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特許7572063線維化測定装置、線維化測定方法および特性測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】線維化測定装置、線維化測定方法および特性測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0507 20210101AFI20241016BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61B5/0507 100
A61B8/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021542585
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025888
(87)【国際公開番号】W WO2021039104
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2019153856
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2018年第79回応用物理学会 秋季学術講演会予稿集 発表番号 18a-231B-4 公益社団法人応用物理学会 平成30年9月5日発行
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】生嶋 健司
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/055057(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/165295(WO,A1)
【文献】特表平04-500896(JP,A)
【文献】特表2017-523423(JP,A)
【文献】IKUSHIMA Kenji et al.,Electric Polarization of Soft Biological Tissues Induced by Ultrasound Waves,Physical Review Letters,2019年12月03日,vol.123, Iss.23,238101-1~238101-5
【文献】生嶋健司 ほか,生体機能の非侵襲検査へ向けた新たな取り組み-超音波で電気・磁気を測る-,マテリアルインテグレーション,日本,2010年09月30日,23巻, 9号,31-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
A61B 5/24-5/398
A61B 8/00-8/15
G01N 27/72-27/90
G01R 33/00-33/64
G01N 29/00-29/52
G01N 24/00-24/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定装置であって、
測定対象の生体組織の複数の箇所に音波が集中するように、前記生体組織の表面にわたってスキャンして前記音波を照射する音波照射器と、
前記音波が照射された生体組織の各箇所で発生する電磁波を受信する電磁波受信器と、
前記電磁波受信器が受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、前記生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する信号抽出部と、
前記信号抽出部が抽出した信号を二次元画像として画像化する画像化部と、
前記二次元画像において、前記特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた前記信号の強度の閾値に相当する面積と比較する面積比較部と
を備えることを特徴とする線維化測定装置。
【請求項2】
前記生体組織の各箇所からのエコー信号を受信するエコー受信器をさらに備え、
前記信号抽出部は、前記音波照射器が音波を照射した時から起算して、前記エコー受信器がエコー信号を受信した時間の半分の時間で受信した前記特性を示す信号を前記エコー信号と関連付けて抽出することを特徴とする請求項1に記載の線維化測定装置。
【請求項3】
前記音波照射器と前記生体組織との間に遅延材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の線維化測定装置。
【請求項4】
前記生体組織は、臓器、筋肉または皮膚のいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の線維化測定装置。
【請求項5】
前記生体組織は腎臓であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線維化測定装置。
【請求項6】
前記特性を示す信号が表示された部分の面積は、前記信号の強度で重み付けされて計算されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の線維化測定装置。
【請求項7】
生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定装置であって、
測定対象の生体組織に音波が集中するように、前記音波を照射する音波照射器と、
前記音波が照射された生体組織で発生する電磁波を受信する電磁波受信器と、
前記電磁波受信器が受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、前記生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する信号抽出部と、
前記信号抽出部が抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較する信号強度比較部とを備えることを特徴とする線維化測定装置。
【請求項8】
前記生体組織からのエコー信号を受信するエコー受信器をさらに備え、
前記信号抽出部は、前記音波照射器が音波を照射した時から起算して、前記エコー受信器がエコー信号を受信した時間の半分の時間で受信した前記特性を示す信号を前記エコー信号と関連付けて抽出することを特徴とする請求項7に記載の線維化測定装置。
【請求項9】
前記音波照射器は、測定対象の生体組織を覆う体表面の曲率と略同じ曲率を有することを特徴とする請求項7または8に記載の線維化測定装置。
【請求項10】
生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定方法であって、
測定対象の生体組織の複数の箇所に音波が集中するように、前記生体組織の表面にわたってスキャンして前記音波を照射するステップと、
前記音波が照射された生体組織の各箇所で発生する電磁波を受信するステップと、
受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、前記生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出するステップと、
抽出した信号を二次元画像として画像化するステップと、
前記二次元画像において、前記特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた前記信号の強度の閾値に相当する面積と比較するステップとを備えることを特徴とする線維化測定方法。
【請求項11】
生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定方法であって、
測定対象の生体組織の複数の箇所に音波が集中するように、前記生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射するステップと、
前記音波が照射された生体組織の各箇所からのエコー信号と、前記音波が照射された生体組織の各箇所で発生する電磁波とを受信するステップと、
受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、前記生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を、前記エコー信号と関連付けて抽出するステップと、
抽出した信号を二次元画像として画像化するステップと、
前記二次元画像において、前記特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた前記信号の強度の閾値に相当する面積と比較するステップとを備えることを特徴とする線維化測定方法。
【請求項12】
生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定方法であって、
測定対象の生体組織に音波が集中するように、前記音波を照射するステップと、
前記音波が照射された生体組織で発生する電磁波を受信するステップと、
受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、前記生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出するステップと、
抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較するステップとを備えることを特徴とする線維化測定方法。
【請求項13】
生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定方法であって、
測定対象の生体組織に音波が集中するように、前記音波を照射するステップと、
前記音波が照射された生体組織からのエコー信号と、前記音波が照射された生体組織で発生する電磁波とを受信するステップと、
受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、前記生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を、前記エコー信号と関連付けて抽出するステップと、
抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較するステップとを備えることを特徴とする線維化測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の線維化を測定する線維化測定装置、生体組織の線維化を測定する線維化測定方法および測定対象物の特性を測定する特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が開発した測定技術「音響誘起電磁法」(以下、「ASEM法」(Acoustically Stimulated EM Method)ともいう)は、音波を照射することにより測定対象物の電荷や磁化に変調を加え、測定対象物の電気的特性や磁気的特性に関する情報を電磁放射の形で外部発信させるものである(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開番号WO2007/055057
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心臓、腎臓、肝臓および肺など、脳を除く主要な臓器では、炎症等により活性化した線維芽細胞がコラーゲンを多量に産生し、組織が線維化されることがある。コラーゲン線維化は、臓器の慢性疾患において普遍的に認められる組織変性であるため、医師が治療介入を判断するときの重要な指標となっている。例えば心筋梗塞の場合、虚血により心筋細胞が壊死すると、壊死した細胞の跡を埋めるようにコラーゲンの蓄積が起こり、心臓が線維化する。また難病指定されている拡張性心筋症や心サルコイドーシスでも、心筋の線維化が診断基準の1つとなっている。腎臓や肝臓においても、慢性不全の場合に組織は線維化する。例えば肺線維症は、ガス交換を行う上皮組織が慢性炎症によりコラーゲン線維化し、呼吸困難をきたす致死的疾患である。線維化はまた、骨格筋といった筋肉や皮膚などの生体組織でも発生することが知られている。
【0005】
こうした線維化の検査で現在主流となっているものは、患者から摘出された組織を染色して光学顕微鏡で観察する生検である。生検は、患者への負担が大きく、高齢者には適用できない場合がある。そこで、病態評価や予後予測をより頻繁に検査することのできる非侵襲な測定技術が求められている。各臓器、疾患に対し、MRI、X線、エラストグラフィ、バイオマーカーの探索といった多くの非侵襲測定技術の開発が進められているが、線維化を直接的に測定できる手法はまだ十分確立されていない。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体組織の線維化を非侵襲に測定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の装置は、生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定装置であって、測定対象の生体組織の複数の箇所に音波が集中するように、生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射する音波照射器と、音波が照射された生体組織の各箇所で発生する電磁波を受信する電磁波受信器と、電磁波受信器が受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する信号抽出部と、信号抽出部が抽出した信号を二次元画像として画像化する画像化部と、二次元画像において、特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた前記信号の強度の閾値に相当する面積と比較する面積比較部とを備える。
【0008】
生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定装置は、生体組織の各箇所からのエコー信号を受信するエコー受信器をさらに備えてもよい。このとき信号抽出部は、音波照射器が音波を照射した時から起算して、エコー受信器がエコー信号を受信した時間の半分の時間で受信した特性を、エコー信号と関連付けて抽出してもよい。
【0009】
音波照射器と生体組織との間に遅延材が備えられてもよい。
【0010】
生体組織は、臓器、筋肉または皮膚のいずれかを含んでもよい。
【0011】
生体組織は、腎臓であってもよい。
【0012】
特性を示す信号が表示された部分の面積は、信号の強度で重み付けされて計算されてもよい。
【0013】
本発明の別の態様もまた、装置である。この装置は、生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定装置であって、測定対象の生体組織に音波が集中するように、音波を照射する音波照射器と、音波が照射された生体組織で発生する電磁波を受信する電磁波受信器と、電磁波受信器が受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する信号抽出部と、信号抽出部が抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較する信号強度比較部とを備える。
【0014】
生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定装置は、生体組織からのエコー信号を受信するエコー受信器をさらに備えてもよい。信号抽出部は、音波照射器が音波を照射した時から起算して、エコー受信器がエコー信号を受信した時間の半分の時間で受信した特性を示す信号をエコー信号と関連付けて抽出してもよい。
【0015】
音波照射器は、測定対象の生体組織を覆う体表面の曲率と略同じ曲率を有してもよい。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、方法である。この方法は、生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定方法であって、測定対象の生体組織の複数の箇所に音波が集中するように、生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射するステップと、音波が照射された生体組織の各箇所で発生する電磁波を受信するステップと、受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出するステップと、抽出した信号を二次元画像として画像化するステップと、二次元画像において、特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた前記信号の強度の閾値に相当する面積と比較するステップとを備える。
【0017】
本発明のさらに別の態様もまた、方法である。この方法は、生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定方法であって、測定対象の生体組織の複数の箇所に音波が集中するように、生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射するステップと、音波が照射された生体組織の各箇所からのエコー信号と、音波が照射された生体組織の各箇所で発生する電磁波とを受信するステップと、受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を、エコー信号と関連付けて抽出するステップと、抽出した信号を二次元画像として画像化するステップと、二次元画像において、特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた信号の強度の閾値に相当する面積と比較するステップとを備える。
【0018】
本発明のさらに別の態様もまた、方法である。この方法は、生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定方法であって、測定対象の生体組織に音波が集中するように、音波を照射するステップと、音波が照射された生体組織で発生する電磁波を受信するステップと、受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出するステップと、抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較するステップとを備える。
【0019】
本発明のさらに別の態様もまた、方法である。この方法は、生体組織の線維化を非侵襲に測定する線維化測定方法であって、測定対象の生体組織に音波が集中するように、音波を照射するステップと、音波が照射された生体組織からのエコー信号と、音波が照射された生体組織で発生する電磁波とを受信するステップと、受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を、エコー信号と関連付けて抽出するステップと、抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較するステップとを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、装置である。この装置は、測定対象物の特性を測定する特性測定装置であって、測定対象物に音波が集中するように、音波を照射する音波照射器と、音波が照射された測定対象物で発生する電磁波を受信する電磁波受信器と、電磁波受信器が受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、測定対象物の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する信号抽出部を備える。電磁波受信器は、コイルとコンデンサとを備える共振回路と、コイルとコンデンサとの間に配置された静電アンテナとを備える。
【0021】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、生体組織の線維化を非侵襲に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】測定対象物に音波を照射して誘起される電場と磁場の様子を示す模式図である。
図2】第1実施の形態に係る線維化測定装置の機能ブロック図である。
図3】第2実施の形態に係る線維化測定装置の機能ブロック図である。
図4図4(a)~4(b)は、電磁波受信器とエコー受信器とが受信した信号の時間変化を表すグラフである。図4(a)は、電磁波受信器が受信した信号の時間変化を表すグラフである。図4(b)は、エコー受信器が受信した信号の時間変化を表すグラフである。
図5】遅延材を備えた線維化測定装置の模式図である。
図6】第3実施の形態に係る線維化測定装置の機能ブロック図である。
図7】第4実施の形態に係る線維化測定装置の機能ブロック図である。
図8】第5実施の形態に係る線維化測定方法のフロー図である。
図9】第6実施の形態に係る線維化測定方法のフロー図である。
図10】第7実施の形態に係る線維化測定方法のフロー図である。
図11】第8実施の形態に係る線維化測定方法のフロー図である。
図12】第9実施の形態に係る特性測定装置の機能ブロック図である。
図13図12の特性測定装置の電磁波受信器の模式図である。
図14】大動脈壁とアキレス腱の場合の、Vsig・Rのh/Rに対する依存性を示すグラフである。
図15図15(a)~15(d)は、正常なラットの腎臓と、腎不全により線維化の発生したラットの腎臓の写真である。図15(a)は正常な腎臓の表側、図15(b)は腎不全の腎臓の表側、図15(c)は正常な腎臓の裏側、図15(d)は腎不全の腎臓の裏側である。
図16図16(a)~16(d)は、図16(a)~16(d)の腎臓に対し、図3の線維化測定装置を用いて信号を画像化した写真である。図16(a)は正常な腎臓の表側、図16(b)は腎不全の腎臓の表側、図16(c)は正常な腎臓の裏側、図16(d)は腎不全の腎臓の裏側である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、ステップ、部材には同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示す。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要でない部材の一部は省略して表示する。また、第1、第2などの序数を含む用語が多様な構成要素を説明するために用いられるが、こうした用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0025】
[音響誘起電磁法(ASEM法)]
具体的な実施の形態を説明する前に、基礎的な知見として音響誘起電磁法(ASEM法)の概要を説明する。超音波計測は、人体や構造物への非破壊検査として広く利用されてきた。その重要な利点の1つは、超音波は、光の透過が困難な生体、金属、コンクリートブロックのような対象物に対する内部透過性が高いことにある。さらに音速と光速との大きな違いに起因して、音波は電磁波に比べて同一周波数で波長が約5桁短い。これは、実時間波形の取得が容易なMHz、GHzの周波数帯において、ミリメータ、マイクロメータのオーダのフォーカス(すなわち空間分解能)が可能であることを意味する。しかしながらこうした利点にも関わらず、超音波の利用の多くは、対象物の質量密度分布や弾性的特性の検査に限られている。すなわち従来の超音波計測は、「傷や異物」は検知するが、「電気や磁気」はプローブしない。
【0026】
弾性波である音波は、電磁波のように電気的特性・磁気的特性と直接的に結合することはない。しかしながら、弾性変調は,固体の格子歪みや液体の密度変化を通して、しばしば対象物の電荷や磁気モーメントに時間変調を与えることができる。これは、超音波を照射すると、双極子放射により超音波と同一周波数の電磁波(通常は、RF波-マイクロ波)が発生し得ることを意味する。このように、超音波などの音波によって励起される電磁波を「音響誘起電磁波」(または「ASEM波」)と呼ぶ。
【0027】
音波収束ビームを対象物に照射することにより、当該対象物の局所的なイオン濃度や、それに伴う媒体の電束密度勾配に時間・空間変調を与え、電磁放射を誘発することができる。音響誘起電磁法はこの原理を利用した測定法である。すなわち音響誘起電磁法は、音波を照射することにより測定対象物の電荷や磁化に変調を加え、測定対象物の電気的特性や磁気的特性に関する情報を音響誘起電磁波の形で外部発信させるものである。前述のように,音波は電磁波よりも同一周波数で空間分解能を5桁高くすることができる。例えば、10MHzの電波の波長が30mであるのに対して、水中音波の波長は150μmである。従って、音波収束ビームの走査により、対象物を高分解能で画像化することが可能となる。
【0028】
図1に測定対象物に音波を照射して誘起される電場と磁場の様子を模式的に示す。図1では、音波集束ビーム1が被測定対象の部分2に集束している様子が示されている。丸印で囲んだ+および-の記号は、それぞれ正の荷電粒子3および負の荷電粒子4を示す。音波集束領域2では、正の荷電粒子3と負の荷電粒子4との濃度のバランスが崩れ、正の荷電粒子3が負の荷電粒子4よりも多い電荷分布状態が示されている。一方、音波集束領域2の外の領域では、正の荷電粒子3と負の荷電粒子4の濃度が釣り合っている。矢印5は音波集束ビーム1の音波振動方向を示しており、電場の向きに対応する。
【0029】
図1に示されるように、正の荷電粒子3および負の荷電粒子4は、音波集束ビーム1の照射によって音波の振動方向(矢印5)に音波と同じ振動数で振動する。このとき、正の荷電粒子3および負の荷電粒子4の振動により、振動方向5に平行な電場と振動方向5に垂直な面内で発生する磁場(矢印6)が誘起される。正の荷電粒子3と負の荷電粒子4が同一の振動をすることによって発生する電場または磁場は位相が互いにπずれているので、これらは互いに打ち消しあう。従って音波集束領域2の外の領域では、正味の電場または磁場は誘起されない。一方、音波集束領域2では、負の荷電粒子4よりも正の荷電粒子3が多い電荷分布状態であるので、電場または磁場は互いに完全に打ち消し合わず、正味の電場または磁場が誘起される。従って、音波によって誘起される電場または磁場を測定し、電場または磁場の強度変化が観測できれば、電荷分布に変化が生じたこと、すなわち正の荷電粒子3または負の荷電粒子4の濃度のいずれかに変化が生じこと、またはその両方の濃度に変化が生じたことが分かる。このように、音波によって誘起される電場または磁場の測定から、被測定対象中の荷電粒子の特性値、この場合その濃度の変化を測定することができる。
【0030】
以下、電場と磁場を総称して電磁場と呼ぶ。図1では、音波によって誘起される電磁場の測定から、荷電粒子の濃度変化を測定する例を示した。しかしながら、測定可能な荷電粒子の特性値の変化は濃度に限られず、質量、サイズ、形状、荷電数、または荷電粒子を取り囲む媒体との相互作用力の変化なども含まれる。例えば、被測定対象の状態に関する他の知見などから、濃度、質量、サイズ、形状、および荷電数の変化が起こり得ない状態であることが分かれば、測定した電磁場の強度変化は、荷電粒子を取り囲む媒体との相互作用力の変化に結びつけることができる。従って、例えば測定した電磁場の強度変化を、電子分極率または陽イオン分極率の変化に結びつけることができる。
【0031】
特に、被測定対象に音波を照射し、この被測定対象で発生する電磁波を受信し、受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、被測定対象の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出することができる。このとき被測定対象の電気的特性として、電場、誘電率、電場または誘電率の空間勾配、被測定対象の有する荷電粒子における濃度、質量、寸法、形状、荷電数、荷電粒子を囲む媒体との相互作用からなる群から選択される少なくとも1種の特性値の変化を測定することができる。また被測定対象の磁気的特性として、被測定対象の電子スピンまたは核スピンに起因した磁化、被測定対象の電子スピン、または核スピンに起因した音響磁気共鳴を測定することができる。さらに被測定対象の電気機械特性および磁気機械特性として、被測定対象の圧電特性または磁歪特性を測定することができる。このように音響誘起電磁法は、物体内部の測定対象物の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性などを、非破壊かつ高分解能で測定することができる。
【0032】
生体組織において線維化が発生あるいは進行した部分は、線維化のない部分に対して、電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性などが異なる。従って、音響誘起電磁法を利用することで、生体組織の線維化を非侵襲で測定することができると考えられる。
【0033】
[第1実施の形態]
図2に第1実施の形態に係る線維化測定装置100の機能ブロックを示す。線維化測定装置100は、生体組織の線維化を非侵襲に測定する。線維化測定装置100は、音波照射器10と、電磁波受信器20と、信号抽出部30と、画像化部40と、面積比較部50とを備える。
【0034】
音波照射器10は、超音波などの音波USを発生し、測定対象の生体組織ORの複数の箇所に音波USが集中するように、生体組織ORの表面にわたってスキャンして音波USを照射する。人や動物の身体BD内部の生体組織ORの1箇所に音波USを集中させるためには、例えば、生体組織ORの箇所PO1を通る法線が1つの焦点に集束する曲面形状を有した凹曲面上に圧電素子を複数配列し、これら複数の圧電素子から同時に音波USを発生し、凹曲面が定める焦点がPO1と一致するように個々の音波USを照射すればよい(音波レンズ法)。こうした音波レンズを生体組織ORの回りに機械的にスキャンすることによって、生体組織ORの複数の箇所PO1、PO2、PO3、...、POnに音波USを集束することができる。PO1、PO2、PO3、...、POnが生体組織OR上を埋め尽くすようにPO1、PO2、PO3、...、POnを定めることにより、生体組織ORの表面全体に音波USを照射することができる。
【0035】
電磁波受信器20はアンテナや共振回路などから構成され、音波USが照射された生体組織ORの各箇所で発生する電磁波EMを受信する。電磁波受信器20は、電磁波EMを効率的に受信できるように音波照射器10のスキャンと連動して移動するように構成されてもよいし、1箇所に固定され任意の方向から放射される電磁波EMを受信するように構成されてもよい。
【0036】
信号抽出部30は、電磁波受信器20が受信した電磁波EMの強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織ORの電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する。
【0037】
例えば生体組織ORの磁気的特性である電子スピンや核スピンに起因した磁化を示す信号は、以下のようにして抽出することができる。電気分極の場合と同様に、電磁場は磁化の時間変化によっても発生する。Maxwell方程式によると、放射電場は磁化の時間に対する2回微分に比例する。従って、電磁場強度や位相から、磁化の大きさや方向を示す信号を抽出することが可能である。
【0038】
また例えば生体組織ORの磁気的特性である電子スピンや核スピンに起因した音響磁気共鳴を示す信号は、以下のようにして抽出することができる。すなわち、音波はある特定の共鳴周波数で効率よく吸収され、電子スピンや核スピンの方向が変化することから、その周波数において電磁場強度や位相が大きく変化することが期待できる。情報としては、共鳴周波数を確定することができる。加えて、通常のESR(電子スピン共鳴)やNMR(核磁気共鳴)と同様に、音波の周波数をスキャンすることによりスペクトルが得られ、電子スピンや核スピンを示す信号を抽出することができる。また、電子スピンや核スピンの緩和時間を示す信号を抽出することもできる。
【0039】
また例えば生体組織ORの電気機械特性または磁気機械特性である圧電特性または磁歪特性を示す信号は、以下のようにして抽出することができる。反転対称性のないイオン結晶では、原理的に歪によって電気分極が生じる。従って、音響誘起電磁波といえる測定対象の電磁場の強度から分極の大きさを示す信号を抽出することができる。音波をスキャンすれば、生体組織ROの圧電特性を画像化することができる。さらに、音波伝播方向と、発生した電磁場の角度分布から、圧電テンソルを示す信号を、生体組織ORに電極を設けることなく非接触で抽出することができる。
【0040】
さらに例えば生体組織ORの電気機械特性または磁気機械特性である磁歪特性を示す信号は、以下のようにして測定することができる。磁歪とは、結晶歪により電子軌道が変化し、軌道・スピン相互作用を通じて電子スピン磁化に変化が加わる現象をいう。他の態様として、磁区構造が外部歪によって変化し、その結果、巨視的な領域(音波ビームスポット程度)での有効磁化が変化することもある。また、結晶歪により、結晶場分裂に変化が生じ、これが電子状態を変化させ、電子スピン磁化の大きさを変化させることもある。これらの時間変化が電磁場を発生させると考えられる。従って、音響誘起電磁波の強度から磁化の大きさや軌道・スピン相互作用、結晶歪と電子軌道変化の敏感さ、結晶場分裂と歪の敏感さ、結晶場分裂と電子スピン状態の関係、または磁区構造と歪の関係を決定することができる。音波伝播方向と放射強度からは、生体組織ORに電極を設けることなく、非接触で磁歪テンソルを示す信号を抽出することができる。磁歪特性の画像化も圧電特性と同様に可能である。
【0041】
このようにして抽出された信号は、生体組織ORの各箇所における線維化の有無や進行状況などに関する情報を含むと考えられる。すなわち、こうした信号を得ることにより、生体組織ORの線維化を非侵襲に測定することができる。
【0042】
画像化部40は、信号抽出部30が抽出した信号を二次元画像として画像化する。画像化は、例えば、生体組織ORの各箇所PO1、PO2、PO3、...、POnに相当する領域にそれぞれ1つまたは複数のピクセルを与え、信号抽出部30が抽出した信号の有無や強度に応じて、二次元のデジタル画像を生成することによって行ってよい。これにより、生体組織ORの各箇所における線維化の有無や進行状況を画像化して可視化することができる。
【0043】
面積比較部50は、画像化部40が生成した二次元画像において、上記の特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた前記信号の強度の閾値に相当する面積と比較する。前述のように、信号が表示された部分は、線維化が発生している部分に対応すると考えられる。しかしながら、正常な生体組織内の様々な電気的特性や磁気的特性、あるいは音波照射器10の励起パルスなどに起因して、線維化とは関係ない信号(ノイズ)が発生することがある。この場合、画像化部40が生成した二次元画像を見ただけでは、線維化の有無や進行状況を正確に把握できない。そこで、実験やシミュレーションなどを基に、信号の強度(例えば電圧値)に関する閾値を予め定めておき、この閾値を超えた強度を持つ信号が線維化に関するものであると考えることができる。信号表示部分の面積は生体組織の各箇所から発せられた信号の積分値と考えられるため、前述の信号強度の閾値に相当する面積の値を予め定めておくことができる。画像化部40が生成した二次元画像において、特性を示す信号が表示された部分の面積を、この予め定められた面積の値と比較することにより、ノイズの中から実際に線維化に起因する信号を取り出すことができる。例えば画像化部40が生成した二次元画像において、特性を示す信号が表示された部分の面積が当該予め定められた面積の値を超えていた場合は、線維化が発生していると判断することができる。あるいは、信号が表示された部分の面積のうち、閾値を超えた面積を線維化の度合いを示す量とすることによって、線維化を定量的に評価することができる。
【0044】
例えば臨床への応用においては、特性を示す信号が表示された部分の面積のうち前述の予め定められた面積の値を超えた部分が生体組織全体の何%になると病気と判断できるかを、各疾患に関する臨床試験により統計的に割り出す、といったことが考えられる。
【0045】
本実施の形態によれば、生体組織の線維化を非侵襲に測定することができる。
【0046】
[第2実施の形態]
図3に第2実施の形態に係る線維化測定装置110の機能ブロックを示す。線維化測定装置110もまた、生体組織の線維化を非侵襲に測定する。線維化測定装置110は、音波照射器10と、電磁波受信器20と、信号抽出部32と、画像化部40と、面積比較部50と、エコー受信器60とを備える。
【0047】
音波照射器10、電磁波受信器20、画像化部40および面積比較部50の構成は、線維化測定装置100のものと共通であるので、説明を省略する。エコー受信器60は、生体組織ORの各箇所からのエコー信号ECを受信する。エコー信号ECは、音波照射器10により生体組織ORの各箇所に照射された音波USの音波エコーである。エコー受信器60は、エコー信号ECを効率的に受信できるように音波照射器10のスキャンと連動して移動するように構成されてもよいし、1箇所に固定され任意の方向から放射されるエコー信号ECを受信するように構成されてもよい。
【0048】
信号抽出部32は、音波照射器10が音波USを照射した時から起算して、エコー受信器60がエコー信号ECを受信した時間の半分の時間で受信した特性を示す信号をエコー信号ECと関連付けて抽出する。
【0049】
図4(a)~4(b)に、電磁波受信器20とエコー受信器60とが受信した信号の時間変化を示す。図4(a)は電磁波受信器20が受信した信号を表し、図4(b)はエコー受信器60が受信した信号を表す。ただし時刻t=0で、音波照射器10が音波を照射したものとする。電磁波受信器20は、時刻t=0で信号Sig0を観測し、時刻t=t1で信号Sig1を観測し、時刻t=t2で信号Sig2を観測する。エコー受信器60は、時刻t=0で信号Sig3を観測し、時刻t=t2で信号Sig4を観測する。時刻t=t1における信号Sig1が、音波が照射された箇所で発生した音響誘起電磁波を示すものであると考えられる。しかしながら、一般に電磁波受信器20が受信する信号は、種々のノイズが混入しているため、時間軸方向に広がりを持つことが分かっている。このため、ノイズの程度が著しい場合は、受信された信号から音響誘起電磁波を示すものを識別することが難しい場合もある。これに対して、エコー受信器60が受信した信号Sig3およびSig4は、時間軸方向に極めてシャープな特性を持つ。図4(a)~4(b)に示されるように、t2=2×t1である。このことから信号Sig1は、音波照射器10が音波を照射した時から起算して、エコー受信器60が信号Sig4を受信した時間t2の半分の時間t1で受信されていることが分かる。換言すれば、電磁波受信器20が受信した信号のうち、音波が照射された箇所で発生した音響誘起電磁波を示す信号は、エコー信号の到達時間の半分の時間で受信されているものであると考えられる。この事実を利用することにより、電磁波受信器20が受信した信号の中から、音響誘起電磁波を示すものを識別することができる。すなわち、音波照射器10が音波を照射した時から起算して、エコー受信器60がエコー信号を受信した時間の半分の時間で受信した特性を示す信号を、エコー信号と関連付けて抽出することにより、目的とする信号をノイズの中から抽出することができる。これにより線維化の測定を、より正確なものとすることができる。
【0050】
本実施の形態によれば、生体組織の線維化をより正確に測定することができる。
【0051】
第1実施の形態に係る線維化測定装置100または第2実施の形態に係る線維化測定装置110は、音波照射器10と生体組織ORとの間に遅延材70を備えてもよい。図5に遅延材70を備えた線維化測定装置100を模式的に示す。遅延材70は、水や合成樹脂などを用いて構成され、音波照射器10と生体組織ORとの間を信号が伝達する時間を遅延させる。音波照射器10と生体組織ORとの距離が近すぎると、音波照射器10の励起パルスに起因したノイズや生体組織ORの様々な箇所で発生するノイズが、目的とする信号に重なることがある。この場合、目的とする信号がノイズに埋没してしまい、正確な測定ができない。遅延材70を音波照射器10と生体組織ORとの間に設けることにより、ノイズと目的とする信号との間に適切な時間差を与えることができるので、目的とする信号をノイズから抽出することができる。
【0052】
遅延材70のサイズ(特に音波照射器10と生体組織ORとの距離)、材質、形状などは、目的とする生体組織の種類、被測定者の体型や皮下脂肪の量、音波照射器が照射する音波の強度、電磁波受信器の感度などに基づいて、適切に構成されてよい。特に線維化は生体組織の表面で発生することが多いことが知られている。従って、遅延材70のサイズ、材質、形状などは、音波照射器に対する生体組織の表面または裏面からのノイズを最も低減するように構成されてよい。
【0053】
本実施の形態によれば、生体組織の線維化をさらに正確に測定することができる。
【0054】
特に生体組織ORは、臓器、筋肉または皮膚のいずれかを含んでもよい。線維化は臓器(例えば、腎臓)、筋肉(例えば、骨格筋)、皮膚などの生体組織で発生することが知られているので、本実施の形態をこれらの生体組織に適用することにより、これらの生体組織の線維化を非侵襲に測定することができる。
【0055】
特に生体組織ORは、腎臓であってもよい。腎不全などにより腎臓が機能不全に陥ると、活性化した線維芽細胞が多量にコラーゲンを算出し、組織が線維化することが知られている。従って、腎臓の線維化の有無や程度の診断は極めて重要である。腎臓の線維化診断は、現在のところ腎臓の一部を切り取って検査する生検が主流であるため、非侵襲の診断への要求が大きい。本実施の形態を腎臓に適用することにより、腎臓の線維化を非侵襲に測定することができる。
【0056】
面積比較部50は、特性を示す信号が表示された部分の面積を、当該信号の強度で重み付けして計算してもよい。音響誘起電磁波を示す信号の強度は、生体組織ORの線維化度が進むほど強くなると考えられる。そこで、面積比較部50は、特性を示す信号が表示された部分の面積を計算するときに、生体組織ORの各箇所を信号の強度で重み付けした関数を積分計算する。本実施の形態によれば、線維化度をより正確に定量評価することができる。
【0057】
[第3実施の形態]
図6に第3実施の形態に係る線維化測定装置120の機能ブロックを示す。線維化測定装置120もまた、生体組織の線維化を非侵襲に測定する。線維化測定装置120は、音波照射器12と、電磁波受信器22と、信号抽出部34と、信号強度比較部80とを備える。
【0058】
音波照射器12は、測定対象の生体組織ORに音波USが集中するように、音波USを照射する。線維化測定装置100の音波照射器10と異なり、音波照射器12は、音波USを照射するときに生体組織ORの表面にわたってスキャンする必要はない。音波照射器12が音波USを照射する回数は、1回であってもよいし、複数回であってもよい。音波照射器12は、生体組織ORの表面の広範囲にわたって音波USを照射してもよい。特に音波照射器12は、生体組織ORの表面全体に音波USを照射してもよい。
【0059】
電磁波受信器22は、音波USが照射された生体組織ORで発生する電磁波EMを受信する。電磁波受信器22は、電磁波EMを効率的に受信できるような位置および方向に配置されてよい。
【0060】
信号抽出部34は、電磁波受信器22が受信した電磁波EMの強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織ORの電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する。その動作は線維化測定装置100の信号抽出部30と同じであるので、説明を省略する。
【0061】
信号強度比較部80は、信号抽出部34が抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較する。前述のように、音響誘起電磁波を示す信号の強度は、生体組織OR線維化度が進むほど強くなると考えられる。そこで、実験やシミュレーションなどを基に、信号の強度に関する閾値を予め定めておき、信号抽出部34が抽出した信号の強度をこの閾値と比較することが考えられる。これにより、例えば信号抽出部34が抽出した信号の強度が当該閾値を超えていた場合は、線維化が発生していると判断することができる。あるいは、信号抽出部34が抽出した信号の強度のうち、閾値を超えた強度を線維化の度合いを示す量とすることによって、線維化を定量評価することができる。
【0062】
線維化測定装置100の音波照射器10が生体組織ORの表面にわたってスキャンして音波USを照射するのに対し、音波照射器12は、生体組織ORの比較的広い領域にわたって音波USを照射する。従って音波照射器12は、音波照射器10よりも少ない回数(例えば1回)の音波照射によって、測定に必要な音響誘起電磁波を発生させることができる。すなわち本実施の形態によれば、生体組織の線維化を短時間で非侵襲に測定することができる。
【0063】
音波照射器12は、測定対象の生体組織ORを覆う体表面の曲率と略同じ曲率を有してよい。音波照射器12の曲率が体表面の曲率と異なると、体表面への音波の到達時間が、体表面の箇所ごとに異なる。これにより、生体組織ORでの音響誘起電磁波の発生時刻にも生体組織の箇所ごとにずれが生じ、正確な測定が困難となる。従って、音波照射器12が測定対象の生体組織ORを覆う体表面の曲率と略同じ曲率を有することにより、生体組織の線維化をより正確なものとすることができる。
【0064】
[第4実施の形態]
図7に第4実施の形態に係る線維化測定装置130の機能ブロック図を示す。線維化測定装置130もまた、生体組織の線維化を非侵襲に測定する。線維化測定装置130は、音波照射器12と、電磁波受信器22と、信号抽出部36と、エコー受信器62と、信号強度比較部80とを備える。
【0065】
音波照射器12、電磁波受信器22、信号強度比較部80の構成は、線維化測定装置120のものと共通であるので、説明を省略する。エコー受信器62は、生体組織ORからのエコー信号ECを受信する。エコー信号ECは、音波照射器12により生体組織ORに照射された音波USの音波エコーである。エコー受信器62は、エコー信号ECを効率的に受信できるような位置および方向に配置されてよい。
【0066】
信号抽出部36は、音波照射器12が音波USを照射した時から起算して、エコー受信器62がエコー信号ECを受信した時間の半分の時間で受信した特性を示す信号をエコー信号ECと関連付けて抽出する。
【0067】
本実施の形態によれば、目的とする信号をノイズの中から抽出することができるので、線維化の測定を、より正確なものとすることができる。
【0068】
[第5実施の形態]
図8に第5実施の形態に係る線維化測定方法のフローを示す。この線維化測定方法は、生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射するステップS1と、電磁波を受信するステップS2と、信号を抽出するステップS3と、信号を画像化するステップS4と、信号が表示された部分の面積を予め定められた面積と比較するステップS5とを備える。
【0069】
ステップS1で、本線維化測定方法は、例えば音波照射器を用いて、測定対象の生体組織の複数の箇所に音波が集中するように、生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射する。ステップS2で、本線維化測定方法は、例えば電磁波受信器を用いて、音波が照射された生体組織の各箇所で発生する電磁波を受信する。ステップS3で、本線維化測定方法は、受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する。ステップS4で、本線維化測定方法は、抽出した信号を二次元画像として画像化する。ステップS5で、本線維化測定方法は、二次元画像において、特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた前記信号の強度の閾値に相当する面積と比較する。
【0070】
本実施の形態によれば、生体組織の線維化を非侵襲に測定することができる。
【0071】
[第6実施の形態]
図9に第6実施の形態に係る線維化測定方法のフローを示す。この線維化測定方法は、生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射するステップS1と、エコー信号と電磁波を受信するステップS21と、信号をエコー信号と関連付けて抽出するステップS31と、信号を画像化するステップS4と、信号が表示された部分の面積を予め定められた面積と比較するステップS5とを備える。
【0072】
ステップS1で、本線維化測定方法は、例えば音波照射器を用いて、測定対象の生体組織の複数の箇所に音波が集中するように、生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射する。ステップS21で、本線維化測定方法は、例えば電磁波受信器を用いて音波が照射された生体組織の各箇所で発生する電磁波を受信し、例えばエコー受信器を用いて音波が照射された生体組織の各箇所からのエコー信号を受信する。ステップS31で、本線維化測定方法は、受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、前記生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を、エコー信号と関連付けて抽出する。ステップS4で、本線維化測定方法は、抽出した信号を二次元画像として画像化する。ステップS5で、本線維化測定方法は、二次元画像において、特性を示す信号が表示された部分の面積を、予め定められた前記信号の強度の閾値に相当する面積と比較する。
【0073】
本実施の形態によれば、目的とする信号をノイズの中から抽出することができるので、線維化の測定を、より正確なものとすることができる。
【0074】
[第7実施の形態]
図10に第7実施の形態に係る線維化測定方法のフローを示す。この線維化測定方法は、生体組織に音波を照射するステップS6と、電磁波を受信するステップS7と、信号を抽出するステップS8と、信号強度を閾値と比較するステップS9とを備える。
【0075】
ステップS6で、本線維化測定方法は、例えば音波照射器を用いて、測定対象の生体組織に音波が集中するように、音波を照射する。ステップS7で、本線維化測定方法は、例えば電磁波受信器を用いて、音波が照射された生体組織で発生する電磁波を受信する。ステップS8で、本線維化測定方法は、受信した電磁波の強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、生体組織の電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する。ステップS9で、本線維化測定方法は、抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較する。
【0076】
本実施の形態によれば、生体組織の線維化を短時間で非侵襲に測定することができる。
【0077】
[第8実施の形態]
図11に第8実施の形態に係る線維化測定方法のフローを示す。この線維化測定方法は、生体組織に音波を照射するステップS6と、エコー信号と電磁波を受信するステップS71と、信号をエコー信号と関連付けて抽出するステップS81と、信号強度を閾値と比較するステップS9とを備える。
【0078】
ステップS6で、本線維化測定方法は、例えば音波照射器を用いて、測定対象の生体組織に音波が集中するように、音波を照射する。ステップS71で、本線維化測定方法は、例えば電磁波受信器を用いて音波が照射された生体組織で発生する電磁波を受信し、例えばエコー受信器を用いて音波が照射された生体組織からのエコー信号を受信する。ステップS81で、本線維化測定方法は、エコー信号を受信した時間の半分の時間で受信した特性を示す信号をエコー信号と関連付けて抽出する。ステップS9で、本線維化測定方法は、抽出した信号の強度を予め定められた閾値と比較する。
【0079】
本実施の形態によれば、目的とする信号をノイズの中から抽出することができるので、線維化の測定を、より正確なものとすることができる。
【0080】
[第9実施の形態]
図12に第9実施の形態に係る特性測定装置140の機能ブロックを示す。特性測定装置140は、測定対象物OBの特性を測定する。特性測定装置140は、音波照射器13と、電磁波受信器23と、信号抽出部33とを備える。電磁波受信器23は、コイル230とコンデンサ232とを備える共振回路234と、コイルとコンデンサとの間に配置された静電アンテナ236とを備える。
【0081】
音波照射器13は、測定対象物OBに音波USが集中するように、音波USを照射する。本実施の形態では、測定対象物OBは生体組織に限られない。電磁波受信器23は、音波USが照射された測定対象物OBで発生する電磁波EMを受信する。信号抽出部33は、電磁波受信器が受信した電磁波EMの強度、位相および周波数からなる群から選択される少なくとも1つに基づいて、測定対象物OBの電気的特性、磁気的特性、電気機械特性および磁気機械特性からなる群から選択される少なくとも1つの特性を示す信号を抽出する。
【0082】
図13に電磁波受信器23を模式的に示す。静電アンテナ236は、直径Rの円盤状の銅板で構成される。電磁波受信器23をこのように構成したとき、静電アンテナ236の中心から、静電アンテナ236の鉛直上方hの距離にある点に双極子モーメントP(t)P(t)=q(t)・l=qdip・l・sin(ω・t)
が生成される。
ここで、正弦的に振動する双極子電荷を
q(t)=qdip・sin(ω・t)
と表した。
dipは双極子電荷の振幅、lは双極子電荷間の距離、ωは音波の周波数である。
静電アンテナ236の表面には、以下の電荷Q(t)が励起される。
Q(t)=Q・sin(ω・t)
ここで、Qは静電アンテナ236上の全電荷である。QにRを乗じた値は以下の式(1)で表される。
【数1】
また信号電圧VsigにRを乗じた値は以下の式(2)で表される。
【数2】
ここでVは、h/Rをゼロに近づけたときのVsig極限値であり、Rと独立である。双極子電荷の振幅qdipは以下の式(3)で表される。
【数3】
ここで、Zinはプリアンプの入力インピーダンスであり、vacは測定対象物内の音速である。ここではZin=50Ωとする。またvacは、例えば大動脈壁内では1590m/s、アキレス腱内では1700m/sであることが知られている。
【0083】
図14に大動脈壁とアキレス腱の場合の、Vsig・Rのh/Rに対する依存性を示す。ただし信号は、R=15mmとR=30mmの2種類のアンテナを用いて測定された。信号電圧Vsigは、Rを乗じることにより、良好にスケーリングされている。これは、電気双極子が音響的に励起されたことを表す。この実験データを式(2)にフィッティングさせる。V・Rの値は、大動脈壁とアキレス腱に関し、それぞれ11.3nV・mと7.66nV・mである。従って、励起された双極子電荷は、大動脈壁とアキレス腱に関し、それぞれ90fC(フェムトクーロン)と58fCである。こうして、電磁波受信器23を図13のように構成することにより、音響誘起電磁波を効率よく受信できることが分かる。
【0084】
[実験例]
実施の形態の線維化測定装置を用いて、腎臓の線維化を測定した。図15(a)~15(d)に、正常なマウスの腎臓と、腎不全により線維化の発生したマウスの腎臓の写真を示す。ただし、図15(a)は正常な腎臓の表側、図15(b)は腎不全の腎臓の表側、図15(c)は正常な腎臓の裏側、図15(d)は腎不全の腎臓の裏側である。図16(a)~16(d)に、図15(a)~15(d)の腎臓に対し、図3の線維化測定装置を用いて信号を画像化した写真を示す。ここでも、図16(a)は正常な腎臓の表側、図16(b)は腎不全の腎臓の表側、図16(c)は正常な腎臓の裏側、図16(d)は腎不全の腎臓の裏側である。図16(a)~16(d)に示されるように、表側、裏側のいずれにおいても、腎不全の腎臓、正常な腎臓に比べ、より広い面積にわたって信号が画像化されている。具体的には、腎不全の腎臓と正常な腎臓との、信号が表示された部分の面積比は、表側で10、裏側で1.7である。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0086】
[変形例]
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施の形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施の形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0087】
実施の形態では、音波照射器は、音波レンズ法を用いて測定対象に音波を照射した。しかしこれに限られず、音波照射器は、例えばフェーズドアレイ法を用いて音波を照射してもよい。本変形によれば、構成の自由度を高めることができる。
【0088】
実施の形態では、単数の音波照射器を用いて測定対象に電波を照射し、単数の電磁波受信器を用いて電磁波を受信した。しかしこれに限られず、音波照射器や電磁波受信器は、測定対象の測定領域ごとに複数あってもよい。これにより、スキャンの回数および測定時間を短縮することができる。
【0089】
これらの各変形例は実施の形態と同様の作用、効果を奏する。
【0090】
上述した各実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる各実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明による安全で繰り返し検査可能な生体組織線維化測定は、様々な診療分野での治療判断に適用できる。
【符号の説明】
【0092】
1・・音波収束ビーム
2・・音波集束領域
3・・正の荷電粒子
4・・負の荷電粒子
10・・音波照射器
13・・音波照射器
12・・音波照射器
20・・電磁波受信器
22・・電磁波受信器
23・・電磁波受信器
30・・信号抽出部
32・・信号抽出部
34・・信号抽出部
36・・信号抽出部
40・・画像化部
50・・面積比較部
60・・エコー受信器
70・・遅延材
80・・信号強度比較部
100・・線維化測定装置
110・・線維化測定装置
120・・線維化測定装置
130・・線維化測定装置
140・・特性測定装置
230・・静電アンテナ
232・・コンデンサ
234・・共振回路
BO・・身体
OR・・生体組織
US・・音波
EM・・電磁波
EC・・エコー
OB・・測定対象物
Sig1・・信号
Sig2・・信号
Sig3・・信号
S1・・生体組織の表面にわたってスキャンして音波を照射するステップ
S2・・電磁波を受信するステップ
S3・・信号を抽出するステップ
S4・・信号を画像化するステップ
S5・・信号が表示された部分の面積を予め定められた面積と比較するステップ
S6・・音波を照射するステップ
S7・・電磁波を受信するステップ
S8・・信号を抽出するステップ
S9・・信号強度を閾値と比較するステップ
S21・・エコー信号と電磁波を受信するステップ
S31・・信号をエコー信号と関連付けて抽出するステップ
S71・・エコー信号と電磁波を受信するステップ
S81・・信号をエコー信号と関連付けて抽出するステップ
図1
図2
図3
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