(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】セルフクランプトルクアダプタ
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20241016BHJP
B25B 13/18 20060101ALI20241016BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B23Q3/06 303G
B25B13/18
B25B21/00 H
(21)【出願番号】P 2023517711
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 US2021042060
(87)【国際公開番号】W WO2022060463
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-05-15
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】レミー,クリストファー ディー.
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-059118(JP,A)
【文献】実開昭53-123588(JP,U)
【文献】特開平11-114868(JP,A)
【文献】国際公開第2007/123550(WO,A1)
【文献】特開2017-094429(JP,A)
【文献】実開昭59-156711(JP,U)
【文献】特開2018-111176(JP,A)
【文献】特開2000-126915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06 - 3/14
B25B 13/18
B25B 21/00
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を有するツールベース;
前記ツールベースに回転可能に結合され、前記中心軸周りに前記ツールベースに対して回転するように構成された中心ハブであって、トルク入力を受けるように構成されたトルク入力部材を有する中心ハブ;
前記ツールベースにスライド可能に結合され、ラジアル軸に沿って二方向に変位するように構成された複数のクランプ;及び
前記複数のクランプの各々を前記中心ハブに結合するカムアクチュエータ機構であって、前記ツールベースに対する前記中心ハブの回転は、前記カムアクチュエータ機構に前記複数のクランプの各々を径方向に移動させる、カムアクチュエータ機構;を有
し、
前記ツールベースは、径方向に延びる複数の直線スロットを有し、前記複数のクランプの各々は、前記複数の直線スロットのうちの1つの直線スロットを通って延びる少なくとも1つのボルトによって前記ツールベースにスライド可能に結合され、
前記ボルトの各々は、それぞれの直線スロットによって径方向の移動を制限され、したがって、前記複数のクランプの各々の停止部を提供し、したがって、前記複数のクランプの径方向の移動を制限する、
セルフクランプトルクアダプタ。
【請求項2】
前記複数のクランプの
うちの1つのクランプを径方向に付勢する少なくとも1つのばねをさらに有する、
請求項1に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項3】
前記複数のクランプの各々は、それぞれのクランプとクランプされる物体との間の摩擦を増加させるように構成された摩擦調整器を有する、
請求項1に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項4】
前記中心ハブは複数の湾曲スロットを有し、前記カムアクチュエータ機構は、複数のシャフトであって、各シャフトが前記複数の
湾曲スロットのそれぞれのスロットに配置される、複数のシャフトを有し、各シャフトは、前記複数のクランプのそれぞれのクランプに結合される、
請求項1に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項5】
前記カムアクチュエータ機構は、前記湾曲スロットの構成によって制限される移動範囲を含み、したがって前記複数のクランプの各々の
停止部を提供し、したがって前記複数のクランプの径方向の移動を制限する、
請求項4に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項6】
前記
停止部は、径方向外向き方向又は径方向内向き方向の少なくとも1つにおける前記複数のクランプの移動を制限する、
請求項5に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項7】
前記複数の湾曲スロットの各々の
幾何学的中心が、前記複数の湾曲スロットそれぞれと前記中心軸との間に位置する、
請求項4に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項8】
前記複数の湾曲スロットの各々の
幾何学的中心が、前記複数の湾曲スロットそれぞれと前記中心軸との間の領域の外側に位置する、
請求項4に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項9】
前記中心軸と、
前記湾曲スロットの延在方向において前記湾曲スロットの中点からオフセットさ
れた位置にある前記湾曲スロット内の点との間の距離が、前記中心軸と前記中点との間の距離より大きい又は小さいのいずれか一方であること、
請求項4に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項10】
前記複数のクランプの各々がデフォルト位置を持ち、前記複数のクランプの各々が前記デフォルト位置にある状態で、前記ツールベースに対する前記中心ハブの反時計回りの回転が、前記複数のクランプの各々を前記デフォルト位置に対する第1の方向に移動させ、前記ツールベースに対する前記中心ハブの時計回りの回転が、前記複数のクランプの各々を同様に前記デフォルト位置に対する前記第1の方向に移動させる、
請求項1に記載のセルフクランプトルクアダプタ。
【請求項11】
物体であって、トルク受け面と回転軸を有する物体と;
セルフクランプトルクアダプタであって:
前記回転軸に位置合わせされる中心軸を持つツールベース;
前記ツールベースに回転可能に結合され、前記中心軸周りに前記ツールベースに対して回転するように構成された中心ハブであって、トルク入力を受けるように構成されたトルク入力部材を有する中心ハブ;
前記ツールベースにスライド可能に結合され、前記トルク受け面にクランプ力を加えるためにラジアル軸に沿って二方向に変位するように構成された複数のクランプ;及び
前記複数のクランプの各々を前記中心ハブに結合するカムアクチュエータ機構であって、前記ツールベースに対する前記中心ハブの回転が、前記複数のクランプの移動に応じて前記物体に可変のクランプ力を提供するように、前記カムアクチュエータ機構に前記複数のクランプの各々を径方向に移動させる、カムアクチュエータ機構;を有
し、
前記ツールベースは、径方向に延びる複数の直線スロットを有し、前記複数のクランプの各々は、前記複数の直線スロットのうちの1つの直線スロットを通って延びる少なくとも1つのボルトによって前記ツールベースにスライド可能に結合され、
前記ボルトの各々は、それぞれの直線スロットによって径方向の移動を制限され、したがって、前記複数のクランプの各々の停止部を提供し、したがって、前記複数のクランプの径方向の移動を制限する、セルフクランプトルクアダプタと;
を有する、トルク付与システム。
【請求項12】
前記クランプの各々と前記トルク受け面との間に配置された摩擦調整器をさらに有する、
請求項
11に記載のトルク付与システム。
【請求項13】
前記中心ハブは複数の湾曲スロットを有し、前記カムアクチュエータ機構は、複数のシャフトであって、各シャフトが前記複数の
湾曲スロットのそれぞれのスロットに配置される、複数のシャフトを有し、各シャフトは前記複数のクランプのそれぞれのクランプに結合される、
請求項
11に記載のトルク付与システム。
【請求項14】
前記複数の湾曲スロットの各々の
幾何学的中心が、前記複数の湾曲スロットそれぞれと前記中心軸との間に位置する、
請求項
13に記載のトルク付与システム。
【請求項15】
前記複数の湾曲スロットの各々の
幾何学的中心が、前記複数の湾曲スロットそれぞれと前記中心軸との間の領域の外側に位置する、
請求項
13に記載のトルク付与システム。
【請求項16】
前記複数のクランプの各々はデフォルト位置を持ち、前記複数のクランプの各々が前記デフォルト位置にある状態で、前記ツールベースに対する前記中心ハブの反時計回りの回転は、前記複数のクランプの各々を前記デフォルト位置に対する第1の方向に移動させ、前記ツールベースに対する前記中心ハブの時計回りの回転は、前記複数のクランプの各々を同様に前記デフォルト位置に対して前記第1の方向に移動させる、
請求項
11に記載のトルク付与システム。
【請求項17】
物体にトルクを付与する方法であって:
前
記物体の端部の近くにセルフクランプトルクアダプタを位置決めするステップであって、前記セルフクランプトルクアダプタは:
前
記物体の回転軸と位置合わせされる中心軸を持つツールベース;
前記ツールベースに回転可能に結合され、前記中心軸周りに前記ツールベースに対して回転するように構成された中心ハブであって、トルク入力を受けるように構成されたトルク入力部材を有する中心ハブ;
前記ツールベースにスライド可能に結合され、ラジアル軸に沿って二方向に変位するように構成された複数のクランプ;及び
前記複数のクランプの各々を前記中心ハブに結合するカムアクチュエータ機構であって、前記ツールベースに対する前記中心ハブの回転が、前
記物体に可変のクランプ力を提供するように、前記カムアクチュエータ機構に前記複数のクランプの各々を径方向に移動させる、カムアクチュエータ機構;を有
し、
前記ツールベースは、径方向に延びる複数の直線スロットを有し、前記複数のクランプの各々は、前記複数の直線スロットのうちの1つの直線スロットを通って延びる少なくとも1つのボルトによって前記ツールベースにスライド可能に結合され、
前記ボルトの各々は、それぞれの直線スロットによって径方向の移動を制限され、したがって、前記複数のクランプの各々の停止部を提供し、したがって、前記複数のクランプの径方向の移動を制限する、
ステップと;
前記中心ハブを前記ツールベースに対して回転させ、前
記物体にクランプ力を加えるように前記複数のクランプの各々を径方向に移動させるように、前記トルク入力部材にトルクを加えるステップと;を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アセンブリのコンポーネントは、多くの場合、ねじ式(threaded)留め具(fasteners)止めを使用して一緒に保持される。場合によっては、構造又はコンポーネントにねじ山(thread)があり、別の構造又はコンポーネントに直接ねじ込まれる(threaded)ことができる。ねじ式留め具又はコンポーネントがねじ式接続部と一緒に結合されているとき、接合の完全性を確保するために、ねじ式接続部を特定のトルク値又は特定のトルク値の範囲内でトルクを付与する(torque)ことが重要な場合がある。これは、トルクレンチ又はその他の同様のトルク工具を使用して実現できる。トルクレンチを使用して特定の値にねじ式留め具にトルクを付与することは比較的簡単であるが、別のコンポーネントに直接ねじ式に結合する非標準コンポーネントに設定値までトルクを付与することは、一般的なトルクレンチを受け入れない可能性があるため困難な場合がある。例えば、別の相手コンポーネントに直接結合する円筒シェル又は円錐形のコンポーネントなど、一部の構造又はコンポーネントは、回転の中心に構造を持たないことがあるため、標準のトルクレンチを受けることができない場合がある。このような場合、これを別の構造又はコンポーネントにねじ込むときに、構造又はコンポーネントの外面をつかむ必要があることがある。
【0002】
他の例では、構造又はコンポーネントは、トルク工具を受けるためのツーリング機能部(tooling features)を持つことができる。ただし、これらの機能部は、高い点荷重によって別のコンポーネントからコンポーネントを締め付ける又は緩めるとき損傷する可能性がある。ツーリング機能部を必要とせずにコンポーネントの外面をつかむことができる1つのツールは、ストラップレンチであり、これは、コンポーネントを包み、トルクが加わると締め付ける/締め付ける(pinches/tightens)ベルトを含む。ストラップレンチはほとんどの構造物やコンポーネントを回転させることができるが、トルクを付与される構造物やコンポーネントによっては欠点を有することがある。構造物やコンポーネントが比較的脆い又はその他の点で繊細な材料で作られている場合、ストラップレンチはトルクを付与されるときに構造物やコンポーネントを損傷する可能性がある。これは、ストラップレンチが構造物やコンポーネントの周囲でストラップを締め付ける点荷重を加えることによって発生する可能性がある。さらに、ストラップレンチに加えられたトルクは中心から外れて加えられる。また、トルクが加わるとベルトがたわむ/伸びることがある。これらのいずれか又は両方は、不整合又は不正確なトルク値をもたらすことがある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示の特徴と利点は、添付の図面と併せて、本開示の特徴を例示する、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0004】
【
図1】本開示の一例による、複数のクランプがデフォルト位置に配置されて示されているセルフクランプトルクアダプタ(self-clamping torque adapter)の等角図である。
【0005】
【
図2】
図1に示すセルフクランプトルクアダプタの正面図である。
【0006】
【
図3】
図1に示すセルフクランプトルクアダプタの背面図である。
【0007】
【
図4】
図2のA-A線について取られた、
図1に示すセルフクランプトルクアダプタの断面側面図である。
【0008】
【
図5】複数のクランプがクランプ位置で示されている、
図1に示すセルフクランプトルクアダプタの背面図である。
【0009】
【
図6】複数のクランプがクランプ位置で示されている、
図5のB-B線について取られた、
図1に示すセルフクランプトルクアダプタの断面側面図である。
【0010】
【
図7】トルクを付与される例示的な物体(object)との使用を示す
図1に示すセルフクランプトルクアダプタの等角図であり、セルフクランプトルクアダプタは物体へのトルク付与を容易にする。
【0011】
【
図8】
図7のトルクを付与される物体との使用を示す
図1に示すセルフクランプトルクアダプタの正面図である。
【0012】
【
図9】
図8の線-CC-について取られた、
図7のトルクを付与される物体との使用を示す
図1に示すセルフクランプトルクアダプタの断面側面図である。
【0013】
【
図10】本開示の一例による、デフォルト位置で示された複数のクランプを持つセルフクランプトルクアダプタの等角図である。
【0014】
【
図11】
図10に示すセルフクランプトルクアダプタの正面図である。
【0015】
【
図12】
図10に示すセルフクランプトルクアダプタの背面図である。
【0016】
【
図13】クランプがクランプ位置に移動された状態の
図10に示すセルフクランプトルクアダプタの正面図である。
【0017】
【
図14】トルクを付与される例示の物体との使用を示す
図10に示すセルフクランプトルクアダプタの等角図であり、セルフクランプトルクアダプタは物体へのトルク付与を容易にする。
【0018】
ここでは、示された例示的な実施形態を参照し、特定の言語をここで使用して同様に説明する。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定はそれによって意図されていないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書中で使用されるとき、用語「実質的に」は、動作、特性、性質、状態、構造、アイテム、又は結果の完全な又はほぼ完全な範囲又は程度を表す。例えば、「実質的に」囲まれた物体は、その物体が完全に囲まれているか又はほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対的完全性からの逸脱の正確な許容可能な程度は、幾つかの場合において特定の文脈に依存する場合がある。しかし、一般的に言えば、完成に近いことは、絶対的かつ総合的な完成が得られるかのように同じ全体的な結果を有するようなものである。「実質的に」の使用は、動作、特性、性質、状態、構造、アイテム、又は結果の完全な又はほぼ完全な欠如を表す否定的な意味で使用される場合にも等しく適用可能である。
【0020】
本開示の最初の概要が以下に提供され、次いで、具体的な例がさらに詳細に後述される。この最初の概要は、読者が例をより迅速に理解するのを助けることを意図しているが、例の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また、請求項に記載された主題の範囲を限定することを意図したものでもない。
【0021】
本開示は、物体にトルクを付与するためのセルフクランプトルクアダプタに関する。また、本開示は、様々なトルク付与(torqueing)システム及び物体にトルクを付与する方法に関する。
【0022】
一例では、セルフクランプトルクアダプタが開示される。セルフクランプトルクアダプタは、中心軸を有するツールベースと、ツールベースに回転可能に結合され、中心軸周りにツールベースに対して回転するように構成された中心ハブであって、トルク入力を受けるように構成されたトルク入力部材を有する中心ハブと、ツールベースにスライド可能に結合され、ラジアル軸((半)径方向軸(radial axis))に沿って二方向に(bi-directionally)変位するように構成された複数のクランプと、複数のクランプの各々を中心ハブに結合するカムアクチュエータ機構とを有し、ツールベースに対する中心ハブの回転は、カムアクチュエータ機構に複数のクランプの各々を径方向に移動させる。
【0023】
より詳細な態様によれば、セルフクランプトルクアダプタは、複数のクランプのクランプを径方向に付勢する(biasing)少なくとも1つのばねをさらに有することができる。
【0024】
より詳細な態様によれば、複数のクランプの各々は、それぞれのクランプとクランプされる物体との間の摩擦を増加させるように構成された摩擦調整器を有することができる。
【0025】
より詳細な態様によれば、中心ハブは複数の湾曲(curved)スロットを有することができ、カムアクチュエータ機構は、各シャフトが複数のスロットのそれぞれのスロットに配置された複数のシャフトを有することができ、各シャフトは複数のクランプのそれぞれのクランプに結合されることができる。
【0026】
より詳細な態様によれば、カムアクチュエータ機構は、湾曲スロットの構成(configuration(形状))によって制限された移動範囲を含むことができ、したがって、複数のクランプの各々のハードストップ(hard stop)を提供し、したがって、複数のクランプの径方向の移動(radial travel)を制限する。
【0027】
より詳細な態様によれば、ハードストップは、径方向外向き方向又は径方向内向き方向の少なくとも1つにおける複数のクランプの移動を制限する。
【0028】
より詳細な態様によれば、複数の湾曲スロットの各々の重心が、複数の湾曲スロットそれぞれと中心軸との間に位置することができる。
【0029】
より詳細な態様によれば、複数の湾曲スロットの各々の重心が、複数の湾曲スロットそれぞれと中心軸との間の領域の外側に位置することができる。
【0030】
より詳細な態様によれば、中心軸と湾曲スロットの中点からオフセットされ且つ湾曲スロットの中心面に沿った位置にある湾曲スロット内の点との間の距離が、中心軸と中点との間の距離よりも大きい又は小さいのいずれか一方(つまり、どちらか一方、両方ではない)であることができる。
【0031】
より詳細な態様によれば、トルク入力部材は、多角形凹部、多角形突出部、星型凹部、及び星型突出部の少なくとも1つを有することができる。
【0032】
より詳細な態様によれば、複数のクランプの各々はデフォルト位置を持つことができ、複数のクランプの各々がデフォルト位置にある状態で、ツールベースに対する中心ハブの反時計回りの回転が、複数のクランプの各々をデフォルト位置に対する第1の方向に移動させることができ、ツールベースに対する中心ハブの時計回りの回転が、複数のクランプの各々を同様にデフォルト位置に対する第1の方向に移動させることができる。第1の方向は、いくつかの例では中心軸に対する内向き方向であることができる。他の例では、第1の方向は中心軸に対する外向き方向であることができる。
【0033】
より詳細な態様によれば、ツールベースは、径方向に延びる複数の直線スロットを有することができ、複数のクランプの各々は、複数の直線スロットの直線スロットを通って延びる少なくとも1つのボルトによってツールベースにスライド可能に結合することができる。
【0034】
より詳細な態様によれば、ボルトの各々は、それぞれの直線スロットによって径方向の移動を制限することができ、これにより、複数のクランプの各々のハードストップを提供し、これにより、複数のクランプの径方向の移動を制限する。
【0035】
また、トルク付与システムも開示される。このシステムは、トルクを付与される物体とセルフクランプトルクアダプタを有する。物体は、トルク受け面(torque receiving surface)と回転軸を有する。セルフクランプトルクアダプタは、回転軸に位置合わせされる(aligned with)中心軸を有するツールベースと、ツールベースに回転可能に結合され、中心軸周りにツールベースに対して回転するように構成された中心ハブであって、トルク入力を受けるように構成されたトルク入力部材を有する中心ハブと、ツールベースにスライド可能に結合され、トルク受け面にクランプ力を加えるためにラジアル軸に沿って二方向に変位するように構成された複数のクランプと、複数のクランプの各々を中心ハブに結合するカムアクチュエータ機構とを有し、ツールベースに対する中心ハブの回転が、複数のクランプの移動に応じてトルクを付与される物体に可変クランプ力を提供するように、カムアクチュエータ機構に複数のクランプの各々を径方向に移動させる。
【0036】
別の態様によれば、システムはさらに、クランプの各々とトルク受け面との間に配置された摩擦調整器を有することができる。
【0037】
別の態様によれば、中心ハブは複数の湾曲スロットを有することができ、カムアクチュエータ機構は、各シャフトが複数のスロットのそれぞれのスロットに配置された複数のシャフトを有することができ、各シャフトは複数のクランプのそれぞれのクランプに結合されることができる。
【0038】
別の態様によれば、複数の湾曲スロットの各々の重心が、複数の湾曲スロットそれぞれと中心軸との間に位置することができる。
【0039】
別の態様によれば、複数の湾曲スロットの各々の重心が、複数の湾曲スロットそれぞれと中心軸との間の領域の外側に位置することができる。
【0040】
別の態様によれば、複数のクランプの各々はデフォルト位置を持つことができ、複数のクランプの各々がデフォルト位置にある状態で、ツールベースに対する中心ハブの反時計回りの回転は、複数のクランプの各々をデフォルト位置及び中心軸に対する第1の方向に移動させることができ、ツールベースに対する中心ハブの時計回りの回転は、複数のクランプの各々をデフォルト位置及び中心軸に対する第1の方向にも移動させることができる。
【0041】
また、物体にトルクを付与する方法も開示される。この方法は、トルクを付与される物体の端部の近くにセルフクランプトルクアダプタを位置決めすること、及びセルフクランプトルクアダプタにトルクを付与することを含む。セルフクランプトルクアダプタは、トルクを付与される物体の回転軸に位置合わせされる中心軸を有するツールベースと、ツールベースに回転可能に結合され、中心軸周りにツールベースに対して回転するように構成された中心ハブであって、トルク入力を受けるように構成されたトルク入力部材を有する中心ハブと、ツールベースにスライド可能に結合され、ラジアル軸に沿って二方向に変位するように構成された複数のクランプと、複数のクランプの各々を中心ハブに結合するカムアクチュエータ機構とを有し、ツールベースに対する中心ハブの回転は、トルクを付与される物体に可変クランプ力を提供するように、カムアクチュエータ機構に複数のクランプの各々を径方向に移動させる。トルク入力部材にトルクを加えることは、中心ハブをツールベースに対して回転させ、トルクを付与される物体にクランプ力を加えるように複数のクランプの各々を径方向に移動させる。
【0042】
現在の技術をさらに説明するために、図を参照して例を提供する。
図1から
図5は、本開示の少なくとも1つの例によるセルフクランプトルクアダプタ10を示す。セルフクランプトルクアダプタ10は、ツールベース12、中心ハブ14、複数のクランプ16、及びカムアクチュエータ機構18を有することができる。ツールベース12は中心軸20を持つことができ、中心ハブ14はツールベース12の中心軸20周りに回転するように構成することができ、ツールベース12と中心ハブ14は回転可能に結合され、ツールベース12と中心ハブ14は互いに相対的に回転するように構成することができることを意味する。例えば、ツールベース12はそこに形成された開口部22を持つことができ、中心ハブ14は、開口部22内に収まる(fit within)とともに開口部22に受け入れられるようにサイズ決めされ且つ成形されたシャフト24を持つことができる。シャフト24は、スナップリング26などの従来の技術を使用して、開口部22内で所定の位置に保持され得る。開口部22壁とシャフト24との間の摩擦は、中心ハブ14がツールベース12に対して自由に回転することを可能にするように、グリース又はベアリングの使用によって減らされ得る。当業者は、ツールベース12と中心ハブ14が互いに回転可能に結合できる他の方法を認識するため、示されている特定の結合配置は、いかなる方法でも限定することを意図していない。
【0043】
ツールベース12は、ツールベース12の上面に直角に向けられた外側リム又はフランジ13を有することができる。外側リム又はフランジ13は、複数のクランプ16を受け入れるように構成された一連の切り欠きを除いて、ツールベース12の周囲を完全に囲んで延びる(extend fully around the perimeter)ことができる。外側リム又はフランジ13は、トルクを付与される物体の外径よりわずかに大きい直径を有することができ、これにより、トルクを付与される物体へのセルフクランプトルクアダプタ10の取り付けを容易にする。
【0044】
中心ハブ14は、トルク入力部材28と接続する(interface with)ように構成された手動工具、電動工具、又は固定ハンドルからのトルクなど、トルク入力を受け取るように構成されたトルク入力部材28を有することができる。
図1に示す例示のトルク入力部材28は、標準サイズのトルクレンチを受け入れ、接続するように構成された正方形の凹部(recess)又はソケットを有する。他の種類のトルク入力部材も可能である。例えば、トルク入力部材28は、多角形の凹部又はソケット、多角形の突出部、星型の凹部又はソケット、星型の突出部、又は突出部の側面に形成された平坦部を有することができる。トルク入力部材28は、トルクレンチを使用してセルフクランプトルクアダプタ10を回転させるとき、より正確にセルフクランプトルクアダプタ10の回転中心に対して中心に配置されることができる。
【0045】
複数のクランプ16は、ツールベース12にスライド可能に結合され、ツールベース12に対してラジアル軸30(
図2、
図3参照)に沿って二方向に変位するように構成されることができる。セルフクランプトルクアダプタ10は、トルクを付与される物体との接触点を少なくとも3つ提供するために、少なくとも3つのクランプ16を有することができる。示された例では、ツールベース12は、その中に形成された複数のラジアル(径方向(radial(放射状))スロット32を有し(
図4参照)、複数のクランプの各クランプ16は、ラジアルスロット32のそれぞれ1つを通ってツールベース12のそれぞれのソケット38内に延びる内側留め具(例えな、ボルト46)と外側留め具(例えば、ボルト48)によって、ツールベース12に固定することができる。一態様では、ソケット38は、それぞれ内側及び外側ボルト46、48とのねじ接続を提供するためのねじ山を有することができる。ラジアルスロット32は、ラジアル軸30に沿って延びる直線スロットであることができる。
【0046】
各ボルト46、48のボルトヘッド40は、それぞれの複数のクランプ16をツールベース12に固定するために、ラジアルスロット32の幅に対して拡大されてもよく、又は、
図4の例に示すように、カバー42はが、それぞれのラジアルスロット32をカバーし、それぞれのボルトヘッド40とツールベース12との間に締結面を提供するようにサイズ決めされ且つ構成されることができる。ボルト46、48は、ボルト46、48を締め付けるとき、クランプ16とボルトヘッド40又はカバー42がツールベース12を圧縮せず、ボルト46、48がラジアルスロット32内を移動できるように、ツールベース12の厚さよりわずかに長い長さを有するショルダー部分44を持つことができる。したがって、クランプ16は、ラジアルスロット32内でスライドするボルト46、48により、ラジアル軸30に沿って軸方向に自由に並進できる。内側及び外側のボルト46、48は、クランプ16がツールベース12に対して回転しないように、ラジアルスロット32内で径方向にオフセットされることができる。
【0047】
クランプ16は、内側及び外側のボルト46、48とラジアルスロット32の端部との間の干渉によって、ツールベース12に対する径方向の移動を制限することができる。例えば、
図4に示すように、外側のボルト48は、ラジアルスロット32の外側端部に押し付けられているため、外側のボルトはその最も外側の移動制限にある。内側のボルト46は、それがラジアルスロット32の内端に当たる前に、半径方向内側に自由に移動できる。移動範囲は、クランプ16がトルクを付与される物体を傷つけないことを確実にするように選択することができる。例えば、内側ボルト46は、クランプ16の内面51がツールベース12の内面53と面一になるとき、内向きの移動を制限するようにラジアルスロット32の内側端部に当たることがある。したがって、一旦移動範囲に達すると、トルク入力部材28に加えられるトルクの全ては、クランプ16をさらに移動させるのではなく、回転運動に変換される(transferred)。
【0048】
少なくとも1つのバイアス(bias(付勢))部材50(各クランプの第1及び第2のバイアス部材を参照)が、クランプ16の各々を径方向内向き又は径方向外向きなど径方向に付勢することができる。例えば、ばねの形態の1つ以上のバイアス部材50がクランプ16とツールベース12との間に支持されて、トルク入力部材28に外部トルクが加えられないときにクランプ16がデフォルト位置に留まるようにする各クランプ16をデフォルト位置に付勢することができる。
図1の例では、バイアス部材50はそれぞれのクランプ16を径方向外向き方向に付勢する。しかし、他の例では、バイアス部材50はクランプを径方向内向き方向に付勢し得る。
【0049】
各クランプ16は、それぞれのクランプ16とトルクを付与される物体との間の摩擦(摩擦係数)を増加させるように構成された少なくとも1つの摩擦調整器54を有することができる。例えば、1つ以上のゴムパッドが、クランプ16とクランプされる物体との間の摩擦を増加させるために、クランプ16の内面51(クランプ16の内面は、トルクを付与される物体の表面と接続するように設計及び意図されている)に固定されることができる。一態様では、摩擦調整器54をクランプ16の内面51に形成された凹部内に設置させ(seated)て、クランプ16とクランプされる物体との間で圧縮されたときの歪みを制限することができる。摩擦調整器54は、内面51とトルクを付与される物体との間の摩擦係数を増加させるためにクランプ16の内面51に付けられる又は他の方法で固定されることができる、あらゆる種類の物体、接着剤などを含むことができる。
【0050】
カムアクチュエータ機構18は、複数のクランプ16の各々を中心ハブ14に半径方向に結合する。カムアクチュエータ機構18は、ツールベース12に対する中心ハブ14の回転が、複数のクランプ16を半径方向に、半径方向内向き又は半径方向外向きに移動又は変位させるように構成されることができる。例えば、カムアクチュエータ機構18は、中心ハブ14が
図1-4に示すデフォルト位置から回転するときに、複数のクランプ16を内向き(中心軸20に向かって)に移動させるように構成されることができる。したがって、中心ハブ14がデフォルト位置からツールベース12に対して時計回り又は反時計回りに回転されるとき、クランプ16は内側に移動し、クランプ16の内面51に近い物体にクランプする。別の言い方をすると、中心ハブ14がデフォルト位置からツールベース12に対して時計回り又は反時計回りに回転されるとき、クランプ16は第1の方向又は同じ方向に移動する。この例では、第1の方向は中心軸20に向かって内向き方向である。別の例では、後述のセルフクランプトルクアダプタ110のように、第1の方向又は同じ方向は中心軸120から離れる外向き方向を含むことができる。
【0051】
示されている例では、中心ハブ14は、中心ハブ14の外周に非平行である(平行でない)曲線又は湾曲面に沿って形成された複数の湾曲スロット52を有する。一態様では、湾曲スロット52は円弧形状を有することができる、又は円弧として形成されることができる。別の態様では、湾曲スロット52は、半円を有する若しくは半円として形成されることができ、又は半円構成とすることができる。湾曲スロット52は、閉じた形状に対応することができる。言い換えれば、湾曲スロット52は、湾曲スロット52を通る曲面に沿って、又は湾曲スロットの中心に沿って形成することができ、延在又は追従する場合、閉じた幾何学的形状(例えば、円又は楕円)を形成する。例えば、図面に示されている湾曲スロット52は、それぞれ、楕円(湾曲スロット52のそれぞれに対応する
図2の楕円55を参照)の形態の対応する形状を持つ円弧形状を有することができる。中心ハブ14のサイズと中心ハブ14に形成された湾曲スロット52の位置に応じて、湾曲スロット52の各々は、それらのそれぞれの対応する閉じた幾何学的形状が、湾曲スロット52と中心ハブ14の中心軸20との間に位置する重心(centroid(図心))又は幾何学的中心を有するように構成することができる(例えば、
図2の楕円55の重心56を参照)。この開示の目的のために、そのような例では、各湾曲スロット52は、重心又は幾何学的中心を含むものとして記述され、これは、それらのそれぞれの対応する閉じた幾何学的形状の各々の重心又は幾何学的中心を指すことが理解される。湾曲スロット52が半円形形状を有する場合、湾曲スロット52の各々は、それぞれの湾曲スロット52と中心ハブ14の中心軸20との間に湾曲スロット52の各々の重心(すなわち、対応する閉じた幾何学的円の重心)が位置するように構成することができる。いずれにせよ、湾曲スロット52の各々は、湾曲スロット52と中心軸20との間の距離Dが、湾曲スロット52の異なる点に沿って変化するように構成することができる。例えば、湾曲スロット52が図のようにサイズ決めされて構成される場合、湾曲スロット52の中心又は中点(midpoint)と中心軸20との間の距離D1は最大になる又は最大であり、この距離は、湾曲スロットの中心点から離れる点において湾曲スロット52の両端に向かっていずれの方向にも減少する。具体的には、中心点から離れた点にある距離D2及びD3は、距離D1より小さい。この例では、距離D2は距離D1より小さいが、距離D3より大きいので、測定点が湾曲スロット52の中心点から離れるにつれて、どのように測定点の距離Dが徐々に減少するかを示している。別の言い方をすると、湾曲スロット52は、湾曲スロット52の中心点からどちらの方向にも、その長さに沿って中心軸20に向かって徐々に収束することができる。
【0052】
カムアクチュエータ機構18は、中心ハブ14の複数の湾曲スロットのそれぞれの湾曲スロット52に配置された第1の端部を持ち、複数のクランプのそれぞれのクランプ16に第2の端部で結合された、複数のシャフト34を有することができる。いくつかの例では、シャフト34は、それぞれ、シャフト34と湾曲スロット52との間の摩擦を減らすために、カムフォロワー軸受36を有することができる。各クランプ16のそれぞれのボルト46、48は、クランプ16の動きをラジアル軸30に沿って拘束するため、また、湾曲スロット52の構成により、ツールベース12に対する中心ハブ14の回転は、湾曲スロット52に、中心軸20とラジアル軸30に位置合わせされる湾曲スロット52の部分に沿った点との間の距離が変化するにつれて、それぞれのシャフト34(及びオプションのカムフォロワー軸受36)の各々を半径方向に移動させ、クランプ16を内向きに引き寄せる(draw)。別の言い方をすると、中心ハブ14のデフォルト又は中立(null)位置からのいずれの方向の回転は、ツールベース12の周囲に対するシャフト34の各々の距離を変化させ、特に増加させる、又は逆にシャフト34とクランプ16を径方向内向きに中心軸20の近くに引き寄せる。ツールベース12、中心ハブ14、及びカムアクチュエータ機構18は、クランプ16が、クランプされる物体にクランプ力を与えるためにデフォルト又は中立位置から十分な距離内向きに引き寄せられることができ、その後、中心ハブ14を反対方向に回転させることによってクランプ力を解放することができるように、構成することができる。クランプ16のデフォルト位置及びクランプ16の変位距離又は使用可能な移動距離は、当業者には明らかなように、異なる設計構成によって、必要に応じて、又は要望通りに、変更することができる。
【0053】
図5は、クランプ16がクランプ位置になるように、中心ハブ14が
図1-3に示すデフォルト又は中立位置から、ツールベース12に対して、時計回りに回転された状態のセルフクランプトルクアダプタ10の例示的な動作位置を示している。
図6は、
図5の線B-Bについて取られたセルフクランプトルクアダプタ10の断面を示している。
図6に見ることができるように、ボルト46、48は、内側のボルト46は現在、ラジアルスロット32の端に隣接しているように、軸方向内向きに並進している。この位置では、クランプ16の内面51は、ツールベース12のフランジの内面53と面一になっているように示されている。他の例では、クランプ16の内面51は、ツールベース12のフランジの内面53を超えて延びるように内向きに引き寄せられてもよい。ここでも、クランプ力を与えるために必要な移動範囲と距離は、セルフクランプトルクアダプタ10の設計によって異なる可能性がある。これにより、ツールベース12のフランジの内面53で画定された空間内にぴったり収まる外径を有するトルクを付与される物体を、ツールベース12に対して中心ハブ14が回転されるときにクランプ16によってクランプすることができる。図には示されていないが、湾曲スロット52は中心軸20と軸30について対称であり、クランプ16のデフォルト又は中立位置は、カムアクチュエータ機構18のシャフトが湾曲スロット52の中点又は中心点に位置する状態であるため、中心ハブ14がツールベース12に対して時計回り又は反時計回りに回転されるとき、クランプ動作を作動させ、トルクが付与される物体にクランプ力を与えることができる。このように、セルフクランプトルクアダプタ10は、2つの回転方向にトルクを加えるために使用することができる、すなわち、別の物体にトルクを付与される物体をねじ込む又はねじ締めする、及び/又は別の物体からトルクを付与される物体を、ねじを緩める又はねじを外す目的で使用することができる。
【0054】
図7、
図8、及び
図9は、セルフクランプトルクアダプタ10の操作又は使用例を示しており、セルフクランプトルクアダプタ10は、第1のコンポーネント60を第2のコンポーネント62にトルクを付与するために使用されている。例えば、第1のコンポーネント60と第2のコンポーネント62は、組み立て中に正確なトルク量を必要とするねじ接続部66によって結合され得る。一例では、第1のコンポーネント60はロケットモーター出口コーンを含むことができ、第2のコンポーネント62はロケットモーターを含むことができる。しかし、これは、当業者であれば、セルフクランプトルクアダプタ10は、互いに結合するいくつかの異なるコンポーネントと動作可能に構成できることを認識するので、いかなる方法でも限定することを意図したものではない。示されているように、中心ハブ14はデフォルト又は中立位置から回転されており、クランプ16は第1のコンポーネント60の外面68をつかむために径方向内向きに引き寄せられている。前述のように、中心ハブ14の回転は、トルク入力部材28と係合するトルクレンチなどのトルク工具を介して実現することができる。これにより、セルフクランプトルクアダプタ10のトルク入力部材28に加えられたトルクが第1のコンポーネント60に伝達されて、第1のコンポーネント60を所望のトルクまで回転させる。トルク入力部材28は、ねじ接続部66の回転軸64に対して中心に位置するため、トルク入力部材28で測定されたトルクは、回転軸64からオフセットされたトルク入力部材と比較して、ねじ接続部66で加えられたトルクを正確に反映することができる。さらに、クランプ16は、湾曲スロット52又はラジアルスロット32の第1及び第2の端部のいずれかによって提供されるハードストップによって移動が制限されるため、クランプ16が第1のコンポーネント60を過度に圧迫する危険性はない。したがって、セルフクランプトルクアダプタ10は、脆い又は壊れやすい物体をクランプしてトルクを付与するために使用することができる。
【0055】
図10-12は、本開示の一例によるセルフクランプトルクアダプタ110を示す。
図10-12のセルフクランプトルクアダプタ110は、
図1-5のセルフクランプトルクアダプタ10に類似しており、当業者には明らかなように、セルフクランプトルクアダプタ110に関連し適用可能な同じ又は類似した要素の説明については上記の
図1-5のセルフクランプトルクアダプタ10を参照することができるので、同様の要素は以下の説明では繰り返されない場合がある。
図1-5のセルフクランプトルクアダプタ10との1つの顕著な違いは、
図10-12のセルフクランプトルクアダプタ110が、
図1-5の例と同様に、トルクを付与される物体の外側と比較して、トルクを付与される物体の内側又は内面にクランプすることである。
【0056】
セルフクランプトルクアダプタ110は、ツールベース112、中心ハブ114、複数のクランプ116、及びカムアクチュエータ機構118を有することができる。ツールベース112は中心軸120を持つことができ、中心ハブ114は、ツールベース112の中心軸120周りにツールベース112に対して回転するように構成することができる。中心ハブ114は、手動工具、電動工具、又は固定ハンドルからのトルクなどのトルク入力を受けるように構成されたトルク入力部材128を有することができる。トルク入力部材128は、トルクレンチを使用してセルフクランプトルクアダプタ110を回転させるときに、より正確にセルフクランプトルクアダプタ110の回転中心に対して中心に配置されることができる。
【0057】
少なくとも1つのバイアス部材150が、クランプ116の各々を内向きの半径方向に付勢することができる。例えば、ばねの形態の1つ以上のバイアス部材150が、ツールベース112とクランプ116の各々との間に支持されることができ、バイアス部材150は、トルク入力部材128に外部トルクが加えられないとき、クランプ116は内側の、デフォルトの位置に留まるように、各クランプ116を内側の、デフォルト又は中立位置に付勢するように機能する。カムアクチュエータ機構118は、複数のクランプ116の各々を中心ハブ114に径方向において結合する。ツールベース112に対する中心ハブ114の回転は、カムアクチュエータ機構118に、複数のクランプ116の各々を径方向に、径方向内向き又は径方向外向きに移動させることができる。例えば、
図10のセルフクランプトルクアダプタ110は、
図10-12に示すデフォルト又は中立位置から中心ハブ114が回転されるとき、複数のクランプ116を外向きに移動させるように構成される。したがって、ツールベース112に対して中心ハブ114が時計回り又は反時計回りに回転されるとき、クランプ116は外側に移動し、クランプ116の外面151に近い物体の内面にクランプする。カムアクチュエータ機構118は、クランプ116のそれぞれの表面151に支持又は付けられる1つ以上の摩擦調整器を含むことができる。
【0058】
図10の例では、中心ハブ114は複数の湾曲スロット152を含む。前述のセルフクランプトルクアダプタ10の湾曲スロット52とは異なり、セルフクランプトルクアダプタ110の湾曲スロット152は、湾曲スロット152と中心軸120との距離が、湾曲スロット152の中心又は中点で最小となり、湾曲スロット152の第1及び第2の端部に向かって増加するような構成を有する。別の言い方をすると、湾曲スロット152は、湾曲スロット52の中心点から両方向に長さに沿って中心軸20から徐々に離れることができる。カムアクチュエータ機構118は、複数のシャフト(及びカムフォロワー軸受)を有し、各々は、複数の湾曲スロットのそれぞれの湾曲スロット152に配置され、各々は複数のクランプのそれぞれのクランプ116に結合されている。各クランプ116のそれぞれのボルトは、それぞれのクランプ116の動きがラジアル軸130に沿うように拘束するため、ツールベース112に対する中心ハブ114を回転は、中心軸120とラジアル軸30に位置合わせされる湾曲スロット152の部分との間の距離が変化するにつれて、湾曲スロット152にそれぞれのシャフトを径方向に移動させる。湾曲スロット152は、湾曲スロット152と中心軸120との間の距離が湾曲スロット152の中心又は中点で最小となり、湾曲スロット152の第1及び第2の端部に向かって増加するように構成されているため、中心ハブ114の回転は、シャフトを中心軸120から離れて移動させ、ひいてはクランプ116を径方向外向きに移動させる。
【0059】
図13は、クランプ116がクランプ位置にあるように中心ハブ114がツールベース112に対して時計回りに回転されている
図10のセルフクランプトルクアダプタ110の一例を示している。クランプ116とクランプ16の外面151はツールベース112に対して径方向外側に移動している。一例では、セルフクランプトルクアダプタ110は、中心ハブ114が完全に回転したとき、クランプ116の外面151がツールベース112のフランジの外面と面一になる又はわずかに下になるように構成することができる。他の例では、セルフクランプトルクアダプタ110は、中心ハブ114が完全に回転したとき、クランプ116の外面151がツールベース112のフランジの外面を超えて延びるように構成することができる。これにより、中心ハブ114がツールベース112に対して回転したとき、ツールベース112のフランジの外径に近い内径を有するトルクを付与される物体をクランプ116によってクランプすることができる。湾曲スロット152は、中心軸120と軸130に対して対称であるため、クランプ作用は、中心ハブ114がツールベース112に対して時計回り又は反時計回りに回転したときに達成される。
【0060】
図14は、セルフクランプトルクアダプタ110がコーン160の内面に取り付けられる例を示している。例えば、コーン160は、組み立て中に正確な量のトルクを必要とするねじ接続部を使用して別のコンポーネントに結合される必要があることがある。
図14に示すように、中心ハブ114はデフォルト位置から回転しており、クランプ116を径方向外側に移動してコーン160の内面を掴んでいる。これにより、セルフクランプトルクアダプタ110のトルク入力部材128に加えられたトルクがコーン160に伝達される。トルク入力部材128はコーン160の回転軸に対して中心に位置するため、トルク入力部材128で測定されたトルクは、回転軸からオフセットされたトルク入力部材と比較して、ねじ接続部で加えられたトルクを正確に反映することができる。
【0061】
この開示に記載されているさまざまな特徴、コンポーネント、及び機能によれば、ここに記載されている概念は、比較的脆い可能性のあるものを含む、大型の物体にトルクを付与するための現在の技術に対するいくつかの改善を示している。トルク入力部材の中心位置は、コンポーネントに加えられているトルクを正確に測定するトルク測定値をもたらす。さらに、3つの接触点の使用は、トルクを付与される物体に損傷を与える可能性のある点荷重(point loads)を制限する。クランプへのハードストップの使用は、クランプが物体を損傷するのを防ぐ。最後に、開示されたセルフクランプトルクアダプタは、セルフクランプトルクアダプタの修正又は再装着なしに、いずれの方向にも物体にトルクを付与するために使用することができ、これにより、(物体を別の物体にねじ込む、又は物体を別の物体からねじを緩めるなど)いずれの方向にもトルクを付与される物体にトルクが加えられることを可能にする。
【0062】
図面に示されている例を参照し、本明細書では、これを記述するために特定の言語を使用した。それでもなお、本技術の範囲の限定はそれによって意図されていないことが理解されるであろう。本明細書に示された特徴の変更及びさらなる修正、並びに本明細書に示された例の追加の適用は、説明の範囲内であると考えられる。
【0063】
本開示は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態又は特徴が、本明細書に記載される他の実施形態又は特徴と組み合わせることができることを明示的に開示するものではないが、本開示は、当業者によって実施可能であると思われる任意のそのような組み合わせを記載するように読まれるべきである。本開示における「又は」の使用は、本明細書に別段の記載がない限り、非排他的又はすなわち「及び/又は」を意味すると理解されるべきである。
【0064】
さらに、記載された特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の例において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。先の説明では、記載された技術の例を完全に理解するための様々な構成の例などの、多数の特定の詳細が提供された。しかし、当該技術は、特定の詳細の1つ又は複数を伴わずに、又は他の方法、コンポーネント、装置などと共に実施することができることが認識されるであろう。他の例では、良く知られた構造又は動作は、技術の態様を不明瞭にすることを避けるために、詳細には示されないか、又は説明されない。
【0065】
主題は、構造的特徴及び/又は動作に特有の言語で説明されているが、添付の請求項において定義された主題は、必ずしも上述の特定の特徴及び動作に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、上述の特定の特徴及び作用は、請求項を実施する例示的な形態として開示される。記載された技術の精神及び範囲から逸脱することなく、多数の修正及び代替の構成を考え出すことができる。