(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】入力装置及びこれを有する画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20241016BHJP
H01H 13/14 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01H25/04 F
H01H13/14 Z
(21)【出願番号】P 2020183061
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036563(JP,A)
【文献】実開平02-007830(JP,U)
【文献】特開2008-047464(JP,A)
【文献】特開平09-258867(JP,A)
【文献】特開2003-297171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0096903(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105788923(CN,A)
【文献】実用新案登録第2549230(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 13/00 - 13/88
H01H 25/00 - 25/06
H01H 89/00 - 89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの開口部に配置された操作キーと、
基板の前記開口部に対向する位置に配置された光源及び押釦スイッチとを備え、
前記操作キーは、
前記押釦スイッチに向かって延伸された押圧部を有するキートップ部と、
前記光源及び押釦スイッチの周囲を覆う壁部で形成された枠体と、
前記キートップ部の周縁部において前記キートップ部を挟むように互いに対向する位置に各々設けられた接続部から前記枠体に向かって延伸され、前記枠体に接続される一対以上のアーム部と、を有し、
前記押圧部は、前記キートップ部の前記一対のアーム部との接続部を結ぶ線と平行で且つ前記キートップ部の平面視での中心位置を通る線上において、前記中心位置から離れた位置に配置され、
前記押釦スイッチは、前記基板の前記押圧部の配置位置と対向する位置に配置され、
前記キートップ部の周囲には、前記基板に向かって延伸され、前記キートップ部の前記押釦スイッチ側への押操作時に前記基板に当接する複数のストッパ部が設けられ、
前記ストッパ部は、前記キートップ部の端部から前記枠体側に突出した位置
であり、前記接続部に設けられている
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記操作キーにおいて、前記キートップ部及び前記アーム部は前記枠体の前記パネル側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記キートップ部を前記パネルに係止させる係止部
を有し、
前記係止部は、前記キートップ部の表面より下方の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記パネルには、前記開口部の周囲において該開口部の内方側に向かって前記基板側に傾斜する傾斜部が設けられている
ことを特徴とする請求項1~
3の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
請求項1~
4の何れか1項に記載の入力装置を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式の押釦スイッチを備えた入力装置及びこれを有する画像形成装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械式の押釦スイッチを備えた入力装置では、パネルの開口部に操作キーを配置する一方、該操作キーの下方に位置する基板に押釦スイッチを配置して、操作キーの平板状のキートップ部を基板側に押操作することにより、このキートップ部で押釦スイッチを閉動作させる構成が採用されている。
【0003】
このような入力装置の具体的な構成は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、キートップ部をその周囲の枠体に対して押操作可能な構成として、キートップ部の周囲、例えば平面視で右上部と左下部などに、2つの対向する接続部を用意し、この2つの接続部を各々バネ性を有する一対のアーム部により枠体に接続する構成として、キートップ部の押操作時には、前記一対のアーム部が枠体に対して湾曲して、キートップ部の基板側への変位を可能としている。そして、特許文献1では、キートップ部の平面視で中央部分に、押釦スイッチ側に延びる押圧部を形成し、この押圧部に対向する基板の部位に前記押釦スイッチを配置して、キートップ部の押操作時には、押圧部により押釦スイッチを押圧して、押釦スイッチを閉動作させる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のような入力装置において、この入力装置が、例えばスタートスイッチ等の操作頻度の高い又は重要な機能を持つ入力装置の場合には、この入力装置を他の入力装置と明確に識別できるように、キートップ部の色を他とは異なる色に彩色したり、キートップ部の裏側(基板側)にLED等の光源を1個又は複数個配置して、キートップ部を裏側から照明し、識別性を高める構成を採用することが望ましい。
【0006】
特に、キートップ部にそのキーが有する機能を意味する透光性の記号表示部を設け、その記号表示部をキートップ部裏側の光源で光らせる場合は、視認性の観点からキートップ部の平面視で中央部位に記号表示部を配置することが好ましい。
【0007】
この場合、押釦スイッチや押圧部は、キートップ部の中央部位には配置できず、その中央部位からオフセットした位置に配置する必要がある。このような場合には、押圧部はキートップ部の中央部位からオフセットしているため、キートップ部の押圧部の配置部位とは反対側の部位を操作者が押操作した際には、キートップ部が捻れて、キートップ部の押圧部周りが浮き上がり、押釦スイッチが確実に閉動作しない懸念がある。
【0008】
本発明は、係る点に鑑み、その目的は、押釦スイッチ及び光源を備えた入力装置において、押釦スイッチ及び押圧部をキートップ部の平面視で中心位置からオフセットした位置に配置した場合に、その押圧部の配置位置とは反対側のキートップ部の部位を押操作しても、確実に押釦スイッチを閉動作させて、動作の確実性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る入力装置は、パネルの開口部に配置された操作キーと、基板の前記開口部に対向する位置に配置された光源及び押釦スイッチとを備え、前記操作キーは、前記押釦スイッチに向かって延伸された押圧部を有するキートップ部と、前記光源及び押釦スイッチの周囲を覆う壁部で形成された枠体と、前記キートップ部の周縁部において前記キートップ部を挟むように互いに対向する位置に各々設けられた接続部から前記枠体に向かって延伸され、前記枠体に接続される一対以上のアーム部と、を有し、前記押圧部は、前記キートップ部の前記一対のアーム部との接続部を結ぶ線と平行で且つ前記キートップ部の平面視での中心位置を通る線上において、前記中心位置から離れた位置に配置され、前記押釦スイッチは、前記基板の前記押圧部の配置位置と対向する位置に配置され、前記キートップ部の周囲には、前記基板に向かって延伸され、前記キートップ部の前記押釦スイッチ側への押操作時に前記基板に当接する複数のストッパ部が設けられ、前記ストッパ部は、前記キートップ部の端部から前記枠体側に突出した位置であり、前記接続部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
前記の構成では、押圧部が光源の配置によってキートップ部の中心位置に配置できない場合であっても、その押圧部は、キートップ部が少なくとも一対のアーム部によって枠体に支持されている方向において、キートップ部の中心位置から離れた位置にオフセットされているので、その押圧部の配置位置とは反対側のキートップ部の部位を押操作しても、キートップ部は押圧部の配置部位が基板側に押し下げられて、押圧部は確実に押釦スイッチを閉動作させる。従って、キートップ部の裏面側から光源でキートップ部を照明して、入力装置の識別性を高めながら、入力装置の動作の確実性の向上を図ることが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キートップ部において押圧部を光源の配置位置に干渉しない位置にオフセット配置した場合に、その押圧部とは反対側のキートップ部の周辺部位を押操作しても、確実に押釦スイッチを閉動作させることができるので、入力装置の識別性を高めながら、動作の確実性の向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1の入力装置を備えた画像形成装置の全体概略構成を示す斜視図である。
【
図2】同画像形成装置の操作パネルの入力装置周りの要部を示す拡大斜視図である。
【
図3】操作パネルへのカラースタートキー(入力装置)の取付けの様子を示す分解斜視図である。
【
図4】カラースタートキーに備える操作キーを裏面から見た斜視図である。
【
図6】横方向に切断した操作キーを基板側から見た斜視図である。
【
図7】操作装置を操作パネルと基板とに分解し、操作キーの一部を切り欠いて、開口部、操作キー、LED光源及び押釦スイッチの配置関係を示す分解図である。
【
図8】操作装置のカラースタートキー周りの断面図である。
【
図10A】キートップ部の押圧部とは反対側の端部を押操作する前の操作キーの状態を示す図である。
【
図10B】同操作キーの押操作当初の状態を示す図である。
【
図10C】同操作キーの押操作中期の状態を示す図である。
【
図11】実施形態1の変形例のカラースタートキーを示す平面図である。
【
図12】同カラースタートキーのXII-XII線断面図である。
【
図13】実施形態2のカラースタートキーを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る入力装置を備えた画像形成装置の全体概略構成を示す斜視図である。同図において、画像形成装置1は、コピー機能(複写機能)、プリント機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及び電子メール機能等の複数の機能を備えた複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)である。
【0015】
前記画像形成装置1は、操作装置2、画像読取部3、該画像読取部3の下方に配置された画像形成部4、給紙部5、及び排紙トレイ6を備えている。
【0016】
前記操作装置2は、画像形成装置1に対して各種の指示を行う種々の操作キー及びディスプレイを備えている。具体的に、操作装置2は、操作パネル(パネル)10に、機械式の入力装置として、電源キー11、カラースタートキー12、白黒スタートキー13、ストップキー14、数字キー15、クリアキー16、リセットキー17を備える。また、操作パネル10には、前記各種の操作キーにより指示された内容を表示するディスプレイ18が配置されている。操作装置2において、画像形成装置1の例えばコピー機能を使用する場合には、操作者はディスプレイ18を確認しながら数字キー15を操作して所望枚数を設定した後、カラーコピーの場合にはカラースタートキー12を、白黒コピーの場合には白黒スタートキー13を押操作して、画像形成部4を動作させる。また、そのコピー機能を中止する際には、ストップキー14を操作する。
【0017】
本実施形態1の入力装置は、前記カラースタートキー12及び白黒スタートキー13に適用される。この2つの入力装置12、13は同一構成であるので、以下、カラースタートキー12の構成について詳述する。
【0018】
図2は操作装置2のカラースタートキー12周りの要部拡大斜視図、
図3は同要部の分解斜視図である。
図2及び
図3において、操作装置2は、操作パネル10と、該操作パネル10の下方に配置された基板21とを有する。基板21は、下方側(操作パネル10の上面側とは反対側)から複数のビス22により操作パネル20の裏面に固定される。
【0019】
操作パネル10には、カラースタートキー12の配置部位に対応して開口部10aが形成されている。該開口部10aは、平面視で四角形状に形成され、その四隅は丸く形成されている。一方、
図2から判るように、基板21の開口部10aに対応する部位には、4つのLED(Light Emitting Diode)より成る光源(以下LED光源という)25と、押釦スイッチ26とが配置されている。4つのLED光源25は、開口部10aの四隅近傍に対応する部位に配置され、押釦スイッチ26は、
図2中で右上及び右下に位置する2個のLED光源25の間の部位に位置するように配置されている。各LED光源25は、本体25aと、その上方に位置する投光部25bとからなり、投光部25bの外径は本体25aの外径よりも若干小径である。尚、本実施形態では、4つのLED光源25を設けたが、各LED光源25よりも大径で照度の大きい1つのLED光源を開口部10aの平面視で中央部位に設けてもよい。
図3に示したように、白黒スタートキー13は、カラースタートキー12と同様に、基板21に設けられた4つのLED光源25と押釦スイッチ26とを有し、他の入力装置(電源キー11、 ストップキー14、数字キー15、リセットキー17)は、基板21に設けられた押釦スイッチ11a、14a、15a、17aを有する。
【0020】
図3に示したように、操作パネル20と基板21との間には、カラースタートキー12の操作キー30が配置される。該操作キー30は、平面視で四角形状のキートップ部31と、その周囲に配置された枠体32と有する。キートップ部31は、枠体32の上端部側(操作パネル20側)に配置されている。該キートップ部31は、他の入力装置11等とは異なる色が施されると共に、光透過性を有する材質で構成されていて、基板21に配置した4つのLED光源25の投光により照明される。このキートップ部31の形状は、操作パネル10の開口部10aに対応して、平面視で四角形状に形成され、その四隅は丸く形成され、その四隅から中央部に向かうに従って若干凹んだ形状(後述する
図8参照)に形成されている。尚、
図2では、カラースタートキー12において、操作キー30の図示を省略し、開口部10aの下方に4つのLED光源25と押釦スイッチ26とが臨んだ配置関係を明示している。
【0021】
以下、カラースタートキー12において、操作キー30の構成を詳述する。
図4は操作キー30を裏側(基板21側)から見た斜視図、
図5は同操作キー30の平面図である。また、
図6は同操作キー30を中央部にて切断して斜め下方から見た斜視図、
図7は操作装置2を操作パネル10と基板21とに分解し、更に、カラースタートキー12の操作キー30の一部を切り欠いて内部の様子を示した斜視図である。
図8は、操作装置2のカラースタートキー12周りの断面図である。
【0022】
図4~
図8において、カラースタートキー12の操作キー30では、枠体32は、前記4つのLED光源25及び押釦スイッチ26の周囲を囲む平面視で略四角形状の壁部32aよりなっている。該壁部32aは、その底部が基板21に当接しており、この状態でキートップ部31を操作パネル10の開口部10aとほぼ同一高さ位置に位置付けるように形成されている。壁部32aの上端部には、
図5の平面視で左上、左下及び右下の隅部に各々位置決め部35が形成されている。これらの位置決め部35は、操作パネル10の裏側に設けた突起部(図示せず)と係合して、操作キー30を操作パネル10の開口部10aに正確に位置付ける。
【0023】
また、枠体32の壁部32aには、
図5の平面視で左側部の中央部位に突出部32bLが形成されている。この左側部の突出部(以下、左側突出部という)32bLは、キートップ部31から離隔するように
図5左側方に向かって突出している。同様に、
図5の平面視で右側部の中央部位には、突出部32bRが形成されている。この右側部の突出部(以下、右側突出部という)32bRは、キートップ部31から離隔するように
図5右側方に向かって突出している。
【0024】
そして、操作キー30の枠体32の上端部側(操作パネル10側)において、キートップ部31の
図5中左上側方には、前記左側突出部32bLとの間に、略S字形状に長く延びてバネ性を有するアーム部40Lが配置されている。該アーム部40Lの一端は左側突出部32bLの上側起端部位に接続され、その他端はキートップ部31の
図5左上隅部周りに形成した接続部(以下、左上接続部という)31LUに接続されている。前記左上接続部31LUは、キートップ部31の周縁部31aの前記左上隅部から左側方(左側突出部32bL側)に突出した位置に形成されている。また、キートップ部31の
図5中右上側方には、右側突出部32bRとの間に、略S字形状に長く延びてバネ性を有するアーム部40Rが配置されている。該アーム部40Rの一端は右側突出部32bRの上側起端部位に接続され、その他端はキートップ部31の
図5右上隅部周りに形成した接続部(以下、右上接続部という)31RUに接続されている。前記右上接続部31RUは、キートップ部31の周縁部31aの前記右上隅部から右側方(右側突出部32bR側)に突出した位置に形成されている。前記2つのアーム部40L、40Rは、何れも壁部32aの上端部(操作パネル10側)に形成されており、一対のアーム部としてキートップ部31の
図5中上側部分を枠体32に弾性的に支持し、キートップ部31を基板21側に押操作した際に、その基板21側への変位を可能にしている。
【0025】
以上のように、一対のアーム部40L、40Rは、キートップ部31の周縁部31aにおいて、キートップ部31を挟むように互いに対向する位置に各々設けられた接続部31LU、31RUから枠体32に向かって延伸されて、枠体32に接続される。そして、一対のアーム部40L、40Rは、キートップ部31を押釦スイッチ26側へ変位可能に枠体32に接続している。
【0026】
同様に、枠体32の上端部側において、キートップ部31の
図5中左下側方には、左側突出部32bLとの間に、略S字形状に長く延びてバネ性を有するアーム部41Lが配置されている。該アーム部41Lの一端は左側突出部32bLの下側起端部位に接続され、その他端はキートップ部31の
図5左下隅部周りに形成した接続部(以下、左下接続部という)31LDに接続されている。前記左下接続部31LDは、キートップ部31の周縁部31a の前記左下隅部から左側方(左側突出部32bL側)に突出した位置に形成されている。また、キートップ部31の
図5中右下側方には、右側突出部32bRとの間に、略S字形状に長く延びてバネ性を有するアーム部41Rが配置されている。該アーム部41Rの一端は右側突出部32bRの下側起端部位に接続され、その他端はキートップ部31の
図5右下隅部周りに形成した接続部(以下、右下接続部という)31RDに接続されている。前記右下接続部31RDは、キートップ部31の周縁部31a の前記右下隅部から右側方(右側突出部32bR側)に突出した位置に形成されている。前記2つのアーム部41L、41Rは、何れも壁部32aの上端部(操作パネル10側の端部)に形成されており、前記一対のアーム部40L、40Rとは別の他の一対のアーム部としてキートップ部31の
図5中下側部分を枠体32に弾性的に支持し、キートップ部31を基板21側に押操作した際に、その基板21側への変位を可能にしている。
【0027】
以上のように、一対のアーム部41L、41Rも、キートップ部31の周縁部31aにおいて、キートップ部31を挟むように互いに対向する位置に各々設けられた接続部31LD、31RDから枠体32に向かって延伸されて、枠体32に接続される。そして、一対のアーム部41L、41Rも、キートップ部31を押釦スイッチ26側へ変位可能に枠体32に接続している。
【0028】
また、キートップ部31の周縁部31aは、基板21側に延びて形成され、その周縁部31aの下端部(基板21側の端部)、すなわちキートップ部31の表面よりも下方の位置に、外方側(枠体32側)に突出する係止部34が形成されている。該係止部34は、操作キー30が操作パネル10の開口部10aに装着された際に、開口部10aの周縁に係止してキートップ部31を操作パネル10に係止させ、キートップ部31が開口部10aから上方に抜け出ることを防止する。
【0029】
一方、枠体32の周囲には、
図5の平面視で左上、左下及び右下の3カ所の隅部において円筒状の位置決め部35が形成されており、これらの位置決め部35は、操作パネル10の開口部10a周りに形成した3個の突起部(図示せず)に各々挿入されることにより、操作キー30を操作パネル10に正確に位置決めして、キートップ部31を開口部10aに臨ませるように構成されているのは前述の通りである。
【0030】
キートップ部31は、その裏面側(基板21側)に、断面+字形状の押圧部45を有している。該押圧部45は、
図8に示したように、押釦スイッチ26に向かって延伸されていて、その底面と押釦スイッチ26の上部の押釦部26aとの間に微少間隔が設けられている。
図8から判るように、押圧部45の下部側(押釦スイッチ26側)の基板21からの高さ位置は、LED光源25の投光部25bの高さ位置と同程度である。
【0031】
押圧部45は、課題でも述べたように、キートップ部31の平面視における中央位置Cに配置する透光性の記号表示部との干渉を避けるため、
図5に示したように、キートップ部31の平面視での中心位置Cよりも所定距離tだけ離れてオフセットした位置に配置されている。そのオフセット方向は、キートップ部31が、一対のアーム部(40L、40R)と他の一対のアーム部(41L、41R)によって枠体32に支持される方向、すなわち、一対のアーム部40L、40R接続用としてキートップ部31の
図5上側部に配置した2つ(一対)の接続部(左上接続部31LU及び右上接続部31RU)の幅nの中央点同士を結ぶ線をL1とし、他の一対のアーム部41L、41R接続用としてキートップ部31の
図5下側部に配置した2つ(一対)の接続部(左下接続部31LD及び右下接続部31RD)の幅nの中央点同士を結ぶ線をL2として、押圧部45は、この2つの線L1、L2と平行で且つキートップ部31の中心位置Cを通る線Lc上に配置される。この線Lcは線幅Wcを有し、この線幅Wcは、平面視で4つのLED光源25の各投光部25bと接する幅に設定されている。押圧部45は、前記線Lc上、すなわち、線幅Wcの範囲内(
図5中網掛けで示す範囲内)において、キートップ部31の中心位置Cから離れた位置に配置される。本実施形態では、押圧部45は、一例として、前記線幅Wcの中心線上で且つ中心位置Cよりも
図5右方側(右側突出部32bR側)に所定距離tだけ離れてオフセットした位置に配置されている。この押圧部45の配置位置は、この例に限定されず、その他、例えば前記線幅Wcの中心線上で且つ中心位置Cよりも
図5左方側(左側突出部32bL側)に所定距離tだけ離れてオフセットした位置としてもよいし、線幅Wcの中心線上になくてもよい。前記オフセット量(所定距離t)は、基板21に配置するLED光源25の個数やその径、配置位置、更には押釦スイッチ26の径や配置位置に応じて適宜に決定される。
【0032】
そして、押釦スイッチ26は、基板21上において、押圧部45の下端部と対峙する位置に配置される。この押釦スイッチ26は、この配置位置にて既述の通り
図5中右上及び右下に位置する2つのLED光源25に挟まれた状態となっている。押釦スイッチ26の上端部に位置する押釦部26aは、既述の通り、押圧部45の下端部に対し微小間隔隔てて位置している。押釦スイッチ26は、その押釦部26aが押圧部45により押圧されて下方に押し込まれたとき、閉動作して、画像形成部4を動作させる。
【0033】
更に、操作キー30において、キートップ部31の四隅から
図5左方向及び右方向に突出した部位、すなわち、前記左上接続部31LU、右上接続部31RU、左下接続部31LD、右下接続部31RDには、各々、基板21に向かって延伸されたストッパ部50が設けられている。該各ストッパ部50は、略円筒状で基板21側に向かって若干先細りの形状であり、枠体32の底部が基板21に位置付けられた状態で基板21に対し所定間隔隔てて配置されており、キートップ部31の押釦スイッチ26側への押操作時には、押圧部45が押釦スイッチ26を閉動作させた後に、ストッパ部50の底部が基板21に当接して、キートップ部31のそれ以上の押操作を停止させるものである。
【0034】
ストッパ部50は、既述の通り、各々、キートップ部31の四隅からアーム部材40L、40R、41L、41R側に突出した4つの接続部31LD~31RDに配置されている。このため、
図8に示したように、各ストッパ部50の軸心50sの位置は、キートップ部31の周縁部31aに設けた係止部34の厚み方向の中央点を連ねた
図8中上下方向の線34kとは意図的に一致させず、この線34kから外方(枠体32側)に所定距離dだけズレた(オフセットした)位置に設定されている。
【0035】
また、操作パネル10には、
図7から判るように、開口部10aの周囲において傾斜部10bが形成されている。該傾斜部10bは、開口部10aの周縁の部位を開口部10aの内方側に向かって低く(基板21側に)傾斜する形状に形成されている。
【0036】
以上の構成により、本実施形態では、カラースタートキー12において、操作キー30のキートップ部31は、その色が他の入力装置11等とは異なる色に彩色され、また4つのLED光源25によって照明されるので、カラースタートキー12をその周囲のストップキー14等の他の入力装置と明確に区別でき、識別性の向上が図られる。
【0037】
その際、キートップ部31の裏面に配置する押圧部45、及びその直下に配置される押釦スイッチ26は、4つのLED光源25の存在に伴い、キートップ部31の平面視で中心位置Cには配置できず、中心位置Cから所定距離tだけ離れてオフセットした位置に配置されている。しかし、この押圧部45及び押釦スイッチ26は、キートップ部31が二対のアーム部(40L、40R)、(41L、41R)で支持される方向、すなわち、
図5に示したように、キートップ部31の一対の接続部(左上接続部31LU及び右上接続部31RU)同士を結ぶ線L1の方向、及び、他の一対の接続部(左下接続部31LD及び右下接続部31RD)同士を結ぶ線L2の方向と平行な中心位置Cを通る線Lc上でその線幅LWcの範囲内に配置されている。従って、
図9Aに示したように、キートップ部31の端部Q、すなわち前記線Lc上で押圧部46の配置位置とは反対側の端部を操作者が押操作した際には、
図9B(
図9AのB-B線断面図)に示すように、キートップ部31の前記線Lc方向の左側部及び右側部が各々二対のアーム部(40L、40R)、(41L、41R)で支持されているため、端部Qの押力fQは押圧部45側に良好に伝達し、押圧部45の配置位置では力は若干低減するものの基板21側への押力fQ’でもって押圧部45を押し下げて、押釦スイッチ26が確実に閉動作することになる。
【0038】
一方、キートップ部31の端部P、すなわち前記線Lcとは直交して中心位置Cを通る線Lp上の端部を操作者が押操作した際には、
図9C(
図9AのC-C線断面図)に示すように、前記線Lp方向では、キートップ部31は枠体32に支持されていない状態であるため、端部Pを押力fpで押操作すると、反対側の端部ではこの端部を上方向(押釦スイッチ26とは反対側の方向)に持ち上げる操作力-fpが作用することになる。従って、キートップ部31において線Lc上で前記端部Pとは反対側の端部近傍に押圧部45及び押釦スイッチ26をオフセットして配置した場合には、押釦スイッチ26を閉動作させることは困難となる。しかし、本実施形態では、前記端部Pを押操作すると、既述の通り線Lcの方向に押力が伝達して押圧部45を基板21側へ押し下げることができ、押釦スイッチ26を確実に閉動作させることが可能である。
【0039】
また、本実施形態では、操作キー30に設けたストッパ部50により、押圧部45を一層基板21側に押し下げて、押釦スイッチ26を確実に閉動作させることが可能である。この様子を
図10A~
図10Cに基づいて説明する。
図10Aは、キートップ部31の前記線Lc上における押圧部45とは反対側の端部Qを操作者が指で押操作する前の状態を示すカラースタートキー12の要部断面図、
図10Bは同端部Qを押操作する初期の状態を示す要部断面図、
図10Cは同終期の状態を示す要部断面図である。
図10Aでは、キートップ部31の前記線Lc上における端部Qを操作者が指fiで押操作する場合に、前記端部Q近傍のストッパ部50は、その軸心50sがキートップ部31の係止部34の厚み方向の中央点を連ねた線34kに対し、枠体32側に距離dだけオフセットして位置している。
【0040】
そのため、
図10Bに示したように、操作者の指fiがキートップ部31の端部Qを押操作すると、その押力Fによってストッパ部50の底部が基板21に当接した後、このストッパ部50の底部を支点としてキートップ部31を
図10B中右周りに回転させるモーメントmが発生する。このモーメントmにより、押圧部45は基板21側に押し下げられる。更に、キートップ部31の端部Q近傍には、開口部10aの周縁に傾斜部10bが位置しているため、操作者の指fiはこの傾斜部10bに当接し始めて開口部10aの内方側に案内され、キートップ部31にはこのキートップ部31を
図10B中で右回りに傾ける力が作用する。その結果、キートップ部31の押圧部45周りがアーム部40RUと共に下方向に押し下げられるので、押圧部45は大きな力で押釦スイッチ26を押下し、押釦スイッチ26が閉動作する。
【0041】
更に、
図10Cに示したように、操作者の指fiが傾斜部10bに案内されて開口部10aの内方側に更に傾くと、キートップ部31を
図10C中で右回りに傾ける力が更に大きく作用するので、キートップ部31の押圧部45周りが一層基板21側に押し下げられて、押圧部45は押釦スイッチ26を確実に閉動作させることになる。
【0042】
このように、ストッパ部50の軸心50sをキートップ部31の端部Qの係止部34の線34kに対し枠体32側に所定距離d隔てた位置に配置することにより、キートップ部31の端部Qの押操作時には、モーメントmを発生させて、押圧部45に作用する押下げ力を強めて、押釦スイッチ26を確実に閉動作させることが可能である。
【0043】
(変形例)
図11及び
図12は、実施形態1の変形例を示す。
図11はカラースタートキー12のキートップ部31の平面図、
図12は
図11のXII-XII線断面図である。前記実施形態1では、ストッパ部50を4つの接続部31LU、31RU、31LD、31RDに配置して、ストッパ部50の軸心50sをキートップ部31の係止部34の中央点を連ねた線34kに対し距離dだけ隔てた構成とし、端部Qの押操作時にモーメントmを発生させた。これに対し、本変形例では、キートップ部31の係止部34のうちキートップ部31の四隅の部位に、各々、ストッパ部50を配置した構成としている。すなわち、
図12に示したように、各ストッパ部50は、その軸心50sが係止部34の中央点を連ねた線34kと同軸上に配置されている。
【0044】
従って、本変形例では、前記実施形態1のように端部Qの押操作時にモーメントmは発生しない。本変形例では、押圧部45及び押釦スイッチ26は、キートップ部31の中心位置Cから所定距離tだけ離れてオフセットしているものの、実施形態1と同様に、キートップ部31の中心位置Cを通る線Lc上、すなわちキートップ部31と枠体32とが二対のアーム部(40L、40R)、(41L、41R)によって支持されている方向に配置されているので、キートップ部31の端部Qを押操作しても、押圧部45を良好に押し下げて、押釦スイッチ26を確実に閉動作させることが可能である。
【0045】
(実施形態2)
続いて、実施形態2のカラースタートキー12を
図13に基づいて説明する。
図13は、カラースタートキー12の平面図である。前記実施形態1では二対のアーム部(40L、40R)、(41L、41R)を設けたが、本実施形態では、一対のアーム部(40L、41R)によりキートップ部31を枠体32に支持している。
【0046】
具体的に、
図13では、キートップ部31の左上接続部31LUに接続されたアーム部40Lと、キートップ部31の右下接続部31RDに接続されたアーム部41Rとにより、一対のアーム部を構成している。また、開口部10aに臨むように配置された4つのLED光源25は、キートップ部31の平面視で、その周囲4辺の中央部位近傍でその各辺に近接して配置されている。尚、4つのLED光源25に代えて、照度の大きい1つのLED光源をキートップ部31の中心位置Cに配置してもよい。
【0047】
ストッパ部50は、実施形態1と同様に、キートップ部31の左上接続部31LUと右下接続部31RDに配置されていて、キートップ部31の周囲の係止部34よりもアーム部40L、41R側にオフセットした位置に設定されている。
【0048】
本実施形態では、キートップ部31は、前記一対のアーム部40L、41Rで接続される方向、すなわち、キートップ部31の周囲に設けた係止部34の同図中左上隅部及び右下隅部を結ぶ中心位置Cを通る線Wの方向で、枠体32に支持されている。前記線Wは線幅Wtを有し、この線幅Wtは、前記4つのLED光源25の投光部25bと接する幅に設定されている。押圧部45は、この線Wの線幅Wtの範囲内(同図に網掛けを施した範囲内)の任意に位置に配置される。本実施形態では、押圧部45は、前記線Wの中心線上でキートップ部31の中心位置Cからキートップ部31の同図中右下隅部に向かって距離sだけ離れてオフセットした位置に配置されている。この押圧部45の配置位置は、
図13に限定されず、例えば中心位置Cからキートップ部31の左上隅部に向かって距離sだけ離れてオフセットした位置に配置してもよいし、線Wの中心線上に配置する必要もない。また、1つのLED光源をキートップ部31の中心位置Cに配置する場合には、このLED光源と位置干渉しないように押圧部45のオフセット量(距離s)を設定ればよい。
【0049】
従って、本実施形態では、押圧部45のオフセット方向とは反対側のキートップ部31の端部Q(
図13中で左上隅部)を押操作した場合であっても、キートップ部31は、一対のアーム部(40L、41R)によって枠体32に支持される方向の線Wの線幅Wt内に配置されるので、前記端部Qの押力によってキートップ部31の右下隅部側が確実に下方に押されて、押圧部45が押し下げられ、押釦スイッチ26が確実に閉動作することになる。よって、本実施形態においても、カラースタートキー12の識別力をLED光源25の照明によって高めながら、押釦スイッチ26を確実に閉動作させることができ、動作の確実性の向上を図ることができる。
【0050】
また、ストッパ部50がキートップ部31の係止部34に対しアーム部40L、41R側にオフセットして配置されているので、キートップ部31の端部Qの押操作時には、実施形態1と同様にモーメントmを発生させることができるので、押釦スイッチ26を確実に閉動作させることが可能である。
【0051】
尚、以上の説明では、本発明をカラースタートキー12及び白黒スタートキー13に適用したが、その他、電源キー11、ストップキー14等の他の入力装置に適用してもよく、また、画像形成装置1以外の装置の入力装置にも同様に適用できるのは勿論である。
【0052】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他の種々な形で実施することができる。そのため、上述の実施形態は例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、キートップ部の識別性を高めるために基板に光源を配置した入力装置において、その光源と位置干渉しないように、押し釦スイッチ押下用の押圧部をキートップ部の中心位置から離れてオフセットした位置に配置する場合であっても、キートップの押操作時には常に押圧部を押し下げて押釦スイッチを確実に閉動作させて、動作の確実性の向上を図るこることができるので、高い識別性が要求される入力装置に適用して、有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像形成装置
2 操作装置
4 画像形成部
10 操作パネル(パネル)
10a 開口部
10b 傾斜部
12 カラースタートキー(入力装置)
13 白黒スタートキー(入力装置)
21 基板
25 LED光源(光源)
25b 投光部
26 押釦スイッチ
30 操作キー
31 キートップ部
31LU、31RU
31LD、31RD 接続部
Q、P キートップ部の端部
32 枠体
32a 壁部
34 係止部
40L、40R
41L、41R アーム部
45 押圧部
C 中心位置
50 ストッパ部