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  • 特許-発車標のLCD固定機構 図1
  • 特許-発車標のLCD固定機構 図2
  • 特許-発車標のLCD固定機構 図3
  • 特許-発車標のLCD固定機構 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】発車標のLCD固定機構
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20241016BHJP
   B61L 25/04 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
H05K5/02 A
B61L25/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021009181
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022113063
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 凱
(72)【発明者】
【氏名】及川 雅裕
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-247305(JP,A)
【文献】特開2018-206906(JP,A)
【文献】特開2010-055017(JP,A)
【文献】実開昭62-002081(JP,U)
【文献】特開2019-041253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/06
B61L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発車標の筐体の前面に扉を備え、当該扉からLCDを筐体内に収容する発車標において、
LCDの背面に設置された取付具と、発車標の筐体内に一端が傾動可能に固定された本体側受け具を備え、
前記取付具は、一対の略L字型の受け部材を有し、
前記各略L字型の受け部材は、前記本体側受け具を挟持可能な間隔で、対向して設置され、
前記本体側受け具が、対向して設置された前記略L字型の受け部材で挟持されることで、LCDが発車標の筐体内に固定されることを特徴とする、発車標のLCD固定機構。
【請求項2】
LCD上面と発車標の筐体の対応箇所には、LCDと発車標の筐体を連結可能な施解錠ユニットが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の発車標のLCD固定機構。
【請求項3】
前記施解錠ユニットが、施解錠具とピン型の受具を有し、
前記施解錠具が前記ピン型の受具に係合することで施錠され、前記施解錠具の解錠レバーを動かすことで、係合が解かれ解錠されることを特徴とする、請求項2に記載の発車標のLCD固定機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駅のプラットホーム等に設けられている発車標に液晶ディスプレイ(LCD)を固定する固定機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発車標は列車の運行情報等を乗客等に示すために、駅の改札口付近や、プラットホーム上に設置されている。従来から、発車標では情報を表示するために、液晶ディスプレイが使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、マトリクス状に配置された発光ダイオードや、液晶画面、反転フラップ式など、種々の方式で表示される例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-106465号公報
【0005】
近年、ストレッチ(≒横長の)LCDやバータイプ(棒形状の)LCDが登場し、これらの高さが小さく(低く)、横に長い形状のLCDは、デザイン性の観点から発車標にも使用されている。
【0006】
これらの高さが小さく(低く)、横に長い形状のLCDを使用した発車標は、通常のフルサイズLCDを使用した発車標と比較して、高さが小さく(低く)、また、デザイン性を追求した外形形状であるため、発車標の内部スペースに制約があった。
【0007】
LCDを発車標本体の内部に固定する方法としては、LCDの背面に設けたボルトを、発車標本体に設けられた金具に引っ掛けて固定する方法がある。
【0008】
また、上方向に開く発車標の扉に、LCDを取り付けて固定する方法もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した、LCDの背面に設けたボルトを、発車標本体に設けられた金具に引っ掛けて固定する方法では、LCDを発車標から完全に取り外さないと、発車標内に配置された他の電気部品にアクセスすることができず、保守性が著しく悪化する。
【0010】
また、上述した、上方向に開く発車標の扉に、LCDを取り付けて固定する方法では、扉の構造が複雑になり、また、扉が重くなるため、開閉を補助するダンパー等を設ける必要が生じる。
【0011】
更に、上述した2つの方法はいずれも、発車標本体に設けられた金具にLCDの背面に設けられたボルトを引っ掛けて固定する構成である。そのため、作業員等のユーザが、脚立上でLCDを手で持って位置を調整しながら、LCDの背面に設けられた金具を、発車標本体の金具に引っ掛けて固定することは困難である。
【0012】
そこで、上記問題点に対処するため、LCDを取り外すことなく、発車標内の電気部品にアクセスすることが可能で、発車標本体に対するLCDの取り付け及び取り外しが容易な、発車標のLCD固定機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
発車標の筐体の前面に扉を備え、当該扉からLCDを筐体内に収容する発車標において、
LCDの背面に設置された取付具と、発車標の筐体内に一端が傾動可能に固定された本体側受け具を備え、
前記取付具は、一対の略L字型の受け部材を有し、
前記各略L字型の受け部材は、前記本体側受け具を挟持可能な間隔で、対向して設置され、
前記本体側受け具が、対向して設置された前記略L字型の受け部材で挟持されることで、LCDが発車標の筐体内に固定される、発車標のLCD固定機構とした。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、
LCD上面と発車標の筐体の対応箇所には、LCDと発車標の筐体を連結可能な施解錠ユニットが設けられている、請求項1に記載の発車標のLCD固定機構とした。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、
前記施解錠ユニットが、施解錠具とピン型の受具を有し、
前記施解錠具が前記ピン型の受具に係合することで施錠され、前記施解錠具の解錠レバーを動かすことで、係合が解かれ解錠される、請求項2に記載の発車標のLCD固定機構とした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1~3の発明は、LCDの背面に設置された取付具を、発車標の筐体内の本体側受け具にスライド(摺動)させて、本体側受け具を取付具で挟持させ、LCDを発車標の筐体内に固定する構成である。そのため、LCDを発車標の筐体内に固定する際に、LCDの背面に設置された取付具を、発車標の筐体内の本体側受け具の外周上でスライドさせて、本体側受け具を取付具で挟持させたら、取付具2と本体側受け具3をボルトで螺子留めしなくても、作業員等のユーザは、一旦、手を放すことができる。つまり、作業員等のユーザは、LCDを発車標内に配置する作業と、筐体内に配置したLCDをボルトで固定する作業を同時に行う必要がなく、作業負担が軽減される。
【0017】
また、LCDを水平方向の任意の角度に傾けた状態で、作業員等のユーザが手で保持していなくても、取付具が本体側受け具を挟持しているため、LCDが発車標の筐体から外れて落下することはない。作業員等のユーザは、発車標内の電気部品に両手でアクセスすることができる。
【0018】
また、発車標の筐体内に固定されているLCDを、水平方向の任意の角度に傾けることができるため、LCDを発車標の筐体内から取り外すことなく、作業員等のユーザが、発車標1内の電気部品にアクセスすることも可能である。
【0019】
また特に、請求項3の発明は、施解錠具がピン型の受具に係合することで施錠され、施解錠具の解錠レバーを動かすことで、係合が解かれ解錠される施解錠ユニットを用いる構成としたため、作業員等のユーザが、LCDと発車標の筐体を連結させる際には、施解錠具とピン型の受具を係合させるだけで良く、一方、連結を解除する際には、解錠レバーを動かすだけで良く、LCDと発車標の筐体の確実な連結と、簡単な操作を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施の形態例1の発車標のLCD固定機構の概略斜視図である。
図2】この発明の実施の形態例1の発車標のLCD固定機構に係る発車標の筐体の扉を開いた状態を示す説明図である。
図3】この発明の実施の形態例1の発車標のLCD固定機構に係る発車標の筐体の扉を開き、LCD4を扉12側に略水平に傾けた状態を示す説明図である。
図4図3の状態で一部を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態例1)
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態例1を詳細に説明する。ただし、本実施の形態例に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図1は、この発明の実施の形態例1の発車標のLCD固定機構の概略斜視図である。詳しくは、図1では、発車標1の筐体11の扉12が開かれ、本体側受け具3が水平方向(本実施の形態例1では、扉12の方向)の任意の角度に傾けられた状態が示されている。
【0022】
<発車標のLCD固定機構>
実施の形態例1の発車標1の筐体11は、前面に開閉可能な扉12が設けられており、この扉12から筐体11内にLCD4を収容し、固定する。そして、実施の形態例1の発車標のLCD固定機構は、取付具2と、本体側受け具3を備えている。
【0023】
取付具2は、一対の略L字型の受け部材21を有している。そして、各略L字型の受け部材21は、LCD4の背面に、本体側受け具3を挟持可能な間隔で、対向して設置されている。
【0024】
本体側受け具3は、板状であって、発車標1の筐体11の底部に、蝶番5(図4を参照)を介して、傾動可能に固定されている。つまり、本体側受け具3は、図1に示すように、水平方向の任意の角度に傾けたり、垂直方向にまっすぐ(≒垂直方向と略平行に)戻すことができる。なお、本実施の形態例1では、本体側受け具3について、板状の構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、本体側受け具3は、棒状の構成としても良い。
【0025】
LCD4の上面と発車標1の筐体11の内側上面には、LCD4と発車標1の筐体11を連結可能な施解錠ユニット6が設けられている。例えば、施解錠ユニット6としては、市販の入手可能なものを用いることができ、例えば、タキゲン製造株式会社製のスナッチロック(登録商標)を用いることができる。
【0026】
施解錠ユニット6は、施解錠具61とピン型(あるいは、棒状)の受具62を有している(図示省略)。施解錠具61がピン型の受具62に係合することで施錠され、施解錠具61の解錠レバー63を動かすことで、係合が解かれ解錠される。このような構成であるため、作業員等のユーザが、LCD4と発車標1の筐体11を連結させる際には、施解錠具61とピン型の受具62を係合させるだけで良く、一方、連結を解除する際には、解錠レバー63を動かすだけで良く、LCD4と発車標1の筐体11の確実な連結と、簡単な操作を両立することができる。
【0027】
<発車標のLCD固定機構の動作>
次に、本実施の形態例1に係る発車標のLCD固定機構の動作を、図2~4を使用して説明する。ここでは、説明の便宜上、発車標11内からLCD4を取り外す取り外し作業の場合で説明する。
【0028】
まず、図2に示すように、作業員等のユーザは、発車標1の扉12を開く。次に、図3に示すように、施解錠具61の解錠レバー63を動かして、LCD4と発車標1の筐体11の連結を解除し、LCD4を扉12の方向の任意の角度に傾ける。なお、図3では、LCD4を扉12側に略水平に傾けた状態が示されている。次に、取付具2と本体側受け具3を螺子留めしているボルト7(図4を参照。図4中では、4か所)を外す。そして、LCD4の背面に設けられた取付具2を、扉12側にスライドさせて、LCD4を本体側受け具3から取り外す。以上で、発車標11内からのLCD4の取り外し作業は完了する。
【0029】
一方、発車標1の筐体11内へのLCD4の固定作業は、上述した取り外し作業の手順と逆の手順である。以下、詳しく説明する。
【0030】
まず、作業員等のユーザは、発車標1の扉12を開く。次に、LCD4の背面に設置された取付具2を本体側受け具3の外周上でスライド(摺動)させやすいように、本体側受け具3を、筐体11の扉12の方向の任意の角度に傾ける。そして、LCD4の背面に設置された取付具2が本体側受け具3を挟持するように、LCD4を持って、取付具2を本体側受け具3の外周上でスライドさせ、取付具2に本体側受け具3を挟持させる。次に、作業員等のユーザは、取付具2と本体側受け具3をボルト7で螺子留めする。そして、LCD4を持ち上げて、垂直に立てる。LCD4の上面と発車標1の筐体11の上面内側には、LCD4と発車標1の筐体11を連結可能な施解錠ユニット6が設けられている。そのため、作業員等のユーザが、LCD4を持ち上げて、垂直に立てると、LCD4側の施解錠具61が、筐体11側のピン型の受具62に係合し、施錠される。以上で、発車標1の筐体11内へのLCD4の固定は完了する。
【0031】
このように、LCD4を発車標1の筐体11内に固定する際に、LCD4の背面に設置された取付具2を、発車標1の筐体11内の本体側受け具3の外周上でスライドさせて、本体側受け具3を取付具2で挟持させたら、取付具2と本体側受け具3をボルト7で螺子留めしなくても、作業員等のユーザは、一旦、手を放すことができる。つまり、作業員等のユーザは、LCD4を発車標1内に配置する作業と、筐体11内に配置したLCD4をボルト7で固定する作業を同時に行う必要がなく、作業負担が軽減される。
【0032】
更に、このような構成であるため、LCD4を発車標1の筐体11内から取り外すことなく、本体側受け具3を取付具2で挟持させ、ボルト7を螺着していない状態で、作業員等のユーザが、発車標1内の電気部品に両手でアクセスすることも可能である。なお、本発明に係る発車標のLCD固定機構とは、直接関係しないため、図1~4では、発車標1の筐体11内に設けられている電気部品は省略されている。しかし、発車標1を動作させるために、また、発車標1の機能を実現させるために、種々の電気部品が発車標1の筐体11内に設けられていることは、言うまでもない。
【0033】
また、このような構成であるため、LCD4を発車標1の筐体11内から取り外すことなく、本体側受け具3を取付具2で挟持させ、ボルト7を螺着している状態で、作業員等のユーザが、発車標1内の電気部品にアクセスすることも可能である。
【0034】
つまり、作業員等のユーザは、扉12を開けて、施解錠具61の解錠レバー63を動かして、LCD4と発車標1の筐体11の連結を解除し、LCD4を扉12の方向の任意の角度に傾ける。このように、LCD4を扉12の方向の任意の角度に傾けることができるため、作業員等のユーザは、発車標1内の電気部品にアクセスすることができる。
【符号の説明】
【0035】
1:発車標、11:筐体、12:扉、
2:取付具、21:略L字型の受け部材、
3:本体側受け具、
4:LCD、
5:蝶番、
6:施解錠ユニット、61:施解錠具、62:ピン型の受具、63:解錠レバー
7:ボルト
図1
図2
図3
図4