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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20241016BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
E02F9/20 M
E02F9/26 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018542846
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2017035184
(87)【国際公開番号】W WO2018062374
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2016195069
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】泉川 岳哉
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】居島 一仁
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-84663(JP,A)
【文献】特開平6-200537(JP,A)
【文献】特開平8-158408(JP,A)
【文献】実開昭55-118062(JP,U)
【文献】特開2009-228249(JP,A)
【文献】再公表特許WO2005/24144(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/42-3/85
E02F 9/20-9/22
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能を有するショベルであって、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記運転室内に設けられた表示装置と、
掘削対象地の地中に位置する目標施工面に係る事前に設定された目標値にしたがってショベルの操作を案内し或いは自動的に支援する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記マシンガイダンス機能又は前記マシンコントロール機能を実行する前に、前記掘削対象地の地中に位置する前記目標施工面に対する前記目標値を設定するための、前記アタッチメントの先端位置が前記目標施工面に達する前の2つの時点における前記アタッチメントの2つの先端位置に関する情報を用いて前記表示装置に幾何学的情報を表示し、且つ、該2つの先端位置に関する情報に基づいて前記目標値を算出して設定するように構成され、
前記目標値は、目標角度であり、
前記2つの先端位置に関する情報のそれぞれは、前記アタッチメントの先端の位置座標であり、操作者が前記アタッチメントの先端位置を所望の位置に動かして所定のスイッチを操作したときであって、前記アタッチメントの先端位置が地面よりも外側にあるときに登録される、
ショベル。
【請求項2】
前記幾何学的情報は角度に関する情報である
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記幾何学的情報は水平距離及び鉛直距離である
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
前記運転室内に設けられた操作レバーと、
前記操作レバーに備えられたスイッチと、を有し、
前記制御装置は、前記スイッチが操作された2つの時点における前記アタッチメントの先端の位置座標に基づいて前記目標角度を設定するように構成される、
請求項1に記載のショベル。
【請求項5】
前記運転室内に設けられたペダルスイッチを有し、
前記制御装置は、前記ペダルスイッチが操作された2つの時点における前記アタッチメントの先端の位置座標に基づいて前記目標角度を設定するように構成される、
請求項1に記載のショベル。
【請求項6】
ガイダンスモード及び測量モードを含む複数の動作モードで動作可能であり、
前記制御装置は、前記測量モードにおいて、前記アタッチメントの先端の位置座標に基づいて前記目標角度を設定し、前記ガイダンスモードにおいて、前記目標角度にしたがってショベルの操作を案内し或いは自動的に支援する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項7】
前記表示装置は、前記測量モードにおいて、前記ガイダンスモードのときに表示される画面とは異なる画面を表示する、
請求項6に記載のショベル。
【請求項8】
前記表示装置は、前記幾何学的情報を表示する表示部と、ショベルの設定状態に関する情報を表示する表示部とを同時に表示する、
請求項1に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能を有するショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーショベルの作業状態を監視する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、バケットの刃先の運動軌跡と目標掘削ラインとをキャビン内に配置されたモニタに表示することで、オペレータが法面の掘削作業を適正に行うことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-185932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、オペレータは、目標掘削ラインを表示させるために手作業で法面角度等の目標値を入力するという煩雑な作業を行う必要がある。
【0005】
上述に鑑みると、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能で用いる目標値をより簡単に設定可能なショベルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例に係るショベルは、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能を有するショベルであって、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に搭載される運転室と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、前記運転室内に設けられた表示装置と、掘削対象地の地中に位置する目標施工面に係る事前に設定された目標値にしたがってショベルの操作を案内し或いは自動的に支援する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記マシンガイダンス機能又は前記マシンコントロール機能を実行する前に、前記掘削対象地の地中に位置する前記目標施工面に対する前記目標値を設定するための、前記アタッチメントの先端位置が前記目標施工面に達する前の2つの時点における前記アタッチメントの2つの先端位置に関する情報を用いて前記表示装置に幾何学的情報を表示し、且つ、該2つの先端位置に関する情報に基づいて前記目標値を算出して設定するように構成され、前記目標値は、目標角度であり、前記2つの先端位置に関する情報は、操作者が前記アタッチメントの先端位置を所望の位置に動かして所定のスイッチを操作したときであって、前記アタッチメントの先端位置が地面よりも外側にあるときに登録される。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段により、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能で用いる目標値をより簡単に設定可能なショベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係るショベルの側面図である。
図2図1のショベルの駆動制御系の構成例を示す図である。
図3】マシンガイダンス装置の構成例を示すブロック図である。
図4】キャビンの内部の斜視図である。
図5】2次元マシンガイダンス機能又は2次元マシンコントロール機能で用いる目標値を設定するために操作者が行う操作手順のフローチャートである。
図6】丁張りが設置された掘削対象地の断面図である。
図7】目標角度設定処理のフローチャートである。
図8】ガイダンスモードの際に表示される出力画像の一例を示す図である。
図9】測量モードの際に表示される出力画像の一例を示す図である。
図10】測量モードの際に表示される出力画像の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の実施例に係るショベル(掘削機)の側面図である。ショベルの下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。エンドアタッチメントとして、法面用バケット、浚渫用バケット等が用いられてもよい。
【0010】
ブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。掘削アタッチメントには、バケットチルト機構が設けられていてもよい。
【0011】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出する。本実施例では、ブーム角度センサS1は水平面に対する傾斜を検出して上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出する加速度センサである。
【0012】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出する。本実施例では、アーム角度センサS2は水平面に対する傾斜を検出してブーム4に対するアーム5の回動角度を検出する加速度センサである。
【0013】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出する。本実施例では、バケット角度センサS3は水平面に対する傾斜を検出してアーム5に対するバケット6の回動角度を検出する加速度センサである。掘削アタッチメントがバケットチルト機構を備える場合、バケット角度センサS3はチルト軸回りのバケット6の回動角度を追加的に検出する。
【0014】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせであってもよい。或いは、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ等であってもよい。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3は、掘削アタッチメントの姿勢に関する情報を検出する姿勢センサを構成する。姿勢センサは、ジャイロセンサの出力を組み合わせて掘削アタッチメントの姿勢に関する情報を検出してもよい。
【0015】
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5及びカメラS6が取り付けられている。
【0016】
機体傾斜センサS4は水平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出する。本実施例では、機体傾斜センサS4は上部旋回体3の前後軸及び左右軸回りの傾斜角を検出する2軸加速度センサである。3軸加速度センサであってもよい。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベルの旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。
【0017】
旋回角速度センサS5は、例えばジャイロセンサであり、上部旋回体3の旋回角速度を検出する。旋回角速度センサS5は、レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0018】
カメラS6はショベルの周辺の画像を取得する装置である。本実施例では、カメラS6は上部旋回体3に取り付けられる1又は複数台のカメラである。
【0019】
キャビン10内には、入力装置D1、音声出力装置D2、表示装置D3、記憶装置D4、ゲートロックレバーD5、コントローラ30及びマシンガイダンス装置50が設置されている。
【0020】
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施例では、コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成されている。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0021】
マシンガイダンス装置50は、マシンガイダンス機能を実行し、ショベルの操作をガイド(案内)する。本実施例では、マシンガイダンス装置50は、例えば、操作者が設定した目標施工面とバケット6の先端位置との鉛直方向における距離を視覚的に且つ聴覚的に操作者に報知する。バケット6の先端位置は、例えば、爪先位置である。これにより、マシンガイダンス装置50は操作者によるショベルの操作をガイドする。マシンガイダンス装置50は、その距離を視覚的に操作者に知らせるのみであってもよく、聴覚的に操作者に知らせるのみであってもよい。具体的には、マシンガイダンス装置50は、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成されている。マシンガイダンス装置50の各種機能はCPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。マシンガイダンス装置50は、コントローラ30に組み込まれていてもよい。
【0022】
マシンガイダンス装置50は、マシンコントロール機能を実行し、操作者によるショベルの操作を自動的に支援してもよい。例えば、マシンガイダンス装置50は、操作者が掘削操作を行っているときに、目標施工面とバケット6の先端位置とが合致するようにブーム4、アーム5及びバケット6の動きをアシストする。例えば、操作者がアーム閉じ操作を行っているときにブームシリンダ7及びバケットシリンダ9の少なくとも一方を自動的に伸縮させて目標施工面とバケット6の先端位置とを合致させる。この場合、操作者は、1本の操作レバーを操作するだけで、ブーム4、アーム5及びバケット6を同時に動かして目標施工面とバケット6の先端位置とを合わせながら掘削作業を行うことができる。
【0023】
入力装置D1は、ショベルの操作者がマシンガイダンス装置50に各種情報を入力するための装置である。本実施例では、入力装置D1は、表示装置D3の周囲に取り付けられるメンブレンスイッチである。入力装置D1としてタッチパネルが用いられてもよい。
【0024】
音声出力装置D2は、マシンガイダンス装置50からの音声出力指令に応じて各種音声情報を出力する。本実施例では、音声出力装置D2として、マシンガイダンス装置50に直接接続される車載スピーカが利用される。音声出力装置D2として、ブザー等の警報器が利用されてもよい。
【0025】
表示装置D3は、マシンガイダンス装置50からの指令に応じて各種画像情報を出力する。本実施例では、表示装置D3として、マシンガイダンス装置50に直接接続される車載液晶ディスプレイが利用される。表示装置D3にはカメラS6が撮影した画像が表示されてもよい。
【0026】
記憶装置D4は、各種情報を記憶する。本実施例では、記憶装置D4として、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体が用いられる。記憶装置D4は、設計データ等、マシンガイダンス装置50等が出力する各種情報を記憶する。
【0027】
ゲートロックレバーD5は、ショベルが誤って操作されるのを防止する機構である。本実施例では、ゲートロックレバーD5は、キャビン10のドアと運転席との間に配置される。キャビン10から操作者が退出できないようにゲートロックレバーD5が引き上げられた場合に、各種操作装置は操作可能となる。一方、キャビン10から操作者が退出できるようにゲートロックレバーD5が押し下げられた場合には、各種操作装置は操作不能となる。
【0028】
図2は、図1のショベルの駆動制御系の構成例を示す図である。図2において、機械的動力伝達系は二重線、作動油ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気制御系は細実線でそれぞれ示される。
【0029】
エンジン11はショベルの動力源である。本実施例では、エンジン11はエンジン負荷の増減にかかわらずエンジン回転数を一定に維持するアイソクロナス制御を採用したディーゼルエンジンである。エンジン11における燃料噴射量、燃料噴射タイミング、ブースト圧等は、エンジンコントローラユニット(ECU)D7により制御される。
【0030】
エンジン11の回転軸には油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの回転軸が接続されている。メインポンプ14には作動油ラインを介してコントロールバルブ17が接続されている。
【0031】
コントロールバルブ17は、ショベルの油圧系の制御を行う油圧制御装置である。左右の走行用油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ等の油圧アクチュエータは、作動油ラインを介してコントロールバルブ17に接続されている。
【0032】
パイロットポンプ15にはパイロットライン及びゲートロック弁D6を介して操作装置26が接続されている。操作装置26は操作レバー及び操作ペダルを含む。また、操作装置26は、パイロットラインを介してコントロールバルブ17に接続されている。
【0033】
操作装置26としての操作レバーの先端にはスイッチ26Sとしてのノブスイッチが設けられている。操作者は、操作レバーから手を離さずに指でノブスイッチを操作できる。スイッチ26Sはペダルスイッチであってもよい。操作者は、操作レバーから手を離さずに足でペダルスイッチを操作できる。
【0034】
ゲートロック弁D6は、パイロットポンプ15と操作装置26とを接続するパイロットラインの連通・遮断を切り換える。本実施例では、ゲートロック弁D6は、コントローラ30からの指令に応じてパイロットラインの連通・遮断を切り換える電磁弁である。コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が出力する状態信号に基づいてゲートロックレバーD5の状態を判定する。そして、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が引き上げられた状態にあると判定した場合に、ゲートロック弁D6に対して連通指令を出力する。連通指令を受けると、ゲートロック弁D6は開いてパイロットラインを連通させる。その結果、操作装置26に対する操作者の操作が有効となる。一方、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が引き下げられた状態にあると判定した場合に、ゲートロック弁D6に対して遮断指令を出力する。遮断指令を受けると、ゲートロック弁D6は閉じてパイロットラインを遮断する。その結果、操作装置26に対する操作者の操作が無効となる。
【0035】
圧力センサ29は、操作装置26の操作内容を圧力の形で検出する。圧力センサ29は、検出値をコントローラ30に対して出力する。
【0036】
また、図2はコントローラ30と表示装置D3との接続関係を示す。本実施例では、表示装置D3はマシンガイダンス装置50を介してコントローラ30に接続されている。表示装置D3、マシンガイダンス装置50及びコントローラ30は、CAN等の通信ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0037】
表示装置D3は画像を生成する変換処理部D3aを含む。本実施例では、変換処理部D3aは、例えば、カメラS6の出力に基づいて表示用のカメラ画像を生成する。カメラS6は、例えば専用線を介して表示装置D3に接続されている。
【0038】
変換処理部D3aは、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50の出力に基づいて表示用の画像を生成してもよい。本実施例では、変換処理部D3aは、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50が出力する各種情報を画像信号に変換する。コントローラ30が出力する情報は、例えば、エンジン冷却水の温度を示すデータ、作動油の温度を示すデータ、燃料の残量を示すデータ、尿素水の残量を示すデータ等を含む。マシンガイダンス装置50が出力する情報は、バケット6の先端位置を示すデータ、目標施工面に関するデータ等を含む。
【0039】
変換処理部D3aは、表示装置D3が有する機能としてではなく、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50が有する機能として実現されてもよい。この場合、カメラS6は、表示装置D3ではなく、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50に接続される。
【0040】
表示装置D3は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70はオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置D3以外に、ショベルの電装品72等にも供給される。スタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動させる。
【0041】
エンジン11は、エンジンコントローラユニットD7により制御される。エンジンコントローラユニットD7からは、エンジン11の状態を示す各種データがコントローラ30に送信される。エンジン11の状態を示す各種データは、ショベルの稼働情報の一例であり、例えば、稼働情報取得部としての水温センサ11cで検出される冷却水温を示すデータを含む。コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置D3に送信できる。
【0042】
また、コントローラ30には以下のようにショベルの稼働情報として各種のデータが供給される。各種のデータは、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
【0043】
例えば、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板傾転角を示すデータがコントローラ30に供給される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に供給される。これらのデータは一時記憶部30aに格納される。メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路には油温センサ14cが設けられている。油温センサ14cは、その管路を流れる作動油の温度を表すデータをコントローラ30に供給する。レギュレータ14a、吐出圧力センサ14b及び油温センサ14cは稼働情報取得部の具体例である。
【0044】
また、燃料収容部55における燃料収容量検出部55aから燃料収容量を示すデータがコントローラ30に供給される。本実施例では、燃料収容部55としての燃料タンクにおける燃料収容量検出部55aとしての燃料残量センサから燃料の残量状態を示すデータがコントローラ30に供給される。
【0045】
具体的には、燃料残量センサは、液面に追従するフロートと、フロートの上下変動量を抵抗値に変換する可変抵抗器(ポテンショメータ)とで構成されている。この構成により、燃料残量センサは、表示装置D3で燃料の残量状態を無段階に表示させることができる。燃料収容量検出部の検出方式は、使用環境等に応じて適宜選択され得る。燃料の残量状態を段階表示させることができる検出方式が採用されてもよい。これらの構成は、尿素水タンクについても同様である。
【0046】
操作装置26が操作されたときに、圧力センサ29は、コントロールバルブ17に作用するパイロット圧を検出する。圧力センサ29は、検出したパイロット圧を示すデータをコントローラ30に供給する。
【0047】
本実施例では、ショベルはキャビン10内にエンジン回転数調整ダイヤル75を備えている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数を調整するためのダイヤルであり、エンジン回転数を4段階で切り換えできるようにする。エンジン回転数調整ダイヤル75からはエンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に送信される。エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数を切り換えることができる。図2は、エンジン回転数調整ダイヤル75でHモードが選択された状態を示す。
【0048】
SPモードは、操作者が作業量を優先したい場合に操作者によって選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、操作者が作業量と燃費を両立させたい場合に操作者によって選択される回転数モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、操作者が燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に操作者によって選択される回転数モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、操作者がエンジン11をアイドリング状態にしたい場合に操作者によって選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
【0049】
次に、図3を参照し、マシンガイダンス装置50の各種機能要素について説明する。図3は、マシンガイダンス装置50の構成例を示す機能ブロック図である。
【0050】
マシンガイダンス装置50は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、入力装置D1、コントローラ30等が出力する情報を受信する。そして、受信した情報と記憶装置D4に記憶された情報とに基づいて各種演算を実行し、その演算結果を音声出力装置D2、表示装置D3等に出力する。
【0051】
マシンガイダンス装置50は、例えば、アタッチメントの作業部位の高さを算出し、その作業部位の高さと所定の目標高さとの距離の大きさに応じた制御指令を音声出力装置D2及び表示装置D3の少なくとも一方に出力する。制御指令を受けた音声出力装置D2はその距離の大きさを表す音を出力する。制御指令を受けた表示装置D3はその距離の大きさを表す画像を表示する。目標高さは、目標深さを含む概念であり、例えば、基準位置に作業部位を接触させた後でその基準位置に対する鉛直距離として操作者が入力する高さである。基準位置は、典型的には、既知の緯度、経度及び高度を有する。以下では、表示装置D3に表示されるアタッチメントの作業部位の高さと目標高さとの距離の大きさに関する情報を「作業部位ガイダンス情報」とする。操作者は、作業部位ガイダンス情報を見ることでその距離の大きさの推移を確認しながら作業を進めることができる。
【0052】
マシンガイダンス装置50は、上述のガイダンスを行うため、傾斜角算出部501、高さ算出部502、距離算出部503、目標設定部504等を含む。
【0053】
傾斜角算出部501は、機体傾斜センサS4からの検出信号に基づいて水平面に対する上部旋回体3の傾斜角であるショベルの傾斜角を算出する。
【0054】
高さ算出部502は、傾斜角算出部501が算出した傾斜角と、ブーム4、アーム5及びバケット6のそれぞれの回動角度とに基づいて基準面に対するアタッチメントの作業部位の高さを算出する。ブーム4、アーム5及びバケット6のそれぞれの回動角度は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3のそれぞれの検出信号に基づいて算出される。基準面は、例えば、ショベルが位置する平面を含む仮想平面である。本実施例では、バケット6の先端で掘削を行うため、バケット6の先端(爪先)がアタッチメントの作業部位に相当する。バケット6の背面で土砂をならすような作業をするときにはバケット6の背面がアタッチメントの作業部位に相当する。
【0055】
距離算出部503は、高さ算出部502が算出した作業部位の高さと目標高さとの距離を算出する。本実施例では、高さ算出部502が算出したバケット6の先端(爪先)の高さと目標高さとの距離を算出する。
【0056】
目標設定部504は、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能で用いる目標値を設定する。目標値は、例えば、事前に、すなわち、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能を実行する前に設定される。目標設定部504は、2つの時点における掘削アタッチメントの所定部位の位置に関する情報に基づいて目標値を設定する。例えば、2つの時点におけるバケット6の先端の位置座標(座標点)に基づき、それら2つの座標点を通る仮想直線と水平面との間に形成される角度を算出し、その角度を目標法面角度として設定する。2つの時点はそれぞれ、所定の条件が満たされた時点である。例えば、所定のスイッチが押下された時点、掘削アタッチメントが静止したまま所定時間が経過した時点等を含む。目標法面角度はゼロ度を含んでいてもよい。
【0057】
目標設定部504は、2つの時点における掘削アタッチメントの所定部位の位置に関する情報を用いて表示装置D3に幾何学的情報を表示してもよい。幾何学的情報は、例えば、ショベルによる測量の結果に関する情報である。目標設定部504は、例えば、2つの時点におけるバケット6の先端の位置座標(座標点)に基づき、それら2つの座標点を通る仮想直線と水平面との間に形成される角度を幾何学的情報として表示装置D3に表示する。2つの座標点をそのまま幾何学的情報として表示してもよく、2つの座標点の間の水平距離及び鉛直距離を幾何学的情報として表示してもよい。ここでは、2つの時点のうちの第1の時点は、上述のように所定の条件が満たされた時点である。一方、2つの時点のうちの第2の時点は、現在時点である。このように、幾何学的情報は、第1の時点で登録された所定部位の座標点と、現在時点における所定部位の座標点との位置関係を操作者に認識させるために表示される。
【0058】
次に図4を参照し、キャビン10内に設けられた各種装置の取付位置の一例について説明する。図4は、キャビン10の内部の斜視図であり、運転席10Sからショベルの前方を見たときの様子を示す。図4の例では表示装置D3は運転席10Sの右前方にある右ピラー10Rの幅に収まるように右ピラー10Rに取り付けられている。正面を向いて運転席に座る操作者が作業中に視認できるようにするためである。具体的には、操作者がフロントガラスFGを通してバケット6を中心視野で捉えたときに表示装置D3を周辺視野で捉えることができるようにするためである。
【0059】
操作装置26としての操作レバーは、左操作レバー26Lと右操作レバー26Rで構成されている。左操作レバー26Lの先端にはスイッチ26Sが設けられている。操作者は、操作レバーから手を離さずにスイッチ26Sを指で操作できる。スイッチ26Sは、右操作レバー26Rの先端に設けられていてもよく、左操作レバー26L及び右操作レバー26Rのそれぞれの先端に設けられていてもよい。
【0060】
図4の例では、スイッチ26Sは、基準設定ボタン26S1と測量モードボタン26S2を含む。基準設定ボタン26S1は、基準位置を設定するためのボタンである。測量モードボタン26S2は、測量モードを開始させ或いは終了させるためのボタンである。
【0061】
測量モードは、ショベルの動作モードのうちの1つである。ショベルの動作モードは、測量モード及びガイダンスモードを含む。
【0062】
測量モードは、ショベルを用いて測量を行う際に選択される動作モードである。本実施例では、測量モードボタン26S2が押下された場合に開始する。マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能で用いる目標値を設定する際にも選択される。
【0063】
ガイダンスモードは、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能を実行する際に選択される動作モードである。本実施例では、ガイダンスモードボタン(図示せず。)が押下された場合に開始する。ガイダンスモードは、例えば、ショベルで法面整形を行う際に選択される。
【0064】
次に図5及び図6を参照し、2次元マシンガイダンス機能又は2次元マシンコントロール機能で用いる目標値の設定方法について説明する。図5は、目標値を設定するために操作者が行う操作手順のフローチャートである。目標値は、例えば、目標角度(目標法面角度)である。図6は、丁張りFRが設置された掘削対象地の断面図である。図6の破線で示すバケット6は、第1の時点におけるバケット6の状態を示し、実線で示すバケット6は、第1の時点よりも後の第2の時点におけるバケット6の状態を示す。
【0065】
最初に、操作者は、測量モードを開始させる(ステップST1)。例えば、操作者は、左操作レバー26Lの測量モードボタン26S2を押下して測量モードを開始させる。
【0066】
その後、操作者は、図6に示すように、バケット6の爪先を丁張りFRの第1地点P1に合わせる(ステップST2)。例えば、操作者は、左操作レバー26L及び右操作レバー26Rを操作して掘削アタッチメントを動かし、バケット6の爪先を丁張りFRの第1地点P1に接触させる。コントローラ30は、姿勢センサの出力を利用してバケット6の爪先の位置を第1地点P1の座標として算出できる。
【0067】
その後、操作者は、左操作レバー26Lの基準設定ボタン26S1を押下して第1地点P1の座標を登録する(ステップST3)。例えば、操作者は、バケット6の爪先を第1地点P1に接触させたまま基準設定ボタン26S1を押下して第1地点P1の座標を原点として登録する。操作者は、バケット6の爪先を第1地点P1に接触させたまま掘削アタッチメントを所定時間静止させることで第1地点P1の座標を原点として登録してもよい。第1地点P1の座標は、例えば、ショベルの旋回軸上の一点の座標、ブームフートピン上の一点の座標等である基準座標に対する相対座標として登録されてもよい。
【0068】
その後、操作者は、バケット6の爪先を丁張りFRの第2地点P2に合わせる(ステップST4)。例えば、操作者は、左操作レバー26L及び右操作レバー26Rを操作して掘削アタッチメントを動かし、バケット6の爪先を丁張りFRの第2地点P2に接触させる。コントローラ30は、姿勢センサの出力を利用してバケット6の爪先の位置を第2地点P2の座標として算出できる。
【0069】
その後、操作者は、左操作レバー26Lの測量モードボタン26S2を長押しして第2地点P2の座標を登録する(ステップST5)。例えば、操作者は、バケット6の爪先を第2地点P2に接触させたまま測量モードボタン26S2を長押しして第2地点P2の座標を第1地点P1の座標に対する相対座標として登録する。操作者は、バケット6の爪先を第2地点P2に接触させたまま掘削アタッチメントを所定時間静止させることで第2地点P2の座標を第1地点P1の座標に対する相対座標として登録してもよい。第2地点P2の座標は、例えば、基準座標に対する相対座標として登録されてもよい。また、上述の例では、測量モードボタン26S2を長押しすることで、第1地点P1の座標と区別して第2地点P2の座標を登録するが、長押し以外の方法で第2地点P2の座標を登録してもよい。例えば、ボタン押下回数の違いで第1地点P1の座標と第2地点P2の座標とを区別して登録してもよい。具体的には、ボタンをワンクリックしたときに第1地点P1の座標を登録し、ボタンをダブルクリックしたときに第2地点P2の座標を登録してもよい。この場合、第1地点P1の座標及び第2地点P2の座標の登録に同じボタンが用いられてもよい。基準設定ボタン26S1の長押し、ダブルクリック等を行うことで、第2地点P2の座標を登録してもよい。さらに、操作者は、第1地点P1の座標が登録されたことを音声出力、表示等により認識できる場合には、単に、1回目の基準設定ボタン26S1の押下により第1地点P1の座標を登録し、2回目の基準設定ボタン26S1の押下により第2地点P2の座標を登録してもよい。さらに、基準設定ボタン26S1と測量モードボタン26S2の他に、第3のボタンが設けられていてもよい。この場合、操作者は、測量モードボタン26S2の押下により測量モードを開始させ、基準設定ボタン26S1の押下により第1地点P1の座標を登録し、第3のボタンの押下により第2地点P2の座標を登録することができる。
【0070】
マシンガイダンス装置50は、第1地点P1の座標と第2地点P2の座標に基づいて目標法面角度θを設定する。例えば、ショベルに正対する仮想平面のうちの、第1地点P1と第2地点P2を通る仮想直線を含む仮想平面を、目標施工面TPを含む仮想平面として特定する。そして、その仮想平面と水平面との間に形成される角度を目標法面角度θとして算出する。図6の例では、第1地点P1と第2地点P2とを通る仮想直線の延長線を含む仮想平面が目標施工面TPとして設定されるが、その延長線を含む仮想平面が施工基準面として設定されてもよい。この場合、操作者は、施工基準面を設定した後に、スイッチパネル42(図4参照。)を通じて施工基準面からの深さ、幅等の距離を設定することにより目標施工面TPを設定することができる。このようにして、操作者は、測定された第1地点P1と第2地点P2とに基づいて目標施工面を設定することができる。
【0071】
その後、操作者は、測量モードを終了させてガイダンスモードを開始させる(ステップST6)。例えば、操作者は、左操作レバー26Lの測量モードボタン26S2を押下して測量モードを終了させることでガイダンスモードを開始させる。
【0072】
その後、操作者は、例えば、バケット6の爪先を法肩にある基準点に接触させながら基準設定ボタン26S1を押下する。これにより、その基準点に関して目標法面角度θの法面を整形するための2次元マシンガイダンス機能を開始させることができる。
【0073】
次に図7を参照し、測量モードにおけるマシンガイダンス装置50の動作について説明する。図7は、測量モードにおいてマシンガイダンス装置50が目標法面角度θを設定する処理(以下、「目標角度設定処理」とする。)のフローチャートである。マシンガイダンス装置50は、例えば、測量モードボタン26S2が押下されたときにこの目標角度設定処理を実行する。
【0074】
最初に、マシンガイダンス装置50の目標設定部504は、基準設定ボタン26S1が押下されたか否かを判定する(ステップST11)。基準設定ボタン26S1が押下されていないと判定した場合(ステップST11のNO)、目標設定部504は、基準設定ボタン26S1が押下されるまでその判定を繰り返す。
【0075】
基準設定ボタン26S1が押下されたと判定した場合(ステップST11のYES)、目標設定部504は、バケット6の爪先の座標を第1地点P1の座標として登録する(ステップST12)。例えば、目標設定部504は、基準設定ボタン26S1が押下された時点におけるバケット6の爪先の座標を第1地点P1の座標として記憶装置D4の所定領域に記憶する。座標系の原点は、例えば、ショベルの旋回軸上の一点、ブームフートピン上の一点等である。座標系の原点は、第1地点P1であってもよい。
【0076】
その後、目標設定部504は、測量モードボタン26S2が長押しされたか否かを判定する(ステップST13)。測量モードボタン26S2が長押しされていないと判定した場合(ステップST13のNO)、目標設定部504は、測量モードボタン26S2が長押しされるまでその判定を繰り返す。
【0077】
測量モードボタン26S2が長押しされたと判定した場合(ステップST13のYES)、目標設定部504は、バケット6の爪先の座標を第2地点P2の座標として登録する(ステップST14)。例えば、目標設定部504は、測量モードボタン26S2が長押しされた時点におけるバケット6の爪先の座標を第2地点P2の座標として記憶装置D4の所定領域に記憶する。
【0078】
その後、目標設定部504は、第1地点P1の座標と第2地点P2の座標から目標法面角度θを算出して設定する(ステップST15)。例えば、目標設定部504は、第1地点P1と第2地点P2を通る仮想直線を含む仮想平面を、目標施工面TPを含む仮想平面として特定する。そして、その仮想平面と水平面との間に形成される角度を算出し、その角度を目標法面角度θとして記憶装置D4の所定領域に記憶する。
【0079】
その後、目標設定部504は、目標法面角度θを有する目標施工面TPを表示する(ステップST16)。図6及び図7に示す例では、測量モードは、目標施工面TPの設定の際に用いられている。しかしながら、測量モードは、施工後の仕上がり確認の際に用いられてもよい。操作者は、施工後に測量モードを用いることで、第1地点P1と第2地点P2から算出される施工面の位置、角度等の施工面に関する値が目標値の範囲内に収まっているか否かを確認できる。
【0080】
次に図8を参照し、ガイダンスモードの際に表示される出力画像の一例について説明する。図8は、ガイダンスモードの際に表示装置D3に表示される出力画像Gxの一例を示す。図8の例では、基準位置及び目標施工面は既に設定されている。
【0081】
図8に示すように、表示装置D3に表示される出力画像Gxは、時刻表示部411、回転数モード表示部412、走行モード表示部413、アタッチメント表示部414、エンジン制御状態表示部415、尿素水残量表示部416、燃料残量表示部417、冷却水温表示部418、エンジン稼働時間表示部419、カメラ画像表示部420、作業ガイダンス表示部430を有する。回転数モード表示部412、走行モード表示部413、アタッチメント表示部414及びエンジン制御状態表示部415は、ショベルの設定状態に関する情報を表示する表示部である。尿素水残量表示部416、燃料残量表示部417、冷却水温表示部418及びエンジン稼働時間表示部419は、ショベルの運転状態に関する情報を表示する表示部である。各部に表示される画像は、表示装置D3の変換処理部D3aによって、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50から送信される各種データ及びカメラS6から送信される画像を用いて生成される。
【0082】
時刻表示部411は、現在の時刻を表示する。図8に示す例では、デジタル表示が採用され、現在時刻(10時5分)が表示されている。
【0083】
回転数モード表示部412は、エンジン回転数調整ダイヤル75によって設定されている回転数モードをショベルの稼働情報として表示する。回転数モードは、例えば、上記したSPモード、Hモード、Aモード及びアイドリングモードの4つを含む。図8に示す例では、SPモードを表す記号「SP」が表示されている。
【0084】
走行モード表示部413は走行モードをショベルの稼働情報として表示する。走行モードは、可変容量モータを用いた走行用油圧モータの設定状態を表す。例えば、走行モードは、低速モード及び高速モードを有し、低速モードでは「亀」を象ったマークが表示され、高速モードでは「兎」を象ったマークが表示される。図8に示す例では、「亀」を象ったマークが表示されており、操作者は低速モードが設定されていることを認識できる。
【0085】
アタッチメント表示部414は、装着されているアタッチメントを表す画像をショベルの稼働情報として表示する。ショベルには、バケット6、削岩機、グラップル、リフティングマグネット等の様々なエンドアタッチメントが装着され得る。アタッチメント表示部414は、例えば、これらのエンドアタッチメントを象ったマーク及びエンドアタッチメントに対応する番号を表示する。図8に示す例では、エンドアタッチメントとして標準的なバケット6が装着されているため、アタッチメント表示部414は空欄となっている。エンドアタッチメントとして削岩機が装着されている場合には、例えば、アタッチメント表示部414には削岩機を象ったマークが、削岩機の出力の大きさを示す数字と共に表示される。
【0086】
エンジン制御状態表示部415はエンジン11の制御状態をショベルの稼働情報として表示する。図8に示す例では、エンジン11の制御状態として「自動減速・自動停止モード」が選択されている。「自動減速・自動停止モード」は、非操作状態の継続時間に応じて、エンジン回転数を自動的に低減し、さらにはエンジン11を自動的に停止させる制御状態を意味する。その他、エンジン11の制御状態には、「自動減速モード」、「自動停止モード」、「手動減速モード」等がある。
【0087】
尿素水残量表示部416は、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態をショベルの稼働情報として表示する。図8に示す例では、現在の尿素水の残量状態を表すバーゲージが表示されている。尿素水の残量は、例えば、尿素水タンクに設けられている尿素水残量センサが出力するデータに基づいて表示される。
【0088】
燃料残量表示部417は、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態をショベルの稼働情報として表示する。図8に示す例では、現在の燃料の残量状態を表すバーゲージが表示されている。燃料の残量は、例えば、燃料タンクに設けられている燃料残量センサが出力するデータに基づいて表示される。
【0089】
冷却水温表示部418は、エンジン冷却水の温度状態をショベルの稼働情報として表示する。図8に示す例では、エンジン冷却水の温度状態を表すバーゲージが表示されている。エンジン冷却水の温度は、例えば、エンジン11に設けられている水温センサ11cが出力するデータに基づいて表示される。
【0090】
エンジン稼働時間表示部419は、エンジン11の累積稼働時間をショベルの稼働情報として表示する。図8に示す例では、運転者によりカウントがリスタートされてからの稼働時間の累積が、単位「hr(時間)」と共に表示されている。エンジン稼働時間表示部419には、ショベル製造後の全期間の生涯稼働時間又は操作者によりカウントがリスタートされてからの区間稼働時間が表示され得る。
【0091】
カメラ画像表示部420は、カメラS6によって撮影された画像を表示する。本実施例では、カメラ画像表示部420は、ショベルの運転中に、カメラS6によって撮影された画像をカメラ画像として表示する。そして、カメラ画像表示部420は、ショベルの運転が開始されたときにカメラ画像以外の別の画像が表示されていた場合には、その別の画像をカメラ画像に切り換える。例えば、エンジン11がON状態になった場合に運転が開始されたと判断する。そして、カメラ画像以外の別の画像が表示されていた場合には、その別の画像をカメラ画像に切り換える。或いは、ゲートロックレバーD5が引き上げられた場合、若しくは、操作レバーが操作された場合にショベルの運転が開始されたと判断する。そして、カメラ画像以外の別の画像が表示されていた場合には、その別の画像をカメラ画像に切り換える。図8に示す例では、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後方カメラによって撮影された画像がカメラ画像表示部420に表示されている。カメラ画像表示部420には、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左側カメラ又は上面右端に取り付けられた右側カメラによって撮像された画像が表示されてもよい。カメラ画像表示部420には、左側カメラ、右側カメラ及び後方カメラのうちの複数のカメラによって撮影された画像が並ぶように表示されてもよい。カメラ画像表示部420には、左側カメラ、右側カメラ及び後方カメラの少なくとも2つによって撮像された複数の画像に基づく合成画像が表示されてもよい。合成画像は、例えば、俯瞰画像であってもよい。
【0092】
各カメラは上部旋回体3の一部がカメラ画像に含まれるように設置されている。表示される画像に上部旋回体3の一部が含まれることで、操作者は、カメラ画像表示部420に表示される物体とショベルとの間の距離感を把握し易くなる。
【0093】
カメラ画像表示部420には、表示中のカメラ画像を撮影したカメラS6の向きを表すカメラアイコン421が表示されている。カメラアイコン421は、ショベルの形状を表すショベルアイコン421aと、表示中のカメラ画像を撮像したカメラS6の向きを表す帯状の方向表示アイコン421bとで構成されている。カメラアイコン421は、ショベルの設定状態に関する情報を表示する表示部である。
【0094】
図8に示す例では、ショベルアイコン421aの下側(アタッチメントを表す画像の反対側)に方向表示アイコン421bが表示されている。これは、後方カメラによって撮影されたショベルの後方の画像がカメラ画像表示部420に表示されていることを表す。例えば、カメラ画像表示部420に右側カメラによって撮影された画像が表示されている場合には、ショベルアイコン421aの右側に方向表示アイコン421bが表示される。また、例えばカメラ画像表示部420に左側カメラによって撮影された画像が表示されている場合には、ショベルアイコン421aの左側に方向表示アイコン421bが表示される。
【0095】
操作者は、例えば、キャビン10内に設けられている画像切替スイッチを押下することで、カメラ画像表示部420に表示されている1のカメラにより撮影された画像を他のカメラにより撮影された画像等に切り替えることができる。
【0096】
ショベルにカメラS6が設けられていない場合には、カメラ画像表示部420の代わりに、カメラ画像以外の別の情報が表示されてもよい。
【0097】
作業ガイダンス表示部430は、各種作業のためのガイダンス情報を表示する。図8に示す例では、作業ガイダンス表示部430は、作業部位ガイダンス情報の一例である爪先ガイダンス情報を表示する位置表示画像431、第1目標施工面表示画像432、第2目標施工面表示画像433及び数値情報画像434を含む。位置表示画像431は、複数のセグメントが縦方向に配列されたバーゲージであり、アタッチメントの作業部位(例えばバケット6の先端)から目標施工面までの距離の大きさを表す。具体的には、バケット6の先端から目標施工面までの距離に応じて7つのセグメントのうちの1つであるバケット位置表示セグメント431aが他のセグメントとは異なる色で表示される。図8に示す例では、上から3つ目のセグメントがバケット位置表示セグメント431aとして他のセグメントとは異なる色で表示されている。位置表示画像431は、バケット6の先端から目標施工面までの距離をより高精度に表示できるように、より多くのセグメントで構成されてもよい。
【0098】
このように、マシンガイダンス装置50は、距離の大きさに応じて表示装置D3の表示画面の一部領域の色を変化させる。「表示画面の一部領域」は、例えば、作業ガイダンス表示部430の1つのセグメントのような比較的小さな領域である。但し、マシンガイダンス装置50は、距離の大きさに応じて表示画面の全体領域の色を変化させてもよい。「表示画面の全体領域」は、例えば、作業ガイダンス表示部430の枠内の全体領域のような比較的大きな領域である。この場合、色が変化する領域が大きいため、操作者は、周辺視野で色の変化を容易に確認できる。「表示画面の全体領域」は、カメラ画像表示部420の全体領域であってもよく、出力画像Gxの全体領域であってもよい。
【0099】
以下では、位置表示画像431がより具体的に説明される。中央にあるセグメントを目標施工面のレベルを表す基準セグメント431bとした場合、バケット6の先端から目標施工面までの距離が大きいほど、基準セグメント431bからより遠くにあるセグメントがバケット位置表示セグメント431aとして他のセグメントとは異なる色で表示される。すなわち、バケット6の先端から目標施工面までの距離が小さいほど、基準セグメント431bのより近くにあるセグメントがバケット位置表示セグメント431aとして他のセグメントとは異なる色で表示される。そして、バケット位置表示セグメント431aは、バケット6の先端から目標施工面までの距離の変化に応じて上下に動くように表示される。基準セグメント431bは、バケット位置表示セグメント431aを含む他のセグメントとは異なる色で表示される。操作者は、位置表示画像431を見ることで、バケット6の先端から目標施工面までの現在の距離の大きさを把握できる。中央にあるセグメント以外のセグメントが基準セグメント431bとして設定されてもよい。
【0100】
第1目標施工面表示画像432は、バケット6と目標施工面との関係を爪先ガイダンス情報として模式的に表示する。第1目標施工面表示画像432には、側面から見たときのバケット6と目標施工面とが、バケットアイコン451及び目標施工面画像452で模式的に表示される。バケットアイコン451は、バケット6を表す図形であり、バケット6を側面から見たときの形で表されている。目標施工面画像452は、目標施工面としての地面を表す図形であり、バケットアイコン451と同様、側面から見たときの形で表されている。目標施工面画像452は、例えば、バケット6を縦断する鉛直面における目標施工面を表す線分と水平線との間に形成される角度(目標法面角度θであり、以下、「縦傾斜角」とする。)と共に表示される。縦傾斜角は、図8に示す例では20.0°となっている。バケットアイコン451と目標施工面画像452との間隔は、実際のバケット6の先端と目標施工面との距離の変化に応じて変化するように表示される。また、バケットアイコン451と目標施工面画像452との相対縦傾斜角も同様に、実際のバケット6と目標施工面との相対縦傾斜角の変化に応じて変化するように表示される。
【0101】
操作者は、第1目標施工面表示画像432を見ることで、バケット6と目標施工面との位置関係、目標施工面の縦傾斜角等を把握できる。第1目標施工面表示画像432には、操作者の視認性を高めるために、実際の傾斜角よりも大きくなるように目標施工面画像452が表示されていてもよい。操作者は、第1目標施工面表示画像432に表示される目標施工面画像452から大体の縦傾斜角の大きさを認識できる。操作者は、正確な縦傾斜角を知りたい場合には、目標施工面画像452の下に表示されている縦傾斜角の値を見ることで、実際の縦傾斜角を知ることができる。
【0102】
第2目標施工面表示画像433は、操作者がキャビン10内に座ってショベルの前方を見たときのバケット6と目標施工面との関係を爪先ガイダンス情報として模式的に表示する。第2目標施工面表示画像433には、バケットアイコン451及び目標施工面画像452が表示される。バケットアイコン451は、バケット6をキャビン10から見たときの形で表されている。目標施工面画像452は、バケットアイコン451と同様、キャビン10から見たときの形で表されている。目標施工面画像452は、例えば、バケット6を横断する鉛直面における目標施工面を表す線分と水平線との間に形成される角度(以下、「横傾斜角」とする。)と共に表示される。横傾斜角は、図8に示す例では10.0°となっている。バケットアイコン451と目標施工面画像452との間隔は、実際のバケット6の先端と目標施工面との距離の変化に応じて変化するように表示される。また、バケットアイコン451と目標施工面画像452との相対横傾斜角も同様に、実際のバケット6と目標施工面との相対横傾斜角の変化に応じて変化するように表示される。
【0103】
操作者は、第2目標施工面表示画像433を見ることで、バケット6と目標施工面との位置関係、目標施工面の横傾斜角等を把握できる。第2目標施工面表示画像433には、操作者の視認性を高めるために、実際の横傾斜角よりも大きくなるように目標施工面画像452が表示されていてもよい。操作者は、第2目標施工面表示画像433に表示される目標施工面画像452から大体の横傾斜角の大きさを認識できる。操作者は、正確な横傾斜角を知りたい場合には、目標施工面画像452の下に表示されている横傾斜角の値を見ることで、実際の横傾斜角を知ることができる。
【0104】
数値情報画像434は、各種数値を測量情報又は爪先ガイダンス情報として表示する。各種情報は、例えば、バケット6の先端と目標施工面との位置関係を示す。図8に示す例では、数値情報画像434には、目標施工面からバケット6の先端までの高さ(バケット6の先端と目標施工面との鉛直方向の距離であり、図8に示す例では1.00メートル)が表示されている。また、数値情報画像434には、旋回軸からバケット6の先端までの距離(図8に示す例では3.50メートル)が表示されている。数値情報画像434には、基準方位に対する上部旋回体3の旋回角度等、他の数値情報が表示されていてもよい。
【0105】
上述のように、出力画像Gxはショベルの稼働情報を含む表示部と、カメラ画像を含む表示部と、爪先ガイダンス情報を含む表示部とを有する。但し、ショベルの稼働情報を含む表示部及びカメラ画像を含む表示部のうちの一方は省略されてもよい。例えば、出力画像Gxは、カメラ画像を含む表示部と爪先ガイダンス情報を含む表示部のみを有していてもよく、稼働情報を含む表示部と爪先ガイダンス情報を含む表示部のみを有していてもよい。
【0106】
このように、ガイダンスモードでのショベルの操作中には、図8に示す画面が表示装置D3に表示される。操作者は、フロントガラスFGを通してバケット6を中心視野で捉え、且つ、表示装置D3に表示された出力画像Gxを周辺視野で捉えながら掘削作業を行うことができる。
【0107】
次に図9を参照し、測量モードの際に表示される出力画像の一例について説明する。図9は、測量モードの際に表示装置D3に表示される出力画像Gxの一例を示す。具体的には、図9は、測量モードで第1地点P1の座標が登録された後で操作者が掘削アタッチメントを動かしているときに表示される出力画像Gxの状態を示す。すなわち、図5のステップST3の後、或いは、図7のステップST12の後で操作者が掘削アタッチメントを動かしているときに表示される出力画像Gxの状態を示す。
【0108】
バケットアイコン451及び目標施工面画像452は、バケット6とショベルが位置する平面を含む仮想平面(以下、「仮想接地面」とする。)との位置関係を示している。目標法面角度が未設定(初期値設定)のためである。具体的には、目標法面角度が0度に設定されているためである。初期値設定は他の設定であってもよい。
【0109】
図9の出力画像Gxは、第1地点P1とバケット6の現在の先端位置とを通る仮想直線の水平面に対する角度(以下、幾何学的情報としての「暫定角度」とする。)を数値情報画像434として表示している。図9の出力画像Gxは、この暫定角度を表示する点で、図8のガイダンスモードでの出力画像Gxと異なる。図9の例では、暫定角度は、「1:1」のように、水平方向の単位長さと鉛直方向の長さ(高さ)の比で表されている。但し、暫定角度は、百分率(%)、千分率(‰)等で表されてもよく、度数法、弧度法、時間表記等の他の単位系で表されてもよい。図9の「1:1」は度数法の45度に対応する。暫定角度は、掘削アタッチメントの動きに応じて変化する。そのため、操作者は、例えば、暫定角度を見ることで、丁張りFRが示す目標法面角度θを確認できる。或いは、暫定角度が所望の角度になったところで測量モードボタン26S2を長押しすることで目標法面角度θを正確に設定できる。
【0110】
第1地点P1の座標が登録されるまでは、暫定角度の表示は省略されてもよい。第2地点P2の座標が登録された後では、バケットアイコン451及び目標施工面画像452は、バケット6と目標施工面との位置関係を示すように表示されてもよい。目標法面角度θが既に利用可能となっているためである。この場合、基準位置の座標として第1地点P1の座標が利用されてもよい。
【0111】
測量モードでは、数値情報画像434は、幾何学的情報を表示する表示部を構成する。そのため、数値情報画像434は、測量モード画面とも称される。数値情報画像434で表される情報は、例えば、ガイダンスモードで表示していた情報(目標施工面からバケット6の先端までの高さ、及び、旋回軸からバケット6の先端までの距離)から幾何学的情報(暫定角度)に切り替わる。数値情報画像434は、ショベルの運転状態に関する情報を表示する表示部、及び、ショベルの設定状態に関する情報を表示する表示部の少なくとも一方と同時に表示されてもよい。図9の例では、表示装置D3は、数値情報画像434と、ショベルの運転状態に関する情報を表示する表示部(尿素水残量表示部416、燃料残量表示部417、冷却水温表示部418及びエンジン稼働時間表示部419)と、ショベルの設定状態に関する情報を表示する表示部(回転数モード表示部412、走行モード表示部413、アタッチメント表示部414、エンジン制御状態表示部415及びカメラアイコン421)とを同時に表示している。
【0112】
次に図10を参照し、測量モードの際に表示される出力画像の別の一例について説明する。図10は、測量モードの際に表示装置D3に表示される出力画像Gxの別の一例を示す。具体的には、図10は、図9の場合と同様、測量モードで第1地点P1の座標が登録された後で操作者が掘削アタッチメントを動かしているときに表示される出力画像Gxの状態を示す。すなわち、図5のステップST3の後、或いは、図7のステップST12の後で操作者が掘削アタッチメントを動かしているときに表示される出力画像Gxの状態を示す。
【0113】
図10の出力画像Gxは、数値情報画像434として第1地点P1及び第2地点P2の座標を表示する点で、数値情報画像434として暫定角度を表示する図9の出力画像Gxと異なる。具体的には、図10の出力画像Gxは、数値情報画像434として「第1地点(x、z)」及び「第2地点(x、z)」を示す。「第1地点(x、z)」は、第1地点P1の座標であり、「x」は、ショベルの前後方向に延びるx軸における基準位置と第1地点P1との距離を表す。「z」は、ショベルの旋回軸方向に延びるz軸における基準位置と第1地点P1との距離を表す。基準位置は、例えば、仮想接地面上の一点、ショベルの旋回軸上の一点、ブームフートピン上の一点等である。第1地点P1が基準位置であってもよい。「第2地点(x、z)」についても同様である。
【0114】
また、図10の出力画像Gxは、第2地点P2の座標が登録されるまでは、バケット6の現在の先端位置の座標(以下、幾何学的情報としての「暫定座標」とする。)を第2地点P2の座標として表示する。第2地点P2の座標が暫定座標である旨を表示してもよい。或いは、暫定座標であることを操作者に知らせるため、暫定座標としての第2地点P2の座標を点滅させてもよい。
【0115】
また、図10の出力画像Gxは、第1地点P1の座標が登録されるまでは、バケット6の現在の先端位置の座標を第1地点P1の座標として表示してもよい。この場合、第1地点P1の座標が暫定座標である旨を表示してもよい。或いは、暫定座標であることを操作者に知らせるため、暫定座標としての第1地点P1の座標を点滅させてもよい。この場合、第2地点P2の座標の表示を省略してもよく、未設定である旨を表示してもよい。
【0116】
第2地点P2の座標が登録された後では、バケットアイコン451及び目標施工面画像452は、バケット6と目標施工面との位置関係を示すように表示されてもよい。目標法面角度θが既に利用可能となっているためである。この場合、基準位置の座標として第1地点P1の座標が利用されてもよい。
【0117】
第1地点P1及び第2地点P2の座標の代わりに、第1地点P1と第2地点P2との間の水平距離及び鉛直距離が数値情報画像434として表示されてもよい。この場合、コントローラ30は、第2地点P2の座標が登録されるまでは、バケット6の現在の先端位置の座標を第2地点P2の座標として水平距離及び鉛直距離を算出する。出力画像Gxは、水平距離及び鉛直距離が暫定座標に基づく旨を表示してもよい。或いは、暫定座標に基づくことを操作者に知らせるため、水平距離及び鉛直距離を点滅させてもよい。また、第1地点P1の座標が登録されるまでは、水平距離及び鉛直距離の表示を省略してもよい。
【0118】
以上の構成により、本発明の実施例に係るショベルは、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能で用いる目標値をより簡単に設定できる。例えば、ショベルに搭載されるマシンガイダンス装置50は、2つの時点における掘削アタッチメントの2つの先端位置に関する情報を用いて表示装置D3に幾何学的情報を表示し、且つ、それら2つの先端位置に関する情報に基づいて目標値を設定するように構成される。幾何学的情報は、例えば、角度に関する情報、水平距離、鉛直距離等である。2つの先端位置のそれぞれの座標であってもよい。目標値は、例えば、目標法面角度等の目標角度である。具体的には、マシンガイダンス装置50は、丁張りFR上の第1地点P1及び第2地点P2の座標を用いて表示装置D3に暫定角度を表示し、且つ、2つの座標に基づいて目標法面角度を設定する。操作者は、例えば、丁張りFRにバケット6の先端を接触させてノブスイッチを押す作業を2回行うだけで目標法面角度を設定できる。
【0119】
マシンガイダンス装置50は、2つの時点における2つの先端位置に関する情報を用いるため、より正確に目標値を設定できる。例えばバケット6の背面を基準となる斜面に合わせてそのときの背面角度を目標法面角度として設定するような1回の角度測定に基づく設定方法に比べ、より正確に目標値を設定できる。
【0120】
また、マシンガイダンス装置50は、ノブスイッチ又はペダルスイッチとしてのスイッチ26Sが操作された2つの時点における2つの先端位置に関する情報に基づいて目標値を設定するように構成されてもよい。そのため、操作者は、操作装置26としての操作レバーから手を離すことなく目標値を設定できる。また、バケット6の先端位置が所望の位置に達したときにスイッチ26Sを1回押下するだけでよく、表示装置D3の画面を見ながら数値の入力、選択等(例えばボタン押下回数に基づく数値入力、ボタン押下時間の長短による数値選択等)を行う必要もないため、極めて簡単に目標値を設定できる。
【0121】
また、本発明の実施例に係るショベルは、ガイダンスモード及び測量モードを含む複数の動作モードで動作可能である。そして、マシンガイダンス装置50は、測量モードでは、2つの先端位置に関する情報に基づいて目標値を設定し、ガイダンスモードでは、目標値にしたがってショベルの操作を案内し或いは自動的に支援することができる。マシンガイダンス装置50は、測量モードのときに表示される画面と、ガイダンスモードのときに表示される画面とを異ならせてもよい。具体的には、数値情報画像434に表示される内容を切り換えてもよい。また、各種情報の表示位置、表示の大きさ、表現方法等を異ならせてもよい。操作者に伝えるべき情報の優先度が異なるためである。また、マシンガイダンス装置50は、測量モード中に、測量モード中であることを表す情報を表示装置D3に表示してもよい。測量モード中であることを操作者が認識できるようにするためである。これにより、操作者は、目標値の設定に適した情報を視認しながら目標値を設定できる。
【0122】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはない。上述した実施例は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。
【0123】
例えば、上述の実施例では、マシンガイダンス装置50は、コントローラ30とは別体の制御装置として構成されている。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。例えば、マシンガイダンス装置50はコントローラ30に統合されていてもよい。
【0124】
本願は、2016年9月30日に出願した日本国特許出願2016-195069号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0125】
1・・・下部走行体 2・・・旋回機構 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャビン 10L・・・左ピラー 10R・・・右ピラー 10S・・・運転席 11・・・エンジン 11a・・・オルタネータ 11b・・・スタータ 11c・・・水温センサ 14・・・メインポンプ 14a・・・レギュレータ 14b・・・吐出圧力センサ 14c・・・油温センサ 15・・・パイロットポンプ 17・・・コントロールバルブ 26・・・操作装置 26L・・・左操作レバー 26R・・・右操作レバー 26S・・・スイッチ 26S1・・・基準設定ボタン 26S2・・・測量モードボタン 29・・・圧力センサ 30・・・コントローラ 30a・・・一時記憶部 50・・・マシンガイダンス装置 55・・・燃料収容部 55a・・・燃料収容量検出部 70・・・蓄電池 72・・・電装品 75・・・エンジン回転数調整ダイヤル 411・・・時刻表示部 412・・・回転数モード表示部 413・・・走行モード表示部 414・・・アタッチメント表示部 415・・・エンジン制御状態表示部 416・・・尿素水残量表示部 417・・・燃料残量表示部 418・・・冷却水温表示部 419・・・エンジン稼働時間表示部 420・・・カメラ画像表示部 421・・・カメラアイコン 421a・・・ショベルアイコン 421b・・・方向表示アイコン 430・・・作業ガイダンス表示部 431・・・位置表示画像 431a・・・バケット位置表示セグメント 431b・・・基準セグメント 432・・・第1目標施工面表示画像 433・・・第2目標施工面表示画像 434・・・数値情報画像 451・・・バケットアイコン 452・・・目標施工面画像 501・・・傾斜角算出部 502・・・高さ算出部 503・・・距離算出部 504・・・目標設定部 D1・・・入力装置 D2・・・音声出力装置 D3・・・表示装置 D3a・・・変換処理部 D4・・・記憶装置 D5・・・ゲートロックレバー D6・・・ゲートロック弁 D7・・・エンジンコントローラユニット FG・・・フロントガラス Gx・・・出力画像 S1・・・ブーム角度センサ S2・・・アーム角度センサ S3・・・バケット角度センサ S4・・・機体傾斜センサ S5・・・旋回角速度センサ S6・・・カメラ
図1
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