(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】半導体素子を用いたメモリ装置
(51)【国際特許分類】
H10B 99/00 20230101AFI20241016BHJP
【FI】
H10B99/00 451
(21)【出願番号】P 2023544969
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2021032628
(87)【国際公開番号】W WO2023032193
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】311014428
【氏名又は名称】ユニサンティス エレクトロニクス シンガポール プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Unisantis Electronics Singapore Pte Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】各務 正一
(72)【発明者】
【氏名】作井 康司
(72)【発明者】
【氏名】原田 望
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-212279(JP,A)
【文献】特開2009-026448(JP,A)
【文献】特開2002-083945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0142294(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上にある第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の一部の表面にある、少なくとも一部が柱状の第1の不純物層と、
前記第1の不純物層の柱状部分に接して垂直方向に伸延する第2の不純物層と、
前記第1の半導体層の一部と前記第1の不純物層の一部覆う第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に接して、かつ前記第1の不純物層と第2の不純物層を囲んだ第1のゲート絶縁層と、
前記第1の絶縁層と第1のゲート絶縁膜に接してある第1のゲート導体層と、
前記第1のゲート導体層と、第1のゲート絶縁層に接触するように形成された第2の絶縁層と、
前記第2の不純物層に接触した第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の上部の一部、もしくは全てを囲んだ第2のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート絶縁層の上部の一部、もしくは全てを覆った第2のゲート導体層と、
前記第2の半導体層が伸延する水平方向において、前記第2のゲート導体層の一端の外側にある第2の半導体層の側面に接触する第3の不純物層および第4の不純物層と、
前記第3の不純物層に接続する第1の配線導体層と、
前記第4の不純物層に接続する第2の配線導体層と、
前記第2のゲート導体層に接続する第3の配線導体層と、
前記第1のゲート導体層に接続する第4の配線導体層と、を有し、
前記第1の配線導体層と、前記第2の配線導体層と、前記第3の配線導体層と、
前記第4の配線導体層に印加する電圧を制御して、前記第3の不純物層と前記第4の不純物層との間に流す電流でインパクトイオン化現象、またはゲート誘起ドレインリーク電流により電子群と正孔群を前記第2の半導体層及び
前記第2の不純物層に発生させる動作と、発生させた前記電子群と前記正孔群の内、前記第2の半導体層及び前記第2の不純物層における少数キャリアである前記電子群と前記正孔群のいずれかを除去する動作と、前記第2の半導体層及び第2の不純物層における多数キャリアである前記電子群又は前記正孔群のいずれかの一部または全てを、前記第2の半導体層及び第2の不純物層に残存させる動作と、を行ってメモリ書き込み動作を行い、
前記第1の配線導体層と、前記第2の配線導体層と、前記第3の配線導体層と、前記第4の配線導体層に印加する電圧を制御して、前記第1の不純物層と、前記第3の不純物層、第4の不純物層の少なくとも一か所から、残存している前記第2の半導体層における多数キャリアである前記電子群又は前記正孔群のいずれかを抜き取り、メモリ消去動作を行う、
ことを特徴とする半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項2】
前記第3の不純物層に繋がる前記第1の配線導体層は、ソース線であり、前記第4の不純物層に繋がる前記第2の配線導体層は、ビット線であり、前記第2のゲート導体層に繋がる前記第3の配線導体層は、ワード線であり、前記第1のゲート導体層に繋がる前記第4の配線導体層は、プレート線であり、ソース線、ビット線、プレート線、ワード線にそれぞれ電圧を与えて、メモリの書き込み、消去を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項3】
前記第1の不純物層の多数キャリアは前記第1の半導体層の多数キャリアとは異なることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項4】
前記第2の不純物層の多数キャリアは前記第1の半導体層の多数キャリアと同じであることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項5】
前記第3の不純物層と前記第4の不純物層の多数キャリアは前記第1の不純物層の多数キャリアと同じであることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項6】
前記第1の不純物層の濃度は前記第3の不純物層、前記第4の不純物層よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項7】
前記第1の不純物層の上部は、前記第1のゲート導体層の底部よりも浅い箇所に存在することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項8】
前記第1
の半導体層と前記第1の不純物層と前記第2の不純物層と前記第2の半導体層と前記第3の不純物層とは、サイリスタ構造になっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項9】
前記第1
の半導体層と前記第1の不純物層と前記第2の不純物層と前記第2の半導体層と前記第4の不純物層とは、サイリスタ構造になっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項10】
前記ソース線と前記第3の不純物層を接続するためのソース線コンタクト孔と、第1の配線導体層とを、隣接するセルと共有することを特徴とする請求項2に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項11】
前記ビット線と前記第4の不純物層を接続するためのビット線コンタクト孔と、第2の配線導体層とを、隣接するセルと共有することを特徴とする請求項2に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項12】
前記第1の不純物層の底部が第1の絶縁層の底部より深い位置にあり、第1の不純物層が複数のセルで共有されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【請求項13】
前記第1の不純物層に繋がる第5の配線導体層を有し、前記配線導体層はコントロール線であって所望の電圧が印加できるようになっていることを特徴とする請求項12に記載の半導体素子を用いたメモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を用いたメモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(Large Scale Integration) 技術開発において、メモリ素子の高集積化、高性能化、低消費電力化、高機能化が求められている。
【0003】
通常のプレナー型MOSトランジスタでは、チャネルが半導体基板の上表面に沿う水平方向に延在する。これに対して、SGTのチャネルは、半導体基板の上表面に対して垂直な方向に延在する(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。このため、SGTはプレナー型MOSトランジスタと比べ、半導体装置の高密度化が可能である。このSGTを選択トランジスタとして用いて、キャパシタを接続したDRAM(Dynamic Random Access Memory、例えば、非特許文献2を参照)、抵抗変化素子を接続したPCM(Phase Change Memory、例えば、非特許文献3を参照)、RRAM(Resistive Random Access Memory、例えば、非特許文献4を参照)、電流により磁気スピンの向きを変化させて抵抗を変化させるMRAM(Magneto-resistive Random Access Memory、例えば、非特許文献5を参照)などの高集積化を行うことができる。また、キャパシタを有しない、1個のMOSトランジスタで構成された、DRAMメモリセル(非特許文献6を参照)、キャリアをためる溝部とゲート電極を二つ有したDRAMメモリセル(非特許文献8を参照)、などがある。しかし、キャパシタを持たないDRAMは、フローティングボディのワード線からのゲート電極のカップリングに大きく左右され電圧マージンが十分とれない問題点があった。さらに、基板が完全空乏化するとその弊害は大きくなる。本願は、抵抗変化素子やキャパシタを有しない、MOSトランジスタのみで構成可能な、半導体素子を用いたメモリ装置に関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Hiroshi Takato, Kazumasa Sunouchi, Naoko Okabe, Akihiro Nitayama, Katsuhiko Hieda, Fumio Horiguchi, and Fujio Masuoka: IEEE Transaction on Electron Devices, Vol.38, No.3, pp.573-578 (1991)
【文献】H. Chung, H. Kim, H. Kim, K. Kim, S. Kim, K. Dong, J. Kim, Y.C. Oh, Y. Hwang, H. Hong, G. Jin, and C. Chung: “4F2 DRAM Cell with Vertical Pillar Transistor(VPT),” 2011 Proceeding of the European Solid-State Device Research Conference, (2011)
【文献】H. S. Philip Wong, S. Raoux, S. Kim, Jiale Liang, J. R. Reifenberg, B. Rajendran, M. Asheghi and K. E. Goodson: “Phase Change Memory,” Proceeding of IEEE, Vol.98, No 12, December, pp.2201-2227 (2010)
【文献】T. Tsunoda, K .Kinoshita, H. Noshiro, Y. Yamazaki, T. Iizuka, Y. Ito, A. Takahashi, A. Okano, Y. Sato, T. Fukano, M. Aoki, and Y. Sugiyama : “Low Power and high Speed Switching of Ti-doped NiO ReRAM under the Unipolar Voltage Source of less than 3V,” IEDM (2007)
【文献】W. Kang, L. Zhang, J. Klein, Y. Zhang, D. Ravelosona, and W. Zhao: “Reconfigurable Codesign of STT-MRAM Under Process Variations in Deeply Scaled Technology,” IEEE Transaction on Electron Devices, pp.1-9 (2015)
【文献】M. G. Ertosum, K. Lim, C. Park, J. Oh, P. Kirsch, and K. C. Saraswat : “Novel Capacitorless Single-Transistor Charge-Trap DRAM (1T CT DRAM) Utilizing Electron,” IEEE Electron Device Letter, Vol. 31, No.5, pp.405-407 (2010)
【文献】E. Yoshida, T, Tanaka, “A Capacitorless 1T-DARM Technology Using Gate-Induced Drain-Leakage (GIDL) Current for Low-Power and High-Speed Embedded Memory”, IEEE Trans, on Electron Devices vol.53, pp.692-697 (2006)
【文献】Md. Hasan Raza Ansari, Nupur Navlakha, Jae Yoon Lee, Seongjae Cho, “Double-Gate Junctionless 1T DRAM With Physical Barriers for Retention Improvement”, IEEE Trans, on Electron Devices vol.67, pp.1471-1479 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メモリ装置においてキャパシタを無くした、1個のトランジス型のDRAM(ゲインセル)では、ワード線とフローティング状態の素子があるボディとの容量結合カップリングが大きく、データ読み出し時や書き込み時にワード線の電位を振幅させると、直接半導体基板のボディへのノイズとして、伝達されてしまう問題点があった。この結果、誤読み出しや記憶データの誤った書き換えの問題を引き起こし、キャパシタを無くした1トランジス型のDRAM(ゲインセル)の実用化が困難となっていた。そして、上記問題を解決すると共に、DRAMメモリセルを高密度化する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る半導体素子を用いたメモリ装置は、
基板と、
前記基板上にある第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の一部の表面にある、少なくとも一部が柱状の第1の不純物層と、
前記第1の不純物層の柱状部分に接して垂直方向に伸延する第2の不純物層と、
前記第1の半導体層の一部と前記第1の不純物層の一部覆う第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に接して、かつ前記第1の不純物層と第2の不純物層を囲んだ第1のゲート絶縁層と、
前記第1の絶縁層と第1のゲート絶縁膜に接してある第1のゲート導体層と、
前記第1のゲート導体層と、第1のゲート絶縁層に接触するように形成された第2の絶縁層と、
前記第2の不純物層に接触した第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の上部の一部、もしくは全てを囲んだ第2のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート絶縁層の上部の一部、もしくは全てを覆った第2のゲート導体層と、
前記第2の半導体層が伸延する水平方向において、前記第2のゲート導体層の一端の外側にある第2の半導体層の側面に接触する第3の不純物層および第4の不純物層と、
前記第3の不純物層に接続する第1の配線導体層と、
前記第4の不純物層に接続する第2の配線導体層と、
前記第2のゲート導体層に接続する第3の配線導体層と、
前記第1のゲート導体層に接続する第4の配線導体層と、を有し、
前記第1の配線導体層と、前記第2の配線導体層と、前記第3の配線導体層と、前記前記第4の配線導体層に印加する電圧を制御して、前記第3の不純物層と前記第4の不純物層との間に流す電流でインパクトイオン化現象、またはゲート誘起ドレインリーク電流により電子群と正孔群を前記第2の半導体層及び前期第2の不純物層に発生させる動作と、発生させた前記電子群と前記正孔群の内、前記第2の半導体層及び前記第2の不純物層における少数キャリアである前記電子群と前記正孔群のいずれかを除去する動作と、前記第2の半導体層及び第2の不純物層における多数キャリアである前記電子群又は前記正孔群のいずれかの一部または全てを、前記第2の半導体層及び第2の不純物層に残存させる動作と、を行ってメモリ書き込み動作を行い、
前記第1の配線導体層と、前記第2の配線導体層と、前記第3の配線導体層と、前記第4の配線導体層に印加する電圧を制御して、前記第1の不純物層と、前記第3の不純物層、第4の不純物層の少なくとも一か所から、残存している前記第2の半導体層における多数キャリアである前記電子群又は前記正孔群のいずれかを抜き取り、メモリ消去動作を行う、
ことを特徴とする(第1発明)。
【0007】
上記の第1発明において、前記第3の不純物層に繋がる前記第1の配線導体層は、ソース線であり、前記第4の不純物層に繋がる前記第2の配線導体層は、ビット線であり、前記第2のゲート導体層に繋がる前記第3の配線導体層は、ワード線であり、前記第1のゲート導体層に繋がる前記第4の配線導体層は、プレート線であり、ソース線、ビット線、プレート線、ワード線にそれぞれ電圧を与えて、メモリの書き込み、消去を行う、ことを特徴とする(第2発明)。
【0008】
上記の第1発明において、前記第1の不純物層の多数キャリアは前記第1の半導体層の多数キャリアとは異なることを特徴とする(第3発明)。
【0009】
上記の第1発明において、前記第2の不純物層の多数キャリアは前記第1の半導体層の多数キャリアと同じであることを特徴とする(第4発明)。
【0010】
上記の第1発明において、前記第3の不純物層と前記第4の不純物層の多数キャリアは前記第1の不純物層の多数キャリアと同じであることを特徴とする(第5発明)。
【0011】
上記の第1発明において、前記第1の不純物層の濃度は前記第3の不純物層、前記第4の不純物層よりも低いことを特徴とする(第6発明)。
【0012】
上記の第1発明において、前記第1の不純物層の上部は、前記第1のゲート導体層の底部よりも浅い箇所に存在することを特徴とする(第7発明)。
【0013】
上記の第1発明において、前記第1半導体層と前記第1の不純物層と前記第2の不純物層と前記第2の半導体層と前記第3の不純物層とは、サイリスタ構造になっていることを特徴とする(第8発明)。
【0014】
上記の第1発明において、前記第1半導体層と前記第1の不純物層と前記第2の不純物層と前記第2の半導体層と前記第4の不純物層とは、サイリスタ構造になっていることを特徴とする(第9発明)。
【0015】
上記の第2発明において、前記ソース線と前記第3の不純物層を接続するためのソース線コンタクト孔と、第1の配線導体層とを、隣接するセルと共有することを特徴とする(第10発明)。
【0016】
上記の第2発明において、前記ビット線と前記第4の不純物層を接続するためのビット線コンタクト孔と、第2の配線導体層とを、隣接するセルと共有することを特徴とする(第11発明)。
【0017】
上記の第1又は第2発明において、前記第1の不純物層の底部が第1の絶縁層の底部より深い位置にあり、第1の不純物層が複数のセルで共有されていることを特徴とする(第12発明)。
【0018】
上記の第12発明において、前記第1の不純物層に繋がる第5の配線導体層を有し、前記配線導体層はコントロール線であって所望の電圧が印加できるようになっていることを特徴とする(第12発明)。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る半導体素子を用いたメモリ装置の断面構造である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体素子を用いたメモリ装置の書き込み動作、動作直後のキャリアの蓄積、セル電流を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体素子を用いたメモリ装置の書き込み動作直後の正孔キャリの蓄積、消去動作、セル電流を説明するための図である。
【
図4A】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図4B】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図4C】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図4D】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図4E】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図4F】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図4G】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図4H】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図4J】第1実施形態に係るメモリ装置の製造方法を説明するための図である。
【
図5】第2実施形態に係る半導体素子を用いたメモリ装置の断面構造である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る、半導体素子を用いたメモリ装置の構造、駆動方式、蓄積キャリアの挙動について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1~
図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る半導体素子を用いたメモリセルの構造と動作メカニズムを説明する。
図1を用いて、本実施形態による半導体素子を用いたメモリのセル構造をそれぞれ説明する。
図2を用いて、半導体素子を用いたメモリの書き込みメカニズムとキャリアの挙動、
図3を用いて、データ消去メカニズムを説明する。
【0022】
図1に、本発明の第1実施形態に係る半導体素子を用いたメモリの断面構造を示す。基板20(特許請求の範囲の「基板」の一例である)上にアクセプタ不純物を含むp型の導電型を有するシリコンのp層1(特許請求の範囲の「第1の半導体層」の一例である)がある。p層1の表面から垂直方向に立つ柱状のドナー不純物を含むn層3(特許請求の範囲の「第1の不純物層」の一例である)を持つ半導体と、さらにその上部にアクセプタ不純物を含む柱状のp層4(特許請求の範囲の「第2の不純物層」の一例である)がある。p層1とn層3の一部を覆う第1の絶縁膜2-1(特許請求の範囲の「第1の絶縁層」の一例である)とp層4の一部を覆う第1のゲート絶縁層2-2(特許請求の範囲の「第1のゲート絶縁層」の一例である)がある。また、第1のゲート導体層22(特許請求の範囲の「第1のゲート導体層」の一例である)が第1の絶縁層2-1、第1のゲート絶縁層2-2に接してある。ゲート絶縁層2-2とゲート導体層22に接した第2の絶縁層5(特許請求の範囲の「第2の絶縁層」の一例である)がある。p層4に接触したアクセプタ不純物を含むp層7(特許請求の範囲の「第2の半導体層」の一例である)がある。
【0023】
p層7の片側に高濃度のドナー不純物を含んだn+層6a(特許請求の範囲の「第3の不純物層」の一例である)がある(以下、ドナー不純物を高濃度で含む半導体領域を「n+層」と称する。)。n+層6aの反対側の片側にn+層6b(特許請求の範囲の「第4の不純物層」の一例である)がある。
【0024】
p層7の上表面に第2のゲート絶縁層8(特許請求の範囲の「第2のゲート絶縁層」の一例である)がある。このゲート絶縁層8は、n+層6a、6bに、それぞれ接するか、または近接している。このゲート絶縁層8に接触して、半導体層7の反対側に第2のゲート導体層9(特許請求の範囲の「第2のゲート導体層」の一例である)がある。
【0025】
これにより基板20,p層1、絶縁層2-1、ゲート絶縁層2-2、ゲート導体層22、絶縁層5、n層3、p層4、n+層6a、n+層6b、半導体層7、ゲート絶縁層8、ゲート導体層9、からなる半導体素子を用いたメモリ装置が形成される。そして、n+層6aは第1の配線導電層であるソース線SL(特許請求の範囲の「ソース線」の一例である)に、n+層6bは第2の配線導電層であるビット線BL(特許請求の範囲の「ビット線」の一例である)に、ゲート導体層9は第3の配線導電層であるワード線WL(特許請求の範囲の「ワード線」の一例である)に、ゲート導体層22は第4の配線導電層であるプレート線PL(特許請求の範囲の「プレート線」の一例である)に、それぞれ接続している。ソース線、ビット線、プレート線、ワード線の電位を操作することで、メモリの動作をさせる。このメモリ装置を以下、ダイナミック フラッシュ メモリ と呼ぶ。
【0026】
メモリ装置では、上述のダイナミック フラッシュ メモリセルが基板20上にひとつ、もしくは2次元状に複数配置されている。
【0027】
また、
図1でp層1はp型の半導体としたが、不純物の濃度にプロファイルが存在してもよい。また、n層3、p層4、p層7の不純物の濃度にプロファイルが存在してもよい。また、p層4とp層7は独立して、不純物の濃度、プロファイルを設定してもよい。
【0028】
また、n+層6aとn+層6bを、正孔が多数キャリアであるp+層(以下、アクセプタ不純物を高濃度で含む半導体領域を「p+層」と称する。)で形成したときは、p層1、p層4、p層7をn型半導体、n層3をp型半導体、とすれば書き込みのキャリアを電子とすることでダイナック フラッシュ メモリの動作がなされる。
【0029】
また、
図1では第1の半導体層1がp型の半導体としたが、基板20にn型の半導体基板を用い、pウェルを形成し、これを第1の半導体層1として、本発明のメモリセルを配置してもダイナック フラッシュ メモリの動作がなされる。
【0030】
また、
図1では絶縁層2-1とゲート絶縁層2-2を区別して示したが、一体のものとして形成してもよい。以下では、絶縁層2-1とゲート絶縁層2-2とを併せてゲート絶縁層2とも言う。
【0031】
また、
図1では第2の半導体層7はp型の半導体としたが、p層4の多数キャリア濃度、第2の半導体層7の厚さ、ゲート絶縁層8の材料、厚さ、ゲート導体層9の材料に依存し、第2の半導体層7はp型、n型、i型いずれのタイプも用いることができる。
【0032】
また、
図1ではp層7の底部と絶縁層5の上表面が一致するように図示されているが、p層4とp層7が接触しており、かつp層4の底部が絶縁層5の底部よりも深ければ、p層4とp層7との界面は絶縁層5の上表面と一致しなくともよい。
【0033】
また、基板20は絶縁体でも、半導体でも、導体でもp層1を支えられるものであれば任意の材料を用いることができる。
【0034】
また、ゲート導体層22は絶縁層2-1、もしくはゲート絶縁膜2-2を介してメモリセルの一部の電位を変化させられるのであれば、高濃度にドープされた半導体層であっても導体層であってもよい。
【0035】
また、第1から第4までの配線導電層はそれぞれが接触しなければ、多層で形成してもよい。
【0036】
また、
図1ではn層3の底部とゲート絶縁層2-1の底部が一致するように図示されているが、n層3はp層1とゲート絶縁層2のどちらにも接触していれば一致しなくともよい。
【0037】
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリの書き込み動作時のキャリア挙動、蓄積、セル電流を説明する。まずn
+層6aとn
+層6bの多数キャリアが電子であり、たとえばPLに接続されるゲート導体層22にp
+poly(以下、アクセプタ不純物を高濃度で含むpoly Siを「p
+poly」と称する。)を使用する。WLに接続されるゲート導体層9にn
+poly(以下、ドナー不純物を高濃度で含むpoly Siを「n
+poly」と称する。)を使用し、第2の半導体層7としてp型半導体を使用した場合について説明する。
図2(a)に示したように、このメモリセルの中のMOSFETはソースとなるn
+層6a、ドレインとなるn
+層6b、ゲート絶縁層8、ゲートとなるゲート導体層9、基板となるp層7を構成要素として作動する。p層1に例えば0Vを印加し,ソース線SLの接続されたn
+層6aに例えば0Vを入力し、ビット線BLの接続されたn
+層6bに例えば3Vを入力し、プレート線PLの接続されたゲート導体層22を0Vに、例えば、ワード線WLの接続されたゲート導体層9に、例えば、1.5Vを入力する。ゲート導体層9の下にあるゲート絶縁層8の直下には一部反転層12が形成され、ピンチオフ点13が存在する。したがってゲート導体層9を有するMOSFETは飽和領域で動作する。
【0038】
この結果、ゲート導体層9を有するMOSFETの中でピンチオフ点13とn+層6bの境界領域の間で電界は最大となり、この領域でインパクトイオン化現象が生じる。このインパクトイオン化現象により、ソース線SLの接続されたn+層6aからビット線BLの接続されたn+層6bに向かって加速された電子がSi格子に衝突し、その運動エネルギーによって、電子・正孔対が生成される。生成された電子の一部は、ゲート導体層9に流れるが、大半はビット線BLに接続されたn+層6bに流れる。
【0039】
なお、上記のインパクトイオン化現象を起こさせる代わりに、ゲート誘起ドレインリーク(GIDL)電流を流して正孔群を生成してもよい(例えば非特許文献7を参照)。
【0040】
図2(b)には書き込み直後、すべてのバイアスが0Vになったときのp層4とp層7にある正孔群11を示す。生成された正孔群11は、p層4とp層7の多数キャリアであり、その濃度の勾配によってp層4の方へ移動し、短時間的にはp層4とp層7に一様に蓄積され、非平衡状態では実質的にゲート導体層9を持つMOSFETの基板であるp層7を正バイアスに充電する。また、空乏層内の正孔は電界によってSL側、もしくはn層3の方に移動し、電子と再結合する。その結果、ゲート導体層9をもつMOSFETのしきい値電圧は、p層4とp層7に一時的に蓄積される正孔により正の基板バイアス効果によって、低くなる。これにより、
図2(c)に示すように、ワード線WLの接続されたゲート導体層9をもつMOSFETのしきい値電圧は、低くなる。この書込み状態を論理記憶データ“1”に割り当てる。
【0041】
なお、上記のビット線BL、ソース線SL、ワード線WL、プレート線PLに印加する電圧条件は、書き込み動作を行うための一例であり、書き込み動作ができる他の電圧条件であってもよい
【0042】
また、
図2ではゲート導体層9としてn
+polyを使用したが、これはp
+polyのような高濃度にドープされた半導体、Wなどの金属層、W/TiNのような積層された金属層などを使用してもよい。
【0043】
また、
図2ではゲート導体層22としてp
+polyを使用したが、n
+poly、金属層、金属窒化物、金属の積層構造やシリサイドなどの導体層などを使用してもよい。これらは、データの書き込み時にPL電極にかける電圧や、絶縁膜2の膜厚、p層4の不純物濃度との関係で材料を選択することができる。
【0044】
本実施形態の構造によれば、ワード線WLの接続されたゲート導体層9をもつMOSFETのp層7は、p層4に電気的に接続されているので、発生された正孔を蓄積できる容量を、p層4の体積を調節することで自由に変えることができる。つまり、保持時間を長くするために例えば、p層4の深さを深くすればよい。したがって、p層4の底部はp層7の底部よりも深い位置にあることが要求される。また、正孔キャリアが蓄積されている部分、ここではp層4、p層7の体積に比べて、電子と再結合することに関与するn層3、n
+層6a、n
+層6bが接触する面積を小さくできるので、電子との再結合を抑制でき、蓄積された正孔の保持時間を長くできる。さらに、ゲート導体層22の仕事関数を自由に選択できる。また、
図1の例ではゲート導体層22にp
+polyを使用しているために蓄積されている正孔は第1のゲート絶縁層2-2に接した第2の不純物層であるp層4の界面近くに蓄積され、安定した正孔の蓄積ができる。このために、このメモリ素子として基板に全体の基板バイアスの効果があがり、記憶を保持する時間が長くなり、“1”書き込みの電圧マージンが広がる。
【0045】
次に、
図3を用いて消去動作メカニズムを説明する。
図3(a)に消去動作前に、前のサイクルでインパクトイオン化により生成された正孔群11がp層4とp層7に蓄えられ、すべてのバイアスが0Vになった直後の状態を示している。
図3(b)に示すように、消去動作時には、ソース線SLの電圧を、負電圧VERAにする。ここで、VERAは、例えば、-3Vである。その結果、p層7の初期電位の値に関係なく、ソース線SLが接続されているソースとなるn
+層6aとp層7のPN接合が順バイアスとなる。その結果、前のサイクルでインパクトイオン化により生成された、p層4および、p層7に蓄えられていた正孔群11が、ソース線に接続されているn
+層6aに移動する。また少量ではあるが、一部の正孔はp層4からn層3に流れ電子と再結合する。その結果、p層4とp層7の正孔濃度は時間とともに低くなり、MOSFETのしきい値電圧は、“1”を書き込んだ時よりも高くなり、初期の状態に戻る。これにより、
図3(c)に示すように、このワード線WLが接続されたゲート導体層9をもつMOSFETはもともとのしきい値に戻る。このダイナミック フラッシュ メモリの消去状態は論理記憶データ“0”となる。
【0046】
本実施形態の構造によれば、p層1、n層3、p層4、p層7、n+層6aによるサイリスタ構造が形成されている。そして、消去時にソース線に-3Vをかけると、ソース線SLから電子が大量に注入され、それらが蓄積された正孔と再結合すると同時に第1の不純物層、もしくはビット線BLに電界でそれぞれドリフトされるので大幅な消去の時間短縮が見込める。したがって、論理情報データ“0”の安定した状態を短い時間で供与でき、このダイナミック フラッシュ メモリ素子の動作速度が向上する。
【0047】
また、p層1、n層3、p層4、p層7、n+層6bでもサイリスタ構造を形成することができ、消去時にビット線にたとえば、-3Vを印加しても同様の効果が見込める。
【0048】
なお、上記のビット線BL、ソース線SL、ワード線WL、プレート線PLに印加する電圧条件は、消去動作を行うための一例であり、消去動作ができる他の電圧条件であってもよい。例えば、上記ではゲート導体層22を0Vにバイアスした例を説明したが、消去時に、例えば3Vでバイアスすれば、p層4とゲート絶縁層2の界面に電子が多数キャリアである反転層を形成することができ、電子と正孔の再結合面積を増やすことができ、消去時間を短くすることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば情報を読み書きするMOSFETの構成要素の一つであるp層7は、p層1、n層3、p層4と電気的に接続されている。さらに、ゲート導体層22にある電圧を印加できる。したがって、書き込み動作においても、消去動作においても、例えば、SOI構造のようにMOSFET動作中に基板バイアスがフローティング状態で不安定になったり、ゲート絶縁層8の下の半導体部分が完全に空乏化したりすることがない。このために、MOSFETのしきい値、駆動電流などが動作状況に左右されにくい。したがってMOSFETの特性は第2の半導体層7の厚さ、不純物の種類、不純物濃度、プロファイル、p層4の不純物濃度、プロファイル、ゲート絶縁層8の厚さ、材料、ゲート導体層9の仕事関数、を調整することで、幅広く所望のメモリ動作に係る電圧を設定できる。また、MOSFETの下は完全空乏化せずに、空乏層がp層4の深さ方向に広がるので、キャパシタを持たないDRAMの欠点であったフローティングボディのワード線からのゲート電極のカップリングにほとんど左右されることがない。つまり、本実施形態によればダイナミック フラッシュ メモリとしての動作電圧のマージンを広く設計できる。
【0050】
図4A~
図4J (4Iは表記上混同しやすいので欠番)を用いて、本実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリの製造方法を示す。各図において、(a)は平面図、(b)は(a)のX-X’線に沿った断面図、(c)は(a)のY-Y’線に沿った断面図を示す。
【0051】
図4Aに示すように、基板20上に、下からp層1、n層3、p層4、絶縁膜41、マスク材料層42を形成する。なお、基板は半導体でも絶縁膜でもよい。またp層1、n層3はウェル層であってもよい。また絶縁層41はたとえばシリコン酸化膜、マスク材料層42はシリコン窒化膜などが使用できる。
【0052】
次に、
図4Bに示すように、将来メモリセルとなる領域において、マスク材料層42a~42dをマスクにして、絶縁層41、p層4とn層3をRIE(Reactive Ion Etching)法でエッチングする。なお、
図4Bではエッチングされた溝の底はn層3の底部と一致しているように描かれているが、n層3の上部よりも溝の底のほうが深い位置にあればよい。
【0053】
次に、
図4Cに示すように、酸化により、上記で形成された溝の側壁と底部に絶縁膜2を選択的に形成する。
図1-3ではゲート絶縁膜2-1、絶縁膜2-2と分けて表記したが、これ以降はそれらを統合して、ゲート絶縁膜2として表記する。図示されていないが、例えばALD(Atomic Layer Deposition)の技術を用いて、全体的に酸化膜を形成してもよい。この場合にはマスク材料層42の周りにもゲート絶縁膜2が形成される。
【0054】
次に、
図4Dに示すように、ゲート導体層22をたとえばCVD法により全面に堆積したのちに、選択RIE法によりエッチバックを行い、ゲート導体層22の上表面がp層4の上表面よりも低い位置になるようにエッチングする。
【0055】
次に、
図4Eに示すように、前面に例えばCVD方法により、絶縁層5を形成する。
【0056】
次に、
図4Fに示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術によってマスク材42a~42dの表面が出るところまで絶縁層5を研磨し、さらに選択的にマスク材42a~42dを選択的に除去する。さらにp層4の表面が現れるまで、絶縁層5をエッチバックし、同時期に絶縁層41をエッチングする。
【0057】
次に、
図4Gに示すようにp層4から結晶層として連続となるような条件で半導体層7をたとえばCVD法により成長させ、その後メモリセルの中のMOSFETとして動作するのに必要な部分以外は除去する。
【0058】
次に、
図4Hに示すようにゲート絶縁層8を形成し、ゲート導体層9を形成し、それぞれのメモリセルにおけるMOSFETのゲート電極となるように加工する。
図4Hではゲート絶縁層8a、8b、8cとゲート導体層9a、9cとして表記されている。その後に、自己整合的にn
+層6a、n
+6bを形成する。
【0059】
次に、
図4Jに示すように絶縁層31を全面に形成したのちに、それぞれのメモリセルにコンタクト孔33aから33dをあける。その後、配線導体層35,36を形成する。配線導体層35はソース線SLに接続される。次に絶縁膜38を形成したのちに第2のコンタクト孔37c、37dをあけて配線導体層39を形成する。これはビット線BLに接続される。
【0060】
なお、
図4J(a)の平面図において、実際の上部には第2の配線導体層39と絶縁膜38しかないが、理解を助けるために主要な下層部分のp層4aから4dとゲート導体層9a、9b、コンタクト孔32a、32b、33c、33d、37c、37dについては図示した。
【0061】
また、
図4Aから4Jにおいて溝の形は矩形状の垂直断面を用いて説明したが、台形状の形であってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、不純物層3や不純物層4を底面が四角形の柱状として示しているが、それ以外の多角形、もしくは円形の底面を持つ柱状であってもよい。
【0063】
また、n層3は将来的にメモリセルがある部分に存在すればよい。したがって、
図4Aでp層1の上に、全面にn層3を形成するように図示しているが、p層1の上の選択された領域だけにn層3を形成してもよい。
【0064】
また、マスク材料層42とゲート絶縁層2の材料はエッチングの際に選択比の取れるものであれば、どのような材料であってもよい。
【0065】
また、ゲート導体層22は電圧を印加できるものであれば、半導体であっても導体であってもよい。
【0066】
また、
図4FではCMPのエンドポイント材料を、マスク材料層42a~42dとしたが、これはゲート絶縁層2、絶縁層5、p層4などを用いることもできる。
【0067】
また、ゲート絶縁層2やゲート絶縁膜8には、例えばSiO2膜、SiON膜、HfSiON膜やSiO2/SiNの積層膜など、通常のMOSプロセスにおいて使用されるいかなる絶縁膜も使用可能である。
【0068】
また、本説明では、BL線に接続するのに配線導体層36と配線導体層39を別々に形成する方法を示したが、ダマシーン法などを用いて、配線導体層36、39およびコンタクト孔33c、37cを一度のプロセスで形成することも可能である。
【0069】
また、本発明では
図4では、ゲート導体層9、半導体層7、すべての配線導体層をX-X‘軸、またはY-Y’軸に平行、もしくは垂直方向に伸延するように図示されているが、これらは斜め方向に伸延させてもよい。
【0070】
本実施形態は、下記の特徴を有する。
(特徴1)
本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリは、MOSFETのチャネルの形成される基板領域は、絶縁層2-1とゲート絶縁層2-2とn層3で囲まれたp層4とp層7で構成される。この構造のために論理データ“1”の書き込みの場合に発生する多数キャリアは、p層7とp層4に蓄積でき、その数を増加させることができるので、情報保持時間が長くなる。また、データ消去時にはソース線SLに接続されているn+層6aに負電圧を与えることで、n+層6a、p層7、p層4、n層3、p層1のサイリスタ構造により、消去が容易となる。また、ゲート導体層22の電圧の印加により、メモリのより安定化した動作ができる。したがって、メモリの動作マージンを拡大でき、消費電力を低減でき、メモリの高速動作に繋がる。
【0071】
(特徴2)
本発明の第1実施形態に係るダイナミック フラッシュ メモリの中のMOSFETの構成要素の一つであるp層7は、p層4、n層3、p層1と接続されており、さらにゲート導体層22に印加する電圧を調整することで、ゲート絶縁層8の下のp層7やp層4が完全に空乏化しない。このために、MOSFETのしきい値、駆動電流などがメモリの動作状況に左右されにくい。さらに、MOSFETの下は完全空乏化しないために、キャパシタを持たないDRAMの欠点であったフローティングボディのワード線からのゲート電極のカップリングに大きく左右されることがない。つまり、本発明によればダイナミック フラッシュ メモリとしての動作電圧のマージンを広く設計できる。
【0072】
(特徴3)
セルのMOSFETのゲート電極が、p層7を囲む構造になっており、実効的なチャネル幅が広くなるので、書き込みの際の余剰正孔の量を大きくでき、セル電流を大きくできるので、メモリの高速動作が可能となる。
【0073】
(特徴4)
図4Jに示したダイナミック フラッシュ メモリセルのn
+層6a、ソース線SLに接続される配線導体層35、コンタクト孔32aが隣同士のセルによって共有されている。また、n
+層6c、ビット線BLに接続される配線導体層36、39やコンタクト孔33c、37cが隣同士のセルによって共有されている。したがって、本発明によるダイナミック フラッシュ メモリのセル面積は、p層7a、7bとゲート導電体9a,9cそれぞれのラインとスペース、あるいは配線導体層35と36のラインとスペースで決まる。よって、製造上の最小寸法をFとしたときにセル面積は4F
2となり、微細なメモリセルを供与できる。
【0074】
(第2実施形態)
図5を用いて、本発明の第2実施形態のダイナミック フラッシュ メモリについて説明する。
図5において、
図1と同一または類似の構成部分には数字が同一の符号を付してある。
【0075】
図5(a)に示すように、
図1におけるn層3の底が、ゲート絶縁層2よりも深い位置にあり、n層3を複数のセルで共有する。それ以外は
図1と同じである。この場合にはゲート絶縁層2がp層1に接していなくともよい。このような形でも、第1実施形態と同様にソース線SL、プレート線PL、ワード線WL、ビット線BLに電圧を印加することでダイナミック フラッシュ メモリの動作が可能である。
【0076】
また、
図5(b)のようにn層3を複数のセルで共有する場合に、第5の配線導電層であるコントロール線CDC(特許請求の範囲の「コントロール線」の一例である)に接続して、電圧を印加することで、複数のメモリ動作を同時操作することもできる。
【0077】
また、論理記憶データ“1”書き込みの際には第1実施形態の電圧印加条件に加えて、例えば、CDCに1Vを加えてp層4とのpn接合が順方向にならないようにして、電子と正孔の再結合を抑制し、正孔の蓄積を促進することができる。
【0078】
また、記憶データを“0”に消去する場合には、例えば、CDCとp層1に-3Vを与え、それ以外の電位を0Vとしても、p層4とn層3のpn接合が順方向になるので、速やかにメモリセル内に蓄積された正孔を排出することができる。このように第2実施形態によれば、第1実施形態における論理記憶データの“1”の書き込み、”0”への消去動作のマージンをさらに拡げることができる。
【0079】
本実施形態は、下記の特徴を有する。
(特徴1)
第1実施形態と同様にソース線SL、プレート線PL、ワード線WL、ビット線BLに電圧を印加することでダイナミック フラッシュ メモリの動作ができ、さらにコントロール線CDCに電圧を印加することで、記憶情報データの“1”書き込み、“0”消去の動作マージンを広げ、かつ高速なメモリ動作をすることができる。
【0080】
(特徴2)
n層3の中にセルが複数あるために“0”消去を一度で複数のセルについて行うことができる。
【0081】
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した各実施形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記実施例及び変形例は任意に組み合わせることができる。さらに、必要に応じて上記実施形態の構成要件の一部を除いても本発明の技術思想の範囲内となる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る、半導体素子を用いたメモリ機能を用いれば従来よりも、記憶する時間の長い、消費電力の少ない高速のダイナミック フラッシュ メモリを供与することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 第1の半導体層
2-1 第1の絶縁層
2-2 第1のゲート絶縁層
2 絶縁層 (2-1と2-2を統合した総称)
3、3a、3b、3c 第1の不純物層
4、4a、4b、4c、4d 第2の不純物層
5、第2の絶縁層
6a、6c n+層
7、7a、7b、7c 第2の半導体層
8、8a、8b、8c 第2のゲート絶縁層
9、9a、9c 第2のゲート導体層
11 正孔群
12 反転層
13 ピンチオフ点
20 基板
22 第1のゲート導体層
SL ソース線
PL プレート線
WL、WL1、WL2 ワード線
CDC コントロール線
BL ビット線
31 第3の絶縁層
33a、33b、33c、33d コンタクト孔
35 第1の配線導体層
36 配線導電層
37c、37d コンタクト孔
39 第2の配線導体層
41 絶縁層
42、42a、42b、42c、42d マスク材料