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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/013 20060101AFI20241016BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241016BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
F24F7/013 102B
F24F7/06 G
F24F7/06 101B
F24F13/02 B
F24F13/02 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024035330
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-04-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2023年11月29日にオンラインショップ(Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング及びeモンズ)にて販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2023年12月18日にオンラインショップ(Qoo10)にて販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2023年12月11日にウェブサイト(YouTube)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2023年12月18日にウェブサイト(Facebook)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2023年12月26日にウェブサイト(TikTok及びInstagram)にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508194386
【氏名又は名称】株式会社ケーズウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西本 啓一
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0468640(KR,Y1)
【文献】登録実用新案第3110722(JP,U)
【文献】特開2011-085348(JP,A)
【文献】特開2002-325856(JP,A)
【文献】特開平08-285341(JP,A)
【文献】実開昭51-005255(JP,U)
【文献】実開昭52-059459(JP,U)
【文献】特開平03-050433(JP,A)
【文献】登録実用新案第3144942(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/013
F24F 7/06
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気部と、送風装置と、伸縮及び屈曲が可能な可撓性管と、前記可撓性管の形状を保持可能な形状保持部材と、を備える組立式の排気装置であって、
前記可撓性管の両端部に、前記送風装置と、前記吸気部と、がそれぞれ接続されており、
前記形状保持部材は、前記可撓性管が収縮した収縮状態において、前記吸気部と、前記送風装置と、前記可撓性管と、を保持可能なシート材であり、
前記シート材は、筒状に丸められた包囲状態を保持可能な留部を有する、排気装置。
【請求項2】
前記形状保持部材は、前記可撓性管、前記送風装置、前記吸気部を一列に保持可能である、
請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
前記形状保持部材は、前記可撓性管、前記送風装置、前記吸気部の各々の中心軸線を互いに平行に保持可能である、
請求項1に記載の排気装置。
【請求項4】
前記吸気部を所定の高さに支持可能な支持体を更に備える、
請求項1に記載の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便に移動させ、設置、撤収、収納することが可能な排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内での調理においては、湯気や煙、オイルミスト等を適切に排出し、室内環境への影響を極力抑えることが必要であり、キッチンにはそのための排気装置が設置されている。しかしながら、カセットコンロでの鍋料理、家庭内での分煙、感染症対策としての換気など、キッチンでの調理に限らず強力な換気を要求される場面は多い。これに対応すべく、任意の場所に吸気口を設置可能な換気装置が開発されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-176941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には笠と、自立可能な排煙管と、電動ファンを備え、室内の任意の場所から排煙することが可能な排煙機構の構成が開示されている。しかしながら、このような排煙機構は常設ではなく、使用の度に持ち運び、組立、分解を要するほか、収納の際の扱いやすさも考慮する必要があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、組立てた状態での持ち運びや収納を容易にする排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、吸気部と、送風装置と、伸縮及び屈曲が可能な可撓性管と、該可撓性管の形状を保持可能な形状保持部材と、を備える組立式の排気装置であって、該可撓性管の両端部に、該送風装置と、該吸気部と、がそれぞれ接続されており、該形状保持部材は、該可撓性管が収縮した収縮状態において、該吸気部と、該送風装置と、該可撓性管と、を保持可能である。
このような構成によって、排気装置を組立てた状態のまま持ち運びや収納が容易にできる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、該形状保持部材は、該可撓性管、該送風装置、該吸気部を一列に保持可能である。
このような構成によって、排気装置を組立てた状態における持ち運びや収納がより容易になる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、該形状保持部材は、該可撓性管、該送風装置、該吸気部の各々の中心軸線を互いに平行に保持可能である。
このような構成によって、排気装置を組立てた状態における持ち運びや収納がより容易になる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、該形状保持部材は、シート材であり、該シート材は、筒状に丸められた包囲状態を保持可能な留部を有する。
このような構成によって、形状保持部材を可撓性管に容易に取付けることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、該吸気部を所定の高さに支持可能な支持体を更に備える。
このような構成によって、可撓性管の強度に関わらず、吸気部を容易に設置することができる。
【発明の効果】
【0011】
上記課題を解決する本発明は、組立てた状態での持ち運びや収納を容易にする排気装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、排気装置の使用状態を示す説明図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る、排気装置の部品及びその組立状態を示す模式図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る、排気装置の部品及びその組立状態を示す模式図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る、排気装置に含まれる保持シートの構成を示す模式図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る、排気装置の保管状態を示す模式図である。
図6】本発明の第一の実施形態に係る、排気装置の変更例を示す説明図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係る、排気装置の部品及びその組立状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る排気装置Xについて説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
【0014】
≪第一の実施形態≫
本実施形態に係る排気装置Xは、図1に示すように、吸気部1と、吸気部1を支持する支持体2と、送風装置3と、伸縮及び屈曲が可能な可撓性管4と、排気部5と、可撓性管4の形状を保持可能な形状保持部材と、を備えており、一本の流路を形成する。また、排気装置Xは、図2(a)及び図3(a)に示すように、各部品が互いに着脱可能な組立式である。このような構成によって、部品の管理及び交換が容易になるほか、排気装置Xを解体できることで、排気により汚れた各部品の内壁を容易に洗浄することができる。
ここで、各図面における一点鎖線は、各部品、或いは排出される気体の流路、の中心を示す中心軸線である。
【0015】
図2(a)に示すように、吸気部1は、吸気部本体11と、管接続部12と、を有する管状の部材であって、排気装置Xによって排出される気体を取り入れる。また、吸気部1は、支持体接続部13と、内蓋14と、を有し、設置場所や吸気量を調整可能である。
【0016】
吸気部本体11は、中心軸線を取り囲む管状で、且つ一方の開口部がもう一方の開口部と比べて大きい漏斗状の部材であり、狭窄側(小さい開口部)は管接続部12と連続して接続している。このような構成によって、効率的に吸気ができるほか、図5に示すように、排気装置Xを鉛直に立てて保管するとき、安定性が高い脚部として扱うこともできる。
【0017】
管接続部12は、吸気部本体11の窄まっている開口部から筒状に伸びる部材であり、可撓性管4を、気体の流路が連通するように接続可能である。管接続部12は、可撓性管4の開口端部と嵌合可能であれば、単純な管状でよいが、段付きの管や、接続用の溝が設けられていてもよい。このような構成によって、流路の気密性を向上し、排気効率を高めることができる。
【0018】
支持体接続部13は、吸気部本体11或いは管接続部12の外壁面から突出して設けられる部材であり、吸気部1を所定の高さに保持可能な支持体2を接続する。このような構成によって、図1に示すように、テーブルT等を用いて吸気部1を支持する場合において、吸気部1の位置や姿勢がずれにくく、容易に安定させることができる。また、図2(a)では、支持体2が支持体接続部13から外れた状態を示しているが、支持体接続部13は、支持体2と溶接等で一体に設けられていてもよい。
【0019】
内蓋14は、吸気部本体11の内部の狭窄側付近、若しくは管接続部12の内部において、回動可能に設けられる平板状の部材であり、その回動軸は、中心軸線に対し略垂直な方向に設けられる。また、内蓋14の面方向の大きさは、管接続部12の内側の断面積よりもやや小さく、特に90%以上100%未満であることが好ましい。このような構成によって、回動軸により内蓋14が回動することで流路断面を拡大又は縮小することができ、吸気部本体11からの吸気量を調整することができる。また、内蓋14は、吸気部本体11或いは管接続部12の外周面の少なくとも一箇所に、突出した操作部を有する構成が好ましく、これにより回動に係る操作を可能とする。
【0020】
支持体2は、支持アーム21と、保定具22と、を有し、吸気部1を所定の高さに保持可能にする。図2(a)では、支持体2は、吸気部1から外れた状態で示しているが、吸気部1と一体に設けられていてもよい。
【0021】
支持アーム21は、多数の関節を有し、屈曲が可能な線状或いは管状の部材であり、片端に対する他端の位置及び姿勢を自在に変更可能にする。また、支持アーム21は、吸気部1と、可撓性管4を支持可能な剛性(特に曲げ剛性)を有し、吸気部1を所定の高さおよび姿勢に保持可能にする。換言すれば、支持アーム21は、その全体で吸気部1と、1本の可撓性管4とを合わせた分の質量を支持可能で、その程度の質量では屈曲しない程度の剛性(特に曲げ剛性)を有する。
【0022】
支持アーム21は、前述の通り、吸気部1及び可撓性管4を支持するための十分な剛性を有していればどのような態様でも良い。例として、支持アーム21は、フレキシブル管継手で構成される。これにより、局所的に人力が加わることによる屈曲の容易さと、吸気部1及び可撓性管4を支持する剛性を同時に得ることができる。このほか、支持アーム21は、ストッパーが設けられた関節部で複数の梁が直列に接続された、関節付きアームでもよい。
【0023】
保定具22は、コの字型或いはU字型の固定部と、ねじ回し機構等によって該固定部に対し直線方向の移動が可能な可動部と、を有する機構であり、平板状の対象物を挟持して、自信を保持可能にする。すなわち保定具22は、周知の万力と同様の構成・原理である。また、保定具22は、支持アーム21の片端と固定接続されており、両者によって、吸気部1が所定の高さ及び姿勢に保持される。
【0024】
送風装置3は、ハウジング31と、モータ32と、ファン33と、管接続部34と、を有し、ハウジング31の内部が流路となり、気体が所定の方向に流れるように運動エネルギーを与える。これにより、流路内の気体に対し、吸気部1から排気部5に向かう流れを発生させる。
【0025】
ハウジング31は、中心軸線を取り囲む筒状の部材であり、送風装置3の外形、及び流路の形状を決定する。また、内部にモータ32を支持可能な支持柱を有し、更に外側に支持部311と、電源収容部312と、を有する。
【0026】
支持部311は、筒状のハウジング31において、中心軸線から遠ざかる方向に突出して設けられる枠体若しくは脚であり、床F等に置かれた送風装置3を支持し、姿勢を維持する。このような構成によって、屋内の任意の場所に排気装置Xを容易に、且つ安定して設置することができる。
【0027】
電源収容部312は、筒状のハウジング31において、中心軸線から遠ざかる方向、且つ支持部311とは異なる方向に張り出した箱状の部材であり、内部にバッテリー又はACアダプター等を収容する。これにより、モータ32を稼働させる電力を得る。
【0028】
モータ32は、中心軸線方向に出力となる回動軸を有する一般的な電動モータであり、ハウジング31に固定接続されて設けられる。また、モータ32は、回動軸が中心軸線上となる位置に設けられる構成が好ましい。このような構成によって、流路断面に対称性を確保し、ファン33(後述)の稼働効率を高く保つことができる。このとき、ハウジング31と、モータ32とを接続する支持柱は、中心軸線から放射状に、所謂スポーク状に設けられる構成が好ましい。
【0029】
ファン33は、モータ32の回動軸に取付けられる中心部と、複数の羽を有する一般的な羽根車であり、モータ32で得られた回動によって回動し、流路内の気体に運動エネルギーを与える。また、ファン33は、モータ32と同様、回動軸が中心軸線上となる位置に設けられる構成が好ましい。このような構成によって、ファン33の回動による運動エネルギーを、流路内の気体の運動に効率的に変換することができる。
【0030】
管接続部34は、筒状のハウジング31の両端の開口部を延長するように設けられる筒状の部材であり、可撓性管4と嵌合して接続可能な接続部本体と、可撓性管4の流路断面からハウジング31の流路断面に大きさを合わせるテーパ部と、を有する。このような構成によって、可撓性管4を容易に接続可能にし、更に、モータ32により気体の流路断面が狭まる面積を軽減することができる。
【0031】
送風装置3において、ハウジング31と、モータ32と、ファン33と、管接続部34と、の各部品は、係止部や嵌合部等を設けて、互いに分解、乃至組立が可能な構成が好ましい。このような構成によって、排出される気体によって汚れた送風装置3の内壁を、容易に洗浄することができる。
【0032】
可撓性管4は、テーパにより直径の大小が規則的に変化している筒状の部材、即ち壁面が蛇腹構造である筒状の部材であり、伸縮及び屈曲が可能である。また、可撓性管4は、両端の開口部にテーパのないスリーブを有し、これにより吸気部1、送風装置3、排気部5との接続を可能にする。また、可撓性管4は、吸気部1の重量によって容易に屈曲可能な程度の剛性を有することが好ましい。このような構成によって、使用者は、小さい力で可撓性管4を変形させることができ、容易に排気装置Xを設置又は撤収することができる。
【0033】
また、以下の説明と図面における可撓性管4については、吸気部1と送風装置3との間に接続されるものを第一可撓性管41、送風装置3と排気部5との間に接続されるものを第二可撓性管42とする。第一可撓性管41と、第二可撓性管42と、は、接続する対象の部品に合わせて形状が異なっても良いが、少なくとも、両端の開口部の大きさ及び形状は全て同一である構成が好ましい。このような構成によって、使用者が2本の可撓性管4を区別する必要がなくなり、より簡便に排気装置Xを組立てることができる。
【0034】
排気部5は、中心軸線を取り囲む筒状の部材であり、排気部本体51と、管接続部52と、を有する。また、排気部5は、流路の最下流に配置され、排出される気体が外部へと流出する。
【0035】
排気部本体51は、中心軸線に対し垂直な流路断面が扁平な形状である筒状の部材であり、排出される気体は、ここから外部へと流出する。また、排気部本体51は、中心軸線に対し垂直に細長く、更に平行な二平面を有する形状、例えば矩形(角丸めを施した形状も含む)或いはオーバル形状の断面をもつ構成が好ましい。このような構成によって、図1に示すように、排気部本体51を窓Wや扉等の隙間に挟んで使用でき、気体を容易に、かつ安定的に屋外へと排出することができる。
【0036】
管接続部52は、排気部本体51から三次元曲面等で滑らかに接続して設けられる筒状の部材であり、可撓性管4と略同一の断面を有する。このような構成によって、可撓性管4と嵌合して容易に接続でき、また排気部本体51の形状を自由に定めることができる。
【0037】
吸気部1の管接続部12と、送風装置3の管接続部34と、排気部5の管接続部52と、は、略合同な図形の流路断面を形成する構成が好ましい。このような構成によって、可撓性管4の各開口端部が全て同じ大きさ、同じ形状であれば排気装置Xを組立てることができ、使用者は、各部品の向きを考慮せずに容易に組立ての作業を行うことができる。
【0038】
以上の通り、吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、が図1図2(b)、図2(c)に示すように一体に組立てられ、排気における気体の流路を形成する。このとき、各部品の中心軸線は一列に、或いは直列に連なっており、図1のように、可撓性管4の伸縮及び屈曲によって、任意の形状で排気が可能となる。
また、以下の説明において、図2図3図4図5各図に示される、可撓性管4が最も収縮して直線管状になっている状態を収縮状態と呼称する。このとき、吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、の各中心軸線は互いに平行、若しくは一直線上に並ぶ。
【0039】
排気装置Xは、前述の収縮状態において、吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、を保持可能な形状保持部材を更に備える。この形状保持部材は、可撓性管4が変形しないように保持する、或いは、送風装置3に対する吸気部1及び排気部5の位置乃至姿勢を一定に保持する部材である。これにより、組立てた状態の排気装置Xを、使用者が容易に持ち運ぶことができる。
また、形状保持部材は、吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、を一列に保持可能な構成が好ましく、さらに好ましくは、吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、の各々の中心軸線を互いに平行に保持可能な構成である。
【0040】
図3(a)、図4(a)に示すように、排気装置Xは、形状保持部材として、保持シート6を備える。保持シート6は、所定の大きさを有する略矩形形状のシート材であり、図3(b)、図4(b)に示すように、可撓性管4に巻き付くことで、その形状を保持可能にし、更には吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、を組立てた状態のまま保持可能にする。換言すれば、保持シート6は、吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、を一列に保持可能、若しくは各々の中心軸線を互いに平行(或いは一直線上)に保持可能な形状保持部材である。このような構成によって、吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、を組立てた状態のまま容易に持ち運びや収納ができるほか、排気装置Xの使用時においては、図3(a)に示すように、平面の状態で狭い空間に保管でき、余計な空間を占有しない。
【0041】
また、保持シート6の各辺の長さは、中心軸線方向については収縮状態の可撓性管4よりも数cm~10cm程度長く、中心軸線に垂直な方向については可撓性管4の側面の周方向長さ、或いは送風装置3の管接続部34の側面の周方向長さよりも数cm~10cm程度長いことが好ましい。このような構成によって、収縮状態における可撓性管4を完全に包囲し、排気装置Xの持ち運びや収納に際し、可撓性管4が損傷しないように保護することができる。
【0042】
また、保持シート6の材料は、人の手の力では破断しにくい強度と、容易に曲げて筒状に丸め、また元の平面状に復元することが可能な弾性を有する材料が好ましく、本実施形態においては、樹脂であることが好ましい。このような構成によって、必要な強度と弾性を容易に得られることに加え、軽量かつ低コストで形状保持部材とすることができる。
【0043】
保持シート6は、留部61と、孔部62と、を有する。留部61は、保持シート6の対向する二辺、特に中心軸線と平行な方向で使用が想定される二辺、に沿って対になるように複数設けられる留具であり、保持シート6が筒状に丸められた包囲状態を保持可能にする。本実施形態においては、留部61の例として、金属の係止具、特に金属のボタンが好ましい。このような構成によって、保持シート6の弾性や、排気装置Xを持ち運ぶ際の衝撃にも十分に耐えることができるほか、簡便な操作で保持シート6を着脱できる。
【0044】
孔部62は、留部61と異なる方向に一以上設けられる開口部であって、人の指を通して保持シート6を取り扱うことができる程度の大きさを有する。また、孔部62は、中心軸線に垂直な方向、すなわち包囲状態において中心軸線を取り囲む周方向、について略等間隔に設けられる構成が好ましい。このような構成によって、包囲状態における意匠性を向上できるほか、使用者が保持シート6の向きを考慮する必要がなく、容易に保持シート6を取り扱うことができる。
【0045】
留部61と、孔部62の配置の例として、図4(a)に示すように、留部61は、保持シート6の対向する二辺に沿って2対或いは3対設けられ、孔部62は、留部61が設けられている辺と垂直な方向に、好ましくは中心軸方向の長さの中央に3か所設けられる。このような構成によって、部品点数や製造時の加工を最小限にすることができる。また、孔部62は、保持シート6の包囲状態において、中心軸線周りに等角度間隔となるように配置される構成が好ましい。
【0046】
バンド7は、図3(a)、図3(b)に示すように、長さ調整が可能な帯状の部材であり、保持シート6と同様に、可撓性管4或いは保持シート6の外側から巻き付けることを可能にする。このような構成によって、可撓性管4を、吸気部1、送風装置3、排気部5と容易に接続可能にするほか、包囲状態の保持シート6を、送風装置3のハウジング31等に締め付けて固定し、より安定して保持することができる。
【0047】
連結体8は、フック81と、伸縮紐82と、を有する線状の部品であり、図3(b)に示すように、第一可撓性管41に巻き付いた保持シート6と、第二可撓性管42に巻き付いた保持シート6と、を接続し、両者の相対位置を保持可能にする。また、連結体8は、図3(a)、図3(b)に示すように、複数設けられる構成が好ましい。このような構成によって、中心軸線に対する複数の角度から、第一可撓性管41と、第二可撓性管42と、の位置関係を保持することができ、収縮状態における排気装置Xの全体をより安定して保持することができる。
【0048】
フック81は、連結体8の両端部に設けられる鉤状の部材であり、孔部62等に係止可能である。このような構成によって、孔部62を利用して、収縮状態の排気装置Xをより安定して保持することができる。
【0049】
伸縮紐82は、2つのフック81を接続する線状の部材であり、フック81と合わせて、送風装置3を挟んだ2枚の保持シート6を保持する。また、伸縮紐82は、自然状態においては図3(b)に示す2枚の保持シート6の孔部62同士の距離よりも短く、そこから伸長可能な構成が好ましい。このような構成によって、伸縮紐82の復原力によって、2枚の保持シート6が引き合う方向に引っ張られ、収縮状態の排気装置Xの状態をより安定して保持することができる。
【0050】
排気装置Xは、以下の構成を有してもよい。但し、以下に示す構成はあくまで一例であり、その有無は、特に従属の指定がない限り任意に決定される。
【0051】
<変更例>
保持シート6は、中心軸線に垂直な方向の辺沿いに、副孔部63を有してもよい。副孔部63は、図6(a)に示すように、保持シート6が巻き付いた状態のまま可撓性管4を伸長させて使用するときに、係止体や紐等を掛けることで可撓性管4の位置、若しくは排気部5の位置を所定の位置に固定可能にする。
【0052】
吸気部1の管接続部12、及び排気部5の管接続部52は、鉤状の係止体、或いは副孔部63を貫通可能な突起を設けていてもよい。これにより、前述の副孔部63と合わせて、吸気部1及び排気部5と、保持シート6と、を係止により接続する。図6(b)には、吸気部1の管接続部12に設けられた係止体が、副孔部63と係止している構成を示す。このような構成によって、図3(b)、図4(b)、図5に示すように排気装置Xを組立てた状態において、吸気部1及び排気部5が保持シート6から外れて脱落することを防ぎ、より容易に排気装置Xを持ち運ぶことができる。
【0053】
以下、図面を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0054】
≪実施の方法≫
排気装置Xは、屋内の任意の場所に吸気部1を設置し、これに送風装置3、可撓性管4、排気部5を接続し、特に据付式(建付式)の換気装置から離れた位置での排気に用いられる。
【0055】
<組立>
使用者は、まず、2本の可撓性管4を、吸気部1と、送風装置3と、排気部5と、にそれぞれ接続する。この時の構成上の順番は、流路の上流から吸気部1、第一可撓性管41、送風装置3、第二可撓性管42、排気部5、である。可撓性管4の接続においては、使用者は、各可撓性管4の開口端部を、吸気部1の管接続部12と、送風装置3の管接続部34と、排気部5の管接続部52と、にそれぞれ嵌合させ、必要に応じてバンド7で締め付けて固定する。
但し、支持体2は、この段階で既に吸気部1に取付けられていてもよく、また、これより後の段階で吸気部1と接続されてもよい。
【0056】
続いて、使用者は、第一可撓性管41及び第二可撓性管42を収縮状態まで縮めて、そこに保持シート6を巻き付け、包囲状態とした後、留部61で保持シート6の対辺を留める。さらに使用者は、筒状になった保持シート6の片端を送風装置3の管接続部34と嵌合し、そこをバンド7で締結する。その後使用者は、連結体8を保持シート6に取付ける。このとき、フック81を一方の保持シート6の孔部62に引っ掛け、伸縮紐82を伸ばして、送風装置3を挟んだもう一方の保持シート6の孔部62に引っ掛ける。これを連結体8の本数(若しくは孔部62の個数)だけ繰り返し、排気装置Xを図3(b)、図4(b)に示す状態に組立てる。
これにより、可撓性管4の変形が制限され、排気装置Xを組立てた状態での持ち運びが容易になる。
【0057】
<設置>
使用者は、組立てた状態の排気装置Xを所望の場所に持ち運んで移動させ、送風装置3が安定する場所(床F等)に排気装置Xを置く。その後使用者は、留部61等を外して保持シート6を可撓性管4から外し、可撓性管4を伸長、屈曲等させて、吸気部1及び排気部5を、所望の場所に設置する。
【0058】
吸気部1の設置において、使用者はまず、第一可撓性管41を十分に伸長させ、併せて支持体2の支持アーム21を屈曲させ、保定具22で台(テーブルT等)の天板や脚などを挟持して支持体2を所定の場所に固定し、吸気部1を所望の高さ、所望の向きに支持する。
【0059】
排気部5の設置において、使用者はまず、第二可撓性管42を伸長させ、必要に応じて屈曲させながら、排気部5を部屋の開口部、例えば窓W、ドア等に配置する。その後使用者は、この開口部を少し開け、隙間に排気部本体51を挟む。このとき使用者は、必要に応じて排気部本体51を挟んだ隙間の上下をテープ等で塞ぎ、排出した気体が室内に戻ることを防ぐ。
【0060】
<稼働>
以上のように排気装置Xを設置した状態で、使用者は、送風装置3を稼働させ、吸気部1付近の作業空間の排気を行う。また、このとき送風装置3に供給される電源は、事前に組み込まれたバッテリーでも、電気コンセントでもよい。更に、使用者は、内蓋14を操作して角度を変え、吸気部1から吸気される気体の量を調整する。
【0061】
<撤収・解体>
使用者は、前述の設置及び組立と逆の手順で、排気装置Xを解体、撤収する。特に、排気装置Xを解体することによって、排気により汚れた各部品の内壁を容易に洗浄することができる。
【0062】
<保管>
使用者は、収縮状態且つ保持シート6で形状を保持された排気装置Xを、図5に示すように、吸気部1を鉛直下側にし、床Fに立てて保管することができる。これにより、最小限の床面積で排気装置Xを保管することができる。また、排気装置Xが組立てられた状態で保管されるため、排気装置Xを使用する際に、組立の手間を要さず直ぐに作業場所に持ち運ぶことができる。
【0063】
<その他>
可撓性管4、又は排気部5の設置においては、保持シート6を利用してもよい。このとき、使用者は、保持シート6が巻き付いた状態のまま第二可撓性管42を伸長させ、保持シート6の副孔部63に係止体や紐等を掛けて、排気部5を所定の高さに支持し、設置する。これにより、排気装置Xの稼働中(即ち排気中)にも、可撓性管4を使用者の邪魔になりにくい場所に保持できるほか、排気部5をキッチンのレンジフード、換気装置等、床Fからの高さが一定以上ある場所に容易に設置できる。
【0064】
以下、図面を用いて、本発明の第二の実施形態について詳述する。第一の実施形態と同様の構成については、同じ符号を用いて説明を省略する。また、以下に示す例は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
【0065】
≪第二の実施形態≫
図7(a)、図7(b)に示すように、排気装置Xは、形状保持部材として、保持棒9を備える。保持棒9は、人力では略撓まない程度の剛性を有する棒状の部材であり、図7(b)に示すように、吸気部1と送風装置3、送風装置3と排気部5、をそれぞれ複数箇所で接続可能にする。これにより、保持棒9は、送風装置3に対する吸気部1及び排気部5の位置及び姿勢を一定に保持すること、或いは吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、排気部5と、の各々の中心軸線を一直線上に保持することを可能にする。
【0066】
図7(b)に示すように、吸気部1、及び送風装置3、及び排気部5は、貫入部Hを有する。貫入部Hは、保持棒9の断面と略同一の形状の断面を有する筒状部材若しくは穴であり、保持棒9の端部を数cm程度貫入可能にする。このような構成によって、保持棒9の両端部を吸気部1、及び送風装置3、及び排気部5の各部品に簡便な操作で接続でき、排気装置Xの形状を収縮状態に保持することができる。
【0067】
保持棒9及び貫入部Hは、第一可撓性管41側と、第二可撓性管42側の各々において、中心軸線周りに複数設けられる構成が好ましい。このような構成によって、排気装置Xの各部品の位置関係を安定して保持できるほか、可撓性管4の曲げ、撓み方向の変形を制限することができる。また、保持棒9と、可撓性管4と、の隙間に使用者が指を入れ、保持棒9を取っ手として扱い、容易に排気装置Xを持ち運ぶことができる。
【符号の説明】
【0068】
X 排気装置
1 吸気部
11 吸気部本体
12 管接続部
13 支持体接続部
14 内蓋
2 支持体
21 支持アーム
22 保定具
3 送風装置
31 ハウジング
311 支持部
312 電源収容部
32 モータ
33 ファン
34 管接続部
4 可撓性管
41 第一可撓性管
42 第二可撓性管
5 排気部
51 排気部本体
52 管接続部
6 保持シート
61 留部
62 孔部
63 副孔部
7 バンド
8 連結体
81 フック
82 伸縮紐
9 保持棒
B 梁
F 床
H 貫入部
P 鍋
T テーブル
W 窓


【要約】
【課題】組立てた状態での持ち運びや収納を容易にする排気装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決する本願発明は、吸気部1と、送風装置3と、伸縮及び屈曲が可能な可撓性管4と、可撓性管4の形状を保持可能な形状保持部材と、を備える組立式の排気装置Xであって、可撓性管4の両端部に、送風装置3と、吸気部1と、がそれぞれ接続されており、該形状保持部材は、可撓性管4が収縮した収縮状態において、吸気部1と、送風装置3と、可撓性管4と、を保持可能である。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7