの|0〉状態に対応する。100’においては、光子108が導波路104内にあり、導波路102内に光子がなく、幾つかの実施形態では、これがフォトニック量子ビットの|1〉状態に対応する。既知の論理状態のフォトニック量子ビットを前処理するために、光子源(図示せず)を導波路のうちの一方の一端に結合することができる。光子源は、それが結合される導波路内に単一光子を放出するように動作することができ、それによって既知の状態のフォトニック量子ビットを前処理する。光子は導波路を通って移動し、また、光子源を周期的に動作させることによって、その論理状態がフォトニックシステムの異なる時間モードにマッピングされる量子ビットを有する量子システムを同じ導波路対に形成することができる。更に、導波路の複数の対を与えることにより、論理状態が異なる時空間モードに対応する量子ビットを有する量子システムを形成することができる。そのようなシステム内の導波路が互いに特定の空間的関係を有する必要はないことが理解されるべきである。例えば、これらの導波路を平行に配置することができるが、必ずしも平行に配置する必要はない。
【0042】
[0083] 占有モードは、所望の導波路内を伝搬する光子を生成するために光子源を使用することによって形成することができる。光子源は、例えば、先行単一光子源とも呼ばれる光子対を放出する共振器ベースの光子源となり得る。そのような光子源の一例において、光子源は、非線形光学プロセス(例えば、自発的な四光波混合(SFWM)、自発的なパラメトリックダウンコンバージョン(SPDC)、第2高調波発生など)によって光子対を生成することができる光共振器のシステムに結合されるポンプ、例えば光パルスによって駆動される。多くの異なるタイプの光子源を使用することができる。光子対源の例としては、マイクロリングベースの自発的四光波混合(SPFW)伝令付き光子源(HPS)を挙げることができる。しかしながら、使用される正確なタイプの光子源は重要ではなく、SPFW、SPDC、又は、任意の他のプロセスなどの任意のプロセスを使用する任意のタイプの非線形源を使用することができる。必ずしも非線形材料を必要としない他のクラスの光子源、例えば量子ドットソース、結晶の色中心などの原子及び/又は人工原子系を使用するものも使用することができる。場合によっては、光子源は、例えば、キャビティに結合された量子ドットなどの人工原子系の場合のように、フォトニックキャビティに結合されてもされなくてもよい。光機械システムなどの他のタイプの光子源もSPWM及びSPDCに存在する。
【0043】
[0084] そのような場合、光子源の動作は、所定のポンプパルスが光子対を生成してもしなくてもよいように、非決定的(「確率的」と呼ばれることもある)であってもよい。幾つかの実施形態では、所定のサイクル中に1つのモードが占有される確率が1に近づくことができるようにするべく幾つかの非決定的光子源のコヒーレント空間及び/又は時間多重化(本明細書では「能動的」多重化と呼ばれる)を使用することができる。当業者であれば分かるように、空間多重化及び/又は時間多重化を組み込む多くの異なる能動的多重化アーキテクチャが想定し得る。例えば、対数ツリー、一般化マッハツェンダ干渉計、マルチモード干渉計、連鎖ソース、ダンプ・ツー・ポンプ方式の連鎖ソース、非対称多結晶単一光子ソース、又は、任意の他のタイプの能動的多重化アーキテクチャを使用する能動的多重化方式を使用することができる。幾つかの実施形態では、光子源は、量子フィードバック制御などを用いた能動的多重化方式を使用することができる。以下に説明する幾つかの実施形態では、マルチレール符号化を使用することにより、能動的多重化を伴うことなく、所定のパルスサイクル中に1つのモードが占有される帯域の確率が1に近づくことができる。
【0044】
[0085] 測定動作は、光子が検出器によって検出されたことを示す古典信号(例えば、デジタル論理信号)を生成する単一光子検出器に導波路を結合することによって実施することができる。単一光子に対する感度を有する任意のタイプの光検出器を使用することができる。幾つかの実施形態では、(例えば、導波路の出力端における)光子の検出が占有モードを示し、一方、検出された光子の不在は非占有モードを示すことができる。
【0045】
[0086] 以下に記載される幾つかの実施形態は、システムの量子状態を変換すると理解することができる、量子システムのモードを結合する一体変換動作の物理的実施態様に関する。例えば、量子システムの初期状態(モード結合前)が、あるモードが確率1で占有され、別のモードが確率1で占有されていない状態である場合(例えば、上記で紹介したフォック記法における状態|10〉)、モード結合は、両方のモードが占有される非ゼロ確率を有する状態、例えば状態a|10〉+a|01〉をもたらすことができ、|a+|a=1である。幾つかの実施形態において、この種の動作は、モードを互いに結合するためにビームスプリッタを使用し、1つ以上のモードに位相シフトを適用するために可変移相器を使用することによって実施することができる。振幅a及びaは、ビームスプリッタの反射率(又は透過率)及び導入される任意の位相シフトに依存する。
【0046】
[0087] 図2Aは、2つのモードを結合するための概略図210(回路図又は回路表記とも呼ばれる)を示す。モードは水平線212,214として描かれており、モードカプラ216は、結合されているモードを識別するためにノード(実線ドット)で終端する垂直線によって示される。線形量子光学のより具体的な言語において、図2Aに示されるモードカプラ216は、転送行列を実装する50/50ビームスプリッタを表わす。
【数6】

ここで、Tは、2つのモード上の光子生成演算子の線形マップを規定する。(特定の状況では、転送行列Tは、一次虚数アダマール変換を実施するものとして理解することができる。)慣例により、システムが3つ以上のモードを含む場合、転送行列の第1の列はトップモードの形成演算子(本明細書ではモード1と呼ばれ、水平線212とラベル付けされる)に対応し、第2の列は第2のモードの形成演算子(本明細書ではモード2と呼ばれ、水平線214とラベル付けされる)に対応し、以下同様である。より明示的には、マッピングは以下のように書くことができる。
【数7】

形成演算子上の下付き文字は、動作されるモードを示し、下付き文字の入力及び出力は、ビームスプリッタの前後の形成演算子の形態をそれぞれ識別し、
【数8】

例えば、図2Aに示すモードカプラの適用は、以下のマッピングをもたらす。
【数9】

したがって、式(9)によって記述されるモードカプラの作用は、入力状態|10〉、|01〉及び|11〉を解釈することである。
【数10】
【0047】
[0088] 図2Bは、幾つかの実施形態に係る2つのフォトニックモードに関して式(9)の転送行列Tを実装するモード結合の物理的実装を示す。この例において、モード結合は、方向性カプラ又はモードカプラと呼ばれることもある導波路ビームスプリッタ200を使用して実施される。導波路ビームスプリッタ200は、一方の導波路のエバネッセント場が他方の導波路に結合することができるように2つの導波路202,204を十分に近接させることによって実現することができる。導波路202,204間の間隔d及び/又は結合領域の長さlを調整することにより、モード間の異なる結合を得ることができる。このように、導波路ビームスプリッタ200を所望の透過率を有するように構成することができる。例えば、ビームスプリッタは、0.5(すなわち、上記で導入された転送行列Tの特定の形態を実装するための50/50ビームスプリッタ)に等しい透過率を有するように設計することができる。他の転送行列が望まれる場合、反射率(又は透過率)は、本開示の範囲から逸脱することなく、0.6より大きく、0.7より大きく、0.8より大きく、又は、0.9より大きくなるように設計することができる。
【0048】
[0089] モード結合に加えて、幾つかのユニタリ変換は、1つ以上のモードに適用される位相シフトを含み得る。幾つかのフォトニック実装形態では、可変位相シフタを集積回路に実装して、複数のモードにわたって拡散される光子の状態の相対位相を制御することができる。そのような位相シフトを規定する転送行列の例は、(第2のモードに+i及び-i位相シフトをそれぞれ適用するために)以下によって与えられる。
【数11】

シリカ-オン-シリコン材料の場合、幾つかの実施形態は、熱光スイッチを使用して可変位相シフタを実装する。熱光スイッチは、熱光学効果を介して導波路の温度を10-5K程度上昇させることによって屈折率nの変化をもたらすことができる、チップの表面上に製造された抵抗素子を使用する。本開示にアクセスする当業者であれば分かるように、導波路の一部の屈折率を変化させる任意の効果を使用して、可変の電気的に調整可能な位相シフトを生成することができる。例えば、幾つかの実施形態は、電気光学効果をサポートする任意の材料、いわゆるχ及びχ材料、例えばニオブ酸リチウム、BBO、KTPなど、更にはドープ半導体、例えばシリコン、ゲルマニウムなどに基づくビームスプリッタを使用する。
【0049】
[0090] 可変透過率及び出力モード間の任意の位相関係を伴うビームスプリッタは、例えば図3Aに示すように、マッハツェンダ干渉計(MZI)形態300において方向性カプラ及び可変位相シフタを組み合わせることによって達成することもできる。デュアルレール符号化における2つのモード302a、302bの相対的な位相及び振幅に対する完全な制御は、位相シフタ306a、306b及び306cによって与えられる位相、並びに、結合領域304a及び304bの長さ及び近接度を変化させることによって達成することができる。図3Bは、位相シフタ306によって与えられる位相を変化させることによってモード302a、302b間の可変透過率を可能にするMZI 310のわずかに単純な例を示す。図3A及び図3Bは、物理デバイスにおいてモードカプラをどのように実装することができるかの例であるが、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のタイプのモードカプラ/ビームスプリッタを使用することができる。
【0050】
[0091] 幾つかの実施形態では、ビームスプリッタ及び位相シフタを組み合わせて使用して、様々な転送行列を実装することができる。例えば、図4Aは、図2Aのものと同様の概略的な形態で、以下の転送行列を実装するモードカプラ400を示す。
【数12】

したがって、モードカプラ400は、以下のマッピングを適用する。
【数13】

式(15)の転送行列Tは、第2のモードでの位相シフトによって式(9)の転送行列Tに関係する。これは、モードカプラ416が第1のモードに結合する閉ノード407(線212)と、モードカプラ416が第2のモードに結合する開ノード408(線214)とによって、図4Aに概略的に示される。より具体的には、T=sTsであり、図4Aの右側に示すように、モードカプラ416は、先行及び後続の位相シフト(白四角418a、418bで示す)を用いて、(前述したような)モードカプラ216を使用して実装することができる。したがって、転送行列Tは、図4Bに示す物理ビームスプリッタによって実装することができ、この場合、開いた三角形は+i位相シフタを表わす。
【0051】
[0092] 同様に、モードカプラ及び位相シフタのネットワークを使用して、3つ以上のモード間の結合を実施することができる。例えば、図5は、4つのモード上で「スプレッダ」又は「モード情報消去」変換を実施する4モード結合方式を示し、すなわち、この方式は、入力モードのいずれか1つで光子を取り込み、光子が4つの出力モードのいずれか1つで検出される確率が等しくなるように、4つの出力モードのそれぞれの間で光子を非局在化する。(周知のアダマール変換は、スプレッダ変換の一例である。)図2Aのように、水平線512~515はモードに対応し、モード結合は、結合されているモードを識別するためにノード(ドット)を有する垂直線516によって示される。この場合、4つのモードが結合される。回路表記502は、一次モード結合のネットワークである回路図504と等価な表示である。より一般的には、高次モード結合が一次モード結合のネットワークとして実施され得る場合、(適切な数のモードを有する)表記502と同様の回路表記が使用され得る。
【0052】
[0093] 図6は、幾つかの実施形態に係る図5に概略的に示される4モード拡散変換を実施することができる光学デバイス600の一例を示す。光学デバイス600は、第1の材料層(図6において実線で表わされる)に形成される光導波路601,603の第1のセットと、第1の材料層(図6において破線で表わされる)とは異なる別個の第2の材料層に形成される光導波路605,607の第2のセットとを含む。第2の材料層及び第1の材料層は、基板上の異なる高さに位置する。当業者であれば分かるように、適切な低損失導波路交差が使用された場合、図6に示すような干渉計を単層で実装できる。
【0053】
[0094] 光導波路の第1のセットのうちの少なくとも1つの光導波路601,603は、任意の種類の適切な光カプラ、例えば本明細書中に記載される方向性カプラ(例えば、図2B図3A図3Bに示される光カプラ)を有する光導波路の第2のセットの光導波路605,607と結合される。例えば、図6に示される光学デバイスは4つの光カプラ618,620,622,624を含む。各光カプラは、2つの導波路が平行に伝搬する結合領域を有することができる。2つの導波路は、結合領域内で互いにオフセットされているものとして図6に示されるが、2つの導波路は、オフセットを伴うことなく結合領域内で互いに真上及び真下に位置されてもよい。幾つかの実施形態において、光カプラ618,620,622,624のうちの1つ以上は、2つの導波路間で約50%の結合効率(例えば、49%~51%の結合効率、49.9%~50.1%の結合効率、49.99%~50.01%の結合効率、及び、50%の結合効率など)を有するように構成される。例えば、2つの導波路の長さ、2つの導波路の屈折率、2つの導波路の幅及び高さ、2つの導波路間に位置される材料の屈折率、及び、2つの導波路間の距離は、2つの導波路間に50%の結合効率を与えるように選択される。これにより、光カプラは50/50ビームスプリッタのように動作することができる。
【0054】
[0095] 更に、図6に示される光学デバイスは、2つの層間光カプラ614及び616を含むことができる。光カプラ614は、第1の材料層上の導波路を伝搬する光の第2の材料層上の導波路への伝送を可能にし、光カプラ616は、第2の材料層上の導波路を伝搬する光の第1の材料層上の導波路への伝送を可能にする。光カプラ614及び616は、少なくとも2つの異なる層に位置される光導波路をマルチチャネル光カプラで使用できるようにし、これにより、小型のマルチチャネル光カプラが可能になる。
【0055】
[0096] 更に、図6に示される光学デバイスは、非結合導波路交差領域626を含む。幾つかの実装形態において、2つの導波路(この例では603及び605)は、非結合導波路交差領域626(例えば、導波路は、ほぼ90度の角度で互いに交差する2つの直線導波路となり得る)内の交差部に平行結合領域が存在することなく互いに交差する。
【0056】
[0097] 当業者であれば分かるように、前述の例は例示的なものであり、ビームスプリッタ及び/又は位相シフタを使用するフォトニック回路を使用して、任意の次数の実数アダマール変換及び虚数アダマール変換、離散フーリエ変換などのための変換行列を含む、多くの異なる変換行列を実装できる。本明細書で「スプレッダ」又は「モード情報消去(MIE)」回路と呼ばれるフォトニック回路の1つのクラスは、入力が1つの入力モードに局在化した単一光子である場合に、光子が出力モードのいずれか1つで検出される等しい確率を有するように、回路が幾つかの出力モードのそれぞれの間で光子を非局在化するという特性を有する。スプレッダ又はMIE回路の例は、アダマール転送行列を実装する回路を含む。(スプレッダ又はMIE回路は、1つの入力モードで局在化された単一光子ではない入力を受信することができ、そのような場合の回路の挙動は、実装される特定の転送行列に依存することが理解されるべきである。)他の例において、フォトニック回路は、1つの入力モードの単一光子に関して、異なる出力モードで光子を検出する確率が等しくない転送行列を含む他の転送行列を実装することができる。
【0057】
[0098] 幾つかの実施形態において、複数のフォトニック量子ビットのもつれ状態は、2つ(又はそれ以上)の量子ビットのモードを結合して他のモードで測定を実行することによって形成することができる。例として、図7は、幾つかのデュアルレール符号化フォトニック実施形態で使用することができるBell状態生成器700の回路図を示す。この例において、モード732(1)-732(4)は、最初に光子(波線で示す)によってそれぞれ占有され、モード732(5)-732(8)は最初は真空モードである。(当業者であれば分かるように、占有モードと非占有モードとの他の組み合わせを使用できる。)
【0058】
[0099] 一次モード結合(例えば、式(9)の転送行列Tを実装する)は、モードカプラ731(1)-731(4)によって示されるように占有モードと非占有モードとの対に対して実行される。その後、モードカプラ737によって示されるように、モードのうちの4つのモード(モード732(5)-732(8))に対してモード情報消去結合(例えば、図5に示すような4モードモード拡散変換を実施する)が実行される。モード732(5)-732(8)は、他の4つのモード732(1)-732(4)でBell状態がうまく生成されたかどうかを決定するために測定されて使用される「伝令付き」モードとして作用する。例えば、検出器738(1)-738(4)は、二次モードカプラ737の後にモード732(5)-732(8)に結合することができる。各検出器738(1)-738(4)は、光子(又は検出された光子の数)を検出したかどうかを示す古典的データ信号(例えば、導体上の電圧レベル)を出力することができる。これらの出力は、他の4つのモード732(1)-732(4)にBell状態が存在するかどうかを決定する古典的決定論理回路740に結合することができる。例えば、決定論理回路740は、単一光子がちょうど2つの検出器738(1)-738(4)のそれぞれによって検出された場合に限り、Bell状態が確認される(Bell状態生成器の「成功」とも呼ばれる)ように構成することができる。モード732(1)-732(4)は、図7に示されるように、2つの量子ビット(量子ビット1及び量子ビット2)の論理状態にマッピングすることができる。具体的には、この例では、Qubit 1の論理状態がモード732(1)及び732(2)の占有率に基づいており、Qubit 2の論理状態はモード732(3)及び732(4)の占有率に基づいている。Bell状態生成器700の動作は非決定的であり得ることに留意すべきである。すなわち、図示のように4つの光子を入力することは、モード732(1)-732(4)でBell状態が生成されることを保証しない。一実施態様では、成功の確率が4/32である。
【0059】
[0100] 幾つかの実施形態では、複数のもつれ量子ビット(一般的には3量子ビット以上であるが、Bell状態は2量子ビットのクラスタ状態として理解することができる)のクラスタ状態を形成することが望ましい。より大きなもつれシステムを形成するための1つの技術は、量子ビットのシステム間のもつれを生成するために使用することができる射影測定であるもつれ測定の使用によるものである。本明細書中で使用される場合、「融合」(又は「融合動作」又は「融合する」)は、2量子ビットのもつれ測定を指す。「融合ゲート」は、それぞれが一般的にはもつれシステムの一部である2つの入力量子ビットを受ける構造である。融合ゲートは、最初の2つのもつれシステムが単一のもつれシステムに融合されるような態様で、1(「I型融合」)又は0(「II型融合」)のいずれかの出力量子ビットを生成する入力量子ビットに対して射影測定動作を実行する。融合ゲートは、2量子ビットのもつれ測定の一般的なクラスの具体例であり、フォトニックアーキテクチャに特に適している。次に、I型及びII型の融合ゲートの例を説明する。
【0060】
[0101] 図8Aは、幾つかの実施形態に係るI型融合ゲート800を例示する回路図を示す。図8Aに示される図は、各水平線が量子システム、例えば光子のモードを表わす概略図である。デュアルレール符号化では、モードの各対が量子ビットに相当する。ゲートのフォトニック実装では、図8Aに示すような図のモードが、フォトニック導波路内の単一光子を使用して物理的に実現され得る。最も一般的には、図8Aに示されるようなI型融合ゲートは、量子ビットA(例えば光子モード843及び845によって物理的に実現される)及び量子ビットB(例えば光子モード847及び849によって物理的に実現される)を入力として取り込み、入力量子ビットA又は入力量子ビットBのいずれか(又は両方)と既にもつらされた他の量子ビットとのもつれを受け継ぐ単一の「融合」量子ビットを出力する。
【0061】
[0102] 例えば、図8Bは、それぞれが幾つかのより長いもつれたクラスタ状態の終わり(すなわち、リーフ)に位置される量子ビットである2つの量子ビットA,BのI型融合の結果を示す(その一部のみが示される)。融合動作後に残る量子ビット857は、元の量子ビットA,Bからもつれ結合を受け継ぎ、それによって、より大きな線形クラスタ状態を生み出す。また、図8Bは、それぞれ量子ビットの何らかのより長いもつれクラスタ(その一部のみが示されている)に属する内部量子ビットである2つの量子ビットA,BのI型融合の結果を示す。前述のように、融合後に残る量子ビット859は、元の量子ビットA,Bからもつれ結合を受け継ぎ、それによって、融合クラスタ状態を生み出す。この場合、融合動作後に残る量子ビットは、図示のように、4つの他の最近傍量子ビットによってより大きなクラスタともつらされる。
【0062】
[0103] 図8Aに示されるI型融合ゲート800の概略図に戻ると、量子ビットAはモード843及び845によってデュアルレール符号化され、量子ビットBはモード847及び849によってデュアルレール符号化される。例えば、経路符号化されたフォトニック量子ビットの場合、量子ビットAの論理ゼロ状態|0〉)で示される)は、モード843が単一光子を含むフォトニック導波路であり且つモード845がゼロ光子を含むフォトニック導波路である場合に発生する(量子ビットBについても同様である)。したがって、I型融合ゲート800は、入力として2つのデュアルレール符号化光子量子ビットを取り込むことができ、それによって、合計4つの入力モード(例えば、モード843,845,847及び849)をもたらす。融合動作を達成するために、光子検出器855(それぞれモード843及び849に結合された2つの別個の光子検出器を含む)を使用して両方のモードに対して検出動作を実行する前に、モードカプラ(例えば、50/50ビームスプリッタ)853が、入力量子ビットのそれぞれのモードの間、例えばモード843とモード849との間に適用される。モード843及び849に対する検出動作は、破壊的測定である。更に、出力モードが隣接して位置されるようにするために、量子ビットAの第2のモードの位置(モード845)を量子ビットBの第2のモードの位置(モード849)と入れ替えるモードスワップ動作851を適用することができる。幾つかの実施形態において、モードスワップは、前述のような物理導波路交差によって、又は1つ以上のフォトニックスイッチによって又は任意の他のタイプの物理モードスワップによって達成することができる。
【0063】
[0104] 図8Aは、I型融合ゲートの例示的な配置のみを示し、当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、モードカプラの位置及びモードスワップ領域851の存在を変更することができる。例えば、ビームスプリッタ853は、モード845とモード847との間に適用することができる。モードスワップは、随意的であり、隣接していないモードを有する量子ビットを、例えば、この情報を古典メモリに記憶することによってどのモードがどの量子ビットに属するかを追跡することによって取り扱うことができる場合には必要ではない。
【0064】
[0105] I型融合ゲート800は非決定的ゲートであり、すなわち、融合動作は1未満のある確率で成功し、他の場合には、結果として生じる量子状態は、より大きなクラスタ状態に融合された元のクラスタ状態を含むより大きなクラスタ状態ではない。より具体的には、ゲート800は、検出器855によってただ1つの光子が検出された場合、確率50%で「成功」し、検出器855によって0個又は2個の光子が検出された場合、「失敗」する。ゲートが成功すると、量子ビットA及び量子ビットBが一部であった2つのクラスタ状態は、融合されて単一のより大きなクラスタ状態になり、融合された量子ビットは、以前にリンクされていない2つのクラスタ状態をリンクする量子ビットとして残る(例えば、図8B参照)。しかしながら、融合ゲートが失敗すると、より大きな融合状態を生成することなく、元のクラスタリソース状態から両方の量子ビットを除去する効果がある。
【0065】
[0106] 図9Aは、幾つかの実施形態に係るII型融合ゲート900を例示する回路図を示す。本明細書中の他の図と同様に、図9Aに示す図は概略図であり、各水平線は量子システムのモード、例えば光子に相当する。デュアルレール符号化では、モードの各対が量子ビットに相当する。ゲートのフォトニック実装では、図9Aに示すような図のモードは、フォトニック導波路内の単一光子を使用して物理的に実現することができる。最も一般的には、ゲート900などのII型融合ゲートは、量子ビットA(例えば光子モード943及び945によって物理的に実現される)及び量子ビットB(例えば光子モード947及び949によって物理的に実現される)を入力として取り込み、入力量子ビットA又は入力量子ビットBのいずれか(又は両方)と既にもつらされた他の量子ビットとのもつれを受け継ぐ量子状態を出力する。(II型融合の場合、入力量子状態がN量子ビットを有する場合、出力量子状態はN-2量子ビットを有する。これは、N量子ビットの入力量子状態がN-1量子ビットを有する出力量子状態をもたらすI型融合とは異なる。)
【0066】
[0107] 例えば、図9Bは、それぞれが幾つかのより長いもつれたクラスタ状態(その一部のみが示されている)の終わり(すなわち、リーフ)に位置される量子ビットである2つの量子ビットA,BのII型融合の結果を示す。結果として生じる量子ビットシステム971は、量子ビットA及び量子ビットBからもつれ結合を受け継ぎ、それによって、より大きな線形クラスタ状態を生み出す。
【0067】
[0108] 図9Aに示されるII型融合ゲート900の概略図に戻ると、量子ビットAはモード943及び945によってデュアルレール符号化され、量子ビットBはモード947及び949によってデュアルレール符号化される。例えば、経路符号化されたフォトニック量子ビットの場合、量子ビットAの論理ゼロ状態(|0〉で示される)は、モード943が単一光子を含むフォトニック導波路であり且つモード945がゼロ光子を含むフォトニック導波路である場合に発生する(量子ビットBの場合も同様である)。したがって、II型融合ゲート900は、入力として2つのデュアルレール符号化光子量子ビットを取り込み、それによって、合計4つの入力モード(例えば、モード943,945,947及び949)をもたらす。融合動作を達成するために、第1のモードカプラ(例えば、50/50ビームスプリッタ)953が、入力量子ビットのそれぞれのモード間、例えばモード943とモード949との間に適用され、第2のモードカプラ(例えば、50/50ビームスプリッタ)955が、入力量子ビットのそれぞれの他のモード間、例えばモード945とモード947との間に適用される。検出動作は、光子検出器957(1)-957(4)を使用して4つのモード全てに対して実行される。検出動作は、破壊的測定である。幾つかの実施形態では、モードスワップ動作(図9Aには図示せず)を実行して、モード結合の前にモードを隣接する位置に配置することができる。幾つかの実施形態において、モードスワップは、前述のような物理導波路交差によって、又は1つ以上のフォトニックスイッチによって又は任意の他のタイプの物理モードスワップによって達成することができる。モードスワップは、随意的であり、隣接していないモードを有する量子ビットを、例えば、この情報を古典メモリに記憶することによってどのモードがどの量子ビットに属するかを追跡することによって取り扱うことができる場合には必要ではない。
【0068】
[0109] 図9Aは、II型融合ゲートの例示的な配置のみを示し、当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、モードカプラの位置及びモードスワップ領域の有無を変更することができる。
【0069】
[0110] 図9Aに示されるII型融合ゲートは非決定的ゲートであり、すなわち、融合動作は1未満の特定の確率で成功し、他の場合には、結果として生じる量子状態は、より大きなクラスタ状態に融合された元のクラスタ状態を含むより大きなクラスタ状態ではない。より具体的には、検出器957(1)、957(4)のいずれかで1光子が検出され、検出器957(2)、957(3)のいずれかで1光子が検出された場合に、ゲートが「成功」し、他の全ての場合において、ゲートは「失敗」する。ゲートが成功すると、量子ビットA,Bが一部であった2つのクラスタ状態は、融合されて単一のより大きなクラスタ状態になる。I型融合とは異なり、融合した量子ビットは残っていない(図8B図9Bとを比較されたい)。融合ゲートが失敗すると、より大きな融合状態を生成することなく、元のクラスタリソース状態から両方の量子ビットを除去する効果がある。
【0070】
[0111] 上記の説明は、導波路間のモード結合を使用して物理量子ビット及び物理量子ビットに対する動作を実施するためにフォトニック回路をどのように使用できるかの例を提供する。これらの例では、各物理量子ビットを表わすために一対のモードを使用することができる。以下に説明する例は、同様のフォトニック回路素子を用いて実現することができる。
【0071】
2.もつれ構造の生成
[0112] 第1節で説明したように、量子ビットは、光子が導入された一対の導波路を用いて物理的に実現することができ、モードカプラ(例えば、ビームスプリッタ)、可変移相器、光子検出器などを用いて量子ビットを動作させることができる。例えば、異なる量子ビットに関連する導波路間にモードカプラを設けることによって、2つ(又はそれ以上)の量子ビット間のもつれを生み出すことができる。実際問題として、物理量子ビットは損失(例えば、光子生成回路、モードカプラ、融合回路、又は他の構成要素の非効率性により、光子が測定中に検出されない可能性がある場合)及びノイズ(例えば、測定前にビットフリップ誤りが発生する可能性がある場合)を被り得る。その結果、量子計算を実行するときに単一の物理量子ビット(例えば、一対の導波路内を伝搬する光子)に依存すると、許容できないほど高い誤り率をもたらす可能性がある。耐故障性をもたらすために、フォトニック量子コンピュータは、1つ以上の論理量子ビットで動作するように設計することができ、「論理量子ビット」は、誤り訂正を可能にするもつれ構造を有するトポロジカルクラスタ状態である。(以下の節で使用される「量子ビット」という用語は、物理量子ビットを指し、論理量子ビットへの全ての言及は、修飾語「論理」を含む。)例えば、幾つかの実施形態では、論理量子ビットのもつれ構造は、3次元のグラフとして表わすことができる。省略表現として、本開示は、「もつれ空間」という用語を使用して、もつれ構造のグラフ表示に対応する次元を有する空間を指す。量子コンピューティングの文脈では、論理量子ビットは、誤り検出及び誤り訂正をサポートすることによってロバスト性を改善することができる。論理量子ビットは、量子通信などの他の文脈でも使用され得る。
【0072】
[0113] 本明細書に記載の幾つかの実施形態は、「リソース状態」と呼ばれる、物理量子ビットのより小さいもつれシステムから大きなもつれ構造を構築するために使用することができる装置及び方法に関する。本明細書で使用される場合、「リソース状態」は、分離不可能なもつれ状態(より小さな別々のもつれ状態に分解することができないもつれ状態である)にある複数(n)の量子ビットのもつれシステムを指す。様々な実施形態において、数nは、小さい数(例えば、2つ以上、又は約20までの任意の数)、又はより大きい数(所望に応じて大きい)であり得る。
【0073】
[0114] 図10A図10Cは、幾つかの実施形態にしたがって使用することができるリソース状態のもつれグラフ表示を示す。本明細書で使用されるグラフ表示では、物理量子ビットはドットとして表わされ、物理量子ビット間のもつれはドットの対を接続する線によって表わされる。これらの例では、もつれジオメトリは3次元空間を規定し、ラベルx、y、及びzは、このもつれ空間内の異なる寸法を定めるために使用される。これらの次元は物理的次元に対応する必要はなく、場合によっては、量子ビットは空間的次元ではなく時間的に分離されてもよいことを理解すべきである。例えば、各物理量子ビットは、導波路内を伝搬する光子を使用して実装することができ、導波路の特定の部分は、異なる時間に異なる量子ビットに関連付けられた光子をホストすることができる。
【0074】
[0115] 図10Aは、7つの物理量子ビット1010~1016を有するリソース状態1000の一例を示す。リソース状態1000において、「中央」量子ビット1016は、6つの「周辺」量子ビット1010~1015ともつらされる。説明の便宜上、6つの周辺量子ビットは、(座標軸1001によって示されるように)方向識別子+x、-x、+y、-y、+z、-zを使用して互いに区別される。したがって、例えば、量子ビット1012は+x量子ビットと呼ばれてもよく、量子ビット1013は-x量子ビットと呼ばれてもよく、以下同様である。これらの識別子は、もつれ形状を指し、実際の物理的方向に対応する必要はないことを理解すべきである。明らかになるように、「中央」量子ビット及び「周辺」量子ビットという用語は、本明細書において、他のリソース状態からの量子ビットとの融合動作の対象となる量子ビット(「周辺量子ビット」)を、他のリソース状態からの量子ビットとの融合動作の対象とならない量子ビット(「中央量子ビット」)と区別するために使用される。
【0075】
[0116] リソース状態のもつれの幾何学的形状又はトポロジは変更することができる。一例として、図10Bは、7つの物理量子ビット1030~1036を有する異なるリソース状態1020の一例を示す。リソース状態1000と同様に、中央量子ビット1036は、6つの周辺量子ビット1030~1035ともつれている。リソース状態1020は、リソース状態1010が周辺量子ビット1030と周辺量子ビット1032との間に更なるもつれを有するという点でリソース状態1020とは異なる。
【0076】
[0117] 別の例として、図10Cは、Kagome-6状態として当技術分野で知られているリソース状態1040を示す。リソース状態1040は、6つの周辺量子ビット1050~1055(及び中央量子ビットなし)を有し、各周辺量子ビットは他の2つの量子ビットともつれている。リソース状態1040は、中心の双方向矢印によって示唆されるような三次元もつれジオメトリを有すると理解することができ、量子ビット1050は+y量子ビットであり、量子ビット1051は-y量子ビットであり、量子ビット1052は+x量子ビットであり、量子ビット1053は-x量子ビットであり、量子ビット1054は+z量子ビットであり、量子ビット1055は-z量子ビットである。
【0077】
[0118] 図10A図10Cのリソース状態の例は例示的なものであり、限定的なものではない。幾つかの実施形態において、リソース状態のもつれトポロジ/ジオメトリは、実行される特定の計算に基づいて選択することができ、単一のもつれ構造を生成する際に使用される異なるリソース状態は、異なるもつれトポロジを有することができる。更に、示された例は、6又は7量子ビットを有するリソース状態を含むが、各リソース状態における量子ビットの数も変化させることができる。したがって、リソース状態は、示されている例よりも大きくても小さくてもよく、任意の数の中央量子ビット(0個の中央量子ビットを含む)及び/又は周辺量子ビットを含んでもよい。リソース状態のサイズ及びもつれジオメトリの選択に関する追加の考慮事項を以下に説明する。
【0078】
[0119] 様々な実施形態によれば、幾つかの数のリソース状態からなる「層」は、1つ以上のリソース状態生成器を使用して生成することができる。(本明細書で使用される他の幾何学的又は空間的用語と同様に、「層」は、物理量子ビットの量子もつれのグラフ表示を指し、導波路又は他の構成要素の特定の物理的配置を意味しないことが理解されるべきである。)図11A及び図11Bは、幾つかの実施形態に係るリソース状態の層の例を示す。図11Aでは、層1100は、図10Aのリソース状態1000の複数のインスタンスから形成され、図11Bでは、層1140は、図10Cのリソース状態1040の複数のインスタンスから形成される。層1100及び1140は、層に含まれるリソース状態の数として規定されるサイズを有する。本明細書で使用される例では、各層は、行及び列を有する規則的なアレイ構造を有する。(「行」及び「列」という用語は、本明細書では、もつれ空間の寸法を区別するために使用され、物理的寸法に対応する必要はない。)したがって、図11Aに示すように、層1100は、R×C個のリソース状態を含み、Rは行の数であり、Cは列の数である。場合によっては(例えば、図11Bに示すように)、R=C=Lであり、層1100はサイズLの正方形であると言うことができる。幾つかの実施形態において、L(又はR×C)は、大きな数、例えば約100~約10であり得る。
【0079】
[0120] リソース状態よりも大きなもつれ構造を形成するために、融合動作(例えば、上記のII型融合動作又は他のもつれ測定動作)を実行して、層内の異なるリソース状態の量子ビット間のもつれを形成することができる。図11A及び図11Bは、融合回路(例えば、図9BのII型融合回路900)に入力され得る量子ビットの対の例を点線楕円を使用して示す。したがって、例えば、図11Aの層1100では、リソース状態1000の+x量子ビット(1、1)及びリソース状態1000の-x量子ビット(1、2)は、点線の楕円1105で示すように、ある融合動作への入力とすることができ、リソース状態1000の-y量子ビット(1、1)及びリソース状態1000の+y量子ビット(2、1)は、点線の楕円1107で示すように、別の融合動作への入力とすることができる。図示のように、このパターンは、層1100にわたって繰り返すことができる。同様に、図11Bの層1140では、リソース状態1040の+x量子ビット(1、1)及びリソース状態1040の-x量子ビット(1、2)は、点線の楕円1145で示すように、ある融合動作への入力とすることができ、リソース状態1040の-y量子ビット(1、1)及びリソース状態1040の+y量子ビット(2、1)は、点線の楕円1147で示すように、別の融合動作への入力とすることができる。図示のように、このパターンは、層1100にわたって繰り返すことができる。
【0080】
[0121] 幾つかの実施形態では、層のエッジ又は境界における量子ビット(例えば、層1100内の量子ビット1106及び1108、又は層1140内の量子ビット1146及び1148)は、特別な場合として扱うことができる。例えば、層の境界における量子ビット(「境界量子ビット」とも呼ばれる)は、量子ビットに対してZ測定(すなわち、パウリZ基底における測定)又は同様の動作を行なうことによってシステムから除去することができる。或いは、境界量子ビットは、所望に応じて同じ層又は異なる層の境界量子ビットであり得る別の境界量子ビットとの融合動作を受けてもよい。境界量子ビットに対する動作の例を以下に説明する。幾つかの実施形態において、リソース状態生成器は、境界量子ビットが生成されない又は選択的に生成されるように構成することができる。
【0081】
[0122] 幾つかの実施形態では、リソース状態の複数の層を形成することができ、更なる融合動作(例えば、上記のII型融合動作)を実行して、異なる層のリソース状態に関連付けられた量子ビット間のもつれを形成することができる。例えば、図12A及び図12Bは、幾つかの実施形態に係るリソース状態の2つの層を含む3次元アレイの例を示す。図12Aでは、アレイ1200は、図11Bの層1100の2つのインスタンスを含み、図12Bでは、アレイ1240は、図11Bの層1140の2つのインスタンスを含む。説明を明確にするために、図12A及び図12Bでは、層1100(1)及び1140(1)は、量子ビットを表わすために黒いドットを使用して示されており、層1100(2)及び1140(2)は、量子ビットを表わすために白いドットを使用して示されている。図12A及び図12Bは、点線の楕円を使用して、融合回路(例えば、図9BのII型融合回路900)に入力することができる異なる層からの量子ビットの対の例を示す。したがって、例えば、図12Aに示すように、リソース状態1000の-z量子ビット(1、1、1)及びリソース状態1000の+z量子ビット(1、1、2)は、点線の楕円1205で示すように、融合動作への入力とすることができる。同様に、層1100(1)の他の各リソース状態の-z量子ビットは、層1100(2)の対応する位置のリソース状態の+z量子ビットと融合することができる。同様に、図12Bに示すように、層1140(1)の各リソース状態1040(i、j、1)の-z量子ビット及び層1140(2)の対応するリソース状態1040(i、j、2)の+z量子ビットは、点線の楕円1245で示すように、融合動作への入力とすることができる。説明を明確にするために、層内の隣接する量子ビット間の融合動作は、図12A及び図12Bには示されていない。しかしながら、各層内の融合動作(例えば、図11A及び図11Bに示される)も実行できることが理解されるべきである。同じパターンの融合動作は、任意の数の層に拡張することができる。生成される層の数は、層のサイズとは無関係となり得るものであり、例えば、実行される特定の量子計算に基づいて決定され得る。
【0082】
[0123] 幾つかの実施形態において、層内のリソース状態の量子ビット間の融合動作(例えば、図11A及び図11Bに示される)及び異なる層内のリソース状態の量子ビット間の融合動作(例えば、図12A及び図12Bに示される)は、入力量子ビットの対に対して実行される(図9A及び図9Bに関連して前述したような)II型融合動作である。成功したII型融合は、システムから入力量子ビットを除去し、残りの量子ビット(この場合、中央量子ビット)間のもつれを生成する。更に、II型融合(成功したか否かにかかわらず)は、破壊的な測定を行なうことを伴い、それらの測定の結果(例えば、図9Aの融合回路900内の検出器957のそれぞれによって検出された光子の数)は、(古典的な)データとして古典的なコンピュータに提供することができ、古典的なコンピュータは、結果を解釈して、もつれ構造を反映する情報を抽出することができる。例えば、古典的なコンピュータは、測定データを使用して量子計算の結果を決定することができる。
【0083】
[0124] 以下の説明では、融合動作は、「空間的」又は「時間的」と呼ばれることがある。この用語は、異なる量子ビット又はリソース状態が異なる時間に生成される特定の実施態様を想起させるものであり、空間融合は、異なるハードウェアインスタンスを使用して同時に生成された量子ビット間で実行することができ、時間融合は、同じハードウェアのインスタンスを使用して異なる時間に生成された量子ビット間で実行することができる。フォトニック量子ビットの場合、以前に生成された量子ビットを遅延させる(例えば、更なる長さの導波路材料を使用して光子のためのより長い伝搬経路を形成する)ことによって時間的融合を実施することができ、それによって、後に生成される量子ビットとのモード結合が可能になる。時間的融合を活用することにより、同じハードウェアを使用して、層内のリソース状態の複数のインスタンスを生成し、及び/又は、リソース状態の複数の層を生成することができる。
【0084】
[0125] 幾つかの実施形態において、融合動作の一部又は全ては、再構成可能融合回路を使用して実行することができる。再構成可能な融合回路は、位相シフト、モードスワップ、及び/又は基底回転などの融合前の様々な動作を組み込むことができ、実行される特定の動作を選択するために(古典的な)制御信号を受信することができる。例えば、異なる融合動作を層内の異なる位置で選択的に実行することができ、又は、異なる融合動作を異なる層に対して選択的に実行することができる。例えば、リソース状態のアレイを使用して特定の量子計算アルゴリズムを実装するために、再構成可能な融合回路を使用することができる。
【0085】
[0126] 幾つかの実施形態では、(例えば、図10A図11A、及び図12Aの例)各リソース状態は、中央量子ビット(すなわち、別のリソース状態の量子ビットとの融合動作を受けない量子ビット1016などの量子ビット)を有する。したがって、上記のように融合動作を実行した後、量子ビットの大きなもつれシステム(本明細書では「LES」と呼ばれる)を生成することができる。図13は、幾つかの実施形態に係る図10Aのリソース状態1000に適用される、図11A及び図12Aに示すような融合動作によって形成され得るLES 1300の一例を示す。この例では、リソース状態1000が単一の中央量子ビット(図10Aの量子ビット1016)を有し、LES 1300が層を有すると理解することができ、各層はR×C量子ビット1316のアレイを含む。より一般的には、リソース状態は任意の数の中央量子ビットを有することができ、LESの層ごとの量子ビット数は、LESの層に寄与したリソース状態の層のサイズとは異なり得る。LESは、物理的に前処理され、したがって特定のもつれた状態で物理的に存在する量子ビットのシステムである。量子ビット(例えば、フォトニック量子ビット)のもつれ状態は、それ自体がグラフ状態、クラスタ状態、個々の量子ビットに対する適切な測定を用いて量子エラー訂正コード(例えば、トポロジカルコード、例えば、葉面コード、ボリュームコード、カラーコードなど)に対応するフォールトトレラントなクラスタ状態を形成する何らかの他のもつれ状態、又は、これらのもつれ状態の任意の部分であり得る。したがって、LES(又は後述する「ステッチング」プロセスなどのプロセスを介して更に相互にもつれた幾つかのLES)を使用して、1つ以上の論理量子ビットを符号化することができ又はクラスタ状態(又はクラスタ状態の一部)として使用することができ、その際、個々の物理量子ビットの測定が行われて、測定ベースの量子コンピューティング(「MBQC」)システムで量子計算が実施され、又は、物理量子ビットの大きなもつれシステムが生成されるようになっている他の任意の状況で量子計算が実施される。
【0086】
[0127] 他の実施形態(例えば、図10C図11B図12Bの例)では、リソース状態はいかなる中央量子ビットも有さない。リソース状態が中央量子ビットを有さない実施形態では、層内及び層間の融合動作は、リソース状態の全ての量子ビットの全てに対する破壊的測定を含むことができ、もつれを生成する最終出力は、融合動作からの(古典的な)測定結果データのセットとすることができる。幾つかの実施形態では、この測定結果データは、リソース状態及びそこで実行される融合動作によって規定されたもつれ構造を有する1つ以上のエラー訂正された論理量子ビットを含む計算の結果として解釈することができる。この技術は、本明細書では「融合ベースの量子コンピューティング」又は「FBQC」と呼ばれる。
【0087】
[0128] 本明細書に示されるリソース状態及びアレイは例示的なものであり、変形及び修正が可能であることが理解されるべきである。リソース状態のサイズ及びもつれ形状は変更することができる。幾つかの実施形態では、異なるサイズ及び/又はもつれジオメトリを有するリソース状態を、層内又は層のアレイ内の異なる位置で使用することができ、リソース状態構成の位置依存選択を使用して、様々な論理演算を実施することができる。融合動作は、本質的に確率的であってもよく、常に成功するとは限らないことも理解されるべきであり、幾つかの実施形態では、もつれ形状は、MBQC又はFBQCの両方のフォールトトレランスをサポートすることができる。更に、FBQC及びMBQCは、本明細書に記載のもつれ生成技術の使用事例の例であるが、これらの技術は他の状況で適用することができ、量子コンピューティングに限定されないことを理解すべきである。
【0088】
2.1.リソース状態生成
[0129] 前述したように、幾つかの実施形態は、多数のリソース状態から大きなもつれ構造を構築するために使用することができる装置及び方法に関し、各リソース状態は、分離不可能なもつれ状態の数nの量子ビットのもつれシステムである。
【0089】
[0130] リソース状態の特定のサイズ及びもつれ形状は、設計パラメータとして選択することができる。場合によっては、最適なサイズは、量子ビットの特定の物理的実施態様に依存し得る。例えば、前述したように、量子ビットは、導波路内を伝搬する光子を使用して実施することができる。光子を生成し、もつれを生み出すために使用されるプロセスは、確率的であってもよい(すなわち、任意の所定の事例において光子を首尾よく生成する確率は、1よりも著しく小さい)。量子ビットの生成又はもつれが確率的である場合、多重化技術又は他の技術を使用して、(それぞれの試行ごとに)定められたもつれ構造を有するリソース状態を生成する確率を高めることができる。リソース状態のセットが与えられると、より大きなもつれ構造(例えば、上記の融合プロセス)を形成するために使用されるプロセスは確率的であってもよく、より大きなもつれ構造は、確率的プロセスの存在下でフォールトトレラント挙動をサポートする態様で規定することができる。したがって、許容され得るリソース状態生成のエラー率、及び定められたもつれ構造を有するリソース状態を生成する特定の確率に基づいて、特定の実装に関してリソース状態のサイズを選択することができる。
【0090】
[0131] 幾つかの実施形態では、個々の光子を生成及び動作するべく、フォトニック回路及び電子回路並びに構成要素(例えば、上記の節1.3に記載されているタイプのもの)を使用してリソース状態1100などのリソース状態を生成することができる。幾つかの実装形態では、リソース状態生成器は、例えば従来のシリコンベースの技術を使用して製造された単一の集積回路であり得る。リソース状態生成器は、光子源を含むことができ、又は外部源から光子を受けることができる。また、リソース状態生成器は、前述したようにBell状態生成器及び融合動作を実装するフォトニック回路を含むこともできる。ロバスト性を与えるために、リソース状態生成器は、光子を伝播するために成功したインスタンスを選択するための検出器及び電子制御ロジックを有する様々なフォトニック回路の複数の並列インスタンスを含むことができる。当業者は、所望のもつれ幾何形状を有するリソース状態を生成することができるフォトニックリソース状態生成器を構築するための様々な方法を知っている。
【0091】
[0132] 幾つかの実施形態では、リソース状態は、線形光学システム以外の技術を使用して生成することができる。例えば、イオントラップに実装された量子ビット、原子もしくはイオンのエネルギーレベルで符号化された他の量子ビット、スピン符号化量子ビット、超伝導量子ビット、又は他の物理システムなど、「材料ベース」量子ビットのシステム間のもつれを生成する及びもたらすための様々なデバイスが知られている。多くの異なる物理系を使用して同じ情報(この場合、量子状態)を符号化できるという意味で、量子情報は代替可能であることも当技術分野で理解されている。したがって、原理的には、システム間の相互作用を誘発することによって、あるシステムの量子状態を別のシステムに交換することが可能である。例えば、原子又はイオンのエネルギーレベルで符号化された量子ビット(又は量子化量子ビットの集合)の状態は、電磁場(すなわち、光子)に交換することができる。超伝導量子ビットの状態をフォトニック状態に交換するためにトランスデューサ技術を使用することも可能である。場合によっては、初期スワップは、マイクロ波周波数を有する光子上であってもよい。交換後、光子の周波数を光ファイバ又は他の光導波路の動作周波数に増加させることができる。別の例として、量子テレポーテーションは、材料ベースの量子ビットと、Bell対の1つの量子ビットが光ファイバ(又は他の光導波路)に適した周波数を有する光子であるBell対との間に適用することができ、それにより、材料ベースの量子ビットの量子状態をフォトニック量子ビットのシステムに転送する。したがって、幾つかの実施形態では、材料ベースの量子ビットを使用して、フォトニック量子ビットからなるリソース状態を生成することができ、リソース状態生成器の特定の構成及び構成は、本明細書の理解に関連しない。
【0092】
2.2.リソース状態からもつれ構造を形成するための回路
[0133] ここで、1つ以上のリソース状態生成器によって生成されたリソース状態の量子ビット間で上記のように融合動作を実行することによって、もつれ構造を形成するために使用できる回路及び技術の例を説明する。説明を簡単にするために、2つのケースが考えられる。一方のケースは、図10A図11A、及び図12Aの例を含み、この場合、各リソース状態は中央量子ビットを含み、図13に示すようなLESが生成される。他のケースは、図10C図11B、及び図12Bの例を含み、この場合、各リソース状態が中央量子ビットを含まず、前述の融合動作の結果が、もつれ構造を反映する(古典的な)測定結果データである、任意の数(0以上)の中央量子ビットを伴う形態を含む他のリソース状態形態を使用できることが理解されるべきである。
【0093】
2.2.1.回路記号
[0134] 説明の理解を容易にするために、図14A図14Fは、後続の図で使用される一組の概略回路記号を導入する。これらの回路記号は、物理(フォトニック)量子ビットで動作する回路を表わし、各入力又は出力線は(物理)量子ビットを表わす。図面の慣例として、概略回路図が特定の物理的レイアウトに対応する必要がないという離間を伴って、入力が左側に示され、出力が右側に示される。
【0094】
[0135] 図14Aは、リソース状態生成器(RSG)回路1400を示す記号を表わす。前述したように、RSG回路は、フォトニック量子ビット上で符号化されたリソース状態を生成する任意の回路又はデバイスを使用して実装することができる。例は、フォトニック/電子回路、並びに、物理量子ビットの非フォトニックシステム上で符号化されたリソース状態を形成し、次いで量子状態をフォトニック量子ビットに交換するデバイスを含む。リソース状態生成器回路の他の実装は、物理量子ビットの非フォトニックシステムにおいて初期状態を形成し、初期状態をフォトニック量子ビットに交換し、次いで線形光学動作を実行してリソース状態を形成することができる。実施に関係なく、RSG回路1400の出力は、線1402によって示される量子ビットであり、出力の数は特定のリソース状態に依存する。本明細書に記載の実施形態では、RSG回路はクロックサイクルごとに1つのリソース状態を生成すると仮定し、クロックサイクルの長さは、1つのRSG回路が1つのリソース状態を生成するのに必要な時間に基づいて規定することができる。必要な時間は、特定のRSG回路に依存し得る。例えば、RSG回路は1ns(又は100ns)でリソース状態を生成してもよく、クロックサイクルは1ns(又は100ns)であってもよい。幾つかの実施形態では、クロックサイクルは、RSG回路が1つのリソース状態を生成するのに必要な時間よりも長くすることができ、RSGが最高速度で動作する必要はない。本明細書の目的のために、RSG回路1400は、同じクロックサイクルでリソース状態の全ての量子ビットを出力すると仮定する。しかしながら、本開示にアクセスする当業者であれば分かるように、タイミングを変えることができる。
【0095】
[0136] 図14Bは、II型融合回路1405を示す記号を表わす。II型融合回路は、例えば、図9A及び図9Bに関連して前述したように実装することができる。入力は、(線1404によって示される)2量子ビットである。前述したように、II型融合動作は、2つの量子ビットに対する破壊的測定を伴う。II型融合回路1405は、古典的な出力信号1406を与えることができ、これにより、各検出器からの検出された光子のカウント及び/又は他の情報(例えば、融合動作の成功又は失敗)を示す測定データを符号化することができる。
【0096】
[0137] 図14Cは、スイッチング回路1410を示す記号を表わす。スイッチング回路1410への入力及び出力は、任意の数の量子ビット(線1408)を含むことができ、入力の数は、出力(線1409)の数に等しい必要はない。スイッチング回路1410は、1つ以上の能動的光スイッチ、モードカプラ、モードスワップ回路、位相シフタなどの任意の組み合わせを組み込むことができる。スイッチング回路は、入力モードを再構成し(例えば、量子ビットのモードを結合することによって量子ビットの基底変化をもたらすために)、入力モードを変更し、及び/又は入力モードのうちの1つ以上に位相を適用する能動動作を実行するように構成することができる(これは、モード間の後続の結合に影響を及ぼし得る)。幾つかの実施形態では、スイッチング回路1410の動作は、古典的な制御信号1411に応じて動的に制御することができ、その状態は、以前の動作の結果、実行される特定の計算、構成設定、タイミングカウンタ(例えば、周期的な切り替えのために)、又は任意の他のパラメータもしくは情報に基づいて決定することができる。
【0097】
[0138] 図14Dは、遅延回路1415を示す記号を表わす。遅延回路は、量子ビット(入力1412)の伝搬を固定長の時間にわたって遅延させ、次いで量子ビット(出力1414)を出力する。時間の長さ(クロックサイクル単位)は数字で示され、D=1は1クロックサイクルの遅延を示す。遅延回路は、例えば、遅延量子ビットの光子が非遅延量子ビットの光子よりも長い経路を進むように、1つ以上の適切な長さの光ファイバ、他の導波路材料、窒化物層、メモリなどを与えることによって実装することができる。
【0098】
[0139] 図14Eは、再構成可能融合回路1420を示す記号を表わす。図示のように、再構成可能融合回路は、スイッチング回路1410と、それに続く融合回路1405とを含む。再構成可能融合回路は、融合回路1405による融合動作の前にスイッチング回路1410によって適用される構成可能な動作、例えば、基底変化又は位相シフトをサポートすることができる。スイッチング回路1410の他の例と同様に、再構成可能融合回路1420内のスイッチング回路1410の動作は、古典的な制御信号1411に応じて動的に制御することができる。融合回路1405の他の例と同様に、再構成可能融合回路1420内の融合回路1405は、古典的な出力信号1406を与えることができる。
【0099】
[0140] 図14Fは、オフセット再構成可能融合回路1425を示す記号を表わす。図示のように、オフセット再構成可能混同回路は、再構成可能融合回路1420と同様であり、一方の入力を他方に対して定められた数のクロックサイクルだけ遅延させるための遅延回路1415が追加されている。オフセット再構成可能融合回路1425は、遅延回路から生じる時間的側面を強調する用語である「時間的」融合回路とも呼ばれ得る。
2.2.2.もつれのネットワーク化生成
【0100】
[0141] 幾つかの実施形態では、ネットワーク化されたRSG回路のセットを提供することができ、各RSG回路は、他のRSG回路からのリソース状態と融合されてもつれ構造(例えば、図11A又は図11Bに示すように)の層を形成する1つのリソース状態を与え、同じRSG回路が、もつれ構造のための異なる層を連続的に生成することができる。図15は、幾つかの実施形態に係る層のネットワーク化生成の概念図を示す。サイズLの層の生成をサポートするために、対応する数LのRSG回路1502が設けられる。本明細書で使用される簡略化された例では、L=16であるが、実際には、Lははるかに大きくすることができる(例えば、約10、約10、約10)。各クロックサイクルにおいて、リソース状態の完全な二次元(2D)層を形成するのに十分なリソース状態1500を生成することができる。(図15では、全てが同じクロックサイクル中に生成されることを示すために、各リソース状態1500に時間「t=1」で注釈が付けられている。)空間的融合動作は、以下に説明する更なる回路を使用して、隣接するリソース状態1500の量子ビットに対して(例えば、図11A及び図11Bに示すように)実行することができる。異なるクロックサイクルで同じL RSG回路1502を使用してLリソース状態の異なる層を生成することによって、三次元もつれ構造を生成することができ、また、後述する更なる回路を使用して、異なる層のリソース状態1500の量子ビットに対して(例えば、図12A及び図12Bに示すように)時間的融合動作を実行することができる。
【0101】
[0142] 図16A及び図16Bは、幾つかの実施形態に係るリソース状態からもつれ構造を生成するための「完全にネットワーク化された」回路の概略図である。回路表記は、図を明確にするために古典的な入力及び出力が示されていないことを除いて、図14A図14Fに関連して前述した通りである。図16Aは、代表的なネットワークセル1600を示し、図16Bは、ネットワーク1650内のネットワークセル1600の隣接インスタンス間の結合を示す。図16Aに最もよく見られるように、各ネットワークセル1600は、6つの周辺量子ビット(実線)と、随意的に、(存在する場合)融合動作の対象ではない1つ以上の中央量子ビット1615とを有するリソース状態を生成するRSG回路1502を含む。例えば、RSG回路1502が図10Aのリソース状態1000を生成する場合、中央量子ビット1016を中央量子ビット1615として与えることができるが、RSG回路が代わりに図10Cのリソース状態1040を生成する場合、中央量子ビット1615は与えられない。RSG 1502は、「x-融合」出力経路1611及び「y-融合」出力経路1612によって示されるように、隣接するネットワークセルに2つの周辺量子ビットを与える。また、ネットワークセル1600は、2つの隣接するネットワークセルから量子ビットも受ける。具体的には、入力経路1611’は、(図16Bに示すように)ネットワークセル1600’のx-融合出力経路に結合する。同様に、入力経路1612’’は、(図16Bに示すように)ネットワークセル1600の+y方向に隣接するネットワークセル1600’’のy-融合出力経路に結合する。
【0102】
[0143] また、ネットワークセル1600の各インスタンスは、y+再構成可能融合回路1620、x+再構成可能融合回路1630、及び、z+/-オフセット再構成可能融合回路1640も含む。y+再構成可能融合回路1620は、RSG回路1502によって生成された「ローカル」リソース状態の+y量子ビットを、+y方向に隣接するネットワークセル1600’’内のRSG回路によって生成された「ネットワーク化された」リソース状態の-y量子ビットに結合する。x+再構成可能融合回路1630は、RSG回路1502によって生成されたローカルリソース状態の+x量子ビットを、+x方向に隣接するネットワークセル1600’によって生成されたネットワークリソース状態の-x量子ビットに結合する。z+/-オフセット再構成可能融合回路は、RSG回路1502によって生成されたローカルリソース状態の+z及び-z量子ビットを受ける。-z量子ビットは、1クロックサイクルだけ遅延され、次のクロックサイクル中にRSG回路1502によって生成されたリソース状態の+z量子ビットと融合される。
【0103】
[0144] 図16A及び図16Bに示す接続性は、任意の数のネットワークセルに拡張することができ、それにより、任意のサイズの層を生成することができる。(サイズは、ハードウェア設計において固定されてもよい。)
【0104】
2.2.3.もつれのラスタライズ化生成
[0145] 前述のように完全にネットワーク化されたRSG回路を使用してもつれを生成することは、高速計算を与えるが、特に各層のサイズ(L)が大きい場合には、ハードウェア集約的であり得る。更に、層の最大サイズは、利用可能なハードウェアによって制約され得る。したがって、幾つかの実施形態は、RSG回路の1つのインスタンスが単一の層内に複数のリソース状態を与える、本明細書ではもつれの「ラスタライズ化」生成と呼ばれるハードウェア削減手法を採用する。「完全ラスタライズ化」生成の一例では、RSG回路の単一のインスタンスを使用して、適切な遅延及び融合回路を与えることによって、任意のサイズの層を有するもつれ構造を生成することができる。
【0105】
[0146] 図17は、幾つかの実施形態に係るもつれ構造のための層のラスタライズ化生成の概念図である。サイズLの層の生成をサポートするために、RSG回路1702の単一のインスタンスが与えられる。本明細書で使用される簡略化された例では、L=16であるが、実際には、Lははるかに大きくすることができる(例えば、約10、約10、約10)。各クロックサイクルにおいて、RSG回路1702は単一のリソース状態を生成し、完全な2D層を形成するのに十分なリソース状態をLクロックサイクルで生成することができる。この例では、リソース状態1700の各インスタンスは異なるクロックサイクルで生成され、リソース状態1700の各インスタンスは、各リソース状態1700が生成されるクロックサイクルを示すために時間「t=1」~「t=16」で注釈が付けられる。時間的融合動作は、後述する更なる回路を使用して、異なるクロックサイクル中に生成された隣接するリソース状態1700の量子ビットに対して実行することができる(例えば、図11A及び図11Bに示す融合動作)。三次元もつれ構造は、層ごとにLリソース状態を生成するプロセスを繰り返すために同じRSG回路1702を使用することによって生成することができ、時間的融合動作は、後述する更なる回路を使用して、異なる層のリソース状態1700の量子ビットに対して実行することができる(例えば、図12A及び図12Bに示す融合動作)。
【0106】
[0147] 図18は、幾つかの実施形態に係るリソース状態からもつれ構造を生成するための「完全ラスタライズ化」回路1800の概略図を示す。回路表記は、図を明確にするために古典的な入力及び出力が示されていないことを除いて、図14A図14Fに関連して前述した通りである。RSG回路1702は、(存在する場合)融合動作の対象ではない、6つの周辺量子ビット及び随意的に1つ以上の中央量子ビット1815を有するリソース状態を生成する。例えば、RSG回路1502が図10Aのリソース状態1000を生成する場合、中央量子ビット1016を中央量子ビット1815として与えることができるが、RSG回路が代わりに図10Cのリソース状態1040を生成する場合、中央量子ビット1815は与えられない。オフセット再構成可能融合回路1852は、RSG回路1702から出力された各リソース状態の-x量子ビットを1クロックサイクルだけ遅延させ、次いで、-x量子ビットを、次のクロックサイクルでRSG回路1702から出力されたリソース状態の(遅延されていない)+x量子ビットと共に構成可能なスイッチング回路に通し、その後、スイッチング回路から出力された2つの量子ビットに対して融合動作が実行される。オフセット再構成可能融合回路1854は、RSG回路1702から出力された各リソース状態の-y量子ビットをLクロックサイクルだけ遅延させ、次いで、-y量子ビットを、Lクロックサイクル後にRSG回路1702から出力されたリソース状態の(遅延されていない)+y量子ビットと共に構成可能なスイッチング回路に通し、その後、スイッチング回路から出力された2つの量子ビットに対して融合動作が実行される。オフセット再構成可能融合回路1856は、RSG回路1702によって出力された各リソース状態の-z量子ビットをLクロックサイクルだけ遅延させ、次いで、-z量子ビット、Lクロックサイクル後に、RSG回路1702から出力されたリソース状態の(遅延されていない)+z量子ビットと共に構成可能なスイッチング回路に通し、その後、スイッチング回路から出力された2つの量子ビットに対して融合動作が実行される。
【0107】
[0148] この例では、完全ラスタライズ化回路1800によるリソース状態の生成は、図17に示すように、リソース状態の層の行に沿って進むと理解することができる。オフセット再構成可能融合回路1852を使用する隣接するリソース状態の量子ビット間のリソース状態生成及び融合動作は、層の1つの行の長さ(L)に関して(もつれ幾何形状において)+x方向に沿って進行する。第1の行の完了後、完全ラスタライズ化回路1800は、+y方向の次の行に続き、再び+x方向に沿って進み、第2の行を生成し、オフセット再構成可能融合回路1854を使用して、第1の行のリソース状態からの(遅延した)+y量子ビットと、第2の行の新しく生成されたリソース状態からの-y量子ビットとの間の融合動作を実行し、全体の層が生成されるまで以下同様に続く。その後、プロセスを繰り返して、第2の層を生成し、オフセット再構成可能融合回路1856を使用して、第1の層のリソース状態からの(遅延した)+z量子ビットと、第2の層の新たに生成されたリソース状態からの-z量子ビットとの間の融合動作を実行することができる。したがって、任意の数の層をラスタライズ化形式で生成することができる。本明細書で使用される「ラスタライズ化」という用語は、構成要素の特定の物理的配置を意味するものではなく、ラスタライズ化回路1800は、層内の異なる位置に対応するリソース状態を生成するためにまったく移動する必要がないことを理解すべきである。代わりに、リソース状態1700の異なるインスタンスに関連付けられた量子ビットを符号化する光子は、異なる時間に同じ導波路セットを伝搬することができる。
【0108】
[0149] 再び図18を参照すると、オフセット再構成可能融合回路1852、1854、1856内のスイッチング回路は、アレイの境界で所望の挙動を与えるように制御することができる。例えば、平面トポロジを有する層を形成するために、所定の行の終わりのリソース状態の+x量子ビットは、(異なる行にある)次のリソース状態の-x量子ビットと融合されるべきではなく、代わりに、リソース状態の+x量子ビット及び各行の終わり及び各行の始めのリソース状態の-x量子ビットをシステムから除去することができ、これは、例えば、各量子ビットをZ基底で測定することによって行なうことができる。y及びz次元においても同様の考察が当てはまる。したがって、幾つかの実施形態において、オフセット再構成可能融合回路1852、1854、1856内のスイッチング回路は、(例えば、入力モードを光子検出器に結合する出力モードに選択的に結合することによって)選択されたクロックサイクル中に入射量子ビットに対して単一量子ビットZ測定を実行するように再構成することができる。他の層トポロジについては、異なる挙動を実施することができ、例を以下に記載する。幾つかの実施形態において、RSG回路1702は、行の終わりのリソース状態が、他のリソース状態の量子ビットとの融合動作の対象とならない量子ビットを含まないように再構成可能であり得る。
【0109】
[0150] 図18の回路1800は、任意のサイズの層を生成するために使用することができることを理解すべきである。(幾つかの実施形態では、最大サイズは、例えば、様々な遅延線の長さによって、ハードウェア設計において固定されてもよい。)サイズLの層は、(各クロックサイクル中に1つのリソース状態が生成されると仮定して)Lクロックサイクルで生成することができる。多くの光子が遅延線に共存することができるため、3つ程度の物理遅延線(例えば、1、L及びLクロックサイクルの遅延に対応する長さの3本の光ファイバ又は他の導波路)しか必要とされないことにも留意すべきである。より一般的には、所定の実施態様に必要な物理遅延線の数は、リソース状態の特定の構造及び層の寸法に依存し得る。したがって、完全ラスタライズ化回路を使用するハードウェア実装は、上記の完全にネットワーク化された回路よりも大幅に小さくすることができるが、完全ラスタライズ化回路は、所定の数のリソース状態を生成して動作するためにより長い実行時間を必要とする。
【0110】
[0151] 図19は、幾つかの実施形態に係る図18の回路1800(又は他の回路)を使用して実施することができるプロセス1900のフロー図を示す。プロセス1900は、もつれ構造が生成されている間に各クロックサイクル中に実行することができ、又は、クロックサイクルの持続時間は、プロセス1900の一反復を実行する際に消費される時間にしたがって規定することができる。この例では、図17に示すように、RSG回路1702を使用して、ある行を生成し、その後、次の行を生成するなどして各層を生成すると仮定する。(本明細書の他の箇所で述べられているように、「行」、「列」、及び「層」などの用語は、量子ビットの物理的配置に対応する必要がないもつれ形状に関して使用されることを理解すべきである。)
【0111】
[0152] ブロック1902において、RSG回路1702(又は他の回路)は、新たなリソース状態を生成するように動作することができる。幾つかの実施形態では、RSG回路1702は、クロックサイクルごとに1つの新たなリソース状態を生成する。ブロック1904において、もつれ構造の層内の新たなリソース状態の(もつれ空間内の)位置が決定される。例えば、行位置カウンタは、行(例えば、1~Lであり、ここで、Lは行のサイズに対応する)内の位置をカウントするために各クロックサイクルで増分され、各行の終わりでリセット可能であり、また、列位置カウンタは、各行が完了すると増分され(例えば、Lクロックサイクルごと、又は行位置カウンタがリセットされるとき)、層が完了するとリセットされ得る(例えば、L個の行が完了した後で)。したがって、現在のカウンタ値は、層内の新たなリソース状態の位置を示すことができる。もつれ空間内の現在位置を規定するための他の技術を使用することができる。
【0112】
[0153] ブロック1906において、現在位置が行の終わりに対応するかどうか(例えば、行位置カウンタが値Lを有するかどうか)に関する決定が行われる。そうでない場合には、ブロック1908において、新たなリソース状態の第1の量子ビットが、図18のオフセット再構成可能融合回路1852の遅延線など、1クロックサイクル程度の遅延を課す「O(1)」遅延線にルーティングされる。幾つかの実施形態では、遅延線は、正確に1クロックサイクルの遅延を課すことができる。ブロック1906において、現在位置が行の終わりに対応する場合、ブロック1910において、第1の量子ビットに対して層エッジ処理を実行することができる。幾つかの実施形態では、層エッジ処理は、他の量子ビットのもつれを破壊することなくシステムから第1の量子ビットを除去する測定を第1の量子ビットに対して実行することを含むことができる。層エッジ処理の他のオプションについては後述する。
【0113】
[0154] ブロック1916において、現在位置が行の始めに対応するかどうか(例えば、行位置カウンタが値1を有するかどうか)に関する決定が行われる。そうでない場合には、ブロック1918において、新たなリソース状態の第2の量子ビット及びO(1)遅延線から出力された量子ビットに対して融合動作が実行され、例えば、オフセット再構成可能融合回路1852は、新たなリソース状態の第2の量子ビットと、前のクロックサイクル中にオフセット再構成可能融合回路1852のO(1)遅延線にルーティングされた量子ビットとに対して融合動作を実行することができる。ブロック1916において、現在位置が行の始めに対応する場合、ブロック1920において、第2の量子ビットに対して層エッジ処理を実行することができる。幾つかの実施形態では、層エッジ処理は、他の量子ビットのもつれを破壊することなくシステムから第2の量子ビットを除去する測定を第2の量子ビットに対して実行することを含むことができる。層エッジ処理の他のオプションについては後述する。
【0114】
[0155] ブロック1926において、現在位置が層の最後の行に対応するかどうか(例えば、列位置カウンタが値Lを有するかどうか)関する決定が行われる。そうでない場合には、ブロック1928において、新たなリソース状態の第3の量子ビットが、図18のオフセット再構成可能融合回路1854の遅延線など、Lクロックサイクル程度の遅延を課す「O(L)」遅延線にルーティングされる。幾つかの実施形態では、O(L)遅延線は、正確にLクロックサイクルの遅延を課すことができる。ブロック1926において、現在位置が層の最後の行に対応する場合、ブロック1930において、層エッジ処理を第3の量子ビットに対して実行することができる。幾つかの実施形態では、層エッジ処理は、他の量子ビットのもつれを破壊することなくシステムから第3の量子ビットを除去する測定を第3の量子ビットに対して実行することを含むことができる。
【0115】
[0156] ブロック1936において、現在位置が層の第1の行に対応するかどうか(例えば、列位置カウンタが値1を有するかどうか)に関する決定が行われる。そうでない場合には、ブロック1938において、新たなリソース状態の第4の量子ビット及びO(L)遅延線から出力された量子ビットに対して融合動作が実行される。例えば、オフセット再構成可能融合回路1854は、前の行の同じ位置に対応するクロックサイクル中に、新たなリソース状態の第2の量子ビット及びオフセット再構成可能融合回路1854のO(L)遅延線にルーティングされた量子ビットに対して融合動作を実行することができる。ブロック1936において、現在位置が層の第1の行に対応する場合、ブロック1940において、層エッジ処理を第4の量子ビットに対して実行することができる。幾つかの実施形態では、層エッジ処理は、他の量子ビットのもつれを破壊することなくシステムから第4の量子ビットを除去する測定を第4の量子ビットに対して実行することを含むことができる。層エッジ処理の他のオプションについては後述する。
【0116】
[0157] ブロック1946において、新たなリソース状態の第5の量子ビットは、図18のオフセット再構成可能融合回路1856の遅延線など、Lクロックサイクル程度の遅延を課す「O(L)」遅延線にルーティングすることができる。幾つかの実施形態では、O(L)遅延線は、正確にLクロックサイクルの遅延を課すことができる。
【0117】
[0158] ブロック1956において、新たなリソース状態の第6の量子ビット及びO(L)遅延線から出力された量子ビットに対して融合動作を実行することができる。例えば、オフセット再構成可能融合回路1856は、前の層の同じ位置に対応するクロックサイクル中に、新たなリソース状態の第2の量子ビット及びオフセット再構成可能融合回路1856のO(L)遅延線にルーティングされた量子ビットに対して融合動作を実行することができる。幾つかの実施形態では、もつれ構造の第1の層の生成に対応するクロックサイクルの場合、第6の量子ビットは、代わりに、他の量子ビットのもつれを破壊することなくシステムから第6の量子ビットを除去する測定動作などの異なる動作を受けることができ又は動作しない。
【0118】
[0159] プロセス1900は例示的なものであり、変形及び修正が可能である。例えば、様々な決定及びルーティング動作が順次に示されているが、これらの動作の一部又は全ては、並列に、又は記載されたものとは異なる順序で実行することができる。融合動作は、量子ビットの2つのシステム間のもつれを生み出す他のもつれ測定動作に置き換えることができる。様々な遅延線の特定の長さを変えることができ、所望のもつれ構造に応じて、層内に異なる位置を生成するときに異なる長さの遅延線を使用することができる。プロセス1900は、任意の所望のサイズの任意の数の層を有するもつれ構造を生成するために、任意の数のクロックサイクルにわたって繰り返すことができる。層エッジ処理(本明細書では境界処理とも呼ばれる)は、層のエッジ(又は境界)で量子ビットを測定することを含むことができる。幾つかの実施形態では、層エッジ処理は、同じ層の異なるエッジにおける量子ビット又は異なる層のエッジにおける量子ビットに対して融合動作又は他のもつれ動作を実行することを含むこともでき、例を以下に記載する。
【0119】
2.2.4.もつれのハイブリッド生成
[0160] 節2.2.2及び節2.2.3に記載されている実施形態は、ハードウェアサイズと計算速度との間の設計トレードオフの極端な例を表わす。他の実施形態は、もつれ構造を生成するための「ハイブリッド」手法を提供し、それによってハードウェアサイズと計算速度との間のバランスをとる。ハイブリッド手法では、サイズLのリソース状態の層は、複数(N)のRSG回路を使用して生成され、Nは1より大きいがLより小さい。
【0120】
[0161] ハイブリッド手法の2つの異なる例示的な実施例、すなわち、「ラスタベースのハイブリッド」回路及び「パッチベースのハイブリッド」回路について説明する。両方の実施において、リソース状態の層は、リソース状態の連続したグループ化の「パッチ」の2次元アレイと見なすことができる。例えば、層がサイズLである場合、層は、サイズPのパッチの2次元アレイと見なすことができる。ラスタベースのハイブリッド手法では、RSG回路の数NはN=L/Pとすることができ、各RSG回路は、異なるパッチのリソース状態を与え、N個のパッチを並列に生成することを可能にし、幾つかの実施形態では、層がPクロックサイクルで完了することができる。パッチベースのハイブリッド手法では、RSG回路の数NはN=Pとすることができ、RSG回路は、(節2.2.2で説明した完全にネットワーク化されたユニットセルと同様に)一緒に使用されて、わずか1クロックサイクルでパッチを生成す、層の生成は、Nクロックサイクルで完了することができる。
【0121】
[0162] 最初にラスタベースのハイブリッド回路に目を向けると、図20は、幾つかの実施形態に係るリソース状態からのもつれ構造のラスタベースのハイブリッド生成の概念図を示す。サイズLの層の生成をサポートするために、N個のRSG回路2002が設けられる。本明細書で使用される簡略化された例では、L=16及びN=4であるが、実際には、Lははるかに大きくすることができる(例えば、約10、約10、約10)。Nをはるかに大きくすることもでき(例えば、約100、約1000)、L/Nは、ハードウェアサイズと動作速度との間の所望のバランスに応じて、望み通りに選択することができる。各クロックサイクルにおいて、各RSG回路2002は、合計N個のリソース状態が生成されるように、リソース状態2000の1つのインスタンスを生成する。2D層を完成させるのに十分なリソース状態は、L/Nクロックサイクルで生成することができる。この例では、リソース状態2000の各インスタンスには、リソース状態2000のそのインスタンスが生成されるクロックサイクルを示すために、時間「t=1」から「t=4」が注釈付けされる。この例では、各クロックサイクル中に、4つのパッチ2011~2014のそれぞれに対して1つのリソース状態2000が生成される。層のラスタライズ化生成に関して上記の節2.2.3で説明したものと同様の時間的融合動作は、パッチ2011~2014の同じパッチ内の隣接するリソース状態の量子ビットに対して実行することができ、以下に説明する更なる融合動作は、パッチ境界の全体にわたって隣接するリソース状態の量子ビットに対して実行することができる(例えば、図11A及び図11Bに示す融合動作)。サイズL2の完全な層は、L/Nクロックサイクルで生成することができる。三次元もつれ構造は、各層のパッチを生成するプロセスを繰り返すために同じRSG回路2002を使用することによって生成することができ、時間的融合動作は、(例えば、図12A及び図12Bに示すように)後述する更なる回路を使用して異なる層のリソース状態2000の量子ビットに対して実行することができる。三次元もつれ構造は、それぞれについてLリソース状態を生成するプロセスを繰り返すために同じN個のRSG回路2002を使用することによって生成することができ、時間的融合動作は、後述する更なる回路を使用して、異なる層のリソース状態1700の量子ビットに対して実行することができる(例えば、図12A及び図12Bに示す融合動作)。
【0122】
[0163] 図21は、幾つかの実施形態に係るリソース状態からもつれ構造を生成するための「ラスタベースの」ハイブリッドユニットセル2100の概略回路図を示す。回路表記は、図を明確にするために古典的な入力及び出力が示されていないことを除いて、図14A図14Fに関連して前述した通りである。この例では、ハイブリッドユニットセル2100は、一連のPクロックサイクルにわたってサイズN=P×P(P<L)の連続パッチを生成し、また、ハイブリッドユニットセル2100のN個のインスタンスをネットワーク接続して、LESの全層を生成することができる。したがって、ハイブリッドユニットセル2100の幾つかの態様は、前述の完全ラスタライズ化回路1800と同様とすることができ、他の態様は、前述の完全にネットワーク化されたセル1600と同様とすることができる。各ハイブリッドユニットセル2100は、(存在する場合)融合動作を受けない、6つの周辺量子ビット及び随意的に1つ以上の中央量子ビット2115を有するリソース状態を生成するRSG回路2002を含む。例えば、RSG回路2002が図10Aのリソース状態1000を生成する場合、中央量子ビット1016を中央量子ビット2115として与えることができるが、RSG回路が代わりに図10Cのリソース状態1040を生成する場合、中央量子ビット2115は与えられない。オフセット再構成可能融合回路2102、2104、2106は、図18のオフセット再構成可能融合回路1852、1854、1856と同様に動作して、パッチ内でローカルに生成されたリソース状態間のもつれを生成することができる。更に、ハイブリッドユニットセル2100によって生成されたパッチとハイブリッドユニットセル2100の隣接するインスタンスによって生成されたパッチとの間のもつれを生み出すために、更なる「ネットワーク化された」再構成可能融合回路2112、2114を設けることができる。再構成可能融合回路2112、2114は、図16Aのネットワークセル1600内の再構成可能融合回路1620及び1630と同様に動作して、ローカルに生成されたリソース状態の量子ビット及びハイブリッドユニットセル2100の隣接インスタンスから受けられるネットワークリソース状態の量子ビットに対して融合動作を実行することができる。ルーティングスイッチ2116~2119は、特定のリソース状態の+x、-x、+y、及び-y量子ビットを(同じRSG回路2002によって生成された異なるリソース状態の量子ビットとの融合動作で使用されるべき)回路2102、2104のうちの一方、又は(ハイブリッドユニットセル2100の隣接するインスタンスによって生成されたリソース状態の量子ビットとの融合動作で使用されるべき)融合回路2112、2114のうちの一方に選択的にルーティングするように動作する再構成可能なスイッチング回路であり得る。
【0123】
[0164] ルーティングスイッチ2116の動作を更に説明するために、図22は、幾つかの実施形態に係る2つの隣接するパッチ2202、2204の概念図を示す。パッチ2202及び2204は、ハイブリッドユニットセル2100の2つの異なるインスタンスによって生成される。この例では、ハイブリッドユニットセル2100の各インスタンスは、サイズP=9のパッチを生成する。パッチ2202内のリソース状態2210の各インスタンスは、パッチ内の位置を示すために方向インジケータ(NW、N、NE、E、SE、S、SW、W、又はC)でラベル付けされる。ハイブリッドユニットセル2100は、下の行を+x方向に横切って進み、次に次の行を+y方向に横切って進むなどして、パッチ2202内のリソース状態を生成することができる。ルーティングスイッチ2116~2119は、リソース状態2210(C)に関して、全てのx及びy量子ビットがハイブリッドユニットセル2100内で生成された他のローカルリソース状態の量子ビットと融合されるべく「ローカル」オフセット再構成可能融合回路2102、2104にルーティングされるように動作することができる。図22のリソース状態2210(E)の場合、ルーティングスイッチ2116~2119は、+x量子ビットがユニットセル2100の隣接するインスタンス内で生成されたリソース状態の-x量子ビットと融合されるべくネットワーク化された再構成可能融合回路2112にルーティングされる一方で他の全てのx及びy量子ビットがローカル融合回路2102、2104にルーティングされるように動作することができる。図22のリソース状態2210(NE)の場合、ルーティングスイッチ2116~2119は、+x及び+y量子ビットがネットワーク化された融合回路2112、2114にルーティングされて、ユニットセル2100の隣接するインスタンスからのリソース状態の量子ビットと融合され、-x及び-y量子ビットがローカル融合回路2102、2104にルーティングされるように動作することができる。同様のロジックは、リソース状態2210の他のインスタンスにも適用され、任意のサイズのパッチに拡張することができる。この例では、ユニットセル2100の所定のインスタンスが各層内で同じパッチを生成し、+z及び-z量子ビットは常にオフセット再構成可能融合回路2106にルーティングされ得るため、z量子ビットのルーティングスイッチは必要とされない。この形態は必要ではなく、ハイブリッドユニットセルの他の実施形態はz量子ビットのルーティングスイッチを含むことができることが理解されるべきである。
【0124】
[0165] 図21に示されるハイブリッドユニットセル2100の実施では、隣接ユニットセルに与えられる(又は隣接ユニットセルから受けられる)量子ビットは、遅延回路の影響を受けない。したがって、ネットワーク化された融合回路2112、2114への入力として隣接ユニットセルに与えられる量子ビットを有するリソース状態が、隣接するリソース状態と同じクロックサイクル中に生成されるように、異なるユニットセルにおいてリソース状態が生成される順序を調整することが望ましい場合がある。図23は、幾つかの実施形態に係る異なるパッチ2301~2304のリソース状態の生成の調整順序の一例を示す。この例では、各パッチ2301~2304のサイズが4×4である。各パッチ2301~2304内で、番号(1~16)はリソース状態生成の順序を示し、同じ番号を有する全てのリソース状態は同じクロックサイクルで生成される。図から分かるように、1つのパッチ内のリソース状態が隣接するパッチに関連付けられたネットワーク化された融合回路に与えられる全てのインスタンスにおいて、両方のリソース状態(又はパッチ2301~2304が全て隣接する中央位置の4つのリソース状態全て)が同じクロックサイクルで生成される。したがって、異なるパッチで生成されたリソース状態の量子ビットに対して融合動作を実行するために、位置依存遅延は必要とされない。この原理は、任意の値のPのP×Pパッチ及び任意の数のパッチに拡張することができる。他の実施形態では、異なるパッチ間で量子ビットを同期させるために、位置依存遅延回路及びスイッチを設けることができる。
【0125】
[0166] 図24は、幾つかの実施形態に係る図21のハイブリッドユニットセル2100又は同様の回路を使用して実施することができるプロセスのフロー図を示す。プロセス2400は、もつれ構造が生成されている間に各クロックサイクルで各ハイブリッドユニットセル2100によって実行することができ、この場合、異なるハイブリッドユニットセル2100は並列に動作する。この例では、ハイブリッドユニットセル2100がもつれ構造の層を生成するために使用され、各ハイブリッドユニットセルが各層内に寸法P×Pを有する連続パッチを生成すると仮定する。各ハイブリッドユニットセルは、1つの行を生成し、その後に次の行を生成するなどしてそのパッチを生成する(例えば、図23のパッチ2301~2304のそれぞれについて示されるように)。(本明細書の他の箇所で述べられているように、「行」、「列」、及び「層」などの用語は、量子ビット又はハイブリッドユニットセルの物理的配置に対応する必要がないもつれ空間に関して使用されることが理解されるべきである。)
【0126】
[0167] ブロック2402において、RSG回路2002(又は他の回路)は、新たなリソース状態を生成するように動作することができる。幾つかの実施形態では、RSG回路2002は、クロックサイクルごとに1つの新たなリソース状態を生成する。ブロック2404において、ハイブリッドユニットセルによって生成されているパッチ内の新たなリソース状態の位置が決定される。例えば、行位置カウンタは、行内の位置をカウントするためにクロックサイクルごとに増分され(例えば、1~Pであり、ここで、Pはパッチ内の行のサイズに対応する)、各行の終わりにリセットされ、列位置カウンタは、各行が完了するにつれて増分され(例えば、Pクロックサイクルごと)、パッチが完了するとリセットされる(例えば、P個の行を完了した後)。したがって、現在のカウンタ値は、パッチ内の新たなリソース状態の位置を示すことができる。もつれ空間内の現在位置を規定するための他の技術を使用することができる。
【0127】
[0168] ブロック2406において、現在位置がパッチの行の終わりに対応するかどうか(例えば、行位置カウンタが値Pを有するかどうか)に関する決定が行われる。そうでない場合には、ブロック2408において、新たなリソース状態の第1の量子ビットが、図21のオフセット再構成可能融合回路2102の遅延線など、1クロックサイクル程度の遅延を課すO(1)遅延線にルーティングされる。幾つかの実施形態では、O(1)遅延線は、正確に1クロックサイクルの遅延を課すことができる。ブロック2406において、現在位置がパッチの行の終わりに対応する場合、ブロック2410において、第1の量子ビットは、(例えば、図21のスイッチ2117の動作によって)第1の隣接ユニットセルへルーティングされることが可能である。
【0128】
[0169] ブロック2416において、現在位置がパッチの行の始めに対応するかどうか(例えば、行位置カウンタが値1を有するかどうか)に関する決定が行われる。そうでない場合には、ブロック2418において、例えば図21のオフセット再構成可能融合回路2102を使用して、新たなリソース状態の第2の量子ビット及び(前のクロックサイクル中にO(1)遅延線にルーティングされた量子ビットであり得る)O(1)遅延線から出力された量子ビットに対して融合動作が実行される。ブロック2416において、現在位置が行の始めに対応する場合、ブロック2420において、新たなリソース状態の第2の量子ビットと、第2の隣接ユニットセルから受けられる第1のネットワーク化された量子ビットとに対して融合動作を実行することができる。第2の隣接ユニットセルもプロセス2400を行なっていると仮定すると、第1のネットワーク化された量子ビットは、ブロック2410にしたがって第2の隣接ユニットセルからルーティングされた量子ビットであり得る。
【0129】
[0170] ブロック2426において、現在位置がパッチの最後の行に対応するかどうか(例えば、列位置カウンタが値Pを有するかどうか)に関する決定が行われる。そうでない場合には、ブロック2428において、新たなリソース状態の第3の量子ビットが、Pクロックサイクル程度の遅延を課すO(P)遅延線にルーティングされる。幾つかの実施形態では、O(P)遅延線は、正確にPクロックサイクルの遅延を課すことができる。ブロック2426において、現在位置がパッチの最後の行に対応する場合には、ブロック2430において、(例えば、図21のスイッチ2118の動作によって)第3の量子ビットを第3の隣接ユニットセルへルーティングすることができる。
【0130】
[0171] ブロック2436において、現在位置がパッチの第1の行に対応するかどうか(例えば、列位置カウンタが値1を有するかどうか)に関する決定が行われる。そうでない場合には、ブロック2438において、新たなリソース状態の第4の量子ビット及びO(P)遅延線から出力された量子ビット(前の行の位置に対応するクロックサイクル中にO(P)遅延線にルーティングされた量子ビットであり得る)に対して融合動作が実行される。ブロック2436において、現在位置がパッチの第1の行に対応する場合、ブロック2440において、新たなリソース状態の第4の量子ビットと、第4の隣接ユニットセルから受けられる第2のネットワーク化された量子ビットとに対して融合動作を実行することができる。第4の隣接ユニットセルもプロセス2400を行なっていると仮定すると、第2のネットワーク化された量子ビットは、ブロック2430にしたがって第4の隣接ユニットセルからルーティングされた量子ビットとすることができる。
【0131】
[0172] ブロック2446において、新たなリソース状態の第5の量子ビットは、Pクロックサイクル程度の遅延を課すO(P)遅延線にルーティングされることができる。幾つかの実施形態では、O(P)遅延線は、正確にPクロックサイクルの遅延を課すことができる。
【0132】
[0173] ブロック2456において、新たなリソース状態の第6の量子ビット及びO(P)遅延線から出力された量子ビット(前の層の位置に対応するクロックサイクル中にO(P)遅延線にルーティングされた量子ビットとなり得る)に対して融合動作を実行することができる。幾つかの実施形態では、もつれ構造の第1の層の生成に対応するクロックサイクルの場合、第6の量子ビットは、代わりに、他の量子ビットのもつれを破壊することなくシステムから第6の量子ビットを除去する測定動作などの異なる動作を受けることができ又は動作しない。
【0133】
[0174] プロセス2400は例示的なものであり、変形及び修正が可能である。例えば、様々な決定及びルーティング動作が順次に示されているが、これらの動作の一部又は全ては、並列に、又は記載されたものとは異なる順序で実行することができる。融合動作は、量子ビットの2つのシステム間のもつれを生み出す他のもつれ測定動作に置き換えることができる。様々な遅延線の特定の長さを変えることができ、所望のもつれ構造に応じて、層内に異なる位置を生成するときに異なる長さの遅延線を使用することができる。プロセス2400は、任意の所望のサイズの任意の数の層を有するもつれ構造を生成するために、任意の数のクロックサイクルにわたって繰り返すことができる。また、プロセス2400は、ユニットセル実行プロセス2400が4つの隣接ユニットセルを有するものとして説明する。しかしながら、これは全てのユニットセル(又は実際には任意のユニットセル)に当てはまる必要はない。したがって、プロセス2400が、隣接ユニットセルに量子ビットをルーティングすること又は隣接ユニットセルから受けられるネットワーク化された量子ビットを含む動作を実行することを示す任意の事例では、適切な隣接ユニットセルが存在しない場合、例えば、図19に関連して前述したように又は以下の例で説明するように、層エッジ処理を置き換えることができる。
【0134】
[0175] 前述したように、「パッチベース」ハイブリッド回路では、RSG回路の数NはN=Pとすることができ、単一のクロックサイクルでP RSG回路によって生成されたリソース状態は、サイズLの層内でサイズPの(連続した)パッチを形成することができる。図25は、幾つかの実施形態に係るパッチベースのハイブリッド回路を使用したもつれ構造のための層のハイブリッド生成の概念図である。サイズLの層の生成をサポートするために、数N=PのRSG回路2002が設けられる。本明細書で使用される簡略化された例では、L=16及びN=4であるが、実際には、Lははるかに大きくすることができる(例えば、約10、約10、約10)。また、Nをはるかに大きくすることもでき(例えば、約100、約1000)、また、Pは、ハードウェアサイズと動作速度との間の所望のバランスに応じて、望み通りに選択することができる。各クロックサイクルにおいて、各RSG回路2502は1つのリソース状態2500を生成する。(図25では、各リソース状態2500は、各クロックサイクル中にどのリソース状態2500が生成されるかを示すために、時間「t=1」~「t=4」で注釈が付けられている。)図示されるように、パッチ2511は、第1クロックサイクル中に形成され、パッチ2512は、第2クロックサイクル中に形成され、パッチ2513は、第3クロックサイクル中に形成され、パッチ2514は、第4クロックサイクル中に形成される。空間的融合動作は、図16A及び図16Bの完全にネットワーク化された回路と同様又は同一とすることができる更なる回路を使用して、(例えば、図11A及び図11Bに示すように)パッチ内の隣接するリソース状態2500の量子ビットに対して実行することができる。例えば、遅延オフセット再構成可能融合回路又は他の回路を使用してパッチを互いに「ステッチ」し、それによって、サイズLの層を形成することによって、異なるパッチ内のリソース状態に属する量子ビットに対して更なる時間的融合動作を実行することができる。パッチを一緒に層にステッチする融合動作を実施する回路の例は、以下の節3.3に記載される。
【0135】
[0176] 前述のハイブリッド実施形態では、各ハイブリッドユニットセルがそれ自体の専用RSG回路を有する。幾つかの実施形態では、RSG回路の動作は非決定的であり、このことは、RSG回路の所定のインスタンスが全てのクロックサイクルで所望のリソース状態を生成すると予期されないことを意味する。したがって、各ハイブリッドユニットセルの専用RSG回路ではなく、幾つかの実施形態は、数(M)のRSG回路を提供することができ、ここで、M>Nであり、また、Mは、所定のクロックサイクル中に少なくともN個のリソース状態が生成される十分に高い確率を与えるように選択される(所定の実施態様における「十分に高い確率」は、フォールトトレランスの特定の実施態様に基づいて決定することができる)。その例が当技術分野で知られている能動的多重化技術を使用して、各クロックサイクルでN個のM RSG回路を選択して、ハイブリッドユニットセルのスイッチング回路及び融合回路のN個の異なるインスタンスにリソース状態を送出することができる。したがって、各ハイブリッドユニットセルは、RSG回路のそれ自体の専用インスタンスを有することができるが、有する必要はない。
【0136】
[0177] 図21に示すようなハイブリッドユニットセルのアレイを使用して、任意のサイズのもつれ構造を生成できることが理解されるべきである。(幾つかの実施形態では、サイズは、ハードウェア設計において固定されてもよい。)層サイズ(L)に対するRSG回路(N)の数の異なる選択は、異なる計算時間をもたらし、ハードウェアサイズと計算速度との間の所望のバランスを達成するための選択を行なうことができる。
【0137】
[0178] もつれ生成回路及びプロセスの前述の例は例示的なものであり、必要に応じて変更することができる。方向ラベル(例えば、x、y、z、NE、SE、SW、NWなど)の使用は、説明の便宜上のものであり、構成要素又は物理量子ビットの特定の物理的配置を必要としたり暗示したりするものではなく、もつれ空間を指すものとして理解されるべきである。全ての数値実施例は例示を目的としており、変更することができる。更に、層及びパッチは、正方形の数に関連して説明されるが、非正方形の層及び/又は非正方形のパッチも使用できることが理解されるべきである。例えば、パッチ又は層は長方形であり得る。三角パッチ又は層(又は他の形状を有するパッチ又は層)は、例えば、行ごとにリソース状態の数を変えることによって生成することもできる。更に、前述した例は、リソース状態の全てのインスタンスが同じもつれパターンを有すると仮定しているが、そのような均一性は必要とされない。例えば、幾つかの実施形態では、RSG回路は、異なるクロックサイクルで異なるもつれパターンを有するリソース状態を生成するように再構成可能であり得る。加えて、RSG回路は非決定的に動作することができ、これはリソース状態間の確率的変動をもたらすことができる。
【0138】
3.もつれ構造のインターリーブ生成
[0179] 第2節に記載された実施形態は、経時的なもつれ構造の生成をサポートする。前述したように、もつれ構造は、論理量子ビット(例えば、フォールトトレラント量子コンピューティング用)として使用することができる。場合によっては、(例えば、2つ以上の論理量子ビットを互いに結合することができるように)複数のもつれ構造を同時に生成することが望ましい。1つの選択肢は、各もつれ構造に対して別々のハードウェアインスタンスを提供することである。或いは、幾つかの実施形態は、同じハードウェアを使用して複数のもつれ構造のインターリーブ生成をサポートする。
【0139】
3.1.LES生成の概要
[0180] 幾つかの実施形態では、もつれ構造は、図13に関連して前述したようなLESを含むことができる。図26は、幾つかの実施形態によるフォトニックLESを生成する時間図を示す。この例のフォトニックLESは簡略化されているが、論理量子ビットとして使用できるLESと同様である。図26は、もつれ空間における図として理解されるべきである。説明を明確にするために、各層が1次元であるように、y(「空間」)及びz(「時間」)寸法のみが示されるが、各層は、(もつれ空間において)二次元又はより高次の次元であり得ることが理解されるべきである。説明の便宜上、持続時間τの時間ステップが規定され、例えば、時間ステップは、クロックサイクル(又はリソース状態の層を生成する時間)に対応することができる。量子ビットは、導波路を通って伝播する光子として実装され、任意の所定の時間に、光子は、所定の導波路に沿った複数の位置に存在することができる。したがって、図26は、単一の時間における多くの異なる(物理)量子ビットの位置を示すスナップショットビューとして又は異なる時点における同じ(物理)量子ビットの位置を示すタイムラプスビューとして理解することができる。
【0140】
[0181] ブロック2600は、(時間ステップ2602において)リソース状態の完全な層2603を生成するリソース状態生成器2601を表わす。この例では、リソース状態2603は、LESを形成する中央量子ビットを含むと仮定される。幾つかの実施形態では、(例えば、第2.2.2項に記載されているように)完全にネットワーク化された回路を使用することができ、時間ステップτはクロックサイクルに対応することができる。他の実施形態では、(例えば、節2.2.3及び2.2.4に記載されているように)ラスタライズ化又はハイブリッドネットワーク/ラスタライズ化回路を置き換えることができ、時間ステップτは、層(例えば、Lクロックサイクル又はL/Nクロックサイクル)に関して全てのリソース状態を生成するのに必要な時間に対応することができる。時間ステップ2604では、y次元(x寸法(図示せず))における隣接する物理量子ビットに対する空間的融合動作2606と、連続する層における隣接する量子ビットを融合するための時間的融合動作2608とを含む融合動作が行われる。随意的に、検出器2610をエッジに適用して、層の境界におけるリソース状態の周辺量子ビットに対してZ測定を実行し、それによってシステムからそれを除去することができる。時間ステップ2612(及びその後の任意の数の時間ステップ)において、LESは後続の動作を保留して持続することができる。図示の例では、後続の動作は、検出器2614を使用したLESの量子ビットに対する測定動作を含むが、LESに対して実行される後続の動作は、LESがどのように生成されるかとは無関係であり得るものであり、図26に示す態様で生成されたLESは、様々な動作で使用され得る。
【0141】
[0182] 図27は、幾つかの実施形態に係る図26の挙動を実施する線形光回路の簡略概念図である。説明を明確にするために、y(「空間」)軸及びz(「時間」)軸のみが示されるが、各層は(もつれ空間において)二次元であり得ることを理解すべきである。時間t=0において、各リソース状態生成器2702は、例えば前述したように、リソース状態2704を出力する。この例では、各リソース状態2704は、伝播する中央量子ビット2706と、+y、-y、+z、及び-z次元に関連付けられた周辺量子ビットとを含む、5つの量子ビット(ドット)を有するものとして示される。もつれは、量子ビットを接続する曲線によって示され、一方、直線は、導波路(又は各量子ビットが符号化される導波路のグループ)を示す。(図示されていないが、リソース状態2704は、+x次元及び-x次元に関連付けられた周辺量子ビットも含むことができることが理解されるべきである。)時間t=0とt=τとの間で、融合回路2706(これは、例えば、上記の再構成可能なII型融合回路であってもよい)は、y次元に沿って隣接するリソース状態の周辺量子ビットに対して融合動作を実行し、遅延回路2708は、各リソース状態の-z量子ビットを1時間ステップだけ遅延させる。検出器2710は、各層のエッジの周辺量子ビットを除去するために層境界で動作する。時間t=τとt=2τとの間で、融合回路2712(例えば、前述のオフセット融合回路)は、遅延された-z量子ビットを、同じRSG 2702によって1時間ステップ後に生成された+z量子ビットと融合する。時間t=2τの後、LESの量子ビットは更なる遅延回路2714を伝播し、最終的に検出器2720に到達することができる(又は別の後続の動作)。所望のLESの寿命に応じて、任意の数の遅延回路2714を導入することができる。
【0142】
3.2.複数のもつれ構造を生成するための時間的インターリービング
[0183] 図26及び図27の例では、図27に示す回路を使用して単一のLESが生成される。図26図27にはLESの単一の2次元部分のみが示されるが、この開示の恩恵を受ける当業者は、x方向(ページの内外)に配置され得るRSG回路の更なる行を含むシステムが、フォールトトレラント量子コンピューティングに使用できる3次元LESを生成できることを理解し得る。更に、図26及び図27に示す空間的融合は、時間的融合に置き換えることができ、前述のラスタライズ化回路及びハイブリッド回路を使用してLESを生成することもできる。
【0143】
[0184] 場合によっては、時間的に共存する複数のもつれ構造(LESを含むがこれに限らない)を提供するために同じ回路を使用することが望ましい場合がある(両方のもつれ構造の光子が、同時に、例えば1つ以上の遅延線内で飛行しているという意味で)。幾つかの実施形態によれば、複数のもつれ構造の共存は、異なるもつれ構造の層の生成を「インターリーブ」することによってもたらされ得る。
【0144】
[0185] 図28は、幾つかの実施形態に係る2つのもつれ構造(この場合はLES)のインターリーブ生成の概念図である。前述の技法(又は他の技法)を使用して、もつれた量子ビットの層2802aを生成することができ、その後、異なる層2802aからの量子ビットを(前述の融合動作などの動作を使用して)もつれさせて、第1のLES 2804aを生成することができる。同様に、層2802bを生成することができ、異なる層2802bからの量子ビットをもつれさせて第2のLES 2804bを生成することができる。(視覚化を助けるために、LES 2804a及びLES 2804bには異なる線種が使用される。)各LES 2804a、2804bは5つの層を有するものとして示されるが、LESは任意の数の層を有してもよいことが理解されるべきである。
【0145】
[0186] 2つのLESのインターリーブ生成は、同じハードウェアを使用して、例えば交互に、両方のLESの層を生成することを含み得る。幾つかの実施形態では、層生成ハードウェア2810(前述のように様々な回路を使用して実装することができる)を使用して、一連の時間間隔のそれぞれで層2802a又は2802bを生成することができる。点線の円弧2815によって示されるように、(前述のような融合動作又は他のもつれ生成動作を実行することによって)交互の期間中に生成された層間にもつれを生成することができるが、連続する期間中に生成された層間にはもつれは生成されない。結果は、もつれトポロジに関して、マッピング矢印2817によって示されるように、LES 2804a、2804bと同一である。
【0146】
[0187] 図29は、幾つかの実施形態に係るリソース状態生成器及び下流側回路の単一のセットを使用して、2つのインターリーブされたLESを生成する(及び随意的に、2つのインターリーブされたLESを境界で互いにもつれさせる)時間図である。図29は、多くの点で図26と同様である。例えば、y及びz寸法のみが示されるが、LESの各層は2次元(もつれ空間内)であり得ることを理解すべきである。図26と同様に、図29は、スナップショットビュー又はタイムラプスビューとして理解することができる。
【0147】
[0188] ブロック2900は、LESの層に関して(時間ステップ2902で)リソース状態の完全なセットを生成するリソース状態生成器2901を表わす。図26と同様に、様々な技法を使用して層のリソース状態を生成することができ、それに応じて時間ステップτを規定することができる。時間ステップ2904において、y次元内の隣接する物理量子ビット(x寸法(図示せず))を融合するために、空間的融合2906が発生する。
【0148】
[0189] 図26とは異なり、この例では、交互の時間ステップで生成されたリソース状態は、2つの異なるLESに関連付けられる。量子ビットとLESとの関連を示すために、量子ビットは色分けされている(LES Aに関連付けられた量子ビットに関しては灰色の円、LES Bに関連付けられた量子ビットに関しては白色)。したがって、時間的融合2908は、2時間ステップ離れて生成されたリソース状態からの2つの量子ビットを融合する。層のエッジでは、検出器2910を使用して境界量子ビットを除去することができる。或いは、融合回路2912は、以下に説明するように、LES Bの層の周辺量子ビットをLES Aの層の以前に生成された周辺量子ビットと融合して、境界でLESを一緒に「ステッチ」することができる。時間ステップ2914(及びその後の任意の数の時間ステップ)において、LESは、この例では検出器2916を使用した測定を含む後続の動作まで持続する。
【0149】
[0190] 図30は、図27と同様の表記を使用して、幾つかの実施形態に係る図29の挙動を実施する線形光回路の簡略概念図を示す。時間t=0において、リソース状態生成器3002は、例えば前述したように、リソース状態3004を出力する。この例では、各リソース状態3004は、伝播する1つの中央量子ビットと、+y、-y、+z、及び-z次元に関連付けられた周辺量子ビットとを含む、5量子ビットを有するものとして示されている。(図示されていないが、リソース状態2704は、+x次元及び-x次元に関連付けられた周辺量子ビットも含むことができることが理解されるべきである。)時間t=0とt=τとの間で、融合回路3006は、y次元に沿って隣接するリソース状態の周辺量子ビットに対して融合動作を実行し、遅延回路3008は、各リソース状態の-z周辺量子ビットを1時間ステップだけ遅延させる。時間t=τとt=2τとの間で、第2の遅延回路3008’は、各リソース状態の-z周辺量子ビットを別の時間ステップだけ遅延させる。
【0150】
[0191] 時間t=2τとt=3τとの間で、融合回路3012(例えば、前述のオフセット融合回路)は、2時間ステップ後に同じRSG 3002によって生成された(2τだけ)遅延された-z量子ビット及び+z量子ビットに対して融合動作を実行する。このようにして、交互の時間ステップ中に形成されたLESの層の間にもつれを生み出すことができ、それにより、同じハードウェアが時間インターリービングによって2つのLESを生成することができる。
【0151】
[0192] 時間t=3τの後、2つのLESを構成する物理量子ビットは、更なる遅延回路3014を通って伝播し、最終的に検出器3020に到達することができる(又は他の何らかの後続動作)。所望のLESの寿命に応じて、任意の数の遅延回路3014を導入することができる。
【0152】
[0193] 幾つかの実施形態では、時間t=0とt=2τとの間で動作するものとして示される構成可能境界回路3030を使用して、層の境界量子ビットに対して様々な境界演算を実行することができる。構成可能境界回路3030は、検出器3034又はオフセット再構成可能融合回路3036のいずれかに量子ビットを方向付けることができるスイッチ3032(前述のアクティブスイッチと同様)を含む。所定の時間ステップに関して、スイッチ3032が検出器3034を選択する場合、境界量子ビットは、t=0とt=2τとの間を現在伝播している層から除去される。スイッチ3032が代わりにオフセット再構成可能融合回路3036を選択する場合、最初の期間中に、一方のLESの層(この例ではLES A)に関連付けられた周辺量子ビットが遅延回路3038によって遅延され、次の期間中に、他方のLESの層(この例ではLES B)に関連付けられた周辺量子ビットが受けられ、オフセット再構成可能融合回路3036は、受けられた量子ビット及び遅延量子ビットに対して融合動作を実行する。オフセット再構成可能融合回路3036によって実行される動作は、「境界ステッチング」とも呼ばれる。幾つかの実施形態では、境界ステッチングを使用して、異なる期間中に生成されたパッチ(例えば、図25のパッチベースのハイブリッド手法を使用して生成されたパッチ)を一緒にステッチングして、より大きな層を形成することができる。
【0153】
[0194] これらの例は例示的なものであり、限定的なものではないことが理解されるべきである。インターリービング技術は、LESの形成に限定されない。複数のもつれ構造が時間内に共存できるようにするために又はより大きな層及び/又は非平面層トポロジを有するもつれ構造の生成をサポートするために、もつれ構造が中央量子ビットを有さないリソース状態から生成される場合に同様の技術を使用することができ、その例が以下で説明される。本明細書に記載のインターリービング技術は、任意の数(2つ又は3つ以上)の同時もつれ構造を提供するように修正することができ、もつれ構造のサイズは必要に応じて選択することができる。インターリービングに使用されるリソース状態の層は、前述したネットワーク化、ラスタライズ化、又はハイブリッド手法のいずれかを使用して生成することができ、同じRSG回路を使用して、インターリーブされている全てのもつれ構造のリソース状態を生成することができる。幾つかの実施形態では、RSG回路は、単一のもつれ構造内の異なるもつれ構造又は異なる層が互いに異なるもつれ幾何形状を有することができるように再構成可能であり得る。更に、インターリーブが複数のもつれ構造を生成する場合、異なる同時に存在するもつれ構造は、更なる回路を使用して互いに選択的にもつれることができる。
【0154】
3.3格子サージェリー
[0195] 複数のLESのインターリーブ生成に加えて又はその代わりに、構成可能境界回路3030及び同様の回路は、層の境界で量子ビットに対して融合動作を選択的に実行する(又は実行しない)ことによって、様々な層トポロジを有するもつれ構造を構築できるようにし得る。そのような選択的境界融合は、本明細書では「格子サージェリー」とも呼ばれる。例えば、幾つかの実施形態では、スイッチ3032は、「境界ステッチング」とも呼ばれる結合(又は層間の結合の欠如)をサポートするために、期間の各対に対して動的に構成することができる。例として、図31は、時間的に共存する2つのLES 3102、3104の概念図を示す。図26及び図27のように、y次元(「空間」としてラベル付けされる垂直軸)及びz次元(「時間」としてラベル付けされる水平軸)のみが示されるが、各LESが三次元であり得ることが理解されるべきである。第1のLES 3102と第2のLES 3104とが時間的に重なり合う。LES 3102及び3104の層(y次元のみが示されているので列として示されている)は、物理量子ビットの時間オフセットによって示されるように、互いに時間的にオフセットされ得る。例えば、層は、インターリービング技術を使用して生成することができる。幾つかの実施形態では、時間オフセットは、交互の期間τ中にLES 3102及び3104の物理量子ビットを生成することによって形成することができる。したがって、前述したように、同じハードウェアを使用して両方のLESを生成することができる。図31に示す例では、LES 3102の第1の列を生成し、それらの光子を遅延線に送ることができる。次に、LES 3104の第1の列を生成し、異なる(又は同じ)遅延線に送信することができる。次に、LES 3102の第2の列を生成し、続いて、遅延ラインに格納されていたLES 3102の第1の列(ただし、LES 3104の第1の列と融合されていない)と融合することができ、以下同様である。図31図33は、互いに対してy方向にオフセットされたLES 2152及びLES 3104を示すが、インターリービングは、同じセットの物理リソース状態生成器が例えば交互のクロックサイクルでそれぞれのLESを生成するのに必要なリソース状態を生成できるようにするのが分かる。
【0155】
[0196] 幾つかの実施形態では、例えば、より大きな層を有する単一のLESを形成するために、LES 3102及び3104を互いに結合することができる。例えば、図32は、例えば、各層の境界の片側で境界量子ビット間の融合動作を実行することによって、より大きな層サイズを有する単一のLESを形成するための境界におけるLES 3102及び3104の「ステッチング」の概念図を示す。この技術は、例えば、異なる時間にハイブリッド回路で生成されたパッチを互いにステッチングするために又は層を互いにステッチングすることによって層のサイズを増大させるために使用することができる。
【0156】
[0197] 図33は、選択的格子サージェリーの概念図を示しており、LES 3102及び3104は、幾つかの層の境界に沿って選択的にもつれているが、他の層の境界には沿って選択的にもつれていない。そのような形態は、構成可能境界回路3030をクロックサイクルごとに制御することによって生成することができる。
【0157】
[0198] LES 3102及び3104が異なる論理量子ビットを表わす三次元LESであるシナリオでは、本明細書に開示されている格子サージェリーを使用して、LES 3102及び3104内で符号化された論理量子ビット間に2量子ビット論理ゲートを実装することができる。インターリーブされた論理量子ビット間にゲートを適用する必要がある場合、生成されるリソース状態のタイプを変更することによって又はLESの個々の物理量子ビットに対して行われる測定のタイプを変更することによって、適切な格子サージェリーを適用することができる。格子サージェリーの他の用途も想定し得る。幾つかの実施形態では、境界における融合回路は、格子サージェリー動作のタイプを変更するように再構成可能であり得る。
【0158】
[0199] また、説明の目的で単純なLESが使用されているが、インターリーブ、境界ステッチング、及び、格子サージェリーは、LESを形成する状況に限定されないことも理解されるべきである。リソース状態の層から生成することができる任意のもつれ構造(中央量子ビットのないもつれ構造を含む)は、同じ態様で生成された1つ以上の他のもつれ構造とインターリーブされたその層を有することができ、そのような構造の層の間で境界ステッチング及び/又は格子サージェリーを実行することができる。
【0159】
3.4.階層トポロジを構成するためのインターリービング
[0200] 幾つかの実施形態では、時間インターリーブ技術を使用して、境界量子ビットがどのように結合されるかに応じて、様々なトポロジを有する層を有するもつれ構造を生成することができる。例えば、図29に示すように、連続するクロックサイクルで2つの層を生成し、融合回路を使用して境界で層を互いにステッチングすることによって、単一の「折り曲げられた」層を生成することができる。図34A~34Dは、幾つかの実施形態による、折り曲げられた層を有する3次元もつれトポロジを形成するためにインターリービングを使用する概念図である。図34Aは、もつれ空間内のxy平面内の層3400を示す。層3400は、前述の融合動作を使用して互いにもつれたリソース状態の層とすることができる。第2節に記載された技術のいずれか又は他の技術を使用して、層3400を形成することができる。図34Bは、層3400に対して形成することができる「折り曲げられた」トポロジ3410を示す。図34Cは、折り曲げられたトポロジ3410を有する層を有する三次元もつれ構造を形成するために使用することができるインターリービング技術を示す。図34Cでは、時間がz軸に沿って進む(ページ上で垂直)。それぞれが層3400の一部であり得る4つの層(又はパッチ)3411、3412、3413、3414がxy平面に示されている。各層(又はパッチ3411、3412、3413、3414)は、異なる期間τの間に同じハードウェアによって生成することができる。交互の層の量子ビット間にもつれが生成される。例えば、垂直線3420によって示されるように、層3411の幾つか又は全ての量子ビットは、層3413の対応する量子ビットともつれることができ、垂直線3422によって示されるように、層3412の幾つか又は全ての量子ビットは、層3414の対応する量子ビットともつれることができる。交互の層の量子ビット(時間間隔2τ)に対する融合動作は、例えば、図30の遅延回路を使用して実行することができる。
【0160】
[0201] 更に、連続して生成された層の対は、曲線3416、3418によって示されるように、境界で一緒に「ステッチング」される。ステッチングは、例えば、図30のオフセット融合回路3036又は同様の回路を使用して2つの層の境界量子ビットに対して融合動作を実行することにより層の縁部にもつれを形成することによって実施することができる。線3416で示すように、連続して生成された層3411及び3412は互いにステッチングされ、線3418で示すように、連続して生成された層3413、3414は互いにステッチングされる。図34Dは、図34Cのもつれ構造の「展開」図を示す。
【0161】
[0202] したがって、幾つかの実施形態では、図34C(又は図32)の折り曲げられたもつれ構造は、図25に関連して前述した例と同様に、パッチベースのハイブリッドラスタ/ネットワーク化RSG回路を使用して生成されるもつれ構造の単一層として理解することができる。例えば、図25に関連して説明した実施形態では、P RSG回路のセットは、1クロックサイクルでP個の連続したリソース状態のパッチを生成することができる。幾つかの実施形態では、異なるクロックサイクル中に生成されたパッチを境界で互いにステッチングすることができ、インターリービング技術を使用して、図34C及び図34Dに示すように、より大きな層を形成することができる。図34C及び図34Dに示す例では、各パッチのサイズはL×(L/2)である。しかしながら、より小さいパッチを使用することができる。両方の空間境界に沿ってパッチ間のステッチングを実行するために融合回路が与えられる場合、パッチのサイズは両方の(空間)次元においてL未満であり得る。更に、層ごとに3つ以上のパッチが存在する場合、異なる層の量子ビット間の融合動作に関連する遅延は、層ごとのパッチの数を考慮して適切に調整することができる。
【0162】
[0203] 図34A図34Dは、平面層トポロジを有するもつれ構造を示しているが、折り曲げ技術を使用して他の層トポロジを形成することもできる。図35A図35Cは、幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層の周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。図35Aは、層3500をxy平面内の長方形として示す。図35Bは、曲線3510によって示されるように、層3500の+x境界3502における境界量子ビット及び-x境界3504における対応する量子ビットに対して融合動作を実行することによって形成され得る円筒形の層トポロジを示す。別の例として、図35Cは、2つの層3522、3524を形成し、(曲線3526によって示されるように)+x境界における対応する境界量子ビット及び(曲線3528によって示されるように)-x境界における対応する境界量子ビットに対して融合動作を実行することによって円筒層トポロジを形成するために使用され得るインターリービング技術を示す。
【0163】
[0204] 図36A図36Dは、幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層のより複雑な周期的境界条件を生み出すために折り曲げ技術を使用する概念図である。図36Aは、境界3602、3603、3604、3605を有するもつれ構造の層3600を示しており、この構造の層3600は、トロイダルトポロジを有するもつれ構造の層を形成するために折り曲げることができる。具体的には、図36Bに示すように、境界3604、3605は互いに結合され(図35Aの円筒形トポロジと同様に)、図36Cに示すように、境界3602、3603も互いに結合され、それによってトーラスを形成する。図36Dは、層の異なる寸法に沿って境界を選択的に結合することによってトロイダルトポロジを有する層を形成するために使用することができるインターリービング技術を示す。図34Cのように、時間はz軸に沿って進み(ページ上で垂直)、層はxy平面内で長方形として示されている。4つの層3621、3622、3623、3624が生成される。境界において、(例えば、時間的融合を使用して)層が互いにステッチングされる。時間的融合の特定のパターンは、曲線3631(層3621と3624との間)、3632(層3622と3623との間)、3633(層3621と3622との間)、及び3634(層3623と3624との間)によって示され、(どの層が融合されているかに応じて)最大4τの可変遅延を含む。可変遅延長は、図30と同様に、アクティブスイッチ及び複数の遅延回路を使用して実施することができる。
【0164】
[0205] 図37A図37Dは、幾つかの実施形態に係るもつれ構造の層の対角折り曲げを形成するために本明細書に記載の技術を使用する概念図である。図37Aは、+x境界3702及び-y境界3704を有するもつれ構造の層3700を示す。この例では、層3700は正方形の層である。幾つかの実施形態では、層3700は、図37Bに示すように、斜めの折り目で形成することができる。例えば、図37Cに示すように、4つの三角形パッチ3711、3712、3713、及び3714を4つの異なる時間ステップ中に生成することができる(各時間ステップはクロックサイクル又はより長い時間ステップとすることができる)。連続するパッチ3711、3712は、(曲線3721によって示されるように、)対角境界で互いにステッチングされて第1の正方形層を形成し、連続するパッチ3713、3714は、曲線3722によって示されるように対角境界で互いにステッチングされて第2の正方形層を形成する。第1及び第2の層における対応する位置間のもつれは、線3724(第1の正方形層のパッチ3711と第2の正方形層のパッチ3713との間のもつれを表わす)及び線3726(第1の正方形層のパッチ3712と第2の正方形層のパッチ3714との間のもつれを表わす)によって示されるように形成され得る。幾つかの実施形態では、三角形パッチは、異なる行に対応する異なる数のユニットセルを有するユニットセルのネットワークを使用して又は行ごとに異なる数のリソース状態を生成するラスタライズ化ユニットセルを使用して生成することができる。更に、ユニットセルの正方形ネットワーク又は行ごとに固定数のリソース状態を生成するラスタライズ化ユニットセルを使用して、(例えば、x次元及びy次元融合回路を適切に構成することによって)後で互いにもつれる可能性がある2つの異なる構造用の三角形パッチを同時に生成することができる。幾つかの実施形態では、層の対角折り曲げは、空間及び時間において近い量子ビットの対に対する融合動作を使用して実装され得る論理演算をサポートすることができ、又は、論理演算は、対角折り曲げ層トポロジの結果として空間及び時間において近い量子ビットの対に対して融合動作を実行することによって複数の論理量子ビット間で実行され得る。例えば、図37Dは、三角形パッチ3731、3732から作られた斜めに折り曲げられた層の異なる部分における量子ビット(線3734で示す)間の融合の例を示す。幾つかの実施形態では、この種の融合動作を使用して横方向ゲートを実装することができる。
【0165】
[0206] 層トポロジのこれらの例は例示的なものである。図示の例に限定されず、様々な層トポロジを生成できることが理解されるべきである。更に、複数のもつれ構造の生成は、任意の特定のもつれ構造の層トポロジに関係なく、インターリービング技術を使用して実行することができる。
【0166】
4.量子コンピューティング動作の実施
[0207] 上記のようにして生成されたもつれ構造を用いた量子計算演算は、様々な技術を用いて実施することができる。1つの手法は、実行される計算に基づいてリソース状態(したがって、もつれジオメトリ)を修正することである。例えば、2D層内の異なる位置のリソース状態は、異なるもつれジオメトリで生成され得る。幾つかの実施形態では、RSG回路は、異なるもつれジオメトリを有するリソース状態を生成できるようにするべく動的に再構成可能であり得る。
【0167】
[0208] 別の手法は、リソース状態が融合されるときに融合動作を変更することを含む。例えば、図14Eに関連して前述したような再構成可能融合回路を使用して、可変位相シフト(例えば、上記の節1.3で説明したように)を有するMZI回路を、融合前に異なる量子ビット(又は個々のモード)に選択的に適用することができ、それによって異なる量子論理演算を実施することができる。様々な実施形態では、これらの手法を組み合わせることができる。
【0168】
5.量子コンピュータシステムの例
[0209] 図38は、幾つかの実施形態に係るMBQC又はFBQCを実装することができる量子コンピュータシステム3800のためのシステムアーキテクチャの一例を示す。フォトニック物理量子ビットを使用して、量子コンピュータシステム3800の幾つかの実施形態は、MBQC用の論理量子ビットを表わすために使用することができるフォールトトレラントなクラスタ状態を生成することができ、量子コンピュータシステム3800の他の実施形態は、フォールトトレラントFBQCのためのもつれ構造を反映する測定データを生成することができる。システム3800は、リソース状態生成器3802と、遅延回路3804と、スイッチ回路3806と、検出器3808と、古典的処理ユニット3810とを含む。
【0169】
[0210] リソース状態生成器3802は、前述のリソース状態生成器回路の単一のインスタンス又は複数のインスタンスを含むことができる。RSG回路は、データ入力を必要とせずに自律的に動作することができ、各RSG回路は、クロックサイクル(これは、例えば、約1ns以上とすることができる)ごとに1つのリソース状態を生成することができる。前述したリソース状態のいずれか又は他のリソース状態を生成することができる。リソース状態は、例えば、クロックサイクルあたりn*N個の光子の速度で、光ファイバ(又は他の導波路)3820上に出力することができ、nは各リソース状態の量子ビット数であり、NはRSG回路のインスタンス数である。また、リソース状態生成器ユニット3802は、古典的データ出力(例えば、リソース状態生成プロセスの様々な要素の成功又は失敗を示す)をデータ経路3822を介して古典的処理ユニット3810に送信することができる。幾つかの実施形態では、リソース状態生成器ユニット3802を極低温(例えば、4K)に維持することができる。遅延回路3804は、光ファイバ、他の導波路、光メモリ、又は特定の量子ビットに対応する光子を適切な遅延時間、例えば前述の1クロックサイクル、Lクロックサイクル、及びLクロックサイクルの遅延時間だけ遅延させるための他の構成要素を含むことができる。前述したように、幾つかの実施形態では、論理量子ビットのラスタライズ化生成を実施するために、各持続時間のただ1つの遅延線が必要とされる。遅延回路3804は、極低温で動作する必要はない。遅延回路3804を出る光子は、光ファイバ、オンチップ導波路、又は任意の他のタイプの導波路であり得る導波路3824を介してスイッチ回路3806に送達され得る。
【0170】
[0211] スイッチ回路3806は、量子ビットに対してモード結合、モードスワップ、及び位相シフト動作を実行するためのアクティブスイッチ及び導波路を含むことができる。様々な実施形態において、スイッチ回路3806は、融合動作(例えば、図9Aに関連して前述したII型融合動作)に関連するモード結合動作、及び/又は個々の量子ビットの測定に関連する基底選択動作を実行することができる。幾つかの実施形態では、スイッチ回路3806は、古典的処理ユニット3810からの制御信号に応答して動的に再構成可能であり、量子コンピュータ3800は、スイッチ回路3806内のスイッチを再構成することによって異なる計算を実行することができる。幾つかの実施形態では、スイッチ回路3806は、上記の例で使用された再構成可能融合回路用の再構成可能スイッチ及びモードカプラの全てを実装することができる。スイッチ回路3806は、光ファイバ、オンチップ導波路、又は任意の他のタイプの導波路であり得る導波路3828を介して検出器3808に出力光子を送達する。
【0171】
[0212] 検出器3808は、導波路内の光子を検出することができるフォトニック検出器を含むことができる。各フォトニック検出器は、1つの導波路に結合され、光子が検出されたかどうかを示す出力(古典的)信号を生成する。幾つかの実施形態では、フォトニック検出器の一部又は全部は光子を計数することができ、各フォトニック検出器からの出力信号は、そのフォトニック検出器によって検出された光子の数を含むことができる。幾つかの実施形態では、検出器3808は極低温で動作することができる。検出器3808は、光子の数を示す古典的な出力信号(又は光子が検出されたかどうかを示すバイナリ信号)を、信号経路3830を介して古典的処理ユニット3810に与えることができる。
【0172】
[0213] 古典的処理ユニット3810は、古典的なデジタル論理信号を使用して、リソース状態生成器3802、スイッチ回路3806、及び検出器3808と通信することができる古典的なコンピュータシステムとすることができる。幾つかの実施形態では、古典的処理ユニット3810は、実行される特定の量子計算(又はプログラム)に基づいてスイッチ回路3806の適切な設定を決定することができる。古典的処理ユニット3810は、リソース状態生成器3802及び検出器3808からフィードバック信号(例えば、測定結果)を受信することができ、フィードバック信号に基づいて計算の結果を決定することができる。幾つかの実施形態では、古典的処理ユニット3810は、フィードバック信号を使用して、スイッチ回路3806に送信される後続の制御信号を修正することができる。古典的処理ユニット3810の動作は、誤り訂正アルゴリズム及び他の技術を組み込むことができる。
【0173】
[0214] 図38のシステム3800は例示的なものであり、変形及び修正が可能である。別々に示されているブロックを組み合わせることができ、又は単一のブロックを複数の別個の構成要素を使用して実装することができる。リソース状態生成器3802、遅延回路3804、スイッチ回路3806、及び検出器3808は、もつれ構造を生成するための前述の回路を実装することができる。例えば、遅延回路3804は、前述したオフセット再構成可能融合回路の遅延線部分の全てを実装することができ、スイッチ回路3806は、再構成可能融合に関連する再構成可能スイッチ及びモードカプラを実装することができ、検出器3808は、融合動作に関連する破壊測定を実装することができる。幾つかの実施形態では、もつれ構造を生成することは、MBQCを実装するために個々の量子ビットの測定を行なうことができるLESを生成することを含むことができる。他の実施形態では、もつれ構造を生成することは、古典的処理ユニット3810に提供される融合動作で得られた測定結果を用いて、リソース状態の量子ビット(例えば、上記のように)に対して融合動作を実行することを含むことができ、それによってFBQCを実装することができる。
【0174】
[0215] システム3800は、本明細書に記載のラスタライゼーション及び/又はインターリービング技術を組み込んで、1つ以上の論理量子ビット又は他のクラスタ状態又は他のもつれ構造を生成することができる量子コンピュータシステムの一例にすぎず、本開示にアクセスできる当業者であれば分かるように、多くの異なるシステムを実装できる。
【0175】
6.更なる実施形態
[0216] 本明細書に記載の実施形態は、例えば(論理量子ビットを形成及び動作するために使用することができる)フォールトトレラントクラスタ状態として、又は大きなもつれ構造が望ましい場合がある任意の他の動作で使用することができるもつれ構造を生成するためのシステム及び方法の例を提供する。もつれ構造のサイズ及びもつれ幾何学的形状は、特定の使用事例に応じて変えることができる。例えば、上記の説明は、(もつれ空間内の)二次元である層からのもつれ構造の例を使用しているが、層はより多くの寸法を有することができる。更に、前述の実施形態は、特定の材料及び構造(例えば、光ファイバ)への言及を含むが、光子を生成、伝播、及び動作することができる他の材料及び構造を置き換えることができる。
【0176】
[0217] 本明細書中で使用される全ての数値が例示を目的とするものであって変更されてもよいことが理解されるべきである。場合によっては、スケールの感覚を与えるために範囲が定められるが、開示された範囲外の数値は排除されない。
【0177】
[0218] 本明細書中の全ての図は概略図として意図されることも理解されるべきである。別段具体的に示されなければ、図面は、そこに示される要素の特定の物理的配置を又は示される全ての要素が必要であることを意味しようとするものではない。本開示にアクセスする当業者は、図面に示される或いはさもなければこの開示で記載される要素を修正又は省略することができるとともに、図示されない又は記載されない他の要素を追加できることを理解できる。
【0178】
[0219] 本開示は、特定の実施形態に関連して特許請求の範囲に記載される発明の説明を与える。本開示にアクセスする当業者は、実施形態が特許請求の範囲に記載される発明の範囲を網羅せず、特許請求の範囲に記載される発明の範囲が全ての変形、修正、及び、均等物に及ぶことが分かる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図34C
図34D
図35A
図35B
図35C
図36A
図36B
図36C
図36D
図37A
図37B
図37C
図37D
図38