(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】部品を形成するためのダイ、並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/36 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B29C43/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020090181
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-05-22
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アダッシ, ミッチェル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ダマース, アンドリュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】マッケナ, アシュリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】フェネワルド, ウィリアム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒル, チェスター, ザ フォース
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-036919(JP,A)
【文献】特開2005-138366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0263673(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0266220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/36
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(102B)を形成するためのダイ(110)であって、
熱プラテン境界面(116)及び部品境界面(112)を含む基部(118)であって、前記熱プラテン境界面(116)と前記部品境界面(112)が、前記基部(118)の厚さ(T)によって分離されている、基部(118)、並びに
前記基部(118)内に埋め込まれ、前記基部(118)によって周方向に閉じられ、互いから離間され、前記熱プラテン境界面(116)から前記部品境界面(112)に向かって第1の方向に延在する、複数のインサート(120)
を備え、
前記基部(118)が、第1の熱伝導率を有する第1の材料から作製され、
前記複数のインサート(120)が、第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製され、
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率と異な
り、
前記ダイが、第3の熱伝導率を有する第3の材料から作製された複数のインサート(120)をさらに備え、前記第3の熱伝導率が、前記第1の熱伝導率及び前記第2の熱伝導率と異なる、ダイ(110)。
【請求項2】
前記複数のインサート(120)の各々が、前記基部(118)の前記厚さ(T)に対して平行な長さ(L)を有し、
前記複数のインサート(120)のうちの第1のインサートの長さ(L)が、前記複数のインサート(120)のうちの第2のインサートの長さ(L)と異なる、請求項1に記載のダイ(110)。
【請求項3】
前記基部(118)が、第1の厚さ(T1)を有する第1の部分(152)、及び第2の厚さ(T2)を有する第2の部分(154)を含むように、前記基部(118)の前記厚さ(T)が、前記部品境界面(112)に沿って変わり、
前記第1の厚さ(T1)が前記第2の厚さ(T2)より大きく、
前記複数のインサート(120)のうちの前記第1のインサートが、前記基部(118)の前記第1の部分(152)内に埋め込まれ、第1の長さ(L1)を有し、
前記複数のインサート(120)のうちの前記第2のインサートが、前記基部(118)の前記第2の部分(154)内に埋め込まれ、前記第1の長さ(L1)より短い第2の長さ(L2)を有する、請求項2に記載のダイ(110)。
【請求項4】
前記複数のインサート(120)が、前記基部(118)の前記厚さ(T)の全体に亘るように、前記複数のインサート(120)が、前記熱プラテン境界面(116)から前記部品境界面(112)へと延在する、請求項1から3のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項5】
前記複数のインサート(120)が、前記基部(118)の前記厚さ(T)の一部のみに亘るように、前記複数のインサート(120)が、前記熱プラテン境界面(116)から、前記熱プラテン境界面(116)と前記部品境界面(112)との中間の位置まで延在する、請求項1から3のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項6】
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率より小さく、
前記基部(118)が、第1の厚さ(T1)を有する第1の部分(152)、及び第2の厚さ(T2)を有する第2の部分(154)を含むように、前記基部(118)の前記厚さ(T)が、前記部品境界面(112)に沿って変わり、
前記第1の厚さ(T1)が前記第2の厚さ(T2)より大きく、
前記複数のインサート(120)のうちの複数の第1のインサートが、前記基部(118)の前記第1の部分(152)内に埋め込まれ、
前記複数のインサート(120)のうちの複数の第2のインサートが、前記基部(118)の前記第2の部分(154)内に埋め込まれ、
前記熱プラテン境界面(116)の表面積当たりの、前記複数のインサート(120)のうちの前記複数の第1のインサートの数量が、前記熱プラテン境界面(116)の表面積当たりの、前記複数のインサート(120)のうちの前記複数の第2のインサートの数量より多い、請求項1から5のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項7】
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率より小さく、
前記基部(118)の任意の部分における前記熱プラテン境界面(116)の表面積当たりの前記複数のインサート(120)の数量が、前記基部(118)の前記任意の部分の前記厚さ(T)の乗算値である、請求項1から6のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項8】
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率より小さく、
前記熱プラテン境界面(116)の表面積当たりの前記複数のインサート(120)の数量が、前記第1の熱伝導率と前記第2の熱伝導率の比率の乗算値である、請求項1から7のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項9】
前記基部(118)が、第1の厚さ(T1)を有する第1の部分(152)、及び第2の厚さ(T2)を有する第2の部分(154)を含むように、前記基部(118)の前記厚さ(T)が、前記部品境界面(112)に沿って変わり、
前記第1の厚さ(T1)が前記第2の厚さ(T2)より大きく、
前記第2の熱伝導率が前記第3の熱伝導率より大きく、
前記第2の熱伝導率を有する前記第2の材料から作製された前記複数のインサート(120)が、前記基部(118)の前記第1の部分(152)内に埋め込まれ、
前記第3の熱伝導率を有する前記第3の材料から作製された前記複数のインサート(120)が、前記基部(118)の前記第2の部分(154)内に埋め込まれる、請求項
1に記載のダイ(110)。
【請求項10】
前記複数のインサート(120)の各々が、前記第1の方向に対して平行な長さ(L)を有し、
前記複数のインサート(120)の各々が、前記長さ(L)に対して直角をなす幅(W)を有し、
前記複数のインサート(120)の各々の前記長さ(L)が、当該インサート(120)の前記幅(W)の少なくとも5倍である、請求項1から
9のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項11】
前記基部(118)が複数の孔(150)を含み、
前記複数のインサート(120)の各々が、前記複数の孔(150)のうちの対応する孔内に固定される、請求項1から
10のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項12】
前記第1の熱伝導率と前記第2の熱伝導率の比率が、前記基部(118)の前記厚さ(T)の乗算値である、請求項1から
11のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項13】
部品(102B)を形成するためのシステム(100)内にさらに含まれるダイ(110)であって、前記システム(100)が、
前記ダイ(110)によって前記部品(102B)へと形成される材料(102A)を支持するように構成された支持面(104)であって、前記ダイ(110)が、前記支持面(104)に向かってかつ前記支持面(104)から離れるように移動可能である、支持面(104)、及び
前記基部(118)の前記熱プラテン境界面(116)と熱的に結合され、前記基部(118)及び前記複数のインサート(120)に熱を供給するように構成された熱プラテン(106)
を備えている、請求項1から
12のいずれか一項に記載のダイ(110)。
【請求項14】
部品(102B)を形成するためのダイ(110)を作製する方法(200)であって、
基部(118)内に複数の孔(150)を形成することであって、当該複数の孔(150)が、互いから離間され、前記基部(118)の熱プラテン境界面(116)から前記基部(118)の部品境界面(112)に向かって延在し、前記熱プラテン境界面(116)及び前記部品境界面(112)が、前記基部(118)の厚さ(T)によって分離されている、基部(118)内に複数の孔(150)を形成することと、
複数のインサート(120)のうちの対応するインサートで前記基部(118)内の前記複数の孔(150)の各々を充填することであって、前記基部(118)が、第1の熱伝導率を有する第1の材料から作製され、前記複数のインサート(120)が、前記第1の熱伝導率と異なる第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製される、前記各孔(150)を充填することと
を含
み、
さらに複数のインサート(120)が、第3の熱伝導率を有する第3の材料から作製され、前記第3の熱伝導率が、前記第1の熱伝導率及び前記第2の熱伝導率と異なる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、材料を所望の形状へと形成することに関し、より具体的には、加熱したダイを使用して、材料を所望の形状を有する部品へと形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイは、加熱され、材料に対して圧縮され、材料を所望の形状を有する部品へと形成する。ダイにおける厚さの変動により、ダイを均一に加熱することは困難である。ダイの非均一な加熱により、材料の所望の形状の形成が不完全になるか、又は形成された部品において過剰な残留応力が生じる結果となる。
【発明の概要】
【0003】
本出願の主題は、先行技術の上述の欠点を克服する、部品を形成するためのダイ、システム、及び方法の実施例を提供する。本出願の主題は、現在の当該技術分野に対応して開発されており、具体的には、従来のダイ、並びに当該ダイから部品を形成するための従来の方法及びシステムの欠点に対応して開発されている。
【0004】
開示されたダイは、部品を形成するためのものである。ダイは、熱プラテン境界面及び部品境界面を備えた基部を備えている。熱プラテン境界面及び部品境界面は、基部の厚さによって分離されている。ダイは、基部内に埋め込まれ、基部によって周方向に閉じられ、互いから離間され、熱プラテン境界面から部品境界面に向かって第1の方向に延在する、複数のインサートをさらに備えている。基部は、第1の熱伝導率を有する第1の材料から作製される。複数のインサートは、第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製される。第1の熱伝導率は、第2の熱伝導率とは異なる。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例1を特徴付けるものである。
【0005】
複数のインサート各々は、基部の厚さに対して平行な長さを有する。複数のインサートのうちの第1のインサートの長さは、複数のインサートのうちの第2のインサートの長さと異なる。この段落の上述の主題は、本開示の実施例2を特徴付けており、実施例2は、上述の実施例1に係る主題も含んでいる。
【0006】
基部が、第1の厚さを有する第1の部分、及び第2の厚さを有する第2の部分を含むように、基部の厚さは部品境界面に沿って変わる。第1の厚さは、第2の厚さよりも大きい。複数のインサートのうちの第1のインサートは、基部の第1の部分内に埋め込まれ、第1の長さを有する。複数のインサートのうちの第2のインサートは、基部の第2の部分内に埋め込まれ、第1の長さより短い第2の長さを有する。この段落の上述の主題は、本開示の実施例3を特徴付けており、実施例3は、上述の実施例2に係る主題も含んでいる。
【0007】
複数のインサートが基部の厚さの全体に亘るように、複数のインサートは、熱プラテン境界面から部品境界面へと延在する。この段落の上述の主題は、本開示の実施例4を特徴付けており、実施例4は、上記の実施例1から3のいずれかに係る主題も含んでいる。
【0008】
複数のインサートが基部の厚さの一部のみに亘るように、複数のインサートは、熱プラテン境界面から、熱プラテン境界面と部品境界面との中間の位置まで延在する。この段落の上述の主題は、本開示の実施例5を特徴付けており、実施例5は、上記の実施例1から3のいずれかに係る主題も含んでいる。
【0009】
第1の熱伝導率は、第2の熱伝導率より小さい。基部が、第1の厚さを有する第1の部分、及び第2の厚さを有する第2の部分を含むように、基部の厚さは部品境界面に沿って変わる。第1の厚さは、第2の厚さよりも大きい。複数のインサートのうちの第1のインサートは、基部の第1の部分内に埋め込まれる。複数のインサートのうちの第2のインサートは、基部の第2の部分内に埋め込まれる。熱プラテン境界面の表面積当たりの、複数のインサートのうちの複数の第1のインサートの数量が、熱プラテン境界面の表面積当たりの、複数のインサートのうちの複数の第2のインサートの数量より多い。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例6を特徴付けており、実施例6は、上記の実施例1から5のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0010】
第1の熱伝導率は、第2の熱伝導率より小さい。基部の任意の部分における熱プラテン境界面の表面積当たりのインサートの数量は、基部の任意の部分の厚さの乗算値である。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例7を特徴付けており、実施例7は、上記の実施例1から6のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0011】
第1の熱伝導率は、第2の熱伝導率より小さい。熱プラテン境界面の表面積当たりのインサートの数量は、第1の熱伝導率と第2の熱伝導率の比率の乗算値である。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例8を特徴付けており、実施例8は、上記の実施例1から7のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0012】
複数のインサートのうちの少なくとも1つは、第1の幅を有する。複数のインサートのうちの少なくとも別のインサートは、第2の幅を有する。第1の幅は、第2の幅よりも大きい。この段落の上述の主題は、本開示の実施例9を特徴付けており、実施例9は、上記の実施例1から8のいずれかに係る主題も含んでいる。
【0013】
ダイは、第3の熱伝導率を有する第3の材料から作製された複数のインサートをさらに含む。第3の熱伝導率は、第1の熱伝導率及び第2の熱伝導率とは異なる。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例10を特徴付けており、実施例10は、上記の実施例1から9のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0014】
基部が、第1の厚さを有する第1の部分、及び第2の厚さを有する第2の部分を含むように、基部の厚さは部品境界面に沿って変わる。第1の厚さは、第2の厚さよりも大きい。第2の熱伝導率は、第3の熱伝導率より小さい。第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製された複数のインサートは、基部の第1の部分内に埋め込まれる。第3の熱伝導率を有する第3の材料から作製された複数のインサートは、基部の第2の部分内に埋め込まれる。この段落の上述の主題は、本開示の実施例11を特徴付けており、実施例11は、上述の実施例10に係る主題も含んでいる。
【0015】
第1の熱伝導率は、第2の熱伝導率より小さい。第3の熱伝導率は、第1の熱伝導率より小さい。この段落の上述の主題は、本開示の実施例12を特徴付けており、実施例12は、上述の実施例11に係る主題も含んでいる。
【0016】
基部は、一体型のモノリシック構造を有する、この段落中の上記の主題は、本開示の実施例13を特徴付けており、実施例13は、上記の実施例1から12のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0017】
基部は、積み重なった形で共に取り付けられている。複数のプレートは、第1の方向に対して直角をなす第2の方向に積み重なっている。プレートのうちの少なくとも幾つかは、それぞれ、プレートに沿って離間された複数のインサートを含む。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例14を特徴付けており、実施例14は、上記の実施例1から13のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0018】
複数のプレートは、複数のプレートのうちの互いに隣接するプレート同士を共に取り付ける複数の溶接部を介して共に溶接される。この段落の上述の主題は、本開示の実施例15を特徴付けており、実施例15は、上述の実施例14に係る主題も含んでいる。
【0019】
複数のインサートの各々は、第1の方向に対して平行な長さを有する。複数のインサートの各々は、長さに対して直角なす幅を有する。複数のインサートの各々の長さは、当該インサートの幅の少なくとも5倍である。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例16を特徴付けており、実施例16は、上記の実施例1から15のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0020】
基部は、孔を含む。複数のインサートの各々は、孔群のうちの対応する孔内に固定されている。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例17を特徴付けており、実施例17は、上記の実施例1から16のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0021】
第1の熱伝導率と第2の熱伝導率の比率は、基部の厚さの乗算値である。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例18を特徴付けており、実施例18は、上記の実施例1から17のいずれか1つに係る主題も含んでいる。
【0022】
本明細書では、部品を形成するためのシステムも開示されている。当該システムは、ダイを備えている。ダイは、熱プラテン境界面及び部品境界面を備えた基部を備えている。熱プラテン境界面及び部品境界面は、基部の厚さによって分離されている。ダイは、基部内に埋め込まれ、基部によって周方向に閉じられ、互いから離間され、熱プラテン境界面から部品境界面に向かって第1の方向に延在する、複数のインサートをさらに備えている。基部は、第1の熱伝導率を有する第1の材料から作製される。複数のインサートは、第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製される。第1の熱伝導率は、第2の熱伝導率とは異なる。システムは、ダイによって部品へと形成される材料を支持するように構成された支持面をさらに備えている。ダイは、支持面に向かってかつ支持面から離れるように移動可能である。当該システムは、基部の熱プラテン境界面に熱的に結合され、基部及び複数のインサートに熱を供給するように構成された熱プラテンをさらに備えている。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例19を特徴付けるものである。
【0023】
本明細書では、部品を形成するためのダイを作製する方法がさらに開示されている。当該方法は、基部内に孔を形成することを含み、当該孔は、互いから離間され、基部の熱プラテン境界面から基部の部品境界面に向かって延在する。熱プラテン境界面及び部品境界面は、基部の厚さによって分離されている。当該方法は、複数のインサートのうちの対応するインサートで基部内の各孔を充填することをさらに含む。基部は、第1の熱伝導率を有する第1の材料から作製され、複数のインサートは、第1の熱伝導率と異なる第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製される。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例20を特徴付けるものである。
【0024】
本開示の主題の記載された特徴、構造、利点、及び/又は特性は、1つ又は複数の実施例(実施形態及び/又は実装形態を含む)において任意の適切な態様で組み合わされ得る。本開示の主題の実施例の包括的な理解を促すために、後述の記載において、数々の具体的な詳細が提供される。当業者であれば、本開示の主題は、特定の実施例、実施形態、又は実装形態の具体的な特徴、詳細、構成要素、材料、及び/又は方法のうちの1つ又は複数がなくても実施することができることを認識するであろう。他の場合では、さらなる特徴及び利点は、特定の実施例、実施形態、及び/又は実装形態において認識され得るが、すべての実施例、実施形態、及び/又は実装形態に存在しないことがある。さらに、ある場合には、本開示の主題の態様を不明瞭にしないように、周知の構造、材料、又は工程を詳細に図示又は記載しない。本開示の主題の特徴及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより一層明らかになり、又は、以下に明記されている主題を実践することによって理解することができる。
【0025】
本主題の利点をより容易に理解することができるように、上記で概説した主題のより具体的な記載を、添付図面に例示された特定の実施例を参照して提供する。これらの図面が本主題の典型的な実施例のみを図示していることから、本主題の範囲を限定していると見なすべきではない。図面の使用により、本主題は、さらに具体的かつ詳細に記載かつ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、部品を形成する前段階の、部品を形成するためのシステムの概略側断面図である。
【
図2】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、部品を形成する過程の、
図1のシステムの概略側断面図である。
【
図3A】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、部品を形成するためのダイの概略斜視図である。
【
図3B】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、
図3Aの線3B-3Bに沿って切り取った、
図3Aのダイの概略分解側断面図である。
【
図4】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、部品を形成するためのダイの概略上面図である。
【
図5】本開示の1つ又は複数の他の実施例に係る、部品を形成するためのダイの概略上面図である。
【
図6】本開示の1つ又は複数の他の実施例に係る、部品を形成するためのダイの概略上面図である。
【
図7】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、部品を形成するためのダイの概略分解斜視図である。
【
図8】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、部品を形成するためのダイの概略上面図である。
【
図9】本開示の1つ又は複数のさらなる実施例に係る、部品を形成するためのダイの概略上面図である。
【
図10】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、
図4及び
図8の線10-10に沿って切り取った、
図4及び
図8のダイの概略側断面図である。
【
図11】本開示の1つ又は複数のさらなる実施例に係る、
図4及び
図8の線10-10に沿って切り取った、
図4及び
図8のダイの概略側断面図である。
【
図12】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、
図5及び
図9の線12-12に沿って切り取った、
図5及び
図9のダイの概略側断面図である。
【
図13】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、
図4及び
図8の線10-10に類似する線に沿って切り取った、部品を形成するためのダイの概略側断面図である。
【
図14】本開示の1つ又は複数の他の実施例に係る、
図4及び
図8の線10-10に類似する線に沿って切り取った、部品を形成するためのダイの概略側断面図である。
【
図15】本開示の1つ又は複数の実施例に係る、部品を形成するためのダイを作製する方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において「一実施例(one example)」、「ある実施例(an example)」、又は同様の文言に対して言及がなされるとき、それは、実施例に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。本明細書全体を通じて出てくる「一実施形態では(in one embodiment/in an embodiment)」、及び類似の文言は、全て同一の実施例を指していることもあるが、必ずしもそうとは限らない。同様に、「実装形態(implementation)」という用語を使用することにより、本開示の1つ又は複数の実施例に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性を有する実装形態を意味するが、そうでないことを示唆する明らかな相関性がない限り、その実装形態は、1つ又は複数の実施例に関連付けられてよい。
【0028】
図1及び
図2を参照し、幾つかの実施例によると、部品102Bを形成するためのシステム100は、ダイ110、支持面104、及び熱プラテン106を含む。支持面104は、ダイ110によって部品102Bへと形成される材料102Aを支持するように構成されている。支持面104は、ダイ110が材料102Aを部品102Bへと形成する間に、材料102Aが支持される剛性の表面を設ける。したがって、幾つかの実施例では、支持面104は平坦であるが、別の実施例では、材料102Aの輪郭を補完するように輪郭付けられ得る。幾つかの実施例では、支持面104は、ダイであるか、又はダイを含む。当該ダイは、ダイ110に類似し、部品102Bの形成にあたってダイ110を補完する。
【0029】
熱プラテン(heat platen)(又は熱板)106は、ダイ110に熱的に結合される。例えば、熱プラテン106は、熱108を発生させ、矢印によって示されるように、熱プラテン106とダイ110との間の熱的結合を介して、熱108をダイ110に供給するように構成されている。特定の実施例では、熱プラテン106とダイ110との間の直接的機械的接触によって、熱的結合が促進される。別の実施例では、熱伝達促進要素(例えば、サーマルグリース)が、熱プラテン106とダイ110との間に置かれ、熱プラテン106とダイ110との間の熱伝達が促進される。一実施例では、熱プラテン106は、平坦なプレートであり、熱108をダイ110に均一に伝達する助けとなる平坦なダイ境界面を備えている。特定の実施例では、熱プラテン106は、一体型熱発生素子(例えば、抵抗発熱体や電磁誘導加熱体等)を用いて熱を発生させる。別の実施例では、熱プラテン106は、熱プラテン106の外部の熱源から熱を受けることによって熱を発生させる。このような熱源は、当該技術分野で知られた任意の熱源であってよい。
【0030】
熱プラテン106から受けた熱108は、ダイ110を、材料102Aを形成する所望の温度に対応する温度まで加熱する。この所望の温度は、材料102Aの材料特性及び部品102Bの所望の形状に依存する。したがって、熱プラテン106によって生成されダイ110に供給される熱を調節して、ダイ110を所望の形成温度まで加熱する。熱プラテン106によって加熱されたダイ110は、支持面104及び支持面104上の材料102Aに対して移動(例えば、
図1を参照)させられ、材料102Aに対して押圧される(例えば、
図2を参照)。幾つかの実施例では、支持面104は静止状態で保持され、ダイ110及び熱プラテン106は、例えばアクチュエータの作動を通して、支持面104に向けて移動させられる。他の実施例によると、代替的に又は追加的に、支持面104は、例えば、アクチュエータの作動を通して、ダイ110に向かって移動可能である。材料102Aに対して押圧されている間、ダイ110からの熱が材料102Aに伝達され、材料102Aが、材料102Aを形成する所望の温度まで加熱される。以下で説明されるように、ダイ110は、部品102Bの所望の形状へと形成される。材料102Aが所望の形成温度まで加熱され、ダイ110が所望の圧力で材料102Aに対して押圧されると、ダイ110は、材料102Aを所望の形状へと形成し、部品102Bを形成する。上述のように、幾つかの実施例では、支持面104は、ダイ110のように加熱され、ダイ110と同時に材料102Aを所望の形状へと形成する、反対側のダイを含む。
【0031】
ダイの厚さの変動などのダイの形状に起因して、熱プラテンから受けた熱は、受けた時点で均一に分散するが、ダイ110を通して均一に拡散されない。したがって、ダイは、その厚さを通して熱勾配を有し得る。非均一な熱の拡散又はダイの熱勾配により、結果的に、材料102Aへの熱の伝達及び材料102Aを通した熱勾配が非均一となり得る。材料102Aにおける熱勾配により、部品102Bの不完全な形成及び/又は部品102Bにおける過剰の残留応力の形成が引き起こされ得る。さらに、ダイの熱勾配は、ダイの寿命全体に否定的な影響を与える場合がある。
【0032】
システム100のダイ110は、ダイ110における熱勾配を減らし、材料102Aの形成を助けるように構成されており、これにより、部品102Bの完全な形成が促進され、部品102Bの残留応力が減り、さらにダイ110の寿命が延びる。
【0033】
図1を参照すると、ダイ110は、基部118、及び基部118内に埋め込まれたインサート120を含む。基部118は、熱伝導性材料(例えば、金属)から作られたブロック状要素である。基部118の材料は、第1の熱伝導率を有する。基部118は、熱プラテン境界面116及び部品境界面112を含む。熱プラテン境界面116及び部品境界面112は、基部118の両側にある。言い換えると、熱プラテン境界面116及び部品境界面112は、基部118の厚さTによって分離されている。熱プラテン境界面116は、熱プラテン106を補完する。したがって、幾つかの実施例では、熱プラテン境界面116は、平坦であり、基部118の厚さTは、熱プラテン境界面116に対して直角をなす。しかしながら、別の実施例では、熱プラテン境界面116は、非平坦であるか、又は輪郭付けられている。
【0034】
図4及び
図5に示すように、幾つかの実施例では、基部118は、一体型のモノリシック構造を有する。しかしながら、別の実施例では、
図7から
図9に示すように、基部118は、積み重なった形で共に取り付けられた複数のプレート140を含む。複数のプレート140は、熱プラテン境界面116に対して平行な方向又はダイ110が支持面104に対して移動する方向に対して直角をなす方向で積み重ねられる。プレート140は、複数のプレート140のうちの互いに隣接するプレート同士を共に取り付ける複数の溶接部160を介して共に溶接される。各プレート140は、プレート140の幅又は長さより著しく小さい厚さを有しており、プレート140群の厚さを組み合わせると、基部118の長さが画定される。
【0035】
部品境界面112は、部品102Bの所望の形状を補完する。部品102Bの所望の形状が輪郭付けられた実施例では、部品境界112も相応に輪郭付けられる。部品境界面112の形状は、部品102Bの形状に対して反転している。言い換えると、部品境界面112における凸部は、部品102Bにおける凸部を生じさせ、部品境界面112における凹部は、部品102Bにおける凹部を生じさせる。部品境界面112が材料102Aと直接接触しているので、熱が部品境界面112から材料102Aへと直接伝達される。したがって、部品境界面112における熱分散は、材料102Aにおける熱分散に移行する。幾つかの実施例では、例えば、部品102B全体にわたって部品の均一な変形性が望まれる場合、材料102Aにおける熱分散が均一であるように、望ましくは、部品境界面112における熱分散も均一である。しかしながら、別の実施例では、例えば、部品102B全体にわたって部品102Bの非均一な変形性が望まれる場合、部品境界面112における熱分散は望ましくは非均一であり、結果的に、部品102Aにおいて非均一な熱分散が生じる。
【0036】
部品境界面112において均一な熱分散が望まれていようと、又は非均一な熱分散が望まれていようと、ダイ110の厚さTに沿った望ましくない熱勾配は、部品境界面112における所望の熱分散に干渉する恐れがある。部品境界面112が輪郭付けられ、ダイ110の厚さTが、ダイ110の(例えば、厚さTに対して直角をなす)幅又は長さ全体にわたって変わる場合、ダイ110は特に熱勾配の影響を受けやすい。例えば、ダイ110の厚さが変わる場合にインサート120がないと、熱プラテン境界面116における均一な温度分散に関わらず、ダイ110の第1のより厚さのある部分152における部品境界面112の温度は、ダイ110の第2のより薄い部分154より低い場合がある。これは、基部118の材料の熱伝導率が、第1の部分152及び第2の部分154において基部118の厚さT全体を通して均一な熱伝達を促進するのに十分に高くない可能性があるからである。
【0037】
ダイ110のインサート120は、基部118の厚さTを通じた熱伝達の増加、減少、又は改善に役立つ。例えば、特にダイ110の基部118の厚さが変わる場合、インサート120は、ダイ110の部品境界面112にわたる温度分配の均一性を改善する。複数のインサート120は、互いから離間され、基部118によって周方向に閉じられる。幾つかの実施例では、インサート120と基部118との間で効率的に熱伝達するために、インサート120は基部118と直接熱的に接触する。
【0038】
インサート120は、熱プラテン境界面116から部品境界面112に向かって第1の方向に延在する。幾つかの実施例では、第1の方向は、熱プラテン境界面116に対して直角をなし、かつ/又は基部118厚さTに対して平行であり、これにより、部品境界面112への熱の効率的な伝達が促進される。各インサート120は、第1の方向に対して平行な長さLを有する。言い換えると、幾つかの実施例では、各インサートをシャフト又はロッドとして画定することができるように、インサート120は、第1の方向に延びる。さらに、各インサート120は、長さLに対して直角をなす幅Wを有する。幾つかの実施例では、各インサート120の長さLは、当該インサート120の幅Wの少なくとも5倍である。特定の実施形態によれば、各インサート120の長さLは、当該インサート120の幅Wの少なくとも10倍である。
【0039】
インサート120は、様々な断面形状のいずれかを有し得る。ダイ110において熱のより均一な熱分散を促進するため、一実施例では、インサート120は、インサート120の幅Wがインサート120の直径であるように、円形断面を有する。しかしながら、別の実施例では、インサート120は、非円形の断面形状(例えば、四角形や三角形)を有する。例えば、
図4に示すように、ダイ110のすべてのインサート120が同一の断面形状を有する。しかし、別の実施例では、ダイ110のインサート120群のうちの幾つかが、インサート120群のうちの他のものとは異なる断面形状を有することにより、ダイ110の熱伝達プロファイルの局所的なカスタマイズが実現する。
【0040】
幾つかの実施例によると、インサート120が基部118と共に形成されるか、又は基部118がインサート120の周りに形成される。しかしながら、別の実施例では、
図3A及び
図3Bに示すように、基部118は孔群150を含み、各インサート120は、孔群150のうちの対応する孔内に固定される。孔群150は、互いから離間される。幾つかの実施例では、孔群150は、基部118の残りの部分(例えば、基部118の部品境界面112)と同時に形成される。別の実施例では、基部118が形成された後、孔群150が基部118に穿孔される。いずれの実施例でも、
図15を参照し、方法200の一実施例によると、ダイ110は、基部118において孔群150を形成すること(ブロック202)と、インサート120群のうちの対応するインサートで各孔150を充填すること(ブロック204)とによって作製される。特定の実施例では、インサート120は、接着剤で基部118の孔150に付着する。さらに他の実施例では、インサート120は、孔150内に溶接される。孔150は、貫通孔(例えば、
図10を参照)、又は止まり穴(例えば、
図11を参照)であり得る。
【0041】
インサート120は、金属又は非金属(例えば、グラファイトやセラミック材料等)などの熱伝導性材料から作製される。インサート120の材料の熱伝導率は、基部118の材料の第1の熱伝導率と異なる。基部118とインサート120の熱伝導率が異なることにより、基部118の熱伝達挙動と異なるインサート120の熱伝達挙動が促進される。これにより、ダイ110の熱伝達性能が、インサート120によって向上するか、又はインサート120によって制御される。幾つかの実施例では、第1の熱伝導率と第2の熱伝導率との比率が、基部118の厚さTの乗算値となるように、基部118及びインサート120の材料が選択される。具体的には、一実施例によると、第2の熱伝導率は第1の熱伝導率より高く、基部118の厚さが大きいほど、第1の熱伝導率と第2の熱伝導率との比率が低くなる。
【0042】
幾つかの実施例によれば、インサート120は、基部118の材料の熱伝導率より大きな熱伝導率を有する材料から作製される。このような構成により、熱をより効率的に部品境界面112に伝達することが可能になる。一実施例では、基部118は、鋼(例えば、ステンレス鋼)から作製され、インサート120は、グラファイト又は別の材料(例えば、鋳鉄、銅、金、アルミニウム等)から作製される。幾つかの実施例では、ダイ110のすべてのインサート120が、基部118の熱伝導率より高い熱伝導率の材料から作製される。しかしながら、特定の実施例では、インサート120群のうちの幾つかのみが基部118より高い熱伝導率を有し、インサート120群のうちの他のインサートは基部118より低い熱伝導率を有する。基部118より低い熱伝導率を有するこれらのインサート120は、より低い熱伝導率を有する固体材料であってもよく、又はインサート120は、基部118より低い熱伝導率を有する、空気(又は他の気体)で充填された空孔として規定されてもよいことを認識されたい。
【0043】
インサート120は、材料102Aの形成温度と等しいか又はそれより高い溶融温度を有する材料で作られる。より具体的には、インサート120は、部品102Bを形成するために材料102Aが加熱かつ圧縮されている間に溶融しない材料で作製される。
【0044】
これより、
図4から14を参照してダイ110の具体的な実施例が説明される。
図4から
図14のダイは、
図1及び
図2のダイ110に類似している。同様の数字は、同様の特徴を表している。したがって、別途明示されていない限り、以上で提示されたダイ110の概略的説明を
図4から
図14のダイに同じく適用することが可能である。
【0045】
図4を参照すると、一実施例によれば、ダイ110Aは、基部118において配置された第1のパターン122Aのインサート120群を有する。第1のパターン122Aによれば、各インサート120は、隣接するインサート120から同じ距離Dだけ離間される。言い換えると、第1のパターン122Aは均一であり、又は、インサート120の空間密度(例えば、熱プラテン境界面116の表面積当たりのインサートの数量)は、熱プラテン境界面116全面にわたって一定である。したがって、第1のパターン122Aでは、熱プラテン106からの、インサート120を通じた熱伝達は均一である。
図4に示された、ステンレス鋼から作製されたダイの例示的な実施例では、各インサートは、0.25インチ直径(0.05平方インチ)の鉄棒であり得、互いに隣接する各インサートの中心間は、約1インチの間隔を有し得、例えば、パターンは、8.250インチ×8.916インチに及んでもよく、94個のインサートが組み合わされた断面領域は、パターン領域の約6.5パーセント(又は15分の1)となり、例えば、このようなパターン領域/境界面の割合は、ステンレス鋼の熱伝導率と鉄の熱伝導率との比率に基づいて決定され得る(ステンレス鋼の伝導率は、鉄の5分の1である)。したがって、所与のダイの境界領域では、インサートが組み合わされた断面領域又はインサート120の数量は、ダイ基部金属の第1の熱伝導率とインサート金属の第2の熱伝導率との比率に基づき得る。以上の例示的な実施例では、インサートの数量は、ダイ基部金属の第1の熱伝導率とインサート金属の第2の熱伝導率との比率(1対5)に基づいて、境界面の少なくとも6.5パーセント(又は15分の1)の断面領域を実現する数量であり得る。さらに、第1のパターン122Aの各インサート120の幅Wは、幾つかの実施例では同一である。
【0046】
第1のパターン122Aのインサート120の空間密度は、熱プラテン境界面116全面にわたって同じであり得るが、第1のパターン122Aのインサート120の長さLは変わり得る。
図10を参照すると、第1のパターン122Aのインサート120は、インサート120が基部118の厚さTの全体に亘るように、基部118の熱プラテン境界面116から基部118の部品境界面112へと延在する。幾つかの実施例では、部品境界面112まで延在するインサート120は、局所的な高温点をもたらし、これは、複雑な形状を有する部品102Bを形成するために利用され得る。
【0047】
例示的な実施例では、基部118の厚さTが部品境界面112に沿って変動的な厚さを有するので、インサート120の長さLも部品境界面112に沿って変わる。例えば、
図10では、基部118は、第1の厚さT1を有する第1の部分152を含み、基部118は、第2の厚さT2を有する第2の部分154を含む。第1の厚さT1は、第2の厚さT2よりも大きい。例示された実施例では、基部118は、2つの第1の部分152の間に1つの第2の部分154を含む。第1の厚さT1が第2の厚さT2より大きく、インサート120が基部118の厚さT全体に亘るので、第1の部分152に埋め込まれたインサート120は、第2の部分154に埋め込まれたインサート120の長さL2より長い長さL1を有する。第1の部分152のインサート120の長さL1が長いほど、第1の部分152における部品境界面112への熱伝達が容易となり、第1の部分152の部品境界面112における温度は、第2の部分154の部品境界面112における温度と同一又は近似する。
【0048】
図11を参照すると、ダイ110Bでは、第1のパターン122Aのインサート120は、インサート120が基部118の厚さTの一部のみに亘るように、基部118の熱プラテン境界面116から基部118の部品境界面112へと延在する。したがって、基部118の厚さTが部品境界面112に沿って変動的な厚さを有しても、インサート120の長さLは部品境界面112に沿って変わり得るが、そうである必要もない。
図11の例示的な実施例では、第1の部分152に埋め込まれたインサート120の長さL1は、第2の部分154に埋め込まれたインサート120の長さL2より長いが、インサート120は、部品境界面112まで到達しないか、又は部品境界面112から離間されている。幾つかの実施例では、インサート120が部品境界面112まで到達しないので、部品境界面112上の局所化された高温点が減少する。
【0049】
図示されていないが、特定の実施例では、ダイ110は、基部118の厚さT全体に及んで部品境界面112に達する幾つかのインサート120、並びに厚さTの一部のみに及んで部品境界面112達しないその他のインサート120を含む。このような構成は、部品境界面112の幾つかの位置で他の位置より直接的な熱伝達を促進し、幾つかの実施例では、部品境界面112上の幾つかの位置で高温点を形成し、他の位置では形成しないことが容易になる。
【0050】
図5を参照すると、一実施例によれば、ダイ110Cは、基部118において配置された第2のパターン122Bのインサート120群を有する。第2のパターン122Bによれば、インサート120群のうちの幾つかの互いに隣接するインサート120間の距離Dは、他のインサート120間の距離とは異なる。例えば、図示されているように、少なくとも1つの互いに隣接するインサート120のセットは、第1の距離D1だけ離間されており、少なくとも別の互いに隣接するインサート120のセットは、第2の距離D2だけ離間されており、第1の距離D1は第2の距離D2より短い。言い換えると、第2のパターン122Bは、非均一であるか、又はインサート120の空間密度(例えば、熱プラテン境界面116の表面積当たりのインサートの数量)は、熱プラテン境界面116全面にわたって変わる。したがって、第2のパターン122Bでは、熱プラテン106からの、インサート120を通じた熱伝達は非均一である。
【0051】
一実施例では、インサート120の空間密度は、基部118の厚さTに比例する(例えば、基部118の厚さTを乗算して得られる値(乗算値)である)。言い換えると、基部118のある部分の厚さTが大きいほど、距離Dが小さく、基部118その部分におけるインサート120の空間密度が高くなる。したがって、
図5及び
図12に例示された実施例の第2のパターン122Bでは、熱プラテン境界面116の表面積当たりの、基部118の第1の部分152に埋め込まれたインサート120の数量は、熱プラテン境界面116の表面積当たりの、基部118の第2の部分154に埋め込まれたインサート120の数量より多い。一実施例では、熱プラテン境界面116の表面積当たりのインサート120の数量は、基部118の厚さT、及び基部118の熱伝導率とインサート120の熱伝導率の比率の両方の乗算値である。
図5及び
図12の実施例では、第2のパターン122Bの各インサート120の幅Wは同一である。
【0052】
幾つかの実施例によれば、熱プラテン境界面116の表面積当たりの、基部118に埋め込まれたインサート120の数量は、基部118の材料の熱伝導率とインサート120の材料の熱伝導率との比率に比例する(例えば、当該比率の乗算値である)。言い換えると、インサート120の空間密度は、基部118の材料の熱伝導率とインサート120の材料の熱伝導率との間の違いに依存する。したがって、特定の実施例では、基部118の熱伝導率はインサートの熱伝導率よりも低く、インサート120の熱伝導率が高いほど、インサート120の空間密度が低く、又はインサート120の熱伝導率が低いほど、インサート120の空間密度が高い。
【0053】
幾つかの実施例では、第2のパターン122Bのインサート120の長さLは、
図10の第1のパターン122Aのインサート120と似たような態様で変わる。
図12を参照すると、特定の実施例では、第2のパターン122Bのインサート120は、インサート120が基部118の厚さTの全体に亘るように、基部118の熱プラテン境界面116から基部118の部品境界面112へと延在する。図示されていないが、幾つかの実施例では、第2のパターン122Bのインサート120は、
図11の第1のパターン122Aのインサート120と似たような態様で、インサート120が基部118の厚さTの一部のみに亘るように、基部118の熱プラテン境界面116から基部118の部品境界面112へと延在する。
【0054】
図6を参照すると、一実施例によれば、ダイ110Dは、基部118において配置された第3のパターン122Cのインサート120群を有する。第2のパターン122Bと同様に、第3のパターン122Cのインサート120群のうちの幾つかの互いに隣接するインサート120間の距離Dは、他のインサート120間の距離とは異なる。言い換えると、第2のパターン122Bと同様に、第3のパターン122Cは非均一である。しかしながら、第2のパターン122Bとは異なり、第3のパターン122Cのインサート120は、線形の列や行のインサート120として配置されていない。むしろ、ダイ110Dの基部118はモノリシックな単体構造であるので、インサート120は、ダイの複数のプレートのうちの対応するプレートに沿って線形に整列する必要がなく、第3のパターン122Cのインサート120は、湾曲した経路に沿って整列してもよく、又は任意の経路に沿って整列しなくてもよい。インサート120は、約0.5インチより大きな様々な幅Wのいずれかを有し得る。約0.5インチは、幾つかの実施例では、インサート120の部品境界面112への熱伝達を促進するにあたって有効性を失わせる幅Wである。
【0055】
ダイ110A~Cとは対照的に、
図8及び
図9のダイ110D及びダイ110Eの基部118は、複数のプレート140から作製される。以上で提示されたように、プレート140は、溶接部160によって、又はその他の類似する接合技法によって共に取り付けられる。溶接部160の構造的一体性の保持を助けるために、インサート120は、溶接部160に埋め込まれず、むしろ溶接部160間でプレート140に埋め込まれる。したがって、インサート120は、対応するプレート140の厚さTより小さい幅Wを有する。さらに、プレート140が比較的薄いプレートであるので、インサート120が効果的であるよう十分な幅を確保するために、幾つかの実施例では、各プレートの厚さTにおいて1つのインサート120だけが嵌合し得る。一実施例では、各プレート140は、約1.0インチと約2.0インチとの間の厚さであり、各インサート140は、約0.5インチと約1.0インチとの間の幅Wを有する。別の実施例によれば、各プレート140は、約1.0インチと3.0インチとの間の厚さを有し、各インサート140は、約0.5インチと2.0インチとの間の幅Wを有する。
【0056】
図8を参照すると、一実施例によれば、ダイ110Eは、第1のパターン122Aに従って基部118内に配置されたインサート120を含む。言い換えると、ダイ110Eのインサート120は、ダイ110Aのインサート120と同じパターンを有する。第1のパターン122Aに適合するために、インサート120は、幾つかの列のインサート120に配置され、インサート120の各列は、プレート140のうちの1つに対応する。したがって、各プレート140は、一列のインサート120を含み、その列の各インサート120は、プレート140の長さに沿って離間されている。列の各インサート120は、同じ列の隣接するインサート120から同一の距離Dで離間されている。さらに、列の各インサート120が、対応するインサート120又は隣接する列のインサート120から同一の距離Dだけ離間されるように、インサート120の各列がインサート120の隣接する列から離間される。このように、ダイ110Eの各インサート120は、隣接するインサート120から同一の距離Dだけ離間される。言い換えると、ダイ110Eが複数のプレート140から形成されていても、第1のパターン122Aは均一であり、又は、ダイ110Eのインサート120の空間密度は熱プラテン境界面116全面にわたって一定である。
【0057】
幾つかの実施例では、ダイ110Eのインサート120の長さLは、
図10に示すダイ110Aのインサート120の長さLに対応する。他の実施例では、ダイ110Eのインサートの長さLは、
図11に示すダイ110Bのインサート120の長さLに対応する。
【0058】
図9を参照すると、一実施例によれば、ダイ110Fは、第2のパターン122Bに従って基部118内に配置されたインサート120を含む。言い換えると、ダイ110Eのインサート120は、ダイ110Aのインサート120と同じパターンを有する。第2のパターン122Bに適合するために、インサート120は、幾つかの列のインサート120に配置され、インサート120の各列は、プレート140のうちの1つに対応する。したがって、各プレート140は、一列のインサート120を含み、その列の各インサート120は、プレート140の長さに沿って離間されている。列の中の少なくとも幾つかのインサート120は、それぞれ、同じ列の隣接するインサート120から異なる距離Dで離間されている。例えば、図示されているように、少なくとも1つの互いに隣接するインサート120のセットは、第1の距離D1だけ離間されており、同じ列の少なくとも別の互いに隣接するインサート120は、第2の距離D2だけ離間されており、第1の距離D1は第2の距離D2より短い。さらに、列の各インサート120が、対応するインサート120又は隣接する列のインサート120から同一の距離D又は異なる距離Dだけ離間されるように、インサート120の各列がインサート120の隣接する列から離間される。このように、ダイ110Fの少なくとも幾つかのインサートの各インサート120は、隣接するインサート120から異なる距離Dだけ離間される。言い換えると、ダイ110Fが複数のプレート140から形成されていても、第2のパターン122Bは非均一であり、又は、ダイ110Fのインサート120の空間密度は熱プラテン境界面116全面にわたって変わる。
【0059】
幾つかの実施例では、ダイ110Fのインサート120の長さLは、
図12に示すダイ110Cのインサート120の長さLに対応する。他の実施例では、ダイ110Fのインサートの長さLは、
図11に示すダイ110Bのインサート120の長さLに対応する。
【0060】
ダイ110E及びダイ110Fのすべてのプレート140がインサート120を含むが、別の実施例では、ダイ110E及びダイ110Fの一部のプレート140のみがインサート120を含む。さらに、特定の実施例では、ダイの所与のプレート140に埋め込まれたインサート120は、線形の列に並ぶ必要はなく、非線形に互い違いに並んでもよい。
【0061】
図13を参照すると、別の実施例によれば、ダイ110Gは、基部118において配置された第4のパターン122Dのインサート120群を有する。第4のパターン122Dによると、少なくとも幾つかのインサート120の幅Wが異なる。図示されているように、例えば、インサート120群のうちの少なくとも1つのインサートは第1の幅W1を有し、インサート120群のうちの少なくとも別のインサートは、第1の幅W1より大きい第2の幅W2を有する。同じ熱伝導性材料が使われると推測すると、より広い幅を有するインサート120は、より狭い幅を有するインサート120より多くの熱伝達が可能である。この理由により、幾つかの実施例では、より広い第1の幅W1を有するインサート120は、より多くの熱伝達が望まれ得る位置(基部118のより厚さのある部分(例えば、第1の部分152))において基部118に埋め込まれ、より狭い第2の幅W2を有するインサート120は、より少ない熱伝達が望まれ得る位置(基部118のより薄い部分(例えば、第2の部分154))において基部118に埋め込まれる。第4のパターン122Dのインサート120群の空間密度が一定であるか又は変わるように、第4のパターン122Dの互いに隣接するインサート120間の距離Dは、熱プラテン面116全面にわたって、一定であってもよく、又は変わってもよい。
【0062】
図14を参照すると、別の実施例によれば、ダイ110Hは、基部118において配置された第5のパターン122Eのインサート120群を有する。第5のパターン122Eによれば、幾つかのインサート120は、他のインサート120の材料とは異なる材料から作製される。例えば、インサート120群のうちの幾つか(例えば、インサート120A)は、第2の材料から作製され、第2の熱伝導率を有し、インサート120群のうちの他のインサ-ト(例えば、インサート120B)は、第3の材料から作製され、第2の熱伝導率と異なる第3の熱伝導率を有する。幾つかの実施例によれば、第3の熱伝導率は第2の熱伝導率より小さく、インサート120Aは、より多くの熱伝達が望まれ得る位置(基部118のより厚さのある部分(例えば、第1の部分152))において基部118に埋め込まれ、インサート120Bは、より少ない熱伝達が望まれ得る位置(基部118のより薄い部分(例えば、第2の部分154))において基部118に埋め込まれる。第5のパターン122Eのインサート120群の空間密度が一定であるか又は変わるように、第5のパターン122Eの互いに隣接するインサート120間の距離Dは、熱プラテン面116全面にわたって、一定であってもよく、又は変わってもよい。
【0063】
ダイ110Hの幾つかの実施例では、基部118の第3の熱伝導率は、第1の熱伝導率より小さい。言い換えると、インサート120Bを通る熱伝達は、基部118を通る熱伝達より少ない場合がある。基部118のより厚さのある部分(例えば、第1の部分152)に対して、基部118のより薄い部分(例えば、第2の部分154)が特に薄いダイであって、部品境界面112においてより均一な温度分散を生じさせるために、より薄い部分を通る熱伝達を、基部118に対して減少させるか又は遅くする必要があるダイについては、上記の構成が望ましい場合がある。
【0064】
上記の説明において、「上(up)」、「下(down)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「左(left)」、「右(right)」、「上方(over)」、「下方(under)」などといった、特定の語が使用されていることがある。これらの語は、相互関係について触れている場合、必要に応じて、説明に何らかの明確性をもたらすために使用されている。しかし、これらの語は、絶対的な関係性、位置、及び/又は配向を示唆することは意図されていない。例えば、ある対象物に関して、単にこの対象物をひっくり返すことによって、「上側」表面が「下側」表面になり得る。それでも、これは依然として同じ対象物である。さらに、「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」という語、及びこれらの変化形は、別様に明記されていない限り、「~を含むが、それらに限定されるわけではない(including but not limited to)」ことを意味する。列挙されているアイテムは、別様に明記されていない限り、これらのアイテムのいずれか又はすべてが、相互排他的及び/又は相互包括的であることを示唆しているわけではない。冠詞(「a」、「an」、及び「the」)は、別様に明記されていない限り、「1つ又は複数の(one or more)」という意味を表わす。さらに、「複数(plurality)」という語は、「少なくとも2つ(at least two)」と定義され得る。
【0065】
加えて、本明細書における、1つの要素が別の要素に「結合される(coupled)」事例は、直接的及び間接的な結合を含み得る。直接的結合は、ある要素が、別の要素に結合されること、及び別の要素と何らかの接触を有することであると定義され得る。間接的結合とは、互いに直接接触しておらず、結合された要素間に1つ又は複数の追加の要素を有する、2つの要素間の結合と定義され得る。さらに、本明細書において、ある要素を別の要素に固定することは、直接的に固定することと、間接的に固定することとを含み得る。加えて、本明細書において、「隣接(adjacent)」とは、必ずしも接触を意味するものではない。例えば、ある要素は、別の要素と接触せずに、その要素に隣接することができる。
【0066】
本明細書で使用されるように、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1つ又は複数の種々の組み合わせが使用可能であり、かつ、列挙されたアイテムのうち1つだけが必要であり得ることを意味する。アイテムとは、特定の物体、物品、又はカテゴリであり得る。言い換えると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、任意の組み合わせのアイテム又は任意の数のアイテムを列挙された中から使用できることを意味するが、列挙されたアイテムのすべてが必要とされるわけではない。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」とは、例えば、「アイテムA」、「アイテムAとアイテムB」、「アイテムB」、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」を意味し得る。幾つかの場合には、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、「2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC」、又は他の好適な組み合わせを意味し得る。
【0067】
別途指示されない限り、「第1(first)」、「第2(second)」などの語は、本明細書では、単に符号として使用されており、これらの語が表わすアイテムに、順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことを意図するものではない。さらに、例えば「第2」のアイテムへの言及は、例えば「第1」の、又はより小さい数が振られたアイテム、及び/又は、例えば「第3」の、又はより大きな数が振られたアイテムの存在を、必要とすることも、排除することもない。
【0068】
本明細書において、特定の機能を実施する「よう構成/設定された(configured to)」システム、装置、構造、物品、素子、構成要素、又はハードウェアは、実際には、いかなる変更も伴わずにその特定の機能を実施することが可能であり、さらなる改変の後にその特定の機能を実施する可能性があるに過ぎないというものではない。言い換えると、特定の機能を実施するように「構成/設定された」システム、装置、構造、物品、素子、構成要素、又はハードウェアは、その特定の機能を実施するという目的のために、特に選択、創出、実装、利用、プログラミング、かつ/又は設計される。本明細書において、「構成/設定された」という表現は、システム、装置、構造、物品、素子、構成要素、又はハードウェアがさらなる改変なくても特定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造、物品、素子、構成要素、又はハードウェアの既存の特性を示す。本開示のために、特定の機能を実施するように「構成/設定された」と記載されたシステム、装置、構造物、物品、素子、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的に、その機能を実施するように「適合された(adapted to)」かつ/又は「動作可能である(operative to)」と記載されてもよい。
【0069】
本明細書に含まれる概略フローチャート図は、概して、論理的フローチャート図として提示される。したがって、記載の順序及び名付けられたステップは、提示された方法の一実施例を示す。図示された方法の1つ若しくは複数のステップ又はそれらの一部の機能、論理、又は効果と均等である他のステップ及び方法を想起してもよい。加えて、用いられている形式及びシンボルは、方法の論理ステップを解説するために提示されており、方法の範囲を限定するものではないと理解される。フローチャート図には様々な種類の矢印及び線が用いられていてよいが、これらは、対応する方法の範囲を限定するものではないと理解される。実際、幾つかの矢印又はその他のコネクタは、方法の論理的流れを示すためにのみ使用され得る。例えば、矢印は、図示されている方法の列挙されたステップ間の、不特定の長さの待機時間又はモニタリング時間を示し得る。さらに、具体的な方法が発生する順序は、図示されている対応するステップの順序に厳密に従うこともあるが、従わないこともある。
【0070】
さらに、本開示は、下記の条項に係る実施形態を含む。
【0071】
条項1
部品(102B)を形成するためのダイ(110)であって、
熱プラテン境界面(116)及び部品境界面(112)を含む基部(118)であって、前記熱プラテン境界面(116)と前記部品境界面(112)が、前記基部(118)の厚さ(T)によって分離されている、基部(118)、並びに
前記基部(118)内に埋め込まれ、前記基部(118)によって周方向に閉じられ、互いから離間され、前記熱プラテン境界面(116)から前記部品境界面(112)に向かって第1の方向に延在する、インサート(120)
を備え、前記基部(118)が、第1の熱伝導率を有する第1の材料から作製され、
前記インサート(120)が、第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製され、
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率と異なる、ダイ(110)。
【0072】
条項2
前記複数のインサート(120)の各々が、前記基部(118)の前記厚さ(T)に対して平行な長さ(L)を有し、
前記複数のインサート(120)のうちの第1のインサートの長さ(L)が、前記複数のインサート(120)のうちの第2のインサートの長さ(L)と異なる、条項1に記載のダイ(110)。
【0073】
条項3
前記基部(118)が、第1の厚さ(T1)を有する第1の部分(152)、及び第2の厚さ(T2)を有する第2の部分(154)を含むように、前記基部(118)の前記厚さ(T)が、前記部品境界面(112)に沿って変わり、
前記第1の厚さ(T1)が前記第2の厚さ(T2)より大きく、
前記インサート(120)のうちの前記第1のインサートが、前記基部(118)の前記第1の部分(152)内に埋め込まれ、第1の長さ(L1)を有し、
前記複数のインサート(120)のうちの前記第2のインサートが、前記基部(118)の前記第2の部分(154)内に埋め込まれ、前記第1の長さ(L1)より短い第2の長さ(L2)を有する、条項2に記載のダイ(110)。
【0074】
条項4
前記インサート(120)が、前記基部(118)の前記厚さ(T)の全体に亘るように、前記インサート(120)が、前記熱プラテン境界面(116)から前記部品境界面(112)へと延在する、条項1に記載のダイ(110)。
【0075】
条項5
前記インサート(120)が、前記基部(118)の前記厚さ(T)の一部のみに亘るように、前記インサート(120)が、前記熱プラテン境界面(116)から、前記熱プラテン境界面(116)と前記部品境界面(112)との中間の位置まで延在する、条項1に記載のダイ(110)。
【0076】
条項6
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率より小さく、
前記基部(118)が、第1の厚さ(T1)を有する第1の部分(152)、及び第2の厚さ(T2)を有する第2の部分(154)を含むように、前記基部(118)の前記厚さ(T)が、前記部品境界面(112)に沿って変わり、
前記第1の厚さ(T1)が前記第2の厚さ(T2)より大きく、
前記複数のインサート(120)のうちの複数の第1のインサートが、前記基部(118)の前記第1の部分(152)内に埋め込まれ、
前記複数のインサート(120)のうちの複数の第2のインサートが、前記基部(118)の前記第2の部分(154)内に埋め込まれ、
前記熱プラテン境界面(116)の表面積当たりの、前記複数のインサート(120)のうちの前記複数の第1のインサートの数量が、前記熱プラテン境界面(116)の表面積当たりの、前記複数のインサート(120)のうちの前記複数の第2のインサートの数量より多い、条項1に記載のダイ(110)。
【0077】
条項7
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率より小さく、
前記基部(118)の任意の部分における前記熱プラテン境界面(116)の表面積当たりの前記インサート(120)の数量が、前記基部(118)の前記任意の部分の前記厚さ(T)の乗算値である、条項1に記載のダイ(110)。
【0078】
条項8
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率より小さく、
前記熱プラテン境界面(116)の表面積当たりの前記インサート(120)の数量が、前記第1の熱伝導率と前記第2の熱伝導率の比率の乗算値である、条項1に記載のダイ(110)。
【0079】
条項9
前記複数のインサート(120)のうちの少なくとも1つのインサートが第1の幅(W1)を有し、
前記インサート(120)のうちの少なくとも別のインサートが第2の幅(W2)を有し、
前記第1の幅(W1)が前記第2の幅(W2)より大きい、条項1に記載のダイ(110)。
【0080】
条項10
第3の熱伝導率を有する第3の材料から作製されたインサート(120)をさらに備え、前記第3の熱伝導率が、前記第1の熱伝導率及び前記第2の熱伝導率と異なる、条項1に記載のダイ(110)。
【0081】
条項11
前記基部(118)が、第1の厚さ(T1)を有する第1の部分(152)、及び第2の厚さ(T2)を有する第2の部分(154)を含むように、前記基部(118)の前記厚さ(T)が、前記部品境界面(112)に沿って変わり、
前記第1の厚さ(T1)が前記第2の厚さ(T2)より大きく、
前記第2の熱伝導率が前記第3の熱伝導率より大きく、
前記第2の熱伝導率を有する前記第2の材料から作製された前記インサート(120)が、前記基部(118)の前記第1の部分(152)内に埋め込まれ、
前記第3の熱伝導率を有する前記第3の材料から作製された前記インサート(120)が、前記基部(118)の前記第2の部分(154)内に埋め込まれる、条項10に記載のダイ(110)。
【0082】
条項12
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率より小さく、
前記第3の熱伝導率が前記第1の熱伝導率より小さい、
条項11に記載のダイ(110)。
【0083】
条項13
前記基部(118)が、一体型のモノリシック構造を有する、条項1に記載のダイ(110)。
【0084】
条項14
前記基部(118)が、積み重なった形で共に取り付けられた複数のプレート(140)を含み、
前記複数のプレート(140)が、第1の方向に対して直角をなす第2の方向に積み重なり、
前記プレート(140)のうちの少なくとも幾つかが、それぞれ、前記プレート(140)に沿って離間された複数のインサート(120)を含む、条項1に記載のダイ(110)。
【0085】
条項15
前記複数のプレート(140)が、前記複数のプレート(140)のうちの互いに隣接するプレート同士を共に取り付ける複数の溶接部(160)を介して共に溶接される、条項14に記載のダイ(110)。
【0086】
条項16
前記複数のインサート(120)の各々が、前記第1の方向に対して平行な長さ(L)を有し、
前記複数のインサート(120)の各々が、前記長さ(L)に対して直角をなす幅(W)を有し、
前記複数のインサート(120)の各々の前記長さ(L)が、当該インサート(120)の前記幅(W)の少なくとも5倍である、条項1に記載のダイ(110)。
【0087】
条項17
前記基部(118)が複数の孔(150)を含み、
前記複数のインサート(120)の各々が、前記複数の孔(150)のうちの対応する孔内に固定される、条項1に記載のダイ(110)。
【0088】
条項18
前記第1の熱伝導率と前記第2の熱伝導率の比率が、前記基部(118)の前記厚さ(T)の乗算値である、条項1に記載のダイ(110)。
【0089】
条項19
部品(102B)を形成するためのシステム(100)であって、
ダイ(110)であって、
熱プラテン境界面(116)及び部品境界面(112)を含む基部(118)であって、前記熱プラテン境界面(116)と前記部品境界面(112)が、前記基部(118)の厚さ(T)によって分離されている、基部(118)と
前記基部(118)内に埋め込まれ、前記基部(118)によって周方向に閉じられ、互いから離間され、前記熱プラテン境界面(116)から前記部品境界面(112)に向かって第1の方向に延在する、インサート(120)と
を備えたダイ(110)、
前記ダイ(110)によって前記部品(102B)へと形成される材料(102A)を支持するように構成された支持面(104)であって、前記ダイ(110)が、前記支持面(104)に向かってかつ前記支持面(104)から離れるように移動可能である、支持面(104)、並びに
前記基部(118)の前記熱プラテン境界面(116)と熱的に結合され、前記基部(118)及び前記インサート(120)に熱を供給するように構成された熱プラテン(106)
を備え、
前記基部(118)が、第1の熱伝導率を有する第1の材料から作製され、
前記インサート(120)が、第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製され、
前記第1の熱伝導率が前記第2の熱伝導率と異なる、システム(100)。
【0090】
条項20
部品(102B)を形成するためのダイ(110)を作製する方法(200)であって、
基部(118)内に複数の孔(150)を形成することであって、当該複数の孔(150)が、互いから離間され、前記基部(118)の熱プラテン境界面(116)から前記基部(118)の部品境界面(112)に向かって延在し、前記熱プラテン境界面(116)及び前記部品境界面(112)が、前記基部(118)の厚さ(T)によって分離されている、基部(118)内に複数の孔(150)を形成することと、
複数のインサート(120)のうちの対応するインサートで前記基部(118)内の前記各孔(150)を充填することであって、前記基部(118)が、第1の熱伝導率を有する第1の材料から作製され、前記複数のインサート(120)が、前記第1の熱伝導率と異なる第2の熱伝導率を有する第2の材料から作製される、前記各孔(150)を充填することと
を含む方法。
【0091】
本主題は、その精神や本質的な特性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得る。記載された実施例は、あらゆる点で、例示に過ぎず限定的ではないと解釈するべきである。特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲の中に該当する全ての変更は、特許請求の範囲の中に含まれるべきである。