(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】乾式比重選別装置
(51)【国際特許分類】
B07B 4/08 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B07B4/08 Z
(21)【出願番号】P 2021078803
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】393022931
【氏名又は名称】原田産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】原田 直輝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勝己
(72)【発明者】
【氏名】植原 浩和
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-111663(JP,U)
【文献】特公昭36-2124(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜して設けられた選別多孔振動板と、
前記選別多孔振動板の上面に比重の異なる物質が混在する被選別材料を投入するホッパーと、
前記選別多孔振動板の下面に空気を吹き上げる空気吹き上げ手段と、
を有し、
比重の大きい重量物を前記選別多孔振動板の上端方向に、比重の小さい軽量物を前記選別多孔振動板の下端方向に、分離移動せしめるようにした乾式比重差選別装置であり、
前記選別多孔振動板が、前記重量物の排出方向の端部に向かって、平面視で窄まった形状とされてなり、
前記選別多孔振動板の上面の前記選別多孔振動板の長手方向中心線上に前記重量物排出方向の端部に向かって形成された歪み凹部を有
し、
前記選別多孔振動板の上面の歪み凹部が、少なくとも前記選別多孔振動板の長手方向中央部から前記重量物排出方向の端部に向かって形成されてなる、乾式比重差選別装置。
【請求項2】
前記選別多孔振動板の前記重量物排出方向の端部が、前記選別多孔振動板の軽量物排出方向の端部よりも歪んでいる、請求項1記載の乾式比重差選別装置。
【請求項3】
前記選別多孔振動板の下部に設けられた多孔質ベース板を有し、前記多孔質ベース板に前記選別多孔振動板が取り外し可能に取り付けられてなる、請求項1
又は2記載の乾式比重差選別装置。
【請求項4】
前記被選別材料が2mm以下の被選別材料を含む、請求項1~
3いずれか1項記載の乾式比重差選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比重の異なる物質が混在している混合廃棄物を軽量物と重量物とに有効に分離することができるようにした乾式比重選別装置の発明に関し、より詳しくは、2mm以下の細かな混合廃棄物を選別するための乾式比重選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC基板廃品、家電廃品、モータ廃品、スマートホンやパソコン等の廃品、各種電気配線の廃品等には、銅線などの細かくて軽い金属片やパソコンなどに使われる細かくて比較的重い金属片、ガラス片、プラスチック片、カーボン片等、比重の異なる様々な微小な物質が混在している。これらの廃品については、再利用の対象となる金属片などの物質と廃棄対象となるその他の夾雑物とを選別する必要性がある。
【0003】
このような比重の異なる物質が混在している被選別材料に用いられる選別装置として、乾式比重選別装置(例えば、特許文献1)が知られている。この比重選別装置の基本的構成は、網状振動板を傾斜して設け、該網状振動板の下方から空気を振動板面に吹き上げ、該網状振動板面に被選別材料を投入し、比重の大きい重量物を上端方向に移動せしめて重量物出口から排出し、比重の小さい軽量物を下端方向に分離移動せしめて軽量物出口から排出するようにしたものである。
【0004】
乾式比重選別装置は、網状振動板の摩擦を利用して、比重の異なる物質を選別するため、摩擦をなるべく大きくするために、特許文献1の
図6~8に示されるような、側面鋸歯状(階段状)の網状振動板も使われている。
【0005】
2mm以下の細かな被選別材料を選別する場合、より高い選別性能が求められる。特許文献1の
図6~8に示されるような、側面鋸歯状の網状振動板では、鋸歯状の一つの歯の高さを高く(階段状の一段の階段を高く)した網状振動板にすればするほど、摩擦は大きくなる。しかしながら、鋸歯状の一つの歯の高さを高く(階段状の一段の階段を高く)した網状振動板にすると、選別におけるいわゆるコンタミネーション(混入)が生じ易く、2mm以下の細かな被選別材料を乾式比重選別装置で選別することは困難という問題があった。
【0006】
そのため、比重の異なる物質が混在している被選別材料に用いられる選別装置として、湿式比重選別装置も知られている。湿式比重選別装置は、湿式選別法を行うための装置であり、湿式選別は、比重差が少ない等の理由により、選別しにくい被選別材料を選別する時に採用されることが多く、ガラス、金属、プラスチックの混合廃棄物の選別などに用いられている。湿式選別法には、水平あるいは傾斜した板上を流れる流体の薄流中に被選別材料を供給して、密度による移動速度の違いによる選別を行うもの(薄流選別)、固定網上の被選別材料に、上下に脈動する水を通過させることにより、比重の大小に従って成層させて、選別するもの(ジグ選別)、適当な密度を持つ液体(重液)の中に被選別材料を供給し、重液よりも密度が小さい粒子と大きい粒子とを浮沈分離して選別するもの(重液選別)、などがある。
【0007】
これら湿式選別法には、全て水が用いられるため、水処理のための水と、それら水を処理するエネルギーや設備を必要とする。また、微小な銅などの金属は、湿式選別の選別の際に、水と一緒に流れていってしまうという問題もあった。
【0008】
このため、2mm以下の細かなガラス・金属・プラスチックなどが混在している混合廃棄物については、選別が困難であるため、回収することなく廃棄処分としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、湿式選別よりも省エネルギーでCO2削減効果があり、2mm以下の混合廃棄物について、精度よく選別できるようにした乾式比重選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る乾式比重選別装置は、傾斜して設けられた選別多孔振動板と、前記選別多孔振動板の上面に比重の異なる物質が混在する被選別材料を投入するホッパーと、前記選別多孔振動板の下面に空気を吹き上げる空気吹き上げ手段と、を有し、比重の大きい重量物を前記選別多孔振動板の上端方向に、比重の小さい軽量物を前記選別多孔振動板の下端方向に、分離移動せしめるようにした乾式比重差選別装置であり、前記選別多孔振動板が、前記重量物の排出方向の端部に向かって、平面視で窄まった形状とされてなり、前記選別多孔振動板の上面の前記選別多孔振動板の長手方向中心線上に前記重量物排出方向の端部に向かって形成された歪み凹部を有する、乾式比重差選別装置である。
【0012】
前記選別多孔振動板の上面の歪み凹部が、少なくとも前記選別多孔振動板の長手方向中央部から前記重量物排出方向の端部に向かって形成されてなるのが好適である。
【0013】
前記選別多孔振動板の前記重量物排出方向の端部が、前記選別多孔振動板の軽量物排出方向の他端よりも歪んでいるのが好適である。
【0014】
前記選別多孔振動板の下部に設けられた多孔質ベース板を有し、前記多孔質ベース板に前記選別多孔振動板が取り外し可能に取り付けられてなるのが好適である。
【0015】
前記被選別材料が2mm以下の被選別材料を含むのが好適である。
【発明の効果】
【0016】
湿式選別よりも省エネルギーでCO2削減効果があり、2mm以下の混合廃棄物について、精度よく選別できるようにした乾式比重選別装置を提供することができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板の起伏を示す3D模式図である。
【
図2】本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板を示し、(a)が選別多孔振動板の押圧具合を示す平面模式図、(b)が選別多孔振動板の正面模式図、(c)が選別多孔振動板の側面模式図、である。
【
図3】本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板の進行方向制御効果を示し、(a)が選別多孔振動板の平面模式図、(b)が選別多孔振動板の正面模式図、(c)が選別多孔振動板の側面模式図、である。
【
図4】本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板の進行方向制御効果を模式的に占めた斜視模式図である。
【
図5】本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板の増密効果(見掛比重)を示し、(a)が選別多孔振動板の平面模式図、(b)が選別多孔振動板の正面模式図、(c)が選別多孔振動板の側面模式図、である。
【
図6】本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板の増密効果(見掛比重)を模式的に占めた斜視模式図である。
【
図7】本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板の概略平面図である。
【
図8】本発明に係る乾式比重選別装置の乾式比重選別の原理を示す断面模式図である。
【
図9】本発明に係る乾式比重選別装置を用いて、2mm以下の被選別材料を選別している様子を示す写真である。
【
図10】本発明に係る乾式比重選別装置を用いて、選別された後の被選別材料を示す写真である。
【
図11】従来の乾式比重選別装置を用いて、2mm以下の被選別材料を選別している様子を示す写真である。
【
図12】従来の乾式比重選別装置を用いて、選別された後の被選別材料を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。同一部材は同一符号で示される。
【0019】
本発明に係る乾式比重選別装置を、添付図面を用いて説明する。本発明に係る乾式比重選別装置は、特に2mm以下の被選別材料を選別するのに好適に用いられる乾式比重選別装置であり、傾斜して設けられた選別多孔振動板と、前記選別多孔振動板の上面に比重の異なる物質が混在する被選別材料を投入するホッパーと、前記選別多孔振動板の下面に空気を吹き上げる空気吹き上げ手段と、を有し、比重の大きい重量物を前記選別多孔振動板の上端方向に、比重の小さい軽量物を前記選別多孔振動板の下端方向に、分離移動せしめるようにした乾式比重差選別装置であり、前記選別多孔振動板が、前記重量物の排出方向の端部に向かって、平面視で窄まった形状とされてなり、前記選別多孔振動板の上面の前記選別多孔振動板の長手方向中心線上に前記重量物排出方向の端部に向かって形成された歪み凹部を有する、乾式比重差選別装置である。
【0020】
本発明に係る乾式比重選別装置の基本的構成、即ち、傾斜して設けられた選別多孔振動板と、前記選別多孔振動板の上面に比重の異なる物質が混在する被選別材料を投入するホッパーと、前記選別多孔振動板の下面に空気を吹き上げる空気吹き上げ手段と、を有し、比重の大きい重量物を前記選別多孔振動板の上端方向に、比重の小さい軽量物を前記選別多孔振動板の下端方向に、分離移動せしめるようにした乾式比重差選別装置については、例えば特許文献1に開示されているため、再度の説明は省略する。
【0021】
本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板を
図1~
図8に示す。
図1~
図8において、符号10は本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板である。
【0022】
前記選別多孔振動板10は、前記重量物の排出方向の端部12に向かって、平面視で窄まった形状とされている。そして、前記選別多孔振動板10の上面の前記選別多孔振動板の長手方向中心線O上に前記重量物排出方向の端部12に向かって形成された歪み凹部14が形成されている。
【0023】
また、前記選別多孔振動板の上面の歪み凹部14が、少なくとも前記選別多孔振動板10の長手方向中央部Pから前記重量物排出方向の端部12に向かって形成されている。歪み凹部14は前記選別多孔振動板10の上面を部分的に押圧することで、形成することが可能である。歪み凹部14の歪みの程度(歪ませ量)については、混合廃棄物である投入物(被選別材料)の比重、粒度、破砕形状等に応じて、適宜調整して決めればよい。
【0024】
例えば、
図2の(a)に前記選別多孔振動板10の上面の部分的押圧量を示す。例えば、
図2の(a)に示されるように、前記選別多孔振動板10の長手方向中心線O上が最も押圧されるように、部分押圧する。
図2の(a)の数字の単位はmmであり、長手方向中心線Oに沿って、前記選別多孔振動板10の後位置で4mm押圧されており、その左右の位置でそれぞれ3mmずつ押圧されている。また、
図2の(a)に示される如く、長手方向中心線Oに沿って、前記選別多孔振動板10の前位置で6mm押圧されており、その左右の位置でそれぞれ5mmずつ押圧され、さらにその左右の位置でそれぞれ3mmずつ押圧されている。
図2の(b)及び(c)には、前記選別多孔振動板10の正面模式図及び側面模式図をそれぞれ示す。
図2の(b)及び(c)に示すように、歪み凹部14の下面15は、他の部分の面に比べて歪んでいることがわかる。
【0025】
このように部分的に押圧することで、
図1に示すような歪み凹部14が形成されることとなる。また、図示例では、前記選別多孔振動板10の前記重量物排出方向の端部12が、前記選別多孔振動板10の軽量物排出方向の端部16よりも歪んでいる。なお、前記選別多孔振動板10は、前記重量物の排出方向の端部12に向かって、平面視で窄まった形状とされているが、前記重量物の排出方向の端部12は、
図1に示されるように、全て歪み凹部14とされているのが好適である。また、前記選別多孔振動板10としては、図示例では100メッシュ(目開き0.149mm)の網状スクリーン板を採用した例を示した(
図7参照)。
【0026】
2mm以下の細かな混合廃棄物を精度よく選別するためには、従来の特許文献1に記載されたような鋸歯状の選別多孔振動板だと、鋸歯状の歯に引っ掛かって選別の際にコンタミネーションが生ずるおそれがあるため、選別多孔振動板の上面の形状としてはなるべく平坦なものが望ましい。一方で、乾式比重選別を行うためには、比重の重いものは上端方向に、比重の軽いものは下端方向にそれぞれ分離選別される必要があるため、ある程度摩擦がないと、選別が出来ない。本発明では、このような従来技術の問題点を解消すべく鋭意研究を重ねたところ、上述したように歪み凹部14を形成することで、2mm以下の細かな混合廃棄物を精度よく選別できることを見出したのである。
【0027】
また、
図1及び
図8に示される如く、前記選別多孔振動板10の下部には、枠体18(
図7参照)に取り付けられた多孔質ベース板20が設けられており、前記多孔質ベース板20に前記選別多孔振動板10が取り外し可能に取り付けられている。このため、ユーザーは、前記選別多孔振動板10だけを適宜交換可能となっている。多孔質ベース板20としては、例えばパンチング板が適用でき、パンチング開口としては例えば3~5mm程度のものが使用できる。なお、
図7及び
図8において、符号22は、前記選別多孔振動板10のメッシュ孔であり、符号24,26は、それぞれ、選別多孔振動板10の上面を押圧するための押圧部材(図示省略)を取り付けるためのフレーム部材である。
【0028】
また、
図8に示す前記選別多孔振動板10の下には、前記選別多孔振動板10と多孔質ベース板20の傾きの関係を示す模式図を挿入してあるが、多孔質ベース板20は平らにセットし、その上に、前記選別多孔振動板10を傾斜してセットするのが好適である。
図8において、符号28は、被選別材料の比重が重いもの、符号30は、被選別材料の比重が軽いもの、をそれぞれ示している。
【0029】
図3及び
図4に、本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板10の進行方向制御効果を示す。
図3にグレーの三角で示されるように、そして、
図4に複数の矢印で示されるように、投入された被選別材料は、前記選別多孔振動板10の振動に従って、前記選別多孔振動板10の長手方向中心線Oの方に集まり、前記重量物排出方向の端部12に向かって収束せしめられる。このように、選別多孔振動板10には投入された被選別材料の進行方向制御効果がある。
【0030】
また、
図5及び
図6に、本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板10の増密効果(見掛比重)を示す。
図5に色違いのグレーで示されるように、そして、
図6に複数の矢印で示されるように、投入された被選別材料は、前記選別多孔振動板10の振動に従って、見掛比重が大きいもの(比重が重いもの)が、前記重量物排出方向の端部12に向かって収束せしめられる。このように、選別多孔振動板10には投入された被選別材料の進行方向に対して、見掛比重の大きいものの増密効果がある。
【0031】
図1~7に示した選別多孔振動板10の構成で、100メッシュの網を用いた選別多孔振動板10を取り付けた本発明に係る乾式比重選別装置を用いて、2mm以下の被選別材料を選別している様子を示す写真を
図9に示し、選別後の写真を
図10に示す。
図9及び
図10では、2mm以下の銅線が精度よく分離選別されていることがわかる。
【0032】
一方、歪み凹部14が形成されていない100メッシュの網を用いた従来の平坦な選別多孔振動板を取り付けた乾式比重選別装置を用いて、同様に、2mm以下の被選別材料を選別している様子を示す写真を
図11に示し、選別後の写真を
図12に示す。
図11及び
図12では、2mm以下の銅線と共に、白い物質や黒い物質などが混在してしまっていることがわかる。
【0033】
さらに、上記した、
図1~7に示した選別多孔振動板10の構成で、100メッシュの網を用いた選別多孔振動板10を取り付けた本発明に係る乾式比重選別装置と歪み凹部14が形成されていない100メッシュの網を用いた従来の平坦な選別多孔振動板を取り付けた乾式比重選別装置による、混合廃棄物の選別結果を表1に示す。
【0034】
【0035】
表1において、重側に選別されているのは非鉄金属である。また、デッキ残とは、選別多孔振動板上に安定状態で残った(相対的に「重い」又は「軽い」側に移動しなかったもの)少量の被選別材料である。
【0036】
表1に示すように、粒度10~15mm程度のものから、0~2mmのものまで様々なものが含まれた混合廃棄物である、自動車由来ダスト(1)及び(2)、家電由来ダスト、並びに電線破砕物について、選別を行った。
【0037】
表1の「評価」からわかるように、本発明に係る乾式比重選別装置の選別多孔振動板を用いて選別すると、粒度0~2mmのものでも、精度よく分離選別でき回収することができたことがわかる。このように、本発明によれば、2mm以下の混合廃棄物について精度よく選別できるのである。また、湿式選別のように水処理が不要であるため、省エネルギーであり、CO2削減効果もあるという利点がある。
【0038】
また、上記の選別の実施例では、自動車由来ダスト、家電由来ダスト及び電線破砕物を被選別材料としたが、本発明に係る乾式比重選別装置は、例えば、シラスと呼ばれる細粒の軽石や火山灰を含む白砂の選別にも好適に用いることができる。シラスは、主成分の火山ガラスと多種類の結晶鉱物から構成され、建設材料にもなるが、粒子径が幅広く軽石も含まれるため、工業用利用が難しいとされてきた。しかしながら、本発明に係る乾式比重選別装置を用いることで、シラスを選別し、シラスに含まれる火山ガラス質、結晶質、軽石などを分離選別し、全量活用することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
10:選別多孔振動板、12:重量物の排出方向の端部、14:歪み凹部、15:歪み凹部の下面、16:軽量物排出方向の端部、18:枠体、20:多孔質ベース板、22:選別多孔振動板のメッシュ孔、24,26:フレーム部材、28:被選別材料の比重が重いもの、30:被選別材料の比重が軽いもの、O:選別多孔振動板の長手方向中心線、P:選別多孔振動板の長手方向中央部。