(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電源システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/10 20060101AFI20241016BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241016BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20241016BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02J1/10
H02J1/00 306C
H02J1/00 309F
H02M3/155 A
H02M3/00 A
(21)【出願番号】P 2023512106
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2021112746
(87)【国際公開番号】W WO2022037522
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】202010839416.8
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ドーン
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ヨーンチュエン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,シヤオフオン
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0026842(US,A1)
【文献】特表2010-535011(JP,A)
【文献】国際公開第2013/140894(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/118271(WO,A1)
【文献】特開2005-245145(JP,A)
【文献】特開2013-090525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0193765(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J1/00-1/16
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J9/00-11/00
H02M3/00-3/44
H02S10/00-10/40
H02S30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直流バス及び第2直流バスと、第1ストリングが位置する第1ブランチと、第2ストリングが位置する第2ブランチと、切替スイッチユニットと、第1の電圧補償ユニットと、コントローラと、を有する電源システムであって、
前記切替スイッチユニットは、前記コントローラから受信される電圧補償有効化信号に基づいて前記第1の電圧補償ユニットを前記第1ブランチに接続するように構成され、前記電圧補償有効化信号は、前記第1ストリングの動作状態パラメータ及び前記第2ストリングの動作状態パラメータに基づいて前記コントローラによって生成され、
前記第1の電圧補償ユニットは、前記第1ブランチの出力電圧を補償するように構成さ
れ、
前記第1の電圧補償ユニットは第1出力端子及び第2出力端子を有し、前記第1の電圧補償ユニットの前記第1出力端子が前記第1直流バスに接続されており、
前記切替スイッチユニットは、前記電圧補償有効化信号に基づいて前記第1の電圧補償ユニットの前記第2出力端子を前記第1ストリングの一方の端子に接続するように構成され、
前記第1ストリングの他方の端子は前記第2直流バスに接続されており、
前記切替スイッチユニットは更に、前記電圧補償有効化信号に基づいて前記第2ストリングの一方の端子を前記第1直流バスに接続するように構成され、
前記第2ストリングの他方の端子は前記第2直流バスに接続されている、
電源システム。
【請求項2】
前記第1の電圧補償ユニットは更に、第1入力端子及び第2入力端子を含み、
前記第1の電圧補償ユニットの前記第1入力端子は前記第1直流バスに接続され、前記第1の電圧補償ユニットの前記第2入力端子は前記第2直流バスに接続されている、
請求項
1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記第1ストリングは、少なくとも2つのサブストリングを有する、請求項1に記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1ストリングは太陽光発電ストリングであり、前記第1ストリングに含まれる前記少なくとも2つのサブストリングのそれぞれの最大電力点に対応する出力電圧範囲が少なくとも部分的に重なり合う、請求項
3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記切替スイッチユニットは、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとの間の第1切替サブスイッチを有し、該第1切替サブスイッチは接点スイッチ又は半導体スイッチであり、
前記切替スイッチユニットは、前記電圧補償有効化信号に基づいて、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するように前記第1切替サブスイッチを制御するように構成される、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項6】
前記切替スイッチユニットは更に第2切替サブスイッチを有し、
前記切替スイッチユニットは更に、前記電圧補償有効化信号に基づいて、当該電源システム内の前記第1直流バスと前記第2ストリングとを接続するように前記第2切替サブスイッチを制御するように構成される、
請求項
5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記第1切替サブスイッチは、第1の半導体スイッチ及び第2の半導体スイッチを有し、前記第1の半導体スイッチは、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するように構成され、前記第2の半導体スイッチは、前記第1ストリングを当該電源システム内の前記第1直流バスから切り離すように構成され、
前記切替スイッチユニットは、前記電圧補償有効化信号に基づいて、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するように前記第1の半導体スイッチを制御するとともに、前記第1ストリングを前記第1直流バスから切り離すように前記第2の半導体スイッチを制御するように構成される、
請求項
5に記載の電源システム。
【請求項8】
前記第1切替サブスイッチは、第3の半導体スイッチ及びダイオードを有し、前記第3の半導体スイッチは、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するように構成され、前記第3の半導体スイッチが前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するときに前記ダイオードがリバース遮断状態にあることで、前記ダイオードは、前記第1ストリングを当該電源システム内の前記第1直流バスから切り離すように構成され、
前記切替スイッチユニットは、前記電圧補償有効化信号に基づいて、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するように前記第3の半導体スイッチを制御するとともに、前記第1ストリングを前記第1直流バスから切り離すように構成される、
請求項
5に記載の電源システム。
【請求項9】
前記第1の電圧補償ユニットは非絶縁バック変換回路を有する、請求項1に記載の電源システム。
【請求項10】
当該電源システムは、N個のストリングが位置するN個のブランチ、及びM個の電圧補償ユニットを有し、N及びMはどちらも正の整数であり、MはNより小さく、前記N個のブランチは前記第1ブランチ及び前記第2ブランチを含み、前記M個の電圧補償ユニットは前記第1の電圧補償ユニットを含み、
前記切替スイッチユニットは、前記電圧補償有効化信号に基づいて、前記電圧補償ユニットの全部又は一部をそれぞれ一部のブランチに接続するように構成される、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項11】
各ストリングが、少なくとも1つの直流コンポーネントと、該直流コンポーネントに対応するコンバータとを有し、該コンバータが、対応する前記直流コンポーネントの動作状態を調整するように構成される、請求項1に記載の電源システム。
【請求項12】
前記第1ストリング及び前記第2ストリングは太陽光発電ストリングである、請求項1に記載の電源システム。
【請求項13】
電源システムに適用される電源方法であって、前記電源システムは、
第1直流バス及び第2直流バスと、第1ストリングが位置する第1ブランチと、第2ストリングが位置する第2ブランチと、第1の電圧補償ユニットと、コントローラとを有し、当該方法は、
前記コントローラから電圧補償有効化信号を受信し、前記電圧補償有効化信号に基づいて前記第1の電圧補償ユニットを前記第1ブランチに接続するステップであり、前記電圧補償有効化信号は、前記第1ストリングの動作状態パラメータ及び前記第2ストリングの動作状態パラメータに基づいて前記コントローラによって生成されるものである、ステップ、
を有し、
前記第1の電圧補償ユニットは、前記第1ブランチの出力電圧を補償するように構成さ
れ、
前記第1の電圧補償ユニットは第1出力端子及び第2出力端子を有し、前記第1の電圧補償ユニットの前記第1出力端子が前記第1直流バスに接続されており、
前記電圧補償有効化信号に基づいて前記第1の電圧補償ユニットを前記第1ブランチに接続することは、
前記電圧補償有効化信号に基づいて前記第1の電圧補償ユニットの前記第2出力端子を前記第1ストリングの一方の端子に接続すること、
を有し、
前記第1ストリングの他方の端子は前記第2直流バスに接続されており、
当該方法は更に、前記電圧補償有効化信号に基づいて前記第2ストリングの一方の端子を前記第1直流バスに接続するステップ、
を有し、
前記第2ストリングの他方の端子は前記第2直流バスに接続されている、
方法。
【請求項14】
前記電源システムは更に、切替スイッチユニットを有し、
前記切替スイッチユニットは、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとの間の第1切替サブスイッチを有し、該第1切替サブスイッチは接点スイッチ又は半導体スイッチであり、
前記電圧補償有効化信号に基づいて前記第1の電圧補償ユニットを前記第1ブランチに接続することは、
前記電圧補償有効化信号に基づいて、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するように前記第1切替サブスイッチを制御すること、
を有する、
請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記切替スイッチユニットは更に第2切替サブスイッチを有し、当該方法は更に、
前記電圧補償有効化信号に基づいて、前記電源システム内の前記第1直流バスと前記第2ストリングとを接続するように前記第2切替サブスイッチを制御するステップ、
を有する、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1切替サブスイッチは、第1の半導体スイッチ及び第2の半導体スイッチを有し、
前記電圧補償有効化信号に基づいて、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するように前記第1切替サブスイッチを制御することは、
前記電圧補償有効化信号に基づいて、前記第1の電圧補償ユニットと前記第1ストリングとを接続するように前記第1の半導体スイッチを制御するとともに、前記第1ストリングを前記第1直流バスから切り離すように前記第2の半導体スイッチを制御すること、
を有する、
請求項
14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2020年8月19日に中国国家知識産権局に出願された、“電源システム及び方法”と題された中国特許出願第202010839416.8号に対する優先権を主張するものであり、その出願をその全体にてここに援用する。
【0002】
この出願は、電源技術の分野に関し、特に、電源システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ストリングは、直列に接続された複数の太陽光発電モジュール又は複数のバッテリを含む。複数のストリングが並列に接続されて電源システムを形成し得る。電源システムは、例えば太陽光発電及び無停電電源などのシナリオに広く適用され得る。それら複数のストリングは互いに異なることもある。例えば、太陽光発電用途では、ストリングが陰となる状態が異なり、ストリングの最大電力点において異なる出力電圧をもたらす。従って、電源システムの出力電力は損失を持つ。他の一例では、バッテリの放電用途において、ストリングに含まれるバッテリの数量及び/又はバッテリの減価償却度が異なり、ストリングの放電終了電圧が異なる。その結果、複数のストリングのうちの一部内のバッテリは完全に放電されているが、複数のストリングのうちの一部内のバッテリはそうでないということなどになる。
【0004】
電源システムの出力電力を確保するために、又はストリングの放電終了電圧を一致したものにするために、従来技術では
図1に示す電源システムが使用されており、各ストリングが位置するブランチにDC-DCコンバータ(Direct-Current-Direct-Current converter、入力直流電圧を指定の直流電圧に変換し、該指定の直流電圧を出力する電圧変換器)を接続され、各DC-DCコンバータが、そのDC-DCコンバータに接続されたブランチの出力電圧を補償する。従来技術における各ストリングはDC-DCコンバータに直列に接続されており、ストリングの出力電流がDC-DCコンバータを流れて高いシステム損失を生じさせる。
【発明の概要】
【0005】
上述の問題に基づき、この出願は、システム損失及びシステムコストを低減させるための電源システム及び方法を提供する。
【0006】
この出願の実施形態の第1態様は、第1ストリングが位置する第1ブランチと、第2ストリングが位置する第2ブランチと、切替スイッチユニットと、第1の電圧補償ユニットと、コントローラと、を含む電源システムを提供する。
【0007】
切替スイッチユニットは、コントローラによって送信される電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットが第1ブランチの出力電圧を補償するように第1の電圧補償ユニットを第1ブランチに接続すべきかを選択する。電圧補償有効化信号は、第1ストリングの動作状態パラメータ及び第2ストリングの動作状態パラメータに基づいてコントローラによって生成される。すなわち、複数の異なるストリングの動作状態パラメータに基づいて、電圧補償ユニットが、電圧補償を要するストリングが位置するブランチのみに接続され、電圧補償を要しないストリングが位置するブランチには接続されず、それにより、電圧補償を要しないブランチ内で電圧補償ユニットが不必要なシステム損失を生じさせることが防止され、システムコストが低減される。
【0008】
第1態様を参照するに、第1の取り得る実装において、当該電源システムは更に、第1直流バス及び第2直流バスを含む。第1の電圧補償ユニットは第1出力端子及び第2出力端子を含み、第1の電圧補償ユニットの第1出力端子が第1直流バスに接続される。切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットの第2出力端子を第1ストリングの一方の端子に接続し、第1ストリングの他方の端子を第2直流バスに接続する。当該取り得る実装において、第1直流バスは正の直流バス又は負の直流バスとし得る。切替スイッチユニット及び第1の電圧補償ユニットは正の直流バス側及び負の直流バス側のどちらに配置されてもよく、電源システムの適用性を向上させることができる。
【0009】
第1態様の第1の取り得る実装を参照するに、第2の取り得る実装において、切替スイッチユニットは更に、電圧補償有効化信号に基づいて、第2ストリングの一方の端子を第1直流バスに接続し、第2ストリングの他方の端子は第2直流バスに接続される。当該取り得る実装において、第2ストリングは、第1の電圧補償ユニットを経由せずに直流バスに直接接続され、それにより、電圧補償ユニットが第2ブランチ上で不必要なシステム損失を生じさせることが防止される。
【0010】
第1態様の第1の取り得る実装又は第1態様の第2の取り得る実装を参照するに、第3の取り得る実装において、第1の電圧補償ユニットは更に、第1入力端子及び第2入力端子を含む。
【0011】
第1の電圧補償ユニットの第1入力端子は第1直流バスに接続され、第1の電圧補償ユニットの第2入力端子は第2直流バスに接続される。当該取り得る実装において、直流バスを第1の電圧補償ユニットの入力に接続することは、実際には、第2ストリングの出力を第1の電圧補償ユニットの電源として使用しており、それにより、別の電源への外部接続が回避される。斯くして、システムの電源の数を減らすことができ、システムの単純さを向上させることができる。
【0012】
第1態様又は第1態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第4の取り得る実装において、第1ストリングは、少なくとも2つのサブストリングを含む。当該取り得る実装では、少なくとも2つのサブストリングが並列に接続されて1つの切替スイッチユニット及び1つの電圧補償ユニットを共有することで、システムコストを更に低減させることができる。
【0013】
第1態様の第4の取り得る実装を参照するに、第5の取り得る実装において、第1ストリングに含まれる少なくとも2つのサブストリングのそれぞれの最大電力点に対応する出力電圧範囲が少なくとも部分的に重なり合う。
【0014】
第1態様又は第1態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第6の取り得る実装において、切替スイッチユニットは、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとの間の第1切替サブスイッチを含み、該第1切替サブスイッチは接点スイッチ又は半導体スイッチである。
【0015】
切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第1切替サブスイッチを制御する。
【0016】
第1態様の第6の取り得る実装を参照するに、第7の取り得る実装において、切替スイッチユニットは更に第2切替サブスイッチを含む。
【0017】
切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、当該電源システム内の第1直流バスと第2ストリングとを接続するように第2切替サブスイッチを制御する。
【0018】
第1態様の第6の取り得る実装を参照するに、第8の取り得る実装において、第1切替サブスイッチは、第1の半導体スイッチ及び第2の半導体スイッチを含み、第1の半導体スイッチは、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように構成され、第2の半導体スイッチは、第1ストリングを当該電源システム内の第1直流バスから切り離すように構成される。
【0019】
切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第1の半導体スイッチを制御するとともに、第1ストリングを第1直流バスから切り離すように第2の半導体スイッチを制御する。当該取り得る実装では、半導体スイッチが切替スイッチユニットとして使用される。接点スイッチと比較して、半導体スイッチは電源システムの体積を小さくすることができるとともに、高電圧及び大電流でスイッチオン及びスイッチオフ動作を行うことができ、それによりシステムの安全性を向上させる。
【0020】
第1態様の第6の取り得る実装を参照するに、第9の取り得る実装において、第1切替サブスイッチは、第3の半導体スイッチ及びダイオードを含み、第3の半導体スイッチは、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように構成され、第3の半導体スイッチが第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するときにダイオードがリバース遮断状態にあることで、ダイオードは、第1ストリングを当該電源システム内の第1直流バスから切り離すように構成される。
【0021】
切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第3の半導体スイッチを制御するとともに、第1ストリングを第1直流バスから切り離す。当該取り得る実装では、半導体スイッチとダイオードとの組み合わせが切替スイッチユニットとして使用される。2つの半導体スイッチの使用と比較して、システムコストを更に低減させることができる。
【0022】
第1態様又は第1態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第10の取り得る実装において、コントローラは更に、第1ストリングの動作状態パラメータ及び第2ストリングの動作状態パラメータに基づいて電圧補償基準値を決定して、該電圧補償基準値を第1の電圧補償ユニットに送信し、第1の電圧補償ユニットは、該電圧補償基準値に基づいて第1ブランチの出力電圧を補償する。
【0023】
第1態様又は第1態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第11の取り得る実装において、第1の電圧補償ユニットは非絶縁バック変換回路を含む。当該取り得る実装では、小さい体積で高効率の非絶縁バック変換回路が電圧補償ユニットとして使用されることで、システムの体積を小さくすることができるとともに、システムの効率を向上させることができる。
【0024】
第1態様又は第1態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第12の取り得る実装において、当該電源システムは、N個のストリングが位置するN個のブランチ、及びM個の電圧補償ユニットを含み、N及びMはどちらも正の整数であり、MはNより小さく、N個のブランチは第1ブランチ及び第2ブランチを含み、M個の電圧補償ユニットは第1の電圧補償ユニットを含み、切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、電圧補償ユニットの全部又は一部をそれぞれ一部のブランチに接続するように構成される。当該取り得る実装では、電圧補償ユニットが、電圧補償を要するブランチに接続され、電圧補償を要しないブランチには接続されず、それにより、電圧補償を要しないブランチ内で電圧補償ユニットが不必要なシステム損失を生じさせることが防止される。さらに、電圧補償ユニットの数がストリングの数よりも少ない。電圧補償ユニットの数がストリングの数に等しいものである従来技術と比較して、電圧補償ユニットの数を減らすことができ、システムコストを低減させることができる。
【0025】
第1態様又は第1態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第13の取り得る実装において、各ストリングが、少なくとも1つの直流コンポーネントと、該直流コンポーネントに対応するコンバータとを含み、該コンバータが、対応する直流コンポーネントの動作状態を調整するように構成される。当該取り得る実装では、該コンバータが昇圧又は降圧を通じて入力電圧を一定の電圧に変換する。すなわち、該コンバータを用いることによってストリング内の直流コンポーネントに対して電圧調整を行って、直流コンポーネントの動作状態を最適化する。
【0026】
第1態様又は第1態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第14の取り得る実装において、第1ストリング及び第2ストリングは太陽光発電ストリングである。
【0027】
第1態様又は第1態様の第1乃至第13の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第15の取り得る実装において、第1ストリング及び第2ストリングはエネルギー貯蔵バッテリストリングである。
【0028】
この出願の実施形態の第2態様は、電源システムに適用されるストリング補償方法を提供し、電源システムは、第1ストリングが位置する第1ブランチと、第2ストリングが位置する第2ブランチと、第1の電圧補償ユニットと、コントローラとを含み、当該方法は、
コントローラから電圧補償有効化信号を受信し、電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットを第1ブランチに接続するステップであり、電圧補償有効化信号は、第1ストリングの動作状態パラメータ及び第2ストリングの動作状態パラメータに基づいてコントローラによって生成されるものである、ステップ、を含み、第1の電圧補償ユニットは、第1ブランチの出力電圧を補償するように構成される。すなわち、複数の異なるストリングの動作状態パラメータに基づいて、電圧補償ユニットが、電圧補償を要するストリングが位置するブランチのみに接続され、電圧補償を要しないストリングが位置するブランチには接続されず、それにより、電圧補償を要しないブランチ内で電圧補償ユニットが不必要なシステム損失を生じさせることが防止され、システムコストが低減される。
【0029】
第2態様を参照するに、第1の取り得る実装において、電源システムは更に、第1直流バス及び第2直流バスを含み、第1の電圧補償ユニットは第1出力端子及び第2出力端子を含み、第1の電圧補償ユニットの第1出力端子が第1直流バスに接続されており、
電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットを第1ブランチに接続することは、具体的に、
電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットの第2出力端子を第1ストリングの一方の端子に接続することとして実装され、第1ストリングの他方の端子は第2直流バスに接続されている。
【0030】
第2態様の第1の取り得る実装を参照するに、第2の取り得る実装において、当該方法は更に、電圧補償有効化信号に基づいて第2ストリングの一方の端子を第1直流バスに接続するステップ、を含み、第2ストリングの他方の端子は第2直流バスに接続されている。
【0031】
第2態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第3の取り得る実装において、切替スイッチユニットは、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとの間の第1切替サブスイッチを含み、該第1切替サブスイッチは接点スイッチ又は半導体スイッチであり、
電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットを第1ブランチに接続することは、具体的に、
電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第1切替サブスイッチを制御することとして実装される。
【0032】
第2態様の第3の取り得る実装を参照するに、第4の取り得る実装において、切替スイッチユニットは更に第2切替サブスイッチを含み、当該方法は更に、
電圧補償有効化信号に基づいて、電源システム内の第1直流バスと第2ストリングとを接続するように第2切替サブスイッチを制御するステップ、を含む。
【0033】
第2態様の第3の取り得る実装を参照するに、第5の取り得る実装において、第1切替サブスイッチは、第1の半導体スイッチ及び第2の半導体スイッチを含み、
電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットの第2出力端子を第1ストリングの一方の端子に接続することは、具体的に、
電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第1の半導体スイッチを制御するとともに、第1ストリングを第1直流バスから切り離すように第2の半導体スイッチを制御することとして実装される。
【0034】
第2態様の第3の取り得る実装を参照するに、第6の取り得る実装において、第1切替サブスイッチは、第3の半導体スイッチ及びダイオードを含み、
電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットの第2出力端子を第1ストリングの一方の端子に接続することは、具体的に、
電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第3の半導体スイッチを制御するとともに、ダイオードがリバース遮断になることを可能にして第1ストリングを第1直流バスから切り離すこととして実装される。
【0035】
第2態様又は第2態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第7の取り得る実装において、コントローラは更に、第1ストリングの動作状態パラメータ及び第2ストリングの動作状態パラメータに基づいて電圧補償基準値を決定して、該電圧補償基準値を第1の電圧補償ユニットに送信するように構成され、第1の電圧補償ユニットは、該電圧補償基準値に基づいて第1ブランチの出力電圧を補償するように構成される。
【0036】
第2態様又は第2態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第8の取り得る実装において、電源システムは、N個のストリングが位置するN個のブランチ、及びM個の電圧補償ユニットを含み、N及びMはどちらも正の整数であり、MはNより小さく、N個のブランチは第1ブランチ及び第2ブランチを含み、M個の電圧補償ユニットは第1の電圧補償ユニットを含み、
上述の方法は更に、
電圧補償有効化信号に基づいて、電圧補償ユニットの全部又は一部をそれぞれ一部のブランチに接続するステップ、を含む。
【0037】
第2態様又は第2態様の取り得る実装のいずれか一を参照するに、第9の取り得る実装において、各ストリングが、少なくとも1つの直流コンポーネントと、該直流コンポーネントに対応するコンバータとを含み、
コントローラは更に、対応する直流コンポーネントの動作状態を調整するようにコンバータを制御するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】従来技術に従った電源システムを示している。
【
図2】この出願の一実施形態に従った電源システムの構成の概略図である。
【
図3】この出願の一実施形態に従った電圧補償ユニットの回路原理の図である。
【
図4】この出願の一実施形態に従った電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
【
図5A】
図5A-
図5Cはそれぞれこの出願の一実施形態に従った切替スイッチの概略図である。
【
図5B】
図5A-
図5Cはそれぞれこの出願の一実施形態に従った切替スイッチの概略図である。
【
図5C】
図5A-
図5Cはそれぞれこの出願の一実施形態に従った切替スイッチの概略図である。
【
図6】この出願の一実施形態に従った他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
【
図7】この出願の一実施形態に従った他の切替スイッチの概略図である。
【
図8】この出願の一実施形態に従った電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
【
図9】この出願の一実施形態に従った更なる他の切替スイッチの概略図である。
【
図10】この出願の一実施形態に従った更なる他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
【
図11】この出願の一実施形態に従った更に他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
【
図12】この出願の一実施形態に従ったサブストリングの電圧-電力カーブを示している。
【
図13】この出願の一実施形態に従ったなおも更なる他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、この出願の実施形態における添付図面を参照して、この出願の実施形態における技術的ソリューションを明瞭且つ完全に説明する。明らかなことには、説明される実施形態は、この出願の実施形態の全てではなく一部である。当業者によって創造的労力なしにこの出願の実施形態に基づいて得られる他の実施形態は全て、この出願の保護範囲に入るものである。
【0040】
電源システム内の複数のストリング間の違いにより、各ストリングの2つの端子の電圧が異なり得る。しかし、ストリングは並列に接続されており、ストリングが並列接続された後の2つの端子の電圧に関係なしに、それらストリングがそれぞれの最適状態で動作することを可能することはできない。従って、
図1に示した方法に基づいて、各ストリングが位置するブランチにDC-DCコンバータが接続されており、各ストリングの出力電流はDC-DCコンバータを流れ抜ける必要があり、高いシステム損失を生じさせる。
【0041】
この出願においては、複数のストリングの異なる動作状態パラメータを比較して、電圧補償を要しないストリングが位置するブランチではなく、電圧補償を要するストリングが位置するブランチに電圧補償ユニットを接続するように選択し、それによりシステム損失及びシステムコストを低減させる。
【0042】
オプションの一実施形態において、この出願の技術的ソリューションは太陽光発電シナリオに適用され得る。この場合、この出願で提供される電源システムに含まれるストリングの各々は太陽光発電ストリングであり、各太陽光発電ストリングが、直列及び/又は並列に接続された複数の太陽光発電モジュールを含み得る。当該電源システムは更に太陽光発電インバータ制御モジュールを含むことができ、該太陽光発電インバータ制御モジュールは出力のために各太陽光発電ストリングの出力電圧を交流化する。当該電源システムは、交流化した電圧を送電網に送り得る。オプションの一実装シナリオにおいて、当該電源システムは更に無停電電源シナリオに適用され得る。すなわち、太陽光発電インバータ制御モジュールと送電網との間に、例えばニッケルカドミウムバッテリ、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリ、又はリチウムポリマーバッテリなどのエネルギー貯蔵バッテリを配置し得る。
【0043】
コントローラが、複数の太陽光発電ストリングの例えば出力電圧といった動作状態パラメータを取得し、それら太陽光発電ストリングの動作状態パラメータが異なる場合に、電圧補償有効化信号を生成し、該電圧補償有効化信号を当該電源システム内の切替スイッチユニットに送ることで、切替スイッチユニットが、該電圧補償有効化信号に基づいて、電圧補償を要しないブランチではなく、電圧補償を要するブランチに当該電源システム内の電圧補償ユニットを接続することを選択し、それにより、電圧補償を要しないブランチ内で電圧補償ユニットが不必要なシステム損失を生じさせることが防止される。さらに、電圧補償ユニットの数がストリングの数よりも少ない。電圧補償ユニットの数がストリングの数に等しいものである従来技術と比較して、電圧補償ユニットの数を減らすことができ、システムコストを低減させることができる。
【0044】
オプションで、コントローラは、太陽光発電インバータ制御モジュール又は各ストリング内に配置されてもよい。
【0045】
他のオプションの一実施形態において、この出願の技術的ソリューションはバッテリ充電/放電シナリオにも適用され得る。この場合、この出願で提供される電源システムに含まれるストリングの各々はエネルギー貯蔵バッテリストリングであり、各エネルギー貯蔵バッテリストリングが、直列及び/又は並列に接続された複数のエネルギー貯蔵バッテリを含み得る。当該電源システムの入力端子は充電装置に接続され、出力端子が電気機器に接続される。充電装置は、例えば、充電パイル又は送電網とすることができ、電気機器は、例えば、車載システムとすることができる。例えば、当該電源システムは、DC-DCコンバータを用いて電気機器に接続されることができ、該DC-DCコンバータが、当該電源システムの出力電圧を予め定められた固定電圧値に変換して、該予め定められた固定電圧値を電気機器に出力し得る。
【0046】
コントローラは、複数のエネルギー貯蔵バッテリストリングの例えばバッテリ電圧及び充電電流といった動作状態パラメータを取得し、それらエネルギー貯蔵バッテリストリングの動作状態パラメータが異なる場合に、電圧補償有効化信号を生成し、該電圧補償有効化信号を当該電源システム内の切替スイッチユニットに送ることで、切替スイッチユニットが、該電圧補償有効化信号に基づいて、電圧補償を要しないブランチではなく、電圧補償を要するブランチに当該電源システム内の電圧補償ユニットを接続することを選択し、それにより、電圧補償を要しないブランチ内で電圧補償ユニットが不必要なシステム損失を生じさせることが防止される。さらに、電圧補償ユニットの数がストリングの数よりも少ない。電圧補償ユニットの数がストリングの数に等しいものである従来技術と比較して、電圧補償ユニットの数を減らすことができ、システムコストを低減させることができる。例えば、エネルギー貯蔵バッテリストリングの動作状態パラメータはバッテリ電圧である。コントローラは、第1のエネルギー貯蔵バッテリストリングの6Vというバッテリ電圧、及び第2のエネルギー貯蔵バッテリストリングの8Vというバッテリ電圧を取得し、電圧補償有効化信号を生成し、該電圧補償有効化信号を当該電源システム内の切替スイッチユニットに送ることで、切替スイッチユニットが、該電圧補償有効化信号に基づいて、第1のエネルギー貯蔵バッテリストリングが位置するブランチに電圧補償ユニットを接続する。第1のエネルギー貯蔵バッテリストリングが過充電又は過放電されないように、及び第2のエネルギー貯蔵バッテリストリングがフル充電若しくはフル放電され得るように、電圧補償ユニットによって出力される電圧は2Vである。すなわち、理解され得ることには、これらのエネルギー貯蔵バッテリストリングのバッテリ電圧が平衡状態に達する。
【0047】
オプションで、コントローラは、当該電源システム、充電装置、又は電気機器の中に置かれ得る。
【0048】
この出願で提供される電源システムの適用シナリオは、包括的であるというよりむしろ例として上で説明されており、適用シナリオはこの出願において限定されるものではない。
【0049】
以下、添付の図面を参照して、この出願で提供される電源システムの構成を詳細に説明する。
【0050】
図2は、この出願の一実施形態に従った電源システムの構成のブロック図である。
図2に示すように、当該電源システムは、第1ストリング2011が位置する第1ブランチ201と、第2ストリング2022が位置する第2ブランチ202と、切替スイッチユニット203と、及び第1の電圧補償ユニット204とを含み得る。第1ブランチ201は第2ブランチ202に並列に接続され、切替スイッチユニット203は、第1ブランチ201、第2ブランチ202、及び第1の電圧補償ユニット204に別々に接続される。
【0051】
この出願のこの実施形態において、切替スイッチユニット203は、コントローラ207から受信した電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニット204を第1ブランチ201に接続する。コントローラ207の入力端子は、第1ストリング2011及び第2ストリング2022に接続される。第1ストリング2011及び第2ストリング2022に接続される入力端子は、同一のポートであっても、相異なるポートであってもよい。これはここで限定されることではない。コントローラ207の出力端子は、第1の電圧補償ユニット204に接続される。コントローラ207は、第1ストリング2011の動作状態パラメータ及び第2ストリング2022の動作状態パラメータをリアルタイムで取得し、第1ストリング2011の動作状態パラメータと第2ストリング2022の動作状態パラメータとに基づいて電圧補償有効化信号を生成し得る。第1の電圧補償ユニット204は第1ブランチ201の出力電圧を補償する。
【0052】
ストリングの動作状態パラメータは、ストリングの出力電圧、出力電流、出力電力、及び/又はこれらに類するものとし得る。この出願では、説明のための例として出力電圧を用いる。
【0053】
コントローラ207は、第1ストリング2011の動作状態パラメータ及び第2ストリング2022の動作状態パラメータを取得し、第1ストリング2011の動作状態パラメータと第2ストリング2022の動作状態パラメータとに基づいて電圧補償有効化信号を生成する。特定の実装において、第1ストリング2011の出力電圧が第2ストリング2022の出力電圧と異なるとき、例えば、第1ストリング2011の出力電圧が比較的小さいとき、コントローラ207は電圧補償有効化信号を生成し、該電圧補償有効化信号を切替スイッチユニット203に送り得る。電圧補償有効化信号を受信すると、切替スイッチユニット203は、第1ブランチ201に接続するように第1の電圧補償ユニット204を制御する。すなわち、電圧補償を要しない第2ブランチ202ではなく、電圧補償を要する第1ブランチ201のみに第1の電圧補償ユニット204が接続され、それにより、第2ブランチ202内で電圧補償ユニットが不必要なシステム損失を生じさせることが防止されるとともに、電源システム内の電圧補償ユニットの数及びシステムコストが削減される。
【0054】
実現可能な一実装において、当該電源システムは更に第1直流バス205及び第2直流バス206を含み、第1の電圧補償ユニット204は第1出力端子及び第2出力端子を含み、該第1出力端子が第1直流バス205に接続される。電圧補償有効化信号を受信すると、切替スイッチユニット203は、第1ブランチ201に接続するように第1の電圧補償ユニット204を制御し、具体的な実装は、第1の電圧補償ユニット204の第2出力端子を第1ストリング2011の一方の端子に接続することとし得る。第1ストリング2011の他方の端子は第2直流バス206に接続されている。
【0055】
また、オプションの一実装において、電圧補償有効化信号を受信すると、切替スイッチユニット203は、第2ストリング2022の一方の端子を第1直流バス205に接続する。第2ストリング2022の他方の端子は第2直流バス206に接続されている。
【0056】
なお、デフォルト状態では、第1の電圧補償ユニット204は第1ブランチ201にも第2ブランチ202にも接続されない。
【0057】
また、第1ストリング2011の出力電圧が第2ストリング2022の出力電圧と同じである場合、第1ストリング2011の動作状態パラメータと第2ストリング2022の動作状態パラメータとに基づいて、コントローラ207は電圧補償有効化信号を生成しないとすることができ、あるいはデフォルト電圧補償信号を生成することができる。電圧補償有効化信号を受信しないとき、又はデフォルト電圧補償信号を受信するとき、切替スイッチユニット203は、第1ブランチ201にも第2ブランチ202にも接続しないように第1の電圧補償ユニット204を制御する。
【0058】
実現可能な一実装において、当該電源システムは太陽光発電分野に適用され、第1ストリング2011及び第2ストリング2022は太陽光発電ストリングであり、コントローラ207は当該電源システムの太陽光発電インバータ制御モジュール内に置かれ得る。
【0059】
他の実現可能な一実装において、第1ストリング2011及び第2ストリング2022の各々内にプロセッサが配置される。各プロセッサが、対応するストリングの動作状態パラメータを収集して、収集した動作状態パラメータをいずれかのプロセッサに集約し得る。全てのストリングの動作状態パラメータを取得するプロセッサがコントローラ207である。
【0060】
また、コントローラ207は更に、第1ストリング2011の動作状態パラメータ及び第2ストリング2022の動作状態パラメータに基づいて電圧補償基準値を決定し、該電圧補償基準値を第1の電圧補償ユニット204に送ることで、第1の電圧補償ユニット204が該電圧補償基準値に基づいて第1ブランチ201の出力電圧を補償するようにすることができる。すなわち、第1の電圧補償ユニット204の出力電圧は電圧補償基準値に等しい。例えば、第1ストリング2011の出力電圧は200Vであり、第2ストリング2022の出力電圧は300Vである。この場合、電圧補償基準値は100Vである。換言すれば、第1の電圧補償ユニット204の出力電圧は100Vである。
【0061】
オプションの一実装において、第1の電圧補償ユニット204の入力は、当該電源システムとは独立した直流電源からであってもよい。他のオプションの一実装において、第1の電圧補償ユニット204の入力は第2ストリング2022であってもよい。特定の実装において、第1の電圧補償ユニット204は更に、第1入力端子及び第2入力端子を含み、第1の電圧補償ユニット204の第1入力端子は第1直流バス205に接続され、第1の電圧補償ユニット204の第2入力端子は第2直流バス206に接続される。第1直流バス205が負の直流バスである場合、第1の電圧補償ユニット204の第1入力端子は負の入力端子である。第1直流バス205が正の直流バスである場合、第1の電圧補償ユニット204の第1入力端子は正の入力端子である。直流バスを第1の電圧補償ユニット204の入力に接続することは、実際には、第2ストリング2022の出力を第1の電圧補償ユニット204の電源として使用しており、それにより、別の電源への外部接続が回避される。斯くして、システムの電源の数を減らすことができ、システムの単純さを向上させることができる。
【0062】
例えば、第1の電圧補償ユニット204は非絶縁バック変換回路を含み得る。
図3は、この出願の一実施形態に従った電圧補償ユニットの回路原理の図である。
図3に示すように、非絶縁バック変換回路(換言すれば、buck回路)は、スイッチK1、インダクタL1、ダイオードD5、及びキャパシタC1を含む。理解され得ることには、非絶縁バック変換回路の入力と出力は電気的に接続されている。これは、変圧器及びそれに類するものを用いて変換回路の入力と出力が電気的に絶縁される絶縁式の回路とは異なる。スイッチK1は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)と該絶縁ゲートバイポーラトランジスタの逆並列ダイオード、又は金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFET)とし得る。
図1に示した従来技術では、各ストリングがDC-DCコンバータに直列に接続されており、各DC-DCコンバータの入力が直流バスに接続されて、各DC-DCコンバータが動作する場合、各DC-DCコンバータの入力電源は、実際には該DC-DCコンバータが位置するブランチのストリングを含む。すなわち、DC-DCコンバータの出力と入力の両方がストリングに接続される。従って、絶縁コンバータを用いてコンバータの入力と出力を絶縁する必要がある。さもなければ、そのコンバータは正常に動作することができない。しかしながら、絶縁コンバータは大きい体積及び低い効率を持つ。この実施形態において、2つのストリングが1つの電圧補償ユニットを共有し、電圧補償ユニットは、電圧補償を要しないストリングを入力電源として用いて、電圧補償を要するストリングへの出力を行う。従って、小さい体積及び高い効率を持つ非絶縁バック変換回路を使用することができ、それにより、システムボリュームが小さくなるとともに効率が向上する。
【0063】
例えば、第1の電圧補償ユニット204はまた、絶縁共振回路、絶縁位相シフト回路、又はフライバック回路を使用してもよい。
【0064】
切替スイッチユニットの具体的な実装については、以下にて
図4-
図9を参照して例を用いて説明する。
【0065】
図4は、この出願の一実施形態に従った電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
図4に示すように、この実施形態における電源システムは、第1ストリング4011が位置する第1ブランチ401と、第2ストリング4022が位置する第2ブランチ402と、切替スイッチユニット403と、第1の電圧補償ユニット404とを含み得る。
【0066】
切替スイッチユニット403は、第1の電圧補償ユニット404と第1ストリング4011との間の第1切替サブスイッチ4031を含んでおり、切替スイッチユニット403は、コントローラ(この図には示さず)から受信した電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニット404と第1ストリング4011とを接続するように第1切替サブスイッチ4031を制御する。例えば、コントローラは、この実施形態における電源システムに含まれる太陽光発電インバータ制御モジュール内に位置し得る。オプションで、コントローラは電圧補償有効化信号を生成し、該電圧補償有効化信号を切替スイッチユニット403又は少なくとも1つのプロセッサに送り得る。プロセッサは電圧補償有効化信号を切替スイッチユニット403に転送する。
【0067】
第1切替サブスイッチ4031は接点スイッチとすることができ、第1端子、第2端子、及び第3端子を含む。第1切替サブスイッチ4031の第1端子は、第1ストリング4011の一方の端子に接続される。第1切替サブスイッチ4031の第2端子は、第1の電圧補償ユニット404の第2出力端子に接続される。第1切替サブスイッチ4031の第3端子と第1の電圧補償ユニット404の第1出力端子は別々に第1直流バス405に接続される。第1ストリング4011の他方の端子と第2ストリング4022の他方の端子は別々に第2直流バス406に接続される。第1直流バス405は正の直流バス又は負の直流バスとし得る。切替スイッチユニット403が、第1の電圧補償ユニット404と第1ストリング4011とを接続するように第1切替サブスイッチ4031を制御することは、具体的に、第1切替サブスイッチ4031の第1端子を第2端子に接続するように制御することである。
【0068】
取り得る一実装において、第1切替サブスイッチ4031は、
図5Aに示す単一の切り替え接点を持つスイッチを含み得る。単一の切り替え接点を持つスイッチは、2つの静止接点a2及びa3と、1つの可動接点a1と、1つのコイルとを含み、a1が、第1切替サブスイッチ4031の第1端子に接続され、a2が第1切替サブスイッチ4031の第2端子に接続され、a3が第1切替サブスイッチ4031の第3端子に接続される。切替スイッチユニット403が、単一の切り替え接点を持つスイッチのコイルに電流は流れるように制御することで、a1がa2と接触するようになり、すなわち、第1切替サブスイッチ4031の第1端子が第2端子に接続され、それにより第1の電圧補償ユニット404と第1ストリング4011とを接続する。例えば、デフォルト状態では、単一の切り替え接点を持つスイッチのコイルに電流は流れず、a1はa3と接触することになり、すなわち、第1切替サブスイッチ4031のデフォルト状態では、第1端子が第3端子に接続されて、第1ストリング4011と第1直流バス405とを接続する。
【0069】
他の取り得る一実装において、第1切替サブスイッチ4031は、
図5Bに示す単一のノーマリーオープン接点を持つ2つのスイッチを含み得る。単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチは各々、1つの静止接点と、1つの可動接点と、1つのコイルとを含む。理解され得ることには、単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチがデフォルト状態にあるとき、静止接点が可動接点から切り離される。単一のノーマリーオープン接点を持つ2つのスイッチの可動接点は、それぞれ、b1及びb2であり、単一のノーマリーオープン接点を持つ2つのスイッチの静止接点は、それぞれ、b3及びb4である。b1及びb2の両方が第1切替サブスイッチ4031の第1端子に接続され、b3及びb4は第1切替サブスイッチ4031の第2端子又は第3端子のいずれかに接続され得る。この実施形態では、b3が第1切替サブスイッチ4031の第2端子に接続され、b4が第1切替サブスイッチ4031の第3端子に接続される例を用いる。切替スイッチユニット403が、b3がある単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチのコイルに電流が流れるように制御することで、b1がb3と接触し、すなわち、第1切替サブスイッチ4031の第1端子が第2端子に接続されて、第1の電圧補償ユニット404と第1ストリング4011とを接続する。例えば、デフォルト状態では、切替スイッチユニット403が、b4がある単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチのコイルに電流が流れるように制御することで、b2がb4と接触し、すなわち、第1切替サブスイッチ4031の第1端子が第3端子に接続されて、第1ストリング4011と第1直流バス405とを接続する。
【0070】
更なる他の取り得る一実装において、第1切替サブスイッチ4031は、
図5Cに示される単一のノーマリーオープン接点を持つ1つのスイッチと、単一のノーマリークローズ接点を持つ1つのスイッチとを含んでもよく、単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチ及び単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチの各々が、1つの静止接点と、1つの可動接点と、1つのコイルとを含む。単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチと単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチとの間の違いは次のとおりである:単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチがデフォルト状態にあるとき、静止接点が可動接点と接触する。単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチの可動接点はc2であり、静止接点はc4である。単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチの可動接点はc1であり、静止接点はc3である。c1及びc2の両方が第1切替サブスイッチ4031の第1端子に接続され、c3は第1切替サブスイッチ4031の第2端子に接続され、c4は第1切替サブスイッチ4031の第3端子に接続される。切替スイッチユニット403が、c3がある単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチのコイルに電流が流れるように制御することで、c1がc3と接触し、すなわち、第1切替サブスイッチ4031の第1端子が第2端子に接続され、それにより第1の電圧補償ユニット404と第1ストリング4011とを接続する。単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチがデフォルト状態にあるとき、c2がc4と接触し、すなわち、第1切替サブスイッチ4031の第1端子が第3端子に接続される。従って、第1の電圧補償ユニット404が第1ストリング4011に接続される場合、切替スイッチユニット403は、c2がc4と接触しないように、すなわち、第1切替サブスイッチ4031の第1端子が第3端子から切り離され、それにより第1ストリング4011が第1直流バス405から切り離されるように、c4がある単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチのコイルに電流が流れるように更に制御する必要がある。
【0071】
また、オプションの一実装において、切替スイッチユニット403は更に第2切替サブスイッチ4032を含むことができ、切替スイッチユニット403は、受信した電圧補償有効化信号に基づいて、当該電源システム内の第1直流バス405と第2ストリング4022とを接続するように第2切替サブスイッチ4032を制御する。第2切替サブスイッチ4032は接点スイッチとすることができ、第1端子、第2端子、及び第3端子を含む。第2切替サブスイッチ4032の第1端子は、第2ストリング4022の一方の端子に接続される。第2端子は、第1の電圧補償ユニット404の第2出力端子に接続される。第3端子は第1直流バス405に接続される。第1の電圧補償ユニット404と第1ストリング4011とを接続する第1切替サブスイッチ4031とは異なり、第2切替サブスイッチ4032は第2ストリング4022と第1直流バス405とを接続する。第2切替サブスイッチ4032の具体的な構造については、
図5A-
図5Cでの第1切替サブスイッチ4031の説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。理解され得ることには、第1切替サブスイッチ4031及び第2切替サブスイッチ4032は、1つのスイッチングデバイスへと統合されてもよいし、別々に配置されてもよい。これらの切替サブスイッチの配置位置はこの実施形態において限定されることではない。
【0072】
要約すれば、第1切替サブスイッチ4031及び/又は第2切替サブスイッチ4032は、
図5A-
図5Cのいずれか1つとして実装されて、第2ブランチ402ではなく第1ブランチ401に接続するように第1の電圧補償ユニット404を制御して、
図2で説明した有益な効果を達成し得る。詳細をここで再び説明することはしない。
【0073】
図6は、この出願の一実施形態に従った他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
図6に示すように、この実施形態における電源システムは、第1ストリング6011が位置する第1ブランチ601と、第2ストリング6022が位置する第2ブランチ602と、切替スイッチユニット603と、第1の電圧補償ユニット604とを含み得る。
【0074】
切替スイッチユニット603は、第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011との間の第1切替サブスイッチ6031aを含んでおり、切替スイッチユニット603は、コントローラ(この図には示さず)から受信した電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続するように第1切替サブスイッチ6031aを制御する。例えば、コントローラは、この実施形態における電源システムに含まれる太陽光発電インバータ制御モジュール内に位置し得る。オプションで、コントローラは電圧補償有効化信号を生成し、該電圧補償有効化信号を切替スイッチユニット603又は少なくとも1つのプロセッサに送り得る。プロセッサは電圧補償有効化信号を切替スイッチユニット603に転送する。
【0075】
第1切替サブスイッチ6031aは半導体スイッチとすることができ、第1端子、第2端子、及び第3端子を含む。第1切替サブスイッチ6031aの第1端子は、第1ストリング6011の一方の端子に接続される。第1切替サブスイッチ6031aの第2端子は、第1の電圧補償ユニット604の第2出力端子に接続される。第1切替サブスイッチ6031aの第3端子と第1の電圧補償ユニット604の第1出力端子は別々に第1直流バス605に接続される。第1ストリング6011の他方の端子と第2ストリング6022の他方の端子は別々に第2直流バス606に接続される。
【0076】
第1直流バス605が負の直流バスV-である場合、取り得る一実装において、この実施形態における第1切替サブスイッチ6031aは、
図6に示す第1の半導体スイッチ及び第2の半導体スイッチを含み得る。第1の半導体スイッチはQ1であり、第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続するように構成される。第2の半導体スイッチはQ2であり、第1ストリング6011を第1直流バス605から切り離すように構成される。
【0077】
第1の半導体スイッチQ1及び第2の半導体スイッチQ2が各々MOSFETである例を用いる。第1の半導体スイッチQ1のソース及び第2の半導体スイッチQ2のドレインが別々に第1切替サブスイッチ6031aの第1端子に接続される。第1の半導体スイッチQ1のドレインが第1切替サブスイッチ6031aの第2端子に接続され、第2の半導体スイッチQ2のソースが第1切替サブスイッチ6031aの第3端子に接続される。切替スイッチユニット603は、受信した電圧補償有効化信号に基づいて第1の半導体スイッチQ1に駆動信号を出力し、第1の半導体スイッチQ1をオンに切り換わるように制御して第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続するとともに、第2の半導体スイッチQ2に駆動信号を出力するのを停止し、第2の半導体スイッチQ2がオフに切り換わるように制御して第1ストリング6011を第1直流バス605から切り離す。
【0078】
半導体スイッチが切替スイッチユニットとして使用される。接点スイッチと比較して、半導体スイッチは電源システムの体積を小さくすることができるとともに、高電圧及び大電流でスイッチオン及びスイッチオフ動作を行うことができ、それによりシステムの安全性を向上させる。
【0079】
第1直流バス605が負の直流バスV-である場合、他の取り得る一実装において、第1切替サブスイッチ6031aは、
図7に示す第3の半導体スイッチ及びダイオードを含み得る。第3の半導体スイッチはQ5であり、第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続するように構成され、ダイオードはD1であり、第3の半導体スイッチQ5が第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続するときにリバース遮断状態にあって、第1ストリング6011を第1直流バス605から切り離す。第3の半導体スイッチQ5のソース及びダイオードD1のカソードが別々に第1切替サブスイッチ6031aの第1端子に接続され、第3の半導体スイッチQ5のドレインが第1切替サブスイッチ6031aの第2端子に接続され、ダイオードD1のアノードが第1切替サブスイッチ6031aの第3端子に接続される。切替スイッチユニット603は、受信した電圧補償有効化信号に基づいて第3の半導体スイッチQ5に駆動信号を出力し、第3の半導体スイッチQ5がオンに切り換わるように制御して第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続する。この場合、ダイオードD1はリバース遮断状態にあり、具体的な実装原理は次のとおりである:第3の半導体スイッチQ5がスイッチオン状態にある。第1直流バス605が負の直流バスV-であるため、第1直流バス605に接続された第1の電圧補償ユニット604の第1出力端子は負の出力端子であり、第2出力端子は正の出力端子である。第1の電圧補償ユニット604の正の出力端子によって出力される正電圧が、第3の半導体スイッチQ5を流れ抜けた後に、第1切替サブスイッチ6031aの第1端子、すなわち、ダイオードD1のカソード端子に与えられる。第1の電圧補償ユニット604の負の出力端子によって出力される負電圧が、ダイオードD1のアノード端子に与えられ、ダイオードD1がリバース遮断されることを可能にし、すなわち、第1ストリング6011が第1直流バス605から切り離される。
【0080】
半導体スイッチとダイオードとの組み合わせが切替スイッチユニットとして使用される。2つの半導体スイッチの使用と比較して、システムコストを更に低減させることができる。
【0081】
第1直流バス605が正の直流バスV+である場合、
図8は、この出願の一実施形態に従った他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。取り得る一実装において、第1切替サブスイッチ6031aは、
図8に示す第1切替サブスイッチ6031bで置き換えられ、第1切替サブスイッチ6031bは、第4の半導体スイッチ及び第5の半導体スイッチを含み、第4の半導体スイッチはQ6であり、第5の半導体スイッチはQ7である。第4の半導体スイッチQ6のドレイン及び第5の半導体スイッチQ7のソースが別々に第1切替サブスイッチ6031bの第1端子に接続され、第4の半導体スイッチQ6のソースが第1切替サブスイッチ6031bの第2端子に接続され、第5の半導体スイッチQ7のドレインが第1切替サブスイッチ6031bの第3の端子に接続される。切替スイッチユニット603は、受信した電圧補償有効化信号に基づいて第4の半導体スイッチQ6に駆動信号を出力し、第4の半導体スイッチQ6がオンに切り換わるように制御して第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続するとともに、第5の半導体スイッチQ7に駆動信号を出力するのを停止し、第5の半導体スイッチQ7がオフに切り換わるように制御して第1ストリング6011を第1直流バス605から切り離す。
【0082】
第1直流バス605が正の直流バスV+である場合、他の取り得る一実装において、第1切替サブスイッチ6031bは、
図9に示す第6の半導体スイッチ及びダイオードを含み得る。第6の半導体スイッチはQ10であり、該ダイオードはD2であり、第6の半導体スイッチQ10のドレイン及びダイオードD2のアノードが別々に第1切替サブスイッチ6031bの第1端子に接続され、第6の半導体スイッチQ10のソースが第1切替サブスイッチ6031bの第2端子に接続され、ダイオードD2のカソードが第1切替サブスイッチ6031bの第3端子に接続される。切替スイッチユニット603は、受信した電圧補償有効化信号に基づいて第6の半導体スイッチQ10に駆動信号を出力し、第6の半導体スイッチQ10がオンに切り換わるように制御して第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続する。この場合、ダイオードD2はリバース遮断状態にあり、具体的な実装原理は次のとおりである:第6の半導体スイッチQ10がスイッチオン状態にある。第1直流バス605が正の直流バスであるため、第1直流バス605に接続された第1の電圧補償ユニット604の第1出力端子は正の出力端子であり、第2出力端子は負の出力端子である。第1の電圧補償ユニット604の負の出力端子によって出力される負電圧が、第6の半導体スイッチQ10を流れ抜けた後に、第1切替サブスイッチ6031bの第1端子、すなわち、ダイオードD2のアノード端子に与えられる。第1の電圧補償ユニット604の正の出力端子によって出力される正電圧が、ダイオードD2のカソード端子に与えられ、ダイオードD2がリバース遮断されることを可能にし、すなわち、第1ストリング6011が第1直流バス605から切り離される。
【0083】
半導体スイッチ間の接続関係は、第1直流バス605が正の直流バスである又は負の直流バスである2つの場合に適応するように変更され、それにより電源システムの適用性が向上される。
【0084】
また、オプションの一実装において、第1直流バス605が負の直流バスV-である場合、切替スイッチユニット603は更に第2切替サブスイッチ6032aを含むことができ、切替スイッチユニット603は、受信した電圧補償有効化信号に基づいて、当該電源システム内の第1直流バス605と第2ストリング6022とを接続するように第2切替サブスイッチ6032aを制御する。第2切替サブスイッチ6032aは半導体スイッチとすることができ、第1端子、第2端子、及び第3端子を含む。第2切替サブスイッチ6032aの第1端子は第2ストリングの一方の端子に接続される。第2端子は第1の電圧補償ユニット604の第2出力端子に接続される。第3端子は第1直流バス605に接続される。第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続する第1切替サブスイッチ6031aとは異なり、第2切替サブスイッチ6032aは、第2ストリング6022と第1直流バス605とを接続する。第2切替サブスイッチ6032aの具体的な構造については、
図6及び
図7における第1切替サブスイッチ6031aの説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0085】
また、他の取り得る一実装において、第1直流バス605が正の直流バスV+である場合、切替スイッチユニット603は更に第2切替サブスイッチ6032bを含むことができ、切替スイッチユニット603は、受信した電圧補償有効化信号に基づいて、第1直流バス605と第2ストリング6022とを接続するように第2切替サブスイッチ6032bを制御する。第2切替サブスイッチ6032bは半導体スイッチとすることができ、第1端子、第2端子、及び第3端子を含む。第2切替サブスイッチ6032bの第1端子は第2ストリングの一方の端子に接続される。第2端子は第1の電圧補償ユニット604の第2出力端子に接続される。第3端子は第1直流バス605に接続される。第1の電圧補償ユニット604と第1ストリング6011とを接続する第1切替サブスイッチ6031bとは異なり、第2切替サブスイッチ6032bは、第2ストリング6022と第1直流バス605とを接続する。第2切替サブスイッチ6032bの具体的な構造については、
図8及び
図9における第1切替サブスイッチ6031bの説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0086】
実現可能な一実装において、この出願における切替スイッチユニットは、少なくとも1つの接点スイッチ及び/又は少なくとも1つの半導体スイッチを含み得る。換言すれば、第1切替サブスイッチの具体的な構造が第2切替サブスイッチの具体的な構造と異なってもよい。例えば、第1切替サブスイッチは接点スイッチであり且つ第2切替サブスイッチは半導体スイッチであり、その逆もまた然りである。
【0087】
理解され得ることには、半導体スイッチQ1、Q2、Q3、Q4などはMOSFETであってもよいし、IGBTと該IGBTの逆並列ダイオードであってもよい。
図4-
図9の各々を参照しての以上の説明では、MOSFETを例として用いている。Q1、Q2、Q3、Q4などがIGBTと該IGBTの逆並列ダイオードである場合には、MOSFETのソースがIGBTのエミッタで置き換えられ、MOSFETのドレインがIGBTのコレクタで置き換えられ、逆並列ダイオードのアノードがIGBTのエミッタに接続され、カソードがIGBTのコレクタに接続される。
【0088】
図10は、この出願の一実施形態に従った更なる他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。この実施形態にでは、各ストリングが、少なくとも1つの直流コンポーネントと、該直流コンポーネントに対応するコンバータとを含み、該コンバータが、対応する直流コンポーネントの動作状態を調整するように構成される。
図10に示すように、直流コンポーネント1-1の出力端子がコンバータ1-1の入力端子に接続され、直流コンポーネント1-2の出力端子がコンバータ1-2の入力端子に接続され、直流コンポーネント1-aの出力端子がコンバータ1-aの入力端子に接続され、コンバータ1-1、1-2、…、1-aの出力端子が順に直列に接続されて第1ストリング10011を形成し、コンバータ1-1の第1出力端子が第2直流バス1006に接続され、コンバータ1-aの第2出力端子が切替スイッチユニット1003に接続され、ここで、aは1以上である。同様に、直流コンポーネント2-1の出力端子がコンバータ2-1の入力端子に接続され、直流コンポーネント2-2の出力端子がコンバータ2-2の入力端子に接続され、直流コンポーネント2-bの出力端子がコンバータ2-bの入力端子に接続され、コンバータ2-1、2-2、…、2-bの出力端子が順に直列に接続されて第2ストリング10022を形成し、コンバータ2-1の第1出力端子が第2直流バス1006に接続され、コンバータ2-bの第2出力端子が切替スイッチユニット1003に接続され、ここで、bは1以上である。オプションで、bはaと同じであってもよいし異なってもよい。
【0089】
上述のコンバータの各々が昇圧又は降圧を通じて入力電圧を一定の電圧に変換する。すなわち、該コンバータを用いることによってストリング内の直流コンポーネントに対して電圧調整を行って、直流コンポーネントの動作状態を最適化する。
【0090】
理解され得ることには、第1直流バス1005は負の直流バス又は正の直流バスとし得る。第1直流バス1005が負の直流バスである場合、コンバータの第1出力端子は正の出力端子であり、第2出力端子は負の出力端子である。第1直流バス1005が正の直流バスである場合、コンバータの第1出力端子は負の出力端子であり、第2出力端子は正の出力端子である。
【0091】
直流コンポーネントは、太陽光発電モジュール、換言すれば、太陽電池アセンブリとし得る。この出願は更に、エネルギー貯蔵シナリオに適用され得る。具体的には、直流コンポーネントは、例えばニッケルカドミウムバッテリ、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリ、又はリチウムポリマーバッテリなどのエネルギー貯蔵バッテリであってもよい。
【0092】
理解され得ることには、この実施形態は、この出願の任意の実現可能な実装に適用され得る。ストリング内の直流コンポーネントに対応してコンバータが配置され、該コンバータが対応する直流コンポーネントの動作状態を調整し、それにより電源システム全体を最適化する。
【0093】
図11は、この出願の一実施形態に従った更に他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
図11では、第1ストリング1101が2つのサブストリング11011及び11012を含むことを、列挙ではなく一例として用いている。理解されるべきことには、第1ストリング1101は2つのサブストリングを含んでいるが、それに限定されない。換言すれば、第1ストリング1101は、少なくとも2つのサブストリングを含み得る。
【0094】
第1サブストリング11011が第2サブストリング11012に並列に接続されて第1ストリング1101を形成する。第1サブストリング11011及び第2サブストリング11012の最大電力点に対応する出力電圧範囲が、少なくとも部分的に重なり合う。例えば、第1サブストリング11011の電圧-電力カーブは
図12のカーブCとすることができ、第2サブストリング11012の電圧-電力カーブは
図12のカーブDとすることができる。第1サブストリング11011及び第2サブストリング11012のそれぞれの最大電力点に対応する出力電圧範囲は、250Vと310Vとの間で重なっている。この場合、第1サブストリング11011と第2サブストリング11012との間での適応度が比較的高いと考えられる。例えば、第1サブストリング11011の出力電圧が280Vであり、且つ第2サブストリング11012の出力電圧が300Vである場合、これら2つの出力電圧は異なっているが、最大電力点追跡(maximum power point track、MPPT)制御を通じて第1サブストリング11011の出力電圧を300Vに調整したり、MPPT制御を通じて第2サブストリング11012の出力電圧を280Vに調整したり、MPPT制御を通じて第1サブストリング11011の出力電圧を290Vに調整するとともに、MPPT制御を通じて第2サブストリング11012の出力電圧を290Vに調整したり、これらに類することを行ったりすることができる。MPPT制御は、ターゲットストリングが最大電力を出力することを可能にすべく、ターゲットストリングの動作環境(例えば光の強度又は周囲温度など)に基づいてターゲットストリングの出力電圧を連続的に調整することとして理解され得る。上のMPPT制御では、列挙ではなく例として、第1サブストリング11011の出力電圧及び/又は第2サブストリング11012の出力電圧が300V、280V、又は290Vに調整されている。すなわち、第1切替サブスイッチ11031及び第1の電圧補償ユニット1104が共有されるように、MPPT制御を通じて、第1サブストリング11011の出力電圧と第2サブストリング11012の出力電圧とが同じになるように調整し得る。この実施形態では、比較的高い適応度を持つ2つのサブストリングが並列に接続されて、1つの切替スイッチユニット及び1つの電圧補償ユニットを共有することで、システムコストを更に低減させることができる。
【0095】
実現可能な一実装において、第1サブストリング11011及び/又は第2サブストリング11012は、少なくとも1つの直流コンポーネントと、該直流コンポーネントに対応するコンバータとを含み得る。具体的な実装については、
図10を参照して説明した上述の実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0096】
オプションの一実装において、第1直流バス1105は負の直流バスであり、第2直流バス1106は正の直流バスとすることができ、あるいは、第1直流バス1105は正の直流バスであり、第2直流バス1106は負の直流バスであるとすることができる。
【0097】
実現可能な一実装において、第2ストリング1102も少なくとも2つのサブストリングを含んでもよく、それらのサブストリングが第2切替サブスイッチ11032及び第1の電圧補償ユニット1104を共有する。すなわち、電源システム内の各ストリングが少なくとも2つのサブストリングを含んでもよく、また、サブストリングを含むのが複数のストリングのうち1つだけでなくてもよい。
【0098】
理解され得ることには、ストリングに含まれるサブストリングの数は、それらサブストリングの最大電力点に対応する出力電圧範囲が重なり合うかどうかに依存する。最大電力点に対応する出力電圧範囲が重なり合う場合、それらサブストリングを並列に接続して、1つの電圧補償ユニット及び1つの切替サブスイッチを共有し得る。
【0099】
図13は、この出願の一実施形態に従ったなおも更なる他の電源システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
図13では、3つのストリングが位置する3つのブランチと2つの電圧補償ユニットとを電源システムが含むことを、列挙ではなく例として使用する。理解されるべきことには、当該電源システムは、N個のストリングが位置するN個のブランチと、M個の電圧補償ユニットとを含むことができ、N及びMはどちらも正の整数であり、MはNより小さい。
図13に示すように、この実施形態における電源システムは、第1ストリング13011が位置する第1ブランチ1301と、第2ストリング13022が位置する第2ブランチ1302と、第3ストリング13033が位置する第3ブランチ1303と、切替スイッチユニット1304と、第1の電圧補償ユニット1305と、第2の電圧補償ユニット1306とを含み得る。切替スイッチユニット1304は、第1切替サブスイッチ13041、第2切替サブスイッチ13042、及び第3切替サブスイッチ13043を含み得る。各切替サブスイッチが、第1端子、第2端子、及び第3端子を含む。第1切替サブスイッチ13041の第1端子が第1ストリング13011の一方の端子に接続され、第1切替サブスイッチ13041の第2端子が第1の電圧補償ユニット1305の第2出力端子に接続され、第1切替サブスイッチ13041の第3端子及び第1の電圧補償ユニット1305の第1出力端子が別々に第1直流バス1307に接続される。第2切替サブスイッチ13042の第1端子が第2ストリング13022の一方の端子に接続され、第2切替サブスイッチ13042の第2端子が第2の電圧補償ユニット1306の第2出力端子に接続され、第2切替サブスイッチ13042の第3端子及び第2の電圧補償ユニット1306の第1出力端子が別々に第1直流バス1307に接続される。第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第3ストリング13033の一方の端子に接続され、第3切替サブスイッチ13043の第2端子が第1の電圧補償ユニット1305の第2出力端子に接続され、第3切替サブスイッチ13043の第3端子が第2の電圧補償ユニット1306の第2出力端子に接続され、第3切替サブスイッチ13043の第4端子が第1直流バス1307に接続される。第1ストリング13011の他方の端子、第2ストリング13022の他方の端子、及び第3ストリング13033の他方の端子が別々に第2直流バス1308に接続される。
【0100】
コントローラは、第1ストリング13011の動作状態パラメータ、第2ストリング13022の動作状態パラメータ、及び第3ストリング13033の動作状態パラメータを取得し、第1ストリング13011の動作状態パラメータ、第2ストリング13022の動作状態パラメータ、及び第3ストリング13033の動作状態パラメータに基づいて電圧補償有効化信号を生成する。特定の実装において、第1ストリング13011、第2ストリング13022、及び第3ストリング13033の出力電圧が相異なる場合に、コントローラは、電圧補償有効化信号を生成し、該電圧補償有効化信号を切替スイッチユニット1304に送る。切替スイッチユニット1304は、電圧補償有効化信号に基づいて、電圧補償ユニットの全部又は一部をそれぞれ一部のブランチに接続する。例えば、第1ストリング13011の出力電圧及び第2ストリング13022の出力電圧は比較的低いとすることができ、切替スイッチユニット1304は、第1の電圧補償ユニット1305を第1ブランチ1301に接続するように制御するとともに、第2の電圧補償ユニット1306を第2ブランチ1302に接続するように制御する。あるいは、第1ストリング13011の出力電圧及び第3ストリング13033の出力電圧が比較的低く、切替スイッチユニット1304は、第1の電圧補償ユニット1305を第1ブランチ1301に接続するように制御するとともに、第2の電圧補償ユニット1306を第3ブランチ1303に接続するように制御する。あるいは、第2ストリング13022の出力電圧及び第3ストリング13033の出力電圧が比較的低く、切替スイッチユニット1304は、第2の電圧補償ユニット1306を第2ブランチ1302に接続するように制御するとともに、第1の電圧補償ユニット1305を第3ブランチ1303に接続するように制御する。あるいは、第1ストリング13011の出力電圧が比較的低く、切替スイッチユニット1304は、第1の電圧補償ユニット1305を第1ブランチ1301に接続するように制御し、この場合、第2の電圧補償ユニット1306の出力電圧はゼロとし得る。あるいは、第2ストリング13022の出力電圧が比較的低く、切替スイッチユニット1304は、第2の電圧補償ユニット1306を第2ブランチ1302に接続するように制御し、この場合、第1の電圧補償ユニット1305の出力電圧はゼロとし得る。あるいは、第3ストリング13033の出力電圧が比較的低く、切替スイッチユニット1304は、第1の電圧補償ユニット1305又は第2の電圧補償ユニット1306を第3ブランチ1303に接続するように制御し、この場合、第3ブランチ1303に接続しない方の電圧補償ユニットの出力電圧はゼロとし得る。
【0101】
電圧補償ユニットは、電圧補償を要しないブランチではなく、電圧補償を要するブランチに接続され、それにより、電圧補償を要しないブランチ内で電圧補償ユニットが不必要なシステム損失を生じさせることが防止される。さらに、電圧補償ユニットの数がストリングの数よりも少ない。電圧補償ユニットの数がストリングの数に等しいものである従来技術と比較して、電圧補償ユニットの数を減らすことができ、システムコストを低減させることができる。
【0102】
例えば、デフォルト状態において、第1ブランチ1301、第2ブランチ1302、及び第3ブランチ1303はどの電圧補償ユニットにも接続しないとし得る。
【0103】
また、第1ストリング13011の出力電圧、第2ストリング13022の出力電圧、及び第3ストリング13033の出力電圧が同じである場合、第1ストリング13011の動作状態パラメータ、第2ストリング13022の動作状態パラメータ、及び第3ストリング13033の動作状態パラメータに基づいて、コントローラは、電圧補償有効化信号を生成しないとすることができ、あるいはデフォルト電圧補償信号を生成することができる。電圧補償有効化信号を受信しないとき、又はデフォルト電圧補償信号を受信するとき、切替スイッチユニット1304は、第1ブランチ1301、第2ブランチ1302、及び第3ブランチ1303のいずれにも接続しないように電圧補償ユニットを制御する。
【0104】
オプションの一実装において、この実施形態におけるコントローラは、当該電源システムに含まれる太陽光発電インバータ制御モジュール内に配置され得る。
【0105】
また、コントローラは更に、第1ストリング13011の動作状態パラメータ、第2ストリング13022の動作状態パラメータ、及び第3ストリング13033の動作状態パラメータに基づいて、少なくとも1つの電圧補償基準値を決定し、第1の電圧補償ユニット1305及び第2の電圧補償ユニット1306の各々に対応する電圧補償基準値を送ることで、第1の電圧補償ユニット1305が、受信した電圧補償基準値に基づいて第1ブランチ1301又は第3ブランチ1303を補償し、第2の電圧補償ユニット1306が、受信した電圧補償基準値に基づいて第2ブランチ1302又は第3ブランチ1303を補償するようにすることができる。例えば、第1ストリング13011の出力電圧の値は200Vであり、第2ストリング13022の出力電圧の値は300Vであり、第3ストリング13033の出力電圧の値は250Vである。この場合、コントローラによって第1の電圧補償ユニット1305に送られる電圧補償値は100Vであり、第2の電圧補償ユニット1306に送られる電圧補償値は50Vである。
【0106】
第1切替サブスイッチ13041及び第2切替サブスイッチ13042の具体的な構造及び具体的な実装については、
図4-
図9で説明した実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。以下、第3切替サブスイッチ13043の具体的な構造及び具体的な実装の例を、
図14A-
図15Dを参照して説明する。
【0107】
実現可能な一実装において、第3切替サブスイッチ13043は接点スイッチとし得る。
図14A及び
図14Bを参照されたい。
【0108】
他の取り得る一実装において、第3切替サブスイッチ13043は、
図14Aに示す単一のノーマリーオープン接点を持つ3つのスイッチを含み得る。単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチは各々、1つの静止接点と、1つの可動接点と、1つのコイルとを含む。理解され得ることには、単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチがデフォルト状態にあるとき、静止接点が可動接点から切り離される。単一のノーマリーオープン接点を持つ3つのスイッチの可動接点は、それぞれ、A1、A2、及びA3であり、単一のノーマリーオープン接点を持つ3つのスイッチの静止接点は、それぞれ、A4、A5、及びA6である。A1、A2、及びA3は全て第3切替サブスイッチ13043の第1端子に接続される。A4、A5、及びA6は第3切替サブスイッチ13043の第4端子、第2端子、又は第3端子のいずれかの端子に接続される。切替スイッチユニット1304は、これら単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチの各々のコイルに電流が流れるかどうかを制御して、接点が接触するかどうかを制御し、それにより、第3切替サブスイッチ13043のポートが接続されるかどうかを制御する。この実施形態では、A4が第3切替サブスイッチ13043の第4端子に接続され、A5が第3切替サブスイッチ13043の第2端子に接続され、A6が第3切替サブスイッチ13043の第3端子に接続される例を用いる。切替スイッチユニット1304が、A5があるコイルに電流が流れるように制御することで、A2がA5と接触し、すなわち、第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第2端子に接続されて、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033とが接続され、第1の電圧補償ユニット1305が第3ブランチ1303に接続される。あるいは、切替スイッチユニット1304が、A6があるコイルに電流が流れるように制御することで、A3がA6と接触し、すなわち、第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第3端子に接続されて、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033とが接続され、第2の電圧補償ユニット1306が第3ブランチ1303に接続される。あるいは、切替スイッチユニット1304が、A4があるコイルに電流が流れるように制御することで、A1がA4と接触し、すなわち、第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第4端子に接続されて、第3ストリング13033と第1直流バス1307とが接続され、第3ブランチ1303はいずれの電圧補償ユニットにも接続されない。
【0109】
更なる他の取り得る一実装において、第3切替サブスイッチ13043は、
図14Bに示される単一のノーマリークローズ接点を持つ1つのスイッチと単一のノーマリーオープン接点を持つ2つのスイッチとを含んでもよい。単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチ及び単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチの各々が、1つの静止接点と、1つの可動接点と、1つのコイルとを含む。単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチと単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチとの間の違いは次のとおりである:単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチがデフォルト状態にあるとき、静止接点が可動接点と接触する。単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチの可動接点はB1であり、静止接点はB4である。単一のノーマリーオープン接点を持つ2つのスイッチの可動接点はB2及びB3であり、静止接点はB5及びB6である。B1、B2、及びB3は全て第3切替サブスイッチ13043の第1端子に接続され、B4は第3切替サブスイッチ13043の第4端子に接続される。デフォルト状態ではB1がB4と接触する。すなわち、デフォルト状態では、第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第4端子に接続され、第3ストリング13033と第1直流バス1307とを接続し、第3ブランチ1303はいずれの電圧補償ユニットにも接続されない。B5及びB6は、第3切替サブスイッチ13043の第2端子又は第3端子のいずれかに接続され得る。切替スイッチユニット1304は、単一のノーマリーオープン接点を持つスイッチ及び単一のノーマリークローズ接点を持つスイッチの各々のコイルに電流が流れるかどうかを制御して、接点が接触するかどうかを制御し、それにより、第3切替サブスイッチ13043のポートが接続されるかどうかを制御する。この実施形態では、B5が第3切替サブスイッチ13043の第2端子に接続され、B6が第3切替サブスイッチ13043の第3端子に接続される例を用いる。切替スイッチユニット1304が、B5があるコイルに電流が流れるように制御することで、B2がB5と接触し、すなわち、第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第2端子に接続され、そして更に、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033とが接続され、第1の電圧補償ユニット1305が第3ブランチ1303に接続される。加えて、切替スイッチユニット1304は更に、B4があるコイルに電流が流れるように制御することで、B1がB4と接触しないようにし、すなわち、第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第4端子から切り離され、さらに、第3ストリング13033が第1直流バス1307から切り離されるようにする。あるいは、切替スイッチユニット1304が、B6があるコイルに電流が流れるように制御することで、B3がB6と接触し、すなわち、第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第3端子に接続され、そして更に、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033とが接続され、第2の電圧補償ユニット1306が第3ブランチ1303に接続される。加えて、切替スイッチユニット1304は更に、B4があるコイルに電流が流れるように制御することで、B1がB4と接触しないようにし、すなわち、第3切替サブスイッチ13043の第1端子が第4端子から切り離され、さらに、第3ストリング13033が第1直流バス1307から切り離されるようにする。
【0110】
他の実現可能な一実装において、第3切替サブスイッチ13043は半導体スイッチとし得る。
図15A-
図15Dを参照されたい。
【0111】
第1直流バス1307が負の直流バスである場合、取り得る一実装において、第3切替サブスイッチ13043は、
図15Aに示す第7の半導体スイッチ、第8の半導体スイッチ、及び第9の半導体スイッチを含み得る。第7の半導体スイッチはQ11であり、第1直流バス1307と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。第8の半導体スイッチは、Q14及びQ15を上下に接続することによって形成され、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。第9の半導体スイッチは、Q12及びQ13を上下に接続することによって形成され、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。Q14のソースがQ15のソースに接続され、Q12のソースがQ13のソースに接続され、Q11のドレイン、Q12のドレイン、及びQ14のドレインが別々に第3切替サブスイッチ13043の第1端子に接続され、Q11のソースが第3切替サブスイッチ13043の第4端子に接続され、Q13のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第3端子に接続され、Q15のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第2端子に接続される。
図6を参照して上述した第1切替サブスイッチ6031aとは異なり、第3切替サブスイッチ13043の第2端子は第1の電圧補償ユニット1305に接続され、第3端子は第2の電圧補償ユニット1306に接続される。第1の電圧補償ユニット1305及び第2の電圧補償ユニット1306の出力電圧の間の値関係が不確定であるとともに、MOSFETが寄生ダイオードを持つ又はIGBTが逆並列ダイオードを持つことに起因して、第1の電圧補償ユニット1305の出力電圧が10Vであり、且つ第2の電圧補償ユニット1306の出力電圧が20Vであるとした場合、切替スイッチユニット1304が第3切替サブスイッチ13043を制御して第3ストリング13033と第2の電圧補償ユニット1306とを接続し、第2の電圧補償ユニット1306が第3切替サブスイッチ13043の第1端子に20Vを与え、第1の電圧補償ユニット1305が第3切替サブスイッチ13043の第2端子に10Vの電圧を与えると、第3切替サブスイッチ13043の第1端子と第2端子との間の電圧差がQ15の寄生ダイオードをターンオンさせ、それにより第1の電圧補償ユニットをも第3ストリング13033に接続してしまい得る。第3ストリング13033を第1の電圧補償ユニット1305と第2の電圧補償ユニット1306とに同時に接続してしまうことを防止するために、第8の半導体スイッチは、上下に接続された2つのMOSFETを使用し、それにより、つまりはQ14である逆MOSFETを追加している。同様に、第9の半導体スイッチは、上下に接続された2つのMOSFETを使用し、それにより、つまりはQ12である逆MOSFETを追加している。切替スイッチユニット1304は、電圧補償有効化信号に基づいてQ14及びQ15に駆動信号を出力して、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第1の電圧補償ユニット1305が第3ブランチ1303に接続され、あるいは、Q12及びQ13に駆動信号を出力して、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第2の電圧補償ユニット1306が第3ブランチ1303に接続され、あるいは、Q11に駆動信号を出力して、第1直流バス1307と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第3ブランチ1303はいずれの電圧補償ユニットにも接続されない。
【0112】
第1直流バス1307が負の直流バスである場合、他の取り得る一実装において、第3切替サブスイッチ13043は、
図15Bに示す第10の半導体スイッチ、第11の半導体スイッチ、及びダイオードを含み得る。ダイオードはD3であり、第1直流バス1307と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。第10の半導体スイッチは、Q18及びQ19を上下に接続することによって形成され、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。第11の半導体スイッチは、Q16及びQ17を上下に接続することによって形成され、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。
図15Bにおいて、つまりはQ18及びQ16である直列接続された逆MOSFETを追加する理由については、
図15AのQ14及びQ12の説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。Q18のソースがQ19のソースに接続され、Q16のソースがQ17のソースに接続され、ダイオードD3のカソード、Q16のドレイン、及びQ18のドレインが別々に第3切替サブスイッチ13043の第1端子に接続され、ダイオードD3のアノードが第3切替サブスイッチ13043の第4端子に接続され、Q17のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第3端子に接続され、Q19のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第2端子に接続される。切替スイッチユニット1304は、電圧補償有効化信号に基づいてQ18及びQ19に駆動信号を出力して、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第1の電圧補償ユニット1305が第3ブランチ1303に接続され、あるいは、Q16及びQ17に駆動信号を出力して、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第2の電圧補償ユニット1306が第3ブランチ1303に接続される。第1の電圧補償ユニット1305が第3ブランチ1303に接続されるとき、又は第2の電圧補償ユニット1306が第3ブランチ1303に接続されるとき、ダイオードD3はリバース遮断状態にあり、それにより第3ストリング13033を第1直流バス1307から切り離す。具体的な実装原理については、
図7を参照して上述した実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0113】
第1直流バス1307が正の直流バスである場合、取り得る一実装において、第3切替サブスイッチ13043は、
図15Cに示す第12の半導体スイッチ、第13の半導体スイッチ、及び第14の半導体スイッチを含み得る。第12の半導体スイッチはQ20であり、第1直流バス1307と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。第13の半導体スイッチは、Q23及びQ24を上下に接続することによって形成され、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。第14の半導体スイッチは、Q21及びQ22を上下に接続することによって形成され、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。Q23のソースがQ24のソースに接続され、Q21のソースがQ22のソースに接続され、Q20のソース、Q21のドレイン、及びQ23のドレインが別々に第3切替サブスイッチ13043の第1端子に接続され、Q20のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第4端子に接続され、Q22のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第3端子に接続され、Q24のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第2端子に接続される。切替スイッチユニット1304は、電圧補償有効化信号に基づいてQ23及びQ24に駆動信号を出力して、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第1の電圧補償ユニット1305が第3ブランチ1303に接続され、あるいは、Q21及びQ22に駆動信号を出力して、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第2の電圧補償ユニット1306が第3ブランチ1303に接続され、あるいは、Q20に駆動信号を出力して、第1直流バス1307と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第3ブランチ1303はいずれの電圧補償ユニットにも接続されない。
【0114】
第1直流バス1307が正の直流バスである場合、他の取り得る一実装において、第3切替サブスイッチ13043は、
図15Dに示す第15の半導体スイッチ、第16の半導体スイッチ、及びダイオードを含み得る。ダイオードはD4であり、第1直流バス1307と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。第15の半導体スイッチは、Q27及びQ28を上下に接続することによって形成され、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。第16の半導体スイッチは、Q25及びQ26を上下に接続することによって形成され、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033との間の接続・切断を制御するように構成される。Q27のソースがQ28のソースに接続され、Q25のソースがQ26のソースに接続され、ダイオードD4のアノード、Q27のドレイン、及びQ25のドレインが別々に第3切替サブスイッチ13043の第1端子に接続され、ダイオードD4のカソードが第3切替サブスイッチ13043の第4端子に接続され、Q26のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第3端子に接続され、Q28のドレインが第3切替サブスイッチ13043の第2端子に接続される。切替スイッチユニット1304は、電圧補償有効化信号に基づいてQ27及びQ28に駆動信号を出力して、第1の電圧補償ユニット1305と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第1の電圧補償ユニット1305が第3ブランチ1303に接続され、あるいは、Q25及びQ26に駆動信号を出力して、第2の電圧補償ユニット1306と第3ストリング13033とを接続することができ、すなわち、第2の電圧補償ユニット1306が第3ブランチ1303に接続される。第1の電圧補償ユニット1305が第3ブランチ1303に接続されるとき、又は第2の電圧補償ユニット1306が第3ブランチ1303に接続されるとき、ダイオードD4はリバース遮断状態にあり、それにより第3ストリング13033を第1直流バス1307から切り離す。具体的な実装原理については、
図9を参照して上述した実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0115】
要約するに、切替サブスイッチに含まれる端子の数は、電源システムに含まれる電圧補償ユニットの数に依存する。切替スイッチユニット1304は、ストリングと電圧補償ユニットとの間にN個の切替サブスイッチを含み得る。例えば、第1切替サブスイッチ、第2切替サブスイッチ、…、及び第(N-1)切替サブスイッチは各々3つの端子を含み、別々に第1ストリング、第2ストリング、…、及び第(N-1)ストリングを電圧補償ユニット又は直流バスに接続するように構成される。第N切替サブスイッチは、第Nストリングをいずれかの電圧補償ユニット又は直流バスに選択的に接続する。すなわち、第N切替サブスイッチは(M+2)個の端子を含む必要があり、M個の端子はM個の電圧補償ユニットのうちのいずれか1つを選択するために使用され、残りの2つの端子のうちの1つは第Nストリングに接続するために使用され、もう1つの端子は直流バスに接続するために使用される。
【0116】
実現可能な一実装において、第1ストリング13011、第2ストリング13022、及び第3ストリング13033は、少なくとも1つの直流コンポーネントとコンバータとを含み得る。詳細については、
図10で説明した実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0117】
また、実現可能な一実装において、第1ストリング13011、第2ストリング13022、及び第3ストリング13033は、
図11で説明した上述の実施形態を参照して説明され得る。少なくとも1つのストリングが、少なくとも2つのサブストリングを含んでもよい。
【0118】
オプションの一実装において、この出願における切替スイッチユニット1304は、少なくとも1つの接点スイッチ及び/又は少なくとも1つの半導体スイッチを含み得る。すなわち、第1切替サブスイッチ13041、第2切替サブスイッチ13042、及び第3切替サブスイッチ13043の具体的な構造が異なってもよい。例えば、第1切替サブスイッチ13041は接点スイッチであり、第2切替サブスイッチ13042は接点スイッチであり、第3切替サブスイッチ13043は半導体スイッチである。あるいは、第1切替サブスイッチ13041は接点スイッチであり、第2切替サブスイッチ13042は半導体スイッチであり、第3切替サブスイッチ13043は接点スイッチである、等々である。
【0119】
理解され得ることには、半導体スイッチのなかでQ11、Q12、Q13、Q14などはMOSFETであってもよいし、IGBTと該IGBTの逆並列ダイオードであってもよい。
図15A-
図15Dの各々を参照しての以上の説明では、MOSFETを例として用いている。Q11、Q12、Q13、Q14などがIGBTと該IGBTの逆並列ダイオードである場合には、MOSFETのソースがIGBTのエミッタで置き換えられ、MOSFETのドレインがIGBTのコレクタで置き換えられ、逆並列ダイオードのアノードがIGBTのエミッタに接続され、カソードがIGBTのコレクタに接続される。
【0120】
この出願の一実施形態は更に、ストリング補償方法を提供する。当該方法は、上述のいずれかの電源システムに適用され、該電源システムは、第1ストリングが位置する第1ブランチと、第2ストリングが位置する第2ブランチと、第1の電圧補償ユニットと、コントローラを含む。当該方法は以下のステップを含む。
【0121】
切替スイッチユニットが、コントローラから電圧補償有効化信号を受信し、電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットを第1ブランチに接続し、電圧補償有効化信号は、第1ストリングの動作状態パラメータ及び第2ストリングの動作状態パラメータに基づいて生成され、第1の電圧補償ユニットは、第1ブランチの出力電圧を補償するように構成される。切替スイッチユニットは電源システム内に置かれる。
【0122】
ストリングの動作状態パラメータは、ストリングの出力電圧、出力電流、出力電力、及び/又はこれらに類するものとし得る。この出願では、説明のための例として出力電圧を用いる。
【0123】
特定の一実装において、コントローラは、第1ストリングの動作状態パラメータ及び第2ストリングの動作状態パラメータを取得し、第1ストリングの動作状態パラメータと第2ストリングの動作状態パラメータとに基づいて電圧補償有効化信号を生成する。例えば、第1ストリングの出力電圧が第2ストリングの出力電圧と異なる場合、例えば、第1ストリングの出力電圧が比較的小さい場合、コントローラは電圧補償有効化信号を生成し、該電圧補償有効化信号を切替スイッチユニットに送り得る。電圧補償有効化信号を受信すると、切替スイッチユニットは、第1ブランチに接続するように第1の電圧補償ユニットを制御する。すなわち、電圧補償ユニットが、電圧補償を要しない第2ブランチには接続されずに、電圧補償を要する第1ブランチのみに接続され、それにより、第2ブランチ内で電圧補償ユニットが不必要なシステム損失を生じさせることが防止されるとともに、電源システム内の電圧補償ユニットの数及びシステムコストが削減される。
【0124】
また、電源システムは第1直流バス及び第2直流バスを含む。第1の電圧補償ユニットは第1出力端子及び第2出力端子を含み、第1出力端子が第1直流バスに接続される。切替スイッチユニットが電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットを第1ブランチに接続する具体的な実装は次のとおりである:切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットの第2出力端子を第1ストリングの一方の端子に接続し、第1ストリングの他方の端子を第2直流バスに接続する。第1直流バスが負の直流バスである場合、第1の電圧補償ユニットの第1出力端子は負の出力端子であり、第2出力端子は正の出力端子である。第1直流バスが正の直流バスである場合、第1の電圧補償ユニットの第1出力端子は正の出力端子であり、第2出力端子は負の出力端子である。電源システムの適用性を高めることができるように、正の直流バス側及び負の直流バス側の各々に切替スイッチユニットと第1の電圧補償ユニットを配置してもよい、。
【0125】
また、切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、第2ストリングの一方の端子を第1直流バスに接続し、第2ストリングの他方の端子を第2直流バスに接続する。
【0126】
なお、デフォルト状態において、第1の電圧補償ユニットは第1ブランチにも第2ブランチにも接続されない。
【0127】
また、第1ストリングの出力電圧が第2ストリングの出力電圧と同じである場合、第1ストリングの動作状態パラメータと第2ストリングの動作状態パラメータとに基づいて、コントローラは電圧補償有効化信号を生成しないとすることができ、あるいはデフォルト電圧補償信号を生成することができる。電圧補償有効化信号を受信しないとき、又はデフォルト電圧補償信号を受信するとき、切替スイッチユニットは、第1ブランチにも第2ブランチにも接続しないように第1の電圧補償ユニットを制御する。
【0128】
オプションの一実装において、電源システムは太陽光発電に適用され、第1ストリング及び第2ストリングは太陽光発電ストリングであり、コントローラは当該電源システムの太陽光発電インバータ制御モジュール内に置かれ得る。
【0129】
他のオプションの一実装において、電源システム内の第1ストリング及び第2ストリングの各々内にプロセッサが配置され、各プロセッサが、対応するストリングの動作状態パラメータを収集して、収集した動作状態パラメータをいずれかのプロセッサに集約し得る。全てのストリングの動作状態パラメータを取得するプロセッサが上記コントローラである。
【0130】
取り得る一実装において、コントローラは更に、第1ストリングの動作状態パラメータと第2ストリングの動作状態パラメータとに基づいて電圧補償基準値を決定し、該電圧補償基準値を第1の電圧補償ユニットに送ることで、第1の電圧補償ユニットが該電圧補償基準値に基づいて第1ブランチの出力電圧を補償するようにすることができ、すなわち、該電圧補償基準値が第1の電圧補償ユニットの出力電圧値となる。
【0131】
実現可能な一実装において、切替スイッチユニットは、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとの間の第1切替サブスイッチを含み、第1切替サブスイッチは接点スイッチ又は半導体スイッチである。切替スイッチユニットが電圧補償有効化信号に基づいて第1の電圧補償ユニットを第1ブランチに接続する具体的な実装は次のとおりである:切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第1切替サブスイッチを制御する。切替スイッチユニットの具体的な構造及び具体的な実装プロセスについては、
図4-
図9で説明した上述の実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。例えば、第1切替サブスイッチは第1の半導体スイッチ及び第2の半導体スイッチを含み、第1の半導体スイッチは、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングを接続するように構成され、第2の半導体スイッチは、電源システム内の第1直流バスから第1ストリングを切り離すように構成される。切替スイッチユニットが、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第1切替サブスイッチを制御する具体的な実装は、次のとおりである:電圧補償有効化信号に基づいて、切替スイッチユニットは、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第1の半導体スイッチを制御するとともに、第1ストリングを第1直流バスから切り離すように第2の半導体スイッチを制御する。これら半導体スイッチが切替スイッチユニットとして使用される。接点スイッチと比較して、半導体スイッチは電源システムの体積を小さくすることができるとともに、高電圧及び大電流でスイッチオン及びスイッチオフ動作を行うことができ、それによりシステムの安全性を向上させる。他の一例では、第1切替サブスイッチは、第3の半導体スイッチ及びダイオードを含み、第3の半導体スイッチは、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように構成され、ダイオードは、第3の半導体スイッチが第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するときにリバース遮断状態にあり、第1ストリングを電源システム内の第1直流バスから切り離す。切替スイッチユニットが、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第1切替サブスイッチを制御する具体的な実装は、次のとおりであってもよい:切替スイッチユニットは、電圧補償有効化信号に基づいて、第1の電圧補償ユニットと第1ストリングとを接続するように第3の半導体スイッチを制御することで、第1ストリングを第1直流バスから切り離す。半導体スイッチとダイオードとの組み合わせが切替スイッチユニットとして使用される。2つの半導体スイッチの使用と比較して、システムコストを更に低減させることができる。
【0132】
また、オプションの一実装において、切替スイッチユニットは更に第2切替サブスイッチを含み、切替スイッチユニットは更に、電圧補償有効化信号に基づいて、電源システム内の第1直流バスと第2ストリングとを接続するように第2切替サブスイッチを制御する。
【0133】
なお、切替スイッチユニットが電圧補償ユニットを第1ブランチに接続した後、ストリングの動作状態パラメータは絶えず変化しているので、コントローラは、ストリングの動作状態パラメータに基づいて第1ストリングを決定し直すことができ、すなわち、電圧補償を要するストリングを決定し直すことができる。切替スイッチユニットが接点スイッチを含む場合、接点スイッチが固着することを防ぐために、切替スイッチユニットをオフに切り換える前に、コントローラは、先ず第1の電圧補償ユニットの出力電圧値をプリセットの閾値以下になるように制御してから、切替スイッチユニットをオフに切り換えるように制御してもよく、プリセットの閾値は接点スイッチのモデルによって決定される。
【0134】
取り得る一実施形態において、電源システムは、N個のストリングが位置するN個のブランチと、M個の電圧補償ユニットとを含み、N及びMはどちらも正の整数であり、MはNより小さく、N個のブランチは第1ブランチ及び第2ブランチを含み、M個の電圧補償ユニットは第1の電圧補償ユニットを含む。切替スイッチユニットは更に、電圧補償有効化信号に基づいて、電圧補償ユニットの全部又は一部のそれぞれを一部のブランチに接続する。具体的な実装プロセスについては、
図13で説明した上述の実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0135】
実現可能な一実装において、各ストリングが、少なくとも1つの直流コンポーネントと、該直流コンポーネントに対応するコンバータとを含み、コントローラは、対応する直流コンポーネントの動作状態を調整するようにコンバータを制御する。例えば、コンバータはバック回路又はブースト回路とすることができ、コントローラは、コンバータの出力電圧を制御することによって直流コンポーネントの動作状態を調整する。
【0136】
なお、用語“第1”、“第2”、及びこれらに類するものは、単に区別と説明のために使用されており、相対的な重要性を示したり意味したりするものとして理解されてはならない。
【0137】
以上の説明は、本発明の特定の実施形態にすぎず、本発明の保護範囲を限定する意図はない。本発明に開示された技術的範囲内で当業者が容易に思い付く如何なる変形又は置き換えも本発明の保護範囲に入るものである。従って、本発明の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うものである。