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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】髪ゴム製造装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 8/00 20060101AFI20241016BHJP
   A45D 8/36 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A45D8/00 504A
A45D8/36 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024070775
(22)【出願日】2024-04-24
【審査請求日】2024-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504100695
【氏名又は名称】株式会社ナイーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】唐川 瀧彦
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-008188(JP,A)
【文献】特開2007-002397(JP,A)
【文献】特開2002-240154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 8/00 - 8/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム紐供給側に於いてゴム玉よりゴム紐を引き出し、ゴム紐接着側に於いて前記ゴム紐を所定の長さに切断後、前記ゴム紐の端部を接続し無端状態とする髪ゴム製造装置において、
前記ゴム紐の一端部を把持する第一把持部を有する第一把持装置と、
前記ゴム紐の他端部を把持する第二把持部を有する第二把持装置と、
接着剤塗布装置と、
前記ゴム紐供給側に於いて、前記ゴム紐接着側への前記ゴム紐の供給を一定間隔で断続的に行う、第一挟持板、第二挟持板、第三挟持板より構成されるゴム紐供給誘導部と、
前記ゴム紐の切断予定の位置となる切断予定部を、押圧及び加熱する切断部押圧加熱装置と、
前記ゴム紐を長手方向に略垂直な面で切断刃により切断するゴム紐切断部と、
を備え、
第一挟持板及び第三挟持板と、第二挟持板間の幅を調整し、各挟持板が移動することにより、ゴム紐供給側からゴム紐接着側へのゴム紐の供給を断続的に行い、
前記ゴム紐供給誘導部より供給された前記ゴム紐において、予め前記押圧加熱装置にて加熱された前記切断予定部を、前記ゴム紐切断部に於いて前記切断刃により切断された後、
略直線状の前記ゴム紐の前記一端部を前記第一把持部に、前記他端部を前記第二把持部に把持された状態より、前記第一把持装置を回動させる第一回動手段と、前記第二把持装置を回動させる第二回動手段により、切断した前記ゴム紐の両端部を近接させ、前記ゴム紐の一端部又は両端部の断面に前記接着剤塗布装置により予め付着させておいた接着剤により繋止し、前記ゴム紐を無端状態とすることで、
輪形状の髪ゴムを製造することを特徴とする、
髪ゴム製造装置。
【請求項2】
前記ゴム紐接着側に於いて、前記第一把持部は、前記ゴム紐の長手方向に平行に移動可能に設けられ、前記ゴム紐の一端部近傍を把持しつつ移動することにより、前記ゴム紐を前記ゴム紐接着側に引き出し、
また、前記第二把持部は、前記ゴム紐接着側近傍の上部に設けられ、前記ゴム紐の引き出し途中時或いは終了時近傍に、前記ゴム紐接着側上部より前記ゴム紐の他端部近傍の両隣に、前記ゴム紐を挟む態様となるよう下降し、
前記第一把持部および前記第二把持部が、前記ゴム紐を把持しつつ回転することで、前記ゴム紐の接着が行われ、
接着に続き、前記第二把持部が前記ゴム紐を把持したまま前記ゴム紐接着側より離隔し、他の場所への搬送を行うことを特徴とする、
請求項1に記載の髪ゴム製造装置。
【請求項3】
前記第二把持部が髪ゴムを受け渡す髪ゴム移動装置は二列の杭上突起物を有し、輪形状の髪ゴムを前記杭上突起物の隙間部に差し込んだ後、前記杭上突起物の片側一列のみが前記杭上突起物の長形方向にずれることで、髪ゴムの挟持を可能とすること
を特徴とする、
請求項2に記載の髪ゴム製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪ゴム製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
髪を束ねるための髪ゴムは、その素材として、弾力性のあるゴム紐を組紐で被覆した構
造となる。そのため、組紐内のゴム紐が伸縮することにより、髪ゴム自体の伸縮が可能と
なり、髪ゴムとして髪を束ねることが可能となる。
【0003】
そして、この髪ゴムの製造手法としては、予めゴム紐に組紐を巻き付けて置いた一本の
長いゴム紐を作成し、髪ゴム一個分の所定の長さでゴム紐を切断後、ゴム紐の切断面同士
を接着剤等を用い結合させ、輪形状の髪ゴムを作成する手法が一般的である(特許文献1
)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4234732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先述の髪ゴム製造工程では、手作業により行うことも可能であるものの
、髪ゴムの生産効率は非常に乏しい。
【0006】
本発明では、以上の課題を鑑み、髪ゴムの製造工程に関し、髪ゴムの製造工程を自動化
し、短時間での髪ゴムの大量生産を可能とする髪ゴム製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゴム紐供給側に於いてゴム玉よりゴム紐を引き出し、ゴム紐接着側に於いて前記ゴム紐を所定の長さに切断後、前記ゴム紐の端部を接続し無端状態とする髪ゴム製造装置において、前記ゴム紐の一端部を把持する第一把持部を有する第一把持装置と、前記ゴム紐の他端部を把持する第二把持部を有する第二把持装置と、接着剤塗布装置と、前記ゴム紐供給側に於いて、前記ゴム紐接着側への前記ゴム紐の供給を一定間隔で断続的に行う、第一挟持板、第二挟持板、第三挟持板より構成されるゴム紐供給誘導部と、前記ゴム紐の切断予定の位置となる切断予定部を、押圧及び加熱する切断部押圧加熱装置と、前記ゴム紐を長手方向に略垂直な面で切断刃により切断するゴム紐切断部と、を備え、第一挟持板及び第三挟持板と、第二挟持板間の幅を調整し、各挟持板が移動することにより、ゴム紐供給側からゴム紐接着側へのゴム紐の供給を断続的に行い、前記ゴム紐供給誘導部より供給された前記ゴム紐において、予め前記押圧加熱装置にて加熱された前記切断予定部を、前記ゴム紐切断部に於いて前記切断刃により切断された後、略直線状の前記ゴム紐の前記一端部を前記第一把持部に、前記他端部を前記第二把持部に把持された状態より、前記第一把持装置を回動させる第一回動手段と、前記第二把持装置を回動させる第二回動手段により、切断した前記ゴム紐の両端部を近接させ、前記ゴム紐の一端部又は両端部の断面に前記接着剤塗布装置により予め付着させておいた接着剤により繋止し、前記ゴム紐を無端状態とすることで、輪形状の髪ゴムを製造することを特徴とする、髪ゴム製造装置である。
【0008】
また、本発明は、前記ゴム紐接着側に於いて、前記第一把持部は、前記ゴム紐の長手方向に平行に移動可能に設けられ、前記ゴム紐の一端部近傍を把持しつつ移動することにより、前記ゴム紐を前記ゴム紐接着側に引き出し、また、前記第二把持部は、前記ゴム紐接着側近傍の上部に設けられ、前記ゴム紐の引き出し途中時或いは終了時近傍に、前記ゴム紐接着側上部より前記ゴム紐の他端部近傍の両隣に、前記ゴム紐を挟む態様となるよう下降し、前記第一把持部および前記第二把持部が、前記ゴム紐を把持しつつ回転することで、前記ゴム紐の接着が行われ、接着に続き、前記第二把持部が前記ゴム紐を把持したまま前記ゴム紐接着側より離隔し、他の場所への搬送を行うことを特徴とする、請求項1に記載の髪ゴム製造装置である。
【0009】
また、本発明は、前記第二把持部が髪ゴムを受け渡す髪ゴム移動装置は二列の杭上突起物を有し、輪形状の髪ゴムを前記杭上突起物の隙間部に差し込んだ後、前記杭上突起物の片側一列のみが前記杭上突起物の長形方向にずれることで、髪ゴムの挟持を可能とすることを特徴とする、請求項2に記載の髪ゴム製造装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る髪ゴム製造装置を使用することにより、髪ゴムの、全自動で短時間での大
量生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の全体像の概要を示す図である。図は装置全体の正面図である。
図2】ゴム紐供給前状態における、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、ゴム紐供給側からの斜視図である。
図3】ゴム紐供給前状態における、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、ゴム紐接着側からの斜視図である。
図4】ゴム紐引張瞬間時における、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、ゴム紐接着側からの斜視図である。
図5】ゴム紐の二回目の引張直後における、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、ゴム紐接着側からの斜視図である。
図6】ゴム紐切断直前時における、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、ゴム紐接着側からの斜視図である。
図7】第一把持装置及び第二把持装置の回動開始直前時における、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、ゴム紐接着側からの斜視図である。
図8】第一把持装置及び第二把持装置の回動時における、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、ゴム紐接着側からの斜視図である。
図9】第一把持装置及び第二把持装置の回動終了時における、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、ゴム紐接着側からの斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の、製造工程を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ゴム紐供給側に於いてゴム玉よりゴム紐を引き出し、ゴム紐接着側に於いて前記ゴム紐を所定の長さに切断後、前記ゴム紐の端部を接続し無端状態とする髪ゴム製造装置において、前記ゴム紐の一端部を把持する第一把持部を有する第一把持装置と、前記ゴム紐の他端部を把持する第二把持部を有する第二把持装置と、接着剤塗布装置と、前記ゴム紐供給側に於いて、前記ゴム紐接着側への前記ゴム紐の供給を一定間隔で断続的に行う、第一挟持板、第二挟持板、第三挟持板より構成されるゴム紐供給誘導部と、前記ゴム紐の切断予定の位置となる切断予定部を、押圧及び加熱する切断部押圧加熱装置と、前記ゴム紐を長手方向に略垂直な面で切断刃により切断するゴム紐切断部と、を備え、第一挟持板及び第三挟持板と、第二挟持板間の幅を調整し、各挟持板が移動することにより、ゴム紐供給側からゴム紐接着側へのゴム紐の供給を断続的に行い、前記ゴム紐供給誘導部より供給された前記ゴム紐において、予め前記押圧加熱装置にて加熱された前記切断予定部を、前記ゴム紐切断部に於いて前記切断刃により切断された後、略直線状の前記ゴム紐の前記一端部を前記第一把持部に、前記他端部を前記第二把持部に把持された状態より、前記第一把持装置を回動させる第一回動手段と、前記第二把持装置を回動させる第二回動手段により、切断した前記ゴム紐の両端部を近接させ、前記ゴム紐の一端部又は両端部の断面に前記接着剤塗布装置により予め付着させておいた接着剤により繋止し、前記ゴム紐を無端状態とすることで、輪形状の髪ゴムを製造することを特徴とする、髪ゴム製造装置である。
【0013】
また、髪ゴム製造装置本体8について、装置正面に向かい、ゴム玉1がある側を装置左
側、接着剤塗布装置本体部7がある側を装置右側、第二把持装置9がある側を装置上側、
レール土台部26がある側を装置下側、手前側を装置前側、奥側を装置後側と呼び定義す
る。
【0014】
また、接着される前段階をゴム紐2、ゴム紐2が切断され、接着されることで輪形状に
なったものを、髪ゴム10と呼び定義する。
【0015】
また、髪ゴム製造装置本体8に向かい、ゴム紐切断部5より装置左側の、ゴム紐を供給
していく側をゴム紐供給側13、ゴム紐切断部5より装置右側の、ゴム紐の接着が行われ
る側をゴム紐接着側14と呼び定義する。
【0016】
[1.本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の構成]
まず、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の構成について述べる。本発明の一実
施形態に係る髪ゴム製造装置は、ゴム紐を輪形状に結合し完成する髪ゴムを、自動的に短
時間で大量生産可能な装置である。
【0017】
本髪ゴムの製造装置の側面図を図1に示す。なお、図1は側面図であり、第二把持装置
9、髪ゴム移動装置11、搬送コンベヤ12等に接続し、第二把持装置9や髪ゴム移動装
置11の移動機能を担う他の装置や、搬送コンベヤ12のコンベヤ回転機能を担うモータ
ー等が、各装置の装置後側に設けられている。
【0018】
まず、図1において、作業工程は図1左下部から図1右下部、そして図1右上部へと変
遷し、係る作業工程を経て髪ゴムが製造される。より詳細には、まず髪ゴム製造装置本体
8は、ゴム玉1由来のゴム紐2を装置本体に向け集積する部位として、ゴム紐供給誘導部
3を有する。ここで、ゴム紐2は、シリコン製等の紐状の細長いゴム芯(例えば、断面形
状は、直径略5mmの略正円状構造を有する細長い構造を有するゴム)に、例えば黒色の
毛糸等の被覆材が予め既に巻き付けられた態様をとる。そして、ゴム玉1とは、非常に長
い一本のゴム紐2が、例えば輪形状に整理し集められたような集合物である。そして、こ
のようなゴム玉1より、ゴム玉1のゴム紐2の端部を引っ張ってきて、例えばゴム紐供給
誘導部3に掛け装置にセッティングする。
【0019】
なお、ゴム紐2をゴム玉1からゴム紐供給誘導部3に掛ける際、ゴム玉1とゴム紐供給
誘導部3の途中部において、例えば小型のラダー様の仕切りを有するフレームを設け、ゴ
ム紐2一本一本を前記フレームの一枠ずつに挿通することにより、ゴム紐2一本一本が絡
みにくい態様としても良い。
【0020】
かかるゴム玉1の数は、その一態様として、例えば十個である。すなわち、ゴム紐供給
誘導部3に、一度に十本のゴム紐2が設置される。この場合、髪ゴム製造工程一サイクル
で一度に製造可能な髪ゴムの数は十個であり、髪ゴム製造装置本体8に接続するゴム玉1
の数(ゴム紐供給誘導部3に掛けるゴム紐2の数)と、一度に製造出来る髪ゴムの数が一
致する。
【0021】
次に、髪ゴム製造装置本体8のより詳細な構造を図2に示す。まず、髪ゴム製造装置本
体8の装置左側の構成について述べる。まず、ゴム紐供給誘導部3は、ゴム紐供給第一補
助部22、第一挟持板33、第二挟持板34、第三挟持板35等から構成されている。こ
のうち、第一挟持板33と第三挟持板35が、ボルト及びナットを介し接続されており、
これらの第一挟持板33と第三挟持板35の間に、第二挟持板34が挟まれ設けられてい
る。ここで、第一挟持板33と第三挟持板35とを接続するボルトは、第二挟持板34の
上部に穿設された、ボルトの内径よりやや半径が大きい孔部を通り設けられているため、
第二挟持板34は、第一挟持板33と第三挟持板35の移動とは独立し、装置前後側に移
動することが出来る。また、第二挟持板34と二つのゴム紐供給第一補助部22は連接し
ており、一体となって移動する。
【0022】
そして、ゴム紐供給第一補助部22は、略コ状の部材が、上下方向に複数連なった構造
となる。そのため、ゴム紐2一本は、ゴム紐供給第一補助部22の略コ状形状を有する一
つのコ状空間部56内を通すことで、髪ゴム製造装置本体8内において安定する。また、
ゴム紐供給第一補助部22のコ状の部材が上下方向に連なる数は、一態様の10個に限定
されず、ゴム玉1の数により変更しても良い。また、ゴム紐供給第一補助部22は、第二
挟持板34の装置左側端部近傍及び、装置右側端部近傍の二ヶ所に、合計二つ設けられて
いる。
【0023】
ここで、ゴム紐供給第一補助部22のコ状空間部56の一つ一つの空間にゴム紐2一本
一本を通した後、コ状空間部56の上下に連なる開口部を例えばビニール紐等で囲い込み
、ゴム紐2の一本一本をコ状空間部56からはみ出ないようにすることにより、操作ミス
を防ぐ態様としても良い。
【0024】
そして、髪ゴム製造装置本体8のゴム紐供給側13を、ゴム紐2が装置左側から装置右
側に運ばれていく際、ゴム紐供給誘導部3はゴム紐2の、髪ゴム製造装置本体8の装置左
側から装置右側への運搬を補助する動きをする。この際のゴム紐供給誘導部3の動きとし
て、まず、第一挟持板33と第三挟持板35が一体となり、装置後側に移動する。この際
、第二挟持板34は、第一挟持板33及び第三挟持板35と完全には固定されていないた
め、第一挟持板33及び第三挟持板35の動きにつられることなく、第二挟持板34と、
第一挟持板33及び第三挟持板35は別々に移動する。そのため、第一挟持板33及び第
三挟持板35の装置後側への移動により、第三挟持板35と移動を行わない第二挟持板3
4との幅が狭まり、この第二挟持板34と第三挟持板35間にゴム紐2が緊張状態で挟ま
れる態様となる。
【0025】
ここで、第二挟持板34の左右両端部には、ゴム紐供給第一補助部22が各々設けられ
ているため、第二挟持板34と第三挟持板35の間にゴム紐供給第一補助部22が引張状
態のまま挟持されることとなり、縦方向に連なるゴム紐2が絡み合う虞が少ない態様とな
っている。
【0026】
また、詳細は後述するものの、第二挟持板34と第三挟持板35によるゴム紐2の挟持
は、前側押圧板36及び後側押圧板37の押圧の略1秒前に行う。そのため、ゴム紐供給
誘導部3でゴム紐2の挟持が行われた状態で、切断部押圧加熱装置4での押圧が行われる
ため、ゴム紐供給誘導部3は切断部押圧加熱装置4での正確な押圧を援助している。
【0027】
そして、第二挟持板34と第三挟持板35が、ゴム紐2の一部を挟みこんだまま、ゴム
紐供給誘導部3全体が右側の切断部押圧加熱装置4近傍まで移動する(ゴム紐誘導手段)
。このような動作を繰り返すことにより、ゴム紐2を髪ゴム製造装置本体8のゴム紐供給
側13に供給することが出来る。この際ゴム紐供給第一補助部22及びゴム紐供給第二補
助部23で、ゴム紐は十分係留されているため、ゴム紐2が上下方向で絡み合うといった
ことは起きない。
【0028】
そして、ゴム紐供給誘導部3が切断部押圧加熱装置4付近までゴム紐2を運んだ後、第
一挟持板33と第三挟持板35は、装置前側に向かい移動する。この際も、第二挟持板3
4は、第一挟持板33及び第三挟持板35の動きにつられることなく、装置前側には移動
しない。このため、第二挟持板34と第三挟持板35の間の幅が広がることにより、ゴム
紐2は締め付けられた緊張状態より解放される(挟持解除手段)。そして、ゴム紐2を緊
張状態より解除した状態のまま、ゴム紐供給誘導部3全体が装置左側に移動し、最初の所
定位置である、ゴム紐供給土台部24の左部近傍まで移動し(当初位置復帰手段)、先程
と同様の仕組みによりゴム紐2を固定する。以上のような工程の繰り返しにより、ゴム紐
供給誘導部3は、髪ゴム製造装置本体8のゴム紐接着側14へ、ゴム紐2を次々に運搬す
る。
【0029】
なお、先述のゴム紐2の運搬動作は、ゴム紐切断部5におけるゴム紐2切断のタイミン
グと同調している。
【0030】
次に、髪ゴム製造装置本体8のゴム紐切断部5近傍の構造として、ゴム紐2の一本一本
は、ゴム紐供給第二補助部23に掛けられている。ゴム紐供給第二補助部23は、ゴム紐
供給第一補助部22と同様の形態を有し、略コ状の部材が上下方向に複数連なった構造と
なる。そのため、ゴム紐供給第二補助部23の略コ状の部材が形成するコ状空間部57一
つ一つに、ゴム紐2の一本一本を一つずつ掛けることが出来る。このような態様であるた
め、髪ゴム製造装置本体8のゴム紐供給側13において、ゴム紐2同士が絡まり合う等が
生じることなく、安定したゴム紐2の供給を行うことが出来る。
【0031】
また、髪ゴム製造装置本体8のゴム紐切断部5近傍の、ゴム紐供給第二補助部23の装
置左側近傍には、切断部押圧加熱装置4が設けられている。かかる切断部押圧加熱装置4
は、略長方形状の二枚の金属板より構成されており、装置前側に位置する金属板を前側押
圧板36、装置後側に位置する金属板を後側押圧板37と呼ぶ。
【0032】
そして、切断部押圧加熱装置4は、ゴム紐2の一部を前側押圧板36及び後側押圧板3
7が挟み込むことにより、ゴム紐2の押圧を行う部位である。係る押圧の目的は、ゴム紐
2の切断時において、ゴム紐2切断部の組紐がほどける虞を防ぐため、ゴム紐2の切断部
となる予定の部位である、ゴム紐切断予定部15を予め加圧しておくためである。
【0033】
ここで、ゴム紐2の十分な押圧を目的とし、前側押圧板36及び後側押圧板37のゴム
紐2側の表面部に、細かな凹凸状形状を有する態様としても良い。
【0034】
次に、ゴム紐供給第二補助部23のゴム紐切断部5近傍に設けられている装置について
図3を用い述べる。ゴム紐供給第二補助部23左側近傍には、装置左側から順に、ゴム
紐固定装置41及び、ゴム紐切断部5が設けられている。ゴム紐切断部5には、供給され
るゴム紐2に対し、ゴム紐2の前後軸に対し垂直に直交するように、すなわち、髪ゴム製
造装置本体8の装置前側と装置後側を繋ぐ前後軸に沿って平行に、前後二枚の切断刃42
が設けられている。
【0035】
そして、切断刃42には、ゴム紐2が設けられるゴム紐通路側47に面する切断刃42
の端部近傍において、髪ゴム製造装置本体8の上下軸と平行になる様に、刃面部64が設
けられている。そして、ゴム紐固定装置41に掛けられたゴム紐2に対し、二枚の切断刃
42が装置前後側よりゴム紐2の長手方向と垂直に挟み込むことにより、ゴム紐2が長手
方向と垂直な面で切断される態様となる。
【0036】
ここで、切断刃42は図示しない近傍の他の接続部材の、装置前後方向に配設されたレ
ール部に接続している。そのため、切断刃42はレール部を移動することで、開放状態及
び切断状態の切替を行うことが出来る。
【0037】
また、切断の一態様として、装置前側の切断刃42をまずゴム紐2に十分近接させた後
、装置後側より、装置後側の切断刃42をゴム紐2に近づけ、ゴム紐2を切断する態様で
も良い。この場合、切断刃42の刃面部64は、装置後側の切断刃42のみ有して良い。
【0038】
また、切断刃42は、一態様として例えば切断刃42に接続するピストン等の駆動によ
り、開放状態及び切断状態の切替を行う。
【0039】
また、ゴム紐2は、ゴム紐切断部5による切断の前に、ゴム紐固定装置41により固定
される。ゴム紐固定装置41は、水平面に対し垂直に、かつ、供給されるゴム紐2に垂直
になるように設けられた、2枚のゴム紐固定板58から構成される。これらの二枚のゴム
紐固定板58は、そのゴム紐通路側47に面し、凹凸状の凹凸面部を有する。そして、前
後向かい合うゴム紐固定板58がゴム紐2を前後から挟み込み、ゴム紐2はゴム紐固定板
58の凹部同士により形成される凹部空間にゴム紐2が掛かる態様となる。この時、ゴム
紐固定板58の凹部同士により形成される凹部空間部は、ゴム紐2の断面部より幾分矮小
に形成されているため、前後二枚のゴム紐固定板58の凹部空間部により、ゴム紐2は移
動不能な態様で強固に固定され、固定された状態のままゴム紐2は切断に供される。
【0040】
また、ゴム紐2が切断に供される際には、ゴム紐切断部5近傍の上部に設けられている
第二把持装置9が下降し、ゴム紐2を把持し固定する。第二把持装置9は、ゴム紐2を掴
み固定する部位として第二把持部21を有している。第二把持装置9の第二把持部21は
図3に示すように、第二把持部21の向かい合う面において、凹凸部を有している。こ
のため、ゴム紐2の両隣に第二把持部21が下降した後、二つの第二把持部21同士がゴ
ム紐2に近接するように作動することにより、ゴム紐2を装置前後側より把持することが
出来る。係る様に、第二把持部21がゴム紐2を把持し固定した状態で、ゴム紐切断部5
の切断刃42がゴム紐2に向かい勢いよく移動し、ゴム紐2の切断を行う。そして、ゴム
紐2の切断後は、第二把持装置9がゴム紐2の端部を把持したまま次の工程に移る。
【0041】
また、髪ゴム製造装置本体8のゴム紐接着側14の装置下側には、最下部にレール土台
部26が設けられ、レール土台部26上部には、レール部25が設けられている。係るレ
ール部25上部には、第一把持装置回動部45及び、接着剤塗布装置土台部49が設けら
れている。そして、第一把持装置回動部45及び接着剤塗布装置土台部49は、レール部
25上を装置左右側に移動する。
【0042】
そして、第一把持装置回動部45は、その上部に第一把持装置6を設けている。係る第
一把持装置6は、ゴム紐2を把持するための第一把持部43を二つ、装置の前後に、略5
0mm間隔で平行に備えている(すなわち、第一把持部43が閉じていない場合は、二つ
の第一把持部43は略50mm間隔の間を有する)。係る第一把持部43は、そのゴム紐
2が設けられるゴム紐通路側47に面する断面が、凹凸状に窪んだ凹凸空間部50を有し
、かかる凹凸空間部50が上下方向に複数連なった構造(例えば10個)となる。そして
前後二つの第一把持部43の凹部に挟まれ形成される一つの空間部に、ゴム紐2一本が嵌
り込み、ゴム紐2が把持される態様となる。
【0043】
また、第一把持装置6は、第一把持装置6の下部に、第一把持装置土台部44及び第一
把持装置回動部45を有する。そして、第一把持装置回動部45を回動運動の基部として
、第一把持装置土台部44及び第一把持部43を含む第一把持装置6は、水平面と略平行
な面で時計回り、或いは半時計回りに回動することが出来る(第一回動手段)。
【0044】
また、接着剤塗布装置51も、接着剤塗布装置土台部49を基部として、レール部25
上を左右に移動することが出来る。ここで、第一把持装置回動部45と接着剤塗布装置土
台部49は、一体となって移動可能な態様であるが、別々に移動可能な態様としても良い
。そして、接着剤塗布装置51には、接着剤塗布装置土台部49に接続し、接着剤塗布装
置土台部49の上部に設けられた構造として、接着剤の保持機能を担う支持部28、支持
部28に接続した支持補助部27、支持補助部27に接続し保持されている接着剤塗布装
置本体部7、接着剤塗布装置本体部7に接続する接着剤供給管29を有する。ここで、接
着剤塗布装置本体部7は、ロール状の構造体が、長手方向を上下方向とし連接された接着
剤露出部52を有し、接着剤露出部52の表面部には、ゴム紐2の一端部の断面部に付着
させ、髪ゴム10として製造するための接着剤が一面に塗布されている。係る接着剤露出
部52の接着剤は、接着剤供給管29より自動的に適宜充填される態様となっている。ま
た、ゴム紐2の断面同士を接続するために用いられる接着剤は、たとえばエポキシ系接着
剤である。
【0045】
また、接着剤塗布装置本体部7は、接着剤塗布装置本体部7の中央部近傍を、支持補助
部27の固定部54で固定されている。ここで、支持補助部27は、接着剤塗布装置本体
部7を固定する固定部54、固定部54と支持部28とを繋ぐ、2本の接続部55から成
り、二本の接続部55が装置左右方向に同調しピストン様に運動することにより、支持部
28が移動しない状態においてでも、支持部28の移動とは別に接着剤塗布装置本体部7
のみを、装置左右側に移動させることが出来る。
【0046】
また、支持部28の上部先端部の把持部53は、トングの先端様の構造をしている二枚
の金属板であり、第一把持装置6の第一把持部43の上部近傍を、第一把持部43の両側
より掴み把持することが出来る。
【0047】
この仕組みの概略としては、ゴム紐2を挟み込んだ第一把持装置6の第一把持部43を
、接着剤塗布装置51の把持部53が挟んだ状態のまま、接着剤塗布装置51がレール部
25を、装置左側から装置右側に移動する。このような仕組みにより、第一把持装置6の
第一把持部43ごと、ゴム紐2は接着剤塗布装置51の把持部53に引張され、ゴム紐接
着側14に引き出されることなる。
【0048】
また、髪ゴム製造装置本体8の装置右側上部には、第二把持装置9や、髪ゴム移動装置
11(図1)が設けられている。第二把持装置9は、ゴム紐2の接着時に、ゴム紐2を把持
する機能及び、完成した髪ゴム10を搬送する機能を有する装置である。そして、第二把
持装置9には、その最上部に第二把持装置回動部62、その中央部に把持部接続部30、
その下部に第二把持部21等が設けられている。
【0049】
第二把持装置回動部62は、モーター駆動等により、水平面と略平行に、時計周りある
いは半時計周りに、第二把持部21と伴に把持部接続部30を回動させる(第二回動手段
)。また、第二把持装置9の第二把持部21は、二枚の板より構成され、その内面に髪ゴ
ムを一つずつ挟みこむことが可能な凹凸部を複数有する。係る凹凸部同士が近接すること
により形成される凹部について、一つの凹部に、完成したゴム紐2あるいは髪ゴム10一
つが嵌り込み、ゴム紐2の把持や完成した髪ゴム10の移動等が行われることとなる。
【0050】
[2.本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の動作手順について]
次に、本発明の一実施形態に係る髪ゴム製造装置の具体的な動作手順について、図2
図9の装置図と、図10のフローチャート図を用い述べる。
【0051】
まず、髪ゴム製造の前準備として、髪ゴム10の原材料としてのゴム紐2をゴム紐供給
誘導部3のコ状空間部56、及びゴム紐供給第二補助部23のコ状空間部57部に通しセ
ッティングする(図3、及び図10のステップS1)。この際、一つのコ状空間部56に
一本のゴム紐2を挿通させる。
【0052】
そして、髪ゴム製造装置本体8を稼働させる。すると、ゴム紐供給誘導部3の第二挟持
板34と第三挟持板35により、ゴム紐2は、髪ゴム製造装置本体8のゴム紐供給側13
からゴム紐接着側14へと運ばれていく(図2)。この際の運搬様式は、前述の通りであ
る。
【0053】
また、ゴム紐供給側13のゴム紐切断部5の装置左側近傍では、切断部押圧加熱装置4
による、ゴム紐2の押圧が行われる。ここで、ゴム紐2の押圧を行う際には、まず、ゴム
紐2が装置左側から装置右側に運ばれてきて静止し、ゴム紐2に対し押圧を行う部分であ
る、ゴム紐2の押圧点が確定する。そして、次に、後側押圧板37はほぼ移動することな
く、前側押圧板36のみが装置後側、すなわち後側押圧板37側に向かい、地表面と水平
方向に移動する。すると、後側押圧板37が受け手となり、ゴム紐2は後側押圧板37と
前側押圧板36間に挟まれ押圧される(圧縮移動)。
【0054】
そして、次に往復移動として、後側押圧板37が装置上側に、前側押圧板36が装置下
側に、同じタイミングで移動を開始する。これらの後側押圧板37と前側押圧板36の移
動速度も同じである。そして、略10mm程それぞれ上下方向に移動した後、今度はそれ
ぞれが逆方向に先程と同じ速度で移動する。すなわち、この場合の逆方向への移動は、後
側押圧板37が装置下側への、前側押圧板36が装置上側への移動である。そして、後側
押圧板37の上端部と、前側押圧板36の上端部が略同じ高さ位置になるまで移動し、略
同じ高さ位置で移動を停止する。
【0055】
そして、当初の同じ高さ位置に、前側押圧板36及び後側押圧板37が戻った後、前側
押圧板36が装置前側に向かい(すなわちゴム紐2より離隔するように)略10mm程移
動し、押圧前の当初の前後位置に静置することにより押圧工程が完了する(往復移動の終
了)。かかる押圧工程に要する時間は、前側押圧板36が装置後側に移動し始め、前側押
圧板36が装置前側の所定位置に戻るまでの時間で、略1秒である。なお、かかる押圧工
程において、切断部押圧加熱装置4の前側押圧板36及び後側押圧板37を予め十分に加
熱した上で、ゴム紐2のゴム紐切断予定部15を押圧することで、ゴム紐2のゴム紐切断
予定部15が切断された際の、切断部のほつれを十分に防ぐことが出来る構成としても良
い。また、前側押圧板36と後側押圧板37の上下方向の同調動作を、前述のように、ゴ
ム紐2のゴム紐切断予定部15一ヶ所につき一サイクルと限定せずに、ゴム紐切断予定部
15一ヶ所につき複数サイクル、切断部押圧加熱装置4による押圧を行う態様としてもよ
い。
【0056】
次に、髪ゴム製造の詳細な工程について述べる。以下の説明では、ゴム紐切断部5近傍
のゴム紐2が把持される瞬間を、髪ゴム製造の一サイクルの開始時として想定している。
この後、ゴム紐2は、把持されたまま一回目の引張が行われることとなる。
【0057】
そして、ゴム紐切断部5近傍には、髪ゴム製造装置本体8の装置左側から順に、ゴム紐
供給第二補助部23、ゴム紐切断部5、切断刃42が設けられており(図2及び図3)、
また、ゴムを引張するために、第一把持装置6が第一把持部43と共に、装置右側から装
置左側に移動してくる(図3)。そして、ゴム紐2を挟む際、ゴム紐供給第二補助部23
に掛けられたゴム紐2に対し、まず第一把持装置6の第一把持部43がゴム紐2の第一ゴ
ム紐断面60近傍に移動し、ゴム紐2の第一ゴム紐断面60近傍を、把持し掴む(図10
、ステップS2)。この際の把持の仕組みは、ゴム紐2の第一ゴム紐断面60近傍である
、第一ゴム紐断面60の少し装置左側に、第一把持装置6の二つの第一把持部43がゴム
紐2を装置前後側で掴むように移動し、第一把持装置6の二つの第一把持部43の凹部よ
り形成される、隙間部の一つ一つに、ゴム紐2一本一本が嵌り込む。
【0058】
そして、第一把持装置6がゴム紐2を把持した状態で、接着剤塗布装置51が装置右側
から装置左側に移動し、第一把持装置6の第一把持部43をゴム紐2ごと把持する(図4
、及び図10のステップS2)。接着剤塗布装置51の把持部53の把持位置は、第一把
持装置6の第一把持部43の上端部近傍である。そして、接着剤塗布装置51は、第一把
持部43を把持したまま、髪ゴム製造装置本体8のゴム紐接着側14の装置右側に移動す
る。すなわち、ゴム紐2は、第一把持装置6の第一把持部43、及び接着剤塗布装置51
の把持部53の二重に把持され、装置右側に向かい一回目の引張がされることとなる(図
10、ステップS3)。なお、第一把持装置6の第一把持部43のみでの引張を行う態様
としても構わないが、接着剤塗布装置51の接着剤露出部52の接着剤を、第一ゴム紐断
面60に付着する工程が後に続くため、二重で把持する態様としている。
【0059】
ここで、ゴム紐2は、第一把持装置6、及び接着剤塗布装置51の把持部53を介し、
髪ゴム製造装置本体8のゴム紐接着側14において、装置左側から装置右側に向け二回に
分けて引張が行われる(以後係る引張を、一回目の引張及び二回目の引張と呼ぶ)。係る
ゴム紐2の装置右側への二回の引張は、一回目の引張が、全体の移動分(製造する髪ゴム
10一本分の全周長に相当する長さ)の略八割の長さ分の移動、二回目の引張が、全体の
移動分の略二割の長さ分の移動である。
【0060】
そして、一回目の引張(図10、ステップS3)と二回目の引張(図10、ステップS
5)の間に、二回の引張のインターバルとして、引張の略1秒の引張ブランクが設定され
ている。この引張ブランクの際、ゴム紐供給側13では、前側押圧板36及び後側押圧板
37による、ゴム紐2の押圧が行われる(図10、ステップS4)。この押圧が行われる
部位は、後の工程の切断される部位に相当するため、この押圧が行われる部位を切断予定
部と呼ぶ。係るような仕組みで二回に分け引張を行うため、一回目の引張を終え、引張ブ
ランクの際に行われたゴム紐2の押圧部分が、二回目の引張後に、ゴム紐切断部5の右側
近傍、すなわち切断刃42近傍に位置することとなる。係るような仕組みであるため、ゴ
ム紐2は、切断部押圧加熱装置4で押圧された切断予定部にて、適切に切断されることと
なる。
【0061】
また、第一把持装置6の第一把持部43による最初の把持が行われるまでは、ゴム紐2
はゴム紐固定装置41により固定されているが(図4)、第一把持装置6の第一把持部4
3への、接着剤塗布装置51の把持部53による把持が行われる前に、ゴム紐固定装置4
1を構成する二枚の板が、ゴム紐2より離隔する向きに、すなわち装置前後側へ移動し、
ゴム紐2のゴム紐固定装置41による固定が緩む。そのため、ゴム紐2の一回目の引張前
には、ゴム紐固定装置41による固定状態から解除され、ゴム紐2は弛緩した状態にある
ため、容易に引張可能な状態となっている。
【0062】
また、一回目の引張と二回目の引張の間の引張ブランクにおいて、ゴム紐接着側14で
は、第一ゴム紐断面60への接着剤の塗布が行われる(図10、ステップS5)。係る接
着剤の塗布の仕組みとしては、一回目の引張により引き出されたゴム紐2は、第一把持装
置6の第一把持部43、及び接着剤塗布装置51の把持部53により把持されている。そ
して、接着剤塗布装置51の把持部53が、第一把持装置6の第一把持部43の先端を把
持したまま、接着剤塗布装置本体部7の接続部55が装置右側から装置左側に向かい略3
0mm移動することにより、接着剤が塗布されている接着剤露出部52が第一ゴム紐断面
60に触れる。そして、略1秒間、第一ゴム紐断面60と接着剤露出部52上の接着剤と
を密着させた後、接続部55が装置左側から装置右側に移動し、接着剤塗布装置本体部7
が、接着剤塗布装置本体部7の移動前の所定位置に戻る。係るような工程により、最短の
所要時間で、第一ゴム紐断面60に、十分に接着剤を付着させることが可能となる。
【0063】
そして、接着剤塗布装置本体部7が、接着剤塗布装置本体部7の移動前の所定位置に戻
った後速やかに、接着剤塗布装置51の把持部53で第一把持装置6の第一把持部43を
把持したまま、接着剤塗布装置51が装置左側から装置右側に移動し、ゴム紐2の二回目
の引張を行う(図10、ステップS5)。
【0064】
そして、ゴム紐2の二回目の引張を行い始めると同時に、上部より第二把持装置9が下
降してくる。そして、二回目の引張を終える頃には、ゴム紐2の装置前後両隣に、第二把
持装置9の第二把持部21が待機し、ゴム紐2を把持する体制を整える(図5)。係る第
二把持装置9の第二把持部21によるゴム紐2を把持する部位は、ゴム紐切断部5近傍で
ある。
【0065】
そして、二回目の引張を完全に終えた後、まずゴム紐切断部5のゴム紐固定装置41を
構成する二枚の固定板が、各々装置の前後よりゴム紐2に向かい移動し、ゴム紐2をしっ
かりと固定する(図10、ステップS6)。
【0066】
そして、次に、ゴム紐2の両隣にて待機していた、第二把持装置9の第二把持部21も
、ゴム紐2を前後両側よりしっかりと把持し固定する(図5、及び図10のステップS6
)。
【0067】
そして、二枚の切断刃42が、装置の前後方向に、各々ゴム紐2に向かって移動し、ゴ
ム紐2を装置前後側より切断刃42の刃面部64で挟むことにより、ゴム紐2を長手方向
と垂直方向に切断する(図6、及び図10のステップS7)。このように、ゴム紐2の切
断の際、ゴム紐2はゴム紐固定装置41の固定板と第二把持装置9の第二把持部21にし
っかりと固定された状態にあり、また近接する、ゴム紐固定装置41の固定板と、第二把
持装置9の第二把持部21の間で切断するため、切断時にゴム紐2が緩むことなく、ゴム
紐2の形態が崩れず綺麗な切断が可能となる。
【0068】
そして、ステップS7の切断工程を終えるのとほぼ同時に、第一把持装置6が装置右側
から装置左側に再び速やかに移動する(図7)。係る際の移動距離は、髪ゴム一周分の長
さ(すなわち切断した一本分の長さ)全長の略二割の長さ分である。そして、第一把持装
置6はその位置にて暫く待機する。すなわち切断直後においては、ゴム紐2は、切断部か
ら第一把持装置6の第一把持部43までの距離が短くなるため、切断されたゴム紐2は幾
分撓む態様となる。
【0069】
そして、次にゴム紐2を接着する工程に移る。まず、第二把持装置9が、第二把持部2
1でゴム紐2を把持した状態のまま、略50mm装置右側に水平移動する(図10、ステ
ップS8)。この移動の仕組みは、髪ゴム製造装置本体8右下下部のレール部にほぼ沿っ
た移動様式である。そして、ゴム紐2の一端部を把持し、待機している第一把持装置6の
第一把持部43と、ゴム紐2のもう一端部を把持している第二把持装置9の第二把持部2
1が、離隔幅略50mm程まで近接した後、第二把持装置9の第二把持部21、及び第一
把持装置6の第一把持部43の各々が同時に回動運動を始める(図8、及び図10のステ
ップS9)。
【0070】
この回動運動について詳細に述べる。この回動運動は、第二把持装置9の第二把持部2
1、及び第一把持装置6の第一把持部43各々が同時に回動を開始し、同時に終える。ま
ず第一把持装置6の第一把持部43は、その基部である第一把持装置回動部45の中心部
を中心点とし、水平面と平行な面で回動する。この回動の向きは、装置上側から見て時計
周りに略180度であり、平面視で第一把持装置6の左側に位置していた第一把持部43
は、平面視で丁度対極の第一把持装置6の右側に位置する態様となる。
【0071】
また、第二把持装置9の第二把持部21は、第二把持装置9の第二把持装置回動部62
の中心部を中心点とし、水平面と平行面で回動する。この回動の向きは、半時計周りに略
180度であり、平面視で第二把持装置9の左側に位置していた第二把持部21は、丁度
対極の第二把持装置9の右側に位置する態様となる。
【0072】
よって、以上の回動運動を終えた際には、第一把持装置6が把持するゴム紐2の第一ゴ
ム紐断面60と、第二把持装置9が把持するゴム紐2の第二ゴム紐断面63が丁度向き合
う態様となる(図8、及び図9)。そして、第一ゴム紐断面60には、前述の接着剤塗布
過程により、既に接着剤が十分に塗布されている。
【0073】
そして、第一把持装置6及び第一把持部43が装置右側から装置左側に向かい、略50
mm移動し、第一ゴム紐断面60と第二ゴム紐断面63を十分に接着させる(図10、ス
テップS9)。係る工程の第一ゴム紐断面60と第二ゴム紐断面63の接着時間は、略1
秒である。
【0074】
そして、接着工程を終えると、第一把持装置6の第一把持部43が髪ゴム10から離隔
する。すなわち、第一把持装置6の二つの第一把持部43が、装置の前後に各々移動する
ことで、前後の第一把持部43の間に略50mmの空間部が生じる。このため、固定され
ていた髪ゴム10は第一把持部43の固定から解除される(図10、ステップS10)。
【0075】
一方で、髪ゴム10は、第二把持装置9の第二把持部21に把持されたままである。そ
して、第二把持部21で髪ゴム10を把持したまま、第二把持装置9は上部に移動する。
そして、近接してきた髪ゴム移動装置11に髪ゴム10を渡した(図10、ステップS1
0)後、髪ゴム製造装置本体8の直上部まで移動し、次の動作に備え待機する。
【0076】
また、髪ゴム10を離した第一把持部43を有する第一把持装置6は、先程とは逆向き
の回動(すなわち装置上側から見て半時計周りに180度の回動移動)を行い、第一把持
部43を回動運動前の位置に戻した後、レール部25上を装置右側から装置左側に移動し
、次のゴム紐2の把持を行う体制に入る。
【0077】
また、髪ゴム移動装置11に受け渡された髪ゴム10は、例えば一実施形態として、髪
ゴム移動装置11により、搬送コンベヤ12上に運ばれる(図1)。
【0078】
髪ゴム移動装置11の一態様としては、髪ゴム移動装置11は図示せぬ一態様として、
その先端に杭状突起物が二列に整列し、長形を成し並ぶ態様を有する。そして、前記杭状
突起物は、髪ゴム10を保持していない状態では、一列一列が短手方向にも隣接し横並び
となり、整列し並ぶ。そして、第二把持装置9の第二把持部21に上下方向に束となり把
持されている髪ゴム10に対し、まず髪ゴム10の一つ一つの隙間部に、二列の杭状突起
物を差込む。その後、杭状突起物の片側一列のみが上下方向に半分ずれ、二列の杭状突起
物間に髪ゴム10が挟み込まれ保持される。
【0079】
そして、髪ゴム10が髪ゴム移動装置11に保持されたまま、髪ゴム移動装置11が他
の場所に配設されている搬送コンベヤ12上まで移動し、髪ゴム10の保持部を搬送コン
ベヤ12のコンベヤ面と平行にし近接させた後、二列の杭状突起物を再び短手方向に平行
状態とすることにより、髪ゴム10を保持部より解放する。
【0080】
ここで、髪ゴム移動装置11は、髪ゴム製造装置本体8と搬送コンベヤ12間に設けら
れた、接続部材のレール部に接続されており、係るレール部を繰り返し行き来することに
より、髪ゴム製造装置本体8から搬送コンベヤ12に髪ゴム10を断続的に運搬する態様
となる。
【0081】
そして、髪ゴム10は、搬送コンベヤ12を移動している間、一定時間温風に晒される
等乾燥処理を受けた後、梱包容器に収納され、出荷される。搬送コンベヤ12のコンベヤ
面には、その一態様として風通しの良い金網状のシートを配設する。
【0082】
また、前述の発明の要旨を言い換えると次のようになる。すなわち、本発明は、一側端
面を先頭としつつ引き出した長尺のゴム紐を前記一側端面から所定の長さで切断して当該
切断位置に他側端面を形成する切断部と、前記一側端面と他側端面との少なくともいずれ
か一方を互いに接合可能な状態に変化させる接合可能化処理部と、前記一側端面と他側端
面とを会合させて接合する形成部と、を備えた無端状の髪ゴムの製造装置において、前記
形成部は、前記ゴム紐の一側端面の近傍を把持する第1の把持部と、前記ゴム紐の他側端
面の近傍を把持する第2の把持部と、前記一側端面と他側端面とが会合していない状態で
両端面近傍を把持する前記第1及び/又は第2の把持部を、会合位置まで変位させる把持
部変位手段と、を備えることを特徴とする髪ゴム製造装置である。
【0083】
また、本発明は、前段落に記載の髪ゴム製造装置であって、かつ、前記接合可能化処理
部は、前記ゴム紐の一側端面及び/又は他側端面に、接着剤を付着させることで接合可能
化を行う接着剤塗布装置であり、前記形成部は、前記第1の把持部と、前記第2の把持部
とを各々回動させる前記把持部変位手段により、略180°前記両把持部を逆方向に回動
させることで前記会合位置まで変位させ、前記一側端面と前記他側端面とを接着剤により
接合することで無端状の髪ゴムを製造することを特徴とする髪ゴム製造装置である。
【0084】
また、本発明は、前段落に記載の髪ゴム製造装置であって、かつ、前記ゴム紐の引き出
しは、所定の長さ分の前記ゴム紐の供給を一定間隔で断続的に行うゴム紐供給誘導部と、
前記ゴム紐の、切断部の形成を予定される切断予定部を、押圧及び加熱するための切断部
押圧加熱装置と、前記ゴム紐の長手方向に略垂直な面で切断刃により切断され、前記切断
部が形成されるゴム紐切断部と、を備え、前記ゴム紐供給誘導部は、前記ゴム紐の両端近
傍に設けられた挟持板の近接作用により前記ゴム紐が挟持され、前記挟持板が前記ゴム紐
を挟持しつつ、前記ゴム紐の接着を行うゴム紐接着側に移動することにより、前記ゴム紐
を引き出すゴム紐誘導手段と、前記近接後、前記挟持板間を拡張させ前記挟持を解除する
挟持解除手段と、前記挟持板が前記移動とは逆方向に離隔し、前記移動前の当初位置に戻
る当初位置復帰手段と、を含む過程の繰り返し動作により、前記ゴム紐接着側への、前記
ゴム紐の断続的な前記引き出しの供給を行い、前記切断部押圧加熱装置は、前記ゴム紐の
前記切断予定部を、二枚の押圧板の、前記ゴム紐を圧縮する方向への圧縮移動と、前記圧
縮移動後速やかに実施される、前記ゴム紐の長手方向に垂直な方向、かつ前記ゴム紐の圧
縮する方向に垂直な方向へ往復する往復移動により、前記ゴム紐切断予定部を押圧及び加
熱することを特徴とする、髪ゴム製造装置である。
【0085】
以上先述の実施例は一態様に過ぎない。他の発明が、本発明と同質の技術であると思料
される以上、本発明の技術的思想の範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
2 ゴム紐
3 ゴム紐供給誘導部
4 切断部押圧装置
5 ゴム紐切断部
6 第一把持装置
7 接着剤塗布装置本体部
8 髪ゴム製造装置本体
9 第二把持装置
10 髪ゴム
13 ゴム紐供給側
14 ゴム紐接着側
20 接続部
21 把持部
24 ゴム紐供給土台部
27 支持補助部
28 支持部
29 接着剤供給管
30 把持部接続部
32 押圧板
36 前側押圧板
37 後側押圧板
41 ゴム紐固定装置
42 切断刃
43 把持部
44 第一把持装置土台部
45 第一把持装置回動部
46 切断面
47 ゴム紐通路側
49 接着剤塗布装置土台部
51 接着剤塗布装置
52 接着剤露出部
53 把持部
58 ゴム紐固定板
60 第一ゴム紐断面
61 固定板
62 第二把持装置回動部
63 第二ゴム紐断面
64 刃面部
【要約】
【課題】髪ゴムを自動的に大量生産可能な髪ゴム製造装置を提供すること。
【解決手段】ゴム紐供給側に於いてゴム玉よりゴム紐を引き出し、ゴム紐接着側に於いて前記ゴム紐を所定の長さに切断後、前記ゴム紐の端部を接続し無端状態とする髪ゴム製造装置において、前記ゴム紐の一端部を把持する第一把持部と、を有する第一把持装置と、前記ゴム紐の他端部を把持する第二把持部と、を有する第二把持装置と、を備え、前記第一把持装置を回動させる第一回動手段と、前記第二把持装置を回動させる第二回動手段により、切断した前記ゴム紐の両端部を近接させ、前記ゴム紐の一端部又は両端部の断面に予め付着させておいた接着剤等により繋止し、前記ゴム紐を無端状態とすることで、輪形状の髪ゴムを製造することを特徴とする、髪ゴム製造装置。
【選択図】図3
図1
図2
図3
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図10