IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三甲株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-樹脂製パレット 図1
  • 特許-樹脂製パレット 図2
  • 特許-樹脂製パレット 図3
  • 特許-樹脂製パレット 図4
  • 特許-樹脂製パレット 図5
  • 特許-樹脂製パレット 図6
  • 特許-樹脂製パレット 図7
  • 特許-樹脂製パレット 図8
  • 特許-樹脂製パレット 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】樹脂製パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B65D19/32 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020067462
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160824
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】松原 宏明
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-122926(JP,A)
【文献】特開2019-127271(JP,A)
【文献】特開2005-212796(JP,A)
【文献】特開2019-156445(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0069190(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下デッキ面を連結する環状の壁であって、前記壁で囲まれる内側に格子リブを有する桁壁を複数備えた樹脂製パレットであって、
前記複数の桁壁は、前記樹脂製パレットの中央に配置された中央桁壁と、前記樹脂製パレットの短手方向の両端中央に配置された第1中間桁壁と、前記樹脂製パレットの長手方向の両端中央に配置された第2中間桁壁と、前記樹脂製パレットの四隅に配置された隅桁壁と、を含み、
前記中央桁壁及び前記第1中間桁壁の各格子リブは、
前記上下デッキ面を連結すると共に、前記桁壁に沿って配設される環状の内壁と、
前記桁壁及び前記内壁の間において、前記桁壁及び前記内壁に沿って配設され、前記上下デッキ面の双方に連結あるいは、前記桁壁及び前記内壁よりも壁高が低く前記上下デッキ面の一方に連結する補強リブと、を備え、
前記第2中間桁壁の格子リブは、
前記上下デッキ面を連結すると共に、前記上下デッキ面の外縁よりも内方に位置する前記第2中間桁壁の3辺の内側において、前記第2中間桁壁の前記3辺に並行して延びることによって、平面視でコ字形状に配設される内壁と、
前記第2中間桁壁及び前記内壁の間において、前記第2中間桁壁及び前記内壁に沿って配設され、前記上下デッキ面の双方に連結あるいは、前記第2中間桁壁及び前記内壁よりも壁高が低く前記上下デッキ面の一方に連結する補強リブと、を備え、
前記隅桁壁の格子リブは、
前記上下デッキ面を連結すると共に、前記上下デッキ面の外縁よりも内方に位置する前記隅桁壁の2辺の内側において、前記隅桁壁の前記2辺に並行して延びることによって、平面視でL字形状に配設され、その両端は前記上下デッキ面の外縁側に位置する前記隅桁壁の隅2辺とそれぞれ連なる内壁と、
前記隅桁壁及び前記内壁の間において、前記隅桁壁及び前記内壁に沿って、平面視でL字形状に配設され、前記上下デッキ面の双方に連結あるいは、前記隅桁壁及び前記内壁よりも壁高が低く前記上下デッキ面の一方に連結する補強リブと、を備えることを特徴とする樹脂製パレット。
【請求項2】
前記中央桁壁、前記第1中間桁壁、前記第2中間桁壁及び前記隅桁壁の各格子リブは、前記桁壁及び前記内壁を連結する連結リブを備えることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製パレット。
【請求項3】
前記連結リブは、前記桁壁及び前記内壁よりも壁高が低く前記上下デッキ面の一方に連結することを特徴とする請求項2に記載の樹脂製パレット。
【請求項4】
前記連結リブは、前記上下デッキ面の双方に連結することを特徴とする請求項2に記載の樹脂製パレット。
【請求項5】
前記連結リブは、
前記桁壁及び前記内壁よりも壁高が低く前記上下デッキ面の一方に連結する第1連結領域と、
前記上下デッキ面の双方に連結する第2連結領域と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の樹脂製パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製パレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、上記樹脂製パレットに関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1に記載の技術は、プラスチック製パレットであって、上部デッキボードと下部デッキボードとを中空構造の支柱部で連結し、前記支柱部と上下デッキボードで囲まれた空隙をフォーク差込口としたパレットにおいて、前記支柱部のフォーク差込口に面する部分の支柱壁の内側に支柱部の全高さにわたって閉じた補強リブを設けたことを特徴とする。
【0003】
更に、プラスチック製パレットは、前記補強リブを断面コ字状に形成し、支柱壁とともに中空構造体としたことを特徴とする。
【0004】
下記特許文献1の記載によれば、プラスチック製パレットにあっては、補強リブは支柱部の高さにわたって延びており、支柱壁とともに中空構造体を形成するから、支柱壁の変形を防止するように働く。更に、断面コ字状補強リブの支柱壁と連結する部分が、支柱壁の変形方向に設けられるので、変形防止に有効に働く。これにより、プラスチック製パレットは、支柱壁の肉厚を厚くすることなく、デッキボードの変形量を小さくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-268430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、断面コ字状補強リブは、1方向又は他方向のフォーク差込口に面する支柱壁において、多数独立して設けられており、それぞれが切り離された状態で支柱壁を補強しているので、デッキボードの変形量を更に小さくできる余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、上下デッキ面の撓みを抑制する効果の向上を図った樹脂製パレットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、上下デッキ面を連結する環状の壁であって、壁で囲まれる内側に格子リブを有する桁壁を複数備えた樹脂製パレットであって、複数の桁壁は、樹脂製パレットの中央に配置された中央桁壁と、樹脂製パレットの短手方向の両端中央に配置された第1中間桁壁と、樹脂製パレットの長手方向の両端中央に配置された第2中間桁壁と、樹脂製パレットの四隅に配置された隅桁壁と、を含み、中央桁壁及び第1中間桁壁の各格子リブは、上下デッキ面を連結すると共に、桁壁に沿って配設される環状の内壁と、桁壁及び内壁の間において、桁壁及び内壁に沿って配設され、上下デッキ面の双方に連結あるいは、桁壁及び内壁よりも壁高が低く上下デッキ面の一方に連結する補強リブと、を備え、第2中間桁壁の格子リブは、上下デッキ面を連結すると共に、上下デッキ面の外縁よりも内方に位置する第2中間桁壁の3辺の内側において、第2中間桁壁の3辺に並行して延びることによって、平面視でコ字形状に配設される内壁と、第2中間桁壁及び内壁の間において、第2中間桁壁及び内壁に沿って配設され、上下デッキ面の双方に連結あるいは、第2中間桁壁及び内壁よりも壁高が低く上下デッキ面の一方に連結する補強リブと、を備え、隅桁壁の格子リブは、前記上下デッキ面を連結すると共に、前記上下デッキ面の外縁よりも内方に位置する前記隅桁壁の2辺の内側において、前記隅桁壁の前記2辺に並行して延びることによって、平面視でL字形状に配設され、その両端は上下デッキ面の外縁側に位置する隅桁壁の隅2辺とそれぞれ連なる内壁と、隅桁壁及び内壁の間において、隅桁壁及び内壁に沿って、平面視でL字形状に配設され、上下デッキ面の双方に連結あるいは、隅桁壁及び内壁よりも壁高が低く上下デッキ面の一方に連結する補強リブと、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の樹脂製パレットであって、中央桁壁、第1中間桁壁、第2中間桁壁及び隅桁壁の各格子リブは、桁壁及び内壁を連結する連結リブを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の樹脂製パレットであって、連結リブは、桁壁及び内壁よりも壁高が低く上下デッキ面の一方に連結することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の樹脂製パレットであって、連結リブは、上下デッキ面の双方に連結することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2に記載の樹脂製パレットであって、連結リブは、桁壁及び内壁よりも壁高が低く上下デッキ面の一方に連結する第1連結領域と、上下デッキ面の双方に連結する第2連結領域と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明の樹脂製パレットでは、上下デッキ面を連結する桁壁の周縁が、桁壁の内側で桁壁に並行して延びる内壁及び補強リブで補強されることによって、積載物の荷重に対する桁壁の曲げ剛性が高められる。これにより、請求項1に係る発明の樹脂製パレットは、上下デッキ面の撓みを抑制する効果の向上を図る。
【0014】
尚、補強リブが、桁壁及び内壁よりも壁高が低く上下デッキ面の一方に連結する場合は、上下デッキ面の双方に連結する場合と比べると、軽量である。
【0015】
請求項2に係る発明の樹脂製パレットでは、桁壁及び内壁が連結リブで連結されているので、積載物の荷重に対する桁壁の曲げ剛性が更に高められる。
【0016】
請求項3に係る発明の樹脂製パレットにおいて、連結リブは、桁壁及び内壁よりも壁高が低く、上下デッキ面の一方に連結されているので、重量増加を抑えつつも、積載物の荷重に対する桁壁の曲げ剛性を更により高める。
【0017】
請求項4に係る発明の樹脂製パレットにおいて、連結リブは、上下デッキ面の双方に連結されているので、積載物の荷重に対する桁壁の曲げ剛性を更により一層に高める。
【0018】
請求項5に係る発明の樹脂製パレットは、桁壁及び内壁よりも壁高が低く上下デッキ面の一方に連結する第1連結領域と、上下デッキ面の双方に連結する第2連結領域と、を備えることによって、重量増加の抑制と、積載物の荷重に対する桁壁の曲げ剛性の向上との調和を図る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の樹脂製パレットが表された斜視図である。
図2】同樹脂製パレットのパレット本体が表された斜視図である。
図3】同樹脂製パレットの中央桁壁の半割体が表された斜視図である。
図4】同樹脂製パレットの中央桁壁の半割体が表された平面図である。
図5】同樹脂製パレットの中央桁壁の半割体を図3の線I-I又は図4の線II-IIで切断した断面が表された斜視図である。
図6】同樹脂製パレットの中央桁壁の半割体の一部が一体化された状態で表された斜視図である。
図7】同樹脂製パレットの第1中間桁壁の半割体が表された斜視図である。
図8】同樹脂製パレットの第2中間桁壁の半割体が表された斜視図である。
図9】同樹脂製パレットの隅桁壁の半割体が表された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る樹脂製パレットについて、具体化した本実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(1)樹脂製パレットの概要
図1に表されたように、本実施形態の樹脂製パレット1は、平面視で略長方形状をなしている。符号D1の方向は、樹脂製パレット1の上下方向を示している。符号D2の方向は、樹脂製パレット1の長さ方向を示している。符号D3の方向は、樹脂製パレット1の幅方向を示している。これらの点は、後述する図2乃至図9においても、同様である。但し、図4では、紙面の垂直方向が上下方向D1である。
【0022】
樹脂製パレット1は、上下のデッキ面3,3、中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11等を備えている。各デッキ面3は、複数種類の格子リブが碁盤の目状に配設されたものである。各デッキ面3の間では、中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11が渡し設けられている。
【0023】
中央桁壁5は、樹脂製パレット1の中央に配設されている。隅桁壁7は、樹脂製パレット1の四隅に配設されている。第1中間桁壁9は、樹脂製パレット1の長さ方向D2の両端中央に配設されている。第2中間桁壁11は、樹脂製パレット1の幅方向D3の両端中央に配設されている。
【0024】
これにより、樹脂製パレット1の長さ方向D2の両端では、第1中間桁壁9の両側において、第1中間桁壁9と隅桁壁7との間に差込口13が形成されている。同様にして、樹脂製パレット1の幅方向D3の両端では、第2中間桁壁11の両側において、第2中間桁壁11と隅桁壁7との間に差込口13が形成されている。従って、樹脂製パレット1は、4方差し両面使用型である。尚、樹脂製パレット1は、4方差し片面使用型であってもよい。
【0025】
樹脂製パレット1は、一対のパレット本体15A,15Bで構成されている。各パレット本体15A,15Bは、同一品であって、互いに向かい合わされた状態で熱溶着されることによって、一体化される。これにより、各パレット本体15A,15Bは、樹脂製パレット1となる。従って、各パレット本体15A,15Bにおいて、中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11は、それぞれの高さ(上下方向D1の距離)が、樹脂製パレット1の高さ(上下方向D1の距離)の半分であって、半割体の形状をなしている。
【0026】
図2に表されたように、各パレット本体15A,15Bでは、中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11の半割体が、デッキ面3の裏面から立設されている。以下、中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11を、それぞれの半割体に基づいて説明する。
【0027】
(2)中央桁壁の概要
図3乃至図5に表されたように、中央桁壁5の半割体は、環状壁21を備えている。環状壁21は、平面視において、長さ方向D2が幅方向D3よりも長い略長方形の、環状をなしている。環状壁21の内側では、格子リブ23が形成されている。格子リブ23においては、長さ方向D2に平行なリブと、幅方向D3に平行なリブとが交差している。格子リブ23は、内壁25、補強リブ27、第1連結リブ29、及び第2連結リブ31等を有している。
【0028】
内壁25は、環状壁21の内側において、環状壁21から所定距離を置いて、環状壁21に沿って配設されており、平面視で長方形の環状をなしている。内壁25の壁高(上下方向D1の距離)は、環状壁21の壁高(上下方向D1の距離)と同一である。
【0029】
補強リブ27は、環状壁21及び内壁25の間の中央において、環状壁21及び内壁25に沿って配設されており、平面視で長方形の環状をなしている。補強リブ27の壁高(上下方向D1の距離)は、環状壁21及び内壁25の壁高(上下方向D1の距離)よりも低い。
【0030】
第1連結リブ29及び第2連結リブ31は、環状壁21及び内壁25の間を、補強リブ27と交差した形態で渡し設けられており、等ピッチで交互に配設されている。第1連結リブ29は、その壁高(上下方向D1の距離)が、環状壁21及び内壁25の壁高(上下方向D1の距離)と同一である。尚、第1連結リブ29は、内壁25を介して、内壁25の内側にある格子リブ23の一部と連なっている。
【0031】
第2連結リブ31は、第1連結領域31Aと、第2連結領域31Bとを有する。第1連結領域31Aは、その壁高(上下方向D1の距離)が、内壁25の壁高(上下方向D1の距離)よりも低い領域であって、内壁25から補強リブ27へ向けて延びている。これに対して、第2連結領域31Bは、その壁高(上下方向D1の距離)が、環状壁21の壁高(上下方向D1の距離)と同一の領域であって、環状壁21から補強リブ27へ向けて延びている。
【0032】
第2連結リブ31のうち、長さ方向D2に並設された第2連結リブ31では、第2連結リブ31と補強リブ27とが交差する位置において、第1連結領域31Aと第2連結領域31Bとの段差(境界)が形成されている。これに対して、幅方向D3に沿って並設された第2連結リブ31では、第2連結リブ31と補強リブ27とが交差する位置よりも内壁25側において、第1連結領域31Aと第2連結領域31Bとの段差(境界)が形成されている。
【0033】
更に、幅方向D3に沿って並設された第2連結リブ31は、その第1連結領域31Aが、内壁25を介して、内壁25の内側にある格子リブ23の一部と連なっている。また、中央桁壁5の四隅に位置する第2連結リブ31は、その第1連結領域31Aが、内壁25を介して、補強リブ27と連なっている。
【0034】
図6に表されたように、各パレット本体15A,15Bが一体化されると、パレット本体15A側の中央桁壁5の半割体と、パレット本体15B側の中央桁壁5の半割体とが一体化され、樹脂製パレット1の中央桁壁5となる。
【0035】
樹脂製パレット1の中央桁壁5では、パレット本体15A側の環状壁21と、パレット本体15B側の環状壁21とが連なると共に、パレット本体15A側の内壁25と、パレット本体15B側の内壁25とが連なっている。これにより、樹脂製パレット1の中央桁壁5では、環状壁21及び内壁25によって、パレット本体15A側のデッキ面3とパレット本体15B側のデッキ面3とが連結されている。
【0036】
また、樹脂製パレット1の中央桁壁5では、パレット本体15A側の内壁25の内側にある格子リブ23の一部と、パレット本体15B側の内壁25の内側にある格子リブ23の一部とが連なると共に、パレット本体15A側の第1連結リブ29と、パレット本体15B側の第1連結リブ29とが連なっている。これにより、樹脂製パレット1の中央桁壁5では、内壁25の内側にある格子リブ23の一部及び第1連結リブ29によっても、パレット本体15A側のデッキ面3とパレット本体15B側のデッキ面3とが連結されている。
【0037】
更に、樹脂製パレット1の中央桁壁5では、パレット本体15A側の第2連結リブ31の第2連結領域31Bと、パレット本体15B側の第2連結リブ31の第2連結領域31Bとが連なっている。これにより、樹脂製パレット1の中央桁壁5では、第2連結リブ31の第2連結領域31Bによっても、パレット本体15A側のデッキ面3とパレット本体15B側のデッキ面3とが連結されている。
【0038】
これに対して、樹脂製パレット1の中央桁壁5では、パレット本体15A側の第2連結リブ31の第1連結領域31Aと、パレット本体15B側の第2連結リブ31の第1連結領域31Aとが、上下方向D1で向かい合った状態で離隔している。従って、パレット本体15A側の第2連結リブ31の第1連結領域31Aは、パレット本体15A側のデッキ面3とは連なっているが、パレット本体15B側のデッキ面3とは連なっていない。一方、パレット本体15B側の第2連結リブ31の第1連結領域31Aは、パレット本体15A側のデッキ面3とは連なっていないが、パレット本体15B側のデッキ面3とは連なっている。
【0039】
(3)第1中間桁壁の概要
図7に表されたように、第1中間桁壁9の半割体は、後述する相違事項を除いて、上述した中央桁壁5の半割体と同様な構造である。そこで、図7では、中央桁壁5の半割体と共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0040】
環状壁21は、平面視において、幅方向D3が長さ方向D2よりも長い略長方形の、環状をなしている。第2連結リブ31のうち、デッキ面3の外縁側で幅方向D3に並設された第2連結リブ31では、第2連結リブ31と補強リブ27とが交差する位置よりも環状壁21側において、第1連結領域31Aと第2連結領域31Bとの段差(境界)が形成されている。
【0041】
(4)第2中間桁壁の概要
図8に表されたように、第2中間桁壁11の半割体は、後述する相違事項を除いて、上述した中央桁壁5の半割体と同様な構造である。そこで、図8では、中央桁壁5の半割体と共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0042】
内壁25は、環状壁21の内側において、デッキ面3の外縁よりも内方側に位置する環状壁21の3辺から所定距離を置いて、その環状壁21の3辺に沿って配設されることによって、平面視でコ字形状をなしている。そのため、内壁25の両端25E,25Eは、デッキ面3の外縁側に位置する環状壁21の1辺と連なっている。従って、補強リブ27は、環状壁21及び内壁25の間の中央において、環状壁21及び内壁25に沿って配設されることによって、平面視でコ字形状をなしている。
【0043】
尚、デッキ面3の外縁側に位置する環状壁21と内壁25とに囲まれた格子リブ23のうち、内壁25を介して、幅方向D3に平行な第2連結リブ31の第1連結領域31Aと連なるリブについては、内壁25側の壁高(上下方向D1の距離)が、第2連結リブ31の第1連結領域31Aの壁高(上下方向D1の距離)と同一であると共に、環状壁21側の壁高(上下方向D1の距離)が、環状壁21の壁高(上下方向D1の距離)と同一であることによって、段差が形成されている。
【0044】
(5)隅桁壁の概要
図9に表されたように、隅桁壁7の半割体は、後述する相違事項を除いて、上述した中央桁壁5の半割体と同様な構造である。そこで、図9では、中央桁壁5の半割体と共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0045】
内壁25は、環状壁21の内側において、デッキ面3の外縁よりも内方側に位置する環状壁21の2辺から所定距離を置いて、その環状壁21の2辺に沿って配設されることによって、平面視でL字形状をなしている。そのため、内壁25の両端25E,25Eは、デッキ面3の外縁側に位置する環状壁21の2辺とそれぞれ連なっている。従って、補強リブ27は、環状壁21及び内壁25の間の中央において、環状壁21及び内壁25に沿って配設されることによって、平面視でL字形状をなしている。
【0046】
尚、デッキ面3の外縁側に位置する環状壁21と内壁25とに囲まれた格子リブ23のうち、内壁25を介して、幅方向D3に平行な第2連結リブ31の第1連結領域31Aと連なるリブについては、内壁25側の壁高(上下方向D1の距離)が、第2連結リブ31の第1連結領域31Aの壁高(上下方向D1の距離)と同一であると共に、環状壁21側の壁高(上下方向D1の距離)が、環状壁21の壁高(上下方向D1の距離)と同一であることによって、段差が形成されている。
【0047】
更に、デッキ面3の外縁側に位置する環状壁21と内壁25とに囲まれた格子リブ23のうち、内壁25を介して、長さ方向D2に平行な第2連結リブ31の第1連結領域31Aと連なるリブについては、内壁25側の壁高(上下方向D1の距離)が、第2連結リブ31の第1連結領域31Aの壁高(上下方向D1の距離)と同一であると共に、環状壁21側の壁高(上下方向D1の距離)が、環状壁21の壁高(上下方向D1の距離)と同一であることによって、段差が形成されている。
【0048】
(6)まとめ
以上詳細に説明した通り、本実施形態の樹脂製パレット1では、内壁25及び補強リブ27が、中央桁壁5(環状壁21)の内側で中央桁壁5(環状壁21)に並行して延びている。これにより、上下のデッキ面3,3を連結する中央桁壁5(環状壁21)の周縁が補強され、積載物の荷重に対する中央桁壁5の曲げ剛性が高められる。このようにして、本実施形態の樹脂製パレット1は、上下のデッキ面3,3の撓みを抑制する効果の向上を図っている。この点は、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11においても、同様である。
【0049】
但し、第2中間桁壁11では、内壁25及び補強リブ27が、上下のデッキ面3,3の外縁よりも内方側に位置する第2中間桁壁11(環状壁21)の3辺の内側において、第2中間桁壁11(環状壁21)の3辺に並行して延びることによって、平面視でコ字形状をなしている。これにより、本実施形態の樹脂製パレット1は、上下のデッキ面3,3を連結する第2中間桁壁11(環状壁21)の周縁のうち、上下のデッキ面3,3の外縁よりも内方側に位置する第2中間桁壁11(環状壁21)の周縁を補強することによって、積載物の荷重に対する第2中間桁壁11の曲げ剛性を高めている。そのため、上下のデッキ面3,3の撓みは、第2中間桁壁11の効率的な構造によって、抑制されている。
【0050】
また、隅桁壁7では、内壁25及び補強リブ27が、上下のデッキ面3,3の外縁よりも内方側に位置する隅桁壁7(環状壁21)の2辺の内側において、隅桁壁7(環状壁21)の2辺に並行して延びることによって、平面視でL字形状をなしている。これにより、本実施形態の樹脂製パレット1は、上下のデッキ面3,3を連結する隅桁壁7(環状壁21)の周縁のうち、上下のデッキ面3,3の外縁よりも内方側に位置する隅桁壁7(環状壁21)の周縁を補強することによって、積載物の荷重に対する隅桁壁7の曲げ剛性を高めている。そのため、上下のデッキ面3,3の撓みは、隅桁壁7の効率的な構造によって、抑制されている。
【0051】
もっとも、第2中間桁壁11及び隅桁壁7においては、第1中間桁壁9と同様にして、内壁25及び補強リブ27が、第2中間桁壁11(環状壁21)及び隅桁壁7(環状壁21)の内側において、平面視で長方形の環状をなしてもよい。
【0052】
本実施形態の樹脂製パレット1では、中央桁壁5(環状壁21)及び内壁25が第1連結リブ29及び第2連結リブ31で連結されているので、積載物の荷重に対する中央桁壁5の曲げ剛性が更に高められる。この点は、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11においても、同様である。
【0053】
本実施形態の樹脂製パレット1では、中央桁壁5において、中央桁壁5(環状壁21)及び内壁25よりも壁高(上下方向D1の距離)が低く上下のデッキ面3,3の一方に連結する第1連結領域31Aと、上下のデッキ面3,3の双方に連結する第2連結領域31Bと、を備えることによって、重量増加の抑制と、積載物の荷重に対する中央桁壁5の曲げ剛性の向上との調和を図っている。この点は、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11においても、同様である。
【0054】
ちなみに、本実施形態において、上下のデッキ面3は、「上下デッキ面」の一例である。中央桁壁5は、「桁壁」の一例である。隅桁壁7は、「桁壁」の一例である。第1中間桁壁9は、「桁壁」の一例である。第2中間桁壁11は、「桁壁」の一例である。第1連結リブ29は、「連結リブ」の一例である。第2連結リブ31は、「連結リブ」の一例である。
【0055】
(7)変更例
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11において、補強リブ27の壁高(上下方向D1の距離)を、環状壁21及び内壁25の壁高(上下方向D1の距離)と同一にすることによって、補強リブ27を、パレット本体15A側のデッキ面3とパレット本体15B側のデッキ面3とに連結させてもよい。このような場合、本実施形態の方が軽量であるが、積載物の荷重に対する中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11の曲げ剛性は、本実施形態よりも高められる。
【0056】
また、中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11において、第1連結リブ29の壁高(上下方向D1の距離)と、第2連結リブ31の第2連結領域31Bの壁高(上下方向D1の距離)とを、環状壁21及び内壁25の壁高(上下方向D1の距離)よりも低くしてもよい。このような場合、本実施形態よりも軽量となり、第1連結リブ29及び第2連結リブ31が、パレット本体15A側のデッキ面3又はパレット本体15B側のデッキ面3のいずれかに連結されるので、積載物の荷重に対する中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11の曲げ剛性は、従来技術よりも高められる。
【0057】
また、中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11において、第2連結リブ31の第1連結領域31Aの壁高(上下方向D1の距離)を、環状壁21及び内壁25の壁高(上下方向D1の距離)と同一にすることによって、第2連結リブ31の第1連結領域31Aを、パレット本体15A側のデッキ面3とパレット本体15B側のデッキ面3とに連結させてもよい。これにより、第1連結リブ29及び第2連結リブ31が、パレット本体15A側のデッキ面3及びパレット本体15B側のデッキ面3に連結されるので、積載物の荷重に対する中央桁壁5、隅桁壁7、第1中間桁壁9、及び第2中間桁壁11の曲げ剛性は、本実施形態よりも高められる。
【符号の説明】
【0058】
1 樹脂製パレット
3 上下のデッキ面
5 中央桁壁
7 隅桁壁
9 第1中間桁壁
11 第2中間桁壁
21 環状壁
23 格子リブ
25 内壁
27 補強リブ
29 第1連結リブ
31 第2連結リブ
31A 第1連結領域
31B 第2連結領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9