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特許7572082積載空間認識装置、システム、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】積載空間認識装置、システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/50 20170101AFI20241016BHJP
【FI】
G06T7/50
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023502529
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2022007817
(87)【国際公開番号】W WO2022181753
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2021030741
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】上野 悟己
(72)【発明者】
【氏名】青木 教之
(72)【発明者】
【氏名】高岡 真則
(72)【発明者】
【氏名】河野 研二
(72)【発明者】
【氏名】安達 ゆり
【審査官】千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-60451(JP,A)
【文献】特開2019-219907(JP,A)
【文献】特許第6577687(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力するように構成されている荷物全体像推定部と、
前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力するように構成されているボクセル化部と、
任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定するように構成されている判定部と、
ユーザの操作により、前記積載空間における荷物の積載領域を指定するように構成された領域指定部と、を備え、
前記荷物全体像推定部は、前記積載領域に積載された荷物の全体像を推定するように構成されている、積載空間認識装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記ボクセル化部からの前記基準時の前記ボクセルデータを変化基準点として確定するように構成された基準確定部と、
前記基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時点での前記ボクセルデータと、を比較することにより、所定の位置から荷物を見た面の対応する位置のボクセルの差分を抽出して差分データとして出力するように構成された差分抽出部と、
前記差分データに基づいて荷物の全体像の変動体積量を推定して変動体積量推定データとして出力するように構成された変動体積量推定部と、
前記変動体積量推定データと、前記閾値としての変動体積量用の閾値と、を比較することによって、荷崩れの可能性の有無を判定するように構成された荷崩れ判定部と、
を備える、請求項1記載の積載空間認識装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記差分データに基づいて、同じ水平方向の位置にある、体積量が増加した体積量増加ボクセルと体積量が減少した体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまりを抽出してまとまりデータとして出力するように構成されたまとまり抽出部と、
前記差分データに基づいて、前記体積量増加ボクセルと前記体積量減少ボクセルとの組み合せを推定して組み合せデータとして出力するように構成された組み合せ推定部と、
前記差分データ、前記まとまりデータ、及び前記組み合せデータに基づいて、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時までの間に生じた荷物の少なくとも1つの移動量を推定し、推定された前記移動量の中から最も長い移動量を選択し、選択された前記移動量を最長移動量と推定して最長移動量推定データとして出力するように構成された移動量推定部と、
をさらに備え、
前記荷崩れ判定部は、前記変動体積量推定データと、前記閾値としての変動体積量用の閾値と、を比較することによって、荷崩れの可能性の有無を判定し、荷崩れの可能性が有ると判定されたときに、前記最長移動量推定データと、前記閾値としての最長移動量用の閾値と、を比較することによって、荷崩れの可能性の有無を判定するように構成されている、請求項2記載の積載空間認識装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記ボクセル化部からの前記基準時の前記ボクセルデータを変化基準点として確定するように構成された基準確定部と、
前記基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時点での前記ボクセルデータと、を比較することにより、所定の位置から荷物を見た面の対応する位置のボクセルの差分を抽出して差分データとして出力するように構成された差分抽出部と、
前記差分データに基づいて、同じ水平方向の位置にある、体積量が増加した体積量増加ボクセルと体積量が減少した体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまりを抽出してまとまりデータとして出力するように構成されたまとまり抽出部と、
前記差分データに基づいて、前記体積量増加ボクセルと前記体積量減少ボクセルとの組み合せを推定して組み合せデータとして出力するように構成された組み合せ推定部と、
前記差分データ、前記まとまりデータ、及び前記組み合せデータに基づいて、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時までの間に生じた荷物の少なくとも1つの移動量を推定し、推定された前記移動量の中から最も長い移動量を選択し、選択された前記移動量を最長移動量と推定して最長移動量推定データとして出力するように構成された移動量推定部と、
前記最長移動量推定データと、前記閾値としての最長移動量用の閾値と、を比較することによって、荷崩れの可能性の有無を判定するように構成された荷崩れ判定部と、
を備える、請求項1記載の積載空間認識装置。
【請求項5】
前記移動量推定部は、荷物の移動方向が横方向のときに、推定された前記移動量よりも小さくなるように補正し、又は、荷物の移動方向が縦方向又は斜め方向のときに、推定された前記移動量よりも大きくなるように補正し、補正された前記移動量の中から最も長い移動量を選択するように構成されている、
請求項3又は4記載の積載空間認識装置。
【請求項6】
前記判定部は、さらに、前記基準時以外の前記ボクセルデータと、その1つ前の他の前記ボクセルデータとの間の変化量と、前記基準時の前記ボクセルデータと前記基準時以外の前記ボクセルデータとの間の変化量とを比較することにより、荷崩れの可能性の有無を判定するように構成されている、
請求項1乃至のいずれか一に記載の積載空間認識装置。
【請求項7】
積載空間内の荷物の表面をセンシングして撮像された3次元データを出力するセンサと、
請求項1乃至のいずれか一に記載の積載空間認識装置と、
を備える、積載空間認識システム。
【請求項8】
ハードウェア資源を用いて荷物の積載空間を認識する積載空間認識方法であって、
ユーザの操作により、前記積載空間における荷物の積載領域を指定するステップと、
前記積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間における前記荷物の積載領域に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力するステップと、
前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力するステップと、
任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定するステップと、を含む、積載空間認識方法。
【請求項9】
荷物の積載空間を認識させる処理をハードウェア資源に実行させるプログラムであって、
ユーザの操作により、前記積載空間における荷物の積載領域を指定する処理と、
前記積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間における前記荷物の積載領域に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力する処理と、
前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力する処理と、
任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定する処理と、
を前記ハードウェア資源に実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願についての記載]
本発明は、日本国特許出願:特願2021-030741号(2021年2月26日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、積載空間認識装置、システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流業界では、トラックコンテナに積載した荷物が、輸送中の落下などの荷崩れにより、荷物の損傷が発生し、輸送品質の低下が発生している。そこで、荷崩れを未然に防止するように荷物を配置する情報を生成したり、実際に荷崩れが発生してしまった場合の早急に発見するための技術が提案されている(例えば、特許文献1~6参照)
【0003】
特許文献1、2には、荷崩れを抑制する技術として、積み上げられた複数の物品を第1地点から撮像又は走査して得られた、前記複数の物品の表面の第1領域の3次元情報を取得する第1情報取得部と、前記複数の物品を第2地点から撮像又は走査して得られた、前記複数の物品の表面の第2領域の3次元情報を取得する第2情報取得部と、前記第1情報取得部が取得した前記第1領域の3次元情報、及び、前記第2情報取得部が取得した前記第2領域の3次元情報に基づいて、前記複数の物品の表面の少なくとも一部の3次元形状を示す情報を生成する合成部と、を備え、前記第1地点及び前記第2地点の位置は、互いに異なり、前記合成部は、前記第1領域の3次元情報及び前記第2領域の3次元情報の一方を他方により補完して、前記複数の物品の表面の少なくとも一部の3次元形状を示す情報を生成する、形状情報生成装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、荷崩れを防止する技術として、所定の荷姿で、かつ所定の重量となるように複数の被積付物を積み付ける積み付け方法であって、前記各被積付物の重量および荷姿をそれぞれ測定するステップと、これら各被積付物の重量および荷姿からこれら各被積付物の密度を算出するステップと、これら各被積付物の密度情報を集積してこれら各被積付物それぞれの積み付け位置を算出するステップとを具備している、積み付け方法が開示されている。
【0005】
特許文献4には、運転者がモニタにより荷室内の荷物の状況(荷崩れしていないかどうか)をいつでも確認することができる技術として、荷室の上面における車幅方向中間位置で且つ荷室の全長を三等分する二箇所に取り付けられた監視カメラと、該監視カメラによる荷室内の画像データを入力する情報処理装置と、該情報処理装置から荷室内の画像データを入力して表示するモニタと、前記情報処理装置から荷室内の画像データを入力して基地局に向け送信する通信機とを備え、前記監視カメラの画像により積載スペースの空き状況を把握し得るよう構成した、車両の荷室内監視装置が開示されている。
【0006】
特許文献5には、ドライバ及び管理センターが運送車両の荷崩れを容易に知ることができ、荷崩れの処置に対し迅速に対応できる技術として、運送車両の荷台内に取り付けられたセンサにより積荷の荷崩れを監視し、積荷の荷崩れが検出されたとき、積荷の荷崩れが発生した旨を示す警告をドライバに発する車載端末と、前記車載端末が前記警告をドライバに発するときに前記車載端末から送信された、前記積荷の荷崩れが発生した旨を示す荷崩れ監視信号を受信して運送車両の積荷の荷崩れ情報を収集し管理する管理センターとを備えた、運送車両の荷崩れ監視システムが開示されている。
【0007】
特許文献6には、移載中及び移載作業終了後に発生する荷崩れを検出することができる技術として、個々の物品の移載毎に、その前後におけるパレットに積付けられた物品群を上方から撮像して、物品の移載前の第1画像と、移載後の第2画像を取得し、第1画像と第2画像を比較し、移載された物品が存在していた領域以外の物品領域の変化度合に基づいて荷崩れの発生の有無を判定する物品の荷崩れ検出方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第6511681号公報
【文献】特許第6577687号公報
【文献】特開2002-29631号公報
【文献】特開2018-199489号公報
【文献】特開2005-018472号公報
【文献】特開2007-179301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0010】
しかしながら、特許文献1~3に記載の荷崩れを抑制、防止する技術では、荷崩れが発生しないように荷物を積み込むだけでは荷崩れが完全になくなるわけではなく、車両の加速、制動、振動などにより荷崩れに繋がる荷物のあらゆる方向の移動があるため、荷物の移動による荷崩れの発生の可能性を判定することができない。
【0011】
また、特許文献4に記載の荷物を確認する技術では、運転者がモニタにより荷室内の荷物の状況を確認して荷崩れを知ることになるため、運転者が車両運転中に荷物の移動による荷崩れの発生の可能性を判定することは安全上困難である。
【0012】
また、特許文献5に記載の荷崩れを知る技術では、センサでの赤外線、超音波等の信号の受信の有無により荷崩れの判断をするので、センサでの信号の受信に変化がない範囲での荷物の移動を検出することができず、荷物の移動による荷崩れの発生の可能性を判定することができない可能性がある。
【0013】
また、特許文献6の移載中及び移載作業終了後に発生する荷崩れを検出することができる技術では、撮像された、移載される前の第1画像と、移載された後の第2画像との各々のエッジ画像を生成して両画像を比較して、移載した物品以外の物品の変化度合に基づいて荷崩れの発生の有無を判定しているが、エッジ画像間の比較ではエッジ位置に移動のない荷物の移動(撮像位置に対する遠近方向の荷物の移動)を検出することができず、荷物の移動による荷崩れの発生の可能性を判定することができない可能性がある。
【0014】
本発明の主な課題は、荷物の移動による荷崩れの発生の可能性を判定することに貢献することができる積載空間認識装置、システム、方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の視点に係る積載空間認識装置は、荷物の積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力するように構成されている荷物全体像推定部と、前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力するように構成されているボクセル化部と、任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定するように構成されている判定部と、
ユーザの操作により、前記積載空間における荷物の積載領域を指定するように構成された領域指定部と、を備え、
前記荷物全体像推定部は、前記積載領域に積載された荷物の全体像を推定するように構成されている
【0016】
第2の視点に係る積載空間認識システムは、積載空間内の荷物の表面をセンシングして撮像された3次元データを出力するセンサと、前記第1の視点に係る積載空間認識装置と、を備える。
【0017】
第3の視点に係る積載空間認識方法は、ハードウェア資源を用いて荷物の積載空間を認識する積載空間認識方法であって、ユーザの操作により、前記積載空間における荷物の積載領域を指定するステップと、前記積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間における前記荷物の積載領域に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力するステップと、前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力するステップと、任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定するステップと、を含む。
【0018】
第4の視点に係るプログラムは、荷物の積載空間を認識させる処理をハードウェア資源に実行させるプログラムであって、ユーザの操作により、前記積載空間における荷物の積載領域を指定する処理と、前記積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間における前記荷物の積載領域に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力する処理と、前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力する処理と、任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定する処理と、を前記ハードウェア資源に実行させる。
【0019】
なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。また、本開示では、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。プログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェイスを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させ、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェイスを介して、外部と交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備える。
【発明の効果】
【0020】
前記第1~第4の視点によれば、荷物の移動による荷崩れの発生の可能性を判定することに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に係る積載空間認識システムの構成及び使用態様の一例を模式的に示したイメージ図である。
図2】実施形態1に係る積載空間認識システムにおける積載空間認識装置の構成を模式的に示したブロック図である。
図3】実施形態1に係る積載空間認識システムにおける積載空間認識装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
図4】基準ボクセルと対比ボクセルとの差分を抽出したときに変動体積量がある場合のいくつかの例を模式的に示したイメージ図である。
図5】基準ボクセルと対比ボクセルとの差分を抽出したときに変動体積量がなく、かつ、移動量がある場合のいくつかの例を模式的に示したイメージ図である。
図6図5の例2-1のまとまり推定から最長移動量推定までの推移を模式的に示したイメージ図である。
図7図5の例2-2のまとまり推定から最長移動量推定までの推移を模式的に示したイメージ図である。
図8図5の例2-3のまとまり推定から最長移動量推定までの推移を模式的に示したイメージ図である。
図9図5の例2-4のまとまり推定から最長移動量推定までの推移を模式的に示したイメージ図である。
図10】実施形態1に係る積載空間認識システムの構成及び使用態様の変形例を模式的に示したイメージ図である。
図11】実施形態2に係る積載空間認識装置の構成を模式的に示したブロック図である。
図12】ハードウェア資源の構成を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。また、下記の実施形態は、あくまで例示であり、本発明を限定するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インタフェイスも同様である。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備え、コンピュータ装置は、通信インタフェイスを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信可能に構成される。
【0023】
[実施形態1]
実施形態1に係る積載空間認識システムについて図面を用いて説明する。図1は、実施形態1に係る積載空間認識システムの構成及び使用態様の一例を模式的に示したイメージ図である。図2は、実施形態1に係る積載空間認識システムにおける積載空間認識装置の構成を模式的に示したブロック図である。ここでは、トラックのコンテナの積み荷を例に説明する。
【0024】
積載空間認識システム1は、センサ10を用いて、物体(図1では荷物4)が積載される積載空間(図1ではトラック2のコンテナ3内の積載空間5)における物体の変動(体積変動、距離変動)を認識するシステムである(図1参照)。積載空間認識システム1では、センサ10と、積載空間認識装置200とが通信(有線通信又は無線通信)可能に接続された構成となっている。積載空間認識システム1は、トラック2に搭載することができる。積載空間認識システム1では、積載空間認識装置200がセンサ10で撮影された撮影データ(図2の100)に基づいて積載空間5における物体の変動を認識する。ここで、撮影データ100は、センサ10で撮影した3次元データ(点群データ、深度データ等の3次元的な要素を撮影したデータ、他にも複数画像から3次元空間に再構成したデータ等)である。
【0025】
センサ10は、撮影領域となる積載空間5内の荷物4の表面をセンシングして撮影(撮像)するセンサである(図1参照)。センサ10は、積載空間認識装置200と通信可能に接続されている。センサ10は、積載空間5を撮影した3次元データから作成された撮影データ(図2の100)を積載空間認識装置200に向けて出力する。センサ10は、荷物4の検知に必要な撮影距離、画角、コンテナ3の大きさなどの撮影条件や顧客要望に応じて選択することができる。また、センサ10には、各種メーカーから販売されている製品を用いることができる。センサ10として、例えば、ステレオカメラ、ToF(Time of Flight)カメラ、3D-lidar(Three Dimensions - light detection and ranging)、2D-lidar(Two Dimensions - light detection and ranging)、LIDAR(Laser Imaging Detection And Ranging)等を用いることができる。センサ10は、撮影領域となる積載空間5を撮影できる位置に取り付けることができ、例えば、コンテナ3の荷物搬入口側の上方付近に取り付けることができる。センサ10は、積載空間5内の荷物4をコンテナ3の荷物搬入口側の上方から撮影することができる。センサ10は、積載空間5に少なくとも1つあればよいが、複数あってもよい。また、センサ10は、積載空間5が広大で1つのセンサで撮影することが困難な場合にも複数用いてもよい。なお、センサ10が積載空間5に複数ある場合には、種類やメーカーが異なっていてもよい。また、センサ10が積載空間5に複数ある場合には、各センサ10で撮影された各撮影データを積載空間認識装置200で合成すればよい。
【0026】
積載空間認識装置200は、センサ10からの撮影データ100に基づいて、荷物4が積載される積載空間5における荷物4の変動(体積変動、距離変動)を認識する装置である(図1図2参照)。積載空間認識装置200として、コンピュータを構成する機能部(例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び表示装置)を有する装置(コンピュータ装置)を用いることができ、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などを用いることができる。積載空間認識装置200は、荷物4の荷崩れの可能性の有無を判定する機能を有する。積載空間認識装置200は、パレット積み付けなどの状況下で、荷崩れが発生する場合には一定量のまとまった体積変化が見込まれる場合にも採用できる。積載空間認識装置200は、所定のプログラムを実行することによって、前処理部210と、荷姿把握部220と、判定部230と、ユーザインタフェイス部240と、により実現される。
【0027】
前処理部210は、撮影データ100に対して、積載空間認識処理をするための前処理を行う機能部である(図2参照)。前処理部210は、撮影データ100を前処理した前処理データ101を荷姿把握部220及びユーザインタフェイス部240に向けて出力する。前処理部210は、フォーマット変換部211と、ノイズ除去部212と、を備える。
【0028】
フォーマット変換部211は、前処理として、撮影データ100のフォーマットを、積載空間認識装置200において共通に使える共通フォーマットに変換する機能部である(図2参照)。フォーマット変換部211は、共通フォーマットの撮影データ100を、ノイズ除去部212に向けて出力する。なお、撮影データ100のフォーマットがもともと共通フォーマットの場合は、フォーマット変換部211の処理を省略(スキップ)することができる。
【0029】
ノイズ除去部212は、前処理として、フォーマット変換部211からの撮影データ100からノイズ(例えば、積載空間認識に不要な点群)を除去する機能部である(図2参照)。ノイズ除去部212は、撮影データ100におけるノイズが除去された前処理データ101を荷姿把握部220の荷物全体像推定部222に向けて出力し、必要に応じてユーザインタフェイス部240の表示部241に向けて出力する。ノイズ除去方法として、例えば、平滑化処理、フィルタリング(例えば、移動平均フィルタ処理、メディアンフィルタ処理など)、外れ値除去処理(例えば、カイの二乗検定による外れ値除去処理)などが挙げられる。なお、ノイズがほとんどない状態であれば、ノイズ除去部212の処理を省略(スキップ)してもよい。
【0030】
前処理データ101は、表示部241に出力され、ユーザはこれらを閲覧することができる。また、撮影データ100、前処理データ101は全ての処理の基礎となるため、保存可能とすることで、確証とすることも可能である。
【0031】
荷姿把握部220は、前処理データ101から現状の荷姿を把握する機能ブロックである(図2参照)。荷姿把握部220は、把握された現状の荷姿に係るボクセルデータ102を判定部230に向けて出力する。荷姿把握部220は、領域指定部221と、荷物全体像推定部222と、ボクセル化部223とを備える。荷姿把握部220は、前処理データ101から積載された荷物の形状、あるいは空き空間についての情報を計測し、定量的な情報を提供する。
【0032】
領域指定部221は、コンテナ3内で荷物4の積載が可能な領域(積載領域)を指定する機能部である(図2参照)。領域指定部221は、例えば、コンテナ3内で荷物4を積載できない領域がある場合などは、その領域を除外して領域指定を行う。領域指定部221は、操作部242を介してユーザから積載領域を指定させることができ、領域端を自動的に取得するシステムと組み合せて、自動で領域を指定することもできる。
【0033】
また、領域指定部221は、操作部242を介してユーザから、判定部230での判定から除外する判定除外領域を指定するようにしてもよい。これにより、一定形状を保てない荷物4の荷姿変化の判定を行わないようにして、過剰な荷姿変化の判定を行わないようにすることができる。変化判定除外領域は、領域単位だけでなく、ボクセル単位や、単一・個別の荷物単位(オブジェクト単位)で指定されるようにしてもよい。
【0034】
荷物全体像推定部222は、前処理データ101のノイズ除去部212からの前処理データ101、及び、領域指定部221に指定された積載領域に基づいて、積載領域に積載された荷物4の全体像を推定する機能部である(図2参照)。荷物全体像推定部222は、積載済みの荷物4の全体像に係る推定結果データを作成する。荷物全体像推定部222は、作成した推定結果データをボクセル化部223に向けて出力する。荷物全体像推定部222は、荷物表面や最前面に積載された荷物だけではなく、それらに遮蔽され、センサ10からは確認できない奥の部分(オクルージョン部分)に積載された荷物(必要に応じて隙間)も推定する。オクルージョン部分に積載された荷物の推定には、時系列順に蓄積した過去のデータによる補完や、積載荷物に関するサイズや個数などの事前知識を用いてもよく、最前面の座標点とセンサを結ぶ直線の延長線上には荷物を示す座標点が存在すると仮定する様な単純なアルゴリズムの他、時系列に保存した前処理データ101を利用してもよく、機械学習を利用してもよい。
【0035】
機械学習の教師データ収集方法の例としては、前処理データ101と、実際の積載状況とを関連付けてデータベースに記録する方法が挙げられる。例えば、コンテナの天井面に所定の間隔で距離センサを設け、積載された荷物との距離を距離センサにより測定する。これにより、センサ直下の荷物が天井近くまで積み上がっている、半分程度の高さまで積み上がっている、全く荷物が積まれていない、など、荷物の積載状況を把握することができる。天井面のセンサを複数設けることでコンテナ内全体の荷物の積載状況を把握することができる。このようにして、前処理データ101と、実際の積載状況との関連付けを行うことにより、機械学習を行うことができる。機械学習の方法はこれに限らず、他の方法により行われても良い。また、機械学習を利用する場合は、「重量」、「上積厳禁/下積厳禁」などの形状以外の情報・属性を推定する機能を具備しても良い。
【0036】
ボクセル化部223は、荷物全体像推定部222の推定結果データをボクセル化する機能部である(図2参照)。ボクセル化部223は、荷物全体像推定部222の推定結果データに基づいて、荷物4の全体像に係るボクセルデータ102を作成する。ボクセル化部223は、積載済みの荷物4が存在しない部分は空き空間としてボクセルデータ102を作成する。ボクセル化部223は、作成されたボクセルデータ102を判定部230の基準確定部231及び差分抽出部232に向けて出力する。ボクセル化処理においては、3Dセンサからは見えない遮蔽された領域の推測、あるいは時系列順に蓄積したデータによる補完などを行ってもよく、積載荷物に関するサイズや個数などの事前知識を用いてもよい。
【0037】
ここで、ボクセルデータ102は、荷物4の全体像を、所定サイズの複数のボクセル(立方体)の組み合せによって表したデータである。ボクセルデータ102は、各ボクセルの寸法、各面の位置に係る情報を含む。ボクセルデータ102は、作成の度に記憶されるようにしてもよい。ボクセルデータ102は、1ボクセル内の荷物の数、あるいは1つの荷物がどの複数ボクセルに跨って存在するかの情報、重さや形状などの情報などもあってもよい。
【0038】
判定部230は、ある基準時点でのボクセルデータ102(基準ボクセルデータ)と、所定又は任意の時間が経過した時点でのボクセルデータ102(対比ボクセルデータ)と、を比較することによって、荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定する機能部である(図2参照)。これにより、荷物4の落下を防止することができる。また、判定部230は、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとの比較だけでなく、対比ボクセルデータと1つ前に作成された他の対比ボクセルデータとを比較することによって、荷崩れの可能性の有無を検出するようにしてもよい。これにより、単位時間あたりの対比ボクセルデータ間の変化量が、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとの間の変化量よりも小さい場合に、荷崩れの可能性があると判定しないようにすることができる。さらに、トラック2(積載空間を有する構造体)に揺れや音を検出する検出部20を付けておき(図10参照)、判定部230は、検出部20で一定以上の揺れや音を検出したときにボクセル化部223から対比ボクセルデータを取得して、荷崩れの可能性の有無を検出するようにしてもよい。さらに、移動推定の確からしさを補完、検証するために、別のシステムから得た情報、例えば重量のある荷物が多い、逆に軽い荷物が多い、など、を用いてもよい。判定部230は、基準確定部231と、差分抽出部232と、変動体積量推定部233と、まとまり抽出部234と、組み合せ推定部235と、移動量推定部236と、荷崩れ判定部237と、を備える。
【0039】
基準確定部231は、ボクセル化部223からのある基準時点(基準時刻)のボクセルデータ102を変化基準点として確定する機能部である(図2参照)。基準確定部231は、操作部242からの指示によって、ボクセル化部223からの基準時点(指示された時点)のボクセルデータ102を記憶し、位置変動の基準データとして保持する。基準確定部231は、基準時点でのボクセルデータ102を差分抽出部232に向けて出力する。
【0040】
差分抽出部232は、任意の基準時のボクセルデータ102(基準ボクセルデータ)と、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時点でのボクセルデータ102(対比ボクセルデータ)と、を比較することにより、所定の位置(例えば、トラック2の後方、センサ10の位置)から荷物4を見た面の対応する位置のボクセルの差分(例えば、奥行き方向の位置の差分)を抽出する機能部である(図2参照)。差分抽出部232は、差分抽出処理にあたって、基準ボクセルデータを基準確定部231から取得するとともに、対比ボクセルデータをボクセル化部223から取得する。差分抽出処理では、例えば、トラック2の後方から荷物4を見たときのボクセルの表面の位置が奥行き方向のトラック2の前方側に変化した場合(例えば、対象となるボクセルの位置にある荷物4が左側、右側、又は下側に移動してその1つ奥側の荷物4が表れた場合、対象となるボクセルの位置にある荷物4が奥側に移動した場合、オクルージョン部分が減少した場合)は体積が「減少」したことを表すように差分を抽出し、同じくボクセルの表面の位置からトラック2の後方側に変化した場合(例えば、対象となるボクセルの位置にある荷物4が手前側に移動した場合、対象となるボクセルの位置にある荷物4の手前に別の荷物4が移動してきた場合、オクルージョン部分が増加した場合)は体積が「増加」したことを表すように差分を抽出することができる。また、差分抽出処理では、例えば、ボクセルの表面の位置がトラック2の前方又は後方に変化した距離の大きさに応じて体積の減少又は増加の程度を段階的に表すように差分を抽出することができる。差分抽出部232は、差分抽出処理によって抽出された差分データを変動体積量推定部233及びまとまり抽出部234に向けて出力する。
【0041】
変動体積量推定部233は、差分抽出部232からの差分データに基づいて、荷物4の全体像の変動した体積量(変動体積量)を推定する機能部である(図2参照)。変動体積量は、例えば、トラック2の後方から荷物4を見た面の対応する位置のボクセルの奥行き方向の位置の差分の合計によって表すことができる。ある位置で、ある体積量が増加し、別の位置で同じ体積量が減少した場合、変動体積量は無し(0)となる(図5の移動例2-1~2-4参照)。また、ある位置で、ある体積量が増加し、別の位置で、増加した体積量よりも多い体積量が減少した場合、変動体積量はマイナスの値となる。また、ある位置で、ある体積量が増加し、別の位置で、増加した体積量よりも少ない体積量が減少した場合、変動体積量はプラスの値となる(図4の移動例1-1~1-3参照)。また、ある位置で、ある体積量が増加し、別の位置での体積量の減少がない場合、変動体積量はプラスの値となる。さらに、ある位置で、ある体積量が減少し、別の位置での体積量の増加がない場合、変動体積量はマイナスの値となる。変動体積量推定部233は、推定された変動体積量推定データを荷崩れ判定部237に向けて出力する。
【0042】
まとまり抽出部234は、差分抽出部232からの差分データに基づいて、同じ水平方向の位置にある、体積量が増加したボクセル(体積量増加ボクセル)と体積量が減少したボクセル(体積量減少ボクセル)との間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまりを抽出する機能部である(図2参照)。まとまり抽出部234は、荷物4の体積量の変動を伴わないことを前提とすることができる。まとまり抽出部234は、まとまりを抽出することができた場合、抽出されたまとまりデータを含む差分データを組み合せ推定部235に向けて出力する。まとまり抽出部234は、まとまりを抽出することができない場合、差分抽出部232からの差分データを組み合せ推定部235に向けて出力する。
【0043】
組み合せ推定部235は、まとまり抽出部234からの差分データ(まとまりを抽出できた場合はまとまりデータを含む)に基づいて、体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとの組み合せを推定する機能部である(図2参照)。組み合せ推定部235は、荷物4の体積量の変動を伴わないことを前提とすることができる。組み合せ推定処理では、例えば、組み合せが複数通りできる場合には、同じ水平位置にある体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとを優先的に組み合せることができる。また、組み合せが複数通りできる場合には、互いの距離が最も大きく離れている体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとを優先的に組み合せることができる。また、組み合せが複数通りできる場合には、距離の合計が最大になるように体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとを優先的に組み合せることができる。また、体積量減少ボクセルは、荷物4が落下する場合には荷物4が上に移動することはありえないので、その1つ上の段にある体積量増加ボクセルとは組み合せないようにすることができる。体積量増加ボクセルは、荷物4が落下する場合には荷物4が上に移動することはありえないので、その1つ下の段にある体積量減少ボクセルとは組み合せないようにすることができる。組み合せ推定部235は、組み合せを推定することができた場合、抽出された組み合せデータを含む差分データを移動量推定部236に向けて出力する。組み合せ推定部235は、組み合せを推定することができない場合、まとまり抽出部234からの差分データを移動量推定部236に向けて出力する。
【0044】
移動量推定部236は、組み合せ推定部235からの差分データ(まとまりデータ及び組み合せデータを含むことがある)に基づいて、基準時から所定又は任意の時間が経過した時までの間に生じた荷物4の移動量を推定する機能部である(図2参照)。移動量推定部236は、荷物4の体積量の変動を伴わないことを前提とすることができる。移動量推定部236は、差分データにおいてまとまりデータ、組み合せデータを含む場合、組み合せデータに係る体積量減少ボクセルから体積量増加ボクセルまでの距離を算出し、まとまりデータに係る体積量の増減のないボクセルの長さを算出し、算出された前記距離から、算出された前記長さを差し引いた値を荷物4の移動量として推定する。移動量推定部236は、差分データにおいて、まとまりデータを含まず、かつ、組み合せデータを含む場合、組み合せデータに係る体積量減少ボクセルから体積量増加ボクセルまでの距離を算出し、算出された前記距離の値を荷物4の移動量として推定する。なお、差分データにおいて、組み合せデータを含まない場合(まとまりデータの有無は不問)は、体積量の変動を伴う荷物4の移動になるので、移動量推定部236では移動量を推定せず、変動体積量推定部233での変動体積量の推定を優先的に行うことができる。また、移動量の推定では、横方向の移動と縦方向の移動(落下)それぞれで異なる重みをつけるように補正してもよく、例えば、横方向の移動は大きく動いても警告しないように推定された移動量よりも小さくなるように補正し、縦方向又は斜め方向の移動が発生した場合は小さな移動でも警告するように推定された移動量よりも大きくなるように補正するようにしてもよい。移動量推定部236は、差分データにおいて複数の組み合せデータを含む場合、組み合せデータごとに移動量を推定することになる。
【0045】
また、移動量推定部236は、推定された移動量の中から最も長い移動量を選択し、選択された前記移動量を最長移動量と推定する。なお、推定された移動量が1つの場合は、その移動量を最長移動量と推定する。移動量推定部236は、推定された最長移動量推定データを荷崩れ判定部237に向けて出力する。
【0046】
なお、まとまり抽出部234、組み合せ推定部235、及び移動量推定部236の動作の例については、後述する。
【0047】
荷崩れ判定部237は、変動体積量推定部233からの変動体積量推定データ、又は、移動量推定部236からの最長移動量推定データと、予め設定された閾値(変動体積量用の第1閾値、又は、最長移動量用の第2閾値)とを比較することによって、荷物4の荷崩れの可能性の有無を判定する機能部である(図2参照)。荷崩れ判定部237は、変動体積量推定データが第1閾値よりも大きいとき(第1閾値以上のときでも可)に、荷物4の荷崩れの可能性があると判定する。荷崩れ判定部237は、変動体積量推定データが第1閾値以下のとき(第1閾値未満のときでも可)に、荷物4の荷崩れの可能性がないと判定する。荷崩れ判定部237は、最長移動量が第2閾値よりも大きいとき(第2閾値以上のときでも可)に、荷物4の荷崩れの可能性があると判定する。荷崩れ判定部237は、最長移動量が第2閾値以下のとき(第2閾値未満のときでも可)に、荷物4の荷崩れの可能性がないと判定する。荷崩れ判定部237は、変動体積量及び最長移動量のどちらを優先的に用いて荷物4の荷崩れの可能性の有無を判定するかは任意であるが、データ処理負荷を考慮すると、相対的に負荷が小さい変動体積量を優先的に用いて判定することができる。荷崩れ判定部237は、荷物4の荷崩れの可能性があると判定された場合、警告出力指示情報を警告出力部243に向けて出力し、異常の発生をユーザに警告することになる。
【0048】
ユーザインタフェイス部240は、ユーザインタフェイス(ユーザとの情報のやりとりをする機能)を備えた機能部である(図2参照)。ユーザインタフェイス部240は、ユーザと積載空間認識装置200との間のインタフェイスを行い、各処理への操作、及び、各処理の結果の確認を行えるようにする。ユーザインタフェイス部240は、表示部241、操作部242、警告出力部243を備えている。
【0049】
表示部241は、ノイズ除去部212からの前処理データ101等を表示する機能部である(図2参照)。表示部241として、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、AR(Augmented Reality)グラス等を用いることができる。
【0050】
操作部242は、ユーザ操作に基づいて、領域指定部221及び基準確定部231への領域指定及び確定指示を行う機能部である(図2参照)。操作部242として、例えば、タッチパネル、マウス、ジェスチャーや目の動きを認識するカメラとソフトウェア等を用いることができる。
【0051】
警告出力部243は、荷崩れ判定部237からの警告出力指示情報に基づいて、ユーザに対し警告を出力する機能部である(図2参照)。警告出力部243として、例えば、警告に係る文字や画像を表示するディスプレイ、アラーム音を出力するスピーカ、アラーム点灯するランプ、他のシステムへ警告出力指示情報を送信する通信部などを用いることができる。
【0052】
次に、実施形態1に係る積載空間認識システムにおける積載空間認識装置の動作について図面を用いて説明する。図3は、実施形態1に係る積載空間認識システムにおける積載空間認識装置の動作を模式的に示したフローチャートである。なお、積載空間認識装置の構成部及びその詳細については図1及び図2並びにそれらの説明を参照されたい。
【0053】
まず、前処理部210のフォーマット変換部211は、センサ10から、撮影領域となる積載空間5内の荷物4を撮影した基準用の撮影データ100(基準撮影データ;3次元データ)を取得する(ステップA1)。
【0054】
次に、前処理部210のフォーマット変換部211は、基準用の撮影データ100のフォーマットを共通フォーマットに変換する(ステップA2)。
【0055】
次に、前処理部210のノイズ除去部212は、共通フォーマットに変換された基準用の撮影データ100からノイズを除去して基準用の前処理データ101を作成する(ステップA3)。
【0056】
次に、荷姿把握部220の荷物全体像推定部222は、基準用の前処理データ101、及び、領域指定部221で指定された積載領域に基づいて、積載領域上の積載済みの荷物4の全体像を推定する(ステップA4)。
【0057】
次に、荷姿把握部220のボクセル化部223は、ステップA4で推定された推定結果データに基づいて、荷物4の全体像に係る基準用のボクセルデータ102(基準ボクセルデータ)を作成する(ステップA5)。
【0058】
次に、判定部230の基準確定部231は、ボクセル化部223で作成された基準ボクセルデータを、ユーザによる操作部242の操作により、荷崩れ判定処理のための基準時の値として保存する(ステップA6)。ユーザによる操作部242の操作は、例えば、コンテナ3への荷物4の積み付けが完了し、配送を開始する前に行うことができる。
【0059】
次に、前処理部210のフォーマット変換部211は、基準用の撮影データ100(基準撮影データ)を取得してから所定又は任意の時間が経過した時点で、センサ10から、撮影領域となる積載空間5内の荷物4を撮影した対比用の撮影データ100(対比撮影データ;3次元データ)を取得する(ステップA7)。
【0060】
次に、前処理部210のフォーマット変換部211は、対比用の撮影データ100のフォーマットを共通フォーマットに変換する(ステップA8)。
【0061】
次に、前処理部210のノイズ除去部212は、共通フォーマットに変換された対比用の撮影データ100からノイズを除去して対比用の前処理データ101を作成する(ステップA9)。
【0062】
次に、荷姿把握部220の荷物全体像推定部222は、対比用の前処理データ101、及び、領域指定部221で指定された積載領域に基づいて、積載領域上の積載済みの荷物4の全体像を推定する(ステップA10)。
【0063】
次に、荷姿把握部220のボクセル化部223は、ステップA10で推定された推定結果データに基づいて、荷物4の全体像に係る対比用のボクセルデータ102(対比ボクセルデータ)を作成する(ステップA11)。
【0064】
次に、判定部230の差分抽出部232は、基準確定部231に保存された基準ボクセルデータと、ボクセル化部223で作成された対比ボクセルデータと、を比較することにより、所定の位置(例えば、トラック2の後方、センサ10の位置)から荷物4を見た面の対応する位置のボクセルの差分(例えば、奥行き方向の位置の差分)を抽出する(ステップA12)。
【0065】
次に、判定部230の変動体積量推定部233は、差分抽出部232からの差分データに基づいて、荷物4の全体像の変動した体積量(変動体積量)を推定する(ステップA13)。
【0066】
次に、判定部230の荷崩れ判定部237は、変動体積量推定部233からの変動体積量推定データが、予め設定された変動体積量用の第1閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップA14)。変動体積量推定が第1閾値よりも大きい場合(ステップA14のYES)、荷物4の荷崩れの可能性があると判定し、警告出力部243に警告出力指示情報を出力し、ステップA20に進む。
【0067】
変動体積量推定が第1閾値以下の場合(ステップA14のNO)、判定部230のまとまり抽出部234は、差分抽出部232からの差分データに基づいて、同じ水平方向の位置にある、体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまりを抽出する(ステップA15)。まとまりを抽出できないときはスキップする。
【0068】
次に、判定部230の組み合せ推定部235は、まとまり抽出部234からの差分データ(まとまりを抽出できた場合はまとまりデータを含む)に基づいて、体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとの組み合せを推定する(ステップA16)。
【0069】
次に、判定部230の移動量推定部236は、組み合せ推定部235からの差分データ(まとまりデータ及び組み合せデータを含むことがある)に基づいて、基準時から所定又は任意の時間が経過した時までの間に生じた荷物4の移動量を推定する(ステップA17)。
【0070】
ここで、移動量の推定では、差分データにおいてまとまりデータ、組み合せデータを含む場合、組み合せデータに係る体積量減少ボクセルから体積量増加ボクセルまでの距離を算出し、まとまりデータに係る体積量の増減のないボクセルの長さを算出し、算出された前記距離から、算出された前記長さを差し引いた値を荷物4の移動量として推定する。また、移動量の推定では、差分データにおいて、まとまりデータを含まず、かつ、組み合せデータを含む場合、組み合せデータに係る体積量減少ボクセルから体積量増加ボクセルまでの距離を算出し、算出された前記距離の値を荷物4の移動量として推定する。また、移動量の推定では、差分データにおいて複数の組み合せデータを含む場合、組み合せデータごとに移動量を推定する、
【0071】
次に、判定部230の移動量推定部236は、推定された移動量の中から最も長い移動量を選択し、選択された前記移動量を最長移動量と推定する(ステップA18)。
【0072】
次に、判定部230の荷崩れ判定部237は、移動量推定部236からの最長移動量推定データが、予め設定された最長移動量用の第2閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップA19)。最長移動量推定データが第2閾値より大きい場合(ステップA19のYES)、荷物4の荷崩れの可能性があると判定し、警告出力部243に警告出力指示情報を出力し、ステップA20に進む。最長移動量推定データが第2閾値以下である場合(ステップA19のNO)、荷物4の荷崩れの可能性が無いと判定して、1つのサイクルを終了し、ユーザの終了の指示があるまでステップA7~A20を繰り返す。
【0073】
変動体積量推定が第1閾値よりも大きい場合(ステップA14のYES)、又は、最長移動量推定データが第2閾値より大きい場合(ステップA19のYES)、ユーザインタフェイス部240の警告出力部243は、荷崩れ判定部237からの警告出力指示情報に基づいて、ユーザに対し警告を出力する(ステップA20)。その後、1つのサイクルを終了し、ユーザの終了の指示があるまでステップA7~A20を繰り返す。
【0074】
次に、実施形態1に係る積載空間認識システムにおける積載空間認識装置の差分抽出部及び変動体積量推定部並びに荷崩れ判定部の動作をいくつかの例及び図面を用いて説明する。図4は、基準ボクセルと対比ボクセルとの差分を抽出したときに変動体積量がある場合のいくつかの例を模式的に示したイメージ図である。
【0075】
トラック(図1の2)の後方側から荷物(図1の4)の全体像を見たときの基準ボクセルデータが図4の基準ボクセルデータのような状態である場合、図4の基準ボクセルデータから移動例1-1に係る対比ボクセルデータのように変化すると、差分抽出部(図2の232)で抽出される差分抽出データは図4の移動例1-1に係る差分抽出データのようになる。移動例1-1に係る差分抽出データでは、左上の4個のボクセルのみの体積量がそれぞれ1段増加し、かつ、その他のボクセルには増減の変化がない。つまり、体積の増加が1段分4個しか存在しないので、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとは総体積が異なる。この場合、体積が増加したボクセルの奥側でオクルージョン部(隙間や空間)が増加したと考えられるため、基準ボクセルデータの表面位置から対比ボクセルデータの増加した表面位置までの距離が移動したとして変動体積量推定部(図2の233)で変動体積量を推定し、荷崩れ判定部(図2の237)での変動体積量の閾値判定が行える。
【0076】
図4の基準ボクセルデータから移動例1-2に係る対比ボクセルデータのように変化すると、差分抽出部(図2の232)で抽出される差分抽出データは図4の移動例1-2に係る差分抽出データのようになる。移動例1-2に係る差分抽出データでは、4個のボクセルの体積量がそれぞれ1段減少し、別の8個のボクセルの体積量がそれぞれ1段増加し、かつ、その他のボクセルには増減の変化がない。つまり、体積の増加分と減少分とが存在するが、体積の増加分と減少分を相殺しても体積の増加が1段分4個多く存在するので、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとは総体積が異なる。この場合、全体的に荷物が動いてしまっているため、正確な移動量の算出は不可能である。また、この場合、体積の増加4個分と減少4個分との間で荷物4の移動があり、残りの体積の増加4個分で基準ボクセルデータの表面位置から対比ボクセルデータの増加した表面位置までの距離が移動したとして、変動体積量推定部(図2の233)で変動体積量を推定し、荷崩れ判定部(図2の237)で変動体積量の閾値判定を行う。
【0077】
図4の基準ボクセルデータから移動例1-3に係る対比ボクセルデータのように変化すると、差分抽出部(図2の232)で抽出される差分抽出データは図4の移動例1-3に係る差分抽出データのようになる。移動例1-3に係る差分抽出データでは、8個のボクセルの体積量がそれぞれ1段減少し、別の12個のボクセルの体積量がそれぞれ1段増加し、さらに別の4個のボクセルの体積量がそれぞれ2段増加し、かつ、その他のボクセルには増減の変化がない。つまり、体積の増加分と減少分とが存在するが、体積の増加分と減少分を相殺しても体積の増加が1段分4個多く存在し、かつ、体積の増加が2段分4個多く存在するので、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとは総体積が異なる。この場合、体積の増加1段8個分と減少1段8個分との間で荷物4の移動があり、残りの体積の増加1段4個分と体積の増加2段4個分で基準ボクセルデータの表面位置から対比ボクセルデータの増加した表面位置までの距離が移動したとして、変動体積量推定部(図2の233)で変動体積量を推定し、荷崩れ判定部(図2の237)で変動体積量の閾値判定を行う。
【0078】
次に、実施形態1に係る積載空間認識システムにおける積載空間認識装置の差分抽出部、まとまり抽出部、組み合せ推定部、移動量推定部、及び荷崩れ判定部の動作をいくつかの例及び図面を用いて説明する。図5は、基準ボクセルと対比ボクセルとの差分を抽出したときに変動体積量がなく、かつ、移動量がある場合のいくつかの例を模式的に示したイメージ図である。図6は、図5の例2-1のまとまり推定から最長移動量推定までの推移を模式的に示したイメージ図である。図7は、図5の例2-2のまとまり推定から最長移動量推定までの推移を模式的に示したイメージ図である。図8は、図5の例2-3のまとまり推定から最長移動量推定までの推移を模式的に示したイメージ図である。図9は、図5の例2-4のまとまり推定から最長移動量推定までの推移を模式的に示したイメージ図である。
【0079】
トラック(図1の2)の後方側から荷物(図1の4)の全体像を見たときの基準ボクセルデータが図5の基準ボクセルデータのような状態である場合、図5の基準ボクセルデータから移動例2-1に係る対比ボクセルデータのように変化すると、差分抽出部(図2の232)で抽出される差分抽出データは図5の移動例2-1に係る差分抽出データのようになる。移動例2-1に係る差分抽出データでは、6個のボクセルの体積量がそれぞれ1段増加し、別の6個のボクセルの体積量がそれぞれ1段減少し、その他のボクセルには増減の変化がない。つまり、体積の増加分と減少分とが存在し、体積の増加分と減少分とが同じ数及び段数で相殺されるので、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとの総体積が同じである。この場合、まとまり抽出部(図2の234)で図6(A)のように同じ水平方向の位置にある、体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまり2つを抽出し、組み合せ推定部(図2の235)で図6(B)のように紐付けされた体積量増加ボクセルのまとまりと体積量減少ボクセルのまとまりとの組み合せ2つを推定し、移動量推定部(図2の236)で図6(C)のように組み合せに係る体積量減少ボクセルから体積量増加ボクセルまでの距離(図6(C)の2つの矢印参照)を算出し、まとまりデータに係る体積量の増減のないボクセルの長さ(図示せず)を算出し、図6(D)のように算出された前記距離から、算出された前記長さを差し引いた値を荷物4の移動量(図6(D)の2つの矢印参照)として推定し、移動量推定部(図2の236)で移動量の中から最も長い移動量を最長移動量(図6(D)の丸で囲まれた矢印参照)と推定し、荷崩れ判定部(図2の237)で最長移動量の閾値判定を行う。
【0080】
図5の基準ボクセルデータから移動例2-2に係る対比ボクセルデータのように変化すると、差分抽出部(図2の232)で抽出される差分抽出データは図5の移動例2-2に係る差分抽出データのようになる。移動例2-2に係る差分抽出データでは、8個のボクセルの体積量がそれぞれ1段増加し、別の8個のボクセルの体積量がそれぞれ1段減少し、その他のボクセルには増減の変化がない。つまり、体積の増加分と減少分とが存在し、体積の増加分と減少分とが同じ数及び段数で相殺されるので、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとの総体積が同じである。この場合、まとまり抽出部(図2の234)で図7(A)のように同じ水平方向の位置にある、体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまり1つを抽出し、組み合せ推定部(図2の235)で図7(B)のように紐付けされた体積量増加ボクセルのまとまりと体積量減少ボクセルのまとまりとの組み合せ2つを推定し、移動量推定部(図2の236)で図7(C)のように組み合せに係る体積量減少ボクセルから体積量増加ボクセルまでの距離(図7(C)の2つの矢印参照)を算出し、まとまりデータに係る体積量の増減のないボクセルの長さ(図示せず;1つ)を算出し、図7(D)のように算出された前記距離から、算出された前記長さを差し引いた値を荷物4の移動量(図7(D)の2つの矢印参照;一方は差し引き有り、他方は差し引き無し)として推定し、移動量推定部(図2の236)で移動量の中から最も長い移動量を最長移動量(図7(D)の丸で囲まれた矢印参照;当該事例の場合、2つあるがどちらでも可)と推定し、荷崩れ判定部(図2の237)で最長移動量の閾値判定を行う。
【0081】
図5の基準ボクセルデータから移動例2-3に係る対比ボクセルデータのように変化すると、差分抽出部(図2の232)で抽出される差分抽出データは図5の移動例2-3に係る差分抽出データのようになる。移動例2-3に係る差分抽出データでは、8個のボクセルの体積量がそれぞれ1段増加し、別の8個のボクセルの体積量がそれぞれ1段減少し、その他のボクセルには増減の変化がない。つまり、体積の増加分と減少分とが存在し、体積の増加分と減少分とが同じ数及び段数で相殺されるので、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとの総体積が同じである。この場合、まとまり抽出部(図2の234)では図8(A)のように同じ水平方向の位置にある、体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまりを抽出することができないのでスキップし、組み合せ推定部(図2の235)で図8(B)のように紐付けされた体積量増加ボクセルのまとまりと体積量減少ボクセルのまとまりとの組み合せ2つを推定し、移動量推定部(図2の236)で図8(C)のように組み合せに係る体積量減少ボクセルから体積量増加ボクセルまでの距離(図8(C)の2つの矢印参照)を算出し、図8(D)のように算出された前記距離を荷物4の移動量(図8(D)の2つの矢印参照)として推定し、移動量推定部(図2の236)で移動量の中から最も長い移動量を最長移動量(図8(D)の丸で囲まれた矢印参照)と推定し、荷崩れ判定部(図2の237)で最長移動量の閾値判定を行う。
【0082】
図5の基準ボクセルデータから移動例2-4に係る対比ボクセルデータのように変化すると、差分抽出部(図2の232)で抽出される差分抽出データは図5の移動例2-4に係る差分抽出データのようになる。移動例2-4に係る差分抽出データでは、12個のボクセルの体積量がそれぞれ1段増加し、別の12個のボクセルの体積量がそれぞれ1段減少し、その他のボクセルには増減の変化がない。つまり、体積の増加分と減少分とが存在し、体積の増加分と減少分とが同じ数及び段数で相殺されるので、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとの総体積が同じである。この場合、まとまり抽出部(図2の234)では図9(A)のように同じ水平方向の位置にある、体積量増加ボクセルと体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまりを抽出することができないのでスキップし、組み合せ推定部(図2の235)で図9(B)のように紐付けされた体積量増加ボクセルのまとまりと体積量減少ボクセルのまとまりとの組み合せ3つを推定し、移動量推定部(図2の236)で図9(C)のように組み合せに係る体積量減少ボクセルから体積量増加ボクセルまでの距離(図9(C)の3つの矢印参照)を算出し、図9(D)のように算出された前記距離を荷物4の移動量(図9(D)の3つの矢印参照)として推定し、移動量推定部(図2の236)で移動量の中から最も長い移動量を最長移動量(図9(D)の丸で囲まれた矢印参照)と推定し、荷崩れ判定部(図2の237)で最長移動量の閾値判定を行う。
【0083】
なお、上記の移動例1-1~1-3、2-1~2-4におけるまとまり抽出部234のまとまり抽出処理の基準、組み合せ推定部235の組み合せ推定処理の基準、及び、移動量推定部236の移動量推定処理の基準については、図2の詳細な説明を参照されたい。
【0084】
実施形態1によれば、基準ボクセルデータと対比ボクセルデータとの対応する位置のボクセルの差分を抽出して荷物4の全体像の変動体積量又は最長移動量を推定して閾値判定を行っているので、荷物の移動による荷崩れの発生の可能性を判定することに貢献することができる。
【0085】
また、実施形態1によれば、荷物4で隠れたオクルージョン部分が生じても、そのオクルージョン部分を推定して荷物4の荷姿を把握するので、オクルージョン部分における荷物4の変化を考慮することが可能である。
【0086】
さらに、実施形態1によれば、トラック2の移動開始前など、特定時点の荷姿の基準ボクセルデータを保持し、基準時から所定又は任意の時間が経過した後の荷姿の対比ボクセルデータと比較することにより、荷崩れの可能性の有無を検出することができるので、荷物の積み降ろし作業などによって不安定な配置となり、落下の危険がある荷物があった場合でも、それを検出し、ドライバに通知することができる。これにより荷物4の荷崩れの可能性を早期に発見し、荷物4の破損を未然に防ぐことができ、輸送品質の低下を防ぐことに貢献することができる。
【0087】
[実施形態2]
実施形態2に係る積載空間認識装置について図面を用いて説明する。図11は、実施形態2に係る積載空間認識装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【0088】
積載空間認識装置200は、撮影データに基づいて、荷物が積載される積載空間における荷物の変動(体積変動、距離変動)を認識する装置である。積載空間認識装置200は、荷物全体像推定部222と、ボクセル化部223と、判定部230と、を備える。
【0089】
荷物全体像推定部222は、荷物の積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、積載空間に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力するように構成されている。
【0090】
ボクセル化部223は、推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力するように構成されている。
【0091】
判定部230は、任意の基準時のボクセルデータと、基準時から所定又は任意の時間を経過した後のボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定するように構成されている。
【0092】
実施形態2によれば、基準時のボクセルデータと基準時以外のボクセルデータとの対応する位置のボクセルの差分を抽出して荷物の全体像の変動体積量又は最長移動量を推定して閾値判定を行っているので、荷物の移動による荷崩れの発生の可能性を判定することに貢献することができる。
【0093】
なお、実施形態1、2に係る積載空間認識装置は、いわゆるハードウェア資源(情報処理装置、コンピュータ)により構成することができ、図12に例示する構成を備えたものを用いることができる。例えば、ハードウェア資源1000は、内部バス1004により相互に接続される、プロセッサ1001、メモリ1002、ネットワークインタフェイス1003等を備える。
【0094】
なお、図12に示す構成は、ハードウェア資源1000のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。ハードウェア資源1000は、図示しないハードウェア(例えば、入出力インタフェイス)を含んでもよい。あるいは、装置に含まれるプロセッサ1001等のユニットの数も図12の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ1001がハードウェア資源1000に含まれていてもよい。プロセッサ1001には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いることができる。
【0095】
メモリ1002には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0096】
ネットワークインタフェイス1003には、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェイスカード等を用いることができる。
【0097】
ハードウェア資源1000の機能は、上述の処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ1002に格納されたプログラムをプロセッサ1001が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0098】
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0099】
[付記1]
荷物の積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力するように構成されている荷物全体像推定部と、
前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力するように構成されているボクセル化部と、
任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定するように構成されている判定部と、
を備える、積載空間認識装置。
[付記2]
前記判定部は、
前記ボクセル化部からの前記基準時の前記ボクセルデータを変化基準点として確定するように構成された基準確定部と、
前記基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時点での前記ボクセルデータと、を比較することにより、所定の位置から荷物を見た面の対応する位置のボクセルの差分を抽出して差分データとして出力するように構成された差分抽出部と、
前記差分データに基づいて荷物の全体像の変動体積量を推定して変動体積量推定データとして出力するように構成された変動体積量推定部と、
前記変動体積量推定データと、前記閾値としての変動体積量用の閾値と、を比較することによって、荷崩れの可能性の有無を判定するように構成された荷崩れ判定部と、
を備える、付記1記載の積載空間認識装置。
[付記3]
前記判定部は、
前記差分データに基づいて、同じ水平方向の位置にある、体積量が増加した体積量増加ボクセルと体積量が減少した体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまりを抽出してまとまりデータとして出力するように構成されたまとまり抽出部と、
前記差分データに基づいて、前記体積量増加ボクセルと前記体積量減少ボクセルとの組み合せを推定して組み合せデータとして出力するように構成された組み合せ推定部と、
前記差分データ、前記まとまりデータ、及び前記組み合せデータに基づいて、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時までの間に生じた荷物の少なくとも1つの移動量を推定し、推定された前記移動量の中から最も長い移動量を選択し、選択された前記移動量を最長移動量と推定して最長移動量推定データとして出力するように構成された移動量推定部と、
をさらに備え、
前記荷崩れ判定部は、前記変動体積量推定データと、前記閾値としての変動体積量用の閾値と、を比較することによって、荷崩れの可能性の有無を判定し、荷崩れの可能性が有ると判定されたときに、前記最長移動量推定データと、前記閾値としての最長移動量用の閾値と、を比較することによって、荷崩れの可能性の有無を判定するように構成されている、付記2記載の積載空間認識装置。
[付記4]
前記判定部は、
前記ボクセル化部からの前記基準時の前記ボクセルデータを変化基準点として確定するように構成された基準確定部と、
前記基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時点での前記ボクセルデータと、を比較することにより、所定の位置から荷物を見た面の対応する位置のボクセルの差分を抽出して差分データとして出力するように構成された差分抽出部と、
前記差分データに基づいて、同じ水平方向の位置にある、体積量が増加した体積量増加ボクセルと体積量が減少した体積量減少ボクセルとの間に存在する体積量の増減のないボクセルのまとまりを抽出してまとまりデータとして出力するように構成されたまとまり抽出部と、
前記差分データに基づいて、前記体積量増加ボクセルと前記体積量減少ボクセルとの組み合せを推定して組み合せデータとして出力するように構成された組み合せ推定部と、
前記差分データ、前記まとまりデータ、及び前記組み合せデータに基づいて、前記基準時から所定又は任意の時間が経過した時までの間に生じた荷物の少なくとも1つの移動量を推定し、推定された前記移動量の中から最も長い移動量を選択し、選択された前記移動量を最長移動量と推定して最長移動量推定データとして出力するように構成された移動量推定部と、
前記最長移動量推定データと、前記閾値としての最長移動量用の閾値と、を比較することによって、荷崩れの可能性の有無を判定するように構成された荷崩れ判定部と、
を備える、付記1記載の積載空間認識装置。
[付記5]
ユーザの操作により、前記積載空間における荷物の積載領域を指定するように構成された領域指定部をさらに備え、
前記荷物全体像推定部は、前記積載領域に積載された荷物の全体像を推定するように構成されている、
付記1乃至4のいずれか一に記載の積載空間認識装置。
[付記6]
前記領域指定部は、ユーザの操作により、前記判定部での判定から除外する判定除外領域を指定するように構成され、
前記荷物全体像推定部は、前記判定除外領域に積載された荷物を除外して前記積載領域に積載された荷物の全体像を推定するように構成されている、
付記5記載の積載空間認識装置。
[付記7]
前記積載空間を有する構造体に取り付けられるとともに、揺れ又は音を検出する検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記検出部で一定以上の揺れ又は音を検出したときに前記ボクセル化部から前記ボクセルデータを取得して、前記基準時の前記ボクセルデータと、取得した前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定するように構成されている、
付記1乃至6のいずれか一に記載の積載空間認識装置。
[付記8]
前記移動量推定部は、荷物の移動方向が横方向のときに、推定された前記移動量よりも小さくなるように補正し、又は、荷物の移動方向が縦方向又は斜め方向のときに、推定された前記移動量よりも大きくなるように補正し、補正された前記移動量の中から最も長い移動量を選択するように構成されている、
付記3又は4記載の積載空間認識装置。
[付記9]
前記判定部は、さらに、前記基準時以外の前記ボクセルデータと、その1つ前の他の前記ボクセルデータとの間の変化量と、前記基準時の前記ボクセルデータと前記基準時以外の前記ボクセルデータとの間の変化量とを比較することにより、荷崩れの可能性の有無を判定するように構成されている、
付記1乃至8のいずれか一に記載の積載空間認識装置。
[付記10]
前記判定部は、荷物の荷崩れの可能性があると判定したときに、警告出力指示情報を出力するように構成され、
前記積載空間認識装置は、前記警告出力指示情報に基づいて警告を出力するように構成された警告出力部をさらに備える、
付記1乃至9のいずれか一に記載の積載空間認識装置。
[付記11]
積載空間内の荷物の表面をセンシングして撮像された3次元データを出力するセンサと、
付記1乃至10のいずれか一に記載の積載空間認識装置と、
を備える、積載空間認識システム。
[付記12]
ハードウェア資源を用いて荷物の積載空間を認識する積載空間認識方法であって、
前記積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力するステップと、
前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力するステップと、
任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定するステップと、
を含む、積載空間認識方法。
[付記13]
荷物の積載空間を認識させる処理をハードウェア資源に実行させるプログラムであって、
前記積載空間を所定の方向から撮像した3次元データに基づいて、前記積載空間に積載された荷物の全体像を推定して推定結果データとして出力する処理と、
前記推定結果データをボクセル化してボクセルデータとして出力する処理と、
任意の基準時の前記ボクセルデータと、前記基準時から所定又は任意の時間を経過した後の前記ボクセルデータと、を比較することによって荷物の変動体積量又は移動量を推定し、推定された前記変動体積量又は移動量と閾値とを比較することによって荷崩れの可能性の有無を判定する処理と、
を前記ハードウェア資源に実行させる、プログラム。
【0100】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合せないし選択(必要により不選択)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本願発明の趣旨に則り、本願発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合せて用いることも、本願の開示事項に含まれる(属する)ものと、みなされる。
【符号の説明】
【0101】
1 積載空間認識システム
2 トラック
3 コンテナ
4 荷物
5 積載空間
10 センサ
20 検出部
100 撮影データ
101 前処理データ
102 ボクセルデータ
200 積載空間認識装置
210 前処理部
211 フォーマット変換部
212 ノイズ除去部
220 荷姿把握部
221 領域指定部
222 荷物全体像推定部
223 ボクセル化部
230 判定部
231 基準確定部
232 差分抽出部
233 変動体積量推定部
234 まとまり抽出部
235 組み合せ推定部
236 移動量推定部
237 荷崩れ判定部
240 ユーザインタフェイス部
241 表示部
242 操作部
243 警告出力部
1000 ハードウェア資源
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ネットワークインタフェイス
1004 内部バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12