(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241016BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20241016BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W30/08
B60W40/02
(21)【出願番号】P 2021033705
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 卓
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-86139(JP,A)
【文献】特開2010-72839(JP,A)
【文献】特開2016-62328(JP,A)
【文献】特開2017-91502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の
位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状
況情報を
繰り返し取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段により取得された前記自車両の走行状
況情報に基づいて、前記自車両の
位置を基点として前記自車両の進行方向に延設された第1仮想直線を繰り返し推定する第1推定手段と、
前記自車両と異なる他車両の
位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状
況情報を
繰り返し取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段により取得された前記他車両の走行状
況情報に基づいて、前記他車両の
位置を基点として前記他車両の進行方向に延設された第2仮想直線を繰り返し推定する第2推定手段と、
前記第1推定手段により推定された前記第1仮想直線と、前記第2推定手段により推定された前記第2仮想直線との交点の位置を繰り返し推定する交点推定手段と、
前記自車両の前記速度情報と前記交点の位置とに基づいて、前記自車両の前記交点への第1到達時間を推定する到達時間推定手段と、
前記交点の位置と、前記自車両の前記位置情報に基づく前記自車両の位置との間の距離の変化に基づいて、前記第1到達時間と比較するための閾値を設定する閾値設定手段と、
前記到達時間推定手段により推定された前記第1到達時間と、前記閾値設定手段により設定された前記閾値とに基づいて、運転支援を実行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定された場合、前記運転支援を実行する実行手段と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記到達時間推定手段は、前記他車両の前記速度情報と前記交点の位置とに基づいて、前記他車両の前記交点への第2到達時間も推定し、
前記判定手段は、
前記第1到達時間および前記第2到達時間がともに
前記閾値以下である
ことを少なくとも条件として、前記運転支援を実行すると判定することを特徴とする請求項
1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記到達時間推定手段は、前記他車両の前記速度情報と前記交点の位置とに基づいて、前記他車両の前記交点への第2到達時間も推定し、
前記判定手段は、
前記第1到達時間および前記第2到達時間がともに前記閾値以下であり、且つ、前記第1到達時間と前記第2到達時間との差が
第2の閾値以下である場合、前記運転支援を実行すると判定することを特徴とする請求項
1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記閾値設定手段は、前記交点の位置と前記自車両の位置との間の距離が短くなる場合、前記閾値を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記自車両の
前記速度情報が
所定値以下の車速を示す場合、
前記閾値設定手段は、前記閾値がより大きい値となるように設定することを特徴とする請求項
4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記閾値設定手段は、
前記自車両の
前記速度情報が
所定値以下の車速を示
し且つ前記交点の位置の単位時間当たりの変化量が第1変化量である場合、
第1閾値を設定し、
前記自車両の前記速度情報が前記所定値以下の車速を示し且つ前記変化量が前記第1変化量より小さい第2変化量である場合、第2閾値を設定し、
前記第1閾値は、前記第2閾値よりも大きい、
ことを特徴とする請求項
4に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記自車両の
前記速度情報が
前記所定値より大きい車速を示す場合、
前記閾値設定手段は、前記閾値がより小さい値となるように設定することを特徴とする請求項5又は6に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記閾値設定手段は、
前記自車両の
前記速度情報が
前記所定値より大きい車速を示
し且つ前記交点の位置の単位時間当たりの変化量が第3変化量である場合、
第4閾値を設定し、
前記自車両の前記速度情報が前記所定値より大きい車速を示し且つ前記変化量が前記第3変化量より小さい第4変化量である場合、第5閾値を設定し、
前記第4閾値は、前記第5閾値よりも小さい、
ことを特徴とする請求項
5又は6に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記閾値設定手段は、前記交点の位置と前記自車両の位置との間の距離が長くなる場合、前記閾値がより小さい値となるように設定することを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記自車両
の位置から所定の距離内
に位置しない前記交点については、前記到達時間推定手段による推定と、前記閾値設定手段による設定と、前記判定手段による判定と、前記実行手段による実行とは行われないことを特徴とする請求項
1乃至9のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記第2取得手段は、前記他車両としての第1他車両および第2他車両のそれぞれの前記走行状況情報を繰り返し取得し、
前記第2推定手段は、前記第2取得手段により取得された前記第1他車両および前記第2他車両のそれぞれの前記走行状況情報に基づいて、前記第1他車両の位置を基点として前記第1他車両の進行方向に延設された前記第2仮想直線と、前記第2他車両の位置を基点として前記第2他車両の進行方向に延設された前記第2仮想直線とを繰り返し推定し、
前記交点推定手段は、前記第1仮想直線と前記第1他車両について前記第2推定手段により推定された前記第2仮想直線との第1交点の位置と、前記第1仮想直線と前記第2他車両について前記第2推定手段により推定された前記第2仮想直線との第2交点の位置とを繰り返し推定し、
前記到達時間推定手段は、前記自車両の前記速度情報に基づいて、前記自車両の前記第1交点への到達時間と、前記自車両の前記第2交点への到達時間とを推定し、
前記車両制御装置は、
前記第1交点の位置と前記自車両の位置との間の距離の変化と前記自車両の前記第1交点への到達時間とに基づいて前記第1交点に対して第1優先度を設定し、前記第2交点の位置と前記自車両の位置との間の距離の変化と前記自車両の前記第2交点への到達時間とに基づいて前記第2交点に対して第2優先度を設定する
優先度設定手段、をさらに備え、
前記閾値設定手段は、前記第1優先度と前記第2優先度とに基づいて、前記第1交点と前記第2交点のうち優先度の高い交点の位置と前記自車両の位置との間の距離の変化に基づいて、前記閾値を設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記第1交点と前記第2交点はともに前記自車両の位置から所定の距離内に位置することを特徴とする請求項11に記載の車両制御装置。
【請求項13】
前記第1交点は、前記自車両の位置から所定の距離内に位置し、
前記第2交点は前記自車両の位置から前記所定の距離内に位置していないが、前記第2交点に対応する前記第2他車両の前記速度情報は所定値以上の車速を示す、
ことを特徴とする請求項11に記載の車両制御装置。
【請求項14】
前記第1交点と前記第2交点はともに前記自車両の位置から所定の距離内に位置していないが、前記第1交点に対応する前記第1他車両の前記速度情報と前記第2交点に対応する前記第2他車両の前記速度情報はともに所定値以上の車速を示す、
ことを特徴とする請求項11に記載の車両制御装置。
【請求項15】
前記自車両は、直線道路を走行する車両であり、前記他車両は、前記直線道路に対してカーブ形状で合流するカーブ形状の道路を走行する車両であることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項16】
車両制御装置において実行される車両制御方法であって、
自車両の
位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状
況情報を
繰り返し取得する第1取得工程と、
前記第1取得工程において取得された前記自車両の走行状
況情報に基づいて、前記自車両の
位置を基点として前記自車両の進行方向に延設された第1仮想直線を繰り返し推定する第1推定工程と、
前記自車両と異なる他車両の
位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状
況情報を
繰り返し取得する第2取得工程と、
前記第2取得工程において取得された前記他車両の走行状
況情報に基づいて、前記他車両の
位置を基点として前記他車両の進行方向に延設された第2仮想直線を繰り返し推定する第2推定工程と、
前記第1推定工程において推定された前記第1仮想直線と、前記第2推定工程において推定された前記第2仮想直線との交点の位置を繰り返し推定する交点推定工程と、
前記自車両の前記速度情報と前記交点の位置とに基づいて、前記自車両の前記交点への第1到達時間を推定する到達時間推定工程と、
前記交点の位置と、前記自車両の前記位置情報に基づく前記自車両の位置との間の距離の変化に基づいて、前記第1到達時間と比較するための閾値を設定する閾値設定工程と、
前記到達時間推定工程において推定された前記第1到達時間と、前記閾値設定工程において設定された前記閾値とに基づいて、運転支援を実行するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記運転支援を実行すると判定された場合、前記運転支援を実行する実行工程と、
を有することを特徴とする車両制御方法。
【請求項17】
コンピュータを、
自車両の
位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状
況情報を
繰り返し取得し、
取得された前記自車両の走行状
況情報に基づいて、前記自車両の
位置を基点として前記自車両の進行方向に延設された第1仮想直線を繰り返し推定し、
前記自車両と異なる他車両の
位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状
況情報を
繰り返し取得し、
取得された前記他車両の走行状
況情報に基づいて、前記他車両の
位置を基点として前記他車両の進行方向に延設された第2仮想直線を繰り返し推定し、
推定された前記第1仮想直線と、推定された前記第2仮想直線との交点の位置を繰り返し推定し、
前記自車両の前記速度情報と前記交点の位置とに基づいて、前記自車両の前記交点への第1到達時間を推定し、
前記交点の位置と、前記自車両の前記位置情報に基づく前記自車両の位置との間の距離の変化に基づいて、前記第1到達時間と比較するための閾値を設定し、
推定された前記第1到達時間と、設定された前記閾値とに基づいて、運転支援を実行するか否かを判定し、
前記運転支援を実行すると判定された場合、前記運転支援を実行する、
ように機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を制御する車両制御装置、車両制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両同士の衝突可能性に基づいて運転支援を行う処理において、自車両予測軌道と周辺車両予測軌道とに交点Xがある場合、交点Xに基づいて判定領域を設定し、判定領域内に交差点ノードがあるか否かを判定することが記載されている。特許文献1では、自車両の現在位置を基点として絶対方位の方向に延びる直線を自車両予測軌道とし、周辺車両の現在位置を基点として絶対方位の方向に延びる直線を周辺車両予測軌道とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交差点に進入する道路形状は、直線に限られず、カーブしながら交差点につながる形状があり得る。そのようなケースにおいても、車両同士の衝突可能性に基づいて適切に運転支援を行うことが求められる。
【0005】
本発明は、車両同士の衝突可能性に基づいて適切に運転支援を行う車両制御装置、車両制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両制御装置は、自車両の位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状況情報を繰り返し取得する第1取得手段と、前記第1取得手段により取得された前記自車両の走行状況情報に基づいて、前記自車両の位置を基点として前記自車両の進行方向に延設された第1仮想直線を繰り返し推定する第1推定手段と、前記自車両と異なる他車両の位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状況情報を繰り返し取得する第2取得手段と、前記第2取得手段により取得された前記他車両の走行状況情報に基づいて、前記他車両の位置を基点として前記他車両の進行方向に延設された第2仮想直線を繰り返し推定する第2推定手段と、前記第1推定手段により推定された前記第1仮想直線と、前記第2推定手段により推定された前記第2仮想直線との交点の位置を繰り返し推定する交点推定手段と、前記自車両の前記速度情報と前記交点の位置とに基づいて、前記自車両の前記交点への第1到達時間を推定する到達時間推定手段と、前記交点の位置と、前記自車両の前記位置情報に基づく前記自車両の位置との間の距離の変化に基づいて、前記第1到達時間と比較するための閾値を設定する閾値設定手段と、前記到達時間推定手段により推定された前記第1到達時間と、前記閾値設定手段により設定された前記閾値とに基づいて、運転支援を実行するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定された場合、前記運転支援を実行する実行手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る車両制御方法は、車両制御装置において実行される車両制御方法であって、自車両の位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状況情報を繰り返し取得する第1取得工程と、前記第1取得工程において取得された前記自車両の走行状況情報に基づいて、前記自車両の位置を基点として前記自車両の進行方向に延設された第1仮想直線を繰り返し推定する第1推定工程と、前記自車両と異なる他車両の位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状況情報を繰り返し取得する第2取得工程と、前記第2取得工程において取得された前記他車両の走行状況情報に基づいて、前記他車両の位置を基点として前記他車両の進行方向に延設された第2仮想直線を繰り返し推定する第2推定工程と、前記第1推定工程において推定された前記第1仮想直線と、前記第2推定工程において推定された前記第2仮想直線との交点の位置を繰り返し推定する交点推定工程と、前記自車両の前記速度情報と前記交点の位置とに基づいて、前記自車両の前記交点への第1到達時間を推定する到達時間推定工程と、前記交点の位置と、前記自車両の前記位置情報に基づく前記自車両の位置との間の距離の変化に基づいて、前記第1到達時間と比較するための閾値を設定する閾値設定工程と、前記到達時間推定工程において推定された前記第1到達時間と、前記閾値設定工程において設定された前記閾値とに基づいて、運転支援を実行するか否かを判定する判定工程と、前記判定工程において前記運転支援を実行すると判定された場合、前記運転支援を実行する実行工程とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、自車両の位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状況情報を繰り返し取得し、取得された前記自車両の走行状況情報に基づいて、前記自車両の位置を基点として前記自車両の進行方向に延設された第1仮想直線を繰り返し推定し、前記自車両と異なる他車両の位置情報、速度情報、姿勢情報を含む走行状況情報を繰り返し取得し、取得された前記他車両の走行状況情報に基づいて、前記他車両の位置を基点として前記他車両の進行方向に延設された第2仮想直線を繰り返し推定し、推定された前記第1仮想直線と、推定された前記第2仮想直線との交点の位置を繰り返し推定し、前記自車両の前記速度情報と前記交点の位置とに基づいて、前記自車両の前記交点への第1到達時間を推定し、前記交点の位置と、前記自車両の前記位置情報に基づく前記自車両の位置との間の距離の変化に基づいて、前記第1到達時間と比較するための閾値を設定し、推定された前記第1到達時間と、設定された前記閾値とに基づいて、運転支援を実行するか否かを判定し、前記運転支援を実行すると判定された場合、前記運転支援を実行するように機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両同士の衝突可能性に基づいて適切に運転支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】制御ユニットの機能ブロックを示す図である。
【
図4】運転支援の制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】運転支援の制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】運転支援の制御処理を示すフローチャートである。
【
図7】運転支援の制御処理を示すフローチャートである。
【
図8】交点が自車両から遠ざかると判定されるケースを説明するための図である。
【
図9】運転支援の制御処理を示すフローチャートである。
【
図10】運転支援の制御処理を示すフローチャートである。
【
図13】運転支援の制御処理を示すフローチャートである。
【
図14】運転支援の制御処理の対象を決定する処理を説明するための図である。
【
図15】運転支援の制御処理の対象を決定する処理を示すフローチャートである。
【
図16】運転支援の処理を説明するための図である。
【
図17】運転支援の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御装置(走行制御装置)のブロック図であり、車両1を制御する。
図1において、車両1はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両1は一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。
【0013】
図1の制御装置は、制御ユニット2を含む。制御ユニット2は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20~29を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。また、
図1の制御装置の構成は、プログラムに係る発明を実施するコンピュータとなり得る。
【0014】
以下、各ECU20~29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合することが可能である。
【0015】
ECU20は、車両1の自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。後述する制御例では、操舵と加減速の双方を自動制御する。なお、本実施形態では、車両1が自動運転が可能であるものとして説明するが、本実施形態の動作を自動運転に限定するものではない。また、本実施形態では、用語としての「自動運転」とは、運転者が車両1の走行に完全に関与しない制御のみならず、車両1の走行を部分的に自動化する制御や、運転者1の運転支援も含むものとする。
【0016】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵するための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU21は、ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0017】
ECU22および23は、車両の周囲状況を検知する検知ユニット41~43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、車両1の前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ41と表記する場合がある。)、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0018】
検知ユニット42は、Light Detection and Ranging(LIDAR)であり、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、検知ユニット42は5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。検知ユニット43は、ミリ波レーダであり(以下、レーダ43と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、レーダ43は5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0019】
ECU22は、一方のカメラ41と、各検知ユニット42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41と、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラやレーダ等、種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0020】
ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は車両1の回転運動を検知する。ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。GPSセンサ24bは、車両1の現在位置(例えば、緯度及び経度)を検知する。通信装置24cは、地図情報や交通情報、気象情報等を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、記憶デバイスに構築されたデータベース24aにアクセス可能である。データベース24aは、例えば、地図情報のデータベースであり、ECU24は現在地から目的地へのルート探索等を行う。また、本実施形態においては、データベース24aは、車両1もしくは他車両の速度情報と時刻情報とが対応づけられて格納されたデータベースを含む。また、データベース24aとして、上記の交通情報や気象情報などのデータベースが構築されても良い。
【0021】
ECU25は、車車間通信および路車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。通信装置25aは、各種の通信機能を有し、例えば、専用狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communications)機能やセルラー通信機能を有する。通信装置25aは、送受信アンテナを含むTCU(Telematics Communication Unit)として構成されても良い。DSRCは、単方向又は双方向の狭域~中域における通信機能であり、車両間、路車間の高速なデータ通信を可能とする。
【0022】
ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けられた操作検知センサ7aにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ7cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替える。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU26は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0023】
ECU27は、方向指示器8(ウィンカ)を含む灯火器(ヘッドライト、テールライト等)を制御する。
図1の例の場合、方向指示器8は車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。
【0024】
ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は、運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音声出力装置91は、運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置92は、運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は、例えば運転席正面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせてもよい。また、表示装置92は、ナビゲーション装置を含む。
【0025】
入力装置93は、運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声入力装置が含まれてもよい。
【0026】
ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置10は、例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速および停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは、車両1の停止状態を維持するために作動することができる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0027】
ECU20が実行する車両1の自動運転に関わる制御について説明する。ECU20は、運転者により目的地と自動運転が指示されると、ECU24により探索された案内ルートにしたがって、目的地へ向けて車両1の走行を自動制御する。自動制御の際、ECU20は、ECU22および23から車両1の周囲状況に関する情報(外界情報)を取得し、取得した情報に基づきECU21、ECU26および29に指示して、車両1の操舵、加減速を制御する。車両1の周囲状況に関する情報には、例えば、他車両、歩行者、標識、信号等の公共設備、などが含まれる。
【0028】
図2は、制御ユニット2の機能ブロックを示す図である。制御部200は、
図1の制御ユニット2に対応し、外界認識部201、自己位置認識部202、車内認識部203、行動計画部204、駆動制御部205、デバイス制御部206、通信制御部207を含む。各ブロックは、
図1に示す1つのECU、若しくは、複数のECUにより実現される。
【0029】
外界認識部201は、外界認識用カメラ208及び外界認識用センサ209からの信号に基づいて、車両1の外界情報を画像認識や信号解析により認識する。ここで、外界認識用カメラ208は例えば
図1のカメラ41であり、外界認識用センサ209は例えば
図1の検知ユニット42、43である。外界認識部201は、外界認識用カメラ208及び外界認識用センサ209からの信号に基づいて、例えば、交差点や踏切、トンネル等のシーン、路肩等のフリースペース、他車両の挙動(速度や進行方向)を認識する。自己位置認識部202は、GPSセンサ212からの信号に基づいて車両1の現在位置を認識する。ここで、GPSセンサ212は、例えば、
図1のGPSセンサ24bに対応する。
【0030】
車内認識部203は、車内認識用カメラ210及び車内認識用センサ211からの信号に基づいて、車両1の搭乗者を識別し、また、搭乗者の状態を認識する。車内認識用カメラ210は、例えば、車両1の車内の表示装置92上に設置された近赤外カメラであり、例えば、搭乗者の視線の方向を検出する。また、車内認識用センサ211は、例えば、搭乗者の生体信号を検知するセンサである。車内認識部203は、それらの信号に基づいて、搭乗者の居眠り状態、運転以外の作業中の状態、であることなどを認識する。
【0031】
行動計画部204は、外界認識部201、自己位置認識部202による認識の結果に基づいて、最適経路、リスク回避経路など、車両1の行動を計画する。行動計画部204は、例えば、交差点や踏切等の開始点や終点に基づく進入判定、他車両の挙動予測に基づく行動計画を行う。駆動制御部205は、行動計画部204による行動計画に基づいて、駆動力出力装置213、ステアリング装置214、ブレーキ装置215を制御する。ここで、駆動力出力装置213は、例えば、
図1のパワープラント6に対応し、ステアリング装置214は、
図1の電動パワーステアリング装置3に対応し、ブレーキ装置215は、ブレーキ装置10に対応する。
【0032】
デバイス制御部206は、制御部200に接続されるデバイスを制御する。例えば、デバイス制御部206は、スピーカ216を制御し、警告やナビゲーションのためのメッセージ等、所定の音声メッセージを出力させる。また、例えば、デバイス制御部206は、表示装置217を制御し、所定のインタフェース画面を表示させる。表示装置217は、例えば表示装置92に対応する。また、例えば、デバイス制御部206は、ナビゲーション装置218を制御し、ナビゲーション装置218での設定情報を取得する。
【0033】
通信制御部207は、各種の通信プロトコルに従って通信データを生成し、通信装置219を介して通信データを送受信することにより車車間通信、路車間通信を行う。通信方式としては、例えばDSRCが用いられる。DSRCを用いることにより、通信制御部207は、DSRC車載器として機能し、他のDSRCを用いた通信システムとの車車間通信、路側設備(RSE)との路車間通信が可能となる。また、通信制御部207は、DSRCに対応した携帯端末とも通信可能である。DSRCの通信プロトコルは、OSI(Open System Interconnection)の7層のうち、物理層、データリンク層、アプリケーション層を含んで構成され、通信データは、各層(レイヤ)の少なくともいずれかにおいて生成される。また、他の通信方式としては、例えばセルラー通信が用いられる。セルラー通信を用いることにより、通信制御部207は、セルラー通信用車載器として機能し、他のセルラー回線を用いた通信システムとの車車間通信、路側設備(RSE)との路車間通信が可能となる。また、セルラー通信の通信プロトコルは、OSI(Open System Interconnection)の7層のうち、物理層、データリンク層、アプリケーション層を含んで構成され、通信データは、各層(レイヤ)の少なくともいずれかにおいて生成される。
【0034】
制御部200は、
図2に示す以外の機能ブロックを適宜含んでも良く、例えば、通信装置24cを介して取得した地図情報に基づいて目的地までの最適経路を算出する最適経路算出部を含んでも良い。また、制御部200が、
図2に示すカメラやセンサ以外から情報を取得しても良く、例えば、通信装置25aを介して他の車両の情報を取得するようにしても良い。また、制御部200は、GPSセンサ212だけでなく、車両1に設けられた各種センサからの検知信号を受信する。例えば、制御部200は、車両1のドア部に設けられたドアの開閉センサやドアロックの機構センサの検知信号を、ドア部に構成されたECUを介して受信する。それにより、制御部200は、ドアのロック解除や、ドアの開閉動作を検知することができる。
【0035】
以下、本実施形態の動作について説明する。
図16(a)及び
図16(b)は、自車両1401が交差点の一時停止線に停止し、他車両1402がカーブ状の道路に沿って交差点に進入しようとする様子を示す図である。
図16(a)及び
図16(b)に示すケースでは、例えば、自車両1401と他車両1402との衝突可能性に基づいて、自車両1 401の運転者に対する運転支援が行われる。運転支援としては、例えば、運転者に対する報知や、緊急回避のための操舵制御、制動制御である。以下、運転支援の一例として運転者に対する報知を説明するが、本実施形態の動作は、他の制御についても同様に適用可能である。運転者に対する報知には、運転者に対するメッセージや画像表示、音声出力が含まれる。
【0036】
運転者に対する報知を行うタイミングを判定するために、自車両1401の現在位置に基づいて推定される将来の軌跡と他車両1402の現在位置に基づいて推定される将来の軌跡とを用いて交点を導出する処理が行われる。ここで、自車両1401及び他車両1402がその交点に到達するまでの時間が閾値以下であれば、衝突可能性が高いと判定され、運転者に対する報知が行われる。ここで、交点に到達するまでの時間としては、例えば、TTC(Time To Collision)が用いられる。
【0037】
図16(a)に示すように、交差点につながる道路がカーブ形状である場合には、以下のような課題が想定される。軌跡1403は、自車両1401の現在位置を基点として推定される将来の軌跡である。即ち、軌跡1403は、自車両1401が走行する道路に沿って延びる直線となる。一方、カーブ形状の道路に沿って走行する他車両1402の現在位置に基づいて推定される軌跡は、カーブ形状の道路の接線方向の直線となる。即ち、道路に沿わない軌跡1404として推定される。その結果、軌跡1403と軌跡1404の交点1405は、
図16(a)に示すように、交差点から外れた位置として導出される。また、例えば、自車両1401が発進後、交点1405に到達するまでの時間が5秒、他車両1402が交点1405に到達するまでの時間が5秒と算出され、それらが閾値(例えば4秒)よりも大きいと判定されると、衝突可能性が低いと判定され、運転者に対する報知が行われない。
【0038】
図16(b)は、実際の軌跡を示しており、実際には他車両1402の走行による軌跡は軌跡1406となり、ポイント1407が衝突可能性がある地点となる。その場合、例えば、自車両1401が停止状態からの発進後、ポイント1407に到達するまでの時間が3秒、他車両1402がポイント1407に到達するまでの時間が3秒であれば、閾値以下で衝突可能性が高いと判定され、運転者に対する報知が適切に行われることが望ましい。しかしながら、
図16(a)のように、衝突可能性が低いと判定されるために、運転者に対する報知が行われなくなってしまう。また、実際の軌跡1406を推定する処理は、直線の軌跡1404を推定する処理よりも複雑化してしまう。
【0039】
図17(a)及び
図17(b)は、自車両1501が交差点を通過しようと走行中であり、他車両1502がカーブ状の道路に沿って交差点に進入しようとする様子を示す図である。
図17(a)及び
図17(b)に示すケースでも、
図16(a)及び
図16(b)と同様に、自車両1501と他車両1502との衝突可能性に基づいて、自車両1501の運転者に対する報知が行われる。
【0040】
軌跡1503は、軌跡1403と同様に自車両1501が走行する道路に沿って延びる直線となる。一方、カーブ形状の道路に沿って走行する他車両1502の軌跡の現在位置に基づいて推定される将来の軌跡は、カーブ形状の道路の接線方向の直線となる。即ち、道路に沿わない軌跡1504として推定されることになる。その結果、軌跡1503と軌跡1504の交点1505は、
図17(a)に示すように、交差点から外れた位置として導出されてしまう。また、例えば、自車両1501が交点1505に到達するまでの時間が3秒、他車両1502が交点1505に到達するまでの時間が3秒と算出され、それらが閾値(例えば4秒)以下と判定されると、衝突可能性が高いと判定され、運転者に対する報知が行われる。
【0041】
図17(b)は、実際の軌跡を示しており、実際には他車両1502の走行による軌跡は軌跡1506となり、ポイント1507が衝突可能性がある地点となる。その場合、他車両1502がポイント1507に到達するまでの時間と比べて、走行中の自車両1501はポイント1507に到達するまでの時間が十分に短いと考えられる。従って、実際には衝突可能性は低いので、運転者に対する報知が行われる必要はない。しかしながら、上記のように、衝突可能性が高いと判定されるために、運転者に対する報知が不適切に行われてしまう。
【0042】
本実施形態によれば、
図16(a)及び
図16(b)、
図17(a)及び
図17(b)に示すような交差点につながる道路がカーブ形状のケースであっても、運転者に対する報知を適切に行うことができる。
【0043】
図3は、本実施形態の動作を説明するための図である。自車両301は、停止中もしくは走行中の状態である。他車両302は、カーブ形状の道路に沿って交差点に進入してくる他車両である。
図3では、他車両302が時刻t=t0、所定時間α経過後のt=t0+αにおける2つの時刻における位置を示している。軌跡303は、自車両301の現在位置を基点として推定される将来の軌跡である。軌跡304は、他車両302が時刻t=t0のときの位置を基点として推定される将来の軌跡であり、軌跡305は、他車両302が時刻t=t0+αのときの位置を基点として推定される将来の軌跡である。また、交点306は、軌跡304と軌跡303との交点であり、交点307は、軌跡305と軌跡303との交点である。
【0044】
図3に示すように、他車両302がカーブ形状の道路に沿って交差点に進入してくる場合、軌跡の交点の挙動は、自車両301について推定される軌跡303上で、自車両301側に移動するものとなる。本実施形態では、自車両301について推定される軌跡と、他車両302について推定される軌跡との交点の挙動が上記のようであれば、運転者に対する報知を行う条件を
図3に示すようなケースに応じた条件とする。
【0045】
例えば、自車両301が停止中であれば、交点に到達するまでの時間の閾値を基準値よりも大きくし、運転者に対する報知を行われやすくする。ここで、基準値とは、他車両が直線形状の道路に沿って交差点に進入してくるケース、即ち、自車両について推定される将来の軌跡と他車両について推定される将来の軌跡との交点が、他車両の移動によっても静止した状態となるケースに用いられる閾値である。つまり、交点に到達するまでの時間の閾値を基準値よりも大きくすることで、運転者に対する報知が行われるまでのタイミングを早くする。そのような閾値の変更により、
図16(a)及び
図16(b)において説明したような運転者に対する報知が行われないということを防ぐことができる。また、例えば、自車両301が走行中であれば、交点に到達するまでの時間の閾値を基準値よりも小さくし、運転者に対する報知を行われ難くする。つまり、交点に到達するまでの時間の閾値を基準値よりも小さくすることで、運転者に対する報知が行われるまでのタイミングを遅くする。そのような閾値の変更により、
図17(a)及び
図17(b)において説明したような運転者に対して不適切な報知が行われてしまうことを防ぐことができる。
【0046】
図4、
図5、
図6は、本実施形態における運転支援の制御処理を示すフローチャートである。
図4、
図5、
図6の処理は、例えば、制御部200がROM等の記憶領域に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、
図4、
図5、
図6の処理は、例えば、制御部200が登載された自車両301が交差点付近に位置する場合に実行される。例えば、制御部200によるシーン認識により、交差点付近を走行していると認識された場合に、
図4、
図5、
図6の処理が行われるようにしても良い。
【0047】
まず、
図4の処理について説明する。S101において、制御部200は、自車両の走行状況を示す情報を取得する。自車両の走行状況を示す情報とは、例えば、位置情報、速度情報、ヨーレートなど、車両の挙動や姿勢を示す情報を含む。S102において、制御部200は、S101で取得された情報に基づいて、自車両の将来の軌跡を推定する。例えば、制御部200は、S101で取得された自車両の位置情報、速度情報、姿勢情報等に基づいて、現在位置を基点として絶対方位の方向に延びる直線を、自車両の将来の軌跡として推定し、制御部200内の記憶領域に保存する。例えば、
図3の軌跡303が、S102で推定される軌跡に対応する。
【0048】
S103において、制御部200は、所定時間が経過したか否かを判定する。ここで、所定時間が経過していないと判定された場合、S103の処理を繰り返し、所定時間が経過したと判定された場合、S101からの処理を繰り返す。
【0049】
次に、
図5の処理について説明する。S111において、制御部200は、周辺に他車両が存在するか否かを判定する。他車両の存在は、例えば車車間通信により自車両以外の車両の識別情報を受信した場合に、他車両が存在すると判定する。ここで、他車両が存在しないと判定された場合には、S111からの処理を繰り返す。一方、他車両が存在すると判定された場合、S112に進む。S112において、制御部200は、S111で存在すると判定された他車両の走行状況を示す情報を取得する。制御部200は、通信装置219の通信範囲内に存在する他車両からの情報を取得する。ここで、他車両の走行状況を示す情報とは、例えば、位置情報、速度情報、ヨーレートなど、車両の挙動や姿勢を示す情報を含む。S113において、制御部200は、S112で取得された情報に基づいて、他車両の将来の軌跡を推定し、制御部200内の記憶領域に保存する。例えば、制御部200は、S112で取得された他車両の位置情報、速度情報、姿勢情報等に基づいて、現在位置を基点として絶対方位の方向に延びる直線を、他車両の将来の軌跡として推定する。例えば、
図3の軌跡304が、S113で推定される軌跡に対応する。S113の後、S111からの処理を繰り返す。例えば、S111でさらに別の他車両が存在すると判定された場合には、S112において、そのさらに別の他車両の走行状況を示す情報が取得される。即ち、他車両が複数台存在している場合には、それぞれの他車両ごとに情報が取得される。
【0050】
図6の処理は、
図4の処理により自車両の軌跡が推定され、
図5の処理により他車両の軌跡が推定された場合に開始される。S121において、制御部200は、制御部200内の記憶領域内に保存された自車両の軌跡を取得する。
【0051】
S122において、制御部200は、制御部200内の記憶領域内に保存された他車両の軌跡を取得する。そして、S123において、制御部200は、S121で取得された自車両の軌跡と、S122で取得された他車両の軌跡との交点を設定する。なお、S122で取得された他車両の軌跡について、交点が設定されるとは限らない。例えば、
図3では不図示であるが、自車両301の対向車線を走行している他車両について推定された軌跡は、自車両301について推定された軌跡303と平行になるので、交点が設定されない。そのような交点が設定されなかった他車両の軌跡については、本ステップで破棄するようにしても良い。例えば、
図3の交点306が、S123で設定される交点に対応する。以下、
図3に示されるシーンにおいて、他車両302について推定された軌跡304と自車両301について推定された軌跡303との交点306が設定されたとして説明する。S124において、制御部200は、運転支援の条件を設定する。
【0052】
図7は、S124の運転支援の条件を設定する処理を示すフローチャートである。S201において、制御部200は、所定時間の経過を待機する。そして、S202において、制御部200は、S106で設定された交点に対応する他車両302について、他車両の走行状況を示す情報を取得する。S203において、制御部200は、S202で取得された情報に基づいて、他車両の将来の軌跡を推定する。ここでの他車両の軌跡の推定は、S113での他車両の軌跡の推定方法と同じである。S204において、制御部200は、S102で自車両301について推定された軌跡と、S203で他車両302について推定された軌跡との交点を設定する。そして、S205において、S201~S204の処理が所定回数行われたか否かを判定する。所定回数とは、交点の挙動を分析可能な分の回数であれば良い。所定回数行われていないと判定された場合、S201からの処理を繰り返す。一方、所定回数行われたと判定された場合、S206に進む。
【0053】
S113で他車両について推定された軌跡は、例えば
図3のt=t0に対応する軌跡304に対応する。また、S123で設定された交点は、例えば
図3の交点306に対応する。そして、所定時間αの経過後にS203で他車両について推定された軌跡は、例えば
図3のt=t0+αに対応する軌跡305に対応する。また、S204で設定された交点は、例えば
図3の交点307に対応する。制御部200は、S204で設定された交点をRAM等の記憶領域に格納する。
【0054】
S206において、制御部200は、記憶領域に格納された複数の交点に基づいて、S102で自車両301について推定された軌跡上での交点の挙動を分析する。そして、S207において、制御部200は、その分析の結果、交点が自車両301側に移動しているか否かを判定する。この判定においては、例えば、S102で自車両301について推定された軌跡上で、時間経過に伴い、交点と自車両301との間の距離が短くなるのであれば、交点が自車両301側に移動していると判定しても良い。また、例えば、S102で自車両301について推定された軌跡上での交点の位置が自車両301側に移動していることに基づいて判定が行われても良い。ここで位置として、例えば、緯度や経度で表される座標が用いられても良い。即ち、交点の挙動は、自車両301との間の距離変化に基づいて分析されても良いし、交点そのものの位置の変化に基づいて分析されても良い。
【0055】
S207で交点が自車両301側に移動していると判定された場合、S208において、制御部200は、所定の運転支援条件を変更する。ここで、所定の運転支援条件とは、交差点につながる道路が
図3に示すようなカーブ形状ではなく直線であるケースにおいて、自車両301及び他車両302が交点に到達するまでの時間として予め定められた値(閾値)である。例えば、車両が30km/hで走行しているときに急ブレーキ(例えば0.3G以上の加速度)を要することなく安全に停止できる時間として定められた3秒である。また、そのような値は、車速に応じて定められる値であっても良い。
【0056】
S208では、制御部200は、自車両301の現在の速度に応じて、所定の運転支援条件を変更する。例えば、自車両301の速度が徐行速度(例えば、5km/h)以下である場合には、予め定められた閾値をより長くするよう変更し、該変更された値を交点に到達するまでの時間の閾値として設定する。言い換えれば、運転者に対する報知が行われ易くなるよう(報知のタイミングを早くするよう)所定の運転支援条件を変更する。一方、自車両301の速度が通常速度(徐行速度より速い)である場合には、予め定められた閾値をより短くするよう変更し、該変更された値を交点に到達するまでの時間の閾値として設定する。言い換えれば、運転者に対する報知が行われ難くなるよう(報知のタイミングを遅くするよう)所定の運転支援条件を変更する。S208の後、
図5の処理を終了する。
【0057】
S207で交点が自車両301側に移動していないと判定された場合、S209において、制御部200は、交点は自車両301側と反対側に移動しているか否かを判定する。この判定においては、例えば、S102で自車両301について推定された軌跡上で、時間経過に伴い、交点と自車両301との距離が長くなるのであれば、交点が自車両301側と反対側に移動していると判定しても良い。また、例えば、S102で自車両301について推定された軌跡上での交点の位置が自車両301側と反対側に移動していることに基づいて判定が行われても良い。ここで位置として、例えば、緯度や経度で表される座標が用いられても良い。即ち、交点の挙動は、自車両301との間の距離変化に基づいて分析されても良いし、交点そのものの位置の変化に基づいて分析されても良い。
【0058】
S209で交点が自車両301側と反対側に移動していると判定された場合、S210において、制御部200は、所定の運転支援条件を変更する。ここでの変更は、例えば、運転者に対する報知が行われ難くもしくは行われないような変更が行われる。例えば、交点に到達するまでの時間の閾値として、0.1秒など極めて短い時間を設定することにより行われても良い。
【0059】
ここで、交点が自車両から遠ざかると判定されるケースについて説明する。
図8(a)及び
図8(b)は、交点が自車両側と反対側に移動していると判定されるケースを説明するための図である。
図8(a)は、自車両601が走行する道路と、他車両602が走行する道路とが別であるケースを示している。なお、他車両603は、他車両602の位置から所定時間α経過後の位置に対応している。軌跡604は、S102で推定される自車両601の将来の軌跡である。軌跡605は、S113で推定される他車両602の将来の軌跡である。軌跡606は、S203で推定される他車両603の将来の軌跡である。また、交点607は、S123で設定される交点であり、交点608は、S204で設定される交点である。
【0060】
図8(a)に示すようなケースにおいては、時間αの経過に伴って、交点607から交点608へ交点が移動する。自車両601が走行する道路と、他車両602が走行する道路は別であるため、衝突可能性は低く、運転者に対する報知の必要はない。本実施形態では、交点が自車両側と反対側に移動する場合には、運転者に対する報知は行われ難くもしくは行われないように変更されるので、不適切な報知を防ぐことができる。また、自車両601が走行する道路が、他車両602が走行する道路に合流するようなケースであっても同様に、交点は自車両601側と反対側に移動する。そのようなケースでは、他車両602は、自車両601の進行方向側に合流していくことになり、他車両602が自車両601の運転者の視界に入りやすいため、運転者に対する報知の必要性は低い。本実施形態では、交点が自車両側と反対側に移動する場合には、運転者に対する報知は行われ難くもしくは行われないように変更されるので、不要な報知の頻度を低減することができる。
【0061】
図8(b)は、他車両612が交差点に向かってカーブ形状の道路に沿って進入していくケースを示している。なお、他車両613は、他車両612の位置から所定時間α経過後の位置に対応している。軌跡614は、S102で推定される自車両611の将来の軌跡である。軌跡615は、S113で推定される他車両612の将来の軌跡である。軌跡616は、S203で推定される他車両613の将来の軌跡である。また、交点617は、S123で設定される交点であり、交点618は、S204で設定される交点である。
【0062】
図8(b)に示すようなケースにおいても、時間αの経過に伴って、交点617から交点618へ交点が移動する。しかしながら、
図3のケースと異なり、他車両612は、自車両611の前方方向からカーブしながら交差点に進入していく。即ち、他車両612は、自車両611の運転者の視界内で交差点に進入してくることになり、運転者に対する報知の必要性は低い。本実施形態では、交点が自車両側と反対側に移動する場合には、運転者に対する報知は行われ難くもしくは行われないように変更されるので、不要な報知の頻度を低減することができる。
【0063】
S209で交点が自車両301側と反対側に移動していないと判定された場合、S211において、制御部200は、所定の運転支援条件を適用し、その後、
図7の処理を終了する。なお、S209で交点が自車両301側と反対側に移動していないと判定される場合とは、交点が静止している状態を含む。そのような場合は、交差点につながる道路が
図3に示すようなカーブ形状でなく直線であるケースが該当する。なお、「静止している状態」とは、交点の位置に若干の変動がある状態を含むものとする。例えば、交点の位置が自車両301との間の距離の±0.05%の範囲内に留まる場合であれば、「静止している状態」と判断するようにしても良い。
【0064】
再び、
図6を参照する。S124の後、S125において、制御部200は、自車両301及び他車両302それぞれについて、交点を通過するまでの通過所要時間を算出する。所要時間は、例えば、ある時点における各車両の位置から交点までの距離と各車両の速度情報とに基づいて算出される。通過所要時間としてTTC(Time To Collision)が用いられても良い。そして、S126において、制御部200は、S125で算出された自車両301及び他車両302それぞれの通過所要時間が、S124で運転支援条件として設定された閾値以下であるか否かを判定する。ここで、S124で運転支援条件として設定された閾値とは、例えば、自車両301の速度が徐行速度(例えば5km/h)以下である場合には、S208で、予め定められた閾値をより長くするよう変更された閾値である。また、例えば、自車両301の速度が徐行速度より速い場合には、S208で、予め定められた閾値をより短くするよう変更された閾値である。S126で自車両301及び他車両302それぞれの通過所要時間がともに閾値以下でない場合には、運転者に対する報知は必要ないので、
図6の処理を終了する。一方、自車両301及び他車両302それぞれの通過所要時間がともに閾値以下である場合には、S127に進む。
【0065】
S127において、制御部200は、S125で算出された自車両301の通過所要時間と他車両302の通過所要時間との差が閾値以下であるか否かを判定する。ここで、通過所要時間の差が閾値より大きい場合には、S128の運転支援を実行せずに、
図6の処理を終了する。一方、通過所要時間の差が閾値以下であると判定された場合、S128に進む。
【0066】
S128において、制御部200は、自車両301の運転者に対する運転支援を実行する。運転支援としては、例えば、運転者に対する報知が行われる。運転者に対する報知として、例えば、表示装置217に他車両の接近を知らせるメッセージを表示するようにしても良い。また、例えば、スピーカ216を介して音声によりメッセージを出力するようにしても良い。また、運転支援として、緊急回避のための操舵制御もしくは制動制御が行われても良い。もしくは、運転者に対する報知、操舵制御、制動制御が組み合わせられても良い。S128の後、制御部200は、S208及びS210で変更された運転支援条件を、所定の運転支援条件に戻し、その後、
図6の処理を終了する。
【0067】
以上のように、本実施形態では、
図3に示すように、交差点につながる道路がカーブ形状である場合でも、その道路を走行する他車両の接近に基づき、自車両の運転者に対する運転支援を適切に実行することができる。
【0068】
本実施形態では、S128において、自車両301に対する運転支援を実行すると説明した。しかしながら、他車両302に対する運転支援を行うようにしても良い。その場合、S128において、制御部200は、自車両301が他車両302に接近していることを示す情報を通信装置219を介して他車両302に送信するようにしても良い。その場合、送信する情報は、パネル等に表示可能な表示データであっても良いし、スピーカ等で出力可能な音声データであっても良い。また、S128では、他車両302に対する運転支援は、自車両301に対する運転支援とともに、若しくは、自車両301に対する運転支援の代わりに実行されても良い。また、自車両301に対する運転支援と、他車両302に対する運転支援は、同じ種類の運転支援(例えば、運転者に対する報知)が実行されるようにしても良いし、異なる種類の運転支援が実行されるようにしても良い。
【0069】
また、本実施形態では、自車両301が直進道路に沿って交差点に進入し、他車両302がカーブ形状の道路に沿って交差点に進入してくる場合を説明した。しかしながら、自車両301がカーブ形状の道路に沿って進入し、他車両302が直進道路に沿って交差点に進入してくる場合であっても、交点の位置の変化に基づいて、運転支援条件の変更を行うようにしても良い。
図7の処理は、自車両301と他車両302とが
図3において逆の位置にある場合でも同様に適用可能である。以下、
図3において、他車両302が自車両301であるとし、自車両301が他車両302であるとしたケースについての処理を説明する。
【0070】
t=t0のとき、S202において、制御部200は、S123で設定された交点に対応する他車両302について、他車両の走行状況を示す情報を取得する。S203において、制御部200は、S202で取得された情報に基づいて、他車両の将来の軌跡を推定する。ここでの他車両の将来の軌跡とは、軌跡303である。S204において、制御部200は、現時点での自車両301について推定された軌跡304と、S203で他車両302について推定された軌跡303との交点306を設定する。そして、S205において、S201~S204の処理が所定回数行われたか否かを判定する。
【0071】
t=t1のとき、S202において、制御部200は、S123で設定された交点に対応する他車両302について、他車両の走行状況を示す情報を取得する。S203において、制御部200は、S202で取得された情報に基づいて、他車両の将来の軌跡を推定する。ここでの他車両の将来の軌跡とは、軌跡303である。S204において、制御部200は、現時点での自車両301について推定された軌跡305と、S203で他車両302について推定された軌跡303との交点307を設定する。
【0072】
S206での交点の挙動の分析の結果、S207において、制御部200は、その分析の結果、軌跡上で交点が自車両301側に移動しているか否かを判定する。この判定においては、例えば、自車両301について推定された軌跡304及び305に基づいて、時間経過に伴い、交点306と自車両301との間の距離よりも、交点307と自車両301との間の距離が短くなるのであれば、交点が自車両301側に移動していると判定する。
図3に示すケースでは、上記の距離が短くなるので、他車両302が徐行速度以下である場合は、運転者に対する報知が行われ易くなるよう所定の運転支援条件が変更される。
【0073】
また、S209において、制御部200は、S206での分析の結果、交点が自車両301側と反対側に移動しているか否かを判定する。この判定においては、例えば、自車両301について推定された軌跡304及び305に基づいて、時間経過に伴い、交点306と自車両301との間の距離よりも、交点307と自車両301との間の距離が長くなるのであれば、交点が自車両301側と反対側に移動していると判定する。例えば、自車両301の進行方向が、他車両302の直進道路を交差する向きから次第に直進道路と同じ向き(例えば合流)に変わっていくケースが該当する。そのようなケースでは、上記の距離が長くなるので、運転者に対する報知が行われ難くもしくは行われないように所定の運転支援条件が変更される。
【0074】
即ち、S207及びS209での判定結果以降については、既に説明した処理と同じとなる。このように、
図7の処理は、自車両301と他車両302とが
図3において逆の位置にあるケースでも同様に適用可能である。
【0075】
また、
図6の処理において、S123の後、設定された交点と自車両301との距離を取得するようにしても良い。
図9は、その場合の処理を示すフローチャートである。S123で軌跡の交点が設定された後、S301において、制御部200は、軌跡303上で、交点と自車両301との間の距離を取得する。そして、S302において、制御部200は、その距離が閾値以下であるか否かを判定する。ここで、閾値以下であると判定された場合、S124以降の処理を実行する。一方、閾値以下でないと判定された場合、
図9及び
図6の処理を終了する。そのような構成により、交点の位置が一定距離以上離れている場合には、運転支援は行われないので、衝突の可能性がある地点がまだ遠方であるにも関わらず報知が行われてしまうことを防ぐことができる。
【0076】
また、S207で交点が自車両301側に移動していると判定された場合、交点の位置の変化量に応じて、所定の運転支援条件の変更の程度を異ならせるようにしても良い。
図10は、その場合の処理を示すフローチャートである。
図10は、S207で交点が自車両301側に移動していると判定された場合の処理を示している。S401において、制御部200は、交点の移動変化が閾値以上であるか否かを判定する。交点の移動変化とは、例えば、単位時間当たりの交点の位置の変化量であっても良い。交点の移動変化が閾値以上でないと判定された場合、S403において、制御部200は、S208における説明と同様に所定の運転支援条件を変更する。
図10では、その際の変更量を時間変更量Aとして示している。ここで、交点の移動変化が閾値以上であると判定される場合の交点の位置の変化量を第1変化量とし、閾値以上でないと判定された場合の交点の位置の変化量を第2変化量とする。例えば、交点の位置の変化量が第2変化量であって(S401:No)自車両301の速度が通常速度である場合には、交点に到達するまでの時間の閾値として、予め定められた閾値を時間変更量A分短くする。また、例えば、交点の位置の変化量が第2変化量であって(S401:No)自車両301の速度が徐行速度である場合には、交点に到達するまでの時間の閾値として、予め定められた時間を時間変更量A分長くする。
【0077】
一方、S401で交点の移動変化が閾値以上である、即ち、交点の位置の変化量が第1変化量であると判定された場合、S402において、制御部200は、時間変更量Aよりも大きい時間変更量Bによって、所定の運転支援条件を変更する。交点の移動変化が閾値以上であると判定される場合とは、例えば、他車両302の走行している道路のカーブの曲率が比較的大きい場合である。その場合、交点の移動変化がそれ以降もより大きくなると推定される。従って、制御部200は、例えば、交点の位置の変化量が第1変化量であって(S401:Yes)自車両301の速度が徐行速度である場合には、交点に到達するまでの時間の閾値として、予め定められた閾値を時間変更量B分長くする。即ち、S403の場合よりも、運転者に対する報知がより行われ易くなる。曲率の大きいカーブを曲がり終えた他車両302は、ごく短時間のうちに交差点に進入してくると想定され、自車両301が通常速度まで速度を上げるまでの間に衝突を引き起こしてしまう可能性がある。本実施形態によれば、交点の移動変化が大きいと判定された場合、所定の運転支援条件の変更量を大きくするので、衝突回避の可能性をより高めることができる。
【0078】
一方、例えば、交点の位置の変化量が第1変化量であって(S401:Yes)自車両301の速度が通常速度である場合には、交点に到達するまでの時間の閾値として、予め定められた閾値を時間変更量B分短くする。即ち、S403の場合よりも、運転者に対する報知がより行われ難くなる。交点の移動変化が大きいということは、他車両302はカーブを曲がっている状態であることを表している。そのため、通常速度で走行している自車両301は、他車両302より先に交差点を通過できる可能性が大きいと想定される。本実施形態によれば、交点の移動変化が大きいと判定された場合、所定の運転支援条件の変更量を大きくするので、不要な報知の頻度をより低減することができる。S402及びS403の後は、
図6のS125に進む。
【0079】
[第2実施形態]
以下、第1実施形態と異なる点について本実施形態を説明する。第1実施形態においては、
図3に示すような交差点のケースを一例として説明した。
図3では、交差点に対して右側から進入してくる車両については考慮していなかった。しかしながら、実際には、
図11に示すように、交差点に対して右側から進入してくる他車両901が存在することが想定される。
図11において、軌跡902は、他車両901の現在位置を基点として直線で推定される将来の軌跡である。交点903は、軌跡902と軌跡303との交点である。
【0080】
複数の他車両それぞれについて推定される軌跡との交点が複数存在する場合、通常、より自車両に近い側の交点が優先的に処理対象として決定され、その対応する他車両との衝突可能性が判断されて運転支援が実行される。
図12は、交差点につながる道路が直線となっている場合を示す図である。
図12は、交差点に対して下側から進入する自車両1001と、左側から進入してくる他車両1002と、右側から進入してくる他車両1003とが示されている。軌跡1004は、自車両1001の現在位置を基点として直線で推定される将来の軌跡である。軌跡1005は、他車両1002の現在位置を基点として直線で推定される将来の軌跡である。軌跡1006は、他車両1003の現在位置を基点として直線で推定される将来の軌跡である。交点1007は、軌跡1004と軌跡1005の交点であり、交点1008は、軌跡1004と軌跡1006の交点である。上記の交点の決定方法を
図12に適用すると、交点1008より交点1007が優先的に処理対象として決定され、他車両1002との衝突可能性が判断されて運転支援が実行される。
【0081】
しかしながら、上記の交点の決定方法を、本実施形態のような交差点に対してカーブ形状の道路に沿って進入してくる車両に適用すると、
図11に示すように、交点903が交点306に対して優先的に決定されることになる。
図11のポイント904に示すように、実際には、他車両901より他車両302の方が、自車両301に対する衝突の可能性が高いと想定されるので、交点306が交点903に対して優先的に決定される必要がある。
【0082】
本実施形態では、複数の他車両それぞれについて推定される軌跡と自車両について推定される軌跡との交点が複数存在する場合、各交点に対して優先度を設定する。そして、最も高い優先度が設定された交点を処理対象として決定し、その交点に対応する他車両との衝突可能性を判断して運転支援を実行する。
【0083】
図13は、処理対象の交点を決定する処理を示すフローチャートである。
図13の処理は、
図6のS123の後に行われる。S123の後、S501において、制御部200は、S123で設定された交点が複数存在するか否かを判定する。ここで、複数存在しないと判定された場合には、
図6のS124に進む。一方、複数存在すると判定された場合、S502以降の処理に進む。以降のS502~S506は、複数の交点それぞれについて繰り返し実行される。
【0084】
S502において、制御部200は、いずれかの交点に着目し、自車両301がその交点を通過するまでの通過所要時間を取得する。通過所要時間は、例えば、その時点での自車両301の速度と、自車両について推定される軌跡上での交点までの距離とに基づいて算出される。S503において、制御部200は、S502で算出された通過所要時間に基づいて、現在着目している交点に対して第1優先度を付与(設定)する。ここで、第1優先度とは、通過所要時間の範囲に対して予め定められているものであり、例えば、以下のようである。
【0085】
・通過所要時間3秒未満の場合、4ポイント
・通過所要時間3秒~3.5秒の場合、3ポイント
・通過所要時間3.5秒以上の場合、2ポイント
例えば、
図11において、交点306について自車両301の通過所要時間が5秒であれば、交点306に対して第1優先度として2ポイントが付与される。また、交点903について自車両301の通過所要時間が3秒であれば、交点903に対して第1優先度として3ポイントが付与される。また、
図12において、交点1007について自車両1001の通過所要時間が2.9秒であれば、交点1007に対して第1優先度として4ポイントが付与される。また、交点1008について自車両1001の通過所要時間が3.3秒であれば、交点1008について第1優先度として3ポイントが付与される。
【0086】
次に、S504において、制御部200は、交点の挙動を分析する。例えば、制御部200は、複数時刻における交点の位置に基づいて、現在着目している交点が静止しているか、自車両について推定された軌跡上を自車両側に移動しているか、もしくは自車両側と反対側に移動しているかを判定する。ここでの判定は、交点の挙動を上記の3種類で切り分けられれば良く、例えば、微小時間間隔で取得された2つの位置に基づいて判定が行われても良い。S505において、制御部200は、S505の分析結果に基づいて、現在着目している交点に対して第2優先度を付与する。ここで、第2優先度とは、交点の挙動に対して予め定められているものであり、例えば、以下のようである。
【0087】
・静止している場合、0ポイント
・自車両側に移動している場合、2ポイント
・自車両側と反対側に移動している場合、0ポイント
例えば、
図11において、交点306が自車両側に移動しているのであれば、交点306に対して第2優先度としてポイント2が付与される。また、交点903が静止しているのであれば、交点903に対して第2優先度としてポイント0が付与される。また、
図12において、交点1007が静止しているのであれば、交点1007に対して第2優先度としてポイント0が付与される。また、交点1008が静止しているのであれば、交点1008に対して第2優先度としてポイント0が付与される。
【0088】
次に、S506において、制御部200は、現在着目している交点に対する優先度を算出する。例えば、制御部200は、S503で付与された第1優先度とS505で付与された第2優先度との合計を算出する。例えば、
図11において、交点306については、2+2=4ポイントが算出され、交点903については、3+0=3ポイントが算出される。また、
図12において、交点1007については、4+0=4ポイントが算出される。また、交点1008については、3+0=3ポイントが算出される。
【0089】
S502~S506の処理が複数の交点それぞれについて繰り返される。なお、複数の交点それぞれについてのS502~S506の処理は並行して実行されるようにしても良い。
【0090】
S507において、制御部200は、各交点についてS506で算出された優先度に基づいて、運転支援の処理対象となる交点を決定する。例えば、制御部200は、最も高い優先度の交点を処理対象の交点として決定する。例えば、
図11において、交点306の優先度が交点903の優先度より高いので、交点306を処理対象の交点として決定する。また、
図12において、交点1007の優先度が交点1008の優先度より高いので、交点1007を処理対象の交点として決定する。S507の後、
図6のS124に進む。S124では、処理対象として決定された交点に対応する他車両について
図7の処理が実行される。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、複数の他車両が存在する場合においても、運転支援を適切に実行することができる。
【0092】
本実施形態では、
図11に示すような交差点のケースを一例として説明した。しかしながら、複数の他車両が存在する場合において、全ての他車両が道路を走行しているとは限らず、例えば、道路に隣接して設けられた駐車場内を走行している他車両がS111で検出されるケースが想定される。そのようなケースでは、駐車場内を徐行している他車両と自車両との衝突可能性は極めて低いと考えられるので、たとえ交点が設定されるとしても、運転支援の処理対象から除外することが望ましい。
【0093】
図14は、交差点に隣接する駐車場内に他車両が存在するケースを説明するための図である。ここで、自車両1201、他車両1202は、道路上を走行しており、他車両1203は、駐車場内を徐行している。
図14において、軌跡1204は、自車両1201の現在位置を基点として直線で推定される将来の軌跡である。また、軌跡1205は、他車両1202の現在位置を基点として直線で推定される将来の軌跡である。軌跡1206は、他車両1203の現在位置を基点として直線で推定される将来の軌跡である。交点1207は、軌跡1204と軌跡1205の交点であり、交点1208は、軌跡1204と軌跡1206の交点である。
【0094】
図14に示すように、交点が2つ存在する。この場合、より自車両に近い側の交点が優先的に処理対象として決定され、その対応する他車両との衝突可能性が判断されて運転支援が実行される。しかしながら、上述したように、他車両1203は、衝突可能性が極めて低いと考えられるので、運転支援の処理対象から除外することが処理負荷の観点からも望ましい。そこで、
図6のS123の後、
図15に示す処理を実行するようにしても良い。
【0095】
図15は、運転支援の処理対象を限定する処理を示すフローチャートである。
図15は、各交点について実行される。
【0096】
S601において、制御部200は、交点に着目し、自車両1201からその交点までの距離が閾値未満であるか否かを判定する。この閾値は、例えば、
図9のS302での閾値に対応する。また、例えば、閾値としてTTCを用いても良い。距離が閾値未満であると判定された場合、S604において、制御部200は、その交点について以降の処理対象として決定し、次の交点に着目して、S601からの処理を繰り返す。そのような構成により、一定距離以内の交点については処理対象とすることができる。一方、距離が閾値未満でない(閾値以上である)と判定された場合、S602において、制御部200は、その交点に対応する他車両の車速が閾値以上であるか否かを判定する。ここでの閾値は、例えば人の歩く速度であっても良い。車速が閾値以上であると判定された場合、S604において、制御部200は、その交点について以降の処理対象として決定し、次の交点に着目して、S601からの処理を繰り返す。そのような構成により、一定車速以上の他車両については処理対象とすることができる。一方、車速が閾値以上でない(閾値未満である)と判定された場合、S603において、制御部200は、その交点を処理対象外として決定し、次の交点に着目し、S601からの処理を繰り返す。そのような構成により、例えば
図14の他車両1203が徐行している場合には、交点1208は処理対象外とされ、交点1208に対する
図13の処理(優先度の付与)が行われないので処理負荷を軽減することができる。すべての交点について処理が行われると、
図13のS502以降の処理に進み、S604で処理対象として決定された交点に対する優先度の付与が行われる。
【0097】
このように、駐車場内で徐行しているような他車両については、運転支援の処理対象外と決定されるので、優先度の付与処理を行わずに済み、処理負荷を軽減させることができる。また、運転支援の処理対象外とするための判定基準は、
図15に示すものに限られない。例えば、他車両のその交点までの通過所要時間が閾値以上であるかを判定しても良い。即ち、他車両が徐行している場合には、その交点までの通過所要時間は長くなる傾向となる。従って、通過所要時間が閾値以上である場合には、その他車両は徐行していると判断し、その判断結果に基づいて処理対象外として決定しても良い。また、運転支援の処理対象外とするための判定基準として、地図情報を用いるようにしても良い。例えば、S601の判定対象となる距離を地図情報に含まれる位置情報から取得するようにしても良い。
【0098】
<実施形態のまとめ>
上記各実施形態の車両制御装置は、自車両の走行状況を示す情報を取得する第1取得手段(S101)と、前記第1取得手段により取得された前記自車両の走行状況を示す情報に基づいて、前記自車両の将来の軌跡を推定する第1推定手段(S102)と、前記自車両と異なる他車両の走行状況を示す情報を取得する第2取得手段(S104)と、前記第2取得手段により取得された前記他車両の走行状況を示す情報に基づいて、前記他車両の将来の軌跡を推定する第2推定手段(S105)と、前記第1推定手段により推定された前記自車両の将来の軌跡と、前記第2推定手段により推定された前記他車両の将来の軌跡との交点の位置変化に基づいて、運転支援を実行するか否かを判定する判定手段(
図5)と、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定された場合、前記運転支援を実行する実行手段(S111)とを備える。
【0099】
そのような構成により、交差点に進入する道路形状がカーブしながら交差点につながる形状であっても、車両同士の衝突可能性に基づいて適切に運転支援を行うことができる。
【0100】
また、前記判定手段は、前記自車両が前記交点を通過するまでに要する第1通過所要時間および前記他車両が前記交点を通過するまでに要する第2通過所要時間にさらに基づいて、前記運転支援を実行するか否かを判定する(S109、S110)。また、前記判定手段は、前記第1通過所要時間および前記第2通過所要時間がともに閾値以下である場合、前記運転支援を実行すると判定する(S109)。また、前記判定手段は、前記第1通過所要時間と前記第2通過所要時間の差が閾値以下である場合、前記運転支援を実行すると判定する(S110)。
【0101】
そのような構成により、自車両と他車両の走行状況が条件を満たす場合に、運転支援を実行することができる。
【0102】
また、前記自車両の走行状況を示す情報が、閾値以下の車速を示す場合、前記交点の位置が前記自車両側に移動する場合は、前記自車両側に移動しない場合に比べて、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定されやすい(S208)。また、前記自車両の走行状況を示す情報が、閾値より大きい車速を示す場合、前記交点の位置が前記自車両側に移動する場合は、前記自車両側に移動しない場合に比べて、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定され難い(S208)。
【0103】
そのような構成により、例えば、自車両が停止している場合には、運転支援を実行され易くし、自車両が通常速度で走行している場合には、運転支援を実行され難くすることができる。
【0104】
また、前記自車両の走行状況を示す情報が、閾値以下の車速を示す場合、前記交点の位置変化が第1変化量である場合は、前記交点の位置変化が前記第1変化量より小さい第2変化量である場合に比べて、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定されやすい(S208)。また、前記自車両の走行状況を示す情報が、閾値より大きい車速を示す場合、前記交点の位置変化が第1変化量である場合は、前記交点の位置変化が前記第1変化量より小さい第2変化量である場合に比べて、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定され難い(S208)。
【0105】
そのような構成により、他車両が走行する道路の曲率が大きい場合には、自車両が停止していれば、運転支援をより実行され易くし、自車両が通常速度で走行していれば、運転支援をより実行され難くすることができる。
【0106】
また、前記交点の位置が前記自車両側と反対側に移動する場合は、前記自車両側に移動する場合に比べて、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定され難い(S210)。
【0107】
そのような構成により、運転支援を実行することが適切でない状況においては、運転支援を実行され難くすることができる。
【0108】
また、第1時刻における前記交点の位置と、前記第1時刻の後の第2時刻における前記交点の位置を取得する取得手段(S201~S205)、をさらに備え、前記交点が前記自車両側に移動する場合とは、前記第2時刻における前記交点の位置が前記第1時刻における前記交点の位置より前記自車両側にある場合である。また、前記交点が前記自車両側と反対側に移動する場合とは、前記第2時刻における前記交点の位置が前記第1時刻における前記交点の位置より前記自車両側と反対側にある場合である。
【0109】
そのような構成により、例えば、所定の時間間隔で車両の走行状況を示す情報を繰り返し取得する処理により、交点の挙動を分析することができる。
【0110】
また、前記交点の位置変化は、前記自車両から所定の距離内での位置変化である。そのような構成により、交点が自車両から遠方にある場合に、運転支援を実行してしまうことを防ぐことができる。
【0111】
また、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定されやすいとは、前記自車両が前記交点を通過するまでに要する時間の閾値を大きくすることを含み、前記判定手段により前記運転支援を実行すると判定され難いとは、該閾値を小さくすることを含む。
【0112】
そのような構成により、予め定められた閾値を変更することによって、運転支援を実行され易くもしくは実行され難くすることができる。
【0113】
また、前記自車両の将来の軌跡と第1他車両の将来の軌跡との第1交点と、前記自車両の将来の軌跡と第2他車両の将来の軌跡との第2交点とに対して優先度を設定する設定手段(
図11)、をさらに備え、前記判定手段は、前記第1交点と前記第2交点のうち、優先度の高い交点の位置変化に基づいて、前記運転支援を実行するか否かを判定する。また、前記優先度は、前記交点の挙動と、前記自車両が前記交点を通過するまでに要する通過所要時間とに基づいて設定される。
【0114】
そのような構成により、他車両が複数存在する場合でも、処理対象となる交点を適切に決定することができる。
【0115】
また、前記自車両の将来の軌跡と第1他車両の将来の軌跡との第1交点と、前記自車両の将来の軌跡と第2他車両の将来の軌跡との第2交点のうち、前記判定手段の判定対象となる交点を決定する決定手段(
図13)、をさらに備える。前記決定手段は、前記他車両の車速と、前記自車両から前記第1交点および前記第2交点までのそれぞれの距離とに基づいて、前記判定手段の判定対象となる交点を決定する。
【0116】
そのような構成により、他車両が複数存在する場合でも、処理対象として適切でない交点を除外することができる。
【0117】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 車両: 200 制御部: 205 駆動制御部: 207 通信制御部: 213 駆動力出力装置: 214 ステアリング装置: 215 ブレーキ装置: 217 表示装置: 219 通信装置