IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インフォテック エスピー.ゼット オー.オー.の特許一覧

特許7572244干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法
<>
  • 特許-干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法 図1a
  • 特許-干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法 図1b
  • 特許-干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法 図1c
  • 特許-干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法 図1d
  • 特許-干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法 図2a
  • 特許-干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法 図2b
  • 特許-干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法 図3
  • 特許-干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び化学物質の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/26 20060101AFI20241016BHJP
   G01B 9/02 20220101ALI20241016BHJP
【FI】
G01J3/26
G01B9/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020570483
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2019055062
(87)【国際公開番号】W WO2019244013
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】PL425972
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】318000558
【氏名又は名称】インフォテック スポルカ ジー オグラニクゾナ オドパウイエドジアルノシア
【氏名又は名称原語表記】Inphotech spolka z ograniczona odpowiedzialnoscia
【住所又は居所原語表記】Dzika 15/12,00-172 Warszawa (PL)
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ブドニツキ,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】マカラ,マリウシュ
(72)【発明者】
【氏名】ナピエラワ,マレク
(72)【発明者】
【氏名】ナジロフスキ,トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】ポーツラック,クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ショストキェヴィッチ,ウカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルチンスキー,クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィソキンスキー,カロル
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0077736(US,A1)
【文献】特開2003-208689(JP,A)
【文献】特開2002-232050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00-3/52
G01N 21/00-21/958
G01B 9/02-9/029
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバセグメント(4)を、共振キャビティを構成し、且つ検出される化学物質に接触するように構成された面(6)を有する測定要素(5)と共に含む、化学物質を検出するための光ファイバ測定プローブであって、
前記光ファイバセグメント(4)が、少なくともその長さの一部に沿ってキャピラリ(11)内に含まれ、前記キャピラリ(11)の第1の末尾部分が前記測定要素(5)に連結され、一方、前記キャピラリ(11)の他の部分が前記光ファイバセグメント(4)上に締め付けられており、
前記キャピラリ(11)が少なくとも5mmの長さを有し、
前記光ファイバセグメント(4)及び前記測定要素(5)が、それらの間に残留キャビティ(7)しか存在しないように一緒に押し合っており、
前記残留キャビティ(7)の光学長a×nと前記測定要素(5)の光学長b×nの比が、0より大きく且つ0.4以下であることを特徴とする光ファイバ測定プローブ。
【請求項2】
前記測定要素(5)が、検出される前記化学物質への付着力のある物質で少なくとも部分的に覆われた前記面(6)を有することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ測定プローブ。
【請求項3】
前記測定要素(5)が、検出される前記化学物質に曝されると光学パラメータを変化させる物質で少なくとも部分的に覆われた前記面(6)を有することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ測定プローブ。
【請求項4】
前記測定要素(5)が、検出される前記化学物質に曝されると付着力を失う物質で少なくとも部分的に覆われた前記面(6)を有することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ測定プローブ。
【請求項5】
前記測定要素(5)が、ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、ZBLANガラス、及びポリマーを含む群から選択された物質を含む材料で製作されたタイルであることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ測定プローブ。
【請求項6】
前記キャピラリ(11)の内部の前記光ファイバセグメント(4)の端部が、斜面になっており、前記光ファイバセグメント(4)の軸に対して4°~20°の範囲内の角度だけ傾けられていることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ測定プローブ。
【請求項7】
第1の側から前記残留キャビティ(7)を閉じ込める前記光ファイバセグメント(4)の第1の表面からの反射率Rと、反対側から前記残留キャビティ(7)を閉じ込める前記測定要素(5)の第2の表面からの反射率Rとが、次の条件、
【数1】
を満たすことを特徴とする請求項に記載の光ファイバ測定プローブ。
【請求項8】
前記光ファイバ測定プローブが、前記測定要素(5)が配置されている側とは反対側の前記光ファイバセグメント(4)の端部に設けられたコネクタを有することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ測定プローブ。
【請求項9】
前記光ファイバセグメント(4)が、2つ以上のコア(9.1,9.2,9.3)を有することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ測定プローブ。
【請求項10】
光源(1,1.1,1.2,1.3)、検出器(2,2.1,2.2,2.3)、及び前記光源(1,1.1,1.2,1.3)と前記検出器(2,2.1,2.2,2.3)との間に配列された光路を含んでおり、
さらに前記検出器(2,2.1,2.2,2.3)と前記光源(1,1.1,1.2,1.3)とが接続される光分割要素(3,3.1,3.2,3.3)及び前記光路の一部である光ファイバ測定プローブ(13)を含む、化学物質を検出するための干渉計光ファイバセンサであって、
前記光ファイバ測定プローブ(13)が、請求項1~9のいずれか1つに記載の光ファイバ測定プローブであることを特徴とする干渉計光ファイバセンサ。
【請求項11】
前記光ファイバ測定プローブ(13)の前記光ファイバセグメント(4)が、マルチコアファイバセグメントであり、前記光路の一部であるファンイン/ファンアウト(8)に接続されており、干渉計が、第1の光分割要素(3.1)を介して前記ファンイン/ファンアウトデバイス(8)に接続された第1の光源(1.1)及び第1の検出器(2.1)と、第2の光分割要素(3.2)を介して前記ファンイン/ファンアウトデバイス(8)に接続された第2の光源(1.2)及び第2の検出器(2.2)とを有することを特徴とする請求項10に記載の干渉計光ファイバセンサ
【請求項12】
光路を備え、前記光路に含まれる検出器(2,2.1,2.2,2.3)、光源(1,1.1,1.2,1.3)及び光ファイバ測定プローブ(13)を有しており、検出対象の化学物質に光を導く干渉計光ファイバセンサを使用して、事前定義された干渉縞のシフトが前記検出器(2,2.1,2.2,2.3)上で観察された場合に、前記化学物質が検出されたと見なす、化学物質を検出する方法であって、
前記干渉計光ファイバセンサは、請求項10又は11に記載の干渉計光ファイバセンサであことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ及び光ファイバプローブをもつ干渉計光ファイバセンサを使用する化学物質の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温度、歪み又は物質の検出などの測定パラメータのための干渉計光ファイバセンサが当技術分野で知られている。
【0003】
国際特許出願公開第WO2018106134号は、検出されるべき物質と相互作用するように構成された活性物質で覆われた1つのアームをもつマイケルソン干渉計を含む干渉計光ファイバセンサを開示している。この相互作用の結果は、活性物質の厚さ若しくは光学的厚さ、測定アームの端部での屈折率又は減衰の変化である。そのような干渉計光ファイバセンサを使用して、測定アームを囲む環境内の物質の存在を検出することができる。特に、測定アームを未知の物質に浸漬して、この物質が事前定義された1つ又は複数の物質を含むかどうかを検出することができる。活性物質は、検出される1つの物質のみと又は検出される一群の物質と反応するように選択することができる。検出方法は、環境又は未知の物質と接触する前、及び環境又は未知の物質と接触した後の干渉縞の観測からなる。事前定義の物質の存在は、干渉縞の特定のシフトが検出された場合に検出される。
【0004】
当技術分野では、干渉計センサの他の構成も知られている。ファブリペロー干渉計は、いわゆるマルチビーム干渉計のうちの1つであり、光波の検査に使用され、2つの平行で部分的に透明なミラー間での光ビームの多重反射の現象を利用する。
【0005】
そのような構造の一例は、一例としての役割を果たすことができるEP3054272の説明に開示されている燃料レベルセンサであり、光キャビティが、半導体材料、例えばガリウム砒素により光ファイバに製作されている。光キャビティがダイアフラムの下面に取り付けられ、キャビティ上のダイアフラムの圧力の変化から生じる寸法の変化により、その結果を燃料リザーブの状態として解釈することが可能になる。
【0006】
米国特許出願公開第2005254062号は、分析物の存在、量、又は結合率を検出するための干渉計センサ及び方法を開示している。センサは、ファブリペロー構成で機能し、光源、検出器を有し、それらの間の光路は、光分割要素と測定要素プローブとを含み、光ファイバは、空隙を介して第1及び第2の光学要素に光を送り出す。第2の光学要素は、分析物を結合させることができる物質で覆われる。分析物は、反射光のスペクトルを観測することにより分析される。文書は、特定の物質(分析物、特に抗原)の検出及び測定を可能にする多数の用途を開示している。この開示には欠点がないわけではない。それは、第1及び第2の光学要素の製造の高精度と、特に空隙の正確な定義付けとを必要とする。プローブが反復可能であること、及びスペクトルの変化が適切に観察されることは、オプションでない要件である。それは、数学モデルを複雑にするという代償を払うことになる。プローブの取替はまた、その製造と同様に問題である。
【発明の概要】
【0007】
国際公開第2013/139783号には、光源と、検出器と、光源及び検出器の間に配置された光路とを含む化学物質を検出するための干渉光ファイバセンサが開示されている。該干渉光ファイバセンサは、さらに、検出器及び光源が接続される光分割要素、並びに、光ファイバセグメントを含み、面を有し共振キャビティを構成する測定要素を備える。光ファイバセグメント及び測定要素は、それらの間にキャビティができるようにスプライシングによって融合されている。光ファイバセグメントは、少なくとも部分的にキャピラリ内に含まれている。キャピラリの第1の末尾部分が測定要素と連結され、他方の部分がファイバセグメントに接合されている。当技術分野で知られているセンサは、大量生産が困難であり、パラメータを再現することが困難であり、少量のサンプルでは少し扱いにくい。他方、液面センサのような産業用センサは、満たされた特定の条件に関する限定された情報しか提供しない。その結果、大量の再現可能なテスト及び検査に適用することができるセンサが必要である。本発明の目的は、上記の最先端技術の欠点がない、干渉計光ファイバセンサ、光ファイバプローブ、及びそれを使用する方法を提供することである。
【0008】
化学物質を検出するための本発明による干渉計光ファイバセンサは、光源、検出器、及び光源と検出器との間に配列された光路を含む。干渉計光ファイバセンサは、さらに、検出器及び光源が接続される光分割要素及び光ファイバセグメントを、共振キャビティを構成し、且つ検出される化学物質と接触するように構成された面を有する測定要素と共に含む。光ファイバセグメント及び測定要素は、それらの間に残留キャビティしか存在しないように一緒に押し合っている。光ファイバセグメントは、少なくともその長さの一部に沿って、キャピラリ内に含まれる。キャピラリの第1の末尾部分は測定要素に連結され、一方、キャピラリの他方の部分は光ファイバセグメント上に締め付けられ、その結果、キャピラリ、光ファイバセグメント、及び測定要素は、一緒に、光路の一部である光ファイバ測定プローブを構成する。キャピラリの長さは少なくとも5mmである。キャピラリによる光ファイバセグメントの締め付けが測定要素から少なくとも5mmである。センサのそのような構造の肯定的な結果は、計算において残留キャビティを無視できることである。それは、測定結果への影響が低く、安定で再現可能な方法での製造を容易にする。5mm以上のキャピラリの長さにより、残留キャビティのパラメータがプロセスにおいて影響されないように光ファイバセグメント上に締め付ける点を残留キャビティから十分遠くに離すことが可能になる。その結果、本発明によるセンサは、測定要素の面の表面によって構成された単一の測定共振キャビティを有すると見なすことができる。それは、線形測定と、測定結果の簡単な解釈とをもたらす。キャピラリをもつプローブは、カットし新しいものを溶接することによって、又は光ファイバコネクタを使用することによって容易に取り替えることができる。センサは、特に、アセトン、冷媒、エタノール蒸気、塩酸、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、アリルアミン、タンパク質、バイオマーカ、及び抗原を含む群の内の物質を検出することに適用可能であるが、それだけではない。本発明の追加の利点は、検出される物質が、光ファイバの前にある測定要素の面と相互作用することである。この構成は、検出される物質が光ファイバ又は測定要素の側面と相互作用するプローブと比較して測定ダイナミクスを改善する。
【0009】
有利には、残留キャビティの光学長a×nと測定要素の光学長b×nの比は、0より大きく且つ0.4以下である。共振キャビティと残留キャビティの長さの比を0より大きく且つ0.4以下に規定すると、干渉縞の周波数が高くなり、分析が簡単になる。この比により、分析で単一キャビティモデルを使用することがより容易になる。残留キャビティからの反射信号のスペクトルは、測定要素によって形成されたキャビティから生じる測定信号のスペクトルよりもはるかに広い。数学モデルでは、それは、異なる周期を有する2つの正弦波信号の乗算に対応する。所与の比を規定することにより、残留キャビティから生じるスペクトルへの影響を一定と見なし、それを無視することがより容易になる。
【0010】
有利には、測定要素は、検出される物質への付着力のある物質で少なくとも部分的に覆われた面を有する。この構成により、検出される物質のサンプルを捕捉することが容易になる。
【0011】
代替として、測定要素は、検出される物質に曝されると付着力を失う物質で少なくとも部分的に覆われた面を有する。この構成物質において、事前定義された物質への測定要素の面の曝露の結果を検出し、その結果、物質自体を検出することが可能である。
【0012】
代替として、測定要素は、検出される物質に曝されると光学パラメータを変化させる物質で少なくとも部分的に覆われた面を有する。それぞれの特定の検出される物質及び相互作用する多数の物質をもつカバーを適用することにより、同じ検出器及び光源を用いて1回の測定で多数の物質を検出することが可能になる。物質の付着/脱離、測定要素の面上の物質のパラメータの変化、又は外部要因への曝露後の要素自体のパラメータの変化は、干渉計の光路の長さを変化させる。結果において、干渉縞のシフトを観察することができる。
【0013】
測定要素は、有利には、ガラス、石英ガラスSiO、鉛ガラス、ZBLANガラス、及びポリマーを含む群から選択された物質を含む材料で製作されたタイルである。
【0014】
光ファイバセグメントは、有利には、検出器の動作範囲内で単一モードファイバである。
【0015】
キャピラリの内部の光ファイバセグメントの端部は、有利には、斜面になっており、光ファイバセグメントの軸に対して4°~20°の範囲内の角度で傾斜している。最良の効果は、7°~8°の範囲で得られた。
【0016】
第1の側から残留キャビティを閉じ込める光ファイバセグメントの第1の表面は反射率Rを有し、反対側から残留キャビティを閉じ込める測定要素の第2の表面は反射率Rを有し、反射率は、有利には、次の条件、
【数1】
を満たす。
【0017】
有利には、光ファイバセグメントは、マルチコアファイバセグメントであり、光路中にあるファンイン/ファンアウトデバイスに接続され、干渉計は、第1の光分割要素を介してファンイン/ファンアウトデバイスに接続された第1の光源及び第1の検出器と、第2の光分割要素を介してファンイン/ファンアウトデバイスに接続された第2の光源及び第2の検出器とを有する。この構成により、異なる波長でのシフトを同時に観察すること及び検出の感度及び特異性を改善すること、又は2つの異なる物質を同時に検出することが可能になる。
【0018】
有利には、干渉計は、第3の光分割要素を介してファンイン/ファンアウトデバイスに接続された第3の光源及び第3の検出器をさらに有する。様々な波長で動作する多数の光源及び検出器を適用すると、感度及び特異性がさらに改善されるが、しかしなお、センサの複雑さが高くなることに結びつく。
【0019】
有利には、少なくとも1つの光源は、以下のものを含む群から選択される。
・スーパコンティニューム光源、
・400~700nmの波長範囲内の光を放出するハロゲンランプ、
・1310nmの中心波長を有するスーパールミネッセントダイオード、
・1400nmの中心波長を有するスーパールミネッセントダイオード、
・1450nmの中心波長を有するスーパールミネッセントダイオード、
・1550nmの中心波長を有するスーパールミネッセントダイオード、
・1310~1550nmの範囲内に中心波長を有し、20nm以上の範囲内で調整可能な狭帯域光源。
【0020】
一般に、良好な結果は、400~1600nmの波長の範囲内で作動する光源で得られた。光源と、検出される物質と測定要素の面の相互作用の機構とを選択すると、選択された光源に対応する所望の波長で縞を得るように測定要素の長さを選択することが容易になり、その結果、干渉縞のシフトを容易に観察することができる。
【0021】
光ファイバ測定プローブは、本発明による、光ファイバセグメントと、物質と接触する面を有する測定要素とを含み、光ファイバセグメント及び測定要素は、それらの間に残留キャビティしか存在しないように一緒に押し詰められ、光ファイバセグメントは、少なくともその長さの一部に沿って、キャピラリ内に含まれ、キャピラリの第1の末尾部分は測定要素に連結され、一方、キャピラリの他方の部分は光ファイバセグメント上に締め付けられる。本発明によるプローブは、光源及び検出器から遠く離して配置することができる。それは、容易に取り替えることができる。それは、容易に滅菌され、その後の使用に適応することができる。キャピラリは、少なくとも5mmの長さを有する。キャピラリによる光ファイバセグメントの締め付けは、測定要素から少なくとも5mmである。
【0022】
有利には、残留キャビティの光学長a×nと測定要素の光学長b×nの比は、0より大きく且つ0.4以下である。共振キャビティと残留キャビティの長さの比を0より大きく且つ0.4以下に規定すると、干渉縞の周波数が高くなり、分析が簡単になる。この比により、分析で単一キャビティモデルを使用することがより容易になる。測定縞は、残留キャビティから生じるものよりもはるかに狭い。
【0023】
有利には、測定要素は、検出される物質への付着力のある物質で少なくとも部分的に覆われた面を有する。この構成により、検出されるべき物質のサンプルを捕捉することが容易になる。
【0024】
代替として、測定要素は、検出される物質に曝されると付着力を失う物質で少なくとも部分的に覆われた面を有する。この構成物質において、事前定義された物質への測定要素の面の曝露の結果を検出し、その結果、物質自体を検出することが可能である。
【0025】
代替として、測定要素は、検出される物質に曝されると光学パラメータを変化させる物質で少なくとも部分的に覆われた面を有する。それぞれの特定の検出されるべき物質と相互作用する多数の物質をもつカバーを適用することにより、同じ検出器及び光源を用いて1回の測定で多数の物質を検出することが可能になる。物質の付着/脱離、測定要素の面上の物質のパラメータの変化、又は外部要因への曝露後の要素自体のパラメータの変化は、干渉計の光路の長さを変化させる。結果において、干渉縞のシフトを観察することができる。
【0026】
測定要素は、有利には、ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、ZBLANガラス、及びポリマーを含む群から選択された物質を含む材料で製作されたタイルである。
【0027】
キャピラリの内部の光ファイバセグメントの端部は、有利には、斜面になっており、光ファイバセグメントの軸に対して4°~20°の範囲内の角度だけ傾けられている。
【0028】
第1の側から残留キャビティを閉じ込める光ファイバセグメントの第1の表面は反射率Rを有し、反対側から残留キャビティを閉じ込める測定要素の第2の表面は反射率Rを有し、反射率は、有利には、次の条件、
【数2】
を満たす。
【0029】
有利には、キャピラリ内の媒体の屈折率nと、測定要素の材料の屈折率nとの間の差は、30%よりも大きい、すなわち、
【数3】
である。
【0030】
光ファイバ測定プローブは、有利には、測定要素が配置されている側とは反対側の光ファイバセグメントの端部に設けられたコネクタを有する。
【0031】
有利には、測定プローブの光ファイバセグメントは、2つ以上のコアを有する。それは、多数の検出器及び/又は光源をもつ干渉計内でプローブを使用できるようにし、それにより、より良好な感度及び特異性が提供される。
【0032】
光路を有し、光路に含まれる検出器、光源、及び光ファイバ測定プローブを備え、検出される物質に光を導く本発明による干渉計を使用して化学物質を検出する方法は、事前定義された干渉縞のシフトが検出器上で観察された場合に、物質が検出されたと見なすことを特徴とする。測定要素は共振キャビティを構成するので、波長ドメインで干渉縞を表示することが可能である。キャビティの外面に物質が付着した場合、又は既に付着している物質の厚さが増加した場合、干渉縞は、長波長側にシフトする。シフトの大きさを使用して、厚さの変化を決定することができる。代替として、層が脱離された場合、干渉縞は短波長側に移動し、厚さの減少を決定することができる。
【0033】
本発明の実施形態が、以下の図を参照して、以下で詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1a】本発明の第1、第2及び第3の実施形態による干渉計光ファイバセンサのブロック図である。
図1b】本発明の一実施形態によるプローブの構成を概略的に示す図である。
図1c】本発明の別の実施形態によるプローブの構成を概略的に示す図である。
図1d】本発明のさらなる別の実施形態によるプローブの構成を概略的に示す図である。
図2a】本発明の第1の実施形態におけるテスト対象の物質への曝露による干渉縞のシフトを示す図である。
図2b】本発明の第1の実施形態におけるテスト対象の物質への曝露による干渉縞のシフトを示す図である。
図3】マルチコア(3コア)ファイバを用いた本発明の第4の実施形態によるセンサのブロック図である。
図4】この3コアファイバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[実施例1]
この実施形態の干渉計のブロック図が、図1aに提示される。光源1を構成する1400nmの中心波長及び50nmに等しい半値全幅をもつスーパールミネッセントダイオードが、単一モード光ファイバによって、分割要素3を構成するサーキュレータの第1のポートC.1に接続される。本発明による測定プローブ13が、第2のサーキュレータポートC.2に単一モードの光ファイバ(光ファイバセグメント)4の端部により接続される。測定プローブ13の構造において、光ファイバ4の他方の端部は、石英ガラスキャピラリ11内に封入され、スプライシングによってキャピラリ11に取り付けられた測定要素5に押し付けられる。
【0036】
代替として、キャピラリは、測定要素5にクランプされてもよい。
【0037】
キャピラリ内にある光ファイバ4の端部は、角度α=8°でカットされる。その結果、光ファイバ4の端部と測定要素5との間に、a=0μmからa=2μmの実効幅をもつ残留キャビティ7を形成する空隙が存在する。測定要素5の長さは、20μmである。
【0038】
さらなるテストにより、反射信号の減衰の効果が、4°~20°のカット角度の全範囲である程度得られることが示された。
【0039】
サーキュレータの第3のポートC.3に、本発明のこの実施形態で検出器2として使用される光スペクトルアナライザが接続される。
【0040】
光源1からの光は、分割要素3を構成するサーキュレータを通って、光ファイバ4に到達し、幅「a」の空隙を通って、面6を有する測定要素5に到達する。このようにして、ファブリペロー干渉計が得られる。検出器2で、スペクトルドメインの干渉縞を観察することができる。縞及び/又はコントラストのシフトは、光路に沿って形成されたキャビティのパラメータの変化に依存する。実際には、測定要素5の面6と、測定要素5の反対側の端部との間に確立されたキャビティの境界の表面の変化が、測定に有用である。光路が1つのキャビティのみを含む場合、最良の結果が得られる。各接続と、媒体の各境界とは、追加のキャビティを導入する。本発明による干渉計の構造では、キャビティの数が限定される。残留キャビティ7は、小さいサイズのために無視できる。さらに、光ファイバ4の端部の斜めカットと、キャビティの境界の反射率の適切な比の提供とにより、測定結果への寄与は制限される。
【数4】
ここで、
- Rは、光ファイバの端部からの反射係数であり、
- Rは、キャピラリに面する測定要素の表面からの反射率である。キャピラリ内の媒体の屈折率nと、測定要素の材料のnとの間の差は、30%より大きく、即ち、
【数5】
であり、それは、測定のより良好なダイナミクスを可能にする。
【0041】
測定要素5は、20μmの高さをもつガラスシリンダの形態のタイルである。測定要素5の面6は、約1.33の屈折率をもつペルフルオロ化ポリマーで被覆される。被覆は、測定要素5をポリマー溶液に浸漬することによって行われる。1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタンのような炭素、塩素、及びフッ素の化合物である検出物質(冷媒)に面6を曝した結果として、ポリマーの層が膨潤する。この構成では、膨潤は、物質厚さの10nmの変化に寄与し、それは、1410nmの近傍での0.6nmの干渉縞のシフト(冷媒への測定要素の曝露の前後の波長の関数としての反射率S11を示す図2a及び図2bに示されるように)に対応する。
【0042】
図2a及び図2bに示されている得られたスペクトルプロットに基づいて、面6を覆うと共に、厚みを変化させる層の厚みが決定される。
【0043】
第1のステップは、測定物質への曝露の前の測定中に隣接する干渉縞の波長の差を決定することによって、測定要素5の厚さを測定することである。これらの縞が、図2aに示される。したがって、干渉計の較正は、干渉計の光路の差を決定し、測定要素5の表面によって形成されるキャビティの屈折率を考慮し、光信号がキャビティを2回通過することを考慮に入れることによって実行される。
【0044】
次に、面6が測定物質に曝露され、干渉縞のうちの1つが分析される。曝露の前後の縞に対応する波長の差が決定される。図2bは、曝露の前後の縞を示す。測定要素5の面6に取り付けられた層の厚さの変化のために、縞のシフトが生じた。
【0045】
曝露の前後の前記干渉縞に対応する波長の差を決定した後、測定要素5の面6を覆う層の屈折率が分かると、層厚さの変化ΔLが次の式により計算される。
【数6】
ここで、
、nは、それぞれ、測定要素5の厚さ及び屈折率を表し、
、nは、それぞれ、測定要素5の面6を覆うペルフルオロ化ポリマーの層の厚さ及び屈折率を表し、
λは、層の膨潤の前後の分析された縞の波長であり、
Δλは、層の膨潤の前後の分析された干渉縞の波長の差である。
【0046】
干渉縞の波長の変化Δλが長波長側の範囲(0.1nm、16.8nm)にある場合、冷媒の検出が認められる。この範囲は、実験的に選択された。本発明の他の実施形態では、他の範囲及び他の活性物質が、他の物質を検出するための選択に適している。選択は、ルーチンテストで行うことができる。当業者は、他の活性物質を容易に提案し、適切な範囲を測定することができる。
【0047】
本実施形態において、本発明による測定プローブ13の構成により、残留光キャビティ7を効果的に短くすることができる。測定プローブ13が、図1bに概略的に示される。光ファイバ4の端部と測定要素5とは、断面がUセクションを有するガラスキャピラリに配置される。光ファイバ4の端部は、20°の角度でカットされ、測定要素5に押し付けられる。キャピラリは、測定要素5と光ファイバ4の両方の端部で溶接することによって封止される。キャピラリ11と光ファイバ4との接続点は、層の1つの反射の偶発的な増加を防止するために、残留光キャビティ7から遠くに離されるべきである。これは、5mm長のキャピラリ11を使用して達成された。
【0048】
[実施例2]
本発明の第2の実施形態による干渉計が、図1aに示された同じブロック図に従って製作された。光源1は、50nmの範囲で調整可能で1550nmの中心波長をもつ狭帯域チューナブル光源である。光源1は、単一モードファイバを介してサーキュレータの第1のポートC.1に接続される。測定プローブ13は、サーキュレータの第2のポートC.2に接続される。
【0049】
本発明のこの実施形態による測定プローブが、図1cに概略的に示される。測定プローブは、干渉計の光路中に相互接続され、単一モードの光ファイバ4の端部には、図に示されていないコネクタが設けられている。光ファイバ4の他方の端部は、キャピラリ11で囲まれ、測定要素5に押し付けられる。キャピラリに収容された光ファイバ4の端部は、8°の角度でカットされる。キャピラリ11と測定要素5との間で溶接が行われる。その結果、光ファイバ4の端部と測定要素5との間に、実効幅a=2μmの残留キャビティ7を形成する空隙が存在する。測定要素5の長さは、b=20μmである。測定要素5の面6は、実施例1と同じ物質で覆われる。
【0050】
検出器2は、サーキュレータの第3のポートC.3に接続される。
【0051】
[実施例3]
本発明の第3の実施形態による干渉計のブロック図は、第1及び第2の実施形態と同じである。それが、図1aに示される。400μm~700μmの波長範囲の光を放出するハロゲンランプである光源1が、複屈折光ファイバ(偏光と、光源1の動作波長帯域での単一モードとを維持する)によって、サーキュレータの第1のポートC.1に接続される。偏光を維持するサーキュレータは、分割要素3の機能を有する。サーキュレータの第2のポートC.2は、測定プローブ(13)に接続される。測定プローブ13の光ファイバセグメント4は、複屈折性であり、波長λ=550nmで3mmのビート長を有する。それは、偏光を維持し、光源1の波長動作帯域で単一モードである。測定要素(5)は、1.8に等しい屈折率を有する鉛ガラスで製作される。サーキュレータの第3のポートC.3は、検出器2を構成する分光器に接続される。
【0052】
図1dに概略的に示された測定プローブ13は、O形状の断面及び5mmの長さを有するキャピラリ11を含み、その中に、偏光を維持する光ファイバ4のセグメントと、鉛ガラスで製作されたb=200μmの長さを有する測定要素5とが挿入される。この構成で得られる残留キャビティ7は、長さa=0.1μmを有する。
【0053】
代替として、測定要素5は、損失が同様に比較的低いガラス、石英ガラス、鉛ガラス、ZBLANガラス、及びポリマーを含む群から選択された他の物質で製作することができる。
【0054】
石英ガラスは、加工する際に特に都合がよい。石英ガラスを使用して、所望の長さ及び滑らかな表面、並びに互いに平行で軸に垂直な底面を有する円柱状の測定要素5を製造することは都合がよい。
【0055】
検出される物質の測定要素5の面6への付着は、ピラニア溶液、即ち、3:1の体積比で混合された濃硫酸及び30%過酸化水素を含む溶液に面6を入れることによって得られる。このように処理された面6は、十分に活性であり、ポリ(アリルアミン塩酸塩)に曝されたときに1.5の屈折率及び2nm厚を有するポリマーの層を引き寄せ、それで覆われる。
【0056】
鉛ガラスの表面には、化学結合O-Si-O-Si-Oがある。ピラニア溶液に曝された後、構造Si-O-Siは、極性のより強い2×Si-OHに変換され、その結果、表面へのイオンポリマーの付着がより容易になる。
【0057】
測定要素5の面6に対する1.5の屈折率を有する2nmの物質の層は、550nmの波長で5pmのスペクトル屈折干渉縞のシフトをもたらす。その結果、この実施形態のセンサは、ポリ(アリルアミン塩酸塩)の検出に適用することができ、それの存在は、スペクトル干渉縞が長波長側に2pmと0.2nmとの間の値だけシフトするときに認められる。
【0058】
[実施例4]
図3には、本発明の第4の実施形態のブロック図が示される。ファイバ4のマルチコアセクションをもつ測定プローブ9を使用することにより、光源の異なる波長のスペクトルを同時に観察することが可能になる。本実施例では、3コア光ファイバが、図4に断面で概略的に示されており、3つの光源のセットが示されている。
【0059】
光源(1.1,1.2,1.3)のセットでは、それぞれ、1310nm、1450nm及び1550nmの波長、並びに50nm全幅をもつ3つの広スペクトルスーパールミネッセントダイオードが使用された。光源の各々は、反射測定の構成で、サーキュレータ3.1,3.2,3.3を介してそれに接続された検出器2.1,2.2,2.3に接続される。検出器2.1,2.2,2.3として、スペクトロメータが使用された。サーキュレータ3.1,3.2,3.3のフリーポートは、ファンイン/ファンアウトデバイス8のポートに接続され、これらのポートは、測定プローブ9の光ファイバ4の3コアセクションのコアに接続される。
【0060】
測定要素5は、長さb=50μmを有し、ガラスZBLAN(ZrF-BaF-LaF-AlF-NaF)で製作される。ZBLANガラスと入力マルチコア光ファイバ4との間に、空隙(長さa=1μmの残留キャビティ7)が存在する。この構成では、ファブリペロー共振器が、コア9.1,9.2,9.3の各々に対して形成される。
【0061】
測定要素5の面6は、ジクロロメタン中のポリスチレンの1%溶液に浸漬した結果としてアセトンの検出に対して増感される。乾燥後に面6に残っている活性層は、特定の性質を有し、アセトンとの接触の結果として膨潤する。その結果、そのような層を備え付けた本発明によるセンサは、アセトンセンサとして使用することができる。
【0062】
当業者は、本発明のセンサが所望の物質を検出及び測定することができた1300nm~1500nmの範囲での測定を可能にする、他の中波長及び他のスペクトル幅をもつ光源の他のセットを容易に提供することができる。
【0063】
単一モード光ファイバを通る光源からの光は、サーキュレータ3に、次いでファンイン/ファンアウトデバイス8に、そして入力3コア光ファイバ4に導かれる。この光ファイバは、図4に示されるコア9.1,9.2,9.3から設定された三角形の断面及び格子定数Λ=80μmを有する。コア9.1,9.2,9.3は、8.2μmの直径及び0.12の開口数を有する。光ファイバ4から、光は、空気充満残留キャビティ7及び測定要素5に導かれる。測定要素の縁部から反射された光は、光ファイバセグメント4を介して、ファンイン/ファンアウト要素を通って、単一モード光ファイバ及びサーキュレータを通って検出器に戻り、検出器上で、測定要素5の向かい合った端部から反射された光の干渉から生じる干渉縞が観察される。室温でアセトンに浸漬することにより、測定プローブの層の厚さの変化が約200nmだけ生じ、干渉縞が、1550nmの波長の近傍で約6.4nmだけ、1450nmの波長の付近で6nm、1310nmの波長の近傍で約5.4nmだけシフトする。すべての光源波長で得られた干渉縞シフトが0.1nm~8.0nmの範囲内にある場合にアセトンが検出されたことが認識される。このようにして、検出方法の特異性の向上が達成された。
【0064】
ファンイン/ファンアウト要素の使用により、これらの干渉縞の全てのシフトを同時に観察することが可能になる。2つの干渉縞を観察すると、センサの動作の改善(より高い感度及び特異性)が既に得られている。検出物質の一部では、4つ以上のコアをもつファイバと、対応して多数の光源(最大で10個、12個又はそれ以上)とを使用することが望ましい。
【0065】
本発明によるセンサの実施形態では、多数のコアを有するマルチコアファイバセクションと、対応する数の光源及び検出器とを使用することができる。そのようなセンサシステム及び測定プローブは、より複雑となるが、検出物質をより確実に識別する可能性をもたらす。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、光ファイバセクションを測定要素5として使用することができる。測定要素5として光ファイバセグメントを使用することにより、ビームの回析が避けられる(コアが光ファイバ内に存在するために)。光源の帯域幅内で正の分散をもつ光ファイバを使用することにより、非線形現象の発生が避けられる。
【0067】
当業者は、いくつかの状況では、光源と検出器との間の光路の他の有利な変形を、ごく普通に、ただし、特許請求の範囲によって定義される本発明から逸脱することなく、提案することができる。例えば、上述の実施形態で使用されるサーキュレータは、カプラと容易に取り替えることができる。
【0068】
同様に、上述の説明に精通する当業者は、様々な検出物質に対して測定要素5の面6を被覆又は増感する様々な方法を難なく提案すること、並びに光源及び光路の適切な光学パラメータをさらに選択することができる。塩酸への感度は、小さい多孔率及び約1.8の屈折率をもつ石英ガラスで製作された測定要素を準備し、その面をイットリウム酸化物で、例えば、イットリウム酸化物をレーザ昇温し、ガラス上に堆積させることによって覆うことにより得ることができる。分析要素の塩酸との接触により、干渉縞が1550nmの波長で約4nmだけシフトする。
【0069】
当業者はまた、特に、ファイバをスプライスすることによって及び専用の光ファイバのコネクタを使って測定プローブを光路に接続する様々な技法を提案することができる。
【0070】
当業者は、光源帯域に合わせて測定要素の長さを容易に選択し、本説明で述べた光源を様々な代替品で置き換えることができる。発明者らはまた、以下のものを含む様々な光源を首尾よく使用している。
・スーパコンティニューム光源、
・400~700nmの範囲からの光を放出するハロゲンランプ、
・1310nmに中心波長をもつスーパールミネッセントダイオード、
・1400nmに中心波長をもつスーパールミネッセントダイオード、
・1450nmに中心波長をもつスーパールミネッセントダイオード、
・1550nmに中心波長をもつスーパールミネッセントダイオード、
・1310~1550nmの範囲内に中心波長を有し、20nm以上の範囲内で調整可能な狭帯域光源。
【0071】
本発明は、当業者に知られている様々な測定技法を使用して具現化することができる。SLEDダイオード、スーパコンティニューム光源、又はハロゲンなどの広帯域光源を使用することができ、検出器としてスペクトラムアナライザ又はスペクトロメータを使用することができる。代替として、1つのチューナブル光源を使用し、測定中に次の波長に切り替えることができる。この構成では、より単純な検出器を使用することができる。いくつかの検出器を用いて1つの広帯域光信号を分析する可能性があり、又は1つの広帯域検出器で分析するために狭帯域光源のいくつかの光源を用いて1つの広帯域光信号を分析する可能性がある。
【0072】
実施形態は、本発明を説明するものとして、しかし限定するものとしてではなく読まれるべきである。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図3
図4