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特許7571973収容型水処理システム及び収容型水処理システムにおける弁制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】収容型水処理システム及び収容型水処理システムにおける弁制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/00 20060101AFI20241016BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20241016BHJP
   B01D 21/30 20060101ALI20241016BHJP
   B01D 24/48 20060101ALI20241016BHJP
   B01D 29/60 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B01D21/00 C
B01D21/01 C
B01D21/30 A
B01D29/36 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021041143
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141023
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-10-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和2年7月1日にメタウォーター株式会社発行の コンテナパッケージセラミック膜ろ過設備 リース方式のご紹介にて発表。 (2)令和2年9月2日に https://www.metawater.co.jp/news/2020/09/post-84.htmlにて発表。 (3)令和2年9月10日に日本水道新聞社発行の 日本水道新聞 令和2年9月10日付にて発表。 (4)令和2年9月16日に化学工業日報社発行の 化学工業日報 令和2年9月16日付、第10ページにて発表。 (5)令和2年10月5日に水道産業新聞社発行の 水道産業新聞 令和2年10月5日付、第12面にて発表。 (6)令和2年11月25日に https://www.metawater.co.jp/news/2020/11/-biz-2020online.htmlにて発表。 (7)令和2年11月26日に講演会 気候変動・災害対策Biz Online 2020にて発表。 (8)令和3年1月1日に環境新聞社発行の 環境新聞 令和3年1月1日付にて発表。
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】戸田 光
(72)【発明者】
【氏名】田中 実
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-066002(JP,A)
【文献】特開2014-104432(JP,A)
【文献】特開2012-071296(JP,A)
【文献】特開2010-172885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D21/00-21/34
B01D23/00-23/28
B01D29/00-29/48
B01D53/22、61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送可能な収容器と、
前記収容器に収容された水処理システムと、を備え、
前記水処理システムは、
被処理水と凝集剤とを混合した混合水を供給する混合器と、
前記混合器に対して前記凝集剤を注入するポンプと、
前記混合器から供給された前記混合水の濾過を行う濾過装置と、を備え、
前記ポンプは、単位時間あたりの前記凝集剤の注入量の変化が所定以下のポンプであり、さらに、
前記濾過装置に対する前記混合水の供給量を調整する第1弁に供給される前記被処理水の圧力と、前記濾過装置に供給される前記混合水の圧力と前記濾過装置から供給される前記混合水の圧力との圧力差とのうちの少なくともいずれかに応じて、前記混合器に対する前記被処理水の供給量を調整する第2弁による前記被処理水の供給量を制御す制御装置を備える、収容型水処理システム。
【請求項2】
前記ポンプは、無脈動型のポンプである、請求項に記載の収容型水処理システム。
【請求項3】
輸送可能な収容器と、前記収容器に収容された水処理システムと、を備え、前記水処理システムは、被処理水と凝集剤とを混合した混合水を供給する混合器と、前記混合器に対して前記凝集剤を注入するポンプと、前記混合器から供給された前記混合水の濾過を行う濾過装置と、を備え、前記ポンプは、単位時間あたりの前記凝集剤の注入量の変化が所定以下のポンプであ収容型水処理システムにおける弁制御方法であって、
前記濾過装置に対する前記混合水の供給量を調整する第1弁に供給される前記被処理水の圧力に応じて、前記混合器に対する前記被処理水の供給量を調整する第2弁による前記被処理水の供給量を制御する弁制御方法。
【請求項4】
輸送可能な収容器と、前記収容器に収容された水処理システムと、を備え、前記水処理システムは、被処理水と凝集剤とを混合して混合水を供給する混合器と、前記混合器に対して前記凝集剤を注入するポンプと、前記混合器から供給された前記混合水の濾過を行う濾過装置と、を備え、前記ポンプは、単位時間あたりの前記凝集剤の注入量の変化が所定以下のポンプであ収容型水処理システムにおける弁制御方法であって、
前記濾過装置に供給される前記混合水の圧力と前記濾過装置から供給される前記混合水の圧力との圧力差に応じて、前記混合器に対する前記被処理水の供給量を調整する第2弁による前記被処理水の供給量を制御する弁制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容型水処理システム及び収容型水処理システムにおける弁制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、浄水場では、河川水や井戸水等の原水(以下、単に原水とも呼ぶ)に含まれる浮遊物(SS:Suspended Solids)を除去する浄水設備が用いられる。具体的に、このような浄水設備では、例えば、原水に凝集剤を混合することにより、原水に含まれる浮遊物を凝集させて沈殿及び濾過除去を行う。これにより、浄水場では、例えば、原水から安全な生活用水の生成を行うことが可能になる(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-296079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような浄水場の建設には、一般的に、多額のコストが必要となり、また、十分なスペースが必要となる。そのため、経済的な観点や建設場所の制約等から、生活用水の供給が必要な地域においても浄水場の建設を行うことができない場合がある。
【0005】
また、例えば、地震等の災害の発生が発生した場合、浄水場の稼働そのものが停止する可能性がある。そのため、浄水場に設置された浄水設備のみを用いる場合、各需要者宅に対する生活用水の供給が停止する可能性がある。すなわち、生活用水の供給を簡易かつ安定的に行う方法の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明における収容型水処理システムは、輸送可能な収容器と、前記収容器に収容された水処理システムと、を備え、前記水処理システムは、被処理水と凝集剤とを混合した混合水を供給する混合器と、前記混合器から供給された前記混合水の濾過を行う濾過装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明における収容型水処理システムによれば、生活用水の供給を簡易にかつ安定的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態における収容型水処理システム100の構成例を説明する図である。
図2図2は、混合器1に対する凝集剤の注入量の決定方法を説明するグラフである。
図3図3は、第2の実施の形態における収容型水処理システム200の構成例を説明する図である。
図4図4は、第3の実施の形態における収容型水処理システム300の構成例を説明する図である。
図5図5は、弁V4による原水の供給量の調整方法を説明する図である。
図6図6は、弁V4による原水の供給量の調整方法を説明する図である。
図7図7は、弁V4による原水の供給量の調整方法を説明する図である。
図8図8は、弁V4による原水の供給量の調整方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
[第1の実施の形態における収容型水処理システム100]
初めに、第1の実施の形態における収容型水処理システム100について説明を行う。
【0011】
図1は、第1の実施の形態における収容型水処理システム100の構成例を説明する図である。
【0012】
収容型水処理システム100は、図1に示すように、例えば、収容器10と、収容器10に収容された水処理システム20とを有する。
【0013】
収容器10は、例えば、可搬性のコンテナである。すなわち、収容器10は、例えば、トラック等に搭載することによって輸送可能なコンテナである。なお、収容器10には、例えば、車両等の移動手段が直接設けられているものであってもよい。
【0014】
水処理システム20は、例えば、収容器10の外部から供給された原水と凝集剤とを混合して混合水を生成する混合器1と、混合器1が生成した混合水の濾過を行う濾過装置2とを備える。以下、原水と混合水とを総称して被処理水とも呼ぶ。また、水処理システム20は、凝集剤を貯蔵する貯留槽3を備える。貯留槽3に貯蔵された凝集剤は、例えば、ポンプPによって、弁V1及び弁V2を介して混合器1に供給される。すなわち、混合器1に対する凝集剤の供給量は、例えば、ポンプPによって調整される。なお、弁V1は、例えば、混合器1や濾過装置2等のメンテナンスが行われる際に開閉されるバルブであり、弁V2は、混合器1に対する凝集剤の供給を安定させることを目的として開閉されるバルブである。
【0015】
混合器1は、例えば、ラインL3を介して貯留槽3から供給された凝集剤を、収容器10の外部からラインL1を介して供給された原水に注入して混合するインラインミキサーである。そして、混合器1は、生成した混合水をラインL2に介して濾過装置2に供給する。なお、凝集剤は、ラインL1において供給されて原水と混合するものであってもよいし、混合器1に直接供給されて原水と混合するものであってもよい。
【0016】
濾過装置2は、例えば、ラインL2を介して混合器1から供給された混合水の濾過を行う濾過膜2aを有する。具体的に、濾過装置2は、例えば、混合水の濾過を並列に行う複数の濾過膜2aを有する。濾過膜2aは、例えば、セラミック製の膜である。
【0017】
そして、濾過装置2は、濾過後の混合水を収容器10の外部に供給する。
【0018】
弁V3は、例えば、混合器1と濾過装置2との間(ラインL2)に設けられ、濾過装置2に対する混合水の供給量を調整可能な弁である。
【0019】
すなわち、第1の実施の形態における収容型水処理システム100では、一般的な浄水設備と異なり、凝集剤と原水との混合を行う混和槽等を用いることなく原水の浄水を行う。具体的に、収容型水処理システム100は、混合器1において、または、混合器1及びラインL2において凝集剤と原水との混合及びフロックの形成を行う。
【0020】
これにより、収容型水処理システム100は、原水の浄水に要するスペースを省略することが可能になり、一般的な浄水設備に対して小型化を実現することが可能になる。そのため、収容型水処理システム100では、例えば、トラック等に搭載して輸送することが可能になる。
【0021】
また、収容型水処理システム100は、一般的な浄水設備よりも構成部品の数や大きさを抑えることが可能になるため、一般的な浄水設備よりもコストを抑えることが可能になる。
【0022】
さらに、収容型水処理システム100は、トラック等に搭載して輸送することで、所望の場所において原水の浄水を行うことが可能になる。そのため、収容型水処理システム100は、経済的な観点や建設場所の制約から浄水場の建設を行うことができない場所においても、生活用水の供給を行うことが可能になる。また、収容型水処理システム100は、例えば、災害発生時においても、必要な地域に対する生活用水の供給を行うことが可能になる。
【0023】
[凝集剤の注入量の決定方法]
次に、混合器1に対する凝集剤の注入量の決定方法について説明を行う。
【0024】
図2は、混合器1に対する凝集剤の注入量の決定方法を説明するグラフである。図2に示すグラフでは、横軸が原水の濁度に対応し、縦軸が単位時間あたりの凝集剤の注入量に対応している。
【0025】
混合器1に対する凝集剤の注入量(弁V1及び弁V2における凝集剤の供給量)は、例えば、外部から収容型水処理システム100に供給された原水の濁度に応じて決定される。具体的に、混合器1に対する凝集剤の注入量は、例えば、収容器10の内部または外部に設置された濁度計(図示せず)によって計測される原水の濁度に応じて決定される。
【0026】
さらに具体的に、図2に示すように、例えば、原水の濁度が第1濁度以下である場合、作業者は、ポンプPによる凝集剤の注入量の調整を行うことによって、単位時間あたりの注入量が一定(第1注入量)になるように調整を行う。また、例えば、原水の濁度が第1濁度以上であって第2濁度以下である場合、作業者は、ポンプPによる凝集剤の注入量の調整を行うことによって、原水の濁度の上昇に応じて単位時間あたりの注入量を増加するように調整を行う。さらに、例えば、原水の濁度が第2濁度以上である場合、作業者は、ポンプPによる凝集剤の注入量の調整を行うことによって、単位時間あたりの注入量が一定(第2注入量)になるように調整を行う。
【0027】
この点、原水の濁度が第1濁度以上であって第2濁度以下である場合、図2に示す例では、原水の濁度に対する単位時間あたりの注入量の増加量が一定になるように調整が行われるが、原水の濁度に対する単位時間あたりの注入量は、一定以外のペースで増加するものであってもよい。
【0028】
なお、混合器1に対する凝集剤の注入量の決定は、例えば、収容器10の内部または外部に設置された制御装置(図示せず)によって行われるものであってもよい。制御装置は、例えば、CPU(Central Computing Unit)やメモリを有するコンピュータである。具体的に、制御装置は、例えば、濁度計(図示せず)から送信された信号を用いることによって、混合器1に対する凝集剤の注入量を決定する処理を行うものであってもよい。
【0029】
また、弁V1及び弁V2のそれぞれの開閉は、例えば、収容器10に設置された弁開閉装置(図示せず)によって自動的に行われるものであってもよい。具体的に、弁開閉装置は、例えば、制御装置から送信された信号が示す注入量に対応する凝集剤が混合器1に注入されるように、弁V1及び弁V2の開閉を行うものであってもよい。
【0030】
[第2の実施の形態における収容型水処理システム200]
次に、第2の実施の形態における収容型水処理システム200について説明を行う。
【0031】
図3は、第2の実施の形態における収容型水処理システム200の構成例を説明する図である。なお、以下、第1の実施の形態において説明した収容型水処理システム100と異なる点についてのみ説明を行う。
【0032】
一般的に、浄水設備では、原水に対して凝集剤を注入することによって、原水に含まれる浮遊物を凝集させてフロックを形成する。そして、浄水設備では、形成したフロックを沈殿除去することによって原水の浄水を行う。
【0033】
ここで、上記のような浄水設備では、良好なフロックが形成されているか否かを判断する基準として、例えば、GT値が用いられる。GT値は、原水と凝集剤との撹拌強度を示すG値と原水と凝集剤との撹拌継続時間を示すT値とを乗算することによって算出される値である。
【0034】
この点、一般的な浄水設備では、例えば、混和槽において原水と凝集剤との混合が行われるため、GT値を十分に確保することが可能になる。
【0035】
これに対し、第1の実施の形態において説明した収容型水処理システム100では、設備の小型化を実現させる必要性から混和槽を有していないため、混合水が濾過装置2に到達するまでに十分な時間を確保することができず、原水と凝集剤との撹拌時間(T値)を十分に確保することができない場合がある。したがって、第1の実施の形態における収容型水処理システム100では、凝集剤が十分に混ざっていない混合水が濾過装置2に到達するケースが発生し、良好なフロックを形成されない可能性がある。
【0036】
そこで、第2の実施の形態における収容型水処理システム200では、図3に示すように、混合器1に対して凝集剤を供給するポンプとして、単位時間あたりの凝集剤の注入量の変化が所定以下であるポンプP2を用いる。具体的に、ポンプP2は、例えば、無脈動型のポンプである。
【0037】
すなわち、例えば、混合器1に対して凝集剤を供給するポンプとして、単位時間あたりの凝集剤の注入量の変化が大きいポンプ(例えば、脈動型のポンプ)を用いた場合、混合器1に対する凝集剤の注入ペースにムラが生じる可能性がある。この点、混和槽を有する浄水設備のようにT値を十分に確保できる環境であれば、凝集剤の注入ペースにムラが生じる場合においても良好なフロックを生成することが可能であるが、T値を十分に確保することができない環境においては、濾過装置2に到達するまでの間に良好なフロックが形成することができない可能性がある。そのため、第2の実施の形態における収容型水処理システム200では、混合器1に凝集剤を供給するポンプとして、凝集剤の注入ペースのムラが小さいポンプP2を用いている。
【0038】
これにより、収容型水処理システム200は、フロック形成に要する滞留時間を抑えることが可能になる。そのため、収容型水処理システム200は、T値を十分に確保することができない環境下であっても、凝集剤が十分に混ざっていない混合水が濾過装置2に到達するケースの発生を抑制することが可能になり、良好なフロックを形成することが可能になる。
【0039】
[第3の実施の形態における収容型水処理システム300]
次に、第3の実施の形態における収容型水処理システム300について説明を行う。
【0040】
図4は、第3の実施の形態における収容型水処理システム300の構成例を説明する図である。なお、以下、第1の実施の形態において説明した収容型水処理システム100及び第2の実施の形態において説明した収容型水処理システム200と異なる点についてのみ説明を行う。
【0041】
水処理システム20は、図4に示すように、圧力計4a(以下、第1圧力計4aとも呼ぶ)と、圧力計4b(以下、第2圧力計4bとも呼ぶ)とを有する。また、水処理システム20は、混合器1に対する原水の供給量を調整する弁V4を有する。
【0042】
圧力計4aは、例えば、弁V4と混合器1との間(ラインL1)に設置され、混合器1に供給される原水の流圧(圧力)を測定する。
【0043】
圧力計4bは、例えば、濾過装置2に設置され、濾過装置2の前段における混合水の流圧、または、濾過装置2の前段及び後段における混合水の流圧差(圧力差)を測定する。以下、圧力計4bが単一の圧力計であるものとして説明を行うが、圧力計4bは、例えば、濾過装置2の前段における混合水の流圧を計測する圧力計と、濾過装置2の後段における混合水の流圧を計測する圧力計とのそれぞれから構成されるものであってもよい。
【0044】
また、弁V4は、例えば、圧力計4aまたは圧力計4bが計測した流圧に基づいて、原水の供給量を調整可能な弁である。具体的に、作業者は、例えば、弁V4を開閉することによって、混合器1に供給される原水の供給量を調整し、弁V3の前段の流圧を調整する。
【0045】
なお、弁V4による原水の供給量の決定は、例えば、収容器10に設置された制御装置(図示せず)によって行われるものであってもよい。具体的に、制御装置は、例えば、圧力計4aから送信された信号または圧力計4bから送信された信号を用いることによって、弁V4による原水の供給量を決定する処理を行うものであってもよい。
【0046】
また、弁V4の開閉は、例えば、収容器10に設置された弁開閉装置(図示せず)によって自動的に行われるものであってもよい。具体的に、弁開閉装置は、例えば、制御装置から送信された信号が示す供給量に対応する原水が混合器1に供給されるように、弁V4の開閉を行うものであってもよい。
【0047】
[弁V4による原水の供給量の調整方法]
次に、弁V4による原水の供給量の調整方法について説明を行う。
【0048】
図5から図8は、弁V4による原水の供給量の調整方法を説明する図である。なお、以下、弁V4による原水の供給量の調整が手動によって行われる場合について説明を行う。
【0049】
作業者は、図5に示すように、例えば、第1確認タイミングになった場合、弁V3に供給される混合水の流圧を圧力計4aから取得する(S11のYES、S12)。第1確認タイミングは、例えば、濾過膜2aに対する混合水の供給を最初に開始した後、所定時間が経過したタイミングであってよい。また、第1確認タイミングは、例えば、濾過膜2aの洗浄が行われた後、所定時間が経過したタイミングであってよい。
【0050】
そして、作業者は、S12の処理で取得した流圧が第1閾値以上であるか否かを判定する(S13)。
【0051】
その結果、S12の処理で取得した流圧が第1閾値以上であると判定した場合(S14のYES)、作業者は、弁V4による原水の供給量を減少させる(S15)。具体的に、作業者は、例えば、弁V4を手動によって閉めることにより、原水の供給量を減少させる。
【0052】
すなわち、濾過膜2aに対する混合水の供給開始直後や濾過膜2aの洗浄直後のタイミングの場合、図6(A)に示すように、濾過膜2aの目詰まりが小さい状態であるため、濾過膜2a(濾過装置2)の前段における混合水の流圧は低い状態になる。そのため、この場合において、弁V3の前段における流圧が大きい場合、弁V3の前段の流圧と後段の流圧との流圧差が大きくなり、弁V3の故障等の原因となる可能性がある。具体的に、弁V3の前段の流圧と後段の流圧との流圧差が所定の範囲内にない場合、例えば、弁V3において空洞現象(キャビテーション)が発生し、異音や故障が発生する可能性が高くなる。
【0053】
そこで、図6(B)に示すように、濾過膜2aに対する混合水の供給開始直後や濾過膜2aの洗浄直後のタイミングにおいて、圧力計4aが計測した流圧が第1閾値以上である場合、作業者は、弁V3の前段の流圧と後段の流圧との流圧差が大きくなっている可能性が高いと判断し、弁V4を閉じることによって弁V4による原水の供給量を減少させる。すなわち、作業者は、この場合、弁V4の閉制御を行うことにより、弁V3の前段の流圧と後段の流圧との流圧差が所定の範囲内になるように制御を行う。
【0054】
これにより、収容型水処理システム300は、弁V3における故障等の発生を防止することが可能になる。
【0055】
また、収容型水処理システム300は、後述するように、濾過装置2に対する混合水の供給量を必要なタイミングにおいて増加させることを可能にするために、濾過装置2に対する混合水の供給量を抑えておくことが可能になる。
【0056】
そして、作業者は、図7に示すように、例えば、第2確認タイミングになった場合、濾過装置2に供給される混合水の流圧(濾過装置2の前段の流圧)と濾過装置2から供給される混合水の流圧(濾過装置2の後段の流圧)との流圧差を圧力計4bから取得する(S21のYES、S22)。第2確認タイミングは、例えば、S14の処理が行われた後、所定時間が経過したタイミングであってよい。
【0057】
そして、作業者は、S22の処理で取得した流圧差が第2閾値以上であるか否かを判定する(S23)。
【0058】
その結果、S22の処理で取得した流圧差が第2閾値以上であると判定した場合(S24のYES)、作業者は、弁V4による原水の供給量を増加させる(S25)。具体的に、作業者は、例えば、弁V4を手動によって開けることにより、原水の供給量を増加させる。
【0059】
すなわち、濾過膜2aに対する混合水の供給が長時間続いた場合、図8(A)に示すように、濾過膜2aの目詰まりが大きくなり、濾過装置2の前段における混合水の流圧が高くなる。そのため、例えば、濾過装置2における混合水の濾過量を維持する必要がある場合、濾過装置2に対する混合水の供給量を時間の経過とともに増加させていくことによって、弁V3の前段の流圧を大きくする必要がある。
【0060】
この点、例えば、混合器1に対する原水の供給量を増加させるためのポンプを別途設けることによって、濾過装置2に対する混合水の供給量を増加させることが可能になる。しかしながら、収容型水処理システム300における収容器10の内部のスペースが十分でない場合、混合器1に対する原水の供給量を増加させるためのポンプを収容器10に設置することができない場合がある。
【0061】
そこで、本実施の形態における収容型水処理システム300では、圧力計4bが計測した流圧差が第2閾値以上になった場合、図8(B)に示すように、濾過膜2aの目詰まりが大きくなっていると判定し、弁V4を開けることによって弁V4による原水の供給量を増加させる。すなわち、作業者は、この場合、弁V4の開制御を行うことにより、弁V3の前段の流圧と後段の流圧との流圧差が所定の範囲内になるように制御を行う。
【0062】
これにより、収容型水処理システム300は、例えば、混合器1に対する原水の供給量を増加させるためのポンプを別途設けることなく、濾過装置2に対する混合水の供給量を増加させることが可能になる。そのため、収容型水処理システム300は、時間の経過ともに濾過装置2における流圧差が増加する場合であっても、濾過装置2における混合水の濾過量を維持することが可能になる。
【符号の説明】
【0063】
1:混合器 2:濾過装置
2a:濾過膜 3:貯留槽
4a:圧力計 4b:圧力計
10:収容器 20:水処理システム
100:収容型水処理システム 200:収容型水処理システム
300:収容型水処理システム L1:ライン
L2:ライン L3:ライン
P1:ポンプ P2:ポンプ
V1:弁 V2:弁
V3:弁 V4:弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8