(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ラベル管理システム、ラベル管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 17/00 20060101AFI20241016BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20241016BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241016BHJP
【FI】
G06K17/00 022
G06K7/10 428
G06K17/00 025
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2024552748
(86)(22)【出願日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2024019134
【審査請求日】2024-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2023097951
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲瀬▼▲崎▼ 努
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛訓
(72)【発明者】
【氏名】大橋 大介
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-59317(JP,A)
【文献】特開2008-252482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0244253(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0198166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 17/00
G06K 7/10
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを用いた商品管理を可能にするシステムであり、
前記ラベルの印刷面には、当該ラベル自体の個体識別に用いられるラベル情報が電子透かしで印刷されており、
前記ラベルの前記印刷面に、当該ラベルが付される商品の個体識別に用いられる商品情報のコードを印刷するコード印刷装置と、
前記ラベルごとに、そのラベルの前記印刷面に印刷された前記電子透かし及び前記コードから前記ラベル情報及び前記商品情報をそれぞれ読み取る情報読取装置と、
前記ラベルごとに、前記情報読取装置によって読み取られた前記ラベル情報及び前記商品情報が互いに対応付けられた状態で格納されるデータベースと、
を備える、ラベル管理システム。
【請求項2】
前記ラベルの前記印刷面のうちの、少なくとも、当該ラベルが付される商品の出所情報が印刷される領域に、前記ラベル情報が前記電子透かしで印刷される、請求項1に記載のラベル管理システム。
【請求項3】
ラベルを用いた商品管理を可能にする方法であり、
前記ラベルの印刷面には、当該ラベル自体の個体識別に用いられるラベル情報が電子透かしで印刷されており、
前記ラベルの前記印刷面に、当該ラベルが付される商品の個体識別に用いられる商品情報のコードを印刷し、
前記ラベルごとに、そのラベルの前記印刷面に印刷された前記電子透かし及び前記コードから前記ラベル情報及び前記商品情報をそれぞれ読み取り、それらの情報を、互いに対応付けた状態でデータベースに格納する、ラベル管理方法。
【請求項4】
ラベルを用いた商品管理を可能にするプログラムであり、
前記ラベルの印刷面には、当該ラベル自体の個体識別に用いられるラベル情報が電子透かしで印刷されており、
制御装置に、
前記ラベルの前記印刷面への、当該ラベルが付される商品の個体識別に用いられる商品情報のコードの印刷を、コード印刷装置に実行させる処理と、
前記ラベルごとに、そのラベルの前記印刷面に印刷された前記電子透かし及び前記コードからの前記ラベル情報及び前記商品情報の読取りを、情報読取装置に実行させる処理と、
前記情報読取装置に読み取らせた前記ラベル情報及び前記商品情報を、互いに対応付けた状態でデータベースに格納する処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルを利用した商品管理の技術、及びそれを可能にするラベル管理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルを利用した商品管理を可能にする技術として、商品ごとの個体識別に用いられる商品情報(GTINなど)のコード(バーコードやQRコード(登録商標)など)をラベルに印刷しておき、当該コードの読取りによって商品の追跡等を可能にしたものが存在する。また、コードに代えて、電子透かしによって商品情報をラベルに埋め込むといった技術が存在する。そして、特許文献1には、それらの両方の技術を用いて、商品情報のコードをラベルに印刷すると共に、それと同じ商品情報を電子透かしでラベルに埋め込んでおくことにより、商品情報の読取りの際に、ラベルの歪みや汚れなどが原因でコードの読取りができない場合でも、電子透かしで代替できるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、商品の横流しのような不正行為が頻発しており、そのような不正行為においては、商品の価値を悪用しつつ当該商品の追跡から逃れるために、ラベルのうちの、商品の出所情報(商品の価値を高める情報。ブランド名など)が印刷された部分を残して、コード(商品の追跡を可能にする情報)が印刷された部分を切り取るといった行為が行われる。このような不正行為に対して、特許文献1に開示の技術によれば、コードが切り取られた場合でも、残った部分に印刷されている電子透かしから商品情報を取得することができ、商品の追跡(不正行為の監視)が可能になる。
【0005】
しかし、商品情報を電子透かしで印刷しようとすると、次のような問題が生じ得る。商品ごとの個体識別に用いられる商品情報には、その商品の製造元又は販売元である事業者を特定する情報と当該商品の分類を示す情報とが含まれることが多い。従って、ラベルへの商品情報の表記(コードの印刷)は、商品の製造元又は販売元において、ラベルが付される商品が特定されてから行われることが一般的である。その一方で、そのような商品情報を電子透かしでラベルに印刷することが必要になると、商品の製造元又は販売元にとっては、電子透かし用のシステムの導入が必要になり、大きな負担となる。
【0006】
そこで本発明の目的は、商品の製造元又は販売元に負担をかけずに商品のトレーサビリティを強化することを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るラベル管理システムは、ラベルを用いた商品管理を可能にするシステムであり、コード印刷装置と、情報読取装置と、データベースと、を備える。ラベルの印刷面には、当該ラベル自体の個体識別に用いられるラベル情報が電子透かしで印刷されており、コード印刷装置は、そのラベルの印刷面に、当該ラベルが付される商品の個体識別に用いられる商品情報のコードを印刷する。情報読取装置は、ラベルごとに、そのラベルの印刷面に印刷された電子透かし及びコードからラベル情報及び商品情報をそれぞれ読み取る。データベースには、ラベルごとに、情報読取装置によって読み取られたラベル情報及び商品情報が互いに対応付けられた状態で格納される。
【0008】
本発明に係るラベル管理方法は、ラベルを用いた商品管理を可能にする方法である。ラベルの印刷面には、当該ラベル自体の個体識別に用いられるラベル情報が電子透かしで印刷されており、先ず、そのラベルの印刷面に、当該ラベルが付される商品の個体識別に用いられる商品情報のコードを印刷する。次に、ラベルごとに、そのラベルの印刷面に印刷された電子透かし及びコードからラベル情報及び商品情報をそれぞれ読み取り、それらの情報を、互いに対応付けた状態でデータベースに格納する。
【0009】
本発明に係るプログラムは、ラベルを用いた商品管理を可能にするプログラムである。ラベルの印刷面には、当該ラベル自体の個体識別に用いられるラベル情報が電子透かしで印刷されており、プログラムは、次のような処理を制御装置に実行させる。先ず、プログラムは、ラベルの印刷面への、当該ラベルが付される商品の個体識別に用いられる商品情報のコードの印刷を、コード印刷装置に実行させる処理、を制御装置に実行させる。次に、プログラムは、ラベルごとに、そのラベルの印刷面に印刷された電子透かし及びコードからのラベル情報及び商品情報の読取りを、情報読取装置に実行させる処理、を制御装置に実行させる。その後、プログラムは、情報読取装置に読み取らせたラベル情報及び商品情報を、互いに対応付けた状態でデータベースに格納する処理、を制御装置に実行させる。
【0010】
上記ラベル管理システム、ラベル管理方法、又はプログラムによれば、ラベルのうちの、商品の出所情報(商品の価値を高める情報。ブランド名など)が印刷された部分を残して、商品の追跡に用いられるコードが印刷された部分を切り取るといった不正行為が行われた場合であっても、残ったラベルからラベル情報を読み取り、当該ラベル情報に対応付けられている商品情報をデータベースから取得することが可能になる。換言すれば、コードが切り取られたラベルからでも、当該ラベルが付されている商品の商品情報を取得することが可能になる。従って、ラベルに対する不正行為が行われた商品であっても、商品情報に基づいた当該商品の追跡(流通経路の特定)を行うことが可能になる。
【0011】
しかも、別のシステムや場所(ラベル製造業者など)で電子透かしが印刷されたラベルを用いることができるため、商品の製造元又は販売元は、上記ラベル管理システムの導入に際して、電子透かし用のシステムを導入する必要がなく、従って、商品の製造元又は販売元の負担になりにくい。
【0012】
上記ラベル管理システム、ラベル管理方法、又はプログラムにおいて、ラベルの印刷面のうちの、少なくとも、当該ラベルが付される商品の出所情報が印刷される領域に、ラベル情報が電子透かしで印刷されてもよい。この構成によれば、商品の追跡に用いられるコードが印刷された部分をラベルから切り取るといった不正行為が行われたとしても残る可能性が高い領域に、電子透かしが印刷されることになる。従って、そのような不正行為が行われた場合でも、電子透かしを、読取り可能な状態でラベルに残すことが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、商品の製造元又は販売元に負担をかけずに商品のトレーサビリティを強化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1(A)は、実施形態に係るラベル管理システムを示した概念図であり、
図1(B)は、当該ラベル管理システムの構成を示したブロック図である。
【
図2】
図2(A)~
図2(C)は、商品管理に用いられるラベルについての3つの例を示した概念図である。
【
図3】
図3(A)は、帯状シート上にラベルが剥離可能な状態で複数並べられたものを示した概念図であり、
図3(B)は、当該帯状シート上のラベルに電子透かしが印刷された状態を示した概念図である。
【
図4】
図4は、ラベル管理システムにて実行される制御処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1]ラベル管理システムの構成
図1(A)は、実施形態に係るラベル管理システムを示した概念図であり、
図1(B)は、当該ラベル管理システムの構成を示したブロック図である。本実施形態のラベル管理システムは、ラベルKを用いた商品管理を可能にするシステムであり、コード印刷装置1と、情報読取装置2と、制御装置3と、を備える。
【0016】
図2(A)は、商品管理に用いられるラベルKの一例を示した概念図である。この図に示されるように、ラベルKの印刷面80aには、電子透かし81とコード82(バーコードやQRコード(登録商標)など)とが印刷される。そして本実施形態では、電子透かし81は、ラベル管理システムとは別のシステム(電子透かし用のシステム。不図示)によってラベルKの印刷面80aに印刷される。一方、コード82は、電子透かし81が印刷されたラベルKの印刷面80aに、ラベル管理システムによって後から印刷される。
【0017】
一例として、ラベルKは、印刷面80aとは反対側の面を接着面とするシールである。この場合、複数のラベルKに効率良く印刷できるようにするべく、印刷の際には、帯状シート9(具体的には、表面に剥離剤が塗布された長尺状のシート)上に当該ラベルKを剥離可能な状態で複数並べたものを用いることができる(
図3(A)参照)。そして、電子透かし81を印刷する場合には、電子透かし用のシステムにおいて、ロール状に巻かれた帯状シート9を繰り出しながら、当該帯状シート9上のラベルKに電子透かし81を順に印刷していき(
図3(B)参照)、帯状シート9のうちのラベルKへの電子透かし81の印刷が終わった部分を再びロール状に巻き取っていくことができる。また、コード82を印刷する場合には、ラベル管理システムにおいて、ロール状に巻かれた帯状シート9を再び繰り出しながら、当該帯状シート9上のラベルKにコード82を順に印刷していくことができる(
図1(A)参照)。
【0018】
そして本実施形態では、ラベル管理システムは、コード82を用いた商品管理を可能にするだけでなく、コード82の印刷前に別のシステム(電子透かし用のシステム)にて印刷された電子透かし81を用いた商品管理をも可能にする。以下、ラベルKの構成と、ラベル管理システムが備える各装置の構成と、について具体的に説明する。
【0019】
[1-1]ラベル
<電子透かし>
本実施形態では、電子透かし81は、ラベルK自体の個体識別(他のラベルKとの識別)に用いられるラベル情報が、知覚できないように印刷面80aに埋め込まれたものである(
図2(A)参照)。ここで、ラベル情報は、ラベルKごとに異なる番号などの簡易な情報であり、当該ラベルK自体を個体識別できる最小限の情報を含んでいればよい。換言すれば、ラベル情報は、ラベルKが付される商品についての情報(商品の追跡を可能にする商品情報など)を含んでいる必要はない。
【0020】
<コード>
本実施形態では、コード82は、ラベルKが付される商品の個体識別に用いられる商品情報が、1次元コード(バーコードなど)又は2次元コード(QRコード(登録商標)など)によって印刷面80aに表記されたものである。ここで、商品情報は、GTINなど、数字、アルファベット、記号が1次元に配列されたものであり、商品の個体識別を可能にするべく、商品の製造元又は販売元(事業者など)を特定する番号や当該商品の分類を示す番号などを含んでいる。
図2(A)の例では、商品情報がバーコードで表記された場合が示されている。このような商品情報によれば、流通過程で当該商品情報をコード82から読み取って記録していくことにより、商品の追跡(流通経路の特定)が可能になる。
【0021】
<出所情報>
ラベルKの印刷面80aには、電子透かし81及びコード82の他に、当該ラベルKが付される商品の出所情報83が印刷されてもよい(
図2(B)参照)。ここで、出所情報83は、ブランド名など、出所を明確にすることによって商品の価値を高める機能を有したものである。
図2(B)の例では、出所情報83として「ABC」が表記された場合が示されている。
【0022】
<印刷領域>
商品の横流しのような不正行為においては、商品の価値を悪用しつつ当該商品の追跡から逃れるために、ラベルKのうちの、商品の出所情報83(商品の価値を高める情報。ブランド名など)が印刷された部分を残して、商品の追跡に用いられるコード82が印刷された部分を切り取るといった行為が行われる。
【0023】
そこで本実施形態では、このような不正行為が行われた場合でも、残ったラベルKからラベル情報を必ず読み取ることが可能となるように、少なくとも、出所情報83が印刷される領域に、電子透かし81が印刷される。このような構成によれば、上記の不正行為が行われたとしても残る可能性が高い領域に、電子透かし81が印刷されることになる。従って、上記の不正行為が行われた場合であっても、電子透かし81を、読取り可能な状態でラベルKに残すことが可能になる。
【0024】
一例として、出所情報83が印刷される領域を第1印刷領域R1とした場合、電子透かし81は、少なくとも当該第1印刷領域R1において、出所情報83の背景(下地)に情報を埋め込む地紋透かしという方法で印刷される。
図2(A)の例では、第1印刷領域R1を含む印刷面80aの全域に電子透かし81が地紋透かしで印刷された場合が示されている。また、
図2(B)の例では、第1印刷領域R1に出所情報83が印刷された場合が示されている。
【0025】
他の例として、電子透かし81を印刷する段階において、印刷面80aのどの領域が第1印刷領域R1になるのかが決まっている場合には、
図2(C)に示されるように、その第1印刷領域R1にだけ電子透かし81が地紋透かしで印刷されてもよい。尚、コード82が印刷される領域を第2印刷領域R2とした場合において、印刷面80aのどの領域が第2印刷領域R2になるのかが決まっている場合には、印刷面80aのうちの当該第2印刷領域R2を除いた領域を、出所情報83が印刷される領域(第1印刷領域R1)とすることができる。
【0026】
このように地紋透かしで電子透かし81が印刷される場合には、電子透かし81は、その後に出所情報83が印刷されたとしても必ず読取り可能な状態となるように印刷される。具体的には、同じラベル情報を持った複数の電子透かし81が、地紋透かしで印刷される(
図2(A)参照)。これにより、その後に出所情報83が印刷されたとしても(
図2(B)参照)、当該複数の電子透かし81のうちのどれかが、出所情報83の影響を受けずに読取り可能な状態のまま維持されやすくなる。
【0027】
そして、このような電子透かし81が印刷面80aの全域に印刷されたラベルK(
図2(A)参照)によれば、電子透かし81の印刷後にコード82や出所情報83が印刷面80aのどの位置に印刷された場合であっても、ラベルKは、コード82や出所情報83の印刷位置に応じた必要な領域(出所情報83の印刷領域、又はコード82の印刷領域を除いた領域)に電子透かし81が印刷された状態になる。換言すれば、印刷面80aのどの領域を第1印刷領域R1や第2印刷領域R2とするのかを予め決めておく必要がなくなる。従って、商品の製造元又は販売元は、コード82や出所情報83の印刷位置や印刷領域を任意に決めることが可能になる。
【0028】
尚、電子透かし81は、電子透かし用のシステムにおいて出所情報83と一緒に印刷されてもよい。その場合、電子透かし81は、地紋透かしに代えて、出所情報83を表す文字や図形などに情報を埋め込むフォント透かしという方法で印刷されてもよい。
【0029】
[1-2]コード印刷装置
コード印刷装置1は、上述したコード82をラベルKの印刷面80aに印刷する装置である(
図1(A)及び
図1(B)参照)。本実施形態では、1つのラベルKに対して1つのコード82が、制御装置3からコード印刷装置1へ送信される。そして、コード印刷装置1は、制御装置3から受信したコード82を、ラベルK(本実施形態では、電子透かし81が印刷されているラベルK)の印刷面80aに印刷していく。
【0030】
そして、上述したようにラベルKがシールであって帯状シート9上に剥離可能な状態で複数並べられている場合(
図1(A)参照)には、ラベル管理システムは、ロール状に巻かれた帯状シート9を繰り出しながら、コード印刷装置1により、帯状シート9上のラベルK(電子透かし81が印刷されているラベルK)にコード82を順に印刷していくことができる。
【0031】
[1-3]情報読取装置
情報読取装置2は、ラベルKごとに、そのラベルKの印刷面80aに印刷された電子透かし81及びコード82からラベル情報及び商品情報をそれぞれ読み取る装置(スキャナなど)である(
図1(A)及び
図1(B)参照)。一例として、情報読取装置2は、電子透かし81及びコード82を同時にスキャンしてラベル情報及び商品情報を読み取ることができる1つのスキャナで構成されている。そして、
図1(A)では、そのようなスキャナによって電子透かし81及びコード82を同時にスキャンするときのスキャン領域Rsが一点鎖線で示されている。他の例として、情報読取装置2は、電子透かし81からラベル情報を読み取るスキャナと、コード82から商品情報を読み取るスキャナと、を含んだものであってもよい。
【0032】
そして、上述したようにラベルKがシールであって帯状シート9上に剥離可能な状態で複数並べられている場合(
図1(A)参照)には、ラベル管理システムは、ロール状に巻かれた帯状シート9を繰り出しながら、コード印刷装置1によるコード82の印刷後に、情報読取装置2により、帯状シート9上のラベルK(電子透かし81及びコード82が何れも印刷されているラベルK)を順にスキャンしていき、それによって当該ラベルKからラベル情報及び商品情報を読み取っていくことができる。
【0033】
[1-4]制御装置
制御装置3は、ラベル管理システムの制御(コード印刷装置1、情報読取装置2などの制御)を担う装置であり、記憶部31と制御部32とを備える(
図1(B)参照)。
【0034】
記憶部31は、ラベル管理システムの制御に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。本実施形態では、ラベルKごとの情報管理を可能にするデータベースQkが記憶部31内に構築されており、当該データベースQkには、ラベルKごとに、情報読取装置2によって読み取られたラベル情報及び商品情報が互いに対応付けられた状態で格納される。
【0035】
制御部32は、ラベル管理システムの制御を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成されている。本実施形態では、制御部32は、ラベルKごとに情報読取装置2が読み取ったラベル情報及び商品情報をデータベースQkに格納していくことにより、それらの情報についての1対1の対応関係をデータベースQkに保存していく。これにより、データベースQkには、ラベルKごとに、情報読取装置2によって読み取られたラベル情報及び商品情報が互いに対応付けられた状態で格納されていく。
【0036】
より具体的には、制御部32は、上記のデータベースQkを用いたラベルKごとの情報管理を含めて、ラベル管理システムにおいて以下のような制御処理を実行する。
図4は、ラベル管理システムにて実行される制御処理を示したフローチャートである。本実施形態では、当該制御処理は、ラベルKごとに実行される。換言すれば、この制御処理は、ラベルKの枚数分だけ繰り返し実行される。
【0037】
先ず、制御部32は、コード印刷装置1を制御することにより、当該コード印刷装置1に、ラベルK(本実施形態では、電子透かし81が印刷されているラベルK)の印刷面80aへのコード82の印刷を実行させる(ステップS101)。
【0038】
次に、制御部32は、情報読取装置2を制御することにより、当該情報読取装置2に、ラベルKの印刷面80aに印刷された電子透かし81及びコード82からのラベル情報及び商品情報の読取りを実行させる(ステップS102)。
【0039】
その後、制御部32は、情報読取装置2に読み取らせたラベル情報及び商品情報をデータベースQkに格納することにより、それらの情報についての1対1の対応関係をデータベースQkに保存する(ステップS103)。
【0040】
一例として、上述したようにラベルKがシールであって帯状シート9上に剥離可能な状態で複数並べられている場合には(
図1(A)参照)、ステップS101では、制御部32は、ロール状に巻かれた帯状シート9の回転を制御することによって当該帯状シート9の繰出しを行いつつ、当該帯状シート9上の各ラベルKへのコード82の印刷をコード印刷装置1に実行させる。ステップS102では、制御部32は、コード82が印刷された各ラベルKのスキャンを情報読取装置2に実行させることにより、当該情報読取装置2に、各ラベルKからのラベル情報及び商品情報の読取りを実行させる。ステップS103では、制御部32は、ラベルKごとに、情報読取装置2に読み取らせたラベル情報及び商品情報についての1対1の対応関係をデータベースQkに保存する。
【0041】
このような制御処理は、制御装置3の制御部32内に構築される処理部(不図示)によって実行される。本実施形態では、当該処理部は、制御部32にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが制御装置3の記憶部31に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部31に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、制御装置3内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0042】
また、上述した制御処理によってラベル管理システムで実行される、ラベルKへのコード82の印刷、ラベルKからのラベル情報及び商品情報の読取り、及び、それらの情報のデータベースQkへの格納、といった一連の流れは、ラベルKを用いた商品管理を可能にする方法(ラベル管理方法)を構成するものである。
【0043】
上述したラベル管理システムによれば、ラベルKのうちの、商品の出所情報83(商品の価値を高める情報。ブランド名など)が印刷された部分を残して、商品の追跡に用いられるコード82が印刷された部分を切り取るといった不正行為が行われた場合であっても、残ったラベルKからラベル情報を読み取り、当該ラベル情報に対応付けられている商品情報をデータベースQkから取得することが可能になる。換言すれば、コード82が切り取られたラベルKからでも、当該ラベルKが付されている商品の商品情報を取得することが可能になる。従って、ラベルKに対する不正行為が行われた商品であっても、商品情報に基づいた当該商品の追跡(流通経路の特定)を行うことが可能になる。
【0044】
しかも、別のシステムや場所(ラベル製造業者など)で電子透かし81が印刷されたラベルKを用いることができるため、商品の製造元又は販売元は、上記ラベル管理システムの導入に際して、電子透かし用のシステムを導入する必要がなく、従って、商品の製造元又は販売元の負担になりにくい。
【0045】
よって、上記ラベル管理システムによれば、商品の製造元又は販売元に負担をかけずに商品のトレーサビリティを強化することが可能になる。
【0046】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0047】
例えば、上述したラベル管理方法は、ラベル管理システムとは別の手段を用いて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 コード印刷装置
2 情報読取装置
3 制御装置
9 帯状シート
K ラベル
31 記憶部
32 制御部
80a 印刷面
81 電子透かし
82 コード
83 出所情報
Qk データベース
R1 第1印刷領域
R2 第2印刷領域
Rs スキャン領域
【要約】
ラベル管理システムは、ラベルを用いた商品管理を可能にするシステムであり、コード印刷装置と、情報読取装置と、データベースと、を備える。ラベルの印刷面には、当該ラベル自体の個体識別に用いられるラベル情報が電子透かしで印刷されており、コード印刷装置は、そのラベルの印刷面に、当該ラベルが付される商品の個体識別に用いられる商品情報のコードを印刷する。情報読取装置は、ラベルごとに、そのラベルの印刷面に印刷された電子透かし及びコードからラベル情報及び商品情報をそれぞれ読み取る。データベースには、ラベルごとに、情報読取装置によって読み取られたラベル情報及び商品情報が互いに対応付けられた状態で格納される。