(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ヒューズユニット
(51)【国際特許分類】
H01H 85/175 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
H01H85/175
(21)【出願番号】P 2021002966
(22)【出願日】2021-01-12
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 政和
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 光彦
(72)【発明者】
【氏名】青島 章裕
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-245001(JP,A)
【文献】特開2007-288934(JP,A)
【文献】実開昭51-134162(JP,U)
【文献】特開2010-043720(JP,A)
【文献】特開2011-258488(JP,A)
【文献】特開平06-084447(JP,A)
【文献】特開2010-192329(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0056877(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00 - 87/00
H01R 4/24 - 4/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに導通接続されることになるバッテリ側接続部と、外部負荷に導通接続されることになる負荷側接続部と、を備えるヒューズユニットであって、
前記バッテリ側接続部は、
前記バッテリから電力を入力可能な入力部と、前記入力部に入力された電力を出力可能な出力部と、前記入力部と前記出力部との間に設けられるヒューズ部と、を有し、
前記負荷側接続部は、
前記出力部から出力された電力を入力可能な接点部と、前記接点部から延びるとともに前記外部負荷に繋がる外部端子を締結するためのボルト部と、を有し、
前記バッテリ側接続部と前記負荷側接続部とは、
互いに独立した部材であり、前記ボルト部が前記出力部を貫通し且つ前記接点部が前記出力部に接触した状態にて、前記ボルト部を介して前記外部端子、前記出力部及び前記接点部を共締めすることにより、前記出力部と前記接点部とが導通接続される、ように構成され
、
前記バッテリ側接続部は、前記入力部、前記出力部及び前記ヒューズ部を一部に有するバスバと一体に成形された樹脂製の第1ハウジングを備え、
前記負荷側接続部は、前記接点部及び前記ボルト部と一体に成形された樹脂製の第2ハウジングを備え、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、
前記ボルト部が前記出力部を貫通した状態にて一体となるように互いに係合する係合構造を、備える、
ヒューズユニット。
【請求項2】
バッテリに導通接続されることになるバッテリ側接続部と、外部負荷に導通接続されることになる負荷側接続部と、を備えるヒューズユニットであって、
前記バッテリ側接続部は、
前記バッテリから電力を入力可能な入力部と、前記入力部に入力された電力を出力可能な出力部と、前記入力部と前記出力部との間に設けられるヒューズ部と、を有し、
前記負荷側接続部は、
前記出力部から出力された電力を入力可能な接点部と、前記接点部から延びるとともに前記外部負荷に繋がる外部端子を締結するためのボルト部と、を有し、
前記バッテリ側接続部と前記負荷側接続部とは、
互いに独立した部材であり、前記ボルト部が前記出力部を貫通し且つ前記接点部が前記出力部に接触した状態にて、前記ボルト部を介して前記外部端子、前記出力部及び前記接点部を共締めすることにより、前記出力部と前記接点部とが導通接続される、ように構成され、
前記バッテリ側接続部及び前記負荷側接続部は、
前記ボルト部が前記出力部を貫通した状態にて一体となるように互いに係合する係合構造を、更に備え、
前記係合構造は、
前記出力部の厚さ方向の一方側から前記ボルト部を前記出力部に貫通させる場合、及び、前記厚さ方向の他方側から前記ボルト部を前記出力部に貫通させる場合、の双方において、前記バッテリ側接続部と前記負荷側接続部とを係合可能である、ように構成される、
ヒューズユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のヒューズユニットにおいて、
前記係合構造は、
前記厚さ方向に沿って延びる突条形状のレール部と、前記レール部を受け入れて前記厚さ方向に案内するレール溝部と、を有する、
ヒューズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと外部負荷とを電気的に接続する際に用いられるヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用バッテリ等に用いられるヒューズユニットが提案されている。例えば、従来のヒューズユニットの一つは、バッテリ上面の柱状端子(いわゆるバッテリポスト)が接続される入力部と、外部負荷に繋がる電線の端末にある外部端子が接続される出力部と、前記入力部と前記出力部とを繋ぐバスバに設けられるヒューズ部と、を一纏めに樹脂筐体にインサート成形した構造を有している(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-258488号公報
【文献】特開2007-288934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した種類のヒューズユニットは、一般に、ヒューズユニットが搭載される車両の仕様ごとに異なる構造を有する。例えば、接続先の外部負荷に供給すべき電力の大小に応じて、ヒューズ部の構造(換言すると、定格電流値の大小)が相違する場合がある。更に、例えば、外部負荷とヒューズユニットとの位置関係に応じて(例えば、車両が右ハンドル車であるか左ハンドル車かにより)、ヒューズユニットの定格電流値等の機能自体は同じであっても、ヒューズユニットの形状が相違する場合がある。このような相違に起因し、多種多様な車両の仕様ごとに、多数の品番のヒューズユニットを準備することになる。ヒューズユニットの製造の合理化等の観点から、車両の仕様が異なっても、ヒューズユニットを出来る限り共通化することが望ましい。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒューズユニットが用いられる車両等の仕様が異なっても出来る限り共通化が可能なヒューズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るヒューズユニットは、下記[1]~[3]を特徴としている。
[1]
バッテリに導通接続されることになるバッテリ側接続部と、外部負荷に導通接続されることになる負荷側接続部と、を備えるヒューズユニットであって、
前記バッテリ側接続部は、
前記バッテリから電力を入力可能な入力部と、前記入力部に入力された電力を出力可能な出力部と、前記入力部と前記出力部との間に設けられるヒューズ部と、を有し、
前記負荷側接続部は、
前記出力部から出力された電力を入力可能な接点部と、前記接点部から延びるとともに前記外部負荷に繋がる外部端子を締結するためのボルト部と、を有し、
前記バッテリ側接続部と前記負荷側接続部とは、
互いに独立した部材であり、前記ボルト部が前記出力部を貫通し且つ前記接点部が前記出力部に接触した状態にて、前記ボルト部を介して前記外部端子、前記出力部及び前記接点部を共締めすることにより、前記出力部と前記接点部とが導通接続される、ように構成され、
前記バッテリ側接続部は、前記入力部、前記出力部及び前記ヒューズ部を一部に有するバスバと一体に成形された樹脂製の第1ハウジングを備え、
前記負荷側接続部は、前記接点部及び前記ボルト部と一体に成形された樹脂製の第2ハウジングを備え、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、
前記ボルト部が前記出力部を貫通した状態にて一体となるように互いに係合する係合構造を、備える、
ヒューズユニットであること。
[2]
バッテリに導通接続されることになるバッテリ側接続部と、外部負荷に導通接続されることになる負荷側接続部と、を備えるヒューズユニットであって、
前記バッテリ側接続部は、
前記バッテリから電力を入力可能な入力部と、前記入力部に入力された電力を出力可能な出力部と、前記入力部と前記出力部との間に設けられるヒューズ部と、を有し、
前記負荷側接続部は、
前記出力部から出力された電力を入力可能な接点部と、前記接点部から延びるとともに前記外部負荷に繋がる外部端子を締結するためのボルト部と、を有し、
前記バッテリ側接続部と前記負荷側接続部とは、
互いに独立した部材であり、前記ボルト部が前記出力部を貫通し且つ前記接点部が前記出力部に接触した状態にて、前記ボルト部を介して前記外部端子、前記出力部及び前記接点部を共締めすることにより、前記出力部と前記接点部とが導通接続される、ように構成され、
前記バッテリ側接続部及び前記負荷側接続部は、
前記ボルト部が前記出力部を貫通した状態にて一体となるように互いに係合する係合構
造を、更に備え、
前記係合構造は、
前記出力部の厚さ方向の一方側から前記ボルト部を前記出力部に貫通させる場合、及び
、前記厚さ方向の他方側から前記ボルト部を前記出力部に貫通させる場合、の双方におい
て、前記バッテリ側接続部と前記負荷側接続部とを係合可能であるように構成される、
ヒューズユニットであること。
[3]
上記[2]に記載のヒューズユニットにおいて、
前記係合構造は、
前記厚さ方向に沿って延びる突条形状のレール部と、前記レール部を受け入れて前記厚
さ方向に案内するレール溝部と、を有する、
ヒューズユニットであること。
【0007】
上記[1]の構成のヒューズユニットによれば、バッテリ側接続部と負荷側接続部とが、互いに独立した別体の部材である。そのため、例えば、ヒューズユニットが搭載される車両の仕様ごとにバッテリ側接続部の構造が異なる(例えば、ヒューズ部の定格電流値が異なる)場合であっても、負荷側接続部の構造が同一であれば、異なる仕様の車両に対して負荷側接続部を共用できる。逆に、その車両の仕様ごとに負荷側接続部の構造が異なる(例えば、外部負荷とヒューズユニットとの位置関係が異なることで、ボルト部の突出向きを相違させる)場合であっても、バッテリ側接続部の構造が同一であれば、異なる仕様の車両に対してバッテリ側接続部を共用できる。したがって、本構成のヒューズユニットは、ヒューズユニットが用いられる車両等の仕様が異なっても出来る限り共通化が可能である。
【0008】
更に、別の効果として、バッテリ側接続部のヒューズ部が溶断した場合、バッテリ側接続部のみを交換することで、負荷側接続部を再利用することができる。更に、バッテリ側接続部の樹脂筐体を構成する樹脂材料と、負荷側接続部の樹脂筐体を構成する樹脂材料と、を各々に求められる温度特性や強度等に応じて異ならせることができる。
【0009】
上記[2]の構成のヒューズユニットによれば、バッテリ側接続部と負荷側接続部とを係合構造を用いて一体化することで、ボルト部に外部端子を取り付ける(即ち、共締めする)までの間、バッテリ側接続部と負荷側接続部とを仮固定することができる。これにより、ボルト部に外部端子を取り付ける作業の作業性が向上する。更に、出力部の厚さ方向の一方側および他方側の(換言すると、出力部のおもて側および裏側の)何れの向きからボルト部を貫通させる場合でも、バッテリ側接続部と負荷側接続部とを係合可能である。これにより、両者の係合構造を共通化しながら、車両の仕様ごとにボルト部の突出向きを相違させることができる。
【0010】
上記[3]の構成のヒューズユニットによれば、係合構造が、レール部およびレール溝部を更に有する。レール部とレール溝部との案内効果により、バッテリ側接続部と負荷側接続部とを組み付ける作業の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、ヒューズユニットが用いられる車両等の仕様が異なっても出来る限り共通化が可能なヒューズユニットを提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るヒューズユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すヒューズユニットを構成するバッテリ側接続部及び負荷側接続部が分離した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、バッテリ側接続部の左側面図であり、
図3(b)は、バッテリ側接続部の右側面図であり、
図3(c)は、負荷側接続部の前面図である。
【
図4】
図4(a)は、
図1に示すヒューズユニットの左側面図及び右側面図であり、
図4(b)は、バッテリ側接続部及び負荷側接続部の左側の係合構造の
図4(a)のA-A断面に相当する図であり、
図4(c)は、バッテリ側接続部及び負荷側接続部の右側の係合構造の
図4(a)のA-A断面に相当する図であり、
図4(d)は、バッテリ側接続部及び負荷側接続部の左側の係合構造の
図4(a)のB-B断面に相当する図であり、
図4(e)は、バッテリ側接続部及び負荷側接続部の右側の係合構造の
図4(a)のB-B断面に相当する図である。
【
図5】
図5は、負荷側接続部を前後逆向きに組み付けた状態における本実施形態に係るヒューズユニットの斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、
図5に示すヒューズユニットの左側面図及び右側面図であり、
図6(b)は、バッテリ側接続部及び負荷側接続部の左側の係合構造の
図6(a)のC-C断面に相当する図であり、
図6(c)は、バッテリ側接続部及び負荷側接続部の右側の係合構造の
図6(a)のC-C断面に相当する図であり、
図6(d)は、バッテリ側接続部及び負荷側接続部の左側の係合構造の
図6(a)のD-D断面に相当する図であり、
図6(e)は、バッテリ側接続部及び負荷側接続部の右側の係合構造の
図6(a)のD-D断面に相当する図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るヒューズユニットを構成するバッテリ側接続部及び負荷側接続部が分離した状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、
図7に示す変形例に係るヒューズユニットの斜視図であり、
図8(b)は、負荷側接続部を前後逆向きに組み付けた状態における当該変形例に係るヒューズユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るヒューズユニット1について説明する。
図1に示すヒューズユニット1は、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)に取り付けられて使用される。ヒューズユニット1は、バッテリと、車両に搭載された電装品等の外部負荷(図示省略)から延びる電線(図示省略)とを電気的に接続すると共に、電線に定格電流を超える電流が流れたときにバッテリと電線との電気的接続を断つ機能を有する。ヒューズユニット1には、その上面を覆うカバー(図示省略)が取り付けられてもよい。
【0015】
以下、説明の便宜上、
図1~
図8に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。上下方向は、バッテリ及びヒューズユニット1が搭載された車両の上下方向と一致している。
【0016】
図1に示すヒューズユニット1は、略直方体状のバッテリの上面に沿って延びる水平部分と、当該水平部分の前端部から下方に垂下してバッテリの一側面に沿って延びる垂直部分と、からなり、全体として、左右方向からみて略L字状の形状を有している。
【0017】
ヒューズユニット1は、
図1及び
図2に示すように、バッテリに導通接続されることになるバッテリ側接続部2と、外部負荷に導通接続されることになる負荷側接続部3と、を備える。バッテリ側接続部2及び負荷側接続部3は、互いに独立した部材であり、バッテリ側接続部2及び負荷側接続部3が互いに組み付けられることで、
図1に示すヒューズユニット1が構成される。以下、ヒューズユニット1を構成するバッテリ側接続部2及び負荷側接続部3について順に説明する。
【0018】
まず、バッテリ側接続部2について説明する。
図2に示すように、バッテリ側接続部2は、バッテリの上面に沿って延びる水平部分2aと、水平部分2aの前端部から垂下してバッテリの一側面に沿って延びる垂直部分2bと、からなり、全体として、左右方向からみて略L字状の形状を有している。
【0019】
バッテリ側接続部2は、バスバ10と、ハウジング20とを含んで構成される。バスバ10は、板状の金属部材である。ハウジング20は、バスバ10の大部分を覆うように樹脂材料によりバスバ10と一体に成形されたモールド成形体である。
【0020】
バスバ10のうち、単一の入力部11と、複数(本例では、6つ)の出力部12と、複数(本例では、2つ)の第2出力部13と、複数のヒューズ部(図示省略)とが、ハウジング20から露出している。複数のヒューズ部は、入力部11と複数の出力部12の各々とを一対一に電気的に接続し、且つ、入力部11と複数の第2出力部13の各々とを一対一に電気的に接続する部分である。
【0021】
入力部11は、バッテリ(より具体的には、バッテリの上面に設けられたバッテリポストに接続されるバッテリ端子)に接続されることになり、各出力部12は、車両に搭載された電装品から延びる電線の端末に接続された外部端子に接続されることになり、各第2出力部13は、車両に搭載されたオルタネータ等から延びる電線の端末に接続された外部端子に接続されることになる。
【0022】
具体的には、
図2に示すように、入力部11は、水平部分2aの後端部に位置して前後方向及び左右方向に延びる矩形平板状の部分である。入力部11の中央部には、上下方向(板厚方向)に貫通するボルト挿通孔11aが形成されている。入力部11は、ボルト挿通孔11aをバッテリ端子に設けられたスタッドボルト(図示省略)に挿通した状態にて、当該スタッドボルトを介してバッテリ端子に締結固定されることになる。
【0023】
複数の出力部12は、垂直部分2bの下端部にて左右方向に一列に並ぶように配置されており、互いに独立している。各出力部12は、上下方向及び左右方向に延びる矩形平板状の部分であり、その中央部には、前後方向(板厚方向)に貫通するボルト挿通孔12aが形成されている。各出力部12は、ボルト挿通孔12aを、負荷側接続部3の後述するボルト部40に挿通し、更に、対応する電装品から延びる電線の端末に接続された外部端子の貫通孔(図示省略)をボルト部40に挿通した状態にて、ボルト部40を介して当該外部端子および接点部30と共締めされることになる。
【0024】
複数の第2出力部13は、水平部分2aの左右方向両端部に位置しており、互いに独立している。各第2出力部13には、上方に突出するスタッドボルトが設けられている。各第2出力部13には、オルタネータ等から延びる電線の端末に接続された外部端子の貫通孔(図示省略)を当該スタッドボルトに挿通した状態にて、当該スタッドボルトを介して当該外部端子が締結固定されることになる。
【0025】
複数のヒューズ部のうち、複数の出力部12と接続される部分は、垂直部分2bに属し、複数の第2出力部13と接続される部分は、水平部分2aに属している。各ヒューズ部は、対応する出力部12又は第2出力部13に接続される電線に定格電流を超える電流が流れたときに、ジュール熱によって溶断されるように設計されている。各ヒューズ部が溶断されると、入力部11と、対応する出力部12又は第2出力部13との間(即ち、バッテリと、対応する出力部12又は第2出力部13に接続される電線との間)の電気的接続が断たれる。
【0026】
図2、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ハウジング20における垂直部分2bに属する部分(上下方向及び左右方向に延びて左右方向に長い略直方体状の部分)の左右方向両側端面には、一対の係止突起部21と、一対の係止突起部21の下側に位置する一対のレール部22と、が設けられている。一対の係止突起部21には、負荷側接続部3の後述する一対の係止片54の係止孔55の縁が係止され、一対のレール部22は、負荷側接続部3の後述する一対のレール溝部56に案内されることになる。一対の係止突起部21、一対のレール部22、一対の係止片54、及び、一対のレール溝部56は、本発明における「係合構造」を構成している。これら各部材による係合の詳細を、以下に述べる。
【0027】
右側の係止突起部21は、第1係止突起21aと、第1係止突起21aより所定距離だけ下側に位置する第2係止突起21bと、で構成され(
図3(b)参照)、左側の係止突起部21は、第2係止突起21bと、第2係止突起21bより前記所定距離だけ下側に位置する第1係止突起21aと、で構成されている(
図3(a)参照)。
【0028】
右側の第1係止突起21a及び左側の第2係止突起21bが、上下方向の同じ位置に設けられ、右側の第2係止突起21b及び左側の第1係止突起21aが、上下方向の同じ位置に設けられている。換言すれば、右側の第1係止突起21aは、左側の第1係止突起21aより前記所定距離だけ上側に位置し、左側の第2係止突起21bは、右側の第2係止突起21bより前記所定距離だけ上側に位置している。一対の第1係止突起21aは同形であり、一対の第2係止突起21bも同形である。
【0029】
一対の第1係止突起21aの各々は、
図4(c)及び
図4(d)に示すように、左右方向から傾斜するテーパ面23を後側側面に有し、左右方向に沿う係止面24を前側側面に有する。一方、一対の第2係止突起21bの各々は、
図4(b)及び
図4(e)に示すように、左右方向から傾斜するテーパ面23を前側側面に有し、左右方向に沿う係止面24を後側側面に有する。
【0030】
一対のレール部22の各々は、前後方向に延びる突条形状を有している。一対のレール部22は、上下方向の同じ位置に設けられている。一対のレール部22は同形である。
【0031】
次いで、負荷側接続部3について説明する。
図2に示すように、負荷側接続部3は、上下方向及び左右方向に延びて左右方向に長い略矩形平板状の形状を有している。
図1に示すように、負荷側接続部3は、バッテリ側接続部2の垂直部分2bの下端部から更に垂下してバッテリの前記一側面に沿って延びるように、バッテリ側接続部2に組み付けられる。
【0032】
負荷側接続部3は、複数(本例では、6つ)の接点部30と、複数(本例では、6つ)のボルト部40と、ハウジング50とを含んで構成される。接点部30及びボルト部40は、金属部材である。ハウジング50は、樹脂材料により接点部30及びボルト部40と一体に成形されたモールド成形体であり、上下方向及び左右方向に延びて左右方向に長い略矩形平板状の本体部51を有している。なお、ハウジング50を構成する樹脂材料と、バッテリ側接続部2のハウジング20を構成する樹脂材料とは、同じであっても、異なっていてもよい。例えば、比較的高温となるヒューズ部と一体のハウジング20は、耐熱性に優れる高価な樹脂材料で構成し、ハウジング50は、汎用の安価な樹脂材料で構成してもよい。
【0033】
複数の接点部30は、バッテリ側接続部2の複数の出力部12に対応して、本体部51の上端部にて左右方向に一列に並ぶように配置されている。複数の接点部30は、互いに独立している。
図2及び
図3(c)に示すように、各接点部30(の一部である矩形状の平面部)は、本体部51の前端面から露出している。複数のボルト部40の各々は、複数の接点部30の各々から前方に突出するように延びるスタッドボルトである。複数のボルト部40は、バッテリ側接続部2の複数の出力部12に対応して、本体部51の上端部にて左右方向に一列に並ぶように配置されている。
【0034】
ハウジング50の本体部51の前端面には、
図2に示すように、前方に突出し且つ上下方向に延びる複数(7つ)の平板状の隔壁52が、左右方向に並ぶように、且つ、隣接する隔壁52の間に対応するボルト部40がそれぞれ位置するように、設けられている。
【0035】
本体部51の上端部の左右方向両端部には、バッテリ側接続部2の一対の係止突起部21に対応して、
図2に示すように、上方に突出し且つ左右方向に延びる平板状の一対のステー部53が設けられている。
図2及び
図3(c)から理解できるように、一対のステー部53のうち、右側のステー部53の上方への突出長さは、左側のステー部53の上方への突出長さより大きい。
【0036】
一対のステー部53の左右方向両端部には、前方へ突出し且つ上下方向に延びる平板状の一対の係止片54が設けられている。各係止片54は、左右方向に弾性変形可能である。各係止片54には、左右方向に貫通する係止孔55が設けられている。右側の係止片54(係止孔55)は、左側の係止片54(係止孔55)より前記所定距離だけ上側に位置している。
【0037】
本体部51の上端部の左右方向両端部には、バッテリ側接続部2の一対のレール部22に対応して、一対の係止片54より下側の位置にて、一対のレール溝部56が設けられている。各レール溝部56は、左右方向内側に開口し且つ左右方向外側に窪んで前後方向に延びる溝である。一対のレール溝部56は、上下方向の同じ位置に設けられている。一対のレール溝部56は同形である。以上、ヒューズユニット1を構成するバッテリ側接続部2及び負荷側接続部3について説明した。
【0038】
次いで、バッテリ側接続部2に対して負荷側接続部3を組み付ける際の手順について説明する。本例では、バッテリ側接続部2に対して、負荷側接続部3を、ボルト部40が前方に突出する向き(通常の向き)で組み付けることも(
図1~
図4参照)、ボルト部40が後方に突出する向き(前後逆向き)で組み付けることも(
図5及び
図6参照)、可能となっている。
【0039】
まず、負荷側接続部3を「通常の向き」で組み付ける場合について説明する。この場合、
図2に示すように、バッテリ側接続部2を「通常の向き」の負荷側接続部3の前側に配置する。次いで、バッテリ側接続部2及び負荷側接続部3を前後方向に相対的に近づけて、バッテリ側接続部2の複数の出力部12のボルト挿通孔12aを前側から負荷側接続部3の複数のボルト部40にそれぞれ挿通させ、且つ、バッテリ側接続部2の一対のレール部22を負荷側接続部3の一対のレール溝部56に挿入して前後方向に案内させながら、バッテリ側接続部2の一対の係止突起部21の係止面24に、負荷側接続部3の一対の係止片54の係止孔55の縁を係止させる。このように、一対のレール部22と一対のレール溝部56との係り合い、及び、一対の係止突起部21と一対の係止片54との係り合いにより(即ち、これら各部材が構成する係合構造により)、バッテリ側接続部2に対して負荷側接続部3が「通常の向き」で仮固定される(
図1参照)。
【0040】
ここで、「通常の向き」の場合、具体的には、
図4(a)、
図4(c)及び
図4(d)に示すように、一対の係止突起部21のうち一対の第1係止突起21aの係止面24に、負荷側接続部3の一対の係止片54の係止孔55の縁が係止される。即ち、一対の第1係止突起21aのうち相対的に上側に位置する右側の第1係止突起21aの係止面24に、一対の係止片54のうち相対的に上側に位置する右側の係止片54の係止孔55の縁が係止され、一対の第1係止突起21aのうち相対的に下側に位置する左側の第1係止突起21aの係止面24に、一対の係止片54のうち相対的に下側に位置する左側の係止片54の係止孔55の縁が係止される。一対の係止片54は、一対の第1係止突起21aの後側側面に位置する一対のテーパ面23からの押圧による左右方向外側への一時的な弾性変形の後に、左右方向内側に弾性復帰して一対の係止孔55に一対の第1係止突起21aが進入することで、一対の第1係止突起21aの前側側面に位置する一対の係止面24に係止される。
【0041】
このように、バッテリ側接続部2に対して負荷側接続部3が「通常の向き」で仮固定された状態(
図1参照)にて、次いで、バッテリ側接続部2に対して負荷側接続部3を締結固定する。このため、複数の電装品から延びる複数の電線の端末に接続された複数の外部端子の貫通孔(図示省略)を前側から複数のボルト部40にそれぞれ挿通し、複数のボルト部40から延びる複数の電線を、各電線の両側に位置する一対の隔壁52によって下方に案内した状態で、各ボルト部40について、ボルト部40に螺号されたナット(図示省略)を用いて外部端子と出力部12とを規定トルクで共締めする。
【0042】
これにより、各ボルト部40について、ボルト部40が出力部12のボルト挿通孔12aを貫通し且つ接点部30が出力部12に接触した(導通接続した)状態にて、複数の外部端子が複数の出力部12にそれぞれ締結固定されると共に、負荷側接続部3がバッテリ側接続部2に対して締結固定される。これにより、バッテリ側接続部2に対する負荷側接続部3の「通常の向き」での組み付けが完了し、
図1に示すヒューズユニット1が得られる。
【0043】
次いで、負荷側接続部3を「前後逆向き」で組み付ける場合について説明する。この場合、バッテリ側接続部2を「前後逆向き」の負荷側接続部3の後側に配置する。次いで、バッテリ側接続部2及び負荷側接続部3を前後方向に相対的に近づけて、バッテリ側接続部2の複数の出力部12のボルト挿通孔12aを後側から負荷側接続部3の複数のボルト部40にそれぞれ挿通させ、且つ、バッテリ側接続部2の一対のレール部22を負荷側接続部3の一対のレール溝部56に挿入して前後方向に案内させながら、バッテリ側接続部2の一対の係止突起部21の係止面24に、負荷側接続部3の一対の係止片54の係止孔55の縁を係止させる。このように、上記同様、一対のレール部22と一対のレール溝部56との係り合い、及び、一対の係止突起部21と一対の係止片54との係り合いにより(即ち、これら各部材が構成する係合構造により)、バッテリ側接続部2に対して負荷側接続部3が「前後逆向き」で仮固定される(
図5参照)。
【0044】
ここで、「前後逆向き」の場合、具体的には、
図6(a)、
図6(b)及び
図6(e)に示すように、一対の係止突起部21のうち一対の第2係止突起21bの係止面24に、負荷側接続部3の一対の係止片54の係止孔55の縁が係止される。即ち、一対の第2係止突起21bのうち相対的に上側に位置する左側の第2係止突起21bの係止面24に、一対の係止片54のうち相対的に上側に位置する左側の係止片54の係止孔55の縁が係止され、一対の第2係止突起21bのうち相対的に下側に位置する右側の第2係止突起21bの係止面24に、一対の係止片54のうち相対的に下側に位置する右側の係止片54の係止孔55の縁が係止される。一対の係止片54は、一対の第2係止突起21bの前側側面に位置する一対のテーパ面23からの押圧による左右方向外側への一時的な弾性変形の後に、左右方向内側に弾性復帰して一対の係止孔55に一対の第2係止突起21bが進入することで、一対の第2係止突起21bの後側側面に位置する一対の係止面24に係止される。
【0045】
このように、バッテリ側接続部2に対して負荷側接続部3が「前後逆向き」で仮固定された状態(
図5参照)にて、次いで、バッテリ側接続部2に対して負荷側接続部3を締結固定する。このため、複数の電装品から延びる複数の電線の端末に接続された複数の外部端子の貫通孔(図示省略)を後側から複数のボルト部40にそれぞれ挿通し、複数のボルト部40から延びる複数の電線を、各電線の両側に位置する一対の隔壁52によって下方に案内した状態で、各ボルト部40について、ボルト部40に螺号されたナット(図示省略)を用いて外部端子と出力部12とを規定トルクで共締めする。
【0046】
これにより、各ボルト部40について、ボルト部40が出力部12のボルト挿通孔12aを貫通し且つ接点部30が出力部12に接触した(導通接続した)状態にて、複数の外部端子が複数の出力部12にそれぞれ締結固定されると共に、負荷側接続部3がバッテリ側接続部2に対して締結固定される。これにより、バッテリ側接続部2に対する負荷側接続部3の「前後逆向き」での組み付けが完了し、
図5に示すヒューズユニット1が得られる。
【0047】
このように、負荷側接続部3が「通常の向き」又は「前後逆向き」でバッテリ側接続部2に対して締結固定されたヒューズユニット1は、バッテリの上面に設けられたバッテリポストに接続されたバッテリ端子に締結固定される。具体的には、略L字状のヒューズユニット1が、バッテリの上面及び一側面に向かい合うように配置された状態で、バッテリ側接続部2の入力部11のボルト挿通孔11aに、バッテリ端子に設けられたスタッドボルトを挿通し、当該スタッドボルトを介して入力部11がバッテリ端子に締結固定される。
【0048】
更に、バッテリ側接続部2の各第2出力部13に、オルタネータ等から延びる電線の端末に接続された外部端子が締結固定される。具体的には、当該外部端子の貫通孔を第2出力部13に設けられたスタッドボルトに挿通した状態にて、当該スタッドボルトを介して当該外部端子が第2出力部13に締結固定される。
【0049】
これにより、ヒューズユニット1から延びる複数(本例では、6本)の電線が、複数のヒューズ部を介してそれぞれバッテリと電気的に接続される。そして、これらの電線の何れかに定格電流を超える電流が流れたとき、その電線に対応するヒューズ部が溶断されて、その電線とバッテリとの電気的接続が断たれる。
【0050】
なお、上記説明では、バッテリ側接続部2に対する負荷側接続部3の仮固定、及び、電装品から延びる電線の端末に接続された外部端子の出力部12への締結固定の後に、ヒューズユニット1(バッテリ側接続部2)のバッテリへの締結固定、及び、オルタネータ等から延びる電線の端末に接続された外部端子の第2出力部13への締結固定、がなされている。これに対し、バッテリ側接続部2に対する負荷側接続部3の仮固定、及び、電装品から延びる電線の端末に接続された外部端子の出力部12への締結固定の前に、ヒューズユニット1(バッテリ側接続部2)のバッテリへの締結固定、及び、オルタネータ等から延びる電線の端末に接続された外部端子の第2出力部13への締結固定、がなされてもよい。
【0051】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るヒューズユニット1によれば、バッテリ側接続部2と負荷側接続部3とが、互いに独立した別体の部材である。そのため、例えば、ヒューズユニット1が搭載される車両の仕様ごとにバッテリ側接続部2の構造が異なる場合であっても、負荷側接続部3の構造が同一であれば、異なる仕様の車両に対して負荷側接続部3を共用できる。したがって、本実施形態に係るヒューズユニット1は、ヒューズユニット1が用いられる車両等の仕様が異なっても出来る限り共通化が可能である。
【0052】
更に、別の効果として、バッテリ側接続部2のヒューズ部が溶断した場合、バッテリ側接続部2のみを交換することで、負荷側接続部3を再利用することができる。更に、バッテリ側接続部2の樹脂筐体を構成する樹脂材料と、負荷側接続部3の樹脂筐体を構成する樹脂材料と、を各々に求められる特性に応じて異ならせることができる。
【0053】
更に、本実施形態に係るヒューズユニット1によれば、バッテリ側接続部2と負荷側接続部3とを係合構造(バッテリ側接続部2の係止突起部21及び負荷側接続部3の係止片54、並びに、一対のレール部22及び一対のレール溝部56)を用いて一体化することで、ボルト部40に外部端子を取り付ける(即ち、共締めする)までの間、バッテリ側接続部2と負荷側接続部3とを仮固定することができる。これにより、ボルト部40に外部端子を取り付ける作業の作業性が向上する。更に、出力部12の厚さ方向(前後方向)の一方側および他方側の(換言すると、出力部12のおもて側および裏側の)何れの向きからボルト部40を貫通させる場合でもバッテリ側接続部2と負荷側接続部3とを係合可能であることで、車両の仕様ごとにボルト部40を貫通させる向きが異なる場合であっても、両者の係合を容易に行うことができる。
【0054】
更に、本実施形態に係るヒューズユニット1によれば、バッテリ側接続部2のレール部22と負荷側接続部3のレール溝部56との案内効果により、バッテリ側接続部2と負荷側接続部3とを組み付ける作業の作業性が向上する。
【0055】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0056】
上記実施形態では、バッテリ側接続部2の複数の出力部12のボルト挿通孔12aに、後側又は前側から負荷側接続部3の複数のボルト部40をそれぞれ挿通させた状態で、係合構造を用いて、負荷側接続部3が「通常の向き」又は「前後逆向き」でバッテリ側接続部2に対して仮固定される。これに対し、
図7及び
図8に示すように、複数の出力部12のそれぞれに、下方に開口し且つ上方に窪む凹部12bを設け、複数の出力部12の凹部12bに、下側から複数のボルト部40をそれぞれ進入させた状態で、係合構造を用いて、負荷側接続部3が「通常の向き」又は「前後逆向き」でバッテリ側接続部2に対して仮固定されてもよい。
【0057】
図7及び
図8に示す例では、係合構造に関し、一対の係止突起部21(即ち、ハウジング20の左右方向における両側の端面の各々に設けられた2つの係止突起21a,21b)に代えて、一対の係止突起21(即ち、ハウジング20の両側の側面の各々に設けられた1つの係止突起21)が設けられている。各係止突起21は、左右方向から傾斜するテーパ面23を下側側面に有し、左右方向に沿う係止面24を上側側面に有する。一対の(係止孔55を有する)係止片54は、本体部51の上端部の左右方向両端部から(一対のステー部53を介することなく)上方に延び且つ前後方向に延びる平板状の形状を有している。一対の係止突起21は、上下方向の同じ位置に設けられ且つ同形である。一対の係止片54(係止孔55)も、上下方向の同じ位置に設けられ且つ同形である。一対のレール部22及び一対のレール溝部56は設けられていない。
【0058】
負荷側接続部3を「通常の向き」及び「前後逆向き」の何れの向きで組み付ける場合においても、バッテリ側接続部2を負荷側接続部3の上側に配置した状態で、バッテリ側接続部2及び負荷側接続部3を上下方向に相対的に近づけて、複数の出力部12の凹部12bに下側から複数のボルト部40をそれぞれ進入させながら、一対の係止突起21の係止面24に、一対の係止片54の係止孔55の縁を係止させる。一対の係止片54は、一対の係止突起21の下側側面に位置する一対のテーパ面23からの押圧による左右方向外側への一時的な弾性変形の後に、左右方向内側に弾性復帰して一対の係止孔55に一対の係止突起21が進入することで、一対の係止突起21の上側側面に位置する一対の係止面24に係止される。係る係止により、バッテリ側接続部2に対して負荷側接続部3が「通常の向き」(
図8(a)参照)又は「前後逆向き」(
図8(b)参照)で仮固定される。
【0059】
更に、上記実施形態では、一対のレール部22及び一対のレール溝部56が設けられているが、一対のレール部22及び一対のレール溝部56が省略されてもよい。また、上記実施形態では、係合構造(一対の係止突起部21及び一対の係止片54、並びに、一対のレール部22及び一対のレール溝部56)が、「通常の向き」及び「前後逆向き」の何れの向きについても、負荷側接続部3をバッテリ側接続部2に一体に係合可能に構成されている。これに対し、係合構造が、「通常の向き」及び「前後逆向き」の何れか一方の向きについてのみ、負荷側接続部3をバッテリ側接続部2に一体に係合可能に構成されていてもよい。係合構造が上述した何れか一方の向きについてのみ係合可能である場合、
図7及び
図8に示す例と同様、一対の係止突起部21(即ち、ハウジング20の左右方向における両側の端面の各々に設けられた2つの係止突起21a,21b)に代えて、一対の係止突起21(即ち、ハウジング20の両側の側面の各々に設けられた1つの係止突起21)が設けられてもよい。この場合、一対の係止突起21は、上下方向の同じ位置に設けられてもよく、ハウジング50が有する一対の係止片54も、上下方向の同じ位置に設けられてもよい。
【0060】
ここで、上述した本発明に係るヒューズユニット1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
バッテリに導通接続されることになるバッテリ側接続部(2)と、外部負荷に導通接続されることになる負荷側接続部(3)と、を備えるヒューズユニット(1)であって、
前記バッテリ側接続部(2)は、
前記バッテリから電力を入力可能な入力部(11)と、前記入力部(11)に入力された電力を出力可能な出力部(12)と、前記入力部(11)と前記出力部(12)との間に設けられるヒューズ部と、を有し、
前記負荷側接続部(3)は、
前記出力部(12)から出力された電力を入力可能な接点部(30)と、前記接点部(30)から延びるとともに前記外部負荷に繋がる外部端子を締結するためのボルト部(40)と、を有し、
前記バッテリ側接続部(2)と前記負荷側接続部(3)とは、
互いに独立した部材であり、前記ボルト部(40)が前記出力部(12)を貫通し且つ前記接点部(30)が前記出力部(12)に接触した状態にて、前記ボルト部(40)を介して前記外部端子、前記出力部(12)及び前記接点部(30)を共締めすることにより、前記出力部(12)と前記接点部(30)とが導通接続される、ように構成される、
ヒューズユニット(1)。
[2]
上記[1]に記載のヒューズユニット(1)であって、
前記バッテリ側接続部(2)及び前記負荷側接続部(3)は、
前記ボルト部(40)が前記出力部(12)を貫通した状態にて一体となるように互いに係合する係合構造(21,22,54,56)を、更に備え、
前記係合構造(21,22,54,56)は、
前記出力部(12)の厚さ方向の一方側から前記ボルト部(40)を前記出力部(12)に貫通させる場合、及び、前記厚さ方向の他方側から前記ボルト部(40)を前記出力部(12)に貫通させる場合、の双方において、前記バッテリ側接続部(2)と前記負荷側接続部(3)とを係合可能であるように構成される、
ヒューズユニット(1)。
[3]
上記[2]に記載のヒューズユニット(1)において、
前記係合構造(21,22,54,56)は、
前記厚さ方向に沿って延びる突条形状のレール部(22)と、前記レール部(22)を受け入れて前記厚さ方向に案内するレール溝部(56)と、を有する、
ヒューズユニット(1)。
【符号の説明】
【0061】
1 ヒューズユニット
2 バッテリ側接続部
3 負荷側接続部
11 入力部
12 出力部
21 係止突起部、係止突起(係合構造)
22 レール部(係合構造)
30 接点部
40 ボルト部
54 係止片(係合構造)
56 レール溝部(係合構造)