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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/044 20060101AFI20241016BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20241016BHJP
   H01H 25/06 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
G06F3/044 Z
G06F3/03 400Z
H01H25/06 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020140919
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036618
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】持地 浩行
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/098055(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0089337(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03、3/044
H01H 25/00-25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量の変化を検知する検知パネルの表面に設置される操作装置において、
前記検知パネルの表面に設置される支持体と、前記検知パネルの表面と垂直な基準軸に沿う押圧方向および前記基準軸を中心とする回転方向に動作できるよう前記支持体に支持された操作体と、を有し、前記操作体の少なくとも一部が導電性の導電操作部であり、
前記支持体から前記操作体にかけて穴部が形成され、前記基準軸が前記穴部の内部に位置し、
前記検知パネルの表面に対向して前記基準軸に沿う押圧方向へ移動する押圧検知導体と、前記検知パネルの表面に対向して前記基準軸を中心とする回転方向へ移動する回転検知導体とが、前記穴部の周囲に配置されて、
前記押圧検知導体が前記導電操作部に導通しており、
前記操作体が押圧操作されていないときは、前記押圧検知導体が前記検知パネルから離れ、前記導電操作部と前記回転検知導体とが非導通状態であり、
前記操作体が押圧操作されると、前記押圧検知導体が前記検知パネルに向けて移動するとともに、前記導電操作部と前記回転検知導体とが導通状態となって、前記押圧検知導体と前記回転検知導体の双方が前記検知パネルで検知可能となり、
前記操作体を押圧方向へ移動させたまま回転させることで、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが回転方向へ移動することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記支持体に回転動作体が回転自在に支持されて、前記回転検知導体が前記回転動作体と共に回転し、前記押圧検知導体が前記操作体と共に前記基準軸に沿って移動するように設けられ、
前記操作体の回転動作に伴って前記回転動作体が回転する請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
静電容量の変化を検知する検知パネルの表面に設置される操作装置において、
前記検知パネルの表面に設置される支持体と、前記検知パネルの表面と垂直な基準軸に沿う押圧方向および前記基準軸を中心とする回転方向に動作できるよう前記支持体に支持された操作体と、を有し、前記操作体の少なくとも一部が導電性の導電操作部であり、
前記支持体から前記操作体にかけて穴部が形成され、前記基準軸が前記穴部の内部に位置し、
前記検知パネルの表面に対向して前記基準軸に沿う押圧方向へ移動する押圧検知導体と、前記検知パネルの表面に対向して前記基準軸を中心とする回転方向へ移動する回転検知導体とが、前記穴部の周囲に配置されて、
前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが前記導電操作部に導通しており、
前記操作体が押圧操作されていないときは、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが前記検知パネルから離れ、
前記操作体が押圧操作されると、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが前記検知パネルに向けて移動して、前記押圧検知導体と前記回転検知導体の双方が前記検知パネルで検知可能となり、
前記操作体を押圧方向へ移動させたまま回転させることで、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが回転方向へ移動することを特徴とする操作装置。
【請求項4】
前記支持体に押圧動作体が前記基準軸に沿って動くように支持されて、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが前記押圧動作体と共に前記基準軸に沿って移動し、前記回転検知導体と前記押圧検知導体とが前記操作体と共に回転するように設けられ、
前記操作体の押圧動作に伴って前記押圧動作体が前記基準軸に沿って移動する請求項3記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作体は、前記基準軸を中心とする円形の外縁部と、前記穴部の縁である前記基準軸を中心とする円形の内縁部とを有しており、
前記支持体および前記回転検知導体と前記押圧検知導体とが、前記外縁部と前記内縁部との間に位置する請求項1ないし4のいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
前記穴部に、前記検知パネルを目視できる透光部材が設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の操作装置。
【請求項7】
前記透光部材は、前記操作体の一部である請求項6記載の操作装置。
【請求項8】
前記操作体が回転する間に、前記押圧検知導体と前記回転検知導体との相対位置が変化しない請求項1ないし7のいずれかに記載の操作装置。
【請求項9】
前記操作体が押圧方向へ移動したときに、前記回転検知導体と前記押圧検知導体は、前記検知パネルの表面との対向距離が同じになる請求項1ないし8のいずれかに記載の操作装置。
【請求項10】
前記押圧検知導体と前記回転検知導体は、基準軸を中心とする円周方向に沿う長さ寸法が、基準軸を中心とする半径方向の幅寸法よりも長い請求項1ないし9のいずれかに記載の操作装置。
【請求項11】
前記押圧検知導体と前記回転検知導体の双方が前記検知パネルで検知されたときに、押圧操作が行われたものと判定する制御部が設けられている請求項1ないし10のいずかに記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量の変化を検知する検知パネルの表面に設置されて、押圧操作と回転操作を検知する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、タッチパネルに設置される操作ノブに関する発明が記載されている。
この発明は、把持部に第1凸部と第2凸部が設けられている。第1凸部はスプリングによって把持部から突出させられており、把持部がタッチパネルに対向した状態で、タッチパネルと第1凸部の先端との距離が、タッチパネルと第2凸部の先端との距離よりも短くなっている。把持部は、タッチパネルに設けられた外装体の凹部に、回転操作と押圧操作できるように支持されている。
【0003】
把持部が押されると、第1凸部がタッチパネルに接触したときと、第2凸部がタッチパネルに接触したときに信号が出され、第1凸部と第2凸部がタッチパネルに接触した状態で、把持部を回転させると、その回転位置を検知することができる。
【0004】
特許文献2に、タッチパネルの上にノブが設置された入力装置に関する発明が記載されている。
この発明では、タッチパネルに環状の回転支持体が設置され、回転支持体に環状の操作体が回転自在に支持されている。操作体に導電接続体が収納されており、導電接続体に、互いに直径が相違する3個の導電端子部が支持されている。操作体と3個の導電端子部は、導電接続体を介して導通されている。操作体に指を触れて操作すると、タッチパネルにおいて3個の導電端子部の位置を検知することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5653180号公報
【文献】特許第6632787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された操作ノブは、把持部を押圧操作することと回転操作することが可能であるが、把持部は中心部に穴部を有するものではなく、穴部を表示領域や照明領域などとして利用することができない。
【0007】
特許文献2に記載された入力装置は、操作体が環状であるが、回転操作しか検知することができず、回転操作と押圧操作の双方を検知できるものではない。特許文献2の入力装置に押圧検知機構を付加すると、当然のことながら操作体が大型化する。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、穴部を有する操作体を使用して、回転操作と押圧操作の双方を検知することができ、全体の形状がシンプルで且つ小型に構成することが可能な操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、静電容量の変化を検知する検知パネルの表面に設置される操作装置において、
前記検知パネルの表面に設置される支持体と、前記検知パネルの表面と垂直な基準軸に沿う押圧方向および前記基準軸を中心とする回転方向に動作できるよう前記支持体に支持された操作体と、を有し、前記操作体の少なくとも一部が導電性の導電操作部であり、
前記支持体から前記操作体にかけて穴部が形成され、前記基準軸が前記穴部の内部に位置し、
前記検知パネルの表面に対向して前記基準軸に沿う押圧方向へ移動する押圧検知導体と、前記検知パネルの表面に対向して前記基準軸を中心とする回転方向へ移動する回転検知導体とが、前記穴部の周囲に配置されて、
前記押圧検知導体が前記導電操作部に導通しており、
前記操作体が押圧操作されていないときは、前記押圧検知導体が前記検知パネルから離れ、前記導電操作部と前記回転検知導体とが非導通状態であり、
前記操作体が押圧操作されると、前記押圧検知導体が前記検知パネルに向けて移動するとともに、前記導電操作部と前記回転検知導体とが導通状態となって、前記押圧検知導体と前記回転検知導体の双方が前記検知パネルで検知可能となり、
前記操作体を押圧方向へ移動させたまま回転させることで、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが回転方向へ移動することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の操作装置は、前記操作体が、前記基準軸を中心とする円形の外縁部と、前記穴部の縁である前記基準軸を中心とする円形の内縁部とを有しており、
前記支持体および前記回転検知導体と前記押圧検知導体とが、前記外縁部と前記内縁部との間に位置することが好ましい。
【0011】
本発明の操作装置は、前記穴部に、前記検知パネルを目視できる透光部材が設けられているものであってもよい。この場合に、前記透光部材は、前記操作体の一部であることが好ましい。
【0012】
本発明は、静電容量の変化を検知する検知パネルの表面に設置される操作装置において、
前記検知パネルの表面に設置される支持体と、前記検知パネルの表面と垂直な基準軸に沿う押圧方向および前記基準軸を中心とする回転方向に動作できるよう前記支持体に支持された操作体と、を有し、前記操作体の少なくとも一部が導電性の導電操作部であり、
前記支持体から前記操作体にかけて穴部が形成され、前記基準軸が前記穴部の内部に位置し、
前記検知パネルの表面に対向して前記基準軸に沿う押圧方向へ移動する押圧検知導体と、前記検知パネルの表面に対向して前記基準軸を中心とする回転方向へ移動する回転検知導体とが、前記穴部の周囲に配置されて、
前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが前記導電操作部に導通しており、
前記操作体が押圧操作されていないときは、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが前記検知パネルから離れ、
前記操作体が押圧操作されると、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが前記検知パネルに向けて移動して、前記押圧検知導体と前記回転検知導体の双方が前記検知パネルで検知可能となり、
前記操作体を押圧方向へ移動させたまま回転させることで、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが回転方向へ移動することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の操作装置は、前記支持体に回転動作体が回転自在に支持されて、前記回転検知導体が前記回転動作体と共に回転し、前記押圧検知導体が前記操作体と共に前記基準軸に沿って移動するように設けられ、
前記操作体の回転動作に伴って前記回転動作体が回転するものとして構成できる。
【0015】
また本発明の操作装置は、前記支持体に押圧動作体が前記基準軸に沿って動くように支持されて、前記押圧検知導体と前記回転検知導体とが前記押圧動作体と共に前記基準軸に沿って移動し、前記回転検知導体と前記押圧検知導体とが前記操作体と共に回転するように設けられ、
前記操作体の押圧動作に伴って前記押圧動作体が前記基準軸に沿って移動するものとして構成できる。
【0017】
本発明の操作装置は、 前記操作体が回転する間に、前記押圧検知導体と前記回転検知導体との相対位置が変化しないことが好ましい。
【0018】
本発明の操作装置は、前記操作体が押圧方向へ移動したときに、前記回転検知導体と前記押圧検知導体は、前記検知パネルの表面との対向距離が同じになることが好ましい。
【0019】
本発明の操作装置は、前記押圧検知導体と前記回転検知導体は、基準軸を中心とする円周方向に沿う長さ寸法が、基準軸を中心とする半径方向の幅寸法よりも長いことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の操作装置は、支持体から操作体に通じる穴部が形成されており、支持体と回転検知導体と押圧検知導体とが前記穴部と重ならない周囲の領域に配置されている。そのため、前記穴部を、検知パネルを目視できる領域や、照明機構や表示機構を配置する領域、あるいは新たな押圧操作機構を配置する領域などとして利用することができる。前記穴部に透光部材を配置して、透光部材を通して検知パネルを目視できる構造とすることも可能である。また、支持体と回転検知導体と押圧検知導体とが穴部の周囲に配置されているため、穴部の開口面積を大きくでき、しかも全体の外径を小型化に構成することができる。
【0021】
特に、操作体が円形の外縁部と円形の内縁部とを有する環形状(ドーナツ形状)で、支持体および回転検知導体と押圧検知導体とが、操作体の外縁部と内縁部との間に位置する構造であると、外観が環状の操作体のみのシンプルな外観となり、また表面に現れる全体が操作体であるため操作しやすくなる。また、全体の外径の小径化も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態の操作装置の全体構造を上方から見た斜視図、
図2図1に示された操作装置の全体構造において、操作体を上方に分離させた分解斜視図、
図3図2に示された操作装置の操作体を削除し、操作体以外の組立て構造を示す分解斜視図、
図4図3に示された回転部組立体をさらに上下に分離して示す分解斜視図、
図5図1に示された操作装置を下側から見た底面図、
図6図1に示された操作装置が検知パネルに設置された構造を示すものであり、図5に示すVI-VI線で切断した部分断面図、
図7図1に示された操作装置が検知パネルに設置された構造を示すものであり、図5に示すVII-VII線で切断した部分断面図、
図8】本発明の第2実施形態の操作装置が検知パネルに設置された断面図、
図9】本発明の第3実施形態の操作装置が検知パネルに設置された断面図、
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に本発明の第1実施形態の操作装置10が示されており、図6図7に、操作装置10が検知パネル1の表面1aに固定されて設置された構造が示されている。検知パネル1は透明であり、例えば車室内の電子機器の表面パネルである。検知パネル1の後方(Y1方向)には、カラー液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置などの各種表示装置の表示画面が位置している。表示画面には、車両走行に関する各種情報、例えばナビゲーション情報、道路渋滞情報、走行速度情報、エアーコンディショナの動作情報または災害警告情報などが表示される。または、表示画面に、オーディオ情報やテレビ受像画像などが表示される。表示画面の表示情報は、検知パネルを透過し、前方側(Y2側)から目視することが可能である。なお、操作装置10は、車載用の電子機器以外の各種電子機器に設けられる検知パネル1の表面1aに設置することができる。
【0024】
図6図7に示される検知パネル1は、透明パネル2と、透明パネル2の後方(Y1方向)に向く後面2aに積層された透光性のセンサパネル3とを有している。透明パネル2は、ガラスパネルやアクリル系などの透明な樹脂パネルである。センサパネル3はPETなどの透明基板の表面にITOなどの複数の透明電極が形成されて、静電容量の変化を検知するものである。検知パネル1の表面1aに接地電位に近い導体が接触しまたは接近すると、センサパネル3の複数の透明電極間で検知される相互容量が変化し、または個々の透明電極で検知される自己容量が変化して、表面1aと平行な面の座標上のどの位置に導体が位置しているかを検知することができる。
【0025】
図1ないし図5に基準軸Oが示されている。基準軸Oは、検知パネル1の表面1aに垂直な仮想直線である。図1図2および図6に示されるように、操作装置10は操作体11を有している。操作体11は、基準軸Oを中心とする環形状(ドーナツ形状)である。操作体11は中心部に円形の穴部14を有しており、穴部14の内部に基準軸Oが位置している。
【0026】
図2に示されるように、操作体11は、導電操作部12と導体支持部13とを有している。導電操作部12には後方(Y1方向)に延びる嵌合突部12aが形成され、導体支持部13の内周面13aに凹部13bが形成されている。前記嵌合突部12aが凹部13bの内部に挿入されて凹凸嵌合され、導電操作部12と導体支持部13とが互いに固定されている。導電操作部12は導電性であり、導電性金属で形成されている。または、導電操作部12は合成樹脂材料で形成され、その表面に導電性の金属めっき層が設けられている。導体支持部13は非導電性であり合成樹脂材料で形成されている。
【0027】
本発明の操作体11は、1つの部材で構成されまたは複数の部材が接合されて構成されており、少なくとも一部が導電性の導電操作部となっている。
【0028】
図1図2および図6に示されるように、操作体11は、上部壁部11aと内周壁部11bおよび外周壁部11cを有している。上部壁部11aは、導電操作部12の前面に現れる環状部であり、上部壁部11aのY2方向に向く前面が主な操作面である。内周壁部11bは、導電操作部12の一部であって上部壁部11aの内周部から後方(Y1方向)に延びる円筒部である。外周壁部11cは、円筒状の導体支持部13で形成されている。
【0029】
内周壁部11bの表面のうちの内径が最も小さい部分が、穴部14の縁部であり、操作体11の内縁部である。外周壁部11cのうちの外径が最も大きい部分が、操作体11の外縁部である。図6図7の断面図に示されるように、操作装置10を構成する全ての部材は、操作体11の内縁部と外縁部との間に収まっており、すなわち全ての部材が操作体11に覆われている。したがって、操作装置10を上方から見たときの外観は、環形状(ドーナツ形状)の操作体11の外観と一致している。
【0030】
図5の底面図および図7に示されるように、導体支持部13の後方(Y1方向)に向く後面13cに、押圧検知導体15が設けられている。押圧検知導体15は基準軸Oを中心とする円弧軌跡に沿って一定の角度の範囲に設けられている。すなわち、押圧検知導体15は、基準軸Oを中心とする円弧軌跡に沿う部分環形状であり、円周方向の長さ寸法が、半径方向の幅寸法よりも長くなっている。図2図7に示されるように、押圧検知導体15の一部は、導体支持部13の内周面13aにおいて前後方向(Y1-Y2方向)に延びる延長部15aとなっている。押圧検知導体15は薄い金属板で形成されて、導体支持部13を形成する際にいわゆるインサート成形工程によって一体化される。あるいは、押圧検知導体15は、導体支持部13に導電性塗料を塗工することなどによって形成することもできる。
【0031】
図7に示されるように、導電操作部12には、上部壁部11aの後面から後方(Y1方向)に延びる接続突部(導通接続部)12bが一体に設けられ、この接続突部12bが押圧検知導体15の延長部15aに常に接触している。導電操作部12および接続突部12bは導電性であるため、導電操作部12のY2方向に向く表面すなわち主な接触操作面と押圧検知導体15とが電気的に導通されている。
【0032】
図6図7に示されるように、操作体11の内部に回転部組立体20が収納されている。図4に、回転部組立体20の構成部材が分解されて示されている。回転部組立体20に支持体21が設けられている。支持体21は合成樹脂材料などの非導電性材料で形成されており、中央部に円形の支持体側の穴部(開口部)22が形成されている。前記基準軸Oは穴部22の内部に位置している。支持体21は環状の固定部23と、固定部23の内縁部から前方(Y2方向)に立ち上がる円筒支持部24を有している。
【0033】
図3図4に示されるように、回転部組立体20では、支持体21の円筒支持部24に回転動作体30が回転自在に支持されている。回転動作体30は非導電性であり合成樹脂材料で形成されている。回転動作体30は、環状のギヤ底部31と、ギヤ底部31の外周から前方(Y2方向)に向けて延びる連結円筒部32とが一体に形成されている。ギヤ底部31の中心部に円形の摺動穴33が開口しており、摺動穴33が支持体21の円筒支持部24の外周に回転自在に装着されている。
【0034】
図5の底面図および図6に示されるように、回転動作体30の後方(Y1方向)に向く後面30aに、回転検知導体35が設けられている。回転検知導体35は基準軸Oを中心とする円弧軌跡に沿って一定の角度の範囲に設けられている。すなわち、回転検知導体35は、基準軸Oを中心とする円弧軌跡に沿う部分環形状であり、円周方向の長さ寸法が、半径方向の幅寸法よりも長くなっている。図4図6に示されるように、回転検知導体35の一部は、回転動作体30の連結円筒部32の内周面32aにおいて前後方向(Y1-Y2方向)に延びる延長部35aとなっている。回転検知導体35は薄い金属板で形成されて、回転動作体30を形成する際にいわゆるインサート成形工程によって一体化される。あるいは、回転検知導体35は、回転動作体30に導電性塗料を塗工することなどによって形成することもできる。
【0035】
図6に示されるように、導電操作部12では、上部壁部11aの後面から後方(Y1方向)に延びる導電性の接続突部(導通接続部)12cが設けられている。図6では、接続突部12cが回転検知導体35の延長部35aから前方(Y2方向)に離れている。操作体11が後方(Y1方向)へ押されて移動すると、接続突部12cが延長部35aに接触し、導電操作部12のY2方向に向く主たる接触操作面と回転検知導体35とが電気的に導通する。
【0036】
図4に示されるように、回転部組立体20では、回転動作体30の連結円筒部32の内側にリング状板ばね25が設置されている。リング状板ばね25の2か所には後方(Y1方向)へ突状に曲げられたクリック係合部25aが形成されている。回転動作体30のギヤ底部31の前面に、複数のギヤ凹部36が円周方向に一定のピッチで形成されている。2つのクリック係合部25aは、複数のギヤ凹部36のいずれかと順番に噛み合うことができる。リング状板ばね25には、2か所において内側に突出する一対の係合爪25bが設けられている。支持体21の円筒支持部24の前面の2か所に一対の係合凹部24aが形成されており、係合爪25bが係合凹部24aに係止されて、リング状板ばね25が、支持体21に対して回転しないように規制される。
【0037】
回転部組立体20にホルダ金具26が設けられている。ホルダ金具26はリング形状であり、その内縁部の4か所から後方(Y1方向)に向けて連結片26aが一体に形成されている。それぞれの連結片26aの後端部に、外側に向けて折り曲げられた保持片26bが形成されている。図4に示されるように、支持体21の円筒支持部24の内周面の4か所に、前記連結片26aが入り込む連結凹部24bが形成されている。
【0038】
図3および図6図7に示されるように、支持体21の円筒支持部24が回転動作体30の摺動穴33の内部に後方から挿入され、回転動作体30のギヤ底部31の前方にリング状板ばね25とホルダ金具26とが重ねられる。ホルダ金具26の連結片26aを、円筒支持部24の内周面の連結凹部24b内に嵌合させ、連結片26aの後端部の保持片26bを、支持体21の固定部23の後面23aに掛けることで、回転部組立体20が組み立てられる。回転部組立体20では、支持体21とリング状板ばね25およびホルダ金具26が互いに連結された状態で、支持体21に対して、回転動作体30を、基準軸Oを中心として相対的に回転させることができる。この回転の際、回転動作体30のギヤ凹部36がリング状板ばね25のクリック係合部25aに一定の回転角度ごとに係合し、回転動作体30にクリック回転抵抗を与えることができる。
【0039】
図3図6および図7に示されるように、回転部組立体20に設けられた支持体21の固定部23の後面23aに両面接着テープ41が接着される。
【0040】
図3に示されるように、回転部組立体20の連結円筒部32の内側ではホルダ金具26の前方にリング状シート42が設置され、その前方に復帰弾性部材45が設置される。リング状シート42は低摩擦のシート材料で形成されている。復帰弾性部材45はゴム材料で形成されており、リング状本体部45cの円周上の3か所に弾性変形突部45aが形成されている。弾性変形突部45aは、内部が空洞であり、後方(Y1方向)への押圧力に対し、前方(Y2方向)への弾性復帰力が発現される。図2図3に示されるように、回転動作体30の連結円筒部32には前方(Y2方向)に向けて開口する連結凹部38が形成されている。復帰弾性部材45では、弾性変形突部45aの基部に円形基部45bが形成されており、円形基部45bは、それぞれ連結凹部38に嵌合している。回転部組立体20において回転動作体30が回転すると、リング状シート42上で、復帰弾性部材45が回転動作体30と一緒に回転する。
【0041】
図6図7に示されるように、操作体11の内周壁部11bと外周壁部11cとの間に回転部組立体20が収納される。図2に示されるように、操作体11を構成している導体支持部13の内周面13aの3か所に、前後方向(Y1-Y2方向)に延びる回転連結突部16が形成され、回転動作体30の連結円筒部32の外周面の3か所に、前後方向(Y1-Y2方向)に延びる回転連結凹部37が形成されている。それぞれの前記回転連結突部16が前記回転連結凹部37に係合することで、操作体11と回転動作体30とが一緒に回転できるように連結される。また、回転動作体30および支持体21に対して、操作体11が前後方向(Y1-Y2方向)へ相対的に移動可能である。復帰弾性部材45の弾性変形突部45aの弾性力により、操作体11は回転部組立体20から前方(Y2方向)へ離れる方向に付勢されているが、操作体11と回転動作体30との間には、操作体11が回転部組立体20から前方に分離できないように抜け止め構造が設けられている。
【0042】
図1および図6図7に示されるように、操作体11と回転部組立体20とが組み立てられると、操作体11の中央の穴部14と支持体21の穴部22とが互いに通じて、操作装置10には、基準軸Oを含む領域で基準軸Oに沿う方向に連続する穴部が開口する。この穴部は、操作装置10において前後方向(Y1-Y2方向)に貫通して開口している。
【0043】
図6図7に示されるように、支持体21の固定部23の後面23aと検知パネル1の表面1aとが両面接着テープ41で接着されて、操作装置10が検知パネル1に設置される。
【0044】
図6図7に示されるように、操作体11以外の操作装置10を構成する部材は、操作体11の内周壁部11bと外周壁部11cとの間(操作体11の内縁部と外縁部との間)の空間内に収まっている。図1に示されるように、操作装置10を前方側(Y2側)から見た外観は、環状(ドーナツ形状)の操作体11の外観そのものである。その結果、操作装置10がシンプルなデザインとなり、外観が良好であり、指で操作しやすい。
【0045】
操作装置10の中心部には操作体11の円形の穴部14が比較的大きな面積で開口している。そのため、検知パネル1の後方(Y1方向)に位置する表示画面に表示される画像の一部を、穴部14を通じて目視することができる。また、穴部14の内部空間を利用し、この内部にLEDを装備した個別の表示装置を設けることができ、または穴部14内に、さらに別の押圧操作装置を設けることもできる。
【0046】
次に、操作装置10への操作および検知動作を説明する。
図6図7に示されているように、操作体11に外力が作用していないときは、復帰弾性部材45に形成された弾性変形突部45aの弾性押圧力によって操作体11が前方(Y2方向)に持ち上げられている。そのため、図7に示されるように、押圧検知導体15は、検知パネル1の表面1aから前方(Y2方向)に離れている。また、図6に示されるように、導電操作部12に設けられた接続突部(導通接続部)12cが、回転動作体30に設けられた回転検知導体35の延長部35aから前方(Y2方向)に離れており、導電操作部12と回転検知導体35は非導通状態である。
【0047】
操作体11では、導体支持部13に設けられた押圧検知導体15の延長部15aが接触突部(導通接続部)12bに接触しており、導電操作部12と押圧検知導体15とが常に導通している。そのため、操作者の指が操作体11の上部壁部11aの表面(主な操作面)に接触すると、押圧検知導体15が操作者の人体と同電位のほぼ接地電位となる。指による押圧操作で操作体11が後方(Y1方向)に向けて押されると、回転動作体30に対して導体支持部13が後方(Y1方向)へ移動し、押圧検知導体15が検知パネル1の表面1aに接近する。押圧検知導体15がほぼ接地電位であるため、押圧検知導体15が接近した座標位置がセンサパネル3によって検知される。
【0048】
操作体11が後方(Y1方向)に向けて押されると、図6に示されている接続突部12cが、回転動作体30に設けられた回転検知導体35の延長部35aに接触し、操作体11の導電操作部12と回転検知導体35とが導通する。そのため、操作体11を押圧している指と回転検知導体35とが同電位となり、回転検知導体35がほぼ接地電位となる。図6に示されるように、回転動作体30に設けられた回転検知導体35は検知パネル1の表面1aに常に接近しているため、回転検知導体35が指と同じほぼ接地電位になると、検知パネル1のセンサパネル3によって、回転検知導体35の座標位置が検知される。
【0049】
図示しない制御部では、検知パネル1のセンサパネル3によって押圧検知導体15の座標位置と回転検知導体35の座標位置の双方が検知されたときに、押圧操作が行われたと判定する。図5に示されるように、押圧検知導体15と回転検知導体35は、基準軸Oを中心とする円弧方向に延び、円弧方向の長さ寸法が、基準軸Oを中心とする半径方向の幅寸法よりも大きい部分環形状である。そのため狭い直径の範囲内で押圧検知導体15と回転検知導体35の面積を十分に広く確保でき、センサパネル3で、押圧検知導体15と回転検知導体35とを確実に検知できる。また、押圧検知導体15と回転検知導体35は、基準軸Oを挟んで180度の角度で対向しており、押圧検知導体15と回転検知導体35とが円周方向に離れている。部分環形状である押圧検知導体15と回転検知導体35とが基準軸Oを中心とする半径方向で重なっていないため、センサパネル3で、押圧検知導体15と回転検知導体35とを個別に識別して確実に検知することができる。
【0050】
操作体11がY1方向へ押されて、押圧検知導体15が検知パネル1の表面1aに接近したときに、検知パネル1の表面1aと押圧検知導体15との前後方向(Y1-Y2方向)の対向間隔が、検知パネル1の表面1aと回転検知導体35との前後方向の対向間隔と一致する。操作体11を押圧して回転操作するときに、検知パネル1では、押圧検知導体15と回転検知導体35とを同じ感度で検知することができる。そのため、操作体11の押圧検知や回転検知を高精度に行うことが可能になる。
【0051】
なお、前記制御部において、操作体11が後方(Y1方向)に押し込まれたときに、回転検知導体35を検知しているか否かと関係なく、センサパネル3で押圧検知導体15の座標位置が検知されたときに、操作体11に対する押圧操作が行われたもの、と判定されてもよい。
【0052】
図2に示されるように、操作体11の導体支持部13に形成された回転連結突部16と、回転動作体30に形成された回転連結凹部37との嵌合により、操作体11と回転動作体30とが、前後方向(Y1-Y2方向)へ相対移動可能であるが、回転方向(R方向)では互いに連結されている。そのため、操作体11を押圧したまま回転させると、操作体11と回転動作体30とが、基準軸Oを中心として一緒に回動する。ほぼ接地電位である押圧検知導体15と回転検知導体35とが検知パネル1の表面1aに接近したまま、その相対位置を変化させることなく回転する。センサパネル3では、押圧検知導体15と回転検知導体35の回転座標を検知することができ、押圧検知導体15と回転検知導体35の座標の移動を検知することにより、制御部において操作体11が回転操作されていると判定される。また、押圧検知導体15と回転検知導体35を検知している座標の変化速度や変化角度により、操作体11の操作速度や操作回転角度などを認識することができる。
【0053】
押圧検知導体15と回転検知導体35は、基準軸Oを挟んで180度の角度で対向し、その相対角度が変化しないままR方向へ回転するため、センサパネル3で、押圧検知導体15と回転検知導体35の検知座標の変化を検知することにより、操作体11の回転動作を正確に検知することができる。また、押圧検知導体15と回転検知導体35は、基準軸Oを中心とする円弧方向に延び、円弧方向の長さが、基準軸Oを中心とする半径方向の幅寸法よりも大きいため、押圧検知導体15と回転検知導体35の面積を十分に広く確保でき、センサパネル3で、押圧検知導体15と回転検知導体35を確実に検知できるようになる。
【0054】
なお、本発明では、押圧検知導体15の円周方向の中心と回転検知導体35の円周方向の中心とが、基準軸Oを中心とする同一の半径線上に位置しておらず、押圧検知導体15の中心と回転検知導体35の中心とが異なる半径線上に位置していればよい。また、押圧検知導体15と回転検知導体35とが、同一の半径線上で、部分的にでも重ならないことが好ましい。そのためには、押圧検知導体15の中心と回転検知導体35の中心とが基準軸Oを中心とする90度から180度の角度の範囲で配置されていることが好ましい。押圧検知導体15の中心と回転検知導体35の中心とが異なる半径線上に位置し、押圧検知導体15と回転検知導体35とが半径方向で重ならないように配置されていると、押圧検知導体15と回転検知導体35とが、互いに離れた状態で、個別に検知しやすくなる。
【0055】
図8に、本発明の第2実施形態の操作装置10Aが示されている。
第2実施形態の操作装置10Aに回転部組立体20が設けられている。回転部組立体20の構成は第1実施形態の操作装置10と同じである。回転部組立体20は、支持体21と支持体21に回転自在に支持された回転動作体30を有し、回転動作体30に回転検知導体35が設けられている。操作体11を構成する導体支持部13に押圧検知導体15が設けられている。
【0056】
操作装置10Aの操作体11は、導電操作部12と導体支持部13および透光部材17とで構成されている。導電操作部12は導電性であり、導体支持部13は非導電性である。導電操作部12と導体支持部13の形状は第1実施形態の操作装置10とほぼ同じである。導電操作部12と導体支持部13との接合体は環形状(ドーナツ形状)であり、上部壁部11aと内周壁部11bおよび外周壁部11cを有している。内周壁部11bで囲まれた領域が穴部14である。内周壁部11bの表面のうちの内径が最も小さい部分が、穴部14の内縁部であり、外周壁部11cのうちの外径が最も大きい部分が操作体11の外縁部である。操作装置10Aの回転部組立体20を構成する全ての部材は、導電操作部12と導体支持部13との接合体の内縁部と外縁部との間に収まっている。
【0057】
透光部材17は操作体11の一部であり、アクリルなどの透光性の樹脂材料で形成されている。透光部材17は操作体11の穴部14を塞いでいる。透光部材17の前方(Y2方向)に向く表面17aは、導電操作部12の表面と同一面となっている。この操作装置10Aでは、操作体11の中央部に透光部材17を有する透光領域が設けられているため、この透光領域および検知パネル1を透過して、表示画面の一部を目視することができる。また穴部14の内部にLEDなどの光源を有する表示機構を配置することもできる。
【0058】
また、透光部材17の表面17aにITOなどの透明な導電膜を形成し、この導電膜を導電操作部12に導通させておくと、透光部材17の表面17aを接触操作面として使用することもできる。
【0059】
図9に、本発明の第3実施形態の操作装置110が示されている。
この操作装置110に設けられた操作体111は、導電性の導電操作部51と非導電性の導体支持部52とが固定されて構成されている。操作体111は、上部壁部111aと内周壁部111bおよび外周壁部111cを有するドーナツ形状であり、操作体111以外で操作装置110を構成する全ての部材が、内周壁部111bと外周壁部111cとの間に位置している。導体支持部52の検知パネル1に対向する面に、回転検知導体53が設けられている。回転検知導体53と導電操作部51は導通されている。
【0060】
操作装置110に押圧組立体120が設けられている。押圧組立体120は、支持体54を有し、支持体54は両面接着テープ59を介して検知パネル1の表面1aに接着されて固定されている。支持体54に押圧動作体55が前後方向(Y1-Y2方向)へ移動自在に支持されており、支持体54と押圧動作体55との間に復帰弾性部材56が挟まれている。押圧組立体120では、支持体54と復帰弾性部材56と押圧動作体55とがホルダ金具57によって互いに分離しないように組み立てられている。押圧動作体55の、検知パネル1に対向する面に押圧検知導体58が設けられている。押圧検知導体58と導電操作部51は導通されている。
【0061】
図9に示される操作装置110は、操作体111が後方(Y1方向)に向けて押されると、押圧動作体55が支持体54に対して後方(Y1方向)へ移動し、操作体111と押圧動作体55が一緒に検知パネル1の表面1aに接近する。また、操作体111を、基準軸Oを中心として回転させると、押圧操作体55も一緒に回転する。図5に示された押圧検知導体15と回転検知導体35との関係と同様に、図9に示される操作装置110においても、押圧検知導体58と回転検知導体53とが、常に基準軸Oを中心とする180度の相対位置を維持する。また、押圧検知導体58と回転検知導体53は、基準軸Oを中心とする所定角度の部分環弧形状である。
【0062】
図9に示される操作装置110では、操作体111に外力が作用していないときは、復帰弾性部材56の付勢力により、操作体111と押圧動作体55が前方(Y2方向)に移動しており、回転検知導体53と押圧検知導体58の双方が検知パネル1の表面1aから離れている。操作体111の導電操作部51に操作者の指が触れると、導電操作部51と導通している回転検知導体53と押圧検知導体58とが人の指と同じ電位でほぼ接地電位となる。指で操作体111が後方(Y1方向)へ押されると、回転検知導体53と押圧検知導体58とが一緒に検知パネル1の表面1aに接近し、センサパネル3によって回転検知導体53と押圧検知導体58の双方の座標位置が検知される。これにより、図示しない制御部では、押圧操作が行われたものと判定する。指で押した操作体111をそのまま回転させると、回転検知導体53と押圧検知導体58とが、互いに180度の角度間隔を維持したまま一緒に回転する。センサパネル3で、回転検知導体53と押圧検知導体58の位置が変化するのを検知することで、制御部では、回転操作が行われたものと判定することができる。
【0063】
第1実施形態の操作装置10と第3実施形態の操作装置110は、内周壁部と外周壁部を有するドーナツ形状の操作体を有し、各部材が操作体の外縁部と内縁部との間に位置している。また、操作体の押圧操作により、検知パネルで押圧検知導体を検知でき、同じく操作体の回転操作により、検知パネルで回転検知導体を検知できる。全体の構造が操作体と同じドーナツ形状であるため、全体の形状がシンプルである。また、操作体の外縁部と内縁部との間に押圧検知導体と回転検知導体が位置しているため、操作体の穴部の面積を大きくでき、全体の外径寸法も小さくすることができる。
【0064】
第2実施形態の操作装置10Aは、操作体11の穴部14が透光部材17で覆われている。非透光部材である導電操作部12と導体支持部13の後方に各機構が隠されて配置され、穴部14は透光性で透明であるため、操作装置10Aを前方から見た外観は、やはりドーナツ形状であり、小型で簡潔な外観を呈し、しかも透光部材17を透して検知パネル1を目視することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 検知パネル
10,10A 操作装置
11 操作体
11a 上部壁部
11b 内周壁部
11c 外周壁部
12 導電操作部
13 導体支持部
14 穴部
15 押圧検知導体
17 透光部材
20 回転部組立体
21 支持体
22 支持体側の穴部
25 リング状板ばね
30 回転動作体
35 回転検知導体
45 復帰弾性部材
53 回転検知導体
55 押圧動作体
58 押圧検知導体
110 操作装置
O 基準軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9