(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】硬化性組成物及び硬化性組成物の硬化物
(51)【国際特許分類】
C08F 220/10 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
C08F220/10
(21)【出願番号】P 2021052058
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2020060859
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮本 佳介
(72)【発明者】
【氏名】辻村 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】児島 俊貴
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-091789(JP,A)
【文献】特開2019-002009(JP,A)
【文献】特開2019-002010(JP,A)
【文献】特開2019-143057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00、301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)式で示されるラジカル重合性モノマー(A)と、環構造を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)と、ラジカル重合開始剤(D)とを含有する硬化性組成物であって、
前記(A)、前記(B)及び前記(C)の合計重量に基づいて、前記(A)の含有量が5~25重量%であり、前記(B)の含有量が35~70重量%であり、前記(C)の含有量が10~40重量%であり、前記(B)と前記(C)の合計重量と前記(A)の重量との比率[(B+C)/A]が3~19である硬化性組成物。
【化1】
[式(1)中、R
1は、水素原子又は炭素数1~30の有機基を表す。R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。]
【請求項2】
前記(B)及び前記(C)の環構造が芳香環構造である請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の硬化性組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物及び硬化性組成物の硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体素子封止用のエポキシ樹脂組成物には、透明性、耐熱性が良好な脂環骨格を有する液状のエポキシ化合物が多用される。しかし脂環エポキシ化合物は、強靱性に問題があり、ヒートサイクル試験におけるクラックの発生により、電子部品の信頼性を低下させる。かかる問題点を改善しようとする提案としては、例えば、脂環式エポキシ樹脂と脂環式エポキシ基を有する特定のアクリルモノマー(又はポリマー)を組み合わせることで強靭性を付与する樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、さらに、エポキシ樹脂に強靭性を付与する手段として、脂環骨格を有するエポキシ樹脂溶媒中に、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合物が、脂環エポキシ骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合物によって分散しているアクリルポリマー分散脂環式エポキシ樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載されている光半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物は曲げ強度が十分に高いとはいえない。また、特許文献2に記載されている脂環式エポキシ樹脂組成物ついても曲げ強度は十分に高いとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-320974号公報
【文献】特開平7-188385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、厚膜の場合でも割れずに硬化することができ、曲げ強度に優れる硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記一般式(1)式で示されるラジカル重合性モノマー(A)と、環構造を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)と、ラジカル重合開始剤(D)とを含有する硬化性組成物であって、前記(B)と前記(C)の合計重量と前記(A)の重量との比率[(B+C)/A]が3~19である硬化性組成物。
【化1】
[式(1)中、R
1は、水素原子又は炭素数1~30の有機基を表す。R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。]
【発明の効果】
【0007】
本発明の硬化性組成物の硬化物は、厚膜の場合でも割れずに硬化することができ、曲げ強度に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の硬化性組成物は、下記一般式(1)式で示されるラジカル重合性モノマー(A)と、環構造を有する2官能の(メタ)アクリレート(B)と、環構造を有する単官能(メタ)アクリレート(C)と、ラジカル重合開始剤を含有する。
【0009】
(A)は、下記一般式(1)で表されるラジカル重合性を有するα-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートである。
【0010】
【0011】
式(1)中、R1は、水素原子又は炭素数1~30の有機基を表す。R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。
【0012】
R2~R6がアルキル基の場合、該アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ネオペンチル基及びヘキシル基などが挙げられる。
【0013】
一般式(1)で表わされるα-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートの好ましい態様は、R5及びR6が水素原子である、下記一般式(2)で表わされる化合物であり、さらに好ましい態様は、R2~R6のいずれもが水素原子であるα-(アリルオキシメチル)アクリレートの場合である。
【0014】
【0015】
上記R1が炭素数1~30の有機基の場合、当該有機基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であっても、環状であってもよい。曲げ強度の観点から上記有機基の好ましい炭素数は1~18であり、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8である。有機基としては、例えば、炭化水素骨格、又は、エーテル結合を含む炭化水素骨格からなる有機基が挙げられる。また、前記炭化水素骨格は、置換基を有していてもよい。
【0016】
上記炭化水素骨格としては、鎖状飽和炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基など)、脂環式炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基など)、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、アントラニル基など)が挙げられる。そして、これらの基は置換基を有していてもよい。好ましくは、置換基を有することのある鎖状飽和炭化水素基である。
【0017】
上記エーテル結合を含む炭化水素骨格からなる有機基としては、上記鎖状飽和炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基など)、脂環式炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基など)、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、アントラニル基など)を構成する少なくとも1つの炭素-炭素結合に酸素原子が挿入した構造のものが挙げられる。
【0018】
上記置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基、トリメチルシリル基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0019】
このような有機基としては、例えば、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエチル基等のエーテル結合を有する鎖状飽和炭化水素基;シクロヘキシルオキシエチル基、ジシクロペンテニルオキシエチル基等の鎖状エーテル結合を有する脂環式炭化水素基;フェノキシエチル基、フェノキシエトキシエチル基等の鎖状エーテル結合を有する芳香脂肪族炭化水素基;グリシジル基、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロフルフリル基等の環状エーテル基が好適なものとして挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
従って、前記α-(アリルオキシメチル)アクリレートの化合物としては、具体的には、下記の化合物が挙げられる。α-アリルオキシメチルアクリル酸、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-ペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ネオペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘプチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等の鎖状飽和炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート。
【0021】
α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシプロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート;α-アリルオキシメチルアクリル酸フルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジクロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジブロモエチル等のハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート。
【0022】
α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-メチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリシクロデカニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸イソボルニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アダマンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンタニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンテニル等の脂環式炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート;α-アリルオキシメチルアクリル酸フェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ベンジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ナフチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アントラニル等の芳香族炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート。
【0023】
α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メトキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエトキシエチル等の鎖状エーテル結合を有する鎖状飽和炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート;α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペントキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルオキシルエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペントキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルオキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等の鎖状エーテル結合を有する脂環式炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート;α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエトキシエチル等の鎖状エーテル結合を有する芳香脂肪族炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート;α-アリルオキシメチルアクリル酸グリシジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸β-メチルグリシジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸β-エチルグリシジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-オキセタンメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メチル-3-オキセタンメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-エチル-3-オキセタンメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフラニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフルフリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロピラニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジオキサゾラニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジオキサニル等の環状エーテル基系飽和炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレート。
【0024】
このようなα-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートは、例えば、国際公開第2010/114077号に開示されている方法により製造することができる。
【0025】
環構造を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)としては、(メタ)アクリロイル基以外の部分に脂環構造及び/又は芳香環構造を有する2官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。脂環構造としては、脂環式炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基など)が挙げられる。芳香環構造としては、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、アントラニル基など)が挙げられる。そして、これらの基は置換基を有していてもよい。曲げ強度の観点から好ましくは環構造が芳香環構造である芳香族炭化水素基である。
【0026】
環構造を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の具体例としては、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物及び9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物等が挙げられる。
上記アルキレンオキシド付加物のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド(以下、EOとも記載する)、プロピレンオキシド(以下、POとも記載する)及びブチレンオキシド等が挙げられる。これらのアルキレンオキシドのうち、硬化物の曲げ強度及び曲げ弾性率の観点から、好ましくはEO及びPOである。
また、上記アルキレンオキシド付加物のアルキレンオキシドの付加モル数は硬化物の曲げ強度及び曲げ弾性率の観点から、1分子当たり2~10モルであり、更に好ましくは2~6モルであり、特に好ましくは2~4モルである。
【0027】
環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、(メタ)アクリロイル基以外の部分に脂環構造及び/又は芳香環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。脂環構造としては、脂環式炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基など)が挙げられる。芳香環構造としては、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、アントラニル基など)が挙げられる。そして、これらの基は置換基を有していてもよい。曲げ強度の観点から好ましくは環構造が芳香環構造である芳香族炭化水素基である。
【0028】
環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)の具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェニルオキシメチル(メタ)アクリレート、p-フェニルフェニルオキシメチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、p-フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート及びフルオレン骨格含有モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0029】
ラジカル重合開始剤(D)は、ベンゾイン化合物(D1)、アセトフェノン化合物(D2)、アントラキノン化合物(D3)、チオキサントン化合物(D4)、ケタール化合物(D5)、ベンゾフェノン化合物(D6)、ホスフィンオキシド(D7)、ケタール化合物(D8)、α-アミノアルキルフェノン系化合物(D9)及びオキシムエステル系化合物(D10)、有機過酸化物(D11)、アゾ系開始剤(D12)等が挙げられる。
(D)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、一般に(D1)~(D10)は光重合開始剤、(D11)~(D12)は熱重合開始剤と呼ばれる。
【0030】
ベンゾイン化合物(D1)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0031】
アセトフェノン化合物(D2)としては、アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等が挙げられる。
【0032】
アントラキノン化合物(D3)としては、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン及び2-アミルアントラキノン等が挙げられる。
【0033】
チオキサントン化合物(D4)としては、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン及び2-クロロチオキサントン等が挙げられる。
【0034】
ケタール化合物(D5)としては、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0035】
ベンゾフェノン化合物(D6)としては、ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド及び4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0036】
ホスフィンオキシド(D7)としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフォィンオキサイド及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0037】
ケタール化合物(D8)としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0038】
α-アミノアルキルフェノン系化合物(D9)としては、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロ-ブタノン-1及び2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン]等が挙げられる。
【0039】
オキシムエステル系化合物(D10)としては、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]及びエタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0040】
有機過酸化物(D11)としては、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ジラウロイルパーオキサイド、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(m-トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジーメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、α、α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0041】
アゾ系開始剤(D12)としては、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾジ-t-オクタン、アゾジ-t-ブタン等が挙げられる。
【0042】
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
これらのラジカル重合開始剤(D)のうち、反応の均一性による強度向上の観点から熱重合開始剤の(D11)~(D12)が好ましい。
熱重合開始剤の(D11)~(D12)のうち、硬化時の発泡による曲げ強度低下の観点から(D12)、また反応性向上の観点からn-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドが好ましい。
【0043】
本発明のラジカル重合性モノマー(A)の含有量は、曲げ強度の観点から(A)、(B)及び(C)の合計重量に基づいて好ましくは5~25重量%であり、更に好ましくは10~25重量%であり、特に好ましくは10~20重量%である。
本発明の環構造を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量は、曲げ強度の観点から(A)、(B)及び(C)の合計重量に基づいて好ましくは35~70重量%であり、更に好ましくは35~65重量%であり、特に好ましくは50~65重量%である。
本発明の環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)の含有量は、曲げ強度の観点から(A)、(B)及び(C)の合計重量に基づいて好ましくは10~40重量%であり、更に好ましくは15~40重量%であり、特に好ましくは20~35重量%である。
【0044】
本発明における(B)と(C)の合計重量と(A)の重量との比率[(B+C)/A]は3~19であり、好ましくは3~13であり、更に好ましくは3.5~10であり、特に好ましくは4~6である。(B)と(C)の合計重量と(A)の重量との比率が、3未満であると曲げ弾性率が低下し十分な曲げ強度が得られない問題があり、19を超えると曲げ弾性率は高いが靭性が低下するため十分な曲げ強度が得られない問題がある。
【0045】
本発明の熱重合開始剤(D)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計重量に基づいて曲げ強度の観点から好ましくは0.3~1.5重量%であり、更に好ましくは0.3~1.0重量%であり、特に好ましくは0.3~0.7重量%である。
【0046】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、難燃剤(e1)、酸化防止剤(e2)、紫外線吸収剤(e3)及び無機充填剤(e4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(e)を含有してもよい。
【0047】
難燃剤(e1)としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤 、無機系難燃剤及び有機金属塩系難燃剤等が挙げられる。
【0048】
酸化防止剤(e2)としては、ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、2,4,-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート及びジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0049】
紫外線吸収剤(e3)としては、2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-t-ペンチルベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-s-ブチル-5’-t-ブチルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3-ドデシル-5’-メチルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)]-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート及びポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0050】
無機充填剤(e4)としては、シリカ、アルミナ、ガラス及びこれらにアクリロイル基やメタクリロイル基を導入し、活性エネルギー線反応性を付与した化合物等が挙げられる。
【0051】
本発明の硬化性組成物は、例えば一般式(1)式で示されるラジカル重合性モノマー(A)、環構造を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、環構造を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)及びラジカル重合開始剤(D)並びに必要に応じて、前記のその他の添加剤を、公知の機械的混合方法(メカニカルスターラー及びマグネティックスターラー等を用いる方法)を用いて均一混合することで、製造することができる。
【0052】
本発明の硬化性組成物は、硬化させることで硬化物を製造することができる。
以下に、本発明の硬化性組成物を硬化させて、硬化物を製造する方法について説明する。
本発明の硬化性組成物を用いた硬化物の製造方法は、特に限定されないが、金型を用いて硬化性組成物を熱硬化させ金型から離型することにより得ることができる。
【0053】
より具体的な硬化物の製造方法としては、以下の方法等が挙げられる。
ガラス上にシリコンスペーサーで作成した枠をのせ得られた硬化性組成物をそこに注型する。膜厚は硬化収縮による割れの抑制及び硬化時の発熱による樹脂劣化の観点から好ましくは1~20mmであり、更に好ましくは1~5mmである。20~30℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で一定時間静置した後、加圧したまま70~150℃で加熱することで硬化することができる。硬化収縮の抑制および硬化時の発熱による樹脂劣化防止の観点から硬化温度は反応初期は70~120℃とし、その後130~150℃とすることが好ましい。硬化時間は適時調整でき、反応初期は通常5~10時間、昇温後は7~10時間程度とすることができる。硬化後、型から離型し、樹脂硬化物を得る。
【実施例】
【0054】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
<製造例1>
撹拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管を付した反応器に、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFOH)198.4重量部、AOMA(α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、(株)日本触媒製)100.1重量部、チタンテトラブトキシド10.9重量部、4H-TEMPO(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)0.10重量部を仕込み、撹拌しながら酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、100℃まで昇温し、14時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、α-アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフルフリル(THF-AMA):AOMA:テトラヒドロフルフリルアルコールは、面積比にて、24:11:51であった。また、触媒由来の不純物でα-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル(nBu-AMA)がTHF-AMAに対して15面積%含まれていた。この反応液をn-ヘキサンで希釈し、水を加え、チタン化合物を析出させ濾過により取り除いた。濾液を油水分離し、得られた有機層に水を加えよく撹拌し、静置、油水分離し、残存テトラヒドロフルフリルアルコールを水層側に取り除いた。得られた有機層に4H-TEMPOを0.15重量部加え、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、反応器内の圧力が400Paになるまで徐々に減圧した。400Pa到達後、徐々に昇温し、内温が80℃になるまで残存AOMAを取り除いた。その後、冷却、解圧した。得られた液をn-ヘキサンで希釈し、水を加え十分に撹拌し、静置、油水分離を行った。この操作を3回繰り返し、4H-TEMPOを取り除いた。得られた有機層を、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、内温が25~30℃になるよう加温しながら、圧力が800Paになるまでゆっくり減圧してn-ヘキサンを除去した。800Paに到達した後、20分間その圧力を維持してから解圧して、目的の化合物である、THF-AMA(A-2)を70.0重量部得た。得られたTHF-AMA(A-2)にp-メトキシフェノール0.021重量部を加えp-メトキシフェノールの濃度が300ppmになるように調製した。
【0056】
実施例1~7及び9~13、比較例1~7
表1に記載の配合組成(重量部)に従って、一括で配合し、ディスパーサーで均一になるまで撹拌し、硬化性組成物(X-1)~(X-7)、(X-9)~(X-13)及び(Z-1)~(Z-7)を得た。
次に、ガラス上にシリコンスペーサーで作成した縦20mm×横60mm×高さ3mmの枠をのせ、得られた各硬化性組成物をそこに注型した。30℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で15時間静置した。その後、加圧したまま110℃に昇温し、10時間保持し、さらに130℃に8時間保持した。その後、型より取り出し硬化物を得た。
【0057】
実施例8
攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に、フェノキシベンジルメタクリレートを30.0重量部と9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物(FGDA)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(蒸発残渣70重量%)を71.4重量部仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ70℃になるように昇温した。70℃到達後反応器内の圧力が10kPaになるまで徐々に減圧し溶媒であるPGMEAを除去した。NMRによる分析にてPGMEAの濃度が0.5重量%未満になったのを確認した後、得られた組成物に対してAOMAを20重量部仕込み均一化した後30℃まで冷却した。冷却後20~30℃にて開始剤であるn-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレートを0.5重量部添加して攪拌して均一化することで目的とする硬化性組成物(X-8)を得た。
次に、ガラス上にシリコンスペーサーで作成した20mm×60mm×3mmの枠をのせ得られた硬化性組成物をそこに注型した。30℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で15時間静置した。その後、加圧したまま110℃に昇温し、10時間保持し、さらに130℃に8時間保持した。その後、型より取り出し硬化物を得た。
【0058】
<評価方法>
[曲げ強度試験(曲げ弾性率及び曲げ強度)]
曲げ強度試験用の試験片は、上記作製条件で作製した硬化物を5mm×50mm×3mmに加工して作製した。曲げ強度試験はJIS K 6911:2006を参考にして、支点間距離30mm、曲げ速度10mm/分で行った。得られた硬化物の曲げ強度及び曲げ弾性率を表1に示した。
[外観(割れ有無の確認)]
ガラス上にシリコンスペーサーで作成した20mm×60mm×5mmの枠をのせ得られた硬化性組成物をそこに注型した。硬化条件は上記硬化物作製方法と同様で実施した。得られた硬化物の外観を確認し、割れの有無を観察した。
○:割れなし
×:一部割れが存在する
【0059】
【0060】
表1の略号は以下の通り
AOMA(A-1):α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル[商品名「AOMA」、(株)日本触媒製](R1はメチル基、R2、R3、R4、R5及びR6は水素原子)
Bis-EMA(B-1):ビスフェノールAのEO付加物(平均付加モル数2.6)のジメタクリレート[商品名「ライトエステル BP-2EM」、共栄社化学(株)製]
Bis-GMA(B-2):ビスフェノールAジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物[商品名「エポキシエステル 3000MK」、共栄社化学(株)製]
FGDA(B-3):9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物
FDA-6EO(B-4):9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンのEO付加物ジアクリレート(EOの平均付加モル数6)[商品名「KONOMER-D064、KPXケミカル(株)製]
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の硬化性組成物の硬化物は、曲げ強度及び曲げ弾性率が高く機械強度が優れているため、電子部品に用いられる封止材や成形材および注型材として有用である。
具体的には、半導体封止用材料として有用である。