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  • 特許-溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/00 20060101AFI20241016BHJP
   C23C 16/30 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C23C14/00 Z
C23C16/30
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021562010
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 US2020028827
(87)【国際公開番号】W WO2020214994
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】62/836,376
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521218526
【氏名又は名称】ハント ペロヴスカイト テクノロジーズ, エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス,マリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,デイヴィッド ダブリュ.
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/031727(WO,A1)
【文献】特表2017-515313(JP,A)
【文献】特開2008-138255(JP,A)
【文献】特開2002-087887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00
C23C 16/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法であって、
鉛ターゲットおよび基板を成膜チャンバに装填するステップと、
5×10-6Torr以下まで、前記成膜チャンバの圧力を低下させるステップと、
前記鉛ターゲットを気化させるステップと、
塩前駆体の蒸気で前記成膜チャンバを再充填するステップであって、前記塩前駆体は、ヨウ化水素を含む、ステップと、
前記基板にペロブスカイト材料を成膜するステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記気化させるステップは、前記鉛ターゲットに電子ビームを印加することにより実施され、
前記鉛ターゲットは、ヨウ化鉛(II)を有し、
当該方法は、さらに、第2の塩前駆体で前記成膜チャンバを再充填するステップを有し、
前記第2の塩前駆体は、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された塩を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気化させるステップは、前記鉛ターゲットに電子ビームを印加することにより実施され、
当該方法は、さらに、第2の塩前駆体で前記成膜チャンバを再充填するステップを有し、
前記第2の塩前駆体は、ホルムアミジン、メチルアミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された塩を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
成膜の最初の20nmは、0.5Å/秒の速度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記気化させるステップは、前記鉛ターゲットに電子ビームを印加することにより実施され
当該方法は、さらに、
前記ペロブスカイト材料を熱蒸発器に搬送するステップと、
ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された第2の塩前駆体を成膜させるステップと、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記気化させるステップは、前記鉛ターゲットに陰極アークを印加することにより実施され、
前記成膜チャンバの圧力は、10-8~10-12Torrの範囲に低下し、
前記塩前駆体は、ヨウ化水素を有し、
当該方法は、さらに、
前記ペロブスカイト材料を熱蒸発器に搬送するステップと、
ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された第2の塩前駆体を成膜するステップと、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記気化させるステップは、前記鉛ターゲットにパルスレーザを印加することにより実施され、
前記成膜チャンバの圧力は、10-8~10-12Torrの範囲に低下し、
前記塩前駆体は、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された塩を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記再充填するステップは、2~100sccmの範囲の速度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法であって、
鉛粉末試料をるつぼに装填するステップと、
成膜チャンバ内で前記るつぼ内の前記粉末の上に、基板を下向きに設置するステップと、
前記成膜チャンバ内の圧力を200mTorrに低下させるステップと、
鉛粉末試料を昇華させるステップと、
前記基板に第1の成膜物を形成するステップと、
を有する、方法。
【請求項10】
前記鉛粉末試料は、ヨウ化鉛(II)を有し、
当該方法は、さらに、前記第1の成膜物を形成する前に、塩前駆体の蒸気で前記成膜チャンバを再充填するステップを有し、
前記塩前駆体は、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された塩を有し、
前記第1の成膜物は、ペロブスカイト材料である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
成膜の最初の20nmは、0.5Å/秒の速度で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、
前記第1の成膜物を形成するステップの後、ヨウ化水素蒸気と、ホルムアミジンおよびメチルアミンの一方または両方とで、前記成膜チャンバを再充填するステップと、
前記基板上に第2の成膜物を形成するステップであって、前記第2の成膜物は、ペロブスカイト材料である、ステップと、
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記鉛粉末試料は、ヨウ化鉛(II)を有し、
当該方法は、さらに、
前記るつぼ内に残留した鉛粉末試料を、塩前駆体の粉末と置換するステップであって、前記塩前駆体は、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された塩を有する、ステップと、
前記塩前駆体を昇華させるステップと、
前記基板上に第2の成膜物を形成するステップであって、前記第2の成膜物は、ペロブスカイト材料である、ステップと、
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
成膜物の最初の20nmは、0.5Å/秒の速度で形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記再充填するステップは、2~100sccmの範囲の速度で実施される、請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記鉛粉末試料は、構造ABXを有する単結晶ペロブスカイトである、請求項9記載の方法。
【請求項17】
溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法であって、
鉛塩前駆体をるつぼに装填するステップと、
成膜チャンバ内で試料ホルダに基板を装填するステップと、
前記成膜チャンバの圧力を少なくとも10-3Torrに低下させるステップと、
電流を印加して前記鉛塩前駆体をイオン化するステップと、
第2の塩前駆体の蒸気で前記成膜チャンバを再充填するステップと、
前記基板にペロブスカイト材料を成膜するステップと、
を有する、方法。
【請求項18】
前記鉛塩前駆体は、ヨウ化鉛(II)を有し、
前記第2の塩前駆体は、ヨウ化水素を有し、
当該方法は、さらに、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された塩の蒸気で、前記成膜チャンバを再充填するステップを有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記鉛塩前駆体は、反応性ガスの存在下でイオン化され、
前記第2の塩前駆体は、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された塩前駆体を有する、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記反応性ガスは、水、酸素、亜酸化窒素、アンモニア、および窒素からなる群から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記鉛塩前駆体は、鉛アルコキシド、鉛アルキルアミド、鉛アルキルスルフィド、鉛アルキルセレニド、プルンバンおよびプランビレンからなる群から選択された塩を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
成膜の最初の20nmは、0.5Å/秒の速度で行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記鉛塩前駆体は、ビス(1-ジメチルアミニオ-2-メチル-2-プロパノレート)鉛(II)(Pb(DMAMP));ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5,ヘプタンジオナト)鉛(II)(Pb(THD));ヘキサフルオロアセチルアセトナート鉛(II);プルンボセン(PbCp);テトラエチル鉛(IV);ビス[ビス(トリメチルシリル)アミド]鉛(II);およびrac-N,N -ジtert-ブタン-2,3-ジアミド鉛(II)からなる群から選択された塩を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法であって、
鉛塩前駆体をるつぼに装填するステップと、
成膜チャンバ内で基板を試料ホルダに装填するステップと、
前記成膜チャンバの圧力を5Torr~760Torrの間に低下させるステップと、
前記鉛塩前駆体を気化させるステップと、
蒸気に対して有機金属気相エピタキシーを実施するステップと、
第2の塩前駆体の蒸気で前記成膜チャンバを再充填するステップと、
不活性ガスの下、前記基板にペロブスカイト材料を成膜するステップと、
を有する、方法。
【請求項25】
前記第2の塩前駆体は、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化メチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された塩を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の塩前駆体は、ヨウ化水素を有し、
当該方法は、さらに、ヨウ化水素蒸気で前記成膜チャンバを再充填するステップを有する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記気化させるステップは、前記鉛塩前駆体に熱または電子の流れの1つを印加することにより行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記鉛塩前駆体は、鉛アルコキシド、鉛アルキルアミド、鉛アルキルスルフィド、鉛アルキルセレニド、プルンバンおよびプランビレンからなる群から選択された塩を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記鉛塩前駆体は、ビス(1-ジメチルアミニオ-2-メチル-2-プロパノレート)鉛(II)(Pb(DMAMP));ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5,ヘプタンジオナト)鉛(II)(Pb(THD));ヘキサフルオロアセチルアセトナート鉛(II);プルンボセン(PbCp);テトラエチル鉛(IV);ビス[ビス(トリメチルシリル)アミド]鉛(II);およびrac-N,N-ジtert-ブタン-2,3-ジアミド鉛(II)からなる群から選択された塩を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
成膜の最初の20nmは、0.5Å/秒の速度で行われる、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全般に、光起電力装置および光電子装置に使用される組成物に関し、特に、溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーまたは放射線から電力を発生させる太陽光発電(PV)の使用は、多くの利点を提供し得る。これには、例えば、電源、低放出またはゼロ放出、電力グリッドから独立した発電、耐久性のある物理的構造(可動部品なし)、安定した信頼性の高いシステム、モジュール式構造、比較的迅速な設置、安全な製造および使用、ならびに良好な世論および使用承諾が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ペロブスカイト材料は、PV装置の1または2以上の態様に組み込むことができる。ペロブスカイト部材を用いたPVは、シリコン系のPVよりも内部欠陥に対する耐性が高い。この大きな許容度により、生産コストが低下する。しかしながら、伝統的な、ペロブスカイトセルを製造する溶媒ベースの方法では、層にわたって不均一な厚さが生じ得る。これは、大表面を効果的に被覆し、効率的なマルチスタック膜を形成する能力を制限する。
【0004】
本開示の特徴および利点は、当業者には容易に明らかになる。当業者は多くの変更を行い得るが、そのような変更は、本発明の思想の範囲に含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法は、鉛ターゲットおよび基板を成膜チャンバに装填するステップを有する。当該方法は、さらに、5×10-6Torr以下まで、前記成膜チャンバの圧力を低下させるステップを有する。当該方法は、さらに、前記鉛ターゲットを気化させるステップを有する。当該方法は、さらに、塩前前駆体の蒸気で前記成膜チャンバを再充填するステップを有する。最後に、当該方法は、前記基板にペロブスカイト材料を成膜するステップを有する。
【0006】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法は、鉛粉末試料をるつぼに充填するステップを有する。当該方法は、さらに、前記るつぼ内の前記粉末の上に、基板を下向きに設置するステップを有する。当該方法は、さらに、前記成膜チャンバ内の圧力を200mTorrに低下させるステップを有する。当該方法は、さらに、鉛粉末試料を昇華させるステップを有する。最後に、当該方法は、前記基板に第1の成膜物を形成するステップを有する。
【0007】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法は、鉛塩前駆体をるつぼに装填するステップを有する。当該方法は、さらに、試料ホルダに基板を装填するステップを有する。当該方法は、さらに、前記成膜チャンバの圧力を少なくとも10-3Torrに低下させるステップを有する。当該方法は、さらに、電流を印加して前記鉛塩前駆体をイオン化するステップを有する。当該方法は、さらに、第2の塩前駆体の蒸気で前記成膜チャンバを再充填するステップを有する。最後に、当該方法は、前記基板にペロブスカイト材料を成膜するステップを有する。
【0008】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法は、鉛塩前駆体をるつぼに装填するステップを有する。当該方法は、さらに、基板を試料ホルダに装填するステップを有する。当該方法は、さらに、前記成膜チャンバの圧力を5Torr~760Torrの間に低下させるステップを有する。当該方法は、さらに、前記鉛塩前駆体を気化させるステップを有する。当該方法は、さらに、蒸気に対して有機金属気相エピタキシーを実施するステップを有する。当該方法は、さらに、第2の塩前駆体の蒸気で前記成膜チャンバを再充填するステップを有する。最後に、当該方法は、不活性ガスの下、前記基板にペロブスカイト材料を成膜するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】溶媒フリーのペロブスカイト成膜の例示的方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
基板上にペロブスカイトを成膜するための本開示に記載された方法は、PVの1または2以上の態様を製造するために使用され得る。他の潜在的な用途には、これに限られるものではないが、電池、電界効果トランジスタ(FET)、発光ダイオード(LED)、非線形光学デバイス、メモリスタ、キャパシタ、整流器、およびまたは整流アンテナが含まれる。ペロブスカイト材料は、一般式がCMX3であってもよく、ここで、Cは、1または2以上のカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物)を有し、Mは、1または2以上の金属(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrを含む)を有し、Xは、1または2以上のアニオンを有する。特定の実施形態において、Cは、ホルムアミジニウムまたはメチルアンモニウムを含んでもよい。以下に記載される方法の多くは、鉛ペロブスカイトを用いて説明されるが、これらの方法を使用して、所望の金属(M)または金属ハロゲン化物(MXn)を置換することにより、他のペロブスカイトを得てもよい。
【0011】
ある実施形態では、本開示により、物理気相成膜法に基づいてペロブスカイトを成膜する方法が提供される。別の実施形態では、本開示により、化学気相成膜法に基づいてペロブスカイトを成膜する方法が提供される。物理気相成膜法および化学気相成膜法のある実施形態は、以下に詳細に記載されている。
【0012】
以下に記載の実施形態の各々において、真空チャンバに基板を装填する前に、基板の上にタイトフィットのシャドウマスクを直接配置することにより、得られるペロブスカイト膜のパターン化が実施されてもよい。
【0013】
(物理気相成膜)
通常、一般に、物理気相成膜は、成膜材料を気化させること、対象基板に気相を輸送すること、輸送ステージ中の金属原子と反応性ガスの間の反応、および基板への成膜を有する。本開示は、物理気相成膜のいくつかの実施形態を含む。具体的には、スパッタリング、反応性スパッタリング、電子ビーム成膜、陰極アーク成膜、パルスレーザ成膜、分子ビームエピタキシー、近接空間昇華、熱蒸着およびアニーリングとの共蒸着、気相アシスト溶液処理、イオンアシスト成膜、ならびに活性化反応蒸着の各方法について説明する。
【0014】
(スパッタリング)
ある実施態様では、溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法は、スパッタリングチャンバにPbI2(ヨウ化鉛(II))ターゲットを装填し、超高真空圧まで減圧することを含む。例えば、圧力は、10-6Torr以下まで減圧される必要がある。好ましくは、システムは、10-8torrの静真空下にされる必要がある。本方法は、さらに、基板ホルダに接着された試料をロードロックチャンバに装填することを含む。この方法は、さらに、ロードロックチャンバを高真空(10-3~10-5Torr)に減圧し、試料ホルダをスパッタリングチャンバに搬送することを含む。ある実施形態では、高真空は、1×10-5Torr未満であってもよい。本方法は、さらに、例えばArのような不活性ガスをPbI2ターゲットに付与し、スパッタリング効果を誘発すること、FAI(ヨウ化ホルムアミジニウム)および/またはMAI(ヨウ化メチルアンモニウム)蒸気でスパッタリングチャンバを再充填すること、ならびにペロブスカイト材料を成膜すること、を含む。チャンバは、マスフローコントローラ(MFC)を用いて2~100sccmの間の速度で、再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0015】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト成膜の方法は、スパッタリングチャンバにPb(鉛)ターゲットを装填し、超高真空圧まで減圧することを含む。例えば、圧力は、10-6Torr以下まで減圧される必要がある。好ましくは、システムは、10-8torrの静真空下にされる必要がある。本方法は、さらに、基板ホルダに接着された試料をロードロックチャンバに装填することを含む。本方法は、ロードロックチャンバの減圧を、高真空圧(10-3~10-5Torr)まで継続し、試料ホルダがロードロックチャンバに搬送される。本方法は、さらに、例えばArのような不活性ガスをPbターゲットに付与し、スパッタリング効果を誘発すること、HI(ヨウ化水素)と、FAIおよびMAIの蒸気の一方または両方とをチャンバに再充填すること、ならびにペロブスカイト材料を成膜することを含む。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAIおよびFAIの一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0016】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料を成膜する方法は、Pbターゲット(PbとHI、またはPbI2のいずれか)をスパッタリングチャンバに装填し、超高真空圧まで減圧することを含む。例えば、圧力は、10-6Torr以下に減圧される必要がある。好ましくは、システムは、10-8torrの静真空下にされる必要がある。本方法は、さらに、基板ホルダに接着された試料をロードロックチャンバ内に装填し、ロードロックチャンバを高真空圧力(10-3~10-5Torr)まで減圧させた後、試料ホルダをチャンバ内に搬送することを含む。本方法は、例えばArのような不活性ガスをPbI2ターゲットに付与し、スパッタリング効果を誘発し、HIでチャンバを再充填することを継続すること、ならびにペロブスカイト材料を成膜することを含む。チャンバの再充填は、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で実施されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。本方法は、チャンバからPbI2膜を取り出し、FAIおよび/またはMAIの成膜のため、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送することにより終了する。
【0017】
(反応性スパッタリング)
他の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2ターゲットをスパッタリングチャンバに装填し、超高真空圧まで減圧することを含む。例えば、圧力は、10-6Torr以下まで減圧される必要がある。好ましくは、システムは、10-8torrの静真空下にされる必要がある。本方法は、さらに、基板ホルダに接着された試料をスパッタリングチャンバ内に装填することを含む。本方法は、さらに、ロードロックチャンバを高真空圧(10-3~10-5Torr)まで減圧し、試料ホルダをロードロックチャンバに搬送することを含む。本方法は、さらに、酸素または窒素のような反応性ガスをPbI2ターゲットに付与し、スパッタリング効果を誘発すること、FAIおよび/またはMAI蒸気でチャンバを再充填すること、ならびにペロブスカイト材料を成膜することを含む。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0018】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pb(鉛)ターゲットをスパッタリングチャンバに装填し、超高真空圧まで減圧することを含む。例えば、圧力は、10-6Torr以下まで減圧される必要がある。好ましくは、システムは、10-8torrの静真空下にされる必要がある。本方法は、さらに、基板ホルダに接着された試料をロードロックチャンバに装填することを含む。本方法は、ロードロックチャンバを高真空圧(10-3~10-5Torr)まで減圧することを継続し、試料ホルダがロードロックチャンバに搬送される。本方法は、さらに、酸素または窒素のような反応性ガスをPbターゲットに付与し、スパッタリング効果を誘発すること、HI(ヨウ化水素)と、FAIまたはMAI蒸気の一方または両方とをチャンバに再充填すること、ならびにペロブスカイト材料を成膜することを含む。チャンバは、2~100sccmの間の速度でMFCを用いて再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAIおよびFAIの一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0019】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pbターゲットをスパッタリングチャンバに装填し、超高真空圧まで減圧することを含む。例えば、圧力は、10-6Torr以下まで減圧される必要がある。好ましくは、システムは、10-8torrの静真空下にされる必要がある。本方法は、さらに、基板ホルダに接着した試料をロードロックチャンバ内に装填し、ロードロックチャンバを高真空圧(10-3~10-5Torr)まで減圧した後、試料ホルダをチャンバ内に搬送することを含む。本方法は、スパッタリング効果を誘起するためにPbターゲットに酸素または窒素のような反応性ガスを印加し、チャンバをHIで再充填し、ペロブスカイト材料を成膜することを継続する。本方法は、酸素または窒素のような反応性ガスをPbターゲットに付与し、スパッタリング効果を誘発すること、HIをチャンバに再充填すること、ならびにペロブスカイト材料を成膜することを含む。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。本方法は、チャンバからPbI2膜を取り出し、FAIおよび/またはMAIの成膜のため、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送することにより終了する。
【0020】
(電子ビーム物理気相成膜または電子ビーム成膜)
図1には、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法100を示す。ステップ102は、PbI2ターゲットを成膜チャンバに装填ステップを有する。ステップ104は、基板ホルダに接着された試料を成膜チャンバ内に装填するステップを有する。方法100は、ステップ106において、高真空圧力(5×10-6Torr以下)まで減圧を継続する。ステップ108では、PbI2ターゲットに電子ビームが印加される。次に、方法100は、ステップ110に進み、ここでは、FAIおよび/またはMAIの気相で、成膜チャンバが再充填される。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。最後に、例示的な方法は、ステップ112において、ペロブスカイト材料を成膜するステップにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0021】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、成膜チャンバにPbターゲットを装填し、基板ホルダに接着された試料を成膜チャンバに装填するステップを有する。本方法は、さらに、高真空圧(5×10-6Torr以下)まで減圧し、Pbターゲットに電子ビームを印加するステップを有する。本方法は、HIと、ホルムアミジンおよび/またはメチルアミン(MA)の蒸気とをチャンバに再充填するステップと、ペロブスカイト材料を成膜するステップとを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、FAおよび/またはMAとは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0022】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、成膜チャンバにPbターゲットを装填し、基板ホルダに接着された試料を成膜チャンバに装填するステップを有する。本方法は、さらに、高真空圧(5×10-6Torr以下)減圧し、Pbターゲットに電子ビームを印加するステップを有する。本方法は、HI蒸気でチャンバを再充填し、ペロブスカイト材料を成膜するステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、チャンバからPbI2膜を取り出し、FAIおよび/またはMAIの成膜のため、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送することにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0023】
(陰極アーク物理気相成膜)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、成膜チャンバにPbターゲットを装填し、基板ホルダに接着された試料を成膜チャンバに装填するステップを有する。本方法は、さらに、超高真空圧力(10-8~10-12Torr)に減圧し、Pbターゲットに陰極アークを印加するステップを有する。本方法は、チャンバをHI蒸気で再充填し、ペロブスカイト材料を成膜するステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、チャンバからPbI2膜を取り出し、FAIおよび/またはMAIの成膜のため、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送することにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0024】
(パルスレーザ成膜)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2ターゲットを成膜チャンバに装填し、基板ホルダに付着した試料を成膜チャンバに装填するステップを有する。本方法は、さらに、高真空圧(10-6~10-8Torr)に減圧し、PbI2ターゲットにパルスレーザを印加するステップを有する。本方法は、FAIおよび/またはMAI蒸気でチャンバを再充填し、ペロブスカイト材料を成膜するステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0025】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pbターゲットを成膜チャンバに装填し、基板ホルダに接着された試料を成膜チャンバに装填するステップを有する。本方法は、さらに、高真空圧(10-6~10-8Torr)に減圧し、Pbターゲットにパルスレーザを印加するステップを有する。本方法は、HIと、MAIまたはFAIの蒸気の一方または両方とでチャンバを再充填し、ペロブスカイト材料を成膜するステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAIおよびFAIの一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0026】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pbターゲットを成膜チャンバ内に装填し、基板ホルダに接着された試料を成膜チャンバ内に装填するステップを有する。本方法は、さらに、高真空圧(10-6~10-8Torr)に減圧し、Pbターゲットにパルスレーザを印加するステップを有する。本方法は、HI蒸気でチャンバを再充填し、ペロブスカイト材料を成膜するステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、チャンバからPbI2膜を取り出し、FAIおよび/またはMAIの成膜のため、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送することにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0027】
(分子線エピタキシー)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pbターゲットを成膜チャンバに装填し、基板ホルダに接着された試料を成膜チャンバに装填するステップを有する。本方法は、さらに、超高真空圧(10-8~10-12Torr)に減圧し、Pbターゲットに分子ビームを印加するステップを有する。本方法は、HI蒸気でチャンバを再充填し、ペロブスカイト材料を成膜するステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、チャンバからPbI2膜を取り出し、FAIおよび/またはMAIの成膜のため、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送することにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmが約0.5Å/秒の速度で成膜されることが考慮される。
【0028】
(近接空間昇華)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2粉末試料をるつぼに装填し、試料の上に基板を下向きに設置するステップを有する。本方法は、さらに、低真空圧(~200mTorr)まで減圧し、PbI2粉末試料を昇華させるステップを有する。本方法は、FAIおよび/またはMAI蒸気でチャンバを再充填し、ペロブスカイト材料を成膜するステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0029】
別の実施態様では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pb粉末試料をるつぼに充填し、るつぼをPb粉末試料で下向きに覆うステップを有する。本方法は、さらに、低真空圧(~200mTorr)まで減圧し、Pb試料を昇華させ、第1の成膜を行うステップを有する。本方法は、HIと、ホルミルイミダミド(FA)またはメチルアミン(MA)の蒸気の一方または両方とで、チャンバを再充填し、第2の成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAおよびFAの一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、材料が基板に接着されることを確実にするために、最初の20nmの成膜を約0.5Å/秒の速度で行うことを意図している。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、ペロブスカイトの最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0030】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2粉末試料をるつぼに充填し、るつぼをPbI2粉末試料で下向きに覆うステップを有する。本方法は、さらに、低真空圧(~200mTorr)まで減圧し、PbI2粉末試料を昇華させ、第1の成膜を行うステップを有する。本方法は、さらに、PbI2粉末試料をMAIおよび/またはFAI粉末試料と置換するステップと、MAIおよび/またはFAI粉末試料をるつぼに対して下向きに設置するステップと、を有する。本方法は、200 mTorrの圧力まで減圧し、MAIおよび/または粉末試料を昇華させ、第2の成膜を行うステップにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0031】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、当業者に既知の任意の方法により、構造ABX3を有する単結晶ペロブスカイトを成長させるステップを有する。本方法は、さらに、るつぼに単結晶を装填し、基板を基板ホルダに下向きに装填するステップを有する。結晶のサイズにもよるが、乳鉢と乳棒を用いて、結晶ペロブスカイトをより均一な小片に粉砕する必要がある場合がある。本方法は、さらに、低真空圧(~200mTorr)まで減圧し、結晶を昇華させ、第1の成膜を行うステップを有する。
【0032】
(熱蒸着およびアニールとの共蒸着)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2粉末試料をるつぼに装填し、試料ホルダに基板を装填するステップを有する。本方法は、さらに、高真空圧(5×10-6Torr以下)に減圧し、2つの金属ポスト間に電圧を印加することにより、PbI2粉末試料を気化させるステップを有する。本方法は、FAIおよび/またはMAIの蒸気でチャンバを再充填し、成膜を実施するステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0033】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2粉末試料を第1のるつぼに装填し、MAIおよび/またはFAI試料を第2のるつぼに装填するステップを有する。本方法は、さらに、基板を試料ホルダに装填し、高真空圧(5×10-6Torr以下)に減圧するステップを有する。本方法は、2つの金属ポスト間に電圧を印加することにより、PbI2と、MAIおよび/またはFAI試料とを蒸着し、PbI2と、MAIおよび/またはFAIとを同時に成膜するステップを継続する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0034】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pb試料をるつぼに装填し、基板を試料ホルダに装填し、高真空圧(5×10-6Torr以下)に減圧するステップを有する。本方法は、さらに、2つの金属ポスト間に電圧を印加することにより、Pb試料を蒸着させるステップを有する。本方法は、HIと、FAIおよびMAIの蒸気の一方または両方とでチャンバを再充填し、成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAIおよびFAIの一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0035】
さらに別の実施態様では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2粉末試料をるつぼに装填し、試料ホルダに基板を装填し、高真空圧(5×10-6Torr以下)に減圧するステップを有する。本方法は、さらに、2つの金属ポスト間に電圧を印加し、PbI2粉末試料を気化させ、第1の成膜を行うステップを有する。本方法は、PbI2粉末試料をMAIおよび/またはFAI粉末試料と置換し、高真空圧(5×10-6Torr以下)に減圧するステップを継続する。本方法は、2つの金属ポスト間に電圧を印加することにより、MAIおよび/またはFAIの粉末試料を気化させ、2回目の成膜を行うステップにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0036】
さらに別の実施態様では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、任意の方法により構造ABX3を有する単結晶ペロブスカイトを成長させるステップを有する。本方法は、さらに、単結晶をるつぼに装填するステップを有する。ある例では、乳鉢と乳棒において結晶を粉砕し、より均一な小片を得る必要がある場合がある。本方法は、さらに、試料を基板ホルダに装填するステップを有する。本方法は、さらに、成膜チャンバを高真空圧力(5×10-6Torr以下)に減圧するステップを有する。本方法は、前駆体るつぼに接続された2つの金属ポストに電圧を印加し、結晶を気化させ、試料上に成膜を行うステップにより終了する。
【0037】
(気相アシスト溶液処理またはハイブリッド物理化学成膜)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、前述の任意の開示方法により、PbI2の層を膜上に成膜するステップを有する。PbI2膜は、タイトフィットのシャドウマスクを用いてパターン化されてもよい。本方法は、さらに、減圧チャンバ(200mTorr~10-6Torrの間)に、膜をPbI2層が上向きとなるように配置し、ヨウ化水素(HI)の蒸気を導入するステップを有する。本方法は、気相中に互変異性ホルムアミジンとして存在し得る、メチルアミン(MA)および/またはホルミルイミダミド(formylimidamide)(FA)の蒸気を、減圧チャンバに流入させるステップにより終了する。MAおよび/またはFAの蒸気は、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で導入されてもよい。ある実施形態では、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。
【0038】
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、前述の任意の方法により、HPbI3の層を膜上に成膜するステップを有する。本方法は、さらに、減圧チャンバに、HPbI3層が上向きとなるように膜を設置するステップを有する。本方法は、メチルアミン(CH3NH2)および/またはホルミルイミダミド(NH2CHNH)の蒸気を減圧チャンバに流入させるステップにより終了する。あるいは、最初にPbI2に、メチルアミン(CH3NH2)および/またはホルミルイミダミド(NH2CHNH)の蒸気が添加され、その後、HIが添加される。
【0039】
(熱溶射(溶射コーティング))
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、膜上に、20~80℃に加熱されたPbI2試料を大気圧でスプレーし、PbI2層が上向きとなるように膜を減圧チャンバ(200mTorr~10-6Torr)に配置するステップを有する。本方法は、MAおよび/またはFAの蒸気を減圧チャンバに流入させるステップにより終了する。MAおよび/またはFAの蒸気は、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で導入されてもよい。ある実施形態では、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。
【0040】
(イオンプレーティングまたはイオンアシスト成膜)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、成膜チャンバにPbターゲットを装填し、成膜チャンバに基板ホルダに接着された試料を装填し、チャンバ内を10-5Torr以下に減圧するステップを有する。ある実施形態では、チャンバは、10-8Torrまで減圧される。本方法は、さらに、粒子の衝撃でソース材料に衝突させることにより、Pbターゲットを気化させるステップを有する。粒子衝撃による気相化は、蒸発、スパッタリング、アーク蒸発、または化学的手段を用いて実施されてもよい。この形態の気相化には、不活性ガス(例えば、Ar)または反応性ガス(例えば、O2またはN2)の添加が必要となる。本方法は、さらに、HI蒸気でチャンバを再充填し、成膜を行うステップを有する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、チャンバからPbI2膜を取り出し、FAIおよび/またはMAIの成膜のため、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送することにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0041】
(活性化反応蒸着)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、成膜チャンバにPbI2ターゲットを装填し、基板ホルダに接着された試料を成膜チャンバに装填し、高真空圧(5×10-6Torr以下)まで減圧するステップを有する。本方法は、さらに、反応性ガスおよびプラズマの存在下で、PbI2ターゲットを蒸発させるステップを有する。本方法は、FAIおよび/またはMAIの蒸気でチャンバを再充填し、成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0042】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、成膜チャンバにPbターゲットを装填し、成膜チャンバに基板ホルダに接着された試料を装填し、高真空圧(5×10-6Torr以下)に減圧するステップを有する。本方法は、さらに、反応性ガスおよびプラズマの存在下で、前記Pbターゲットを気化させるステップを有する。本方法は、HIと、MAIまたはFAIの一方または両方の蒸気とでチャンバを再充填し、成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAIおよびFAIの一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0043】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pbターゲットを成膜チャンバに装填し、基板ホルダに接着した試料を成膜チャンバに装填し、高真空圧(5×10-6Torr以下)に減圧するステップを有する。本方法は、さらに、反応性ガスおよびプラズマの存在下で、Pbターゲットを気化させるステップを有する。本方法は、HI蒸気でチャンバを再充填し、成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、成膜チャンバからPbI2膜を取り出し、FAIおよび/またはMAIの成膜のため、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送することにより終了する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0044】
(化学成膜)
通常、化学成膜法は、前駆体を気化させること、気相を対象基板に搬送すること、前駆体蒸気と被コーティング表面との間の化学反応、および基板での成膜を有する。以下に記載される化学気相成膜法の各々に、各種前駆体が使用されてもよい。想定される鉛前駆体には、一般に、鉛アルコキシド、鉛アルキルアミド、鉛アルキルスルフィド、鉛アルキルセレニド、プルンバン(plumbane)、およびプランビレン(plumbylene)が含まれる。ある実施形態では、鉛前駆体は、ビス(1-ジメチルアミニオ-2-メチル-2-プロパノレート)鉛(II)(Pb(DMAMP)2);ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5,ヘプタンジオナト)鉛(II)(Pb(THD)2);ヘキサフルオロアセチルアセトナート鉛(II);プルンボセン(PbCp2);テトラエチル鉛(IV);ビス[ビス(トリメチルシリル)アミド]鉛(II);またはrac-N2,N3-ジ-tert-ブタン-2,3-ジアミド鉛(II)であってもよい。想定されるヨウ素前駆体は、一般に、金属ヨウ化物およびアルキルアンモニウムヨウ化物塩を含む。ある実施形態では、ヨウ素前駆体は、トリメチルシリルヨウ化物(TMSI)、ヨウ素(I2)、ヨウ化水素(HI)、ヨウ化水素酸、ヨウ化スズ(IV)、またはヨウ化メチルアンモニウムであってもよい。想定されるホルムアミジニウムヨウ化物前駆体は、一般に、ホルムアミジニウム塩、ホルムアミジニウム前駆体試薬(ギ酸塩、イミジンエステル、トリアジン)、アンモニウム塩、およびシアン化物を含む。ある実施形態では、ホルムアミジニウム前駆体は、ヨウ化ホルムアミジニウム(FAI)、酢酸ホルムアミジニウム、オルトギ酸トリエトキシル、ヨウ化エチルメタンイミジニウム、1,3,5-トリアジン、アンモニア(NH3)、ヨウ化アンモニウム(NH4I)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、またはシアン化水素(HCN)であってもよい。
【0045】
本開示は、物理気相成膜のいくつかの実施形態を含む。特に、原子層成膜法、プラズマ強化化学成膜法、有機金属気相エピタキシー法、水素化物気相エピタキシー法、薄膜気相固相変換法、および液相エピタキシー法について記載される。
【0046】
(原子層成膜)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2前駆体を成膜チャンバに装填し、FAI試料を成膜チャンバに装填するステップを有する。本方法は、さらに、低真空圧力(100~500mTorr)まで減圧し、第1のPbI2前駆体を少なくとも0.015秒間パルス化し、10~30秒間待機し、基板で反応が起こる時間を提供し、第2のPbI2を少なくとも0.015秒間パルス化し、10~30秒間待機し、基板で反応が起こる時間を提供するステップと、その後、所望の材料の厚さが得られるまで、サイクルを繰り返すステップと、を有する。典型的にはN2のキャリアガスの下で、成膜が実施される。ある実施形態では、本方法は、PbI2前駆体を成膜チャンバ内に装填する前に、成膜チャンバ内にPbSを成膜させ、PbI2を生成するステップを要する。
【0047】
例えば、FAI試料を成膜チャンバに装填し、低真空圧力まで減圧した後、酢酸鉛(II)をチャンバに導入し、第1の成膜が行われる。30秒の待機後、ヨウ化トリメチルシリルがチャンバに導入され、第2の成膜が実施される。第2の成膜物が第1の成膜物と反応し、PbI2の層が形成される。例示的な方法は、さらに、酢酸鉛(II)をチャンバに導入することによりサイクルを再開する前に、さらに30秒待機するステップを有する。酢酸鉛(II)およびヨウ化トリメチルシリルは、MFCを用いて2~100sccmの速度で導入されてもよい。ある実施形態では、これらは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。
【0048】
別の例として、FAI試料を成膜チャンバに装填し、低真空圧力まで減圧させた後、チャンバにPbSが導入され、第1の成膜が行われる。30秒間の待機後、TMSIがチャンバに導入され、第2の成膜が実施される。第2の成膜物が第1の成膜物と反応して、PbI2の層が形成される。例示的な方法は、さらに、PbSを導入することによりサイクルを再開する前に、さらに30秒間待機するステップを有する。PbSおよびTMSIは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で導入されてもよい。ある実施形態では、これらは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。
【0049】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2前駆体を成膜チャンバに装填するステップと、FAI試料を成膜チャンバに装填するステップと、低真空圧(100~500mTorr)まで減圧するステップを有する。ある実施形態では、本方法は、PbI2前駆体を成膜チャンバ内に装填する前に、成膜チャンバにPbSを成膜して、PbI2を形成するステップを要する。本方法は、さらに、PbI2前駆体成膜を行うステップと、膜上にFAI成膜を行うステップとを交互に行うステップを有する。本方法は、PbI2前駆体を減圧チャンバに上向きに配置し、MAIおよび/またはFAIの蒸気を減圧(200mTorr~10-6Torr)チャンバに流すステップで終了する。MAIおよび/またはFAIの蒸気は、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で導入されてもよい。ある実施形態では、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。
【0050】
前述の原子層成膜方法の各々において、基板は、成膜チャンバに配置される前に、選択的にパターン化されてもよい。例えば、パターン化は、O2プラズマ、オゾン洗浄、または当業者に知られた他の表面改質技術を用いて適用されてもよい。パターン化により、前駆体の核が接着し得る選択的領域が提供されてもよい。
【0051】
(プラズマ強化化学気相成膜)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pb前駆体をるつぼに装填するステップと、基板を試料ホルダに装填するステップと、高真空圧(少なくとも10-3Torr)まで減圧するステップとを有する。本方法は、さらに、成膜チャンバに反応性ガスを導入するステップと、電流を印加して、反応性ガスおよびPb前駆体をイオン化するステップとを有する。本方法は、FAIおよび/またはMAIの蒸気でチャンバを再充填し、成膜を行うステップにより終了する。また、ある実施形態では、再充填は、反応性ガスを導入するステップを有する。好適な反応性ガスは、本開示で既に述べたものに加えて、水、酸素、亜酸化窒素、アンモニア、および窒素を含む。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAI(および適切な場合、反応性ガス)は、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0052】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pb前駆体をるつぼに装填するステップと、基板を試料ホルダに装填するステップと、高真空圧(少なくとも10-3Torr)まで減圧するステップとを有する。本方法は、さらに、電流を印加してPb前駆体をイオン化するステップを有する。本方法は、HIと、MAIおよびFAIの一方または両方とでチャンバを再充填し、成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAIおよびFAIの一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0053】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、PbI2前駆体をるつぼに装填するステップと、試料ホルダに基板を装填ステップと、高真空圧(少なくとも10-3Torr)まで減圧するステップとを有する。本方法は、さらに、電流を印加してPbI2前駆体をイオン化し、成膜を行うステップを有する。ある実施形態では、反応性ガスは、前駆体をイオン化する前に導入されてもよい。前述の反応性ガスは、いずれも好適である。本方法は、膜を熱蒸発器のような異なる装置に搬送し、MAおよび/またはFAの蒸気を減圧チャンバ(200mTorr~10-6Torr)に流すステップを継続する。MAおよび/またはFAの蒸気は、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で導入されてもよい。ある実施形態では、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法は、MAIおよび/またはFAIを成膜するステップにより終了する。
【0054】
(有機金属気相エピタキシー(有機金属化学気相成膜)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、るつぼにPb前駆体を装填するステップと、試料ホルダに基板を装填するステップと、チャンバを中程度の圧力(5Torr~760Torrの間)まで減圧するステップと、Pb前駆体に熱または電子の流れの一方を印加して、Pb蒸気を形成するステップと、を有する。本方法は、さらに、Pb蒸気に対して、有機金属気気相エピタキシープロセスを適用するステップを有する。本方法は、FAIおよび/またはMAIの蒸気でチャンバを再充填し、Arのような不活性キャリアガスの下で成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、FAIおよび/またはMAIの蒸気は、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0055】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、るつぼにPb前駆体を装填するステップと、試料ホルダに基板を装填するステップと、チャンバを中程度の圧力(5Torr~760Torrの間)まで減圧するステップと、Pb前駆体に熱または電子の流れの一方を加えてPb蒸気を形成するステップと、を有する。本方法は、さらに、Pb蒸気に有機金属気相エピタキシープロセスを適用するステップを有する。本方法は、HIと、MAIおよびFAIの一方または両方とでチャンバを再充填し、Arのような不活性キャリアガスの下で成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAIおよびFAIの蒸気の一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0056】
さらに別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、Pb前駆体をるつぼに装填するステップと、基板を試料ホルダに装填するステップと、チャンバを中程度の圧力(5Torr~760Torrの間)まで減圧するステップと、を有する。本方法は、さらに、Pb前駆体に熱または電子の流れの一方を加えることにより、Pb蒸気を生成するステップを有する。本方法は、さらに、Arのような不活性キャリアガス下で、Pb蒸気に有機金属気相エピタキシープロセスを適用するステップを有する。本方法は、膜を熱蒸発器のような装置に搬送し、FAIおよび/またはMAIを成膜するステップを継続する。本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0057】
有機金属気相エピタキシーに関する前述の実施形態の各々において、Pb前駆体は、プルンボセンまたはプランビレンであってもよい。本開示において詳細に説明された任意の他のPb前駆体も、好適である。
【0058】
(ハイドライド気相エピタキシー)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、るつぼにPb前駆体を装填するステップと、試料ホルダに基板を装填するステップと、チャンバを中程度の圧力(5Torr~760Torrの間)まで減圧するステップと、Pb前駆体に熱または電子の流れの一方を加えてPb蒸気を形成するステップと、を有する。本方法は、さらに、HCl(塩酸)を付与するステップを有する。本方法は、HIと、MAIおよびFAIの蒸気の一方または両方とでチャンバを再充填し、成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIと、MAIおよびFAIの蒸気の一方または両方とは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。ある実施形態では、キャリアガスを用いて、成膜が容易化される。好適なキャリアガスには、NH3、H2、および塩化物が含まれる。本方法は、本方法では、材料が基板に密着されることを確実にするため、最初の20nmの成膜が約0.5Å/秒の速度で実施されることが考慮される。
【0059】
別の実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、るつぼにPb前駆体を装填するステップと、試料ホルダに基板を装填するステップと、チャンバを中程度の圧力(5Torr~760Torrの間)まで減圧し、Pb前駆体に熱または電子の流れの一方を加えてPb蒸気を形成するステップと、を有する。本方法は、さらに、HClを付与するステップを有する。本方法は、チャンバをHI蒸気で再充填し、膜に成膜を行うステップを継続する。チャンバは、MFCを用いて2~100sccmの間の速度で再充填されてもよい。ある実施形態では、HIは、5~30sccmの間の速度で導入されてもよい。ある実施形態では、キャリアガスを用いて成膜が容易化される。好適なキャリアガスには、NH3、H2、および塩化物が含まれる。本方法は、熱蒸発器のような装置に膜を搬送し、FAIおよび/またはMAIを成膜するステップにより終了する。
【0060】
(薄膜気相-液相-固相変換)
ある実施形態では、溶媒フリーのペロブスカイト材料成膜の方法は、金属C(ここで、Cは、好適実施例に記載のような第I族または第II族のカチオンである)、M(例えば、好適実施例に記載のようなPb、Snなど)、または金属CとMの混合物に、熱または電子の流れの少なくとも1つを印加し、基板上に金属を蒸着させるステップを有する。本方法は、さらに、液体金属CもしくはM、またはその合金もしくは化合物(例えば、酢酸鉛(II)三水和物)の直接設置を有する。本方法は、基板を加熱し、金属または金属混合物の融点を超える温度で安定化させるステップを継続する。本方法は、さらに、基板表面処理および不活性多孔質キャッピング層を使用して、液体金属または金属が基板から乾燥することを抑制するステップを有する。本方法では、HX、X2、および/またはCXの蒸気のチャンバへの付与を継続し、化合物CMX3の薄膜を形成する。ある実施形態では、HI、I2および/またはCsIの蒸気が、Pb、CsまたはCsおよびPbの液体金属膜を含むチャンバに付与され、CsPbI3の薄膜が形成される。ある実施形態では、本方法は、さらに、Cが有機カチオンである場合、あるいは、金属C、MまたはCM合金が溶解するのに必要な温度で不安定である場合、他の化合物を使用して、C劣化生成物を含む高温で、CX蒸気を安定化させるステップを有する。別の前駆体化合物、例えば酢酸鉛(II)三水和物が使用されてもよい。
【0061】
(液相エピタキシー)
前述の薄膜気相-液相-固相変換の任意の実施形態は、エピタキシャル成長を目的として、結晶質基板上で実施され得る。ある実施形態では、基板は、単結晶ペロブスカイト基板、または他の格子整合化合物であってもよい。
【0062】
本開示においていくつかの実施形態が提供されたが、開示されたシステムおよび方法は、本開示の思想または範囲から逸脱せずに、多くの他の特定の形態で実施されてもよいことが理解される。本実施例は、例示的なものであり、限定的なものではなく、示された細部に限定されることを意図するものではない。例えば、各種素子または構成部材は、別のシステムと組み合わされ、または統合されてもよく、あるいはある特徴は、省略され、実施されなくてもよい。
【0063】
また、各種実施形態において、個別にまたは別個に記載され示された技術、システム、サブシステム、および方法は、本開示の範囲から逸脱せずに、他のシステム、モジュール、技術、または方法と組み合わされ、または統合されてもよい。相互に結合され、直接結合され、または連通された、示され記載された他の部品は、電気的、機械的、または他の方法で、あるインターフェース、装置、又は中間部材を介して、間接的に結合され、または連通されてもよい。当業者には、変更、置換、および代替の他の例が認識でき、開示された思想および範囲から逸脱せずに、実施することができる。
【0064】
特許庁、および本願に間する任意の特許の読者が、本明細書に添付された特許請求の範囲を解釈する際に役立つよう、出願人は、特定の請求項において、「の手段」または「のステップ」と言う用語が明示的に使用されていない限り、本願の出願日に存在するような、米国特許法第112条(f)を援用する添付のいかなる請求項も意図しないことが留意される。
図1