(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】水素製造装置
(51)【国際特許分類】
C01B 3/02 20060101AFI20241016BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20241016BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
C01B3/02 Z
C25B1/04
C25B9/00 A
(21)【出願番号】P 2021009862
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】宮島 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】福田 卓
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-007592(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111394744(CN,A)
【文献】特開2016-135978(JP,A)
【文献】実公昭50-020278(JP,Y1)
【文献】実開昭56-052407(JP,U)
【文献】特開2018-194300(JP,A)
【文献】特開平08-191511(JP,A)
【文献】実開昭54-144132(JP,U)
【文献】米国特許第06223473(US,B1)
【文献】特開平09-028006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 3/58
C25B 1/04
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して水素ガスを発生させる水電解ユニットと、該水電解ユニットで発生した前記水素ガスを貯蔵する貯蔵ユニットと、該貯蔵ユニットに貯蔵された前記水素ガスを外部に供給する供給ユニットと、少なくとも前記水電解ユニットを駆動制御する電装ユニットと、前記水電解ユニット、前記貯蔵ユニット、前記供給ユニット及び前記電装ユニットを収容する筐体とを備えた水素製造装置において、
前記筐体は、高さ方向に沿った上部及び下部に設けられる上部フレーム及び下部フレームから少なくとも構成され該高さ方向と直交する側方に向けて開口した開口端を有し、
前記筐体に対して回動自在に支持され該開口端を開閉する開閉扉と、
前記開閉扉に設けられ前記開口端を閉じた状態で前記開閉扉の開動作を規制するロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、前記開口端の開口方向と直交する前記開閉扉の高さ方向に沿って移動自在に設けられる一組の第1及び第2ロッドを有し、
前記開閉扉によって前記開口端が閉じられ、且つ、前記ロック機構によって前記開閉扉の開動作が規制された開動作規制状態において、前記第1ロッドの軸方向上端が前記上部フレームに対して前記開閉扉とは反対側に配置され、前記第2ロッドの軸方向下端が前記下部フレームに対して前記開閉扉とは反対側に配置されており、
前記開動作規制状態において、前記第1ロッドの軸方向上端近傍に形成され径方向外側へ拡径した第1拡径部が、前記開閉扉に設けられ前記開口端の開口方向と反対側へ延在する第1ガイド部に挿通され、前記第2ロッドの軸方向下端近傍に形成され径方向外側へ拡径した第2拡径部が、前記開閉扉に設けられ前記開口端の開口方向と反対側へ延在する第2ガイド部に挿通されており、
前記第2拡径部の上端と前記第2ガイド部との軸方向距離が、前記第1拡径部の下端と前記第1ガイド部との軸方向距離に対して大きく設定される、水素製造装置。
【請求項2】
水を電気分解して水素ガスを発生させる水電解ユニットと、該水電解ユニットで発生した前記水素ガスを貯蔵する貯蔵ユニットと、該貯蔵ユニットに貯蔵された前記水素ガスを外部に供給する供給ユニットと、少なくとも前記水電解ユニットを駆動制御する電装ユニットと、前記水電解ユニット、前記貯蔵ユニット、前記供給ユニット及び前記電装ユニットを収容する筐体とを備えた水素製造装置において、
前記筐体は、高さ方向に沿った上部及び下部に設けられる上部フレーム及び下部フレームから少なくとも構成され該高さ方向と直交する側方に向けて開口した開口端を有し、
前記筐体に対して回動自在に支持され該開口端を開閉する開閉扉と、
前記開閉扉に設けられ前記開口端を閉じた状態で前記開閉扉の開動作を規制するロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、前記開口端の開口方向と直交する前記開閉扉の高さ方向に沿って移動自在に設けられる一組の第1及び第2ロッドを有し、
前記開閉扉によって前記開口端が閉じられ、且つ、前記ロック機構によって前記開閉扉の開動作が規制された開動作規制状態において、前記第1ロッドの軸方向上端が前記上部フレームに対して前記開閉扉とは反対側に配置され、前記第2ロッドの軸方向下端が前記下部フレームに対して前記開閉とは反対側に配置されると共に、
前記下部フレームと前記第2ロッドとが軸方向に重複した軸方向ラップ距離が、前記上部フレームと前記第1ロッドとの軸方向ラップ距離に対して大きく設定される、水素製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の水素製造装置において、
前記筐体には、前記開口端の開口方向と直交する上面に天井板が装着され、該天井板は、少なくとも2つ以上に分割された分割片からなり、一方の前記分割片の前記筐体に対する固定強度が、他方の前記分割片の前記筐体に対する固定強度よりも低く設定される、水素製造装置。
【請求項4】
請求
項3記載の水素製造装置において、
前記天井板には、前記水電解ユニットに臨む位置に開口した開口部を備える、水素製造装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の水素製造装置において、
前記筐体に対する前記天井板の固定強度は、前記筐体に対する前記開閉扉の固定強度よりも低く設定される、水素製造装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の水素製造装置において、
前記ロック機構は、前記開閉扉の外側に設けられ回動自在に支持される操作部材と、
前記開閉扉の内側に設けられ前記操作部材に連結され一体的に回動する連結体と、
を備え、
前記連結体の回転中心に対して径方向外側となる該連結体の一端部に前記第1ロッドの下端が軸支され、前記一端部とは反対側となる前記連結体の他端部に前記第2ロッドの上端が軸支され、前記操作部材及び前記連結体が回動することで、前記第1ロッドと前記第2ロッドとが互いに接近又は離間する方向に移動する、水素製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を電気分解して水素ガスを発生させる水電解ユニットを備えた水素製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水を電気分解することで水素ガスを発生させる水電解装置を備えた水素製造装置が知られており、このような水素製造装置では、発生した水素ガスが内部で漏出した場合には、電装部材や静電気等の何らかの原因で引火すると爆発が起こり、該水素製造装置の構成部材を周囲に飛散させる危険性がある。
【0003】
このような爆発による被害を軽減する対応として、爆発による過大な圧力を迅速に外部へと放出可能な爆発放散口を筐体に対して設けることが行われており、例えば、特許文献1に開示されたガスクロマトグラフ用オーブンでは、略直方体形状であって前面の全体が開放した状態であるオーブン室本体と、該オーブン室本体の前面開口を開閉するドアとを有し、前記オーブン室本体は、複数の金属板部材を嵌め合わたりネジ止めしたりすることで形成されている。また、ドアで開閉される前面の開口には略額縁状の前枠金属板部材が外側金属板部材に対し同様の手法で取り付けられる。
【0004】
そして、オーブン室本体内に水素ガス等が溜まって引火すると爆発が起こり、それに伴って、内部空間のガス圧が急激に上昇することで、強度の比較的低いオーブン室本体における左右上側のコーナー部や前枠金属板部材と外側金属板部材との取り付け部分が破損や破断して変形する。これにより、オーブン室本体に開口が形成され、この開口を通して水素ガス等が外部へと流出することでガスクロマトグラフ用オーブンの破損等が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、上述したような開閉自在なドアに対し、オーブン室本体の前面開口を閉じた状態でロック可能なロック機構を設け、該ロック機構を前記オーブン室本体の天井部やコーナー部に対して係合するように設けた場合、前記コーナー部等の強度を他の部位と比較して低く設定し、爆破時の圧力によって開口させて圧力を外部へと放出させることが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、開閉扉のロック機構を備えた場合であっても、内部で過大な圧力が発生した際に所望の部位を開放して確実に圧力を外部へと放出することが可能な水素製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の態様は、水を電気分解して水素ガスを発生させる水電解ユニットと、水電解ユニットで発生した水素ガスを貯蔵する貯蔵ユニットと、貯蔵ユニットに貯蔵された水素ガスを外部に供給する供給ユニットと、少なくとも水電解ユニットを駆動制御する電装ユニットと、水電解ユニット、貯蔵ユニット、供給ユニット及び電装ユニットを収容する筐体とを備えた水素製造装置において、
筐体は、高さ方向に沿った上部及び下部に設けられる上部フレーム及び下部フレームから少なくとも構成され高さ方向と直交する側方に向けて開口した開口端を有し、
筐体に対して回動自在に支持され開口端を開閉する開閉扉と、
開閉扉に設けられ開口端を閉じた状態で開閉扉の開動作を規制するロック機構と、
を備え、
ロック機構は、開口端の開口方向と直交する開閉扉の高さ方向に沿って移動自在に設けられる一組の第1及び第2ロッドを有し、
開閉扉によって開口端が閉じられ、且つ、ロック機構によって開閉扉の開動作が規制された開動作規制状態において、第1ロッドの軸方向上端が上部フレームに対して開閉扉とは反対側に配置され、第2ロッドの軸方向下端が下部フレームに対して開閉扉とは反対側に配置されており、
開動作規制状態において、第1ロッドの軸方向上端近傍に形成され径方向外側へ拡径した第1拡径部が、開閉扉に設けられ開口端の開口方向と反対側へ延在する第1ガイド部に挿通され、第2ロッドの軸方向下端近傍に形成され径方向外側へ拡径した第2拡径部が、開閉扉に設けられ開口端の開口方向と反対側へ延在する第2ガイド部に挿通され、
第2拡径部の上端と第2ガイド部との軸方向距離が、第1拡径部の下端と第1ガイド部との軸方向距離に対して大きく設定される。
【0009】
本発明によれば、水素製造装置における筐体の開口端が開閉扉で閉じられた状態において、内部で製造された水素ガスが漏出して引火することで爆発が生じ、急激に高まった圧力によって開閉扉が外側へ向けて押圧された場合であっても、ロック機構が開閉扉と共に外側へと押圧され、それに伴って、第1ロッドの上端近傍に設けられた第1拡径部が、第2ロッドの下端近傍に設けられた第2拡径部と比較して先に第1ガイド部から離脱して変形することで上部フレームとの係合状態が解除され、第1ロッドによる開閉扉の上部近傍の開動作規制状態が解除される。一方、第2拡径部は第2ガイド部に挿通されたままの状態となり、第2ロッドによる開閉扉の下部近傍の開動作が規制された状態で維持される。
【0010】
その結果、筐体内で過大な圧力が発生した場合でも、開閉扉の上部近傍の開動作規制状態を解除し開動作させ開放することで、上部近傍の開放部位から圧力を外部へと確実に放出することができるため、例えば、開閉扉の周辺に人が存在している場合であっても開閉扉の下部側が開放されたり外れてしまうことを防止することで人との接触が確実に回避され保護される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0012】
すなわち、筐体の開口端が開閉扉で閉じられた水素製造装置において、内部で製造された水素ガスが漏出して引火することで爆発が生じ、急激に高まった圧力によって開閉扉が外側へ向けて押圧された場合であっても、ロック機構における第1ロッドの上端近傍に設けられた第1拡径部が、第2ロッドの下端近傍に設けられた第2拡径部に対して先行して第1ガイド部から離脱して変形することで上部フレームに対する係合が解除され、それに伴って、第1ロッドによる開閉扉の上部近傍の開動作規制状態を解除することができる。
【0013】
その結果、筐体内で過大な圧力が発生した場合でも、開閉扉の上部近傍のみを先行して開動作させ開放することで、圧力を上部近傍の開放部位から外部へと確実に放出することができ、開閉扉の下部近傍が開放されたり外れてしまうことが防止されるため、例えば、開閉扉周辺に人がいる場合に開閉扉との接触を確実に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る水素製造装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1に示す水素製造装置の全体正面図である。
【
図3】
図2の水素製造装置における開閉扉を開いた状態を示す全体正面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に沿った一部省略断面図である。
【
図6】
図6Aは、
図2の水素製造装置を構成する開閉扉を筐体の内側から見た拡大正面であり、
図6Bは、
図6Aにおける開閉切替機構の一部省略拡大構成図である。
【
図7】
図7Aは、
図4における開閉切替機構の上ロッド近傍を示す拡大断面図であり、
図7Bは、
図4における開閉切替機構の下ロッド近傍を示す拡大断面図である。
【
図8】
図8Aは、開閉切替機構によるロック状態の解除された開閉扉を筐体の内側から見た拡大正面図であり、
図8Bは、
図8Aにおける開閉切替機構の一部省略拡大構成図である。
【
図9】
図9Aは、
図8Aにおける開閉切替機構の上ロッド近傍を示す拡大断面図であり、
図9Bは、
図8Aにおける開閉切替機構の下ロッド近傍を示す拡大断面図である。
【
図10】
図4の水素製造装置の内部において過大な圧力が発生して開閉扉の一部が開放された場合を示す全体断面図である。
【
図12】
図12Aは、変形例に係る開閉切替機構における上ロッド近傍の拡大断面図であり、
図12Bは、前記開閉切替機構における下ロッド近傍の拡大断面図である。
【
図13】
図13Aは、
図12Aの開閉切替機構を有した水素製造装置の内部において過大な圧力が発生した場合の上ロッド近傍を示す拡大断面図であり、
図13Bは、水素製造装置の内部において過大な圧力が発生した場合の下ロッド近傍を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る水素製造装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0016】
この水素製造装置10は、
図1~
図4に示されるように、例えば、図示しない燃料電池自動車(対象物)に燃料ガスとして水素を供給する、いわゆる水素ガスステーションとして構成されており、筐体12と、該筐体12の内部に収容される水電解システム14とを含む。
【0017】
筐体12は、例えば、上方から見て幅方向(矢印A1、A2方向)に長尺な断面略長方形状に形成され、フレーム16と、幅方向両側に設けられる一組の側面パネル18a、18bと、該側面パネル18a、18bの後端側に設けられる背面パネル20と、前記側面パネル18a、18b及び前記背面パネル20の下端に設けられる底面パネル22と、前記側面パネル18a、18b及び前記背面パネル20の上端に設けられる天井パネル(天井板)24とを有し、前記側面パネル18a、18b、前記背面パネル20、前記底面パネル22及び前記天井パネル24が前記フレーム16にそれぞれ装着される。
【0018】
フレーム16は、筐体12における上端を構成する上部フレーム部26と、該筐体12における下端を構成する下部フレーム部28と、上下方向(矢印B1、B2方向)に延在して前記上部フレーム部26と前記下部フレーム部28とを接続する接続フレーム部30とからなる。
【0019】
上部フレーム部26は、幅方向両端において前後方向(矢印C1、C2方向)に沿って水平に延在する第1前後フレーム片32a、32bと、幅方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在し前記第1前後フレーム片32a、32bの後端同士を接続する第1後方フレーム片34と、前記幅方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在し前記第1前後フレーム片32a、32bの前端同士を接続する第1前方フレーム片(上部フレーム)36とを有している。そして、第1前後フレーム片32a、32bは互いに略平行に設けられ、第1後方フレーム片34と第1前方フレーム片36とが略平行となるように設けられる。
【0020】
また、第1前方フレーム片36は、その延在方向から見て断面略矩形状に形成され、その後端側(矢印C2方向)には上下方向(矢印B1、B2方向)に向かって延在する第1壁部38を有しており、前記第1壁部38は、上下方向に沿った平坦状に形成され、同一断面形状で一方の第1前後フレーム片32aから他方の第1前後フレーム片32bまで幅方向(矢印A1、A2方向)に沿って形成される。
【0021】
下部フレーム部28は、幅方向両端において前後方向(矢印C1、C2方向)に沿って水平に延在する第2前後フレーム片40a、40bと、幅方向(矢印A1、A2方向)に沿って延在し前記第2前後フレーム片40a、40bの後端同士を接続する第2後方フレーム片42と、前記幅方向に沿って延在し前記第1前後フレーム片32a、32bの前端同士を接続する第2前方フレーム片(下部フレーム)44とを有している。
【0022】
また、第2前方フレーム片44は、その延在方向から見て断面略矩形状に形成され、その後端側(矢印C2方向)には上下方向(矢印B1、B2方向)に向かって延在する第2壁部46を有している。第2壁部46は、上下方向に沿った平坦状に形成され、同一断面形状で一方の第2前後フレーム片40aから他方の第2前後フレーム片40bまで幅方向(矢印A1、A2方向)に沿って形成されると共に、上部フレーム部26の第1壁部38と上下方向に同一位置となるように形成される(
図4参照)。
【0023】
そして、第2前後フレーム片40a、40bは互いに略平行に設けられ、第2後方フレーム片42と第2前方フレーム片44とが略平行となるように設けられる。
【0024】
また、第2前後フレーム片40a、40bは、第1前後フレーム片32a、32bと略平行に設けられ、第2前方フレーム片44、第2後方フレーム片42は、それぞれ第1前方フレーム片36、第1後方フレーム片34と略平行に設けられる。
【0025】
接続フレーム部30は、第1前後フレーム片32a、32b及び第2前後フレーム片40a、40bの後端、第1及び第2後方フレーム片34、42の端部をそれぞれ接続する一組の後端フレーム片48a、48bと、前記第1前後フレーム片32a、32b及び第2前後フレーム片40a、40bの前端、第1及び第2前方フレーム片36、44の端部をそれぞれ接続する一組の前端フレーム片50a、50bとを備える。そして、後端フレーム片48a、48bと前端フレーム片50a、50bとがそれぞれ略平行に形成されると共に、前記第1前後フレーム片32a、32b及び第2前後フレーム片40a、40b、第1及び第2前方フレーム片36、44、第1及び第2後方フレーム片34、42に対してそれぞれ略直交するように接続される。
【0026】
一組の側面パネル18a、18bは、上部フレーム部26における第1前後フレーム片32a、32b、下部フレーム部28における第2前後フレーム片40a、40b、後端フレーム片48a、48b、前端フレーム片50a、50bとの間を覆うようにそれぞれ嵌め込まれ、図示しない締結ねじによってフレーム16へと固定される。これにより、一組の側面パネル18a、18bによって筐体12における幅方向両側の側壁が構成される。
【0027】
背面パネル20は、上部フレーム部26の第1後方フレーム片34、下部フレーム部28の第2後方フレーム片42、一組の後端フレーム片48a、48bの間を覆うように嵌め込まれ、複数の締結ねじ(図示せず)によってフレーム16へと固定される。
【0028】
底面パネル22は、下部フレーム部28における第2前後フレーム片40a、40b、第2後方フレーム片42及び第2前方フレーム片44の間を覆うように嵌め込まれ、図示しない複数の締結ねじによってフレーム16へと固定される。これにより、底面パネル22によって筐体12における底壁が構成される。
【0029】
天井パネル24は、上部フレーム部26における第1前後フレーム片32a、32b、第1後方フレーム片34及び第1前方フレーム片36の間を覆うように嵌め込まれると共に、幅方向一方側(矢印A1方向)に設けられる第1パネル体(分割片)52と、該第1パネル体52に隣接して幅方向他方側(矢印A2方向)に設けられる第2パネル体(分割片)54とから構成される。すなわち、天井パネル24は、筐体12の幅方向(矢印A1、A2方向)に2分割されている。
【0030】
また、第2パネル体54は、後述する水電解システム14における水電解ユニット122の上部に臨むように設けられ、略矩形状に開口した通気開口部(開口部)56が形成されている。そして、天井パネル24を貫通する通気開口部56によって筐体12の内部と外部とが連通している。
【0031】
この第1パネル体52は、一方の第1前後フレーム片32a、第1後方フレーム片34及び第1前方フレーム片36に対して複数(例えば、4本)の締結ねじ55によって強固に固定される。
【0032】
一方、第2パネル体54には、第1パネル体52側(矢印A1方向)となる幅方向一端が第1後方フレーム片34、第1前方フレーム片36に載置され、幅方向他端側(矢印A2方向)が第1前後フレーム片32bに載置されると共に、前記第1後方フレーム片34、前記第1前方フレーム片36及び前記第1前後フレーム片32bに載置される外縁部には、それぞれ上下方向(矢印B1、B2方向)に貫通するパネル孔58が形成されている。この3つのパネル孔58は、第2パネル体54の外縁部に沿って互いに離間するように配置されている。
【0033】
そして、第2パネル体54は、その外縁部が第1後方フレーム片34、第1前方フレーム片36及び第1前後フレーム片32bに載置された状態で、パネル孔58、該パネル孔58に臨むように開口した第1後方フレーム片34、第1前方フレーム片36、第1前後フレーム片32bの各フレーム孔60に対して3本のリベット62をそれぞれ係合させることでフレーム16に対して固定される。
【0034】
リベット62は、
図5に示されるように、例えば、塑性変形可能な金属材料から形成され、天井パネル24の各パネル孔58及び各フレーム片32b、34、36のフレーム孔60に挿通される本体部64と、該本体部64の一端に設けられる鍔部66と、前記本体部64の他端に設けられる加締め部68とから構成され、前記本体部64は断面円形状で軸状に形成され、一方、前記鍔部66は、前記本体部64に対して径方向外側へ拡径した円板状に形成される。
【0035】
そして、第2パネル体54の外縁部が第1後方フレーム片34、第1前方フレーム片36及び第1前後フレーム片32bに載置された状態で、上下方向(矢印B1、B2方向)に一直線状に配置されたパネル孔58及び各フレーム片32b、34、36のフレーム孔60に対してリベット62の本体部64を前記第2パネル体54側から挿通し、鍔部66を前記第2パネル体54の上面に当接させた状態で、前記第1後方フレーム片34、第1前方フレーム片36及び第1前後フレーム片32bの下面から突出した本体部64の下端を軸方向(上方、矢印B1方向)へ押し潰すことで径方向外側へ拡径した加締め部68が形成される。
【0036】
この加締め部68によって第2パネル体54が各フレーム16に対して上下方向(矢印B1、B2方向)への脱着が規制された状態で固定され、第1及び第2パネル体52、54を含む天井パネル24から筐体12における上壁が構成される。これにより、上述した天井パネル24は、4本の締結ねじ55によってフレーム16に対して固定される第1パネル体52の固定強度に対し、3本のリベット62によって前記フレーム16へと固定される第2パネル体54の固定強度は低くなる。換言すれば、第1パネル体52と比較して第2パネル体54が筐体12に対して外れやすいように低い固定強度で固定されている。
【0037】
また、第2パネル体54は、その幅方向一端側(矢印A1方向)が2本のリベット62で固定され、幅方向他端側(矢印A2方向)が1本のリベット62で固定されているため、前記幅方向一端側の固定強度に対して前記幅方向他端側の固定強度がさらに低くなるようにフレーム16に対して固定されている。
【0038】
上述したように、筐体12は、その側面パネル18a、18bが上下方向(矢印B1、B2方向)に立設し、一方の側面パネル18aと他方の側面パネル18bとが略平行に配置されると共に、底面パネル22及び天井パネル24がそれぞれ略水平となるように設けられ、その幅方向端部が側面パネル18a、18bに対して略直交するように接続されている。すなわち、筐体12は、その前方端(開口端)70から後方側(矢印C2方向)に向かって窪んだ箱状に形成され、その前方端70は、第1及び第2前方フレーム片36、44、前端フレーム片50a、50bから幅方向に長尺な略長方形状で前方側(矢印C1方向、開口方向)に向けて開口している。
【0039】
筐体12の前方端70には、幅方向中央で分割され該前方端70を開閉自在な開閉扉72が設けられる。この開閉扉72は、例えば、筐体12の幅方向(矢印A1、A2方向)に2分割された一対の扉体74a、74bからなる。
【0040】
この扉体74a、74bは、例えば、側面パネル18a、18bと略同一の高さ寸法で平坦なパネル状に形成され、その幅方向端部が前記側面パネル18a、18bの前方端70に対して上下方向(矢印B1、B2方向)に延在する支軸76によって回動自在にそれぞれ支持されている。すなわち、一対の扉体74a、74bは、筐体12の幅方向中央から該筐体12の幅方向端部に支持された支軸76を支点として左右方向(矢印A1、A2方向)に横開きする観音開き式である。
【0041】
また、開閉扉72は、
図1、
図2及び
図4に示されるように、例えば、筐体12の前方端70を閉じた状態で背面パネル20と略平行に設けられ、一方、
図3に示されるように、前記前方端70に対して開くことで、例えば、その幅方向中央側が互いに離間するように側面パネル18a、18bと略平行となるまで回動する(
図1中、二点鎖線形状参照)。
【0042】
さらに、
図2~
図4、
図6A~
図9Bに示されるように、開閉扉72の幅方向中央端側となる各扉体74a、74bの端部には、筐体12の前方端70に対する前記開閉扉72の開閉状態を切り替えるための開閉切替機構(ロック機構)78と、該開閉切替機構78における上ロッド(第1ロッド)86及び下ロッド(第2ロッド)88を支持する支持機構80とをそれぞれ備える。
【0043】
開閉切替機構78は、開閉扉72の幅方向中央側となる一対の扉体74a、74bの幅方向端部にそれぞれ設けられ、該幅方向端部に沿うように上下方向(矢印B1、B2方向)に延在するように配置されている。この開閉切替機構78は、開閉扉72の外部に設けられる開閉レバー(操作部材)82と、該開閉扉72の内部に設けられ前記開閉レバー82に連結されるカムプレート(連結体)84と、前記内部に設けられ高さ方向中央からそれぞれ上下方向(矢印B1、B2方向)に延在すると共に前記カムプレート84に接続される一組の上ロッド86及び下ロッド88とを備える。この開閉切替機構78は、一方の扉体74a及び他方の扉体74bにそれぞれ設けられている。
【0044】
開閉レバー82は、例えば、略L字状に形成され、扉体74a、74bの高さ方向中央近傍にそれぞれ設けられ、開閉扉72側に向けて直線状に延在して挿通される軸部90と、前記扉体74a、74bに対して所定距離だけ離間し該軸部90の端部に対して略直交するように形成された把持部92とを備える。そして、開閉レバー82は、軸部90の一端部が開閉扉72に開口した孔部(図示せず)に挿通されることで該開閉扉72に対して回動自在に支持されると共に、前記開閉扉72を開閉する際、図示しない作業者が把持部92を把持して回動可能に設けられている。
【0045】
そして、開閉レバー82は、開閉切替機構78によって開閉扉72の開動作が規制されたロック状態では、把持部92が上下方向(矢印B1、B2方向)に延在するように設けられ、一方、前記開閉扉72を開動作可能なロック解除状態では、前記把持部92が前記上下方向(矢印B1、B2方向)に対して所定角度回動した傾斜位置となるように設けられる。
【0046】
カムプレート84は、
図4、
図6A、
図6B、
図8A及び
図8Bに示されるように、略T字状に形成され、その中心部に開閉レバー82の軸部90が連結されると共に、前記中心部から一方側へ延在する第1接続部94と、前記中心部を挟んで前記第1接続部94とは反対側となる他方側へ延在する第2接続部96とを備える。
【0047】
第1接続部94は、開閉扉72において略上方に臨むように配置され、カムプレート84の中心部に対して所定長さだけ突出するように形成されると共に、その先端近傍には支持孔98が貫通して形成されている。この支持孔98には、後述する上ロッド86の下端が回動自在に挿通されている。
【0048】
第2接続部96は、開閉扉72において略下方に臨むように配置され、カムプレート84の中心部に対して所定長さだけ突出し、且つ、第1接続部94と一直線状となるように形成され、その先端近傍には支持孔100が貫通して形成されている。この支持孔100には、後述する下ロッド88の上端が回動自在に挿通されている。
【0049】
そして、カムプレート84は、軸部90の連結された開閉レバー82を回動させることで一体的に回動し、第1及び第2接続部94、96が中心部を中心として所定角度だけ回動すると共に、
図1、
図2、
図4、
図6A及び
図6Bに示されるように、前記開閉レバー82の把持部92が上下方向(矢印B1、B2方向)に延在するように配置される開閉扉72の開動作を規制するロック時には、第1及び第2接続部94、96がそれぞれ上下方向となるようにカムプレート84が配置され、一方、
図8A及び
図8Bに示される前記開閉扉72が開動作可能なロック解除状態では、前記第1及び第2接続部94、96が前記上下方向から所定角度傾斜するようにカムプレート84が配置される。
【0050】
上ロッド86は、例えば、金属製材料から一定径で形成された軸体からなり、開閉扉72の高さ方向中央より上方(矢印B1方向)で上下方向に沿うように設けられ、その下端が前記開閉扉72側、すなわち、前方側(矢印C1方向)へ向けて略直角に屈曲してカムプレート84における第1接続部94の支持孔98へと挿通されている(
図4参照)。
【0051】
また、上ロッド86は、
図4、
図6A、
図6B、
図7A、
図8A~
図9Aに示されるように、開閉扉72の内面に設けられた後述する第1スライダ106の第1ロッド孔118aへと挿通されることで上下方向(矢印B1、B2方向)に移動自在に支持される。
【0052】
さらに、上ロッド86の上端(軸方向上端)86aは、上方(矢印B1方向)に底部を有した有底筒状の第1キャップ部材101によって覆われると共に、該上端86aの近傍には、外周面を覆うように円筒状の上カラー部材(第1拡径部)102が装着されている。第1キャップ部材101は、例えば、ゴムや樹脂等の弾性材料から形成されている。
【0053】
上カラー部材102は、上ロッド86の軸方向(矢印B1、B2方向)に沿って所定長さを有し、例えば、溶接等によって上端86aから下方側(矢印B2方向)へ所定距離となる位置に一体的に固定されている。すなわち、上ロッド86の上端86a近傍は、上カラー部材102を装着することで軸径が増して強度の高められた拡径部として機能する。
【0054】
この上ロッド86は、上カラー部材102の装着された部位(第1拡径部)が後述する第1ストッパ(第1ガイド部)110の第2ロッド孔120aへと挿通されている。
【0055】
そして、上ロッド86は、開閉レバー82と共にカムプレート84が回動することで上下方向(矢印B1、B2方向)に沿って移動し、
図6A~
図7Aに示されるように、開閉扉72の開動作が規制されたロック状態では、第1接続部94と上ロッド86が略一直線状に配置され、該上ロッド86の上端86aが第1前方フレーム片36の第1壁部38に対して後方側(矢印C2方向)となり、且つ、前記第1壁部38の下端よりも上方(矢印B1方向)となるように配置される。
【0056】
一方、
図8A~
図9Aに示されるように、開閉扉72の開動作の規制が解除されたロック解除状態では、第1接続部94が所定角度傾斜して上ロッド86が下方(矢印B2方向)へと引っ張られることで下降し、前記上ロッド86の上端86aが第1壁部38の下端よりも下方(矢印B2方向)となる。
【0057】
下ロッド88は、上ロッド86と同様に金属製材料から一定径で形成された軸体からなり、開閉扉72の高さ方向中央より下方(矢印B2方向)で上下方向に沿うように設けられ、且つ、前記上ロッド86と同軸となるように配置され、その上端が前記開閉扉72側、すなわち、前方側(矢印C1方向)へ向けて略直角に屈曲してカムプレート84における第2接続部96の支持孔100へと挿通されている(
図4参照)。
【0058】
また、下ロッド88は、
図4、
図6A、
図6B、
図7B、
図8A~
図9Bに示されるように、開閉扉72の内面に設けられた後述する第2スライダ108の第1ロッド孔118bへと挿通されることで上下方向(矢印B1、B2方向)に移動自在に支持される。
【0059】
さらに、下ロッド88の下端(軸方向下端)88aは、下方(矢印B2方向)に底部を有した有底筒状の第2キャップ部材103によって覆われると共に、該下端88aの近傍には、外周面を覆うように円筒状の下カラー部材(第2拡径部)104が装着されている。第2キャップ部材103は、例えば、ゴムや樹脂等の弾性材料から形成されている。
【0060】
下カラー部材104は、下ロッド88の軸方向(矢印B1、B2方向)に沿って所定長さを有し、例えば、溶接等によって下端88aから上方側(矢印B1方向)へ所定距離となる位置に一体的に固定されている。また、下カラー部材104は、その下端と下ロッド88の下端88aとの軸方向距離が、上ロッド86の上端86aから上カラー部材102の上端までの軸方向距離と同一となるように配置されている。すなわち、下ロッド88の下端88a近傍は、下カラー部材104を装着することで軸径が増して強度の高められた拡径部として機能する。
【0061】
また、下ロッド88は、下カラー部材104の装着された部位が後述する第2ストッパ(第2ガイド部)112の第2ロッド孔120bへと挿通され、
図4、
図6A~
図7Bに示される開閉扉72が閉められ開閉切替機構78によって開動作の規制されたロック状態において、第2ストッパ112から下カラー部材104の上端までの軸方向距離L2が、第1ストッパ110から上カラー部材102の下端までの軸方向距離L1に対して大きく設定されている(L2>L1)。
【0062】
そして、下ロッド88は、開閉レバー82と共にカムプレート84が回動することで上下方向(矢印B1、B2方向)に沿って移動し、
図6A~
図7Bに示されるように、開閉扉72の開動作が規制されたロック状態では、第2接続部96と下ロッド88が略一直線状に配置され、該下ロッド88の下端88aが第2前方フレーム片44の第2壁部46に対して後方側(矢印C2方向)となり、且つ、前記第2壁部46の上端よりも下方(矢印B2方向)となるように配置される。
【0063】
一方、
図8A~
図9Bに示されるように、開閉扉72の開動作の規制が解除されたロック解除状態では、第2接続部96が所定角度傾斜して下ロッド88が上方(矢印B1方向)へと引っ張られることで上昇し、前記下ロッド88の下端88aが第2壁部46の上端よりも上方(矢印B1方向)となる。
【0064】
支持機構80は、
図4、
図6A~
図9Bに示されるように、開閉扉72における幅方向中央端近傍の内面に設けられ、上ロッド86を上下方向(矢印B1、B2方向)に移動自在に案内する第1スライダ106と、下ロッド88を上下方向に移動自在に案内する第2スライダ108と、前記第1スライダ106の上方に設けられ前記上ロッド86の挿通される第1ストッパ110と、前記第2スライダ108の下方に設けられ前記下ロッド88の挿通される第2ストッパ112とを含む。
【0065】
第1及び第2スライダ106、108は略同一形状に形成され、開閉扉72の内面から後方側(矢印C2方向)に向かって直交するように突出すると共に、前記開閉扉72の上端近傍及び下端近傍となる位置にそれぞれ設けられる。具体的には、第1スライダ106と第2スライダ108とが開閉扉72の高さ中央に対して対称形状となる位置に配置される。また、第1及び第2スライダ106、108の後端近傍には、上ロッド86及び下ロッド88の挿通可能な第1ロッド孔118a、118bがそれぞれ形成される。そして、上ロッド86及び下ロッド88がそれぞれ第1及び第2スライダ106、108の第1ロッド孔118a、118bへと挿通されることで上下方向(矢印B1、B2方向)へ移動自在に案内される。
【0066】
第1及び第2ストッパ110、112は略同一形状に形成され、第1及び第2スライダ106、108と同様に、開閉扉72の内面から後方側(矢印C2方向)に向かって直交するように突出しており、前記第1ストッパ110が第1スライダ106に対して上方(矢印B1方向)に所定距離だけ離間して略平行に設けられ、前記第2ストッパ112が第2スライダ108に対して下方(矢印B2方向)に所定距離だけ離間して略平行に設けられる。
【0067】
そして、第1及び第2ストッパ110、112には、その後端近傍に第2ロッド孔120a、120bがそれぞれ形成され、該第2ロッド孔120a、120bは、第1及び第2スライダ106、108の第1ロッド孔118a、118bと同軸状にそれぞれ形成される。このように、第2ロッド孔120a、120bを第1ロッド孔118a、118bよりも大径とすることで、上カラー部材102及び下カラー部材104が挿通可能となり、且つ、開閉扉72を開動作させる際に、上ロッド86及び下ロッド88が傾動可能となる。
【0068】
そして、開閉扉72の開動作が開閉切替機構78によってロックされたロック状態において、上ロッド86の上端86aが第1前方フレーム片36の後方側に配置され、第1キャップ部材101が第1壁部38に摺接すると共に、下ロッド88の下端88aが第2前方フレーム片44の後方側に配置され、第2キャップ部材103が第2壁部46へと摺接する。なお、第1キャップ部材101は、第1壁部38の下端に対して若干だけ下方(矢印B2方向)へ突出するように配置され、第2キャップ部材103は、第2壁部46の上端に対して若干だけ上方(矢印B1方向)へ突出するように配置される。
【0069】
水電解システム14は、
図3に示されるように、水電解ユニット122、貯蔵ユニット124、供給ユニット126及び電装ユニット128を備える。そして、筐体12の内部において、水電解ユニット122及び電装ユニット128が前方側(矢印C1方向)に配置され、供給ユニット126及び貯蔵ユニット124が後方側(矢印C2方向)となるように収容されると共に、電装ユニット128が幅方向一方側(矢印A1方向)で上部側に配置され、前記水電解ユニット122が幅方向他方側(矢印A2方向)に配置されている。また、電装ユニット128は、供給ユニット126や水電解ユニット122の駆動制御を行う目的で設けられている。
【0070】
本発明の実施の形態に係る水素製造装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0071】
先ず、水電解ユニット122を構成する循環ポンプ(図示せず)の駆動作用下に水(純水)が水電解スタック(図示せず)へと供給され、電圧の印加されている前記水電解スタックにおいて水が電気分解され水素ガスが得られる。そして、この水素ガスは、水分が除去された後に貯蔵ユニット124へと送られて貯蔵されると共に、該貯蔵ユニット124に貯蔵された水素ガスは、供給ユニット126から必要に応じて図示しない外部装置(例えば、燃料電池電気車両)へと供給される。
【0072】
次に、上述した水素製造装置10の開閉扉72を開閉する場合について説明する。
【0073】
先ず、
図2、
図4、
図6A~
図7Bに示される開閉レバー82の把持部92が上下方向(矢印B1、B2方向)に延在した開閉扉72のロック状態では、カムプレート84における第1及び第2接続部94、96が上下方向に沿うように一直線状に配置され、上ロッド86の上端86aが第1前方フレーム片36における第1壁部38の後方側(矢印C2方向)に配置され、同様に下ロッド88の下端88aも第2前方フレーム片44における第2壁部46の後方側(矢印C2方向)に配置されている。また、上カラー部材102が第1ストッパ110の第2ロッド孔120aに挿通され、下カラー部材104が、第2ストッパ112の第2ロッド孔120bに挿通されている。
【0074】
このように、開閉扉72と共に設けられた上ロッド86の上端86a及び下ロッド88の下端88aが、第1及び第2前方フレーム片36、44の後方側(矢印C2方向)に配置され、第1及び第2壁部38、46に対して第1及び第2キャップ部材101、103が摺接することで、前記開閉扉72の前方側(矢印C1方向)への移動が規制されたロック状態(開動作規制状態)となり、該開閉扉72が筐体12の前方端70を閉じた状態で開動作が規制され開くことがない。
【0075】
また、開閉扉72が閉じられ開閉切替機構78によってロックされた状態では、筐体12の内部の気密性が確保されている。
【0076】
次に、上述した開閉扉72を開く場合には、図示しない作業者が一対の開閉レバー82の把持部92を把持し、例えば、軸部90を支点として前記把持部92の下端を互いに離間させるように幅方向外側へ向けて回動させる。
【0077】
これにより、
図8A及び
図8Bに示されるように、開閉扉72の内部でカムプレート84が軸部90と共に所定角度だけ回動し、第1及び第2接続部94、96が上下方向に対して所定角度だけ傾斜することで、支持孔98に挿入された上ロッド86の下端が下方(矢印B2方向)へと引っ張られ、支持孔100に挿入された下ロッド88の下端88aが上方(矢印B1方向)へと引っ張られる。詳細には、一組のカムプレート84における第2接続部96が互いに接近し、一組の第1接続部94が互いに離間した位置となる。これにより、カムプレート84の回動によって上ロッド86と下ロッド88とが互いに接近する方向へと移動し、且つ、上下方向(矢印B1、B2方向)に対して所定角度だけ傾斜した状態となる。
【0078】
その結果、上ロッド86は上下方向に対して傾斜することで、第1スライダ106における第1ロッド孔118aの案内作用下に下降すると共に、上カラー部材102が第1ストッパ110の第2ロッド孔120a内で幅方向に傾動することで、その上端86aが第1キャップ部材101と共に第1前方フレーム片36の下端よりも下方(矢印B2方向)となる(
図8B参照)。
【0079】
一方、下ロッド88は上下方向に対して傾斜することで、第2スライダ108における第1ロッド孔118bの案内作用下に上昇すると共に、下カラー部材104が第2ストッパ112の第2ロッド孔120b内で幅方向に傾動することで、その下端88aが第2キャップ部材103と共に第2前方フレーム片44の上端よりも上方(矢印B1方向)となる(
図8B参照)。
【0080】
これにより、上ロッド86と第1前方フレーム片36との係合状態、前記下ロッド88と前記第2前方フレーム片44との係合状態がそれぞれ同時に解除され、開閉切替機構78を有した開閉扉72が前方側(矢印C1方向)へと開動作自在な状態となる。そして、図示しない作業者が開閉レバー82を把持したままの状態で手前側(矢印C1方向)へ引くことで、一対の扉体74a、74bが、支軸76を支点として左右方向(矢印A1、A2方向)に横開きする(
図1中、二点鎖線形状参照)。
【0081】
一方、開閉扉72を再び閉める場合には、図示しない作業者が一対の扉体74a、74bを回動させることで筐体12の前方端70を閉塞した後、該開閉レバー82の下端を互いに接近させるように回動させて上下方向に沿うように配置することで、カムプレート84の第1及び第2接続部94、96が上下方向に一直線状となるように回動し、それに伴って、上ロッド86が上昇して第1前方フレーム片36の第1壁部38の後方側となる位置まで上端86aが移動し、下ロッド88が下降して第2前方フレーム片44の第2壁部46の後方側となる位置まで下端88aが移動する。
【0082】
これにより、上ロッド86の上端86aが第1前方フレーム片36と係合され前方側(矢印C1方向)への移動が規制され、下ロッド88の下端88aが第2前方フレーム片44と係合され前方側(矢印C1方向)への移動が規制される。その結果、開閉扉72の前方端70から前方側(矢印C1方向)への移動が開閉切替機構78によって規制されたロック状態となる。
【0083】
次に、
図1に示されるように、筐体12の前方端70が開閉扉72で閉じられた水素製造装置10において、水電解ユニット122で製造された水素ガスが、例えば、何らかの原因で筐体12内へと漏出して溜まり電装ユニット128で発生した火花や静電気等によって引火して爆発が生じる場合について、
図9A~
図11Bを参照しながら説明する。
【0084】
先ず、筐体12内に溜まった水素ガスが爆発することにより、内部圧力が急激に高まって前記筐体12を構成する側面パネル18a、18b、背面パネル20、天井パネル24及び開閉扉72に対して外側へ押圧するように過大な圧力が付与される。この際、天井パネル24に開口した通気開口部56を通じて圧力の一部が外部へと放出されると共に、該圧力によって前記天井パネル24が上方(矢印B1方向)へと押圧される。
【0085】
これにより、
図3に示されるように、天井パネル24は、その第1パネル体52と比較して固定強度の低い第2パネル体54が、3本のリベット62によるフレーム16への固定状態が解除されて上方へと押し上げられて筐体12から外れて開放状態となる(
図3中、二点鎖線形状参照)。
【0086】
詳細には、第2パネル体54は、
図3に示されるように、1本のリベット62で固定されていた幅方向他端側が、2本のリベット62によって固定されている幅方向一端側よりも先にフレーム16から外れ、前記幅方向一端側が保持されたままの状態となる。その結果、圧力の一部が、通気開口部56に加え、第2パネル体54の一部が外れて開放された筐体12の上部から外部へと放出される。
【0087】
さらに、筐体12内に残存している圧力によって開閉扉72における高さ方向中央近傍が外側(前方側)へ向けて押圧され、それに伴って、開閉切替機構78のカムプレート84、該カムプレート84に支持される上ロッド86の下端及び下ロッド88の上端が、前記開閉扉72と共に前方側(矢印C1方向)へと移動することとなる。また、開閉扉72の前方側への移動に伴って、第1及び第2スライダ106、108、第1及び第2ストッパ110、112も前方側(矢印C1方向)へと一体的に移動することとなる。
【0088】
これにより、
図11Aに示されるように、上ロッド86は、その上端86aが第1前方フレーム片36に係合され、且つ、第1スライダ106の第1ロッド孔118aに挿通された状態で前方側へと移動することで所定角度傾斜するように変形し、上カラー部材102が第1ストッパ110の第2ロッド孔120aから上方(矢印B1方向)へと脱抜すると共に、前記上カラー部材102の下端となる位置を起点として上端86a側が後方側(矢印C2方向)へとさらに折れ曲がる。その結果、上ロッド86の変形に伴って、その上端86aが第1前方フレーム片36の第1壁部38の下端を下方へと乗り越えて前方側(矢印C1方向)へと移動する。
【0089】
一方、下ロッド88は、
図11Bに示されるように、その下端88aが第2前方フレーム片44に係合され、且つ、第2スライダ108の第1ロッド孔118bに挿通された状態で前方側へと移動することで所定角度傾斜するように変形するが、第2ストッパ112から下カラー部材104の上端までの軸方向距離L2が、第1ストッパ110から上カラー部材102の下端までの軸方向距離L1よりも大きく設定されているため、下カラー部材104が第2ストッパ112の第2ロッド孔120bから脱抜することなく該第2ロッド孔120bに挿通されたままの状態で留まっている。
【0090】
そのため、下ロッド88は、下カラー部材104が装着され拡径して強度の高い部位(第2拡径部)が第2ストッパ112(第2ロッド孔120b)によって好適に保持されることで上ロッド86のように折れ曲がってしまうことがなく、前記下ロッド88の下端88aが、第2前方フレーム片44の第2壁部46を乗り越えることがないため、第2前方フレーム片44の後方側(矢印C2方向)に係合された状態で維持され前方側(矢印C1方向)への移動が規制されたままとなる。
【0091】
その結果、開閉扉72は、爆発に伴う過大な圧力で外側へと押圧された際、筐体12の上部側(矢印B1方向)となる第1前方フレーム片36(第1壁部38)に対する上ロッド86の係合が解除され、前記筐体12の下部側(矢印B2方向)となる第2前方フレーム片44(第2壁部46)に対する下ロッド88の係合が解除されずに維持される。そのため、
図10に示されるように、開閉扉72における上部近傍が筐体12の前方端70から外側(前方側)へと移動して開くことでわずかに開放された状態となり、一方、下部近傍は、前記前方端70を閉じたままの状態となる。換言すれば、開閉扉72は、
図10に示される水素製造装置10の幅方向から見て、高さ方向中央から上方側(矢印B1方向)が前方へと傾斜するように変形して開口した状態となる。
【0092】
そして、開閉扉72に付与され筐体12の内部に残存している圧力が、該開閉扉72の上部近傍と筐体12との間に開口した開口部位を通じて外部へと放出されることで、前記筐体12内の圧力が低下する。
【0093】
このように、水素製造装置10において製造された水素ガスが筐体12内で漏出して引火することで爆発が生じた場合であっても、内部で急激に上昇する過大な圧力を、天井パネル24に開口した通気開口部56を通じて外部へ放出し、且つ、前記圧力の付勢作用下に前記天井パネル24の第2パネル体54をフレーム16から離脱させることで筐体12の上部を開放して外部へと放出可能とすることができる。さらに、過大な圧力が開閉扉72へと付与された際に、開閉切替機構78の上ロッド86による開閉扉72の開動作規制状態を解除可能とすることで、前記開閉扉72の上部近傍のみを開放させて圧力を外部へと放出することができる。
【0094】
以上のように、本実施の形態では、開閉扉72の閉じられた水素製造装置10において、製造された水素ガスが筐体12内で漏出して引火することで爆発が生じ、急激に高まった圧力によって開閉扉72が外側へ向けて押圧された場合でも、該開閉扉72に設けられた開閉切替機構78の上ロッド86及び下ロッド88がカムプレート84と共に外側(前方側)へと押し出され、それに伴って、前記上ロッド86の上端86a近傍に設けられた上カラー部材102が第1ストッパ110から離脱して変形することで、前記下ロッド88の下端88a近傍に設けられた下カラー部材104が第2ストッパ112に保持されたままの状態となる。
【0095】
従って、開閉切替機構78による開閉扉72の開動作が規制されたロック状態において、上ロッド86の上端86aを第1前方フレーム片36の下端を乗り越えて前方側へと移動可能とすることで、前記開閉扉72の上部側のみを開動作可能とし、上部近傍が筐体12の前方端70に対して前方へ離間するように開くことで開放することができる。
【0096】
その結果、水素製造装置10の内部で過大な圧力が発生した場合でも、開閉扉72の上部近傍を先行して開放することで、前記圧力を前記開閉扉72と筐体12との間の開放部位から外部へと放出することができる。そのため、圧力による筐体12に収容された水電解システム14の破損等を軽減できると共に、例えば、爆発が生じた際に開閉扉72の周辺に人が存在している場合であっても、該開閉扉72が全開状態となったりフレーム16から外れたりすることがないため、前記人との接触を確実に回避して保護することができる。
【0097】
また、開閉扉72の上部近傍を開放して筐体12内の圧力を低下させることで、前記筐体12を構成する側面パネル18a、18b、背面パネル20等が前記圧力によって外れて飛散してしまうことも回避することができる。
【0098】
さらに、筐体12の上面に装着される天井パネル24を、幅方向(矢印A1、A2方向)に分割自在な第1及び第2パネル体52、54から構成し、幅方向一方側(矢印A1方向)に配置される第1パネル体52を複数の締結ねじ55によってフレーム16へと固定し、前記第1パネル体52に隣接し幅方向他方側(矢印A2方向)に配置される第2パネル体54をリベット62によって前記フレーム16へと固定することで、前記第2パネル体54の前記フレーム16に対する固定強度を、前記第1パネル体52の前記フレーム16に対する固定強度と比較して低くしている。
【0099】
その結果、爆発に起因して筐体12内の圧力が急激に上昇した場合、前記圧力によって外側へと押し上げられる天井パネル24は、固定強度の低い第2パネル体54が第1パネル体52よりも先にフレーム16から上方へと外れることとなるため、前記天井パネル24の全体をフレーム16から外すことなく一部のみを外して開放することが可能となる。換言すれば、天井パネル24を構成する第1及び第2パネル体52、54の固定強度を異なるように設定することで、爆発時における天井パネル24の開放部位を自在にコントロール可能としている。
【0100】
さらにまた、天井パネル24には、水電解ユニット122に臨む位置に開口した通気開口部56を備えているため、筐体12の内部で漏出した水素ガスに引火して爆発が生じた場合であっても、急激に高まる内部圧力を前記通気開口部56を利用して外部へと好適に放出することで、前記筐体12内における急激な圧力上昇を抑制することができる。
【0101】
またさらに、筐体12に対する天井パネル24の固定強度を、前記筐体12に対する開閉扉72の固定強度よりも低く設定しているため、爆発に起因して内部圧力が上昇した際、前記開閉扉72よりも先に前記天井パネル24が前記筐体12から外れ、該天井パネル24の外れた部位から内部圧力を外部へと放出することができる。そのため、爆発が生じた際における開閉扉72の変形や飛散を抑制することが可能となり、例えば、前記開閉扉72の周辺に人がいた場合であっても該開閉扉72との接触を好適に回避することができる。
【0102】
また、上ロッド86の上端86a及び下ロッド88の下端88aに対し、弾性材料からなる第1及び第2キャップ部材101、103を装着して覆うような構成としているため、開閉扉72の開動作が規制されたロック状態において、前記上端86aが第1前方フレーム片36に接触する際、前記下端88aが第2前方フレーム片44に接触する際に発生する接触音や衝撃を好適に緩和することができる。
【0103】
さらに、上述した水素製造装置10を構成する開閉切替機構78では、開閉扉72が閉められ開動作の規制されたロック状態において、第2ストッパ112から下カラー部材104の上端までの軸方向距離L2が、第1ストッパ110から上カラー部材102の下端までの軸方向距離L1に対して大きく設定されている(L2>L1)場合について説明したが、この構成に限定されるものではない。
【0104】
例えば、
図12A~
図13Bに示される変形例に係る開閉切替機構130のように、第2前方フレーム片44の上端から下ロッド132の下端132aまでの軸方向距離(軸方向ラップ距離)L4を、第1前方フレーム片36の下端から上ロッド134の上端134aまでの軸方向距離(軸方向ラップ距離)L3に対して大きく設定するようにしてもよい(L3<L4)。なお、上記の構成を実現する場合には、上ロッド134及び下ロッド132の軸方向長さを相違させてもよいし、前記上ロッド134に対する前記第1前方フレーム片36の下端位置、前記下ロッド132に対する前記第2前方フレーム片44の上端位置を相対的に変更するようにしてもよい。
【0105】
これにより、水素製造装置10において筐体12内で漏出して水素ガスに引火して爆発が生じ、急激に高まった圧力によって開閉扉72が外側へ向けて押圧された場合でも、下ロッド132に対して上ロッド134の上端134aが先行して第1前方フレーム片36から下方(矢印B2方向)へと脱抜することで、前記上ロッド134によって開閉扉72の上部近傍の開動作が規制された状態が解除され、下ロッド132による開閉扉72における下部近傍の開動作を規制したままの状態とすることができる。
【0106】
その結果、開閉扉72の上部近傍のみを筐体12の前方端70から離間するように開放させることができるため、筐体12内部の圧力を外部へと好適に放出しつつ、水素製造装置10の周辺に人が存在していた場合であっても、開閉扉72の上部近傍のみを開放することで、外側へと押し出されて変形した開閉扉72との接触を好適に回避して保護することが可能となる。
【0107】
すなわち、筐体12の内部から開閉扉72に対して外側へ向けて過大な圧力が付与された際、前記開閉扉72の上部側が下部側に対して先に開放されるように、上ロッド134が下ロッド132よりも先に筐体12を構成するフレーム16から脱抜され開動作の規制状態を解除可能な構造であれば、特にその構造は限定されるものではない。
【0108】
なお、本発明に係る水素製造装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0109】
10…水素製造装置 12…筐体
14…水電解システム 16…フレーム
24…天井パネル 36…第1前方フレーム片
44…第2前方フレーム片 70…前方端
72…開閉扉 74a、74b…扉体
78、130…開閉切替機構 80…支持機構
86、134…上ロッド 88、132…下ロッド
102…上カラー部材 104…下カラー部材
110…第1ストッパ 112…第2ストッパ
122…水電解ユニット 124…貯蔵ユニット
126…供給ユニット 128…電装ユニット