(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】換気ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 7/04 20060101AFI20241016BHJP
F24F 13/12 20060101ALI20241016BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
F24F7/04 B
F24F13/12
F24F13/28
(21)【出願番号】P 2023076875
(22)【出願日】2023-05-08
【審査請求日】2024-03-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】396003825
【氏名又は名称】池木プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】俣野 祐美
(72)【発明者】
【氏名】硲 美友
(72)【発明者】
【氏名】駒倉 昌和
(72)【発明者】
【氏名】嶋谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】今井 啓喜
(72)【発明者】
【氏名】池木 隼人
(72)【発明者】
【氏名】池 泰文
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 健人
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3015959(JP,U)
【文献】特開2005-273980(JP,A)
【文献】特開2012-077946(JP,A)
【文献】特開2007-309557(JP,A)
【文献】特開2014-126211(JP,A)
【文献】特開2015-183869(JP,A)
【文献】特開2015-190749(JP,A)
【文献】特開2007-315643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04
F24F 13/12
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の壁の貫通孔に取り付けられる換気ユニットであって、
換気用の開口を有し室内に配置される外枠部材と、
前記外枠部材と接触して前記開口を塞ぐ閉鎖位置と前記閉鎖位置よりも室外側へ移動して前記外枠部材との間に換気経路を形成する換気位置とに移動可能なシャッター部材と、
前記貫通孔に挿入される筒状部材と、
前記シャッター部材を支持し前記閉鎖位置及び前記換気位置に移動させる支持移動機構と、を備え
、
前記支持移動機構は、前記筒状部材に固定されるベース部材と、前記ベース部材に対してスライド移動が可能な状態で前記ベース部材に支持されると共に前記シャッター部材が固定されるスライド部材と、前記スライド部材を前記ベース部材から離間する方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記スライド部材は、両側の側壁の内面に形成されたレール状部位を備え、
前記ベース部材は、前記スライド部材のスライド移動に伴って先端が前記レール状部位に沿って移動するように弾性変形する従動レバーを備え、
前記スライド部材が前記付勢部材に付勢されて、前記従動レバーの前記先端が前記レール状部位が備える凹部に入り込むことにより、前記シャッター部材が前記換気位置に保持される換気ユニット。
【請求項2】
前記シャッター部材は、前記換気位置にあるときに前記筒状部材の内部に位置する請求項1に記載の換気ユニット。
【請求項3】
前記筒状部材の内部における前記シャッター部材よりも室外側に配置されるフィルター部
材を更に備える請求項1に記載の換気ユニット。
【請求項4】
前記筒状部材は、前記筒状部材の中心軸上に配置される中心部位と、前記中心部位から前記筒状部材の外壁まで放射状に延びる複数のフレーム部位と、を備え、
前記フィルター部材は、中心部から放射状に延びる複数の桟状部位を備え、
前記フィルター部材の前記桟状部位が、前記筒状部材の前記フレーム部位に対して前記筒状部材の中心軸方向に隣接する位置にある請求項3に記載の換気ユニット。
【請求項5】
前記シャッター部材が、前記閉鎖位置よりも室内側へ移動して前記外枠部材との間に換気経路を形成する副換気位置に更に移動可能である請求項1に記載の換気ユニット。
【請求項6】
前記従動レバーが前記ベース部材において他の部位と一体成型されている請求項
1に記載の換気ユニット。
【請求項7】
部屋の壁の貫通孔に取り付けられる換気ユニットであって、
換気用の開口を有し室内に配置される外枠部材と、
前記外枠部材と接触して前記開口を塞ぐ閉鎖位置と前記閉鎖位置よりも室外側へ移動して前記外枠部材との間に換気経路を形成する換気位置とに移動可能なシャッター部材と、を備え、
前記シャッター部材が、前記閉鎖位置よりも室内側へ移動して前記外枠部材との間に換気経路を形成する副換気位置に更に移動可能である換気ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の換気ユニットが開示されている。この換気ユニットは、建物の壁に設けられた貫通孔に取り付けられる。この換気ユニットでは、シャッター(S)が伸縮機構(C)によって開閉して、給気口(50)を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の換気ユニットでは、換気を行う際には、シャッター(S)が室内側(前側)に移動して鍔部(14)から突出する(特許文献1の
図6参照)。すなわち、換気時に壁から突出するように取り付けられた鰐部から、上記鰐部を面一且つ全体を覆うように取り付けられた大型のシャッターが、さらに大きく突出することになるので、大型のシャッターを開閉させるに足る丈夫な開閉機構が必要になるとともに、壁からの部材の大きな突出により、部屋の美感が損なわれる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、シャッターの小型化を図り使用者の利便性を高めると共に部屋の美感を損ないにくい換気ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本発明の換気ユニットは、部屋の壁の貫通孔に取り付けられる換気ユニットであって、換気用の開口を有し室内に配置される外枠部材と、前記外枠部材と接触して前記開口を塞ぐ閉鎖位置と前記閉鎖位置よりも室外側へ移動して前記外枠部材との間に換気経路を形成する換気位置とに移動可能なシャッター部材と、前記貫通孔に挿入される筒状部材と、前記シャッター部材を支持し前記閉鎖位置及び前記換気位置に移動させる支持移動機構と、を備え、前記支持移動機構は、前記筒状部材に固定されるベース部材と、前記ベース部材に対してスライド移動が可能な状態で前記ベース部材に支持されると共に前記シャッター部材が固定されるスライド部材と、前記スライド部材を前記ベース部材から離間する方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記スライド部材は、両側の側壁の内面に形成されたレール状部位を備え、前記ベース部材は、前記スライド部材のスライド移動に伴って先端が前記レール状部位に沿って移動するように弾性変形する従動レバーを備え、前記スライド部材が前記付勢部材に付勢されて、前記従動レバーの前記先端が前記レール状部位が備える凹部に入り込むことにより、前記シャッター部材が前記換気位置に保持されることを特徴とする。
【0007】
上記の特徴によれば、シャッター部材が室外側へ移動して換気経路が形成されるので、壁から部材を突出させることなく換気を行うことができる。従って、換気時に部屋の利用者の利便性向上を図りつつ、美感の悪化を抑制できる。すなわち、利便性を高めると共に部屋の美感を損ないにくい換気ユニットを提供することができる。
【0008】
本発明において、前記貫通孔に挿入される筒状部材を更に備え、前記シャッター部材は、前記換気位置にあるときに前記筒状部材の内部に位置すると好ましい。
【0009】
本発明ではシャッター部材の室外側への移動のために、外枠部材の室外側に空間が必要となる。上記の特徴によれば、換気位置においてシャッター部材が筒状部材の内部に位置する。上記筒状部材は、室内側仕上材と室外側仕上材の間の壁体内に設けられるので、シャッター部材の移動のための空間は筒状部材の内部に確保される。従って、外枠部材を比較的薄くすることができ、換気ユニットの室内側への突出が抑制される。さらに筒状部材の内部に格納できる程度にシャッターの小型化が図れ、これにより、換気ユニットの耐久性向上が期待できるとともに利便性と美感を高めることができる。
【0010】
本発明において、前記貫通孔に挿入される筒状部材と、前記筒状部材の内部における前記シャッター部材よりも室外側に配置されるフィルター部材と、を更に備えると好ましい。
【0011】
上記の特徴によれば、フィルター部材が筒状部材の内部に配置されるので、外枠部材を比較的薄くすることができ、換気ユニットの室内側への突出が抑制される。これにより、換気ユニットの利便性と美感を高めることができる。
【0012】
本発明において、前記筒状部材は、前記筒状部材の中心軸上に配置される中心部位と、前記中心部位から前記筒状部材の外壁まで放射状に延びる複数のフレーム部位と、を備え、前記フィルター部材は、中心部から放射状に延びる複数の桟状部位を備え、前記フィルター部材の前記桟状部位が、前記筒状部材の前記フレーム部位に対して前記筒状部材の中心軸方向に隣接する位置にあると好ましい。
【0013】
桟状部位とフレーム部位とが離れた位置にある場合、桟状部位とフレーム部位との両方において、下流側に乱気流が発生して、換気の効率が低下する可能性がある。上記の特徴によれば、桟状部位がフレーム部位と隣接しているので、乱気流の発生が抑制される。従って、換気効率の低下を抑制することができる。
【0014】
本発明において、前記シャッター部材が、前記閉鎖位置よりも室内側へ移動して前記外枠部材との間に換気経路を形成する副換気位置に更に移動可能であると好ましい。
【0015】
上記の特徴によれば、シャッター部材が、閉鎖位置及び換気位置に加えて副換気位置に移動可能であることにより、換気ユニットの機能を多様化することができる。例えば副換気位置を、換気量がより大きい位置としたり、換気ユニットの掃除が行い易い位置とすることができる。
【0016】
本発明において、前記貫通孔に挿入される筒状部材と、前記シャッター部材を支持し前記閉鎖位置及び前記換気位置に移動させる支持移動機構と、を更に備え、前記支持移動機構は、前記筒状部材に固定されるベース部材と、前記ベース部材に対してスライド移動が可能な状態で前記ベース部材に支持されると共に前記シャッター部材が固定されるスライド部材と、前記スライド部材を前記ベース部材から離間する方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記スライド部材は、両側の側壁の内面に形成されたレール状部位を備え、前記ベース部材は、前記スライド部材のスライド移動に伴って先端が前記レール状部位に沿って移動するように弾性変形する従動レバーを備え、前記スライド部材が前記付勢部材に付勢されて、前記従動レバーの前記先端が前記レール状部位が備える凹部に入り込むことにより、前記シャッター部材が前記閉鎖位置及び前記換気位置に保持されると好ましい。
【0017】
上記の特徴によれば、レール状部位が両側の側壁に形成されているので、レール状部位による従動レバーの案内がスムースに行われやすい。従って、スライド部材のスライド移動がスムースに行われ、シャッター部材が安定して移動する。これにより、換気ユニットの操作性を高めることができる。
【0018】
本発明において、前記従動レバーが前記ベース部材において他の部位と一体成型されていると好ましい。
【0019】
上記の特徴によれば、ベース部材の製造が容易になり、換気ユニットのコストダウンが可能となる。
また、本発明の換気ユニットは、部屋の壁の貫通孔に取り付けられる換気ユニットであって、換気用の開口を有し室内に配置される外枠部材と、前記外枠部材と接触して前記開口を塞ぐ閉鎖位置と前記閉鎖位置よりも室外側へ移動して前記外枠部材との間に換気経路を形成する換気位置とに移動可能なシャッター部材と、を備え、前記シャッター部材が、前記閉鎖位置よりも室内側へ移動して前記外枠部材との間に換気経路を形成する副換気位置に更に移動可能であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】部屋の壁の貫通孔に取り付けられた換気ユニットを示す左側面図である。
【
図9】伸長状態にある支持移動機構の部分断面左側面図である。
【
図10】中間状態にある支持移動機構の部分断面左側面図である。
【
図11】収縮状態にある支持移動機構の部分断面左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る換気ユニット1について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0022】
図1に示されるように、換気ユニット1は、外枠部材2、シャッター部材3、筒状部材4、フィルター部材5、及び支持移動機構Aを備える。
【0023】
図2に示されるように、換気ユニット1は、部屋Rの壁Wの貫通孔Hに取り付けられる。本実施形態では、貫通孔Hの断面は円形であり、貫通孔Hの中心軸は壁Wに直交している。
【0024】
以下の説明では、換気ユニット1が貫通孔Hに取り付けられた状態で、換気ユニット1を部屋Rから壁Wに垂直な方向に視た面を正面として、上下左右を定義する。図面において、上を矢印UP、下を矢印DW、右を矢印RH、左を矢印LHで示す。壁Wに垂直な方向において室内側を前側と定義して矢印FRで示し、室外側を後側と定義して矢印BKで示す。壁Wに垂直な方向を「奥行き方向」と称する場合がある。
【0025】
〔外枠部材〕
外枠部材2は、中央部に換気用の開口2aを有する板状の部材である。外枠部材2は、全体が樹脂で一体成型されている。
【0026】
図2に示されるように、換気ユニット1が貫通孔Hに取り付けられた状態で、外枠部材2は部屋Rの室内に配置される。外枠部材2は、着脱可能な状態で筒状部材4の前部に取り付けられている。
【0027】
開口2aは、板状である外枠部材2を奥行き方向に貫通する孔である。
図3に示されるように、本実施形態では、開口2aは、壁Wに直交する方向に視て、長軸が水平方向に延びる楕円形である。
【0028】
〔シャッター部材〕
シャッター部材3は、
図3に示されるように、正面視で楕円形の板状の部材である。シャッター部材3は、全体が樹脂で一体成型されている。
【0029】
シャッター部材3は、外枠部材2と接触して開口2aを塞ぐ閉鎖位置P1と、閉鎖位置P1よりも室外側へ移動して外枠部材2との間に換気経路Dを形成する換気位置と、に移動可能である。本実施形態では、シャッター部材3は、
図2、
図4に示されるように、閉鎖位置P1、換気位置としての最大換気位置P2、及び換気位置としての中間換気位置P3に移動可能である。シャッター部材3が中間換気位置P3にあるときの換気経路Dは、シャッター部材3が最大換気位置P2にあるときの換気経路Dよりも狭く、換気量は小さい。
【0030】
シャッター部材3は、支持移動機構Aに支持されている。詳しくは、シャッター部材3の室外側の突出部3d(
図2)が支持移動機構Aの先端と嵌合する。支持移動機構Aが伸縮することにより、シャッター部材3が閉鎖位置P1と換気位置とに移動する。換言すれば、シャッター部材3は、支持移動機構Aによって移動を補助され、閉鎖位置P1または換気位置において位置保持される。本実施形態では、シャッター部材3は、支持移動機構Aによって閉鎖位置P1、最大換気位置P2、または中間換気位置P3に位置保持される。
【0031】
本実施形態では、シャッター部材3は、人に押されることにより移動する。詳しくは、閉鎖位置P1にあるシャッター部材3が人に押されると、換気位置へ移動する。具体的には、閉鎖位置P1にあるシャッター部材3が人に押されると、支持移動機構Aが縮み、シャッター部材3が中間換気位置P3に移動する。中間換気位置P3にあるシャッター部材3が人に押されると、支持移動機構Aが縮み、シャッター部材3が最大換気位置P2に移動する。最大換気位置P2にあるシャッター部材3が人に押されると、支持移動機構Aが伸びて、シャッター部材3が閉鎖位置P1に移動する。支持移動機構Aの動作の詳細については後述する。
【0032】
シャッター部材3は、中央部位3a及び外周部位3bを備える。中央部位3aは、シャッター部材3が閉鎖位置P1にあるときに外枠部材2の開口2aに進入する。外周部位3bは、中央部位3aの周囲に配置されるフランジ状の部位であって、シャッター部材3が閉鎖位置P1にあるときに外枠部材2の裏面に当接する。
【0033】
〔換気ユニットの前面形状〕
外枠部材2及びシャッター部材3によって形成される換気ユニット1の前面の形状について説明する。
【0034】
外枠部材2の前面2c(室内側の表面)は、
図4に示されるように、室内側(前側)へ凸である曲面である。詳しくは、外枠部材2の前面2cは、中心軸が上下方向に延びる円柱の側面に沿う形状であって、前方に突出した形状である。
【0035】
シャッター部材3の前面3c(室内側の表面)は、
図2に示されるように、室外側(後側)へ凹んだ曲面である。詳しくは、シャッター部材3の中央部位3aの前面3cは、中心軸が左右方向に延びる円柱の側面に沿う形状であって、後方に凹んだ形状である。
【0036】
外枠部材2の開口2aの形状は、中心軸が上下方向に延びる円柱の側面(外枠部材2の前面2c)を、中心軸が左右方向に延びる円柱の側面で切り欠いた形状である。外枠部材2の開口2aの外周形状と、シャッター部材3の前面3c(中央部位3aの前面3c)の外周形状は、同一である。
【0037】
シャッター部材3が閉鎖位置P1にあるときに、シャッター部材3における前面3c(室内側の表面)は、外枠部材2の開口2aの外周輪郭線において、外枠部材2における前面2c(室内側の表面)と滑らかに接続する。両者(前面2cと前面3c)の間には、僅かな隙間は存在するが、大きな段差はない。すなわち、シャッター部材3における前面3cと外枠部材2における前面2cとが、連続した面を形成している。本実施形態では、シャッター部材3における前面3cと外枠部材2における前面2cとの間の段差の大きさは、2mm以下である。当該段差の大きさが1mm以下であると更に好ましい。
【0038】
〔筒状部材〕
筒状部材4は、その室外側の部分が壁Wの貫通孔Hに挿入される部材である。筒状部材4は、筒状部位4a、板状部位4b、中心部位4c、及びフレーム部位4dを備える。筒状部材4は、全体が樹脂で一体成型されている。
【0039】
筒状部位4aは、両端が解放された円筒状の部位である。換気ユニット1が壁Wに設置されるとき、筒状部位4aが貫通孔Hに挿入される。詳しくは、筒状部位4aの中心軸C(筒状部材4の中心軸)が貫通孔Hの中心軸に一致するように、換気ユニット1が貫通孔Hに取り付けられる。
【0040】
板状部位4bは、筒状部位4aの室内側の端部から上下左右に延びるフランジ状の部位である。外枠部材2が板状部位4bに取り付けられる。詳しくは、
図5に示されるように、外枠部材2の4つの爪状部位2bが板状部位4bの4つの凹部4eに嵌合することにより、外枠部材2が筒状部材4に取り付けられる。
【0041】
中心部位4cは、室内側の端部が開口する角筒状の部位である。中心部位4cの筒の内部に支持移動機構Aが挿入されて、支持移動機構Aが中心部位4cに支持される。中心部位4cは、筒状部材4の中心軸(筒状部位4aの中心軸C)上に配置される。
【0042】
フレーム部位4dは、中心部位4cから筒状部材4の外壁(筒状部位4a)まで放射状に延びる板状の部材である。換言すれば、中心部位4cはフレーム部位4dに支持されている。本実施形態では、筒状部材4は4つのフレーム部位4dを備える。
【0043】
本実施形態では、
図2、
図4に示されるように、シャッター部材3が換気位置(最大換気位置P2、中間換気位置P3)にあるときに筒状部材4の内部(詳しくは筒状部位4aの内部)に位置する。
【0044】
〔フィルター部材〕
フィルター部材5は、換気ユニット1を通流する空気から塵埃を取り除く部材である。フィルター部材5は、内輪部位5a、外輪部位5b、桟状部位5c、及びフィルター5dを備える。
【0045】
内輪部位5aは、輪状の部位である。フィルター部材5が筒状部材4に取り付けられるとき、筒状部材4の中心部位4cの室内側の端部が内輪部位5aに挿入される。
【0046】
外輪部位5bは、輪状の部位であって、外周面に溝5eを備える。筒状部位4aの内周面に形成された凸部4fに溝5eが嵌合することにより、フィルター部材5が筒状部材4の筒状部位4aに固定される。
【0047】
桟状部位5cは、中心部(内輪部位5a)から放射状に延びる桟状の部位である。換言すれば、内輪部位5aは桟状部位5cに支持されている。本実施形態では、フィルター部材5は4つの桟状部位5cを備える。
【0048】
フィルター5dは、例えば不織布などの通気性を有する部材である。本実施形態では、フィルター5dはシート状の部材である。フィルター5dは、樹脂製の内輪部位5a、外輪部位5b、及び桟状部位5cの一体成型の際に、これらの部位に埋め込まれる。
【0049】
本実施形態では、
図2、
図4に示されるように、フィルター部材5は、筒状部材4の内部におけるシャッター部材3よりも室外側(後側)に配置される。
【0050】
また本実施形態では、
図2に示されるように、フィルター部材5の桟状部位5cが、筒状部材4のフレーム部位4dに対して、奥行き方向(筒状部材4の中心軸Cが延びる方向)に隣接する位置にある。換言すれば、桟状部位5cが、フレーム部位4dの前側に隣接する状態で配置される。
【0051】
本実施形態では、前後方向(筒状部材4の中心軸Cが延びる方向)に視て、4つの桟状部位5cが筒状部材4の4つのフレーム部位4dと重なる位置に配置される。
図5の背面図では、筒状部材4のフレーム部位4dと重なっているため、フィルター部材5の桟状部位5cが示されていない。
【0052】
〔支持移動機構〕
支持移動機構Aは、シャッター部材3を支持し閉鎖位置P1及び換気位置(最大換気位置P2、中間換気位置P3)に移動させる機構である。支持移動機構Aは、筒状部材4に支持されている。詳しくは、支持移動機構Aが中心部位4cの筒の内部に挿入されている。
【0053】
支持移動機構Aは、ベース部材6、スライド部材7、及び付勢部材8を備える。
【0054】
ベース部材6は、筒状部材4に固定される部材であって、シャッター部材3の移動の際に移動しない部材である。
【0055】
ベース部材6は、
図8に示されるように、底板部位6a、後壁部位6b、突起6c、支軸6d、及び従動レバー6eを備える。後壁部位6bが、底板部位6aの後端から上方に延びている。突起6cが、底板部位6aの前部から下方に突出している。突起6cが筒状部材4の中心部位4cの下面に形成された穴4g(
図2)に嵌合することにより、ベース部材6が中心部位4cに固定される。支軸6dが、後壁部位6bから前方へ延びている。
【0056】
従動レバー6eは、上下に弾性変形可能な部位である。従動レバー6eは、後壁部位6bから前方へ延びている。従動レバー6eの先端6fは、左右方向に延びる丸棒状の部位である。
【0057】
ベース部材6は、全体が樹脂で一体成型されている。すなわち、従動レバー6eがベース部材6において他の部位と一体成型されている。
【0058】
スライド部材7は、ベース部材6に対してスライド移動が可能な状態でベース部材6に支持される部材である。スライド部材7は、全体が樹脂で一体成型されている。
【0059】
スライド部材7は、前面、下面及び後面が解放された角筒状の部材である。スライド部材7は、穴7a、溝部7b、左右の側壁7c、及びレール状部位7dを備える。
【0060】
スライド部材7の前端部に、シャッター部材3が固定される。詳しくは、スライド部材7の前端部の穴7a(
図1、
図2)へシャッター部材3の後面の突出部3d(
図2)が挿入されて、スライド部材7にシャッター部材3が固定される。
【0061】
溝部7bは、
図7、
図9等に示されるように、スライド部材7の上面に形成され、スライド部材7の後端部から前方へ延びている。
【0062】
左右両側の側壁7cの内面に、レール状部位7dが形成されている。本実施形態では、レール状部位7dは、側壁7cの表面から突出しレール上に前後に延びる部位である。すなわち、右のレール状部位7dは、右の側壁7cから左へ突出する。左のレール状部位7dは、左の側壁7cから右へ突出する。左右のレール状部位7dは、同様の形状である。
図9~
図11に、右の側壁7cに形成されたレール状部位7dが示されている。
【0063】
付勢部材8は、スライド部材7をベース部材6から離間する方向に付勢する部材である。本実施形態では、付勢部材8はコイルバネである。付勢部材8は、
図7、
図9等に示されるように、ベース部材6の支軸6dが内部に挿通された状態で、スライド部材7の溝部7bの内部に配置される。
【0064】
図9-
図11に示されるように、ベース部材6及びスライド部材7は、スライド部材7の下面及び後面の開口からベース部材6の従動レバー6eが内部に挿入された状態で、組み合わされる。そしてスライド部材7がベース部材6に対して前後方向にスライド移動して、
図9、
図10、及び
図11に示される位置に移動する。スライド部材7のスライド移動に伴って、従動レバー6eの先端6fがレール状部位7dに沿って移動する。この移動に伴って従動レバー6eは弾性変形する。
【0065】
〔支持移動機構の動作〕
支持移動機構Aの動作について説明する。
図9は、支持移動機構Aが最も大きく伸張した状態を示している(以下「伸長状態」と称する。)。このとき、シャッター部材3は閉鎖位置P1にあって外枠部材2に接触して開口2aを塞いでいる。
【0066】
図9の状態から、シャッター部材3が人によって後側(室外側)へ押されると、付勢部材8の付勢力に抗してスライド部材7が後側へスライド移動する。レール状部位7dが後側へ移動して従動レバー6eと接触すると、レール状部位7dに押されて従動レバー6eの先端6fが上側へ移動し、従動レバー6eが上へ弾性変形する。
【0067】
スライド部材7が
図10の位置まで移動すると、復元力により従動レバー6eが下に変形する。先端6fが下側へ移動して、レール状部位7dの第1凹部7e(凹部の一例)に入り込む。この動作により、シャッター部材3を操作している人に感触(動作感、クリック感)が伝わる。
【0068】
その状態で人が手を離すと、従動レバー6eの先端6fがレール状部位7dの第1凹部7eと係合することにより、付勢部材8の付勢力に抗した状態で、スライド部材7が
図10の位置で保持される。以上のようにして、支持移動機構Aが
図10の状態(以下「中間状態」と称する。)に保持される。このとき、シャッター部材3は中間換気位置P3にあり、換気経路Dが形成されている。
【0069】
図10の状態から、シャッター部材3が人によって後側(室外側)へ押されると、付勢部材8の付勢力に抗してスライド部材7が更に後側へスライド移動する。レール状部位7dが更に後側へ移動して従動レバー6eの先端6fが更に上側へ移動し、従動レバー6eが更に上へ弾性変形する。
【0070】
スライド部材7が
図11の位置まで移動すると、復元力により従動レバー6eが下に変形する。先端6fが下側へ移動して、レール状部位7dの第2凹部7f(凹部の一例)に入り込む。この動作により、シャッター部材3を操作している人に感触(動作感、クリック感)が伝わる。
【0071】
その状態で人が手を離すと、従動レバー6eの先端6fがレール状部位7dの第2凹部7fと係合することにより、付勢部材8の付勢力に抗した状態で、スライド部材7が
図11の位置で保持される。以上のようにして、支持移動機構Aが
図11の状態(以下「収縮状態」と称する。)に保持される。このとき、シャッター部材3は最大換気位置P2にあり、換気経路Dが形成されている。
【0072】
図11の状態から、シャッター部材3が人によって後側(室外側)へ押されると、付勢部材8の付勢力に抗してスライド部材7が更に後側へスライド移動する。レール状部位7dが更に後側へ移動すると、従動レバー6eの復元力、及びスライド部材7の凸部7gと従動レバー6eの先端6fとの接触により、先端6fが下へ移動して第2凹部7fから外れる。この動作により、シャッター部材3を操作している人に感触(動作感、クリック感)が伝わる。
【0073】
その状態で人が手を離すと、付勢部材8の付勢力によりスライド部材7は前方へ移動して、
図9の位置に復帰する。このとき、従動レバー6eの先端6fはレール状部位7dの下側を通過する。このようにして、支持移動機構Aが伸長状態に戻り、シャッター部材3が閉鎖位置P1へ移動する。
【0074】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではない。以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0075】
(1)上述の実施形態では、シャッター部材3が3つの位置(閉鎖位置P1、最大換気位置P2、中間換気位置P3)に移動可能である例が説明された。シャッター部材3が2つの位置(閉鎖位置と換気位置)に移動可能である形態や、シャッター部材3が4つ以上の位置(閉鎖位置と3つ以上の換気位置)に移動可能である形態も可能である。シャッター部材3が、閉鎖位置と換気位置を含む位置に連続的に移動可能(すなわち、任意の位置で停止可能)である形態も可能である。
【0076】
(2)シャッター部材3が、閉鎖位置P1よりも室内側(前側)へ移動して外枠部材2との間に換気経路を形成する副換気位置に更に移動可能であるように、換気ユニット1が構成されてもよい。この実施形態では、副換気位置にあるとき、シャッター部材3は外枠部材2よりも前側に位置する。すなわち、閉鎖位置P1から副換気位置へ移動する際、シャッター部材3が外枠部材2の開口2aを通過する。
【0077】
(3)上述の実施形態では、シャッター部材3は、換気位置(最大換気位置P2、中間換気位置P3)にあるときに筒状部材4の内部(詳しくは筒状部位4aの内部)に位置する。シャッター部材3が、換気位置にあるときに筒状部位4aの外部、すなわち筒状部位4aよりも室内側に位置する形態も可能である。この場合、シャッター部材3が筒状部位4aの内径よりも大きくてもよい。すなわち、開口2aを比較的大きくできるという利点がある。
【0078】
(4)フィルター部材5の位置は、上述の実施形態の例に限られない。また、換気ユニット1がフィルター部材5を備えない形態も可能である。フィルターが、換気ユニット1の外部に設けられてもよい。
【0079】
(5)換気ユニット1が、外枠部材2とシャッター部材3との間の隙間を塞ぐパッキンを備えてもよい。例えば、パッキンが、外枠部材2の裏面(室外側の面)における開口2aの周囲に設けられてもよい。パッキンが、外枠部材2の開口2aの内壁に設けられてもよい。パッキンが、シャッター部材3の外周部位3bにおける表面(室内側の面)に設けられてもよい。
【0080】
(6)上述の実施形態では、外枠部材2の前面2cは前に凸な曲面(円筒面)であり、シャッター部材3の前面3cは後に凸な(つまり後に凹んだ)曲面(円筒面)である。前面2c及び前面3cの形状はこれに限られない。前面2c及び前面3cが、上述の実施形態とは異なる曲面であってもよいし、一方が平面であってもよいし、両方が平面であってもよい。
【0081】
(7)上述の実施形態では、外枠部材2の開口2aは楕円形である。開口2aの形状はこれに限られない。開口2aが、円であってもよいし、長方形、正方形等の四角形であってもよいし、三角形、五角形等の多角形であってもよい。さらに、有効開口面積を増やす場合は、星形、ひょうたん型等、シャッター部材3の周辺部に凹部を有する形状としてもよい。この場合、筒状部材4内に押し込まれた際に、上記筒状部材4とシャッター部材3との間に、上記凹部による大きな開口が形成される。なお、開口2aと、シャッター部材3における開口2aに進入する部位(中央部位3a)とは、同じ形状、同じ大きさが好ましいが、異なってもよい。
【0082】
(8)上述の実施形態では、シャッター部材3の操作、すなわち開口2aの開閉は、人がシャッター部材3を押すことによって行われる。換気ユニット1が、シャッター部材3を移動させるアクチュエータを備えてもよい。すなわち、シャッター部材3の移動が電気や空気圧等の動力によって行われてもよい。
【0083】
(9)上述の実施形態では、壁Wに設けられた貫通孔Hの断面が円形である例が説明された。貫通孔Hの形状はこれに限られず、断面が他の形状であってもよい。なお、貫通孔Hに挿入される換気ユニット1の筒状部材4(筒状部位4a)の外形は、貫通孔Hの断面と同じ形状が好ましいが、異なってもよい。
【0084】
(10)壁Wの貫通孔Hは、建物の外部に通じていてもよいし、建物の内部(部屋Rに隣接する廊下など)に通じていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
換気ユニットは、部屋に設けられて、部屋の換気に用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 :換気ユニット
2 :外枠部材
2a :開口
3 :シャッター部材
4 :筒状部材
4c :中心部位
4d :フレーム部位
5 :フィルター部材
5c :桟状部位
6 :ベース部材
6e :従動レバー
6f :先端
7 :スライド部材
7c :側壁
7d :レール状部位
7e :第1凹部(凹部)
7f :第2凹部(凹部)
8 :付勢部材
A :支持移動機構
C :中心軸
D :換気経路
H :貫通孔
P1 :閉鎖位置
P2 :最大換気位置(換気位置)
P3 :中間換気位置(換気位置)
R :部屋
W :壁
【要約】
【課題】シャッターの小型化を図り使用者の利便性を高めると共に部屋の美感を損ないにくい換気ユニットを提供する。
【解決手段】部屋Rの壁Wの貫通孔Hに取り付けられる換気ユニット1であって、換気用の開口2aを有し室内に配置される外枠部材2と、外枠部材2と接触して開口2aを塞ぐ閉鎖位置P1と閉鎖位置P1よりも室外側へ移動して外枠部材2との間に換気経路Dを形成する換気位置P2、P3とに移動可能なシャッター部材3と、を備える。
【選択図】
図2