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特許7572101プログラム、情報処理システム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20241016BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024159812
(22)【出願日】2024-09-17
【審査請求日】2024-09-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519363649
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】奥村 光平
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-179068(JP,A)
【文献】特開2022-24640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムであって、
少なくとも1つのコンピュータに、次の各ステップを実行させ、
取得ステップでは、第1の出願を行うために作成された文書ファイルに基づいて第1の出願に係る情報を取得し、
前記第1の出願に係る情報は、請求の範囲に関する情報と、明細書に関する情報とを少なくとも含み、
出力ステップでは、前記第1の出願に係る情報に基づいてファイル群を出力し、前記ファイル群は、前記第1の出願に用いる第1のファイルと、第2の出願に用いる1以上の第2のファイルを含み、ここで、
前記第1のファイルは、少なくともHTMLファイルを含み、
前記第2の出願は、前記第1の出願に対応する出願であり、
前記第2のファイルは、少なくとも文書ファイルを含む、プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記第2の出願は、実用新案登録に基づく特許出願と、前記第1の出願を原出願とする分割出願又は変更出願と、前記第1の出願を基礎出願とするパリ優先権主張出願、国内優先権主張出願、又は特許協力条約に基づく国際出願との少なくとも何れかである、プログラム。
【請求項3】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記ファイル群は、前記第2のファイルが前記第2の出願ごとのフォルダにそれぞれ格納された態様で出力される、プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記第2のファイルは、更にHTMLファイルを含む、プログラム。
【請求項5】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記第1の出願に係る情報が所定の条件を満たす場合において、前記ファイル群に含まれる前記第2のファイルの構成が変更された態様で、前記ファイル群が出力される、プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムにおいて、
前記所定の条件は、前記第1の出願の種別が分割出願又は特許協力条約に基づく国際出願である場合を含む、プログラム。
【請求項7】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記第2のファイルは、前記第1の出願に係る情報の一部が変更された変更情報を含み、
前記変更情報は、前記第2の出願の属性に応じて特定される、プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記属性は、前記第2の出願に係る出願予定国又は出願の種別である、プログラム。
【請求項9】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記第1の出願に係る情報には、更に願書に関する情報を含み、
前記第2のファイルは、前記第1の出願に係る情報のうち、願書に関する情報が削除された態様を含む、プログラム。
【請求項10】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記第1の出願に係る情報には、更に願書に関する情報を含み、
前記第2のファイルは、前記第1の出願に係る情報の一部が変更された態様を含む、プログラム。
【請求項11】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記第1の出願における前記請求の範囲が、マルチマルチクレームである所定請求項を含む場合において、
前記第1のファイルは、前記マルチマルチクレームではなくなるように、前記所定請求項の引用元である引用請求項が変更されるように構成され、
前記第2のファイルは、前記所定請求項の引用元である引用請求項が維持されるように構成される、プログラム。
【請求項12】
情報処理システムであって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、請求項1~11の何れか1つに記載のプログラムの各ステップがなされるように、前記プログラムを実行するように構成される、システム。
【請求項13】
情報処理方法であって、
請求項1~11の何れか1つに記載のプログラムの各ステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1には、「人為的ミスの発生を低減し、効率よく申請書類を作成することを可能とする技術」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-024640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
更に、特許等の出願書類を効率よく作成することができる技術が求められている。とりわけ、人為的ミスの発生を低減するための技術が望まれている。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、人為的ミスの発生を更に低減することを可能とする情報処理システム等を提供することにした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、プログラムであって、少なくとも1つのコンピュータに、次の各ステップを実行させ、取得ステップでは、第1の出願を行うために作成された文書ファイルに基づいて第1の出願に係る情報を取得し、第1の出願に係る情報は、請求の範囲に関する情報と、明細書に関する情報とを少なくとも含み、出力ステップでは、第1の出願に係る情報に基づいてファイル群を出力し、ファイル群は、第1の出願に用いる第1のファイルと、第2の出願に用いる1以上の第2のファイルを含み、第1のファイルは、少なくともHTMLファイルを含み、第2の出願は、第1の出願に対応する出願であり、第2のファイルは、少なくとも文書ファイルを含む、プログラムが提供される。
【0007】
このような態様によれば、人為的ミスの発生を更に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理システム1を表す構成図である。
図2】サーバ2のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】ユーザ端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】サーバ2の機能を示す機能ブロック図である。
図5】情報処理システム1によって実行される処理の概要を示すフローチャートである。
図6】情報処理システム1によって実行される処理の具体例を示すアクティビティ図である。
図7】本実施形態においてユーザ端末3の表示部34に表示される出力画面4の一例を示す図である。
図8】ユーザ端末3の表示部34に表示される出力画面5の一例を示している。
図9】ユーザ端末3の表示部34に表示される出力画面6の一例を示している。
図10】判定部233が出願書類の出願の種別を判定する処理を説明するための図である。
図11】出願書類に含まれる願書の情報IF13を変更する処理を説明するための図である。
図12】出願書類に含まれる請求項の情報IF11を変更する処理を説明するための図である。
図13】出願書類に含まれる明細書の情報IF12を変更する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、一実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、一実施形態に係る種々の情報処理において、入力と、入力に応じた出力とが実現されうる。ここで、入力の結果として出力が得られれば、かかる情報処理において参照される情報(以下、参照情報と称する。)の態様は、限定されない。参照情報は、例えば、データベース、ルックアップテーブル、所定の関数(統計学的手法によって構築された、回帰式等の判定式を含む。)等のルールベースの情報でもよいし、入力と出力との相関を予め学習させた学習済みモデルでもよいし、プロンプトを入力することで所望の結果を出力可能な大規模言語モデルでもよい。
【0012】
また、一実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、一実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
さらに、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。また、プロセッサは、汎用プロセッサでもよいし、専用の回路でもよい。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.ハードウェア構成
本節では、一実施形態のハードウェア構成について説明する。
【0015】
1.1 情報処理システム1
図1は、情報処理システム1を表す構成図である。情報処理システム1は、サーバ2と、ユーザ端末3とを備える。サーバ2と、ユーザ端末3とは、電気通信回線を通じて通信可能に構成されている。本実施形態では、サーバ2は、オンプレミス形態である、すなわち、サーバ2とユーザ端末3とは同一のローカルエリアネットワークに属している場合について説明するが、この限りでない。また、一実施形態において、情報処理システム1とは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。仮に例えば、サーバ2のみからなる場合であれば、情報処理システム1は、サーバ2となりうる。以下、これらの構成要素について説明する。
【0016】
1.2 サーバ2
図2は、サーバ2のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ2は、特許等の出願書類に関する書類作成の作業を支援するための処理を実行する。サーバ2は、特に、特許等の出願処理に用いるファイルを出力すると同時に、当該特許等の出願(第1の出願AP1)に関連する、将来出願する可能性のある出願(第2の出願AP2)のファイルを出力する処理を実行する。処理の詳細は、後述する、サーバ2は、通信バス20と、通信部21と、記憶部22と、プロセッサ23とを備える。通信部21、記憶部22、及びプロセッサ23は、サーバ2の内部において通信バス20を介して電気的に接続されている。
【0017】
<通信部21>
通信部21は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ2は、通信部21及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0018】
<記憶部22>
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ23によって実行されるサーバ2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、プロセッサ23によって実行されるサーバ2に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0019】
<プロセッサ23>
プロセッサ23(制御部)は、サーバ2に関連する全体動作の処理・制御を行う。プロセッサ23は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ23は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ2に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例であるプロセッサ23によって具体的に実現されることで、プロセッサ23に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節において更に詳述する。なお、プロセッサ23は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ23を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0020】
1.3 ユーザ端末3
ユーザ端末3は、ユーザによって使用される端末であり、例えば、ノートパソコンである。ユーザは、出願人、出願人企業の従業員、出願人から業務を依頼された代理人及び代理人事務所のパラリーガル等である。なお、端末の種類は、デスクトップパソコン、タブレット端末又はスマートフォン等、その他電気通信回線を通じてサーバ2にアクセス可能なものであれば、その形態は問わない。
【0021】
図3は、ユーザ端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末3は、通信バス30と、通信部31と、記憶部32と、プロセッサ33と、表示部34と、入力部35と、を備える。通信部31、記憶部32、プロセッサ33、表示部34、及び入力部35は、ユーザ端末3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されている。通信部31、記憶部32及びプロセッサ33の説明は、サーバ2における各部の説明と同様のため省略する。
【0022】
<表示部34>
表示部34は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。表示部34は、ユーザ端末3の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。具体的には、表示部34は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はプラズマディスプレイ等の表示デバイスとして実施され得る。これらの表示デバイスは、ユーザ端末3の種類に応じて使い分けて実施されることが好ましい。
【0023】
<入力部35>
入力部35は、ユーザによってなされた操作入力を受け付ける。操作入力は、命令信号として通信バス30を介してプロセッサ33に転送される。プロセッサ33は、必要に応じて、転送された命令信号に基づいて所定の制御や演算を実行しうる。入力部35は、ユーザ端末3の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部35は、表示部34と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。入力部35がタッチパネルとして実施される場合、ユーザは、入力部35に対してタップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。入力部35としては、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等が採用可能である。すなわち、入力部35がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス30を介してプロセッサ(制御部)33に転送され、プロセッサ33が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0024】
2.サーバ2の機能構成
本節では、機能構成について説明する。図4は、サーバ2の機能を示す機能ブロック図である。前述の通り、記憶部22に記憶されたソフトウェアによる情報処理がハードウェア(具体的には、プロセッサ23)によって具体的に実現されることで、プロセッサ23に含まれる各機能部として実行されうる。換言すると、情報処理システム1は、プログラムにおける各機能部を備える。
【0025】
具体的には、プロセッサ23は、各機能部として、受付部231と、取得部232と、判定部233と、生成部234と、出力部235と、表示制御部236とを備える。
【0026】
受付部231は、受付ステップとして、種々の情報を受け付けるように構成される。具体的には、受付部231は、通信部21又は記憶部22を介して情報を受け付け、これを作業メモリに読出可能に構成される。好ましくは、受付部231は、ユーザ端末3の入力部35等を介して、ファイルの作成指示を受け付ける。
【0027】
取得部232は、取得ステップとして、種々の情報を取得するように構成される。具体的には、取得部232は、第1の出願を行うために作成された文書ファイルから、第1の出願に係る情報IF1を取得する。
【0028】
判定部233は、判定ステップとして、取得部232が取得した種々の情報が所定の条件を満たすか否かを判定するように構成される。具体的には、判定部233は、出願に係る情報に基づいて、第1の出願の属性及び第2の出願の属性を判定する。
【0029】
生成部234は、生成ステップとして、取得された情報に基づき、種々のファイルを生成するように構成される。具体的には、生成部234は、第1の出願に係る情報IF1に基づいて、第1のファイルと第2のファイルとを生成する。詳細については後述する。
【0030】
出力部235は、出力ステップとして、生成部234が生成したファイルを出力するように構成される。詳細については後述する。
【0031】
表示制御部236は、表示制御ステップとして、記憶部22に記憶された種々の情報又はこれらを含む画面等を、ユーザ端末3等の端末で視認可能な態様で表示させる。これにより、ユーザ端末3等を操作するユーザに対して種々の情報が提示される。表示制御部236は、画面、画像、アイコン、メッセージ等の視覚情報を、上記の端末のディスプレイに表示させるように制御する。表示制御部236は、視覚情報を上記の端末に表示させるためのレンダリング情報だけを生成するものであってもよい。
【0032】
3.情報処理
以下、実施形態1の情報処理を説明する。
【0033】
3.1 処理の概要
プログラムは、情報処理システム1の各ステップをコンピュータに実行させる。換言すると、かかる情報処理システム1は、少なくとも1つのプロセッサ23を備え、プロセッサ23は、次の各部がなされるようにプログラムを備える。別の視点では、かかる情報処理方法は、情報処理システム1の後述の各ステップを備える。図5は、情報処理システム1によって実行される処理の概要を示すフローチャートである。以下、図5に示される各ステップについて説明する。
【0034】
まず、取得ステップでは、第1の出願AP1を行うために作成された文書ファイルDC0に基づいて第1の出願に係る情報IF1を取得する(ステップS011)。ここで、第1の出願に係る情報IF1は、請求の範囲に関する情報IF11と、明細書に関する情報IF12とを少なくとも含む。更に、出力ステップでは、第1の出願に係る情報IF1に基づいてファイル群を出力する(ステップS012)。ここで、ファイル群は、第1の出願AP1に用いる第1のファイルと、第2の出願AP2に用いる1以上の第2のファイルを含む。第1のファイルは、少なくともHTMLファイルを含む。第2の出願AP2は、第1の出願AP1に対応する出願である。第2のファイルは、少なくとも文書ファイルを含む。
【0035】
このような態様によれば、原出願又は基礎出願を出願するためのファイルを出力する際、優先権を伴う出願又は分割出願といった、関連する出願を将来行う際のファイルを併せて作成することができる。したがって、将来、かかる出願を行う際、基礎出願又は原出願のデータを取り違えるという人為的なミスを回避することが可能である。
【0036】
3.2 情報処理の具体例
図6は、情報処理システム1によって実行される処理の具体例を示すアクティビティ図である。具体例は、前述した概要に既定される範囲に包含されうる。具体例では、サーバ2によって実行される、第1の出願AP1の出願手続きに用いる第1のファイルと、第2の出願AP2に関する第2のファイルとを出力するための情報処理の流れを示すアクティビティである。
【0037】
ここで第1の出願は、ユーザがこれから出願手続きを行う予定である出願である。出願手続きは、インターネット出願ソフトを用いて行われるが、インターネット出願ソフトを使用する準備(以下、出願準備と称する。)として、HTML(HyperText Markup Language)ファイルの作成が必要となる。ここでは、第1のHTMLファイルHT1(第1のファイルの一例)が用いられるものとする。第1のHTMLファイルHT1は、かかるファイルを作成するための元の電子ファイル(以下、元の文書ファイルDC0と称してもよい)に基づいて生成される。すなわち、元の文書ファイルDC0は、第1の出願を行うために作成された文書ファイルである。また、第1の出願AP1は、特許出願又は実用新案登録出願であるものとする。なお、本実施形態において、第1の出願AP1は、分割出願でも優先権主張出願でもない、日本における特許出願(以下、通常出願と称してもよいものとする)であるものとして説明するが、これに限られない。
【0038】
以下の具体例では、出願準備は、サーバ2によって実行される。すなわち、サーバ2とユーザ端末3とがインターネットを介して接続され、出願準備を行うためのサービスがサーバ2を介して提供されてもよい(いわゆる、SaaSの形態)。或いは、サーバ2とユーザ端末3とは、同一のローカルエリアネットワークに属していてもよい。具体的には、サーバ2とユーザ端末3とが物理的に同じ場所(例えば、同じ特許事務所のオフィス内)に存在していてもよいし、ユーザ端末3がVPNを用いて、サーバ2に係るローカルエリアネットワークに仮想的に接続している状態であってもよい。同一のローカルエリアネットワークに属している場合には、ユーザがユーザ端末3を用いてサーバ2を遠隔操作する態様が好ましい。
【0039】
また、第2の出願AP2は、第1の出願AP1に対応する出願である。より具体的には、第2の出願AP2は、第1の出願AP1に関連し、将来に出願を行う可能性を有する出願である。ここで、第1の出願AP1の出願に関連する出願とは、例えば、第1の出願AP1を原出願とする分割出願又は変更出願と、第1の出願を基礎出願とするパリ優先権主張出願、国内優先権主張出願、又は特許協力条約に基づく国際出願との少なくとも何れかであってもよい。更に、第1の出願AP1が実用新案登録出願である場合は実用新案登録に基づく特許出願であってもよい。このような態様によれば、将来、分割出願、優先権出願、変更出願、又は特許協力条約に基づく国際出願を行う際、基礎出願又は原出願のデータを取り違えるというミスを回避することが可能である。
【0040】
以降、第1の出願を原出願とする分割出願を単に「分割出願」と称してもよいものとする。また、第1の出願を原出願とする変更出願を単に「変更出願」と称してもよいものとする。更に、第1の出願を基礎出願とするパリ優先権主張出願を「パリ優先権出願」と称してもよく、国内優先権主張出願を「国内優先権出願」と称してもよいものとする。また、第1の出願を基礎出願とする特許協力条約に基づく国際出願を単に「PCT出願」と称してもよいものとする。
【0041】
第2の文書ファイルDC2(第2のファイルの一例)は、将来、第2の出願AP2を行う際の準備に用いられるファイルである。第2の文書ファイルDC2は、第1の出願AP1に係る元の文書ファイルDC0に基づいて生成される。第2の文書ファイルDC2は、元の文書ファイルDC0に含まれる情報の少なくとも一部を含む。また、第2の文書ファイルDC2はユーザによって編集可能な構成を有する。
【0042】
本実施形態では、第2の出願AP2は、分割出願と、国内優先権主張出願と、パリ優先権主張出願と、PCT出願とを含むものとする。すなわち、第2のファイルとして、分割出願用ファイルと、国内優先権主張出願用ファイルと、パリ優先権主張出願用のファイルと、PCT出願用のファイルとがそれぞれ生成されるものとする。かかる出願用のファイルそれぞれにおいて、第2のファイルは少なくとも第2の文書ファイルDC2を含むものとし、出願様式によっては、第2のファイルは第2のHTMLファイルHT2を更に含むものとして説明する。詳細については、後述する。
【0043】
また、本実施形態では、元の文書ファイルDC0及び第2の文書ファイルDC2はWordファイルであるものとして説明するが、この限りでない。かかる文書ファイルは、例えばテキスト、PDF、CSV、XML、Word、Excel、PPT等の形式の電子データのファイルが挙げられるが、これらに限定されない。また、実際の出願処理に用いる第1のHTMLファイルHT1は、文字データを記録したテキストファイルの一種で、ウェブページの構成に用いられるHTMLで内容が記述されるものである。
【0044】
まず、受付部231は、受付ステップとして、ユーザによる入力部35への入力を介して、第1のHTMLファイルHT1(第1のファイルの一例)を作成する指示をユーザから受け付ける(アクティビティA101)。ここで、かかる指示は、元の文書ファイルDC0を特定可能な情報を含む。例えば、かかる指示は、元の文書ファイルDC0が格納されているパスを含んでもよい。また、かかる指示は、元の文書ファイルDC0が指定された箇所にアップロードされるための操作を含んでもよい。サーバ2を遠隔操作する態様であれば、かかる指示は、サーバ2のローカル上で元の文書ファイルDC0が開かれた態様で行われてもよい。
【0045】
続いて、取得部232は、取得ステップとして、アクティビティA101において特定された元の文書ファイルDC0から、第1の出願に係る情報IF1を取得する(アクティビティA102)。元の文書ファイルDC0は、第1の出願に係る情報IF1を含む。本実施形態において、第1の出願に係る情報IF1は、少なくとも請求項の情報(請求の範囲に関する情報の一例)IF11と、明細書の情報IF12と、願書の情報IF13とを含む情報であるとして説明するが、この限りでない。例えば、第1の出願に係る情報IF1は、願書の情報IF13を含まない情報であってもよい。
【0046】
続いて、判定部233は、判定ステップとして、第1の出願AP1の請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれるか否かを判定する(アクティビティA103)。具体的には、判定部233は、アクティビティA102において取得した請求項の情報IF11に基づき、特許請求の範囲に含まれる各請求項について、独立クレームであるか又は従属クレームであるかを判定する。従属クレームが含まれる場合、判定部233は、その従属クレームの引用関係からマルチマルチクレームであるか否かを判定する。
【0047】
アクティビティA103において、第1の出願AP1の請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれると判定部233が判定した場合について説明する。かかる場合において、プロセッサ23は、マルチマルチクレームを解消する処理を実行する。具体的には、プロセッサ23は、マルチマルチクレームである請求項が引用する請求項を変更する処理を実行する(アクティビティA104)。プロセッサ23は、引用関係が変更された請求項について、その引用に関する記載を変更する処理を実行する(アクティビティA105)。続いて、アクティビティA106の処理に進む。
【0048】
一方で、アクティビティA103において、第1の出願AP1の請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれないと判定部233が判定した場合は、そのままアクティビティA106の処理に進む。アクティビティA106において、生成部234は、少なくとも請求項の情報IF11と、明細書の情報IF12と、願書の情報IF13とに基づいて、第1のHTMLファイルHT1を生成する。ここで、第1のHTMLファイルHT1は、出願処理に用いるファイルの一例である。
【0049】
アクティビティA103~A106に係る処理とは独立して、プロセッサ23は、第2のファイルを作成する処理を実行する。かかる処理については、アクティビティA107~A109と、アクティビティ111~113と、において説明する。本実施形態において、アクティビティA107~A109において生成される第2のファイルを、第2の文書ファイルDC2aとして説明する。また、アクティビティ111~113において生成される第2のファイルを第2の文書ファイルDC2bとして説明する。
【0050】
生成部234は、第1の出願に係る情報IF1を複製する処理を実行する(アクティビティA107)。具体的には、生成部234は、第1の出願に係る情報IF1に含まれる、請求項の情報IF11と、明細書の情報IF12と、願書の情報IF13とを少なくとも複製する。
【0051】
続いて、生成部234は、願書の情報IF13の一部が変更された変更情報IF30を含む、新たな願書の情報IF23を生成する(アクティビティA108)。詳細は後述する。
【0052】
続いて、生成部234は、第2の文書ファイルDC2a(第2のファイルの一例)を生成する(アクティビティA109)。第2の文書ファイルDC2aは、第2の出願に係る情報IF2を含む。第2の出願に係る情報IF2は、アクティビティA108で生成された新たな願書の情報IF23と、請求項の情報IF11と、明細書の情報IF12とを少なくとも含む。また、第2の文書ファイルDC2aのファイル名称は、元の文書ファイルDC0のファイル名称に基づいて決定される。詳細については、図9以降で説明する。更に、生成部234は、第2の文書ファイルDC2aを格納するためのフォルダを生成する。
【0053】
アクティビティA103~A106と、アクティビティA107~A109と、に係る処理とは更に独立して、プロセッサ23は、更に別の第2のファイルを作成する処理を実行する。具体的には、プロセッサ23は、第1の出願AP1を基礎出願とする特許協力条約に基づく国際出願(第2の出願AP2の一例)に用いる第2の文書ファイルDC2bを作成する処理を実行する(アクティビティA111~A113)。
【0054】
アクティビティA107と同様に、生成部234は、第1の出願に係る情報IF1を複製する(アクティビティA111)。具体的には、生成部234は、第1の出願に係る情報IF1に含まれる、請求項の情報IF11と、明細書の情報IF12とを少なくとも複製する。
【0055】
続いて、生成部234は、第2の出願AP2に係る請求項の情報IF21と明細書の情報IF22を生成する(アクティビティA112)。請求項の情報IF21は、アクティビティA111において複製された請求項の情報IF11の少なくとも一部が変更された変更情報IF30を含む。明細書の情報IF22についても、同様の構成を有する。詳細は後述する。
【0056】
続いて、生成部234は、第2の文書ファイルDC2bを生成する(アクティビティA113)。第2の文書ファイルDC2bは、第2の出願に係る情報IF2を含む。第2の出願に係る情報IF2は、アクティビティA112において生成された請求項の情報IF21と、明細書の情報IF22とを少なくとも含む。更に、生成部は、第2の文書ファイルDC2bを格納するためのフォルダを生成する(アクティビティA113)。なお、第2の文書ファイルDC2bに係るファイル名称の決定方法は、アクティビティA109における説明と同様であり、詳細は後述する。
【0057】
そして、出力部235は、アクティビティA106と、A109と、A113と、においてそれぞれ生成されたファイル及びフォルダをファイル群として出力する(アクティビティA114)。好ましくは、ファイル群の出力先は、元の文書ファイルDC0が格納されているパスに基づいて決定されてもよい。詳細については、後述する。
【0058】
以上が、具体例に係る処理の流れである。
【0059】
なお、図6のアクティビティA111~A113において、PCT出願のファイルに限らず、パリ優先権出願のファイル及び国内優先権出願のファイルも同時に生成されてもよい。
【0060】
(マルチマルチクレームについて)
また、図6の第1のHTMLファイルHT1の生成(アクティビティA103~A106)において、元の文書ファイルDC0の請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれる場合、プロセッサ23は請求項の引用関係を変更する処理を実行する。一方で、第2のファイルの生成(アクティビティA107~113)において、元の文書ファイルDC0の請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれる場合であっても、当該引用関係が維持された態様で第2のファイルが出力されることが好ましい。上記を換言すると、第1のファイルは、マルチマルチクレームではなくなるように、所定請求項の引用元である引用請求項が変更されるように構成される。第2のファイルは、所定請求項の引用元である引用請求項が維持されるように構成される。このような態様によれば、出願の種別に応じて、引用関係の異なる請求項を含むファイルを出力することができる。より具体的には、マルチマルチクレームが認められる出願国に対応するファイルは、マルチマルチクレームが維持された構成を有する。したがって、ユーザは将来行う出願の準備にかかる手間を低減することができる。
4.関連する技術事項
【0061】
(出力画面4)
図7は、本実施形態においてユーザ端末3の表示部34に表示される出力画面4の一例を示す図である。出力画面4は、図6のアクティビティA114における処理の終了後、表示部34に表示される画面の一例である。より具体的には、表示制御部236は、ファイル群を出力する処理が実行された後に、ユーザによる入力に応じて表示部34に出力画面4を表示させる。出力画面4は、視覚情報41~44を含む。
【0062】
視覚情報41は、分割出願(第2の出願AP2の一例)に用いる出願ファイルが格納されるフォルダを示す情報である。視覚情報41に対応するフォルダには、図6のアクティビティA107~A109において生成されたファイルが格納されている。
【0063】
視覚情報42は、優先権主張出願(第2の出願AP2の一例)に用いる出願ファイルが格納されるフォルダを示す情報である。視覚情報42に対応するフォルダには、図6のアクティビティA111~A113において生成されたファイルが格納されている。フォルダ及びファイルの詳細については、図9において説明する。
【0064】
出力画面4の視覚情報41及び42に示すように、ファイル群は、第2のファイルが第2の出願ごとのフォルダにそれぞれ格納された態様で出力される。このような態様によれば、将来に出願可能性のある関連出願において、出願の種別ごとにフォルダが作成され、各フォルダ格納された態様でファイルが管理される。したがって、かかる出願を将来行う際に、ユーザがファイルを取り違えるというミスを回避することが可能である。
【0065】
視覚情報43は、第1の出願AP1の出願処理に用いる第1のHTMLファイルHT1を示す情報である。視覚情報43には、第1のHTMLファイルHT1が格納されている場所を示すパスが対応付けられている。視覚情報43に対する入力をユーザから受け付けることに応じて、第1のHTMLファイルHT1が、所定のアプリケーションによってユーザに視認可能な態様で表示される。第1のHTMLファイルHT1は、図6のアクティビティA103~A106において生成されたファイルである。
【0066】
視覚情報44は、元の文書ファイルDC0を示す情報である。図7に示すように、ファイル群に含まれるファイル及びフォルダは、元の文書ファイルDC0の格納場所と同じ階層に格納されることが好ましい。より具体的には、第1のHTMLファイルHT1は、元の文書ファイルDC0の格納場所と同じ階層に出力されることが好ましい。また、第2の出願AP2に係るフォルダも同様に、元の文書ファイルDC0の格納場所と同じ階層に格納されることが好ましい。
【0067】
(出力画面5)
図8は、ユーザ端末3の表示部34に表示される出力画面5の一例を示している。出力画面5は、出力画面4の視覚情報42に対する入力をユーザから受け付けることにより、表示部34に表示される画面の一例である。出力画面5は、視覚情報51~56を含む。
【0068】
視覚情報51~56は、優先権主張出願に用いる出願ファイルがそれぞれ格納されるフォルダを示す情報である。図8に示すように、好ましくは、出力部235によって出力されるファイル群は、複数のフォルダを含む。複数のフォルダは、出願の種別にそれぞれ対応する。それぞれのフォルダには、出願に用いるファイルが格納される。より具体的には、図7の視覚情報42に対応する「★★優先権草稿」のファイルには、視覚情報51~56にそれぞれ対応する、国内優先権出願、PCT出願、パリ優先権出願(米国への出願)、パリ優先権出願(欧州への出願)、パリ優先権出願(その他の国への出願)、台湾出願のフォルダを含んでもよい。また、視覚情報51~56に対応するそれぞれのフォルダに格納されているファイルは同一の内容であってもよいが、より好ましくは、出願様式に応じて、ファイルに含まれる情報の一部が異なる態様であってもよい。詳細については、後述する。
【0069】
なお、図8に示すように、本実施形態では優先権主張出願について、出願国又は出願の種別ごとにそれぞれファイルが生成される例について説明したが、この限りでない。例えば、優先権出願に用いる文書ファイル、及び当該ファイルが格納されたフォルダが1つ生成されるのみであってもよい。より具体的には、図7の「★★優先権草稿」フォルダに、図9以降で説明する第2の文書ファイルDC2等が格納された態様で一つの優先権用フォルダが作成されるのみであってもよい。かかる場合において、当該フォルダに対する複製指示をユーザから受け付けることによって、当該フォルダ及びファイルが複製されてもよい。更に、それぞれの出願様式に従うために、当該ファイルがユーザによって編集されてもよい。このような態様によれば、ユーザは、予定のある出願に対応するフォルダ及びファイルのみを生成することができる。
【0070】
(出力画面6)
図9は、ユーザ端末3の表示部34に表示される出力画面6の一例を示している。出力画面6は、出力画面5の視覚情報52に対する入力をユーザから受け付けることにより、表示部34に表示される画面の一例である。出力画面6は、視覚情報61~64を含む。本実施形態では、第2の出願AP2として、PCT出願用のファイルを例として説明する。
【0071】
視覚情報61は、PCT出願に用いる図面に関するファイルが格納されているフォルダを示す情報である。例えば、視覚情報61に対応するフォルダには、図面情報が画像化されたファイルが格納されていてもよい。
【0072】
視覚情報62は、第2のHTMLファイルHT2を示す情報である。視覚情報62の役割については図7の視覚情報43と同様であるため説明を省略する。このように、第2のファイルは、更にHTMLファイルを含んでもよい。かかる場合において、第2のHTMLファイルHT2に含まれる請求項の情報IF21と、明細書の情報IF22と、図面の情報とは、元の文書ファイルDC0に含まれる、それらの情報(IF11、IF12、及び図面の情報)とそれぞれ同様である。
【0073】
第2のHTMLファイルHT2は、第2の出願AP2であるPCT出願において、第1の出願AP1と同様の内容で出願する場合において、出願手続きに用いられるファイルである。すなわち、第1の出願AP1の出願内容から追記及び修正が不要な場合において、第2のHTMLファイルHT2が出願手続きに用いられる。このような態様によれば、将来に出願可能性のある関連出願において、出願までの作業をより簡単に行うことができる。より詳細には、当該関連出願において、ファイルを出願ソフトにアップロードする作業から行うことができ、ユーザの手間が低減できる。
【0074】
一方で、基礎出願である第1の出願AP1に係る情報に対する追記又は修正が必要である場合は、ファイル群に含まれる第2の文書ファイルDC2が出願の準備に用いられる。視覚情報64は、第2の文書ファイルDC2bを示す情報である。視覚情報64の役割については、図7の視覚情報44と同様であるため説明を省略する。
【0075】
第2の文書ファイルDC2bは、請求項の情報IF21と、明細書の情報IF22とを少なくとも含む。かかる情報は、元の文書ファイルDC0に含まれる、請求項の情報IF11と明細書の情報IF12とそれぞれ同様である。ユーザは、第2の文書ファイルDC2bを編集することができる。更に、編集後の第2の文書ファイルDC2bに対するHTMLファイルの作成指示をユーザから受け付けることに応じて、出願に用いるHTMLファイルが生成される。このような態様によれば、PCT出願において、基礎出願に対する追記又は修正が必要な場合であっても、ユーザは容易に出願に用いるファイルを容易に作成できる。更に、ユーザは基礎出願の情報を取り違えるミスを回避することができる。
【0076】
また、視覚情報63は、第2の出願AP2の図面を修正するためのファイルを示す情報である。視覚情報63の役割については図7の視覚情報43と同様であるため説明を省略する。視覚情報63に対応するファイルに含まれる図面の情報は、第1の出願AP1に含まれる図面の情報と同一であってもよい。すなわち、図6のアクティビティA111において、更に図面の情報が複製されてもよい。好ましくは、図面の情報を含むファイルが複製されてもよい。ユーザは、第2の文書ファイルDC2bと同様に、視覚情報63に対応するファイルを編集することができる。
【0077】
視覚情報64は、第2の文書ファイルDC2bを示す情報である。視覚情報64の役割については図7の視覚情報43と同様であるため説明を省略する。第2の文書ファイルDC2bは、第2の出願に係る情報IF2を少なくとも含む。
【0078】
ここで、ファイル名称の決定方法の一例について説明する。図7の出力画面4に示す通り、元の文書ファイルDC0(視覚情報44)は、ファイル名称が「IPX001.docx(拡張子を示す識別子)」である。これは、第1の出願AP1を特定するための整理番号が「IPX001」であることを示す。更に、第1のHTMLファイルHT1(視覚情報43)のファイル名称は「IPX001.htm(拡張子を示す識別子)」であり、元の文書ファイルDC0と同様に整理番号が付される。
【0079】
これに対し、図9の出力画面6に示す通り、第2の文書ファイルDC2b(視覚情報64)は、ファイル名称が「IPX001YW.docx(拡張子を示す識別子)」である。かかるファイル名称は、元の文書ファイルDC0のファイル名称に基づいて、プロセッサ23によって決定される。例えば、ファイル名称が「IPX001YW」である案件は、ファイル名称が「IPX001」である案件を基礎とするPCT出願又はパリ優先権主張出願であるものとして説明する。また、他の一例として、ファイル名称が「IPX001B」である案件は、ファイル名称が「IPX001」である案件を原出願とする分割出願であってもよい。更に他の一例として、ファイル名称が「IPX001Y」である案件は、ファイル名称が「IPX001」である案件を基礎出願とする国内優先権主張出願であってもよい。ファイル名称が付与される規則は、これに限られない。
【0080】
図9では第2の出願AP2がPCT出願である場合を一例として説明したが、第2の出願AP2が分割出願、国内優先権出願、又はパリ優先権出願(以下、分割出願等)、である場合についても同様の構成のファイル及びフォルダが出力されてもよい。好ましくは、分割出願等に対応する複数のファイルのうち、その一部が図9に示されるファイルと異なっていてもよい。例えば、分割出願等に係る第2のファイルに願書の情報IF13が含まれる場合、図9の第2のHTMLファイルHT2(視覚情報62に対応)が生成されなくてもよい。ユーザは、第2の出願AP2としてかかる分割出願等の準備を行う際、まず第2の文書ファイルDC2(視覚情報64に対応)を編集する。続いて、ユーザから入力を受け付けることに応じて、編集後の第2の文書ファイルDC2に基づき第2のHTMLファイルHT2が生成されることが好ましい。
【0081】
(出願の種別を判定する処理の説明)
図10は、判定部233が出願書類の出願の種別を判定する処理を説明するための図である。この処理は、図6のアクティビティA110に対応する。図10には、通常出願に係る出願書類7aと、分割出願に係る出願書類7bとが含まれている。
【0082】
図10において、領域71及び領域72は文書ファイルのヘッダー機能によって情報が表示される領域である。以下、ヘッダー機能によって表示される情報をヘッダー情報と称してもよいものとする。また、本実施形態において、かかるヘッダー情報は、図9において説明したファイル名称に対応する態様であるものとして説明する。領域71のヘッダー情報「IPX001」は、出願書類7aが通常出願であることを示す情報の一例である。これに対し、領域72のヘッダー情報「IPX001B」は、出願書類7bが出願書類7aに係る出願を原出願とする分割出願であることを示す情報の一例である。ヘッダー情報は、この限りでない。更に、出願書類が出願書類7aに係る出願を基礎とする国内優先権主張出願に用いる書類である場合、ヘッダー情報を「IPX001Y」としてもよい。出願書類が出願書類7aに係る出願のパリ優先権主張出願、又はPCT出願に用いる書類である場合、ヘッダー情報を「IPX001YW」としてもよい。
【0083】
(願書の情報IF13を変更する処理の説明)
図11は、出願書類に含まれる願書の情報IF13を変更する処理を説明するための図である。本実施形態は、第1の出願に係る情報IF1に願書の情報IF13が含まれるものとして説明する。かかる変更処理は、図6のアクティビティA108に対応する。
【0084】
図11の出願書類8aは、第1の出願AP1に係る願書の情報IF13の一例を示す。出願書類8aは、領域81aを含む。また、出願書類8bは、第2の出願AP2に係る願書の情報IF23の一例を示す。出願書類8bは、分割出願(第2の出願AP2の一例)の様式に基づく願書の情報が記載されている。出願書類8bは、領域81bと、領域82~83とを含む。かかる領域に記載される情報は、願書の情報IF13に対して変更された変更情報IF30を含む。
【0085】
出願書類8aにおける領域81aは、出願書類8bにおける領域81bと対応する領域である。領域81a及び81bは、整理番号が記載される領域である。領域81aには「IPX001」と記載されている。一方、領域81bには「IPX001B」と記載されており、領域81aに記載される情報と異なる。上述した通り、第2の出願AP2に付与される番号は、関連する第1の出願AP1との関係性が把握可能な識別子の構成を有する。
【0086】
出願書類8bにおける領域82及び83に記載される変更情報IF30は、出願書類8aに含まれる情報に対して新たに追加された情報である。具体的には、領域82は、第2の出願AP2が分割出願である情報が記載される領域である。また、領域83は、原出願を把握可能な情報が記載される領域である。なお、図6のアクティビティA108における処理が実行される時点では、第1の出願AP1が出願前であるため、出願番号及び出願日が確定していない。したがって、領域83に記載される情報は、ユーザの編集によって後に変更可能な構成であることが好ましい。
【0087】
以上をまとめると、第1の出願に係る情報IF1には、更に願書に関する情報IF13を含む。また、第2のファイルは、第1の出願に係る情報IF1の一部が変更された態様を含む。このような態様によれば、第1の出願の手続きに用いるファイルを作成するのと同時に、将来出願する可能性のある関連出願の願書を作成することができる。より具体的には、第1の出願に係る願書の情報を一部流用して、将来に出願する可能性のある関連出願の願書を作成できる。したがって、ユーザの願書作成における手間を低減することができる。
【0088】
(請求項の情報IF11を変更する処理の説明)
図12は、出願書類に含まれる請求項の情報IF11を変更する処理を説明するための図である。かかる処理は、図6のアクティビティA112に対応する。
【0089】
図12の出願書類9aは、第1の出願AP1に係る請求項の情報IF11の一例を示す。出願書類9aは、領域91を含む。また、出願書類9bは、PCT出願(第2の出願AP2の一例)の様式に基づいた、請求項の情報IF21が記載されている。出願書類9bは、領域92を含む。図6のアクティビティA112の処理において、生成部234は、出願書類9aの一部を変更して、PCT出願の様式に対応する出願書類9bを生成する。すなわち、領域92に記載される請求項の情報IF21の一部は、変更情報IF30である。かかる変更情報IF30は、第2の出願AP2の出願種別に応じて特定される。
【0090】
より具体的には、生成部234は、日本の特許出願の様式に対応する「[書類名]特許請求の範囲」から、PCT出願の様式に対応する「[書類名]請求の範囲」に変更した変更情報IF30を含んだ態様で、第2の文書ファイルDC2を生成する。
【0091】
以上をまとめると、第2のファイルは、第1の出願に係る情報IF1の一部が変更された変更情報IF30を含む。変更情報IF30は、第2の出願AP2の属性に応じて特定される。更に、属性は、第2の出願AP2に係る出願予定国又は出願の種別である。このような態様によれば、将来に出願可能性のある関連出願それぞれの様式に応じたファイルを容易に生成することができる。より具体的には、関連出願の種別又は出願予定国にそれぞれ対応する出願様式に合わせてファイルを編集する際の人為的なミスを低減することができる。
【0092】
(明細書の情報IF12を変更する処理の説明)
図13は、出願書類に含まれる明細書の情報IF12を変更する処理を説明するための図である。かかる処理は、図6のアクティビティA112に対応する。
【0093】
図13の出願書類10aは、第1の出願AP1に係る明細書の情報IF12の一部を示す。出願書類10aは、領域101を含む。また、出願書類10bは、第2の出願AP2に係る明細書の情報IF22の一例を示す。出願書類10bは、領域102を含む。出願書類10bは、PCT出願(第2の出願AP2の一例)の様式に基づいた形式で、明細書の情報IF22が記載されている。図12と同様に、図6のアクティビティA112の処理において、生成部234は、出願書類10aの一部を変更して、PCT出願の様式に対応する出願書類10bを生成する。すなわち、領域102に記載される明細書の情報IF22の一部は、変更情報IF30である。かかる変更情報IF30は、第2の出願AP2の出願種別に応じて特定される。
【0094】
より具体的には、領域101は、[符号の説明]が記載される領域であり、符号及びその説明ごとに改行された構成を有する。これは、日本の特許出願の書類様式に対応する構成である。一方、領域102は、領域101と同じく[符号の説明]が記載される領域であり、符号及びその説明ごとに[,]で区切られた構成を有する。これは、PCT出願の書類様式に対応する構成である。
【0095】
すなわち、生成部234は、第1の出願AP1の書類様式に対応する構成を有する明細書の情報IF12の一部が、第2の出願AP2の書類様式に対応する構成に変更された変更情報IF30を含んだ態様で、第2の文書ファイルDC2を生成する。このような態様によれば、関連出願の種別又は出願予定国にそれぞれ対応する様式に合わせて出願準備のファイルを編集する際の人為的なミスを低減することができる。
【0096】
更に好ましくは、第2の出願に係る情報IF2は、第1の出願に係る情報IF1から「要約書」の選択図に関する情報が削除された構成を含んでもよい。このような態様によれば、PCTの出願様式に合わせて出願準備のファイルを編集する際の人為的なミスを低減することができる。
【0097】
図12及び図13では、第2の出願AP2がPCT出願である場合を一例として説明したが、第2の出願AP2が分割出願、国内優先権出願、又はパリ優先権出願(以下、分割出願等)、である場合についても同様に、その出願書類の少なくとも一部に変更情報IF30が含まれてもよい。
【0098】
一例として、第2の出願AP2が米国へのパリ優先権出願である場合において説明する。かかる場合において、明細書の情報IF22は、少なくとも変更情報IF30を含んでもよい。変更情報IF30は、関連する出願の参照に関する情報(CLOSS REFERENCE TO RELATED APPLICATIONS)であることが好ましい。より具体的には、第2の出願AP2に含まれる明細書の情報IF22は、第1の出願AP1における明細書の情報IF12の「発明の名称(Title of Invention)」の項目の次に、「関連する出願の参照(Cross-Reference to Related Applications)」の項目及びその記載が追加された構成を含んでもよい。
【0099】
第2の出願AP2が米国へのパリ優先権出願である場合の別の一例として、明細書の記載から「符号の説明」の項目及びその記載が削除されてもよい。より具体的には、第2の出願AP2に含まれる明細書の情報IF22は、第1の出願AP1における明細書の情報IF12の末尾に含まれる「符号の説明」が削除された構成を含んでもよい。
【0100】
また、本実施形態では、第1の出願に係る情報IF1の一部が変更された態様で第2の文書ファイルDC2が作成される例について説明したが、これに限られない。例えば、図6のアクティビティA114において出力される第2のファイルは、元の文書ファイルDC0と同様の内容であってもよい。その後、第2の出願AP2の出願様式に合わせた変更処理を実行する指示をユーザから受け付けたことに応じて、図11図13に示す、かかる変更処理が第2のファイルに対して実行されてもよい。
5.その他
前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0101】
上記の実施形態では、第1の出願AP1が分割出願でも優先権主張出願でもない場合の例について説明したが、この限りでない。以下、第1の出願AP1が分割出願である場合と、第1の出願AP1が優先権主張出願である場合の処理についてそれぞれ説明する。
【0102】
(第1の出願AP1が分割出願である場合)
まず、第1の出願AP1が分割出願である場合の例について説明する。例えば、図6のアクティビティA102の処理が実行された後に、判定部233は、第1の出願AP1の出願の種別を判定してもよい。
【0103】
第1の出願AP1の出願の種別は、元の文書ファイルDC0に含まれる情報に基づいて判断されてもよい。例えば、元の文書ファイルDC0がWord形式のファイルである場合を例として説明する。かかる場合において、判定部233は、元の文書ファイルDC0のヘッダーに含まれる情報に基づき、第1の出願AP1の種別を取得してもよい。また例えば、判定部233は、元の文書ファイルDC0に含まれる願書の情報IF13に基づき、第1の出願AP1の種別を判断してもよい。さらに、判定部233は、元の文書ファイルDC0のファイル名称に含まれる、出願の種別を示す識別子に基づき、第1の出願AP1の種別を判断してもよい。
【0104】
判定部233によって判定された結果、第1の出願AP1が分割出願である場合、優先権主張出願に用いる第2の文書ファイルDC2が生成されなくてもよい。すなわち、図6のアクティビティA111~A113が実行されなくてもよい。換言すると、図7の視覚情報42に対応する「★★優先権草稿」フォルダ及び当該フォルダに格納されるファイルが生成されなくてもよい。特許法上において、分割出願を基礎出願として国内優先権を主張する出願を行うことができないことが規定されている。かかる理由により、第1の出願AP1が分割出願である場合、第2のファイルのうち、優先権主張出願に関するファイルが生成されないことが好ましい。一方で、分割出願を親出願とする分割出願をすることはできるため、第1の出願AP1が分割出願であっても、図7の視覚情報41に対応する「★★分割用草稿」フォルダ及び当該フォルダに格納されるファイルは生成されるとよい。
【0105】
このような態様によれば、特許制度上、出願されるケースがない種別のフォルダ及びファイルが作成されない。したがって、不要なフォルダ等が作成されることを回避することができる。
【0106】
(第1の出願AP1が優先権主張出願である場合)
続いて、第1の出願AP1が優先権主張出願である場合の例について説明する。第1の出願AP1が分割出願である場合と同様に、例えば、図6のアクティビティA102の処理が実行された後に、判定部233は、第1の出願AP1の出願の種別を判定してもよい。種別の判定方法についても、同様であってよい。
【0107】
第1の出願AP1が優先権主張出願である場合、第2の文書ファイルDC2が生成されなくてもよい。すなわち、図6のアクティビティA111~A113が実行されなくてもよい。換言すると、図7の視覚情報42に対応する「★★優先権草稿」フォルダ及び当該フォルダに格納されるファイルが生成されなくてもよい。一般的に、優先権主張出願を基礎として更に優先権主張出願を行うケースが少ないと考えられる。かかる理由により、第1の出願AP1が優先権主張出願である場合、第2のファイルのうち、優先権主張出願に関するファイルが生成されないことが好ましい。一方で、優先権主張出願を親出願とする分割出願をすることはできるため、第1の出願AP1が分割出願であっても、図7の視覚情報41に対応する「★★分割用草稿」フォルダ及び当該フォルダに格納されるファイルは生成されるとよい。
【0108】
以上をまとめると、プログラムでは、第1の出願に係る情報IF1が所定の条件を満たす場合において、ファイル群に含まれる第2のファイルの構成が変更された態様で、ファイル群が出力される。更に、所定の条件は、第1の出願AP1の種別が分割出願又は特許協力条約に基づく国際出願である場合を含む。このような態様によれば、一律の内容でフォルダ及びファイルが出力されるのではなく、特許制度に応じた関連出願用のフォルダ等が出力される。より具体的には、特許制度上、出願が不可能である、又は出願されるケースの極めて少ない出願に係るフォルダ及びファイルが作成されない。したがって、不要なフォルダ等が作成されることを回避することができる。
【0109】
上記の実施形態では、願書の情報IF13の一部が変更された願書の情報IF23を含む態様で第2のファイルが生成される例を説明したが、この限りでない。例えば、図6のアクティビティA109において、生成部234は、願書の情報IF13が削除された態様を含む第2のファイルを作成してもよい。すなわち、第1の出願に係る情報IF1には、更に願書に関する情報IF13を含み、第2のファイルは、第1の出願に係る情報IF1のうち、願書に関する情報が削除された態様を含む。このような態様によれば、第2のファイルは、流用可能である情報の多く含まれた、特許請求の範囲及び明細書の情報を少なくとも含む構成を有して生成される。したがって、将来に関連出願を行う際、ユーザの負担を低減することができる。
【0110】
更には、図6のアクティビティA109において出力される第2のファイルは、願書の情報IF23を含む態様を有するか、又は願書の情報IF13を削除した態様を有するかをユーザによって選択可能であってもよい。このような態様によれば、ユーザのニーズに合った構成のファイルを出力することができる。
【0111】
また、本実施形態では、第2の出願AP2には、分割出願と、PCT出願と、優先権主張出願とが含まれる例について説明したが、更に変更出願を含んでもよい。具体的には、第2の出願AP2には、第1の出願AP1である特許出願を実用新案登録出願又は意匠出願に変更する変更出願が含まれてもよい。このような態様によれば、ユーザは出願のニーズに沿ったファイルを生成でき、出願の準備にかかる手間を低減することができる。
【0112】
本実施形態では、サーバ2は、オンプレミス形態、すなわち、サーバ2とユーザ端末3とは同一のローカルエリアネットワークに属している場合について説明したが、この限りでない。サーバ2は、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ2としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上記の機能や処理を提供してもよい。
【0113】
また、好ましくは、図6のアクティビティA101において、元の文書ファイルDC0が開かれている状態でユーザから指示の入力を受け付けてもよい。具体的には、元の文書ファイルDC0が所定のアプリケーションによってユーザが視認可能な態様で表示されている状態で、受付部231がユーザから指示を受け付けることが好ましい。
【0114】
上記実施形態では、サーバ2が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ2に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0115】
更に、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0116】
(1)プログラムであって、少なくとも1つのコンピュータに、次の各ステップを実行させ、取得ステップでは、第1の出願を行うために作成された文書ファイルに基づいて第1の出願に係る情報を取得し、前記第1の出願に係る情報は、請求の範囲に関する情報と、明細書に関する情報とを少なくとも含み、出力ステップでは、前記第1の出願に係る情報に基づいてファイル群を出力し、前記ファイル群は、前記第1の出願に用いる第1のファイルと、第2の出願に用いる1以上の第2のファイルを含み、ここで、前記第1のファイルは、少なくともHTMLファイルを含み、前記第2の出願は、前記第1の出願に対応する出願であり、前記第2のファイルは、少なくとも文書ファイルを含む、プログラム。
【0117】
このような態様によれば、 原出願又は基礎出願を出願するためのファイルを出力する際、優先権を伴う出願又は分割出願といった関連する出願を行う際のファイルを併せて作成することができる。したがって、将来、かかる出願を行う際、基礎出願又は原出願のデータを取り違えるという人為的なミスを回避することが可能である。
【0118】
(2)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記第2の出願は、実用新案登録に基づく特許出願と、前記第1の出願を原出願とする分割出願又は変更出願と、前記第1の出願を基礎出願とするパリ優先権主張出願、国内優先権主張出願、又は特許協力条約に基づく国際出願との少なくとも何れかである、プログラム。
【0119】
このような態様によれば、将来、分割出願、優先権出願、変更出願、又は特許協力条約に基づく国際出願を行う際、基礎出願又は原出願のデータを取り違えるというミスを回避することが可能である。
【0120】
(3)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記ファイル群は、前記第2のファイルが前記第2の出願ごとのフォルダにそれぞれ格納された態様で出力される、プログラム。
【0121】
このような態様によれば、将来に出願可能性のある関連出願において、出願の種別ごとにフォルダが作成され、各フォルダにファイルがそれぞれ格納された態様で管理される。したがって、かかる出願を将来行う際に、ファイルを取り違えるというミスを回避することが可能である。
【0122】
(4)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記第2のファイルは、更にHTMLファイルを含む、プログラム。
【0123】
このような態様によれば、将来に出願可能性のある関連出願において、出願までの作業をより簡単に行うことができる。より詳細には、当該関連出願において、ファイルを出願ソフトにアップロードする作業から行うことができ、ユーザの手間が低減できる。
【0124】
(5)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記第1の出願に係る情報が所定の条件を満たす場合において、前記ファイル群に含まれる前記第2のファイルの構成が変更された態様で、前記ファイル群が出力される、プログラム。
【0125】
このような態様によれば、関連出願用のフォルダ及びファイルが一律に複数出力されるのではなく、特許制度に応じたファミリー出願用のフォルダ等が出力される。したがって、不要なフォルダ等が作成されることを回避することができる。
【0126】
(6)上記(5)に記載のプログラムにおいて、前記所定の条件は、前記第1の出願の種別が分割出願又は特許協力条約に基づく国際出願である場合を含む、プログラム。
【0127】
このような態様によれば、第1の出願の種別に対し、特許制度上出願が不可能である種別の出願にかかるフォルダが作成されない。したがって、不要なフォルダ等が作成されることを回避することができる。
【0128】
(7)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記第2のファイルは、前記第1の出願に係る情報の一部が変更された変更情報を含み、前記変更情報は、前記第2の出願の属性に応じて特定される、プログラム。
【0129】
(8)上記(7)に記載のプログラムにおいて、前記属性は、前記第2の出願に係る出願予定国又は出願の種別である、プログラム。
【0130】
このような態様によれば、関連出願の種別又は出願予定国にそれぞれ対応する様式に合わせたファイルを出力できる。したがって、出願準備のファイルを編集する際の人為的なミスを低減することができる。
【0131】
(9)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記第1の出願に係る情報には、更に願書に関する情報を含み、前記第2のファイルは、前記第1の出願に係る情報のうち、願書に関する情報が削除された態様を含む、プログラム。
【0132】
このような態様によれば、第2のファイルは、流用可能である情報の多い、特許請求の範囲及び明細書の情報が少なくとも含まれる構成を有して生成される。したがって、将来に出願を行う際、願書を原出願又は基礎出願のものと取り違えるような人為的ミスを低減することができる。
【0133】
(10)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記第1の出願に係る情報には、更に願書に関する情報を含み、前記第2のファイルは、前記第1の出願に係る情報の一部が変更された態様を含む、プログラム。
【0134】
このような態様によれば、第1の出願の手続きに用いるファイルを作成するのと同時に、将来に出願可能性のある関連出願の願書を作成することができる。より具体的には、第1の出願にかかる願書の情報を一部流用して、関連出願の願書を作成できる。したがって、ユーザの願書作成における手間を低減することができる。
【0135】
(11)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記第1の出願における前記請求の範囲が、マルチマルチクレームである所定請求項を含む場合において、前記第1のファイルは、前記マルチマルチクレームではなくなるように、前記所定請求項の引用元である引用請求項が変更されるように構成され、前記第2のファイルは、前記所定請求項の引用元である引用請求項が維持されるように構成される、プログラム。
【0136】
このような態様によれば、出願の種別に応じて、引用関係の異なる請求項を含むファイルを出力することができる。より具体的には、マルチマルチクレームが認められる出願国に対応するファイルは、マルチマルチクレームが維持された構成を有する。したがって、ユーザは出願の準備にかかる手間を低減することができる。
【0137】
(12)情報処理システムであって、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、上記(1)~(11)の何れか1つに記載のプログラムの各ステップがなされるように、前記プログラムを実行するように構成される、システム。
【0138】
(13)情報処理方法であって、上記(1)~(11)の何れか1つに記載のプログラムの各ステップを備える、方法。
もちろん、この限りではない。
【0139】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0140】
1 :情報処理システム
2 :サーバ
20 :通信バス
21 :通信部
22 :記憶部
23 :プロセッサ
231 :受付部
232 :取得部
233 :判定部
234 :生成部
235 :出力部
236 :表示制御部
3 :ユーザ端末
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :プロセッサ
34 :表示部
35 :入力部
4 :出力画面
41 :視覚情報
42 :視覚情報
43 :視覚情報
44 :視覚情報
5 :出力画面
51 :視覚情報
52 :視覚情報
53 :視覚情報
54 :視覚情報
55 :視覚情報
56 :視覚情報
57 :視覚情報
6 :出力画面
61 :視覚情報
62 :視覚情報
63 :視覚情報
64 :視覚情報
7a :出願書類
7b :出願書類
71 :領域
72 :領域
8a :出願書類
8b :出願書類
81a :領域
81b :領域
82 :領域
83 :領域
9a :出願書類
9b :出願書類
91 :領域
92 :領域
10a :出願書類
10b :出願書類
101 :領域
102 :領域
AP1 :第1の出願
AP2 :第2の出願
DC0 :元の文書ファイル
DC2 :第2の文書ファイル
HT1 :第1のHTMLファイル
HT2 :第2のHTMLファイル
IF1 :第1の出願に係る情報
IF11 :請求項の情報
IF12 :明細書の情報
IF13 :願書の情報
IF2 :第2の出願に係る情報
IF21 :請求項の情報
IF22 :明細書の情報
IF23 :願書の情報
IF30 :変更情報
【要約】
本発明の一態様によれば、プログラムであって、少なくとも1つのコンピュータに、次の各ステップを実行させ、取得ステップでは、第1の出願を行うために作成された文書ファイルに基づいて第1の出願に係る情報を取得し、第1の出願に係る情報は、請求の範囲に関する情報と、明細書に関する情報とを少なくとも含み、出力ステップでは、第1の出願に係る情報に基づいてファイル群を出力し、ファイル群は、第1の出願に用いる第1のファイルと、第2の出願に用いる1以上の第2のファイルを含み、第1のファイルは、少なくともHTMLファイルを含み、第2の出願は、第1の出願に対応する出願であり、第2のファイルは、少なくとも文書ファイルを含む、プログラムが提供される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13