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特許7572190ファイバ内ビーム成形およびスイッチングのための屈折率分布型ファイバおよび位相素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ファイバ内ビーム成形およびスイッチングのための屈折率分布型ファイバおよび位相素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20241016BHJP
   G02B 6/028 20060101ALI20241016BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20241016BHJP
   G02B 6/27 20060101ALI20241016BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20241016BHJP
   G02F 1/01 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
G02B6/02 421
G02B6/02 411
G02B6/028
G02B6/32
G02B6/02 461
G02B6/27
G02B3/00 B
G02F1/01 F
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020151491
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2021128325
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】62/963,837
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/853,469
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】パトリック グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エイチ メンデル
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー ファウルハーバー
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0377811(US,A1)
【文献】特表2014-503081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0164645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02- 6/10
G02B 6/26- 6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/42- 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームを提供するファイバと、
前記ビームを拡張または拡大するための屈折率分布型素子であって、その入力面が前記ファイバの出力面に接着されている、屈折率分布型素子と、
前記ビームが前記屈折率分布型素子によって拡張または拡大された後で前記ビームを変換するための光学変換素子であって、その入力面が前記屈折率分布型素子の出力面に接着されると共に平坦化層によって平坦化されている、光学変換素子と、
を備え、
前記光学変換素子は、ガラス系光学メタマテリアル、ポリマー系材料、1つまたは複数の回折光学素子、及び1つまたは複数の屈折光学素子のうちの1つを含み、
前記光学変換素子は、前記ビームの直交偏光が別個の位相変換を経験するように複屈折性である、
光学デバイス。
【請求項2】
前記屈折率分布型素子が、第1の屈折率分布型素子であり、
前記光学デバイスが、さらに、前記ビームが前記光学変換素子によって変換された後で前記ビームを操作するための第2の屈折率分布型素子を備え、
前記第2の屈折率分布型素子の入力面が、前記光学変換素子の出力面に接着されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記光学変換素子が、第1の光学変換素子であり、前記光学デバイスが、さらに、
前記ビームが前記第2の屈折率分布型素子によって操作された後で前記ビームを変換するための第2の光学変換素子を備え、
前記第2の光学変換素子の入力面が、前記第2の屈折率分布型素子の出力面に接着されている、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
さらに、
前記ファイバ内のビームの偏光を操作するための偏光スイッチと、
前記ビームの出力に関連付けられたマルチコアファイバと、を備え、前記マルチコアファイバの入力面が、前記第2の屈折率分布型素子の出力面に接着されている、
請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記光学変換素子が、第1の光学変換素子であり、前記光学デバイスは、さらに、第1のマルチコアファイバであって、その入力面が前記第2の屈折率分布型素子の出力面に接着されている、第1のマルチコアファイバと、
前記第1のマルチコアファイバ内の前記ビームの偏光を操作するための偏光スイッチと、
第3の屈折率分布型素子であって、その入力面が前記第1のマルチコアファイバの出力面に接着されている、第3の屈折率分布型素子と、
第2の光学変換素子であって、その入力面が前記第3の屈折率分布型素子の出力面に接着され、前記ビームの直交偏光が別個の変換を経験するように複屈折性である、第2の変換素子と、
第4の屈折率分布型素子であって、その入力面が前記第2の光学変換素子の出力面に接着されている、第4の屈折率分布型素子と、
第2のマルチコアファイバであって、その入力面が前記第4の屈折率分布型素子の出力面に接着されている、第2のマルチコアファイバと、
を備える、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項6】
光ファイバデバイスを備え、前記光ファイバデバイスは、
入力ファイバによって提供されるビームの拡張または拡大に関連する屈折率分布型ファイバのセットであって、前記屈折率分布型ファイバのセットのうちの第1の屈折率分布型ファイバの入力面が前記入力ファイバの出力面に接着されている、屈折率分布型ファイバのセットと、
前記第1の屈折率分布型ファイバによって拡張または拡大された後のビームの変換に関連する光学変換素子であって、その入力面が前記屈折率分布型ファイバのセットの特定の屈折率分布型ファイバの出力面に接着されると共に平坦化層によって平坦化されている、光学変換素子と、を含み、
前記光学変換素子は、ガラス系光学メタマテリアル、ポリマー系材料、1つまたは複数の回折光学素子、及び1つまたは複数の屈折光学素子のうちの1つを含み、
前記光学変換素子は、前記ビームの直交偏光が別個の位相変換を経験するように複屈折性である、
光学系。
【請求項7】
前記屈折率分布型ファイバのセットが、第2の屈折率分布型ファイバを含み、その入力面が前記光学変換素子の出力面に接着されている、請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
前記光学変換素子が第1の光学変換素子であり、前記光ファイバデバイスが、さらに、
第2の光学変換素子を備え、その入力面が前記第2の屈折率分布型ファイバの出力面に接着されている、請求項7に記載の光学系。
【請求項9】
前記光ファイバデバイスが、前記入力ファイバ内のビームの偏光を操作するための偏光スイッチと、入力面が前記第2の屈折率分布型ファイバの出力面に接着されたマルチコアファイバと、を備える、請求項7に記載の光学系。
【請求項10】
前記光学変換素子が、第1の光学変換素子であり、前記屈折率分布型ファイバのセットが、第3の屈折率分布型ファイバおよび第4の屈折率分布型ファイバを含み、前記光ファイバデバイスが、さらに、入力面が前記第2の屈折率分布型ファイバの出力面に接着されている第1のマルチコアファイバと、前記第1のマルチコアファイバ内の前記ビームの偏光を操作するための偏光スイッチと、入力面が前記第1のマルチコアファイバの出力面に接着されている前記第3の屈折率分布型ファイバと、入力面が前記第3の屈折率分布型ファイバの出力面に接着されている第2の光学変換素子であって、前記ビームの直交偏光が別個の変換を経験するように複屈折性である、第2の光学変換素子と、入力面が前記第2の光学変換素子の出力面に接着されている前記第4の屈折率分布型ファイバと、入力面が前記第4の屈折率分布型ファイバの出力面に接着されている第2のマルチコアファイバと、を備える、請求項7に記載の光学系。
【請求項11】
変換すべきビームを提供するステップであり、前記ビームは光学デバイスに含まれるファイバによって提供されるステップと、
前記ビームを拡張または拡大するステップであり、前記ビームは前記光学デバイスに含まれる、入力面が前記ファイバの出力面に接着された屈折率分布型素子によって拡張または拡大されるステップと、
前記ビームの拡張または拡大後に前記ビームを変換するステップであり、前記ビームは前記光学デバイスに含まれる、入力面が前記屈折率分布型素子の出力面に接着されると共に平坦化層によって平坦化された光学変換素子によって変換されるステップと、を備え、
前記光学変換素子は、ガラス系光学メタマテリアル、ポリマー系材料、1つまたは複数の回折光学素子、及び1つまたは複数の屈折光学素子のうちの1つを含み、
前記光学変換素子は、前記ビームの直交偏光が別個の位相変換を経験するように複屈折性である、方法。
【請求項12】
前記屈折率分布型素子が第1の屈折率分布型素子であり、前記方法が、さらに、前記光学変換素子による前記ビームの変換後のビームを、第2の屈折率分布型素子によって操作するステップを備え、
前記第2の屈折率分布型素子の入力面が前記光学変換素子の出力面に接着されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光学変換素子は、異方性メタマテリアルを含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記光学変換素子は、パンチャラトナム・ベリー位相素子である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記光学変換素子は、異方性メタマテリアルを含む、請求項6に記載の光学系。
【請求項16】
前記光学変換素子は、パンチャラトナム・ベリー位相素子である、請求項6に記載の光学系。
【請求項17】
前記光学変換素子は、異方性メタマテリアルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記光学変換素子は、パンチャラトナム・ベリー位相素子である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記光学変換素子が第1光学変換素子で、さらに、
前記ビームが前記第2の屈折率分布型素子によって操作された後に前記光学デバイス内に含まれる第2光学変換素子によって前記ビームを変換するステップを備え、
前記第2光学変換素子の入力面は、前記第2の屈折率分布型素子の出力面に接着される、
請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記光学デバイス内に含まれる偏光スイッチによって前記ファイバ内で前記ビームの偏光を操作するステップと、
マルチコアファイバを介して前記ビームを出力するステップと、
を備え、
前記マルチコアファイバの入力面は、前記第2の屈折率分布型素子の出力面に接着される、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
バルク光学材料が、前記平坦化層に接着され、
前記バルク光学材料は、溶融シリカ、又はドープ溶融シリカである、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項22】
バルク光学材料が、前記平坦化層に接着され、
前記バルク光学材料は、溶融シリカ、又はドープ溶融シリカである、請求項に記載の光学光学システム。
【請求項23】
バルク光学材料が、前記平坦化層に接着され、
前記バルク光学材料は、溶融シリカ、又はドープ溶融シリカである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連技術】
【0001】
この出願は、2020年1月21日に提出された米国仮特許出願第62/963,837号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光ファイバに関し、より具体的には、ファイバ内ビーム成形およびスイッチングのための屈折率分布型ファイバおよび位相素子に関する。
【背景技術】
【0003】
ビーム成形(例えば、切断、溶接などのための)は、高出力(例えば、100ワット(W)を超える)レーザー材料加工分野においてますます重要になっており、したがって、ビーム成形機能を備えたレーザーシステムが望ましい。従来のビーム成形方法は、異なるレーザーをオン、オフさせるか、レーザービームを移動させる(たとえば、自由空間内またはファイバ内で)、またはカスタムの自由空間光学素子(アキシコンなど)を利用することによって、光ファイバの異なるガイド領域を選択的に励起することを必要とする。
【0004】
ビーム成形のための別の技術は、ビームに位相を課す光学変換素子(たとえば、ビームが光学変換素子を通過するとき)を使用する。このような光学変換素子は、特定の位相プロファイルを課すことによって光学場の近視野近視野を調整するものと見なすことができる。そのような光学変換素子を使用して、たとえば、カッティングヘッド内の供給ファイバの後、または、第1の光ファイバの後および第2の光ファイバの前で、ビーム成形を実行することが有益でありある。これは、たとえば、ビームが第1の光ファイバから第2の光ファイバへ進むときにのみ位相を課すように光学変換素子を配置することによって、または第1の光ファイバから第2の光ファイバ進むときに位相を課すように光学変換素子を配置するとともに光学フーリエ変換(強度と位相の両方を変化する)を実行するようにレンズを配置することによって、実現することができる。特に、どちらの場合でも、さらなるビーム変換を、例えば屈折率分布型ファイバレンズを使用して、第2の光ファイバの下流端に実装することができる。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの可能な実施形態による、光学デバイスは、ビームを提供するファイバと、前記ビームを拡張または拡大するための屈折率分布型素子であって、その入力面が前記ファイバの出力面に接着されている、屈折率分布型素子と、前記ビームが前記屈折率分布型素子によって拡張または拡大された後に前記ビームを変換するための光学変換素子であって、その入力面が前記屈折率分布型素子の出力面に接着されている、光学変換素子と、を含み得る。いくつかの実施形態では、前記屈折率分布型素子は第1の屈折率分布型素子であり、前記光学デバイスは、前記ビームが前記光学変換素子によって変換された後で前記ビームを操作するために(例えば、供給ファイバへのビームのサイズ変更のために)、前記光学変換素子の出力面に入力面が接着された第2の屈折率分布型素子をさらに含む。
【0006】
いくつかの可能な実施形態による光学系は、光ファイバデバイスを含み、前記光ファイバデバイスは、入力ファイバによって提供されるビームの拡張または拡大に関連する屈折率分布型ファイバのセットであって、前記屈折率分布型ファイバのセットのうちの第1の屈折率分布型ファイバの入力面が前記入力ファイバの出力面に接着されている、屈折率分布型ファイバのセットと、前記第1の屈折率分布型ファイバによって拡張または拡大された後のビームの変換に関連する光学変換素子であって、その入力面が前記屈折率分布型ファイバのセットの特定の屈折率分布型ファイバの出力面に接着されている、光学変換素子と、を含む。いくつかの実施形態では、前記屈折率分布型ファイバのセットは、第2の屈折率分布型ファイバ(例えば、供給ファイバへのビームのサイズ変更のため)を含み、第2の屈折率分布型ファイバの入力面が前記光学変換素子の出力面に接着されている。
【0007】
いくつかの可能な実施形態による方法は、変換すべきビームを提供するステップであって、前記ビームは、光学デバイスに含まれるファイバによって提供される、ステップと、前記ビームを拡張または拡大するステップであって、前記ビームは、前記光学デバイスに含まれる、入力面が前記ファイバの出力面に接着された屈折率分布型素子によって拡張または拡大されるステップと、前記ビームを、前記ビームの拡張または拡大後に前記ビームを変換するステップであって、前記ビームは、前記光学デバイスに含まれる、入力面が前記屈折率分布型素子の出力面に接着された光学変換素子によって変換されるステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1A図1Bは、本明細書で説明されるように、1つまたは複数のGRIN素子および1つまたは複数の光学変換素子を含む光学デバイスの例を示す図である。
図2図2A図2Bは、本明細書で説明されるように、1つまたは複数のGRIN素子および1つまたは複数の光学変換素子を含む光学デバイスの例を示す図である。
図3図3A図3Cは、光学変換素子をガラス材料構造上に平坦化素子として製造する方法に関連する例を示す図である。
図4図4Aおよび図4Bは、偏光光源の偏光に基づくビームルーティングを可能にする光学変換素子を含む例示的な光学デバイスに関連する図である。
図5図5Aおよび図5Bは、非偏光光源の偏光に基づくビームルーティングを可能にする光学変換素子を含む例示的な光学デバイスに関連する図である。
図6】本明細書に記載されるように、光学デバイスの屈折率分布型素子によってビームが拡張または拡大された後に、光学デバイスの光学変換素子を使用してビームを変換するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面を参照するものである。異なる図中の同じ参照番号は、同じまたは類似の素子を識別するものである。
【0010】
光学変換素子は上記の技術に従って自由空間光学系を使用して実装することができるが、(例えば、コスト、性能、および信頼性の理由から)光が自由空間に射出しないモノリシック統合構造を生成するのが好ましい。そのような光学変換素子は、光ファイバと直接統合することは困難である(すなわち、ファイバ先端に効率の良い光学変換素子を書き込むこと、または光学変換素子を光ファイバに直接接合することは、特に、変換素子の後にファイバ内ビーム供給が必要とされる場合に困難である)。
【0011】
光学変換素子と光ファイバとの統合が困難である1つの理由は、多くの光学変換素子が、溶融シリカへの接着性が低く、屈折力処理が制限され得るポリマーなどの材料系に基づいていることにある。さらに、これらの光学変換素子は、トポロジカルフィーチャを有し(例えば、その場合には位相プロファイルが光学変換素子の表面にナノスケールまたはマイクロスケールフィーチャを書き込むことにより制御される)、そのようなトポロジカルフィーチャは非平面である(したがって、光ファイバの1つとフラッシュ接触しない)ため、およびそのようなトポロジカルフィーチャは光学変換素子を第1または第2の光ファイバに接合するために使用されるスプライスプロセスの熱によって損傷または破壊され得るために、第1の光ファイバと第2の光ファイバの間に挟むことが困難または不可能である。
【0012】
光学変換素子と光ファイバとの統合が困難である別の理由は、いくつかの光ファイバ(例えば、産業用途で使用される光ファイバ)の場合、光が閉じ込められる光ファイバのガイド領域が比較的小さい(例えば、約100~200ミクロン(μm)以下程度)ことにある。ただし、ほとんどの光学変換素子で達成可能なフィーチャスケールは、1ミクロンから数十ミクロンのオーダーであり、これは、光学変換素子に書き込むことができるパターンの複雑さが制限されることを意味する。結果として、達成可能なパターンは非効率的である可能性があり(たとえば、ビームサイズに比べて空間分解能が低いため)、望ましくないビーム形状および/または低い回折効率による損失につながる可能性があり、これは高出力レーザーシステムでは受け入れられない可能性がある。たとえば、95%の効率を有するブレーズド位相格子を製造するには、周期ごとに少なくとも8つの位相レベルが必要とされ、これにより、このようなブレーズド位相格子を標準のファイバチップで作成した場合、利用可能な偏向角は大幅に制限される。
【0013】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、屈折率分布型(GRIN)光ファイバおよび1つまたは複数の光学変換素子(例えば、1つまたは複数の平坦化ガラス系光学メタマテリアルおよび/または1つまたは複数の回折光学素子)を含む光学デバイスを提供し、1つまたは複数の光学変換素子はGRINファイバにスプライスされるか、接合される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の光学変換素子と組み合わせてGRIN光ファイバを使用することにより、光学デバイスは、光ファイバの近視野および/または遠視野の調整を提供することができる。このような光学変換素子を光ファイバにスプライス可能に製造するための技術もまた、以下に説明される。さらに、全ファイバシステムにおいて可変ビームの成形またはスイッチングを可能にするこのような光学デバイスの使用法を示す例示的な実施形態が説明される。
【0014】
図1Aおよび図1Bは、それぞれ、光学デバイス100および光学デバイス120の例を示す図である。以下に説明するように、光学デバイス100および120は、光ファイバの近視野および/または遠視野遠視野の調整を提供する、GRINファイバに接着された光学変換素子を含む。図1Aおよび図1Bに示されるように、いくつかの実施形態では、光学デバイス100および120は、ファイバ102、GRIN素子104、および光学変換素子106を含み得る。
【0015】
ファイバ102は、ビーム150を提供するための光ファイバを含む。いくつかの実施形態では、ファイバ102は、光を(例えば、ファイバ102の入力面を介して)ファイバ102内へ発射する光源(例えば、レーザー)に結合され得る。いくつかの実施形態では、ファイバ102は、屈折率階段型光ファイバであり得る。いくつかの実施形態では、図1Aおよび図1Bに示されるように、ファイバ102の出力面(例えば、図1Aおよび図1Bのファイバ102の右端)は、GRIN素子104の入力面に接着(例えば、スプラシング、ボンディングなど)され得る(例えば、その結果、ビーム150がファイバ102によってGRIN素子104に提供され得る)。
【0016】
GRIN素子104は、ビーム150を拡張または拡大するためのGRIN素子を含む。いくつかの実施形態では、GRIN素子104は、1つまたは複数のGRINファイバを含み得る。いくつかの実施形態では、GRIN素子104の入力面は、ファイバ102の出力面に接着され、GRIN素子104の出力面は、光学変換素子106の入力面に接着され得る。図1Aのデバイス100では、GRIN素子104は、いくつかの実施形態では、単一の1/4ピッチのGRINファイバを含み得る。ここで、単一の1/4ピッチのGRINファイバの入力面(例えば、GRIN素子104の左端)は、ファイバ102の出力面に接着され、単一の1/4ピッチのGRINファイバの出力面(例えば、 GRIN素子104の右端)は、光学変換素子106の入力面に接着され得る。別の例として、図1Bの光学デバイス120に示されるように、GRIN素子104は、いくつかの実施形態では、第1の1/4ピッチのGRINファイバ(例えば、GRIN素子104a)および第2の1/4ピッチのGRINファイバ(例えば、GRIN素子104b)を備えるGRINテレスコープを含み得る。ここで、GRINテレスコープの入力面は、ファイバ102の出力面に接着され、GRINテレスコープの出力面は、光学変換素子106の入力面に接着され得る。GRIN素子104に関する追加の詳細は、以下に記載される。
【0017】
光学変換素子106は、ビーム150がGRIN素子104によって拡張または拡大された後でビーム150を変換する素子を含む。いくつかの実施形態では、光学変換素子106は、ガラス系光学メタマテリアル、ポリマー系材料、1つまたは複数の回折光学素子、1つまたは複数の屈折光学素子などを含み得る。いくつかの実施形態では、光学変換素子106は、ビーム150が光学変換素子106を通過するときにビーム150の直交偏光が別個の変換を経験するように複屈折とし得る。いくつかの実施形態では、光学変換素子106の入力面はGRIN素子104の出力面に接着することができる。光学変換素子106に関する追加の詳細は、以下に説明される。
【0018】
いくつかの実施形態では、光学変換素子106のGRIN素子104への許容可能な接着(例えば、スプライシングまたはボンディング)を達成するために、光学変換素子106は、図3Aおよび図3Bに関して以下でさらに詳細に説明するように、平坦化することができる。いくつかの実施形態では、光学変換素子106は、変換ビーム150に関連付けられた非平面、その非平面上の平坦化層、およびその平坦化層に接着されたバルク光学材料を含み得る。いくつかの実施形態では、平坦化光学変換素子106は、構造品質および低損失ボンディングを達成可能にすることができる。いくつかの実施形態では、光学変換素子106の平坦化層の厚さは、接着プロセス(例えば、スプライスプロセス)の熱が光学変換素子106のフィーチャを損傷するのを防ぐように設計することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、GRIN素子104を光学変換素子に接着するとき、GRIN素子104と光学変換素子106との間の横方向の位置合わせが必要な場合と必要でない場合がある。例えば、GRIN素子104と、ボルテックス位相板またはレンズとして設計された光学変換素子106との間の横方向の位置合わせは、GRIN素子104と光学変換素子106を接着するときに(例えば、渦位相板の許容可能な性能を保証するために)必要である。逆に、GRIN素子104とビームスプリッタとして設計された光学変換素子106との間の横方向の位置合わせは、GRIN素子104と光学変換素子106を接着する際に厳密に制御しなくてもよいことがある。ただし、光学変換素子が第1のGRIN素子104と第2のGRIN素子104との間に挟まれている光学デバイスでは(その例は以下に説明される)、第1および第2のGRIN素子104の間の横方向の位置合わせ(すなわち、ファイバ間位置合わせ)を提供する必要がある。
【0020】
一般に、GRINファイバは、光ファイバの近視野および/または遠視野強度を操作することができる光学デバイスまたは光学系(例えば、光学デバイス100、光学デバイス120、本明細書に記載の他の光学デバイスなど)の設計を可能にするレンズ特性を有する。これらのレンズ特性としては、(1)レンズを使用して光学フーリエ変換を行うのと同等の1/4ピッチのGRINファイバの使用が含まれ、その場合にはレンズの焦点距離はGRINファイバの屈折率プロファイルによって決定され、(2)イメージング操作を実行するのに使用するレンズ(またはレンズ系)と同等の1/2ピッチのGRINレンズ(またはGRINレンズ系)の使用が含まれる。これらのレンズ特性を使用することで、光ファイバと光学変換素子の統合に関連する上記の課題も解決される。例えば、ファイバ102と光学変換素子106との間で、1より大きい倍率を有する1/4ピッチのGRINファイバ(例えば、図1Aの光学デバイス100の場合)またはGRINテレスコープ(例えば、図1Bの光学デバイス120の場合)を使用することによって、ビーム150のサイズを光学変換素子106のフィーチャに対して増大させることができ、それにより、回折効率を増大させることができる。
【0021】
図1Bの光学デバイス120において、目標は、光学変換素子106上のスポットサイズが増大するように、ファイバ102によって提供されるビーム150のサイズを増大させることである。光学デバイス120では、ビーム150のスポットサイズがM倍に増大される(例えば、M = f2/f1、ここで、f2は、GRIN素子104bの焦点距離であり、f1は、GRIN素子104aの焦点距離である)。ここで、倍率(例えば、M> 1)を達成するために、焦点距離f2は、焦点距離f1よりも大きくなければならない。所与のGRINファイバ(例えば、GRIN素子104aまたはGRIN素子104b)の焦点距離fは、所与のGRINファイバのコアサイズ(例えば、半径r)および所与のGRINファイバの開口数NAに基づく(例えば、f = r / NA)。さらに、所与のGRINファイバの1/4ピッチ長QPLは、所与のGRINファイバの焦点距離fおよびピーク屈折率nに基づく(例えば、QPL =π×n×f/2)。したがって、所与のGRINファイバの長さは、焦点距離fに比例し、f2> f1の場合(例えば、光学デバイス120の場合)、GRIN素子104bの長さは、GRIN素子104aの長さよりも大きい。いくつかの実施形態では、GRIN素子104aとGRIN素子104bが同じNAを有する場合、GRIN素子104aの長さに対するGRIN素子104bの長さの比もGRIN素子104によって提供される倍率である。GRIN素子104bの長さに対するGRIN素子104aの長さの比は、(例えば、用途に応じて)約2:1から約5:1の範囲であり得る。
【0022】
図1Aおよび図1Bに示す素子の数および配置は例として提示されている。実際には、光学デバイス100または光学デバイス120は、図1Aおよび図1Bに示されるものよりも、追加の素子、少ない素子、異なる素子、または異なる配置の素子を含み得る。加えて、または代わりに、光学デバイス100または光学デバイス120の素子のセット(例えば、1つまたは複数の素子)は、光学デバイス100または光学デバイス120の別の素子のセットによって実行されると記載されている1つまたは複数の機能を実行することもできる。
【0023】
いくつかの実施形態では、上記のGRINレンズのフーリエ変換および画像化特性は、GRIN素子104と1つまたは複数の光学変換素子106を使用して、(例えば、近視野および/または遠視野における)ビーム150のビーム形状を調整することを可能にする。図2Aおよび2Bは、GRIN素子104および1つまたは複数の光学変換素子106を含み、ビーム150のビーム形状を調整するために使用することができる、光学デバイス200および220の例をそれぞれ示す図である。
【0024】
図2Aに示されるように、光学デバイス200は、第1のGRIN素子104(例えば、GRIN素子104-1)および第2のGRIN素子104(例えば、GRIN素子104-2)を含み得る。いくつかの実施形態では、図2Aに示されるように、第2のGRIN素子104の入力面は、光学変換素子106の出力面に接着される。いくつかの実施形態では、第2のGRIN素子104は、ビーム150が光学変換素子106によって変換された後で、ビーム150を操作するように配置され得る。例えば、光学デバイス200の動作において、ファイバ102の近視野は、GRIN素子104-1(例えば、1/4ピッチのGRINファイバ)によって拡張され、光学変換素子106から指定の位相を経験し、その後GRIN素子104-2によってフーリエ変換される。結果として、ビーム150の強度分布は、GRIN素子104-2の端で(初期ビーム150と光学変換素子106の指定の位相に従って)変更され得る。
【0025】
図2Bに示されるように、光学デバイス220は、第1のGRIN素子104(例えば、GRIN素子104-1)および第2のGRIN素子(例えば、GRIN素子104-2)と、第1の光学変換素子106(例えば、光学変換素子106-1)および第2の光学変換素子106(例えば、光学変換素子106-2)を含み得る。いくつかの実施形態では、図2Bに示すように、第2のGRIN素子104の入力面は、第1の光学変換素子106の出力面に接着され、第2の光学変換素子106の入力面は、第2のGRIN素子104の出力面に接着される。ここで、第2の光学変換素子106は、ビーム150が第2のGRIN素子104によって操作された後で、ビーム150を変換することができる。例えば、光学デバイス220の動作において、ビーム150は、第1のGRIN素子104(例えば、1/4ピッチGRINファイバ)によって拡張され、次に第1の光学変換素子106から指定の位相を経験し、第2のGRIN素子104(例えば、第1のGRIN素子104とは異なる焦点距離を有し得る1/4ピッチのGRINファイバ)によってフーリエ変換され、その後、第2の光学変換素子106を経験する。この素子の組み合わせは、第2の光学変換素子106を残して、近視野分布および遠視野分布の両方を制御することができる。特に、間にフーリエ変換を備える2つの光学変換素子106は、任意の強度と位相の再形成を可能にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、光学デバイス200および光学デバイス220の両方に対して、結果として生じる光学場は、第2の供給ファイバなどに結合されたカッティングヘッドに中継することができる。いくつかの実施形態では、光学デバイス220において、ターゲットファイバを第2のGRIN素子104の出力面に接着(例えば、スプライス)することができる。いくつかの実施形態では、光学デバイス220において、ターゲットファイバを第2の光学変換素子106の出力面に接着(例えば、スプライス)することができ、場合によっては、(例えば、ビームのサイズを変更するために)第2の光学変換素子106に別のGRIN素子104が後続させることもできる。
【0027】
特に、光学デバイス200および220の第1および第2のGRIN素子104は同じ焦点距離を有さないが、第1および第2のGRIN素子104の焦点距離は、いくつかの実施形態では同じにすることもできる(例えば、最適なサイズ比は用途に依存し得る)。
【0028】
図2Aおよび図2Bに示す素子の数および配置は例として提供されている。実際には、光学デバイス200または光学デバイス220は、図2Aおよび図2Bに示されるものよりも、追加の素子、少ない素子、異なる素子、または異なる配置の素子を含み得る。特に、2つの素子だけでは実施できない、または非常に複雑な光学変換素子を必要とする、複雑な位相変換を実施するには、間に1/4ピッチのGRINファイバ素子を有する多数の光学変換素子106を含めることが有益であり得る。加えてまたは代わりに、光学デバイス200または光学デバイス220の素子のセット(例えば、1つまたは複数の素子)は、光学デバイス200または光学デバイス220の別の素子のセットによって実行されると記載されている1つまたは複数の機能を実行することもできる。
【0029】
いくつかの実施形態では、光学変換素子106をファイバ(例えば、GRIN素子104)に直接接着するという課題を解決するために、光学変換素子106は、ガラス(例えば、溶融シリカ、ドープ溶融シリカ、溶融石英、軟質ガラスなど)材料構体上の平坦化素子とし得る。そのようなアプローチは、多くの種類の光学変換素子106に適用可能であり、例えば、(平坦化が可能である限り)標準的な成長エッチングプロセスで生成されたリソグラフィ規定構造、バルク材料内のレーザーアブレーションに基づく材料変形構造、等方性であって偏光に関係なく同じ位相効果を持つ構造(つまり、円対称フィーチャの作成による)、または異方性であって入力偏光に応じて異なる効果を有し、パンチャラトナム・ベリー位相素子を有効にする構造など、を含む光学変換素子に適用することができる。そのような光学変換素子106は、多くの名前で知られており、例えば、光学メタマテリアル、光学キノフォーム、バイナリ光学、マルチレベル回折光学などを含むが、これらに限定されず、多くのバリエーションがある。
【0030】
図3A図3Cは、光学変換素子106をガラス材料構造上に平坦化された素子として製造することに関連する例を示す図である。簡単にするために、図3Aおよび図3Bに関連して説明される例は、特定のメタマテリアルクラスのリソグラフィエッチ-成長フィーチャに限定される。
【0031】
図3Aにおいて、正しい設計の異方性メタマテリアルは、光学変換素子106の非平面304(例えば、一連の溝によって定義される)に平行な偏光(Pol1)および垂直な偏光(Pol2)に共役相を課すことができる。ここでは、光学変換素子106の基板302は平面であり、GRIN素子104に接着(スプライス)するために十分に厚くすることができるが、光学変換素子106の非平面の表面304は平坦ではなく(すなわち、非平面)、比較的薄くすることができる(例えば、数十ナノメートル程度)。
【0032】
いくつかの実施形態では、図3Bに示されるように、光学変換素子106の上面は、非平面304上に平坦化層306を形成することによって平坦化することができる。いくつかの実施形態では、光学変換素子106の上面は、たとえば、ミクロンスケールのシリカ層とそれに続く平坦化プロセスで平坦化することができる。しかしながら、場合によっては、平坦化プロセスは、平坦化層306をスプライスプロセス中に導入される熱によって損傷を受ける可能性がある繊細なフィーチャを残して比較的薄くすることができる。
【0033】
したがって、図3Cに示されるように、バルク光学材料308(例えば、溶融シリカ、ドープ溶融シリカ、別のタイプのガラスなど)を平坦化層306に接着(例えば、ウェーハ接合)することができる。バルク光学材料308の接着は、光学変換素子106の構造に損傷を与えることなくスプライスシングを実行できるように、光学変換素子106の上面に十分な厚さを提供することができる。いくつかの実施形態では、平坦化層306へのバルク光学材料308の接着はウェーハスケールで実行でき、正確な位置合わせを必要としない。いくつかの実施形態では、バルク光学材料308の平坦化層306への接着は、拡散結合、化学活性化結合などを使用して実行することができる。いくつかの実施形態では、バルク光学材料308を平坦化層306に接着した後、結合されたウェーハを所定のサイズ(例えば、1ミリメートル程度)に単体化して、ウェーハごとに多数の使用可能な部品を生産することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、GRIN素子104は光学変換素子106に接着することができる。例えば、第1のGRIN素子104は基板302の底面にファイバをスプライスすることができ、第2のGRIN素子104はバルク光学材料308の上面にファイバをスプライスすることができる。いくつかの実施形態では、ファイバをスプライスするのではなく、1つまたは複数のGRIN素子104を、基板302またはバルク光学材料308の上面に拡散接合または化学活性化接合することができる。
【0035】
上に示したように、図3A図3Cは例として提示されている。他の例は、図3A図3Cに関して説明したものとは異なるものとし得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、上記のように、光学変換素子106は、ビーム150の直交偏光が別個の変換を経験するように複屈折性とし得る。例えば、光学変換素子106は、パンチャラトナム・ベリー位相素子として異方性メタマテリアルを含み得る。そのような材料は、1つの円偏光(例えば、右円偏光(RCP))が光学変換素子106の法線ベクトルに対して角度Aに向けられ、反対の円偏光(たとえば、左円偏光(LCP))が-Aの角度に向けられる(たとえば、直線偏光ビームが半分に分割され、50%が角度Aに偏向し、50%が角度-Aに偏向する)円偏光ビームスプリッタを作製することができる。したがって、いくつかの実施形態では、光学変換素子106を使用して、光学デバイスがビーム150の偏光に基づくビームルーティングを提供できるようにすることができる。
【0037】
図4Aおよび図4Bは、偏光光源の偏光に基づくビームルーティングを可能にする光学変換素子106を含む例示的な光学デバイス400に関連する図である。図4Aに示されるように、光学デバイス400は、ファイバ102、第1のGRIN素子104(例えば、GRIN素子104-1)、光学変換素子106、およびビーム150が光学変換素子106によって変換された後でビーム150を操作する第2のGRIN素子104(例えば、GRIN素子104- 2)を含む。ここで、光学変換素子106は、ビーム150の直交偏光が別個の変換を経験するように複屈折性である。さらに示されるように、光学デバイス400は、ファイバ102内のビーム150の偏光を操作するための偏光スイッチ108(例えば、曲げまたは捻じれに基づく偏光コントローラ)、およびビーム150を出力する構成素子に関連するマルチコアファイバ110(マルチコアファイバ、マルチ同心コアファイバ、複数のガイド介在物を有するファイバなど)をさらに含むことができる。示されるように、いくつかの実施形態では、マルチコアファイバ110の入力面は第2のGRIN素子104の出力面に接着することができる。
【0038】
光学デバイス400の動作において、ファイバ102から出たビーム150は、光学変換素子106(例えば、メタマテリアルRCP/LCPビームスプリッタ)を通過する前に、第1のGRIN素子104(例えば、第1の1/4ピッチのGRINファイバ)を使用してフーリエ変換および拡張される。ここで、光学変換素子106は、ビーム150をRCPコンポーネントとLCPコンポーネントに分割する。次に、ビーム150のRCP成分およびLCP成分は、第2のGRIN素子104(例えば、第2の1/4ピッチのGRINファイバ)を通過し、これは、上述したように、第1のGRIN素子104とは異なる焦点距離としてよい。ここで、傾斜のフーリエ変換は変位であるため、第2のGRIN素子104を通過した後、ビーム150のRCP成分は、距離d(第2のGRIN素子104の焦点距離および光学変換素子106の設計に依存する)だけ空間的にオフセットされる。LCPコンポーネントは距離-dだけ変位される。この例では、図4Bに示されるように、マルチコアファイバ110は2コアファイバであり、各コアの中心は、ファイバの中心軸から反対方向に同じ距離だけ変位されている。例えば、マルチコアファイバ110の第1のコア(例えば、コアA)は、中心軸から距離dに中心があり、マルチコアファイバ110の第2のコア(例えば、コアB)は、中心軸から距離-dに中心がある。したがって、ビーム150のRCP成分はコアAに結合することができ、ビーム150のLCP成分はコアBに結合することができる。ここで、光源が偏光され、偏光が偏光スイッチ108によって操作され得る場合、ビーム150の光パワーは、マルチコアファイバ110のコアAまたはコアBに制御可能に向けることができる。
【0039】
図4Aおよび図4Bに示される素子の数および配置は例として提示されている。実際には、光学デバイス400は、図4Aおよび図4Bに示されるものよりも、追加の素子、少ない素子、異なる素子、または異なる配置の素子を含み得る。加えて、または代わりに、光学デバイス400の素子のセット(例えば、1つまたは複数の素子)は、光学デバイス400の別の素子のセットによって実行されると記載されている1つまたは複数の機能を実行することもできる。
【0040】
いくつかの実施形態では、光源が偏光されていない場合、光学デバイス400によって提供されるものと同様の偏光スイッチを設けることができる。図5Aおよび図5Bは、非偏光光源の偏光に基づくビームルーティングを可能にする光学変換素子106を含む例示的な光学デバイス500に関連する図である。図5Aに示されるように、光学デバイス500は、ファイバ102、第1のGRIN素子104(例えば、GRIN素子104-1)、第1の光学変換素子106(例えば、光学変換素子106-1)、およびビーム150が第1の光学変換素子106によって変換された後でビーム150を操作するための第2のGRIN素子(例えば、GRIN素子104-2)を含む。さらに示されるように、光学デバイス500は、第1のマルチコアファイバ110(例えば、マルチコアファイバ110-1)および第1のマルチコアファイバ110内のビーム150の偏光を操作するための偏光スイッチ108を含み得る。いくつかの実施形態では、第1のマルチコアファイバ110の入力面を第2のGRIN素子104の出力面に接着することができる。
【0041】
さらに示されるように、光学デバイス500は、第3のGRIN素子104(例えば、GRIN素子104-3)、第2の光学変換素子106(例えば、光学変換素子106-2)、およびビーム150が第2の光学変換素子106によって変換された後でビーム150を操作するための第4のGRIN素子(例えば、GRIN素子104-4)を含み得る。いくつかの実施形態では、第3のGRIN素子104の入力面は、第1のマルチコアファイバ110の出力面に接着され得る。いくつかの実施形態では、第2の光学変換素子106の入力面は、第3のGRIN素子104の出力面に接着され得る。いくつかの実施形態では、第2の光学変換素子106は、ビーム150の直交偏光が第2の光学変換素子106で別個の変換を経験するように、複屈折性であり得る。いくつかの実施形態では、第4のGRIN素子104の入力面は、第2の変換素子106の出力面に接着され得る。
【0042】
さらに示されるように、光学デバイス500は、第2のマルチコアまたは他のマルチガイド領域ファイバ110を含み得る。いくつかの実施形態では、第2のマルチコアファイバ110の入力面は、第4のGRIN素子104の出力面に接着され得る。
【0043】
動作中、ファイバ102によって提供されるビーム150は、第1のGRIN素子104でフーリエ変換され、光学変換素子106でLCP/RCPメタマテリアルビーム分割を経験し、第2のGRIN素子104によって、図4Aおよび図4Bに関連して説明したのと同様の方法で、マルチコアファイバ110(例えば、2コアファイバ)に結合される。光学デバイス500では、第1のマルチコアファイバ110は、偏光スイッチ108に通される。ここで、偏光スイッチ108は圧力に基づく偏光コントローラとすることができ、その場合、圧縮軸がマルチコアファイバ110の2つのコアを結ぶ線に垂直であり、(1)RCPをLCPに、またはその逆に(2つのコアで同時に)反転させるために圧力が適切な量印加されるか、または(2)圧力が印加されず、2つのコア内偏光は不変のままにされる。マルチコアファイバ110の出力は、第2のGRIN-スプリッタ-GRIN装置(例えば、第3のGRIN素子104、第2の光学変換素子106、および第4のGRIN素子104を含む)に送られる。第4のGRIN素子104の出力は、第2のマルチコアファイバ110に結合され得る。第2のマルチコアファイバ110は、いくつかの実施形態では、複数のガイド領域を有するファイバまたはマルチロータリーファイバとすることができる。第2のマルチコアファイバ110の可能な断面の例が図5Bに示されている。いくつかの実施形態では、偏光が光学デバイス500で切り替えられない場合、各偏光は、第1のオフセットと同じ方向のオフセットを受け取り、第4のGRIN素子104の終わりで、ビーム150のRCP成分は 2dの距離だけおよびLCP成分は-2dの距離だけシフトされ、それによって、両方の偏光は、第2のマルチコアファイバ110の中心軸から2dの距離を中心とするファイバコア(例えば、図5Bにn4で示すコア)に結合する。逆に、偏光が光学デバイス500で切り替えられる場合、第2のGRINスプリッタ-GRIN装置によって導入されたシフトは、第1のGRIN-スプリッタ-GRIN装置(例えば、第1のGRIN素子104、第1の光学変換素子106、および第2のGRIN素子104を含む)によって誘導されたシフトを相殺する)。ここで、LCPおよびRCP成分の両方が軸上に戻され、それによって、両方の成分が、第2のマルチコアファイバ110の中心コア(例えば、図5Bにn3で示すコア)に結合する。このようにして、1つまたは複数の光学変換素子106を含む光学デバイスは、最小限の可動部品でオールインファイバビームステアリングを可能にすることができる(例えば、光学デバイス400を用いる偏光源、または光学デバイス500を用いる非偏光光源の場合)。
【0044】
図5Aおよび図5Bに示される素子の数および配置は例として提示されている。 実際には、光学デバイス500は、図5Aおよび図5Bに示されるものよりも、追加の素子、より少ない素子、異なる素子、または異なる配置の素子を含み得る。加えてまたは代わりに、光学デバイス500の素子のセット(例えば、1つまたは複数の素子)は、光学デバイス500の別の素子のセットによって実行されると記載されている1つまたは複数の機能を実行することもできる。
【0045】
図6は、本明細書に記載されるように、ビームが光学デバイスのGRIN素子によって拡張または拡大された後、そのビームを光学デバイスの光学変換素子を使用して変換するための例示的なプロセス600のフローチャートである。
【0046】
図6に示されるように、プロセス600は、変換すべきビームを提供するステップを含むことができ、そのビームは光学デバイスに含まれるファイバによって提供される(ブロック610)。例えば、ビーム(例えば、ビーム150)は、上記のように、光学デバイス(例えば、光学デバイス100、光学デバイス120、光学デバイス200、光学デバイス220、光学デバイス400、光学デバイス500など)のファイバ(例えば、102)によって提供することができる。
【0047】
図6にさらに示されるように、プロセス600は、ビームを拡張または拡大するステップを含むことができ、ビームは、光学デバイスに含まれる屈折率分布型素子によって拡張または拡大される(ブロック620)。例えば、ビームは、上記のように、光学デバイスに含まれる屈折率分布型素子(例えば、GRIN素子104)によって拡張または拡大することができる。いくつかの実施形態では、屈折率分布型素子の入力面がファイバの出力面に接着される。
【0048】
図6にさらに示されるように、プロセス600は、ビームの拡張または拡大後にビームを変換するステップを含むことができ、ビームは、光学デバイスに含まれる光学変換素子によって変換される(ブロック630)。例えば、ビームは、上記のように、ビームの拡張または拡大後に、光学デバイスに含まれる光学変換素子(例えば、光学変換素子106)によって変換され得る。いくつかの実施形態では、光学変換素子の入力面が屈折率分布型素子の出力面に接着される。
【0049】
図6にさらに示されるように、プロセス600は、任意選択で、光学変換素子によるビームの変換後にビームを操作するステップを含むことができ、ビームは、光学デバイスに含まれる別の屈折率分布型素子によって操作される(ブロック640)。例えば、ビームは、上記のように、光学変換素子によるビームの変換後に、別の屈折率分布型素子(例えば、第2のGRIN素子104)または光学デバイスに含まれる光ファイバによって操作され得る。いくつかの実施形態では、他の屈折率分布型素子または光ファイバの入力面が、光学変換素子の出力面に接着され得る。いくつかの実施形態では、ビームの操作は、ビーム(例えば、供給ファイバへのビーム)のサイズ変更を含み得る。
【0050】
プロセス600は、以下に記載されるおよび/または本明細書の他の場所に記載される1つまたは複数の他のプロセスに関連する、任意の単一の実施形態または任意の組み合わせの実施形態などの追加の実施形態を含むことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、屈折率分布型素子は、1/4ピッチの屈折率分布型ファイバを含み、屈折率分布型素子の出力面は、1/4ピッチの屈折率分布型ファイバの出力面である。
【0052】
いくつかの実施形態では、屈折率分布型素子は、第1の1/4ピッチの屈折率分布型ファイバと第2の1/4ピッチの屈折率分布型ファイバを含む屈折率分布型テレスコープを含み、屈折率分布型素子の出力面は、屈折率分布型テレスコープの出力面である。
【0053】
図6は、プロセス600の例示的なブロックを示すが、いくつかの実施形態では、プロセス600は、図6に示されるものよりも、追加のブロック、少ないブロック、異なるブロック、または異なる配置のブロックを含み得る。加えてまたは代わりに、プロセス600の2つ以上のブロックを並行して実行することもできる。
【0054】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のGRIN素子104と1つまたは複数の光学変換素子106を含み、1つまたは複数の光学変換素子106がGRIN素子104にスプライス接続されるか、さもなければ接合された光学デバイス(例えば、光学デバイス100、光学デバイス120、光学デバイス200、光学デバイス220、光学デバイス400、光学デバイス500など)を提供する。いくつかの実施形態では、GRIN素子104を1つまたは複数の光学変換素子106と組み合わせて使用することによって、光学デバイスがファイバ102の近視野および/または遠視野の調整を可能にするができる。本明細書に記載の実施形態は全ファイバシステムにおいて広範囲の可能なビーム形状/ビーム整形光学系を可能にする。さらに、本明細書に記載の実施形態は、ビーム150が自由空間に入ることなく、光学変換素子106を光ファイバシステムに導入することができる。さらに、本明細書で説明される実施形態は、例えば、マルチモードシステムにおけるファイバ内偏光スイッチング/ルーティングを可能にする。
【0055】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であること、または実施形態を開示の正確な形態に限定することを意図するものではない。様々な修正や変更が以上の開示に照らして可能であり、また実施形態の実施から得ることができる。
【0056】
特定の特徴の組み合わせが請求の範囲に列挙されおよび/または明細書に開示されているが、これらの組み合わせは様々な実施形態の開示を限定することを意図するものではない。実際に、これらの特徴の多くは請求の範囲に明確に列挙されていないおよび/または明細書に開示されていない方法で組み合わせてもよい。以下に列挙される各従属請求項は一つの請求項にのみ直接従属してよいが、様々な実施形態の開示は各従属請求項と請求の範囲内のすべての他の請求項との組み合わせも含むものである。
【0057】
本明細書で使用する素子、操作または命令は、特に明記されない限り、決定的または本質的と解釈されるべきである。また、冠詞“a”及び“an”は一以上の素子を含むことが意図され、「一以上」と互換的に使用され得る。さらに、冠詞“the”は“the”と関連する一以上の素子を含むことが意図され、「一以上」と互換的に使用され得る。さらに、本明細書で使用される「セット」は一以上の素子(例えば、関連素子、非関連素子、それらの素子の組み合わせ等)を含むことが意図され、「一以上」と互換的に使用され得る。唯一の素子が意図される場合には、「一つ」または類似の語が使用される。また、本明細書で使用する語「有する」、「有している」等はオープンエンデッドタームであることが意図されている。さらに、語句「基づく」は特に明記されない限り「少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図されている。また、本明細書で使用する「または」は、シリーズで使用される場合に包括的であることが意図され、特に明記されていない限り(例えば、「いずれか」または「1つのみ」と組み合わせて使用される場合)、「および/または」と交換可能に使用され得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6