IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産コパル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-入場管理システム 図1
  • 特許-入場管理システム 図2
  • 特許-入場管理システム 図3
  • 特許-入場管理システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】入場管理システム
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/20 20200101AFI20241016BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G07C9/20
E05B49/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020148042
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042593
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝口 泰三
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-079232(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110334(WO,A1)
【文献】特開平04-268694(JP,A)
【文献】特開2017-027435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/20
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置と、
入場者に発行される認識物品のパターンを記憶する記憶装置と、
前記撮影装置によって撮影された認識物品の撮影パターンと、前記記憶装置に記憶されている認識物品のパターンとが一致するか否かを認識するパターン認識装置と、
を備え、
前記記憶装置には、前記認識物品のパターンと、前記認識物品のパターンに対応し、入場を許容する時間情報とを備えたテーブルが記憶され、
前記認識物品の撮影パターンが、前記テーブルに記憶されている認識物品のパターンと一致したとき、対応する時間情報によって指定される時間において、前記入場者の入場を許容する、入場管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の入場管理システムにおいて、
前記記憶装置には、前記認識物品を撮影することにより得られた画像を処理することにより生成された認識物品のパターンが記憶されている、入場管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の入場管理システムにおいて、
前記認識物品は、前記入場者の身に着けられるバッジである、入場管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の入場管理システムにおいて、
前記認識物品は、前記入場者の国籍を表すバッジであり、
前記記憶装置には、互いに異なる国籍を表す複数のバッジのパターンが記憶されている、入場管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の入場管理システムにおいて、
互いに異なる複数の言語を発声する音声装置を、さらに備え、
前記音声装置は、前記パターン認識装置において、一致すると認識されたバッジにより表される国籍の言語を発声する、入場管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の入場管理システムにおいて、
前記記憶装置には、前記認識物品のパターンと、前記認識物品のパターンに対応し、入場を許容する場所情報とを備えたテーブルが記憶され、
前記認識物品の撮影パターンが、前記テーブルに記憶されている認識物品のパターンと一致したとき、対応する場所情報によって指定される場所において、入場を許容する、入場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入場管理システムに関し、例えば、イベント会場や学校行事等における入場ゲートでの入場を管理する入場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者を通過させるゲートを管理する入退場管理システムが、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1では、撮像部で取得された画像データと、顔画像データベースに登録された顔画像データとを用いて顔認識を行い、認証結果を、ゲートを通過する利用者に報知することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-92293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されているように、顔認識を行い、認証を行う技術が現実的となってきている。しかしながら、顔認識の場合には、例えば正面から撮影した顔画像でないと顔認識の精度が落ちたりする。また、入場者(利用者)が、マスク、帽子、化粧等をしている場合、顔の特徴点が減少し、顔認識の精度が落ち、実用化の際に支障が生じる。さらに、予め顔画像データベースを用意することが必要とされる。すなわち、顔画像データベースに、顔を登録するために、事前に顔写真等を用意し、顔画像データベースに登録する手間が必要とされる。この場合、プライバシー保護の観点から、顔写真等を適切に管理することも必要とされ、管理コストの増加とともに、適切な管理を行えなかった場合のリスクもある。
【0006】
一方、ある特定の入場者を認証するにあたり、顔認識等のような高いセキュリティー精度が要求されない場合もある。高いセキュリティー精度が要求されないものの例としては、イベント会場への係員や入場許可者の入場、あるいは学校行事会場への関係者の入場等がある。このような例では、入場者に、例えばワッペン、腕章、バッジ、名札等が予め発行され、管理者が、入場者が着けたものを目視で確認し、入場者の入場の可否を判断する。管理者の目視による主観的判断であるため、高精度に偽造されたものを見破ることは困難であるが、この程度の低いセキュリティー精度で良い場合もある。
【0007】
低いセキュリティー精度で良い場合に、管理者の代わりに顔認識の技術を用いると、顔認識に係る装置をゲート等に配置することが必要となり、コストが増加する。また、前記したように、プライバシー保護の観点からも管理コストの増加およびリスクが発生する。さらに、顔認識の精度が低いと、入場に時間が掛かり、ゲート近辺に入場者の滞留が発生し、スムーズな入場を行うことが困難になる場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載されている一実施の形態に係る入場管理システムを述べると、次の通りである。
【0009】
すなわち、入場管理システムは、撮影装置と、入場者に発行される認識物品のパターンを記憶する記憶装置と、撮影装置によって撮影された認識物品の撮影パターンと、記憶装置に記憶されている認識物品のパターンとが一致するか否かを認識するパターン認識装置とを備える。ここで、パターン認識装置において、一致すると認識されたとき、入場者の入場が許容される。
【0010】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0011】
一実施の形態によれば、コストの増加を抑制することが可能な入場管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る入場管理システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る入場管理システムの動作を示すフローチャート図である。
図3】実施の形態2に係る入場管理システムで用いられるテーブルを示す図である。
図4】実施の形態2に係る入場管理システムの動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。
【0014】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0015】
(実施の形態1)
<入場管理システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る入場管理システムの構成を示すブロック図である。同図において、1は入場管理システムを示し、2は認識物品を示し、3は入場管理システム1によって制御される入場ゲート(ゲート)を示している。
【0016】
実施の形態1に係る入場管理システム1は、入場を希望する入場者の顔を認識するのではなく、入場者に予め発行(頒布)された認識物品2を認識し、認識結果に従って、ゲート3を制御する。すなわち、認識物品2が予め登録されている認識物品と一致すると認識された場合、ゲート3が開かれ、入場者はゲート3を通過することが許容される。これに対して、認識物品2が、予め登録された認識物品と一致しない場合には、ゲート3が閉じられ、入場者の入場は拒否される。認識物品2としては、種々の物品を用いることが可能であるが、ここでは、入場者に予め発行されたバッジを例にして説明する。以下、バッジについても、認識物品と同じ符号2を付す。
【0017】
入場管理システム1は、撮影装置10と、画像処理装置(ISP)11と、記憶装置(Memory)12と、パターン認識装置13と、音声装置14とを備えている。
【0018】
撮影装置10は、レンズ10_Lとセンサ10_Sとを備えている。センサ10_Sは、レンズ10_Lを介して、バッジ2の外形形状、模様および色等を撮影し、撮影により得られた画像データを、画像処理装置11に供給する。画像処理装置11は、供給された画像データに対して所定の画像処理を実行することにより、撮影したバッジ2の画像を表す撮影パターンを形成する。撮影パターンは、パターン認識装置13に供給される。
【0019】
パターン認識装置13には、画像処理装置11から撮影パターンが供給されるとともに、記憶装置12から認識すべきパターンが供給される。この記憶装置12には、予め認識すべき認識物品のパターンが登録(記憶)されている。例えば、入場管理システム1で、入場の管理を開始する前に、バッジ2の撮影を行い、撮影により得られた画像を表すパターンを生成して、記憶装置12に記憶しておく。
【0020】
パターン認識装置13は、画像処理装置11からの撮影パターンが、記憶装置12からのパターンと一致するか否かの認識(判定)を行う。この一致するか否の認識は、例えば両方のパターンの特徴データを、パターン認識装置13において比較することによって行われる。実施の形態1に係るパターン認識装置13は、プログラムに従って動作するプロセッサ(CPU)または/およびデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を備えている。予めの学習において、パターン認識装置13は、認識すべきバッジ(認識物品)2の特徴点を学習している。両方のパターンにおいて、学習した特徴点に対応する特徴データを比較することにより、一致/不一致の認識を行う。
【0021】
この学習は、認識物品が例えばバッジや名札ならば、人やマネキンの胸に着け、様々な角度、位置、距離(撮影装置10からの距離)、周囲の照明、服の色等を変化させながら、認識物品を撮影することで、行われる。学習はこれに限定されない。例えば、認識物品のエッジや点検出等の画像処理を使って認識を行うようにしてもよい。また、撮影により得られた多数の撮影画像(認識物品の撮影画像)からディープラーニング(DeepLeargning)で分類処理を行うようにしてもよい。実施の形態1では、学習は、撮影装置10およびパターン認識装置13を用いて実施されるが、これに限定されるものではない。例えば、入場管理システム1ではなく、処理能力のある撮影装置あるいは処理能力のある別のコンピュータシステム等で、学習を行い、特徴点を抽出するようにしてもよい。
【0022】
パターン認識装置13は、撮影パターンが、記憶装置12からのパターンと一致するか否かの結果を、認証・非認証15としてゲート3に供給する。撮影パターンが、記憶装置12からのパターンと一致すると認識した場合、パターン認識装置13は、認証・非認証15によって、ゲート3を開くように指示する。これに対して、一致しない(不一致の)場合、パターン認識装置13は、認証・非認証15によって、ゲート3を閉じた状態に維持するように指示する。また、不一致の場合、入場管理システム1は、警告を発行する。これにより、入場者の入場が、入場管理システム1によって管理されることになる。
【0023】
音声装置14は、発音装置14_pとスピーカー14_sとを備えている。発音装置14_pには、パターン認識装置13からの指示が供給され、発音装置14_pは指示に従った発音を、スピーカー14_sを介して発生する。例えば、不一致の場合、警告音を発生するように、パターン認識装置13が、発音装置14_pに指示する。これにより、音声装置14が、警告音を発生する。
【0024】
<入場管理システムの動作例>
図2は、実施の形態1に係る入場管理システムの動作を示すフローチャート図である。次に、図1および図2を用いて、入場管理システム1の動作例を説明する。
【0025】
ステップS1において、入場管理システム1は動作を開始する。ここでは、パターン認識装置13におけるプロセッサ(CPU)が、入場管理システム1の全体を、プログラムに従って制御(図2に示されている制御)する場合を説明するが、これに限定されず、入場管理システム1に、入場管理システム1の全体を制御する制御装置を設けるようにしてもよい。
【0026】
ステップS1に続いて、ステップS2が実行される。ステップS2においては、入場管理システム1に設定されているモード(Mode)の検出が行われる。特に制限されないが、入場管理システム1は、パターン記憶モードSMと、通常動作(認識動作)モードNMとを備えている。この2つのモードにおいて、撮影装置10および画像処理装置11は兼用されている。
【0027】
先ず、記憶装置12にバッジのパターンを予め登録するために、入場管理システム1はパターン記憶モードSMに設定される。これにより、ステップS2の次に、ステップSM_1が実行される。ステップSM_1は、バッジ2を撮影する撮影ステップである。すなわち、ステップSM_1において、撮影装置10により、バッジ2が撮影され、撮影データを基にして、画像処理装置11がバッジ2の画像データを生成する。次のステップSM_2において、画像処理装置11によって生成された画像データのパターンが、記憶装置12に記憶される。ステップSM_2が終了すると、すなわち、バッジ2のパターンが、記憶装置12に記憶されると、次にステップS2へ戻る。
【0028】
複数個のバッジ2を登録する場合には、再びパターン記憶モードSMが選択され、ステップSM_1およびSM_2が繰り返されることになる。この場合、撮影装置10の撮影対象であるバッジ2は、順次変更されることになる。また、学習の場合には、同じバッジ2に対して、例えば撮影装置10との間の角度が異なるようにして、ステップSM_1およびSM_2が実行される。
【0029】
全てのバッジの登録が終了すると、入場管理システム1は、通常動作モードNMに設定される。通常動作モードNMに設定されることにより、入場管理システム1は、入場者の入場を管理する。
【0030】
この通常動作モードNMでは、ステップNM_1~NM_3が実行される。また、認識結果に従って、ステップNM_4またはNM_5が実行される。
【0031】
先ず、ステップNM_1おいて、入場者の映像を入力する。すなわち、ステップNM_1において、撮影装置10により入場者の撮影が行われ、画像処理装置11によって対応する画像データが生成される。図2では、模式的ではあるが、撮影対象として、入場者IMENの胸が描かれ、胸に着けられたバッジが例示されている。
【0032】
次に、ステップNM_2において、画像処理装置11からの画像データと記憶装置12からのパターンを用いて、パターン認識が実行される。すなわち、パターン認識装置13が、予めの学習により得た特徴点等を用いて、画像処理装置11からの画像データからバッジに対応する撮影パターンを抽出し、抽出された撮影パターンと一致するパターンが、記憶装置12に格納されているか否かを検出する。
【0033】
一致するパターンが検出された場合、ステップNM_3において、パターン認識装置13は、ステップNM_4を選択する。これに対して、一致するパターンが検出されなかった場合、ステップNM_3において、パターン認識装置13は、ステップNM_5を選択する。
【0034】
ステップNM_4において、パターン認識装置13は、認証・非認証15によって、ゲート3を開き(Gate Open)、入場者の入場を許容する。これに対して、ステップNM_5において、パターン認識装置13は、認証・非認証15によって、ゲート3を閉じた状態に維持し、入場者の入場を拒否するとともに、警告音(Warning)を発生する。
【0035】
図2では、パターン記憶モードSMによって、バッジ2を登録する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、撮影装置10を用いなくても、バッジ2の外形形状、模様および色等に係るバッジ2のデータ(認識物品データ)があれば、認識物品データを基にして、バッジ2に対応するパターンを生成し、記憶装置12に記憶するようにしてもよい。
【0036】
<変形例>
変形例においては、バッジ2として、国旗が用いられる。すなわち、バッジ2は、国旗の外形形状と同じ外形形状をし、国旗の模様および色と同じ模様および色を有している。記憶装置12には、予め複数の国旗に対応した複数のバッジが登録されている。
【0037】
また、発音装置14_pは、国旗に対応した国の言語を発声する音声合成装置をそなえている。パターン認識装置13が、音声合成装置に対して、発声する言語と発声する内容を指定する。これにより、音声装置14は、パターン認識装置13から指示された内容を、指示された言語で発声する。
【0038】
入場者に対しては、予め入場者の国籍に対応した国旗のバッジを発行し、入場に際しては、発行したバッジを着けるように依頼する。
【0039】
国旗のバッジを着けた入場者が訪れた場合、パターン認識装置13は、国旗のバッジに係る撮影パターンが、記憶装置12に格納されている国旗のバッジのパターンと一致するか否かを認識する。認識において、一致する場合、パターン認識装置13は、一致するバッジの国旗に対応する国の言語と、発声する内容(例えば挨拶文)とを音声装置14に指示する。これにより、入場者の入場を許容する際には、入場者に対して、入場者に適した言語で挨拶が行われることになる。
【0040】
これに対して、一致しない場合には、例えば警告音が、音声装置14から発生されることになる。
【0041】
変形例によれば、入場者の国籍応じた対応が可能となり、親切な対応が可能となる。
【0042】
実施の形態1に係る入場管理システムによれば、顔認識を必要としないため、認識の精度の低いパターン認識装置等を用いることが可能となるため、コストの増加を抑制することが可能である。また、顔認識を必要としないため、プライバシーを考慮する必要がない。そのため、プライバシー保護のために必要とされるコストの増加を抑制することが可能である。さらに、認識の精度が低くてもよいため、認識に係る時間が長くなるのを抑制することが可能であり、入場者の滞留等を低減することが可能である。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2では、入場を希望する入場者に対して、入場可能な時間帯を制限することが可能な入場管理システムが提供される。
【0044】
実施の形態2に係る入場管理システムの構成は、実施の形態1で説明したものと類似している。そのため、相違点を主に説明する。主な相違点は、図1に示した記憶装置12に図3で示すテーブルが、予め記憶されている点と、図2に示した通常動作モードNMの一部が、図4に示すように変更されている点である。ここで、図3は、実施の形態2に係る入場管理システムで用いられるテーブルを示す図である。また、図4は、実施の形態2に係る入場管理システムの動作を示すフローチャート図である。
【0045】
記憶装置12に、認識物品のパターンを登録する際に、実施の形態2においては、各パターンに対応する許可時間情報も登録する。これにより、記憶装置12には、各パターンと、それぞれもパターンに対応した許可時間情報とを構成要素としたテーブルが記憶されることになる。図3に示したテーブルでは、許可時間情報として、入場許可時間帯が用いられている。
【0046】
図3を例にして述べると、外形形状が円形のパターンに対しては、入場許可時間帯として、9時00分から10時00分までが設定され、外形形状三角形のパターンに対しては、入場許可時間帯として、10時00分から11時00分までが設定されている。以下、同様にして、パターンに対して、入場許可時間帯が設定される。例えば、円形のパターン(所定のパターン)のバッジが、このパターンに対応した(割り当てられた)入場時間帯の期間内に、入場管理システム1によって認識されると、このバッジを着けた入場者の入場が許容される。これに対して、割り当てられた入場時間帯を除く時間において、円形のパターン(所定のパターン)のバッジが、入場管理システム1によって認識された場合には、このバッジを着けた入場者の入場が拒否される。
【0047】
なお、特定のパターンには、複数の時間帯が割り当てられていてもよい。たとえば、外形形状四角形のパターンに対しては、入場許可時間帯として、10時00分から11時00分までと、11時00分から12時00分までとが設定されている。
【0048】
これにより、実施の形態2に係る入場管理システムは、バッジが、登録されており、当該バッジを着けた入場者が、入場許容時間帯に訪問した場合、入場者の入場を許容することになる。これに対して、バッジが登録されていても、バッジを着けた入場者が、入場許容時間帯を外れて訪問した場合には、入場者の入場を拒否することが可能である。
【0049】
<入場管理システムの動作例>
次に、図4を用いて実施の形態2に係る入場管理システムの動作例を説明する。図3は、図2と類似しており、主な相違点は、ステップNM2が追加されていることである。
【0050】
パターン認識装置13は、一致するパターンを検出した場合、ステップNM_3において、ステップNM_4(図2)の代わりに、ステップNM2を選択する。
【0051】
パターン認識装置13は、ステップNM2において、記憶装置12内のテーブルにおける許可時間情報と、パターン認識装置13が備える時計を用いて、時間検出を行う。すなわち、パターン認識装置13は、一致するとして検出したパターンに対応する許可時間情報(入場許可時間帯)を、記憶装置12内のテーブルから検索し、時計によって示されている現在時刻が、検索された入場許可時間帯に入るか否かの検出を行う。例えば、一致するとして検出したパターンが、外形形状が円形のパターンであれば、現在時刻が、入場許可時間帯(9時00分から10時00分)内か否かを検出する。
【0052】
ステップNM2において、現在時刻が、一致するとして検出したパターンに割り当てられた入場許可時間帯内であれば、パターン認識装置13は、次にステップNM_4を実行する。これに対して、現在時刻が、入場許可時間帯から外れていれば、パターン認識装置13は、次にステップNM_5を実行する。
【0053】
<変形例>
図3および図4では、入場可能な時間帯を制限する例を示した。変形例として、場所で入場を制限する例を示す。
【0054】
変形例においては、図3に示した入場許可時間の代わりに、入場許可場所がパターンに対応して、テーブルに登録される。例えば、円形のパターンには、入場を許容する場所情報として第1場所が登録され、三角形のパターンには、第1場所とは異なる第2場所が、入場を許容する場所情報として登録される。例えば、第1場所と第2場所に、第1入場管理システムと第2入場管理システムを配置する。
【0055】
これにより、例えば第1入場管理システムが、第1場所で、円形のバッジを認識したとき、そのバッジを着けた入場者の入場を許容する。これに対して、第1場所で、三角形のパターンのバッジを認識したとき、そのバッジを着けた入場者の入場を拒否する。第2入場管理システムも同様に動作する。この変形例によれば、場所によって、入場を制限することが可能である。
【0056】
勿論、入場許容時間帯と入場許可場所の両方を、パターンに対応させて登録するようにしてもよい。このようにすることで、入場場所と入場時間帯の両方で、入場を制限することが可能である。
【0057】
また、前記した第1場所および第2場所には、互いに異なる撮影装置のみを配置し、撮影装置を除く、入場管理システムの構成は、共通としてもよい。これにより、入場管理システムに要するコストの低減を図ることが可能である。
【0058】
ここでは、外形形状が円形のパターンを例にして説明したが、他の外形形状あるいは色、模様等のパターンであっても同様である。
【0059】
このように、実施の形態2によれば、認識物品による認識に加えて、時間または/および場所によっても、入場者の入場を管理することが可能である。勿論、実施の形態2と実施の形態1の変形例とを組み合わせるようにしてもよい。この場合、国旗で認識した国籍の言語で、例えば、入場許容時間帯を外れている旨を、図4のステップNM_5において発声することにより、入場者に対して、より適切な警告を行うことが可能である。
【0060】
入場管理システムを用いて入場を管理する管理者は、入場を許容する入場者に対して、一時的あるいは恒久的に、特徴があり、一般の服などの模様にはないような外形形状、マーク、色彩(組み合わせを含む)等を備えた認識物品(ワッペン、名札、帽子、腕章、バッジ等)を発行する。また、入場に際しては、発行済みの認識物品を身に着けるように、入場者に対して予め依頼をしておく。一方、管理者は、予め発行した認識物品の外形形状、マーク、色彩等を入場管理システムに登録し、学習等により取得した特徴点を、入場管理システムに入力しておく。あるいは管理者はディープラーニング等で認証できるようにしておく。
【0061】
認識物品の認識を容易にし、認識精度を向上させるために、認識物品としては、色の並び、枠や十字マークの埋め込みを行ったり、色彩距離を利用するために、補色を組み合わせたりして、認識物品の模様を作る。
【0062】
また、認識物品のいずれの面でも認識が可能となるように、認識物品のそれぞれの面にマークを付すようにしてもよい。例えば、認識物品として、名刺を用いる場合には、名刺の両面にマークを付すようにしてもよい。
【0063】
認識物品におけるマークあるいは模様の形状だけでなく、マークあるいは模様の色を用いるようにしてもよい。この場合、色として、メタル色や蛍光塗料を使うことにより、より認識しやすくすることも可能である。また、ブラックライトのような特殊光に反応する特殊ペイントでマーク、模様等を認識物品に施してもよい。この場合、ゲートにブラックライト等を配置し、一見見た目ではわからないが、ブラックライトを照射することにより浮かびあがるようなマーク、模様等を認識のパターンとして用い、認識精度の向上を図るようにしてもよい。
【0064】
従来の顔認識では、対象者が決まらないため、事前の学習は不可能である。そのため、いきなり本番の運営となり、認識精度の低下等のリスクがある。これに対して、実施の形態においては、例えば認識物品を予め様々な角度から学習しておくことで、認識精度を向上させることが可能である。また、入場管理システムを配置する配置場所に係る特有の環境(照明や光の状態)において、事前に学習を行い、認識精度を向上させることが可能である。これにより、本番の運営において、入場の管理をスムーズに行うことが可能である。
【0065】
また、実施の形態においては、入場者に対して、認識物品を発行するだけで済む。そのため、事前に顔認識を行う必要はなく、本番の当日に、入場管理システムを配置した場所で、認識物品の学習を行い、入場者に発行することも可能である。すなわち、登録を簡単にし、簡素化することが可能である。また、顔認識のために必要な顔等の情報は、プライバシー保護の観点から、厳重に管理をすることが必要だが、バッジ等の認識物品は、発行するだけで、プライバシー保護を考慮する必要がないため、管理が容易である。
【0066】
さらに、顔認識を採用する入場管理システムでは、例えば撮影装置をゲートに配置し、撮影装置の正面になるように、入場者に立って貰い、認識を行う等の手続きが必要とされ、入場までに時間が掛かり、ゲートでの滞留が発生することがある。また、顔認識のために、事前に顔写真等の登録が必要であり、その手続きや顔写真の保管等でもコストが発生する。これに対して、バッジ等の認識物品であれば、学習も予め様々な状況で行っておくことが可能であり、学習により得られた特徴点を入場管理システムに設定するだけで、簡易な入場管理システムを簡便に作ることが可能である。また、顔情報等の個人情報も必要でない。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 入場管理システム
2 認識物品
3 ゲート
10 撮影装置
11 画像処理装置
12 記憶装置
13 パターン認識装置
14 音声装置
図1
図2
図3
図4