(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】光起電力デバイス及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0468 20140101AFI20241016BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20241016BHJP
【FI】
H01L31/04 532C
H10K30/40
(21)【出願番号】P 2022510914
(86)(22)【出願日】2020-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2020073583
(87)【国際公開番号】W WO2021037772
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-01
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519262973
【氏名又は名称】サウル エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バブ、ヴィヴェック
(72)【発明者】
【氏名】フォーガックス、デイビッド
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-343998(JP,A)
【文献】特開2019-068018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H10K 30/00-30/89
H10K 39/00-39/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透明基板及び少なくとも1つの透光性の光起電力(PV)セルを備える光起電力(PV)デバイスであって、前記PVセル
は、前記半透明基板上に配置された層のスタックを有し、前記スタックは、
前面電極層と、
背面電極層と、
前記前面電極層と前記背面電極層との間の光活性層と
を含み、前記前面電極層及び前記背面電極層のうちの一方は、前記PVセルのアノードを構成し、他方は前記PVセルのカソードを構成し、
前記スタックは、少なくとも前記背面電極層と前記光活性層の少なくとも一部とを通って延びるアパーチャを更に含み、
前記アパーチャは、着色成分、蛍光及び/又は燐光成分、吸湿材、再帰反射成分、PVデバイスの構造内の導光を改善する量子ドット、前記PVデバイスの機械的強度を改善する成分、断熱材、光キャビティとして機能するマイクロスフェア、プラズモン効果を呈する金属ナノ粒子、スペクトルを下方シフトする粒子及びスペクトルを上方シフトする粒子からなる群から選択される少なくとも1つの機能化成分を含む機能化剤を含み、前記光活性層は、ペロブスカイト層であり、前記背面電極層は、炭素層であり、前記アパーチャは、前記機能化剤によって、前記アパーチャの深さの少なくとも20%の厚さまで充填され、前記アパーチャは、前記PVセル内で均一に分散される、PVデバイス。
【請求項2】
前記アパーチャは、前記アパーチャに充填される前記機能化剤の厚さである充填厚さが、前記アパーチャの深さであるアパーチャ深さ未満となるように、前記機能化剤によって充填される、請求項1に記載のPVデバイス。
【請求項3】
前記アパーチャは、前記機能化剤によって、前記アパーチャの深さ全体にわたって充填される、請求項1に記載のPVデバイス。
【請求項4】
前記機能化剤は、半透明又は不透明である、請求項1
から3の何れか一項に記載のPVデバイス。
【請求項5】
複数の前記アパーチャの
それぞれの面積は、10μm
2~1000cm
2である、請求項1から
4のいずれか1項に記載のPVデバイス。
【請求項6】
前記PVセルの層の前記スタックは、
前記光活性層と前記前面電極層との間に配置された前面電荷輸送層と、
前記光活性層と前記背面電極層との間に配置された背面電荷輸送層と
を更に含む、請求項1から
5のいずれか1項に記載のPVデバイス。
【請求項7】
前記ペロブスカイト層と前記前面電荷輸送層との間に配置された前面パッシベーション層及び/又は前記ペロブスカイト層と前記背面電荷輸送層との間に配置された背面パッシベーション層を更に備える、請求項
6に記載のPVデバイス。
【請求項8】
前記アパーチャの内壁と前記機能化剤との間に絶縁材料の保護層を更に備える、請求項1から
7のいずれか1項に記載のPVデバイス。
【請求項9】
前記機能化剤の前記機能化成分は、様々なサイズを有する、請求項1から
8のいずれか1項に記載のPVデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの光起電力(PV)セルを備えるPVデバイスを調製する方法であって、
半透明基板を提供する段階と、
前記半透明基板上に前記PVセルの層のスタックを形成する段階であって、前記スタックは、前面電極層、背面電極層、及び前記前面電極層と前記背面電極層との間の光活性層を含み、前記前面電極層及び前記背面電極層のうちの一方は、前記PVセルのアノードを構成し、他方は前記PVセルのカソードを構成する、段階と、
前記PVセルの層の前記スタック内にアパーチャを、前記PVセル内で前記アパーチャを均一に分散させた状態で、形成する段階であって、前記アパーチャは、少なくとも前記背面電極層と前記光活性層の少なくとも一部とを通って延びる、段階と
を備え、前記方法は、
着色成分、蛍光及び/又は燐光成分、吸湿材、再帰反射成分、PVデバイスの構造内の導光を改善する量子ドット、前記PVデバイスの機械的強度を改善する成分、断熱材、光キャビティとして機能するマイクロスフェア、プラズモン効果を呈する金属ナノ粒子、スペクトルを下方シフトする粒子及びスペクトルを上方シフトする粒子からなる群から選択される少なくとも1つの機能化成分を含む機能化剤を前記アパーチャに導入して、前記アパーチャに、前記機能化剤によって、前記アパーチャの深さの少なくとも20%の厚さまで充填する段階を更に備え、
前記PVセルの層のスタックを形成する前記段階は、前記光活性層がペロブスカイト層であり、前記背面電極層が炭素層であることを含む、方法。
【請求項11】
導入時、前記機能化剤は、インク又は粉末の形態である、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
導入時、前記機能化剤は、顔料と、ブタノール、アニソール、テルピネオール、ポリプロピレングリコール、無水イソプロパノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒とを含む、請求項
10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、向上した機能性を有する光起電力(PV)デバイス、及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜光起電力(PV)デバイスは、それらの高い吸収係数、高い電力変換効率、低重量及び高速の製造能力に起因して魅力的である。
【0003】
これらのデバイスの望ましい特徴は、半透明性又は透光性であり、これらは、エネルギー消費の一定増加に関係付けられる。半透明及び透光性のPVデバイス、特に低重量及び好ましくは可撓性のPVデバイスは、窓及び他の透視表面上に適用するのに適している。したがって、これらの種類のPVデバイスは、(屋根又は壁のような)不透明の表面を覆い得るのみではなく、それらは、建築物のガラス壁、自動車窓及び車体用のステッカーの形態、並びに携帯電話、タブレット、ラップトップ、及び他の電子デバイス用の筐体の形態を取ることもできる。
【0004】
PVデバイスの半透明性/透光性は、3つの異なる方法によって得られることが既知である。第1の方法は、半透明材料の使用を伴い、それにより、デバイスの半透明性が提供される。第2の方法は、PVデバイスのそれぞれの層に、金属等の不透明(透明ではない)材料を使用し、それに続いて、不透明材料の部分的除去が行われることにその本質がある。それにより、光がデバイスを通過することを可能にする透視孔が形成される。除去は、通常、機械的スクラビング又はレーザアブレーションによって達成される。第3の方法は、透光性を提供する導電性ポリマー層上に金属格子を堆積させることによるものである。堆積は、インクジェット印刷、スクリーン印刷等のような種々の印刷技法によるものである。第1の方法によって得られるPVデバイスは、典型的には半透明と呼ばれ、一方、第2及び第3の方法によって得られるPVデバイスは、透光性と呼ばれる。
【0005】
PVセル材料内に形成された光透過アパーチャに起因して透光性である、既知の様々なPVセル、及び複数のPVセルを備えるPVモジュールが存在する。
【0006】
例えば、米国特許第9257592号は、複数の光透過アパーチャを備える光起電力デバイスを記述している。このデバイスは、基板と、第1の電極層と、光導電層と、第2の電極層とを備える。第1の光透過アパーチャは、第2の電極層上に形成され、一方、アパーチャは、深さ方向において光導電層まで更に延びて、第1の光透過アパーチャに対応する複数の第2の光透過アパーチャが形成される。第2の光透過アパーチャの各々の投影面積は、対応する第1の光透過アパーチャの投影面積よりも小さい。第1の光透過アパーチャの面積と第2の光透過アパーチャの面積とのサイズの差により、短絡の除去が提供される。それにもかかわらず、提示された方法は、第1及び第2の光透過アパーチャを別個に形成するために複雑な多段階のレーザ方法を伴う。
【0007】
複数のアパーチャを有するPVセルからなるPVモジュールは、PVモジュールの外層を覆う最外平坦層を形成する封止材料によって更に封止され、それにより、PV作用層が、環境不純物の拡散、並びに水蒸気及び酸素から保護される。最外封止層は、光透過アパーチャもそれらの頂部から覆い、アパーチャの内部を空洞のままにする。
【0008】
PVセルの機能性を改善することを目的とした既知の様々な手法も存在する。これらのうちの1つは、ユーザにとって可視である美的効果を提供するためにPVセルデバイスを着色することである。これは、PVデバイスが窓及び/又は建築物の正面に適用される場合、特に有利である。
【0009】
公刊物「Light Management with Patterned Micro- and Nanostructure Arrays for Photocatalysis, Photovoltaics, and Optoelectronic and Optical Devices」Wenhui Wang and Limin Qi, Adv. Funct. Mater. 2019, 1807275,DOI: 10.1002/adfm.201807275は、効率的な光管理を呈するパターニングされたマイクロ構造アレイ及びナノ構造アレイの製造方法を記述している。記述された方法は、ペロブスカイト膜、すなわち、ボウル状のナノ構造の表面の特性を調整することによって調節可能な光反射率を得ることを可能にする。この構造は、ペロブスカイト多色太陽電池の調製に使用することができる。
【0010】
特開2002-343998は、接着剤であるPVB又はEVAが充填されたアパーチャを備えるPVモジュールを記述している。アパーチャは、透明基板を通して可視である、接着剤の色、例えば白色、又は下層基板の色(例えば、赤色PET)のいずれかである色を呈してよい:「(...)上記開口部の呈する色は裏面封止材料を裏面電極層に接着するための接着剤の色である(...)上記開口部の呈する色は上記不透明な裏面封止材料の色である。」それゆえ、このPVモジュールにおいて、アパーチャ充填材、すなわち、ポリマー接着剤は、PVモジュールの本体とコーティング層との間の接着、及びアパーチャの望ましい色を提供するのみである。特開2002-343998は、ポリマー(PVB、EVA)以外の材料を使用することを提案さえしておらず、それゆえ、PV構造において他の材料を実装する方法を記述していない。
【0011】
米国特許出願公開第2016/141535号は、半透明光活性層と、基板と、この基板上に配置された脱湿潤層(dewet layer)とを備える光活性デバイスを記述している。脱湿潤層は、光活性材料を有する複数の吸収領域と、光活性材料を実質的に含まない複数の透明領域とを有する。脱湿潤層は、透明領域内に染料を含むペロブスカイト製であってよく、この染料は、これらの領域を通過する光を吸収する。それにもかかわらず、この文書は、アパーチャに、光活性材料とは異なる化学構造の機能化材料を充填することを提案していない。この文書は、
図3bにおいて、「(...)吸収剤エリアは、スペクトルの可視領域にわたる入射太陽光の大部分を吸収するのに十分に厚く、一方で、透明エリアは全ての波長の光が通過することを可能にし、それにより、無色、又は、透過スペクトルにおいてほぼ平坦である光が生成される(...)」ことを示している。それゆえ、この光活性デバイスは、光活性層の少なくとも一部を通って延びるアパーチャを備えていない。
【0012】
さらに、米国特許出願公開第2007/251566号は、入光面上に配置された透光性発光層を有する発光セルを備える発光デバイス(LED)を記述している。このデバイスでは、セルの背面側に光源が提供されている。セルは、光源から放出された光が貫通して透過するように配置されたアパーチャを有する(パラグラフ0082:「開口部30は、LED照明装置から発せられたLED光200(
図4参照)を透過させる(...)」)。それにもかかわらず、米国特許出願公開第2007/251566号は、アパーチャの機能化充填材について一切言及していない。さらに、この文書は、発光デバイスに関し、それゆえ、本開示の分野とはかけ離れた分野内に入る。
【0013】
上記で列挙された文献のとおり、ペロブスカイトPVデバイスの機能化は、透光性及び彩度を含む、PVデバイスの機能性を改善し、それと同時に、所望の性能を維持し、又は更により好ましくはPVデバイスの改善された性能を提供することを目的として、継続的な発展を経験している。
【0014】
したがって、本開示の目的は、限定されるものではないが、半透明性及び彩度を含むPVデバイスの改善された機能性を提供することである。本開示の別の目的は、改善された機能性を呈するPVデバイスを調製する方法を提供することである。
【発明の概要】
【0015】
半透明基板120及び少なくとも1つの透光性の光起電力(PV)セル100を備える光起電力(PV)デバイスが提示される。前記PVセル100は、前記基板120上に配置された層のスタック110を有し、前記スタック110は、前面電極層112、背面電極層113、及び前記前面電極層112と前記背面電極層113との間の光活性層111を含み、前記前面電極層112及び前記背面電極層113のうちの一方は、前記PVセル100のアノードを構成し、他方は前記PVセル100のカソードを構成する。前記スタック110は、少なくとも前記背面電極層113と前記光活性層111の少なくとも一部とを通って延びるアパーチャ130を更に含む。前記アパーチャ130は、着色成分、蛍光及び/又は燐光成分、吸湿材、再帰反射成分、PVデバイスの構造内の導光を改善する量子ドット、前記PVデバイスの機械的強度を改善する成分、断熱材、光キャビティとして機能するマイクロスフェア、プラズモン効果を呈する金属ナノ粒子、スペクトルを下方シフトする粒子及びスペクトルを上方シフトする粒子からなる群から選択される少なくとも1つの機能化成分を含む機能化剤131を含む。
【0016】
好ましくは、前記光活性層111は、ペロブスカイト層である。
【0017】
好ましくは、前記アパーチャ130は、前記機能化剤131によって、前記アパーチャ130の深さDの少なくとも20%の厚さTまで充填される。
【0018】
好ましくは、前記アパーチャ130は、前記機能化剤131によって、前記アパーチャ130の深さD全体にわたって充填される。
【0019】
好ましくは、前記機能化剤131は、半透明又は不透明である。
【0020】
好ましくは、前記アパーチャ130の面積は、10μm2~1000cm2である。
【0021】
好ましくは、前記PVセル100の層の前記スタック110は、前記光活性層111と前記前面電極層112との間に配置された前面電荷輸送層112aと、前記光活性層111と前記背面電極層113との間に配置された背面電荷輸送層113aとを更に含む。
【0022】
好ましくは、前記PVデバイスは、前記ペロブスカイト層111と前記前面電荷輸送層112aとの間に配置された前面パッシベーション層112b及び/又は前記ペロブスカイト層111と前記背面電荷輸送層113aとの間に配置された背面パッシベーション層113bを更に備える。
【0023】
好ましくは、前記背面電極層113は不透明電極である。
【0024】
好ましくは、前記PVデバイスは、前記アパーチャ130の内壁と前記機能化剤131との間に絶縁材料の保護層132を更に備える。
【0025】
好ましくは、前記機能化剤131の前記機能化成分は、様々なサイズを有する。
【0026】
好ましくは、前記保護層132は、AlOx、Al2O3、LiF(フッ化リチウム)及びBCP(バソクプロイン)からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0027】
本開示の別の態様は、少なくとも1つの光起電力(PV)セル100を備えるPVデバイスを調製する方法を構成する。前記方法は、半透明基板120を提供する段階と、前記基板120上に前記PVセル100の層のスタック110を形成する段階とを備える。前記スタック110は、前面電極層112、背面電極層113、及び前記前面電極層112と前記背面電極層113との間の光活性層111を含み、前記前面電極層112及び前記背面電極層113のうちの一方は、前記PVセル100のアノードを構成し、他方は前記PVセル100のカソードを構成する。前記方法は、前記PVセル100の層の前記スタック110内にアパーチャ130を形成する段階も備え、前記アパーチャ130は、少なくとも前記背面電極層113と前記光活性層111の少なくとも一部とを通って延びる。前記方法は、着色成分、蛍光及び/又は燐光成分、吸湿材、再帰反射成分、PVデバイスの構造内の導光を改善する量子ドット、前記PVデバイスの機械的強度を改善する成分、断熱材、光キャビティとして機能するマイクロスフェア、プラズモン効果を呈する金属ナノ粒子、スペクトルを下方シフトする粒子及びスペクトルを上方シフトする粒子からなる群から選択される少なくとも1つの機能化成分を含む機能化剤131を前記アパーチャ130に導入する段階を更に備える。
【0028】
好ましくは、導入時、前記機能化剤131は、インク又は粉末の形態である。
【0029】
好ましくは、導入時、前記機能化剤131は、顔料と、ブタノール、アニソール、テルピネオール、ポリプロピレングリコール、無水イソプロパノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒とを含む。
【0030】
好ましくは、前記保護層(132)は、ALD(原子層堆積)方法又はスパッタリング方法によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示の目的は、図面内の例示的な実施形態によって示される。
【0032】
【
図1A】本開示の様々な実施形態に係るPVデバイスのPVセルの主要要素を示す断面図の概略表現である。
【
図1B】本開示の様々な実施形態に係るPVデバイスのPVセルの主要要素を示す断面図の概略表現である。
【
図1C】本開示の様々な実施形態に係るPVデバイスのPVセルの主要要素を示す断面図の概略表現である。
【
図1D】本開示の様々な実施形態に係るPVデバイスのPVセルの主要要素を示す断面図の概略表現である。
【
図1E】本開示の様々な実施形態に係るPVデバイスのPVセルの主要要素を示す断面図の概略表現である。
【
図1F】本開示の様々な実施形態に係るPVデバイスのPVセルの主要要素を示す断面図の概略表現である。
【
図2A】全体図及び2つの断面
図A-A、B-Bにおいて示される2つのPVソーラーセルを備える、本開示の透光性のPVデバイスを示す図である。
【
図2B】全体図及び2つの断面
図A-A、B-Bにおいて示される2つのPVソーラーセルを備える、本開示の透光性のPVデバイスを示す図である。
【
図3】機能化剤を導入する前のアパーチャのFIB-SEM写真である。
【
図4A】インクの形態の機能化剤の4つの組成物の写真である。
【
図4B】緑色インクの形態の機能化剤が充填されたアパーチャを有するPVセルを備えるPVデバイスの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示に係るPVデバイスは、アパーチャが内部に形成された少なくとも1つのPVセル、好ましくは複数のPVセルを備える。
【0034】
アパーチャには、少なくとも1つのタイプの機能化剤が充填され、機能化剤は、1つ以上の機能化成分を含む単一化合物の物質又は多元化合物の物質のいずれかであってよい。機能化剤は、PVデバイスの改善された機能性を提供する。その化学的特性に応じて、機能化剤は、次のもの、すなわち、PVデバイスの改善された安定性、PVデバイスの改善された美観、PVデバイスの改善された光管理、及び以下で詳細に説明される他の改善点のうちの少なくとも1つを提供し得る。
【0035】
図1A~
図1F及び
図2A~
図2Bに示されているように、本開示のPVデバイスは、光がPVデバイスの光活性層に到達することができるように、光が通過することができる透光性又は半透明基板120を備える。好ましくは、基板120は、基板120を容易に可逆的に変形させることができるように、好ましくはPET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチック製の、可撓性の薄いシート又は可撓性の箔であり、これにより、PVデバイスの可撓性が提供される。基板120は、PET、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)、PI(ポリイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PES(ポリエーテルスルホン)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)箔等の箔であってよい。その上、箔は、限られた透湿性を呈する金属酸化物層を備えるバリア箔(barrier foil)であってよく、したがって、これは、PVデバイスの作用層を水及び気体から保護し、それにより、その利用中のPVデバイス特性の劣化が限られたものになる。
【0036】
それにもかかわらず、必要性に応じて、基板120は、例えばガラスプレート等の厚い及び/又は耐久性がある及び/又は剛性の材料の形態のいずれかであってよい。さらに、基板は、合わせガラス(laminated glass)等の透光性積層体の形態であってよい。本開示によれば、基板120が光の通過を可能にする限り、基板120に様々な材料が使用されてよい。
【0037】
PVデバイスは、少なくとも1つの光起電力セル100を更に備える。PVセルの主要部は、
図1A~
図1Fの断面図において概略的に示されている。
【0038】
PVセルは、PVデバイスの作用層である層のスタック110を有する。層のスタック110は、
半透明材料製の、したがって光活性層111に光を透過させることが可能である前面電極層112と、
背面電極層113と、
前面電極層112と背面電極層113との間の光活性層111と
を含む。
【0039】
光活性層内では、光子が吸収され、一対の電荷、すなわち、電子及び正孔に変換される。これらの電荷は、それぞれ、背面電極層113及び前面電極層112に伝播する。
【0040】
前面電極層112は、少なくとも部分的に光に対して透明である、PVデバイスの電極に適した任意の材料製であってよい。例えば、前面電極層は、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化スズ)、ITO(インジウム酸化スズ)、IZO(インジウム酸化亜鉛)等からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでよい。前面電極層の厚さは、好ましくは10nm~10μmの範囲で変動してよい。
【0041】
光活性層111は、任意の適したペロブスカイト材料を含んでよい。ペロブスカイト層111のために好ましいペロブスカイト材料は、3次元ABX3ペロブスカイト構造を含み、これは、頂点共有BX6八面体の網状組織からなり、ここで、B原子は、二価金属カチオン(典型的には、Ge2+、Sn2+又はPb2+)であり、Xは、一価アニオン(典型的には、Cl-、Br-、I-)であり、Aカチオンは、総電荷の均衡を取るように選択され、これは、Cs+又は小分子種とすることができる。別のタイプは、構造:R2An-1BnX3n+1を有する、ルドルスデン-ポッパー(Ruddlesden-Popper)型及びディオン-ヤコブソン(Dion-Jacobson)型に分類することができる2次元ペロブスカイトであり、ここで、Rは、嵩高い有機カチオンである。フェニルエチルアンモニウム(PEA+)及びブチルアンモニウム(BA+)が、最も広く使用されるRカチオンである。
【0042】
光活性層は、CIGS(セレン化銅インジウムガリウム)、a-Si(アモルファスシリコン)、CdTe(テルル化カドミウム)、又はケステライト等の他の既知の光活性材料製であってもよい。
【0043】
背面電極層113は、単層構造又は多層構造を有してよい。背面電極層113は、透明又は不透明であってよく、任意の適した材料製であってよい。例えば、背面電極層113は、炭素又は金属、例えば、金、銀、銅、アルミニウム又は金属酸化物、例えば、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、ITO(インジウム酸化スズ)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)製であってよい。
【0044】
炭素背面電極層113は、高安定性(ペロブスカイト層から移動したイオンに対して無反応である)、低コスト、低温度を提供し、溶液処理が可能であり、アップスケールを容易にするスクリーン印刷又はブレードコーティング等の従来的な堆積技法によって堆積することができるので、炭素背面電極層113の使用は特に有利である。
【0045】
炭素背面電極層113は、カーボンブラック及びグラファイトの形態の炭素(及び場合によっては性能を改善するための追加の無機添加剤)を含んでよい。炭素層は、カーボンブラック及び導電性グラファイトのフレークをともに結合する高分子結合剤に起因して可撓性であってよい。その上、この層は、薄く、約20マイクロメートルであってよい。炭素背面電極層113を形成するために、ペーストの形態の炭素材料を供給することができる。炭素層113は、炭素ペーストをバックコンタクト堆積(back-contact deposition)として塗布することによって形成されてよい。ペーストの基本的な成分は、カーボンブラック、グラファイト、高分子結合剤、及びペロブスカイトと相溶性の溶媒系である。
【0046】
例えば、中国特許第104966548号によって参照される炭素ペーストは、溶媒系、すなわち、イソプロパノール、酢酸エチル及びクロロベンゼンを有して使用することができる。アクリル樹脂及びエチルセルロースがスラリーのための結合剤として使用され、フレーク状のグラファイトが導電性充填剤として使用され、ナノカーボンブラックパウダーが触媒として使用され、ZrO2又はNiOが無機添加剤として使用される。
【0047】
炭素ペーストは、半自動スクリーンプリンタを使用することによってデバイススタック上に堆積させることができる。印刷加工のために、156~250本/インチのポリエステルメッシュサイズ及び25N/cmを超えるスクリーン張力を有するスクリーンを選択することができる。堆積プロセスの後、溶媒を除去するとともに導電性を高めるために赤外線エミッタによって層をアニーリングすることができる。
【0048】
それにもかかわらず、必要性に応じて、上記で列挙されたような透明材料又は金属等の、炭素以外の材料が、背面電極層113のために使用されてよい。
【0049】
背面電極層113及び可撓性基板120、好ましくは例えばPET箔等の箔基板を備えるPVデバイスは、電極密着性の劣化を伴わずに可逆的に変形させることができるように、可撓性及び耐久性の双方を呈し、それにより、長い時間所望のレベルにおいてPVデバイスの性能が維持される。
【0050】
PVセル100の層111~113のスタック110は、既知のPVセルにおいて典型的に達成されるように、例えば、少なくとも1つの電荷輸送層、すなわち、それぞれ前面電極層112及び背面電極層113に正孔及び電子を輸送する前面電荷輸送層112a及び/又は背面電荷輸送層113a等の追加層を更に有してよい。追加の電荷輸送層112a、113a、すなわち、電子輸送層及び正孔輸送層を有する層のスタック110を備えるPVセル100のアーキテクチャが、
図1Bにおいて概略的に示されている。
【0051】
PVセル100のために使用される所望の作用特性及び機能材料に応じて、層のスタック110は、様々なアーキテクチャを有してよい。例えば、PVセル100のスタック110は、プレーナ型又はメゾスコピック型のいずれかでn-i-pアーキテクチャを有してよく、このアーキテクチャにおいて、背面電極層113はカソードを構成し、前面電極層112はアノード層を構成し、したがって、電荷を搬送する電荷輸送層112a及び113aは、それぞれ、光活性層111とアノード層112との間の電子輸送層112a、及び光活性層111とカソード層113との間の正孔輸送層113aである。
【0052】
別の実施形態では、PVセル100のスタック110は、プレーナ型又はメゾスコピック型のいずれかでp-i-nアーキテクチャを有してよく、このアーキテクチャにおいて、背面電極層113はアノードを構成し、前面電極層112はカソードを構成し、したがって、電荷を搬送する電荷輸送層112a及び113aは、それぞれ、光活性層111とカソード層112との間の正孔輸送層112a、及び光活性層111とアノード層113との間の電子輸送層113aである。
【0053】
正孔輸送層は、例えば、有機Spiro-OMeTAD(N2,N2,N2',N2',N7,N7,N7',N7'-オクタキス(4-メトキシフェニル)-9,9'-スピロビ[9H-フルオレン]-2,2',7,7'-テトラミン)/PTAA(ポリ(トリアリールアミン)/PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))/P3HT(ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)))又は無機(NiOx(酸化ニッケル)、CuSCN(チオシアン酸銅(I))、CuO(酸化銅(II))、MoOx(酸化モリブデン))材料からなる群から選択される材料のうちの少なくとも1つを含んでよい。電子輸送層は、例えば、TiOx(酸化チタン)、ZnO(酸化亜鉛)、PCBM(フェニル-C61-酪酸メチルエステル)又はOXD-7(1,3-ビス[2-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾ-5-イル]ベンゼン)、SnO(酸化スズ(II))からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでよい。
【0054】
1つの実施形態では、PVデバイスは、スタック110において、PET基板120上に層状化された次の材料、すなわち、AZO(112)/SnO2(112a)/ペロブスカイト(111)/PTAA(113a)/炭素(113)を含むn-i-pアーキテクチャのPVセルの層のスタック110を備える。PVセルの作用材料のそのような組み合わせの結果、それが低温になるとともに完全に溶液処理が可能になり、それにより、それが可撓性基板上でのデバイス製造に好適になる。
【0055】
PVデバイスの少なくとも1つのPVセル100の層のスタック110は、本開示によれば、少なくとも背面電極層113と光活性層111の少なくとも一部とを通って延びる少なくとも1つのアパーチャ130、好ましくは複数のアパーチャ130を有する。好ましくは、少なくとも1つのアパーチャ130は、スタックの全ての層111~113を通って延びる。アパーチャ130は、機能化剤131によって充填される。好ましくは、充填厚さ(T)がアパーチャ深さ(D)に等しくなるように、アパーチャ130の容積全体に機能化剤131が充填される。
【0056】
それにもかかわらず、特別な必要性及び所望の機能性に応じて、充填厚さ(T)は、アパーチャ深さ(D)未満であってよく、したがって、アパーチャ130の容積には、機能化剤131が部分的に充填されてよい。機能性における目に見える改善を提供するために、充填厚さ(T)は、アパーチャ深さ(D)の(
図1Cに示されているように)少なくとも20%を構成するべきである。より好ましくは、充填厚さ(T)は、アパーチャ深さの(
図1Dに示されているように)少なくとも50%を構成するべきである。最も好ましくは、充填厚さ(T)は、アパーチャ深さの(
図1Eに示されているように)少なくとも75%を構成するべきである。
【0057】
本発明の更に別の実施形態では、
図1Fに示されているように、追加のパッシベーション層、すなわち、前面パッシベーション層112b、及び背面パッシベーション層113bが、光起電力デバイス100の光活性層111と電荷輸送層112a、113aとの間に組み込まれてよい。パッシベーション層112b、113bは、光活性材料111と電荷輸送層112a、113aとの間の界面における非放射性再結合を低減又は阻害する手段として機能する。これは、イオン結合すること、材料を配位結合すること、及び表面を光活性材料111のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する領域に変換することによって達成することができる。パッシベーション層112b、113bは、ルイス(Lewis)の酸及び塩基、アニオン及びカチオン、双性イオン、半導体及び絶縁体からなる群から選択される材料製であってよい。少数の非網羅的な例としては、光活性層のバルクとは異なる組成を有するペロブスカイト材料、絶縁体(例えば、ポリマー、例えばPMMA(ポリ(メチルメタクリレート))、小分子、例えばBCP(バソクプロイン)、PCBM(フェニル-C61-酪酸メチルエステル)及びその誘導体、自己組織化単分子膜(SAM)等)、イオン材料、例えば:NaCl、KI、及び金属酸化物、例えばAlO
x(例えば、Al
2O
3)が挙げられる。パッシベーション層112b、113bの厚さは、必要性に応じて選択されてよく、これは、光起電性能を改善するが、その存在は、レーザパターニングを介して透光性デバイスを製造するのに必要とされるプロセスに著しくは影響を与えない。
【0058】
アパーチャの充填材を構成する機能化剤131は、少なくとも1つの機能化成分、好ましくは2つ以上の機能化成分を含む。
【0059】
機能化剤131は、その化学組成に応じて、不透明材料、半透明材料又は透明材料を構成してよい。透明性又は半透明性を呈する機能化剤131は、アパーチャ130の光透過性を提供し、それにより、本開示に係るPVデバイスの半透明性が提供される。
【0060】
機能化剤131は、その所望の機能に応じて、好ましくは、以下の機能化成分のうちの少なくとも1つを含んでよい:
ユーザにとって可視であるPVデバイスの彩度を提供する、着色成分、例えば顔料又は染料、例えば:スマルト(コバルトガラス)、エジプシャンブルー(ケイ酸カルシウム銅)、アジュライト、ネープルスイエロー、マラカイト、クリソコラ、エジリン、緑簾石、フロレンティングリーン(Florentine green)、バーガンディイエロー;
PVデバイスの蛍光及び/又は燐光を提供する、蛍光及び/又は燐光成分、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、アルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4)、硫化カルシウム(CaS);
PVデバイス中の含水量の減少を提供する、吸湿材成分、例えば、シリカ、又は他の乾燥剤、例えば、硫酸カルシウム(CaSO4)、塩化カルシウム(CaCl2);
PVデバイスの再帰反射特性を提供する、再帰反射成分、例えばアルミニウム被覆チタン酸バリウムガラスマイクロスフェア;
PVデバイスの構造内に改善された導光を提供する、発光太陽集光器(luminescent solar concentrator)として使用される、量子ドット、例えばシリカシェルに封入されたCdSe/CdZnS-QD;
PVデバイスの機械的強度を改善する成分、例えば、固体アクリルマイクロスフェア;
赤外光線が外部へ散乱し、光線を内部に通過させないことで、夏の間は部屋が冷涼に維持され、冬の間は光線を部屋の内部に跳ね返すことによってその逆になる、屋根又は窓上のPVデバイス(BIPV-建材一体型PV)の断熱を提供する、断熱材、例えばホウケイ酸ナトリウムガラスマイクロスフェア;
反射損失の低減を助けて光活性材料の吸光を改善することによって光活性材料の改善された吸光を提供する、光キャビティとして機能するマイクロスフェア、例えば「High refractive-index microspheres of optical cavity structure」(Yusuke Arai他著、Appl. Phys. Lett. 82,3173(2003))において開示されるマイクロスフェア;
光活性層に向かう所望の光散乱を提供する、プラズモン効果を呈する金属ナノ粒子、例えば薄い銀(Ag)プラズモンナノ構造の層。散乱は、金属ナノ粒子のサイズ及び濃度を変更することによって異なる波長において更に調節することができ、
スペクトルを下方シフトする粒子は、より高いエネルギーの(例えば、人間の目に可視ではない)光子を吸収し、その後、より低いエネルギーの(例えば、人間の目に可視である)光子を放出することができ、それにより、PVデバイスの光活性特性が改善されるとともに、下方シフト効果が提供され、
スペクトルを上方シフトする粒子は、より低いエネルギーの(例えば、人間の目に可視ではない)光子を吸収し、その後、より高いエネルギーの(例えば、人間の目に可視である)光子を放出することができ、それにより、PVデバイスの光活性特性が改善されるとともに、上方シフト効果が提供される。
【0061】
加えて、機能化剤131は、他の成分を含んでよく、それにより、機能化剤131の組成の所望の一貫性及び安定性が提供される。そのような成分の非限定的な例は、溶媒、希釈剤、可溶化剤、安定剤、分散剤、又は界面活性剤である。
【0062】
機能化剤131の成分として使用することができる溶媒の非限定的な例は、ブタノール、無水イソプロパノール、エタノール、アニソール、テルピネオール及びポリプロピレングリコールである。
【0063】
機能化剤131の構成成分がPVデバイスの作用層、特に光活性層の材料に悪影響を及ぼし得るので、保護層(132)は、機能化剤(131)とアパーチャ130の内壁との間に設けられる。
【0064】
それゆえ、保護層132の存在に起因して、概してPVセル作用層の1つ以上の材料に悪影響を及ぼす化合物も、機能化剤131の成分として使用されてよい。したがって、絶縁材料のコーティング材、例えばAlO
x、例えばAl
2O
3又はLiF(フッ化リチウム)又はBCP(バソクプロイン)等の、
図1A、
図1C~
図1Eに示されるような保護層132は、アパーチャ130に機能化剤131を充填する前に、アパーチャ130の内壁に適用される。そのような保護層は、光活性材料を、機能化剤131成分、更には不利に作用する分子を含む成分から、有効に分離することができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、PVデバイスの単一のPVセル内の全てのアパーチャ130に、同じ機能化剤131が充填されてよい。他の実施形態では、単一のPVセル内のアパーチャのうちの或る部分には、或る組成の機能化剤131が充填されてよく、かつ、同じPVセル内のアパーチャ130の別の部分には、別の組成の機能化剤131が充填されてよい。後者の場合、充填手順は、アパーチャの或る部分のみを充填するための第1のアパーチャパターンを含む第1のマスクの使用、を含む、少数の段階において達成されてよいが、その一方で、後続の工程において、アパーチャの残りの部分に上記別の組成の機能化剤131を充填するために、第2のアパーチャパターンを含む第2のマスクが使用されてよい。
【0066】
機能化剤131の様々な一貫性が可能である。
【0067】
例えば、機能化剤131は、液体、例えば、液体インクの形態であってよい。
図4Aは、アパーチャ130に充填するための機能化剤131として使用することができる4つのインクの写真を示している。インクは、必要性に応じて、任意の色、例えば、緑色、黄色、赤色、クリムゾン等とすることができる。
【0068】
別の実施形態では、機能化剤131は、固体又は半固体の形態、例えば、粉末、例えば、乾燥インク、ペースト、ゾル、又はゲルを有してよい。
【0069】
機能化剤131の機能化成分は、様々なサイズであってよく、好ましくは、ナノメートル~マイクロメートルの範囲のサイズであってよい。そのような寸法により、アパーチャ130内部の中の機能化成分の均一な分散が可能になる。選択されるサイズ範囲は、堆積プロセスの選択における融通性を更に提供する。インクジェット印刷は、ナノメートルの範囲の粒子を有するのに適している。従来的なスクリーン印刷プロセスの場合、粒子は、ミクロンの範囲である。
【0070】
異なる機能化剤131は、成分のタイプ及び所望の機能性に応じて、異なる総濃度の機能化成分を含んでよい。例えば、機能化剤中に存在する機能化成分の総量は、10%~100%の範囲であってよい。
【0071】
例えば、機能化剤は、吸湿材として機能するシリカ(SiO2)を含んでよい。
【0072】
別の実施形態では、1つの機能化成分が1つ以上の機能性を提供してよい。例えば、機能化剤の組成に導入されるシリカ(SiO2)は、着色剤及び吸湿剤の両方として機能してよい。
【0073】
とりわけ機能化剤131の一貫性に応じて、アパーチャ130に機能化剤131を充填するのに様々な方法が使用されてよい。アパーチャ130に、保護層132を含む機能化剤131を導入する方法の非限定的な例としては、熱蒸着、物理気相成長、スパッタリング及び「ホッパーノズル(hopper nozzle)」(「Direct-write deposition of fine powders through miniature hopper-nozzles for multi-material solid freeform fabrication」(Kumar Pranav他著、Rapid Prototyping Journal, Volume 10, Number 1 DOI 10.1108/13552540410512499)において開示されるホッパーノズル等)が挙げられる。
【0074】
さらに、高揮発性溶媒系によって担持されるインクの形態の機能化剤131は、エアブラシ、スプレーコーティング又はエアロゾル堆積技法を使用することによって、アパーチャ内に堆積してよい。そのような方法は、溶媒分子のアパーチャ130への拡散を大幅に制限し、それにより、PVセルの作用材料に対するそれらの破壊的影響が制限される。
【0075】
それゆえ、アパーチャ130に機能化剤131を充填する前に実行される初期段階において、アパーチャ130の内壁の表面に、無機(AlOx、LiF等)又は有機(BCP(バソクプロイン)、PMMA等)とすることができる保護層が被覆されてよい。この初期段階は、機能化剤131の組成が、PVセル100の作用層に悪影響を及ぼし得る1つ以上の成分を含む場合に、PVセルの材料に対する保護を提供する。適用された保護層132は、PVセルの作用層、すなわち、111、112、113、112a、113aの、例えば、望ましくない化学反応を防止する。
【0076】
例えばAlOxの薄い保護層132は、アパーチャ130の形成後に堆積する。薄い保護層132の堆積は、例えば、次の方法、すなわち、ALD又はスパッタリングのうちの少なくとも一方によって達成されてよい。
【0077】
幾つかの実施形態では、アパーチャ130への機能化剤131の導入に続いて、機能化剤131は、製品の最終特性を獲得するために、例えば、乾燥、又は架橋等の更なる処理を必要とし得る。それゆえ、更なる処理の選択される方法は、適用される場合、機能化剤の組成に依存する。例えば、液体インクの形態の機能化剤は、溶媒蒸発を必要とし得る。
【0078】
保護層132が設けられ、その後機能化剤131が充填されるアパーチャ130は、様々な形状、例えば、円形、楕円形、三角形、矩形、正方形、及び菱形からなる群から選択される少なくとも1つの形状を有してよい。例えば、多色インクを構成する機能化剤131が充填されるアパーチャ130は、特化した美的効果を視認者に与えるために様々な形状を有するアパーチャからなるパターンを作成してよい。
【0079】
図2Aにおいて概略的に示されたように、アパーチャ130の内部は、2つの別個のPVセル間の空間を貫通しない。さらに、単一のPVセル内のアパーチャは、単一のPVセル内で生成された全ての電荷を回収するように、層のスタック110の作用材料(光活性エリア)が、アパーチャ130間に提供される連続経路の形態を取るように配置される。
【0080】
アパーチャ130は、必要性に応じて、PVセル内で均一に又は不均一に分散してよい。単一のPVセル内のアパーチャは、同じ面積又は異なる面積を有してよい。それらは、円形、矩形、三角形、又は他の形状とすることができる。好ましくは、各アパーチャ130は、2つの隣接するアパーチャ130間で様々な間隔を有する状態で、10μm2~1000cm2の範囲の面積を有してよい。例えば、2つの隣接するアパーチャ130間の間隔は、(レーザの分解能に応じて)1μm~100cmの範囲とすることができる。複数のレーザスポットを、互いに隣り合わせて、又は互いに重ね合わせて形成することができる。
【0081】
PVデバイスの1つの実施形態では、保護層132が設けられたアパーチャには、透明又は半透明機能化剤131が充填されてよく、それゆえ、アパーチャ130の光透過性、及びしたがって、PVデバイスの半透明性が提供される。
【0082】
そのような実施形態では、マイクロメートル寸法のアパーチャ130の実質的に均一な分散は、上記を所与とすると、巨視的規模において視認者にとって可視である、改善された半透明性の印象という更なる利点を提供する。とりわけ、これは、半透明機能化剤131が充填されるアパーチャ130の選択された寸法及び間隔によってもたらされる。
図4Bは、緑色インクを構成する半透明機能化剤131がアパーチャ130に充填されたそのような半透明PVデバイスの写真を提示している。
【0083】
本開示の半透明PVデバイスは、例えば、建築物の正面又は窓のための建材一体型光起電力装置(BIPV)、自動車窓、バス、列車、路面電車等の公共輸送機関の窓のための車両一体型光起電力装置等の様々な用途において使用されてよい。本開示のPVデバイスは、モノのインターネット技術(IoT)、自律センサ、スマート家具(smart furniture)等を含む他の用途において更に使用されてよい。
【0084】
図4Bにおいて見て取ることができるように、機能化剤131が充填されたアパーチャ130は、パターンを形成するが、その一方で、PVデバイスは、機能化剤が充填されていない追加の空のアパーチャ130を備える。1つのPVデバイス内の充填されたアパーチャ130及び空のアパーチャ130の編成により、マーケティングロゴ又は他のパターンを提供する等の、多色PVデバイスの美的効果の更なる改善が提供される。
【0085】
アパーチャ130は、例えばパターン形成のためのレーザスクライビング、又は機械的スクライビング等の様々な方法によってPVセル100の層のスタック110内に形成されてよい。
【0086】
しかしながら、アパーチャ130の形成の好ましい方法は、レーザアブレーションである。なぜならば、これが高速のプロセスであり、任意の形状をパターニングすることができ、このプロセスが、使用されるレーザパラメータに基づいて選択的に層をアブレーションすることができるためである。
【0087】
その上、アパーチャ130を形成する機械的スクライビング技法は、高価な設備を必要とせず、かつレーザ技法において使用されるような波長、周波数等のパラメータの数に依存しないため、特に適している。
【0088】
背面電極層113の材料として炭素が使用されるPVセルの実施形態の場合、レーザスクライビング技法が、PVセルのスタックの層を通って延びるアパーチャ130を形成するのに特に有利である。レーザ処理中の炭素背面電極層113は、完全な酸化燃焼を経験すると考えられる。それゆえ、炭素材料は、レーザ-炭素相互作用の副産物によるアパーチャ130の内部の汚染を伴うことなく、レーザによって除去される。不透明背面電極層113のために一般に使用される金属材料とは異なり、おそらく、炭素は、レーザビームとの相互作用の際、溶融も蒸発もせず、それにより、上記で説明された効果が提供される。この理由で、アパーチャ130は、背面電極層113の残留した除去されない材料を含まず、これにより、短絡効果及び(炭素層が溶融しないので)炭素層の剥離の除去が更に提供される。アパーチャ130の内部が汚染されないので、アパーチャ130に導入される保護層132及び機能化剤131は、そのような汚染による影響を受けずに作用することができる。
【0089】
PVデバイスの製造の方法は、プラスチック箔等の透明又は半透明基板120を提供する段階と、PVセル100の作用層のスタック110を形成する段階とを備え、好ましくは、層は、基板120上に1層ずつ形成される。1つよりも多いPVセル100が基板120上で形成される場合、スタック110内のそれぞれの層の形成同士の間で、接点の形成を含む、レーザパターニング等の特定のパターニング段階を実行して、適切なデバイスアーキテクチャが提供されてよい。それぞれのPVセルの層のスタック110の調製後、スタック110の層を通って延びるアパーチャ130が形成される。
【0090】
図2Bは、2つのPVセルを備える本開示のPVデバイスを調製するためにレーザパターニングを利用する方法の例示的な実施形態を示している。方法は、プラスチック箔等の透光性基板120を提供する段階と、以下で説明されるような連続した堆積及びレーザパターニング段階P1~P4によって、PVセル100の作用層のスタック110を形成する段階とを備える。例えば、
図2Bに示されているように、レーザパターニングP1による前面電極を除去する段階が、別個のセルエリアを作成するために実装されてよい。前面電極の材料に応じて、P1パターニングにおいて様々なレーザが使用されてよく、例えば、透明導電性酸化物(TCO)の場合、典型的には赤外線レーザが使用される。第2のレーザパターニング-P2は、前面電極層112上への前面電荷輸送層112aの堆積後に必要とされてよく、前面電荷輸送層は、p-i-n又はn-i-pのいずれかのPVセルアーキテクチャに応じて、電子輸送層又は正孔輸送層のいずれかであってよい。レーザパターニングP2は、前面電荷輸送層112aを局所的に除去する。通常、P2パターニングにおいて、IR又は他の可視レーザが使用されてよい。
【0091】
次に、背面電極層113が堆積し、パターニング段階P3が実行されて、個々のセルの境界が画定されるか、又は個々のセルが分離される。
【0092】
P3パターニング段階の完了後、スタック110は、レーザパターニングP4を受け、その結果、少なくとも1つ、好ましくは複数の光透過アパーチャ130が、PVセル100のその作用層のスタック110内に、アパーチャ130が少なくとも背面電極層113と、光活性層111の少なくとも一部とを通って延びるように、形成される。これは、不透明背面電極113の場合に特に重要である。なぜならば、これにより、PVセルが光透過性になるためである。任意選択で、光透過率を更に改善するために、アパーチャ130は、背面電極層113から前面電極層112までスタック110の全ての層を通って延びてよい。
【0093】
P4パターニングにおいて、レーザは、基板120とは対照的に、スタック110に影響を及ぼす。
【0094】
背後電極113が炭素製である場合、各光透過アパーチャ130は、アパーチャ130の深さに沿って除去されることになるPVセルのスタック110の層にレーザビームが一度に貫通するように、単一段階のレーザ処理において作製される。次に、保護層132は、アパーチャ130の内壁上に形成される。
【0095】
その後、アパーチャには、機能化剤131が充填され、それに引き続き、機能化剤131の化学組成に応じて、その任意選択の処理が行われる。
【0096】
実施例1:レーザパターニングされたアパーチャを有する半透明PVデバイスの調製。
【0097】
n-i-pアーキテクチャのPVデバイスを、EASTMAN社製のAZO薄(300nm)層が適用された可撓性PET基板(箔)上に製造した。残りの作用層は、スピンコーティングによって基板上に1層ずつ堆積させた:SnO2(電子輸送層として)、化学量論比Cs0.05(MA0.17FA0.83)0.95Pb(I0.83Br0.17)3を有するペロブスカイト(光活性層として)(ここで、Csはセシウムであり、MAはメチルアンモニウムであり、FAはホルムアミジンであり、Pbは鉛であり、Iはヨウ素であり、Brは臭素である)、及びPTAA(ポリ(トリアリールアミン))(正孔輸送層)。バックコンタクト(背面電極層)のために、EMS社製の炭素ペースト(CI-2042)をブレードコーティングし、約80℃の温度で5分間、ガス焼き入れ方法によってアニーリングした。
【0098】
炭素ペーストの厚さは、FIB-SEMを介して、約20Ω/sqのシート抵抗を提供する20μmであると測定された。その後、デバイスを、Rofin-Power line社製の1064nm Nd:YAG Nanosecond laserを使用してレーザパターニングした。デバイス作用層の頂部にそれぞれ200μmの直径及び500μmの間隔でスポット(アパーチャ)のマトリクスをアブレーションすることによってアパーチャを形成することによって半透明性を達成した。次の構造式のPVデバイスを得た:PET/AZO/SnO
2/CH
3NH
3PbI
3(ヨウ化メチルアンモニウム鉛)/PTAA/炭素。レーザパターニングされたアパーチャのFIB-SEM(集束イオンビーム走査型電子顕微鏡)画像は、
図3に示されている。次に、絶縁材料Al
2O
3の保護層を、アパーチャの内壁上に形成した。
【0099】
実施例2:機能化剤の組成としてのインクの調製、及びそれに引き続く、PVデバイスのアパーチャへのインクの充填。
【0100】
インクは、アニソール中に250mg/mlのPMMA(ポリ(メチルメタクリレート))を混合することによって調合し、保存液を形成した。保存液に5mgのKremer Green及びKremer Blueの顔料を添加し、
図4Aに示された別個のインクを作成した。実施例1において得られたPVデバイスのアパーチャ130にインクをドロップキャストし、溶媒を除去するために80℃においてオーブン内で5分間乾燥し、最終的に着色されたPVデバイスを形成した。
図4Bは、得られたPVデバイスのうちの1つを示している。
【0101】
実施例3:更なる実施形態 1mlのクロロホルム中に50mgのKremer blue顔料を混合することによってインクを調合した。インクは、エアブラシコーティング機を使用して実施例1において得られたPVデバイスのアパーチャ130内に堆積させた。堆積プロセス中、クロロホルムは、空気中に蒸発し、顔料のみがアパーチャ130に到達する。これは、迅速に蒸発し、PVデバイスには到達しないクロロホルムの低沸点及び高い蒸気圧に起因する。
[他の考えられる項目]
[項目1]
半透明基板(120)及び少なくとも1つの透光性の光起電力(PV)セル(100)を備える光起電力(PV)デバイスであって、前記PVセル(100)は、前記基板(120)上に配置された層のスタック(110)を有し、前記スタック(110)は、
前面電極層(112)と、
背面電極層(113)と、
前記前面電極層(112)と前記背面電極層(113)との間の光活性層(111)と
を含み、前記前面電極層(112)及び前記背面電極層(113)のうちの一方は、前記PVセル(100)のアノードを構成し、他方は前記PVセル(100)のカソードを構成し、
前記スタック(110)は、少なくとも前記背面電極層(113)と前記光活性層(111)の少なくとも一部とを通って延びるアパーチャ(130)を更に含み、
前記アパーチャ(130)は、着色成分、蛍光及び/又は燐光成分、吸湿材、再帰反射成分、PVデバイスの構造内の導光を改善する量子ドット、前記PVデバイスの機械的強度を改善する成分、断熱材、光キャビティとして機能するマイクロスフェア、プラズモン効果を呈する金属ナノ粒子、スペクトルを下方シフトする粒子及びスペクトルを上方シフトする粒子からなる群から選択される少なくとも1つの機能化成分を含む機能化剤(131)を含むことを特徴とする、PVデバイス。
[項目2]
前記光活性層(111)は、ペロブスカイト層である、項目1に記載のPVデバイス。
[項目3]
前記アパーチャ(130)は、前記機能化剤(131)によって、前記アパーチャ(130)の深さ(D)の少なくとも20%の厚さ(T)まで充填される、先行する項目のうちのいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目4]
前記アパーチャ(130)は、前記機能化剤(131)によって、前記アパーチャ(130)の深さ(D)全体にわたって充填される、先行する項目のいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目5]
前記機能化剤(131)は、半透明又は不透明である、先行する項目のいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目6]
前記アパーチャ(130)の面積は、10μm2~1000cm2である、先行する項目のいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目7]
前記PVセル(100)の層の前記スタック(110)は、
前記光活性層(111)と前記前面電極層(112)との間に配置された前面電荷輸送層(112a)と、
前記光活性層(111)と前記背面電極層(113)との間に配置された背面電荷輸送層(113a)と
を更に含む、先行する項目のいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目8]
前記ペロブスカイト層(111)と前記前面電荷輸送層(112a)との間に配置された前面パッシベーション層(112b)及び/又は前記ペロブスカイト層(111)と前記背面電荷輸送層(113a)との間に配置された背面パッシベーション層(113b)を更に備える、項目2に従属したときの項目7に記載のPVデバイス。
[項目9]
前記背面電極層(113)は不透明電極である、先行する項目のいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目10]
前記アパーチャ(130)の内壁と前記機能化剤(131)との間に絶縁材料の保護層(132)を更に備える、先行する項目のいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目11]
前記機能化剤(131)の前記機能化成分は、様々なサイズを有する、先行する項目のいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目12]
前記保護層132は、AlOx、Al2O3、LiF(フッ化リチウム)及びBCP(バソクプロイン)からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、先行する項目のいずれか1項に記載のPVデバイス。
[項目13]
少なくとも1つの光起電力(PV)セル(100)を備えるPVデバイスを調製する方法であって、
半透明基板(120)を提供する段階と、
前記基板(120)上に前記PVセル(100)の層のスタック(110)を形成する段階であって、前記スタック(110)は、前面電極層(112)、背面電極層(113)、及び前記前面電極層(112)と前記背面電極層(113)との間の光活性層(111)を含み、前記前面電極層(112)及び前記背面電極層(113)のうちの一方は、前記PVセル(100)のアノードを構成し、他方は前記PVセル(100)のカソードを構成する、段階と、
前記PVセル(100)の層の前記スタック(110)内にアパーチャ(130)を形成する段階であって、前記アパーチャ(130)は、少なくとも前記背面電極層(113)と前記光活性層(111)の少なくとも一部とを通って延びる、段階と
を備え、前記方法は、
着色成分、蛍光及び/又は燐光成分、吸湿材、再帰反射成分、PVデバイスの構造内の導光を改善する量子ドット、前記PVデバイスの機械的強度を改善する成分、断熱材、光キャビティとして機能するマイクロスフェア、プラズモン効果を呈する金属ナノ粒子、スペクトルを下方シフトする粒子及びスペクトルを上方シフトする粒子からなる群から選択される少なくとも1つの機能化成分を含む機能化剤(131)を前記アパーチャ(130)に導入する段階を更に備えることを特徴とする、方法。
[項目14]
導入時、前記機能化剤(131)は、インク又は粉末の形態である、項目12に記載の方法。
[項目15]
導入時、前記機能化剤(131)は、顔料と、ブタノール、アニソール、テルピネオール、ポリプロピレングリコール、無水イソプロパノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒とを含む、項目12又は13に記載の方法。
[項目16]
前記保護層(132)は、ALD(原子層堆積)方法又はスパッタリング方法によって提供される、項目12~14のいずれか1項に記載の方法。