(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格のヒトパピローマウイルス感染症を治療する医薬の製造における使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/74 20150101AFI20241016BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241016BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241016BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241016BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20241016BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241016BHJP
C12N 1/00 20060101ALN20241016BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
A61K35/74 B
A61P37/04
A61P31/20
A61K9/02
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/19
A61K9/70 401
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/12
C12N1/00 L ZNA
C12N1/20 E
C12N1/20 C
(21)【出願番号】P 2021539950
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2019127895
(87)【国際公開番号】W WO2020147530
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】201910036001.4
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911022193.X
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【微生物の受託番号】CGMCC CGMCC 17431
(73)【特許権者】
【識別番号】521299927
【氏名又は名称】▲遼▼▲寧▼格瑞仕特生物制▲藥▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】盖 波
(72)【発明者】
【氏名】▲竇▼ 春▲艷▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲軼▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 国英
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-508883(JP,A)
【文献】特表2006-503022(JP,A)
【文献】特表2009-520789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)の細胞壁骨格の、ヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医薬の製造における使用であって、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格が2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来である、使用。
【請求項2】
医薬組成物のヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医薬の製造における使用であって、
前記医薬組成物は、
単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格であって、2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来の単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格と、
薬学的に許容される賦形剤と、
を含む、使用。
【請求項3】
前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格が1重量部で、前記薬学的に許容される賦形剤が200~300重量部である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記薬学的に許容される賦形剤がデキストラン、トレハロース、グリシン、キシリトール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エリスリトール、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム及びマンニトールからなる群から選択される、請求項2に記載の使用。
【請求項5】
前記医薬が局所投与用である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記局所投与が皮膚もしくは粘膜塗布、又は皮膚もしくは粘膜下注射である、請求項
5に記載の使用。
【請求項7】
前記医薬が軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、ゲル剤、洗浄剤、チンキ剤、リニメント剤、オイル剤、ペースト剤、凍結乾燥粉末、エアロゾル剤、坐剤、貼付剤又は懸濁剤として製造される、請求項
5に記載の使用。
【請求項8】
前記医薬が凍結乾燥粉末として製造され、且つ投与前に前記凍結乾燥粉末を生理食塩水で希釈することによって、前記ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格の濃度を15μg/ml~500μg/mlにする、請求項
7に記載の使用。
【請求項9】
単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格の、ヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医療機器の製造における使用であって、
前記医療機器は、ドレッシング材、貼付剤、包帯又はフィルムからなる群から選択され、
前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格が2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来であり、
前記医療機器が前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、使用。
【請求項10】
前記ドレッシング材、貼付剤、包帯又はフィルムには濃度15μg/ml~500μg/mlのロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格の懸濁液を浸み込ませる、請求項
9に記載の使用。
【請求項11】
前記ヒトパピローマウイルス感染症が皮膚、子宮頸部、膣、大陰唇、陰茎、肛門周囲、中咽頭、偏桃体及び口腔のヒトパピローマウイルス感染症からなる群から選択される、請求項1~
10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
ヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医薬組成物であって、
単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格であって、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格が2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来である細胞壁骨格と、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項13】
前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格が1重量部で、前記薬学的に許容される賦形剤が200~300重量部である、請求項
12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2019年01月15日に提出した中国特許出願「ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格及びその使用」(出願番号201910036001.4)及び2019年10月25日に提出した中国特許出願「単離されたロドコッカス・ルーバー」(出願番号201911022193.X)の優先権の利益を主張するものであり、これらの全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は医学分野、微生物分野、生物製薬分野に関するものである。具体的には、本発明は単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格及びそれを含む医薬組成物のヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医薬の製造における使用に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は高い特異性を有する上皮向性の球形DNAウイルスの一種であり、ヒトの皮膚及び粘膜に感染が起こるだけで、ヒトの皮膚及び粘膜の扁平上皮過形成を引き起こし、乳頭腫を形成する可能性がある。
【0004】
現在、HPVは130種ものサブタイプに分けられている。HPVのタイプの違いに応じて異なる臨床表現が引き起こされ、感染した上皮の部位に応じて皮膚型と粘膜型に分けられ、またHPVのタイプの違いに応じて腫瘍を誘発する危険度が異なり、ハイリスク型とローリスク型に分けられる。皮膚ローリスク型HPVは尋常性疣贅、扁平疣贅、足底疣贅などに関与し、皮膚ハイリスク型HPVは外陰癌、陰茎癌、肛門癌、前立腺癌、膀胱癌などを引き起こす可能性がある。粘膜ローリスク型HPVは生殖器、肛門、中咽頭、食道の粘膜に感染が起こる可能性があり、粘膜ハイリスク型HPVは子宮頸癌、直腸癌、口腔癌、扁桃癌などを引き起こす可能性がある。約35種が生殖管への感染に関与し、約20種が腫瘍に関与し、例えばローリスク型HPVにはHPV6、11、42、43、44、CP8304などのタイプがあり、生殖器の尖圭コンジローマなどの良性病変を引き起こす可能性があり、子宮頸部上皮軽度異形成(CINI)を含み、ハイリスク型HPVはHPV16、18、31、33、35、45、51、52、56、58、59、68などのタイプがあり、子宮頸部上皮高度異形成(CINII、CINIII)及び子宮頸癌を引き起こす可能性があり、子宮頸癌で最もよく見られるHPVのサブタイプは16型及び18型である。
【0005】
HPV感染症は世界中で最もよく見られる伝染性疾患であり、性行為という要素に関連する。特にハイリスク型HPVの持続感染は子宮頸癌の主な病因であり、このことは世界中で公認されている。よってヒトパピローマウイルス感染症は人類の健康をひどく脅かし、ひいては生命を脅かすこともある。
【0006】
世界中の女性のうち、新たな感染例が毎年約10%~15%あり、ほとんどの国家で、HPV感染症は非常によく見られる。性に奔放な若い女性のHPV感染率が最も高く、感染のピークの年齢は18~28歳である。ほとんどの女性はHPV感染期が短く、一般的には8~10か月程度で消失する。しかし10%~15%の35歳以上の女性が持続感染しているという状況もある。HPVに持続感染している女性が子宮頸癌のハイリスク群となる。
【0007】
世界保健機関の統計資料によれば、子宮頸癌は世界中の女性の癌での死亡率で第2位であり、発展途上国では第1位である。毎年世界で50万例の子宮頸癌例が新たに生じており、約20万人が子宮頸癌で死亡し、そのうちの80%が発展途上国で発生している。子宮頸癌は発展途上国の女性の悪性腫瘍の24%を占め、先進国では7%を占めている。21世紀になってから、子宮頸癌はまさに世界中の女性の健康に影響する重大な疾患の1つとなっている。
【0008】
大まかな統計では、中国の現在の子宮頸癌患者は約13.8万人であり、毎年約5万人が子宮頸癌で死亡し、世界の子宮頸癌の新たに生じた症例の総数の4分の1を占めている。しかし専門家を悩ませているのは、早期のスクリーニング検査がまだ不完全であるため、多くの子宮頸癌患者は往々にして末期に発覚し、貴重な早期治療の機会を失っており、且つ現在は子宮頸癌に若年化の傾向があるということである。
【0009】
HPV感染症の予防及び治療
HPV感染症の予防:若すぎる者の性行為を防止し、不潔な性生活を避け、交差感染を減少させ、喫煙と飲酒を断つなど、健康的な生活様式を選択し、身体の免疫力を高め、適齢で予防のためのHPVワクチンを接種することにより、ワクチンに含まれるタイプのHPVの感染リスクを減少させることができる。
【0010】
現在も、抗HPV感染症に有効な医薬はない。FDAはHPV感染症の予防のために3種のワクチンを批准しており、それぞれ2価ワクチン、4価ワクチン、9価ワクチンである。これらのワクチンはHPVの一部のタイプの感染を効果的に防止できるが、すでに発症しているHPV感染症又はHPVによって引き起こされる病変に対して、予防用ワクチンは作用を発揮しない。
【0011】
よって、本分野ではHPV感染症をなくすためのより効果的で、より安全な新たな医薬の登場が切に望まれている。
【0012】
ロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)はグラム陽性菌の一種である。通常はコロニーが円形で、黄みの橙色又は赤みの橙色を呈し、コロニーのサイズは約1mm~2mmであり、細胞の形態は球状又は短桿状であり、一次分枝した菌糸体を形成でき、鞭毛はない。ロドコッカス・ルーバーは好気性であり、従属栄養性である。
【0013】
現在、研究者によりロドコッカス・ルーバーの全ゲノム配列決定が行われている。例えば、樊欣らによりロドコッカス・ルーバーSD3株の全ゲノムの配列決定が行われ、生物情報学的分析が行われた。SD3株の全ゲノムの長さは約5.37Mbで、GC含量は約70.63%で、GenBank登録番号はCP029146である(樊欣、ロドコッカス・ルーバーSD3の全ゲノム配列決定及びその熱ショックタンパク質DnaKの発現の分析、ゲノム学と応用生物学、2019年1月)。
【0014】
ロドコッカス属(Rhodococcus)自体が非常に強い有機物耐性と広い分解スペクトルを有するため、多様な生存環境に適応できる。よって、ロドコッカス属は汚染の修復、有機化合物の分解、汚水の処理などの分野に広く適用される。現在、ロドコッカス・ルーバーは主に環境整備の分野に適用され、CN108862590A、CN107151635A、CN102250796A、CN1519312A、CN103627653A、CN101033454A、CN108130288A、CN104830738A、CN101619299A、CN103509833A、CN106434466A、CN101580808A、CN102604875A、CN103160491A、CN106591168A、CN106591172A、CN105820982Aを参照されたい。
【0015】
CN109576180Aは広州市番禺区付近の郊外の赤土からスクリーニングした菌RDC-01を開示しており、16S rRNA遺伝子配列分析及び培養特性同定により、この菌株がロドコッカス・ルーバーであると同定された。この菌を不活化した後に、免疫アジュバントとして動物用の不活化ワクチンに添加すると、動物の抗体の産生を促進できることが示された。
【0016】
しかし、ロドコッカス・ルーバーをヒトの医学分野に適用するという報告はまだない。発明者は予期せずして、ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格及びそれを含む組成物のヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の治療における有益な使用を発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】中国特許出願公開第108862590号明細書
【文献】中国特許出願公開第107151635号明細書
【文献】中国特許出願公開第102250796号明細書
【文献】中国特許出願公開第1519312号明細書
【文献】中国特許出願公開第103627653号明細書
【文献】中国特許出願公開第101033454号明細書
【文献】中国特許出願公開第108130288号明細書
【文献】中国特許出願公開第104830738号明細書
【文献】中国特許出願公開第101619299号明細書
【文献】中国特許出願公開第103509833号明細書
【文献】中国特許出願公開第106434466号明細書
【文献】中国特許出願公開第101580808号明細書
【文献】中国特許出願公開第102604875号明細書
【文献】中国特許出願公開第103160491号明細書
【文献】中国特許出願公開第106591168号明細書
【文献】中国特許出願公開第106591172号明細書
【文献】中国特許出願公開第105820982号明細書
【文献】中国特許出願公開第109576180号明細書
【文献】中国特許出願公開第101250490号明細書
【文献】中国特許出願公開第101323865号明細書
【非特許文献】
【0018】
【文献】樊欣著、「ロドコッカス・ルーバーSD3の全ゲノム配列決定及びその熱ショックタンパク質DnaKの発現の分析」、ゲノム学と応用生物学、2019年1月
【文献】胡松青ら著、「現代の粒径測定技術」、現代化工、2002年、22:1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本開示のいくつかの実施態様のうち、一態様において、単離されたロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示のいくつかの具体的な実施態様において、2019年3月22日に中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センター(China General Microbiological Culture Collection Center,北京市朝陽区北辰西路1号院3号、中国科学院微生物研究所、郵便番号:100101)に寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバーを提供する。この寄託は「特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約(Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the Purposes of Patent Procedure)」の規定を満たす。
【0021】
本開示のいくつかの実施態様において、ロドコッカス・ルーバー及びその派生製品を提供する。前記派生製品はロドコッカス・ルーバー由来で、ロドコッカス・ルーバーの組成成分(例えばタンパク質、核酸、脂質、細胞壁及びその組成成分、炭水化物、代謝物)を含む。
具体的な実施態様において、単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁を提供する。
【0022】
具体的な実施態様において、単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁を提供し、前記ロドコッカス・ルーバーは寄託番号がCGMCC 17431の株のことを指す。
【0023】
具体的な実施態様において、単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格を提供する。
【0024】
具体的な実施態様において、単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格を提供し、前記ロドコッカス・ルーバーは寄託番号がCGMCC 17431の株のことを指す。
【0025】
本開示のいくつかの実施態様において、本開示におけるロドコッカス・ルーバーの細胞壁又はロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
本開示の一実施態様において、ロドコッカス・ルーバーを粉砕して得た生成物を含むロドコッカス・ルーバー製品を提供する。
【0027】
本開示の別のいくつかの実施態様において、ロドコッカス・ルーバーを粉砕してから精製(脂質除去、核酸除去、タンパク質除去)して得た生成物を含むロドコッカス・ルーバー製品を提供する。
【0028】
本開示の別のいくつかの実施態様において、ロドコッカス・ルーバーの細胞壁を含むロドコッカス・ルーバー製品を提供する。
【0029】
本開示の別のいくつかの実施態様において、ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格を含むロドコッカス・ルーバー製品を提供する。
【0030】
本開示の一実施態様において、ロドコッカス・ルーバーを粉砕して得た生成物を含む医薬組成物又は医療機器を提供する。
【0031】
本開示の別のいくつかの実施態様において、ロドコッカス・ルーバーを粉砕してから精製(脂質除去、及び/又は核酸除去、及び/又はタンパク質除去)して得た生成物を含む医薬組成物又は医療機器を提供する。
【0032】
本開示の別のいくつかの実施態様において、ロドコッカス・ルーバーの細胞壁を含む医薬組成物又は医療機器を提供する。
【0033】
本開示の別のいくつかの実施態様において、ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格を含む医薬組成物又は医療機器を提供する。
【0034】
本開示の別のいくつかの実施態様において、前記ロドコッカス・ルーバー製品を含む医薬組成物又は医療機器を提供する。
【0035】
具体的な実施態様において、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0036】
いくつかの実施態様において、医薬組成物中の前記ロドコッカス・ルーバー製品は1重量部であり、薬学的に許容される賦形剤は200~300重量部(例えば、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300及び任意の2つの前記数値の間の任意の値)である。
【0037】
別のいくつかの実施態様において、医薬組成物中のロドコッカス・ルーバーの細胞壁は1重量部であり、前記薬学的に許容される賦形剤は200~300重量部(例えば、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300及び任意の2つの前記数値の間の任意の値)である。
【0038】
さらにいくつかの実施態様において、医薬組成物中のロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は1重量部であり、前記薬学的に許容される賦形剤は200~300重量部(例えば、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300及び任意の2つの前記数値の間の任意の値)である。
【0039】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は液体(液体製剤)として製造できる。
【0040】
別のいくつかの実施態様において、医薬組成物は固体(乾燥粉末製剤又は凍結乾燥粉末製剤)として製造できる。
【0041】
当業者は、本開示の医薬組成物について、液体製剤及び乾燥粉末製剤(又は凍結乾燥粉末製剤)のどちらも相互に変換でき、含水量にしか違いはないということを理解できる。液体製剤中のほとんど又は全ての水を除去することで、乾燥粉末製剤(又は凍結乾燥粉末製剤)を得る。乾燥粉末製剤(又は凍結乾燥粉末製剤)を溶解(又は再溶解)させることで、液体製剤を得る。
【0042】
いくつかの実施態様において、医薬又は医薬組成物は軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、洗浄剤、チンキ剤、リニメント剤、オイル剤、ペースト剤、エアロゾル剤、トローチ剤、貼付剤、凍結乾燥粉末、懸濁液からなる群から選択される剤形として製造される。
【0043】
いくつかの実施態様において、剤形はトローチ剤である。例えば、凍結乾燥粉末を打錠することにより得られる。
【0044】
いくつかの実施態様において、前記薬学的に許容される賦形剤は充填剤、安定剤、矯味剤、崩壊剤、接着剤、潤滑剤であるが、これらに限定されない。
【0045】
本開示のいくつかの実施態様において、以下のステップを含むか、または以下のステップで構成されるロドコッカス・ルーバー製品の製造方法を提供する:
1)ロドコッカス・ルーバーを用意する;
2)前記ロドコッカス・ルーバーを培養する;
3)培養したロドコッカス・ルーバーを収集する;
4)培養した前記ロドコッカス・ルーバーを粉砕し、粉砕生成物を得る;
5.1)前記粉砕生成物に脂質除去操作を行う;
5.2)前記粉砕生成物に核酸除去操作を行う;
5.3)前記粉砕生成物にタンパク質除去操作を行う;
5.4)精製生成物を得る;
6)必要に応じて、前記精製生成物中の水を除去し、好ましくは凍結乾燥によって前記精製生成物中の水を除去する;
7)必要に応じて、個包装する;
8)前記ロドコッカス・ルーバー製品を得る;
ステップ5.1)、5.2)、5.3)は順序を入れ替えてもよく、同時に行ってもよい。ステップ6)とステップ7)は順序を入れ替えてもよく、同時に行ってもよい。
【0046】
必要に応じて、ステップ5)が(例えば非イオン性界面活性剤で)細胞膜を除去するステップを含んでもよい。
【0047】
ロドコッカス・ルーバーの培養は具体的な培地及び培養パラメータに制限はなく、当業者は公知の適切な方式で培養を行うことができ、製造規模に応じてシャーレ、培養フラスコ、発酵タンクを用いることができる。
【0048】
ロドコッカス・ルーバーの粉砕の目的は、細胞内の物質を除去することであり、よって超音波破砕、リゾチームなどの技術を用いることができる。当業者はグラム陽性菌を破砕する既知の方法又は将来的な方法のどれを用いても、本開示の技術的解決手段に適するということを理解できる。
【0049】
当業者には活性成分(細胞壁及びその組成成分)の後続の投与(例えば内服、注射、外用など)に応じて、培養、破砕、単離、収集、不純物除去、個包装の具体的なパラメータ及び機器を調整することで、後続の投与に影響する要素が製造ステップに導入されないようにする能力がある。
【0050】
いくつかの実施態様において、破砕した生成物中の脂質を有機溶媒で除去する。いくつかの実施態様において、破砕した生成物中のDNA及びRNAをヌクレアーゼで除去する。いくつかの実施態様において、破砕した生成物中のタンパク質をヒドロラーゼで分解する。いくつかの実施態様において、破砕した生成物中の細胞膜を界面活性剤で除去する。
【0051】
いくつかの実施態様において、粉砕後の平均粒径は10nm~1000nmであり、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190nm±10nm、及び上記の任意の2つの数値の間の範囲であってもよい。粒径の測定方法は多数ある(胡松青ら、現代の粒径測定技術、現代化工、2002年22:1)。
【0052】
いくつかの具体的な実施態様において、粉砕後の平均粒径は10nm~800nmである。
【0053】
別のいくつかの具体的な実施態様において、粉砕後の平均粒径は10nm~500nmである。
【0054】
いくつかの実施態様において、前記個包装とは容器に個包装することを指し、前記容器はボトル、チューブ、パック、袋、プレート、アンプル、注射装置、アルミ箔包装、ドレッシング材、カプセルからなる群から選択される。
【0055】
例えば、具体的な実施態様において、前記個包装とはボトル/アンプルに個包装することを指す。投与前に、ボトル/アンプルに溶媒を添加する。
【0056】
具体的には、本発明は一態様で、単離されたロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)の細胞壁骨格のヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医薬の製造における使用を提供し、
好ましくは、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来であり、
好ましい実施態様において、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は以下のステップにより得られる:
1)ロドコッカス・ルーバーを用意する;
2)前記ロドコッカス・ルーバーを培養する;
3)培養したロドコッカス・ルーバーを収集する;
4)培養したロドコッカス・ルーバーを粉砕し、粉砕生成物を得る;及び
5)得られた粉砕生成物中の脂質、核酸及びタンパク質を除去する。
【0057】
別の態様において、本発明は医薬組成物のヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医薬の製造における使用を提供し、前記医薬組成物は以下を含む:
単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格であって、好ましくは、2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来である、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格;及び
薬学的に許容される賦形剤。
【0058】
好ましくは、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は1重量部であり、前記薬学的に許容される賦形剤は200~300重量部であり、
好ましくは、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300及び任意の2つの数値の間の任意の値であり、好ましくは、前記薬学的に許容される賦形剤はデキストラン、トレハロース、グリシンキシリトール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エリスリトール、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム及びマンニトールからなる群から選択される。
【0059】
別の態様において、本発明が提供する単離されたロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)の細胞壁骨格又はそれを含む組成物は局所的使用に用いることができ、必要に応じて、前記局所的使用は局所的な皮膚もしくは粘膜下注射、又は局所的な皮膚もしくは粘膜塗布である。
【0060】
必要に応じて、本発明が提供する単離されたロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)の細胞壁骨格又はそれを含む組成物は軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、ゲル剤、洗浄剤、チンキ剤、リニメント剤、オイル剤、ペースト剤、凍結乾燥粉末、エアロゾル剤、坐剤、貼付剤又は懸濁剤として製造でき、好ましくは、前記医薬は凍結乾燥粉末として製造され、且つ投与前に凍結乾燥粉末を生理食塩水で希釈し、ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格の濃度を15μg/ml~500μg/mlにし、好ましい濃度は30~240μg/mlで、より好ましい濃度は30~120μg/mlで、最も好ましい濃度は30~60μg/mlである。
【0061】
別の態様において、本発明は単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格のヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医療機器の製造における使用を提供し、
好ましくは、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来であり、
前記医療機器は前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格、及び
必要に応じて、薬学的に許容される賦形剤を含み、
必要に応じて、前記医療機器は外用医療機器であり、好ましくはドレッシング材、貼付剤、包帯又はフィルムからなる群から選択され、好ましくは、前記ドレッシング材、貼付剤、包帯又はフィルムに濃度15μg/ml~500μg/ml、好ましくは濃度30~240μg/ml、より好ましくは濃度30~120μg/ml、さらに好ましくは濃度30~60μg/mlのロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格の懸濁液を浸み込ませる。
【0062】
具体的には、本発明は本発明における単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格又はそれを含む組成物の、皮膚、子宮頸部、膣、大陰唇、陰茎、肛門周囲、中咽頭、偏桃体及び口腔のヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医薬の製造における使用を提供する。
【0063】
別の態様において、本発明はヒトパピローマウイルス感染症を治療するための単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格を提供し、
好ましくは、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来である。
【0064】
別の態様において、本発明はヒトパピローマウイルス感染症を治療するための医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は以下を含む:
単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格であって、好ましくは、2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来である前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格;及び
薬学的に許容される賦形剤。
【0065】
好ましくは、前記ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は1重量部であり、前記薬学的に許容される賦形剤は200~300重量部であり、
好ましくは、前記ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は1重量部であり、前記薬学的に許容される賦形剤は200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300及び任意の2つの数値の間の任意の値である。
【0066】
本発明が提供するヒトパピローマウイルス感染症を治療するための単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は以下のステップにより得られる:
1)ロドコッカス・ルーバーを用意する;
2)前記ロドコッカス・ルーバーを培養する;
3)培養したロドコッカス・ルーバーを収集する;
4)培養したロドコッカス・ルーバーを粉砕し、粉砕生成物を得る;及び
5)得られた粉砕生成物中の脂質、核酸及びタンパク質を除去する。
【0067】
別の態様において、本発明はヒトパピローマウイルス感染症を治療する方法を提供し、前記方法はそれを必要とする被験対象に治療有効量の単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格を使用することを含み、
好ましくは、前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格は2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号の中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託した、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバー由来であり、又は前記単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格を含む組成物を使用することを含み、好ましくは、前記使用は局所的使用であり、好ましくは、前記局所的使用は皮膚もしくは粘膜塗布、又は皮膚もしくは粘膜下注射であり、
好ましくは、前記治療有効量の単位剤形は1μg~1000μg、好ましくは15μg~500μg、好ましくは30~240μg、より好ましくは30~120μg、さらに好ましくは30~60μgであり、
好ましくは、前記治療を1日に1~3回、2日に1~6回、3日に1~9回、1週間に1~14回、1か月に1~60回からなる群から選択される頻度で使用することで行い、さらに好ましくは、2日に1回使用することで行い、
好ましくは、前記治療を2日間~2か月継続し、さらに好ましくは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間又は8週間継続する。
【0068】
本願の文脈では、医薬又は医薬組成物における唯一の治療性(又は予防性)活性成分はロドコッカス・ルーバー由来の製品であり、特にロドコッカス・ルーバーの組成成分(例えばタンパク質、核酸、脂質、細胞壁及びその組成成分、炭水化物、代謝物)を含む製品であり、具体的にはロドコッカス・ルーバーの細胞壁(さらに好ましくはロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格又はその組成成分)を含む製品である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】ロドコッカス・ルーバーのコロニー形態である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
「単離」とは本開示のロドコッカス・ルーバーを当初の増殖環境から脱離させることを指す。
【0071】
当業者にとって、グラム陽性菌とグラム陰性菌の細胞壁の構造が異なることは既知である。具体的には、グラム陽性菌の方が細胞壁が厚く(通常は20nm~80nm)、約90%のペプチドグリカン及び約10%のタイコ酸(アルコール分子とリン酸分子で形成されるポリマーであり、通常は糖エステル又はアミノ酸エステルの形態で存在する)を含む。ペプチドグリカン層は緻密で、多い場合は20層に達する。しかし、グラム陰性菌の細胞壁はグラム陽性菌の細胞壁よりも薄い場合が多く、構造が複雑で、外膜(outer membrane)とペプチドグリカン層(通常は2nm~3nm)に分けられる。
【0072】
ペプチドグリカン層は細菌の細胞壁中の特有の成分で、ヘテロ多糖の誘導体の1つである。ペプチドグリカンモノマーごとに糖ユニット(例えば、少なくとも2種の糖分子がグリコシド結合で接続され、ペプチドグリカンの骨組み構造を構成するもの)、ペプチド末端(複数のアミノ酸が接続されて構成された短ペプチド鎖であり、N-アセチルムラミン酸分子に接続されるもの)、及びペプチドブリッジ(隣接する「ペプチド末端」を架橋して高強度のネットワーク構造を形成するもの)という3つの部分を含む。細菌が異なればペプチドブリッジ、ペプチド末端、架橋方式も異なる。
【0073】
単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁
本開示において、「単離されたロドコッカス・ルーバーの細胞壁」とは完全な細胞壁としてだけでなく、不完全な細胞壁(例えば、破砕されたもの、又は部分的に分解されたもの)として解釈することもできる。本開示の教示に基づき、当業者は、所望の活性を示す成分がロドコッカス・ルーバーの細胞壁(例えば、細胞壁自体又はその組成成分)由来のものであると理解できる。よって、臨床での適用において完璧な細胞壁、破砕された細胞壁、細胞壁の不完全な分解生成物、細胞壁の組成成分、細胞壁の抽出物などの各種形態を採用でき、これらはいずれも本開示の範疇に含まれる。
【0074】
細胞壁骨格
細胞壁の主な構造を構成する組成成分であるが、細胞壁の中の実体的な架橋ネットワークのみを表すとは解釈せず、当業者は実体的な架橋ネットワークに吸着、結合、保持される他の細胞壁成分を排除しないと理解できる。
【0075】
ロドコッカス・ルーバー
本開示の実施態様で用いるロドコッカス・ルーバーとはロドコッカス属(Rhodococcus)のロドコッカス・ルーバー種(Rhodococcus ruber)を指し、特定の細胞株に限定されない。
【0076】
限定されない例としてTOY7株(南京農業大学農業環境微生物菌種保存センター)、CGMCC No.4795、DSM43338、CCTCC No.2012035、CGMCC No.16640、CGMCC 17431を含む。
【0077】
ロドコッカス・ルーバーの同定
既知の又は将来的な微生物同定技術により、当業者は細菌株に分類学的同定を行うことができ、例えば採用可能な同定技術は形態学的特徴、生理生化学的特徴、16S rRNAなどを含む。当業者の理解では、科学技術の発展に伴い、同定技術は様々な手段に関連し、早い段階では主に形態学的同定方式及び生化学的同定方式を用いていたが、これらの方法は信頼性が低い。配列決定技術が出現してからは、当業者はより信頼性が高い方式で菌株の同定を行うことができるようになった。例えば、16S rRNAのDNA配列決定で97%以上の相同性を有していれば、2つの菌は同じ種に属すると判定される(華苟根ら、ロドコッカス属の分類及び応用研究の進展、微生物学通信、2003:30(4))。ロドコッカス・ルーバーについて、国際(又は国立)菌種保存センターに寄託された既知の菌株をモデル菌株として、比較を行う。
【0078】
剤形
本開示の医薬又は医薬組成物又は活性成分又は製品は、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、ゲル剤、洗浄剤、チンキ剤、リニメント剤、オイル剤、ペースト剤、凍結乾燥粉末、エアロゾル剤、坐剤、貼付剤、懸濁液、内服液、トローチ剤、スキンケア用品(洗顔料、化粧水、美容液、乳液、フェイスクリーム、フェイスマスク)の形態であってもよいが、それらに限定されない。
【0079】
賦形剤
本開示の賦形剤には例えば、デキストラン、ラクトース、微結晶性セルロース、トレハロース、グリシン、キシリトール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エリスリトール、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、噴射剤、保湿剤、溶媒、可溶化剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤を適用するが、それらに限定されない。具体的には、非限定的な例は、白色ワセリン、カルボマー、ヒプロメロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム、キトサン、スクラルフェートキトサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、ジメチルエーテル、テトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、グリセロール、プロピレングリコール、脱イオン水、注射用水、蒸留水、エタノール、セタノール、ステアリルアルコール、p-アミノ安息香酸、アミドエチル、イソプロパノール、トゥイーン、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸トリグリセロール、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、トリステアリン酸ソルビタン、ミリスチン酸イソプロピル、コレステロール、スクアレン、スクアラン、n-ブタノール、エチレングリコール、エタノール、プロピレングリコール、ポリグリセロールエステル、亜硫酸塩、システイン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ソルビン酸カリウム、リン酸緩衝液、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、エチレンジアミン、ラウリルアミン、重炭酸ナトリウム、塩酸、パラベン、チメロサール、クロロクレゾール、クロロブタノール、安息香酸及びそのナトリウム塩をさらに含む。
【0080】
製剤ユニット
本開示の医薬又は医薬組成物又は活性成分又は製品は、単位製剤(ユニット製剤)の形態で製造できる。
【0081】
いくつかの実施態様において、前記医薬(又は製剤、又は治療薬、又は医療機器)中の単位用量は以下を含む:
-0.001mg~500mgの前記ロドコッカス・ルーバー製品;又は
-0.001mg~500mgの前記ロドコッカス・ルーバーの細胞壁;又は
-0.001mg~500mgの前記ロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格。
【0082】
単位用量の具体例は0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500mg±10%、及び上記の任意の2つの数値の間の範囲である。
【0083】
「使用する」、「与える」、「供給する」、「処理する」という語を動物、ヒト、細胞、臓器又は生物サンプルに適用する場合、医薬(治療薬、活性成分又は組成物)を動物、ヒト、細胞、臓器又は生物サンプルに接触させることを指す。
【0084】
「治療する」とは、被験対象に医薬(治療薬、活性成分又は組成物)(例えば、本開示におけるロドコッカス・ルーバーの細胞壁又はその医薬組成物)を内服又は外用するように与え、治療する被験対象(又は集団)の1つ又は複数の疾患症状を、臨床で測定可能な程度まで緩和(軽減、遅延、改善、治癒)することを指し、前記被験対象は1つ又は複数の疾患又はその症状をすでに有しているか、有すると疑われるか、又は罹患しやすい対象である。
【0085】
任意の疾患の症状を効果的に緩和する医薬(治療薬、活性成分又は組成物)の量を治療有効量という。それはさまざまな要素、例えば被験対象の疾患の状態、年齢及び体重の変化に依存する。単一の被験対象の目的の疾患又はその症状を緩和させる際に、医薬(治療薬、活性成分又は組成物)が効果を発揮しない可能性があるが、本分野の既知の任意の統計学的検定方法(スチューデントのt検定、カイ二乗検定、マン・ホイットニーのU検定)により、医薬(治療薬、活性成分又は組成物)が目的の疾患又はその症状に対して統計学的に有効であると確定できると理解すべきである。
【0086】
「必要に応じて」とは後文に記載の事項が発生する可能性があるが、必ずしも発生するとは限らず、状況に応じて設定する必要があるということを意味する。例えば、「必要に応じて、個包装する」とは製品を個包装することが許容されるが、必ずしも個包装する必要はなく、個包装は技術的効果の達成に影響しないということを意味する。
【0087】
「1つの」、「単一の」、「この」は、明確な説明がなくても、複数の形態を含む。
【0088】
以下の実施例、製造例及び試験例を組み合わせて、本開示をさらに説明するが、これらの実施例、製造例及び試験例は本開示の範囲に限定されない。具体的な条件が注記されていなければ、一般的な条件、及び原料供給業者が提案している条件に従って操作を行う。具体的な供給源が注記されていない試薬は、市場で購入した一般的な試薬である。
【0089】
当業者は、以下の具体例に特定の細胞株を用いることができるが、技術的効果を達成するのはこの特定の細胞株に限定されず、ロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)の任意の種をいずれも適用できるということを特に理解できる。
【0090】
実施例
実施例1.菌株の保存
発明者は実験室で保存していた当代の菌株を2019年3月22日に北京市朝陽区北辰西路1号院3号、中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに寄託し、その寄託番号はCGMCC 17431である。試験の結果、寄託した菌株が生存していることが示された。
【0091】
実施例2.菌株の同定
1.コロニー形態の特徴の肉眼での観察
グリセロール寒天培地で、30~37℃(具体的には32~35℃)で12~72(具体的には36~60、例えば40~50)時間培養すると、以下が分かった(
図1):
-コロニーが隆起する;
-赤みの橙色を呈する(光線、培地の色などの影響で、僅かな違いもある);
-表面が乾燥してひび割れ、僅かに光沢を有する(培養条件の違いにより、僅かな違いもある);
-触れるとすぐに砕ける;
-コロニーのサイズは約1mm~2mmである(培養条件の違いにより、僅かな違いもある)。
【0092】
2.顕微鏡での観察
-菌体が分枝状を呈し、横隔膜を有し、菌糸体を形成している(培養条件の違いにより、僅かな違いもある);
-菌糸の分裂により短くて太い規則的な細胞を形成している(培養条件の違いにより、僅かな違いもある);
-4~5日間培養すると、菌体が短桿状又は球状になる(培養条件の違いにより、僅かな違いもある)。
【0093】
3.染色性
グラム染色法によれば、陽性である。
【0094】
4.生化学的反応
グリセロール寒天傾斜培地を用意し、30~37℃(具体的には32~35℃)で12~72(具体的には36~60、例えば40~50)時間培養する。次に、培養物に以下の各試験を行う。
【0095】
4.1 炭水化物の酸産生:
【表1】
4.2 酵素活性の測定(API ZYM):
【表2】
4.3 硝酸塩還元反応で陽性、カタラーゼで陽性、チロシナーゼで陽性、アミラーゼで陰性、オキシダーゼで陰性、ゼラチン液化で陰性を呈する。
【0096】
4.4 唯一の炭素源:
【表3】
4.5. 16S rRNA同定
作業用シードチューブ内の単離された15株の菌及び当初のシードチューブ内の単離された10株の様々な菌にゲノム抽出を行い、16Sr RNA増幅し、配列決定する。合計25株の菌の16Sr RNA遺伝子相同性は100%であった。これは25株の菌が同じ種属であることを意味する(
図2)。
【0097】
また、Kimura2パラメータアルゴリズムで構築したneighbor-joining菌株の系統樹によれば、菌株がRhodococcus ruberに属するという結果が示された。
【0098】
製造例
製造例1.培養方法
1.一般的な微生物生産方法で、寄託番号CGMCC 17431のロドコッカス・ルーバーを培養する。
【0099】
2.培養方法は固体培養でも液体培養でもよい。
【0100】
3.培地中の栄養源には特に規定はなく、微生物培養に一般的に用いられる炭素源、窒素源、他の栄養源を培地中に含んでいればよい。
【0101】
-炭素源はロドコッカス・ルーバーが利用できる任意の炭素源である。例えば、フルクトース、グルコースなど。
【0102】
-窒素源はブイヨン、ペプトン、アンモニウム塩、硝酸塩及び他の有機又は無機窒素化合物である。
【0103】
-他の栄養源としていくつかの無機塩類を適切に添加できる。例えばNaCl、リン酸塩類。
【0104】
4.培養条件(温度、時間など)には厳格な制限はなく、当業者は初歩的な小規模パイロット試験データから、生産量を最も多くする条件を自ら選択できる。
【0105】
5.一例として、以下の培養条件でロドコッカス・ルーバーを発酵させる:
(1)培地組成は以下を含む:
ペプトン、ビーフブイヨン、塩化ナトリウム、リン酸塩、グリセロール(及び固体培養の場合、必要に応じて寒天)。
【0106】
(2)培養の方法パラメータは以下のとおりである:
作業用菌種を再生してから、固体培養媒体に移して3~5日間維持し、次に液体に移して培養し(30~37℃で、3~5日間維持する)、補助材料半連続バッチ供給モードを採用でき、バッチ供給モードも採用できる。培養期間はpH、細菌密度、溶存酸素、炭素源の消費をモニタリングする。
【0107】
製造性2.菌体の破砕
製造例1で得た菌を収集し、細胞を粉砕する(例えば超音波によって破砕するが、それに限定されない)。本分野で任意の適切な公知の方、例えばCN101250490A又はCN101323865Aでも菌体を破砕できる。
【0108】
顕微鏡下で粉砕の状況をチェックし、視野ごとの形状を保った菌の数が5個を超えてはならず、複数(10~30)の視野をチェックしていずれもこの基準を満たしていればよい。
【0109】
製造例3.核酸の除去、脂質の除去、夾雑タンパク質の除去、細胞膜の除去
1.核酸の除去:
破砕上清に遠心分離を行い、取得した沈殿物にDNA分解酵素及びRNA分解酵素を添加し、酵素の供給業者が提案している操作に従って核酸を除去する。
【0110】
2.タンパク質の除去:
沈殿物に一般的なプロテアーゼ(例えばトリプシナーゼ)を添加し、酵素の供給業者が提案している操作に従ってタンパク質を除去する。
【0111】
3.脂質の除去:
沈殿物に有機試薬(例えばアセトン、エーテル、エタノールのうちの1つ又はそれらの組み合わせであるが、それらに限定されない)を添加し、本分野の一般的な操作に従って脂質を除去する。
【0112】
4.細胞膜の除去:
沈殿物にTritonX-100を添加し、本分野の一般的な操作に従って、沈殿物を遠心力で収集し、PBSで洗浄する。
【0113】
不純物を除去する上記ステップの間で、当業者は順番を調整でき、ステップの間に互換性を持たせることができると理解すべきである。細胞壁以外の成分を除去した後に、沈殿物を注射用水に再溶解しておく。必要に応じて、115℃で20~30分間滅菌し、細胞壁骨格の原液(細胞壁骨格及びその組成成分を主に含む)とすることができる。
【0114】
5.収量
159本のコレフラスコから菌液653ml(破砕後)を収集でき、湿重量での収量は138gで、細胞壁骨格の収量は約0.87g/コレフラスコであった。
【0115】
製造例4.医薬組成物の製造方法
1.製造例3で得た生成物に賦形剤(例えばデキストラン40、マンニトール又はトレハロース)を添加する。容器に充填することで、医薬組成物を得る。
【0116】
【表4】
2.製造例3で得た生成物(活性成分30μg~120μg)をドレッシング材に塗布することで、外用医療機器として製造する。
【0117】
3.第1項の医薬組成物を凍結乾燥させることで、凍結乾燥粉末(番号はそれぞれ組成物1~7)を得る。
【0118】
4.品質検査(組成物1を例とする)
【表5】
試験例
試験例1.薬理試験
1.ヒトの臨床用量の20、40、80倍をネコに静脈注射した後に、麻酔をして血圧、呼吸、心拍数及び心電を測定したが、明らかな影響はなかった。
【0119】
2.ヒトの臨床用量の1000倍をマウスに静脈注射したが、運動協調性及び学習記憶能力に明らかな影響はなかった。
【0120】
本発明の医薬組成物(組成物1~組成物7)は動物の精神、神経系、心血管系、呼吸器系にいずれも明らかな影響がないということが分かった。
【0121】
試験例2.安全性試験
1.無菌試験:
結果は陰性であり、無菌であることが証明された。
【0122】
2.マウス急性毒性試験:
試験群に皮下注射及び腹腔内注射の方法でそれぞれ投与を行い、その用量はヒトの用量の5倍であり、対照群には滅菌生理食塩水0.5ml/本を注射し、7~8日間観察し続けた。マウスの状態は良好で、体重に異常はなく、マウスの各臓器に異常はなかった。
【0123】
3.慢性毒性試験:
臨床用量の30倍を1日に1回、イヌの膣に3か月間投与し続けたが、毒性作用は見られず、心電図、血液生化学的指標が正常な範囲内にあった。投与を終了してから2週間後にも、遅延毒性は見られなかった(組成物1~組成物7)。
【0124】
試験例3.安定性試験
常温(18~25℃)で0、1、2、3、8、14、21か月間放置したが、この医薬組成物のアラニン含有量、ムラミン酸含有量、貪食率、貪食指数は試験開始時と比較して、統計学的に有意な差がなかった(3回試験した)。
【0125】
以上から、凍結乾燥粉末製剤の医薬組成物は24か月間安定的に保存できる(組成物1~組成物7)。
【0126】
試験例4.貪食試験
マクロファージは単核貪食細胞系の主な細胞であり、貪食細胞は抗原刺激を受けると活性化し、貪食機能を顕著に増強することができる。マウスの体内で腹腔マクロファージの産生を誘導してから、マウスにニワトリ血液の赤血球を腹腔内注射し、30分後にマウスを死亡させて腹腔液を取り出し、染色を行い、顕微鏡下で赤血球の貪食のパーセンテージを計数することで、マクロファージの殺傷能力を判定し、生体の非特異性免疫レベルを間接的に測定する。
【0127】
本願の組成物1を用いて試験を行うと、貪食率は75%で、貪食指数は1.05であった。陰性対照(賦形剤)及びブランク対照(生理食塩水)の貪食率及び貪食指数はいずれも低かった。これは本願の細胞壁骨格の免疫貪食促進能力が高いことを示している。
【0128】
効果例:本発明のロドコッカス・ルーバーの細胞壁生成物の、HPV感染者の治療における使用
発明者が発見した本願のロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格の免疫貪食促進能力に鑑みて、発明者は以下の方法を用いて、本発明の方法で得たロドコッカス・ルーバーの細胞壁生成物のヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に対する治療効果を評定した。
【0129】
本分野のHPVの検査方法は、通常は以下の数種類があるということが知られている:
1、細胞学塗抹検査方法:
つまりかつて一般的に採用されていたパパニコロウ染色検査方法であり、塗抹検査方法ともいう。採取した子宮頸部分泌物をスライドガラスに塗抹し、顕微鏡で観察し、主に胞状細胞又は角化細胞があるか否かを検査し、検出率は70~76%である。
【0130】
2、液基薄層細胞学検査方法(TCT):
専用ブラシを用いて子宮頸部から標本を採取し、次に細胞保存液を用いて採取した標本中の不純物を分離させ、非常に薄い透明な細胞塗抹標本を形成することで、HPVがあるかないかを検出でき、どの種別のどのタイプであるかを確定できる。TCTともいう。検出率は70~95%である。
【0131】
3、免疫組織化学検査方法
HPVで動物に免疫を付与し、精製されたポリクローナル抗体で組織のHPV抗原をチェックし、PAP法でウイルスタンパク質を示すことで、ウイルス抗原があることを証明する。HPVタンパク質が陽性である場合、上皮細胞内に薄い赤色の弱い陽性反応が出現し、胞状細胞核内に茶褐色の粒子状の沈着が見られる。しかし検出率は40~60%しかなく、感度が低く、タイプを判断することができない。
【0132】
4、HPV DNA検査方法:
(1)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR):
へら又は生理食塩水を浸み込ませた綿棒で膣と外子宮口から分泌物を採取し、遠心分離、洗浄などの方法でHPVのDNAを取得し、PCR増幅及びゲル電気泳動を行い、観察された電気泳動と標本を比較することで診断を行うことができる。簡単であるが、位置を合わせることができず、ウイルスの生死が分からない。
【0133】
(2)DNA分子交雑法PCK:
HPV DNA分子交雑技術、CP-14免疫交雑法を用いる。400倍の蛍光顕微鏡で3つ以上の蛍光点が見えれば陽性である。タイプを判定でき、ハイブリダイゼーションによりHPV-DNA列を検出でき、PCR検出により特異性HPV-DNA増幅領域が分かる。しかし煩雑で、高価であり、一定の機器及び条件が求められる。
【0134】
発明者は本発明の表1において製造した組成物1の凍結乾燥粉末を採用し、投与する前に生理食塩水で30μg/ml~60μg/mlに希釈し、子宮頸部にHPV感染が起こっている被験対象から、子宮頸部への局所注射又は子宮頸部への塗布により、本発明のロドコッカス・ルーバーの細胞壁成分を含有する組成物の、子宮頸部へのHPV感染の治療における使用について検討した。
【0135】
上記細胞学塗抹検査方法及びTCT方法でHPV感染患者であると診断し、患者に「同意書」にサインさせた後に、感染部位に本発明の組成物を塗布するか、又は本発明の組成物を局所注射することで、患者に治療を行う。
【0136】
総合的な治療方法は、1日に1回、本発明の組成物を使用し、20日間を1クールとし、月経の期間は投薬を休止するというものである。
【0137】
結果
【表6-1】
【表6-2】
試験期間において、対照群の5症例に対して活性成分を含まないデキストラン40溶液を子宮頸部に塗布又は注射して治療を行ったが、治療前後のHPV陽性にいずれも変化はなかった。
【0138】
上記結果から分かるように、本発明のロドコッカス・ルーバーの細胞壁骨格の希釈製剤はヒトパピローマウイルスHPV感染症を効果的に治療でき、ウイルスの陰転率は100%に達する。
【配列表】