(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ネットワーク設定システム及びネットワーク設定方法
(51)【国際特許分類】
H04L 45/42 20220101AFI20241016BHJP
H04L 41/40 20220101ALI20241016BHJP
【FI】
H04L45/42
H04L41/40
(21)【出願番号】P 2021003954
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村中 延之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 孝宣
(72)【発明者】
【氏名】大石 巧
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-135422(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173564(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/42
H04L 41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信要件に従って複数の論理ネットワークを組み合わせて通信路を割り当てるネットワーク設定システムであって、
前記通信要件は、当該論理ネットワークを構築する場所、当該論理ネットワークに接続されるゲートウェイとサーバとデバイス、当該論理ネットワークで転送されるデータのタイプを含み、
前記ネットワーク設定システムは、
前記各論理ネットワークの通信特性及び接続可否情報を含む論理ネットワーク情報と、前記各論理ネットワークへの設定に対応するネットワーク機器への設定を含む適用先情報とを保持し、
新たに論理ネットワークを構築する新規通信要件を受けると、前記論理ネットワーク情報を参照して、
前記新規通信要件に
割り当てられる通信路、及び前記論理ネットワークを、評価項目として、帯域、バースト特性、応答性、機密性の一つ又は複数において評価値を計算し、
前記計算された評価値を満たす通信路の候補の選択を受け、
前記選択された通信路のうち不適合な評価項目の重みを小さく更新し、
前記重み付けされた評価項目によって通信路を割り当て、
前記適用先情報を参照して、前記割り当てられた通信路の設定を前記ネットワーク機器の設定に変換し、
前記変換された設定を前記ネットワーク機器に適用する
ものであって、
前記帯域は、前記通信路に含まれる前記論理ネットワークの帯域スコアの和によって計算され、
前記バースト特性は、バースト性が高い通信が同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算され、
前記応答性は、高応答が求められる通信と広帯域の通信が同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算され、
前記機密性は、高い機密性が求められる通信が異なる通信と同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算されることを特徴とするネットワーク設定システム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク設定システムであって、
既存の論理ネットワークを組み合わせた通信路の評価結果が新規通信要件の評価結果に合致しない場合、新規に論理ネットワークを作成することを特徴とするネットワーク設定システム。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク設定システムであって、
新規に作成された論理ネットワークを構成するネットワーク機器の接続先の情報を用いて、前記新規に作成された論理ネットワークと既存の論理ネットワークとの接続可否を判定することを特徴とするネットワーク設定システム。
【請求項4】
請求項1に記載のネットワーク設定システムであって、
既存通信路の通信特性を所定のタイミングで繰り返し取得して、前記既存通信路の評価を動的に更新することを特徴とするネットワーク設定システム。
【請求項5】
請求項1に記載のネットワーク設定システムであって、
前記受領した新規通信要件においてゲートウェイが指定されていない場合、接続候補となるゲートウェイを選択して提示することを特徴とするネットワーク設定システム。
【請求項6】
通信要件に従って複数の論理ネットワークを組み合わせて通信路を割り当てるネットワーク設定システムが実行するネットワーク設定方法であって、
前記ネットワーク設定システムは、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、
前記通信要件は、当該論理ネットワークを構築する場所、当該論理ネットワークに接続されるゲートウェイとサーバとデバイス、当該論理ネットワークで転送されるデータのタイプを含み、
前記記憶デバイスは、前記各論理ネットワークの通信特性及び接続可否情報を含む論理ネットワーク情報と、前記各論理ネットワークへの設定に対応するネットワーク機器への設定を含む適用先情報とを保持し、
前記ネットワーク設定方法は、
前記演算装置が、新たに論理ネットワークを構築する新規通信要件を受けると、前記論理ネットワーク情報を参照して、
前記演算装置が、前記新規通信要件に割り当てられる通信路、及び前記論理ネットワークを、評価項目として、帯域、バースト特性、応答性、機密性の一つ又は複数において評価値を計算し、
前記演算装置が、前記計算された評価値を満たす通信路の候補の選択を受け、
前記演算装置が、前記選択された通信路のうち不適合な評価項目の重みを小さく更新し、
前記演算装置が、前記重み付けされた評価項目によって通信路を割り当て、
前記演算装置が、前記適用先情報を参照して、前記割り当てられた通信路の設定を前記ネットワーク機器の設定に変換し、
前記演算装置が、前記変換された設定を前記ネットワーク機器に適用するものであって、
前記帯域は、前記通信路に含まれる前記論理ネットワークの帯域スコアの和によって計算され、
前記バースト特性は、バースト性が高い通信が同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算され、
前記応答性は、高応答が求められる通信と広帯域の通信が同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算され、
前記機密性は、高い機密性が求められる通信が異なる通信と同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算されることを特徴とするネットワーク設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要件に応じて通信路を自動的に設定するネットワーク設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)の発展に伴い、センサ等のデバイスから収集したデータを分析することによって、高い付加価値のソリューションを提供するサービスが登場している。従来はOT(Operational Technology)領域で、現場で閉じていた産業分野においても、IoTを活用した効率化や付加価値の向上を目指すサービスが登場しており、産業現場に設置したデバイスからデータを取得するニーズが高まっている。産業現場に設置したデバイスからデータを吸い上げる場合、取り回しの良さを鑑みて有線のみでは無く、WiFi、LTE、5G、Private LTE、Local 5Gなどのローカル又はパブリックの無線ネットワークが利用される。
【0003】
昨今の産業は多品種少量生産が進んでおり、製造ラインの段取りを適宜変更しながら産業する運用がなされている。IoTを適用する場合も、製造ラインの段取り変更に従ってデバイスを変更し、変更後のデバイスに適するネットワークを割り当てる継続的な運用が求められる。しかし、製造ラインの段取り変更の都度、ネットワークを割り当てる作業は、変更後の通信要件や現状の通信状況をリソースやセキュリティなど様々な面で検討する必要があり、多くの工数が必要である。そこで、現場からの通信要件の要望に従って適切な通信路を割り当てて設定することが望まれている。
【0004】
通信要件に従って通信路を選択する公知技術の一つに、特開2020-28043号公報(特許文献1)がある。特開2020-28043号公報には、サーバと端末との間の特定のサービスセッションに関して、当該特定のサービスセッションの要求体感品質に基づいて、前記サーバと前記端末との間で満たすべき通信品質要件を導出する通信品質要件導出部と、前記サーバと前記端末との間の前記特定のサービスセッションの通信品質を監視する監視部と、前記特定のサービスセッションの通信品質が前記特定のサービスセッションに関して導出した前記通信品質要件を満たすか否かを判定する判定部と、前記特定のサービスセッションの通信品質が前記特定のサービスセッションに関して導出した前記通信品質要件を満たさない場合、前記通信品質要件を満たすように、前記サーバと前記端末との間で前記特定のサービスセッションに利用される通信経路を制御する制御部とを有するネットワーク制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された方法では、事前に現場設置デバイスとサーバまでのE2Eの経路とバイパス経路とを用意しておく必要がある。産業分野へのIoTにおいて、製造ラインの段取り変更の都度、異なる通信要件のデバイスを接続し運用を継続するためには、事前にネットワークを複数用意して切り替えるのではなく、有線、WiFi、LTE、5G、Private LTE、Local 5Gなどの複数種類のネットワークを利用し、通信路を仮想的に分割する通信スライスなどの技術を組み合わせた上で、通信経路を柔軟に割り当てる必要がある。
【0007】
そこで、本発明では、現場からの通信割当要求に応じて、現場設置デバイスとサーバまでのE2E通信路を決定し、各装置に必要な設定を明らかにして、現場に設置されるデバイスとサーバとの間の通信路を、人手工数なく決定し設定できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、通信要件に従って複数の論理ネットワークを組み合わせて通信路を割り当てるネットワーク設定システムであって、前記通信要件は、当該論理ネットワークを構築する場所、当該論理ネットワークに接続されるゲートウェイとサーバとデバイス、当該論理ネットワークで転送されるデータのタイプを含み、前記ネットワーク設定システムは、前記各論理ネットワークの通信特性及び接続可否情報を含む論理ネットワーク情報と、前記各論理ネットワークへの設定に対応するネットワーク機器への設定を含む適用先情報とを保持し、新たに論理ネットワークを構築する新規通信要件を受けると、前記論理ネットワーク情報を参照して、前記新規通信要件に割り当てられる通信路、及び前記論理ネットワークを、評価項目として、帯域、バースト特性、応答性、機密性の一つ又は複数において評価値を計算し、前記計算された評価値を満たす通信路の候補の選択を受け、前記選択された通信路のうち不適合な評価項目の重みを小さく更新し、前記重み付けされた評価項目によって通信路を割り当て、前記適用先情報を参照して、前記割り当てられた通信路の設定を前記ネットワーク機器の設定に変換し、前記変換された設定を前記ネットワーク機器に適用するものであって、前記帯域は、前記通信路に含まれる前記論理ネットワークの帯域スコアの和によって計算され、前記バースト特性は、バースト性が高い通信が同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算され、前記応答性は、高応答が求められる通信と広帯域の通信が同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算され、前記機密性は、高い機密性が求められる通信が異なる通信と同一の前記論理ネットワークを共有するほど高い評価値が計算されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、現場に設置されるデバイスとサーバとの間の通信路を、人手工数なく決定し設定できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のネットワークシステムの構成例を示す図である。
【
図2】実施例1のIoT通信設定装置の構成例を示す図である。
【
図3】実施例1の通信要件マップテーブルの構成例を示す図である。
【
図4】実施例1の物理機器テーブルの構成例を示す図である。
【
図5】実施例1の論理ネットワークテーブルの構成例を示す図である。
【
図6】実施例1のE2E通信路テーブルの構成例を示す図である。
【
図7】実施例1のConfig適用先テーブルの構成例を示す図である。
【
図8】実施例1の通信要件が入力されるGUIの例を示す図である。
【
図9A】実施例1のE2E通信路決定部が実行するE2E通信路決定処理のフローチャートである。
【
図9B】実施例1のE2E通信路決定部が実行するE2E通信路決定処理のフローチャートである。
【
図10】実施例1の通信路の候補を提示しフィードバックが入力されるGUIの例を示す図である。
【
図11】実施例1の新規に割り当てられるE2E通信路を表す通知の例の情報を表形式で示す図である。
【
図12】実施例1のConfig適用部が実行するConfig適用処理のフローチャートである。
【
図13】実施例1の投入されるConfigの例を表形式で示す図である。
【
図14】実施例1のNW情報更新部が実行するネットワーク情報更新処理のフローチャートである。
【
図15】実施例2において、代替通信路候補を提示しフィードバックが入力されるGUIの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施例1>
本実施例では、現場から指示される通信要件、既存通信路の通信、ネットワークのキャパシティを、広帯域性、バースト性、高応答性、機密性などの観点からスコア化して抽象化して比較し、適した通信路新規の割り当てを決定することによって、人手工数なく現場設置デバイスとサーバとの間のネットワークを決定し、設定を適用する。これによって、IoTなどにおける現場デバイスとサーバを接続する通信路を要件に応じて自動的に設定する。
【0012】
図1は、実施例1のネットワークシステムの構成例を示す図である。
【0013】
実施例1のネットワークシステムは、IoT通信設定装置101とIoTシステム150とが管理ネットワーク170で通信可能に接続されて構成される。
【0014】
IoT通信設定装置101は、所定の処理を実行するCPUなどの演算装置と、CPUに接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成される。IoT通信設定装置101は、GUI103、E2E通信路決定部104、NW情報更新部105、Config適用部106、通信要件マップテーブル111、物理機器テーブル112、論理ネットワークテーブル113、E2E通信路テーブル114、及びConfig適用先テーブル115を有する。
【0015】
IoTシステム150は、一つ又は複数のIoTサーバ151、統合スイッチ153、WiFi用スイッチ154、LANスイッチ156、コア網スイッチ157、WiFi基地局155、モバイル基地局158、及びIoTゲートウェイ159を有する。IoTゲートウェイ159は一つ又は複数のモバイル通信デバイス160と接続される。
【0016】
統合スイッチ153、WiFi用スイッチ154、LANスイッチ156は、一つ又は複数の論理ネットワーク単位であるVLAN171、172、173、174と接続される。コア網スイッチ157、モバイル基地局158は、一つ又は複数の通信スライスである論理ネットワーク175を保持する。WiFi基地局155は、一つ又は複数の論理ネットワークSSID178を保持する。
【0017】
IoTゲートウェイ159は、一つ又は複数のWiFi通信デバイス又はモバイル通信デバイス160と接続される。
【0018】
IoTゲートウェイ159は、モバイル通信デバイス160からの通信を中継して、各論理ネットワーク171~175を組み合わせた通信路を通ってIoTサーバ151と通信する。
【0019】
IoTシステム150に含まれる、IoTサーバ151やIoTゲートウェイ159やモバイル通信デバイス160は現場の要件に応じて適宜変更され、変更時は現場運用者102がIoT通信設定装置101のGUI103(
図2参照)に通信要件を入力し、IoT通信設定装置101が入力された通信要件に応じた各論理ネットワーク171~175を介した通信路を割り当て、IoTゲートウェイ159とIoTサーバ151とが接続される。以降、IoTゲートウェイ159とIoTサーバ151間の前記通信路を「E2E(End to End)通信路」と称する。
【0020】
図2は、実施例1のIoT通信設定装置101の構成例を示す図である。
【0021】
IoT通信設定装置101は、GUI103、E2E通信路決定部104、NW情報更新部105、Config適用部106、通信要件マップテーブル111、物理機器テーブル112、論理ネットワークテーブル113、E2E通信路テーブル114及びConfig適用先テーブル115を有する。
【0022】
まず、現場運用者102が、GUI103を介して新規通信割当要求201をE2E通信路決定部104に送る。
【0023】
E2E通信路決定部104は、通信要件マップテーブル111と物理機器テーブル112と論理ネットワークテーブル113とE2E通信路テーブル114とを参照して、新規通信割当要求201に対するE2E通信路の候補を決定し、決定されたE2E通信路候補202をGUI103を介して現場運用者102に送る。
【0024】
現場運用者102は、E2E通信路候補から所望の通信路を選択し、GUI103を介してE2E通信路候補のフィードバック204をE2E通信路決定部104に送る。
【0025】
E2E通信路決定部104は、受信したE2E通信路候補のフィードバック204に従ってE2E通信路を決定できた場合、E2E通信路テーブル114を更新し、必要に応じて通信要件マップテーブル111を更新し、Config適用部106にE2E通信路割当通知205を送信する。また、E2E通信路決定部104は、E2E通信路候補のフィードバック204に従ってE2E通信路を決定できない場合、通信要件マップテーブル111を更新し、再度E2E通信路の候補を決定し、決定されたE2E通信路候補202をGUI103を介して現場運用者102に送る。
【0026】
Config適用部106は、E2E通信路決定部104からのE2E通信路割当通知205を受けて、Config適用先テーブル115を参照し、Config206を形成する。Config206には、IoTシステム150の各機器を設定するための、設定を投入先やAPIが含まれる。
【0027】
NW情報更新部105は、IoTシステム150から設定や現在ステータスを読み出して、物理機器テーブル112、論理ネットワークテーブル113、E2E通信路テーブル114及びConfig適用先テーブル115を必要に応じて更新して、各テーブルを最新の状態に維持する。
【0028】
図3は、通信要件マップテーブル111の構成例を示す図である。
【0029】
通信要件マップテーブル111は、例えば表形式で構成され、各行321~328は、それぞれ、GUI入力301~303に対する通信要件スコア311を管理する。GUI入力は、デバイスの属性として、接続デバイス種類301、データタイプ302、デバイス303等の列を含み、デバイスの他の属性を含んでもよい。通信要件スコア311は、本実装例では広帯域、バースト、高応答、機密性の四つの評価項目によって構成され、それぞれの通信要件が項目毎に求められる度合が予め定められている。なお、前述した四つの評価項目の一部を用いてもよいし、他の評価項目と追加してもよい。
【0030】
図4は、物理機器テーブル112の構成例を示す図である。
【0031】
物理機器テーブル112は、例えば表形式で構成され、物理機器ID401と接続先機器402の列を含む。各行411~416は、それぞれ物理機器の情報を表す。
【0032】
図5は、論理ネットワークテーブル113の構成例を示す図である。
【0033】
論理ネットワークテーブル113は、例えば表形式で構成され、ネットワークID501と、物理機器ID502と、接続可能Server503と、接続可能GW504と、キャパシティスコア505の列を含む。各行511~517は、それぞれ論理ネットワークの情報を表す。
【0034】
キャパシティスコア505は、通信要件スコア311と同様に、本実装例では広帯域、バースト、高応答、機密性の4項目によって構成され、それぞれの論理ネットワークが収容できる項目ごとのキャパシティを示す。
【0035】
図6は、E2E通信路テーブル114の構成例を示す図である。
【0036】
E2E通信路テーブル114は、例えば表形式で構成され、GW601と、通信路602と、サーバ603と、既存通信一覧604と、既存通信スコア605の列を含む。各行611~614は、既存のE2E通信路の状況を示す。既存通信スコア605は、通信要件スコア311やキャパシティスコア505と同様に、本実装例では広帯域、バースト、高応答、機密性の四つの評価項目によって構成され、E2E通信路の既存通信による評価項目毎の要件の消費を示す。既存通信スコア605は、NW情報更新部105によって、所定のタイミングで繰り返し(例えば、所定の時間間隔で定期的に)取得され、動的に更新される。
【0037】
図7は、E2E通信路割当てが実際の設定へ変換されて記録されるConfig適用先テーブル115の構成例を示す図である。
【0038】
Config適用先テーブル115は、例えば表形式で構成され、ネットワークID701と、物理機器ID702と、設定先情報703と、通信路設定用情報704と、オプション設定情報705の列を含む。各行711~725は、各ネットワークID701又は物理機器ID702における、E2E通信路の割り当てを実際の機器設定に変換するための情報を保持する。
【0039】
設定先情報703は、設定の投入先又は設定を適用するためのAPIである。通信路設定用情報704は、E2E通信路の割り当てを実際のNW機器のルーティングに変換するために必要な情報である。オプション設定情報705は、通信要件のスコアや制約に応じて選択できるオプションである。
【0040】
図8は、通信要件が入力されるGUI103の例を示す図である。
【0041】
現場運用者102は、GUI103を介して新規通信割り当てを要求する。新規通信割当要求時のGUI103は、場所入力欄801、ゲートウェイID入力欄802、サーバID入力欄803、接続デバイス種類入力欄804、データタイプ入力欄805、デバイス入力欄806等の入力欄と、割当実行ボタン810を含む。接続デバイス種類入力欄804、データタイプ入力欄805、デバイス入力欄806へ入力されたデータは、それぞれ、通信要件マップテーブル111の接続デバイス種類301、データタイプ302、デバイス303に格納される。
【0042】
図8は、
図6の行613に示す、現在産業機器CNC#1が接続しているIoTゲートウェイ#2に対して、新たに産業カメラ#1を接続し画像送信を行う際のE2E通信路を決定する例を示す。
【0043】
GUI103に入力された内容は、新規通信割当要求201としてE2E通信路決定部104に送信される。
【0044】
図9A、
図9Bは、E2E通信路決定部104が実行するE2E通信路決定処理のフローチャートである。
【0045】
まず、E2E通信路決定部104は、新規通信割当要求201を受信して、E2E通信路決定処理を開始する(901)。
【0046】
E2E通信路決定部104は、新規通信割当要求201の受信後、通信要件マップテーブル111を参照し、新規通信割当要求201の内容にマッチするエントリがあるかを検索する(902)。マッチしたエントリが有れば、当該エントリの通信要件スコア311を抽出する(903)。
【0047】
マッチしたエントリが無ければ、部分的に列が一致する行を通信要件マップテーブル111から参照して、平均値や中央値などの計算を行い通信要件スコアを仮置きする。例えば、未知の産業用カメラ#2がストリーミングでデータを送信する場合、通信要件マップテーブル111(
図3)には該当するエントリが無い。そこでまず、接続デバイス種類301がカメラであり、デバイス303が産業用カメラであるエントリ321を一つ目の参照候補として選択する。次に、接続デバイス種類301がカメラであるエントリ321~324を比較し、デバイス303が産業用カメラであるエントリ321の通信要件と通信要件が最も近いデバイス303を検索し、321と322の通信要件スコア311のノルム値が最も小さい。このため、エントリ322のデバイス303であるIoTカメラが産業用カメラの通信要件と近しいといえる。そこで、接続デバイス種類301がカメラであり、かつデータタイプ302がストリーミングであり、かつデバイス303がIoTカメラであるエントリ323を二つ目の参照候補として選択する。最後に、二つの参照候補のエントリ321及び323の通信要件スコアの広帯域、バースト、高応答、機密性スコアの中央値を仮置きスコアとする(904)。
【0048】
E2E通信路決定部104は、通信要件スコアを取得した後、既存E2E通信路の既存通信スコア605をE2E通信路テーブル114から取得し、論理ネットワークのキャパシティスコア505を論理ネットワークテーブル113から取得する(905)。
【0049】
E2E通信路決定部104は、スコアの取得後、各既存E2E通信路において、各論理ネットワーク毎に、新規通信の通信要件のスコアを鑑みて、既存通信の既存通信スコア605を評価し、論理ネットワークのキャパシティスコアに収まるかを判定する(906)。
【0050】
具体的には、本実施例ではIoT GW#2とAPN#1とVLAN#02とVLAN#1とIoT Server#1を含む既存のE2E通信路がある。これらに新規通信要件を割り当てた場合、例えばAPN#1 175-1とVLAN#02 173-1には、以下の通信が流れることになる。
・産業機器/数値/CNC#1(通信要件マッピング#6);
図6の613
・産業機器/数値/PLC#1(通信要件マッピング#5);
図6の611
・センサ/数値/温湿度センサ#1 (通信要件マッピング#7);
図6の611
・カメラ/画像送信/産業用カメラ#1(通信要件マッピング#1);
図3の321
【0051】
これらの通信のスコアを、広帯域、バースト、高応答、機密性の各項目で計算し、論理ネットワークに求められる厳しさを表す評価値を得る。計算方法は項目によって異なり、本実施例では以下方法で計算できる。
・広帯域:同一の各通信のスコアの和が大きくなるほど評価値が上がる。例えば、現状でのAPN#1の広帯域性を示す評価値は、E2E通信路テーブル114のうち通信路にAPN#1が含まれる既存通信のエントリ611と613の広帯域スコアの和を計算し、1.20+1.00=2.20となる。
・バースト:バースト性が高い通信が同一の論理ネットワークを共有するほど評価値が上がる。例えば、現状でのAPN#1のバースト性を示す評価値は、E2E通信路テーブル114のうち通信路にAPN#1が含まれる既存通信のエントリ611と613のバーストスコアの3.10と2.10のノルムを計算し3.74となる。
・高応答:高応答が求められる通信と広帯域の通信が同一の論理ネットワークを共有するほど評価値が上がる。例えば、現状でのAPN#1の高応答性を示す評価値は、E2E通信路テーブル114のうち通信路にAPN#1が含まれる既存通信のエントリ611と613の一番高い高応答スコア13.00と広帯域スコア1.2のノルムを計算し、13.05となる。
・機密性:高い機密性が求められる通信が異なるIoTゲートウェイやIoTサーバを含む通信と同一の論理ネットワークを共有するほど評価値が上がる。現状でのAPN#1の機密性を示す評価値は、E2E通信路テーブル114のうち通信路にAPN#1が含まれる既存通信のエントリ611と613は異なるGW601からの通信であるため、双方の機密性スコア12.00と13.00のノルムを計算し、17.69となる。
【0052】
前述した例では、E2E通信路テーブル114に記載されている既存の通信のみで評価値を計算しているが、フローでは新規通信を含めて評価値を計算する。
【0053】
計算された評価値をAPN#1(行516)のキャパシティスコア505及びVLAN#02(行513)のキャパシティスコア505と比較し、要件を満たすかを評価する。比較は、例えば、広帯域性、バースト性、高応答性、機密性の各項目それぞれ値の大小を比較する。他の論理ネットワーク(例えばVLAN #1)についても同様の計算を実施し、該当するE2E通信路を評価する。新規通信割当要求201のIoT GWが接続可能な他のE2E通信路についても同様の計算を実施し、各行511~517のキャパシティスコア505を満たすE2E通信路があるかを判定する(906)。
【0054】
ステップ906の判定結果がYesの場合、各行511~517のキャパシティスコア505を満たすE2E通信路を候補として選択する(907)。
【0055】
ステップ906の判定結果がNoの場合、又は判定結果がYesであっても、より適したE2E通信路を探索して割り当てる場合、各行511~517のキャパシティスコアに収まらなかった論理ネットワークを、既存の他の論理ネットワークを使用又は新規作成することによって、E2E通信路の候補を決定する。例えば、E2E通信路テーブル114の既存のE2E通信路が一つも条件を満たさない場合、論理ネットワークテーブル113の未使用のNW(例えばVLAN#04 515、APN#3 518)を使用して、新規通信を含めた評価値を収納できるキャパシティスコアを持つE2Eが構築できれば、当該通信路を候補として選択する。また、全てのE2E通信路において新規通信を含めた評価値を収納できるキャパシティスコアがない場合、新規に論理ネットワーク(例えば既存に無いVLAN#05、APN#4など)を作成する。新規論理ネットワークを作成した場合、物理機器テーブル112を参照して、接続先機器402の情報を論理ネットワークテーブル113の接続可能情報503、504に格納する。接続可能情報503、504によって既存の論理ネットワークとの接続可否を判定できる。適切な論理ネットワークが新規に作成できない場合、既存のE2E通信路で評価値の差が小さい順、例えば広帯域性、バースト性、高応答性、機密性の各項目の評価値を下回ったキャパシティスコアが少ない順に選択する(908)。
【0056】
次に、E2E通信路候補202をGUI103を介して現場運用者102に提示し(909)、E2E通信路候補のフィードバック204をGUI103を介して受け取る(910)。提示内容、フィードバックの詳細は後述する。
【0057】
次に、フィードバック204で承認されたE2E通信路があるかを判定する(911)。承認されたE2E通信路がある場合、E2E通信路を確定する。承認されたE2E通信路がない場合、フィードバックに従って通信要件マップテーブル111を更新し、ステップ903~904で割当てた通信要件スコアをフィードバックに従って更新し、再度E2E通信路の決定を試行する(912)。
【0058】
次に、ステップ902で通信要件マップテーブル111に該当エントリが無いため、ステップ904で通信要件スコアを仮置きした場合、又はステップ912で通信要件スコアを更新している場合(913)、通信要件マップテーブル111に仮置きしていたスコアを更新する(914)。
【0059】
最後に、E2E通信路テーブル114とConfig適用先テーブル115を更新し、Config適用部106にE2E通信路割当通知205を送信する(915)。
【0060】
図10は、通信路の候補を提示しフィードバックが入力されるGUI103の例を示す図である。
【0061】
実施例1において、ステップ909でE2E通信路候補202を提示しフィードバック入力するためのGUI103では表形式で情報が提示される。表は選択欄1001と、通信路1002と、通信路情報1003と、共有通信一覧1004と、NG理由1005の列を含む。各行1011~1012では、E2E通信路候補の情報を表示する。表に表示される既存通信スコアが高い順に表示すると、現場運用者102が適切なE2E通信路を容易に選択できる、表示順序を決めるスコアは、既存通信スコアの評価項目に所定の重み係数を乗じた値の和によって計算するとよい。所定の重みは、例えば
図3の通信要件マップテーブルのうち、301~303のGUI入力に対応した行311の通信要件スコアに比例した値を用いるとよい。
【0062】
現場運用者102は、E2E通信路の候補の情報を確認し、承認する通信路を選択欄1001において選択し、選択しない通信路にはNG理由1005を選択し、送信ボタン1021を操作し、E2E通信路候補のフィードバック204を送信する。実施例1において、NG理由1005は、各スコアの評価項目(広帯域、バースト、高応答、機密性)の一つ又は複数に対する理由が選択可能となっている。E2E通信路決定部104は、NG理由として選択された評価項目の重み係数が小さくなるように更新するとよい。評価項目の重み係数の更新は、例えば
図3の通信要件マップテーブルの行311の通信要件スコアを更新してもよいし、重み係数として別行を設けてもよい。
【0063】
図11は、新規に割り当てられるE2E通信路を表すE2E通信路割当通知205の例の情報を表形式で示す図である。
【0064】
E2E通信路決定部104からConfig適用部106に送信されるE2E通信路割当通知205は、分類1101と、詳細1102と、スコア1103を含む。行1111はE2E通信路割当てにおける処理内容を示す。
【0065】
本実施例では、IoG GW #2からIoT Server #1を繋ぐためのE2E通信路として、APN #3とVLAN #04を新規に生成して、IoT GW #2、APN #3、VLAN #04、VLAN #1、IoT Server #1までの通信路を形成する。
【0066】
図12は、Config適用部106が実行するConfig適用処理のフローチャートである。
【0067】
Config適用部106は、E2E通信路割当通知205を受信して、Config適用処理を開始する(1201)。
【0068】
次に、設定先情報703、通信路設定用情報704及びオプション設定情報705を、Config適用先テーブル115から取得する(1202)。
【0069】
E2E通信路割当通知205に新規論理ネットワークの生成が含まれる場合(1203でYES)、通信路設定用情報704に応じて、新規論理ネットワークを生成するためのConfigを生成し(1204)、E2E通信路割当通知205の論理ネットワークのスコア1103に応じて、QoSやバッファサイズや帯域等のオプション設定情報705を設定するためのConfigを生成する。例えば、広帯域性のスコアが高いほど最大帯域設定を高く、バースト性のスコアが高いほど通信バッファサイズを大きく、高応答性のスコアが高い場合はQoSが高い最低保証帯域を適用し、機密性が高い場合はSIEM(Security Information and Event Management)等のセキュリティ監視ソフトの設定レベルを高くする(1205)。
【0070】
次に、通信路設定用情報704を参照して、E2E通信路割当通知205のE2E通信路の通りに論理ネットワークを接続するためのルーティングConfigを生成する(1206)。
【0071】
最後に、生成したConfig206を、取得したIoTシステム150の各設定先情報703に適用する(1207)。
【0072】
図13は、投入されるConfig206の例を表形式で示す図である。
【0073】
Config適用部106が生成するConfig206は、分類1301と、設定先1302と、通信路設定内容1303と、オプション設定情報1304を含む。各行1311-1315は設定先1302に投入される内容を示す。
【0074】
図14は、NW情報更新部105が実行するネットワーク情報更新処理のフローチャートである。
【0075】
実施例1では、NW情報更新部105は、ポーリング等のタイミングをトリガとして所定のタイミングで繰り返し(例えば、所定の時間間隔で定期的に)処理を開始する(1401)。
【0076】
まず、NW情報更新部105は、IoTシステム150の各物理機器のConfig変更を検出する(1402)。例えば、ネットワークリソース増強のために物理機器としてスイッチ153、154、156、157を増設した場合、本処理によってスイッチの追加が検出されて各テーブルが更新され、新規E2E通信経路の割り当てに使用できる。
【0077】
確認の結果、物理機器テーブル112、論理ネットワークテーブル113、Config適用先テーブル115の情報の変更要否を判定し(1403)、Configの変更がネットワーク構成に関係する場合は、物理機器テーブル112、論理ネットワークテーブル113、Config適用先テーブル115の情報を更新する(1404)。
【0078】
また、各論理ネットワークのトラフィックの平均帯域、ピーク状況、QoS保証率などの情報を取得し、E2E通信路テーブル114の既存通信路の広帯域性、バースト性、高応答性のスコアを更新し、既存通信スコア605に格納する。例えば、時間あたりの平均帯域やピークを除いた最大帯域(ピーク時間10%を除いた時間の最大帯域)が前回測定値から変化した場合に、その割合に従って広帯域性スコアを更新する。他に、例えば、ピーク時間1%の使用帯域が前回測定値から変化した場合に、その割合に従ってバースト性のスコアを更新する。他に、例えば、QoSや最低帯域割当が保証できない時間がある場合に、時間の長さに従って高応答性のスコアを更新する(1405)。
【0079】
<実施例2>
本実施例では、現場運用者102が指定したIoTゲートウェイ159では適したE2E通信路が割り当てられない場合に、他のIoTゲートウェイ159からの接続をGUI103から提示する。実施例2において、前述した実施例1との相違点のみを説明し、実施例1と同じ構成及び機能の説明は省略する。
【0080】
図15は、代替通信路候補を提示しフィードバックが入力されるGUI103の例を示す図である。
【0081】
実施例2において、ステップ909でE2E通信路候補202を提示しフィードバック入力するためのGUI103では代替通信路候補の情報が表形式で提示される。表は選択欄1501と、代替接続候補1502と、通信路列1503と、通信路情報1504と、共有通信一覧1505と、NG理由1506の列を含む。各行1511では、代替通信路候補の情報を表示する。また、通信要件が入力されるGUI103(
図8)において、GW ID802が入力されていない場合も、代替通信路候補を提示するために、
図15に示すGUI103を提示するとよい。
【0082】
接続を変更するIoTゲートウェイ159の候補は代替接続候補1502に表示される。現場運用者102は、選択する代替接続候補を選択欄1501において選択し、送信ボタン1521を操作し、代替通信路候補のフィードバック204を送信する。その後、IoT通信設定装置101が、現場運用者102の選択に従って、IoTゲートウェイ159の接続を変更する。それ以外は
図10と同じである。
【0083】
実施例2によると、ゲートウェイを固定することなく、制約条件を緩和してE2E通信路を設定できる。例えば、デバイスの近傍に設置されたゲートウェイが能力的に逼迫している場合でも、他のゲートウェイを選択できる。このため、場所の制約を排除して、ネットワーク観点から良好な通信を提供できるゲートウェイを用いて通信できる。
【0084】
以上に説明したように、本実施例のネットワーク設定システム(IoT通信設定装置101)は、新規通信要件を受けると、論理ネットワーク情報(論理ネットワークテーブル113)を参照して、新規通信要件に従った通信路を割り当て、適用先情報(Config適用先テーブル115)を参照して、割り当てられた通信路の設定を各ネットワーク機器の設定に変換し、変換された設定をネットワーク機器に適用するので、現場に設置されるデバイスとサーバ間のネットワークを、人手工数なく決定し設定できる。すなわち、工場IoTシステム導入完了後の運用において、接続機器や通信要件の変化に対応するための工数を低減できる。
【0085】
また、通信特性を評価するための一つ又は複数の評価項目によって、前記新規通信要件の通信特性、既存の通信の通信特性、及び前記論理ネットワークの通信特性を評価し、評価が所定の条件を満たす通信路を割り当てるので、適切な通信路を手間無く割り当てられる。
【0086】
また、前記新規通信要件、前記既存の通信、及び前記論理ネットワークを、前記評価項目として、帯域、バースト特性、応答性、機密性の一つ又は複数において定量的に評価し、評価の結果に応じて、通信路を割り当てるので、現場から受け取る曖昧な通信要件に基づいて、既存の通信と各論理ネットワークの通信特性を抽象化した複数の軸で評価でき、要求に応じた適切な通信路を手間無く割り当てられる。
【0087】
また、割り当てる通信路の候補の選択を受け、前記選択によって評価項目の重みを更新するので、通信路の候補について現場運用者からのフィードバックを受け取り評価方法を更新できる。
【0088】
また、既存の論理ネットワークを組み合わせた通信路の評価結果が新規通信要件の評価結果に合致しない場合、新規に論理ネットワークを作成するので、要求に適する通信路を容易に構築できる。
【0089】
また、新規に作成された論理ネットワークを構成するネットワーク機器の接続先の情報を用いて、前記新規に作成された論理ネットワークと既存の論理ネットワークとの接続可否を判定するので、ネットワークに関する知識が十分でなくても、論理ネットワークの組合せ可否を決定でき、既存ネットワークとの接続を考慮した通信路を構築できる。
【0090】
また、新規通信要件の一部が指定されていない場合、類似している既存の通信要件を抽出し、仮の通信要件の評価結果を定めるので、曖昧な新規通信要件でも、適切な通信路を選択できる。
【0091】
また、既存通信路の通信特性を所定のタイミングで繰り返し取得して、前記既存通信路の評価を動的に更新するので、ネットワークのリアルタイムの状況に即して、通信路を選択できる。
【0092】
また、前記受領した新規通信要件においてゲートウェイが指定されていない場合、接続候補となるゲートウェイを選択して提示するので、ネットワークに関する知識が十分でなくても、また曖昧な新規通信要件でも、適切な通信路を選択できる。また、ゲートウェイを柔軟に設定でき、制約条件を緩和して通信路を設定できる。
【0093】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0094】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0095】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0096】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0097】
101 IoT通信設定装置
102 現場運用者
104 E2E通信路決定部
105 NW情報更新部
106 適用部
111 通信要件マップテーブル
112 物理機器テーブル
113 論理ネットワークテーブル
114 E2E通信路テーブル
115 適用先テーブル
150 IoTシステム
151 IoTサーバ
153 統合スイッチ
154 WiFi用スイッチ
155 WiFi基地局
156 LANスイッチ
157 コア網スイッチ
158 モバイル基地局
159 IoTゲートウェイ
160 モバイル通信デバイス
170、171、172、173、174、175 論理ネットワーク
201 新規通信割当要求
202 E2E通信路候補
204 E2E通信路候補のフィードバック
205 E2E通信路割当通知