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特許7572006抗アミロイドモノクローナル抗体を使用した細菌バイオフィルムの根絶
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】抗アミロイドモノクローナル抗体を使用した細菌バイオフィルムの根絶
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241016BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241016BHJP
   A61L 29/08 20060101ALI20241016BHJP
   A61L 29/16 20060101ALI20241016BHJP
   C07K 16/12 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
A61K39/395 R
A61P31/04
A61P25/28
A61L29/08
A61L29/16
C07K16/12 ZNA
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021516546
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019033897
(87)【国際公開番号】W WO2019226978
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】62/676,390
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516289166
【氏名又は名称】テンプル ユニヴァーシティ - オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイアー エデュケーション
(73)【特許権者】
【識別番号】515208669
【氏名又は名称】ランケナウ インスティテュート オブ メディカル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,カグラ・トゥケル
(72)【発明者】
【氏名】ダッサン,スコット
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0156471(US,A1)
【文献】LEVITES, Y. et aL.,J Neurosci,2015年,Vol. 35, No. 16,pp. 6265-6276
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61L 29/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体がcurliのエピトープへの結合について特異的であり、さらにcurliのエピトープが1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の抗体結合部位への相同性を有する配列を含み、抗体が、
a)配列番号2に示される重鎖アミノ酸配列及び配列番号35に示される軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む、ALZ.3H3;
b)配列番号61に示される重鎖アミノ酸配列及び配列番号63に示される軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む、ALZ.4G1;及び
c)配列番号57に示される重鎖アミノ酸配列及び配列番号59に示される軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む、ALZ.4A6
からなる群より選択されるモノクローナル抗体である、治療用抗体を含む組成物。
【請求項2】
抗体が1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の線維化を阻害する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
抗体がバイオフィルム形成を防止する、又はバイオフィルム構造を変化させる、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
抗体がバイオフィルムの質量を低下させることに有効である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
バイオフィルムの質量が、グラム陽性、グラム陰性、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される細菌と関連付けられる、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
抗体がアミロイドβ線維化を阻害する、及びバイオフィルム形成を防止する、又はバイオフィルム構造を変化させる、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
抗体が、以下からなる群より選択されるモノクローナル抗体である、請求項1記載の組成物:
a)配列番号2に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号35に示す軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む、ALZ.3H3;及び
b)配列番号61に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号63に示す軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む、ALZ.4G1。
【請求項8】
組成物が、医療機器の表面への適用のためである、請求項1から7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
抗生物質をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
1つ又は複数の医薬的に許容可能な担体又は賦形剤をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
リーム、ローション、軟膏、ヒドロゲル、コロイド、ゲル、泡、油、乳、懸濁液、ワイプ、スポンジ、溶液、乳剤、ペースト、パッチ、プレジェット、スワブ、包帯、スプレー、又はパッドの形態における局所製剤である、請求項1から10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
生物を脱コロニー形成するための、請求項1から11のいずれか一項記載の組成物。
【請求項13】
生物のバイオフィルム形成を破壊する又は崩壊させる又は阻害する又は低下させるための、請求項1から12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
微生物が細菌である、請求項12から13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
生物感染を処置するための、請求項1から11のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
微生物感染が細菌感染である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
細菌感染が、細菌のコロニー形成により特徴付けられる、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
細菌感染がバイオフィルム形成により特徴付けられる、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
微生物感染が局所感染である、請求項15から18のいずれか一項記載の組成物。
【請求項20】
局所感染が創傷、潰瘍、及び損傷より選択される、請求項19記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願では、2018年5月25日に出願された米国仮出願第62/676,390号への優先権を主張し、それを、その全体において参照により本明細書中に組み入れる。
【0003】
連邦政府の資金提供を受けた研究又は開発に関する声明。
【0004】
本発明は、国立衛生研究所(NIH)により授与されたAI132996の下で政府支援を用いて作られた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0005】
発明の背景
【0006】
細菌バイオフィルムは医療状況において重要な関連性があり、しばしば有害である。高密度の細胞外マトリックス内に遮蔽された場合、細菌バイオフィルムは、抗生物質、抗菌剤、及び自然免疫細胞により生成される応答に高度に耐性である(Thurlow et al., 2011, J Immunol, 186(11):6585-96)。バイオフィルムを根絶するための処置戦略は限定されている。バイオフィルム関連感染を除去するための現在の処置戦略は、抗生物質の使用を通じている。プランクトン細菌との比較では、100から1000倍大きい濃度の抗生物質が、バイオフィルム関連感染と戦うために要求される(Anwar and Costerton, 1990, Antimicrob Agents Chemother, 34(9):1666-71, Moskowitz et al., 2004, J Clin Microbiol, 42(5):1915-22)。バイオフィルム内では、細菌は遅く成長する、又は持続性であり、細胞生物学又は細菌複製を標的化する大半の抗生物質を無効にする(Keren et al., 2004, FEMS Microbiol Lett, 230(1):13-8, Brown et al., 1988, J Antimicrob Chemother, 22(6):777-80, Stewart, 2002, Int J Med Microbiol, 292(2):107-13, Lewis, 2001, Antimicrob Agents Chemother, 45(4):999-1007)。感染の65%超が細菌バイオフィルムによるものであるため(Larsen et al., 2007, Environ Microbiol, 9(12):3077-90, Costerton et al., 1999, Science, 284(5418):1318-22)、細菌バイオフィルムを崩壊させるための新規処置が必要である。バイオフィルムマトリックスの崩壊によって、自然免疫系ならびに抗生物質処置の両方へのバイオフィルムの感受性が増強され、このように、バイオフィルムの分解が促進されうる。
【0007】
腸内バイオフィルムの主要なタンパク性成分はアミロイドcurliである。アミロイドcurliは、バイオフィルム内で発現される最もよく特徴付けられた細菌アミロイドである(Hung et al., 2013, MBio, 4(5):e00645-13)。curliは、腸内細菌科の細菌により特異的に発現されるが、細菌種の約40%がバイオフィルムの主要な成分としてアミロイドを産生する(Larsen et al., 2007, Environ Microbiol, 9(12):3077-90)。βシートが原線維軸に垂直である、その特徴的なベータシート構造により定義され(Sunde et al., 1997, J Mol Biol, 273(3):729-39;Nelson et al., 2005, Nature, 435(7043):773-8;Sunde et al., 1997, Adv Protein Chem, 50:123-59)、curliは双方向性のcurli特異的遺伝子csgBAC及びcsgDEFGオペロンにより発現される。(Chapman et al., 2002, Science, 295(5556):851-5)。curliの産生は高度に調節された過程である。ストレスの多い条件下で成長させた場合、csg遺伝子の活性化によって、主なcurliタンパク質(他のアクセサリータンパク質とともに)であるCsgA及びCsgBの産生に導かれる(Chapman et al., 2002, Science, 295(5556):851-5;Zhou et al., 2012, Methods Mol Biol, 849:303-20)。他のアクセサリータンパク質の助けを用いて、CsgAは単量体単位として産生され、細胞外に分泌され、そこでそれは、成熟curliアミロイド原線維に線維化される(Robinson et al., 2006, Mol Microbiol, 59(3):870-81)。CsgBは、CsgA単量体の核形成を助け、及びCsgAを細胞表面に付着させる(White et al., 2001, J Mol Biol, 311(4):735-49;Hammer et al., 2007, Proc Natl Acad Sci U S A., 104(30):12494-9)。
【0008】
curliは腸内バイオフィルム内で多数の機能を有する。curliは、成熟した三次元バイオフィルムの形成を可能にする足場の役割を果たす(Reisner et al., 2003, Mol Microbiol, 48(4):933-46;Costerton et al., 1995, Annu Rev Microbiol, 49:711-45)。ネットワーク様メッシュを形成し、curliは細菌を覆い、保護カプセルを作製する。単一の細菌により発現されるcurliは、バイオフィルム内の複数の細菌の接着を促進し、ならびに表面付着を助ける(Kikuchi et al., 2005, Microbiol Immunol, 49(9):875-84)。Sティフィムリウムの他の不可欠なバイオフィルム成分(例えばセルロースなど)の産生は、curliの産生に依存している。アミロイドは、タンパク質分解及び化学的分解に高度に耐性である。アミロイド(例えばcurliなど)は、原線維を単量体サブユニットに脱重合するために、90パーセントのギ酸又はヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に曝露させる必要がある(Zhou et al., 2013, Methods Mol Biol, 966:53-75)。curliの産生を伴わないと、Sティフィムリウムのバイオフィルムは不安定化し、成熟したバイオフィルムを形成できない(Kikuchi et al., 2005, Microbiol Immunol, 49(9):875-84)。
【0009】
細菌バイオフィルムは頻繁に感染に関連付けられ、根絶するのは困難である。さらに、留置医療機器(カテーテル、心臓弁、人工関節など)上で形成される細菌バイオフィルムを取り除くための処置がなく、そのため異物は通常、患者への大きな費用及び罹患率で除去及び/又は交換する必要がある。バイオフィルムはまた、慢性細菌性創傷感染の重要な成分である。
【0010】
このように、当技術分野において、バイオフィルム形成を防止するための、ならびに微生物感染の処置及び防止のために、形成されたバイオフィルムを崩壊させるための方法についての必要性がある。本発明によって、この満たされていない必要性が満たされる。
【0011】
発明の概要
【0012】
一実施形態では、本発明は、治療用抗体を含む組成物に関し、それにおいて、抗体はcurliのエピトープへの結合について特異的であり、さらにそれにおいて、curliのエピトープは1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の抗体結合部位に相同性を有する配列を含む。
【0013】
一実施形態では、抗体は、1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の線維化を阻害する。実施形態では、抗体はアミロイドβの線維化を阻害する。
【0014】
一実施形態では、抗体は、バイオフィルム形成を防止する、又はバイオフィルム構造を変化させる。一実施形態では、抗体は、バイオフィルムの質量を低下させることに有効である。一実施形態では、バイオフィルムの質量は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、又はそれらの組み合わせに関連付けられる。
【0015】
一実施形態では、抗体は、ALZ.3H3、ALZ.2C10、ALZ.4G1、又はALZ.4A6である。
【0016】
一実施形態では、抗体は、アミロイドβ線維化を阻害し、及びバイオフィルム形成を防止する、又はバイオフィルム構造を変化させる。一実施形態では、抗体はALZ.3H3抗体である。一実施形態では、ALZ.3H3抗体は、配列番号2に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号35に示す軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。一実施形態では、ALZ.3H3抗体は、配列番号1に示すヌクレオチド配列によりコードされる重鎖アミノ酸配列及び配列番号34に示すヌクレオチド配列によりコードされる軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。
【0017】
一実施形態では、抗体は、バイオフィルム形成を防止する、又はバイオフィルム構造を変化させる。一実施形態では、抗体はALZ.4G1抗体である。一実施形態では、ALZ.4G1抗体は、配列番号61に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号63に示す軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。一実施形態では、ALZ.4G1抗体は、配列番号60に示すヌクレオチド配列によりコードされる重鎖アミノ酸配列及び配列番号62に示すヌクレオチド配列によりコードされる軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。
【0018】
一実施形態では、抗体はアミロイドβ線維化を阻害する。一実施形態では、抗体はALZ.4A6抗体である。一実施形態では、ALZ.4A6抗体は、配列番号57に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号59に示す軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。一実施形態では、ALZ.4A6抗体は、配列番号56に示すヌクレオチド配列によりコードされる重鎖アミノ酸配列及び配列番号58に示すヌクレオチド配列によりコードされる軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。
【0019】
一実施形態では、組成物は、医療機器の表面への適用のためである。
【0020】
一実施形態では、組成物は抗生物質を含む。
【0021】
一実施形態では、組成物は、1つ又は複数の医薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含む。
【0022】
一実施形態では、製剤は、クリーム、ローション、軟膏、ヒドロゲル、コロイド、ゲル、泡、オイル、ミルク、懸濁液、ワイプ、スポンジ、溶液、乳剤、ペースト、パッチ、プレジェット、スワブ、包帯、スプレー、又はパッドの形態における局所製剤である。
【0023】
一実施形態では、本発明は、微生物を、治療用抗体を含む組成物と接触させることを含む、微生物を脱コロニー形成する方法に関し、それにおいて、抗体は、curliのエピトープへの結合について特異的であり、さらにそれにおいて、curliのエピトープは、1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の抗体結合部位に相同性を有する配列を含む。一実施形態では、抗体抗体は、1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の線維化を阻害する、バイオフィルム形成を防止する、バイオフィルム構造を変化させる、又はそれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、抗体は、ALZ.3H3、ALZ.4G1、ALZ.2C10、又はALZ.4A6である。
【0024】
一実施形態では、抗体はアミロイドβ線維化を阻害する、バイオフィルム形成を防止する、又はバイオフィルム構造を変化させる。一実施形態では、抗体はALZ.3H3抗体である。一実施形態では、ALZ.3H3抗体は、配列番号2に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号35に示す軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。一実施形態では、ALZ.3H3抗体は、配列番号1に示すヌクレオチド配列によりコードされる重鎖アミノ酸配列及び配列番号34に示すヌクレオチド配列によりコードされる軽鎖アミノ酸配列のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
一実施形態では、抗体はバイオフィルム形成を防止する、又はバイオフィルム構造を変化させる。一実施形態では、抗体はALZ.4G1抗体である。一実施形態では、ALZ.4G1抗体は、配列番号61に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号63に示す軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。一実施形態では、ALZ.4G1抗体は、配列番号60に示すヌクレオチド配列によりコードされる重鎖アミノ酸配列及び配列番号62に示すヌクレオチド配列によりコードされる軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。
【0026】
一実施形態では、抗体はアミロイドβ線維化を阻害する。一実施形態では、抗体はALZ.4A6抗体である。一実施形態では、ALZ.4A6抗体は、配列番号57に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号59に示す軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。一実施形態では、ALZ.4A6抗体は、配列番号56に示すヌクレオチド配列によりコードされる重鎖アミノ酸配列及び配列番号58に示すヌクレオチド配列によりコードされる軽鎖アミノ酸配列の少なくとも1つを含む。
【0027】
一実施形態では、本発明は、微生物を、治療用抗体を含む組成物と接触させることを含む、微生物のバイオフィルム形成を破壊する又は崩壊させる又は阻害する又は低下させる方法に関し、それにおいて、抗体は、curliのエピトープへの結合について特異的であり、さらにそれにおいて、curliのエピトープは、1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の抗体結合部位に相同性を有する配列を含む。一実施形態では、抗体抗体は、1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の線維化を阻害する、バイオフィルム形成を防止する、バイオフィルム構造を変化させる、又はそれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、微生物は細菌である。
【0028】
一実施形態では、本発明は、治療用抗体を含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、対象において微生物感染を処置する方法に関し、それにおいて、抗体は、curliのエピトープへの結合について特異的であり、さらにそれにおいて、curliのエピトープは、1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の抗体結合部位に相同性を有する配列を含む。一実施形態では、抗体抗体は、1つ又は複数の異種アミロイドタンパク質の線維化を阻害する、バイオフィルム形成を防止する、バイオフィルム構造を変化させる、又はそれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、抗体は、ALZ.3H3、ALZ.4G1、ALZ.2C10、又はALZ.4A6である。
【0029】
一実施形態では、微生物感染は細菌感染である。一実施形態では、細菌感染は、細菌のコロニー形成により特徴付けられる。一実施形態では、細菌感染は、バイオフィルム形成により特徴付けられる。
【0030】
一実施形態では、微生物感染は局所感染である。一実施形態では、局所感染は創傷、潰瘍、又は損傷である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A-1】図1Aから図1Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3がSティフィムリウムのバイオフィルムの構造及び完全性を崩壊させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Aは、Sティフィムリウムのバイオフィルムの構造が異なる処置に伴って変化することを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Bは、バイオフィルム中の粒子を定量化するために使用される例示的な画像を描写する。図1Cは、図1A中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図1A-2】図1Aから図1Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3がSティフィムリウムのバイオフィルムの構造及び完全性を崩壊させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Aは、Sティフィムリウムのバイオフィルムの構造が異なる処置に伴って変化することを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Bは、バイオフィルム中の粒子を定量化するために使用される例示的な画像を描写する。図1Cは、図1A中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図1B-1】図1Aから図1Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3がSティフィムリウムのバイオフィルムの構造及び完全性を崩壊させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Aは、Sティフィムリウムのバイオフィルムの構造が異なる処置に伴って変化することを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Bは、バイオフィルム中の粒子を定量化するために使用される例示的な画像を描写する。図1Cは、図1A中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図1B-2】図1Aから図1Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3がSティフィムリウムのバイオフィルムの構造及び完全性を崩壊させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Aは、Sティフィムリウムのバイオフィルムの構造が異なる処置に伴って変化することを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Bは、バイオフィルム中の粒子を定量化するために使用される例示的な画像を描写する。図1Cは、図1A中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図1C図1Aから図1Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3がSティフィムリウムのバイオフィルムの構造及び完全性を崩壊させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Aは、Sティフィムリウムのバイオフィルムの構造が異なる処置に伴って変化することを実証する例示的な実験結果を描写する。図1Bは、バイオフィルム中の粒子を定量化するために使用される例示的な画像を描写する。図1Cは、図1A中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図2A図2Aから図2Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3が、事前に確立されたSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルム完全性を変化させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図2Aは、実験デザインを実証する概略図を描写する。図2Bは、各々の処置を用いたSティフィムリウムのバイオフィルム構造を実証する例示的な実験結果を描写する。図2Cは、図2B中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図2B-1】図2Aから図2Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3が、事前に確立されたSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルム完全性を変化させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図2Aは、実験デザインを実証する概略図を描写する。図2Bは、各々の処置を用いたSティフィムリウムのバイオフィルム構造を実証する例示的な実験結果を描写する。図2Cは、図2B中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図2B-2】図2Aから図2Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3が、事前に確立されたSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルム完全性を変化させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図2Aは、実験デザインを実証する概略図を描写する。図2Bは、各々の処置を用いたSティフィムリウムのバイオフィルム構造を実証する例示的な実験結果を描写する。図2Cは、図2B中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図2C図2Aから図2Cまでは、モノクローナル抗体ALZ.3H3が、事前に確立されたSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルム完全性を変化させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図2Aは、実験デザインを実証する概略図を描写する。図2Bは、各々の処置を用いたSティフィムリウムのバイオフィルム構造を実証する例示的な実験結果を描写する。図2Cは、図2B中のバイオフィルムの分散部分(表面から20μM超)における粒子の数を実証する例示的なグラフを描写する。
図3図3は、ALZ.3H3のクリスタルバイオレットアッセイ用量曲線を描写する。
図4A図4A及び図4Bは、Sティフィムリウムのバイオフィルムの分析を描写する。図4Aは、3H3の存在(10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、250μg/ml、500μg/ml)又は非存在(未処置)において成長したSティフィムリウムのバイオフィルムの共焦点分析を描写する。バイオフィルムを、syto9(細菌用の緑色核酸染色)及びアミロイド色素コンゴーレッド(赤色curli)を用いて染色した。Leica TCS共焦点を63倍で使用して画像化されたバイオフィルム。ImageJ 3Dビューアソフトウェアを使用して作成されたバイオフィルム3D再構成。スケールバーは50μmを表す。図4Bは、3H3の存在(10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、250μg/ml、500μg/ml)又は非存在(未処置)において成長したSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルム厚(μm)を描写する。Leica TCS共焦点顕微鏡ソフトウェアを使用して測定された厚さ。
図4B図4A及び図4Bは、Sティフィムリウムのバイオフィルムの分析を描写する。図4Aは、3H3の存在(10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、250μg/ml、500μg/ml)又は非存在(未処置)において成長したSティフィムリウムのバイオフィルムの共焦点分析を描写する。バイオフィルムを、syto9(細菌用の緑色核酸染色)及びアミロイド色素コンゴーレッド(赤色curli)を用いて染色した。Leica TCS共焦点を63倍で使用して画像化されたバイオフィルム。ImageJ 3Dビューアソフトウェアを使用して作成されたバイオフィルム3D再構成。スケールバーは50μmを表す。図4Bは、3H3の存在(10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、250μg/ml、500μg/ml)又は非存在(未処置)において成長したSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルム厚(μm)を描写する。Leica TCS共焦点顕微鏡ソフトウェアを使用して測定された厚さ。
図5A図5Aから図5Bまでは、ALZ.3H3がcurliの線維化を低下させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図5Aは、汎アミロイド抗体がチオフラビンTアッセイにおいて線維化を防止することを実証する例示的な実験結果を描写する。図5Aは、汎アミロイド抗体の存在において単量体が自己会合するために要求される遅延時間を実証する例示的な実験結果を描写する。
図5B図5Aから図5Bまでは、ALZ.3H3がcurliの線維化を低下させることを実証する例示的な実験結果を描写する。図5Aは、汎アミロイド抗体がチオフラビンTアッセイにおいて線維化を防止することを実証する例示的な実験結果を描写する。図5Aは、汎アミロイド抗体の存在において単量体が自己会合するために要求される遅延時間を実証する例示的な実験結果を描写する。
図6図6は、Sティフィムリウム(STM)及び大腸菌UTI89のクリスタルバイオレットアッセイを描写する。STM又はUTI89を、滅菌96ウェルプレート中で、3H3(250μg/ml、125μg/ml、50μg/ml、25μg/ml、10μg/ml、1μg/ml)ならびに0.5mg/ml対照A6又は抗デング抗体の非存在又は存在において26℃で72時間にわたり成長させた。Sティフィムリウムcurli変異体(csgBA)及びUTI89 curli変異体(csgBA)をまた陰性対照として成長させた。
図7図7は、ALZ.3H3及び抗生物質処置の間の相乗性によって、インビトロでのSティフィムリウムのバイオフィルム形成が低下することを実証する例示的な実験結果を描写する。
図8図8は、3H3及びアンピシリンを用いて、又は用いずに成長させたバイオフィルム当たりのコロニー形成単位を描写する。滅菌24ウェルディッシュ中で、26℃で72時間にわたり滅菌ガラスカバースリップの上部で、3H3(250μg/ml、125μg/ml、50μg/ml、25μg/ml、10μg/ml、1μg/ml)の非存在又は存在において成長させた、ならびに0.5mg/mlの対照A6抗体を用いて成長させたSティフィムリウム(STM)又は大腸菌UTI89のバイオフィルム。Sティフィムリウムcurli変異体(csgBA)及びUTI89 curli変異体(csgBA)をまた、陰性対照として成長させた。選択条件において、バイオフィルムを30μg/mlアンピシリン(Amp)を用いて26℃で追加の24時間にわたりインキュベートした。滅菌ガラスカバースリップ(バイオフィルムが成長するための表面として使用した)を、3mlの滅菌PBSを含む滅菌15mlコニカルチューブ中に置いた。バイオフィルムを、ThermoFisher Sonic Dismembratorを使用して4の設定で10秒間にわたり超音波処理した。細菌を、滅菌PBS中で1:10に段階希釈し、寒天プレート上にスポットプレーティングすることにより数え上げた。
図9図9は、ALZ.3H3処置によって、インビトロのカテーテルアッセイにおいてSティフィムリウムのバイオフィルム形成が低下することを実証する例示的な実験結果を描写する。
図10図10は、ALZ.3H3処置によって、インビボのカテーテルアッセイにおいてSティフィムリウムのバイオフィルム形成が低下し、ALZ.3H3と抗生物質処置の間での相乗性によって、Sティフィムリウムのバイオフィルム形成がさらに低下することを実証する例示的な実験結果を描写する。
図11図11は、ALZ.3H3及びアンピシリン処置を用いたSティフィムリウムのカテーテル挿入時でのマウスの生存率を描写する。
図12図12は、Aβ42から産生された、グロブロマーとしても公知であるアミロイドベータ由来の拡散性リガンド(ADDL)のクーマシー染色SDS:PAGEゲルを描写する。
図13図13は、ELISAにより評価された、Aβ42 ADDL及びAβ42単量体への抗アミロイド抗体の結合を描写する。
図14図14は、AD脳ホモジネートから単離された凝集した膵島アミロイドペプチドIAPP及びタウペアードヘリカルフィラメント(TAU PHF)への結合についての表面プラズモン(plasma)共鳴(SPR)分析を描写する。この試験において使用された抗体濃度は、IAPPについては110nM及びTau-PHFについては66.7nMであった。
図15図15は、tau40HEK-293(tau40)及びHEK-293細胞株(293)への4G1 mAb及び3H3 mAbの結合の例示的な画像を描写する。画像は、ヒトmAbだけ(左列)、TAU-5だけ(中央列)を用いて、又は混合させて示す(60×)。
図16図16は、アミロイドベータオリゴマー単独での、又は抗アミロイドmAb、3H3、4G1、及び4A6の存在におけるAβ42の線維化を実証する例示的な実験結果を描写する。
【0032】
詳細な説明
【0033】
本発明は、汎アミロイド結合活性を有する抗体が、アミロイドの線維化を防止することによりバイオフィルム形成を阻害する能力を有するという発見に部分的に基づいている。従って、本発明は、汎アミロイド抗体を使用してバイオフィルムのアミロイド成分を標的化することによりバイオフィルム形成を防止するための組成物及び方法を提供する。一実施形態では、本発明は、curliを標的化する方法によりバイオフィルムを標的化する抗アミロイドモノクローナル抗体を使用した組成物及び方法を提供する。一態様では、本発明は抗アミロイド抗体の使用に関し、それにおいて、抗体はアミロイドベータシート構造について特異的である。一実施形態では、抗体はALZ.3H3又はALZ.4G1である。
【0034】
一実施形態では、本発明は、新規抗原(例えばcurliなど)を標的化し、それにより、深部及び異物/バイオフィルム関連感染を処置するためのパラダイムを変化させるための組成物及び方法を提供する。一実施形態では、本発明は、既存の薬剤耐性表現型と非交差耐性である抗原を標的化することにより多剤耐性細菌の処置に改善を提供する。
【0035】
一実施形態では、本発明は、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌のバイオフィルムの多様性と戦うことができるヒトモノクローナル抗体を使用してバイオフィルム産生細菌の処置を可能にする新規治療標的を提供する。一実施形態では、抗体は、留置医療機器からバイオフィルムを除去することができる。
【0036】
一実施形態では、本発明は、微生物種に感染した対象を処置する方法に関し、この方法は、対象に少なくとも1つの抗体を投与することを含み、それにおいて、少なくとも1つの抗体は、アミロイドベータシート構造に特異的に結合する。一実施形態では、この方法は、抗生物質の投与をさらに含む。一実施形態では、本発明の抗体(例、抗アミロイドモノクローナル抗体)を抗生物質と組み合わせて、curliを標的化することによりバイオフィルムの質量を低下させる。
【0037】
別の態様では、本発明は、バイオフィルム形成を処置する、低下させる、又は防止する方法に関し、それにおいて、組成物は、少なくとも1つの抗体を含み、それにおいて、少なくとも1つの抗体は、アミロイドベータシート構造に特異的に結合する。一実施形態では、この方法は、抗生物質の投与をさらに含む。
【0038】
一実施形態では、本発明は、バイオフィルムの質量を低下させるために、医療機器(例、カテーテル)の表面を、本発明の組成物を用いてコーティングする方法を提供する。
【0039】
一実施形態では、本発明はまた、細胞外マトリックスの他の成分を標的化する薬剤(例えばDNアーゼなど)との組み合わせにおける本発明の組成物の使用を提供する。一実施形態では、本発明の組成物を使用し、過剰なDNAに関連付けられるバイオフィルムマトリックス、例えばシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のバイオフィルムなどを処置することができる。
【0040】
定義
【0041】
他に定義しない場合、本明細書中で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載するものと類似又は等価の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料を記載する。
【0042】
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義を適用し、適切な場合はいつでも、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆も同様である。
【0043】
本明細書中で使用する場合、以下の用語の各々は、このセクションにおいてそれに関連付けられる意味を有する。本明細書中で使用する用語法は、特定の実施形態を記載することだけを目的としており、限定することを意図しないことも理解すべきである。
【0044】
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的目的語の1つ又は1を上回る(即ち、少なくとも1つ)を指すために本明細書中で使用する。例として、「要素」は、1つの要素又は1を上回る要素を意味する。
【0045】
測定可能な値、例えば量、時間的な持続時間などを指す場合に本明細書中で使用する「約」は、特定された値から±20%又は±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、及びさらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味する。なぜなら、そのような変動は開示された方法を実施するために適切であるからである。
【0046】
用語「類似体」又は「機能的類似体」は、ポリペプチドの関連する修飾形態を指し、それにおいて、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、又は付加が作製され、前記類似体は、非修飾形態と実質的に同じ生物学的活性をインビボ及び/又はインビトロで保持するようにする。
【0047】
用語「抗体」は、本明細書中で使用するように、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然供給源から又は組換え供給源から由来するインタクトな免疫グロブリンでありうるが、インタクトな免疫グロブリンの免疫反応性部分でありうる。本発明中の抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab、及びF(ab)2、ならびに一本鎖抗体及びヒト化抗体を含む多様な形態で存在しうる(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY;Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York;Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。
【0048】
本明細書中で使用する用語「抗原」又は「Ag」は、免疫応答を惹起する分子として定義する。この免疫応答は、抗体産生、もしくは特定の免疫学的にコンピテントな細胞の活性化のいずれか、又はその両方を含みうる。当業者は、任意の高分子(実質的に全てのタンパク質又はペプチドを含む)が抗原としての役割を果たすことができることを理解するであろう。さらに、抗原は組換えDNA又はゲノムDNAから由来することができる。当業者は、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列又は部分的ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、従って、その用語が本明細書中で使用されるように、「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗原がもっぱら遺伝子の全長ヌクレオチド配列によりコードされる必要がないことを理解するであろう。本発明が1を上回る遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用を含むが、これに限定されないこと、及びこれらのヌクレオチド配列が種々の組み合わせにおいて配置され、所望の免疫応答を誘発することは容易に明らかである。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によりコードされる必要が全くないことを理解するであろう。抗原が合成されて生成されうるか、又は生物学的サンプルから由来しうることは容易に明らかである。
【0049】
本明細書中で使用するように、用語「抗菌剤」は、微生物(細菌、ウイルス、酵母、真菌、及び原生動物を含むが、これらに限定されない)を死滅させる又は成長を阻害する能力、又は微生物感染の重症度を減弱する能力を指す。本発明の抗菌化合物又は組成物は、清浄又は滅菌のために使用されうる、又は疾患及び感染の処置において使用されうる化合物又は組成物である。適用は、インビトロ及びインビボの両方の抗菌使用を含みうる。抗菌組成物を「適用すること」は、組成物をヒト又は動物の対象中に投与することを含みうる。
【0050】
用語「薬剤」は、任意の物質、代謝物、分子、元素、化合物、又はそれらの組み合わせを含む。それは、例えば、タンパク質、オリゴペプチド、有機小分子、グリカン、多糖類、ポリヌクレオチドなどを含むが、これらに限定されない。それは、天然産物、合成化合物、化学的化合物、あるいは2つ又はそれ以上の物質の組み合わせでありうる。他に特定しない場合、用語「薬剤」、「物質」、及び「化合物」は互換的に使用することができる。さらに、「テスト薬剤」又は「候補薬剤」は一般的に、本発明のアッセイにおける使用のための被験薬剤である。
【0051】
用語「結合」は、例えば、共有、静電、疎水性、イオン、及び/又は水素結合の相互作用に起因する、少なくとも2つの分子の間での直接的な会合を指す。
【0052】
本明細書中で使用するように、用語「バイオフィルム」は、微生物が分散する及び/又はコロニーを形成する生物学的又は非生物学的表面へのマトリックスで封入された微生物癒着物を指す。バイオフィルムは典型的には、多糖類及び他の高分子で作られている。バイオフィルム形成は、細胞が不適な環境中で生存することを可能にする保護された成長様式を表す。
【0053】
本明細書中で使用するように、用語「バイオフィルム形成」は、バイオフィルム構造を伴って含まれる微生物コロニーの形成、成長、及び修飾、ならびにバイオフィルム構造の多糖マトリックスの合成及び維持を含むことを意図する。また、この用語の範囲内には、マトリックス中で多糖類を分泌しないが、しかし、細菌がバイオフィルム構造を形成することを許すタンパク質を含むタンパク質ベースのバイオフィルムの形成がある。
【0054】
「CDR」は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域のアミノ酸配列として定義する。例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987)を参照のこと。免疫グロブリンの可変部分中には3つの重鎖及び3つの軽鎖CDR(又はCDR領域)がある。このように、本明細書中で使用する「CDR」は、3つ全ての重鎖CDR、又は3つ全ての軽鎖CDR(又は、適切な場合、全ての重鎖CDR及び全ての軽鎖CDRの両方)を指す。抗体の構造及びタンパク質フォールディングは、他の残基が抗原結合領域の一部として考えられ、当業者によりそのように理解されることを意味しうる。例えば、Chothia et al., (1989) Conformations of immunoglobulin hypervariable regions; Nature 342, p 877-883を参照のこと。
【0055】
「キメラ抗体」は、アクセプター抗体から由来する軽鎖及び重鎖定常領域との会合において、ドナー抗体から由来する天然可変領域(軽鎖及び重鎖)を含む操作抗体の型を指す。
【0056】
「接触」は、同じ分子又は異なる分子の2つ又はそれ以上の分子あるいは2つ又はそれ以上の成分が、それらが相互作用を受けることができるように物理的に近接させる過程を指す。用語「接触」は、含浸、配合、混合、組み込み、コーティング、摩擦、塗装、噴霧、浸漬、圧延、塗抹、及び浸漬を含むが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書中で使用するように、「組み合わせ治療」により、第1の薬剤が別の薬剤との併用において投与されることを意味する。「との併用において」は、別の処置モダリティに加えた、1つの処置モダリティの投与を指す。そのようなものとして、「との併用において」は、個体への他の処置モダリティの送達の前、間、又は後での1つの処置モダリティの投与を指す。そのような組み合わせは、単一の処置レジメン又はレジメの部分と考えられる。
【0058】
本明細書中で使用するように、用語「同時投与」は、組み合わせ治療における第1の治療の投与及び第2の治療の投与が互いに時間的に重複することを意味する。
【0059】
「疾患」は、動物が恒常性を維持できず、及び疾患が寛解しない場合、次に動物の健康が悪化し続ける動物の健康状態である。対照的に、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持できるが、しかし、動物の健康状態が、障害の非存在におけるよりもあまり好ましくない健康状態である。未処置で放置しても、障害は動物の健康状態においてさらなる減少を必ずしも起こさない。
【0060】
本明細書中で使用する「有効量」は、治療的又は予防的利益を提供する量を意味する。
【0061】
本明細書中で使用する用語「発現」は、そのプロモーターにより駆動される特定のヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳として定義する。
【0062】
「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを含む;発現のための他のエレメントは、宿主細胞により、又はインビトロ発現システムにおいて供給することができる。発現ベクターは、組換えポリヌクレオチドを組み入れる、当技術分野において公知の全てのもの、例えばコスミド、プラスミド(例、ネイキッド又はリポソーム中に含まれる)、及びウイルス(例、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)などを含む。
【0063】
本明細書中で使用するように、用語「重鎖抗体(heavy chain antibody)」又は「重鎖抗体(heavy chain antibodies)」は、ペプチドを用いた免疫化及びその後の血清の単離による、又はそのような抗体をコードする核酸配列のクローニング及び発現による、ラクダ種から由来する免疫グロブリン分子を含む。用語「重鎖抗体」又は「重鎖抗体」は、重鎖疾患を伴う動物から単離された、又は動物からのVH(可変重鎖免疫グロブリン)遺伝子のクローニング及び発現により調製された免疫グロブリン分子をさらに包含する。
【0064】
「相同」は、2つのポリペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較された配列の両方における位置が同じ塩基又はアミノ酸単量体サブユニットにより占められている場合、例えば、2つのDNA分子の各々における位置がアデニンにより占められている場合、次に、分子はその位置で相同である。2つの配列間の相同性のパーセントは、2つの配列により共有される一致する又は相同な位置の数を、比較した位置の数で割り、100により乗じた数の関数である。例えば、2つの配列中の10の位置のうち6つが一致し、相同である場合、次に2つの配列は60%相同である。例として、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは50%の相同性を共有する。一般的に、比較は、2つの配列が最大の相同性を与えるように整列されている場合になされる。
【0065】
「ヒト化抗体」は、非ヒトドナー免疫グロブリンから由来するそのCDRを有する操作抗体の型を指し、分子の残りの免疫グロブリン由来部分が1つ(又は複数)のヒト免疫グロブリンから由来する。また、フレームワーク支持残基は、結合親和性を保存するように変化させてもよい(例、1989, Queen et al., Proc. Natl. Acad Sci USA, 86:10029-10032; 1991, Hodgson et al., Bio/Technology, 9:421を参照のこと)。適したヒトアクセプター抗体は、ドナー抗体のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列との相同性により、従来のデータベース(例、KABATデータベース、Los Alamosデータベース、及びSwiss Proteinデータベース)より選択されるものでありうる。(アミノ酸ベースでの)ドナー抗体のフレームワーク領域との相同性により特徴付けられるヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域及び/又は重鎖可変フレームワーク領域を提供するために適しうる。軽鎖定常領域又は可変フレームワーク領域を供与することが可能な適したアクセプター抗体を同様の様式において選択してもよい。アクセプター抗体の重鎖及び軽鎖は、同じアクセプター抗体からの起源であることは要求されないことに注目すべきである。先行技術では、そのようなヒト化抗体を産生するいくつかの方法が記載されている(例えば、EP-A-0239400及びEP-A-054951を参照のこと)。
【0066】
本明細書中で使用する用語「免疫グロブリン」又は「Ig」は、抗体として機能するタンパク質のクラスとして定義する。B細胞により発現された抗体は、BCR(B細胞受容体)又は抗原受容体と時々言及される。このクラスのタンパク質において含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgD、及びIgEである。IgAは、体の分泌物(例えば唾液、涙、母乳、胃腸分泌物、ならびに呼吸器及び泌尿生殖器の粘液分泌物など)中に存在する一次抗体である。IgGは最も一般的な循環抗体である。IgMは、大半の対象における一次免疫応答において産生される主な免疫グロブリンである。それは、凝集、補体結合、及び他の抗体応答において最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌及びウイルスに対する防御において重要である。IgDは、公知の抗体機能を有さない免疫グロブリンであるが、しかし、抗原受容体としての役割を果たしうる。IgEは、アレルゲンへの曝露時に肥満細胞及び好塩基球からのメディエーターの放出を起こすことにより、即時型過敏症を媒介する免疫グロブリンである。
【0067】
本明細書中で使用するように、用語「免疫応答」は、T細胞媒介性及び/又はB細胞媒介性免疫応答を含む。例示的な免疫応答は、T細胞応答(例、サイトカイン産生及び細胞毒性)及びB細胞応答(例、抗体産生)を含む。また、用語「免疫応答」は、T細胞活性化により間接的に影響を及ぼされる免疫応答、例えば、抗体産生(液性応答)及びサイトカイン応答性細胞(例、マクロファージ)の活性化を含む。免疫応答において含まれる免疫細胞は、リンパ球、例えばB細胞及びT細胞(CD4+、CD8+、Th1、及びTh2細胞)など;抗原提示細胞(例、専門の抗原提示細胞、例えば樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、ランゲルハンス細胞など、及び非専門の抗原提示細胞、例えばケラチノサイト、内皮細胞、星状細胞、線維芽細胞、オリゴデンドロサイトなど);ナチュラルキラー細胞;骨髄細胞、例えばマクロファージ、好酸球、肥満細胞、好塩基球、及び顆粒球などを含む。
【0068】
本明細書中で使用するように、用語「微生物(microbial organism)」又は「微生物(microbe)」又は「微生物の(microbial)」、又は「微生物(microorganism)」は、細胞壁を欠きうる、あるいはグラム陽性もしくはグラム陰性又はその変化(即ち、マイコバクテリウム)(それらが細胞壁を有する場合)であり、しばしばコロニー中に凝集する、又は鞭毛を用いて運動性であり、典型的には土壌、水、有機物、又は植物及び動物の体に生息し、通常、独立栄養性、腐生性、又は栄養中で寄生性であり、及びそれらの生化学的効果及び病原性のために注目されている原核の円状、らせん状、又は棒状の単細胞、多細胞、又は無細胞微生物のドメイン(細菌)を指す。この用語は、微視的なサイズを有する原核又は真核細胞又は生物を包含することを意図し、全ての種の細菌、ウイルス、古細菌、及び真正細菌ならびに真核微生物(例えば酵母及び真菌など)を含む。この用語はまた、生化学物質の生産のために培養できる任意の種の細胞培養を含む。1つの非限定的な例では、微生物の活性は、微生物の数における対数低下を計算することにより測定することができる。
【0069】
本明細書中で使用するように、用語「微生物のコロニー形成」は、同じ型の微生物のコンパクトな集団群、例えば微生物細胞が再生し始める場合に発生するコロニーなどの形成を指す。微生物のコロニー形成は、疾患症状を起こしうる、又は起こさないであろう。脱コロニー形成は、存在する微生物の数における低下を指す。微生物が完全に脱コロニー形成される場合、微生物は根絶され、検出不能である。
【0070】
「変異」は、本明細書中で使用するように、参照配列(それは、好ましくは、天然の正常又は「野生型」配列である)に対する核酸配列又はポリペプチド配列における変化を指し、転座、欠失、挿入、及び置換/点変異を含む。「変異体」は、本明細書中で使用するように、変異を含む核酸又はタンパク質のいずれかを指す。
【0071】
免疫原性組成物の「非経口」投与は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、もしくは皮内(i.d.)注射、又は注入技術を含む。
【0072】
用語「患者」、「対象」、「個体」などは、本明細書中で互換的に使用し、インビトロ又はインサイチュにかかわらず、本明細書中に記載する方法に適した任意の動物又はその細胞を指す。特定の非限定的な実施形態では、患者、対象、又は個体はヒトである。
【0073】
本明細書中で使用するように、用語「医薬的に許容可能な」は、材料(例えば担体又は希釈剤など)を指し、それは、化合物の生物学的活性又は特性を抑止せず、及び比較的毒性がない、即ち、この材料は、望ましくない生物学的効果を起こす、又はそれが含まれている組成物の成分のいずれかと有害な様式において相互作用することなく、個体に投与されうる。
【0074】
本明細書中で使用するように、言語「医薬的に許容可能な塩」は、医薬的に許容可能な非毒性酸から調製される投与化合物の塩を指し、無機酸、有機酸、溶媒和物、水和物、又はそれらのクラスレートを含む。そのような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、ヘキサフルオロリン酸、クエン酸、グルコン酸、安息香酸、プロピオン酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、アムソニック、パモン酸、p-トルネンスルホン酸、及びメシル酸である。適切な有機酸は、例えば、有機酸の脂肪族、芳香族、カルボン酸、及びスルホン酸のクラスより選択してもよく、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、カンファースルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、粘液酸、酒石酸、パラトルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロイン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸)、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸などである。さらに、医薬的に許容可能な塩は、非限定的な例として、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム又はマグネシウム)、アルカリ金属塩(例、ナトリウム依存性又はカリウム)、及びアンモニウム塩を含む。
【0075】
本明細書中で使用するように、用語「医薬的に許容可能な担体」は、本発明内で有用な化合物を患者内又は患者に運ぶ又は輸送することにおいて含まれ、それがその意図された機能を実施できるようにする、医薬的に許容可能な材料、組成物、又は担体、例えば液体又は固体の充填剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、又は封入材料などを意味する。典型的には、そのような構築物は、1つの器官、又は体の部分から別の器官、又は体の部分に運ばれる又は輸送される。各々の担体は、本発明内で有用な化合物を含む、製剤の他の成分と適合し、患者に傷害性ではないという意味において「許容可能」でなければならない。医薬的に許容可能な担体としての役割を果たしうる材料の一部の例は以下を含む:糖、例えばラクトース、グルコース、及びスクロースなど;デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなど;セルロース、及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなど;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばカカオバター及び坐剤ワックスなど;油、例えばピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油など;グリコール、例えばプロピレングリコールなど;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなど;エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなど;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなど;界面活性剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;及び医薬製剤中で用いられる他の非毒性適合物質。本明細書中で使用するように、「医薬的に許容可能な担体」はまた、本発明内で有用な化合物の活性と適合し、患者に生理学的に許容可能である、全てのコーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤などを含む。補足的な活性化合物もまた、組成物中に組み入れられうる。「医薬的に許容可能な担体」は、本発明内で有用な化合物の医薬的に許容可能な塩をさらに含みうる。本発明の実践において使用される医薬組成物中に含まれうる他の追加の成分は、当技術分野において公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Genaro, Ed., Mack Publishing Co., 1985, Easton, PA)において記載されており、参照により本明細書中に組み入れる。
【0076】
本明細書中で使用するように、用語「塩」は、本発明内で有用な化合物である遊離酸又は遊離塩基の付加塩を包含する。適した酸付加塩は、無機酸から、又は有機酸から調製されうる。無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、リン酸、過塩素酸、及びテトラフルオロホウ酸を含む。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族、複素環式、カルボン酸、及びスルホン酸のクラスの有機酸より選択してもよく、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、βヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸を含む。本発明内で有用な化合物の適した塩基付加塩は、例えば、金属塩(アルカリ金属、アルカリ土類金属を含む)、及び遷移金属塩(例えば、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩、及び亜鉛塩など)を含む。許容可能な塩基付加塩はまた、塩基性アミン(例えば、N、N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチル-グルカミン)、及びプロカインなど)から作られる有機塩を含む。これらの塩の全てが、例えば、適切な酸又は塩基を対応する遊離塩基と反応させることにより、対応する遊離塩基化合物から従来の手段によって調製されうる。
【0077】
本明細書中で使用するように、用語「防止する」又は「防止」は、何も起こらなかった場合は障害又は疾患の発生がないこと、あるいは障害又は疾患の発生が既にあった場合はさらなる障害又は疾患の発生がないことを意味する。また、障害又は疾患に関連付けられる症状の一部又は全てを防止する能力を考慮する。
【0078】
用語「特異的に結合する」により、抗体に関して本明細書中で使用するように、特定の抗原を認識するが、しかし、サンプル中の他の分子を実質的に認識又は結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種からの抗原に特異的に結合する抗体はまた、1つ又は複数の種からのその抗原に結合しうる。しかし、そのような異種間の反応性は、それ自体は、特異的としての抗体の分類を変化させない。別の例では、抗原に特異的に結合する抗体はまた、異なる対立遺伝子形態の抗原に結合しうる。しかし、そのような交差反応性は、それ自体は、特異的としての抗体の分類を変化させない。一部の例では、用語「特異的結合」又は「特異的に結合する」は、抗体、タンパク質、又はペプチドと第2の化学種との相互作用への参照において使用することができるが、相互作用が化学種上の特定の構造(例、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存していることを意味する;例えば、抗体は、一般的にタンパク質よりもむしろ、特定のタンパク質構造を認識して結合する。抗体がエピトープ「X」について特異的である場合、エピトープX(又は遊離の非標識A)を含む分子の存在によって、標識「X」及び抗体を含む反応において、抗体に結合した標識Xの量が低下する。
【0079】
本明細書中で使用する用語「治療的」は、処置及び/又は予防を意味する。治療的効果は、疾患状態の抑制、軽減、緩解、又は根絶により得られる。
【0080】
本明細書中で使用するように、本発明の化合物の用語「治療有効量」は、対象の生物学的又は医学的応答を誘発する、又は症状を寛解させる、疾患進行を遅らせる又は遅延させる、あるいは疾患などを防止する、本発明の化合物の量を指す。一実施形態では、この用語は、微生物のコロニー形成又は感染を阻害する又は低下させる量を指す。一実施形態では、この用語は、細菌感染を阻害する又は低下させる量、あるいは細菌バイオフィルムの形成を防止する又は破壊する量を指す。単独で投与される個々の活性成分に適用される場合、この用語はその成分単独を指す。組み合わせに適用される場合、この用語は、組み合わせにおいて、連続的に、又は同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせ量を指す。
【0081】
本明細書中で使用するように、任意の疾患又は障害の用語「処置する」又は「処置」は、一実施形態では、疾患又は障害を寛解させること(即ち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発生を抑止又は低下させること)を指す。別の実施形態では、「処置する」又は「処置」は、少なくとも1つの身体的パラメーターを寛解させることを指し、それは、患者により識別可能ではないことがある。さらに別の実施形態では、「処置する」又は「処置」は、身体的(例、識別可能な症状の安定化)、生理学的(例、身体的パラメータの安定化)のいずれか、又はその両方で、疾患又は障害を調節することを指す。さらに別の実施形態では、「処置する」又は「処置」は、疾患又は障害の発症又は発生又は進行を防止する又は遅延させることを指す。用語「処置する」又は「処置」はまた、1つ又は複数の症状の重症度における約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%だけの低下を指す。
【0082】
本明細書中で使用するように、用語「局所投与」は、製剤を対象の表面又は局所領域に直接的に接触させることによる対象への送達を指す。局所送達の最も一般的な形態は皮膚に対してであるが、しかし、本明細書中に開示する組成物はまた、体の他の表面(例、眼、粘膜)に、体腔の表面に、又は内部表面に直接的に適用することができる。上に言及するように、最も一般的な局所送達は皮膚に対してである。この用語は、いくつかの投与経路(局所及び経皮を含むが、これらに限定されない)を包含する。これらの投与様式は、典型的には、皮膚の透過性バリアの浸透及び標的組織又は層への効率的な送達を含む。局所投与は、表皮及び真皮に浸透し、最終的に組成物の全身送達を達成するための手段として使用することができる。
【0083】
本明細書中で使用するように、用語「局所製剤」(同義語として「局所組成物」)は、それを必要とする対象の罹患領域への局所又は局所的適用のために意図される医薬調製物を指すために本明細書中で使用し、ゲル、クリーム、軟膏、乳剤、懸濁液、溶液、液滴、ローション、塗布剤、ペッサリー、圧注、坐剤、トローチ、噴霧剤、スポンジ、フィルム、又は泡のような投与形態を含む。好ましくは、局所製剤はクリーム、ゲル、又は軟膏の形態である。
【0084】
本発明に従ったポリペプチドの「変異体」は、(i)1つ又は複数のアミノ酸残基が保存的又は非保存的アミノ酸残基(好ましくは保存的アミノ酸残基)で置換されるものであって、そのような置換されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによりコードされうる、又はされないであろう、(ii)1つ又は複数の修飾アミノ酸残基、例えば、置換基の付着により修飾される残基があるもの、(iii)ポリペプチドが、本発明のポリペプチドのオルタナティブスプライシング変異体であるもの、(iv)ポリペプチドのフラグメント、及び/又は(v)ポリペプチドが別のポリペプチド、例えばリーダー配列又は分泌配列あるいは精製(例えば、Hisタグ)のために又は検出(例えば、Sv5エピトープタグ)のために用いられる配列などと融合されているものである。フラグメントは、本来の配列のタンパク質分解切断(多部位タンパク質分解を含む)を介して生成されたポリペプチドを含む。変異体は、翻訳後修飾又は化学修飾されうる。そのような変異体は、本明細書中の教示から当技術分野の当業者の範囲内であると見なされる。
【0085】
範囲:本開示を通じて、本発明の種々の態様を範囲形式において提示することができる。範囲形式における記載は、単に便宜及び簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の記載は、全ての可能な小範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えるべきである。例えば、範囲、例えば1から6などの記載は、小範囲、例えば1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6など、ならびにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を具体的に開示していると考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0086】
定義
【0087】
本発明は、部分的に、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌のバイオフィルムの多様性と戦うことができ、さらにはバイオフィルムを留置医療機器から除去することができるヒトモノクローナル抗体を使用したバイオフィルム産生細菌の処置を可能にする新規治療標的の同定に基づく。本発明は、新規抗原を標的化し、(1)深部及び異物/バイオフィルム関連感染を処置するためのパラダイムを変化させ、(2)既存の薬剤耐性表現型と非交差耐性である抗原を標的化することにより多剤耐性細菌の処置を改善し、及び(3)多種多様な細菌に対して有効でありうる新規mAb薬物を可能にする。
【0088】
本発明は、増強された抗菌効力を有し、微生物感染(例えば細菌感染など)を阻害する、低下させる、又は処置するため、及び/又は微生物を脱コロニー形成させるため、及び/又は細菌バイオフィルム形成を破壊する、崩壊させる、阻害する、又は低下させるために有効な組成物を提供する。本明細書中に記載するのは、汎アミロイド結合活性を有する抗体が複数の微生物種からのバイオフィルムを崩壊させるという驚くべき予想外の発見である。さらに、本発明の抗アミロイド抗体及び抗生物質処置との組み合わせは、微生物を処置するために使用される場合、微生物、コロニー形成もしくは感染、又はバイオフィルム形成に対して相乗効果を示す。本明細書中で使用するように、用語「相乗」は、各々の化合物の別々の添加により得られる効果よりも大きい、化合物及び/又は薬剤を組み合わせることにより得られる効果を指す。本発明の組み合わせ処置は、例えば、応答の程度、応答の持続時間、応答速度、安定化速度、安定化の持続時間、感染を低下又は排除するための時間、微生物を根絶するための時間、その従来の用量での組み合わせ処置の成分の1つ又は他の投与時に達成可能なものにより測定される相乗効果を示している。例えば、本発明の組み合わせ処置の効果は相乗的である。なぜなら、この組み合わせ処置が、1つの成分単独を用いて達成可能な効果又は別々に作用する組み合わせ成分の相加効果よりも治療的に優れているためである。優れた効果は、微生物からの薬剤耐性における改善された低下、微生物が組み合わせ処置により根絶され、検出不能になる程度でありうる。また、例えば、本発明の組み合わせ処置の効果は相乗的である。なぜなら、微生物を死滅させて感染を排除するためにより短い時間が必要であるからである。また、例えば、本発明の組み合わせ処置の効果は相乗的である。なぜなら、組み合わせ処置は、1つの成分単独を用いたものよりも広いスペクトルの抗菌活性を提供するからである。また、例えば、本発明の組み合わせ処置の効果は相乗的である。なぜなら、本発明中に記載する組成物中の成分の1つは、その従来の用量で投与され、他の成分は低下用量で投与され、例えば、微生物(例えば細菌など)を死滅させる及び/又はその成長を阻害する程度、微生物(例えば細菌など)を死滅させる及び/又はその成長を阻害するための時間、あるいは微生物コロニーを破壊又は阻害するための時間、あるいはバイオフィルム形成又は成長を崩壊させる又は阻害する又は低下させるための時間により測定される治療的効果は、組み合わせ処置の成分の従来の量の投与時に達成可能なものと等価であるからである。
【0089】
組成物
【0090】
本発明の組成物は、細菌活動に関連付けられる任意の疾患、障害、又は状態を処置する、防止する、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、細菌感染に対して処置する、防止する、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、細菌のバイオフィルム形成に対して処置する、防止する、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、本発明は、グラム陽性及びグラム陰性細菌バイオフィルムの多様性と戦うことができるヒトモノクローナル抗体を使用したバイオフィルム産生細菌の処置を可能にする新規治療標的を提供する。
【0091】
特定の実施形態では、組成物は、腸内細菌科、バクテロイデス門、プロテオ細菌、フィルミクテス門、又はサーモデスルフォ細菌の感染を処置、防止、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、腸内細菌科、バクテロイデス門、プロテオ細菌、フィルミクテス門、又はサーモデスルフォ細菌のバイオフィルム形成を処置、防止、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、サルモネラ・ティフィムリウム(Sティフィムリウム)感染を処置、防止、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、Sティフィムリウムのバイオフィルム形成に対して処置、防止、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、大腸菌(Ecoli)感染を処置、防止、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、大腸菌のバイオフィルム形成を治療、防止、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、エルシニア・ペスチス(Yペスチス)感染を処置、防止、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、Yペスチスのバイオフィルム形成を処置、防止、及び/又は保護することができる。特定の実施形態では、組成物は、疾患(髄膜炎、腸炎、ペスト、及び敗血症を含むが、これらに限定されない)を処置、防止、及び/又は保護することができる。
【0092】
種々の実施形態では、本発明はアミロイド阻害剤の組成物を含む。種々の実施形態では、本発明のアミロイド阻害剤の組成物はアミロイド線維化を減少又は阻害する。一実施形態では、アミロイド阻害剤は、腸内バイオフィルムの主成分であるアミロイドcurliを標的化する。一実施形態では、本発明は、バイオフィルムの構造、安定性における変化をもたらし、全体としてバイオフィルムの低下をもたらす、バイオフィルム内のcurliを標的化するアミロイド阻害剤を提供する。
【0093】
一実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成に関与する細菌性アミロイドcurliに結合し、その線維化を阻害するアミロイド阻害剤を提供する。一実施形態では、アミロイド阻害剤は、アミロイドβに対して反応性を示し、ならびに細菌バイオフィルムの状況内で抗curli特性を示すヒトモノクローナル抗体である。
【0094】
本明細書中で提供する開示に基づき、アミロイド線維化における減少が、アミロイド発現における減少(転写、翻訳、又はその両方を含む)を含み、また、RNAレベル(例、RNAi、shRNAなど)及びタンパク質レベル(例、分解など)を含む、アミロイドの分解を促進させることを包含することが、当技術分野の当業者により理解されるであろう。当業者はまた、一度、本発明の教示を具備すれば、アミロイド線維化における減少が、アミロイド活性(例、酵素活性、基質結合活性、受容体結合活性など)における減少を含むことを認識するであろう。このように、アミロイド線維化を減少させることは、アミロイドをコードする核酸の転写、翻訳、又はその両方を減少させることを含むが、これらに限定されない;及び、それは、アミロイドポリペプチド、又はそのペプチドフラグメントの任意の活性を減少させることも含む。本発明のアミロイド阻害剤の組成物及び方法は、アミロイドを選択的に阻害することができる、又はアミロイド及び別の分子の両方を阻害することができる。
【0095】
アミロイド線維化の阻害は、多種多様な方法(本明細書中に開示する方法を含む)、ならびに当技術分野において公知の、又は将来において開発される方法を使用して評価することができる。すなわち、当技術分野における当業者は、本明細書中で提供する開示に基づき、アミロイドのレベル又は活性を減少させることを、アミロイドをコードする核酸(例、mRNA)のレベル、生物学的サンプル中に存在するアミロイドポリペプチド、又はそのペプチドフラグメントのレベル、アミロイド活性(例、酵素活性、基質結合活性、受容体結合活性など)のレベル、又はそれらの組み合わせを評価する方法を使用して容易に評価することができることを認識するであろう。
【0096】
当業者は、本明細書中で提供する開示に基づき、本発明が、対象が他の薬物療法又は治療も用いて処置されているか否かにかかわらず、それを必要とする対象において疾患又は障害を処置又は防止する際に有用であることを理解するであろう。さらに、当業者は、本明細書中で提供する教示に基づき、本明細書中に記載する組成物及び方法により処置可能な疾患又は障害が、アミロイドが役割を果たす、及び減少したアミロイド線維化がポジティブな治療転帰を促進する任意の疾患又は障害を包含することをさらに認識するであろう。アミロイド、又はアミロイドフラグメントのレベル又は活性(例、アミロイド線維化など)を減少させる本発明のアミロイド阻害剤の組成物及び方法は、化学的化合物、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物(peptidomemetic)、抗体、抗体フラグメント、抗体模倣物、リボザイム、小分子の化学的化合物、ショートヘアピンRNA、RNAi、アンチセンス核酸分子(例、siRNA、miRNAなど)、アンチセンス核酸分子をコードする核酸、タンパク質をコードする核酸配列、又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されると解釈すべきではない。一部の実施形態では、阻害剤はアロステリック阻害剤である。当業者は、本明細書中で提供する開示に基づき、アミロイド阻害剤の組成物が、アミロイド線維化を減少させる任意の化学的化合物を包含することを容易に認識するであろう。加えて、アミロイド阻害剤の組成物は、化学分野の当業者に周知であるように、化学的に修飾された化合物及び誘導体を包含する。
【0097】
さらに、当業者は、本開示及び本明細書中に例示する方法を備えている場合、アミロイド阻害剤の組成物が、薬理学の技術分野において周知の基準、例えば本明細書中に詳細に記載している、及び/又は当技術分野において公知であるアミロイドの阻害の生理学的結果などにより同定されうるように、将来において発見されるような阻害剤を含むことを理解するであろう。従って、本発明は、本明細書中で例示又は開示されるような任意の特定のアミロイド阻害剤の組成物に決して限定されない;むしろ、本発明は、当技術分野において公知であるような、及び将来において発見されるような、当業者により有用であると理解されうるそれらの阻害剤の組成物を包含する。
【0098】
アミロイド阻害剤の組成物を同定及び産生するさらなる方法は、当業者に周知であり、天然の供給源(例、ストレプトマイセス属、シュードモナス属、スチロテラ・アウランチウム(Stylotella aurantium)など)から阻害剤を得ることを含むが、これらに限定されない。あるいは、アミロイド阻害剤を化学的に合成することができる。さらに、日常使用者は、本明細書中で提供する教示に基づき、アミロイド阻害剤の組成物を組換え生物から得ることができることを認識するであろう。アミロイド阻害剤を化学的に合成するための、及びそれらを天然供給源から得るための組成物及び方法は、当技術分野において周知であり、当技術分野において記載されている。
【0099】
当業者は、阻害剤が、化学的化合物、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、抗体、抗体フラグメント、抗体模倣物、リボザイム、小分子化学的化合物、ショートヘアピンRNA、RNAi、アンチセンス核酸分子(例、siRNA、miRNAなど)、アンチセンス核酸分子をコードする核酸、タンパク質をコードする核酸配列、アミロイド受容体、アミロイド受容体フラグメント、又はそれらの組み合わせそのとして投与することができることを認識するであろう。多数のベクターならびに他の組成物及び方法が、タンパク質又はタンパク質をコードする核酸構築物を細胞又は組織に投与するために周知である。従って、本発明は、アミロイドの阻害剤であるタンパク質又はタンパク質をコードする核酸を投与する方法を含む(Sambrook et al., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York; Ausubel et al., 1997, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York)。
【0100】
当業者は、それ自体でアミロイドのレベル又は活性を増加させる分子の量又は活性を減弱させることが、アミロイドのレベル又は活性を減少させるために本発明の組成物及び方法において役立つことができることを認めるであろう。
【0101】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNA分子の一部の部分に相補的であるDNA分子又はRNA分子である。細胞中に存在する場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、既存のRNA分子にハイブリダイズし、遺伝子産物中への翻訳を阻害する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して遺伝子の発現を阻害することは、細胞中でアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現させる方法(Inoue, U.S. Pat. No. 5,190,931)と同様に、当技術分野において周知である(Marcus-Sekura, 1988, Anal. Biochem. 172:289)。本発明の方法は、アミロイドの量を減弱させるため、あるいはアミロイドの量又は活性における増加を起こす分子の量を減弱させ、それによりアミロイドの量又は活性を減少させるためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を含む。
【0102】
本発明において熟慮するのは、当業者に周知の方法を用いて合成され、細胞に提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一例として、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10と約100の間、より好ましくは約15と約50の間のヌクレオチド長になるように合成することができる。核酸分子の合成は、非修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドとの比較において生物学的活性を改善するための修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドの合成(Tullis, 1991、米国特許第5,023,243号)と同様に、当技術分野において周知である。
【0103】
同様に、遺伝子の発現は、遺伝子のプロモーター又は他の調節エレメントへのアンチセンス分子のハイブリダイゼーションにより阻害され、それにより、遺伝子の転写に影響を及ぼしうる。目的の遺伝子と相互作用するプロモーター又は他の調節エレメントの同定のための方法は、当技術分野において周知であり、酵母ツーハイブリッドシステム(Bartel and Fields, eds., In: The Yeast Two Hybrid System, Oxford University Press, Cary, N.C.)のような方法を含む。
【0104】
あるいは、アミロイドを発現する遺伝子、又はアミロイドのレベル又は活性を増加させるタンパク質を発現する遺伝子の阻害は、リボザイムの使用を通じて達成することができる。遺伝子発現を阻害するためにリボザイムを使用することは、当業者に周知である(例、Cech et al., 1992, J. Biol. Chem. 267:17479; Hampel et al., 1989, Biochemistry 28: 4929; Altman et al., U.S. Pat. No. 5,168,053を参照のこと)。リボザイムは、他の一本鎖RNA分子を切断する能力を伴う触媒RNA分子である。リボザイムは配列特異的であることが公知であり、従って、特定のヌクレオチド配列を認識するように修飾することができ(Cech, 1988, J. Amer. Med. Assn. 260:3030)、特定のmRNA分子の選択的切断を可能にする。分子のヌクレオチド配列が与えられれば、当業者は、本明細書中に組み入れられる開示及び参考文献を提供されて、過度の実験を伴わずにアンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムを合成することができうる。
【0105】
あるいは、アミロイドを発現する遺伝子、又はアミロイドのレベル又は活性を増加させるタンパク質を発現する遺伝子の阻害は、ショートヘアピンRNA又はアンチセンスRNA(siRNA、miRNA、及びRNAiを含む)の使用を通じて達成することができる。分子のヌクレオチド配列が与えられれば、当業者は、本明細書中に組み入れられる開示及び参考文献を提供されて、過度の実験を伴わずにそのようなショートヘアピンRNA又はアンチセンスRNAを合成することができる。
【0106】
本明細書中に詳述される方法を含む本開示を具備した場合、本発明は、既に確立されている疾患又は障害の処置に限定されないことが当業者により認識されるであろう。特に、疾患又は障害は、対象に有害な点まで顕在化している必要はなく;実際に、疾患又は障害を、処置を投与する前に、対象において検出する必要はない。すなわち、有意な疾患又は障害が、本発明が利益を提供しうる前に生じる必要はない。従って、本発明は、アミロイド阻害剤の組成物が、本明細書中の他の場所で考察されているように、疾患又は障害の発症前に対象に投与され、それにより疾患又は障害が発生するのを防止することができるという点で、対象において疾患又は障害を防止するための方法を含む。
【0107】
本発明は、アミロイドに結合する組成物を提供する。一実施形態では、アミロイド結合薬剤は、アミロイドのレベル又は活性を阻害する。このように、アミロイド活性の低下が有益でありうる疾患及び状態において、そのような阻害性アミロイド結合剤は、潜在的に治療薬として作用することができる。
【0108】
抗アミロイド抗体
【0109】
本発明の抗体(そのアミロイド結合フラグメントを含む)は、特定の実施形態では、任意の適したポリヌクレオチドによりコードされる本明細書中で開示する抗体アミノ酸配列、又は任意の単離もしくは製剤化された抗体を含む。さらに、本開示の抗体は、本明細書中に記載する抗アミロイド抗体の構造的及び/又は機能的特徴を有する抗体を含む。一実施形態では、抗アミロイド抗体はアミロイドに結合し、それによりアミロイドの少なくとも1つの生物学的活性(例、アミロイド線維化)を部分的又は実質的に変化させる。一部の実施形態では、アミロイドは微生物アミロイドである。
【0110】
一実施形態では、本発明の抗アミロイド抗体は、アミロイドタンパク質、ペプチド、サブユニット、フラグメント、部分、又はそれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定のエピトープに免疫特異的に結合し、他の種からのアミロイド以外の他のポリペプチドには特異的に結合しない。少なくとも1つのエピトープは、アミロイドタンパク質の少なくとも1つの部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことができる。本明細書中で使用する用語「エピトープ」は、抗体に結合することが可能なタンパク質決定基を指す。エピトープは通常、分子の化学的に活性な表面基(例えばアミノ酸又は糖側鎖など)から成り、通常、特定の三次元構造特性、ならびに特定の電荷特性を有する。立体構造エピトープ及び非立体構造エピトープは、後者ではなく、前者への結合が変性溶媒の存在において失われる点で区別される。
【0111】
本発明は、汎アミロイド結合活性を有する少なくとも1つの抗体を含む免疫学的組成物を提供する。例えば、一実施形態では、組成物は、アミロイドタンパク質のベータシート構造に特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む。例示的な抗アミロイド抗体は、ALZ.3H3、ALZ.2C10、ALZ.4G1、及びALZ.4A6を含むが、これらに限定されない。
【0112】
しかし、本発明は、方法及び組成物(これらの抗体を含む)又は抗原のこれらの部分のみに限定されると解釈すべきではない。むしろ、本発明は、その用語が本明細書中の他の場所で定義されるように、抗原又はその部分への他の抗体を含むと解釈すべきである。さらに、本発明は、とりわけ、目的の特定の抗原に結合する抗体を包含すると解釈すべきであり、それらは、例えば、ウエスタンブロットで、酵素結合イムノアッセイにおける溶液中で、蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイにおいて、磁気活性化細胞選別(MACS)アッセイにおいて、及び抗原タンパク質の少なくとも部分をコードする核酸を用いて一過性にトランスフェクトされた細胞の免疫蛍光顕微鏡法において存在する抗原に結合することができる。
【0113】
当業者は、本明細書中で提供する開示に基づき、抗体が抗原の任意の部分と特異的に結合することができ、全長タンパク質を使用してそれについて特異的な抗体を生成することができることを認識するであろう。しかし、本発明は、全長タンパク質を免疫原として使用することに限定されない。むしろ、本発明は、タンパク質の免疫原性部分を使用し、特定の抗原と特異的に結合する抗体を産生することを含む。すなわち、本発明は、抗原の免疫原性部分、又は抗原決定基を使用して動物を免疫化することを含む。
【0114】
一度、目的の特定の抗原の配列及びタンパク質の種々の保存及び非保存ドメインを局在化する詳細な分析を具備すれば、当業者は、本明細書中で提供する開示に基づき、当技術分野において周知の又は開発される方法を使用し、抗原の種々の部分について特異的な抗体をいかにして得るかを理解するであろう。
【0115】
当業者は、本明細書中で提供する開示に基づき、その本発明が単一の抗原性エピトープを認識する単一の抗体の使用を含むが、しかし、本発明が単一の抗体の使用に限定されないことを認識するであろう。代わりに、本発明は、抗体が同じ又は異なる抗原性タンパク質エピトープに向けられうる少なくとも1つの抗体の使用を包含する。
【0116】
抗体を作製及び使用する方法は、当技術分野において周知である。例えば、本発明において有用なポリクローナル抗体は、当技術分野において周知の標準的な免疫学的技術に従ってウサギを免疫化することにより生成することができる(例、Harlow et al., 1988, In: Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NYを参照のこと)。そのような技術は、別のタンパク質の部分(例えばマルトース結合タンパク質又はグルタチオン(GSH)タグポリペプチド部分など)、及び/又は目的の抗原性タンパク質が免疫原性になるような部分(例、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と共役された目的の抗原)及びそれぞれの抗原性タンパク質のアミノ酸残基を含む部分を含むキメラタンパク質を用いて動物を免疫化することを含む。キメラタンパク質は、マーカータンパク質をコードする適切な核酸を、この目的のために適したプラスミドベクター(例えばpMAL-2又はpCMXなどであるが、これらに限定されない)中にクローニングすることにより産生する。
【0117】
ポリクローナル抗体の生成は、所望の動物を、抗原を用いて接種し、標準的な抗体産生方法、例えば、Harlow et al.(1988, In: Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY)において記載されているようなものを使用し、そこからの抗原に特異的に結合する抗体を単離することにより達成される。
【0118】
タンパク質又はペプチドの全長又はペプチドフラグメントに対して向けられたモノクローナル抗体は、任意の周知のモノクローナル抗体調製手順、例えば、Harlowら(1988, In: Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY)において及びTuszynskiら(1988, Blood, 72:109-115)において記載されているものなどを使用して調製してもよい。所望のペプチドの量はまた、化学的合成技術を使用して合成してもよい。あるいは、所望のペプチドをコードするDNAをクローン化し、大量のペプチドの生成のために適した細胞中の適切なプロモーター配列から発現させてもよい。ペプチドに対して向けられたモノクローナル抗体は、本明細書中で参照するような標準的手順を使用し、ペプチドを用いて免疫化されたマウスから生成される。
【0119】
本明細書中に記載する手順を使用して得られたモノクローナル抗体をコードする核酸は、当技術分野において利用可能であり、例えば、Wrightら(1992, Critical Rev. Immunol. 12:125-168)、及びそこにおいて引用されている参考文献において記載されている技術を使用してクローン化及び配列決定されうる。さらに、本発明の抗体は、例えば、Wrightら、及びそこにおいて引用されている参考文献、ならびにGuら(1997, Thrombosis and Hematocyst 77:755-759)において記載されている技術、ならびに当技術分野において周知の又は開発される抗体をヒト化する他の方法を使用して「ヒト化」されうる。
【0120】
本発明はまた、目的の抗原のエピトープと特異的に反応性であるヒト化抗体の使用を含む。本発明のヒト化抗体は、ヒトフレームワークを有し、抗体、典型的にはマウス抗体からの1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)を有し、目的の抗原と特異的に反応性であり。本発明中で使用する抗体がヒト化されている場合、抗体は、Queenら(米国特許第6,180,370号)、Wrightら(上記)において、及びそれらにおいて引用されている参考文献において、又はGuら(1997, Thrombosis and Hematocyst 77(4):755-759)において記載されているように生成されうる。Queenらにおいて開示されている方法は、アクセプターヒトフレームワーク領域をコードするDNAセグメントに付着された、所望の抗原(例えば目的の抗原上のエピトープなど)に結合することが可能なドナー免疫グロブリンからの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)をコードする組換えDNAセグメントを発現することにより産生されるヒト化免疫グロブリンを設計することに部分的に向けられている。一般的に言えば、Queenの特許における発明は、実質的に任意のヒト化免疫グロブリンの設計に向けた適用可能性を有する。Queenは、DNAセグメントが、典型的には、ヒト化免疫グロブリンコード配列(天然に関連する又は異種のプロモーター領域を含む)に作動可能に連結された発現制御DNA配列を含むと説明している。発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトすることが可能なベクター中の真核生物プロモーターシステムでありうる、あるいは発現制御配列は、原核宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトすることが可能なベクター中の原核生物プロモーターシステムでありうる。一度、ベクターが適切な宿主中に組み入れられると、宿主は、導入されたヌクレオチド配列の高レベル発現のために適した条件下で維持され、望ましい場合、ヒト化軽鎖、重鎖、軽鎖/重鎖二量体又はインタクト抗体、結合フラグメント又は他の免疫グロブリン形態の収集及び精製が続きうる(Beychok, Cells of Immunoglobulin Synthesis, Academic Press, New York, (1979)、これを参照により本明細書中に組み入れる)。
【0121】
本発明はまた、本明細書中に記載する抗体の機能的等価物を含む。機能的等価物は、抗体の結合特性と同等の結合特性を有し、例えば、ハイブリダイズした一本鎖抗体、ならびにそれらのフラグメントを含む。そのような機能的等価物を産生する方法は、PCT出願WO93/21319及びPCT出願WO89/09622において開示されている。
【0122】
機能的等価物は、抗体の可変領域又は超可変領域のアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を伴うポリペプチドを含む。「実質的に同じ」アミノ酸配列は、Pearson and Lipman, 1988 Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85: 2444-2448に従ったFASTA検索方法により決定されるように、別のアミノ酸配列(又は70から99の間の任意の整数)と少なくとも70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、及び最も好ましくは少なくとも99%の相同性を伴う配列として本明細書中で定義する。キメラ抗体又は他のハイブリッド抗体は、ヒト抗体定常領域から実質的又は排他的に由来する定常領域及び各々の安定ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の可変領域の配列から実質的又は排他的に由来する可変領域を有する。
【0123】
一本鎖抗体(scFv)又はFvフラグメントは、相互接続リンカーを伴い又は伴わずに、軽鎖の可変領域に連結された抗体の重鎖の可変領域からなるポリペプチドである。このように、Fvは抗体結合部位を含む。
【0124】
本発明の抗体の機能的等価物は、抗体全体の結合特性と同じ、又は実質的に同じ結合特性を有する抗体のフラグメントをさらに含む。そのようなフラグメントは、Fabフラグメント又はF(ab’)2フラグメントの1つ又は両方を含みうる。抗体フラグメントは、抗体全体の全ての6つの相補性(complement)決定領域を含むが、全てよりも少ないそのような領域(3、4、又は5つの相補性(complement)決定領域など)を含むフラグメントも機能的である。機能的等価物は、IgG免疫グロブリンクラス及びそのサブクラスのメンバーであるが、しかし、以下の免疫グロブリンクラス:IgM、IgA、IgD、又はIgEのいずれか1つ及びそれらのサブクラスでありうる、又は組み合わせうる。種々のサブクラス(例えばIgGサブクラスなど)の重鎖は、異なるエフェクター機能について関与しており、このように、所望の重鎖定常領域を選ぶことにより、所望のエフェクター機能を伴うハイブリッド抗体が産生される。例示的な定常領域は、ガンマ1(IgG1)、ガンマ2(IgG2)、ガンマ3(IgG3)、及びガンマ4(IgG4)である。軽鎖定常領域はカッパ型又はラムダ型でありうる。
【0125】
本発明の免疫グロブリンは、一価、二価、又は多価でありうる。一価の免疫グロブリンは、ジスルフィド架橋を通じてハイブリッド軽鎖と会合されたハイブリッド重鎖で形成された二量体(HL)である。二価の免疫グロブリンは、少なくとも1つのジスルフィド架橋を通じて会合された2つの二量体で形成された四量体(H2L2)である。
【0126】
抗体は、CDRに支持を提供し、互いに対するCDRの空間的関係を定義する重鎖及び軽鎖のフレームワーク(「FR」)組の間にそれぞれ挿入された重鎖及び軽鎖の相補性決定領域(「CDR」)組を含みうる。CDR組は、重鎖又は軽鎖のV領域の3つの超可変領域を含みうる。重鎖又は軽鎖のN末端から進んで、これらの領域をそれぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」として表示する。抗原結合部位は、従って、重鎖及び軽鎖のV領域の各々からのCDR組を含む、6つのCDRを含みうる。
【0127】
抗体は、対象内で半減期を有しうる。一部の実施形態では、抗体は、対象内でのその半減期を延長又は短縮するように修飾されうる。修飾は、抗体の定常領域中に存在しうる。修飾は、1つ又は複数のアミノ酸置換を含まない抗体の半減期と比較し、抗体の半減期を延長させる、抗体の定常領域における1つ又は複数のアミノ酸置換でありうる。修飾は、1つ又は複数のアミノ酸置換を含まない抗体の半減期と比較し、抗体の半減期を延長させる、抗体のCH2ドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸置換でありうる。
【0128】
一部の実施形態では、定常領域における1つ又は複数のアミノ酸置換は、定常領域中のメチオニン残基をチロシン残基で、定常領域中のセリン残基をスレオニン残基で、定常領域中のスレオニン残基をグルタミン酸残基で置換すること、又はそれらの任意の組み合わせを含み、それにより抗体の半減期を延長させうる。
【0129】
他の実施形態では、定常領域における1つ又は複数のアミノ酸置換は、CH2ドメイン中のメチオニン残基をチロシン残基で、CH2ドメイン中のセリン残基をスレオニン残基で、CH2ドメイン中のスレオニン残基をグルタミン酸残基で置換すること、又はそれらの任意の組み合わせを含み、それにより抗体の半減期を延長させうる。
【0130】
抗体は脱フコシル化することができる。フコシル化は、分子への糖フコースの付加、例えば、N-グリカン、O-グリカン、及び糖脂質へのフコースの付着を含む。したがって、脱フコシル化抗体において、フコースは定常領域の糖鎖に付着していない。抗体は、抗体のフコシル化を防止又は阻害するように修飾されうる。修飾は、重鎖、軽鎖、又はそれらの組み合わせ中でありうる。修飾は、重鎖における1つ又は複数のアミノ酸置換、軽鎖における1つ又は複数のアミノ酸置換、又はそれらの組み合わせでありうる。
【0131】
抗アミロイド抗体は、組成物が投与された対象において疾患を処置、防止、及び/又はそれに対して保護することができる。抗アミロイド抗体は、組成物が投与された対象において疾患の生存を促進することができる。一実施形態では、抗アミロイド抗体は、抗アミロイド抗体が投与されていない、疾患を有する対象の予想される生存を超えて、対象における疾患の増加した生存を提供することができる。種々の実施形態では、抗アミロイド抗体は、組成物の非存在における予想される生存を超えて、組成物が投与された対象において疾患の生存における少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%増加を提供することができる。
【0132】
一実施形態では、抗アミロイド抗体は、抗アミロイド抗体が投与されていない対象の予想される保護を超えて、対象において疾患に対する増加した保護を提供することができる。種々の実施形態では、抗アミロイド抗体は、組成物の非存在における予想される保護を超えて、組成物が投与された対象の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%において疾患に対して保護することができる。
【0133】
抗生物質処置との組み合わせ
【0134】
一態様では、本発明は、本発明の抗アミロイド抗体を、少なくとも1つの追加の薬剤との組み合わせにおいて含む組成物を提供する。一実施形態では、追加の薬剤は抗生物質である。一態様では、本発明は、本発明の抗アミロイド抗体及び抗生物質処置を含む組成物を提供する。一実施形態では、本発明の抗アミロイド抗体と抗生物質処置の間の重量比は、約10:1から約1:10である。一実施形態では、本発明の抗アミロイド抗体と抗生物質処置の間の重量比は、約4:1から約1:4である。一実施形態では、本発明の抗アミロイド抗体と抗生物質処置の間の重量比は、約2:1から約1:2である。一実施形態では、本発明の抗アミロイド抗体と抗生物質処置の間の重量比は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約2:1、約3:1、約4:1、又は約5:1である。一実施形態では、本発明の抗アミロイド抗体及び本発明の組成物中の抗生物質処置の全濃度は、約1重量%から約50重量%である。一実施形態では、本発明の抗アミロイド抗体及び本発明の組成物中の抗生物質処置の全濃度は、組成物の単位当たり約50重量パーセント(重量%)、約40重量%、約30重量%、約25重量%、約20重量%、約15重量%、約10重量%、約5重量%、約3重量%、約2重量%、約1重量%である。
【0135】
医薬組成物及び製剤
【0136】
本発明はまた、汎アミロイド活性を有する抗体を含む医薬組成物を包含する。一実施形態では、医薬組成物は、細菌感染を阻害するために有用である。一実施形態では、医薬組成物は、抗菌剤耐性を克服するために有用である。そのような医薬組成物は、対象への投与のために適した形態において汎アミロイド活性を有する抗体からなりうる。一実施形態では、本発明の組成物は、汎アミロイド活性を有する抗体をコードする核酸分子を含みうる。
【0137】
一実施形態では、本発明の方法を実践するために有用な医薬組成物は、1ng/kg/日と100mg/kg/日の間の用量を送達するように投与されうる。別の実施形態では、本発明を実践するために有用な医薬組成物は、1ng/kg/日と500mg/kg/日の間の用量を送達するように投与されうる。
【0138】
本発明の医薬組成物中の活性成分、医薬的に許容可能な担体、及び任意の追加の成分の相対量は、処置される対象の同一性、サイズ、及び状態に依存して、及びさらに組成物が投与される経路に依存して変動しうる。例として、組成物は、0.1%と100%(w/w)の間の活性成分を含みうる。
【0139】
本発明の方法において有用な医薬組成物は、経口、直腸、膣、局所、経皮、眼科、髄腔内、又は別の経路の投与のために適宜開発されうる。投与の経路は、当業者には容易に明らかであり、任意の数の要因(処置されている疾患の種類及び重症度、処置されている獣医又はヒト患者の種類及び年齢などを含む)に依存するであろう。
【0140】
本明細書中に記載する医薬組成物の製剤は、薬理学の技術分野において公知である、又は今後開発される任意の方法により調製されうる。一般的に、そのような調製方法は、活性成分を担体あるいは1つ又は複数の他の副成分と会合させ、次に、必要である又は望ましい場合、産物を所望の単一又は複数用量単位中に成形又は包装することを含む。
【0141】
本明細書中で使用するように、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む個別の量の医薬組成物である。活性成分の量は、一般的に、対象に投与されうる活性成分の投与量、又はそのような投与量の便利な画分、例えば、そのような投与量の半分又は3分の1などに等しい。単位投与量形態は、単一の1日用量又は複数の1日用量(例、1日当たり約1から4回又はそれ以上)の1つのためでありうる。複数の1日用量が使用される場合、単位投与量は、各々の用量について同じでありうる又は異なりうる。
【0142】
本明細書中で提供する医薬組成物の記載は、ヒトへの倫理的投与のために適している医薬組成物に主に向けられるが、そのような組成物が一般的に全ての種類の動物への投与のために適していることが当業者により理解されるであろう。組成物を種々の動物への投与のために適するようにするために、ヒトへの投与のために適した医薬組成物の修飾は十分に理解されており、通常の熟練した獣医薬理学者は、ある場合には、単に通常の実験を用いてそのような修飾を設計及び実施することができる。本発明の医薬組成物の投与が熟慮される対象は、ヒト及び他の霊長類、哺乳動物(商業的に関連する哺乳動物、例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、及びイヌなどを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0143】
一実施形態では、本発明の組成物を、1つ又は複数の医薬的に許容可能な賦形剤又は担体を使用して製剤化する。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、汎アミロイド活性を有する治療有効量の抗体及び医薬的に許容可能な担体を含む。医薬的に許容可能な担体は、有用であり、グリセロール、水、生理食塩水、エタノール、及び他の医薬的に許容可能な塩溶液(例えばリン酸塩及び有機酸の塩など)を含むが、これらに限定されない。これら及び他の医薬的に許容可能な担体の例が、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1991, Mack Publication Co., ニュージャージー州)において記載されている。
【0144】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適した混合物、及び植物油を含む溶媒又は分散媒質でありうる。適当な流動性は、例えば、コーティング(例えばレシチンなど)の使用により、分散の場合における要求される粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により維持されうる。微生物の作用の防止又は低下は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成されうる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、又は多価アルコール(例えばマンニトール及びソルビトールなど)を組成物中に含めることが好ましいであろう。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム又はゼラチンを組成物中に含めることによりもたらされうる。
【0145】
製剤は、従来の賦形剤を伴う混合物中で用いてもよい。医薬調製物は、滅菌されうる、及び望ましい場合、補助剤(例、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝剤に影響を及ぼすための塩、着色剤、香味料、及び/又は芳香物質など)と混合されうる。それらはまた、望ましい場合、他の活性薬剤(例、他の鎮痛剤)と組み合わせてもよい。
【0146】
本明細書中で使用するように、「追加の成分」は、以下の1つ又は複数を含むが、これらに限定されない:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤;結合剤;潤滑剤;甘味剤;香味剤;着色剤;保存剤;生理学的に分解可能な組成物(例えばゼラチンなど);水性溶剤及び溶媒;油性溶剤及び溶媒;懸濁剤;分散剤又は湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;緩衝剤;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗真菌剤;防腐剤;抗ウイルス剤;抗凝固剤;安定剤;及び医薬的に許容可能なポリマー材料又は疎水性材料。本発明の医薬組成物中に含まれうる他の「追加の成分」は、当技術分野において公知であり、例えば、Genaro, ed.(1985, Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州イーストン)において記載されており、これは参照により本明細書中に組み入れられる。
【0147】
本発明の組成物は、組成物の約0.005総重量%から2.0総重量%の保存剤を含みうる。保存剤は、環境中での汚染物質への曝露の場合において腐敗を防止するために使用される。本発明に従って有用な保存剤の例は、ベンジルアルコール、ソルビン酸、パラベン、イミド尿素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される保存剤を含むが、これらに限定されない。特に好ましい保存剤は、約0.5%から2.0%のベンジルアルコール及び0.05%から0.5%のソルビン酸との組み合わせである。
【0148】
組成物は、好ましくは、化合物の分解を阻害する抗酸化剤及びキレート剤を含む。一部の化合物のための好ましい抗酸化剤は、組成物の約0.01総重量%から0.3総重量%の好ましい範囲中のBHT、BHA、アルファ-トコフェロール、及びアスコルビン酸、及びより好ましくは0.03から0.1総重量%の範囲中のBHTである。好ましくは、キレート剤は、組成物の0.01総重量%から0.5総重量%の量において存在する。特に好ましいキレート剤は、組成物の約0.01総重量%から0.20重量%の範囲中、及びより好ましくは0.02総重量%から0.10総重量%の範囲中のエデト酸塩(例、エデト酸二ナトリウム)及びクエン酸を含む。キレート剤は、製剤の有効期間まで有害でありうる組成物中の金属イオンをキレート化するために有用である。BHT及びエデト酸二ナトリウムは、それぞれ、一部の化合物について特に好ましい抗酸化剤及びキレート剤であり、他の適した等価の抗酸化剤及びキレート剤は、従って、当業者に公知でありうるように置換されうる。
【0149】
液体懸濁液を、従来の方法を使用して調製し、水性又は油性溶剤中の活性成分の懸濁物を達成しうる。水性溶剤は、例えば、水、及び等張生理食塩水を含む。油性溶剤は、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、植物油(例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、又はココナッツ油など)、分画植物油、及び鉱油(例えば液体パラフィンなど)を含む。液体懸濁液は、1つ又は複数の追加の成分(懸濁剤、分散剤又は湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、保存剤、緩衝剤、塩、香味料、着色剤、及び甘味剤を含むが、これらに限定されない)をさらに含みうる。油性懸濁液は増粘剤をさらに含みうる。公知の懸濁剤は、ソルビトールシロップ、水素化食用脂肪、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴム、及びセルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)を含むが、これらに限定されない。公知の分散剤又は湿潤剤は、天然ホスファチド(例えばレシチンなど)、脂肪酸を伴う、長鎖脂肪族アルコールを伴う、脂肪酸及びヘキシトールから由来する部分エステルを伴う、又は脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導された部分エステル(例、それぞれポリオキシエチレンステアレート、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)を伴うアルキレンオキシドの縮合産物を含むが、これらに限定されない。公知の乳化剤は、レシチン、及びアカシアを含むが、これらに限定されない。公知の保存剤は、メチル、エチル、又はn-プロピルパラヒドロキシベンゾエート、アスコルビン酸、及びソルビン酸を含むが、これらに限定されない。公知の甘味剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロース、及びサッカリンを含む。油性懸濁液用の公知の増粘剤は、例えば、蜜蝋、硬質パラフィン、及びセチルアルコールを含む。
【0150】
水性又は油性溶媒中の活性成分の液体溶液は、液体懸濁液と実質的に同じ様式で調製してもよく、主な違いは、活性成分が溶媒中に懸濁されるよりむしろ、溶解されることである。本明細書中で使用するように、「油性」液体は、炭素含有液体分子を含み、水よりも低い極性を示す液体である。本発明の医薬組成物の液体溶液は、液体懸濁液に関して記載された成分の各々を含みうるが、懸濁剤は溶媒中の活性成分の溶解を必ずしも助けるわけではないことが理解される。水性溶媒は、例えば、水、及び等張生理食塩水を含む。油性溶媒は、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、植物油(例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、又はココナッツ油など)、分画植物油、及び鉱油(例えば液体パラフィンなど)を含む。
【0151】
本発明の組成物は、水性乳剤(例えばラテックス、水性塗料及びコーティング、コーキング及び接着剤、テープジョイント化合物、鉱石スラリー、水冷却システム、パーソナルケア製品、石鹸及び洗剤、消毒薬、洗浄剤、及び清浄剤など)、農薬製品、油田の水、及び油田用途において使用される水性液(掘削泥、破砕液、及び静圧試験液を含む)などにおいて使用してもよい。一実施形態では、組成物は抗菌組成物である。一実施形態では、組成物は消毒剤である。
【0152】
本発明内で有用な組成物は、少なくとも1つの追加の抗菌剤をさらに含みうる。少なくとも1つの追加の抗菌剤の非限定的な例は、レボフロキサシン、ドキシサイクリン、ネオマイシン、クリンダマイシン、ミノサイクリン、ゲンタマイシン、リファンピン、クロルヘキシジン、クロロキシレノール、メチルイソチゾロン、チモール、α-テルピネオール、セチルピリジニウムクロリド、ヘキサクロロフェン、トリクロサン、ニトロフラントイン、エリスロマイシン、ナフシリン、セファゾリン、イミペネム、アストレオナム、ゲンタマイシン、スルファメトキサゾール、バンコマイシン、シプロフロキサシン、トリメトプリム、リファンピン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、テイコプラニン、ムピロシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、オフロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、スパルフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ミノサイクリン、リネキソリド、テマフロキサシン、トスフロキサシン、クリナフロキサシン、スルバクタム、クラブラン酸、アムホテリシンB、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ナイスタチン、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム(carbepenems)、ベータラクタム系抗生物質、アミノグリコシド、マクロライド、リンコサミド、糖ペプチド、テトラサイクリン(tetracylines)、クロラムフェニコール、キノロン、フシジン、スルホンアミド、トリメトプリム、リファマイシン、オキサリン、ストレプトグラミン、リポペプチド、ケトライド、ポリエン、アゾール、エキノカンジン、及びそれらの任意の組み合わせである。
【0153】
一実施形態では、本発明の化合物及び少なくとも1つの追加の抗菌剤は、細菌感染を防止する、低下させる、又は処置する際に相乗的に作用する。相乗効果は、例えば、適した方法、例えば、Sigmoid-Emax式(Holford & Scheiner, 19981, Clin. Pharmacokinet. 6: 429-453)、Loewe加法性の式(Loewe & Muischnek, 1926, Arch. Exp. Pathol Pharmacol. 114: 313-326)、及びmedian-effect式(Chou & Talalay, 1984, Adv. Enzyme Regul. 22: 27-55)を使用して計算しうる。上で言及した各々の式を実験データに適用して対応するグラフを生成し、薬物の組み合わせの効果を評価する際に助けとなりうる。上で言及した式に関連付けられる対応するグラフは、それぞれ濃度効果曲線、アイソボログラム曲線、及び組み合わせ指数曲線である。
【0154】
本発明の組成物は、局所投与のために適切に製剤化することができる。したがって、本発明は、微生物感染を処置するため、あるいは微生物を脱コロニー形成させるため、あるいは微生物のバイオフィルム形成を破壊する又は崩壊させる又は阻害する又は低下させるための局所製剤の使用を提供し、前記局所製剤は、本発明の抗アミロイド抗体を含む。
【0155】
一実施形態では、本発明の局所製剤は、クリーム、ローション、軟膏、ヒドロゲル、コロイド、ゲル、泡、オイル、ミルク、懸濁液、ワイプ、スポンジ、溶液、乳剤、ペースト、パッチ、綿球、スワブ、包帯、スプレー、又はパッドの形態を取りうる。
【0156】
本発明の局所製剤は、1つ又は複数の医薬的に許容可能な担体を含む。本発明の文脈において使用可能である医薬的に許容可能な担体の例は、担体材料、例えば溶媒、安定剤、可溶化剤、充填剤、浸透圧増強剤、構造形成剤、懸濁剤、分散剤、キレート剤、乳化剤、消泡剤、軟膏基剤、軟化剤、皮膚保護剤、ゲル形成剤、増粘剤、pH調整剤、保護剤、浸透増強剤、錯化剤、潤滑剤、粘滑剤、粘性増強剤、生体接着性ポリマー、又はそれらの組み合わせなどを含む。
【0157】
溶媒の例は、水又は精製水、アルコール(例、エタノール、ベンジルアルコール)、植物油、海洋性油、及び鉱油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、及び液体ポリアルキルシロキサンである。
【0158】
不活性希釈剤又は充填剤は、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶性セルロース、デンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウムでありうる。
【0159】
緩衝剤の例は、クエン酸、酢酸、乳酸、リン酸水素(hydrogenophosphoric acid)、ジエチルアミン、水酸化ナトリウム、及びトロメタン(即ち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩)を含む。
【0160】
適した懸濁剤は、例えば、天然ゴム(例、アカシアゴム、アラビアゴム、キサンタンゴム、及びトラガカントゴム)、セルロース(例、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)、アルギン酸、及びキトサンである。
【0161】
分散剤又は湿潤剤の例は、天然ホスファチド(例、レシチン又は大豆レシチン)、脂肪酸を伴う、又は長鎖脂肪族アルコール(例、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)を伴うエチレンオキシドの縮合生成物である。
【0162】
保存剤を、製剤の安定性に影響を及ぼしうる、及び/又は患者において感染を起こしうる微生物汚染を防止するために、本発明の局所組成物に加えてもよい。保存剤の適した例は、パラベン(例えばメチル、エチル、プロピル、p -ヒドロキシベンゾエート、ブチル、イソブチル、及びイソプロピルパラベンなど)、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸、安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ブロノポール、ブロニドックス、MDMヒダントイン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ベンザルコニウムクロリド、セトリミド、及びベンジルアルコールを含む。
【0163】
キレート剤の例は、EDTAナトリウム及びクエン酸を含む。
【0164】
ゲル基剤又は増粘剤の例は、液体パラフィン、ポリエチレン、脂肪油、コロイド状シリカ又はアルミニウム、グリセロール、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、カルボキシビニルポリマー、ケイ酸マグネシウム-アルミニウム、親水性ポリマー(例えば、デンプン又は セルロース誘導体)、水膨潤性親水コロイド、カラギーナン(carragenans)、ヒアルロン酸塩、アルギン酸塩、及びアクリレートである。
【0165】
本発明の組成物における使用のために適した軟膏基剤は、疎水性又は親水性でありうる。軟膏基剤は、パラフィン、ラノリン、液体ポリアルキルシロキサン、セタノール、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル、ポリエチレングリコール、及び脂肪酸のソルビタンエステル間の縮合産物、エチレンオキシド(例、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、ポリソルベート、白色ワセリン、及び白色ワックスを含むが、これらに限定されない。
【0166】
保水剤の例は、エタノール、イソプロパノールグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、乳酸、及び尿素を含むが、これらに限定されない。適した軟化剤はコレステロール及びグリセロールを含む。
【0167】
皮膚保護剤の例は、ビタミンE、アラントイン(allatoin)、グリセリン、酸化亜鉛、ビタミン、及び日焼け防止剤を含むが、これらに限定されない。
【0168】
増粘剤は一般的に、粘性を増加させ、医薬品又は化粧品の組成物の生体接着特性を改善するために使用される。増粘剤の例は、セルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、天然ゴム、ゼラチン、カラヤ、ペクチン、アルギン酸、ポビドン、及びCarbopol(登録商標)ポリマーを含むが、これらに限定されない。特に興味深いのは、チキソトロピー特性を伴う増粘剤(即ち、粘性が振盪又は撹拌により減少する薬剤)である。組成物中のそのような薬剤の存在によって、組成物の粘性を投与時に低下させて、皮膚へのその適用を促し、及び組成物が投与の部位に残存するように適用後に増加させることを可能にする。
【0169】
生体接着性ポリマーは、皮膚を水和させ、その透過性を増強するために有用である。生体接着性ポリマーはまた、増粘剤として機能することができる。生体接着性ポリマーの例は、ペクチン、アルギン酸、キトサン、ポリソルベート、ポリ(エチレングリコール)、オリゴ糖及び多糖、セルロースエステル及びセルロースエーテル、ならびに修飾セルロースポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0170】
浸透増強剤は、皮膚を通じた活性成分の送達に影響を及ぼす特定の薬剤を含む溶剤である。浸透増強剤は一般的に、2つのクラス:溶媒及び界面活性化合物(両親媒性分子)中に分割される。溶媒浸透増強剤の例は、アルコール(例、エチルアルコール、イソプロピルアルコール)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1-ドデシルアゾシクロヘプタン-2-オン、N-デシル-メチルスルホキシド、乳酸、N、N-ジエチル-m-トルアミド、N-メチルピロリドン、ノナン、オレイン酸、ペトロラタム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、サリチル酸、尿素、テルペン、及びトリクロロエタノールを含むが、これらに限定されない。界面活性剤浸透増強剤は、非イオン性、両性、カチオン性、又は双性イオン性でありうる。適した非イオン性(nonioinic)界面活性剤は、ポロキサマーとして商業的に公知であるポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマー;エトキシル化水素化ヒマシ油;ポリソルベート、例えばTween20又はTween80などを含むが、これらに限定されない。両性界面活性剤は四級化イミダゾール誘導体を含み、カチオン性界面活性剤は塩化セチピリジニウムを含み、及び双性イオン性界面活性剤はベタイン及びスルホベタインを含む。適した浸透増強剤の他の例は、とりわけ、ペンタデカラクトン、2-ピロリジン、1-ドデカル-アザシクロヘプタン-2-オン、チオグリコール酸カルシウム、ヘキサノール、1,3-ジオキサン(即ち、1,3-ジオキサシクロヘキサン)及び1,3-ジオキサラン(即ち、1,3-ジオキサシクロペンタン)の誘導体、1-N-ドデシル-2-ピロリドン-5-カルボン酸、2-ペンチル-2-オキソ-ピロリジン酢酸、2-ドデシル-2-オキソ-1-ピロリジン酢酸、及び1-アザシクロヘプタン-2-オン-2-ドデシル酢酸を含む。
【0171】
医療機器
【0172】
本発明は、本発明内で有用な組成物を用いて医療機器に適用すること又はコーティングすることを熟慮する。医療機器の非限定的な例は、ディスポーザブル又は永久カテーテル(例、中心静脈カテーテル、透析カテーテル、長期トンネル中心静脈カテーテル、短期中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、末梢挿入中心カテーテル、末梢静脈カテーテル、肺動脈スワンガンツカテーテル、尿路カテーテル、及び腹膜カテーテル、ドレナージカテーテル)、長期排尿装置、組織結合排尿装置、血管移植片、血管カテーテルポート、創傷ドレーンチューブ、心室カテーテル、水頭症用シャント心臓弁、心臓補助デバイス(例、左心室補助デバイス)、ペースメーカーカプセル、失禁デバイス、陰茎インプラント、小型又は一時的関節置換、尿拡張器、カニューレ、エラストマー、ハイドロゲル、外科用装置、歯科用装置、チューブ(例、静脈チューブ、呼吸チューブ、歯科用送水管、歯科用ドレーンチューブ、及び栄養チューブ)、ファブリック、紙、指示薬ストリップ(例、紙指示薬ストリップ又はプラスチック指示薬ストリップ)、接着剤(例、ヒドロゲル接着剤、熱融解接着剤、又は溶媒ベースの接着剤)、絆創膏、整形外科用インプラント、及び医療分野において使用される他の機器を含む。
【0173】
医療機器はまた、ヒト又は他の動物中に挿入又は移植されうる、又は挿入部位又は移植部位(例えば挿入部位又は移植部位の近くの皮膚など)に配置されうる、及び微生物及び/又はバイオフィルムに包埋された微生物によるコロニー形成に感受性である少なくとも1つの表面を含む任意の機器を含む。また、本発明内で熟慮されるのは、微生物及び/又はバイオフィルムに包埋された微生物が医療機器の少なくとも1つの表面上で成長又は増殖するのを防止するため、あるいは微生物及び/又はバイオフィルムに包埋された微生物を医療機器の少なくとも1つの表面(例えば手術室、緊急室、病室、診療所、及び浴室における設備の表面など)から除去又は洗浄するために望ましい又は必要でありうる任意の他の表面である。1つの特定の実施形態では、組成物を接着剤(例えばテープなど)中に組み込み、それにより、接着剤の少なくとも1つの表面上の微生物及び/又はバイオフィルムに包埋された微生物の成長又は増殖を防止又は低下しうる接着剤を提供する。
【0174】
植え込み型医療機器は、内視鏡検査を使用し、微生物及び/又はバイオフィルムに包埋された微生物による汚染又は感染について検査されうる整形外科用インプラントを含む。挿入可能な医療機器は、侵襲的技術(例えば内視鏡検査など)を伴わずに検査することができるカテーテル及びシャントを含む。医療機器は、当業者に公知の任意の適した金属材料又は非金属材料で形成されうる。金属材料の例は、チバニウム、チタン、及びステンレス鋼、ならびにそれらの誘導体又は組み合わせを含むが、これらに限定されない。非金属材料の例は、熱可塑性材料又は高分子材料、例えばゴム、プラスチック、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、シリコーン、Gortex(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)、Dacron(登録商標)(ポリエチレンテトラフタレート)、Teflon(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)、ラテックス、エラストマー、ゼラチン、コラーゲン、又はアルブミンを用いて密封されたDacron(登録商標)、及びそれらの誘導体又は組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。医療機器は、バイオフィルム浸透性組成物を適用するための少なくとも1つの表面を含む。一実施形態では、バイオフィルム浸透性組成物を医療機器全体に適用する。
【0175】
投与
【0176】
本発明は、微生物感染を処置するため、又は微生物を脱コロニー形成するため、又は微生物のバイオフィルム形成を破壊する又は崩壊させる又は阻害する又は低下させるための本発明の抗アミロイド抗体の使用を提供する。
【0177】
一実施形態では、本明細書中に記載する組成物は、対象への投与用である。一実施形態では、対象は、微生物感染又は微生物によるコロニー形成を有する。好ましくは、微生物感染部位又はコロニー形成部位は、微生物コロニー又はバイオフィルム又はバイオフィルム形成により特徴付けられる。好ましくは、微生物感染は細菌感染である。一実施形態では、細菌感染は、グラム陽性細菌又はグラム陰性細菌からである。一実施形態では、細菌感染は、スタフィロコッカス属(例、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミデス(Staphylococcus epidermidis));エンテロコッカス属(例、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis));クレブシエラ属(例、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae));アシネトバクター属(例、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii));シュードモナス属(例、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa));エンテロバクター属;ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes);リステリア属;シュードモナス属;マイコバクテリウム属(例えばマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis));エンテロバクター属;カンピロバクター属;サルモネラ属;ストレプトコッカス属(例えばストレプトコッカスA又はB群、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptoccocus pneumoniae);ヘリコバクター属(例、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori));ナイセリア属(例、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhea)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis));ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi);シゲラ属(例、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri));エシェリキア・コリ(Escherichia coli);ヘモフィルス属(例、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae));クラミジア属(例、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・シタッシ(Chlamydia psittaci));フランシセラ・ツラレンシス(Francisella fularensis);バチルス属(例、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis));クロストリジウム属(例、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum));エルシニア属(例、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis));トレポネーマ属;バークホルデリア属(例、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)及びBシュードマレイ(B pseudomallei))、又はそれらの組み合わせより選択されたものからである。また、一実施形態では、細菌は、アシドサーマス・セルロリティクス(Acidothermus cellulyticus)、アクチノマイセス・オドントリティカス(Actinomyces odontolyticus)、アルカリフィラス・メタリレデゲンス(Alkaliphilus metalliredigens)、アルカリフィラス・オレムランディイ(Alkaliphilus oremlandii)、アルスロバクタ・オウレセンス(Arthrobacter aurescens)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidiobacterium longum)、カルジセルロシルプトル・サッカロリチクス(Caldicellulosiruptor saccharolyticus)、カルボキシドサーマス ・ハイドロゲノフォーマス(Carboxydothermus hydrogenoformans)、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベエイジェリンキー(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・ボツリヌス(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・セルロリティカム(Clostridium cellulolyticum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム‐クルイベリ(Clostridium kluyveri)、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)、クロストリジウム・ノービイ(Clostridium novyi)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・テルモセルム(Clostridium thermocellum)、コリネバクテリウム・ジフテリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・ジェイケイウム(Corynebacterium jeikeium)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium urealyticum)、デスルフィトバクテリウム ・ハフニエンス(Desulfitobacterium hafniense)、デスルホトマキュルム・レデュセン(Desulfotomaculum reducens)、ユーバクテリウム・ヴェントリオスム(Eubacterium ventriosum)、イグジォバクテリウム・シビリカム(Exiguobacterium sibiricum)、フィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)、ゲオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus thermodenitrificans)、ジャニバクター属、キネオコッカス・ラジオトレランス(Kineococcus radiotolerans)、ラクトバチルス ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、リステリア・ウェルシメリ(Listeria welshimeri)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・ギルバム(Mycobacterium gilvum)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・パラツベルクローシス(Mycobacterium paratuberculosis)、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・アルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)、ノカルディオイデス属、ノカルジア・ファルシニカ(Nocardia farcinica)、オーシャノバチルス・イヘエンシス(Oceanobacillus iheyensis)、プレトマキュルム・サーモプロピオニカム(Pelotomaculum the rmopropionicum), ロドコッカス属、サッカロポリスポラ・エリスラエア(Saccharopolyspora erythraea)、コアグラーゼ陰性スタフィロコッカス(coagulase-negative Staphylococcus)種、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(MRSA)、スタフィロコッカス・エピデルミデス(Staphylococcus epidermidis)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・エピデルミデス(Staphylococcus epidermidis)(MRSE)、スタフィロコッカス・シュードインターメディウス(Staphylococcus pseudintermedius)、スタフィロコッカス・インターメジウス(Staphylococcus intermedius)、スタフィロコッカス・デルフィニ(Staphylococcus delphini)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、ストレプトコッカス・オラーリス(Streptococcus oralis)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・サングイス(Streptococcus sanguinis)、ストレプトコッカス・スイス(Streptococcus suis)、ストレプトマイセス・エバミティリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、サーモアナエロバクター・エタノリカス(Thermoanaerobacter ethanolicus)、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシス(Thermoanaerobacter tengcongensis)、又はそれらの組み合わせより選択される。
【0178】
一実施形態では、バイオフィルム形成は、機器の表面上である。一実施形態では、機器は医療機器である。一実施形態では、バイオフィルム形成は、対象の組織の表面上又は組織中である。一実施形態では、バイオフィルム形成は、皮膚、眼、粘膜、腔の表面などの上である。
【0179】
したがって、本発明は、微生物感染を処置するための、又は微生物を脱コロニー形成するための、又は微生物のバイオフィルム形成を破壊する又は崩壊させる又は阻害する又は低下させるための本発明の抗アミロイド抗体を含む組成物の使用を提供する。一実施形態では、使用は、微生物を脱コロニー形成するため、あるいは医療機器の表面上でのバイオフィルム形成を崩壊させる又は阻害する又は低下させるためである。
【0180】
投与のレジメンは、有効量を構成するものに影響を及ぼしうる。治療用製剤は、患者における病原体コロニー形成、バイオフィルム形成、及び/又は感染の発症の前又は後のいずれかで患者に投与してもよい。さらに、いくつかの分割投与量、ならびに時差投与量は、毎日もしくは連続的に投与されうる、又は用量は連続的に注入されうる、又はボーラス注射でありうる。さらに、治療用製剤の投与量は、治療的又は予防的な状況の緊急性により示されるように、比例的に増加又は減少しうる。
【0181】
患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトへの本発明の組成物の投与は、公知の手順を使用し、患者における病原体コロニー形成、バイオフィルム形成、及び/又は感染を防止する、低下させる、又は崩壊させるために有効な投与量で、及び期間にわたり行いうる。治療効果を達成するために必要な治療化合物の有効量は、要因、例えば用いられる特定の化合物の活性;投与の時間;化合物の排泄率;処置の持続時間;化合物との組み合わせにおいて使用される他の薬物、化合物、又は材料;処置されている患者の疾患又は障害の状態、年齢、性別、体重、状態、一般的な健康、及び以前の病歴、ならびに医学分野において周知の同様の要因に従って変動しうる。投与レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整してもよい。例えば、いくつかの分割用量が毎日投与されうる、又は用量は、治療状況の緊急性により示されるように、比例的に低下しうる。本発明の治療用化合物についての有効用量範囲の非限定的な例は、約0.01及び50mg/kg体重/日からである。当業者は、関連要因を試験し、過度の実験を伴わずに、治療用化合物の有効量に関して決定することができるであろう。
【0182】
化合物は、1日数回の頻度で動物に投与することができ、又はそれはより少ない頻度で、例えば1日に1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回など、あるいはさらにより少ない頻度で、例えば数ヶ月毎に1回あるいはさらに1年に1回又はそれ以下などで投与することができる。1日当たりに投与される化合物の量は、非限定的な例において、毎日、隔日、2日毎、3日毎、4日毎、又は5日毎に投与されうることが理解される。例えば、隔日投与では、5mg/日用量を月曜日に開始し、1回目のその後の5mg/日用量を水曜日に投与し、2回目のその後の5mg/日用量を金曜日に投与する、などである。投与の頻度は、当業者には容易に明らかであり、任意の数の要因、例えば、限定しないが、処置されている疾患の種類及び重症度、動物の種類及び年齢などに依存するであろう。
【0183】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に有毒であることのないように、特定の患者、組成物、及び投与の様式について所望の治療応答を達成するために有効である活性成分の量を得るように変動させてもよい。
【0184】
当技術分野における通常の能力を有する医師、例えば、医師又は獣医師は、要求される医薬組成物の有効量を容易に決定し、製剤化することができる。例えば、医師又は獣医師は、所望の治療効果を達成するために要求されるレベルよりも低いレベルで、医薬組成物中で用いられる本発明の化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加させることができうる。
【0185】
特定の実施形態では、投与の容易さ及び投与量の均一性のために、投与単位形態において化合物を製剤化することが特に有利である。本明細書中で使用する投与単位形態は、処置される患者について単一投与量として適した物理的に別個の単位を指す;各々の単位は、要求される医薬溶剤との関連において所望の治療効果を産生するように計算された所定量の治療化合物を含む。本発明の投与単位形態は、(a)治療化合物の固有の特性及び達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)患者における呼吸制御障害の処置のためのそのような治療用化合物を配合/製剤化する技術における固有の制限により指定され、直接的に依存している。
【0186】
一実施形態では、本発明の組成物は、1つ又は複数の医薬的に許容可能な賦形剤又は担体を使用して製剤化される。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、治療有効量の本発明の化合物及び医薬的に許容可能な担体を含む。
【0187】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、及びそれらの適した混合物を含む溶媒又は分散媒質でありうる。適当な流動性は、例えば、コーティング(例えばレシチンなど)の使用により、分散の場合における要求される粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により維持されうる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成されうる。一部の実施形態では、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、又は多価アルコール(例えばマンニトール及びソルビトールなど)を組成物中に含めることが有用である。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム又はゼラチンを組成物中に含めることにより達成することができる。一実施形態では、医薬的に許容可能な担体はDMSO(単独で又は他の担体との組み合わせにおける)である。
【0188】
本発明の化合物の治療有効量又は用量は、患者の年齢、性別、及び体重、患者の現在の医学的状態、ならびに処置されている患者における疾患又は感染の重症度に依存する。当業者は、これら及び他の要因に依存して適切な用量を決定することができる。
【0189】
用量は、単一の投与量又は複数の投与量、例えば、1日当たり1回から4回又はそれ以上で投与してもよい。複数の投与量が使用される場合、各々の投与量の量は同じでありうる、又は異なりうる。例えば、1日当たり1mgの用量は、2つの0.5mg用量として投与してもよく、用量の間に約12時間の間隔を伴う。
【0190】
投与のための本発明の組成物の用量は、約1μgから約10,000mg、約20μgから約9,500mg、約40μgから約9,000mg、約75μgから約8,500mg、約150μgから約7,500mg、約200μgから約7,000mg、約3050μgから約6,000mg、約500μgから約5,000mg、約750μgから約4,000mg、約1mgから約3,000mg、約10mgから約2,500mg、約20mgから約2,000mg、約25mgから約1,500mg、約30mgから約1,000mg、約40mgから約900mg、約50mgから約800mg、約60mgから約750mg、約70mgから約600mg、約80mgから約500mgの範囲中、ならびにそれらの間の任意の及び全ての全体的な又は部分的な増分でありうる。
【0191】
一部の実施形態では、本発明の組成物の用量は約1mgから約2500mgである。一部の実施形態では、本明細書中に記載する組成物において使用される本発明の組成物の用量は、約10,000mg未満、又は約8000mg未満、又は約6000mg未満、又は約5000mg未満、又は約3000mg未満、又は約2000mg未満、又は約1,000mg未満、又は約500mg未満、又は約200mg未満、又は約50mg未満である。同様に、一部の実施形態では、本明細書中の他の場所に記載する第2の組成物の投与量は、約1,000mg未満、又は約800mg未満、又は約600mg未満、又は約500mg未満、又は約400mg未満、又は約300mg未満、又は約200mg未満、又は約100mg未満、又は約50mg未満、又は約40mg未満、又は約30mg未満、又は約25mg未満、又は約20mg未満、又は約15mg未満、又は約10mg未満、又は約5mg未満、又は約2mg未満、又は約1mg未満、又は約0.5mg未満、ならびにその任意の及び全ての全体的な又は部分的な増分である。
【0192】
本発明の方法における使用のための組成物は、単位投与形態において製剤化してもよい。用語「単位投与形態」は、処置を受けている患者のための単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各々の単位は、場合により適した医薬担体との会合において、所望の治療効果を産生するように計算された所定量の活性材料を含む。単位投与形態は、単一の1日用量又は複数の1日用量(例、1日当たり約1から4又はそれ以上)の1つでありうる。複数の1日用量が使用される場合、単位投与形態は、各々の用量について同じでありうる、又は異なりうる。
【0193】
一実施形態では、本発明の組成物は、1日当たり約1回から約5回又はそれ以上患者に投与される。種々の実施形態では、本発明の組成物は、患者に、1日当たり1~7回、2日毎に1~7回、3日毎に1~7回、毎週1~7回、2週毎に1~7回、及び1ヶ月当たり1~7回投与される。本発明の種々の組み合わせ組成物の投与の頻度が、多くの要因(年齢、処置される疾患又は障害、処置される疾患又は障害の重症度、性別、全体的な健康、及び他の要因を含むが、これらに限定されない)に依存して、個体から個体で変動しうることは当業者には容易に明らかである。このように、本発明は、任意の特定の投与レジメンに限定されると解釈すべきではなく、任意の患者に投与される正確な投与量及び組成物は、患者に関する全ての他の要因を考慮に入れた医療専門家により決定される。
【0194】
患者の状態が改善する場合では、医師の判断時に、本発明の阻害剤の投与が場合により継続的に与えられる;あるいは、投与されている薬物の用量は、特定の期間にわたり、一時的に低下される、又は一時的に中断される(即ち、「休薬」)。休薬の長さは、場合により2日及び1年の間で変動する(例としてだけ、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、又は365日を含む)。休薬の間での用量低下は、10%~100%(例としてだけ、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%を含む)を含む。
【0195】
一度、患者の状態の改善が生じれば、維持用量を必要な場合に投与する。その後、投与量又は投与の頻度、あるいは両方を、改善された疾患が保持されるレベルまで低下させてもよい。一部の実施形態では、患者は、長期的に、あるいは疾患又は障害の任意の再発時に、断続的な処置を要求しうる。
【0196】
そのような治療レジメンの毒性及び治療効力は、場合により、細胞培養又は実験動物において決定され、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)の決定を含むが、これに限定されない。毒性効果及び治療効果の間の用量比率は治療指数であり、それは、LD50及びED50の間の比率として表される。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、場合により、ヒトにおける使用のための広範な投与量を製剤化する際に使用される。そのような組成物の投与量は、好ましくは、最小毒性を伴うED50を含む広範な循環濃度内にある。投与量は、場合により、用いられる投与形態及び利用される投与の経路に依存して、この範囲内で変動する。
【0197】
一実施形態では、本発明は、治療有効量の本発明の組成物を単独で、又は第2の医薬的薬剤との組み合わせにおいて保持する容器を含む、包装された医薬組成物;及び患者において疾患又は感染を処置又は防止するためにこの組成物を使用するための指示に関する。
【0198】
製剤は、従来の賦形剤、即ち、経口、非経口、経鼻、静脈内、皮下、経腸、又は当技術分野において公知である、任意の他の適した投与の様式のための適した医薬的に許容可能な有機又は無機担体物質との混合物において用いてもよい。医薬調製物は滅菌してもよく、及び所望の場合、補助剤(例、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝剤に影響を及ぼすための塩、着色剤、香味料、及び/又は芳香物質など)と混合してもよい。それらはまた、所望の場合、他の活性薬剤(例、他の鎮痛剤)と組み合わせてもよい。
【0199】
本発明の組成物のいずれかの投与の経路は、経口、経鼻、直腸、膣内、非経口、頬側、舌下、又は局所を含む。本発明における使用のための組成物は、任意の適した経路による投与のために、例えば経口又は非経口など、例えば、皮内、経粘膜(例、舌下、舌、(経)頬側、(経)尿道、膣(例、経膣及び膣周囲)、鼻(内)及び(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内、髄腔内、皮下、筋肉内、皮内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入、及び局所投与などのために製剤化してもよい。
【0200】
適した組成物及び投与形態は、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ピル、ゲルキャップ、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液、シロップ、顆粒、ビーズ、経皮パッチ、ゲル、粉末、ペレット、マグマ、ロゼンジ、クリーム、ペースト、硬膏剤、ローション、ディスク、坐剤、経鼻又は経口投与用の液体スプレー、吸入用の乾燥粉末又はエアロゾル製剤、膀胱内投与用の組成物及び製剤などを含む。本発明において有用でありうる製剤及び組成物は、本明細書中に記載されている特定の製剤及び組成物に限定されないことを理解すべきである。
【0201】
投与の経路
【0202】
本発明の組成物のいずれかの投与の経路は、経口、直腸、経皮、経粘膜(例、舌下、舌、(経)頬側、(経)尿道、膣(例、経膣及び膣周囲)、(経)直腸、膀胱内、及び局所投与を含む。
【0203】
医薬の局所投与についての障害は、表皮の角質層である。角質層は、タンパク質、コレステロール、スフィンゴ脂質、遊離脂肪酸、及び種々の他の脂質で構成される高度に耐性の層であり、角質化細胞及び生細胞を含む。角質層を通じた組成物の浸透速度(流動)を限定する要因の1つは、皮膚表面上に負荷する又は適用することができる活性物質の量である。皮膚の単位面積当たりに適用される活性物質の量が大きいほど、皮膚表面及び皮膚の下層の間での濃度勾配がより大きくなり、及び次に皮膚を通じた活性物質の拡散力がより大きくなる。従って、より大きな濃度の活性物質を含む製剤は、より小さな濃度を有する製剤よりも、皮膚を通じた活性物質の(そのより多くの)浸透をより一貫した速度でもたらす可能性がより高い(全ての他のことが等しい場合)。
【0204】
局所投与のために適した製剤は、液体又は半液体調製物、例えばリニメント剤、ゲル、ローション、水中油型又は油中水型乳剤(例えばクリーム、軟膏、又はペーストなど)、及び溶液又は懸濁液などを含むが、これらに限定されない。局所投与可能な製剤は、例えば、溶媒中に約1%から約10%(w/v)の活性成分を含みうるが、活性成分の濃度は、溶媒中の活性成分の溶解限度と同じくらい高くてもよい。局所投与用の製剤は、本明細書中に記載する1つ又は複数の追加成分をさらに含みうる。
【0205】
浸透の増強剤を使用してもよい。これらの材料は、皮膚全体にわたる薬物の浸透の速度を増加させる。当技術分野における典型的な増強剤は、エタノール、モノラウリン酸グリセロール、PGML(モノラウリン酸ポリエチレングリコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを含む。他の増強剤は、オレイン酸、オレイルアルコール、エトキシジグリコール、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルホキシド、極性脂質、又はN-メチル-2-ピロリドンを含む。
【0206】
本発明の組成物の一部の局所送達用の1つの許容可能な溶剤は、リポソームを含みうる。リポソームの組成及びそれらの使用は当技術分野において公知である(例えば、Constanza、米国特許第6,323,219号を参照のこと)。
【0207】
代わりの実施形態では、局所的に活性な医薬組成物は、場合により、他の成分、例えばアジュバント、抗酸化剤、キレート剤、界面活性剤、発泡剤、湿潤剤、乳化剤、増粘剤、緩衝剤、保存剤などと組み合わせてもよい。別の実施形態では、浸透又は浸透増強剤が組成物中に含まれ、浸透増強剤を欠く組成物に関して、角質層中への、及び角質層を通した活性成分の経皮浸透を改善する際に有効である。種々の浸透増強剤(オレイン酸、オレイルアルコール、エトキシジグリコール、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルホキシド、極性脂質、又はN-メチル-2-ピロリドンを含む)が当業者に公知である。別の態様では、組成物はハイドロトロープ薬剤をさらに含みうるが、それは、角質層の構造において無秩序を増加させるように機能し、このように、角質層をわたる増加した輸送を可能にする。種々のハイドロトロープ薬剤(例えばイソプロピルアルコール、プロピレングリコール、又はキシレンスルホン酸ナトリウムなど)が当業者に公知である。
【0208】
局所的に活性な医薬組成物は、所望の変化に影響を及ぼすために有効な量で適用すべきである。本明細書中で使用するように、「有効量」は、変化が望まれる皮膚表面の領域を覆うために十分な量を意味するものとする。活性組成物は、組成物の約0.0001重量%から約15重量%の量で存在すべきである。より好ましくは、それは組成物の約0.0005%から約5%の量で存在すべきである。最も好ましくは、それは、組成物の約0.001%から約1%の量で存在すべきである。そのような組成物は、合成的に又は天然に由来しうる。
【0209】
経口投与については、適切な形態は、錠剤、糖衣錠、液体、液滴、坐剤、又はカプセル、カプレット、及びゲルキャップを含む。経口使用のために製剤化された組成物は、当技術分野において公知の任意の方法に従って調製されうるが、そのような組成物は、錠剤の製造のために適している不活性で、非毒性の医薬的賦形剤からなる群より選択される1つ又は複数の薬剤を含みうる。そのような賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えばラクトースなど);顆粒化剤及び崩壊剤(例えばコーンスターチなど);結合剤(例えばデンプンなど);ならびに潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウムなど)を含む。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、又はそれらは、優雅さのために、もしくは活性成分の放出を遅延させるために公知の技術によりコーティングされていてもよい。経口使用のための製剤はまた、硬質ゼラチンカプセルとして提示してもよく、それにおいて活性成分は不活性希釈剤と混合される。
【0210】
経口投与については、本発明の組成物は、医薬的に許容可能な賦形剤、例えば結合剤(例、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例、コーンスターチ、乳糖、微結晶性セルロース、又はリン酸カルシウム);潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム、タルク、又はシリカ);崩壊剤(例、デンプングリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(例、ラウリル硫酸ナトリウム)などを用いて従来の手段により調製される錠剤又はカプセルの形態でありうる。所望の場合、錠剤は、適した方法及びコーティング材料、例えばColorcon(ペンシルバニア州ウェストポイント)から入手可能なOPADRY(商標)フィルムコーティングシステム(例、OPADRY(商標)OYタイプ、OYCタイプ、有機腸管OY-Pタイプ、水性腸管OY-Aタイプ、OY-PMタイプ、及びOPADRY(商標)ホワイト、32K18400)などを使用してコーティングしてもよい。経口投与用の液体調製物は、溶液、シロップ、又は懸濁液の形態でありうる。液体調製物は、医薬的に許容可能な添加剤、例えば懸濁剤(例、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、又は水素化食用脂肪);乳化剤(例、レシチン又はアカシア);非水性溶剤(例、アーモンドオイル、油性エステル、又はエチルアルコール);及び保存剤(例、メチル又はプロピルp-ヒドロキシ安息香酸塩又はソルビン酸)などを用いて従来の手段により調製されうる。
【0211】
顆粒化技術は、活性成分の出発粉末又は他の粒子状材料を修飾するための製薬技術分野において周知である。粉末は典型的には、結合剤材料と、より大きな永久的な自由流動性の凝集体又は顆粒中に混合し、「顆粒化」として言及する。例えば、溶媒を使用する「湿った」顆粒化過程は、一般的に、粉末を結合剤材料と組み合わせ、溶媒が次に蒸発しなければならない湿った顆粒塊の形成をもたらす条件下で水又は有機溶媒を用いて湿らせることで特徴付けられる。
【0212】
融解顆粒化は、本質的に、加えられた水又は他の液体溶媒の非存在において、粉末化された又は他の材料の顆粒化を促進するために、室温で固体又は半固体である(即ち、比較的低い軟化又は融点範囲を有する)材料の使用を含む。低融点固体は、融点範囲中の温度まで加熱された場合、液化して結合剤又は顆粒化媒質として機能する。液化した固体は、それが接触する粉末材料の表面にわたりそれ自体が広がり、冷却時、最初の材料が一緒に結合した固体の顆粒化塊を形成する。結果として得られた融解顆粒化物を次に、錠剤プレスに提供する、又は経口投与形態を調製するためにカプセル化してもよい。融解顆粒化によって、固体分散物又は固溶体が形成されることにより、活性物質(即ち、薬物)の溶解速度及び生物学的利用能が改善される。
【0213】
米国特許第5,169,645号では、改善された流動特性を有する直接的に圧縮可能なワックス含有顆粒が開示されている。顆粒は、ワックスを融解物中で特定の流動性改善添加剤と混合し、混合物の冷却及び顆粒化が続く場合に得られる。特定の実施形態では、ワックス自体だけが、ワックス及び添加剤の融解物の組み合わせにおいて融解し、他の場合では、ワックス及び添加剤の両方が融解する。
【0214】
本発明はまた、本発明の1つ又は複数の組成物の遅延放出を提供する層、及びGタンパク質受容体関連疾患又は障害の処置のための医薬の即時放出を提供するさらなる層を含む多層錠剤を含む。ワックス/pH感受性ポリマー混合物を使用し、胃不溶性組成物を得てもよく、それにおいて活性成分が封入され、その遅延放出を確実にする。
【0215】
非経口投与については、本発明の組成物は、注射又は注入、例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下注射又は注入のために、あるいはボーラス用量及び/又は連続注入での投与のために製剤化してもよい。場合により他の配合薬剤(例えば懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤など)を含む油性又は水性溶剤中の懸濁液、溶液、又は乳濁液を使用してもよい。
【0216】
本発明の追加の投与形態は、米国特許第6,340,475号;第6,488,962号;第6,451,808号;第5,972,389号;第5,582,837号;及び第5,007,790号において記載されている投与形態を含む。本発明の追加の投与形態はまた、米国特許出願第20030147952号;第20030104062号;第20030104053号;第20030044466号;第20030039688号;及び第20020051820号において記載されている投与形態を含む。本発明の追加の投与形態はまた、PCT出願番号WO 03/35041;WO 03/35040;WO 03/35029;WO 03/35177;WO 03/35039;WO 02/96404;WO 02/32416;WO 01/97783;WO 01/56544;WO 01/32217;WO 98/55107;WO 98/11879;WO 97/47285;WO 93/18755;及びWO 90/11757において記載されている投与形態を含む。
【0217】
制御放出製剤及び薬物送達システム
【0218】
一実施形態では、本発明の製剤は、短期の急速オフセット、ならびに制御された、例えば、持続放出、遅延放出、及び拍動性放出製剤でありうるが、これらに限定されない。
【0219】
用語「持続放出」は、延長された期間にわたり薬物の漸進的な放出を提供し、必ずしもそうならないが、延長された期間にわたり薬物の実質的に一定の血中レベルをもたしうる薬物製剤を指す。期間は、1日、1週間、あるいは1ヶ月又はそれ以上の長さでありうるが、ボーラス形態において投与された同じ量の薬剤よりも長い放出であるべきである。用語「遅延放出」は、本明細書中では、その従来の意味において使用され、薬物投与後のいくらかの遅延後に薬物の初期放出を提供し、必ずしもそうならないが、約10分から約12時間までの遅延を含む薬物製剤を指す。
【0220】
持続放出については、組成物は、組成物に持続放出特性を提供する、適したポリマー又は疎水性材料を用いて製剤化されうる。そのようなものとして、本発明の方法を使用するための組成物は、微粒子の形態において、例えば、注射により、又は移植によりウェーハもしくはディスクの形態において投与されうる。
【0221】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、持続放出製剤を使用し、単独で、又は別の医薬的薬剤との組み合わせにおいて、患者に投与される。
【0222】
用語「拍動性放出」は、薬物投与後に薬物のパルスプラズマプロファイルを産生するような方法において薬物の放出を提供する薬物製剤を指す。
【0223】
用語「即時放出」は、薬物投与の直後に薬物の放出を提供する薬物製剤を指す。
【0224】
本明細書中で使用するように、短期は、薬物投与後の薬物投与後の約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分、又は約10分、及びそれらのいずれか又は全ての全体の又は部分的な増分まで及びそれらを含む任意の期間を指す。
【0225】
本明細書中で使用するように、急速オフセットは、薬物投与後の約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分、又は約10分、ならびにそれらのいずれか及び全ての全体の又は部分的な増分まで及びそれらを含む任意の期間を指す。
【0226】
当業者は、本明細書中に記載する特定の手順、実施形態、特許請求の範囲、及び実施例に対する多数の等価物を認識し、又はわずかなルーチン的な実験を使用して確認することができるであろう。そのような等価物は、本発明の範囲内であると考えられ、本明細書に添付された特許請求の範囲により包含される。例えば、反応条件(反応時間、反応サイズ/容積、及び実験試薬、例えば溶媒、触媒、圧力、大気条件、例、窒素雰囲気、及び還元剤/酸化剤などを含むが、これらに限定されない)における修飾が、当技術分野で認識される代替物を用いて、及びわずかなルーチン的な実験を使用し、本出願の範囲内であることを理解すべきである。
【0227】
値及び範囲が本明細書中で提供される場合はいつでも、これらの値及び範囲により包含される全ての値及び範囲が、本発明の範囲内に包含されることを意味することを理解すべきである。さらに、これらの範囲内に入る全ての値、ならびに値の範囲の上限又は下限がまた、本出願により熟慮される。
【0228】
組み合わせ治療
【0229】
本発明の抗アミロイド抗体は、単独で、又は別の治療との併用において投与してもよい。例えば、本発明の組み合わせ治療は、消毒剤、防腐剤、抗生物質、又は殺生物剤との組み合わせにおいて、表面、例えば医療機器及び留置機器(ステント、カテーテル、腹膜透析チューブ、排液機器、関節プロテーゼ、歯科インプラントなどを含む)などの上で使用してもよい。
【0230】
一実施形態では、本発明は、本発明の抗アミロイド抗体及び、微生物コロニー形成表面又は感染の処置のために局所的に投与することができる抗生物質処置を含む相乗的な組み合わせ治療を提供する。
【0231】
別の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の抗アミロイド抗体及び抗生物質処置を別々に、同時に、又は連続的に対象に投与することを含む、対象において微生物感染を処置する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、本発明の抗アミロイド抗体及び本明細書中に記載する抗生物質処置を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含む。一実施形態では、この方法は、本発明の抗アミロイド抗体及び本明細書中に記載する抗生物質処置ならびに1つ又は複数の医薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含む治療有効量の局所製剤を対象に投与することを含み、それにおいて局所製剤及び医薬的に許容可能な担体又は賦形剤は、本明細書を通して本明細書中で定義される。一実施形態では、感染は局所感染である。局所感染は、対象の表面又は局所領域(皮膚、眼、粘膜、腔の表面などを含む)への感染である。一実施形態では、局所感染は皮膚上での感染である。一実施形態では、局所感染は、創傷、潰瘍、及び損傷の形態である。一実施形態では、微生物は細菌である。
【0232】
一実施形態では、本発明は、微生物を別々に、同時に、又は連続的に本発明の抗アミロイド抗体及び抗生物質処置と接触させることを含む、微生物を脱コロニー形成する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、微生物を、本発明の抗アミロイド抗体及び本明細書中に記載する抗生物質処置を含む組成物と接触させることを含む。一実施形態では、この方法は、微生物を、本発明の抗アミロイド抗体及び本明細書中に記載する抗生物質処置を含む局所製剤、ならびに1つ又は複数の医薬的に許容可能な担体又は賦形剤と接触させることを含み、それにおいて局所製剤及び医薬的に許容可能な担体又は 賦形剤は、本明細書を通して本明細書中で定義される。本明細書中に記載する方法のいずれかに従い、微生物は細菌である。
【0233】
一実施形態では、バイオフィルム形成は機器の表面上である。一実施形態では、機器は、植え込まれたカテーテル、人工心臓弁、心臓ペースメーカー、コンタクトレンズ、脳脊髄液シャント、関節置換術、又は血管内ラインである。一実施形態では、バイオフィルム形成は対象の組織の表面上又は内である。一実施形態では、バイオフィルム形成は皮膚、眼、粘膜、腔の表面などである。
【0234】
一実施形態では、本発明は、微生物を別々に、同時に、又は連続的に、本発明の抗アミロイド抗体を含む組成物及び抗生物質を含む組成物と接触させることを含む、微生物のバイオフィルム形成を破壊する又は崩壊させる又は阻害する又は低下させる方法を提供する。一実施形態では、この方法は、微生物を、本発明の抗アミロイド抗体及び本明細書中に記載する抗生物質を含む組成物と接触させることを含む。一実施形態では、この方法は、微生物を、本発明の抗アミロイド抗体及び本明細書中に記載する抗生物質処置を含む局所製剤、ならびに医薬的に許容可能な担体又は賦形剤と接触させることを含み、それにおいて医薬的に許容可能な担体又は賦形剤は、本明細書を通して本明細書中で定義される。一実施形態では、微生物は細菌である。
【0235】
本明細書中に記載するこれらの方法は、決して全て包括的ではなく、特定の適用に適したさらなる方法が、当業者には明らかであろう。さらに、組成物の有効量は、所望の効果を発揮することが公知である組成物との類似性を通じてさらに概算することができる。
【0236】
実験例
【0237】
本発明を、以下の実験例の参照によりさらに詳細に記載する。これらの例は、例証だけの目的のために提供し、他に特定しない限り、限定することを意図しない。このように、本発明は、以下の実施例に限定されるとして決して解釈すべきではないが、しかし、むしろ、本明細書中で提供する教示の結果として明らかになる任意の及び全てのバリエーションを包含すると解釈すべきである。
【0238】
実施例1:抗アミロイド指向性モノクローナル抗体は、アミロイドcurliを標的化することにより、サルモネラ・ティフィムリウムのバイオフィルム形成を低下させる。
【0239】
原核生物及び真核生物の起源からのアミロイドは、一次配列構造を共有しないが、しかし、両方の系統からのアミロイドは共通の保存されたベータシート構造を共有する(Rapsinski et al., 2013, J Biol Chem, 17;288(20):14178-88)。さらに、細菌アミロイド及び宿主アミロイドの両方がTLR2に結合して活性化する。自然免疫細胞上のTLR2へのcurliの結合(Tukel et al., 2010, Cell Microbiol, 12(10):1495-505)と同様に、アルツハイマー病において関連付けられるアミロイドベータの結合(Liu et al., 2012, J Immunol, 188(3):1098-107;Udan et al., 2008, J Neurochem, 104(2):524-33)及びアテローム性動脈硬化症における血清アミロイドA(Seidl et al., 2017, PLoS One, 12(3):e0171711)。バイオフィルム形成に関与する細菌アミロイドcurliに結合して、線維化を阻害するモノクローナル抗体の能力をテストした。学際的なアプローチを使用し、アミロイドβに対して反応性を示し、また、Sティフィムリウムのバイオフィルムの状況内で抗curli特性を示す種々のヒトモノクローナル抗体が同定された。mAbを用いたSティフィムリウム(STM)のバイオフィルムのインキュベーションによって、バイオフィルム構造が変化し、バイオフィルムが不安定化し、及び最終的にバイオマスが低下した。結果として生じるバイオフィルムの構造及び安定性の変化によって、mAb処置を受けなかったバイオフィルムとの比較において、抗生物質、DNase、及びマクロファージの細菌の取り込みに対してバイオフィルムはより感受性になった。全体的には、新規の治療方法が特定されており、それにより、抗アミロイドmAbの使用を通じてSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルム内のcurliを標的化することによって、バイオフィルムの構造、安定性における変化がもたらされ、全体的にはバイオフィルムの低下がもたらされる。
【0240】
実験方法及び結果をここでは記載する。
【0241】
モノクローナル抗体ALZ.3H3は、Sティフィムリウムのバイオフィルムの構造及び完全性を崩壊させる。
【0242】
バイオフィルムは、0.5mg/ml ALZ.3H3の存在において28℃で72時間にわたり確立させた。成長後、バイオフィルムを、Syto9を用いて染色し、CSLMを使用して画像化した。三次元構造を、ImageJを使用して3D表面プロットを作成することにより検証した。モノクローナル抗体ALZ.3H3のインキュベーションによって、バイオフィルムの構造が変化し、分散バイオフィルムのトポグラフィーが形成され、それは野生型Sティフィムリウムのバイオフィルムの平均厚さ(20μM)を上回って広がり、密でコンパクトな構造を呈した(図1A)。この緩いマトリックスはまた、抗csg処置において観察されたが、対照A6を用いて処置されたバイオフィルムはインタクトで崩壊していなかった(図1A)。ALZ.3H3を用いた処置により作製された分散バイオフィルムを定量化するために、ImageJの使用を通じて、野生型Sティフィムリウム(20μM)の厚さを上回る全ての粒子を使用して閾値を設定し、これらの閾値パラメーターをその後の処置に適用した(図1B)。粒子の数え上げ時、ALZ.3H3を用いた処置時に粒子の数における有意な増加があった(図1C)。この効果に、バイオフィルムから回収された上清をプレーティングすることにより、有意により多くの細菌がALZ.3H3のバイオフィルム上清から回収された。上清から回収された細菌は、バイオマスから容易に解離される緩い分散バイオフィルムマトリックスの代表である。全体的に、このデータは、ALZ.3H3を用いたインキュベーションによって、全体的なバイオフィルムマトリックス構造を崩壊させることにより、バイオフィルム構造が変化したことを示唆する。
【0243】
モノクローナル抗体ALZ.3H3は、事前に確立されたSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルム完全性を変化させる。
【0244】
ALZ.3H3がSティフィムリウムの事前に確立されたバイオフィルムのバイオフィルム形成を低下させることができるか否かを決定するために、0.5mg/mlのALZ.3H3を、Sティフィムリウムの24時間の事前に確立されたバイオフィルムに追加の24時間にわたり加えた、又は0.5mg/mlのALZ.3H3を、48時間の事前に確立されたバイオフィルムに24時間にわたり加えた。これらのバイオフィルムを次に、ALZ.3H3に曝露されなかった48時間及び72時間のSティフィムリウムのバイオフィルムとそれぞれ比較した(図2A)。バイオフィルムを、Syto9を用いて染色し、CSMLを使用して画像化した。バイオフィルムは、バイオフィルム構造に対するALZ.3H3の影響を判断するために、広範には洗浄しなかった。野生型Sティフィムリウムの48時間のバイオフィルムとの比較では、依然として確立していたが、バイオフィルムマトリックスは不完全であり、ALZ.3H3に追加の24時間にわたり曝露された24時間の事前に確立されたバイオフィルムは、コンパクトであった48時間のバイオフィルムとの比較において、より分散したマトリックスを示し始めていた(図2B)。この傾向は、48時間の事前に確立されたバイオフィルムを0.5mg/ml ALZ.3H3と追加の24時間にわたりインキュベートした場合に継続したが、ここで、バイオフィルムマトリックスは、ALZ.3H3処置を受けなかった72時間の完全に形成されたSティフィムリウムのバイオフィルムとの比較において、より分散していた(図2B)。以前に記載した閾値化技術を使用し、野生型Sティフィムリウムの厚さを上回る粒子の数をカウントした。24時間という早期でも、ALZ.3H3を用いたインキュベーションによって、野生型Sティフィムリウムを上回る粒子の数が増加し、粒子の数はまた、Sティフィムリウムの48時間の事前に確立されたバイオフィルムを、ALZ.3H3を用いて24時間にわたりインキュベートした場合に増加した(図2C)。このデータは、ALZ.3H3が、ALZ.3H3の添加後24時間という早い時期に、Sティフィムリウムの構造の事前に確立されたバイオフィルムに影響を及ぼすことを示唆する。
【0245】
バイオフィルムの完全性に対するALZ.3H3の投与量応答
【0246】
Sティフィムリウム、大腸菌MC4100、Sエンテリティディス、及び大腸菌UTI89のバイオフィルム成長の間に加えられた3H3(0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、250μg/ml、500μg/ml、及び未処置)のクリスタルバイオレットアッセイ用量曲線を実施し、バイオマスを570nmでの吸光度で決定した(図3)。
【0247】
3H3の存在下(10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、250μg/ml、500μg/ml)又は非存在(未処置)において成長させたSティフィムリウムのバイオフィルムの共焦点分析を実施した。バイオフィルムを、syto9(細菌用の緑色核酸染色)及びアミロイド色素コンゴーレッド(赤色curli)を用いて染色し、Leica TCS共焦点を63倍で使用して画像化した。ImageJ 3Dビューアソフトウェアを使用して作成されたバイオフィルム3D再構成(図4A)。3H3の存在(10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、250μg/ml、500μg/ml)又は非存在(未処置)において成長させたSティフィムリウムのバイオフィルムのバイオフィルムの厚さ(um)を、LeicaTCS共焦点顕微鏡ソフトウェアを使用して測定した(図4C)。
【0248】
ALZ.3H3はcurliの線維化を低下させる。
【0249】
成熟したcurli 原線維中への単量体の形成は、チオフラビンT(ThT)を用いたインキュベーションによりモニターすることができる。ThTの蛍光は、それがアミロイド原線維に結合する際に増加し、アミロイド形成過程を分光学的に測定することが可能になる。アミロイド原線維の形成は、三段階のシグモイド曲線により定義することができる(Dueholm et al., 2011, Biochemistry, 50(39):8281-90;Wang et al., 2007, J Biol Chem, 282(6):3713-9)。最初の段階では、単量体サブユニットは自己会合するのが遅く、ThT蛍光は最小である(Naiki et al., 1991, Lab Invest, 65(1):104-10)。反応指数関数は、単量体シードがオリゴマー形成し、伸長し続けるため増加する(Naiki et al., 1991, Lab Invest, 65(1):104-10)。この過程は、ThT蛍光における急速な増加により特徴付けられる(Naiki et al., 1991, Lab Invest, 65(1):104-10)。オリゴマーは伸長し、成熟した原線維及びTht蛍光ピークになる(Dueholm et al., 2011, Biochemistry, 50(39):8281-90;Wang et al., 2007, J Biol Chem, 282(6):3713-9)。この反応は、一度、全ての単量体が消費され、原線維の伸長が停止するとプラトーになる(Naiki et al., 1991, Lab Invest, 65(1):104-10)。ヒスチジンタグ付きCsgA(His-CsgA)は、自然に自己会合して線維化するが、0.5mg/ml ALZ.3H3を用いてインキュベートし、線維化反応を、ThTを使用してモニターした。対照として、合成ペプチドCsgAR4-5及びCsgAR4-5N122Aを、Thtを用いてインキュベートし、線維化反応を並行してモニターした。CsgAR4-5はCsgAの4番目及び5番目の反復であり、それは、自己会合して原線維を形成することが示されているのに対し、CsgAR4-5N122Aは、線維化を防止する単一のアミノ酸変異を含む(Tukel et al., 2009, Cell Host Microbe, 6(1):45-53)。His-CsgA及びALZ.3H3を用いた線維化時、相対蛍光単位における有意な低下が観察された(図5A)。原線維形成を表している最大相対蛍光単位を決定することに加えて、遅延時間(t)を、式t=t1/2-2tを使用して計算することができ、ここでt1/2は最大蛍光強度の半分に達するために要求される時間であり、tは伸長時間である(Naiki et al., 1991, Lab Invest, 65(1):104-10)。遅延時間は、単量体が自己会合してオリゴマー形成を開始するために要求される時間の量として定義することができる(Naiki et al., 1991, Lab Invest, 65(1):104-10)。合成ペプチドCsgAR4-5についての遅延時間計算との比較において、ALZ.3H3を用いてインキュベートされた場合にHis-CsgAが自己会合してオリゴマー形成するために要求される遅延時間における有意な増加があった(図5B)。このデータに基づき、ALZ.3H3が単量体レベルで相互作用して線維化を防止することを提案した。単量体と相互作用することにより、ALZ.3H3は、原線維の形成を防止することにより、単量体がそこで自己会合するために要求される時間を増加させる。
【0250】
Sティフィムリウム(STM)又は大腸菌UTI89のクリスタルバイオレットアッセイ。
【0251】
STM又はUTI89を、3H3(250μg/ml、125μg/ml、50μg/ml、25μg/ml、10μg/ml、1μg/ml)ならびに0.5mg/ml対照A6又は抗デング抗体の非存在又は存在において滅菌96ウェルプレート中で、26℃で72時間にわたり成長させた。Sティフィムリウムcurli変異体(csgBA)及びUTI89 curli変異体(csgBA)をまた、陰性対照として成長させた。STMを含む実験を用いたより一貫した結果、及びUTI89を用いた実験を含むより多い変動性(図6)。
【0252】
ALZ.3H3及び抗生物質処置の間での相乗性によって、Sティフィムリウムのバイオフィルム形成が低下する。
【0253】
バイオフィルムは、抗生物質への細菌の不応性を増強させる(Keren et al., 2004, FEMS Microbiol Lett, 230(1):13-8, Brown et al., 1988, J Antimicrob Chemother, 22(6):777-80, Stewart, 2002, Int J Med Microbiol, 292(2):107-13)。細菌バイオフィルムのクリアランスを増強するために、バイオフィルムの構造を、ALZ.3H3を用いることにより変化させ、次にバイオフィルムを抗生物質に晒して分散バイオフィルム内の細菌を死滅させた。これを行うために、Sティフィムリウムのバイオフィルムを、0.5mg/ml ALZ.3H3の存在又は非存在において確立させ、その後、バイオフィルムを追加の24時間にわたりアンピシリンに曝露させた。DNaseはSティフィムリウムのバイオフィルムの追加の不可欠な成分であるため、野生型又はALZ.3H3でインキュベートされたバイオフィルムをX DNase処置に追加の24時間にわたり曝露させた。バイオフィルムを次に、Syto9を用いて染色し、CSMLを使用して視覚化した。過度の洗浄工程は、バイオフィルムの構造を検証する目的において回避した。抗生物質処置は成長したバイオフィルムに対して比較的無効であるため、全体的なバイオフィルムの外観における変化は、野生型バイオフィルムをバイオフィルムの確立後にアンピシリン又はDNaseを用いて処置した場合には観察されなかった。しかし、SティフィムリウムのバイオフィルムをALZ.3H3及び抗生物質処置の存在においてインキュベートした場合、検出を下回るレベルまで、バイオフィルムの質量における有意な低下があった(図7)。
【0254】
滅菌24ウェルディッシュ中で、26℃で72時間にわたり滅菌ガラスカバースリップの上部で3H3(250μg/ml、125μg/ml、50μg/ml、25μg/ml、10μg/ml、1μg/ml)の非存在又は存在において成長させた、ならびに0.5mg/mlの対照A6抗体を用いて成長させたSティフィムリウム(STM)又は大腸菌UTI89のバイオフィルム。Sティフィムリウムcurli変異体(csgBA)及びUTI89 curli変異体(csgBA)をまた、陰性対照として成長させた。選択条件では、バイオフィルムを、30μg/mlアンピシリン(Amp)を用いて26℃で追加の24時間にわたりインキュベートした。バイオフィルム当たりのコロニー形成単位の数(CFU/バイオフィルム)を決定するために、バイオフィルムが成長する表面として使用された滅菌ガラスカバースリップを、3mlの滅菌PBSを含む滅菌15mlコニカルチューブ中に置いた。バイオフィルムを、ThermoFisher Sonic Dismembratorを使用して4の設定で10秒間にわたり超音波処理した。以前の実験では、以前に言及した設定での超音波処理によって細菌が死滅されないことが確認された。細菌は、滅菌PBS中で1:10に段階希釈し、寒天プレート上でスポットプレーティングすることにより数え上げた。CFU/バイオフィルムの低下が、STM及びUTI89を3H3と成長させた場合に観察され、及びCFU/バイオフィルムにおける追加の低下が、アンピシリンを追加の24時間にわたり加えた場合に観察された(この低下は、より長いアンピシリン曝露時間を用いて増強されうるが)(図8)。
【0255】
生理学的に関連するモデルにおいてバイオフィルムの成長を排除するためのALZ.3H3の能力を研究するために、Sティフィムリウムのバイオフィルムを、ALZ.3H3の存在又は非存在において医療グレードのカテーテル上で成長させ、カテーテルに関連付けられるバイオフィルム構造に対する影響を研究した。サルモネラのバイオフィルムを、単独で、又はALZ3H3抗体の存在において、無菌静脈内カテーテル上で成長させた。細菌を、GFPを使用して緑色標識した。コンゴーレッドを使用してcurliアミロイド原線維について染色した。0.5mg/ml ALZ3H3 mAbの存在において72時間にわたり成長させた場合、バイオフィルムは分散した。コンゴーレッドを用いた有意な染色はなく、バイオフィルム上でのcurli 原線維の欠如を示唆する(図9)。バイオフィルムの成長に対するALZ3H3及びアンピシリンの組み合わせ効果を研究するために、マウスに、カテーテル挿入前の24時間に、飲料水中の1mg/mlアンピシリンを与えた。無菌静脈内カテーテルを、Balb/Cマウスの背中の側腹部中への挿入前に、サルモネラ・ティフィムリウムを用いて24時間にわたりインキュベートした。カテーテル挿入後の24時間及び28時間に、100μgのALZ3H3をカテーテルの内腔中に経皮的に挿入した。カテーテル挿入後の72時間に、マウスを安楽死させ、カテーテルを除去した。細菌を、GFPを使用して緑色標識した。コンゴーレッドを使用してcurliアミロイド原線維について染色した。カテーテルは緑色の自己蛍光を発した。未処置のサルモネラ・ティフィムリウムのバイオフィルムは、バイオマス全体にcurli を伴うカテーテル壁に密接に接着していたのに対し、ALZ3H3を用いて処置されたバイオフィルムは、ほとんどcurliを伴わない分散形態を有した。ALZ3H3及びアンピシリンを用いた組み合わせ処置によって、アミロイドの取り込みをほとんど又は全く呈さなかったカテーテル上のバイオフィルム成長が著しく低下した(図10)。
【0256】
カテーテルを、Sティフィムリウム(STM)のバイオフィルムを用いてコロニー形成し、1つのコロニー形成されたカテーテルを、15匹のC67BL/6マウスの各々に挿入した(コホート:STMカテーテルだけを受けた5匹のマウス、STMカテーテル及び100μgの3H3の経皮注射を受けた5匹のマウス、ならびにSTMカテーテル、100μgの3H3の経皮注射、及び1mg/mlアンピシリン(Amp)を飲料水中で自由に受けた5匹のマウス(**アンピシリンを、カテーテル挿入前の24時間に飲料水に加えた)。カテーテル挿入後の24時間に開始し、適切なグループにおいて、100μg/mlの3H3を、カテーテル挿入後24時間毎に、カテーテルの内腔中に経皮的に挿入した。マウスを、生存について毎日モニターした(図11)。
【0257】
実施例2:汎アミロイド抗体の開発
【0258】
細菌は、侵襲に対してそれら自体を保護するために、自然において、及び感染の間にバイオフィルムと呼ばれる多細胞コミュニティを形成する(抗菌剤及び免疫系を含む)。バイオフィルムの細胞外マトリックス(ECM)は、多糖類、DNA、及びタンパク質(アミロイドを含む)で構成されている。アミロイドは、クロスベータシートの二次構造により定義される天然の不溶性原線維タンパク質である。コンゴーレッドは、アミロイドに結合する特定の色素であり、細菌アミロイドを同定するために使用することができる。細菌はこれらのタンパク質を利用し、それらのバイオフィルムを装飾する。最も良く試験されている細菌アミロイドの1つは、curliであり、腸内細菌科により特異的に産生される。汎アミロイド結合活性を示すヒトモノクローナル抗体(mAb)は、インビトロ及びインビボで大腸菌及びサルモネラ・ティフィムリウムの両方のバイオフィルムの形成を阻害する。
【0259】
Aβ42から産生される、グロブロマーとしても公知であるアミロイドベータ由来の拡散性リガンド(ADDL)(図12)。これらのADDLを使用し、アミロイド特異的エピトープに結合するヒトmAbについてスクリーニングした。ハイブリドーマを、軽度―中等度のアルツハイマー病の臨床診断を伴う患者のB細胞から作製し、及び3つの新たにクローン化されたmAb(4G1、4A6、及び2C10)をALZ.3H3と比較した(図13)。ELISAプレートに接着性の単量体Aβ42は、立体構造アミロイドエピトープについて特異的なmAbにより認識される立体構造を採用することができる(Levites et al., 2015, J Neurosci, 35(16): 6265-6276)。
【0260】
Aβ42配座異性体へのMAb結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)により測定した(表1)。計算された親和性定数(K)を、Qdatソフトウェアを使用して得た。N末端ビオチン化単量体と比較し、mAbの全てが、Aβ42オリゴマー又原線維の一部又は全てへのより低い親和性結合を示す。3H3結合データは、4G1及び6E10 mAbに定性的に最も類似している。4A6及び2C10はAβ原線維に優先的に結合する。
【0261】
表1:Aβ42配座異性体へのMAb結合。オリゴマー(ADDL/グロブロマー);CTBオリゴ(C末端ビオチン化ADDL/グロブロマー);CTBモノ(C末端ビオチン化単量体);NTBモノ(N末端ビオチン化単量体)。6E10(Aβアミノ酸1~16に対するマウスmAb;BioLegend、カリフォルニア州サンディエゴ)。
【表1】
【0262】
ヒトmAbを、AD脳ホモジネートから単離された凝集した膵島アミロイドペプチドIAPP及びタウペアードヘリカルフィラメント(TAU PHF)への結合についてSPRによりアッセイした(図14)。この試験において使用された抗体濃度は、IAPPについて110nM及びTau-PHFについて66.7nMであった。3H3及び4G1mAbは、Tau PHFへの結合について注目すべきであり、汎アミロイドエピトープの認識と一致する。
【0263】
tau40HEK-293及びHEK-293細胞株への4G1及び3H3mAbの結合をアッセイした(図15)。
【0264】
アミロイドベータオリゴマー単独の又は抗アミロイドmAb、3H3、4G1、及び4A6の存在におけるAβ42の線維化をアッセイした(図16)。
【0265】
実施例3:Yペスチスに対する治療用抗体としての汎アミロイド抗体の使用。
【0266】
腸内細菌科の一員であるエルシニア・ペスチスはペスト病の原因物質である。Yペスチスは主にげっ歯類に感染するが、しかし、それはまた、他の様々な哺乳類宿主(ヒトを含む)に感染しうる。ノミは病原体により媒介者として用いられ、感染事象の大部分はノミの咬傷を通じて生じると考えられている。このように、細菌の成功は、哺乳類及びノミの宿主において遭遇する異なる温度環境に適応し、それに急速に応答するその能力に部分的に依存する。Yペスチスはノミの宿主においてバイオフィルムを形成し、この形質はヒトにおける致命的な感染に関連付けられてきた。さらに、Yペスチスのバイオフィルムはまた、感染の間に産生された肉芽腫において観察されてきた。しかし、これらのバイオフィルムの性質はまだ探索されていない。
【0267】
多数のプラスミド及び染色体にコードされている病原性遺伝子がYペスチスにおいて同定されており、コンゴーレッド結合(Crb+表現型)中に含まれるものを含み、それらは、バイオフィルム形成の基礎を形成する。しかし、これらの試験では、Yペスチスのバイオフィルムのための足場としての役割を果たすアミロイドタンパク質はまだ特定されていない。
【0268】
実験は、プロテオミクスアプローチ及び、配列分析を通じてアミロイドタンパク質を特定するために確立されたソフトウェアを使用し、感染の間でのバイオフィルム形成において含まれるエルシニアアミロイドを同定及び検証するように設計されている。候補タンパク質を次に選択して検証する。組換えタンパク質を生成し、機能アッセイ(チオフラビンT結合アッセイ、コンゴーレッド分光分析、及び電子顕微鏡を含む)を使用してそれらのアミロイド活性についてテストする。
【0269】
アミロイドの検証後、これらのタンパク質を標的化する抗体を生成する。生成されたmAbを、バイオフィルム(Yシュードツベルクローシス、Yエンテロコリチカ、及び大腸菌のバイオフィルムを含む)を崩壊させるそれらの能力、及びそれらのインビトロ抗バイオフィルム活性について、標準的なバイオフィルムアッセイを使用してテストする。強い抗汎アミロイド活性を示す抗体を、カテーテル-バイオフィルムモデルを使用し、Yシュードツベルクローシス、Yエンテロコリチカ、及び大腸菌に対してインビボでさらにテストする。インビトロ及びインビボの両方で最も高い活性を示すmAbは、Yペスチスに対する潜在的な治療用抗体である。
【0270】
実施例4:抗体配列
配列番号1:ALZ.3H3重鎖(ヌクレオチド)
配列番号2:ALZ.3H3重鎖(アミノ酸)
配列番号3:ALZ.3H3重鎖可変領域(ヌクレオチド)
配列番号4:ALZ.3H3重鎖可変領域(アミノ酸)
配列番号5: Metの前に4ntを伴うALZ.3H3重鎖(ヌクレオチド)
V-D-J領域:配列番号5のヌクレオチド62..448
V領域:配列番号5のヌクレオチド62..357
FR1-IMGT(配列番号6;配列番号7)
CDR1-IMGT(配列番号8;配列番号9)
FR2-IMGT(配列番号10;配列番号11)
CDR2-IMGT(配列番号12;配列番号13)
FR3-IMGT(配列番号14;配列番号15)
CDR3-IMGT(配列番号16;配列番号17)
接合部(配列番号18;配列番号19)
3’V領域(配列番号20;配列番号21)
N1領域(配列番号22;配列番号23)
D領域(配列番号24;配列番号25)
N2領域(配列番号26;配列番号27)
5’J領域(配列番号28;配列番号29)
J領域(配列番号30;配列番号31)
FR4-IMGT(配列番号32;配列番号33)
配列番号34:ALZ.3H3軽鎖(ヌクレオチド)
配列番号35:ALZ.3H3軽鎖(アミノ酸)
V-J領域<配列番号34のヌクレオチド1..323
V領域<配列番号34のヌクレオチド1..288
FR1-IMGT(配列番号36;配列番号37)
CDR1-IMGT(配列番号38;配列番号39)
FR2-IMGT(配列番号40;配列番号41)
CDR2-IMGT(配列番号42;配列番号43)
FR3-IMGT(配列番号44;配列番号45)
CDR3-IMGT(配列番号46;配列番号47)
接合部(配列番号48;配列番号49)
3’V領域(配列番号50;配列番号51)
N領域:配列番号34のヌクレオチド289..290
5’J領域:配列番号34のヌクレオチド291..295
J領域(配列番号52;配列番号53)
FR4-IMGT(配列番号54;配列番号55)
配列番号56ALZ.4A6重鎖(ヌクレオチド)
配列番号57ALZ.4A6重鎖(アミノ酸)
配列番号58ALZ.4A6軽鎖(ヌクレオチド)
配列番号59ALZ.4A6軽鎖(アミノ酸)
配列番号60ALZ.4G1重鎖(ヌクレオチド)
配列番号61ALZ.4G1重鎖(アミノ酸)
配列番号62ALZ.4G1軽鎖(ヌクレオチド)
配列番号63ALZ.4G1軽鎖(アミノ酸)
【0271】
本明細書中で引用する各々のすべての特許、特許出願、及び刊行物の開示を、参照によりそれらの全体において本明細書中に組み入れる。本発明を、特定の実施形態を参照して開示してきたが、本発明の他の実施形態及びバリエーションは、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者により考案されうることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような実施形態及び等価のバリエーションを含むと解釈されることを意図している。
図1A-1】
図1A-2】
図1B-1】
図1B-2】
図1C
図2A
図2B-1】
図2B-2】
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
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