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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】焼却システム及び焼却方法
(51)【国際特許分類】
   F23C 99/00 20060101AFI20241016BHJP
   F23G 5/30 20060101ALI20241016BHJP
   F23L 5/00 20060101ALI20241016BHJP
   F23L 15/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
F23C99/00 316
F23G5/30 H
F23L5/00
F23L15/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021019872
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122555
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】三島 俊一
(72)【発明者】
【氏名】冨田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】神谷 幸資
(72)【発明者】
【氏名】薗田 健一
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-053316(JP,A)
【文献】特表2004-506832(JP,A)
【文献】特開2020-139696(JP,A)
【文献】特許第6629085(JP,B2)
【文献】特開2006-250081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/30
F23G 5/46
F23C 10/00 - 10/32
F23C 99/00
F23L 5/00 - 5/04
F23L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサ及びタービンを有する過給機と、
焼却炉から排出された排ガスにより前記コンプレッサによって圧縮された圧縮ガスを昇温し、昇温された前記圧縮ガスを供給する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器において昇温された前記圧縮ガスを流体との熱交換により冷却し、冷却された前記圧縮ガスを前記タービンに供給する第2熱交換器と、を有し、
前記タービンは、前記第2熱交換器において冷却された前記圧縮ガスを前記焼却炉に供給し、
前記流体は、前記第2熱交換器と他のシステムとの間を循環する流体である、焼却システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2熱交換器は、前記第1熱交換器から供給された前記圧縮ガスにより前記流体を昇温し、昇温された前記流体を前記焼却システム以外の他のシステムに供給する、焼却システム。
【請求項3】
請求項2において、さらに、
前記排ガスにより前記流体を昇温し、昇温された前記流体を前記他のシステムに供給する第3熱交換器を有する、焼却システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記他のシステムから供給される前記流体を前記第2熱交換器及び前記第3熱交換器に供給する供給ラインを有する、焼却システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記供給ラインは、前記第2熱交換器及び前記第3熱交換器を並列に接続するラインであって、前記他のシステムから供給された前記流体のうちの一部を前記第2熱交換器に供給するラインと、前記他のシステムから供給された前記流体のうちの他の一部を前記第3熱交換器に供給するラインとを有する、焼却システム。
【請求項6】
請求項4において、
前記供給ラインは、前記第2熱交換器及び前記第3熱交換器を直列に接続するラインであって、前記他のシステムから供給された前記流体を前記第2熱交換器に供給するラインと、前記第2熱交換器から供給された前記流体を前記第2熱交換器の下流側の前記第3熱交換器に供給するラインとを有する、焼却システム。
【請求項7】
焼却炉と、
コンプレッサ及びタービンを有する過給機と、
前記焼却炉から排出された排ガスにより前記コンプレッサによって圧縮された圧縮ガスを昇温し、昇温された前記圧縮ガスを供給する第1熱交換器と、
流体を介して供給された熱により動作する他のシステムと、
前記流体を前記第1熱交換器において昇温された前記圧縮ガスとの熱交換により温し、昇温された前記流体を前記他のシステムに供給するとともに、前記第1熱交換器において昇温された前記圧縮ガスを前記流体との熱交換により冷却し、冷却された前記圧縮ガスを前記タービンに供給する第2熱交換器と、を有し、
前記タービンは、前記第2熱交換器において冷却された前記圧縮ガスを前記焼却炉に供給し、
前記流体は、前記第2熱交換器と他のシステムとの間を循環する流体である、焼却システム。
【請求項8】
第1熱交換器が、コンプレッサによって圧縮された圧縮ガスを焼却炉から排出された排ガスにより昇温し、昇温された前記圧縮ガスを供給し、
第2熱交換器が、前記第1熱交換器において昇温された前記圧縮ガスを流体との熱交換により冷却し冷却された前記圧縮ガスを供給し、
タービンが、前記第2熱交換器において冷却された前記圧縮ガスを前記焼却炉に供給し、
前記流体は、前記第2熱交換器と他のシステムとの間を循環する流体である、焼却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却システム及び焼却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥焼却炉等の焼却炉において、焼却炉から排出される高温の排ガスを熱交換器に通すことによって排熱の一部を回収してから、集塵機においてダストを分離除去し、さらに、排煙処理塔に通して水洗浄を行うことによって排ガス中のSOやHCl等の成分を除去する排ガス処理が行われている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-227441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような焼却炉では、炉内の温度を予め定められた目標温度に保って運転するのが一般的である。これは、炉内の温度が目標温度を超えると、例えば、燃焼時にNOが生成され易くなり、また、灰分が溶融して炉壁や配管に付着する等の問題が発生するためである。
【0005】
そこで、本発明は、焼却炉内の温度上昇を抑制する焼却システム及び焼却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明における焼却システムは、コンプレッサ及びタービンを有する過給機と、焼却炉から排出された排ガスにより前記コンプレッサによって圧縮された圧縮ガスを昇温し、昇温された前記圧縮ガスを供給する第1熱交換器と、前記第1熱交換器から供給された前記圧縮ガスを流体により冷却し、冷却された前記圧縮ガスを前記タービンに供給する第2熱交換器と、を有し、前記タービンは、前記第2熱交換器から供給された前記圧縮ガスを前記焼却炉に供給する。
【発明の効果】
【0007】
本発明における焼却システム及び焼却方法によれば、焼却炉内の温度上昇を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。
図2図2は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成例を説明する図である。
図3図3は、第3の実施の形態における焼却システム300の構成例を説明する図である。
図4図4は、第4の実施の形態における焼却システム400の構成例を説明する図である。
図5図5は、第5の実施の形態における焼却システム500の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
[第1の実施の形態]
初めに、第1の実施の形態における焼却システム100について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。なお、以下に示すライン(配管)やポンプの配置位置や数は、例示であり、これに限られるものではない。
【0011】
焼却システム100は、図1に示すように、例えば、焼却炉1と、過給機2と、流動空気予熱器3と、空気冷却器4と、冷却塔6と、集塵機7と、排煙処理塔8と、煙突9とを有する。なお、以下、流動空気予熱器3を第1熱交換器3とも呼び、空気冷却器4を第2熱交換器4とも呼ぶ。
【0012】
焼却炉1は、汚泥を焼却する流動焼却炉である。焼却炉1は、いわゆる流動層1aを有する。また、前記した汚泥は、脱水ケーキとも呼ばれる。以下、焼却炉1を流動焼却炉として説明を行う。
【0013】
ここで、近年では、汚泥の脱水機の能力向上によって、汚泥の含水率が以前よりも低下している。また、脱水した汚泥を乾燥させて汚泥の含水率をより低下させることによって、焼却炉1における汚泥燃焼の効率をより高めている。そのため、焼却炉1では、汚泥の含水率の低下に伴って、汚泥の燃焼が活発に行われ易くなり、炉内の温度が目標温度よりも高温になる場合がある。
【0014】
そこで、以下の各実施の形態における焼却システム(焼却システム100、200、300、400及び500)では、流動空気予熱器3の出口側に空気冷却器4を設けて、焼却炉1に供給する燃焼用空気の温度を下げることにより、焼却炉1内の温度上昇を抑制する。
【0015】
過給機2は、回転軸2cを介して接続されたコンプレッサ2a及びタービン2bを有する。具体的に、コンプレッサ2aは、吸引した空気を圧縮して圧縮ガスを生成し、生成した圧縮ガスを流動空気予熱器3に供給する。また、タービン2bは、空気冷却器4を介して流動空気予熱器3から供給された圧縮ガスのエネルギーを利用して回転軸2cを回転させる。
【0016】
ここで、コンプレッサ2aは、タービン2bによる回転軸2cの回転に伴って駆動することにより、吸引した空気を圧縮して圧縮ガスを生成し、生成した圧縮ガスを流動空気予熱器3に供給する。
【0017】
流動空気予熱器3は、焼却炉1から排出された排ガスと、ラインL11を介してコンプレッサ2aから供給された圧縮ガスとの間において熱交換を行う。具体的に、流動空気予熱器3は、焼却炉1から排出された排ガスを用いることによって、コンプレッサ2aが圧縮した圧縮ガスを昇温し、ラインL12を介して昇温後の圧縮ガスを空気冷却器4に供給する。また、流動空気予熱器3は、焼却炉1から排出された排ガスを冷却し、冷却した排ガスを冷却塔6に供給する。
【0018】
空気冷却器4は、ラインL12を介して流動空気予熱器3から供給された圧縮ガスと、流体の供給先(図示しない)から供給される流体との間において熱交換を行う。具体的に、空気冷却器4は、流動空気予熱器3から供給された圧縮ガスを用いることによって流体を昇温し、昇温した流体を前記した供給先に供給する。また、空気冷却器4は、流動空気予熱器3から供給された圧縮ガスを冷却し、ラインL13を介して冷却後の圧縮ガスをタービン2bに供給する。そして、タービン2bは、ラインL13を介して空気冷却器4から供給された圧縮ガスのエネルギーを利用して回転軸2cを回転させるとともに、エネルギーを利用した後の圧縮ガスを焼却炉1に供給する。
【0019】
なお、冷却後の圧縮ガスを焼却炉1の流動層1aに供給する場合、この圧縮ガスは、流動層1aを流動させ、かつ、汚泥を燃焼するための空気として利用される。また、冷却後の圧縮ガスを流動層1a上部のいわゆるフリーボードに供給してもよい。冷却後の圧縮ガスをフリーボードに供給する場合、この圧縮ガスは、燃焼用空気として利用される。
【0020】
冷却塔6は、流動空気予熱器3の後段に配置され、冷却塔6の内部に設けられた散水ノズル(図示しない)から散水される水と接触させることによって、流動空気予熱器3から供給された排ガスを冷却する。そして、冷却塔6は、冷却した排ガスを集塵機7に供給する。
【0021】
集塵機7は、冷却塔6の後段に配置され、冷却塔6から供給された排ガスの不純物を除去する。なお、集塵機7は、例えば、耐熱性の優れたセラミック集塵機であってもよい。
【0022】
排煙処理塔8は、集塵機7の後段に配置され、例えば、塔の下部から排ガスを導入する。そして、排煙処理塔8は、上部の散水ノズル(図示しない)から散水される水に接触させることによって、排ガス中のSOやHCl等の成分を水に含ませて除去する。また、排煙処理塔8の上部には、排煙処理塔8において洗浄された排ガスを大気に放出する煙突9が配置される。
【0023】
誘引機P1は、焼却炉1から排出された排ガスを排煙処理塔8まで誘引するファンまたはブロアであり、排煙処理塔8において洗浄された排ガスを煙突9に送出する。
【0024】
このように、第1の実施の形態における焼却システム100には、流動空気予熱器3の出口側とタービン2bの入口側との間において空気冷却器4が設けられている。そして、焼却炉1には、空気冷却器4において冷却した圧縮ガスがタービン2bを介して供給される。
【0025】
すなわち、第1の実施の形態における焼却システム100は、回転軸2cを介して接続されたコンプレッサ2a及びタービン2bを有する過給機2と、焼却炉1から排出された排ガスによりコンプレッサ2aによって圧縮された圧縮ガスを昇温し、昇温された圧縮ガスを空気冷却器4に供給する流動空気予熱器3と、流動空気予熱器3から供給された圧縮ガスを流体により冷却し、冷却された圧縮ガスをタービン2bに供給する空気冷却器4とを有する。そして、タービン2bは、空気冷却器4から供給された圧縮ガスを焼却炉1に供給する。
【0026】
第1の実施の形態における焼却システム100は、流動空気予熱器3から供給された流動空気予熱器3から供給された高温の圧縮ガスをそのままタービン2bに供給するのではなく、この高温の圧縮ガスを空気冷却しているので、焼却炉1における温度上昇を抑制することが可能になる。そのため、焼却システム100では、焼却炉1においてNO等が生成され易くなることの防止が可能になる。また、焼却システム100では、例えば、温度上昇に伴う耐火物の損傷の防止や、溶融した焼却灰が付着することによる配管等の閉塞の防止が可能になる。
【0027】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態における焼却システム200について説明を行う。図2は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成例を説明する図である。以下、図1で説明した焼却システム100と異なる構成について説明を行う。
【0028】
第2の実施の形態における焼却システム200は、図1で説明した焼却システム100に加え、発電システム10を有する。
【0029】
発電システム10は、空気冷却器4との間を循環する流体の熱エネルギーを回収して他のエネルギーに変換する機能を有し、例えば、低沸点のフロン、代替フロン、シリコンオイル、石油系の有機化合物、アンモニアまたはアンモニアと水との混合流体等の低沸点媒体を作動媒体として循環させるランキンサイクルやカリーナサイクル等の熱サイクルを形成する。
【0030】
空気冷却器4は、ラインL12を介して流動空気予熱器3から供給された圧縮ガスと、ラインL21を介して発電システム10から供給される流体との間において熱交換を行う。具体的に、空気冷却器4は、流動空気予熱器3から供給された圧縮ガスを用いることによって流体を昇温し、ラインL22を介して昇温後の流体を発電システム10に供給する。また、空気冷却器4は、流動空気予熱器3から供給された圧縮ガスを冷却し、ラインL13を介して冷却後の圧縮ガスをタービン2bに供給する。
【0031】
すなわち、第2の実施の形態における焼却システム200では、空気冷却器4において回収された熱エネルギーを発電システム10に供給する。
【0032】
これにより、発電システム10は、空気冷却器4において回収された熱エネルギーを用いることによって発電を行うことが可能になる。
【0033】
なお、ラインL21及びラインL22を流れる流体は、例えば、熱媒油であってよく、水(水蒸気)や空気等の他の液体または気体であってもよい。
【0034】
また、ラインL21及びラインL22を流れる流体は、循環ポンプであるポンプP2によって、空気冷却器4と発電システム10との間を循環する。
【0035】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態における焼却システム300について説明を行う。図3は、第3の実施の形態における焼却システム300の構成例を説明する図である。以下、図2で説明した焼却システム200と異なる構成について説明を行う。
【0036】
第3の実施の形態における焼却システム300では、ラインL21及びラインL22を介して空気冷却器4と乾燥機20とが接続している。
【0037】
乾燥機20は、例えば、焼却炉1において焼却される前の汚泥の乾燥を行う。具体的に、乾燥機20は、例えば、空気冷却器4において回収された熱エネルギーを用いることによって汚泥の乾燥を行う。
【0038】
これにより、乾燥機20は、例えば、排ガスの保有熱を利用することによって汚泥の乾燥を行うことが可能になる。すなわち、焼却システム300では、空気冷却器4を発電システム10以外の機器と接続することによって、排ガスの保有熱を発電以外の用途に利用することが可能になる。
【0039】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態における焼却システム400について説明を行う。図4は、第4の実施の形態における焼却システム400の構成例を説明する図である。以下、図2で説明した焼却システム200と異なる構成について説明を行う。
【0040】
焼却システム400は、図4に示すように、例えば、図1で説明した焼却システム100に加え、熱媒ヒータ5を有する。なお、以下、熱媒ヒータ5を第3熱交換器5とも呼ぶ。
【0041】
流動空気予熱器3と熱媒ヒータ5とは、いわゆる並列接続され、焼却炉1から排出された排ガスがラインにより2つに分岐され、排ガスの中の一部の排ガスは、流動空気予熱器3に供給され、他の一部の排ガスは、熱媒ヒータ5に供給される。
【0042】
ポンプP2から吐出された流体(換言すれば、発電システム10から供給された流体)は、ラインL23を介して熱媒ヒータ5に供給され、熱媒ヒータ5により昇温され、ラインL22に合流するラインL24を介して、発電システム10に供給される。また、ポンプP2から吐出された流体は、ラインL21を介して、空気冷却器4に供給され、空気冷却器4により昇温され、ラインL22を介して、発電システム10に供給される。
【0043】
熱媒ヒータ5は、焼却炉1から排出された排ガスと、ラインL23を介して発電システム10から供給される流体との間において熱交換を行う。具体的に、熱媒ヒータ5は、焼却炉1から排出された排ガスを用いることによって流体を昇温し、ラインL24を介して昇温後の流体を発電システム10に供給する。また、熱媒ヒータ5は、焼却炉1から排出された排ガスを冷却し、冷却後の排ガスを冷却塔6に供給する。
【0044】
なお、ラインL23及びラインL24を流れる流体は、ラインL21及びラインL22を流れる流体と同様に、例えば、熱媒油であってよく、水(水蒸気)や空気等の他の液体または気体であってもよい。
【0045】
また、ラインL21及びラインL23は、図4に示すように、発電システム10の近傍において合流しているものであってよく、それぞれが互いに独立した2つのラインからなるものであってもよい。同様に、ラインL22及びラインL24は、図4に示すように、発電システム10の近傍において合流しているものであってよく、それぞれが互いに独立した2つのラインからなるものであってもよい。
【0046】
すなわち、第4の実施の形態における焼却システム400では、空気冷却器4において回収された熱エネルギーと熱媒ヒータ5において回収された熱エネルギーとのそれぞれを発電システム10に供給する。
【0047】
これにより、発電システム10は、空気冷却器4において回収された熱エネルギーと熱媒ヒータ5において回収された熱エネルギーとを用いることによって発電を行うことが可能になる。そのため、発電システム10は、焼却炉1から排出された排ガスの保有熱を利用することによる発電をより効率的に行うことが可能になる。
【0048】
なお、図4に示す例では、空気冷却器4と発電システム10との間において流体が循環するラインL21及びラインL22と、熱媒ヒータ5と発電システム10との間において流体が循環するラインL23及びラインL24とが並列に設けられている。すなわち、図4に示す例では、発電システム10からの流体の一部がラインL22を介して空気冷却器4に供給され、他の一部がラインL23を介して熱媒ヒータ5に供給される。
【0049】
これにより、焼却システム400では、後述する焼却システム500の場合よりも、吐出圧の小さい循環ポンプ(ポンプP2)を用いることが可能になる。また、焼却システム400では、後述する焼却システム500の場合よりも、熱媒ヒータ5における伝面を小さくすることが可能になる。
【0050】
また、図4に示す例では、流動空気予熱器3と冷却塔6との間のラインにおいて弁V1が設けられており、熱媒ヒータ5と冷却塔6との間のラインにおいて弁V2が設けられている。さらに、図4に示す例では、空気冷却器4と発電システム10との間のラインL21において弁V3(弁V3a及び弁V3b)が設けられている。
【0051】
これにより、焼却システム400では、例えば、弁V1、弁V2及び弁V3によって流量の調整を行うことで、発電システム10に対する熱エネルギーの供給量の調整を行うことが可能になる。具体的に、図示しない制御機器は、例えば、焼却炉1の温度が閾値を超えた場合、空気冷却器4に供給する流体の割合を増やしてタービン2bからの圧縮ガスの熱をより多く回収するため、弁V3bの開度を下げ、弁V3aの開度を上げる。また、図示しない制御機器は、焼却炉1の温度が閾値以下になる場合、弁V3bの開度を上げ、弁V3aの開度を下げる。
【0052】
また、図4に示す例では、流動空気予熱器3及び熱媒ヒータ5が並列に配置されているが、流動空気予熱器3及び熱媒ヒータ5は、直接に配置されるものであってもよい。具体的に、図4に示す例では、焼却炉1から排出された排ガスの一部が流動空気予熱器3に供給され、他の一部が熱媒ヒータ5に供給されているが、焼却炉1から排出された排ガスの全てが流動空気予熱器3に供給され、さらに、流動空気予熱器3を通過した排ガスの全てが熱媒ヒータ5に供給されるものであってもよい。また、焼却炉1から排出された排ガスの全てが熱媒ヒータ5に供給され、さらに、熱媒ヒータ5を通過した排ガスの全てが流動空気予熱器3に供給されるものであってもよい。
【0053】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態における焼却システム500について説明を行う。図5は、第5の実施の形態における焼却システム500の構成例を説明する図である。以下、図4で説明した焼却システム400と異なる構成について説明を行う。
【0054】
第5の実施の形態における焼却システム500では、図4で説明した場合と異なり、ラインL21、ラインL22、ラインL23及びラインL24に代えて、空気冷却器4と熱媒ヒータ5と発電システム10とを直列に接続するラインL25、ラインL26及びラインL27が設けられている。すなわち、図5に示す例では、発電システム10から空気冷却器4に対して流体が供給された後、空気冷却器4から熱媒ヒータ5に対して流体が供給される。そして、図5に示す例では、さらに、熱媒ヒータ5から発電システム10に対して流体が供給される。
【0055】
これにより、焼却システム500では、例えば、図4で説明した焼却システム400の場合よりも、発電システム10に供給される流体の温度制御を容易に行うことが可能になる。
【0056】
また、図5に示す例では、ラインL25及びラインL26において、空気冷却器4が設けられている位置の前後を接続するバイパスL28が設けられている。
【0057】
これにより、焼却システム500では、例えば、バイパスL28に設けられた弁V4(弁V4a及び弁V4b)を調整することによって、空気冷却器4に供給される流体の量を調整することが可能になる。具体的に、図示しない制御機器は、例えば、焼却炉1の温度が閾値を超えた場合、空気冷却器4で回収する熱エネルギーを上げるために、弁V4aの開度を下げ、弁V4bの開度を上げる。一方、図示しない制御機器は、例えば、焼却炉1の温度が閾値以下になる場合、空気冷却器4で回収する熱エネルギーを下げるために、弁V4aの開度を上げ、弁V4bの開度を下げる。
【0058】
また、図5に示す例では、ラインL26及びラインL27において、熱媒ヒータ5が設けられている位置の前後を接続するバイパスL29が設けられている。
【0059】
これにより、焼却システム500では、例えば、バイパスL29に設けられた弁V5(弁5a及び弁V5b)を調整することによって、熱媒ヒータ5に供給される流体の量を調整することが可能になる。具体的に、図示しない制御機器は、例えば、熱媒ヒータ5の出口温度が目標の温度となるように、弁V5a及び弁V5bの開閉を制御する。
【0060】
なお、ラインL12及びラインL13において、例えば、空気冷却器4が設けられている位置の前後を接続するバイパス(図示しない)が設けられるものであってもよい。これにより、焼却システム500では、焼却炉1に供給される圧縮ガスの量を調整することが可能になる。
【符号の説明】
【0061】
1:焼却炉 1a:流動層
2:過給機 2a:コンプレッサ
2b:タービン 2c:回転軸
3:流動空気予熱器 4:空気冷却器
5:熱媒ヒータ 6:冷却塔
7:集塵機 8:排煙処理塔
9:煙突 10:発電システム
20:乾燥機 100:焼却システム
200:焼却システム 300:焼却システム
400:焼却システム 500:焼却システム
P1:誘引機 P2:ポンプ
L11:ライン L12:ライン
L13:ライン L21:ライン
L23:ライン L24:ライン
L25:ライン L26:ライン
L27:ライン L28:バイパス
L29:バイパス L31:ライン
V1:弁 V2:弁
V3:弁 V4:弁
V5:弁
図1
図2
図3
図4
図5