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特許7572138近接位置検出装置、ディスプレイユニット及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】近接位置検出装置、ディスプレイユニット及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20241016BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241016BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20241016BHJP
【FI】
G06F3/042 481
G06F3/041 520
G06F3/041 580
G06F3/0346 421
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020169126
(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公開番号】P2022061242
(43)【公開日】2022-04-18
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】伊知川 禎一
【審査官】野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-074465(JP,A)
【文献】特開2016-192591(JP,A)
【文献】特開2014-135069(JP,A)
【文献】特開2010-146386(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0207936(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの表示面に近接した手の水平方向の位置を検出する近接位置検出装置であって、
ディスプレイの表示面の外側に当該表示面の水平方向の一辺である第1辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源と、
前記表示面の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された複数の光検出器と、
近接位置算定部とを有し、
前記近接位置算定部は、
前記複数の赤外光源の各々について、当該赤外光源に予め定めた対応に従って対応づけられている光検出器で検出した、当該赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該赤外光源の出射光の第1の検出反射強度として、各赤外光源の出射光の第1の検出反射強度から推定される反射光の水平方向の分布の重心に対応する水平方向の位置を重心位置として算定する重心位置算定部と、
前記複数の赤外光源のうちの一つもしくは複数の赤外光源を対象赤外光源として、各対象赤外光源について、当該対象赤外光源である赤外光源に前記対応に従って対応づけられている光検出器よりも、当該対象赤外光源に対して離れている光検出器で検出した、当該対象赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該対象赤外光源の出射光の第2の検出反射強度として、各第2の検出反射強度の大きさの程度を表す位置指標を算定する位置指標算定部と、
各赤外光源の出射光の前記第1の検出反射強度から推定される、反射光のピークが現れる水平方向の位置をピーク位置として算定するピーク位置算定部と、
前記位置指標が大きいほど前記ピーク位置の値に近づくように前記重心位置を補正した位置を補正後重心位置として算定する補正後重心位置算定部と、
前記補正後重心位置を用いて、ディスプレイの表示面に近接した手の水平方向の位置を表す検出位置を算定する検出位置算定部とを有することを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の近接位置検出装置であって、
前記補正後重心位置が前記表示面の左右方向の中央の位置を表す場合の補正後重心位置の値を中央値として、前記検出位置算定部は、前記補正後重心位置算定部で算定された前記補正後重心位置の値を、前記中央値との値の差が所定の割合で縮小するように補正した値を持つ前記検出位置を算定することを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の近接位置検出装置であって、
前記補正後重心位置が前記表示面の左右方向の中央の位置を表す場合の補正後重心位置の値を中央値として、前記検出位置算定部は、前記補正後重心位置算定部で算定された前記補正後重心位置の値を、当該値と前記中央値との値の差が小さいほど、前記中央値との値の差がより縮小するように補正した値を持つ前記検出位置を算定することを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の近接位置検出装置であって、
前記赤外光源の前記第1辺に沿った並び中の順番をiとし、Xiをiが大きくなるほど大きくなる値とし、i番目の赤外光源の出射光の第1の検出反射強度をLiとして、
前記重心位置算定部は、Σ(Li×Xi)/Σ(Li)を、前記重心位置として算定することを特徴とする近接位置検出装置
【請求項5】
請求項1、2または3記載の近接位置検出装置であって、
前記赤外光源の前記第1辺に沿った並び中の順番をiとし、i番目の赤外光源の出射光の第1の検出反射強度をLiとし、j番目の対象赤外光源の出射光の第2の検出反射強度をEjとして、
前記位置指標算定部は、Ejの総和またはEjの最大値をAとし、Liの総和またはLiの最大値をBとして、A/Bを、前記位置指標として算定することを特徴とする近接位置検出装置
【請求項6】
請求項1、2または3記載の近接位置検出装置であって、
前記赤外光源の前記第1辺に沿った並び中の順番をiとし、i番目の赤外光源の出射光の第1の検出反射強度をLiとし、Xiをiが大きくなるほど大きくなる値とし、kiを、Liが第1の検出反射強度のうちで最大か2番目に大きいときに1となり他のときに0となる値として、
前記ピーク位置算定部は、
Σ(Xi×ki)/Σ(Li×ki)
により前記ピーク位置を算定することを特徴とする近接位置検出装置
【請求項7】
請求項1、2または3記載の近接位置検出装置であって、
前記赤外光源の前記第1辺に沿った並び中の順番をiとし、i番目の赤外光源の出射光の第1の検出反射強度をLiとし、Xiをiが大きくなるほど大きくなる値として、
前記ピーク位置算定部は、Liの最大値をLmaxとし、Q=Lmax×S(0<S<1)とし、Li'=Li-Qとし、Li'>0の場合はLi"=Li'、Li'≦0の場合はLi"=0として、
GC=Σ(Li"×Xi)/Σ(Li")
によりピーク位置GCを算定することを特徴とする近接位置検出装置
【請求項8】
請求項4記載の近接位置検出装置であって、
j番目の対象赤外光源の出射光の第2の検出反射強度をEjとして、
前記位置指標算定部は、Ejの総和またはEjの最大値をAとし、Liの総和またはLiの最大値をBとして、A/Bを、前記位置指標として算定し、
kiを、Liが第1の検出反射強度のうちで最大か2番目に大きいときに1となり他のときに0となる値として、
前記ピーク位置算定部は、
Σ(Xi×ki)/Σ(Li×ki)
により前記ピーク位置を算定することを特徴とする近接位置検出装置
【請求項9】
請求項4記載の近接位置検出装置であって、
j番目の対象赤外光源の出射光の第2の検出反射強度をEjとして、
前記位置指標算定部は、Ejの総和またはEjの最大値をAとし、Liの総和またはLiの最大値をBとして、A/Bを、前記位置指標として算定し、
前記ピーク位置算定部は、Liの最大値をLmaxとし、Q=Lmax×S(0<S<1)とし、Li'=Li-Qとし、Li'>0の場合はLi"=Li'、Li'≦0の場合はLi"=0として、
GC=Σ(Li"×Xi)/Σ(Li")
によりピーク位置GCを算定することを特徴とする近接位置検出装置
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の近接位置検出装置と、当該近接位置検出装置と一体化された前記ディスプレイを備えたことを特徴とするディスプレイユニット。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の近接位置検出装置と、前記ディスプレイと、前記ディスプレイを表示出力に用いるデータ処理装置を備え、
前記近接位置検出装置は、前記検出位置を前記データ処理装置に通知し、
前記データ処理装置は、通知された検出位置の推移より、ディスプレイの表示面に近接した手によるジェスチャを認識し、認識したジェスチャに応じた処理を行うことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの表示面に近接した手の位置を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイの表示面に近接した手の位置を検出する技術としては、ディスプレイの下辺に沿って配置した、ディスプレイの前方の空間に向けて上方に赤外光を照射する複数のLEDを順次点灯すると共に、フォトダイオードでユーザの手による赤外光の反射光を検出し、各LED点灯時に検出された反射光の強度よりディスプレイの表示面に近接した手の位置を推定し、推定した位置の推移よりディスプレイの表示面に近接した手によるジェスチャを認識する検知システムが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-74465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した検知システムにおいてディスプレイの表示面に近接した水平方向の手の位置を、より高分解能に求める場合には、各LED点灯時に検出された反射光の強度の重心位置を水平方向の手の位置として算定することが考えられる。
【0005】
すなわち、図10a、bに示すように、ディスプレイDに対して、左右方向、上下方向、前後方向を定めるものとして、赤外光を照射するLED1、LED2、LED3、LED4の4つのLEDを、当該順序で左から右に向かって、ディスプレイDの下辺の少し下の位置におおよそ等間隔で配置する。また、PD1とPD2との赤外光を検出する2つのフォトダイオードを、PD1が、LED1とLED2の中間の位置し、PD2が、LED3とLED4の中間の位置するように設ける。
【0006】
そして、図11に示すサイクルを繰り返し行う。
各サイクルは、LED1のみを点灯しPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L1を得るピリオドと、LED2のみを点灯しPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L2を得るピリオドと、LED3のみを点灯しPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L3を得るピリオドと、LED4のみを点灯しPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L4を得るピリオドとを含む。
【0007】
そして、各LED点灯時に検出された反射光の強度の重心位置Gを、X1<x2<x3<x4として∥
g={(x1×L1)+(X2×L2)+(X3×L3)+(X4×L4)}/(L1+L2+L3+L4)
によって、水平方向の手の位置として算定する。
【0008】
しかし、このように重心位置Gを水平方向の手の位置とすると次のような問題が生じる。
すなわち、一般にLEDの照射特性は指向性を持った点光源として近似でき、LED1、LED2、LED3、LED4の4つのLEDによるの照射分布は例えば図12aに示すようになる。
【0009】
図示するように、ディスプレイDの下部では、各LEDからの照射光が拡がっていないため、この位置にある対象物(たとえばP2)は1つのLEDのみの照射を強く受けがちである一方、ディスプレイDの上部では、各LEDの照射が拡がってくるため、この位置にある対象物(たとえばP1)は複数のLEDからの照射を受けるようになる。
【0010】
そして、この影響により、X1=1、X2=2、X3=3、X4=4として、
G={(1×L1)+(2×L2)+(3×L3)+(4×L4)}/(L1+L2+L3+L4)
により重心位置Gを算定する場合について、対象物の位置と当該位置にある対象物に対して算定される重心位置Gとの関係を図12bに示したように、水平方向の位置が同じ対象物(たとえば図12aのP1に位置する対象物とP2に位置する対象物)に対して、上下方向の位置に応じて異なる重心位置Gが水平方向の手の位置として算定されてしまう。
【0011】
そして、対象物の位置と重心位置Gとの関係が、図12bに示したように、位置が上方となるにつれて、より中央値(図12bでは2.5)に近づく重心位置Gが算定され、左右端に近づくほど、上下方向の位置によって重心位置Gが大きく変化する関係となるために、重心位置Gを水平方向の手の位置として手のジェスチャを検出すると、ジェスチャを誤認識する場合が生じる。
【0012】
すなわち、たとえば、ディスプレイDに近接させた手を左から右にディスプレイDの画面幅の75%以上動かすジェスチャをスワイプ動作として検出する場合、画面の上部中央において画面幅の75%の長さは図12cのM1となり、M1に対応する重心位置Gの変化幅は2.25となる。
【0013】
一方、画面の下部中央において重心位置Gの変化幅2.25に対応する長さは、図12cの画面幅のおよそ40%の長さM2となる。
したがって、画面の上部中央に合わせて、重心位置Gが2.25以上変化したときにスワイプ動作を検出するようにすると、画面の下部中央において、ユーザが手を左から右にディスプレイDの画面幅の40%程度だけ動かしたときにもスワイプ動作として誤認識してしまう。
【0014】
また、ディスプレイDが左ハンドル車の自動車のダッシュボードの運転席と助手席の間の位置に配置されたものである場合に、ドライバが手でディスプレイDの下方にあるエアコン等の走査パネルを操作するような動作を図12cのJ1のように行ったときにも、重心位置Gが2.25以上変化しスワイプ動作として誤認識してしまう。
【0015】
そこで、本発明は、手によるジェスチャを適正に認識できるように、ディスプレイの表示面に近接した手の位置を検出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題達成のために、本発明は、ディスプレイの表示面に近接した手の水平方向の位置を検出する近接位置検出装置に、ディスプレイの表示面の外側に当該表示面の水平方向の一辺である第1辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源と、前記表示面の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された複数の光検出器と、近接位置算定部とを設けたものである。前記近接位置算定部は、前記複数の赤外光源の各々について、当該赤外光源に予め定めた対応に従って対応づけられている光検出器で検出した、当該赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該赤外光源の出射光の第1の検出反射強度として、各赤外光源の出射光の第1の検出反射強度から推定される反射光の水平方向の分布の重心に対応する水平方向の位置を重心位置として算定する重心位置算定部と、前記複数の赤外光源のうちの一つもしくは複数の赤外光源を対象赤外光源として、各対象赤外光源について、当該対象赤外光源である赤外光源に前記対応に従って対応づけられている光検出器よりも、当該対象赤外光源に対して離れている光検出器で検出した、当該対象赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該対象赤外光源の出射光の第2の検出反射強度として、各第2の検出反射強度の大きさの程度を表す位置指標を算定する位置指標算定部と、各赤外光源の出射光の前記第1の検出反射強度から推定される、反射光のピークが現れる水平方向の位置をピーク位置として算定するピーク位置算定部と、前記位置指標が大きいほど前記ピーク位置の値に近づくように前記重心位置を補正した位置を補正後重心位置として算定する補正後重心位置算定部と、前記補正後重心位置を用いて、ディスプレイの表示面に近接した手の水平方向の位置を表す検出位置を算定する検出位置算定部とを備えている。
【0017】
ここで、このような近接位置検出装置は、前記補正後重心位置が前記表示面の左右方向の中央の位置を表す場合の補正後重心位置の値を中央値として、前記検出位置算定部において、前記補正後重心位置算定部で算定された算定された前記補正後重心位置の値を、前記中央値との値の差が所定の割合で縮小するように補正した値を持つ前記検出位置を算定するよう構成してもよい。
【0018】
または、前記補正後重心位置が前記表示面の左右方向の中央の位置を表す場合の補正後重心位置の値を中央値として、前記検出位置算定部において、前記補正後重心位置算定部で算定された前記補正後重心位置の値を、当該値と前記中央値との値の差が小さいほど、前記中央値との値の差がより縮小するように補正した値を持つ前記検出位置を算定するよう構成してもよい。
【0019】
また、このような近接位置検出装置は、前記赤外光源の前記第1辺に沿った並び中の順番をiとし、Xiをiが大きくなるほど大きくなる値とし、i番目の赤外光源の出射光の第1の検出反射強度をLiとして、前記重心位置算定部において、Σ(Li×Xi)/Σ(Li)を、前記重心位置として算定するよう構成してもよい。
【0020】
また、このような近接位置検出装置は、前記赤外光源の前記第1辺に沿った並び中の順番をiとし、i番目の赤外光源の出射光の第1の検出反射強度をLiとし、j番目の対象赤外光源の出射光の第2の検出反射強度をEjとして、前記位置指標算定部において、Ejの総和またはEjの最大値をAとし、Liの総和またはLiの最大値をBとして、A/Bを、前記位置指標として算定するよう構成してもよい。
【0021】
また、 このような近接位置検出装置は、前記赤外光源の前記第1辺に沿った並び中の順番をiとし、i番目の赤外光源の出射光の第1の検出反射強度をLiとし、Xiをiが大きくなるほど大きくなる値とし、kiを、Liが第1の検出反射強度のうちで最大か2番目に大きいときに1となり他のときに0となる値として、前記ピーク位置算定部において、
Σ(Xi×ki)/Σ(Li×ki)
により前記ピーク位置を算定するよう構成してもよい。
【0022】
または、前記赤外光源の前記第1辺に沿った並び中の順番をiとし、i番目の赤外光源の出射光の第1の検出反射強度をLiとし、Xiをiが大きくなるほど大きくなる値として、
前記ピーク位置算定部において、Liの最大値をLmaxとし、Q=Lmax×S(0<S<1)とし、Li'=Li-Qとし、Li'>0の場合はLi"=Li'、Li'≦0の場合はLi"=0として、
GC=Σ(Li"×Xi)/Σ(Li")
によりピーク位置GCを算定するよう構成してもよい。
【0023】
以上のような近接位置検出装置において、赤外光源から比較的離れた光検出器で算出される第2の検出反射強度の大きさの程度を表す位置指標は対象物の上下方向の推定位置を示すものとなる。そして、本近接位置検出装置によれば、対象物の位置と重心位置との関係が、図12bに示したように、位置が上方となるにつれて、より中央値に近づく重心位置が算定され、左右端に近づくほど、上下方向の位置によって重心位置が大きく変化する関係にあっても、これを位置指標が表す対象物の上下方向の推定位置に応じて補正し、対象物の位置と当該位置を表す検出位置との関係を、検出位置に基づくジェスチャの誤認識を抑制できる関係とすることができる。
【0024】
ここで、本発明は、さらに、以上の近接位置検出装置と、当該近接位置検出装置と一体化された前記ディスプレイを備えたディスプレイユニットを提供する。
また、本発明は、以上の近接位置検出装置と、前記ディスプレイと、前記ディスプレイを表示出力に用いるデータ処理装置を備えた情報処理システムを提供する。前記近接位置検出装置は、前記検出位置を前記データ処理装置に通知し、前記データ処理装置は、通知された検出位置の推移より、ディスプレイの表示面に近接した手によるジェスチャを認識し、認識したジェスチャに応じた処理を行う。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、手によるジェスチャを適正に認識できるように、ディスプレイの表示面に近接した手の位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るディスプレイの配置を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る近接検出センサの配置を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る近接検出センサの動作シーケンスを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る近接検出センサの動作シーケンスの他の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る位置算定処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る位置算定処理の動作を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る位置算定処理の動作を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る位置算定処理の動作の他の例を示す図である。
図10】本発明の課題を示す図である。
図11】本発明の課題を示す図である。
図12】本発明の課題を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る情報処理システムの構成を示す。
情報処理システムは自動車に搭載されるシステムであり、カーナビゲーションアプリケーションやメディアプレイヤアプリケーション等を実行するデータ処理装置1、データ処理装置1が映像表示に用いるディスプレイ2、近接位置検出装置3、データ処理装置1が利用する、その他の周辺装置4を備えている。
【0028】
ディスプレイ2は、たとえば、図2に示すように、近接位置検出装置3と一体化されたディスプレイユニット10の形態で、自動車のダッシュボードの運転席と助手席の間の位置に表示面を後方に向けて配置される。
【0029】
そして、近接位置検出装置3は、ディスプレイ2の表示面への近接したユーザの手の水平方向の位置を検出し、検出位置としてデータ処理装置1に通知し、データ処理装置1は、通知された検出位置の推移より、スワイプ動作などの、ディスプレイ2の表示面に近接した手によるジェスチャを認識し、認識したジェスチャに応じた処理を行う。
【0030】
図1に戻り、近接位置検出装置3は、近接検出センサ31と近接検出コントローラ32を備えている。
近接検出センサ31は、LED1、LED2、LED3、LED4の4つの赤外線LEDと、PD1とPD2の、赤外光を検出する2つのフォトダイオードを備えている。
また、近接検出コントローラ32は、LED1、LED2、LED3、LED4を駆動して発光させる駆動部321、PD1とPD2が出力する電流信号をPD1とPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号に変換し出力する検出部322、駆動部321と検出部322の動作を制御すると共に、検出部322が出力する強度信号が表す赤外光の強度より、ディスプレイ2の表示面に近接したユーザの手の水平方向の位置を検出し、検出位置としてデータ処理装置1に通知する検出制御部323とを備えている。
【0031】
次に、図3a、bに示すように、ディスプレイ2に対して前後左右上下を定めるものとして、LED1、LED2、LED3、LED4は、当該順序で左から右に向かって、ディスプレイ2の下辺の少し下の位置におおよそ等間隔で配置されている。ただし、前方向はディスプレイ2の表示方向である。
【0032】
また、PD1は、LED1とLED2の中間の位置に配置され、入射する赤外光の反射光を電流信号に変換し、PD2は、LED3とLED4の中間の位置に配置され、入射する赤外光の反射光を電流信号に変換する。
【0033】
図3a、b中の矢印は、LED1、LED2、LED3、LED4の指向角の中心軸を表しており、LED1、LED2、LED3、LED4は、ディスプレイ2の前方上方に向けて斜めに赤外光を照射する。
【0034】
図3cは、LED1、LED2、LED3、LED4による赤外光の照射強度の分布を表しており、各LEDからの照射光は上方に向かって拡がっていくため、ディスプレイ2の下部の位置では1つのLEDのみの照射を強く受けがちである一方、ディスプレイ2の上部の位置では複数のLEDからの照射を受けるようになる。
【0035】
次に、近接検出コントローラ32の検出制御部323は、図4aに示すサイクルが繰り返し行われるように、駆動部321と検出部322の動作を制御する。
図4aに示すサイクルは、駆動部321がLED1のみを発光し、検出部322がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L1を出力するピリオドと、駆動部321がLED2のみを発光し、検出部322がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L2を出力するピリオドと、駆動部321がLED3のみを発光し、検出部322がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L3を出力するピリオドと、駆動部321がLED4のみを発光させ、検出部322がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L4を出力するピリオドと、駆動部321がLED1のみを発光し、検出部322がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号E1を出力するピリオドと、駆動部321がLED4のみを発光させ、検出部322がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号E2とを出力するピリオドとを含む。
【0036】
次に、図4bに検出部322の構成を示す。
図示するように、検出部322は、信号処理部3221と、一つのアナログデジタル変換器3222(A/D3222)と、マルチプレクサ3223(MPX3223)とを備える。
【0037】
マルチプレクサ3223は、図4aに示したサイクルにおいて、検出部322がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L1、L2、E2を出力するピリオドでは、PD1の出力する電流信号を選択して信号処理部3221に出力し、検出部322がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L3、L4、E1を出力するピリオドでは、PD2の出力する電流信号を選択して信号処理部3221に出力する。信号処理部3221は、マルチプレクサ3223から入力する電流信号の電圧信号への変換などの信号処理を行い、アナログデジタル変換器3222は、同セットの信号処理部3221が出力する電圧信号をデジタル変換して検出制御部323に出力する。
【0038】
ここで、近接検出コントローラ32の検出制御部323は、図4aに示すサイクルに代えて、図5aに示すサイクルが繰り返し行われるように、駆動部321と検出部322の動作を制御してもよい。
【0039】
図5aに示すサイクルは、駆動部321がLED1のみを発光し、検出部322がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L1とPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号E1とを出力するピリオドと、駆動部321がLED2のみを発光し、検出部322がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L2を出力するピリオドと、駆動部321がLED3のみを発光し、検出部322がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L3を出力するピリオドと、駆動部321がLED4のみを発光させ、検出部322がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L4とPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号E2とを出力するピリオドとを含む。
【0040】
ここで、このように、近接検出コントローラ32の検出制御部323が、図5aに示すサイクルが繰り返し行われるように、駆動部321と検出部322の動作を制御する場合、検出部322は、図4bに示す構成に代えて、図5bに示すように構成する。
【0041】
図5bの検出部322は、PD1とPD2の二つのフォトダイオードのそれぞれに対応して設けた信号処理部3221とアナログデジタル変換器3222(A/D3222)のセットを備えている。
【0042】
各セットの信号処理部3221は、対応するフォトダイオードが出力する電流信号の電圧信号への変換などの信号処理を行い、各セットのアナログデジタル変換器3222は、同セットの信号処理部3221が出力する電圧信号をデジタル変換して検出制御部323に出力する。
【0043】
次に、近接検出コントローラ32の検出制御部323が行う位置算定処理について説明する。
図6に、この位置算定処理の手順を示す。
図示するように、検出制御部323は、図4aまたは図5aに示す各回のサイクルにおいて、強度信号L1、L2、L3、L4、E1、E2を検出部322から取得する(ステップ602)。
【0044】
ここで、LED1のみを発光したときのPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号E1は、図7aに示すように、ディスプレイ2の左側上方の領域において反射が発生したときに有意な値を示すと共に、反射が発生した位置が上方であるほど大きな値を示す傾向がある。
【0045】
これは、ディスプレイ2の左方上方の領域は、LED1の出射する赤外光によって比較的強い強度で照射されており、かつ、LED1とPD2との位置関係が、当該領域内で生じた反射によるLED1の出射する赤外光の反射光がPD2に比較的強い強度で到達する位置関係にあり、また、当該領域内においては、より上方の位置で発生した赤外光の反射光がPD2に、より到達しやすいからである。
【0046】
また、同様に、LED4のみを発光したときのPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号E2は、ディスプレイ2の右側上方の領域において反射が発生したときに有意な値を示すと共に、反射が発生した位置が上方であるほど大きな値を示す。
【0047】
図6に戻り、検出制御部323は、次に、近接有無評価値Vを、V=f1(L1,L2,L3,L4)により算出する(ステップ604)。f1(L1,L2,L3,L4)は、たとえば、強度信号L1、L2、L3、L4の最大値を与える関数とする。ただし、f1は、強度信号L1、L2、L3、L4から、発生している反射光の大きさを与える関数であれば他の関数であってもよい。
【0048】
そして、ステップ604で算出したVとしきい値Thを比較し(ステップ66)、Vがしきい値Thより大きくなければ、そのままステップ602に戻り、次回のサイクルの強度信号L1、L2、L3、L4、E1、E2の検出部322からの取得を待つ。
【0049】
一方、Vがしきい値Thより大きい場合には、重心位置Gを、G=f2(L1,L2,L3,L4)により算出する(ステップ608)。
f2(L1,L2,L3,L4)は、たとえば、X1、X2、X3、X4を、X1<X2<X3<X4を満たす値として、
G={(X1×L1)+(X2×L2)+(X3×L3)+(X4×L4)}/(L1+L2+L3+L4)
を与える関数とする。
【0050】
ただし、以下では、X1=1、X2=2、X3=3、X4=4であるものとして説明を行う。
なお、この場合、f2(L1,L2,L3,L4)は、たとえば、
G={(1×L1)+(2×L2)+(3×L3)+(4×L4)}/(L1+L2+L3+L4)
を与える関数とする。
【0051】
重心位置Gは、先に、図12bを用いて説明したように、反射発生位置が上方となるにつれて、より中央値に近づく重心位置Gが算定され、反射発生位置が左右端に近づくほど、上下方向の位置によって重心位置Gが大きく変化する図7bに示す関係となる。
【0052】
図6に戻り、検出制御部323は、次に、位置指標EYを、EY=f3(E1,E2)/f4(L1,L2,L3,L4)により算出する(ステップ610)。
f3(E1,E2)は、たとえば、(E1+E2)を与える関数や、E1、E2の最大値を与える関数とし、f4(L1,L2,L3,L4)は、たとえば、(L1+L2+L3+L4)を与える関数や、L1、L2、L3、L4の最大値を与える関数とする。
【0053】
図7aに示したE1、E2と反射発生位置との関係に対して、位置指標EYは、図7bに示すように、ディスプレイ2の左側上方の領域と右側上方の領域において反射が発生したときに有意な値を示す。また、位置指標EYは、反射が発生した位置が、上方であるほど大きくなると共に、画面の左右方向中央から左右に離れるほど大きくなる値を示す。
【0054】
したがって、位置指標EYは、反射発生位置の上下方向の位置や左右方向の位置を表す指標となる。
図6に戻り、検出制御部323は、次に、ピーク位置GCを、GC=f5(L1,L2,L3,L4)により算出する(ステップ612)。
f5(L1,L2,L3,L4)は、L1、L2、L3、L4のうちで最大のものと、2番目に大きいものとを用いてピークの位置を算出する関数であり、f5(L1,L2,L3,L4)は、たとえば、ki(iは、1、2、3、4)を、LiがL1、L2、L3、L4のうちで最大か2番目に大きいときに1となり他のときに0となる値として、
GC={(1×k1)+(2×k2)+(3×k3)+(4×k4)}/{(L1×k1)+(L2×k2)+(L3×k3)+(L4×k4)}
を与える関数とする。
【0055】
ここで、図7cに、このようにして求まるピーク位置GCを示す。
図示するように、画面上部では、左から右への反射発生位置の変化に対してピーク位置GCは比較的スムーズに1から4まで変化するが、画面下部では、各LEDの光が拡がっていないために、左から右への反射発生位置の変化に対してピーク位置GCはステップ的に変化する。
【0056】
図6に戻り、検出制御部323は、次に、補正後重心位置G'を、G'=G×(1-α)+GC×αにより算出する(ステップ614)。
αは、0以上1以下の数であって、位置指標EYが大きいほど大きくなるように設定する。
この結果、αは、位置指標EYに従って、反射発生位置が上方であるほど大きくなると共に、反射発生位置が画面の左右方向中央から左右に離れるほど大きくなるので、補正後重心位置G'と反射発生位置との関係は図8aに示すようになる。
【0057】
図示するように補正後重心位置G'は、反射発生位置が上方であるほど、かつ、反射発生位置が画面の左右方向中央から左右に離れるほど、算定される補正後重心位置G'が中央値(2.5)から離れるように、図7bに示した反射発生位置と重心位置Gの関係を補正したものとなる。
【0058】
なお、図7cに示したように画面下部で左から右への反射発生位置の変化に対してピーク位置GCはステップ的に変化するが、位置指標EYに従って画面下部ではαは0もしくはほぼ0となってピーク位置GCは補正後重心位置G'に反映されないので、このようなステップ的な変化による影響は抑制される。
【0059】
図6に戻り、検出制御部323は、次に、最終重心位置G"をG"=f7(G')により算出する(ステップ616)。
f7(G')は、Tを定数として、G"=2.5+T(G'-2.5)を与える関数であり、定数Tは、0<t<1であり∥補正後重心位置G'と中央値2.5との差よりも、当該補正後重心位置G'より算定される最終重心位置G"と中央値2.5との差が縮小する。
【0060】
また、定数Tは、図8bに示すように、図8aに示した反射発生位置と補正後重心位置G'の関係が水平方向に線形に伸張され、反射発生位置が画面の左上角であるときにG"=1となり、反射発生位置が画面の、右上角であるときにG"=4となるように定める。
【0061】
図6に戻り、最後に、検出制御部323は、算出した最終重心位置G"を検出位置としてデータ処理装置1に通知し(ステップ618)、ステップ602からの処理に戻る。
以上、検出制御部323が行う位置算定処理について説明した。
図8bに示した反射発生位置と最終重心位置G"の関係によれば、図8cに示すように、最終重心位置G"の変化幅に対する画面の上部における左右方向の長さM'1と画面の下部における左右方向の長さM'2を、ほぼ同様の長さとすることができる。
【0062】
よって、たとえば、ディスプレイ2に近接させた手を左から右にディスプレイ2の画面幅の75%以上動かすジェスチャをスワイプ動作として検出する場合、画面の上部と下部とで、ほぼ同じ移動量を超える手の移動に対してのみスワイプ動作を検出することができる。
【0063】
また、画面の下部における左右方向の反射位置の変化幅に対する最終重心位置G"の変化幅が、図7bに示した重心位置Gの場合に比べて小さいので、ディスプレイ2が左ハンドル車の自動車のダッシュボードの運転席と助手席の間の位置に配置されたものである場合に、ドライバが手でディスプレイ2の下方にあるエアコン等の走査パネルを操作するような動作を図8cのJ1のように行ったときに、これをスワイプ動作として誤認識してしまうことを排除できる。
【0064】
したがって、本実施形態によれば、ディスプレイ2の表示面に近接した手によるジェスチャを、より適正に検出することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態における図6の位置算定処理のステップ612ではピーク位置GCを、L1、L2、L3、L4のうちで最大のものと、2番目に大きいものとから求めたが、このようにすると2番目に大きいものと3番目に大きいものとが、ほぼ同じ大きさであったときに、正しいピークの位置をピーク位置GCとして求めることができない。
【0065】
そこで、ステップ612ではピーク位置GCを、次のように算出してもよい。
すなわち、L1、L2、L3、L4の最大値Lmaxを求め、Q=Lmax×S(0<S<1であり、Sはたとえば1/3)とする。そして、L1'=L1-Q、L2'=L2-Q、L3'=L3-Q、L4'=L4-Qとし
L1'>0の場合はL1"=L1'、L1'≦0の場合はL1"=0、
L2'>0の場合はL2"=L2'、L2'≦0の場合はL2"=0、
L3'>0の場合はL3"=L3'、L3'≦0の場合はL3"=0、
L4'>0の場合はL4"=L4'、L4'≦0の場合はL4"=0
として、
GC={(1×L1")+(2×L2")+(3×L3")+(4×L4")}/(L1"+L2"+L3"+L4")
によりピーク位置GCを算出する。
【0066】
また、以上の実施形態における図6の位置算定処理のステップ616で最終重心位置G"の算定に用いたf7(G')は、図8aに示した反射発生位置と補正後重心位置G'の関係を水平方向に非線形に伸張する関係としてもよい。
【0067】
すなわち、f7(G')として、図9aに示す、補正後重心位置G'が中央値2.5に近いほど、補正後重心位置G'と中央値2.5との差よりも、当該補正後重心位置G'より算定される最終重心位置G"と中央値2.5との差が、より縮小する非線形な変換を行う関数を用いてもよい。このような関数を用いることにより、図9bに示すように画面の左右方向の中央に近いほど、左右方向の反射位置の変化幅に対する最終重心位置G"の変化幅が小さくなるように、補正後重心位置G'は最終重心位置G"に補正される。
【0068】
このように最終重心位置G"を求めることにより、画面の下部の左右方向中央部分において左右方向の反射位置の変化幅に対する最終重心位置G"の変化幅をより小さくし、上述したドライバが手でディスプレイ2の下方にあるエアコン等の走査パネルを操作するような動作J1に対して、これをスワイプ動作として誤認識してしまうことを、より確実に排除できる。
または、以上の実施形態における図6の位置算定処理のステップ616、618を廃して、補正後重心位置G'を、そのまま検出位置としてデータ処理装置1に通知し、ステップ602からの処理に戻るようにしてもよい。
このようにしても、検出位置の変化幅に対する画面の上部における左右方向の長さと画面の下部における左右方向の長さを、ほぼ同様の長さとすることができる。
【0069】
また、以上の実施形態では、LED1、LED2、LED3、LED4の4つの赤外線LEDと、PD1、PD2の2つのフォトダイオードを用いたが、赤外線LEDの数は4以外の数であって良く、フォトダイオードの数は2以外の数であって良い。
【0070】
ただし、この場合には、たとえば、複数の赤外線LEDと複数のフォトダイオードの並びの一方の端を第1端、第1端と反対側の端を第2端として、第1端に近い赤外線LEDを点灯したときの、当該赤外線LEDの強度信号を検出するフォトダイオードよりも第2端に近いフォトダイオードで検出した強度信号と、第2端に近い赤外線LEDを点灯したときの、当該赤外線LEDの強度信号を検出するフォトダイオードよりも第1端に近いフォトダイオードで検出した強度信号を、上述した強度信号E1、E2に代えて用いるようにする。
【符号の説明】
【0071】
1…データ処理装置、2…ディスプレイ、3…近接位置検出装置、4…周辺装置、10…ディスプレイユニット、31…近接検出センサ、32…近接検出コントローラ、321…駆動部、322…検出部、323…検出制御部、3221…信号処理部、3222…アナログデジタル変換器、3223…マルチプレクサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12