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特許7572022組立式ルーム及び組立式ルームの組立キット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】組立式ルーム及び組立式ルームの組立キット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
E04H1/12 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024116586
(22)【出願日】2024-07-20
【審査請求日】2024-07-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508302556
【氏名又は名称】株式会社タイムワ-ルド
(74)【代理人】
【識別番号】100190274
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 滋之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 孝文
(72)【発明者】
【氏名】堀越 将史
(72)【発明者】
【氏名】土屋 直昭
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-13717(JP,A)
【文献】特開平6-193287(JP,A)
【文献】特開2012-225060(JP,A)
【文献】特開2010-203151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネルを組み合わせて構成され、周壁と天壁と底壁とを有する組立式ルームであって、
前記周壁は、ドア用パネルと、4枚の周壁パネルと、少なくとも1枚の周壁拡張パネルと、を有し、
前記ドア用パネルと前記周壁パネルと前記周壁拡張パネルとは、互いに高さと厚みが等しく、
前記周壁パネルの横幅は、前記周壁拡張パネルの横幅よりも前記ドア用パネルの厚み分長く、
前記ドア用パネルの横幅は、前記周壁拡張パネルの横幅の自然数倍であり、
前記周壁パネルは、
高さ方向に沿って配置される2つの前記フランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びる接続フランジを有する、組立式ルーム。
【請求項2】
前記周壁は、偶数枚の前記周壁拡張パネルを有するものである、請求項1に記載の組立式ルーム。
【請求項3】
前記ドア用パネルの横幅は、前記周壁拡張パネルの横幅の2倍又は3倍である、請求項1に記載の組立式ルーム。
【請求項4】
前記ドア用パネル及び前記周壁拡張パネルの四方の前記フランジ部には、それぞれ、複数のネジ穴が設けられており、
前記周壁パネルは、
前記接続フランジと、前記接続フランジが延びる前記フランジ部以外の3つの前記フランジ部とに、それぞれ、複数のネジ穴が設けられている、請求項1~3の何れか一項に記載の組立式ルーム。
【請求項5】
前記天壁及び前記底壁は、それぞれ、平面視長方形状である2枚の蓋用パネルを有し、
前記蓋用パネルは、
長手方向に沿う2つの前記フランジ部のうちの一方の縁、及び短手方向に沿う2つの前記フランジ部の縁から内側に向けて垂直に延びる三方フランジを有する、請求項1~3の何れか一項に記載の組立式ルーム。
【請求項6】
前記天壁及び前記底壁は、それぞれ、平面視長方形状である少なくとも1枚の蓋用拡張パネルを有し、
前記蓋用拡張パネルは、
短手方向に沿う2つの前記フランジ部それぞれの縁から内側に向けて垂直に延びる蓋用フランジを有する、請求項5に記載の組立式ルーム。
【請求項7】
前記蓋用パネルの横幅は、前記周壁パネルの横幅と等しく、
前記蓋用拡張パネルの横幅は、前記周壁拡張パネルの横幅と等しい、請求項6に記載の組立式ルーム。
【請求項8】
前記天壁及び前記底壁は、それぞれ、平面視長方形状である2枚の蓋用パネルを有し、
前記蓋用パネルは、
長手方向に沿う2つの前記フランジ部のうちの一方の縁、及び短手方向に沿う2つの前記フランジ部の縁から内側に向けて垂直に延び、複数のネジ穴が設けられた三方フランジを有すると共に、前記三方フランジが延びる3つの前記フランジ部以外の前記フランジ部に複数のネジ穴が設けられている、請求項4に記載の組立式ルーム。
【請求項9】
前記天壁及び前記底壁は、それぞれ、平面視長方形状である少なくとも1枚の蓋用拡張パネルを有し、
前記蓋用拡張パネルは、
短手方向に沿う2つの前記フランジ部それぞれの縁から内側に向けて垂直に延び、複数のネジ穴が設けられた蓋用フランジを有する、請求項8に記載の組立式ルーム。
【請求項10】
前記蓋用パネルの横幅は、前記周壁パネルの横幅と等しく、
前記蓋用拡張パネルの横幅は、前記周壁拡張パネルの横幅と等しい、請求項9に記載の組立式ルーム。
【請求項11】
板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネルを組み合わせて構成される組立式ルームの組立キットであって、
周壁を構成する部材として、ドア用パネルと、4枚の周壁パネルと、複数枚の周壁拡張パネルと、を有し、
前記ドア用パネルと前記周壁パネルと前記周壁拡張パネルとは、互いに高さと厚みが等しく、
前記周壁パネルの横幅は、前記周壁拡張パネルの横幅よりも前記ドア用パネルの厚み分長く、
前記ドア用パネルの横幅は、前記周壁拡張パネルの横幅の自然数倍であり、
前記周壁パネルは、
高さ方向に沿って配置される2つの前記フランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びる接続フランジを有する、組立キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネルを組み合わせて構成された組立式ルーム及びその組立キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のパネルが接合されて構成された組立式ルームが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1の組立式ルームは、正面板と右側面板と左側面板と背面板と天井板と底面板が溶接又はビス止め等により接合された箱形状の収容部を有している。特許文献2の組立式ルームは、複数枚のパネルが組み合わされ、中空の箱型に形成されている。該組立式ルームは、隣接するパネル端辺の切欠部同士が組み合わされ、接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3219377号公報
【文献】特開2019-2266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2のような従来の組立式ルームは、パネルの組合せ方が1通りしかなく、出入口の位置が固定されている。そのため、設置環境に合わせて出入口の配置変更が必要となった場合や、現場においてユーザから出入口の配置変更を要求された場合には、出入口の配置が異なるルーム用の組立キットを別途手配し、搬送しなければならない。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、出入口の配置変更が自在な簡易構造の組立式ルーム及びその組立キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る組立式ルームは、板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネルを組み合わせて構成され、周壁と天壁と底壁とを有する組立式ルームであって、周壁は、ドア用パネルと、4枚の周壁パネルと、少なくとも1枚の周壁拡張パネルと、を有し、ドア用パネルと周壁パネルと周壁拡張パネルとは、互いに高さと厚みが等しく、周壁パネルの横幅は、周壁拡張パネルの横幅よりもドア用パネルの厚み分長く、ドア用パネルの横幅は、周壁拡張パネルの横幅の自然数倍であり、周壁パネルは、高さ方向に沿って配置される2つのフランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びる接続フランジを有している。
【0007】
本発明の一態様に係る組立キットは、板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネルを組み合わせて構成される組立式ルームの組立キットであって、周壁を構成する部材として、ドア用パネルと、4枚の周壁パネルと、複数枚の周壁拡張パネルと、を有し、ドア用パネルと周壁パネルと周壁拡張パネルとは、互いに高さと厚みが等しく、周壁パネルの横幅は、周壁拡張パネルの横幅よりもドア用パネルの厚み分長く、ドア用パネルの横幅は、周壁拡張パネルの横幅の自然数倍であり、周壁パネルは、高さ方向に沿って配置される2つのフランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びる接続フランジを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、高さと厚みの等しいドア用パネルと4枚の周壁パネルと少なくとも1枚の周壁拡張パネルとを備えた周壁を有し、周壁パネルの横幅は周壁拡張パネルの横幅よりもドア用パネルの厚み分長く、ドア用パネルの横幅は周壁拡張パネルの横幅の整数倍で、周壁パネルは接続フランジを有している。したがって、簡易な構造のパネルの組み合わせにより、組立式ルームの出入口の配置を自由に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る組立式ルームの外観を例示した斜視図である。
図2図1の組立式ルームを概略的に示す六面図である。
図3図1のドア用パネルを概略的に示す六面図である。
図4図1の周壁パネルを概略的に示す六面図である。
図5図1の周壁拡張パネルを概略的に示す六面図である。
図6図1の蓋用パネルを概略的に示す六面図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが長手方向の左側に配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図8】本発明の実施の形態1に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが長手方向の中央に配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図9】本発明の実施の形態1に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが長手方向の右側に配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図10】本発明の実施の形態1に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが短手方向に配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図11】本発明の実施の形態2に係る組立式ルームの外観を例示した斜視図である。
図12図11の組立式ルームを概略的に示す六面図である。
図13図11のドア用パネルを概略的に示す六面図である。
図14図11の周壁パネルを概略的に示す六面図である。
図15図11の周壁拡張パネルを概略的に示す六面図である。
図16図11の蓋用パネルを概略的に示す六面図である。
図17図11の蓋用拡張パネルを概略的に示す六面図である。
図18】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが長手方向左端部に配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図19】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが長手方向左端部の周壁拡張パネルに隣接して配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図20】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが長手方向の中央に配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図21】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが長手方向右端部の周壁拡張パネルに隣接して配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図22】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが長手方向右端部に配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図23】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが短手方向の一端部に配置された一例での、周壁の概略平面図である。
図24】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが短手方向の一端部に配置された他の例での、周壁の概略平面図である。
図25】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが短手方向の中央に配置された一例での、周壁の概略平面図である。
図26】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが短手方向の中央に配置された他の例での、周壁の概略平面図である。
図27】本発明の実施の形態2に係る直方体状の組立式ルームのうち、ドア用パネルが短手方向の他端部に配置された構成での、周壁の概略平面図である。
図28】本発明の実施の形態2に係る組立式ルームの拡大・縮小に伴う、天壁及び底壁の蓋用拡張パネルの増減を例示した説明図である。
図29】本発明の実施の形態2に係る組立式ルームの拡大・縮小に伴う、周壁拡張パネルの増減の一例を示す説明図である。
図30】本発明の実施の形態2に係る組立式ルームの拡大・縮小に伴う、周壁拡張パネルの増減の他の例を示す説明図である。
図31】各実施の形態に係る組立キットを用いた組立式ルームの1つのバリエーションの周壁を例示した概略平面図で、(a)は短手方向にドア用パネルが配置された構成例であり、(b)(c)は長手方向にドア用パネルが配置された構成例である。
図32】各実施の形態に係る組立キットを用いた組立式ルームの1つのバリエーションの周壁を例示した概略平面図で、(a)は正面側にドア用パネルが配置された構成例であり、(b)は側面側にドア用パネルが配置された構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1図10に基づき、本実施の形態1における組立式ルーム100の構成例について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る組立式ルームの一例を示す斜視図である。図2は、図1の組立式ルームを概略的に示す六面図である。図2図6において、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。各図では、図面の煩雑化を避ける等の意図で符号の一部を適宜省略する。
【0011】
組立式ルーム100は、板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネル(20、30、40、70)を組み合わせて構成される。組立式ルーム100は、周壁10と天壁50と底壁60とを有し、中空の箱型となっている。周壁10は、ドア用パネル20と、4枚の周壁パネル30と、少なくとも1枚の周壁拡張パネル40と、を有している。ドア用パネル20と周壁パネル30と周壁拡張パネル40とは、互いに高さと厚みが等しくなっている。天壁50及び底壁60は、それぞれ、平面視矩形状である2枚の蓋用パネル70を有している。
【0012】
図1及び図2に例示する組立式ルーム100は、中空の直方体状に形成されており、ドア用パネル20、周壁パネル30、及び周壁拡張パネル40は、それぞれ、正面視あるいは側面視で長方形状となっている。図1及び図2に例示する組立式ルーム100は、周壁10が6枚の周壁拡張パネル40を有し、天壁50及び底壁60が、それぞれ、平面視長方形状である2枚の蓋用パネル70を有している。
【0013】
ドア用パネル20には、出入口となる開口20hが設けられており、開口20hの縁部には、例えばトリムシールからなるシール部材Sが取り付けられている。ドア用パネル20の表面には、開口20hを囲うように枠部21が取り付けられている。ドア用パネル20の裏面には、蝶番(hinge)等からなる連結部材(不図示)を介して、開口部15の開閉を可能とする扉部材22が取り付けられている。扉部材22は取っ手23が取り付けられていてもよい。扉部材22は、例えば、アクリル又はポリカーボネート等を材料として形成され、透明性を有する。もっとも、扉部材22は、透明性を有しないものであってもよく、透明性を有する部材が部分的に用いられたものであってもよい。
【0014】
本実施の形態1の組立式ルーム100は、室内の気圧を上昇させる機能(以下、内圧上昇機能ともいう。)を備えた酸素室であるため、圧縮空気を生成するエアコンプレッサを備えた1又は複数の加圧手段(不図示)を有している。加圧手段は、室内に圧縮空気を送り込み、室内の気圧を高めるためのものである。すなわち、組立式ルーム100は、内部の気圧を大気圧よりも高くし、入室対象の血中に溶け込む酸素の量を増加させるよう構成されている。
【0015】
また、組立式ルーム100は、例えば、リリーフバルブ、減圧バルブ、操作パネルなどの部材を組み合わせて構成される操作機能部90を有している。図1では、1枚の周壁拡張パネル40に操作機能部90の各部材が取り付けられた例を示しているが、これに限らず、操作機能部90の各部材は、複数のパネルに跨って配置されてもよい。もっとも、
操作機能部90の各部材は、適宜取捨選択することができる。組立式ルーム100は、1又は複数の酸素濃縮器を有していてもよい。酸素濃縮器は、空気の成分中の窒素を吸着して酸素濃度の高い空気を生成するものである。
【0016】
上述したように、ドア用パネル20の高さTdと、周壁パネル30の高さTと、周壁拡張パネル40の高さTとは等しくなっている(Td=T=T)。また、ドア用パネル20の厚みSdと、周壁パネル30の厚みSと、周壁拡張パネル40の厚みSとは等しくなっている(Sd=S=S)。そして、周壁パネル30の横幅Wは、周壁拡張パネル40の横幅Wよりもドア用パネル20の厚みSd分長くなっている(W=W+Sd)。かかる構成により、周壁パネル30及び周壁拡張パネル40の配置を調整することで、ドア用パネル20の配置を変更しても、周壁10の全体形状を維持することができる(図7図10参照)。
【0017】
図1及び図2に例示する組立式ルーム100において、蓋用パネル70の長さTは、横幅Wの4倍に厚みSdの2倍を足した長さとなっている(T=W×4+Sd×2)。そして、蓋用パネル70の横幅Wは、周壁パネル30の横幅Wと等しくなっている。本実施の形態1において、蓋用パネル70の厚みSは、周壁10を構成する各パネルの厚みと等しくなっているが(S=Sd)、これらは必ずしも等しくする必要はない。
【0018】
高さTd、高さT、及び高さTは、入室対象の一般的な背丈等を考慮し、室内でリラックスできる程度の高さに設定するとよい。その際、開口20hからの出入りのしやすさも念頭に設計するとよい。入室対象は、人に限らず、動物などであってもよい。横幅Wd、横幅W、横幅W、及び横幅Wは、内圧上昇に対する耐久性を確保すべく、各パネルが一定の剛性をもつように設定するとよい。各パネルの横幅(Wd、W、W、W)は、部材数の削減、作業性の向上、及びコストの削減などの観点から、一定の剛性を確保できる範囲で極力長くするとよい。厚みSd、厚みS、厚みS、及び厚みSは、各パネルに一定の剛性を持たせつつ、パネル同士の接合が容易となるように設定するとよい。
【0019】
本実施の形態1の組立式ルーム100は、ドア用パネル20の横幅Wdが、周壁拡張パネル40の横幅Wの自然数倍(正の整数倍)となっている(Wd=W×N:Nは任意の自然数)。すなわち、ドア用パネル20の横幅Wdは、横幅Wの3倍、4倍、あるいは5倍以上となるようにしてもよい。ただし、部材数の削減及び工数削減等を念頭に横幅Wを極力長くする場合、横幅Wdは横幅Wの3倍以下とするのがよい。もっとも、入室対象の出入りの妨げとならなければ、横幅Wdは横幅Wと等しくしてもよい(Wd=W)。
【0020】
各図に例示する組立式ルーム100は、ドア用パネル20の横幅Wdが周壁拡張パネル40の横幅Wの2倍となっている(Wd=W×2)。そのため、入室対象の出入りに必要十分な広さの開口20hをドア用パネル20に設けつつ、ドア用パネル20の配置を変更しても、周壁10の全体形状を容易に維持することができる。なお、ドア用パネル20は、枠部21により、内圧の上昇に対する耐久性が高められている。組立式ルーム100を構成する各パネルは、機械的強度に優れた金属などの材料で形成するとよく、例えばステンレス、鋼、鉄などにより形成される。枠部21は、各パネルと同じ材料で形成されてもよく、異なる材料で形成されてもよい。
【0021】
図3は、ドア用パネル20を概略的に示す六面図である。ドア用パネル20は、正面視長方形状であり、板状のプレート部20pと、プレート部20pの四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部(21m、22m)と、を有している。プレート部20pは、開口20hにより内側が抜けた板状の部材である。ドア用パネル20において、長手方向に沿う2つのフランジ部21m、及び短手方向に沿う2つのフランジ部22mは、それぞれ、複数のネジ穴hを有している。
【0022】
図4は、周壁パネル30を概略的に示す六面図である。周壁パネル30は、正面視長方形状であり、板状のプレート部30pと、プレート部30pの四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部(31m、31n、32m)と、を有している。周壁パネル30は、長手方向に沿って配置され、複数のネジ穴hを持つフランジ部31mと、ネジ穴hを持たない平坦なフランジ部31nと、を有している。また、周壁パネル30は、短手方向に沿って配置され、複数のネジ穴hを持つ2つのフランジ部32mを有している。そして、周壁パネル30は、高さ方向に沿って配置される2つのフランジ部のうちの一方、つまりフランジ部31nの縁から内側に向けて垂直に延びる接続フランジ34を有している。接続フランジ34は、複数のネジ穴hを有している。なお、高さ方向とは、組み立てられ使用できる状態の組立式ルーム100における高さ方向を意味する。
【0023】
図5は、周壁拡張パネル40を概略的に示す六面図である。周壁拡張パネル40は、正面視長方形状であり、板状のプレート部40pと、プレート部40pの四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部(41m、42m)と、を有している。周壁拡張パネル40において、長手方向に沿う2つのフランジ部41m、及び短手方向に沿う2つのフランジ部42mは、それぞれ、複数のネジ穴hを有している。図示は省略するが、図1及び図2に例示する組立式ルーム100の場合、1枚の周壁拡張パネル40のプレート部40pに、操作機能部90を構成する各部材を取り付けるための複数の穴が設けられている。
【0024】
ドア用パネル20のフランジ部21mと、周壁パネル30のフランジ部31mと、接続フランジ34と、周壁拡張パネル40のフランジ部41mとは、複数のネジ穴hの配置が共通している。本実施の形態1では、フランジ部21m、フランジ部31m、接続フランジ34、及びフランジ部41mの複数のネジ穴hが上下で対称となるよう配置されている。そのため、少なくとも周壁パネル30及び周壁拡張パネル40は、上下を反転させても使用することができる。ドア用パネル20は、上下を反転させて使用できる構成としてもよい。
【0025】
図6は、蓋用パネル70を概略的に示す六面図である。蓋用パネル70は、正面視長方形状であり、板状のプレート部70pと、プレート部70pの四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部(71m、71n、72n)と、を有している。蓋用パネル70は、長手方向に沿って配置され、複数のネジ穴hを持つフランジ部71mと、ネジ穴hを持たない平坦なフランジ部71nと、を有している。また、蓋用パネル70は、短手方向に沿う2つのフランジ部72nを有している。そして、蓋用パネル70は、長手方向に沿うフランジ部71nの縁、及び短手方向に沿う2つのフランジ部72nの縁から内側に向けて垂直に延びる三方フランジ74を有している。三方フランジ74は、背面視で凹字状となっている。三方フランジ74は、複数のネジ穴hを有している。より具体的に、三方フランジ74は、短手方向に沿う2つの部分と長手方向に沿う部分のそれぞれに複数のネジ穴hが設けられている。
【0026】
本実施の形態1において、フランジ部22m、フランジ部32m、フランジ部42m、及び三方フランジ74は、それぞれ、少なくとも1組のネジ穴群Kを有している。ネジ穴群Kは、複数のネジ穴hが左右対称に配置されたものである。各図の例では、フランジ部22mが2組のネジ穴群Kを有し、フランジ部32m及びフランジ部42mが1組のネジ穴群Kを有している。また、三方フランジ74は、短手方向に沿う2つの部分それぞれに1組のネジ穴群Kを有すると共に、長手方向に沿う部分に4組のネジ穴群Kを有している。
【0027】
図4のフランジ部32mは、フランジ部31m側の端部に1つのネジ穴hが配置され、これに隣接してネジ穴群Kが配置されている。フランジ部32mの複数のネジ穴hの配置は、三方フランジ74のうち、短手方向に沿う部分の複数のネジ穴hの配置と等しい。つまり、三方フランジ74は、短手方向に沿う部分のフランジ部71n側の端部に1つのネジ穴hが配置されている。各パネルは、当接するフランジ同士がボルト及びナットなどにより接合されている(当該表現におけるフランジは、各パネルのフランジ部、接続フランジ34、及び三方フランジ74を含む)。
【0028】
組立式ルーム100は、人を入室対象とする酸素室の場合、例えば、高さTd、高さT、及び高さTが1420mm、厚みSd、厚みS、及び厚みSが60mm、横幅Wdが960mm、横幅Wが540mm、横幅Wが480mmとなるようにしてもよい。この場合、長さTは2040mmとなり、横幅Wは540mmとなる。蓋用パネル70の厚みSが60mmであれば、組立式ルーム100の全体の大きさは、高さ1540mm、横幅2040mm、奥行1080mmとなる。もっとも、これらのサイズは適宜変更することができる。本実施の形態1の組立式ルーム100は、各パネルが、隣接するパネル同士のネジ穴を介して、図示しないボルトとナットにより接合される仕様となっている。
【0029】
図7図10は、ドア用パネル20の配置パターンのうちの幾つかを例示した説明図である。図7図10では、ドア用パネル20、周壁パネル30、及び周壁拡張パネル40の配置の変化が分かりやすくなるよう、周壁拡張パネル40、周壁パネル30、ドア用パネル20の順にブロックの線を太くしている。
【0030】
図7図10に例示する周壁10は、平面視長方形状の筒状をなしている。図7図9では、ドア用パネル20が平面視における長手方向に配置され、図10では、ドア用パネル20が平面視における短手方向に配置されている。ドア用パネル20は、図7では長手方向に沿った手前の左側、図8では長手方向に沿った手前の中央、図9では長手方向に沿った手前の右側に配置されており、奥側も同様、3つの位置に配置することができる。ドア用パネル20は、図10では短手方向に沿った右側に配置されており、左側にも同様に配置することができる。
【0031】
図7図9では、周壁パネル30が周壁10の短手方向側に配置された例を示しているが、周壁パネル30は周壁10の長手方向側に配置してもよい。すなわち、周壁パネル30は、上下を反転させることにより、隣接する長手方向の周壁拡張パネル40と入れ替えて配置することができる(図7の左下、図9の右下を除く)。また、図10では、2枚の周壁パネル30の配置を左右で統一した例を示しているが、左側の周壁パネル30は、隣接する周壁拡張パネル40と入れ替えて周壁10の短手方向側に配置してもよい。
【0032】
組立式ルーム100は、周壁パネル30及び周壁拡張パネル40の配置を調整することにより、ドア用パネル20の配置を360度で変更することができる。そして、組立式ルーム100は、ドア用パネル20の配置を変更しても、図7図10に例示するように、周壁10の上端における複数のネジ穴hの配置が変わらない。つまり、周壁10の上端は、ネジ穴群Kだけを有するフランジ部22m及びフランジ部42mと、フランジ部31m側の端部のネジ穴hと共にネジ穴群Kを有するフランジ部32mと、により構成されるため、ドア用パネル20の配置を変更しても全体としてのネジ穴hの配置が変わらない。よって、組立式ルーム100は、ドア用パネル20の位置にかかわらず、共通の蓋用パネル70を使用することができ、全体の形状を維持することができる。
【0033】
すなわち、複数のパネルが組み合わされた組立式ルーム100の組立キットによれば、ユーザのニーズや設置環境などにより出入口の配置変更が必要となった場合でも、同一の組立キットを用いて出入口の異なる組立式ルーム100を構築することができる。そのため、再度の手配や搬送の手間をなくすことができ、組立式ルーム100の組立キットの在庫数を減らすことができる。組立キットは、複数のパネルを組み合わせるためのボルト及びナットを含んでいてもよい。
【0034】
以上のように、本実施の形態1の組立式ルーム100の組立キットは、板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネルを含んでいる。組立キットは、周壁10を構成する部材として、ドア用パネル20と、4枚の周壁パネル30と、少なくとも1枚の周壁拡張パネル40と、を有している。ドア用パネル20と周壁パネル30と周壁拡張パネル40とは、互いに高さと厚みが等しくなっている。周壁パネル30の横幅Wは、周壁拡張パネル40の横幅Wよりもドア用パネル20の厚みSd分長くなっている。ドア用パネル20の横幅Wdは、周壁拡張パネル40の横幅Wの自然数倍である。周壁パネル30は、高さ方向に沿って配置される2つのフランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びる接続フランジ34を有している。したがって、簡易な構造のパネルの組み合わせにより、組立式ルーム100の出入口の配置を自由に変更することができる。ちなみに、ドア用パネル20の横幅Wdが横幅Wの1倍、3倍などの奇数倍のとき、周壁拡張パネル40は奇数枚となる。ドア用パネル20の横幅Wdが横幅Wの偶数倍のとき、周壁拡張パネル40は偶数枚となる。
【0035】
各図に例示するドア用パネル20及び周壁拡張パネル40の四方のフランジ部(21m、22m、41m、42m)は、それぞれ、複数のネジ穴hを有している。また、周壁パネル30は、接続フランジ34と、接続フランジ34が延びるフランジ部以外の3つのフランジ部(31m、32m)とに、それぞれ、複数のネジ穴hが設けられている。したがって、組立式ルーム100は、ボルトとナットを用いて容易に組み立てることができる。
【0036】
本実施の形態1における天壁50及び底壁60は、それぞれ、平面視長方形状である2枚の蓋用パネル70を有している。蓋用パネル70は、長手方向に沿う2つのフランジ部のうちの一方(71n)の縁、及び短手方向に沿う2つのフランジ部(72n)の縁から内側に向けて垂直に延びる三方フランジ74を有している。蓋用パネル70の横幅Wは、周壁パネル30の横幅Wと等しくなっている。かかる構成により、蓋用パネル70は、周壁パネル30に対応づけて配置することができ、天壁50及び底壁60は、1枚の蓋用パネルで構成する場合よりも耐圧性を高めることができる。
【0037】
蓋用パネル70は、三方フランジ74に複数のネジ穴hが設けられ、三方フランジ74が延びる3つのフランジ部以外のフランジ部(71m)に複数のネジ穴hが設けられたものであってよい。かかる構成の蓋用パネル70は、複数のネジ穴hを、周壁10の上端又は下端の複数のネジ穴hと位置合わせすることで、ボトル及びナットによって容易に周壁10に取り付けることができる。天壁50と底壁60は、互いに同じ材質・構造・枚数の蓋用パネル70により構成してもよいが、組立式ルーム100は、天壁50と底壁60とで、適用するパネルの材質・構造・枚数を変えてもよい。
【0038】
実施の形態2.
図11図30に基づき、本実施の形態2における組立式ルーム200の構成例について説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係る組立式ルームの一例を示す斜視図である。図12は、図11の組立式ルームを概略的に示す六面図である。図12図17において、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。組立式ルーム200とその組立キットにつき、実施の形態1と同様の構成内容の説明は省略又は簡略化する。組立式ルーム200につき、組立式ルーム100の各構成部材と同等の構成部材には同一の符号を付して説明は省略又は簡略化する。各図では、図面の煩雑化を避ける等の意図で符号の一部を適宜省略する。
【0039】
組立式ルーム200は、板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネル(120、130、140、170、80)を組み合わせて構成される。組立式ルーム200は、周壁110と天壁150と底壁160とを有し、中空の箱型となっている。
【0040】
周壁110は、ドア用パネル120と、4枚の周壁パネル130と、少なくとも1枚の周壁拡張パネル140と、を有している。ドア用パネル120と周壁パネル130と周壁拡張パネル140とは、互いに高さと厚みが等しくなっている。天壁150及び底壁160は、それぞれ、平面視矩形状である2枚の蓋用パネル70と、平面視長方形状である少なくとも1枚の蓋用拡張パネル80と、を有している。蓋用パネル170と蓋用拡張パネル80とは、互いに長さと厚みが等しくなっている。
【0041】
図11及び図12に例示する組立式ルーム200は、中空の直方体状に形成されており、ドア用パネル120、周壁パネル130、及び周壁拡張パネル140が、それぞれ、正面視あるいは側面視で長方形状となっている。図11及び図12に例示する組立式ルーム200は、周壁110が14枚の周壁拡張パネル140を有し、天壁50及び底壁60が、それぞれ、平面視長方形状である2枚の蓋用パネル70と、平面視長方形状である4枚の蓋用拡張パネル80と、を有している。
【0042】
ドア用パネル120には、出入口となる開口20hが設けられており、開口20hの縁部にはシール部材Sが取り付けられている。また、ドア用パネル120には、操作機能部90を構成する各部材を取り付けるための複数の穴からなる穴群20gが設けられている(図13参照)。ドア用パネル120の表面には、穴群20gと開口20hとをそれぞれ囲うように形成された枠部121が取り付けられている。本実施の形態2の組立式ルーム200は、内圧上昇機能を備えた酸素室であるため、1又は複数の加圧手段を有している。
【0043】
周壁パネル130の横幅Wは、周壁拡張パネル140の横幅Wよりもドア用パネル120の厚みSd分長くなっている(W=W+Sd)。図11及び図12に例示する組立式ルーム200において、蓋用パネル170の長さT及び蓋用拡張パネル80の長さTは、横幅Wの2倍と横幅Wの2倍の和と等しくなっている(T=T=W×2+W×2)。換言すると、蓋用パネル170の長さT及び蓋用拡張パネル80の長さTは、横幅Wの4倍に厚みSdの2倍を足した長さとなっている(T=T=W×4+Sd×2)。
【0044】
蓋用パネル170の横幅Wは、周壁パネル130の横幅Wと等しくなっている。蓋用拡張パネル80の横幅Wは、周壁拡張パネル140の横幅Wと等しくなっている。高さTd、高さT、及び高さTは、入室対象の一般的な背丈等を考慮しつつ、開口20hからの出入りのしやすさ、操作機能部90のスペース確保などの観点から設定するとよい。横幅Wd、横幅W、横幅W、横幅W、及び横幅Wは、内圧上昇に対する耐久性を確保すべく、各パネルが一定の剛性をもつように設定するとよい。各パネルの横幅(Wd、W、W、W、W)は、部材数の削減、作業性の向上、及びコストの削減などの観点から、一定の剛性を確保できる範囲で極力長くするとよい。厚みSd、厚みS、厚みS、厚みS、及び厚みSは、各パネルに一定の剛性を持たせつつ、パネル同士の接合が容易となるように設定するとよい。
【0045】
各図に例示する組立式ルーム200は、ドア用パネル120の横幅Wdが、周壁拡張パネル140の横幅Wの2倍となっているが(Wd=W×2)、これに限定されない。組立式ルーム200は、ドア用パネル120の横幅Wdが、周壁拡張パネル140の横幅Wの自然数倍となるよう構成するとよい。ただし、部材数の削減等を念頭に横幅Wを極力長くする場合は、横幅Wdは横幅Wの3倍以下が好ましい。
【0046】
ドア用パネル120は、枠部121により、内圧の上昇に対する耐久性が高められている。枠部121は、外枠部20aと補強部20bとが一体的に接続された構成となっている。外枠部20aは、穴群20g及び開口20hを囲う枠状の部材である。補強部20bは、開口20hの上側の縁に隣接し、操作機能部90と開口20hとの間の仕切りとなる棒状の部材である。枠部121は、補強部20bによりドア用パネル120の耐圧性を高めると共に、正面視で8の字状の外観により意匠性を高めている。
【0047】
図13は、ドア用パネル120を概略的に示す六面図である。ドア用パネル120の基本的な構成は、ドア用パネル20と同様である。ドア用パネル120は、穴群20gを有しており、ドア用パネル20よりも長さTdが長くなっている。図14は、周壁パネル130を概略的に示す六面図である。周壁パネル130の基本的な構成は、周壁パネル30と同様である。図15は、周壁拡張パネル140を概略的に示す六面図である。周壁拡張パネル140の基本的な構成は、周壁拡張パネル40と同様である。図16は、蓋用パネル170を概略的に示す六面図である。蓋用パネル170の基本的な構成は、蓋用パネル70と同様である。
【0048】
図17は、蓋用拡張パネル80を概略的に示す六面図である。蓋用拡張パネル80は、正面視長方形状であり、板状のプレート部80pと、プレート部80pの四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部(81m、82n)と、を有している。蓋用拡張パネル80は、長手方向に沿い、複数のネジ穴hを持つフランジ部81mと、短手方向に沿い、ネジ穴hを持たない平坦なフランジ部82nと、を有している。
【0049】
そして、蓋用拡張パネル80は、短手方向に沿う2つのフランジ部(82n)それぞれの縁から内側に向けて垂直に延びる蓋用フランジ84を有している。蓋用フランジ84は、複数のネジ穴hを有している。より具体的に、蓋用フランジ84は、少なくとも1組のネジ穴群Kを有している。各図に例示する蓋用フランジ84は、1組のネジ穴群Kを有している。蓋用パネル170のフランジ部71mと、蓋用拡張パネル80のフランジ部81mとは、複数のネジ穴hの配置が共通している。したがって、蓋用パネル170と蓋用拡張パネル80とは、表面を面一にした状態で接合することができる。各パネルは、当接するフランジ同士がボルト及びナットなどにより接合されている(当該表現におけるフランジは、各パネルのフランジ部、接続フランジ34、三方フランジ74、及び蓋用フランジ84を含む)。
【0050】
組立式ルーム200は、人を入室対象とする酸素室の場合、例えば、高さTd、高さT、及び高さTが1920mm、厚みSd、厚みS、及び厚みSが60mm、横幅Wdが960mm、横幅Wが540mm、横幅Wが480mmとなるようにしてもよい。この場合、長さT及び長さTは2040mmとなり、横幅Wは540mmとなり、横幅Wは480mmとなる。蓋用パネル170の厚みSが60mmであれば、組立式ルーム200の全体の大きさは、高さ2040mm、横幅3000mm、奥行2040mmとなる。もっとも、これらのサイズは適宜変更することができる。本実施の形態2の組立式ルーム200は、各パネルが、隣接するパネル同士のネジ穴を介して、図示しないボルトとナットにより接合される仕様となっている。
【0051】
図18図27は、ドア用パネル120の配置パターンのうちの幾つかを例示した説明図である。図18図27では、ドア用パネル120、周壁パネル130、及び周壁拡張パネル140の配置の変化が分かりやすくなるよう、周壁拡張パネル140、周壁パネル130、ドア用パネル120の順にブロックの線を太くしている。
【0052】
図18図27に例示する周壁110は、平面視長方形状の筒状をなしている。図18図22では、ドア用パネル120が平面視における長手方向に配置され、図23図27では、ドア用パネル120が平面視における短手方向に配置されている。ドア用パネル120の位置は、図18図22の順に右側へ移動しており、図23図27の順に上側へ移動している。ドア用パネル120は、奥側も図18図22と同様に配置変更することができ、左側も図23図27と同様に配置変更することができる。
【0053】
図18図22では、周壁パネル130が周壁110の短手方向側に配置された例を示しているが、周壁パネル130は周壁110の長手方向側に配置してもよい。すなわち、周壁パネル130は、上下を反転させることにより、隣接する長手方向の周壁拡張パネル140と入れ替えて配置することができる(図18の左下及び図22の右下のものを除く)。図23図27に例示する周壁110についても同様である。例えば、図23の右上の周壁パネル130は、図24のように、隣接する長手方向の周壁拡張パネル140と入れ替えてもよい。また、図25の右側の周壁パネル130は、図26のように、隣接する長手方向の周壁拡張パネル140と入れ替えてもよい。周壁110における他の角の部分についても同様である。
【0054】
組立式ルーム200は、周壁パネル130及び周壁拡張パネル140の配置を調整することにより、ドア用パネル120の配置を360度で変更することができる。そして、組立式ルーム200は、ドア用パネル120の配置を変更しても、図18図27に例示するように、周壁110の上端における複数のネジ穴hの配置が変わらない。つまり、周壁110の上端は、ネジ穴群Kだけを有するフランジ部22m及びフランジ部42mと、フランジ部31m側の端部のネジ穴hと共にネジ穴群Kを有するフランジ部32mと、により構成されるため、ドア用パネル120の配置を変更しても全体としてのネジ穴hの配置が変わらない。よって、組立式ルーム200は、ドア用パネル120の位置にかかわらず、共通の蓋用パネル70及び蓋用拡張パネル80を使用することができ、全体の形状を維持することができる。
【0055】
すなわち、複数のパネルが組み合わされた組立式ルーム200の組立キットによれば、ユーザのニーズや設置環境などにより出入口の配置変更が必要となった場合でも、同一の組立キットを用いて組立式ルーム200を構築することができる。そのため、再度の手配や搬送の手間をなくすことができ、組立式ルーム200の組立キットの在庫数を減らすことができる。組立キットは、複数のパネルを組み合わせるためのボルト及びナットを含んでいてもよい。
【0056】
また、本実施の形態2の組立式ルーム200は、図28及び図29に示すように、蓋用拡張パネル80の枚数と周壁拡張パネル140の枚数とを増減させることで、容易に横幅を拡大又は縮小させることができる。図29の例において、周壁110の後方に4枚の周壁拡張パネル140が並ぶサイズの場合、周壁110は平面視で正方形状となる。図29に例示する周壁110は、周壁110の後方に2枚の周壁拡張パネル140が並ぶサイズとしてもよい。組立式ルーム200の奥行を拡大又は縮小させたい場合は、図30のように、奥行方向の周壁拡張パネル140の枚数を増減させるとよい。かかる構成を採る場合、蓋用パネル170の長さT及び蓋用拡張パネル80の長さTを長くしたり短くしたりすればよい。図29及び図30においても、図18図27の例示と同様、周壁110全体のネジ穴hの配置を変えることなく、ドア用パネル120の位置を変化させることができる。
【0057】
奥行方向の周壁拡張パネル140の枚数を増やす場合は、蓋用パネル170及び蓋用拡張パネル80のうちの少なくとも一方を複数枚のパネルで構成してもよい。例えば、蓋用パネル170を2枚の調整パネルで構成する場合、各調整パネルは、長手方向に沿う2つのフランジ部のうちの一方の縁、及び短手方向に沿う2つのフランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びるL型フランジを有するよう構成するとよい。そして、各調整パネルは、長手方向に沿う2つのフランジ部のうちの他方、短手方向に沿う2つのフランジ部のうちの他方、及びL型フランジに、それぞれ、複数のネジ穴hを設けるとよい。なお、2つの調整パネルは、互いに対称形となる。蓋用拡張パネル80を2枚の拡張パネルで構成する場合、各拡張パネルは、短手方向に沿う2つのフランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びる蓋用フランジ84を有するよう構成するとよい。そして、各拡張パネルは、長手方向に沿う2つのフランジ部、短手方向に沿う2つのフランジ部のうちの他方、及び蓋用フランジ84に、それぞれ、複数のネジ穴hを設けるとよい。
【0058】
以上のように、本実施の形態2の組立式ルーム200の組立キットは、板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネルを含んでいる。組立キットは、周壁110を構成する部材として、ドア用パネル120と、4枚の周壁パネル130と、少なくとも1枚の周壁拡張パネル140と、を有している。ドア用パネル120と周壁パネル130と周壁拡張パネル140とは、互いに高さと厚みが等しくなっている。周壁パネル130の横幅Wは、周壁拡張パネル140の横幅Wよりもドア用パネル120の厚みSd分長くなっている。ドア用パネル120の横幅Wdは、周壁拡張パネル140の横幅Wの自然数倍である。周壁パネル130は、高さ方向に沿って配置される2つのフランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びる接続フランジ34を有している。したがって、簡易な構造のパネルの組み合わせにより、組立式ルーム100の出入口の配置を自由に変更することができる。
【0059】
天壁150及び底壁160は、それぞれ、平面視長方形状である少なくとも1枚の蓋用拡張パネル80を有している。蓋用拡張パネル80は、短手方向に沿う2つのフランジ部それぞれの縁から内側に向けて垂直に延びる蓋用フランジ84を有している。蓋用拡張パネル80は、周壁110の対向するパネルそれぞれの上端に2つの蓋用フランジ84を当接させた状態で、周壁110に取り付けることができる。
【0060】
本実施の形態2における組立式ルーム200の組立キットでは、蓋用パネル70の横幅Wが周壁パネル130の横幅Wと等しくなっており、蓋用拡張パネル80の横幅Wが周壁拡張パネル140の横幅Wと等しくなっている。ここで、1枚の蓋用拡張パネル80と2枚の周壁拡張パネル140とを拡張ユニットと称する。組立式ルーム200は、拡張ユニットを増減させることで、横幅の拡大又は縮小を容易に実現することができる。蓋用拡張パネル80の蓋用フランジ84には、周壁110の上端又は下端の複数のネジ穴hのうちの幾つかに対応づけて、複数のネジ穴を設けるとよい。これにより、蓋用拡張パネル80は、ボルト及びナットを用いて周壁110に容易に取り付けることができる。天壁150と底壁160は、互いに同じ材質・構造・枚数の蓋用パネル170及び蓋用拡張パネル80で構成してもよいが、組立式ルーム200は、天壁150と底壁160とで、適用するパネルの材質・構造・枚数を変えてもよい。他の構成及び効果等については、実施の形態1の組立式ルーム100及びその組立キットと同様である。
【0061】
上述した各実施の形態は、組立式ルーム及びその組立キットの一例に過ぎず、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されない。例えば、実施の形態1では、天壁50及び底壁60が2枚の蓋用パネル70からなる例を示したが、これに限定されない。例えば、天壁50及び底壁60のうちの少なくとも一方は、2枚の蓋用パネル70を結合させたような形状の1枚のパネルにより構成してもよい。当該パネルは、四方のフランジ部の縁から内側に向けて垂直に延びる四方フランジを有するものとなる。四方フランジは、複数のネジ穴hを有するよう構成するとよい。天壁50及び底壁60は、組み合わせれば2枚の蓋用パネル70と同サイズとなる3枚以上のパネルにより構成してもよい。同様に、実施の形態2の天壁150及び底壁160のうちの少なくとも一方は、一枚のパネルにより構成してもよい。組立式ルーム100及び200を構成する各パネルにおいて、ネジ穴群Kに含まれるネジ穴hの数は、各図の例に限らず、組立式ルーム100及び200の各パネルの大きさ及び要求される密閉性の程度などに応じて適宜変更するとよい。各図では、偶数のネジ穴hで構成されたネジ穴群Kを例示しているが、ネジ穴群Kは、奇数のネジ穴hで構成されたものであってもよい。
【0062】
組立式ルーム100及び200を構成する各パネルの数及びサイズは、上記の例示に限らず、適宜変更してもよい。例えば、上記の各図では、周壁10が偶数枚の周壁拡張パネル40を有し、周壁110が偶数枚の周壁拡張パネル140を有する例を示したが、これに限定されない。組立式ルーム100は、周壁10が奇数枚の周壁拡張パネル40を有するよう構成してもよく、組立式ルーム200は、周壁110が奇数枚の周壁拡張パネル140を有するよう構成してもよい。
【0063】
組立式ルーム100又は200は、図31のように、周壁拡張パネル40又は140を1枚だけ有するよう構成してもよく、この場合、ドア用パネル20又は120の横幅Wdは、周壁拡張パネル40又は140の横幅Wと等しくするとよい。かかる構成でも、組立式ルーム100及び200は、図31の(a)~(c)のように、ドア用パネル20又は120を短手方向にも長手方向にも配置することができる。
【0064】
各図では、平面視長方形状の組立式ルーム100及び200を主として例示したが、これに限らず、組立式ルーム100及び200は平面視正方形状のものであってよい。なお、図29及び図30の周壁110には、平面視正方形状のものも含まれる。例えば、組立式ルーム100又は200は、図32のように、3枚の周壁拡張パネル40又は140を有するよう構成してもよい。図32(a)のドア用パネル(20、120)は、手前の右側に配置してもよく、図32(b)のドア用パネル(20、120)は、右側の奥側に配置してもよい。
【0065】
平面視正方形状の組立式ルームにおいて、出入口の配置変更が生じた場合、作業員などが組み立てる前であれば、出入口が所望の位置となるよう、全体を予定の配置から回転させてしまえばよい。ただし、組み立てている途中又は組立後にパネルの配置変更が必要となった場合、従来の組立式ルームは、全体をばらして組み立て直す必要がある。この点、組立式ルーム100及び200は、組み立てている途中で出入口の配置を変更したくなっても、一部のパネルの配置を変えるだけで容易に出入口の配置変更を行うことができる。組立式ルーム100及び200は、中空の直方体状であってもよく、中空の立方体状であってもよい。
【0066】
組立式ルーム100は、ボルト及びナットではなく、他の接合部材により組み立てる仕様としてもよい。例えば、組立式ルーム100は、リベットを用いて組み立てる仕様としてもよい。この場合、各パネルには、複数のネジ穴hの代わりにリベット挿入用の穴を設けるとよい。また例えば、組立式ルーム100は、各パネルのフランジ同士を当接させて挟み、締め付けて固定するクランプを用いて組み立てる仕様としてもよい。他に、組立式ルーム100は、各パネルのフランジ同士を磁石の磁力によって接合する仕様としてもよい。この場合、各パネルのフランジに磁石を仕込んでもよく、隣接する2つのフランジを1又は複数の一対の磁石で挟んで固定してもよい。もっとも、組立式ルーム100は、各パネルのフランジ同士を溶接により接合させてもよい。クランプ、磁石、又は溶接を用いる仕様の場合、各パネルには、複数のネジ穴h等の穴を設けなくてもよい。もっとも、組立式ルーム100は、上記の各仕様を組み合わせて構成してもよい。
【0067】
組立式ルーム100及び200を構成する各パネルは、上記の例に限らず、種々の材料により形成可能である。組立式ルーム100及び200は、各パネルの主たる材料としてアルミニウム、チタン、又はカーボンなどを採用してもよい。各パネルにおける補強的な部材は、想定される内圧の上昇量などに応じて形状及び大きさを適宜変更するとよい。図4図6図14図17の背面図(b)に例示する補強的な部材は、各パネルのフランジ部から内側へ垂直に延びるリム状の部材である。
【0068】
加圧手段及び操作機能部90のうちの一方又は双方は、各パネルとは別売になることも想定されるため、組立式ルーム100、200、及びその組立キットは、加圧手段及び操作機能部90のうちの少なくとも一方を有しなくてもよい。上記の説明では、組立式ルーム100及び200として、内圧上昇機能を備えた酸素室を例示したが、これに限らず、組立式ルーム100及び200は、内圧上昇機能を有しない小屋、物置、倉庫、又はシェルターなどであってもよい。各実施の形態では、入室対象が人である組立式ルームを主として説明したが、組立式ルーム100、200、及びその組立キットは、種々の動物に使用させるサイズとしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10、110 周壁、15 開口部、20、120 ドア用パネル、20a 外枠部、20b 補強部、20g 穴群、20h 開口、20p、30p、70p、80p プレート部、21、121 枠部、21m、22m、31m、31n、32m、41m、42m、71m、71n、72n、81m、82n フランジ部、22 扉部材、23 取っ手、30、130 周壁パネル、34 接続フランジ、40、140 周壁拡張パネル、40p プレート部、50、150 天壁、60、160 底壁、70、170 蓋用パネル、74 三方フランジ、80 蓋用拡張パネル、84 蓋用フランジ、90 操作機能部、100、200 組立式ルーム、K ネジ穴群、S シール部材、h ネジ穴。
【要約】
【課題】出入口の配置変更が自在な簡易構造の組立式ルーム及びその組立キットを提供すること。
【解決手段】板状のプレート部と当該プレート部の四方の縁それぞれから垂直に立設するフランジ部とを持つ複数のパネルを組み合わせて構成され、周壁と天壁と底壁とを有する組立式ルーム。周壁は、ドア用パネルと、4枚の周壁パネルと、少なくとも1枚の周壁拡張パネルと、を有している。ドア用パネルと周壁パネルと周壁拡張パネルとは、互いに高さと厚みが等しい。周壁パネルの横幅は、周壁拡張パネルの横幅よりもドア用パネルの厚み分長くなっている。ドア用パネルの横幅は、周壁拡張パネルの横幅の自然数倍である。周壁パネルは、高さ方向に沿って配置される2つのフランジ部のうちの一方の縁から内側に向けて垂直に延びる接続フランジを有している。
【選択図】図1

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