(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電力変換装置及び電力変換方法
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
G05F1/67 Z
(21)【出願番号】P 2024068931
(22)【出願日】2024-04-22
【審査請求日】2024-04-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520349551
【氏名又は名称】株式会社Yanekara
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松藤 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】阿部 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】松田 響生
(72)【発明者】
【氏名】船渡 勇吾
(72)【発明者】
【氏名】北林 大路
(72)【発明者】
【氏名】園田 美郷
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161139(JP,A)
【文献】特開2020-018114(JP,A)
【文献】国際公開第2020/255351(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、電流源から供給される電力に対応するインバータとの間に設けられる電力変換装置であって、
前記電力変換装置から出力する電力の目標値である目標電力を特定する電力特定部と、
前記インバータに対応する
とともに、前記電力特定部が特定した前記目標電力に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得する取得部と、
前記インバータが設定した、前記電力変換装置から出力する電圧である動作電圧を特定する電圧特定部と、
前記取得部が取得した前記特性情報が示す前記電流電圧特性に基づいて、前記電圧特定部が特定した前記動作電圧に対応する電流を前記電力変換装置から出力する出力電流に設定する設定部と、
前記二次電池から出力された電力を、前記設定部が設定した前記出力電流と、前記電圧特定部が特定した前記動作電圧とに対応する電力に変換し、前記インバータに出力する変換部と、
前記電力変換装置から出力可能な複数の電力それぞれに対応する前記特性情報を生成するための生成用情報を記憶する記憶部と、
を有
し、
前記取得部は、
前記電力特定部が特定した前記目標電力に対応する目標動作電圧を、電力と電圧との関係を示す電力電圧特性であって、最大電力点の電力が前記目標電力となる電力電圧特性における前記最大電力点の電圧と一致する電圧に特定し、特定した前記目標動作電圧と、前記目標電力と前記目標動作電圧とに対応する電流である目標動作電流と、前記記憶部に記憶されている生成用情報とに基づいて、前記最大電力点における出力電力が前記目標電力と一致する前記電流電圧特性を示す前記特性情報を生成することにより、前記目標電力に対応する前記電流電圧特性を示す前記特性情報を取得し、
前記目標電力に対応する前記目標動作電圧を特定した後、当該目標電力に対し、前記電圧特定部が複数の時刻において特定した複数の前記動作電圧に基づいて前記動作電圧の収束値を特定し、前記目標動作電圧を前記収束値に更新し、更新後の前記目標動作電圧と、前記目標電力と更新後の前記目標動作電圧とに対応する前記目標動作電流と、前記記憶部に記憶されている生成用情報とに基づいて、前記特性情報を取得する、
電力変換装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記電力特定部が特定した前記目標電力が変化したことに応じて、変化後の前記目標電力に対応する特性情報を取得し、
前記設定部は、前記電力特定部が特定した前記目標電力が変化したことに応じて、前記取得部が取得した変化後の前記目標電力に対応する前記特性情報と前記電圧特定部が特定した前記動作電圧とに基づいて前記出力電流を変更する、
請求項
1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記インバータに対応する電流電圧特性として、所定の電流源としての太陽電池に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得する、
請求項
1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記電流電圧特性は、前記目標電力を前記太陽電池が出力する場合において前記太陽電池が出力しうる最大電流及び最大電圧と、最大電力点の電力が前記目標電力となる電力電圧特性における前記最大電力点の電圧である目標動作電圧と、前記目標電力と前記目標動作電圧とに対応する目標動作電流と、とに基づいて設定された電流電圧特性である、
請求項
3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
二次電池と、電流源から供給される電力に対応するインバータとの間に設けられ、電力を変換する変換部を有する電力変換装置が実行する、
前記電力変換装置から出力する電力の目標値である目標電力を特定するステップと、
前記インバータに対応する
とともに、特定した前記目標電力に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得するステップと、
前記インバータが設定した、前記電力変換装置から出力する電圧である動作電圧を特定するステップと、
取得した前記特性情報が示す前記電流電圧特性に基づいて、特定した前記動作電圧に対応する電流を前記電力変換装置から出力する出力電流に設定するステップと、
前記変換部に、前記二次電池から出力された電力を、設定した前記出力電流と、特定した前記動作電圧とに対応する電力に変換させるステップと、
を有
し、
前記取得するステップにおいて、前記電力変換装置
は、
特定した前記目標電力に対応する目標動作電圧を、電力と電圧との関係を示す電力電圧特性であって、最大電力点の電力が前記目標電力となる電力電圧特性における前記最大電力点の電圧と一致する電圧に特定し、特定した前記目標動作電圧と、前記目標電力と前記目標動作電圧とに対応する電流である目標動作電流と、記憶部に記憶されている、前記電力変換装置から出力可能な複数の電力それぞれに対応する前記特性情報を生成するための生成用情報とに基づいて、前記最大電力点における出力電力が前記目標電力と一致する前記電流電圧特性を示す前記特性情報を生成することにより、前記目標電力に対応する前記電流電圧特性を示す前記特性情報を取得し、
前記目標電力に対応する前記目標動作電圧を特定した後、当該目標電力に対し、複数の時刻において特定した複数の前記動作電圧に基づいて前記動作電圧の収束値を特定し、前記目標動作電圧を前記収束値に更新し、更新後の前記目標動作電圧と、前記目標電力と更新後の前記目標動作電圧とに対応する前記目標動作電流と、前記記憶部に記憶されている生成用情報とに基づいて、前記特性情報を取得する、
電力変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置及び電力変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車に設けられている二次電池から、家庭内の負荷に電力を供給するV2H(Vehicle to Home)を実現するための専用の装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の装置は、V2H専用の装置であったため高価であるという問題があった。このため、V2H専用の装置の代わりに、既存のインバータを用いて、電気自動車に設けられている二次電池から放電させることが望まれている。既存のインバータとして、二次電池用のインバータや太陽電池用のインバータが挙げられる。
【0005】
二次電池用のインバータを用いて電気自動車に設けられている二次電池から放電させるには、二次電池用のインバータが、当該二次電池の出力電圧に対応し、かつ、当該二次電池の通信プロトコルに対応している必要がある。このため、電気自動車の放電に使用できる二次電池用のインバータが限られてしまう。
【0006】
一方、太陽電池用のインバータは、二次電池用のインバータのような制限はない。しかしながら、太陽電池用のインバータは、電流源としての特性を示す太陽電池の出力電力の特性に対応して設計されたものである。これに対し、電気自動車の二次電池は電圧源として機能し、太陽電池の出力電力の特性と大きく異なることから、太陽電池用のインバータを電気自動車の放電にそのまま使用することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、太陽電池用のインバータを電気自動車に設けられている蓄電池を含む二次電池の放電に使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る電力変換装置は、二次電池と、電流源から供給される電力に対応するインバータとの間に設けられる電力変換装置であって、前記インバータに対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得する取得部と、前記インバータが設定した、前記電力変換装置から出力する電圧である動作電圧を特定する電圧特定部と、前記取得部が取得した前記特性情報が示す前記電流電圧特性に基づいて、前記電圧特定部が特定した前記動作電圧に対応する電流を前記電力変換装置から出力する出力電流に設定する設定部と、前記二次電池から出力された電力を、前記設定部が設定した前記出力電流と、前記電圧特定部が特定した前記動作電圧とに対応する電力に変換し、前記インバータに出力する変換部と、を有する。
【0009】
前記電力変換装置は、前記電力変換装置から出力する電力の目標値である目標電力を特定する電力特定部をさらに有し、前記取得部は、前記電力特定部が特定した前記目標電力に対応する前記電流電圧特性を示す前記特性情報を取得してもよい。
【0010】
前記電力変換装置は、前記電力変換装置から出力可能な複数の電力それぞれに対応する前記特性情報を生成するための生成用情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記取得部は、前記電力特定部が特定した前記目標電力に対応する目標動作電圧を、電力と電圧との関係を示す電力電圧特性であって、最大電力点の電力が前記目標電力となる電力電圧特性における前記最大電力点の電圧と一致する電圧に特定し、特定した前記目標動作電圧と、前記目標電力と前記目標動作電圧とに対応する電流である目標動作電流と、前記記憶部に記憶されている生成用情報とに基づいて、前記最大電力点における出力電力が前記目標電力と一致する前記電流電圧特性を示す前記特性情報を生成することにより、前記目標電力に対応する前記電流電圧特性を示す前記特性情報を取得してもよい。
【0011】
前記取得部は、前記電力特定部が特定した前記目標電力が変化したことに応じて、変化後の前記目標電力に対応する特性情報を取得し、前記設定部は、前記電力特定部が特定した前記目標電力が変化したことに応じて、前記取得部が取得した変化後の前記目標電力に対応する前記特性情報と前記電圧特定部が特定した前記動作電圧とに基づいて前記出力電流を変更してもよい。
【0012】
前記取得部は、前記インバータに対応する電流電圧特性として、所定の電流源としての太陽電池に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得してもよい。
【0013】
前記電流電圧特性は、前記目標電力を前記太陽電池が出力する場合において前記太陽電池が出力しうる最大電流及び最大電圧と、最大電力点の電力が前記目標電力となる電力電圧特性における前記最大電力点の電圧である目標動作電圧と、前記目標電力と前記目標動作電圧とに対応する目標動作電流と、とに基づいて設定された電流電圧特性であってもよい。
【0014】
前記取得部は、前記目標電力に対応する前記目標動作電圧を特定した後、当該目標電力に対し、前記電圧特定部が複数の時刻において特定した複数の前記動作電圧に基づいて前記動作電圧の収束値を特定し、前記目標動作電圧を前記収束値に更新し、更新後の前記目標動作電圧と、前記目標電力と更新後の前記目標動作電圧とに対応する前記目標動作電流と、前記記憶部に記憶されている生成用情報とに基づいて、前記特性情報を取得してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る電力変換方法は、二次電池と、電流源から供給される電力に対応するインバータとの間に設けられ、電力を変換する変換部を有する電力変換装置が実行する、前記インバータに対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得するステップと、前記インバータが設定した、前記電力変換装置から出力する電圧である動作電圧を特定するステップと、取得した前記特性情報が示す前記電流電圧特性に基づいて、特定した前記動作電圧に対応する電流を前記電力変換装置から出力する出力電流に設定するステップと、前記変換部に、前記二次電池から出力された電力を、設定した前記出力電流と、特定した前記動作電圧とに対応する電力に変換させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、太陽電池用のインバータを電気自動車に設けられている蓄電池を含む二次電池の放電に使用できるようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施の形態に係る電力変換装置の概要を説明する図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る電力変換装置の機能構成を示す図である。
【
図3】電力変換装置が出力する電力と電圧との関係を示す電力電圧特性を示す図である。
【
図4】取得部が生成する特性情報が示す電流電圧特性の一例を示す図である。
【
図5】電力変換装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施の形態に係る電力変換装置の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施の形態>
[電力変換装置1の概要]
図1は、第1の実施の形態に係る電力変換装置1の概要を説明する図である。電力変換装置1は、電気自動車EVが備える二次電池2と、インバータ3との間に設けられる、電力を変換する装置である。
【0019】
電気自動車EVが備える二次電池2は、電気自動車EVに設けられているバッテリーECU(Electronic Control Unit)と、電気自動車専用のコネクタとを介して電気的に接続可能な蓄電池であり、電気自動車用の充放電用の規格に従って充放電を行うことができる。充放電用の規格は、例えばCHAdeMOプロトコルであるものとして説明を行うが、充電用の規格はこれに限らず、電気自動車用の他の充放電用の規格であってもよい。二次電池2は、電圧源として機能し、自身に接続されている電力変換装置1に電力を供給する。以下、電気自動車EVが備える二次電池2を、単に二次電池2という。
【0020】
インバータ3は、電流源から供給される電力に対応するDC/ACインバータである。インバータ3は、例えば、太陽電池の出力電力の特性に対応して設計された太陽電池用のインバータであり、最大電力点追従制御を行う。インバータ3は、電力変換装置1に接続されており、電力変換装置1から電力を受給する。上述したように、二次電池2は電圧源として機能し、太陽電池の出力電力の特性と大きく異なる。このため、二次電池2からの放電にインバータ3をそのまま使用することができないという問題がある。
【0021】
これに対し、電力変換装置1は、インバータ3が設定した、電力変換装置1から出力する電圧である動作電圧を特定し、インバータ3に対応する電流電圧特性に基づいて、動作電圧に対応する電流を電力変換装置1から出力する出力電流に設定する。そして、電力変換装置1は、二次電池2から出力される電力を、設定した出力電流と、特定した動作電圧とに対応する電力に変換し、インバータ3に出力する。
【0022】
このようにすることで、電力変換装置1は、インバータ3が最大電力点追従制御を行うことにより設定する動作電圧に対応して、二次電池2から出力された電力を、太陽電池の電流電圧特性に対応する電力に変換して出力することができる。太陽電池用のインバータ3を電気自動車EVに設けられている蓄電池を含む二次電池の放電に使用できるようにすることができる。
【0023】
[電力変換装置1の構成]
続いて、電力変換装置1の構成について説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る電力変換装置1の機能構成を示す図である。
図2に示すように、電力変換装置1は、通信部11と、電圧計12と、記憶部13と、制御部14と、変換部15とを有する。
【0024】
通信部11は、電力変換装置1が分電盤4に設けられている通信装置(不図示)と通信を行うためのインタフェースである。
電圧計12は、電力変換装置1に設けられている、インバータ3が接続されている端子(不図示)の電圧を、インバータ3が設定した電力変換装置1から出力する電圧である動作電圧として測定する。電圧計12は、測定した動作電圧を示す電圧情報を制御部14に出力する。
【0025】
記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)である。記憶部13は、制御部14を、電力特定部141、取得部142、電圧特定部143、及び設定部144として機能させるプログラムを記憶する。
【0026】
また、記憶部13は、電力変換装置1から出力可能な複数の電力それぞれに対応する電流電圧特性を示す特性情報であって、インバータ3に対応する電流電圧特性を示す特性情報を生成するための生成用情報を記憶する。例えば、生成用情報は、電力変換装置1が出力する電力の目標値である目標電力に対応する目標動作電流と、目標動作電圧とを通り、かつ、目標動作電流及び目標動作電圧において電力が最大となる、太陽電池の特性を模擬した関数を算出するためのプログラムである。太陽電池の特性を模擬した関数は、例えば指数関数であるが、これに限らず、太陽電池の特性を複数の直線で表現した関数等の他の関数であってもよい。
【0027】
制御部14は、例えばマイクロプロセッサである。制御部14は、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することにより、電力特定部141、取得部142、電圧特定部143、及び設定部144として機能する。
【0028】
電力特定部141は、電力変換装置1から出力する電力の目標値である目標電力を特定する。例えば、電力特定部141は、通信部11を介して、分電盤4に設けられている通信装置から、受電点において測定された電力系統5から負荷6に供給されている供給電力を示す供給電力情報を受信する。そして、電力特定部141は、供給電力情報が示す供給電力を目標電力と特定する。すなわち、電力特定部141は、受電点における供給電力が0となるように目標電力を特定する。
【0029】
取得部142は、インバータ3に対応する電流電圧特性として、所定の電流源としての太陽電池に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得する。具体的には、取得部142は、電力特定部141が特定した目標電力に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得する。
【0030】
より具体的には、取得部142は、電力特定部141が特定した目標電力に対応する目標動作電圧を、電力と電圧との関係を示す電力電圧特性であって、最大電力点の電力が目標電力となる電力電圧特性における最大電力点の電圧と一致する電圧に特定する。例えば、記憶部13には、電力特定部141が特定した目標電力に対応する目標動作電圧を示す情報が記憶されており、取得部142は、記憶部13を参照して、目標動作電圧を特定する。目標動作電圧は、複数の目標電力それぞれに対して共通であるものとするが、これに限らず、複数の目標電力それぞれで異なっていてもよい。そして、取得部142は、目標電力と目標動作電圧とに対応する電流である目標動作電流を特定する。取得部142は、目標電力を目標動作電圧で除算することにより目標動作電流を特定する。
【0031】
図3は、電力変換装置1が出力する電力と電圧との関係を示す電力電圧特性を示す図である。
図3に示す例では、最大電力点における電力がそれぞれ異なる電力電圧特性を示している。例えば、電力特定部141が特定した目標電力がPmpである場合、取得部142は、最大電力点における電力が目標電力Pmpと等しい電力電圧特性を示す特性曲線Cにおける最大電力点に対応する電圧を、目標動作電圧Vmpと特定する。また、取得部142は、目標動作電流Impを、Pmp/Vmpと特定する。
【0032】
取得部142は、特定した目標動作電圧と、目標動作電流と、記憶部13に記憶されている生成用情報とに基づいて、最大電力点における出力電力が目標電力と一致する電流電圧特性を示す特性情報を生成することにより、目標電力に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得する。取得部142は、目標動作電圧と、目標動作電流と、生成用情報とに基づいて、また、短絡状態での出力電流Isc、開放状態での出力電圧Vopを通り、最大電力点における出力電力が目標電力と一致する電流電圧特性を示す関数を特性情報として生成する。
【0033】
すなわち、電流電圧特性は、目標電力を太陽電池が出力する場合において太陽電池が出力しうる最大電流(短絡状態での出力電流Isc)及び最大電圧(開放状態での出力電圧Vop)と、最大電力点の電力が目標電力Pmpとなる電力電圧特性における最大電力点の電圧である目標動作電圧Vmpと、目標電力Pmpと目標動作電圧Vmpとに対応する目標動作電流Impとに基づいて設定される。
【0034】
図4は、取得部142が生成する特性情報が示す電流電圧特性の一例を示す図である。
図3と
図4とから、電圧が目標動作電圧Vmpであり、電流が目標動作電流Impであるとき、電力電圧特性における最大電力点である、目標電力Pmpとなることが確認できる。
【0035】
また、取得部142は、電力特定部141が特定した目標電力が変化したことに応じて、変化後の目標電力に対応する特性情報を取得する。例えば、取得部142は、目標電力が変化したことに応じて、変化後の目標電力に対応する目標動作電圧を、電力電圧特性における最大電力点の電圧と一致する電圧に特定するとともに、当該目標電力と目標動作電圧とに基づいて目標電流を特定する。そして、取得部142は、変化後の目標電力に対応する目標動作電圧と、目標動作電流と、生成用情報とに基づいて、特性情報を生成する。
【0036】
電圧特定部143は、インバータ3が設定した、電力変換装置1から出力する電圧である動作電圧を特定する。例えば、電圧特定部143は、電圧計12が測定した動作電圧を示す電圧情報を取得することにより動作電圧を特定する。
【0037】
設定部144は、取得部142が取得した特性情報が示す電流電圧特性に基づいて、電圧特定部143が特定した動作電圧に対応する電流を、電力変換装置1から出力する出力電流に設定する。例えば、設定部144は、特性情報としての関数に対し、動作電力を入力することにより、関数から得られる値を電力変換装置1から出力する出力電流の電流値に設定する。
【0038】
また、設定部144は、電力特定部141が特定した目標電力が変化したことに応じて、取得部142が取得した変化後の目標電力に対応する特性情報と電圧特定部143が特定した動作電圧とに基づいて出力電流を変更する。これにより、設定部144は、変換部15に、二次電池2から出力された電力を、自身が設定した出力電流と、電圧特定部143が特定した動作電圧とに対応する電力に変換させる。
【0039】
変換部15は、例えば、二次電池2とインバータ3とに接続され二次電池2から出力される電力を変換する変換回路である。変換部15は、二次電池2から出力された電力を、設定部144が設定した出力電流と、電圧特定部143が特定した動作電圧とに対応する電力に変換し、インバータ3に出力する。
【0040】
[動作フロー]
続いて、電力変換装置1における処理の流れについて説明する。
図5は、電力変換装置1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。例えば、電力変換装置1には、自身を起動させるか停止させるかを切り替えるスイッチ(不図示)が設けられており、当該スイッチが操作され電力変換装置1が起動すると、
図5に示すフローチャートが開始されるものとする。
【0041】
まず、電力特定部141は、電力変換装置1から出力する電力の目標値である目標電力を特定する(S1)。
続いて、取得部142は、電力特定部141が特定した最新の目標電力に対応する目標動作電圧を特定する(S2)。続いて、取得部142は、目標電力と目標動作電圧とに基づいて、目標動作電流を特定する(S3)。取得部142は、特定した目標動作電圧と、目標動作電流と、記憶部13に記憶されている生成用情報とに基づいて、電力特定部141が特定した最新の目標電力に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得する(S4)。
【0042】
続いて、電圧特定部143は、インバータ3が設定した動作電圧を特定する(S5)。
続いて、設定部144は、取得部142がS4において取得した特性情報が示す電流電圧特性に基づいて、電圧特定部143が特定した動作電圧に対応する電流を、電力変換装置1から出力する出力電流に設定する(S6)。
【0043】
続いて、変換部15は、二次電池2から出力された電力を、設定部144が設定した出力電流と、電圧特定部143が特定した動作電圧とに対応する電力に変換し、インバータ3に出力する(S7)。
【0044】
続いて、制御部14は、電力変換装置1の動作を終了させるか否かを判定する(S8)。例えば、電力変換装置1に設けられている、自身を起動させるか停止させるかを切り替えるスイッチにより、電力変換装置1の停止を終了する操作が行われると、制御部14は、電力変換装置1の動作を終了させると判定し(S8のYES)、本フローチャートに係る処理を終了する。制御部14は、電力変換装置1の動作を終了させないと判定すると(S8のNO)、S9に処理を移す。
【0045】
続いて、電力特定部141は目標電力を特定する(S9)。
続いて、取得部142は、電力特定部141が新たに特定した目標電力が、前回特定した目標電力から変化したか否かを判定する(S10)。取得部142は、目標電力が変化したと判定すると(S10のYES)、S3に処理を移し、変化後の目標電力に対応する目標動作電流を特定する。他方、取得部142は、目標電力が変化していないと判定すると(S10のNO)、S5に処理を移す。
【0046】
<第1の実施の形態に係る効果>
以上説明したように、第1の実施の形態に係る電力変換装置1は、インバータ3が設定した、電力変換装置1から出力する電圧である動作電圧を特定し、インバータ3に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得し、当該特性情報が示す電流電圧特性に基づいて、特定した動作電圧に対応する電流を電力変換装置1から出力する出力電流に設定する。そして、電力変換装置1は、二次電池2から出力された電力を、設定した出力電流と、特定した動作電圧とに対応する電力に変換し、インバータ3に出力する。このようにすることで、電力変換装置1は、太陽電池用のインバータ3を電気自動車に設けられている蓄電池を含む二次電池の放電に使用できるようにすることができる。
【0047】
<第2の実施の形態>
続いて、第2の実施の形態について説明する。
図6は、第2の実施の形態に係る電力変換装置1の概要を説明する図である。
図6に示すように、インバータ3に電力変換装置1の他に太陽電池7が接続されている場合、インバータ3は、太陽電池7に対しても最大電力点追従制御を行う。インバータ3が、自身に複数接続される太陽電池7の出力電力を合算して動作電圧を決定するタイプのインバータである場合、インバータ3が電力変換装置1に対して設定する動作電圧が、太陽電池7の動作電圧に基づいて設定されることにより、取得部142が取得した特性情報が示す電流電圧特性が示す最大電力点に対応する電圧と異なる動作電圧に収束することがある。
【0048】
これに対し、電力変換装置1は、最大電力点が、インバータ3に接続された太陽電池7に対応する動作電圧となるように、特性情報を訂正する点で第1の実施の形態と異なる。以下に、第2の実施の形態に係る電力変換装置1について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0049】
第2の実施の形態に係る取得部142は、電力特定部141が特定した目標電力に対応する目標動作電圧を特定した後、当該目標電力に対して電圧特定部143が複数の時刻において特定した複数の動作電圧に基づいて動作電圧の収束値を特定する。例えば、取得部142は、電圧特定部143が複数の時刻において特定した複数の動作電圧のうち、最も多く出現した動作電圧を、動作電圧の収束値と特定する。
【0050】
取得部142は、目標動作電圧を特定した収束値に更新し、更新後の目標動作電圧と目標電力とに対応する目標動作電流を特定する。取得部142は、更新後の目標動作電圧と、特定した目標動作電流と、記憶部13に記憶されている生成用情報とに基づいて、特性情報を取得する。取得部142は、記憶部13に記憶されている目標動作電圧を、更新後の目標動作電圧に更新してもよい。このようにすることで、電力変換装置1は、インバータ3に接続されている太陽電池7の動作電圧の変動に合わせて、最大電力点に対応する目標動作電圧を調整し、当該目標動作電圧に対応する電流電圧特性に基づいて、太陽電池7との協調運転をすることができる。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0052】
1 電力変換装置
11 通信部
12 電圧計
13 記憶部
14 制御部
15 変換部
141 電力特定部
142 取得部
143 電圧特定部
144 設定部
2 二次電池
3 インバータ
4 分電盤
5 電力系統
6 負荷
7 太陽電池
【要約】
【課題】太陽電池用のインバータを電気自動車に設けられている蓄電池を含む二次電池の放電に使用できるようにする。
【解決手段】電力変換装置1は、二次電池2と、電流源から供給される電力に対応するインバータ3との間に設けられる電力変換装置であって、インバータ3に対応する電流電圧特性を示す特性情報を取得する取得部142と、インバータ3が設定した、電力変換装置1から出力する電圧である動作電圧を特定する電圧特定部143と、取得された特性情報が示す電流電圧特性に基づいて、特定された動作電圧に対応する電流を電力変換装置1から出力する出力電流に設定する設定部144と、二次電池2から出力された電力を、設定部144が設定した出力電流と、特定された動作電圧とに対応する電力に変換し、インバータ3に出力する変換部15と、を有する。
【選択図】
図2