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特許7572030基礎一体型ハンドホール、及び、ウェイト付きハンドホール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】基礎一体型ハンドホール、及び、ウェイト付きハンドホール
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/10 20060101AFI20241016BHJP
   E02D 29/12 20060101ALI20241016BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20241016BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02G9/10
E02D29/12 Z
F21S8/08 410
H02G1/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020135849
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2021045032
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2019162685
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519324558
【氏名又は名称】ワイズイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】安田 善行
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-191541(JP,A)
【文献】特開2001-238343(JP,A)
【文献】登録実用新案第3161428(JP,U)
【文献】特開2006-194033(JP,A)
【文献】実開昭56-080627(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/10
E02D 29/12
F21S 8/08
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドホール部分を構成する箱状の本体部と、
前記本体部に対しその隣りに一体形成され、電気設備のポールの基礎となる基礎部とを備え、
前記基礎部内には、前記本体部内の内部空間に繋がり、該内部空間から前記電気設備への配線を通すための配線用空間が形成され、
前記基礎部は、前記ポールが固定される上壁と、前記本体部から跨って設けられた底版とを備え、
前記ポールが前記上壁に固定された状態で、前記上壁と前記底版との間に亘って、前記配線用空間が存在する、基礎一体型ハンドホール。
【請求項2】
前記基礎部では、前記本体部側から、少なくとも前記ポールの設置箇所の下方まで、前記配線用空間が横方向に延び、
前記配線用空間を上側から区画する前記上壁には、該配線用空間から配線を引き出すための貫通孔が形成されている、請求項1に記載の基礎一体型ハンドホール。
【請求項3】
前記基礎部の側壁に埋設される第1締結具により、前記基礎部の上面に載置された状態で前記基礎部に固定される固定用プレートが設けられ、
前記固定用プレートには、前記第1締結具より内側に配置されて前記基礎部に埋設されない第2締結具により、前記ポールが固定される、請求項1又は2に記載の基礎一体型ハンドホール。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の基礎一体型ハンドホールと、
前記基礎一体型ハンドホールの下側に連結された下部ウェイト部とを備えている、ウェイト付きハンドホール。
【請求項5】
前記下部ウェイト部は、1つ又は複数のブロックにより構成されている、請求項4に記載のウェイト付きハンドホール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中配線等のために使用されるハンドホール等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マンホールの一種であるハンドホールが知られている。例えば、特許文献1には、上部蓋を経ての雨水や地中における周囲壁からの浸透水等に対する防水処理が施されたハンドホールが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、電気設備の基礎構造物として、街路灯のポールが埋設されたコンクリート基体が記載されている。コンクリート基体には、その上面に開口させた保管室が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-193699号公報
【文献】特許第4569164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来は、電気設備の基礎(例えば、基礎コンクリート)とハンドホールとを設置する場合、別々に地盤を掘削して、基礎とハンドホールを離して設置し、基礎とハンドホールとを配線用のパイプで接続していた。そのため、設置工事に手間と時間を要していた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電気設備の基礎とハンドホールとを設ける場合の設置工事を容易化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、ハンドホール部分を構成する箱状の本体部と、本体部に対しその隣りに一体形成され、電気設備の基礎となる基礎部とを備え、基礎部内には、本体部内の内部空間に繋がり、該内部空間から電気設備への配線を通すための配線用空間が形成されている、基礎一体型ハンドホールである。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、基礎部では、本体部側から、少なくとも電気設備の設置箇所の下方まで、配線用空間が横方向に延び、配線用空間を上側から区画する上壁には、該配線用空間から配線を引き出すための貫通孔が形成されている。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、基礎部の側壁に埋設される第1締結具により、基礎部の上面に載置された状態で基礎部に固定される固定用プレートが設けられ、固定用プレートには、第1締結具より内側に配置されて基礎部に埋設されない第2締結具により、電気設備が固定される。
【0010】
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明の基礎一体型ハンドホールと、基礎一体型ハンドホールの下側に連結された下部ウェイト部とを備えている、ウェイト付きハンドホールである。
【0011】
第5発明は、第4の発明において、下部ウェイト部は、1つ又は複数のブロックにより構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、電気設備の基礎となる基礎部が、ハンドホール部分を構成する本体部に一体形成されている。そのため、電気設備の基礎とハンドホールとを設置する場合に、従来とは異なり、別々に地盤を掘削する必要はない。また、基礎とハンドホールとを接続する配線用のパイプも必要ない。従って、電気設備の基礎とハンドホールとの設置工事を容易化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係るハンドホール及びポールライト等の側面図である。
図2図2は、実施形態に係るハンドホール及び下部ウェイト部の斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るハンドホールの上面図である。
図4図4(a)は、図3のA-A断面図であり、図4(b)は、図3のB-B断面図であり、図4(c)は、図3のC-C断面図である。
図5図5(a)は、実施形態の変形例に係るハンドホール及び下部ウェイト部の縦断面図であり、図5(b)は、図5(a)のA-A断面図(横断面図)である。
図6図6(a)は、本体ブロックの上面図であり、図6(b)は、図6(a)のA-A断面図であり、図6(c)は、図6(a)のB-B断面図であり、図6(d)は、図6(a)のC-C断面図である。
図7図7(a)は、中間ブロックの上面図であり、図7(b)は、図7(a)のA-A断面図であり、図7(c)は、図7(a)のB-B断面図である。
図8図8(a)は、底部ブロックの上面図であり、図8(b)は、図8(a)のA-A断面図であり、図8(c)は、図8(a)のB-B断面図である。
図9図9は、その他の実施形態に係るハンドホール及び下部ウェイト部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図9を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態及び変形例等は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0015】
<実施形態>
[1-1.基礎一体型ハンドホールの構成]
本実施形態は、ポール等を利用して設置される電気設備5(図1では、ポールライト5)の基礎が一体化された基礎一体型ハンドホール10(以下、「ハンドホール」と言う。)である。ハンドホール10には、工場で製作したプレキャストブロックを用いることができる。ハンドホール10は、図1に示すように、直方体状の下部ウェイト部11上に設置され、少なくとも鉄蓋27が地面上に露出するように地中に埋設される。
【0016】
なお、図1図4では、図2を除き、電気設備5が設置された状態を表す。図1では、ハンドホール10の内部構造を点線で示している。図2では、鉄蓋27の記載を省略している。図4は、ハンドホール10が下部ウェイト部11に連結された状態を表す。
【0017】
ハンドホール10は、図1図3に示すように、ハンドホール部分を構成する箱状の本体部20と、本体部20に対しその横隣りに一体形成されて電気設備5の基礎となる基礎部30とを備えている。基礎部30内には、本体部20内の内部空間21(以下、「本体内部空間」と言う。)に繋がり、本体内部空間21から電気設備5への配線を通すための配線用空間32が形成されている。
【0018】
具体的に、本体部20は、地中配線のターミナルボックス等の役目を果たすハンドホールとしての機能を有する部分である。本体部20は、図4(a)に示すように、下側から、本体内部空間21が内部に形成された箱体部22と、地中配線等の作業者が地上から本体内部空間21にアクセスするための入口通路25が形成された入口部24とを備えている。箱体部22と入口部24は、別のブロックとなっている。
【0019】
箱体部22は、上側が開放された略直方体(又は略立方体)の箱状に形成されている。箱体部22は、基礎部30に一体形成されている。つまり、箱体部22と基礎部30は、1つのブロック(基礎ブロック)により構成されている。箱体部22では、本体内部空間21が上下方向に延びており、入口部24を上下に貫通する入口通路25に繋がっている。
【0020】
箱体部22は、基礎部30側を除いて側壁により区画されている。本体内部空間21における基礎部30側には、配線用空間32が接続されている。また、箱体部22における複数の側壁には、配線用のパイプを接続するための貫通孔8が形成されている。図1図4では、貫通孔8の箇所にハッチングを付けている。
【0021】
入口部24は、箱体部22の上面から上側に突出している。入口部24は、上側入口部24aと下側入口部24bの2つのブロックにより構成されている。上側入口部24aは、略円筒状に形成され、下側入口部24b上に載置されている。上側入口部24aの上面には、入口通路25を塞ぐ鉄蓋27(蓋体)が取付可能となっている。下側入口部24bは、矩形枠状に形成され、箱体部22上に載置されている。
【0022】
基礎部30は、箱体部22と同じ高さの略直方体状に形成されている。基礎部30内には、本体内部空間21に繋がる配線用空間32が形成されている。配線用空間32は、本体部20側から、少なくとも電気設備5の設置箇所(ポールの設置箇所)の下方まで横方向に延びている。本実施形態では、配線用空間32が、本体部20における基礎部30側の側壁20aの内面から、基礎部30における本体部20とは反対側の側壁30aの内面まで延びている。配線用空間32の一部は、本体部20に形成されている。配線用空間32は、略直方体状の空間であり、ハンチがある区間(図4(a)における配線用空間32の左右の端部)を除いて横方向に亘って一様断面となっている。配線用空間32の断面形状は、図4(b)に示すように略矩形である。また、配線用空間32の底面は、本体内部空間21の底面と面一となっている。
【0023】
配線用空間32を上側から区画する上壁30bには、配線用空間32から配線を引き出すための貫通孔34が形成されている。電気設備5が設置された状態で貫通孔34は、電気設備5のポールの内部空間と配線用空間32とを繋げる。
【0024】
基礎部30では、アンカーボルト36により、基礎部30の上面に載置された状態で基礎部30に固定される固定用プレートとして、金属製の外側プレート35が設けられている。外側プレート35は、上壁30bの上面に重ね合わされて固定されている。外側プレート35は、複数のアンカーボルト36(本実施形態では、7本のアンカーボルト)により基礎部30に固定されている。各アンカーボルト36は、電気設備5に所定の風荷重が作用する時の設計条件における引抜き荷重に対して長さが設計されており、基礎部30において側壁に埋設されている。各アンカーボルト36は、底版30cまで到達している。外側プレート35には、アンカーボルト36より内側に配置されたボルト39により、電気設備5の下部プレート5aが固定される。
【0025】
また、基礎部30では内側の配線用空間32に金属製の内側プレート37が設けられている。内側プレート37は、本体内部空間21の底面と配線用空間32の底面とに跨って設けられ、複数のアンカーボルト38(本実施形態では、8本のアンカーボルト)より、底面に重ね合わされてハンドホール10に固定されている。各アンカーボルト38は、内側プレート37とともに、ハンドホール10を下部ウェイト部11に連結する連結部に相当する。各アンカーボルト38も、アンカーボルト36と同様に、電気設備5に所定の風荷重が作用する時の設計条件における引抜き荷重に対して長さが設計されている。
【0026】
なお、下部ウェイト部11は、1つのコンクリートブロックにより構成されている。下部ウェイト部11には、工場で製作したプレキャストブロックを用いることができるが、ハンドホール10の設置現場で型枠を設けて製作してもよい。下部ウェイト部11にプレキャストブロックを用いる場合、例えば工場において、現場に搬入する前に、ハンドホール10のうち箱体部22と基礎部30とが一体化された一体ブロック15の下側に下部ウェイト部11を予め連結しておくことができる。ここで、下部ウェイト部11の寸法は、電気設備5に所定の風荷重が作用する時の転倒計算において所定の安全率を満足するように設計されている。下部ウェイト部11は、転倒防止用のウェイトの役割を果たす。一体ブロック15に対し下部ウェイト部11が連結されたハンドホール10は、ウェイト付きハンドホールに相当する。
【0027】
[1-2.ハンドホールの設置方法]
ハンドホール10の設置方法について説明を行う。
【0028】
ハンドホール10を設置する際は、まず地盤におけるハンドホール10の設置予定箇所を掘削する掘削ステップを行う。本実施形態では、下部ウェイト部11の分も掘削を行う。
【0029】
次に、掘削した穴の底面に、図1に示す基礎砕石6等を設け、基礎砕石6上にウェイト付きハンドホールを据え付ける据付ステップを行う。ウェイト付きハンドホールの据付では、一体ブロック15と下部ウェイト部11の連結体、下側入口部24b、上側入口部24aをこの順番に据え付ける。据付ステップでは、図4(b)に示すアース線40の設置も行う。
【0030】
次に、下部ウェイト部11及びハンドホール10の周囲に土砂を埋め戻して、下部ウェイト部11及びハンドホール10を埋設する埋設ステップを行う。以上の作業により、ハンドホール10の設置は完了する。
【0031】
なお、ハンドホール10の設置完了後に、電気設備5を設置する。電気設備5の設置は、複数のボルト39によりポールの下部プレート5aを外側プレート35に連結することにより行う。外側プレート35にはボルト39用のボルト穴が複数形成されている。
【0032】
[1-3.実施形態の効果]
本実施形態では、電気設備の基礎となる基礎部30が、ハンドホール部分を構成する本体部20に一体形成されている。そのため、電気設備5の基礎とハンドホールとを設置する場合に、従来とは異なり、別々に地盤を掘削する必要はない。また、基礎とハンドホールとを接続する配線用のパイプも必要ない。従って、電気設備5の基礎とハンドホールとの設置工事を容易化させることができるし、維持管理も容易になる。
【0033】
また、本実施形態では、別々に地盤を掘削する必要がないため、地盤の掘削量や掘削土の処分量を低減することができる。また、電気設備5の基礎とハンドホールとの設置スペースの合計面積を小さくすることができる。さらに、配線用のパイプが必要ないため、本体部20側から電気設備5への配線作業を容易化することもできる。
【0034】
また、本実施形態では、設計条件に応じて下部ウェイト部11(下部取替可能基礎)の形状を変更することにより転倒計算の安全率を確保することができる。そのため、プレキャスト製品であるハンドホール10を様々な設計条件下で使用することができる。また、ハンドホール10の設置現場において、下部ウェイト部11の設置箇所に既設配管が埋設されている場合であっても、既設配管に干渉しないように下部ウェイト部11の形状を設計することができる。
【0035】
<実施形態の変形例>
本変形例は、図5に示すように、複数のブロック(コンクリートブロック)71~73により構成された下部ウェイト部11が、一体ブロック15に対し連結されたウェイト付きハンドホールである。ウェイト付きハンドホールは、上述の連結を行うための連結構造60に加え、連結に用いるアンカー挿通孔58の位置合わせを行うための凹凸構造65を備えている。
【0036】
なお、本変形例では、上述の実施形態における一体ブロック15に相当する部分が、本体ブロック15aと蓋ブロック15bに分割されている。本体ブロック15aは、図6に示すように、上方が開放された箱体である。蓋ブロック15bは、上述の実施形態における箱体部22の上端部と、基礎部30の上壁30b部分とを一体化した板状ブロックである。
【0037】
まず下部ウェイト部11について説明を行う。下部ウェイト部11は、上側から、第1中間ブロック71、第2中間ブロック72、及び、底部ブロック73を具備してなる。各ブロック71~73は、略直方体状に形成されている(図7図8参照)。各ブロック71~73には、プレキャストブロックが用いられる。例えば、各ブロック71~73の平面形状及び大きさは、本体ブロック15aと同じである。
【0038】
なお、本変形例では、中間ブロック71,72の個数は2つであるが、中間ブロック71,72の個数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、中間ブロック71,72を省略してもよい。なお、第1中間ブロック71及び第2中間ブロック72は、同じ寸法のブロックであるが、互いに寸法を異ならせてもよい。
【0039】
[2-1.連結構造]
連結構造60は、アンカーボルト(棒状アンカー)38と、本体ブロック15aと下部ウェイト部11に跨って上下方向に延びてアンカーボルト38が挿通されるアンカー挿通孔58と、底部ブロック73においてアンカー挿通孔58の下端に対面するように埋設されてアンカーボルト38の下端部を固定するアンカー固定部48とを備えている、連結構造60は、アンカーボルト38、アンカー挿通孔58及びアンカー固定部48を複数組有する。
【0040】
アンカー固定部48は、ネジ穴が一端面に開口する棒状部49を有し、そのネジ穴が底部ブロック73の上面に開口するように、底部ブロック73に埋設されている。複数のアンカー固定部48は、図8に示すように、平面視において所定の配列で間隔を空けて設けられている。アンカー固定部48は、底部ブロック73との一体性を増すために係止部50をさらに有する。アンカー固定部48には、係止部50である下部が二股に分かれたYインサート(ジャパンライフ株式会社製)を用いることができる。
【0041】
アンカー挿通孔58は、本体ブロック15aの底版30c、第1中間ブロック71、及び第2中間ブロック72の各々に形成された複数の貫通孔58a~58cにより構成されている。アンカー挿通孔58では、各貫通孔58a~58cがアンカー固定部48の真上の位置に配置されている。
【0042】
アンカーボルト38は、上端部と下端部とにそれぞれネジ部が形成された棒状体と、棒状体の上端部(ネジ部)に螺合される締結材(例えば、ナット)とを備えている。アンカーボルト38は、棒状体を上側からアンカー挿通孔58に挿通させて、アンカー固定部48のネジ穴に棒状体の下端部(ネジ部)を螺合することで、アンカー固定部48に連結される。
【0043】
[2-2.凹凸構造]
本変形例では、下部ウェイト部11を構成する複数のブロック71~73と本体ブロック15aとでは、上下に隣り合うブロック同士が噛み合うように凹凸構造65が形成されている。そして、下部ウェイト部11及び本体ブロック15aの据付時に、各凹凸構造65によってアンカー固定部48の真上にアンカー挿通孔58が案内される。
【0044】
具体的に、本体ブロック15aの底版30cと第1中間ブロック71の間、第1中間ブロック71と第2中間ブロック72の間、及び、第2中間ブロック72と底部ブロック73との間にそれぞれ凹凸構造65が設けられている。各凹凸構造65では、上下に隣り合うブロックのうち上側のブロックの底面に凹部66a~66cが形成され、凹部66a~66cに嵌り込む凸部67a~67cが下側のブロックに形成されている。なお、上側のブロックの底面に凸部を設け、下側のブロックの上面に凹部を設けてもよい。
【0045】
具体的に、底版30cの底面に第1凹部66aが形成され、第1中間ブロック71の底面に第2凹部66bが形成され、第2中間ブロック72の底面に第3凹部66cが形成されている。また、第1中間ブロック71の上面に第1凸部67aが形成され、第2中間ブロック72の上面に第2凸部67bが形成され、底部ブロック73の上面に第3凸部67cが形成されている。
【0046】
各凹部66a~66cは、深さが一様な窪みである。各凹部66a~66cは、平面形状が略長方形状である。また、各凸部67a~67cは、高さが略一様である。各凸部67a~67cは、平面形状が凹部66a~66cと同じであり、平面寸法が凹部66a~66cより僅かに小さい。各凸部67a~67cの高さは、凹部66a~66cの深さより僅かに小さい。各凹部66a~66cには、対応する各凸部67a~67cが僅かな隙間を存して嵌り込む。なお、各凸部67a~67cの高さは、5cm以下の寸法(例えば2cm)に設計することができる。
【0047】
本変形例では、各凹凸構造65で凹部66a~66cに凸部67a~67cが噛み合うことで、その凹凸構造65が設けられたブロック同士について、平面視で外周の位置が一致するように設計されている。また、各凹凸構造65で凹部66a~66cに凸部67a~67cが噛み合うことで、アンカー固定部48の真上で、各ブロック30c,71,72の貫通孔58a~58cが繋がりボルト挿通孔58が構成されるように設計されている。なお、本変形例では、全ての凹部66a~66cは同じ寸法であり、全ての凸部67a~67cも同じ寸法であるが、このような寸法構成を採用しなくてもよい。
【0048】
[2-3.排水構造]
本変形例に係るウェイト付きハンドホールは、図6に示すように、本体ブロック15aの底面30c上の水を排水するための排水構造70をさらに備えている。排水構造70は、底版30cを上下に貫通する水抜き穴76と、底面30c上に形成された導水溝77とを有する。水抜き穴76は、底面30cのうち箱体部22側に形成されている。導水溝77は、基礎部30側から延びて水抜き穴76に繋がる。
【0049】
また、第1中間ブロック71の上面には、底版30cの水抜き穴76から排出された水を、第1中間ブロック71の上面から排水するための排水溝71aが形成されている。排水溝71aは、水抜き穴76の真下の位置から、第1中間ブロック71の短辺(最も近い辺)まで延びている。さらに、第2中間ブロック72と底部ブロック73の各上面にも、平面視において同じ位置に排水溝72a,73aが形成されている。これにより、水抜き穴76からの排水が、各ブロック71~73の上面に侵入することが抑制される。
【0050】
[2-4.その他の構造]
本変形例では、基礎部30上に載置される外側プレート35を固定する第1締結具36として、Yインサートにより構成された被連結部46と、被連結部46に連結されるアンカーボルト47とが用いられている。被連結部46は、そのネジ穴が基礎部30の側壁上面に開口するように、基礎部30の側壁に埋設されている。アンカーボルト47は、蓋ブロック15bの貫通孔及び外側プレート35の挿通孔を通して、被連結部46に連結される。
【0051】
また、上述の実施形態とは異なり、図5(a)に示すように、基礎部30に埋設されない第2締結具39により、電気設備5の下部プレート5aが外側プレート35に重ねられて固定される。第2締結具39は、例えば、下部プレート5a及び外側プレート35の各貫通孔に下側から挿通されるボルトと、下部プレート5aの上側でボルトに取り付けられるナットにより構成されている。蓋ブロック15bでは、第2締結具39のボルトが、貫通孔34周囲のコンクリート部分に干渉しないように、貫通孔34の直径を途中で変化させて貫通孔34の下側部分より上側部分の方が直径を大きくしている。貫通孔34の孔壁では、上側部分と下側部分の境界に段差が形成されている。この下部プレート5aの固定構造の場合、事故等で想定外の衝撃が加わった際に、応力の関係により、内側の第2締結具39が、第1締結具36より先に破断する。そのため、ハンドホール10が損傷することを抑制することができる。なお、第1締結具36と第2締結具39で同じ強度のボルトを使用してもよく、その場合も同じ効果が得られる。
【0052】
[2-5.下部ウェイト部等の設置方法]
下部ウェイト部11を設置する際、掘削した穴の底面に設けられた基礎砕石6又は均しコンクリート上に、まず底部ブロック73が設置される。そして、底部ブロック73の第3凸部67cが第2中間ブロック72の第3凹部66cに、第2中間ブロック72の第2凸部67bが第1中間ブロック71の第2凹部66bに、第1中間ブロック71の第1凸部67aが底版30cの第1凹部66aに嵌り込むように、第2中間ブロック72、第1中間ブロック71及び本体ブロック15aが、順番に据え付けられる。その際、各凹凸構造65により、底部ブロック73の各アンカー固定部48の真上で、各ブロック30c,71,72の貫通孔58a~58cが繋がりアンカー挿通孔58が形成される。
【0053】
その後、底版30cの上面に内側プレート37を設置した後、各アンカー挿通孔58に対して各アンカーボルト38が挿入される。そして、各アンカーボルト38の棒状体の下端部(ネジ部)がアンカー固定部48のネジ穴に螺合されることで、各アンカーボルト38がアンカー固定部48に固定される。この状態では、底版30c上の内側プレート37の貫通孔に各アンカーボルト38の棒状体が挿通されて、内側プレート37の上面から棒状体が突出した状態となる。この状態から棒状体の上端部(ネジ部)に締結材(ナット)を螺合して締め付けることで、底部ブロック73と内側プレート37間のブロック30c,71~73について圧縮締結が行われる。
【0054】
[2-6.本変形例の効果等]
本変形例の基礎構造は、電気設備5などの構造物を支持するための基礎構造物(基礎ブロック)10と、基礎構造物10の下側に配置される下部ウェイト部11と、下部ブロック部11に基礎構造物10を連結する連結構造60とを備え、下部ウェイト部11は、積み重ねられた状態で地中に設置される複数のブロック71~73により構成され、連結構造60は、複数のブロック71~73を互いに一体化すると共に、複数のブロック71~73に基礎構造物10を連結する。そのため、個々のブロック71~73の重量を軽くすることができ、小型の重機での施工が可能となる。また、現場で使用できる重機に応じて、経済的で最適な大きさのブロック71~73を選定することも可能である。
【0055】
また、本変形例では、凹凸構造65が、各アンカー固定部48に対して各アンカー挿通孔58の位置合わせを行うためのガイドとして機能する。そのため、スムーズに施工を行うことが可能である。また、凹凸構造65を設けることで、下部ウェイト部11の側面から荷重を受ける場合であっても、ブロック71~73の位置づれが生じにくい。
【0056】
ここで、複数のブロック71~73を一体化して本体ブロック15aに連結する場合、他の変形例として、下部ウェイト部11において上下に隣り合うブロック71~73に跨るように、ブロック71~73の側面に金具を取り付けることもできる。しかし、この場合、掘削穴の中でブロック71~73の側面への金具の取り付け作業を行うために、ブロック71~73の側方に作業スペースを確保する必要があり、その分だけ掘削穴の底面を広げる必要がある。それに対し、本変形例では、上方からの作業だけで、複数のブロック71~73の据え付け及び連結などの一連の施工が可能である。本変形例によれば、地盤の掘削量や掘削土の処分量を低減することができる。
【0057】
また、本変形例では、凹凸構造65における凹部66a~66cに対する凸部67a~67cのクリアランス(凸部67a~67cの外周におけるクリアランス)は、アンカー挿通孔58に対するアンカーボルト38のクリアランスより小さい。そのため、側面からの荷重によりブロック71~73の位置づれが生じても、凹凸構造65が圧壊されない限り、アンカーボルト38にせん断荷重が作用することを阻止できる。
【0058】
また、本変形例では、平面視において凸部67a~67c及び凹部66a~66cの形成領域に、各アンカー挿通孔58が配置され、各ブロック71~73の上面において凸部67a~67cが周囲に比べて高くなっている。そのため、雨が降った場合に、凸部67a~67cと凹部66a~66cとの隙間に、上側や周囲から水が浸透してきたとしても、アンカーボルト38又はアンカー固定部48の周囲に水が溜まりにくいし、水が溜まっても量が少なく乾きやすい。従って、アンカーボルト38又はアンカー固定部48における錆の発生を抑制することができ、その劣化を長期間に亘り抑制することができる。
【0059】
また、本変形例の底部ブロック73は、中間ブロック71,72の型枠を利用して製造することができる。この場合、この型枠は、貫通孔58b,58cに相当する部分の穴を塞いで使用される。本変形例では、同一の型枠で、中間ブロック71,72(貫通孔58b,58cタイプ)と底部ブロック73(インサートタイプ)とを製造することができるため、下部ウェイト部11の製造コストの低減を図ることができる。
【0060】
なお、本変形例の下部ウェイト部11は、基礎一体型ハンドホール以外の基礎構造物10に対しても、適用することができる。例えば、下部ウェイト部11は、複数の円柱状ブロックにより構成されていてもよい。複数の円柱状ブロックは、積み重ねられた状態で地中に設置されて、連結構造60により互いに連結されると共に基礎構造物10に連結される。なお、基礎一体型ハンドホール以外の基礎構造物10に対し、1つのブロックにより構成した下部ウェイト部11を連結してもよく、この場合に、連結構造60や凹凸構造65などについて、本変形例と同じ構成を適用してもよい。
【0061】
<その他の実施形態>
上述の実施形態では、電気設備5がポールライトであるが、他の種類の電機設備(例えば、電線共同溝の共架柱など)であってもよい。
【0062】
上述の実施形態では、外部からの配線を導入するために本体部20の側壁に貫通孔8を形成しているが、貫通孔8の代わりに、側壁にノックアウト部28を形成してもよい。ノックアウト部28は、側壁において外面等を凹ませて周囲よりも厚みを薄くした部分である(図9参照)。この場合、ハンドホール10の設置現場でノックアウト部28に貫通孔を容易に形成することができ、外部からの配線を本体部20に導入できるようになる。
【0063】
上述の実施形態において、ハンドホール10や下部ウェイト部11に、吊りインサートを設けてもよい。ハンドホール10の場合、例えば側壁の上部に吊りインサートを設ける。
【0064】
上述の実施形態では、本体部20の平面形状が矩形であるが、他の形状であってもよい。
【0065】
上述の実施形態では、基礎部30の平面形状が矩形であるが、他の形状であってもよい。
【0066】
上述の実施形態では、下部ウェイト部11上にハンドホール10を設置したが、設計条件によっては下部ウェイト部11を省略してもよい。
【0067】
上述の実施形態では、本体部20の隣りに基礎部30が連続して形成されているが、本体部20と基礎部30とが一体形成されているのであれば、本体部20と基礎部30との間に、他の機能を有する部分を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、地中配線等に使用されるハンドホール等に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
11 下部ウェイト部
10 基礎一体型ハンドホール
20 本体部
21 本体内部空間
30 基礎部
32 配線用空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9